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<図1>
  • -モータ制御装置 図1
  • -モータ制御装置 図2
  • -モータ制御装置 図3
  • -モータ制御装置 図4
  • -モータ制御装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/06 20060101AFI20230228BHJP
   H02P 23/04 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
H02P27/06
H02P23/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019084376
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020182331
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】398061810
【氏名又は名称】日本電産テクノモータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】仲井 孝英
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-007905(JP,U)
【文献】実開平03-117395(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
H02P 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータを駆動する駆動電圧を生成するインバータ回路と、
前記モータの回転速度を指令する速度指令信号に基づいて、前記インバータ回路を制御する制御部と、
前記速度指令信号が入力される一端と、前記制御部に接続する他端とを有する信号線と、
アノード及びカソードを有し、前記信号線に接続して、前記アノードから前記速度指令信号が入力され、前記カソードから前記制御部へ前記速度指令信号を出力するダイオードと、
前記信号線のうちの前記アノード側の部分の電圧である第1電圧と、前記信号線のうちの前記カソード側の部分の電圧である第2電圧との電圧差に基づいて動作する第1スイッチ素子と
を備え、
前記制御部は、前記第1スイッチ素子が動作することに応じて、前記インバータ回路の動作を停止させる、モータ制御装置。
【請求項2】
前記信号線のうちの前記カソード側の部分に接続して、前記第2電圧を一定時間維持させる第1キャパシタ回路を更に備え、
前記第1スイッチ素子は、前記第1電圧が前記第2電圧よりも低下することに応じて動作する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
抵抗回路及び第2キャパシタ回路を有し、前記速度指令信号のノイズを平滑化するフィルタ回路を更に備え、
前記フィルタ回路は、前記信号線のうちの前記アノード側の部分に接続し、
前記第1電圧は、前記フィルタ回路から出力される電圧を示し、
前記第1キャパシタ回路の静電容量は、前記第2キャパシタ回路の静電容量よりも大きい、請求項2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子は、前記電圧差が一定値以上となったことに応じて動作する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記第1スイッチ素子は、トランジスタである、請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記制御部に電気的に接続する電源と、
前記第1スイッチ素子が動作することに応じて、前記電源から前記制御部に印加される電圧の電圧値を変化させる第2スイッチ素子と
を更に備え、
前記制御部は、前記電圧値が変化することにより、前記インバータ回路の動作を停止させる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを高効率で駆動するために、モータ駆動電圧の位相をモータ誘起電圧の位相よりも進める進角制御を行うモータ制御装置が知られている。具体的には、モータを高効率で駆動するには、モータ駆動電流の位相とモータ誘起電圧の位相とを一致させる必要がある。一方、モータ駆動電流の位相はモータ駆動電圧の位相よりも遅れる。進角制御を行うモータ制御装置は、モータ駆動電圧の位相を進めて、モータ駆動電流の位相とモータ誘起電圧の位相とを一致させる。
【0003】
詳しくは、モータ制御装置は、モータ駆動電圧を生成するインバータ回路を備える。インバータ回路は、直流電源に接続しており、直流電源からインバータ回路に直流電圧が印加される。インバータ回路は、複数のスイッチ素子を有する。モータ制御装置は、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングを制御して、直流電圧からモータ駆動電圧を生成する。また、モータ制御装置は、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングを制御して、モータ駆動電圧の位相を進める。
【0004】
より具体的には、モータ及びモータ制御装置が搭載された実機の制御装置からモータ制御装置に速度指令信号が入力される。速度指令信号は、モータの回転速度を指令するアナログ電圧信号である。モータ制御装置は、速度指令信号に基づいて、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングを制御する。
【0005】
例えば、特許文献1に、進角制御を行うモータ駆動装置が開示されている。特許文献1のモータ駆動装置は、回転速度指令と進角値との対応表を有している(特許文献1の図3)。対応表は、離散的な回転速度指令の値と、離散的な進角値との対応関係を規定する。特許文献1のモータ駆動装置は、回転速度指令が入力されると、対応表を参照して、回転速度指令の値に対応する進角値を設定する。そして、設定した進角値に基づいて、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングを制御する。特許文献1のモータ駆動装置は更に、モータの回転速度指令と実際のモータの回転速度とに差異が生じた場合に、実際のモータの回転速度に応じて進角値を補正する。詳しくは、特許文献1のモータ駆動装置は、対応表の進角値のうち、回転速度指令の値に対応する進角値と、実際のモータの回転速度に対応する進角値との間の進角値を順次設定して、進角値を段階的に変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-209017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のモータ駆動装置では、回転速度指令の電圧値が急激に低下した場合に、モータ誘起電圧に基づく逆位相の電圧が直流電源に印加されるおそれがある。具体的には、特許文献1のモータ駆動装置は、回転速度指令の電圧値の急激な低下に応じて、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングを制御する。しかし、モータが備えるロータの回転速度は、ロータに作用する慣性力に起因して、回転速度指令の電圧値の急激な低下に即応しない。この結果、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングと、モータ誘起電圧の位相との間にずれが発生して、逆位相の電圧が直流電源に印加されるおそれがある。
【0008】
特許文献1のモータ駆動装置は、モータの回転速度指令と実際のモータの回転速度とに差異が生じた場合に進角値を段階的に変化させるが、対応表の進角値は固定値であるため、進角値を段階的に変化させても、インバータ回路の複数のスイッチ素子のターンオン及びターンオフのタイミングと、モータ誘起電圧の位相との間にずれが発生して、逆位相の電圧が直流電源に印加されるおそれがある。
【0009】
逆位相の電圧が直流電源に印加されると、モータの回転に対するブレーキ力が発生し、その結果、ロータが振動する。ロータが振動すると、ロータに取り付けられたファンのような回転部材に振動が発生し、騒音が発生する。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされた。本発明の目的は、モータの振動及び騒音を低減できるモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の例示的なモータ制御装置は、モータを制御する。当該モータ制御装置は、インバータ回路と、制御部と、信号線と、ダイオードと、第1スイッチ素子とを備える。前記インバータ回路は、前記モータを駆動する駆動電圧を生成する。前記制御部は、前記モータの回転速度を指令する速度指令信号に基づいて、前記インバータ回路を制御する。前記信号線は、一端及び他端を有する。前記信号線の前記一端には、前記速度指令信号が入力される。前記信号線の前記他端は、前記制御部に接続する。前記ダイオードは、アノード及びカソードを有する。前記ダイオードは、前記信号線に接続する。前記ダイオードに、前記アノードから前記速度指令信号が入力される。前記ダイオードは、前記カソードから前記制御部へ前記速度指令信号を出力する。前記第1スイッチ素子は、前記信号線のうちの前記アノード側の部分の電圧である第1電圧と、前記信号線のうちの前記カソード側の部分の電圧である第2電圧との電圧差に基づいて動作する。前記制御部は、前記第1スイッチ素子が動作することに応じて、前記インバータ回路の動作を停止させる。
【発明の効果】
【0012】
例示的な本発明によれば、モータの振動及び騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るモータ制御装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態1に係るインバータ回路及びモータの構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態2に係るモータ制御装置の構成を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態3に係るモータ制御装置の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態4に係るモータ制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0015】
[実施形態1]
図1を参照して、本実施形態のモータ制御装置100を説明する。図1は、本実施形態に係るモータ制御装置100の構成を示す図である。図1に示すように、モータ制御装置100は、モータ200を制御する。モータ制御装置100は、インバータ回路1と、制御部2と、信号線3と、ダイオード4と、スイッチ素子5とを備える。スイッチ素子5は、第1スイッチ素子の一例である。なお、以下の説明において、信号線3は「第1信号線3」と記載される。
【0016】
モータ制御装置100及びモータ200は、例えば空気調和装置のような実機に搭載される。モータ200は、モータ制御装置100によって制御されて、実機が備える回転部材を回転させる。回転部材は、例えば、ファンである。
【0017】
本実施形態のモータ制御装置100は、第1端子101~第3端子103を更に備える。また、本実施形態のモータ制御装置100は、第1電力線111と、第2電力線112と、GND線113とを更に備える。第1電力線111、第2電力線112、及びGND線113は、例えば、基板に形成された配線パターンである。
【0018】
第1端子101は第1電力線111に接続している。モータ制御装置100及びモータ200が実機に搭載された場合、第1端子101は、実機が備える直流電源DCに接続する。
【0019】
第2端子102及び第3端子103は、モータ制御装置100及びモータ200が実機に搭載された場合、実機が備える実機側制御装置300に接続する。実機側制御装置300は、第2端子102に速度指令信号Vspを入力する。速度指令信号Vspは、モータ200の回転速度を指令する信号である。第3端子103は、GND線113に接続している。GND線113はグランドと接続する。
【0020】
インバータ回路1は、モータ200を駆動する駆動電圧を生成する。具体的には、インバータ回路1は、複数のスイッチ素子を有する。インバータ回路1には、直流電源DCから直流電圧が印加される。インバータ回路1の複数のスイッチ素子が動作することにより、直流電圧から駆動電圧が生成される。駆動電圧はモータ200に印加される。モータ200は、駆動電圧に基づいて回転する。
【0021】
詳しくは、インバータ回路1は、第1電力線111及び第2電力線112と接続する。インバータ回路1は、第1電力線111を介して、第1端子101と接続する。インバータ回路1は、第2電力線112を介して、グランドと接続する。より具体的には、インバータ回路1は、第2電力線112を介してGND線113と接続し、第2電力線112及びGND線113を介して第3端子103と接続する。モータ制御装置100及びモータ200が実機に搭載された場合、インバータ回路1は、第1電力線111、及び第1端子101を介して、直流電源DCに電気的に接続する。
【0022】
制御部2は、速度指令信号Vspに基づいて、インバータ回路1を制御する。具体的には、制御部2は、速度指令信号Vspに基づいて、インバータ回路1の複数のスイッチ素子を制御する。その結果、速度指令信号Vspに対応する駆動電圧がインバータ回路1からモータ200に印加されて、モータ200が、速度指令信号Vspに対応する回転速度で回転する。
【0023】
詳しくは、速度指令信号Vspは、アナログ電圧信号である。実機側制御装置300は、モータ200の回転速度を増速させる場合、速度指令信号Vspの電圧値を上昇させる。速度指令信号Vspの電圧値が高いほど、モータ200の回転速度は速くなる。実機側制御装置300は、モータ200の回転速度を減速させる場合、速度指令信号Vspの電圧値を低下させる。速度指令信号Vspの電圧値が低いほど、モータ200の回転速度は遅くなる。
【0024】
制御部2は、例えばロジックIC(Integrated Circuit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような集積回路である。具体的には、集積回路は、論理回路を有する。また、集積回路は、パッケージに封入されている。速度指令信号Vspは、パッケージに設けられた入力端子を介して論理回路に入力される。論理回路は、速度指令信号Vspに基づいて論理演算を実行する。その結果、論理回路から、インバータ回路1の複数のスイッチ素子を制御する制御信号が出力される。制御信号は、パッケージに設けられた出力端子を介して、インバータ回路1に出力される。
【0025】
なお、制御部2は、論理回路に限定されない。制御部2は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサと、例えばRAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)のような半導体メモリとを有してもよい。制御部2は、データの書き込み、及びデータの消去が可能な不揮発性の半導体メモリを有してもよい。プロセッサは、半導体メモリに記憶された制御プログラムを実行して、インバータ回路1を制御する。制御部2は、例えば、マイクロコンピュータであってもよい。
【0026】
本実施形態の制御部2は、モータ200の巻線から発生する誘起電圧の位相に対して駆動電圧の位相を進める進角制御を行う。これにより、モータ200の巻線を流れる駆動電流の位相と、誘起電圧の位相とを一致させて、モータ200を高効率で駆動させることができる。
【0027】
本実施形態の制御部2は、速度指令入力端子21と、GND端子22とを有する。速度指令入力端子21は、第1信号線3と接続する。GND端子22は、GND線113に接続する。
【0028】
ここで、図2を参照して、インバータ回路1及びモータ200について説明する。図2は、本実施形態に係るインバータ回路1及びモータ200の構成を示す図である。
【0029】
図2に示すように、本実施形態のモータ200は、3相モータであり、U相巻線200Uと、V相巻線200Vと、W相巻線200Wとを備える。インバータ回路1は、ハイサイド側に、第1U相スイッチ素子11Uと、第1V相スイッチ素子11Vと、第1W相スイッチ素子11Wと、還流用ダイオード12U、12V、12Wとを有する。また、インバータ回路1は、ローサイド側に、第2U相スイッチ素子13Uと、第2V相スイッチ素子13Vと、第2W相スイッチ素子13Wと、還流用ダイオード14U、14V、14Wとを有する。
【0030】
第1U相スイッチ素子11Uの一端は、第1電力線111を介して第1端子101に接続する。第1U相スイッチ素子11Uの他端は、第2U相スイッチ素子13Uの一端と接続する。第2U相スイッチ素子13Uの他端は、第2電力線112に接続する。したがって、第2U相スイッチ素子13Uの他端は、第2電力線112及びGND線113を介して第3端子103に接続する。本実施形態において、第1U相スイッチ素子11U及び第2U相スイッチ素子13Uは電界効果型トランジスタであり、第1U相スイッチ素子11Uのドレイン端子が第1電力線111を介して第1端子101に接続し、第2U相スイッチ素子13Uのソース端子が第2電力線112及びGND線113を介して第3端子103に接続する。また、第1U相スイッチ素子11Uのソース端子が、第2U相スイッチ素子13Uのドレイン端子と接続する。
【0031】
同様に、第1V相スイッチ素子11Vの一端は、第1電力線111を介して第1端子101に接続する。第1V相スイッチ素子11Vの他端は、第2V相スイッチ素子13Vの一端と接続する。第2V相スイッチ素子13Vの他端は、第2電力線112及びGND線113を介して第3端子103に接続する。本実施形態において、第1V相スイッチ素子11V及び第2V相スイッチ素子13Vは電界効果型トランジスタである。
【0032】
また、第1W相スイッチ素子11Wの一端は、第1電力線111を介して第1端子101に接続する。第1W相スイッチ素子11Wの他端は、第2W相スイッチ素子13Wの一端と接続する。第2W相スイッチ素子13Wの他端は、第2電力線112及びGND線113を介して第3端子103に接続する。本実施形態において、第1W相スイッチ素子11W及び第2W相スイッチ素子13Wは電界効果型トランジスタである。
【0033】
還流用ダイオード12Uは、第1U相スイッチ素子11Uに並列に接続される。還流用ダイオード12Vは、第1V相スイッチ素子11Vに並列に接続される。還流用ダイオード12Wは、第1W相スイッチ素子11Wに並列に接続される。還流用ダイオード14Uは、第2U相スイッチ素子13Uに並列に接続される。還流用ダイオード14Vは、第2V相スイッチ素子13Vに並列に接続される。還流用ダイオード14Wは、第2W相スイッチ素子13Wに並列に接続される。
【0034】
制御部2は、制御信号UH、VH、WH、UL、VL、WLをインバータ回路1に入力して、第1U相スイッチ素子11U、第1V相スイッチ素子11V、第1W相スイッチ素子11W、第2U相スイッチ素子13U、第2V相スイッチ素子13V、及び第2W相スイッチ素子13Wの動作を制御する。制御部2がインバータ回路1の各スイッチ素子の動作を制御することで、インバータ回路1が駆動電圧を生成する。
【0035】
より詳しくは、インバータ回路1は、制御信号UH、VH、WH、UL、VL、WLに基づいて、U相駆動電圧、V相駆動電圧、及びW相駆動電圧を生成する。U相駆動電圧は、U相巻線200Uに印加される。V相駆動電圧は、V相巻線200Vに印加される。W相駆動電圧は、W相巻線200Wに印加される。U相駆動電圧は、V相駆動電圧との位相差が120°の矩形波状の電圧である。V相駆動電圧は、W相駆動電圧との位相差が120°の矩形波状の電圧である。W相駆動電圧は、U相駆動電圧との位相差が120°の矩形波状の電圧である。
【0036】
U相駆動電圧、V相駆動電圧、及びW相駆動電圧がそれぞれU相巻線200U、V相巻線200V、及びW相巻線200Wに印加されることにより、モータ200が回転する。
【0037】
図1に示すモータ制御装置100の説明に戻る。第1信号線3は、一端3a及び他端3bを有する。第1信号線3の一端3aには、速度指令信号Vspが入力される。第1信号線3の他端3bは制御部2に接続する。第1信号線3の一端3aに入力された速度指令信号Vspは、第1信号線3を介して制御部2に入力される。本実施形態において、第1信号線3の一端3aは、第2端子102に接続する。第1信号線3の他端3bは、制御部2の速度指令入力端子21に接続する。第1信号線3は、例えば、基板に形成された配線パターンである。
【0038】
ダイオード4は、アノードA及びカソードKを有する。ダイオード4は、第1信号線3に接続する。アノードAからダイオード4に速度指令信号Vspが入力される。ダイオード4は、カソードKから制御部2へ速度指令信号Vspを出力する。
【0039】
具体的には、第1信号線3は、ダイオード4のアノードA側の部分である第1部分31と、ダイオード4のカソードK側の部分である第2部分32とを有する。第1信号線3の第1部分31は、第1信号線3の一端3aを含み、ダイオード4のアノードAに速度指令信号Vspを入力する。第1信号線3の第2部分32は、第1信号線3の他端3bを含み、ダイオード4のカソードKから出力された速度指令信号Vspを制御部2に入力する。以下、第1信号線3の第1部分31を、「第1信号線3の入力ライン31」と記載し、第1信号線3の第2部分32を、「第1信号線3の出力ライン32」と記載する場合がある。
【0040】
スイッチ素子5は、第1信号線3の入力ライン31の電圧である第1電圧V1と、第1信号線3の出力ライン32の電圧である第2電圧V2との電圧差VDに基づいて動作する。電圧差VDは、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下することによって発生する。例えば、モータ200の回転中に実機の電源がオフされた場合に、速度指令信号Vspの電圧値は急激に低下する。
【0041】
詳しくは、本実施形態のモータ制御装置100は、第2信号線114と、第3信号線115とを更に備える。第2信号線114の一端は、第1接続点C1において第1信号線3の入力ライン31と接続する。第2信号線114の他端は、スイッチ素子5に接続する。したがって、第1電圧V1は、第2信号線114を介してスイッチ素子5に印加される。第3信号線115の一端は、第2接続点C2において第1信号線3の出力ライン32に接続する。第3信号線115の他端はスイッチ素子5に接続する。したがって、第2電圧V2は、第3信号線115を介してスイッチ素子5に印加される。第2信号線114及び第3信号線115は、例えば、基板に形成された配線パターンである。
【0042】
制御部2は、スイッチ素子5が動作することに応じて、インバータ回路1の動作を停止させる。
【0043】
詳しくは、本実施形態のモータ制御装置100は、第4信号線116と、第5信号線117と、抵抗素子10とを更に備える。本実施形態の制御部2は、OFF端子23を更に有する。第4信号線116の一端はスイッチ素子5に接続する。第4信号線116の他端は、第3接続点C3においてGND線113に接続する。第5信号線117の一端は、第4接続点C4において第4信号線116と接続する。第5信号線117の他端は、制御部2のOFF端子23と接続する。抵抗素子10は、第3接続点C3と第4接続点C4との間で、第4信号線116に接続する。
【0044】
本実施形態では、スイッチ素子5は、電圧差VDが発生することに応じてターンオンする。スイッチ素子5がターンオンすると、抵抗素子10に電流が流れる。その結果、制御部2のOFF端子23に電圧が印加される。制御部2は、電圧がOFF端子23に印加されたことに応じて、インバータ回路1の動作を停止させる。
【0045】
ここで、インバータ回路1の動作を停止させるとは、インバータ回路1の複数のスイッチ素子をオフ状態にすることである。より詳しくは、制御部2は、スイッチ素子5が動作したことに応じて、図2を参照して説明した第1U相スイッチ素子11U、第1V相スイッチ素子11V、第1W相スイッチ素子11W、第2U相スイッチ素子13U、第2V相スイッチ素子13V、及び第2W相スイッチ素子13Wをオフ状態にする。
【0046】
以上、図1を参照して説明したように、本実施形態によれば、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、制御部2がインバータ回路1の動作を停止させる。したがって、逆位相の電圧が直流電源DCに印加されることを抑制できる。
【0047】
詳しくは、逆位相の電圧は、モータ200において発生する誘起電圧のうち、直流電源DCの正極に対して極性が逆の電圧を示す。誘起電圧は、モータ200の回転中にインバータ回路1へ入力される。本実施形態によれば、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、インバータ回路1の複数のスイッチ素子をオフ状態にする。したがって、逆位相の電圧がインバータ回路1に入力されても、インバータ回路1から第1電力線111を介して逆位相の電圧が直流電源DCに印加されることを抑制できる。
【0048】
本実施形態によれば、逆位相の電圧が直流電源DCに印加されることを抑制できるため、モータ200の回転に対するブレーキ力が発生することを抑制できる。したがって、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、モータ200に含まれるロータが振動することを抑制できる。その結果、ロータに取り付けられたファンのような回転部材に振動が発生することを抑制できる。また、回転部材の振動に起因して騒音が発生することを抑制できる。
【0049】
続いて図1を参照して、本実施形態のスイッチ素子5を更に説明する。本実施形態のスイッチ素子5は、電圧差VDが一定値以上となったことに応じて動作する。したがって、実機側制御装置300がモータ200の回転速度を減速させる際にスイッチ素子5が動作することを防ぐことができる。
【0050】
具体的には、既に説明したように、実機側制御装置300は、モータ200の回転速度を減速させる場合、速度指令信号Vspの電圧値を低下させる。したがって、通常の減速時においても電圧差VDが発生する可能性がある。しかし、通常の減速時に、実機側制御装置300は、速度指令信号Vspの電圧値をなだらかに低下させる。そのため、通常の減速時に発生する電圧差VDは、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した場合に発生する電圧差VDと比べて小さい。本実施形態によれば、スイッチ素子5は、電圧差VDが一定値以上となったことに応じて動作するため、通常の減速時に動作しない。したがって、通常の減速時にインバータ回路1の動作が停止することを防ぐことができる。なお、一定値は、通常の減速時に発生する電圧差VDよりも大きい値である限り、任意である。
【0051】
本実施形態のスイッチ素子5は、トランジスタである。より具体的には、スイッチ素子5は、pnp型のバイポーラトランジスタである。したがって、スイッチ素子5は、エミッタ端子E、ベース端子B、及びコレクタ端子Cを有する。スイッチ素子5のエミッタ端子Eは、第3信号線115に接続する。スイッチ素子5のベース端子Bは、第2信号線114に接続する。スイッチ素子5のコレクタ端子Cは、第4信号線116に接続する。したがって、スイッチ素子5のベース端子Bに第1電圧V1が印加される。スイッチ素子5のエミッタ端子Eに第2電圧V2が印加される。スイッチ素子5は、ベース端子Bに印加される電圧が、エミッタ端子Eに印加される電圧よりも一定値以上低下することにより、ターンオンする。したがって、スイッチ素子5は、電圧差VDが一定値以上となったことに応じてターンオンする。
【0052】
スイッチ素子5としてトランジスタを使用することにより、電圧差VDが一定値以上となったことに応じてスイッチ素子5が動作する構成を、より簡易な構成にすることができる。また、スイッチ素子5としてトランジスタを使用することにより、モータ制御装置100の消費電力を低減させることができる。
【0053】
以上、図1及び図2を参照して本発明の実施形態1を説明した。なお、本実施形態において、スイッチ素子5はpnp型のバイポーラトランジスタであったが、スイッチ素子5には、各種のトランジスタを適宜用いることができる。例えば、スイッチ素子5は、npn型のバイポーラトランジスタであり得る。あるいは、スイッチ素子5は、電界効果型トランジスタであり得る。
【0054】
また、本実施形態において、モータ200は、3相モータであったが、モータ200は3相モータに限定されない。例えば、モータ200は、単相モータ、2相モータ、5相モータ、又は7相モータであり得る。
【0055】
また、本実施形態において、インバータ回路1は、6つのスイッチ素子を有したが、インバータ回路1のスイッチ素子の数は、モータ200の種類に応じて異なる。
【0056】
また、本実施形態において、インバータ回路1のスイッチ素子は、電界効果型トランジスタであったが、インバータ回路1のスイッチ素子は、電界効果型トランジスタに限定されない。例えば、インバータ回路1のスイッチ素子は、バイポーラトランジスタであり得る。
【0057】
[実施形態2]
続いて図3を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2のモータ制御装置100は、キャパシタ回路6を更に備える点で、実施形態1のモータ制御装置100と異なる。キャパシタ回路6は、第1キャパシタ回路の一例である。
【0058】
図3は、本実施形態に係るモータ制御装置100の構成を示す図である。図3に示すように、モータ制御装置100は、キャパシタ回路6を更に備える。キャパシタ回路6は、第1信号線3の出力ライン32に接続して、第2電圧V2を一定時間維持させる。ここで、一定時間の長さは、キャパシタ回路6の静電容量の大きさに応じた長さである。
【0059】
具体的には、キャパシタ回路6は、キャパシタ素子61を有する。キャパシタ素子61の一端は、第2接続点C2よりも第1信号線3の他端3bに近い位置で第1信号線3に接続する。キャパシタ素子61の他端は、グランドと接続する。詳しくは、キャパシタ素子61の他端は、GND線113に電気的に接続する。
【0060】
キャパシタ回路6は、モータ200の駆動時に、速度指令信号Vspにより充電される。キャパシタ回路6は、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下すると、放電を開始する。この結果、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下しても、第2電圧V2は急激に低下せず、一定時間維持される。
【0061】
本実施形態において、スイッチ素子5は、第1電圧V1が第2電圧V2よりも低下することに応じて動作する。具体的には、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下すると、第1電圧V1は急激に低下する。これに対して、第2電圧V2の電圧値は、キャパシタ回路6により一定時間維持される。出力ライン32と入力ライン31との間にダイオード4が介在しているため、キャパシタ回路6から放電された電流は入力ライン31側には流れない。したがって、第1電圧V1が第2電圧V2よりも低下して電圧差VDが発生する。この結果、スイッチ素子5が動作する。
【0062】
以上、図3を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、キャパシタ回路6により、第1電圧V1が第2電圧V2よりも小さくなる。したがって、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、電圧差VDを、より安定して発生させることができる。
【0063】
なお、本実施形態において、キャパシタ回路6は、1つのキャパシタ素子61を有したが、キャパシタ回路6は複数のキャパシタ素子61を有してもよい。複数のキャパシタ素子61は、例えば並列に接続される。
【0064】
[実施形態3]
続いて図4を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3のモータ制御装置100は、フィルタ回路7を更に備える点で、実施形態1、2のモータ制御装置100と異なる。なお、以下の説明において、キャパシタ回路6は「第1キャパシタ回路6」と記載される。
【0065】
図4は、本実施形態に係るモータ制御装置100の構成を示す図である。図4に示すように、モータ制御装置100は、フィルタ回路7を更に備える。フィルタ回路7は、第1信号線3の入力ライン31に接続して、速度指令信号Vspのノイズを平滑化する。したがって、本実施形態によれば、ノイズが平滑化された速度指令信号Vspを制御部2に入力することができる。その結果、モータ200の回転速度を、より安定して、実機からの速度指令に対応する回転速度に設定することができる。
【0066】
フィルタ回路7は、第1接続点C1よりも第1信号線3の一端3aに近い位置で第1信号線3に接続する。したがって、フィルタ回路7から出力される電圧が、スイッチ素子5に入力される。換言すると、本実施形態において、第1電圧V1は、フィルタ回路7から出力される電圧を示す。
【0067】
フィルタ回路7は、抵抗回路71と、キャパシタ回路72とを有する。キャパシタ回路72は、第2キャパシタ回路の一例である。以下の説明では、キャパシタ回路72を「第2キャパシタ回路72」と記載する。第2キャパシタ回路72の静電容量は、第1キャパシタ回路6の静電容量よりも小さい。換言すると、第1キャパシタ回路6の静電容量は、第2キャパシタ回路72の静電容量よりも大きい。
【0068】
抵抗回路71は、抵抗素子711を有する。抵抗素子711は、第1信号線3の一端3aと第1接続点C1との間で第1信号線3に接続される。第2キャパシタ回路72は、キャパシタ素子721を有する。キャパシタ素子721の一端は、抵抗素子711と第1接続点C1との間で第1信号線3に接続する。キャパシタ素子721の他端は、グランドと接続する。具体的には、キャパシタ素子721の他端は、GND線113に電気的に接続する。
【0069】
以上、図4を参照して本発明の実施形態3について説明した。本実施形態によれば、抵抗素子711とキャパシタ素子721とを用いた簡易な回路で、速度指令信号Vspのノイズを平滑化することができる。また、第1キャパシタ回路6の静電容量が第2キャパシタ回路72の静電容量よりも大きいため、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、安定して、第1電圧V1を第2電圧V2よりも小さくすることができる。その結果、速度指令信号Vspの電圧値が急激に低下した際に、電圧差VDを、より安定して発生させることができる。
【0070】
[実施形態4]
続いて図5を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4のモータ制御装置100は、OFF端子用電源8と、スイッチ素子9とを更に備える点で、実施形態1~3のモータ制御装置100と異なる。なお、以下の説明において、スイッチ素子5は「第1スイッチ素子5」と記載される。
【0071】
図5は、本実施形態に係るモータ制御装置100の構成を示す図である。図5に示すように、モータ制御装置100は、OFF端子用電源8と、スイッチ素子9とを更に備える。スイッチ素子9は、第2スイッチ素子の一例である。なお、以下の説明において、スイッチ素子9は「第2スイッチ素子9」と記載される。
【0072】
OFF端子用電源8は、制御部2に電気的に接続する。本実施形態において、OFF端子用電源8は、制御部2のOFF端子23に電気的に接続する。より具体的には、本実施形態のモータ制御装置100は、抵抗素子81を備える。OFF端子用電源8は、抵抗素子81を介して第5信号線117に接続する。OFF端子用電源8は、例えば、レギュレータのような電源である。
【0073】
第2スイッチ素子9は、第1スイッチ素子5が動作することに応じて、OFF端子用電源8から制御部2のOFF端子23に印加される電圧の電圧値を変化させる。制御部2は、OFF端子23に印加される電圧の電圧値が変化することにより、インバータ回路1の動作を停止させる。
【0074】
詳しくは、本実施形態の第5信号線117の一端は、第2スイッチ素子9の一端に接続している。したがって、第2スイッチ素子9の一端は、抵抗素子81を介して、OFF端子用電源8に接続している。第2スイッチ素子9の他端は、グランドに接続している。具体的には、本実施形態の第2スイッチ素子9の他端は、GND線113に接続している。
【0075】
第2スイッチ素子9がオフ状態である場合、OFF端子用電源8から制御部2のOFF端子23に抵抗素子81を介して、ある一定の電圧が印加される。第2スイッチ素子9は、第1スイッチ素子5が動作することに応じて、ターンオンする。第2スイッチ素子9がオン状態である場合、抵抗素子81が第2スイッチ素子9を介してGND線113に接続して、抵抗素子81とGND線113との間に電位差が発生する。その結果、OFF端子用電源8からGND線113へ電流が流れて、OFF端子用電源8から制御部2のOFF端子23に印加される電圧の電圧値が変化する。より具体的には、OFF端子23に印加される電圧の電圧値は、0Vとなる。制御部2は、OFF端子23に印加される電圧の電圧値が0Vとなることにより、インバータ回路1の動作を停止させる。
【0076】
本実施形態において、第2スイッチ素子9は、バイポーラトランジスタである。したがって、第2スイッチ素子9は、コレクタ端子C、ベース端子B、及びエミッタ端子Eを有する。また、本実施形態のモータ制御装置100は、抵抗素子91を備える。
【0077】
第2スイッチ素子9のコレクタ端子Cは、第5信号線117の一端に接続する。したがって、第2スイッチ素子9のコレクタ端子Cは、抵抗素子81を介してOFF端子用電源8に電気的に接続する。第2スイッチ素子9のエミッタ端子Eは、GND線113に電気的に接続する。第2スイッチ素子9のベース端子Bは、抵抗素子91を介して第4信号線116に接続する。
【0078】
抵抗素子91は、第4信号線116の電圧を電流に変換して、第2スイッチ素子9のベース端子Bに入力する。したがって、第1スイッチ素子5がターンオンすることにより、第2スイッチ素子9のベース端子Bに電流が入力されて、第2スイッチ素子9がターンオンする。詳しくは、第1スイッチ素子5がターンオンすることにより、抵抗素子10に電流が流れて、抵抗素子91に電圧が印加される。その結果、第2スイッチ素子9のベース端子Bに電流が入力されて、第2スイッチ素子9がターンオンする。
【0079】
以上、図5を参照して本発明の実施形態4について説明した。本実施形態によれば、増幅回路を設けることなく、制御部2のOFF端子23を機能させることができる。ここで、OFF端子23が機能するとは、OFF端子23に印加される電圧の電圧値の変化に応じて、制御部2がインバータ回路1の動作を停止させることである。
【0080】
具体的には、速度指令信号Vspの電圧範囲と、OFF端子23を機能させる電圧範囲とは異なる。したがって、速度指令信号VspをOFF端子23に直接入力した場合、OFF端子23を機能させることができない可能性がある。そのため、速度指令信号VspをOFF端子23に入力して、OFF端子23を機能させる場合、OFF端子23に印加する電圧を増幅させる増幅回路が別途必要となる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、増幅回路を設けることなく、OFF端子23を機能させて、インバータ回路1の動作を停止させることができる。
【0081】
なお、本実施形態において、第2スイッチ素子9はバイポーラトランジスタであったが、第2スイッチ素子9はバイポーラトランジスタに限定されない。例えば、第2スイッチ素子9は電界効果型トランジスタであってもよい。
【0082】
また、本実施形態において、第1スイッチ素子5が動作することに応じて第2スイッチ素子9がターンオンし、その結果、制御部2のOFF端子23に印加される電圧が変化する構成を説明したが、第1スイッチ素子5が動作することに応じて第2スイッチ素子9がターンオフし、その結果、制御部2のOFF端子23に印加される電圧が変化する構成であってもよい。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0084】
例えば、本発明による実施形態において、モータ制御装置100は、第1端子101~第3端子103を備えたが、第1端子101~第3端子103の一部又は全部が省略されてもよい。
【0085】
また、本発明による実施形態において、スイッチ素子5は、第1電圧V1が第2電圧V2よりも低下することに応じてターンオンしたが、スイッチ素子5は、第2電圧V2が第1電圧V1よりも低下することに応じてターンオンしてもよい。
【0086】
また、本発明による実施形態において、スイッチ素子5は、電圧差VDが発生することに応じてターンオンしたが、スイッチ素子5は、電圧差VDが発生することに応じてターンオフしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、モータを制御する装置に有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 インバータ回路
2 制御部
3 信号線(第1信号線)
3a 一端
3b 他端
4 ダイオード
5 スイッチ素子(第1スイッチ素子)
6 キャパシタ回路(第1キャパシタ回路)
7 フィルタ回路
8 OFF端子用電源
9 スイッチ素子(第2スイッチ素子)
31 第1部分(入力ライン)
32 第2部分(出力ライン)
71 抵抗回路
72 キャパシタ回路(第2キャパシタ回路)
100 モータ制御装置
200 モータ
A アノード
DC 直流電源
K カソード
Vsp 速度指令信号
図1
図2
図3
図4
図5