(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】デンタル加工機のエラー履歴表示システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20230228BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230228BHJP
A61C 13/00 20060101ALI20230228BHJP
A61C 13/38 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G05B19/18 X
G05B19/418 Z
A61C13/00 Z
A61C13/38
(21)【出願番号】P 2019023438
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】花島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 史朗
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 全
(72)【発明者】
【氏名】峰野 洋介
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-123307(JP,A)
【文献】特開2018-124862(JP,A)
【文献】特開2018-097494(JP,A)
【文献】特開2000-322118(JP,A)
【文献】特開2008-176579(JP,A)
【文献】特開2009-175793(JP,A)
【文献】特開2003-015712(JP,A)
【文献】特開2002-312011(JP,A)
【文献】特開2017-220061(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105073(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0002151(US,A1)
【文献】特開2007-280301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0287318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18 - 19/46
B23Q 15/00 - 17/00
A61C 13/00 - 13/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンタル加工機と、
前記デンタル加工機と通信可能に接続された操作端末と、
前記操作端末と通信可能に接続され、かつ、前記デンタル加工機で発生したエラーに対するエラー情報の履歴が記憶された記憶装置と、
前記記憶装置と通信可能に接続された表示処理装置と、
を備え、
前記表示処理装置は、
前記記憶装置に記憶された前記エラー情報を取得する取得処理部と、
前記取得処理部によって取得された前記エラー情報を表示する表示処理部と、
を備え
、
前記デンタル加工機は、エラーが発生したとき、前記操作端末に前記エラー情報を送信する送信部を備え、
前記操作端末は、前記送信部によって送信された前記エラー情報を前記記憶装置に送信する端末送信部を備え、
前記記憶装置は、前記端末送信部によって送信された前記エラー情報を記憶するように構成された、デンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項2】
前記記憶装置には、複数の前記デンタル加工機で発生したエラーに対する前記エラー情報の履歴が記憶されている、請求項1に記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記デンタル加工機毎に前記エラー情報を表示する、請求項2に記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項4】
前記エラー情報は、エラーの内容を識別するエラーIDを有する、請求項
1から3までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項5】
前記デンタル加工機の前記送信部は、エラーが発生した場合、前記操作端末に前記エラーIDを送信する、請求項
4に記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項6】
前記エラー情報は、前記デンタル加工機に付された固有の機器IDを有し、
前記端末送信部は、前記デンタル加工機の前記送信部によって送信された前記エラーIDと、エラーが発生した前記デンタル加工機の前記機器IDとを前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記端末送信部によって送信された前記エラーIDと、前記機器IDとを関連付けて記憶するように構成され、
前記表示処理部は、前記記憶装置に記憶された前記エラーIDと、前記機器IDとを関連付けて表示する、請求項
5に記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項7】
前記デンタル加工機は、加工プログラムを実行することで被加工物を加工する加工制御部を備え、
前記操作端末は、前記加工制御部によって実行された前記加工プログラムの加工プログラム名が記憶された端末記憶部を備え、
前記端末送信部は、前記デンタル加工機の前記送信部によって送信された前記エラーIDと、エラーが発生したときに前記加工制御部によって実行された前記加工プログラムの前記加工プログラム名とを前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記端末送信部によって送信された前記エラーIDと、前記加工プログラム名とを関連付けて記憶するように構成され、
前記表示処理部は、前記記憶装置に記憶された前記エラーIDと、前記加工プログラム名とを関連付けて表示する、請求項
5または
6に記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項8】
前記デンタル加工機は、被加工物を加工する加工制御部を備え、
前記操作端末は、前記加工制御部によって加工されている前記被加工物の種類が記憶された端末記憶部を備え、
前記端末送信部は、前記デンタル加工機の前記送信部によって送信された前記エラーIDと、エラーが発生したときに前記加工制御部によって加工されていた前記被加工物の種類とを前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記端末送信部によって送信された前記エラーIDと、前記被加工物の種類とを関連付けて記憶するように構成され、
前記表示処理部は、前記記憶装置に記憶された前記エラーIDと、前記被加工物の種類とを関連付けて表示する、請求項
5から
7までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【請求項9】
前記デンタル加工機は、
加工ツールを把持するツール把持部と、
前記ツール把持部を回転させるスピンドルと、
を備え、
前記操作端末は、前記デンタル加工機が加工しているときに前記ツール把持部が把持している前記加工ツールの種類が記憶された端末記憶部を備え、
前記端末送信部は、前記デンタル加工機の前記送信部によって送信された前記エラーIDと、エラーが発生したときに前記デンタル加工機の前記ツール把持部が把持していた前記加工ツールの種類とを前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記端末送信部によって送信された前記エラーIDと、前記加工ツールの種類とを関連付けて記憶するように構成され、
前記表示処理部は、前記記憶装置に記憶された前記エラーIDと、前記加工ツールの種類とを関連付けて表示する、請求項
5から
8までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のエラー履歴表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンタル加工機のエラー履歴表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、セラミックまたは樹脂などの所定の材料によって成型された被加工物を所望の形状に切削加工(以下、加工という。)することで、対象物を作製する切削加工機が開示されている。特許文献1に開示された切削加工機は、棒状の加工ツールを用いて、加工ツールを軸方向に回転させながら、加工ツールと被加工物との相対的な位置を変更することで、被加工物を加工する。その結果、所望の対象物を作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記切削加工機の一例として、デンタル分野で使用されるデンタル加工機が挙げられる。デンタル加工機において、加工中などにエラーが発生することがあり得る。エラーが発生することで被加工物に対する加工が取り止められるため、無駄な費用を要することとなる。そのため、加工中にエラーが発生しないことが好ましい。エラーを発生させないためには、どのようなエラーがどのようなタイミングで発生し、どのようなエラーがどれくらいの頻度で発生しているかを把握することが重要である。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デンタル加工機で発生したエラーがいつ発生したかを把握することが可能なデンタル加工機のエラー履歴表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデンタル加工機のエラー履歴表示システムは、デンタル加工機で発生したエラーに対するエラー情報の履歴が記憶された記憶装置と、前記記憶装置と通信可能に接続された表示処理装置と、を備えている。前記表示処理装置は、前記記憶装置に記憶された前記エラー情報を取得する取得処理部と、前記取得処理部によって取得された前記エラー情報を表示する表示処理部と、を備えている。
【0007】
前記デンタル加工機のエラー履歴表示システムによれば、記憶装置には、デンタル加工機で発生したエラー情報の履歴が記憶されている。このエラー情報は、例えばデンタル加工機でエラーが発生したときに、順次、記憶装置に記憶される。このように記憶装置に記憶されたエラー情報の履歴に基づいて、エラー情報を表示する。利用者は、表示処理部によって表示されたエラー情報を見ることで、デンタル加工機でどのようなエラーがいつ発生したかを把握することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デンタル加工機で発生したエラーがいつ発生したかを把握することが可能なデンタル加工機のエラー履歴表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るエラー履歴表示システムの概念図である。
【
図3】デンタル加工機の正面図であり、カバーを開けた状態を示す図である。
【
図4】ツールマガジン、回転支持部材およびクランプの斜視図である。
【
図5】エラー履歴表示システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るデンタル加工機のエラー履歴表示システム(以下、エラー履歴表示システムという。)について説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係るエラー履歴表示システム1の概念図である。エラー履歴表示システム1は、複数のデンタル加工機100で発生したエラーの履歴を一括で管理するシステムである。まずは、エラー履歴表示システム1の概要について説明する。
【0012】
図1に示すように、エラー履歴表示システム1は、デンタル加工機100と、操作端末110と、サーバ120と、エラー履歴表示装置200とを備えている。本実施形態に係るデンタル加工機100の数は特に限定されない。デンタル加工機100の数は、1つであってもよいし複数であってもよい。操作端末110は、利用者がデンタル加工機100を操作する端末である。操作端末110には、1つまたは複数のデンタル加工機100が通信可能に接続されている。なお、本実施形態に係る操作端末110の数も特に限定されない。操作端末110は、1つであってもよいし複数であってもよい。サーバ120は、複数のデンタル加工機100に関する情報を一括に管理するものである。サーバ120には、複数のデンタル加工機100が接続されている。本実施形態では、サーバ120には、複数の操作端末110が通信可能に接続されており、操作端末110を介して複数のデンタル加工機100が接続されている。
【0013】
エラー履歴表示装置200は、デンタル加工機100で発生したエラーの履歴を管理および表示するものである。ここでは、エラー履歴表示装置200は、サーバ120に通信可能に接続されている。なお、エラー履歴表示装置200の数も特に限定されない。エラー履歴表示装置200の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。なお、本実施形態では、エラー履歴表示システム1は、クライアントサーバ型のシステムによって実現されるものであってもよいし、クラウド・コンピューティングによって実現されるものであってもよい。以下、デンタル加工機100、操作端末110、サーバ120およびエラー履歴表示装置200について詳しく説明する。
【0014】
まず、デンタル加工機100について説明する。複数のデンタル加工機100は、機種が異なることがあり得る。しかしながら、複数のデンタル加工機100の基本的な構成は同じである。そのため、ここでは、1つのデンタル加工機100の基本的な構成について説明する。
【0015】
図2は、デンタル加工機100の斜視図である。
図3は、デンタル加工機100の正面図であり、カバー12を開けた状態を示す図である。
図4は、後述するツールマガジン14、回転支持部材15およびクランプ16の斜視図である。
図5は、エラー履歴表示システム1のブロック図である。以下の説明において、左方、右方とは、デンタル加工機100の正面にいる利用者から見た左方、右方をそれぞれ意味する。また、デンタル加工機100の本体11の内部の空間を形成する底面は、上記利用者から見て手前から奥に向かうにしたがって下方に傾斜している。そこで、本実施形態では、上記底面に沿って上記利用者がデンタル加工機100から遠ざかる方を前方とし、上記底面に沿って上記利用者がデンタル加工機100に近づく方を後方とする。また、上記底面に直交する方向において、上を上方、下を下方とする。なお、図面中のF、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味する。
【0016】
本実施形態では、デンタル加工機100は、互いに直交する軸をX軸、Y軸、Z軸としたとき、X軸とY軸とで構成される平面に配置されている。X軸は左右方向に延びた軸であり、Y軸は前後方向に延びた軸であり、Z軸は上下方向に延びた軸である。また、図面中の符号θx、θy、θzは、それぞれX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの回転方向を示している。ただし、上記方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、デンタル加工機100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0017】
デンタル加工機100は、被加工物5(
図4参照)を加工することで、対象物を作製する。ここで、対象物の種類は特に限定されないが、例えば歯冠補綴物である。歯冠補綴物として、例えばインレー、クラウン、ブリッジなどが挙げられる。本実施形態では、デンタル加工機100は、デンタル分野で使用されるものであり、被加工物5から歯冠補綴物を作製する。
【0018】
被加工物5の形状は、例えば円盤形状である。被加工物5は、ジルコニア、ワックス、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ハイブリッドレジン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、石膏などの各種の材料によって形成されている。被加工物5の材料としてジルコニアを用いるときには、例えば、半焼結したジルコニアが用いられる。ただし、被加工物5の形状および材料は特に限定されない。
【0019】
図2に示すように、デンタル加工機100は、本体11と、カバー12と、加工機構13(
図3参照)と、ツールマガジン(
図4参照)と、回転支持部材15と、クランプ16(
図4参照)とを備えている。本体11は、箱状に形成されており、内部に空間を有している。詳しい図示は省略するが、上記空間を形成する底面は、前方から後方に向かうにしたがって下方に傾斜している。本体11の前部は開口している。
図3に示すように、カバー12は、本体11の開口を開閉自在に、本体11に支持されている。カバー12には窓部12aが設けられている。利用者は窓部12aから本体11の内部を視認することができる。
【0020】
図3に示すように、加工機構13は、加工ツール8を使用して被加工物5を加工するものである。加工機構13は、加工ツール8を回転させながら被加工物5に接触させることで、被加工物5を加工する。加工機構13は、スピンドル31と、ツール把持部32とを有している。スピンドル31は、ツール把持部32、および、ツール把持部32に把持された加工ツール8を、長手方向を軸にして回転させるものである。スピンドル31は、本体11に対して取り換え可能に設けられている。スピンドル31は、上下方向に延びており、Z軸周りθzに回転可能に構成されている。ツール把持部32は、加工ツール8を把持するものであり、スピンドル31に設けられている。詳しくは、ツール把持部32は、スピンドル31の底面に設けられている。スピンドル31がZ軸周りθzに回転することで、ツール把持部32、および、ツール把持部32に把持された加工ツール8は、Z軸周りθz、言い換えると加工ツール8の中心軸周りに回転する。本実施形態では、加工機構13は、第1駆動機構(図示せず)によって左右方向および上下方向に移動するように構成されている。
【0021】
本実施形態では、ツール把持部32に把持される加工ツール8は、複数存在する。加工ツール8は、棒状であり、下部に刃物部8aを有している。この刃物部8aの形状が異なる複数の加工ツール8が予め用意されている。加工中、後述する加工プログラムPG1(
図5参照)に沿って、ツール把持部32に把持された加工ツール8は、必要に応じて他の加工ツール8に交換される。
【0022】
図4に示すように、ツールマガジン14は、複数の加工ツール8を収容することが可能なものである。本実施形態では、ツールマガジン14は、箱状に形成されている。ツールマガジン14の上面には、加工ツール8を収容する複数の収容孔35が形成されている。加工ツール8は、その上部が露出された状態で収容孔35に挿通されている。なお、収容孔35の数は特に限定されないが、ここでは10個である。そのため、本実施形態では、ツールマガジン14には、10本の加工ツール8を収容することが可能である。ツール把持部32に把持されている加工ツール8を交換する際には、ツール把持部32に把持されている加工ツール8を収容孔35に戻す。そして、次に使用する加工ツール8の上方の位置まで加工機構13を移動させる。その後、ツール把持部32の下方に位置する加工ツール8の上端をツール把持部32が把持する。
【0023】
本実施形態では、デンタル加工機100は、ツールセンサ36を備えている。ツールセンサ36は、ツールマガジン14に設けられている。ツールセンサ36は、ツール把持部32によって把持された棒状の加工ツール8が接触したことを検知するセンサである。ツールセンサ36の構成は特に限定されない。本実施形態では、ツールセンサ36は、スイッチ36aを有している。スイッチ36aは、微小荷重が上方から加えられたことにより微小に変位するように構成されており、ツールセンサ36は、スイッチ36aが変位することで加工ツール8の接触を検出する。
【0024】
本実施形態では、ツールマガジン14には、回転支持部材15を回転可能に支持する第1回転軸41が設けられている。第1回転軸41は左右方向に延びており、回転支持部材15に連結している。図示は省略するが、ツールマガジン14には、第1回転軸41を回転させる第2駆動機構が設けられている。第1回転軸41は、上記第2駆動機構によってX軸周りθxに回転可能に構成されている。第1回転軸41がX軸周りθxに回転することで、回転支持部材15はX軸周りθxに回転する。
【0025】
回転支持部材15は、クランプ16を回転可能に支持している。回転支持部材15は、平面視で、略C字形状に形成されている。回転支持部材15は、第1回転軸41を介して、ツールマガジン14と連結している。回転支持部材15は、第1部分51と、第2部分52と、第3部分53とを有している。第1部分51は、ツールマガジン14の左方に配置されており、前後方向に延びている。第2部分52は、第1部分51の後端から左方に延びている。第3部分53は、第1部分51の前端から左方に延びている。第3部分53は、第2部分52と対向している。本実施形態では、第2部分52と第3部分53との間に、クランプ16が配置されている。
【0026】
クランプ16は、被加工物5を加工する際に被加工物5を支持する部材である。本実施形態では、被加工物5には、アダプタ(図示せず)が取り付けられており、クランプ16は、上記アダプタを介して被加工物5を支持する。例えばクランプ16は、被加工物5の形状の一部に対応した形状をしている。ここでは、クランプ16は、平面視において略C字形状である。本実施形態では、クランプ16によって支持された被加工物5に対して加工が行われる。クランプ16は、回転支持部材15の第2部分52および第3部分53に回転可能に支持されている。クランプ16の後部には、第2回転軸42の一端が接続されており、第2回転軸42の他端には、第2部分52が接続されている。クランプ16の前部には、第3回転軸43の一端が接続されており、第3回転軸43の他端には、第3部分53が接続されている。本実施形態では、第3部分53には、クランプ16をY軸回りθyに回転させる駆動モータ16a(
図5参照)が設けられている。
【0027】
本実施形態では、
図3に示すように、デンタル加工機100は、集塵機29を備えている。集塵機29は、本体11の内部の加工空間(図示せず)において、被加工物5が切削加工された際に発生した加工粉を収集するものである。集塵機29は、本体11に設けられている。なお、集塵機29の構成は特に限定されないが、例えば集塵機29は、ファンを有している。ファンが作動することで、上記加工空間内の加工粉を収集することができる。
【0028】
本実施形態に係るデンタル加工機100は、いわゆるディスクチェンジャー付きのデンタル加工機であってもよい。なお、この場合のディスクチェンジャーは、従来公知のものを採用することができる。ディスクチェンジャーとして、例えば特開2018-89763号公報に記載された被加工物搬送装置を採用することができる。
【0029】
図2に示すように、デンタル加工機100は、制御装置60を備えている。制御装置60は、被加工物5の加工に関する制御をする装置である。制御装置60は、マイクロコンピュータからなっており、本体11の内部に設けられている。制御装置60は、例えば中央処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、被加工物5の加工に関する制御を行う。
【0030】
図5に示すように、制御装置60は、スピンドル31に通信可能に接続されており、スピンドル31の回転を制御する。制御装置60は、クランプ16をY軸周りθyに回転させる駆動モータ16aに通信可能に接続されており、駆動モータ16aを制御する。制御装置60は、集塵機29に通信可能に接続されており、集塵機29の駆動を制御する。図示は省略するが、制御装置60は、加工機構13を左右方向および上下方向に移動させる上記第1駆動機構に通信可能に接続されており、上記第1駆動機構を制御する。また、図示は省略するが、制御装置60は、第1回転軸41を回転させる上記第2駆動機構に通信可能に接続されており、上記第2駆動機構を制御する。
【0031】
本実施形態では、制御装置60は、記憶部61と、加工制御部62と、エラー検出部64と、送信部66とを備えている。制御装置60の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御装置60の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路によって組み込まれるものであってもよい。
【0032】
ところで、本実施形態に係るデンタル加工機100は、加工プログラムPG1に基づいて、1つまたは複数の加工ツール8を使用して自動で被加工物5を加工することで、所望の対象物を作製する。デンタル加工機100は、加工プログラムPG1に基づいて被加工物5を加工する。この加工プログラムPG1は、いわゆるNCデータ(NCプログラム)、または、ジョブデータ(ジョブプログラム)と呼ばれるものである。加工プログラムPG1とは、デンタル加工機100がどのような手順で被加工物5を加工するかを示したものである。加工プログラムPG1とは、加工機構13の動作、および、被加工物5を支持するクランプ16の動作を座標値によって定義したコマンドが複数記録されたものである。
【0033】
加工プログラムPG1は、例えばCAM装置(図示せず)によって作成される。CAMとは、Computer Aided Manufacturingの略であり、CAM装置は、コンピュータ支援製造装置と呼ばれるものである。CAM装置は、被加工物5を加工することで作製される1つまたは複数の対象物の形状のデータ(以下、対象物データともいう。)に基づいて、加工プログラムPG1を作成する。なお、対象物データは、STLデータのことであり、例えばコンピュータ支援設計装置(以下、CAD(Computer Aided Design)装置ともいう。)によって作成されるデータである。CAM装置によって作成された加工プログラムPG1は、例えば加工開始時にデンタル加工機100に送信される。そして、デンタル加工機100は、受信した加工プログラムPG1のコマンドを順次実行することで、被加工物5から対象物を作製する。
【0034】
本実施形態では、加工制御部62は、加工プログラムPG1を実行することで被加工物5を加工するように構成されている。加工制御部62は、加工プログラムPG1に基づいて被加工物5を加工するように、加工機構13、クランプ16の制御を行う。本実施形態では、加工制御部62は、加工プログラムPG1のコマンドに示された座標値に基づいて、加工機構13およびクランプ16の動作を制御する。加工制御部62は、加工機構13の動作と共に、クランプ16の動作を全体として統括的に制御する。このことによって、クランプ16に支持された被加工物5と加工ツール8との相対的な位置関係を3次元で変化させて、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸周りθx、Y軸周りθyの5軸制御による高精度な加工を実現することができる。本実施形態では、加工機構13のスピンドル31によって回転された加工ツール8の刃物部8a(
図3参照)を、クランプ16に支持された被加工物5に当接させることで、被加工物5に対する加工を行うことができる。ここでは、被加工物5に対して、任意の位置に加工ツール8が任意の角度で当接されることによって、対象物が作製される。
【0035】
エラー検出部64は、被加工物5が加工しているときに発生したデンタル加工機100のエラーを検出する。このエラーの内容は特に限定されず、従来公知のエラーが含まれるものとする。エラーは、被加工物5を適切に加工できないときに発生するものである。エラーには、例えば加工ツール8が折れたことによるエラー(以下、ツール折れエラーという。)、ツール把持部32が加工ツール8を把持できなかったことによるエラー、スピンドル31が適切な回転数で回転しないことによるエラー、加工機構13またはクランプ16が適切な位置に移動できないことによるエラーなどが含まれる。また、エラーには、集塵機29が作動していなことによるエラーが含まれる。エラー検出部64は、これらのエラーを、従来公知のようにセンサなどを介して検出する。
【0036】
以下、エラー検出部64によるエラー検出の制御の一例として、上記ツール折れエラーの検出制御について簡単に説明する。本実施形態では、複数の加工ツール8のそれぞれに対する長さ(言い換えると、加工ツール8の軸方向の長さ)である「判定長さ」が記憶部61に記憶されている。加工中において加工ツール8の使用前と使用後、すなわち、ツールマガジン14から加工ツール8を取り出した後と、加工ツール8をツールマガジン14に収容する前において、エラー検出部64は、ツール折れエラーが発生しているか否かを検出する。ここでは、エラー検出部64は、ツール把持部32によって加工ツール8を把持している状態において、加工ツール8の下端をツールセンサ36のスイッチ36aに接触させるように、加工機構13の移動を制御する。そして、スイッチ36aに加工ツール8が接触したときの、ツール把持部32またはスピンドル31の上下方向の位置に基づいて、加工ツール8の実際の長さである実長さを算出する。
【0037】
そして、エラー検出部64は、記憶部61に記憶された加工ツール8の判定長さと、加工ツール8の実長さとを比較する。そして、加工ツール8の実長さが加工ツール8の判定長さよりも短いとき、エラー検出部64は、ツール折れエラーが発生していると判定し、エラーを検出する。
【0038】
送信部66は、デンタル加工機100にエラーが発生した際、そのエラーに関するエラー情報E1(
図6参照)を操作端末110に送信する。ここでは、送信部66は、エラー検出部64によってエラーが検出されたとき、その検出されたエラーに関するエラー情報E1を操作端末110に送信する。
【0039】
次に、
図1に示す操作端末110について説明する。本実施形態では、複数の操作端末110は、同じ構成を有している。そのため、以下では、1つの操作端末110の構成について説明する。操作端末110は、デンタル加工機100を操作する端末である。操作端末110は、例えばパーソナルコンピュータによって実現されるものである。操作端末110は、汎用のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、専用のコンピュータによって実現されるものであってもよい。
【0040】
図1に示すように、操作端末110には、1つまたは複数のデンタル加工機100が通信可能に接続されている。操作端末110は、通信可能に接続されたデンタル加工機100を操作することが可能である。操作端末110は、
図5に示すように、例えば端末表示画面111と、端末操作部112と、端末制御装置113とを備えている。端末表示画面111の種類は特に限定されないが、例えばデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータのディスプレイである。端末操作部112は、例えばパーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、端末操作部112は、端末表示画面111に設けられたタッチパネルであってもよい。
【0041】
端末制御装置113は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置などを備えている。端末制御装置113は、端末表示画面111および端末操作部112に通信可能に接続されている。
【0042】
端末制御装置113には、デンタル加工機100を操作するための専用のアプリケーションがインストールされている。利用者は、上記アプリケーションを端末表示画面111に表示し、端末操作部112を介して上記アプリケーションを操作することで、デンタル加工機100を操作することができる。端末制御装置113は、端末記憶部114と、端末送信部115と、端末受信部116とを備えている。
【0043】
端末記憶部114には、上述した加工プログラムPG1が記憶されている。例えばデンタル加工機100に被加工物5を加工させる際、端末送信部115は、デンタル加工機100の制御装置60に加工プログラムPG1を送信する。デンタル加工機100の加工制御部62は、制御装置60が受信した加工プログラムPG1を実行することで、被加工物5を加工し、所望の対象物を作製する。端末受信部116は、デンタル加工機100の制御装置60から加工に関する情報を受信する。ここで、加工に関する情報には、例えばエラー情報E1(
図6参照)の一部が含まれる。端末受信部116が受信したエラー情報E1の一部を含む加工に関する情報は、端末記憶部114に記憶される。
【0044】
次に、
図1に示すサーバ120について説明する。サーバ120には、1つまたは複数の操作端末110が通信可能に接続されており、操作端末110を介して1つまたは複数のデンタル加工機100が通信可能に接続されている。例えばエラー履歴表示システム1がクラウド・コンピューティングによって実現されるものである場合、サーバ120は、クラウドである。サーバ120は、本発明の記憶装置の一例である。
【0045】
図5に示すように、サーバ120には、エラー履歴テーブルTB1が記憶されている。
図6は、エラー履歴テーブルTB1の一例を示す図である。エラー履歴テーブルTB1は、各デンタル加工機100で発生したエラーに関するエラー情報E1の履歴を管理するテーブルである。エラー履歴テーブルTB1は、各デンタル加工機100で発生したエラー情報E1の履歴を一括で管理するテーブルである。本実施形態では、エラー履歴テーブルTB1には、エラーが発生した際に実行していた加工プログラムPG1毎にエラー情報E1が管理されている。
【0046】
なお、エラー履歴テーブルTB1の構成は特に限定されない。例えばエラー履歴テーブルTB1には、エラー情報E1が記憶されている。エラー情報E1は、エラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラムPG1のファイル名134(以下、加工プログラム名134という。)と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とを有している。エラー履歴テーブルTB1は、エラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とが関連付けられたテーブルである。言い換えると、エラー履歴テーブルTB1は、エラー日時131、エラーID132、機器ID133、加工プログラム名134、被加工物5の種類135、および、加工ツール8の種類136などの項目が存在する。ここで、「関連付けられた」とは、テーブルの同じ行に記載された項目同士のことをいう。
【0047】
エラー日時131は、デンタル加工機100でエラーが発生したときの日付および時刻のことである。詳しくは、エラー日時131は、デンタル加工機100のエラー検出部64がエラーを検出したときの日付および時刻のことである。ただし、エラー日時131は、操作端末110がデンタル加工機100からエラー情報E1(詳しくは、エラーID132)を受信した日時であってもよい。エラーID132は、エラーの内容を一意的に特定するものである。エラーID132は、エラーの内容毎に付された固有のIDである。エラーID132からどのようなエラーが発生したかを知ることができる。詳しい図示は省略するが、エラーID132のリストが、デンタル加工機100の記憶部61に記憶されている。エラー検出部64がエラーを検出したとき、エラーID132のリストを参照し、エラー検出部64に検出されたエラーに該当するエラーID132を操作端末110に送信する。機器ID133は、デンタル加工機100毎に付された固有のIDである。この機器ID133からデンタル加工機100を一意的に特定することができる。
【0048】
加工プログラム名134は、例えば加工プログラムPG1が保存されたファイル名である。加工プログラム名134から加工プログラムPG1を特定することができる。被加工物5の種類135とは、エラーが発生したときにデンタル加工機100が加工していた被加工物5の種類のことである。言い換えると、被加工物5の種類135とは、エラー検出部64によってエラーが検出されたときに、デンタル加工機100が加工していた被加工物5の種類のことである。被加工物5の種類135は、エラーが発生したときにデンタル加工機100のクランプ16(
図4参照)が支持していた被加工物5の種類である。言い換えると、被加工物5の種類135は、エラーが発生したときにデンタル加工機100が実行していた加工プログラムPG1によって指定された被加工物5の種類である。
【0049】
加工ツール8の種類136とは、エラーが発生したときに被加工物5を加工していた加工ツール8の種類のことである。言い換えると、加工ツール8の種類136とは、エラー検出部64によってエラーが検出されたときに、被加工物5を加工していた加工ツール8の種類のことである。加工ツール8の種類136は、エラーが発生したときにデンタル加工機100のツール把持部32が把持していた加工ツール8の種類である。言い換えると、加工ツール8の種類136は、エラーが発生していたときにデンタル加工機100が実行していた加工プログラムPG1によって指定された加工ツール8の種類である。
【0050】
本実施形態では、エラー履歴テーブルTB1には、以下のような手順でエラー情報E1の各項目のデータが追加される。例えばデンタル加工機100のエラー検出部64によってエラーを検出した場合、デンタル加工機100の送信部66は、操作端末110に該当するエラーID132を送信する。操作端末110の端末受信部116は、デンタル加工機100から送信されたエラーID132を受信する。このとき、操作端末110側では、エラーID132が送信されたデンタル加工機100の機器ID133、および、エラーID132を受信した日時を取得することができる。そのため、操作端末110は、エラーID132を受信した日時をエラー日時131として、エラー日時131と、エラーID132と、エラーID132が送信されたデンタル加工機100の機器ID133とを関連付けた状態とする。
【0051】
本実施形態では、操作端末110の端末記憶部114には、デンタル加工機100の加工制御部62によって実行された加工プログラムPG1が記憶されている。操作端末110は、エラーが発生したデンタル加工機100の加工制御部62が実行していた加工プログラムPG1の加工プログラム名134を端末記憶部114から取得することができる。さらに、本実施形態では、加工プログラムPG1には、加工対象となる被加工物5の種類135に関する情報と、加工に使用される加工ツール8の種類136に関する情報が示されている。言い換えると、端末記憶部114には、加工制御部62によって加工されていた被加工物5の種類135、および、加工ツール8の種類136が記憶されている。そのため、操作端末110は、端末記憶部114に記憶された加工プログラムPG1から、エラーが発生したときに加工していた被加工物5の種類135、および、エラーが発生したときにデンタル加工機100が使用していた加工ツール8の種類136を取得することができる。操作端末110は、端末記憶部114に記憶された加工プログラムPG1から取得された加工プログラム名134、被加工物5の種類135および加工ツール8の種類136を、エラー日時131、エラーID132、および、機器ID133と関連付ける。
【0052】
操作端末110の端末送信部115は、エラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とを関連付けてエラー情報E1をサーバ120に送信する。そして、サーバ120は、受信したエラー情報E1、すなわちエラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とを関連付けてエラー履歴テーブルTB1に追加する。以上のようにして、デンタル加工機100にエラーが発生した際に、エラー履歴テーブルTB1にエラー情報E1が順次追加される。
【0053】
なお、エラー履歴テーブルTB1は、1つのテーブルによって構成されていてもよいし、複数のテーブルによって構成されていてもよい。エラー履歴テーブルTB1は、サーバ120以外に、操作端末110の端末記憶部114に記憶されていてもよい。
【0054】
次に、
図1に示すエラー履歴表示装置200について説明する。エラー履歴表示装置200は、複数のデンタル加工機100のエラー情報E1の履歴を管理および表示する。エラー履歴表示装置200は、操作端末110と同様に、例えばパーソナルコンピュータによって実現されるものである。エラー履歴表示装置200は、汎用コンピュータによって実現されてもよいし、専用のコンピュータによって実現されてもよい。
【0055】
図1に示すように、エラー履歴表示装置200は、サーバ120に通信可能に接続されている。エラー履歴表示装置200は、サーバ120に記憶されたエラー履歴テーブルTB1からエラー情報E1を取得し、取得したエラー情報E1に基づいて、各デンタル加工機100のエラー情報E1の履歴を表示する。
図5に示すように、エラー履歴表示装置200は、表示画面201と、操作部202と、表示処理装置210とを備えている。
【0056】
表示画面201の種類は特に限定されない。表示画面201は、例えば携帯型端末のディスプレイである。ただし、表示画面201は、例えばデスクトップ型またはノート型のパーソナルコンピュータのディスプレイであってもよい。
【0057】
操作部202は、表示画面201に表示されたものを利用者が操作するものである。例えば利用者は、操作部202を操作することで、表示画面201に表示されたものを切り替えることができる。なお、操作部202の種類は特に限定されない。操作部202は、例えば表示画面201上に配置されたタッチパネルである。ただし、操作部202は、パーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスであってもよい。
【0058】
表示処理装置210は、サーバ120からエラー情報E1が記憶されたエラー履歴テーブルTB1を取得し、エラー情報E1を表示画面201に表示する。なお、表示処理装置210の構成は特に限定されない。表示処理装置210は、いわゆる制御装置である。表示処理装置210は、例えばマイクロコンピュータである。表示処理装置210は、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置などを備えている。本実施形態では、表示処理装置210は、サーバ120と別々のものであるが、サーバ120と一体的なものであってもよい。表示処理装置210は、サーバ120と有線または無線を介して通信可能に接続されている。
【0059】
本実施形態では、表示処理装置210は、表示記憶部211と、取得処理部213と、表示処理部215とを備えている。表示処理装置210の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。表示処理装置210の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
【0060】
取得処理部213は、サーバ120に記憶されたエラー履歴テーブルTB1を取得することで、エラー情報E1を取得する。なお、取得処理部213によって取得されたエラー履歴テーブルTB1内のエラー情報E1は、表示記憶部211に記憶されてもよい。
【0061】
表示処理部215は、取得処理部213によって取得されたエラー情報E1を表示画面201に表示する。なお、エラー情報E1を表示画面201にどのように表示するかは特に限定されず、例えば表やグラフなどを用いてエラー情報E1を表示画面201に表示する。
【0062】
図7は、表示画面201の一例を示す図である。
図7に示すように、表示処理部215は、デンタル加工機100毎に、エラー情報E1を表示する。本実施形態では、表示処理部215は、デンタル加工機100毎のエラー履歴一覧表T1を表示画面201に表示する。このエラー履歴一覧表T1は、取得処理部213によって取得されたエラー履歴テーブルTB1のエラー情報E1に基づいて作成されたものである。
【0063】
本実施形態では、表示画面201において、複数の選択ボタンBT1が配置されている。これら選択ボタンBT1は、デンタル加工機100毎に設けられており、1つの選択ボタンBT1は、1つのデンタル加工機100に対応している。利用者は、操作部202を介して1つの選択ボタンBT1を選択して押すことで、利用者に選択された選択ボタンBT1に対応したデンタル加工機100に関するエラー履歴一覧表T1が表示される。なお、
図7において、説明の便宜上、選択ボタンBT1には、機器ID133が付されている。ここでは、5つの選択ボタンBT1は、それぞれ機器ID133がa1、a2、a3、a4、a5であるデンタル加工機100に対応しており、5つのデンタル加工機100のそれぞれのエラー履歴一覧表T1を表示画面201に表示することが可能である。
【0064】
なお、エラー履歴一覧表T1の構成は特に限定されない。本実施形態では、エラー履歴一覧表T1は、選択ボタンBT1によって選択された機器ID133に対応したデンタル加工機100で発生したエラーのエラー情報E1に関する表である。エラー履歴一覧表T1には、エラーが発生したときのエラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とが表示されている。ここでは、エラー履歴一覧表T1の1行分のデータが1つの加工プログラムPG1におけるエラー情報E1である。本実施形態では、エラー履歴一覧表T1には、詳細情報138が表示されている。この詳細情報138は、エラーID132が示すエラー内容に関する情報であり、実際にどのようなエラーが発生したかが示されている。この詳細情報138は、エラーID132と関連付けられており、表示記憶部211に予め記憶されている。
【0065】
エラー履歴一覧表T1は、表示処理部215によって、例えば以下のような手順で作成され、かつ、表示される。ここでは、機器ID133がa1のデンタル加工機100に対応したエラー履歴一覧表T1の作成手順について簡単に説明する。表示処理部215は、まず取得処理部213によって取得されたエラー履歴テーブルTB1から、機器ID133がa1を含む行のデータを抽出する。すなわち、機器ID133がa1に対応したエラー日時131と、エラーID132と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とを抽出する。
【0066】
次に、表示処理部215は、エラー履歴テーブルTB1から抽出したエラー日時131と、エラーID132と、機器ID133と、加工プログラム名134と、被加工物5の種類135と、加工ツール8の種類136とを関連付けて、エラー履歴一覧表T1に表示する。このことによって、機器ID133がa1であるデンタル加工機100で発生したエラー情報E1を、エラー履歴一覧表T1を使用して、表示画面201に表示することができる。
【0067】
本実施形態では、表示処理部215は、エラー履歴一覧表T1の他に、エラーの発生回数の割合を示した円グラフG1およびエラー発生回数表T2を表示画面201に表示する。円グラフG1は、エラー履歴一覧表T1と連動しており、エラー履歴一覧表T1で示されたエラー情報E1をエラーID132毎に発生回数140を集計し、1つのデンタル加工機100で発生したエラーの合計回数に対する、エラーID132毎の発生回数140の割合を示すグラフである。言い換えると、円グラフG1は、選択ボタンBT1で選択された機器ID133のデンタル加工機100で発生したエラーの合計回数に対する、エラーID132毎の発生回数140の割合を示すグラフである。エラー発生回数表T2は、円グラフG1に対応した表であり、エラー履歴一覧表T1で示されたエラー情報E1を、エラーID132毎に発生回数140を集計した表である。言い換えると、エラー発生回数表T2は、選択ボタンBT1で選択された機器ID133のデンタル加工機100で発生したエラーID132毎の発生回数140を示す表である。
【0068】
以上、本実施形態では、サーバ120には、
図5に示すように、操作端末110から送信されたエラー情報E1が記憶されている。このエラー情報E1は、デンタル加工機100でエラーが発生したときに、順次、サーバ120に記憶されるものである。このようにサーバ120に記憶されたエラー情報E1に基づいて、
図7に示すように、表示画面201にエラー情報E1を表示する。利用者は、表示画面201に表示されたエラー情報E1を見ることで、デンタル加工機100でどのようなエラーがいつ発生したかを把握することができる。
【0069】
本実施形態では、サーバ120には、複数のデンタル加工機100で発生したエラーに対するエラー情報E1の履歴が記憶されている。このことによって、複数のデンタル加工機100におけるエラー情報E1を表示画面201に表示することができる。そのため、複数のデンタル加工機100におけるエラー情報E1を一括で管理することができる。
【0070】
本実施形態では、表示処理部215は、デンタル加工機100毎にエラー情報E1を表示する。このことによって、利用者は、デンタル加工機100毎に、エラー情報E1を確認することができる。よって、デンタル加工機100の単位で、どのエラーがいつ行われたかを把握することができる。
【0071】
本実施形態では、
図6に示すように、エラー情報E1は、エラーの内容を識別するエラーID132を有する。このエラーID132からデンタル加工機100にどのようなエラーが発生したかを識別することができる。よって、どのようなエラーがどのような頻度で発生しているかを把握し易い。
【0072】
本実施形態では、デンタル加工機100の送信部66は、エラーが発生した場合、操作端末110にエラーID132を送信する。このようにエラーID132は、実際にエラーが発生したデンタル加工機100から送信されるため、正確な情報である。よって、デンタル加工機100でどのようなエラーが発生したかを正確に把握することができる。
【0073】
本実施形態では、エラー情報E1は、デンタル加工機100に付された固有の機器ID133を有している。操作端末110の端末送信部115は、デンタル加工機100の送信部66によって送信されたエラーID132と、エラーが発生したデンタル加工機100の機器ID133とをサーバ120に送信する。サーバ120は、端末送信部115によって送信されたエラーID132と、機器ID133とを関連付けて記憶するように構成されている。表示処理部215は、
図7に示すように、サーバ120に記憶されたエラーID132と、機器ID133とを関連付けて表示画面201に表示する。このことによって、エラーID132に対応したエラーがどのデンタル加工機100で発生したかを機器ID133によって特定することができる。よって、どのようなエラーID132に対応したエラーが発生し易いかを、デンタル加工機100毎に把握し易い。
【0074】
本実施形態では、デンタル加工機100は、加工プログラムPG1を実行することで被加工物5を加工する加工制御部62を備えている。操作端末110は、加工制御部62によって実行された加工プログラムPG1の加工プログラム名134が記憶された端末記憶部114を備えている。端末送信部115は、デンタル加工機100の送信部66によって送信されたエラーID132と、エラーが発生したときに加工制御部62によって実行された加工プログラムPG1の加工プログラム名134とをサーバ120に送信する。サーバ120は、端末送信部115によって送信されたエラーID132と、加工プログラム名134とを関連付けて記憶するように構成されている。表示処理部215は、サーバ120に記憶されたエラーID132と、加工プログラム名134とを関連付けて表示画面201に表示する。このことによって、エラーID132に対応したエラーがどのような加工プログラムPG1を実行しているときに発生したかを加工プログラム名134から特定することができる。よって、加工プログラムPG1毎に、どのようなエラーが発生したかを把握し易い。
【0075】
端末記憶部114には、加工制御部62によって加工されている被加工物5の種類135が記憶されている。端末送信部115は、デンタル加工機100の送信部66によって送信されたエラーID132と、エラーが発生したときに加工制御部62によって加工されていた被加工物5の種類135とをサーバ120に送信する。サーバ120は、端末送信部115によって送信されたエラーID132と、被加工物5の種類135とを関連付けて記憶するように構成されている。表示処理部215は、サーバ120に記憶されたエラーID132と、被加工物5の種類135とを関連付けて表示画面201に表示する。このことによって、エラーID132に対応したエラーが、デンタル加工機100がどのような種類135の被加工物5を加工しているときに発生したかを把握し易い。よって、被加工物5の種類135毎に、どのようなエラーが発生したかを把握し易い。
【0076】
本実施形態では、端末記憶部114には、デンタル加工機100が加工しているときにツール把持部32が把持している加工ツール8の種類136が記憶されている。端末送信部115は、デンタル加工機100の送信部66によって送信されたエラーID132と、エラーが発生したときにデンタル加工機100のツール把持部32が把持していた加工ツール8の種類136とをサーバ120に送信する。サーバ120は、端末送信部115によって送信されたエラーID132と、加工ツール8の種類136とを関連付けて記憶するように構成されている。表示処理部215は、サーバ120に記憶されたエラーID132と、加工ツール8の種類136とを関連付けて表示画面201に表示する。このことによって、エラーID132に対応したエラーが、デンタル加工機100がどのような種類136の加工ツール8を使用しているときに発生したかを把握し易い。よって、加工ツール8の種類136毎に、どのようなエラーが発生したかを把握し易い。
【0077】
上記実施形態では、エラー履歴一覧表T1は、デンタル加工機100毎のエラー情報E1に関する表であり、デンタル加工機100毎のエラー情報E1が表示画面201に表示されている。しかしながら、エラー履歴一覧表T1は、例えば利用者によって選択された複数のデンタル加工機100に関するエラー情報E1の表であってもよいし、利用者によって選択された期間に該当するデンタル加工機100のエラー情報E1の表であってもよい。すなわち、エラー履歴一覧表T1に示される期間やデンタル加工機100の数は、利用者によって適宜に設定されるものである。
【符号の説明】
【0078】
1 エラー履歴表示システム
64 エラー検出部
66 送信部
100 デンタル加工機
110 操作端末
115 端末送信部
116 端末受信部
120 サーバ(記憶装置)
131 エラー日時
132 エラーID
200 エラー履歴表示装置
210 表示処理装置
213 取得処理部
215 表示処理部
E1 エラー情報