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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】付加製造による冷却経路用の適応カバー
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20230228BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20230228BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D9/02 102
F02C7/18 A
F02C7/18 C
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018063953
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019015285
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】15/609,576
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ポール・レイシー
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ジョン・モーガン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0189015(US,A1)
【文献】特開2017-031973(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02857636(EP,A1)
【文献】特開2015-132261(JP,A)
【文献】特開2014-087924(JP,A)
【文献】特開2014-077439(JP,A)
【文献】特開2010-216471(JP,A)
【文献】特開昭62-017307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0369636(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0229019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377034(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308274(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0036942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 9/02
F01D 25/12
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の高温ガス経路(56)において使用するための構成部品であって、当該構成部品が、
高温の作動流体にさらされる外面(180)と、
内部冷却回路(160)と、
前記内部冷却回路(160)と連通し、前記外面(180)に向かって延びる冷却経路(200)と、
前記外面(180)において前記冷却経路(200)内にある適応カバー(220)であって、前記適応カバー(220)の所定の温度又はそれ以上の高温になったこと応じて、冷却経路(200)を開くように構成された適応カバー(220)と
を備えており、
前記適応カバー(220)が前記外面(180)に伝熱促進面(230)を含んでいて前記適応カバー(220)が前記外面(180)よりも早く熱を吸収するようにし、前記適応カバー(220)が、前記適応カバー(220)の内側部分(244)に弱化領域(240)を含んでいて、前記内側部分(244)が前記冷却経路(200)に面しており、前記弱化領域(240)が、前記冷却経路(200)の壁部と接する前記弱化領域(240)の縁部に沿って、溝(246)を含んでいる、構成部品。
【請求項2】
前記適応カバー(210、220)が、前記外面(180)及び前記冷却経路(200)と一体的に形成されるように、付加製造される、請求項1に記載の構成部品。
【請求項3】
前記伝熱促進面(230)が、ディンプル面(234)、膨出面(232)及び縞状面(236)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載の構成部品。
【請求項4】
前記伝熱促進面(230)が、前記外面(180)より滑らかでない、請求項1又は請求項2に記載の構成部品。
【請求項5】
前記冷却経路(200)が、前記外面(180)に対して直交しない角度にある、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項6】
前記冷却経路(200)及び前記適応カバー(220)が、前記外面(180)に非丸形の断面を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の構成部品。
【請求項7】
前記弱化領域(240)が、前記適応カバー(220)の内側部分(244)に気孔をさらに含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、構成部品を冷却することに関し、より詳細には、高温ガス経路構成部品の冷却経路用の適応カバーに関する。適応カバーは、付加製造によって製造される。
【背景技術】
【0002】
高温の作動流体にさらされる高温ガス経路構成部品は、産業機械において広く使用されている。例えば、ガスタービンシステムは、いくつかの段からなるタービンを含み、段は、支持ロータディスクから外側に延びるブレードを有する。各ブレードは翼形部を含み、翼形部の周りを高温の燃焼ガスが流れる。翼形部は、燃焼ガスによって生成された高温に耐えるために、冷却されなければならない。冷却が不十分であると、翼形部に、冷却が不十分なことによる応力および酸化が生じ、疲労および/または損傷を引き起こす場合がある。したがって、翼形部は、いくつかの冷却孔等に通じる1以上の内部冷却流回路を有するように、概して中空である。冷却空気は、冷却孔を通って排出され、翼形部の外面に、フィルム冷却を提供する。他のタイプの高温ガス経路構成部品および他のタイプのタービン構成部品も、同様の方法で冷却することができる。
【0003】
所与の構成部品が現場で運転に供される前に、多くのモデルおよびシミュレーションを実行することができるが、構成部品特有の高温および低温の場所によって、構成部品または構成部品の任意の領域が到達し得る正確な温度は大きく変化する。具体的には、構成部品は、過熱によって悪影響を受ける温度依存特性を有することがある。その結果、多くの高温ガス経路構成部品が過冷却されて、構成部品上に発生し得る局所的なホットスポットを補償することができる。しかしながら、過度の過冷却は、産業機械全体の出力および効率に悪影響をおよぼし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許9617859号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様は、産業機械の高温ガス経路において使用するための構成部品であって、高温の作動流体にさらされる外面と、内部冷却回路と、内部冷却回路と連通し、外面に向かって延びる冷却経路と、外面において、冷却経路内にある適応カバーであって、適応カバーの所定の温度に達する、または超えて高温になったこと応じて、冷却経路を開くように構成された適応カバーとを備え、適応カバーが、外面および冷却経路と一体的に形成されるように、付加製造される、構成部品を提供する。
【0006】
本開示の第2の態様は、産業機械の高温ガス経路において使用するための構成部品であって、高温の作動流体にさらされる外面と、外面上にある遮熱コーティングと、内部冷却回路と、内部冷却回路と連通し、外面に向かって延びる冷却経路と、外面において冷却経路内にある適応カバーであって、適応カバーが外面よりも早く熱を吸収するようにする伝熱促進面を外面に含む適応カバーとを備える構成部品を提供する。
【0007】
本開示の第3の態様は、高温ガス経路(HGP)構成部品を表すコードであって、コンピュータ化された付加製造システムによって実行されると、HGP構成部品が物理的に生成されるコードを格納する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、コードが、HGP構成部品を表すコードを含み、HGP構成部品が、外面と、内部冷却回路と、内部冷却回路と連通し、外面に向かって延びる冷却経路と、外面において冷却経路内にある適応カバーであって、外面に伝熱促進面を含み、適応カバーが外面よりも早く熱を吸収するようにする適応カバーとを備える、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0008】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または検討されていない他の問題を解決するように設計される。
【0009】
本開示のこれらのおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面を併せて参照することにより、本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ガスタービンシステムの形態の高温ガス経路構成部品を有する例示的な産業機械の概略図である。
図2】タービンブレードの形態の既知の高温ガス経路構成部品の斜視図である。
図3】本開示の実施形態に従った、高温ガス経路構成部品の一部分の斜視図である。
図4】本開示の実施形態に従った、適応カバーを含む図3のHGP構成部品の一部分の断面図である。
図5】本開示の実施形態による適応カバーを除去する温度のHGP構成部品の一部分の断面図である。
図6】本開示の実施形態に従った、伝熱促進面を含む適応カバーを含むHGP構成部品の一部分の断面図である。
図7】本開示の他の実施形態に従った、伝熱促進面を含む適応カバーを含むHGP構成部品の一部分の断面図である。
図8】本開示の他の実施形態に従った、伝熱促進面を含む適応カバーを含むHGP構成部品の一部分の断面図である。
図9】本開示の実施形態に従った、弱化領域を有する適応カバーを含むHGP構成部品の一部分の断面図である。
図10】本開示の他の実施形態に従った、弱化領域および伝熱促進面を有する適応カバーを含むHGP構成部品の一部分の断面図である。
図11】本開示の実施形態に従った、様々な形態の冷却経路および適応カバーの上面図である。
図12】本開示の実施形態に従った、HGP構成部品を表すコードを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む付加製造プロセスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを示すことを目的としており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面において、類似する符号は、図面を通して類似する要素を表している。
【0012】
最初の問題として、本開示を明確に説明するために、ガスタービンシステム等の産業機械内の、関連する機械構成部品を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。その際、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その用語が受け入れられている意味と同じ意味で用いられる。別途記載のない限り、このような専門用語には、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈が与えられるべきである。当業者であれば、特定の構成部品がいくつかの異なるまたは重複する用語を用いて参照されることが多くあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書で説明され得るものは、別の文脈では、複数の構成部品を含み、複数の構成部品からなるものとして参照されてもよい。あるいは、複数の構成部品を含むものとして本明細書で説明され得るものは、別の箇所では単一の部品として参照されてもよい。
【0013】
さらに、本明細書ではいくつかの記述的用語を通常通りに使用することがあり、このセクションの開始時にこれらの用語を定義することが有用であることがわかる。これらの用語およびその定義は、別途記載のない限り、以下の通りである。用語「半径方向」は、軸線に垂直な移動または位置を指す。このような場合、第1構成部品が第2構成部品より軸線に近接して位置する場合、本明細書では、第1構成部品は第2構成部品の「半径方向内側」または「内側」にあると述べることになる。一方、第1構成部品が第2構成部品より軸線から遠くに位置する場合、本明細書では、第1構成部品は第2構成部品の「半径方向外側」または「外側」にあると述べる場合がある。このような用語は、タービンの中心軸線に関して適用できることが理解されよう。
【0014】
上述のように、本開示は、冷却経路用の適応カバーを含む高温ガス経路(HGP)構成部品を提供する。HGP構成部品および適応カバーは、付加製造によって形成され、適応カバーを除去するのに十分な高温にさらされたときに、適応カバーへの伝熱を高めるために、適応カバー上に伝熱促進面を含んでもよい。伝熱促進面の使用により、適応カバーの所定の温度を超える温度で急速に開く冷却経路が生成される。付加製造プロセスにより、伝熱促進面を有する適応カバーだけでなく、冷却経路を開くことを可能にする他の意図的な弱化領域の形成が可能になる。
【0015】
ここで図面を参照すると、いくつかの図面を通して同様の符号が同様の要素を指しており、図1は、ガスタービンシステム10の形態の、例示的な産業機械の概略図を示す。本開示は、ガスタービンシステム10に関して説明されるが、本開示の教示は、冷却を必要とする高温ガス経路構成部品を有する任意の産業機械に適用可能であることを強調しておく。ガスタービンシステム10は、圧縮機15を含んでもよい。圧縮機15は、入ってくる空気流20を圧縮し、圧縮空気流20を燃焼器25に送る。燃焼器25は、圧縮空気流20を圧縮燃料流30と混合し、混合物を発火させて、燃焼ガス流35を生成する。単一の燃焼器25のみが示されているが、ガスタービンシステム10は、任意の数の燃焼器25を含んでもよい。燃焼ガス流35は、次にタービン40に送られる。燃焼ガス流35は、機械的仕事を生成するために、タービン40を駆動する。タービン40で生成された機械的仕事は、シャフト45を介して圧縮機15を駆動し、発電機等の外部負荷50を駆動する。
【0016】
ガスタービンシステム10では、天然ガス、液体燃料、各種合成ガス、および/または他のタイプの燃料、ならびにこれらの配合物を使用することができる。ガスタービンシステム10は、ニューヨーク州スケネクタディのゼネラル・エレクトリック社によって提供されるいくつかの異なるガスタービンエンジンのうちのいずれか1つであってもよい。ガスタービンシステム10は、様々な構成を有していてもよく、他のタイプの構成部品を使用してもよい。本開示の教示は、高温ガス経路を使用する他のタイプのガスタービンシステムおよび/または産業機械に適用可能であってもよい。また、本明細書において、複数のガスタービンシステム、あるタイプのタービン、または、あるタイプの動力生成機器を共に使用していてもよい。
【0017】
図2は、タービン40の高温ガス経路(HGP)56等に使用できるタービンブレード55の形態の高温ガス経路(HGP)構成部品52の一例を示す。本開示は、タービンブレード55の形態のHGP構成部品52、より具体的にはその翼形部60に関して説明されるが、本開示の教示は、冷却を必要とする任意のHGP構成部品に適用可能であることを強調しておく。一般的に説明すると、タービンブレード55は、翼形部60、シャンク部分65、および翼形部60とシャンク部分65との間に配置されたプラットフォーム70を含んでもよい。翼形部60は、概して、プラットフォーム70から半径方向上方に延び、前縁72および後縁74を含む。また、翼形部60は、正圧面76を画定する凸面と、負圧面78を画定する反対側の凹面とを含んでもよい。プラットフォーム70は、実質的に水平で平面であってもよい。シャンク部分65は、プラットフォーム70が、翼形部60とシャンク部分65との間の境界面を概して画定するように、プラットフォーム70から半径方向下方に延びてもよい。シャンク部分65は、シャンク空洞80を含んでもよい。また、シャンク部分65は、1以上のエンジェルウィング82と、ダブテール等の根元構造84とを含んでもよい。根元構造84は、他の構造と共に、タービンブレード55をシャフト45(図1)に固定するように構成することができる。任意の数のタービンブレード55をシャフト45の周りに周方向に配置することができる。他の構成部品および他の構成も本明細書で用いることができる。
【0018】
タービンブレード55は、圧縮機15(図1)から、または別の供給源からの、空気等の冷却媒体88を流すために、タービンブレード55を通って延びる1以上の冷却回路86を含んでもよい。スチームおよび他のタイプの冷却媒体88も本明細書で用いることができる。冷却回路86および冷却媒体88は、翼形部60、シャンク部分65、およびプラットフォーム70の少なくとも一部を、任意の順序、方向または経路で循環することができる。本明細書では、多くの異なるタイプの冷却回路および冷却媒体を任意の向きで用いることができる。冷却回路86は、翼形部60または他の場所の周りのフィルム冷却のために、いくつかの冷却孔90または他のタイプの冷却経路に通じていてもよい。他のタイプの冷却方法を用いてもよい。他の構成部品および他の構成も本明細書で用いることができる。
【0019】
図3図4は、本明細書で説明され得るHGP構成部品100の一部分の例を示している。図3はHGP構成部品100の斜視図であり、図4はHGP構成部品の一部分の断面図である。本例では、HGP構成部品100は、翼形部110であってもよく、より具体的には翼形部110の側壁であってもよい。HGP構成部品100は、ブレードまたはベーン等の一部であってもよい。HGP構成部品100はまた、シャンク、プラットフォーム、または任意のタイプの高温ガス経路構成部品を含む、任意のタイプの空冷される構成部品であってもよい。上述したように、他のタイプのHGP構成部品および他の構成を本明細書で用いることができる。上述した翼形部と同様に、翼形部110は、前縁120、および後縁130を含んでもよい。同様に、翼形部110は、正圧面140および負圧面150を含んでもよい。翼形部110は、内部に1つまたは複数の内部冷却回路160(図3および図4)も含んでもよい。図4に示すように、内部冷却回路160は、いくつかの冷却孔175等の、いくつかの冷却経路170に通じてもよい。冷却孔175は、翼形部110の外面180または他の場所を通って延びてもよい。外面180は、高温の作動流体にさらされる。本明細書で使用する場合、「高温」は、産業機械の形態に依存し、例えば、ガスタービンシステム10の場合には、高温は100℃より高い任意の温度であり得る。内部冷却回路160および冷却孔175は、その内部の冷却媒体190で、翼形部110、および翼形部110の構成部品を冷却する働きをする(図4)。本明細書では、任意の供給源からの、空気、スチーム等、任意のタイプの冷却媒体190を用いることができる。冷却孔175は、任意のサイズ、形状、または構成を有してもよい。任意の数の冷却孔175を本明細書で用いることができる。冷却孔175は、直交する、または直交しない態様で外面180まで延びてもよい。他のタイプの冷却経路170を本明細書で用いてもよい。他の構成部品および他の構成を本明細書で用いてもよい。
【0020】
図3および図4に示すように、HGP構成部品100、例えば翼形部110はまた、本開示の実施形態による、いくつかの他の冷却経路200を含んでもよい。冷却経路200は、内部冷却回路160と連通し、外面180に向かって延び、本開示の実施形態による適応カバー220を採用する任意の冷却経路を含んでもよい。適応カバー220は、除去されるまで、冷却経路200を閉じる。したがって、冷却経路200は、外面180に永久的に開口する、冷却経路170および冷却孔175とは区別可能である。
【0021】
図4図10に示すように、冷却経路200は、いくつかの適応冷却孔210の形態であってもよい。内部冷却回路160は、適応冷却孔210に流体的に結合されており、開くと、その内部の冷却媒体190で翼形部110およびその構成部品を冷却する働きをする。上述したように、本明細書では、任意の供給源からの、空気、スチーム等、任意のタイプの冷却媒体190を用いることができる。適応冷却孔210は、任意のサイズ、形状(例えば、円形、丸形、多角形等)、または構成を有することができる。任意の数の適応冷却孔210を本明細書で用いることができる。図4に最も良く示されているように、適応冷却孔210は、冷却孔175と同様に外面180に向かって延びていてもよいが、適応冷却孔210は、本開示の実施形態に係る適応カバー220によって覆われ、すなわち閉じられている。適応冷却孔210は、外面180に対して直交する(図4)または直交しない(図6)態様で外面180に向かって延びてもよい。他のタイプの冷却経路200を本明細書で用いてもよい。他の構成部品および他の構成を本明細書で用いてもよい。
【0022】
図4に示すように、適応カバー220は、外面180において冷却経路200内にある。本明細書で使用する場合、「外面180において」は、適応カバー220が外面180と接触して冷却経路200、例えば冷却孔210を閉じることを示す。図6に示すように、適応カバー220は、適応カバー220の所定の温度に達するかまたはそれを超える例えばHGP56等の高温に応じて、冷却経路200を開くように構成されている。適応カバー220は、他のHGP構成部品100と同じ材料で作られている。すなわち、適応カバー220は、ポリマーのような他の材料のプラグではなく、単一の材料を含む。除去される前、適応カバー220は冷却媒体190に対して不浸透性である。本明細書で使用する場合、「適応カバーの所定の温度」は、適応カバー220がその除去を可能にするように状態を変化させる温度である。多くの場合、図4および図5に示すように、適応カバー220をHGP56環境にさらすだけで、適応カバー220の除去(例えば、昇華、灰化、酸化または溶融による)、または割れ、または高温による飛び出しに十分な所定の温度が得られる。図4において、適応カバー220は、HGP構成部品100の外面180と同様の平坦な面226を含む。
【0023】
図6図8に示すように、いくつかの実施形態では、外面180よりも早く適応カバー220が熱を吸収するように、適応カバー220は、外面180に伝熱促進面230を含んでもよい。伝熱促進面230は、HGP構成部品100に組み込まれているもの、すなわち、HGP構成部品100が最初に有するものであり、使用によって存在しなくなる。伝熱促進面230は、HGP56から適応カバー220への伝熱を増加させる任意の形態をとることができる。例えば、伝熱促進面230は、外面180より滑らかでない、すなわち外面180よりも高い表面粗さを有する任意の面228(図)を含んでもよい。表面228(図)は、付加製造中に任意の方法で作成することができ、例えば外面180より粗い表面を形成するビルドパラメータを用いることによって作成することができる。図6図8にそれぞれ示すように、他の実施形態では、伝熱促進面230は、膨出面232、ディンプル面234または縞状面236を含んでもよい。これらの実施形態の任意の組み合わせも採用することができる。外面180とは異なる他の伝熱促進面も可能である。
【0024】
図9および図10に示す別の実施形態では、適応カバー220は弱化領域240を含んでもよい。弱化領域240は、冷却経路200からの適応カバー220の除去を促進し得る任意の構造的弱点を含んでもよい。すなわち、弱化領域240は、組み込まれた意図的な弱点を含み、適応カバー220の所定の温度に達するかまたはそれを超える高温になると、適応カバー220の弱化領域240が最初に機能しなくなる。これらの弱点には、適応カバー220の内側部分244の気孔図10の248)、および/または穿孔、ノッチまたは溝等の応力集中部が含まれる。図9では、弱化領域240は、適応カバー220の内側部分244にノッチ242を含んでもよい。図10に示す別の実施形態では、弱化領域240は、適応カバー220の内側部分244に溝246を含んでもよい。弱化領域240の各形態は、内側部分244の一部分または全体の周りに延びることができる。異なる形態の弱化領域240は、単独で、または組み合わせて用いることができる。図10に示すように、主に別々に用いるように示されているが、任意の形態の伝熱促進面230を任意の形態の弱化領域240と共に用いることができる。
【0025】
図11A図11Cは、外面180における適応冷却孔210または適応カバー220の様々な形態を示す。図示されているように、各々は、外面180において、丸形(図11Aでは円形、または図11Bでは楕円形)または非丸形断面(図11Cで正方形または長方形)を有することができる。任意の非丸形断面、例えば正方形、長方形または他の多角形を採用することができる。図11Dに示すように、適応カバー220はまた、任意の様々なディフューザに適合する断面を有してもよく、ディフューザに通じる冷却孔は任意の断面を有することができる。冷却経路200はまた、異なる内部寸法、形状等をとることができる。
【0026】
図12を参照すると、本開示の実施形態によれば、適応カバー220が外面180および冷却経路200と一体的に形成されるように、HGP構成部品100および適応カバー220を付加製造することができる。付加製造はまた、本明細書に記載された構造の多くを、非常に複雑な加工無しに、容易に形成することを可能にする。本明細書で使用する場合、付加製造(AM)は、従来のプロセスの場合である材料の除去ではなく、材料の連続した層形成によって物体を製造する任意のプロセスを含み得る。付加製造は、あらゆる種類の工具、金型または器具を使用することなく、かつ廃棄材料をほとんどまたは全く伴わずに複雑な幾何学的形状を形成することができる。その多くは切り取られて廃棄されるプラスチックまたは金属の固体ビレットから構成部品を機械加工する代わりに、付加製造に使用される唯一の材料が、部品を成形するために要求される材料である。付加製造プロセスには、3D印刷、ラピッドプロトタイピング(RP)、直接デジタル製造(DDM)、バインダージェッティング、選択的レーザ溶融(SLM)、および直接金属レーザ溶融(DMLM)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0027】
付加製造プロセスの例を説明するために、図12は、物体302、すなわちHGP構成部品100を生成するための例示的なコンピュータ化された付加製造システム300の概略図/ブロック図を示している。この例では、システム300は、DMLM用に構成される。本開示の一般的な教示は、他の形態の付加製造に同様に適用可能であることが理解されよう。AMシステム300は、一般に、コンピュータによる付加製造(AM)制御システム304およびAMプリンタ306を含む。AMシステム300は、後述するように、適応カバー220を含むHGP構成部品100(図4図11C)を定義する1セットのコンピュータ実行可能命令を含む実行コード320を実行して、AMプリンタ306を用いて構成部品を物理的に生成する。各AMプロセスは、例えば、細粒粉末、液体(例えば、ポリマー)、シート等の形態の、異なる原材料を用いることができ、そのストックは、AMプリンタ306のチャンバ310に保持することができる。この場合、HGP構成部品100(図4図11C)は、金属粉末または同様の材料から製造されてもよい。図示されているように、アプリケータ312は、空白のキャンバスとして広がる原材料314の薄層を形成することができ、この空白のキャンバスから、最終的な物体の連続的なスライスの各々が形成される。他の場合では、アプリケータ312は、例えば材料がポリマーである場合、または金属バインダージェッティングプロセスが用いられる場合、コード320によって定義されるように、先の層上に次の層を直接被覆、すなわち印刷することができる。図示されている例では、レーザまたは電子ビーム316が、コード320によって定義されるように、各スライスの粒子を融着させるが、これは急結液状プラスチック/ポリマーが採用される場合には必要ではない。AMプリンタ306の様々な部品を、新しい層の各々の追加に対応するように移動させることができ、例えば各層の後に、ビルドプラットフォーム318を下降させ、ならびに/またはチャンバ310および/もしくはアプリケータ312を上昇させることができる。
【0028】
AM制御システム304は、コンピュータプログラムコードとしてコンピュータ330に実装されているものとして示されている。この点に関し、コンピュータ330は、メモリ332、プロセッサ334、入出力(I/O)インタフェース336、およびバス338を含むものとして示されている。さらに、コンピュータ330は、外部I/Oデバイス/リソース340および記憶システム342と通信するものとして示されている。一般に、プロセッサ334は、本明細書に記載のHGP構成部品100(図4図11D)を表すコード320からの命令の下で、メモリ332および/または記憶システム342に記憶されたAM制御システム304等のコンピュータプログラムコードを実行する。コンピュータプログラムコードの実行時に、プロセッサ334は、メモリ332、記憶システム342、I/Oデバイス340および/またはAMプリンタ306からデータを読み出すこと、および/またはこれらにデータを書き込むことができる。バス338は、コンピュータ330の構成部品の各々の間の通信リンクを提供し、I/Oデバイス340は、ユーザがコンピュータ330と対話できるようにする任意のデバイス(例えば、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ等)を備えてもよい。コンピュータ330は、ハードウェアおよびソフトウェアの様々な考えられる組み合わせの代表的なものにすぎない。例えば、プロセッサ334は、単一のプロセシングユニットを備えてもよいし、例えばクライアント上およびサーバ上の1以上の場所にある1以上のプロセシングユニットに分散していてもよい。同様に、メモリ332および/または記憶システム342は、1以上の物理的場所に存在してもよい。メモリ332および/または記憶システム342は、磁気媒体、光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)等を含む様々な種類の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体の任意の組み合わせを備えてもよい。コンピュータ330は、ネットワークサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、携帯デバイス、携帯電話、ポケットベル、携帯情報端末等の任意の種類のコンピューティングデバイスを備えてもよい。
【0029】
付加製造プロセスは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、メモリ332、記憶システム342等)にHGP構成部品100(図4図11D)を表すコード320を記憶することで始まる。上述のように、コード320は、物体302を定義する1セットのコンピュータ実行可能命令を含み、この命令は、システム300によるコード実行時に、物体を物理的に生成するために用いることができる。例えば、コード320は、HGP構成部品100(図4図11D)の正確に定義された3Dモデルを含んでいてもよく、AutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD 3D Max等の多様な周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムのうち、任意のもので生成されてもよい。この点において、コード320は、現在知られているか、または後に開発される任意のファイルフォーマットとすることができる。例えば、コード320は、3DシステムのステレオリソグラフィCADプログラム用に生成された標準テッセレーション言語(STL)で書かれていてもよいし、あるいは任意のCADソフトウェアが、任意のAMプリンタ上で製作される任意の三次元物体の形状および構成を記述することを可能にするように設計された拡張マークアップ言語(XML)ベースのフォーマットである米国機械学会(ASME)規格の付加製造ファイル(AMF)であってもよい。コード320は、必要に応じて、異なるフォーマット間で変換すること、1セットのデータ信号に変換すること、1セットのデータ信号として送受信すること、コードに変換すること、記憶すること等が可能であってもよい。コード320は、システム300への入力であってもよく、部品設計者、知的財産(IP)提供者、設計会社、システム300のオペレータもしくは所有者、または他の提供源からもたらされてよい。いずれにしても、AM制御システム304は、コード320を実行して、HGP構成部品100(図4図11D)を、一連の薄いスライスに分割し、この一連の薄いスライスは、AM制御システム304によって、液体、粉末、シートまたは他の材料の連続した層としてAMプリンタ306を使用して組み立てられる。DMLMの例において、各層は、コード320によって定義される正確な形状に溶融させられ、先の層に融着させられる。
【0030】
付加製造に続いて、HGP構成部品100(図4図11D)は、任意の様々な仕上げプロセス、例えば、小さな機械加工、封止、研磨、別の部品への組立等にさらされてもよい。
【0031】
動作時には、図6に示すように、適応カバー220が所定の温度に達するか、またはそれを超えてHGP56が高温になることに応じて、適応カバー220が除去されて冷却経路200が開く。すなわち、高温により、適応カバー220が外れたり、灰化したり、溶融したりし、それによって適応カバーが除去され、冷却媒体190によるHGP構成部品100の冷却を許容し、そこではHGP構成部品100の破損が生じる。本明細書で説明するように、適応カバー220は、ディンプル面234(図)、膨出面232(図)、および縞状面236(図)等の様々な伝熱促進面230のうち、任意のものを含んでもよい。あるいは、伝熱促進面230(図の228)は、外面180より滑らかでなくてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、適応カバー220は、適応カバー220の除去を促進する弱化領域240を含んでもよい。
【0032】
本開示の実施形態によるHGP構成部品100は、予期される温度よりも高い領域でのみ開いて、その領域を冷却し、下にある金属の損傷を防止する冷却経路200を提供する。それによって、公称冷却流が、著しく低減される。伝熱促進面230および/または弱化領域240の使用により、適応カバー220の所定の温度に達するかまたはそれを超える高温で急速に開く冷却経路200が生成される。
【0033】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的とし、本開示を限定することを意図とするものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成部品が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成部品、および/またはそれらの組の存在または追加を除外しないことが、さらに理解されよう。「オプションの」または「任意選択的に」という用語は、その後に記載された事象または状況が起こっても、起こらなくてもよく、かつその記載が、上記の事象または状況が起こる場合および起こらない場合を包含することを意味する。
【0034】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用する場合、概略を表す言葉(Approximating language)は、任意の量的表現について、その量的表現が関連する基本的な機能を変化させることなく、許容可能に変化させるように、任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」および「実質的に」等の用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似する文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は特定され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の±10%を示し得る。
【0035】
添付の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作および均等物は、具体的に請求項に記載された他の請求要素と組み合わせてその機能を実行するための、すべての構造、材料または動作を包含することが意図されている。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されたもので、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。多くの修正形態および変更形態は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本開示の原理および実際の応用を最も良く説明し、かつ想定される特定の使用に適するようにするための様々な変更を伴った、様々な実施形態の開示を他の当業者が理解できるようにするために、実施形態を選択し説明した。
【符号の説明】
【0036】
10 ガスタービンシステム
15 圧縮機
20 空気
25 燃焼器
30 燃料
35 燃焼ガス
40 タービン
45 シャフト
50 外部負荷
52 高温ガス経路(HGP)構成部品
55 タービンブレード
56 高温ガス経路(HGP)
60 翼形部
65 シャンク部分
70 プラットフォーム
72 前縁
74 後縁
76 正圧面
78 負圧面
80 シャンク空洞
82 エンジェルウィング
84 根元構造
86 冷却回路
88 冷却媒体
90 冷却孔
100 HGP構成部品
110 翼形部
120 前縁
130 後縁
140 正圧面
150 負圧面
160 内部冷却回路
170 冷却経路
175 冷却孔
180 外面
190 冷却媒体
200 冷却経路
210 適応カバー
220 適応カバー
226 平坦な面
228 面
230 伝熱促進面
232 膨出面
234 ディンプル面
236 縞状面
240 弱化領域
242 ノッチ
244 内側部分
246 溝
300 AMシステム
302 物体
304 AM制御システム
306 AMプリンタ
310 チャンバ
312 アプリケータ
314 原材料
316 電子ビーム
318 ビルドプラットフォーム
320 コード
330 コンピュータ
332 メモリ
334 プロセッサ
336 入力/出力(I/O)インタフェース
338 バス
340 外部I/Oデバイス/リソース
342 記憶システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12