(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】2種のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20230228BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230228BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230228BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
A61K8/39
A61K8/37
A61Q1/00
A61Q19/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018221079
(22)【出願日】2018-11-27
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】新美 類
(72)【発明者】
【氏名】コンタン・ジル
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-122197(JP,A)
【文献】国際公開第2016/091939(WO,A1)
【文献】国際公開第2002/078650(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/103240(WO,A1)
【文献】特開2014-122198(JP,A)
【文献】特開昭62-266135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100316(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100315(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100314(US,A1)
【文献】特開2004-359568(JP,A)
【文献】特開2005-213236(JP,A)
【文献】特開2015-044780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/33-33/44
A61K 31/00-31/327
A61P 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の油と、
(b)13.0以上
のHLB値を有
し、2から4個のグリセロール単位を含む、少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下
のHLB値を有
し、14個以上の炭素原子を含む、少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(d)水と
を含み、
150NTU以下
の濁度を有する、ナノ又はマイクロエマルションの形態の組成物。
【請求項2】
組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLBが、11.5から14.0
の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)油が、極性油から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の(a)油の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%
の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルが
、3又は4個のグリセロール単位
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分が、12個以下の炭素原子
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比が、0.6から1.3
の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが、2から4個のグリセロール単位
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分が
、16個以上の炭素原子
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比が
、0.3から0.5の範囲である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの総量)/(a)油の量の質量比が、1.6以下
である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含有しない、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
O/W型エマルションの形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
(a)油の粒径が、35nm以下
である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、ケラチン物質を処置するための美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの異なるタイプのポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物、好ましくは化粧用又は皮膚科学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型(O/W型)又は油中水型(W/O型)エマルションは、化粧品及び皮膚科学の分野で、特に、乳液、クリーム、トニック、セラム又は化粧水等の化粧料の調製用として、周知である。
【0003】
特に、O/W型ナノ又はマイクロエマルション等の微細なエマルションは、その透明又はわずかに半透明な外観のために、化粧料において特に興味深い。
【0004】
その一方で、ポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物は、化粧品及び皮膚科学の分野で知られている。ポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤として機能することができ、したがって、典型的に、エマルション、例えば水中油型(O/W型)又は油中水型(W/O型)エマルションを調製するために使用することができる。ポリグリセリル脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン系界面活性剤と比較して、環境上の理由、例えば低い環境負荷により好ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press社
【文献】Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【文献】ASTM規格445付録C
【文献】Satoshi Tomomasa等、Oil Chemistry、37巻、11号(1988)、48~53頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ポリグリセリル脂肪酸エステルを含む組成物は、べたつく傾向があり、触ったときにべたつき感を与えることが多い。
【0007】
本発明の目的は、組成物がポリグリセリル脂肪酸エステルを含む場合でも、べたつきが少ないものであることが可能である、ナノ又はマイクロエマルションの形態の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(d)水と
を含み、
150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有する組成物によって達成することができる。
【0009】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLBは、11.5から14.0、好ましくは12.0から13.5、より好ましくは12.5から13.0の範囲であってもよい。
【0010】
(a)油は、極性油から選択することができる。
【0011】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%、好ましくは0.05質量%から15質量%、より好ましくは0.1質量%から10質量%の範囲であってもよい。
【0012】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2から4個のグリセロール単位、好ましくは3又は4個のグリセロール単位、より好ましくは4個のグリセロール単位を含んでもよい。
【0013】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、12個以下の炭素原子、好ましくは11個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を含んでもよい。
【0014】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比は、0.6から1.3、好ましくは0.7から1.2、より好ましくは0.8から1.1の範囲であってもよい。
【0015】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2から4個のグリセロール単位、好ましくは2又は3個のグリセロール単位、より好ましくは2個のグリセロール単位を含んでもよい。
【0016】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分は、14個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子、より好ましくは18個以上の炭素原子を含んでもよい。
【0017】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比は、0.1から0.9、好ましくは0.2から0.7、より好ましくは0.3から0.5の範囲であってもよい。
【0018】
本発明による組成物中の
((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの総量)/(a)油の量
の質量比は、1.6以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下であってもよい。
【0019】
本発明による組成物は、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含有しなくてもよい。
【0020】
本発明による組成物は、O/W型エマルションの形態であってもよい。エマルション中の(a)油の粒径は、35nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下であってもよい。
【0021】
本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
鋭意検討の結果、本発明者等は、2つの異なるタイプのポリグリセリル脂肪酸エステルの組合せを使用することによって、組成物がポリグリセリル脂肪酸エステルを含む場合でも、べたつきが少ないものであることが可能であり、したがって、減少した塗布後のべたつき感を与えることができる、ナノ又はマイクロエマルションの形態の組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0023】
本発明による組成物は、
より高いHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
より低いHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと
の組合せを特徴としうる。
【0024】
第1のポリグリセリル脂肪酸エステルのより高いHLB値は、より高いHLB数値範囲内であることができ、
第2のポリグリセリル脂肪酸エステルのより低いHLB値は、より低いHLB数値範囲内であることができ、
且つ、
より高いHLB数値範囲及びより低いHLB数値範囲は、互いに重複しない。
【0025】
したがって、本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(d)水と
を含み、
150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有する組成物である。
【0026】
本発明による組成物は、150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有するので、透明又は半透明であってもよい。
【0027】
本発明による組成物は、べたつきが少ないものであることが可能であり、したがって、触ったときに、減少したべたつき感を与えることができる。したがって、本発明による組成物は、優れた使用感、特に、組成物の塗布後の優れた皮膚感を与えることができる。
【0028】
「べたつく」という用語は、本明細書において、皮膚にべとべと感を与える特性を意味する。
【0029】
本発明による組成物は、ホモジナイザーが必要とするような大量のエネルギーを用いずに調製することができる。したがって、本発明による組成物は、少量のエネルギーを使用すること、例えば組成物の成分を穏やかに撹拌することによって調製することができる。したがって、本発明による組成物は、その調製手法を考慮して環境に優しい。
【0030】
以下で、本発明による組成物を、より詳細に説明する。
【0031】
[油]
本発明による組成物は、(a)少なくとも1種の油を含む。2種以上の油を使用する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。
【0032】
本明細書において、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)で液体又はペースト(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品において一般的に使用されるものを、単独で、又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0033】
(a)油は、非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油等;極性油、例えば植物若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油;又はそれらの混合物であってもよい。
【0034】
(a)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0035】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0036】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0037】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0038】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は、10以上である。
【0039】
好ましくは、モノアルコールのエステルについて、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で少なくとも1つは分枝状である。
【0040】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0041】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた使用することができる。
【0042】
とりわけ、以下を挙げることができる:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール。
【0043】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素保持炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってよい。
【0044】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにその誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0045】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1から3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を有してもよい。
【0046】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0047】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0048】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0049】
挙げることができる例は、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0050】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0052】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0054】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明により使用することができる有機変性シリコーンは、上記で定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0055】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press社においてより詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0056】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、更により詳細には、以下から選択される:
(i)3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7207又はRhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7158、Rhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によってSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。以下の式:
【0057】
【0058】
である)
のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えばUnion Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109もまた挙げることができる。環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物もまた挙げることができる;並びに
(ii)2から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によってSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文に記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定される。
【0059】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中で、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0060】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社によって販売されている47及び70 047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例として70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60 000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)。
【0061】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られている、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた挙げることができる。
【0062】
アリール基を含有するシリコーンの中で、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0063】
フェニルシリコーン油は、以下の式:
【0064】
【0065】
(式中、
R1からR10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立して、両端を含んで0から900、好ましくは両端を含んで0から500、より好ましくは両端を含んで0から100の整数であり、
ただし、和n+m+qは、0以外である)
のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0066】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製の70 641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0067】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1からR10は、メチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0068】
有機変性液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722及びL77油を挙げることができる。
【0069】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0070】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0071】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子が含まれることを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0072】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル及びC12~C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0073】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0074】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0075】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0076】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、本明細書において、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪アルコールの中で、好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20脂肪アルコールを使用することができる。より好ましくは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C16~C20脂肪アルコールを使用することができる。更により好ましくは、分枝状C16~C20脂肪アルコールを使用することができる。
【0077】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0078】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物から選択される。
【0079】
(a)油は、600g/mol未満の分子量を有する油から選択されることもまた好ましい。
【0080】
好ましくは、(a)油は、600g/mol未満等の低分子量を有し、炭化水素短鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、ラウロイルサルコシンイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性シリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン及びスクアラン)、分枝状及び/又は不飽和の脂肪アルコール(C12~C30)タイプの油、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコール、並びにジカプリリルエーテル等のエーテル油の中から選択される。
【0081】
(a)油は、極性油から、より好ましくはエステル油から選択されることが好ましい。
【0082】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0083】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0084】
本発明による組成物中の(a)油の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%、好ましくは0.05質量%から15質量%、より好ましくは0.1質量%から10質量%であってもよい。
【0085】
[第1のポリグリセリル脂肪酸エステル]
本発明による組成物は、(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。単一のタイプの(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルを組み合わせて使用してもよい。
【0086】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤として機能することができる。
【0087】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、13.0から17.0、好ましくは13.5から16.0、より好ましくは14.0から15.0のHLB値を有してもよい。
【0088】
HLB(「親水性-親油性バランス」)という用語は、当業者に周知であり、分子中の親水性部分と親油性部分との間の比を反映している。
【0089】
2種以上の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全ての(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の質量平均によって決定される。
【0090】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、飽和又は不飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリ及びそれを超えるエステルから選択することができる。
【0091】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2から4個のグリセロール単位、好ましくは3又は4個のグリセロール単位、より好ましくは4個のグリセロール単位を含むことが好ましい。
【0092】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、12個以下の炭素原子、好ましくは11個以下の炭素原子、より好ましくは10個以下の炭素原子を含んでもよい。(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、4個以上の炭素原子、好ましくは6個以上の炭素原子、より好ましくは8個以上の炭素原子を含んでもよい。(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、4から12個の炭素原子、好ましくは6から11個、より好ましくは8から10個の炭素原子を有してもよい。
【0093】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよく、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選択することができる。
【0094】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG3(HLB:約14)、カプリル酸PG4(HLB:14)、ラウリン酸PG4(HLB:約14)、カプリン酸PG4(HLB:14)、ミリスチン酸PG5(HLB:15.4)、ステアリン酸PG5(HLB:15)、カプリル酸PG6(HLB:14.6)、カプリン酸PG6(HLB:13.1)、ラウリン酸PG6(HLB:14.1)、ラウリン酸PG10(HLB:15.2)、ミリスチン酸PG10(HLB:14.9)、ステアリン酸PG10(HLB:14.1)、イソステアリン酸PG10(HLB:13.7)、オレイン酸PG10(HLB:13.0)、ヤシ油脂肪酸PG10(HLB:16)、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0095】
(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG3(HLB:約14)、カプリル酸PG4(HLB:14)、ラウリン酸PG4(HLB:約14)、カプリン酸PG4(HLB:14)、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合もある。
【0096】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0097】
その一方で、本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0098】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から15質量%、好ましくは0.05質量%から10質量%、より好ましくは0.1質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0099】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比は、0.6から1.3、好ましくは0.7から1.2、より好ましくは0.8から1.1の範囲であってもよい。
【0100】
[第2のポリグリセリル脂肪酸エステル]
本発明による組成物は、(c)10.0以下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを含む。単一のタイプの(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプの(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルを組み合わせて使用してもよい。
【0101】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤として機能することができる。
【0102】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、5.0から10.0、好ましくは6.0から9.0、より好ましくは7.0から8.0のHLB値を有してもよい。
【0103】
2種以上の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルが使用される場合、HLB値は、全ての(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルのHLB値の質量平均によって決定される。
【0104】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、飽和又は不飽和脂肪酸のモノ、ジ、トリ及びそれを超えるエステルから選択することができる。
【0105】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、2から4個のグリセロール単位、好ましくは2又は3個のグリセロール単位、より好ましくは2個のグリセロール単位を含むことが好ましい。
【0106】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、14個以上の炭素原子、好ましくは16個以上の炭素原子、より好ましくは18個以上の炭素原子を含んでもよい。(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、30個以下の炭素原子、好ましくは24個以下の炭素原子、より好ましくは20個以下の炭素原子を含んでもよい。(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸又は脂肪酸部分は、14から30個、好ましくは16から24個、より好ましくは18から20個の炭素原子を有してもよい。
【0107】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの脂肪酸部分のための脂肪酸は、飽和であっても不飽和であってもよく、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びオレイン酸から選択することができる。
【0108】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、ステアリン酸PG2(HLB:5.0)、ジステアリン酸PG2(HLB:4)、イソステアリン酸PG2(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG2(HLB:3.2)、トリイソステアリン酸PG2(HLB:3)、セスキイソステアリン酸PG2(HLB:約4)、オレイン酸PG2(HLB:8)、セスキオレイン酸PG2(HLB:5.3)、ジステアリン酸PG3(HLB:5)、ジイソステアリン酸PG3(HLB:5)、ジヤシ油脂肪酸PG3(HLB:7)、ヘキサステアリン酸PG5(HLB:4.0)、トリオレイン酸PG5(HLB:7.0)、ペンタオレイン酸PG10(HLB:6.4)、セスキカプリル酸PG2(HLB:約8)、カプリン酸PG2(HLB:9.5)、ラウリン酸PG2(HLB:8.5)、ミリスチン酸PG2(HLB:10)、イソパルミチン酸PG2(HLB:9)、オレイン酸PG4(HLB:10)、ステアリン酸PG4(HLB:9)、イソステアリン酸PG4(HLB:8.2)、ジステアリン酸PG6(HLB:8)、ジステアリン酸PG10(HLB:約9)、トリステアリン酸PG10(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG10(HLB:10)、トリイソステアリン酸PG10(HLB:8)、トリヤシ油脂肪酸PG10(HLB:9)、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0109】
(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルは、ステアリン酸PG2(HLB:5.0)、ジステアリン酸PG2(HLB:4)、イソステアリン酸PG2(HLB:8)、ジイソステアリン酸PG2(HLB:3.2)、トリイソステアリン酸PG2(HLB:3)、セスキイソステアリン酸PG2(HLB:約4)、オレイン酸PG2(HLB:8)、セスキオレイン酸PG2(HLB:5.3)、ジステアリン酸PG3(HLB:5)、ジイソステアリン酸PG3(HLB:5)、ジヤシ油脂肪酸PG3(HLB:7)、セスキカプリル酸PG2(HLB:約8)、カプリン酸PG2(HLB:9.5)、ラウリン酸PG2(HLB:8.5)、ミリスチン酸PG2(HLB:10)、イソパルミチン酸PG2(HLB:9)、オレイン酸PG4(HLB:10)、ステアリン酸PG4(HLB:9)、イソステアリン酸PG4(HLB:8.2)、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい場合もある。
【0110】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0111】
その一方で、本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0112】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から10質量%、好ましくは0.05質量%から5質量%、より好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲であってもよい。
【0113】
本発明による組成物中の(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの量/(a)油の量の質量比は、0.1から0.9、好ましくは0.2から0.7、より好ましくは0.3から0.5の範囲であってもよい。
【0114】
[ポリグリセリル脂肪酸エステルの量]
本発明によれば、((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの総量)/(a)油の量の質量比は、1.6以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下であってもよい。
【0115】
従来、グリセリル脂肪酸エステル/トリグリセリド油の量の質量比は、はるかに高く、例えば6.0である。
【0116】
したがって、本発明による組成物は、ポリグリセリル脂肪酸エステルの総量を減少させる又は限定することができる。
【0117】
本発明は、ポリグリセリル脂肪酸エステルの総量を減少させることができるので、本発明による組成物は、べたつき感のないものであることが可能であり、又は触ったときに、更に減少したべたつき感を与えることができる。
【0118】
((b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの総量)/(a)油の量の質量比は、0.1超、好ましくは0.5超、より好ましくは1.0超であることが好ましい場合もある。
【0119】
[ポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLB]
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLBは、11.5以上、好ましくは12.0以上、より好ましくは12.5以上であってもよい。
【0120】
本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLBは、14.0以下、好ましくは13.5以下、より好ましくは13.0以下であってもよい。
【0121】
したがって、本発明の一実施形態では、本発明による組成物中の(b)第1のポリグリセリル脂肪酸エステル及び(c)第2のポリグリセリル脂肪酸エステルの平均HLBは、11.5から14.0、好ましくは12.0から13.5、より好ましくは12.5から13.0の範囲であってもよい。
【0122】
[水]
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0123】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であってもよい。
【0124】
その一方で、本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0125】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、60質量%から95質量%、好ましくは70質量%から90質量%、より好ましくは80質量%から85質量%の範囲であってもよい。
【0126】
[ポリオール]
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリオールを更に含んでもよい。単一のタイプのポリオールを使用してもよいが、2つ以上の異なるタイプのポリオールを組み合わせて使用してもよい。
【0127】
「ポリオール」という用語は、本明細書において、2つ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを意味し、糖類又はその誘導体を包含しない。糖類の誘導体には、糖類の1つ又は複数のカルボニル基を還元することによって得られる糖アルコール、及びその1つ又は複数のヒドロキシ基中の水素原子が、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アシル基又はカルボニル基等の少なくとも1つの置換基で置き換えられている糖類又は糖アルコールが含まれる。
【0128】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基、好ましくは2から5つのヒドロキシ基を含む、C2~C12ポリオール、好ましくはC2~C9ポリオールであってもよい。
【0129】
ポリオールは、天然又は合成のポリオールであってよい。ポリオールは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造を有していてよい。
【0130】
ポリオールは、グリセリン及びその誘導体、並びにグリコール及びその誘導体から選択することができる。ポリオールは、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ポリエチレングリコール(5から50個のエチレンオキシド基)、及びソルビトール等の糖からなる群から選択することができる。
【0131】
本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0132】
その一方で、本発明による組成物中のポリオールの量は、組成物の総質量に対して、25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下であってもよい。
【0133】
したがって、ポリオールは、組成物の総質量に対して、0.01質量%から25質量%、好ましくは0.05質量%から20質量%、例えば0.1質量%から15質量%の範囲の量で本発明による組成物中に存在してもよい。
【0134】
[他の成分]
本発明による組成物は、例えば、1から6個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状のモノアルコール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール、ペンタノール及びヘキサノール等の、室温(25℃)で液体の形態である1種又は複数のモノアルコールを含有してもよい。
【0135】
本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0136】
その一方で、本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0137】
したがって、本発明による組成物中のモノアルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から15質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、より好ましくは1質量%から5質量%の範囲であってもよい。
【0138】
本発明による組成物はまた、上記で説明した成分を除く、化粧用及び皮膚科学的組成物において従来使用される様々なアジュバント、例えば増粘剤、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性又は双性イオン性ポリマー、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性界面活性剤、酸化防止剤、着色剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、香料、分散剤、コンディショニング剤、皮膜形成剤、保存剤、共保存剤(co-preservative)、並びにそれらの混合物を含んでもよい。
【0139】
一実施形態では、本発明による組成物は、ラウリン酸PG5等の5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含有しない。「含有しない」という用語は、本明細書において、本発明による組成物が、限られた量の5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含有してもよいことを意味する。しかしながら、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルの量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更により好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、5個以上のグリセロール単位を含むポリグリセリル脂肪酸エステルを含まないことが最も好ましい。
【0140】
別の実施形態では、本発明による組成物は、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含有しない。「含有しない」という用語は、本明細書において、本発明による組成物が、限られた量のポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含有してもよいことを意味する。しかしながら、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満、更により好ましくは0.01質量%未満であるように限定されることが好ましい。本発明による組成物は、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤を含まないことが最も好ましい。
【0141】
(調製)
本発明による組成物は、上記で説明した必須成分と、上記で説明した任意選択の成分(必要な場合)とを混合することによって調製することができる。
【0142】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は限定されない。上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製するために、任意の従来の方法及び手段を使用することができる。
【0143】
本発明による組成物は、ホモジナイザーが必要とするような大量のエネルギーを用いずに調製することができる。したがって、本発明による組成物は、少量のエネルギーを使用すること、例えば組成物の成分を穏やかに撹拌することによって調製することができる。したがって、本発明による組成物は、その調製手法を考慮して環境に優しい。
【0144】
[形態]
本発明による組成物は、ナノ又はマイクロエマルションの形態である。
【0145】
「マイクロエマルション」は、2通り、すなわち、広義と狭義とに定義することができる。すなわち、1つには、マイクロエマルションが、油性成分、水性成分及び界面活性剤の3つの成分を有する三成分系を含有する熱力学的に安定な等方性単一液相を指す場合(「狭義のマイクロエマルション」)があり、2つ目には、熱力学的に不安定な典型的なエマルション系の中で、マイクロエマルションが、それらの粒径がより小さいために透明又は半透明な外観を示すエマルションを更に含む(Satoshi Tomomasa等、Oil Chemistry、37巻、11号(1988)、48~53頁)場合(「広義のマイクロエマルション」)がある。本明細書で使用する「マイクロエマルション」は、「狭義のマイクロエマルション」、すなわち、熱力学的に安定な等方性単一液相を指す。
【0146】
マイクロエマルションは、油がミセルによって可溶化されているO/W型(水中油型)マイクロエマルション、水が逆ミセルによって可溶化されているW/O型(油中水型)マイクロエマルション、又は界面活性剤分子の会合数が無限になり、その結果、水性相及び油相の両方が連続構造を有する両連続マイクロエマルションのいずれか1つの状態を指す。
【0147】
マイクロエマルションは、レーザーグラニュロメトリーによって測定して、100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下の粒径を有する分散相を有してもよい。
【0148】
「ナノエマルション」は、本明細書において、350nm未満のサイズを有する分散相を特徴とするエマルションを意味し、この分散相は、分散相/連続相界面で、ラメラ型の液晶相を任意選択で形成することができる(b)から(d)非イオン性界面活性剤のクラウンによって安定化される。特定の乳白剤の非存在下では、ナノエマルションの透明性は分散相の小型サイズから生じるが、この小型サイズは、機械的エネルギーの使用によって得られる。
【0149】
ナノエマルションは、その構造によって、マイクロエマルションと区別することができる。具体的には、マイクロエマルションは、例えば、成分(b)及び(c)によって形成されて成分(a)で膨化したミセルから形成された熱力学的に安定な分散体である。更に、マイクロエマルションは、調製するために実質的な機械的エネルギーを必要としない。
【0150】
ナノエマルションは、レーザーグラニュロメトリーによって測定して、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下の粒径を有する分散相を有してもよい。
【0151】
本発明による組成物は、連続水性相中に分散された油相を含むO/W型エマルションの形態であることが好ましい。分散された油相は、水性相中の油滴であってもよい。
【0152】
水性相中に分散された油相からなるO/W型の構成又は構造は、外部水性相を有し、したがって、本発明による組成物は、O/W型の構成又は構造を有する場合、水性相が与えることができる即時のさっぱり感に起因して、心地良い使用感を与えることができる。
【0153】
(a)油の粒径は、35nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下であることが更により好ましい。粒径は、動的光散乱法によって測定することができる。粒径測定は、例えば、大塚電子株式会社によって市販されている粒径分析装置ELSZ-2000シリーズによって実施することができる。
【0154】
粒径は、体積平均粒子直径又は数平均粒子直径、好ましくは体積平均粒子直径であってもよい。
【0155】
本発明による組成物は、透明であってもよい。
【0156】
透明度は、濁度を測定することによって測定してもよい(例えば、濁度は、丸型セル(直径25mm及び高さ60mm)、及び可視光(400から800nmの間、好ましくは400から500nm)を発することができるタングステンフィラメント電球を有する2100Q(Hach Company社によって市販されている)を用いて測定することができる)。測定は、無希釈組成物において実施することができる。ブランクは、蒸留水を用いて決定してもよい。
【0157】
本発明による組成物は、150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有する。
【0158】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用又は皮膚科学的組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物であることが好ましい。
【0159】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛及び/又は頭皮等のケラチン物質を処置するための美容方法等の非治療的方法に使用することができる。
【0160】
したがって、本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法に関する。
【0161】
本発明はまた、身体及び/又は顔の皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は頭皮、及び/又は毛髪、及び/又は爪、及び/又はまつ毛、及び/又は眉毛のための、ケア製品、洗浄製品、メイクアップ製品、メイクアップ除去製品等の化粧料としての又は化粧料における本発明による組成物の使用に関しうる。
【0162】
言い換えれば、本発明による組成物は、そのまま、化粧料として使用することができる。或いは、本発明による組成物は、化粧料の一要素として使用することができる。例えば、本発明による組成物は、化粧料を形成するために、任意の他の要素に加えること又は任意の他の要素と組み合わせることができる。
【0163】
ケア製品は、ローション、クリーム、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、日焼け止め剤等であってもよい。洗浄製品は、シャンプー、フェイスウォッシュ、ハンドウォッシュ等であってもよい。メイクアップ製品は、ファンデーション、マスカラ、口紅、リップグロス、ほお紅、アイシャドウ、マニキュア液等であってもよい。メイクアップ除去製品は、メイクアップクレンジング剤等であってもよい。
【0164】
本発明の別の態様は、
(a)少なくとも1種の油と、
(d)水と
を含む、150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有する組成物を製造するための、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと
の使用に関する。
【0165】
本発明の別の態様はまた、150NTU以下、好ましくは130NTU以下、より好ましくは110NTU以下の濁度を有する組成物を調製するための方法であって、
(a)少なくとも1種の油と、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(d)水と
を混合する工程を含む方法に関する。
【0166】
混合する工程は、大量のエネルギーを使用するホモジナイザー等の特殊な機械的撹拌機を用いない、いわゆる低エネルギープロセスによって実施されることが好ましい。低エネルギープロセスは、成分(a)から(d)を単に穏やかに撹拌することによって実施することができる。
【0167】
本発明による使用及び方法における上記の組成物は、O/W型ナノ又はマイクロエマルションの形態であることが好ましい。
【0168】
本発明はまた、(a)油の油滴の粒径を35nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下にするための、
(a)少なくとも1種の油と、
(e)水と
を含むO/W型エマルションにおける、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと
の使用に関する。
【0169】
本発明はまた、(a)油と(d)水とを含むO/W型ナノ又はマイクロエマルション中の(a)油の油滴の粒径を35nm以下、好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下にするための方法であって、
(b)13.0以上、好ましくは13.5以上、より好ましくは14.0以上のHLB値を有する少なくとも1種の第1のポリグリセリル脂肪酸エステルと、
(c)10.0以下のHLB値を有する少なくとも1種の第2のポリグリセリル脂肪酸エステルと
を、エマルションに加える又はエマルションにおいて使用する工程を含む方法に関する。
【0170】
本発明による組成物についての成分(a)から(d)、及び任意選択の成分に関する上記の説明は、本発明による使用及び方法についてのそれらの成分に適用されうる。本発明による組成物の調製及び形態に関する説明もまた、上記の使用及び方法において記載された組成物の調製及び形態に適用されうる。
【実施例】
【0171】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0172】
[実施例1及び2並びに比較例1]
表1に示す実施例1及び2並びに比較例1による以下の組成物を、表1に示す成分を以下の通り混合することによって調製した。
【0173】
実施例1及び2
(1)相Aの成分を約60℃で加熱し、混合して、相Aの成分の均一な混合物を形成した。
(2)相Bの成分を約60℃で加熱し、混合して、相Bの成分の均一な混合物を形成した。
(3)相Aの成分の混合物及び相Bの成分の混合物を、約30℃以下に冷却した。
(4)相Aの成分の混合物を相Bの成分の混合物に、穏やかに混合しながら加えた。
(5)次いで、相Cの成分を上記の工程(4)において得られた混合物に室温で加えて、組成物を調製した。
【0174】
比較例1
(1)相Aの成分を約70℃で加熱し、混合して、相Aの成分の均一な混合物を形成した。
(2)相Bの成分を約70℃で加熱し、混合して、相Bの成分の均一な混合物を形成した。
(3)相Aの成分の混合物及び相Bの成分の混合物を、約30℃以下に冷却した。
(4)相Bの成分の混合物を相Aの成分の混合物に、穏やかに混合しながら加えた。
(5)次いで、相Cの成分を上記の工程(4)において得られた混合物に室温で加えて、組成物を調製した。
【0175】
実施例1及び2並びに比較例1による組成物は、O/W型エマルションの形態であった。
【0176】
表1に示す成分の量の数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0177】
【0178】
[評価]
(べたつき)
実施例1及び2並びに比較例1による組成物のべたつきを、以下の通り測定した。
【0179】
試料調製
実施例1及び2並びに比較例1による組成物の各々30mgを、3cm×3cm(幅)×4mm(厚さ)のサイズを有するポリウレタン基材(Beaulax Corp社製のP002-001)に均一に塗布した。
【0180】
組成物を20℃で30分間乾燥し、指で広げた。
【0181】
測定
各組成物のべたつきを、アルミニウム製の20mmシリンダー(P/20)を備えたテクスチャー分析装置TA.XT plusを使用することによって測定した。測定条件は以下の通りであった。
【0182】
試験モード:圧縮
試験前の速度:10mm/秒
試験速度:0.1mm/秒
試験後の速度:10mm/秒
カウント数:10
【0183】
データ分析
負のピークの10回のカウントの平均(g)をべたつきとして決定した。
【0184】
結果を表1に「g」として示す。g値が小さいほど、組成物のべたつきが少なくなる。
【0185】
(濁度)
実施例1及び2並びに比較例1による組成物の濁度を、濁度計(2100Q portable、Hach Company社)を使用することによって室温で測定した。
【0186】
結果を表1に「NTU」として示す。NTU値が小さいほど、組成物がより透明である。
【0187】
(粒径)
実施例1及び2並びに比較例1による組成物中の油滴の粒径(nm)を、粒径分析装置ELSZ-2000ZS(大塚電子株式会社)によって測定した。
【0188】
結果を表1に示す。
【0189】
実施例1及び2は、2つの異なるタイプのポリグリセリル脂肪酸エステルの組合せの使用により、べたつきを少なくすることができることを示している。
【0190】
比較例1は、単一のポリグリセリル脂肪酸エステルの使用により、実施例1及び2と比較して、べたつきが大きくなることを示している。