(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】フラックス組成物を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B23K 35/363 20060101AFI20230228BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20230228BHJP
B23K 1/19 20060101ALI20230228BHJP
F28F 9/18 20060101ALN20230228BHJP
【FI】
B23K35/363 Z
B23K35/363 H
B23K1/00 Y
B23K1/00 330L
B23K1/19 E
F28F9/18
(21)【出願番号】P 2018505656
(86)(22)【出願日】2016-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2016068507
(87)【国際公開番号】W WO2017021434
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-07-03
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591001248
【氏名又は名称】ソルヴェイ(ソシエテ アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー, シュテファニ
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-207237(JP,A)
【文献】特開2013-107104(JP,A)
【文献】特開2013-075305(JP,A)
【文献】特開2012-024788(JP,A)
【文献】特表2013-522040(JP,A)
【文献】特表2013-518729(JP,A)
【文献】特表2012-509766(JP,A)
【文献】米国特許第05232788(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102764938(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/363
B23K 1/00
B23K 1/19
F28F 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバインダーと、少なくとも1つの分散剤と、アルミニウム部品またはアルミニウム合金部品のろう付け、はんだ付けまたは溶接のための少なくとも1つのフラックスとを含む、フラックス組成物を製造する方法であって、
70℃以下の温度が前記バインダーの添加中および添加後に維持され、
少なくとも1つのバインダーが、ポリウレタンであり、
少なくとも1つの分散剤が、水、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素からなる群から選択され、
少なくとも1つのフラックスが、フルオロアルミン酸カリウム、フルオロアルミン酸セシウム、フルオロ亜鉛酸カリウムおよびフルオロケイ酸カリウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、
フラックス組成物中のフラックスの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.75重量%以上および45重量%以下であり、
フラックス組成物中のバインダーの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.1重量%以上および40重量%以下である、
方法。
【請求項2】
a)アルミニウム部品またはアルミニウム合金部品のろう付け、はんだ付けまたは溶接のための少なくとも1つのフラックスと少なくとも1つの分散剤とを混合する工程と、
b)工程a)によって得られた混合物を均質化する工程と、
c)工程b)によって得られた前記混合物の温度を、70℃以下の温度が達成および維持されるように制御する工程と、
d)少なくとも1つのバインダーを、前記工程によって得られた前記混合物に70℃以下の温度で添加する工程と
を含み、
少なくとも1つのバインダーが、ポリウレタンであり、
少なくとも1つの分散剤が、水、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素からなる群から選択され、
少なくとも1つのフラックスが、フルオロアルミン酸カリウム、フルオロアルミン酸セシウム、フルオロ亜鉛酸カリウムおよびフルオロケイ酸カリウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、
フラックス組成物を製造する方法であって、
フラックス組成物中のフラックスの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.75重量%以上および45重量%以下であり、
フラックス組成物中のバインダーの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.1重量%以上および40重量%以下である、
方法。
【請求項3】
a.少なくとも1つのバインダーと少なくとも1つの分散剤とを混合する工程であって、70℃以下の温度が前記混合中に維持される、工程と、
b.任意選択的に、工程a.によって得られた混合物を、70℃以下の温度が維持されるように前記混合物の温度を制御しながら均質化する工程と、
c.アルミニウム部品またはアルミニウム合金部品のろう付け、はんだ付けまたは溶接のための少なくとも1つのフラックスを、1つまたは複数の前記工程によって得られた前記混合物に70℃以下の温度で添加する工程と、
d.工程c)によって得られた前記混合物を、70℃以下の温度が維持されるように前記混合物の温度を制御しながら均質化する工程と
を含み、
前記少なくとも1つのバインダーが、ポリウレタンであり、
前記少なくとも1つの分散剤が、水、アルコール、ケトン、脂肪族炭化水素、エーテル、芳香族炭化水素からなる群から選択され、
前記少なくとも1つのフラックスが、フルオロアルミン酸カリウム、フルオロアルミン酸セシウム、フルオロ亜鉛酸カリウムおよびフルオロケイ酸カリウムからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、
フラックス組成物を製造する方法であって、
フラックス組成物中のフラックスの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.75重量%以上および45重量%以下であり、
フラックス組成物中のバインダーの含有量が、フラックス組成物の総重量の0.1重量%以上および40重量%以下である、
方法。
【請求項4】
添加される前記少なくとも1つのバインダーがバインダー組成物に含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの分散剤が、多価アルコールおよび/または水から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
混合が実施される前記工程の少なくとも1つにおいて、剪断力を及ぼす攪拌機または湿式ミリング工程が混合のために用いられる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
コートされた部品を製造する方法であって、
a)請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によりフラックス組成物を製造する工程、又は請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により製造されたフラックス組成物を提供する工程と、
b)前記部品を、フラックス組成物で少なくとも部分的にコートする工程と、
c)任意選択的に、前記少なくとも部分的にコートされた部品を乾燥させる工程と
を含む、方法。
【請求項8】
コートされたアルミニウム部品またはコートされたアルミニウム合金部品を製造するための方法である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
コートされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品をろう付けするための方法であって、
a)請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によりフラックス組成物を製造する工程、又は請求項1から6のいずれか一項に記載の方法により製造されたフラックス組成物を提供する工程と、
b)アルミニウム部品又はアルミニウム合金部品を、フラックス組成物で少なくとも部分的にコートし、任意選択的に、前記少なくとも部分的にコートされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品を乾燥させる工程と、
c)少なくとも部分的にコートされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品を組み立てる工程と、
d)前記組み立てられた少なくとも部分的にコートされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品を、前記少なくとも部分的にコートされた部品をろう付けするのに十分に高い温度まで加熱する工程と、
e)前記少なくとも部分的にコートされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品をろう付けする工程と、
f)任意選択的に、前記ろう付けされたアルミニウム部品又はアルミニウム合金部品を冷却する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラックス組成物を製造する方法、本発明による方法によって得ることができるフラックス組成物、本方法によって製造されたフラックス組成物で少なくとも部分的にコートされたアルミニウムまたはアルミニウム合金部品、ならびにろう付け方法および前記ろう付け方法によって得ることができるろう付け金属物体に関する。フラックスは、部品上の酸化物層を除去して部品の効果的な接合を可能にするために、アルミニウム部品および/またはアルミニウム合金部品のろう付け、はんだ付けおよび溶接に使用される無機化合物である。多くの場合、フラックスは、アルミニウムまたはアルミニウム合金表面に塗布される前に、任意選択的に添加剤の存在下で液体キャリア(分散剤とも表される)中に分散される。乾燥後、部品は、組み立てられ、ろう付けされ、はんだ付けされまたは溶接され、塗布されたフラックスは、このプロセスでアルミニウムまたはアルミニウム合金の酸化物層を溶融させ、かつそれを除去する。
【0002】
フラックス組成物の成分は、ろう付け、はんだ付けまたは溶接条件に適合する必要がある。また、フラックス組成物を調合するときに取り組まれるべき複数の課題がある。分散系は十分に安定である必要があり、とりわけ、分散剤中に分散されたフラックスは、余りに速く沈降し、したがって再懸濁させることが困難であるケーキ層をもたらすべきではない。ケーキがいかなる程度であっても生成する場合、これは、少なくとも最小限の努力で再懸濁され得るべきである。組成物は、付着するのに十分な粘度、および(オーバーロードおよび経済的不利益を回避するのに)十分であるが多すぎないフラックスが塗布されるような粘度と流動性とのバランスにより、吹き付け、浸漬、ローリング、カニューレ塗布、印刷または塗装技術で金属部品に塗布できるために十分に流動性である必要がある。特に、分散系安定性の態様は重要事項である。多くの場合、フラックス組成物は、金属部品、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金部品へのフラックスの付着性を向上させるためにバインダーを含有する。
【0003】
欧州特許第1287941B1号明細書は、バインダーを含むフラックス組成物を調製する方法であって、溶媒の総量の半分と、バインダーと、チキソトロピー剤とが混合物として提供され、フラックスが攪拌しながら添加され、その後、溶媒の第2半分が添加される、方法を記載している。
【0004】
意外にも、バインダーを含むフラックス組成物の製造において、混合物の温度を、製造プロセスにおけるバインダーの添加中または添加後に70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下の温度に制御することが有利であることが示された。30℃以下の温度が最も有利であることが証明された。本組成物は、フラックス沈降の傾向の減少、バインダーまたは他の成分の(例えば、部分重合の結果であり得る)ゲル化の傾向の減少、および均質性に関する組成物の安定性の向上とともに長時間の安定性を示す。
【0005】
したがって、本発明は、少なくとも1つのバインダーと、少なくとも1つの分散剤と、少なくとも1つのフラックスとを含む、フラックス組成物を製造する方法であって、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が製造方法におけるバインダーの添加中および添加後に維持される、方法に関する。30℃以下の温度が最も有利であると証明された。
【0006】
本発明では、単数形での呼称は複数形を含むことを意図し、「バインダー」は、「2つ以上のバインダー」または「複数のバインダー」も意味することを意図する。
【0007】
本発明との関連で、用語「含む」は、「からなる」という意味を含むことを意図する。
【0008】
本発明によるフラックス組成物の製造のために使用されるフラックスは、アルミニウム部品またはアルミニウム合金部品のろう付け、はんだ付けまたは溶接、好ましくはろう付けに好適なフラックスである。本発明の意味でのフラックスは、酸化物層などの金属表面上の層を除去することができる、それらを冶金プロセスにアクセスできるようにすることができる化学品である。特に、本発明の意味でのフラックスは、酸化物層をアルミニウムもしくはアルミニウム合金表面または他の金属表面から、これらが溶接、はんだ付けまたはろう付けプロセスにかけられる前に除去するのに好適である。好ましくは、フラックスは、フルオロアルミン酸カリウム、フルオロアルミン酸セシウム、アルカリフルオロ亜鉛酸塩、好ましくはフルオロ亜鉛酸カリウム、およびアルカリフルオロケイ酸塩、好ましくはK2SiF6からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。一般に、フルオロアルミン酸カリウムを含むフラックス中のK3AlF6の含有量は低く、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらにより好ましくは1重量%以下である。最も好ましくは、K3AlF6は、フルオロアルミン酸カリウムを含むフラックス中に不在であり、それは、フルオロアルミン酸カリウムを含むフラックス中のK3AlF6の0重量%に等しい。フルオロアルミン酸カリウムは、部分的にまたは完全にそれらの水和物の形態で存在することができ、例えば、K2AlF5は、部分的にまたは完全にK2AlF5・H2Oの形態で存在することができる。K2AlF5が再水和され得る形態で存在すること、およびそれが不可逆的に脱水される形態で存在することは知られている。形態のそれぞれまたは任意の所望の比率でのそれらの混合物がフラックス中に存在し得る。それらの製造および使用に関する詳細は、米国特許第5,980,650号明細書に記載されている。例えば、沈澱K2AlF5粗生成物は、乾燥器において570℃、滞留時間0.5秒で乾燥される。結果として生じた生成物は、不可逆的に脱水したK2AlF5を含有する。
【0009】
一実施形態では、フラックスは、K2AlF5を含むかまたはそれからなる。そのようなフラックスは、K2AlF5および/またはその水和物、K2AlF5・H2Oを含有してもよい。K2AlF5の総含有量は、好ましくは95重量%以上である。存在する場合、K3AlF6の好ましい含有量は、上で記載されている通りであり、好ましくは2重量%以下である。
【0010】
さらなる実施形態では、フラックスは、KAlF4およびK2AlF5ならびに、存在する場合、それらの水和物を含むかまたはそれらからなる。多くの場合、そのようなフラックスは、KAlF4とK2AlF5との混合物またはそれらの水和物から本質的になり、「本質的に」は、それらの合計がフラックスの95重量%以上、より好ましくは98重量%以上を構成することを好ましくは意味する。とりわけ、そのようなフラックスの最大で2重量%、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは、0重量%を含めて1重量%以下がK3AlF6によって構成される。KAlF4(存在する場合、任意の水和物を含む)とK2AlF5(存在する場合、任意の水和物を含む)との間の重量比は非常に柔軟である。それは1:99~99:1であり得る。多くの場合、それは1:10~10:1の範囲にある。10~40重量%のK2AlF5、K2AlF5・H2Oまたはそれらの任意の混合物を含み、100重量%への残りが本質的にKAlF4であるフラックスが非常に好適である。
【0011】
なおも別の実施形態では、フラックスは、CsAlF4、Cs2AlF5、Cs3AlF6、それらの水和物およびそれらの2つ、3つまたはそれを超える任意の混合物の形態のフルオロアルミン酸セシウムを含むかまたはそれからなる。CsAlF4およびCs2AlF5またはそれらの水和物、ならびにそれらの混合物が好ましい。CsAlF4が最も好ましい。多くの場合、フルオロアルミン酸セシウム、好ましくはCsAlF4を含むフラックスは、K2AlF5および任意選択的にKAlF4をさらに含む。米国特許第4670067号明細書および米国特許第4689062号明細書に記載されているような、フルオロアルミン酸カリウムと、例えばフルオロアルミン酸セシウムの形態のセシウムカチオンとを含有するフラックスも非常に好適である。それらのセシウム含有ベースフラックスは、アルミニウム-マグネシウム合金をはんだ付けするか、溶接するか、または特にろう付けするのにとりわけ好適である。KAlF4とK2AlF5との重量比は、好ましくは上に記載された通りである。CsFでの含有量として計算されるCs含有量は、2~74モル%である。任意の水和物を含めた、KAlF4、K2AlF5および1つまたは複数のフルオロアルミン酸セシウム化合物の合計は、好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上である。K3AlF6の含有量は、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは0重量%を含めて1重量%以下である。
【0012】
さらなる実施形態では、フラックスは、アルカリフルオロ亜鉛酸塩、好ましくはKZnF3を含むかまたはそれからなる。そのようなフラックスは、例えば、国際公開第99/48641号パンフレット、国際公開第2009153312号パンフレットおよび国際公開第01/74715号パンフレットに開示されている。
【0013】
別の実施形態では、フラックスは、アルカリヘキサフルオロケイ酸塩、特にK2SiF6もしくはCs2SiF6またはそれらの混合物を含むかまたはそれらからなる。そのようなフラックスは、例えば、国際公開第00/73014号パンフレットに開示されている。
【0014】
Liイオンを添加剤として含むフラックス、特に、国際公開第2011/098120号パンフレットおよび国際公開第2010/060869号パンフレットに開示されているようなK2AlF5、K2AlF5の前駆体、または前述の水和物をベースとするフラックスも本発明による好ましいフラックスである。K2AlF5の前駆体には、KZnF3、K2SiF6、Cs2AlF6、それらの水和物および前述の混合物が含まれる。そのようなフラックスにおける添加剤としての好適なLiイオン源は、例えば、LiF、Li3AlF6、LiOH、Liシュウ酸塩またはLi2CO3である。Liイオンを含有するフラックスは、多くの場合、それらのろう付け残渣の減少した腐食性を示す。
【0015】
別の態様では、フラックス組成物に含まれるフラックスは、フルオロアルミン酸リチウム、特にLi3AlF6である。一態様では、フラックスは、フルオロアルミン酸リチウムから本質的になる。
【0016】
フルオロアルミン酸カリウムがテトラフルオロアルミン酸モノカリウムとして本質的に存在するという条件で、フルオロアルミン酸カリウムと、金属フルオロメタレートからなる群から選択される少なくとも1つのマグネシウム相溶化化合物とを含有するフラックスも本発明による方法に十分好適である。そのようなフラックス混合物は、例えば、PCT/欧州特許第2014/078159号明細書に開示されている。フルオロアルミン酸セシウム、フルオロ亜鉛酸カリウムおよびフルオロ亜鉛酸セシウムは、これらのフラックスにおける好ましい金属フルオロメタレートである。
【0017】
国際公開第2011110532号パンフレットに開示されているような、特有の粒径を有するフラックスも本発明による方法に好適である。多くの場合、そのようなフラックスの添加は、本発明による方法によって製造されるようなフラックス組成物において、粘度およびフラックス沈降などのある種のパラメータを改善することができる。一態様では、組成物に添加される完全フラックスは、開示される粒径を有する。別の態様では、指定の粒径のフラックスが全体フラックスの一部として添加される。
【0018】
基本的なフラックスが80モル%~100モル%のKAlF4を含み、好ましくはフラックス中のK3AlF6の含有量が0モル%を含めて2モル%以下であり、フラックス中の遊離KFの含有量が0重量%を含めて0.2重量%よりも低く、フラックスが、フラックスの総重量に対して0.1~20重量%の少なくとも1つの添加剤塩をさらに含み、少なくとも1つの添加剤塩が、PCT/欧州特許第2015/055003号明細書に開示されているような、F-、CO3
2-、O2-、ナイトレート、ホスフェート、ボレート、メタボレートおよびオキサレートからなる群から選択される少なくとも1つのアニオンと、アルカリ土類金属カチオンからなる群から選択される少なくとも1つのカチオンとを含む、基本的なフラックスを含むフラックスも本発明による方法に十分好適である。
【0019】
CaF2、MgF2およびLi3AlF6を含み、LiFが含まれる場合にLiFとLi3AlF6との間の重量比が1:1~1:99の範囲にあるという条件で、SrF2およびBaF2ならびに任意選択的にLiFからなる群から選択される少なくとも1つのフッ化物をさらに含むフラックスは、PCT/欧州特許第2015/055425号明細書に開示されている通りであり、本発明による方法に十分好適である別のクラスのフラックスである。
【0020】
別の好ましい実施形態では、ろう付けフラックスの総重量に対して80重量%以上のKAlF4と、1重量%以上のCsAlF4と、PCT/欧州特許第2015/055003号明細書に開示されているような、2重量%以上の、Li3AlF6、CaF2、CaCO3、MgF2、MgCO3、SrF2、SrCO3、BaF2、BaCO3からなる群から選択される第2成分および前記剤第2成分の2つ以上の混合物とを含むまたはそれらからなるろう付けフラックスは、本発明による方法に十分好適である別のクラスのフラックスである。
【0021】
最も好ましい実施形態では、フラックスは、好ましくは約4:1の重量比でのKAlF4とK2AlF5とからなり、それは、Nocolok(登録商標)、KZnF3として知られ、Nocolok(登録商標)Zn Flux、Nocolok(登録商標)CB Fluxなどのヘキサフルオロケイ酸カリウム、またはKAlF4およびK2AlF5およびLi添加剤として知られ、Nocolok(登録商標)Li Fluxとしても知られる。
【0022】
一般に、本発明による方法によって得ることができるフラックス組成物は、フラックス組成物が、組み立ておよび溶接されるか、はんだ付けされるか、または好ましくはろう付けされるべきアルミニウムまたはアルミニウム合金部品に塗布される、様々な塗布方法に好適である。フラックス組成物は、塗装されても、例えばパッド印刷もしくはタンポン印刷(タンポグラフィ)によって印刷されても、吹き付けられてもよく、または接合される、特にろう付けされるべき部品の浸漬によって塗布されてもよい。
【0023】
本発明によれば、バインダーは、フラックス組成物に含まれる。バインダーは、例えば、接合される、特にろう付けされるべき部品上へのそれらの塗布後のフラックス混合物の接着を改善する。好適なバインダーは、例えば有機ポリマーからなる群から選択することができる。そのようなポリマーは物理的に乾燥する(すなわち、それらは、液体が除去された後に固体コーティングを形成する)か、もしくにそれらは化学的に乾燥する(すなわち、それらは、例えば化学物質の影響下もしくは分子の架橋を引き起こす酸素もしくは光の影響下で固体コーティングを形成し得る)か、またはその両方である。好適なポリマーには、ポリオレフィン、例えばブチルゴム、ポリウレタン、樹脂、フタレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、アセチル化デンプンもしくはセルロースなどの多糖アセテート、またはポリビニルアルコールが含まれる。ポリウレタンバインダーが特に好ましい。ポリウレタンバインダーは、多くの場合、水またはアルコールなどの極性分散剤と組み合わせて選択される。分散剤は、以下にさらに説明される。特に好ましいバインダーは、脂肪族ポリエステルポリウレタンバインダーである。多くの場合、バインダーは、バインダーの乾燥フィルムまたは乾燥フラックス組成物が450℃の温度に加熱される場合に90%以上、好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98重量%以上の量で除去/熱分解/燃焼される。
【0024】
多くの場合、バインダーは、少なくとも1つのバインダーと少なくとも1つの溶媒とを含むバインダー組成物の形態で本プロセスに提供される。多くの場合、少なくとも1つのバインダー組成物に含まれる少なくとも1つの溶媒は、液体キャリアとしてフラックス組成物製造プロセスに添加される少なくとも1つの分散剤と同一である。
【0025】
用語「分散剤」は、フラックスがその中に分散される液体キャリアを意味する。バインダーおよび/または添加剤はまた、分散剤中に分散されるかまたは該当する場合には溶解される。好適な分散剤は、例えば、水、水を含まない有機液体または水性有機液体である。好ましい液体は、350℃以下の周囲圧力(1バール絶対)で沸点を有するものである。好ましい分散剤は、水、特に脱イオン水または脱塩水、一塩基性、二塩基性または三塩基性脂肪族アルコール、とりわけ1~4個の炭素原子のもの、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、またはエチレングリコール、またはグリコールアルキルエーテル(ここで、アルキルは、好ましくは、線状脂肪族C1~C4アルキルまたはC3~C4分岐アルキルを意味する)である。非限定的な例は、グリコールモノアルキルエーテル、例えば2-メトキシエタノールもしくはジエチレングリコール、またはグリコールジアルキルエーテル、例えば、ジメチルグリコール(ジメトキシエタン)、N-メチル-2-ピロリドン、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールおよび1-メトキシ-2-プロピルアセテートである。分散剤の2つ以上を含む混合物も非常に好適である。イソプロパノールまたはイソプロパノールを含有する混合物がとりわけ好適である。最も好ましい分散剤は、水、とりわけ脱イオン水である。用語「分散剤」はまた、2つ以上の分散剤の混合物を意味する。本発明によるフラックス組成物を製造する使用のためのフラックスは、一般に、分散剤に本質的に不溶性であるが、これは、フラックス組成物の一部が液体に溶解し得ることを排除せず、これは、水または水性有機液体がフラックス組成物に含有される場合にとりわけ当てはまり得る。
【0026】
用語「溶媒」は、バインダーおよび任意選択的に他の添加剤がその中に溶解する液体を意味する。原則として、溶媒は、多くの場合、分散剤と同じリストから選択される。多くの場合、フラックス組成物に含まれる1つまたは複数の溶媒と、1つまたは複数の分散剤とは同一である。
【0027】
バインダーは、多くの場合、1つまたは複数のバインダーと、1つもしくは複数の溶媒または1つもしくは複数の分散剤とを含むバインダー組成物の形態で本発明による方法において添加される。
【0028】
用語「バインダー組成物」は、上に記載されたような、バインダーまたは2つ以上のバインダーの混合物と、溶媒(ここで、「溶媒」はまた、2つ以上の溶媒の混合物を意味する)または分散剤(ここで、「分散剤」はまた、2つ以上の分散剤の混合物を意味する)とを含む組成物を意味する。この専門用語は、バインダーと溶媒または分散剤との相互作用に依存し、バインダーが液体に溶解している場合、バインダー組成物は溶媒を含む。バインダーが液体中に分散されている場合、バインダー組成物は分散剤を含む。一般に、バインダー組成物に含まれる溶媒または分散剤は、「分散剤」の定義において上に記載されたものと同じものである。特に好ましい実施形態では、バインダー組成物中の溶媒または分散剤は、フラックスがフラックス組成物製造プロセスにおいてその中に分散される分散剤と同じものである。好ましい態様では、バインダー組成物に含まれる溶媒および/または分散剤は、水、好ましくは脱イオン水である。最も好ましい態様では、バインダー組成物は、溶媒および/または分散剤としての水と、バインダーとしてのポリウレタンバインダー、好ましくはポリエステルポリウレタンとを含む。多くの場合、バインダーの固形分は、10重量%以上、より好ましくは12重量%以上、さらにより好ましくは14重量%以上である。バインダーの固形分は、さらに、多くの場合、45重量%以下、より好ましくは42重量%以下、さらにより好ましくは40重量%以下である。
【0029】
本発明による方法において、組成物の特性を改善する他の添加剤、例えば、懸濁液安定剤、界面活性剤、とりわけ非イオン界面活性剤、例えばAntarox BL 225、線状C8~C10エトキシル化およびプロポキシル化アルコールの混合物、(2-メトキシメチルエトキシ)プロパノールなどの他のメトキシル化、エトキシル化および/またはプロポキシル化アルコール、ポリシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、増粘剤、例えばメチルバットエーテルまたはポリウレタン、特にポリエステルポリウレタン、チキソトロピー剤、例えばゼラチンまたはペクチン、または欧州特許出願公開第A1808264号明細書に記載されているようなワックス、またはポリオキシエチレンステアリルエーテルなどの消泡剤を本プロセス中にフラックス組成物に添加することができる。本発明の一態様では、1つまたは複数の添加剤が、本プロセスにおいて添加されるバインダーまたはバインダー組成物に含まれる。別の実施形態では、1つまたは複数の添加剤が、本プロセス中の1つまたは複数の時点でフラックス組成物に個別にまたは一緒に添加される。添加剤としての(2-メトキシメチルエトキシ)プロパノールおよび/またはポリオキシエチレンステアリルエーテルが最も好ましい添加剤である。存在する場合、フラックス組成物中の組成物の特性を改善する添加剤の含有量は、通常、最終フラックス組成物の0.1重量%以上であるが、他の態様では、フラックス組成物およびそれらの特性に依存して0.2重量%以上または0.3重量%以上さえであってもよい。存在する場合、フラックス組成物中の組成物の特性を改善する添加剤の含有量は、通常、最終フラックス組成物の5重量%以下であるが、他の態様では、フラックス組成物およびそれらの特性に依存して2重量%以下または1重量%以下さえであってもよい。
【0030】
本発明における用語「均質化」は、液体および固体成分が、それらが組成物中に均一に分布するように混合されている均質なフラックス組成物の達成を意味することを意図する。
【0031】
最終フラックス組成物中のフラックス(ここで、「フラックス」はまた、2つ以上のフラックスの混合物を意味する)の含有量は、一般に、0.75重量%以上である。好ましくは、それは1重量%以上である。より好ましくは、組成物中のフラックス含有量は、総フラックス組成物の5重量%以上、非常に好ましくは10重量%以上である。一般に、組成物中の変性フラックスの含有量は70重量%以下である。好ましくは、それは50重量%以下である。フラックス組成物の総重量の20~45重量%の最終フラックス組成物中のフラックス含有量がとりわけ好ましい。
【0032】
最終フラックス組成物中のバインダー(ここで、「バインダー」はまた、2つ以上のバインダーの混合物を意味する)の含有量は、一般に、0.1重量%以上である。好ましくは、それは0.5重量%以上である。より好ましくは、組成物中のバインダー含有量は、総フラックス組成物の0.8重量%以上、非常に好ましくは1重量%以上である。一般に、フラックス組成物中のバインダーの含有量は40重量%以下である。好ましくは、それは30重量%以下であり、最も好ましくは20重量%よりも低い。好ましい一実施形態では、組成物中のバインダー含有量は1~15重量%である。
【0033】
存在する場合、組成物中の増粘剤(ここで、「増粘剤」はまた、2つ以上の増粘剤の混合物を意味する)の含有量は、一般に、0.1重量%以上である。好ましくは、それは0.2重量%以上である。最も好ましくは、組成物中の増粘剤含有量は0.3重量%以上である。一般に、組成物中の増粘剤の含有量は10重量%以下である。好ましくは、それは7重量%以下、最も好ましくは5重量%以下である。好ましい一実施形態では、最終フラックス組成物中の増粘剤含有量は0.1~4重量%である。1つまたは複数の増粘剤は、通常、例えば、ポリウレタン、アクリレート、多糖類、例えばセルロース、セルロースエーテルなどのセルロース誘導体、デンプンまたはデンプン誘導体、グアーガム、メチルブチルエーテルおよびエトキシル化アルコールからなる群から選択される。
【0034】
フラックス組成物は、任意選択的に、さらなるフラックス添加物、例えば、チキソトロピー剤、充填材金属または充填材合金を含有することができる。
【0035】
用語「フラックス組成物」はまた、用語「ペイントフラックス組成物」、そのようなフラックス組成物との関係で多くの場合に用いられる用語を包含する。本発明によるフラックス組成物は、例えば、「塗装」など、いかなる塗布方法にも限定されないが、上に説明されているように他の方法により、例えば印刷により、特にパッド印刷もしくはタンポン印刷(タンポグラフィ)によりまた吹き付けられても塗布されてもよい。フラックス組成物の粘度および他の特性は、塗布方法に応じて好適にも調整される。
【0036】
一実施形態では、フラックス組成物は、微細粉末の形態で充填材金属もしくは充填材金属合金またはその一方もしくは両方の複数を含む。アルミニウム部品がろう付けされる場合、充填材金属は、多くの場合、ケイ素であるか、または充填材合金はAl/Si合金である。1つまたは複数の充填材金属または充填材合金の含有量は、存在する場合、フラックス組成物の総重量を基準として、多くの場合、0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらにより好ましくは5重量%以上である。1つまたは複数の充填材金属または充填材合金の含有量は、存在する場合、フラックス組成物の総重量を基準として、多くの場合、50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下である。
【0037】
別の実施形態では、ペイントフラックス組成物は、1つまたは複数のチキソトロピー剤を含む。チキソトロピー剤または複数のそれらは、多くの場合、ゼラチン、ペクチン、アクリレートおよびポリウレタンからなる群から選択されるが、所望の方法でフラックス組成物のチキソトロピーに影響を及ぼし、かつ他の成分、フラックス条件およびろう付け条件に適合する任意の他の試剤であり得る。存在する場合、1つまたは複数のチキソトロピー剤の含有量は、多くの場合、フラックス組成物の総重量を基準として0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、さらにより好ましくは5重量%以上である。存在する場合、1つまたは複数のチキソトロピー剤の含有量は、多くの場合、フラックス組成物の総重量を基準として50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下である。
【0038】
少なくとも1つのバインダーと、少なくとも1つの分散剤と、少なくとも1つのフラックスとを含む、フラックス組成物を製造する方法において、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度がバインダーの添加中および添加後に維持される。30℃以下の温度が最も特に好ましい。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度がバインダーの添加中および添加後に維持される。一態様では、10℃~50℃の温度がバインダーの添加中および添加後に維持されることが好ましい。別のさらにより好ましい態様では、10℃~30℃の温度がバインダーの添加中および添加後に維持される。本発明の方法に従って製造される組成物は、フラックス沈降の傾向の減少、バインダーまたは他の成分の(部分重合の結果であり得る)ゲル化の傾向の減少、および均質性に関する組成物の安定性の向上とともに長時間の安定性を示す。長時間の安定性は、組成物を貯蔵および輸送する可能性を考慮してさらに有利である。ろう付けされるべき部品は、より均一にフラックス組成物で、かつ効果的に制御され、より低い費用および安定した最適化ろう付け結果をもたらすことができる用量でコートすることができる。塗布設備の閉塞のリスクは低減され、それは、塗布ラインダウン時間の減少、メンテナンス費用および設備の節約をもたらす。即時使用のために製造される組成物でさえも、その後のまたは上流設備の予期されないダウン時間がフラックス組成物ラインの閉塞ラインまたは閉塞設備をもたらす傾向が減少し、および組成物の品質がそのような状況下で本質的に安定したままであり得るため、本方法の恩恵を受ける。固形分がフラックス組成物中で沈降するケースでは、形成されたケーキは、通常、最低限の努力で再懸濁され得る。
【0039】
本発明はまた、本発明による方法によって得ることができるフラックス組成物、ならびにそれぞれの実施形態および態様に関する。
【0040】
本発明の一実施形態E1では、フラックス組成物を製造する方法は、
a)少なくとも1つのフラックスと少なくとも1つの分散剤とを混合する工程と、
b)工程a)によって得られた混合物を均質化する工程と、
c)工程b)によって得られた混合物の温度を、50℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が達成または維持されるように制御する工程と、
d)少なくとも1つのバインダーを、前述の工程によって得られた混合物に70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度で添加する工程と
を含む。
【0041】
この実施形態によれば、工程a)において、少なくとも1つのフラックスが少なくとも1つの分散剤と工程a)において混合される。多くの場合、少なくとも1つのフラックスが少なくとも1つの分散剤に添加される。工程a)において使用される「1つまたは複数の分散剤の混合物」も含む分散剤の量は、分散剤の粘度、最終フラックス組成物中のフラックスの総量など、本プロセスの他の因子に従って選択される。一般に、工程a)において使用される分散剤の量は、最終フラックス組成物に含有される分散剤の総量の20重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらにより好ましくは最終フラックス組成物に含有される分散剤の40重量%以上である。多くの場合、工程a)において使用される分散剤の量は、最終フラックス組成物に含有される分散剤の総量の95重量%以下、好ましくは90重量%以下、さらにより好ましくは最終フラックス組成物に含有される分散剤の85重量%以下である。一般に、工程a)は、例えば攪拌機または他の均質化装置を使用して、分散剤とフラックスとの激しい混合下で行われる。一態様では、混合は、工程b)におけるものと同じ均質化または攪拌装置を使用して行われる。フラックスの粒径などの他の因子にも依存する別の態様では、工程a)における混合は、工程b)におけるものと異なる攪拌装置を使用して行われる。この実施形態によれば、工程b)において、工程a)で得られた混合物が均質化される。均質化は、化学プロセス工学において固体-液体混合物の混合および均質化に一般に使用される様々なミキサーから選択することができるミキサーを用いて行われる。例としては、ピッチブレードタービン、フラットブレードタービン、パドル攪拌機、プロペラ、軸流羽根車などの羽根車、クロスビーム、格子、アンカーまたはブレード攪拌機、回転子-固定子攪拌機、中空攪拌機、例えば中空チューブ攪拌機、およびディスパーサーディスクが挙げられる。一実施形態では、剪断力を及ぼす攪拌機が好ましい。Ultra-Turrax(登録商標)(製造業者IKA製の)攪拌機、または製造業者Jahn and KunkelのDispeax-リアクターなど、回転子-固定子原理に従って動作する攪拌機がとりわけ好ましい。別の好ましい態様では、混合物は、湿式ミリングによって工程b)で均質化される。多くの場合、この態様では、この工程は、粒径の低減が排除されないが、均質化にむしろ焦点を合わせているため、懸濁液中の固形分の粒径は、剪断力を及ぼす攪拌機を使用することによって低減しないかまたは実質的に低減しない。この技術は、多くの場合、粒子表面モルフォロジを変えることができる。この実施形態による工程c)において、工程b)によって得られる混合物の温度は、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が達成または維持されるように制御される。30℃以下の温度が最も特に好ましい。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程c)で達成および維持される。一態様では、10℃~50℃の温度が工程c)で達成および維持されることが好ましい。別のより好ましい態様では、10℃~30℃の温度が工程c)で達成および維持される。温度は、能動的な冷却もしくは加熱によってか、または混合物を所与の範囲内の温度に受動的に適合させることによって達成される。一実施形態では、工程b)において得られた混合物は、工程c)中に攪拌され、別の実施形態では、工程b)によって得られた混合物は、工程b)中にそのままにされる。工程c)において、混合物が攪拌される場合、工程b)におけるものと同じまたは異なる攪拌技術を適用することができる。工程c)は、バインダーが指定温度よりも高い温度で混合物に添加される場合に混合物があまり安定しない品質を示すため、本発明による方法において決定的に重要であることが判明した。温度制御は、工程b)における均質化が運動エネルギーを混合物へ導入し、混合物のより高い温度をもたらす場合にとりわけ決定的に重要である。この実施形態による方法の工程d)において、少なくとも1つのバインダーが、前述の工程によって得られた混合物に添加され、ここで、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が添加中に維持される。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程d)で維持される。一態様では、10℃~50℃の温度が工程d)で維持されることが好ましい。温度は、混合物を能動的に冷却または加熱することによって制御される。一般に、混合物は、工程d)中に攪拌される。工程d)において、工程b)および/またはc)に対するものと同じ攪拌技術を用いることができる。特定の態様では、工程d)において、剪断力を及ぼさない攪拌機が使用される。バインダーは、バインダーまたはバインダー組成物のいずれかとして工程d)で添加される。一態様では、少なくとも1つのバインダーを含むバインダー組成物が工程d)で混合物に添加される場合、バインダー組成物は、溶媒または工程a)で使用される分散剤と同じものである分散剤を含む。別の態様では、少なくとも1つのバインダーを含むバインダー組成物が工程d)で混合物に添加される場合、バインダー組成物は、溶媒または工程a)で使用される分散剤と異なる分散剤を含む。使用される場合、バインダー組成物中のバインダー含有量は、最終フラックス組成物中の全体バインダー含有量が、フラックス組成物中の分散剤および/または溶媒の最終含有量も考慮に入れながら達成されるように選択される。フラックス組成物中の分散剤および/または溶媒の最終含有量は、フラックスと、バインダーと、任意選択の添加剤(増粘剤、チキソトロピー剤、充填材などのろう付け添加剤、界面活性剤などの)との合計によって計算され、ここで、分散剤は、任意の溶媒と一緒に、100重量%への差を構成する。本発明の一態様では、特に、少なくとも1つのバインダーが、少なくとも1つの分散剤および/または少なくとも1つの溶媒に溶解さまたは分散されることなく工程d)で混合物に添加される場合、分散剤および/または溶媒は、バインダー、フラックス、添加物ならびに少なくとも1つの分散剤および/または少なくとも1つの溶媒の所望の最終含有量を達成するために別々に添加されてもよい。本実施形態の方法の一態様によれば、界面活性剤および/または懸濁液安定剤などの任意選択的に存在する有機添加剤は、工程a)で使用される分散剤に含まれる。本実施形態の方法の一態様によれば、界面活性剤および/または懸濁液安定剤などの任意選択的に存在する有機添加剤は、存在する場合、工程d)で添加されるバインダーまたはバインダー組成物に含まれる。本実施形態の方法の別の態様によれば、界面活性剤および/または懸濁液安定剤などの任意選択的に存在する有機添加剤は、バインダーまたはバインダー組成物の添加中、添加前または添加後に工程d)で添加される。任意選択的に、本実施形態による方法は、フラックス組成物のすべての成分の添加後、混合物が、温度範囲を観察しながら、好ましくは、剪断力を及ぼす攪拌子攪拌機(ここで、回転子-固定子原理に従って動作する攪拌機がとりわけ好ましい)によって均質化される、工程e)を含む。別の態様では、任意選択の工程e)において、剪断力を及ぼさない攪拌機が使用される。任意選択の工程e)中、フラックス組成物の温度は、工程c)およびd)について上に記載された範囲に従って維持される。本実施形態の方法のなおも別の態様によれば、界面活性剤および/または懸濁液安定剤などの任意選択的に存在する有機添加剤は、分散剤へのフラックスの添加中、添加前または添加後に工程a)で添加される。本発明の一態様では、1つまたは複数の固体添加剤は、本プロセス中に混合物に添加される。そのような固体添加剤は、例えば、フラックス組成物のろう付け特性を調節する別のフラックス、例えばセシウムアルミニウムフルオリド錯体またはリチウム化合物であり得る。固体添加剤は、固体として、または上に記載されたものと同じものである、好適な分散剤中の分散系として本プロセスに添加することができる。好ましくは、固体添加剤は、分散系の形態で本プロセスにおいて添加され、さらにより好ましくは、ここで、分散系は、回転子-固定子原理の攪拌機を使用して製造されたものである。固体添加剤またはその分散系は、温度が工程c)およびd)について上に定義されたように超えられていない限り、工程a)~d)のそれぞれまたは任意選択的にe)の前、その間またはその後に添加することができる。一態様では、本方法は、すべての成分の添加および仕上げ混合後、組成物が例えば300メッシュフィルターを通して濾過される別の工程を含むことができる。一態様では、1つまたは複数の混合または均質化工程中、発泡を回避するために混合物に混ぜ込まれる空気ができるだけ少ないように注意すべきである。本実施形態による方法は、回分式、半連続的または連続的に行うことができる。フラックス組成物の安定性改善のために、本方法は、回分の製造に好適である。半連続的または連続的な方法も、計画外の製造が多くの場合に閉塞ラインまたは生成物の不安定な品質をもたらす傾向が少ないであろうため、フラックス組成物の品質および安定性改善の恩恵を受ける。
【0042】
本発明の実施形態E2は、
a.少なくとも1つのバインダーと少なくとも1つの分散剤とを混合する工程であって、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が混合中に維持される、工程と、
b.任意選択的に、工程a.によって得られた混合物を、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が維持されるように混合物の温度を制御しながら均質化する工程と、
c.少なくとも1つのフラックスを、前述の工程によって得られた混合物に70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度で添加する工程と、
d.工程c)によって得られた混合物を、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が維持されるように混合物の温度を制御しながら均質化する工程と
を含む、フラックス組成物を製造する方法に関する。
【0043】
この実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つのバインダーと少なくとも1つの分散剤とが混合される工程a.であって、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が混合中に維持される、工程a.を含む。バインダーは、バインダーまたはバインダー組成物のいずれかとして工程a.で添加される。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程d)で維持される。一態様では、10℃~50℃の温度が工程a.で維持されることが好ましい。温度は、能動的な冷却もしくは加熱によってか、または混合物を所与の範囲内の温度に受動的に適合させることによって達成される。多くの場合、バインダーまたはバインダー組成物が分散剤に添加される。分散剤およびバインダーの量は、実施形態E1の分散剤およびバインダーの量と一致する。少なくとも1つのバインダーはまた、少なくとも1つのバインダーと分散剤とを含むバインダー組成物の形態で使用することができる。混合は、実施形態E1において特定された攪拌機と一致する攪拌機を使用して行われる。任意選択の工程b.において、工程a.で得られた混合物は、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が維持されるように混合物の温度を制御しながら均質化される。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程d)で維持される。一態様では、10℃~50℃の温度が工程b.で維持されることが好ましい。温度は、能動的な冷却もしくは加熱によってか、または混合物を所与の範囲内の温度に受動的に適合させることによって達成される。この工程において、工程a.で使用される攪拌機を用いることができる。別の態様では、工程a.で用いられる攪拌機に対して異なる攪拌機を工程b.で用いることが、有利であり得る。一態様では、剪断力を及ぼさない攪拌機が工程b.において好ましい。攪拌機および好ましい攪拌機は、一般に、実施形態E1におけるものと一致する。実施形態は、少なくとも1つのフラックスが、1つまたは複数の前述の工程によって得られた混合物に添加される工程c.であって、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が添加中に維持される、工程cをさらに含む。30℃以下の温度が最も特に好ましい。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程d)で維持される。一態様では、10℃~50℃の温度が工程c.で維持されることが好ましい。さらにより好ましい態様では、10℃~30℃の温度が工程c.で維持される。温度は、能動的な冷却もしくは加熱によって達成される。この工程において、工程a.および/または工程b.で使用される攪拌機を用いることができる。別の態様では、異なる攪拌機を工程a.および/または工程b.で用いることが有利であり得る。工程c.における最も好ましい攪拌機は、回転子-固定子原理に従って動作する攪拌機である。工程c.で添加されるフラックスの量は、上に記載された量と一致する。工程d.において、工程c.によって得られた混合物が、70℃以下、好ましくは60℃以下、さらにより好ましくは50℃以下の温度が維持されるように混合物の温度を制御しながら均質化される。30℃以下の温度が最も特に好ましい。一般に、0℃以上、好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは10℃以上の温度が工程d)で維持される。さらにより好ましい態様では、10℃~30℃の温度が工程d.で維持される。温度は、能動的な冷却もしくは加熱によって達成される。この工程において、工程a.および/または工程b.および/または工程c.において使用される攪拌機を用いることができる。別の態様では、異なる攪拌機を工程a.および/または工程bおよび/または工程c.において用いることが有利であり得る。工程d.において最も好ましい攪拌機は、回転子-固定子原理に従って動作する攪拌機である。界面活性剤、チキソトロピー剤または懸濁液安定剤などの任意の添加剤が、分散剤中、バインダーもしくはバインダー組成物中に含まれてもよく、または工程a.、b.、c.および/もしくはd.のいずれかに別々に添加されてもよい。フラックス、分散剤、バインダー、任意選択的に溶媒および添加剤の含有量は、上に記載された量と一致する。工程d.後または工程d.中、バインダー、バインダー組成物、分散剤および/または溶媒の含有量は、前述の最終含有量を達成するために不都合量の添加によって調整されてもよい。本発明の一態様では、1つまたは複数の固体添加剤が本プロセス中に混合物に添加される。そのような固体添加剤は、例えば、フラックス組成物のろう付け特性を調節する別のフラックス、例えばセシウムアルミニウムフルオリド錯体またはリチウム化合物であり得る。固体添加剤は、固体または上に記載されたものと同じものである、好適な分散剤中の懸濁液として本プロセスに添加することができる。好ましくは、固体添加剤は、分散系の形態で本プロセスにおいて添加され、さらにより好ましくは、ここで、分散系は、回転子-固定子原理の攪拌機を使用して製造されたものである。固体添加剤またはその分散系は、温度がバインダーまたはバインダー組成物の添加中および添加後に上に定義されたように超えられていない限り、工程a.~d.のそれぞれの前、その間またはその後に添加することができる。上に記載されたような温度は、バインダーまたはバインダー組成物が混合物に入った時点で超えられないことが重要である。本プロセスのいずれにおいて混合が起こるとしても、任意の混合工程または剪断力を及ぼす攪拌機を使用することによって行われる混合工程の任意の部分、または湿式ミリング工程を有することが好ましいことが指摘されるべきである。一態様では、本方法は、すべての成分の添加および仕上げ混合後、組成物が例えば300メッシュフィルターを通して濾過される別の工程を含むことができる。一態様では、1つまたは複数の混合または均質化工程中、泡を回避するために混合物に混ぜ込まれる空気ができるだけ少ないように注意すべきである。フラックス組成物の安定性改善のために、本方法は、回分の製造に好適である。半連続的または連続的な方法も、計画外の製造が多くの場合に閉塞ラインまたは生成物の不安定な品質をもたらさないであろうため、フラックス組成物の品質および安定性改善の恩恵を受ける。
【0044】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品をはんだ付け、溶接、または特にろう付けする方法であって、本発明による方法によって製造されたフラックス組成物が、接合される、特にろう付けされるべきアルミニウム部品の少なくとも一部に塗布され、アルミニウム部品が乾燥され、組み立てられ、およびアルミニウム部品をはんだ付け、溶接、または特にろう付けするのに好適な温度に加熱される、方法にさらに関する。より具体的には、本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品をろう付けする方法であって、
a)本発明による方法に従って製造されたフラックス組成物で部品を少なくとも部分的にコートする工程と、
b)任意選択的に、少なくとも部分的にコートされた部品を乾燥させる工程と
を含む、方法に関する。別の実施形態では、本方法は、
c)少なくとも部分的にコートされた部品を組み立てる工程と、
d)組み立てられた少なくとも部分的にコートされた部品を、少なくとも部分的にコートされた部品をろう付けするのに十分に高い温度に加熱する工程と、
e)少なくとも部分的にコートされた部品をろう付けする工程と、
f)任意選択的に、ろう付け部品を冷却する工程と
をさらに含む、方法に関する。
【0045】
フラックス組成物は、塗装されても、例えばパッド印刷もしくはタンポン印刷(タンポグラフィ)によって印刷されても、吹き付けられてもよく、または工程a)における組成物中へのろう付けされるべき部品の浸漬によって塗布されてもよい。組成物がそれに塗布された部品の任意選択の乾燥は、物理的または化学的乾燥であってもよい。ろう付けのために必要とされる温度は、ろう付けされるべき部品がそれから製造されるアルミニウムもしくはアルミニウム合金および/または充填材ならびに他のろう付け添加剤と、ろう付け方法(例えば、トーチろう付けまたは炉ろう付け)とに依存し、当業者に公知である。多くの場合、ろう付け温度は420℃~650℃であり、より好ましくは、温度は540℃以上および650℃以下である。一実施形態では、ろう付けは、CAB技術としても知られる制御雰囲気下で行われる。好ましくは、上に記載されたろう付け方法の工程c)および/またはd)は、75容積%以上の、ヘリウム、窒素、アルゴンおよびキセノンからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含有する保護ガスの存在下で行われる。ろう付け部品は、任意選択的に、能動的または受動的のいずれかで冷却される。一態様では、ろう付け後処理が、例えばろう付け部品を加熱することにより、またはろう付け部品に疎水性層などの追加の層を適用することにより利用される。一態様では、フラックス組成物製造プロセス工程は、ろう付け方法の一部であり、フラックス製造方法およびろう付け方法が本質的に続いて、好ましくは直接近接してまたは同じ工場で行われることを意味する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのフラックスと分散剤とを含む組成物であって、剪断力を及ぼす攪拌機によって処理された組成物に関する。特定の態様では、剪断力を及ぼす攪拌機によって処理された組成物は、少なくとも1つのフラックスと分散剤とからなる。
【0047】
本発明はまた、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品を溶接する方法であって、本発明による方法によって製造されたフラックス組成物が、溶接されるべきアルミニウムまたはアルミニウム合金部品の少なくとも一部に塗布され、アルミニウムまたはアルミニウム部品が乾燥され、組み立てられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品を溶接するのに好適な温度に加熱される、方法に関する。
【0048】
本発明はまた、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品をはんだ付けする方法であって、本発明による方法によって製造されたフラックス組成物が、はんだ付けされるべきアルミニウムまたはアルミニウム合金部品の少なくとも一部に塗布され、アルミニウムまたはアルミニウム部品が乾燥され、組み立てられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金部品をはんだ付けするのに好適な温度に加熱される、方法に関する。
【0049】
本発明はまた、前述の実施形態の任意の1つに従った方法によって製造された少なくとも1つまたは複数のフラックス組成物で少なくとも部分的にコートされた金属、特にアルミニウムまたはアルミニウム合金部品に関する。別の態様では、本発明はまた、前述の実施形態の任意の1つに従う方法によって製造された少なくとも1つまたは複数のフラックス組成物で少なくとも部分的にコートされた2つ以上のアルミニウムまたはアルミニウム合金部品から組み立てられるアセンブリに関する。
【0050】
本発明は、特に上に記載されたろう付け方法に従って得ることができるろう付け金属物体、好ましくはエアコンシステムなどの固定もしくは可動冷凍設備のためのクーラーまたは固定熱交換器の部品にさらに関する。
【0051】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、その範囲を限定するものではない。
【0052】
実施例1
193.75kgの脱塩水をピッチブレードタービンによって攪拌し、150kgのNocolok(登録商標)フラックスを3部分に分けて添加する。混合物をコロイドボールミルに通し、温度制御ジャケット付き700Lタンクへ供給する。混合物を28℃に調整し、25kgのポリウレタンバインダーと131.25kgの脱塩水とを含有するバインダー組成物を、ピッチブレードタービンを使用して混合物を攪拌しながら添加する。添加中および添加後、タンク中の温度を28℃に制御する。混合物を、300メッシュ篩を通して濾過する。
【0053】
実施例2
188.5kgの脱塩水を、ピッチブレードタービンを使用して攪拌し、147.75kgのNocolok(登録商標)フラックスを3部分に分けて添加する。混合物をコロイドボールミルに通し、温度制御ジャケット付き700Lタンクへ供給する。混合物を28℃に調整し、25kgのポリウレタンバインダーと131.25kgの脱塩水とを含有するバインダー組成物を、ピッチブレードタービンを使用して混合物を攪拌しながら添加する。添加中および添加後、タンク中の温度を28℃に制御する。この混合物に対し、ultra turrax(ウルトラツラックス)で5分間処理され、28℃に温度調整された2.25kgのCsAlF4と5.25kgの脱塩水との混合物をタンク中の混合物に添加する。混合物を、28℃でピッチブレードタービンを使用して均質化し、300メッシュ篩を通して濾過する。
【0054】
実施例3
322kgの脱塩水を、ピッチブレードタービンを使用して700リットルのタンク中で攪拌し、150kgのNocolok(登録商標)フラックスを3部分に分けて添加する。混合物を、回転子-攪拌子攪拌機を使用して均質化する。温度を27℃に調整し、ピッチブレードタービンを使用して攪拌して、27.7kgのバインダー組成物(36.6重量%のポリエステルポリウレタン、62.7重量%の脱塩水、0.5重量%のシロキサン界面活性剤、ポリシロキサンベースの0.2重量%の消泡剤)を、27℃の温度を維持しながら添加する。
【0055】
実施例4(比較)
322kgの脱塩水を、ピッチブレードタービンを使用して700リットルのタンプ中で攪拌し、150kgのNocolok(登録商標)フラックスを3部分に分けて添加する。混合物を、回転子-固定子攪拌機を使用して均質化する。温度は55℃に達する。27.7kgのバインダー組成物(36.6重量%のポリエステルポリウレタン、62.7重量%の脱塩水、0.5重量%のシロキサン界面活性剤、ポリシロキサンベースの0.2重量%の消泡剤)を、回転子-固定子攪拌機を使用して攪拌しながら直ちに添加し、53℃の温度が観察される。
【0056】
安定性観察
実施例1~3のフラックス組成物は、室温で48時間の貯蔵後に非常に良好な安定性、沈降挙動および均質性を示す。実施例4のフラックス組成物は、室温で48時間の貯蔵後、ある程度の相分離、閉塞および不均一な厚さ分布(目視観察、明らかな「部分ゲル化/重合」)を示す。
【0057】
アルミニウム部品へのフラックス組成物の塗布
実施例1~3のフラックス組成物は、48時間の貯蔵後にもアルミニウム部品上への良好な塗装性(機械塗装)を示す。実施例4のフラックス組成物は、ペイントフラックス装置におけるいくらかの閉塞、およびアルミニウム部品上での不均一なペイントフラックス分布を示す。