(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】パッケージ及びパッケージの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/04 20060101AFI20230228BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20230228BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
H01L23/04 D
H01L23/02 J
H01L23/02 F
H01L23/02 C
H01L23/08 Z
(21)【出願番号】P 2019044049
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】田家 良久
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-006577(JP,A)
【文献】特開2018-157159(JP,A)
【文献】特開2002-176158(JP,A)
【文献】特開2014-169868(JP,A)
【文献】特開2013-055223(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0097415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/04
H01L 23/02
H01L 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の上面側に設けられる素子と、
前記第1基板の上面側に前記素子を覆った状態で接合され、前記第1基板側に配置される下面側に、前記第1基板に接合される凸部と、平面視で前記凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域とを有する第2基板と、を備え、
前記第2基板の上面側に、前記キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域が設けられているとともに、前記凸部と面対称となる位置で、平面視で前記凹状領域を囲むように
、前記第2基板と一体の凸状領域が設けられていることを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記凸状領域は、平均高さが20~50μmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
さらに、前記第2基板に形成された前記凸部の先端を覆うように第2金属接合膜が設けられており、
前記第1基板の上面に、前記第2基板に形成された前記凸部に対応する位置で第1金属接合膜が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記素子が赤外線検出素子であり、且つ、前記第2基板が赤外線を透過可能とされていることを特徴とする請求項1~請求項
4の何れか一項に記載のパッケージ。
【請求項6】
少なくとも、
基板材料の表面をエッチングすることにより、素子を収容する凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、
基板材料の表面をエッチングすることにより、凸部と、平面視で前記凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、を形成して第2基板を得る工程(2)と、
前記第2基板における、前記キャビティ領域及び前記凸部を形成した表面とは反対側の表面をエッチングすることにより、前記キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域を形成するとともに、前記凸部と面対称となる位置で、平面視で前記凹状領域を囲むように凸状領域を形成する工程(3)と、
前記第1基板に形成された前記デバイス領域に前記素子を配置する工程(4)と、
前記第1基板と前記第2基板との間に前記素子が配置されるように前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせ、前記第2基板に形成された凸部を前記第1基板に接合することにより、前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程(5)と、
を備えることを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項7】
前記工程(2)及び前記工程(3)を同時に行うことにより、前記第2基板を得ることを特徴とする請求項
6に記載のパッケージの製造方法。
【請求項8】
さらに、前記工程(1)~前記工程(3)の後に、
前記第2基板に形成された前記凸部の先端を覆うように第2金属接合膜を形成する工程(6)と、
前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに前記凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1金属接合膜を形成する工程(7)と、を備え、
前記工程(5)は、前記工程(6)及び前記工程(7)の後に、前記第1基板と前記第2基板とを互いに加圧し、前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とを拡散接合させることで、前記第1基板と前記第2基板とを接合することを特徴とする請求項
6又は請求項
7に記載のパッケージの製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)及び前記工程(2)は、前記基板材料としてシリコン基板を用いることを特徴とする請求項
6~請求項
8の何れか一項に記載のパッケージの製造方法。
【請求項10】
前記工程(4)は、前記素子として、赤外線検出素子を、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に配置することを特徴とする請求項
6~請求項
9の何れか一項に記載のパッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ及びパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、赤外線センサ等の半導体装置に使用されているパッケージは、一般に、第1基板と、センサ素子と、第2基板とが備えられる。センサ素子は第1基板の上面に設けられており、各種検知を行う。また、第2基板は、センサ素子を覆った状態で第1基板の上面に接合される。また、第1基板と第2基板とに覆われた、センサ素子の上方に確保される封止空間は、減圧空間(キャビティ)とされている。
【0003】
赤外線センサに使用されているパッケージは、通常、有機物によるガスの発生を低減すること等を目的として、減圧雰囲気で封止されている。このような、減圧雰囲気で封止するパッケージは、一般的に製造コストが高いという問題がある。このような問題を解決するため、例えば、蓋状の第2基板の接合部の構造を、突起部を有する凸形状構造とし、第1基板側に形成される金属接合膜に埋設するように接合することにより、高い製造歩留りと、接合による高い封止気密性を実現し、信頼性の高いウエハーレベルのパッケージを得ることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術のように、蓋状とされた第2基板に凸形状構造を形成し、この凸形状構造を第1基板側の金属接合膜に埋設するためには、この埋設・接合に必要な圧力を第2基板に加える必要がある。この際、パッケージとして小型のチップを製造する場合には、1ウエハあたりのチップ数(取り数)が多くなって総接合面積も増大するが、接合装置の仕様上、第2基板に加えることが可能な加圧力には限界があることから、1ウエハあたりのチップ数に制限が生じるケースもある。また、接合装置側における加圧面が平坦である場合、加圧力がウエハ全体(複数のチップ全体)に分散され、加圧力に平面方向での偏りが生じ、上記の埋設・接合に必要な圧力を効率的に付与することが困難になるおそれがある。
【0006】
上記の理由により、例えば、1ウエハあたりのチップ数が多く、1ウエハあたりの総接合面積が接合装置の加圧能力を超える場合には、第1基板と第2基板との接合が不十分となるおそれがある。このため、ウエハーレベルのパッケージとしての十分な真空度が得られず、品質が低下するという問題がある。
一方、例えば、接合装置として加圧力が高められた装置を使用することも考えられる。しかしながら、この場合には、装置が大型化するのに伴って装置コストが増大し、ひいてはパッケージの製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質が得られ、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージを提供することを目的とする。
また、本発明は、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、高価で大型の装置を用いることなく、基板間を均一な加圧力で接合することができ、接合品質並びに素子特性に優れたパッケージを、装置コストを増大させることなく、生産性よく製造することが可能なパッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のパッケージは、第1基板と、前記第1基板の上面側に設けられる素子と、前記第1基板の上面側に前記素子を覆った状態で接合され、前記第1基板側に配置される下面側に、前記第1基板に接合される凸部と、平面視で前記凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域とを有する第2基板と、を備え、前記第2基板の上面側に、前記キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域が設けられているとともに、前記凸部と面対称となる位置で、平面視で前記凹状領域を囲むように、前記第2基板と一体の凸状領域が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、上記のように、第2基板の上面に、キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域が設けられているとともに、凸部と面対称となる位置で凸状領域が設けられていることで、第2基板の上面の凸状領域が接合装置によって点接触で加圧されるので、この凸状領域と面対称に配置された下面側の凸部に、加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板の上面が平坦面で、接合装置に対して面接触となる従来の構成に比べて、第2基板の凸部が第1基板に対して効果的に押圧されるとともに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される。
従って、例えば、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質が得られ、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージが実現できる。
【0010】
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記凸状領域が、平均高さが20~50μmの範囲である構成を採用することがより好ましい。
【0011】
本発明によれば、凸状領域の平均高さが20~50μmの範囲であることにより、生産性を損なうことなく、上記のような接合装置と凸状領域との面接触により、第2基板の凸部が第1基板に対して効果的に押圧される作用、並びに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される作用が安定して得られる。
【0012】
また、本発明のパッケージは、上記構成において、さらに、前記第2基板に形成された前記凸部の先端を覆うように第2金属接合膜が設けられており、前記第1基板の上面に、前記第2基板に形成された前記凸部に対応する位置で第1金属接合膜が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、上記の第1金属接合膜及び第2金属接合膜が、それぞれ対応する位置で設けられていることにより、第1基板と第2基板とを接合したとき、金属拡散接合によって高い封止気密性が得られる。また、第1基板及び第2基板における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、封止気密性の向上に加え、内部における電気的特性もより良好になり、優れた素子特性が得られる。
【0014】
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなる構成を採用することが好ましい。
【0015】
本発明によれば、第1基板及び第2基板が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、接合による内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたものとなる。
【0018】
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記素子が赤外線検出素子であり、且つ、前記第2基板が赤外線を透過可能とされた、所謂赤外線センサとしての構成を採用することが可能である。
【0019】
本発明によれば、上記のパッケージ構造を有し、素子として赤外線検出素子を備えた構成を採用することで、基板間の充分な接合品質を有し、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージとしての赤外線センサが実現できる。
【0020】
本発明のパッケージの製造方法は、少なくとも、基板材料の表面をエッチングすることにより、素子を収容する凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、基板材料の表面をエッチングすることにより、凸部と、平面視で前記凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、を形成して第2基板を得る工程(2)と、前記第2基板における、前記キャビティ領域及び前記凸部を形成した表面とは反対側の表面をエッチングすることにより、前記キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域を形成するとともに、前記凸部と面対称となる位置で、平面視で前記凹状領域を囲むように凸状領域を形成する工程(3)と、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に前記素子を配置する工程(4)と、前記第1基板と前記第2基板との間に前記素子が配置されるように前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせ、前記第2基板に形成された凸部を前記第1基板に接合することにより、前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程(5)と、を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、上記のように、工程(3)において、第2基板におけるキャビティ領域及び凸部を形成した表面と反対側の表面に、キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域を形成し、且つ、凸部と面対称となる位置で凸状領域を形成することで、工程(5)において、第2基板の上面に配置された凸状領域が接合装置によって点接触で加圧されるので、この凸状領域と面対称に配置された下面側の凸部に、加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板の上面が平坦面で、接合装置に対して面接触となる従来の構成に比べて、第2基板の凸部を第1基板に対して効果的に押圧できるとともに、上ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力を付与できる。
従って、例えば、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質を確保しながら、素子特性に優れたパッケージを、生産性よく低コストで製造することが可能になる。
【0022】
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(2)及び前記工程(3)を同時に行うことにより、前記第2基板を得る方法とすることがより好ましい。
【0023】
本発明によれば、凸部及び凹状のキャビティ領域を形成する工程(2)、並びに、キャビティ領域と面対称となる位置で凹状領域を形成するとともに、凸部と面対称となる位置で凸状領域を形成する工程(3)という、基板材料の表面をエッチング処理する工程を同時に行うことによって第2基板を得る方法とすることで、工程を簡略化でき、素子特性に優れたパッケージを、生産性よく低コストで製造することが可能になる。
【0024】
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、さらに、前記工程(1)~前記工程(3)の後に、前記第2基板に形成された前記凸部の先端を覆うように第2金属接合膜を形成する工程(6)と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに前記凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1金属接合膜を形成する工程(7)と、を備え、前記工程(5)は、前記工程(6)及び前記工程(7)の後に、前記第1基板と前記第2基板とを互いに加圧し、前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とを拡散接合させることで、前記第1基板と前記第2基板とを接合する方法を採用することがより好ましい。
【0025】
本発明によれば、さらに、上記の工程(6)及び工程(7)を備え、上記の第1金属接合膜及び第2金属接合膜を、それぞれ対応する位置で形成したうえで、上記の工程(5)において、第1金属接合膜と第2金属接合膜とを拡散接合させ、第1基板と第2基板とを接合することで、高い封止気密性を有するパッケージが得られる。また、第1基板及び第2基板における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、封止気密性の向上に加え、内部における電気的特性もより良好になり、優れた特性を有するパッケージを製造することが可能になる。
【0026】
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(1)及び前記工程(2)が、前記基板材料としてシリコン基板を用いる工程であることがより好ましい。
【0027】
本発明によれば、第1基板及び第2基板に、加工性に優れるシリコン基板を用いることで、後工程となる工程(5)で第1基板と第2基板とを接合する際の内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたパッケージを製造することが可能になる。
【0028】
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(4)が、前記素子として、赤外線検出素子を、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に配置する方法を採用してもよい。
【0029】
本発明によれば、上記の各工程によって得られるパッケージ構造を有し、素子として赤外線検出素子をデバイス領域に配置する方法なので、基板間の充分な接合品質を有し、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージとして赤外線センサを製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のパッケージによれば、上記構成を備えることにより、例えば、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質が得られる。従って、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージが実現できる。
【0031】
また、本発明のパッケージの製造方法によれば、上記方法を採用することにより、例えば、1ウエハあたりのチップ数(取り数)が多い場合であっても、高価で大型の装置を用いることなく、基板間を均一な加圧力で接合することができる。従って、接合品質並びに素子特性に優れたパッケージを、装置コストを増大させることなく、生産性よく製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1の実施形態であるパッケージを模式的に説明する平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態であるパッケージを模式的に説明する図であり、
図1中に示すI-I断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態であるパッケージの製造方法を模式的に説明する図であり、
図3(a)~(c)は、工程(2)において基板をウェットエッチングすることで第2基板を得るステップを示す工程図、
図3(d)は、工程(6)において第2基板の凸部に第2金属接合膜を形成するステップを示す工程図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態であるパッケージの製造方法を模式的に説明する図であり、
図4(a)は、工程(7)において第1基板の表面に第1金属接合膜を形成するステップ、及び、工程(4)においてデバイス領域に素子を配置するステップを示す工程図、
図4(b)は、工程(5)において第1基板と第2基板とを接合することでパッケージを得るステップを示す工程図、
図4(c)は、ウエハをダイシングすることで電極を露出させるとともに、チップ化するステップを示す工程図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態であるパッケージを模式的に説明する平面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態であるパッケージを模式的に説明する図であり、
図5中に示すII-II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明のパッケージ及びパッケージの製造方法の実施形態を挙げ、その構成について
図1~
図6を適宜参照しながら詳述する。なお、以下の説明で用いる各図面は、本発明のパッケージの特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0034】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について、
図1~
図4を参照しながら詳述する。
【0035】
[パッケージの構成]
以下に、本実施形態のパッケージの構成について説明する。
図1は、本実施形態のパッケージ1を模式的に説明する平面図であり、
図2は、
図1中に示すパッケージ1のI-I断面図である。
図1及び
図2に示すように、本実施形態のパッケージ1は、第1基板2(ベース基板)と、素子4と、第2基板3(リッド基板)とを備える。本実施形態のパッケージ1は、内部に素子4が設けられることで、種々のセンサ装置や半導体装置等を構成するものである。
【0036】
より詳細には、本実施形態のパッケージ1は、第1基板2と、第1基板2の上面2a側に設けられる素子4と、素子4を覆った状態で第1基板2の上面2a側に接合され、第1基板2側に配置される下面3a側に、第1基板2に接合される凸部31と、平面視で凸部31に囲まれるように形成され、素子4上に封止空間(減圧空間・キャビティ)Cを確保するための凹状のキャビティ領域32とを有する第2基板3と、を備えて概略構成される。
図1に示すように、本実施形態のパッケージ1には、検出信号を出力するための電極8a,8bが備えられている。
【0037】
そして、本実施形態のパッケージ1は、第2基板3の上面3b側に、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34が設けられているとともに、凸部31と面対称となる位置で、平面視で凹状領域34を囲むように凸状領域33が設けられている。
【0038】
なお、本実施形態のパッケージ1は、第1基板2の上面2aと第2基板3の凸部31とが、金属接合膜からなる接合体50によって接合されている。
また、図示は省略するが、パッケージ1の内部には、素子4と電極8a,8bとを電気的に接続するための内部配線が設けられている。
以下、本実施形態のパッケージ1の構成について説明する。
【0039】
第1基板2は、パッケージ1のベース基板であり、例えば、シリコン基板からなる。また、第1基板2は、
図1に示す例では、平面視で矩形状に形成されている。また、第1基板2の上面2aには、後述する素子4を配置するためのデバイス領域22が凹状に形成されており、図示例においては、平面視で概略中央にデバイス領域22が設けられている。
【0040】
第1基板2は、シリコン基板をウェットエッチングすることにより、デバイス領域22を形成することで得ることができる。デバイス領域22は、例えば、平面視矩形状に形成される領域である。
また、第1基板2の平面視形状は、図示例のような概略矩形状のものには限定されず、パッケージ1としての平面視形状に合わせて各種形状を採用することができる。
また、本実施形態においては、第1基板2の上面2a及び下面2bは、デバイス領域22の部分を除いて概略平坦に構成されている。
【0041】
素子4は、上述のように、第1基板2の上面2a側に形成された凹状のデバイス領域22に収容されるように設けられている。また、素子4は、その検出信号を、電極8a,8bを介して外部に向けて出力する。
【0042】
素子4は、例えば、ベース基板である第1基板2の構成材料から構成された部分を有してもよく、外部から供給された材料から構成された部分を有してもよく、第1基板2の構成材料と外部から供給された材料とを混合して構成された部分を有してもよい。本実施形態における素子4としては、例えば、センサ素子の他、電子素子、集積回路等が挙げられる。また、センサ素子としては、例えば、赤外線センサ、加速度センサ、角速度センサ等が挙げられる。
【0043】
また、
図1及び
図2等においては図示を省略しているが、本実施形態のパッケージ1においては、第1基板2におけるデバイス領域22の周囲や、電極8a,8bの周囲等に絶縁層が設けられていてもよい。具体的には、図視略の絶縁層は、第1基板2の上面2a側のうち、素子4よりも外側の領域に、平面視で素子4を囲むように設けることができる。この絶縁層は、絶縁性を有する材料からなり、例えば、二酸化ケイ素(SiO
2)等のシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜(SiN
x)等から形成される。
【0044】
第2基板3は、パッケージ1のリッド基板(蓋)であり、第1基板2と同様、例えば、シリコン基板からなる。また、図示例の第2基板3は、第1基板2と同様、平面視で矩形状に形成されている。また、第2基板3は、縁部近傍に凸部31を有し、概略で蓋状に形成されている。さらに、第2基板3における凸部31よりも平面視で内側の領域は、詳細を後述するように、第1基板2の上面2aと、第2基板3の下面3a側に設けられた凸部31とを組み合わせて接合した際に、キャビティ領域32による封止空間(キャビティ)Cを形成する。
なお、図示例のキャビティ領域32は、平面視矩形状とされている。
また、図示例の凸部31は、詳細を後述するウェットエッチングによる加工条件に伴い、側部が傾斜して形成されている。
【0045】
第2基板3は、第1基板2に対して概略平行となるように重ね合わせられている。
また、第2基板3の平面視形状も、第1基板2の場合と同様、図示例のような概略矩形状には限定されず、パッケージ1としての平面視形状に合わせて、第1基板2と対応する形状とすることができる。
また、第2基板3は、上記の素子4が赤外線検出素子である場合には、赤外線を透過可能に構成される。
【0046】
本実施形態のパッケージ1に備えられる第2基板3は、上記のように、第2基板3の上面3b側に、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34が設けられているとともに、凸部31と面対称となる位置で、平面視で凹状領域34を囲むように凸状領域33が設けられている。
なお、図示例の凸状領域33は、上述した凸部31と同様、詳細を後述するウェットエッチングによる加工条件に伴い、側部が傾斜して形成されている。
【0047】
本実施形態のパッケージ1によれば、第2基板3の上面3bに、上記のような凹状領域34及び凸状領域33が設けられていることで、凸状領域33が接合装置によって点接触で加圧されるので、凸状領域33と面対称に配置された下面3a側の凸部31に、加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板の上面が平坦面で、接合装置に対して面接触となる従来の構成に比べて、第2基板3の凸部31が第1基板に対して効果的に押圧される。また、上記の面接触である場合と比べて、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される。
【0048】
凸状領域33の平均高さは、特に限定されないが、20~50μmの範囲であることが好ましい。即ち、凹状領域34の平均深さも、上記同様に、20~50μmの範囲であることが好ましい。
凸状領域33の平均高さ(凹状領域34の平均深さ)が20~50μmの範囲であることにより、生産性を損なうことなく、上記のような接合装置と凸状領域33との面接触により、第2基板3の凸部31が第1基板2に対して効果的に押圧される作用、並びに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される作用が安定して得られる。
【0049】
一方、凸状領域33の平均高さが上記範囲の下限未満だと、上記のような点接触状態を維持することが難しくなり、第2基板3の凸部31が第1基板2に対して効果的に押圧される作用、並びに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される作用が得られ難くなる可能性がある。
また、凸状領域33平均高さが上記範囲の上記範囲の上限を超える場合、これと相対的に、凹状領域34の平均深さが第2基板3の厚みに対して深くなりすぎることから、基板強度の確保等の観点から好ましくない。
【0050】
また、凹状領域34の平面視形状は、第2基板3の下面3a側のキャビティ領域32と、面対称で同形状とすることが好ましい。図示例においては、凹状領域34の平面視形状が、キャビティ領域32と概略同形状で、且つ、概略同寸法である矩形状とされている。一方、凹状領域34の平面視形状、及び、キャビティ領域32の平面視形状は、図示例のような矩形状には限定されず、パッケージ1の用途・仕様を勘案して適宜決定できる。
【0051】
また、凹状領域34は、第2基板3の上面3bの一部がエッチングによって除去された領域であることが好ましい。これにより、凹状領域34を形成する際の加工性が良好になるとともに、上記のような、第2基板3の凸部31が第1基板2に対して効果的に押圧される作用、並びに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される作用が顕著に得られる。
【0052】
また、本実施形態のパッケージ1においては、第1基板2及び第2基板3がシリコン基板からなることが好ましい。このように、第1基板2及び第2基板3が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、接合による内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたものとなる。
【0053】
接合体50は、上記のように、第1基板2の上面2aと第2基板3の凸部31との間に配置され、第1基板2と第2基板3とを接合するものである。
図2中に示すように、接合体50は、第2基板3に形成された凸部31の先端を覆うように設けられた第2金属接合膜6と、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3に形成された凸部31に対応する位置で設けられた第1金属接合膜5とからなり、これらの間が金属拡散接合されて構成される。また、接合体50は、
図1中に示すように、平面視で概略枠状に構成される。パッケージ1に備えられる接合体50は、第1基板2と第2基板3とを接合することで、これら第1基板2、第2基板3及び接合体50に囲まれた封止空間Cを形成する。
【0054】
より具体的には、接合体50は、第1基板2の上面2aに配置される第1下地層51、及び、第1下地層51上に積層して設けられる第1接合層52からなる第1金属接合膜5と、第2基板3の凸部31の先端に配置される第2下地層61、及び、第2下地層61に積層して設けられる第2接合層62からなる第2金属接合膜6と、から構成される。
図2中に示す第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6は、平面視矩形状で、概略枠状に形成されている。
そして、接合体50は、第1接合層52と第2接合層62とが接合されることで、第1基板2と第2基板3との間を接合する。
【0055】
第1下地層51及び第2下地層61は、それぞれ、第1基板2の上面2a、又は、第2基板3の凸部31の先端に接合される。上記のような各下地層を備えることにより、第1接合層52が第1基板2に対して強固に接合され、第2接合層62が第2基板3の凸部31に対して強固に接合される。
【0056】
第1下地層51及び第2下地層61は、第1基板2の上面2a上、又は、第2基板3の凸部31の先端において、導電性を有する金属材料によって薄膜状に形成されている。
第1下地層51及び第2下地層61の材料としては、特に限定されないが、例えば、タンタル(Ta)又は窒化チタン(TiN)からなる薄膜とされていることが好ましい。
また、第1基板2側に設けられる第1下地層51は、例えば、図視略のグラウンドに接続されている。このグラウンドは、例えば、第1基板2の下面2b側に設けることができるが、第1基板2の上面2a側に設けられていてもよい。
【0057】
第1接合層52及び第2接合層62は、上記のように、それぞれ、第1下地層51又は第2下地層61に積層されている。
第1接合層52及び第2接合層62の材料としては、特に限定されないが、例えば、第1下地層51及び第2下地層61の材料としてタンタルを用いた場合には、第1接合層52及び第2接合層62の材料として金(Au)を用いる。また、第1下地層51及び第2下地層61の材料として窒化チタンを用いた場合には、第1接合層52及び第2接合層62の材料としてアルミニウム(Al)を用いる。
【0058】
そして、本実施形態においては、第1接合層52と第2接合層62とが、同じ材料同士で接合されるように構成される。即ち、第1接合層52及び第2接合層62は、両方が同じ材料、即ち、金(Au)又はアルミニウム(Al)の何れか一方の材料を含むように構成される。
【0059】
接合体50を上記材料から構成した場合、各層の厚さは特に限定されない。一方、電気的特性や接合時の強度等を勘案し、第1下地層51及び第2下地層61をタンタルから構成し、第1接合層52及び第2接合層62を金から構成した場合には、例えば、{第1接合層52(又は第2接合層62):0.5nm~2μm/第1下地層51(又は第2下地層61):0.05~0.2μm}の範囲とすることが好ましい。
同様に、第1下地層51及び第2下地層61を窒化チタンから構成し、第1接合層52及び第2接合層62をアルミニウムから構成した場合には、例えば、{第1接合層52(又は第2接合層62):1~3μm/第1下地層51(又は第2下地層61):0.05~0.5μm}の範囲とすることが好ましい。
【0060】
本実施形態においては、接合体50を上記のような層構造から構成することにより、詳細については後述するが、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせて加圧した際に、第1下地層51及び第1接合層52と、第2下地層61及び第2接合層62との間に金属拡散接合が発現される。これにより、接合体50を強固な接合構造とし、且つ、第1基板2と第2基板3とを、封止空間Cにおける封止性を高めながら強固に接合することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態においては、接合体50を上記材料から構成して金属拡散接合させることには限定されない。例えば、接合体50の各層を金(Au)又はスズ(Sn)から構成し、Au-Sn共晶接合させた構成を採用してもよい。この場合、例えば、第1下地層51及び第2下地層61、並びに、第1接合層52及び第2接合層62を、それぞれAu-Sn共晶合金から形成し、共晶温度まで加熱及び溶融させることで、第1下地層51及び第1接合層52と、第2下地層61及び第2接合層62との間を共晶接合させる。これにより、第1基板2と第2基板3とを接合することができる。
【0062】
第1基板2の上面2aには、電極8a,8b、及び、図視略の内部配線が設けられている。
電極8a,8bは、図視略の内部配線等を介して素子4と電気的に接続され、素子4による検出信号等を外部に出力するものである。電極8a,8bは、第1基板2の上面2a上において、それぞれ対向する縁部に沿って設けられており、図示例においては、電極8aと電極8bとが、それぞれ対向して4カ所に設けられている。また、電極8a,8bは、平面視で第2基板3よりも外側に設けられている。電極8a,8bは、例えば、赤外線検出素子等の素子4による検出信号等を必要とする種々の外部機器に対して電気的に接続可能に設けられる。
【0063】
上記の電極8a,8b及び内部配線を構成する材料としては、優れた導電性を有する配線材料又は電極材料であれば、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料を何ら制限無く用いることができる。例えば、電極8a,8b及び内部配線として、窒化チタン(TiN)、アルミシリコン合金(AlSi)、及び窒化チタン(TiN)を、スパッタリング法によって順次積層したもの等を用いることが可能である。
【0064】
本実施形態のパッケージ1によれば、上述したように、第2基板3に設けられた凸状領域33が接合装置によって加圧されたときに、凸状領域33が接合装置によって点接触で加圧されることで、凸状領域33と面対称に配置された凸部31に加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板3の凸部31が第1基板2に対して効果的に押圧されるとともに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される。
このため、例えば、1ウエハあたりのチップ数が非常に多く総接合面積が大きい場合であっても、大型で加圧力の高い接合装置を用いることなく、充分な加圧力で、ウエハ全体に対して均一に加圧することが可能になる。一方、例えば、1ウエハあたりのチップ数(取り数)を少なめに設定した場合には、接合装置が小型で安価なものであっても、充分な加圧力で、ウエハ全体に対して均一に加圧することが可能になる。
従って、基板間の充分な接合品質が得られ、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージ1が実現できる。
【0065】
また、本実施形態のパッケージ1によれば、上記の第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6が、それぞれ対応する位置で設けられていることにより、第1基板2と第2基板3とを接合したときに、第1金属接合膜5と第2金属接合膜6とが金属拡散接合によって接合されるので、高い封止気密性が得られる。また、第1基板2及び第2基板3における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、上記の封止気密性の向上に加え、内部における電気的特性もより良好になり、優れた素子特性が得られる。
【0066】
また、本実施形態のパッケージ1によれば、第1基板2及び第2基板3が、詳細を後述するウェットエッチングによって加工した際の加工性が優れるシリコン基板からなることで、素子特性にさらに優れたものとなる。
さらに、詳細を後述するが、第2基板3の上面3b側に形成される凸状領域33及び凹状領域34は、下面3a側に形成される凸部31及びキャビティ領域32と同時に形成することが可能なものなので、生産性に優れ、且つ、低コストなものとなる。
【0067】
また、本実施形態のパッケージ1によれば、素子4として赤外線検出素子を採用し、且つ、第2基板3が赤外線を透過可能に構成されることにより、基板間の充分な接合品質を有し、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れた赤外線センサが実現できる。
【0068】
次に、本実施形態のパッケージ1を用いた各種検出に係る処理の一例として、素子4に赤外線検出素子を用い、赤外線センサとしてパッケージを構成した場合について説明する。
まず、赤外線が第2基板3の上面3b側から入射して第2基板3を透過すると、赤外線検出素子からなる素子4は、その赤外線を検出して検出信号を出力する。素子4から出力された検出信号は、図視略の内部配線等を通り、複数の電極8a,8bから出力される。複数の電極8a,8bから出力された検出信号は、外部機器に送信されて所定の動作が行われる。
【0069】
[パッケージの製造方法]
次に、本実施形態のパッケージ1を製造する方法について、
図3及び
図4を参照しながら詳述する(パッケージ1の構成については
図1,
図2も適宜参照)。
図3及び
図4は、本実施形態のパッケージ1の製造方法を模式的に説明する図であり、
図3(a)~(c)は、以下に説明する工程(2)においてシリコン基板をウェットエッチングすることで第2基板3を得るステップを示す工程図、
図3(d)は、工程(6)において第2基板3の凸部31に第2金属接合膜6を形成するステップを示す工程図である。また、
図4(a)は、工程(7)において第1基板2の上面(表面)2aに第1金属接合膜5を形成するステップを示す工程図、
図4(b)は、工程(5)において第1基板2と第2基板3とを接合することでパッケージ1を得るステップを示す工程図、
図4(c)は、ウエハをダイシングすることで電極8a,8bを露出させるとともに、チップ化するステップを示す工程図である。
【0070】
本実施形態のパッケージ1の製造方法は、例えば、
図1及び
図2に示すような本実施形態のパッケージ1を製造する方法であり、少なくとも以下の工程(1)~(5)を備える方法である。
工程(1):基板材料の表面をエッチングすることにより、素子4を収容する凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を得る。
工程(2):基板材料の表面をエッチングすることにより、凸部31と、平面視で凸部31に囲まれるように形成され、素子4上に封止空間(減圧空間・キャビティ)Cを確保するための凹状のキャビティ領域32とを形成して第2基板を得る。
工程(3):第2基板3における、キャビティ領域32及び凸部31を形成した表面とは反対側の表面をエッチングすることにより、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34を形成するとともに、凸部31と面対称となる位置で、平面視で凹状領域34を囲むように凸状領域33を形成する。
工程(4):第1基板2に形成されたデバイス領域22に素子4を配置する。
工程(5):第1基板2と第2基板3との間に素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせ、第2基板3に形成された凸部31を第1基板2に接合することにより、第1基板2と第2基板3とを接合する。
【0071】
なお、本実施形態においては、第2基板3の上面3bに凹状領域34及び凸状領域33を形成する工程(3)が、第2基板3の下面3aに凸部31及びキャビティ領域32を形成する工程(2)と同時に行う工程とされている例を説明する。
また、本実施形態では、上記の工程(1)~(5)に加え、さらに、工程(1)~(3)の後に、第2基板3に形成された凸部31の先端を覆うように第2金属接合膜6を形成する工程(6)と、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせたときに凸部31に対応する位置で、第1基板2上に第1金属接合膜5を形成する工程(7)と、を備え、上記の工程(5)が、工程(6)及び工程(7)の後に、第1基板2と第2基板3とを互いに加圧し、第1金属接合膜5と第2金属接合膜6とを拡散接合させることで、第1基板2と第2基板3とを接合する例を説明する。
【0072】
まず、工程(1)において、基板材料、例えばシリコン基板の表面をウェットエッチングし、素子4を収容する凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を作製する(
図4(a)を参照)。
具体的には、工程(1)では、まず、基板材料となるシリコン基板の表面に、フォトリソグラフィ法により、凹状のデバイス領域22をウェットエッチングで形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。
次いで、シリコン基板の表面をウェットエッチングすることにより、凹状のデバイス領域22を形成する。
その後、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
【0073】
工程(1)においては、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えばスピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。
また、工程(1)におけるウェットエッチング条件としても、特に限定されず、例えば、従来からシリコン基板のエッチングに用いられているKOH等のエッチング液を用いることができる。また、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても、従来公知の条件を何ら制限無く採用できる。
【0074】
本実施形態では、上記工程(1)を実施するのと平行して、工程(2)において、基板材料、例えばシリコン基板の表面(下面3a)をエッチングすることにより、凸部31と、平面視で凸部31に囲まれるように形成され、素子4上に封止空間Cを確保するための凹状のキャビティ領域32とを形成して第2基板3を作製する。また、本実施形態においては、上記のように、工程(2)と、第2基板3の表面(上面3b)をエッチングすることにより、凹状領域34及び凸状領域33を形成する工程(3)とを同時に行う。
【0075】
即ち、工程(2),(3)においては、まず、
図3(a)に示すような、基板材料となるシリコン基板3Aを準備する。
次いで、詳細な図示を省略するが、シリコン基板3Aの一方の表面(下面3a)にドライフィルムレジストを塗布した後、フォトリソグラフィ法によってパターン化することにより、凸部31及びキャビティ領域32をウェットエッチングで形成するための図視略のレジストパターンを形成する。
これと同時に、シリコン基板3Aの他方の表面(上面3b)に、上記同様、ドライフィルムレジストを塗布した後、フォトリソグラフィ法によってパターン化することにより、凹状領域34及び凸状領域33をウェットエッチングで形成するための図視略のレジストパターンを形成する。
【0076】
次いで、
図3(b)に示すように、シリコン基板3Aの一方の表面(下面3a)をウェットエッチングすることにより、凸部31を形成するとともに、
図1及び
図2中にも示すような、凸部31に囲まれたキャビティ領域32を形成する(工程(2))。
これと同時に、
図3(c)に示すように、シリコン基板3Aの他方の表面(上面3b)をウェットエッチングすることにより、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34を形成するとともに、凸部31と面対称となる位置で、平面視で凹状領域34を囲むように凸状領域33を形成する(工程(3))。
【0077】
上記の工程(2),(3)により、第2基板3が得られる。
なお、本実施形態の製造方法で得られるパッケージ1は、上記のキャビティ領域32に対応する領域が封止空間Cとなる。
その後、第2基板3からレジストパターンを剥離する。
【0078】
工程(2)及び工程(3)においても、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えばスピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。
また、工程(2)及び工程(3)におけるウェットエッチング条件としても、特に限定されず、例えば、従来からシリコン基板のエッチングに用いられているKOH等のエッチング液を用いることができる。また、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても、従来公知の条件を何ら制限無く採用できる。
【0079】
次に、工程(6)においては、第2基板3に形成された凸部31の先端を覆うように第2金属接合膜6を形成する。
具体的には、まず、
図3(c)に示すような、工程(2),(3)で得られた第2基板3の下面3a側に、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法により、第2金属接合膜6を形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。この際、第2基板3の下面3aにおける、凸部31の部分を除いた全面にレジストパターンを形成する。
【0080】
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、
図3(b)に示すように、凸部31の先端に第2金属接合膜6を形成する。この際、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au層(第2接合層62)/Ta層(第2下地層61)}構造、又は、{Al層(第2接合層62)/TiN層(第2下地層61)}構造の薄膜からなる第2金属接合膜6を形成することができる。
その後、第1基板2の上面2aから図視略のレジストパターンを剥離する。
【0081】
また、本実施形態では、上記の工程(6)を実施するとともに、工程(7)において、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせたときに凸部31に対応する位置で、第1基板2上に第1金属接合膜5を形成する。
具体的には、まず、デバイス領域22が形成された第1基板2の上面2a上に、上記同様、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法により、第1金属接合膜5を形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。この際、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3の凸部31に対応する部分を除いた全面にレジストパターンを形成する。
【0082】
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、第1基板2の上面2a上に第1金属接合膜5を形成する(
図4(a)を参照)。
なお、工程(7)においては、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au層(第1接合層52)/Ta層(第1下地層51)}構造、又は、{Al層(第1接合層52)/TiN層(第1下地層51)}構造の薄膜からなる第1金属接合膜5を形成することができる。また、この際、第2金属接合膜6が{Au層(第2接合層62)/Ta層(第2下地層61)}からなる場合には、第1金属接合膜5も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜5のAu層(第1接合層52)と第2金属接合膜6のAu層(第2接合層62)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
また、第2金属接合膜6が{Al層(第2接合層62)/TiN層(第2下地層61)}からなる場合には、第1金属接合膜5も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜5のAl層(第1接合層52)と第2金属接合膜6のAl層(第2接合層62)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
その後、第1基板2から図視略のレジストパターンを剥離する。
【0083】
また、本実施形態においては、
図4(a)中に示すように、第1基板2の上面2aに、スパッタリング法によって導電性材料を積層することにより、電極8a,8b、及び、図視略の内部配線を形成する。この際、電極8a,8bに用いられる電極材料、及び、内部配線に用いられる配線材料としては、特に限定されないが、例えば、上述したような、TiN、AlSi、及びTiNを順次積層することで形成することができる。
【0084】
次に、工程(4)において、第1基板2の上面2aに形成された凹状のデバイス領域22に、素子4を配置する(
図4(a)等を参照)。
【0085】
次に、工程(5)において、
図4(b)に示すように、第1基板2と第2基板3との間に素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせ、第1基板2と第2基板3とを接合する。即ち、第2基板3の凸部31の先端に形成された第2金属接合膜6と、第1基板2の上面2a上に形成された第1金属接合膜5とを重ね合わせ、互いに加圧することで金属拡散接合を発現させることにより、第1基板2と第2基板3とを接合する。
【0086】
具体的には、まず、
図4(b)に示すように、第1金属接合膜5と第2金属接合膜6とを突き合わせるように、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせる。
次いで、第1基板2と第2基板3とを互いに加圧することにより、第1金属接合膜5と第2金属接合膜6との間に金属拡散接合を発現させ、この部分を接合する。
【0087】
本実施形態の製造方法においては、工程(5)において、第2基板3の上面3bに配置された凸状領域33に加圧力が付与されたときに、凸状領域33と面対称に配置された下面3a側の凸部31が、第1基板2の上面2aを効果的に加圧する。この際、凸状領域33に付与された加圧力が、第2基板3の下面3a側の凸部31に効果的に伝播するので、第2基板の上面が平坦面である場合に比べて、第1基板2に対して第2基板3の凸部31が効果的に押圧されるとともに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力を付与できる。
【0088】
上記の拡散接合を行う際の条件、即ち、パッケージ1の封止空間Cを封止する条件としては、特に限定されないが、例えば、第1基板2側の第1金属接合膜5、及び、第2基板3側の第2金属接合膜6が{Au層(第1接合層52又は第2接合層62)/Ta層(第1下地層51又は第2下地層61)}である場合には、例えば、温度条件を300~350℃の範囲とし、加圧力を450~900kPaの範囲とすることが好ましい。
一方、第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6が{Al層(第1接合層52又は第2接合層62)/TiN層(第1下地層51又は第2下地層61)}である場合には、例えば、温度条件を350~400℃の範囲とし、加圧力を27~60MPaの範囲とすることが好ましい。
【0089】
また、第1基板2と第2基板3とを接合する際の封止幅(接合幅)、即ち、第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6の最大幅も、特に限定されない。一方、封止気密性の向上等を考慮した場合、上記の封止幅は、第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6が{Au層(第1接合層52又は第2接合層62)/Ta層(第1下地層51又は第2下地層61)}である場合には、例えば、0.15~0.30mmの範囲であることが好ましい。また、第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6が{Al層(第1接合層52又は第2接合層62)/TiN層(第1下地層51又は第2下地層61)}である場合には、上記の封止幅は、例えば、0.03~0.1mmの範囲であることが好ましい。
【0090】
そして、本実施形態では、上記の工程(5)の後、
図4(c)に示すように、ダイシングラインLに沿って、第2基板3において対向する一対の縁部をダイシングすることにより、電極8a,8bを露出させ、その後、チップ単位に個片化する。
以上の各工程により、本実施形態のパッケージ1を製造することができる。
なお、上記の各工程は、可能な範囲で、その工程順を変更したり、あるいは、同じ工程として行ったりすることも可能である。
【0091】
本実施形態のパッケージ1の製造方法によれば、上記構成により、第2基板3に設けられた凸状領域33を接合装置で加圧したときに、凸状領域33が接合装置によって点接触で加圧されるので、凸状領域33と面対称に配置された下面3a側の凸部31に加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板3の凸部31を第1基板2に対して効果的に押圧できるとともに、上ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力を付与できる。
このため、例えば、1ウエハあたりのチップ数が非常に多く総接合面積が大きい場合であっても、大型で加圧力の高い接合装置を用いることなく、充分な加圧力で、ウエハ全体に対して均一に加圧できる。一方、例えば、1ウエハあたりのチップ数(取り数)を少なめに設定した場合には、接合装置が小型で安価なものであっても、充分な加圧力で、ウエハ全体に対して均一に加圧できる。
従って、例えば、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質を確保しながら、素子特性に優れたパッケージを、生産性よく低コストで製造できる。
【0092】
また、本実施形態の製造方法では、凸部31及び凹状のキャビティ領域32を形成する工程(2)、並びに、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34を形成するとともに、凸部31と面対称となる位置で凸状領域33を形成する工程(3)という、基板材料の表面をエッチング処理する工程を同時に行うことによって第2基板3を得る方法を採用した場合には、工程を簡略化でき、素子特性に優れたパッケージを、生産性よく低コストで製造できる。
【0093】
また、本実施形態の製造方法では、上記の工程(6)及び工程(7)を備え、第1金属接合膜5及び第2金属接合膜6を、それぞれ対応する位置で形成したうえで、上記の工程(5)において、第1金属接合膜5と第2金属接合膜6とを拡散接合させ、第1基板2と第2基板3とを接合することで、高い封止気密性を有するパッケージ1が得られる。また、第1基板2及び第2基板3における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、封止気密性の向上に加え、内部における電気的特性もより良好になり、優れた特性を有するパッケージ1を製造できる。
【0094】
また、本実施形態の製造方法では、第1基板2及び第2基板3に、ウェットエッチングによる加工性に優れるシリコン基板を用いることで、工程(5)で第1基板2と第2基板3とを接合する際の内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたパッケージ1を製造できる。
さらに、第2基板3の上面3b側に形成される凸状領域33及び凹状領域34は、ウェットエッチングにより、下面3a側に形成される凸部31及びキャビティ領域32と同時に形成することが可能なものなので、優れた生産性が得られるとともに、製造コストも抑制できる。
【0095】
また、本実施形態の製造方法では、工程(4)において、素子4として赤外線検出素子をデバイス領域に配置することにより、基板間の充分な接合品質を有し、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージ1として赤外線センサを製造できる。
【0096】
<第2の実施形態>
以下に、本発明の第2の実施形態のパッケージ10について、
図5及び
図6を適宜参照しながら詳述する。
なお、以下に説明する第2の実施形態のパッケージ10において、上述した第1の実施形態のパッケージ1と共通する構成については、図中において同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
【0097】
図5は、第2の実施形態のパッケージ10を模式的に説明する平面図であり、
図6は、
図5中に示すII-II断面図である。
図5及び
図6に示すように、第2の実施形態のパッケージ10は、第1基板2(ベース基板)と、素子4と、第2基板3(リッド基板)とを備える。そして、本実施形態のパッケージ10は、第2基板13の上面13b側に設けられる凸状領域が、第2基板13の上面13bに設けられた金属膜33Aからなり、凹状領域34Aが、金属膜33Aに囲まれた領域からなる点で、エッチング等の方法で第2基板3の上面3bの一部が除去されることで形成された凸状領域33及び凹状領域34を有する、第1の実施形態のパッケージ1とは異なる。
即ち、本実施形態のパッケージ10は、第2基板13の上面13b側に設けられる凸状領域が、別部材である金属膜33Aからなる点を除き、他の構成については第1の実施形態のパッケージ1と同様であり、また、それらの形成方法等も同様とすることができる。
【0098】
ここで、第1の実施形態のパッケージ1においては、第2基板3の上面3b側をエッチングすることで凸状領域33及び凹状領域34を形成している。これに対し、本実施形態のパッケージ10においては、例えば、フォトリソグラフィ法等の方法により、第2基板13の上面13bに金属膜33Aからなる凸状領域を形成することができる。
【0099】
即ち、まず、第2基板13の上面13bに、例えば、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法により、金属膜33Aを形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。この際、第2基板13の上面13bにおける、凸状領域の形成予定領域を除いた全面にレジストパターンを形成する。
【0100】
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法によって金属膜を形成することにより、
図5及び
図6に示すように、凸部31と面対称に配置された金属膜33Aを形成する。この際に用いる金属材料としては、接合装置による加圧力に耐えられる金属膜33Aを形成すること等を勘案し、Ti(チタン)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Ni(ニッケル)等の各金属材料を用いることができる。
【0101】
金属膜33Aからなる凸状領域、並びに、金属膜33Aによって囲まれた凹状領域34Aの形状や寸法、配置位置等は、第1の実施形態のパッケージ1に備えられる第2基板3に形成された凸状領域33及び凹状領域34と同様とする。
【0102】
本実施形態のパッケージ10によれば、上記構成を採用することにより、第1の実施形態のパッケージ1と同様、第2基板13の上面13bに凹状領域34B及び凸状領域である金属膜33Aが設けられた構成となる。これにより、第1の実施形態のパッケージ1と同様、第2基板13の上面13bに配置された金属膜33Aが接合装置によって点接触で加圧されるので、金属膜33Aと面対称に配置された下面13a側の凸部31に加圧力が効果的に伝播する。このため、第2基板の上面が平坦面で、接合装置に対して面接触となる従来の構成に比べて、第2基板13の凸部31を第1基板2に対して効果的に押圧できるとともに、上ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力を付与することが可能になる。
従って、基板間の充分な接合品質が得られ、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージ10が簡便な方法で得られる。
【0103】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態のパッケージ1によれば、上記のように、第2基板3の上面3bに、キャビティ領域32と面対称となる位置で凹状領域34が設けられているとともに、凸部31と面対称となる位置で凸状領域33が設けられた構成を採用している。このような構成により、凸状領域33が接合装置によって点接触で加圧されるので、凸状領域33と面対称に配置された下面3a側の凸部31に加圧力が効果的に伝播する。これにより、第2基板3の上面が平坦面で、接合装置に対して面接触となる従来の構成に比べて、第2基板3の凸部31が第1基板2に対して効果的に押圧されるとともに、ウエハの面方向で偏りなく均一に加圧力が付与される。
従って例えば、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質が得られる。従って、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れたパッケージ1,10が実現できる。
【0104】
また、本発明のパッケージ1の製造方法によれば、上記方法を採用することにより、例えば、1ウエハあたりのチップ数(取り数)が多い場合であっても、高価で大型の装置を用いることなく、基板間を均一な加圧力で接合することができる。従って、接合品質並びに素子特性に優れたパッケージ1を、装置コストを増大させることなく、生産性よく製造することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明のパッケージは、上述したように、1ウエハあたりのチップ数が多い場合であっても、基板間の充分な接合品質が得られ、低コストであるとともに生産性及び素子特性に優れている。従って、信頼性の高い各種検出精度が要求される電子機器等における用途、例えば、携帯端末、スマートフォン、センサネットワーク・デバイス、モノのインターネット(IoT)技術等において非常に好適である。
【符号の説明】
【0106】
1,10…パッケージ
2…第1基板
2a…上面
2b…下面
22…デバイス領域
3、13…第2基板
3a,13a…下面
3b,13b…上面
31…凸部
32…キャビティ領域
33…凸状領域
33A…金属膜(凸状領域)
34,34A…凹状領域
3A…シリコン基板
4…素子
50…接合体
5…第1金属接合膜
51…第1下地層
52…第1接合層
6…第2金属接合膜
61…第2下地層
62…第2接合層
8a,8b…電極
C…封止空間(減圧空間・キャビティ)
L…ダイシングライン