(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】ピンホールコンタクトレンズ形成用治具
(51)【国際特許分類】
B29C 33/42 20060101AFI20230228BHJP
B29D 11/00 20060101ALI20230228BHJP
G02C 7/04 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B29C33/42
B29D11/00
G02C7/04
(21)【出願番号】P 2019122082
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000131245
【氏名又は名称】株式会社シード
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】上野 湧紀
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-217331(JP,A)
【文献】特開2015-049304(JP,A)
【文献】特開昭63-264719(JP,A)
【文献】特開昭63-098628(JP,A)
【文献】国際公開第2011/048953(WO,A1)
【文献】特開2013-210450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 71/00
B29D 11/00-11/02
G02C 7/04
G02C 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
ピンホール形成用部材は、互いに縦方向に積重してなる、第1の外径を有する第1の柱形状部及び第1の外径より大きい第2の外径を有する第2の柱形状部からなり、
第2の雄部は、凸部の先端部から後端部へ貫通してなる着色剤流入孔を備え、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる、径が第1の外径より大きく、かつ、第2の外径より小さい、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、雌部の下面側から挿入孔に挿入した際に、第1の柱形状部の端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、第2の柱形状部の端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
【請求項2】
雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、請求項1に記載の治具。
【請求項3】
第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
ピンホール形成用部材は、互いに縦方向に積重してなる、第1の外径を有する第1の柱形状部及び第1の外径より大きい第2の外径を有する第2の柱形状部からなり、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる、径が第1の外径より大きく、かつ、第2の外径より小さい、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、雌部の下面側から挿入孔に挿入した際に、第1の柱形状部の端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、第2の柱形状部の端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
【請求項4】
雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、請求項3に記載の治具。
【請求項5】
第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔とを備え、
雌部の上面側の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第2の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第2の雄部の下面側から雌部の上面側の凹部へ貫通するように設計された、着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
【請求項6】
第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の上面側の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
【請求項7】
第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
【請求項8】
雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、請求項7に記載の治具。
【請求項9】
第1の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、第1の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面するように設計される、前記治具。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の治具を用いた、ピンホールコンタクトレンズの形成方法であって、
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせ、及び第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部、雌部及び第2の雄部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程
を含む、前記形成方法。
【請求項11】
請求項9に記載の治具を用いた、ピンホールコンタクトレンズの形成方法であって、
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部及び雌部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程
を含む、前記形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央部付近に着色部とピンホールである無着色部とを有するピンホールコンタクトレンズを形成するための治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近視、遠視、老視、乱視などの目の屈折異常を矯正し、網膜上に焦点を合わせることで正常な像を得るためのデバイスとして、眼鏡やコンタクトレンズなどの眼用デバイスが利用されている。また、このような目の屈折異常の症状を有する屈折異常者に対して、屈折異常の態様に応じた種々のタイプの眼用デバイスが販売されている。
【0003】
しかしながら、屈折異常者の中には、いずれか1種の屈折異常だけではなく、近視、老視及び乱視といったような、2種以上の屈折異常を組合せた症状を有する者がいる。このような2種以上の屈折異常をコンタクトレンズで矯正することは難しく、特に乱視及び老視を有する患者の視力の矯正は難しいといわれている。
【0004】
ところで、近年、ピンホール効果を利用した、新たな視力の矯正用デバイスとしてピンホールコンタクトレンズが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。ピンホールコンタクトレンズは、不透明に遮蔽された光学面に複数の細かい無着色部位を配した構成を有している。また、コンタクトレンズの虹彩部を着色するための治具及び製造方法については、特許文献3に記載がある。
【0005】
ピンホールコンタクトレンズを通じて外部の光を取り入れた場合、入射光はピンホールを通過する際に幅が狭くなることから、ピンホールを通過した光の屈折率は水晶体において小さくなり焦点深度が深くなる。焦点深度とは、被写体に合わせた焦点が前後にずれた場合においてピントが合う距離の範囲を示すもので、焦点深度が深いと焦点のずれに対する像のボケが小さくなる。すなわち、焦点深度を深くし得るピンホールコンタクトレンズは、ピントが合う距離を広くすることができ、もって一つのデザインによって様々な屈折異常を矯正することができることから、装用者の視力の範囲を広くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2011/048953号パンフレット
【文献】特開2013-210450号公報
【文献】特開2015-049304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ピンホールコンタクトレンズは、1種又は2種以上の屈折異常の症状を有する屈折異常者に対して、非常に有用なものである。しかし、ピンホールコンタクトレンズを効率良く安定的に製造する方法についてはこれまでに知られていない。
【0008】
例えば、特許文献1及び特許文献2においては、ピンホールコンタクトレンズにおけるピンホールを所望の孔径や形状に設定することが可能であることが記載されているが、ピンホールコンタクトレンズの製造方法については具体的な開示は無い。また、特許文献3には、専用の治具を用いて、瞳孔部を着色又は非着色にしてなる着色コンタクトレンズの製造方法が開示されているが、複数の孔を所望の位置に、好ましくは規則的に配してなる着色コンタクトレンズを製造する方法についての記載は無い。
【0009】
そこで本発明は、所望の数及び位置のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズを効率良く安定的に製造する方法及びそのための治具を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、まずは特許文献3の
図3Aに記載されている治具の改良を試みた。特許文献3に記載の治具によれば、コンタクトレンズを挟み込んで固定した治具と着色剤とを接触することにより、コンタクトレンズにおける非着色用具と接触する部位は着色されずに元の状態が維持される。しかし、特許文献3の治具は、コンタクトレンズにおける瞳孔部の一点の部位を非着色にするためのものであり、複数点の部位を非着色にすることや、まして複数点の部位を所定の間隔に保つようにして非着色にすることができない。そこで、本発明者らは、特許文献3に記載の治具を改良することは断念した。
【0011】
再び、本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を積み重ね、コンタクトレンズの着色方法、ピンホールの形成方法及びこれらを同時に達成する方法などについて試行錯誤を繰り返した。その結果、雌部に設けた挿入孔にピンホール形成用部材を挿入した上で、雄部と雌部との間にコンタクトレンズを挟み込むように設計された治具を創作することに至った。そして、この治具を着色剤に接触することにより、治具の雌部及び/又は雄部に設けた着色剤流入孔から流入した着色剤によりコンタクトレンズの瞳孔部付近の部位を着色するとともに、コンタクトレンズにおけるピンホール形成用部材が接触する部位については非着色を保ちピンホールを形成することができることを確認した。
【0012】
更に、本発明者らは、ピンホール形成用部材を、互いに縦方向に積重してなる、外径の異なる2個の柱形状部からなるものとすることにより、挿入孔へピンホール形成用部材を挿入する際に、ピンホール形成用部材の向きを変えることで、径や間隔が異なる二通りのピンホールを形成することが可能になることを見出した。また、驚くべきことに、外径の異なる2個の柱形状部からなるピンホール形成用部材を挿入した雌部と2個の雄部とを、ピンホール形成用部材の両方の端部を挟み込んだ状態で嵌合するように設計することにより、挿入孔へ挿入する際及び着色後にコンタクトレンズを取り外す際に挿入孔からピンホール形成用部材が抜けることを防止することができ、より安定してピンホールコンタクトレンズを製造することができることを見出した。
【0013】
本発明者らは、これらの知見を基にして、遂に、所望の数及び位置のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズを効率良く安定的に製造する方法及びそのための治具を創作することに成功した。本発明はこのような知見及び成功例に基づいて完成するに至った発明である。
【0014】
したがって、本発明の一態様によれば、以下の治具及び方法が提供される。
[1]第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
ピンホール形成用部材は、互いに縦方向に積重してなる、第1の外径を有する第1の柱形状部及び第1の外径より大きい第2の外径を有する第2の柱形状部からなり、
第2の雄部は、凸部の先端部から後端部へ貫通してなる着色剤流入孔を備え、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる、径が第1の外径より大きく、かつ、第2の外径より小さい、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、雌部の下面側から挿入孔に挿入した際に、第1の柱形状部の端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、第2の柱形状部の端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
[2]雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、[1]に記載の治具。
[3]第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
ピンホール形成用部材は、互いに縦方向に積重してなる、第1の外径を有する第1の柱形状部及び第1の外径より大きい第2の外径を有する第2の柱形状部からなり、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる、径が第1の外径より大きく、かつ、第2の外径より小さい、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、雌部の下面側から挿入孔に挿入した際に、第1の柱形状部の端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、第2の柱形状部の端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
[4]雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、[3]に記載の治具。
[5]第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔とを備え、
雌部の上面側の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第2の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第2の雄部の下面側から雌部の上面側の凹部へ貫通するように設計された、着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
[6]第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の上面側の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
[7]第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、上面側及び下面側に、それぞれ第1の雄部及び第2の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、上面側及び下面側の凹部を貫通してなるピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、それぞれ嵌合する雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、他方の先端部が第2の雄部の凸部の先端部に接面するように設計される、前記治具。
[8]雌部は、上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備える、[7]に記載の治具。
[9]第1の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを含む、コンタクトレンズにピンホールを形成するためのピンホールコンタクトレンズ形成用治具であって、
雌部は、第1の雄部の凸部と嵌合可能なように設計された凹部と、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔と、側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔とを備え、
雌部の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端部の一部と接する係止部を備え、
第1の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第1の雄部における凸部の先端部の一部と係止部との間でコンタクトレンズを挟むことが可能であるように設計され、及び
ピンホール形成用部材は、挿入孔に挿入した際に、一方の先端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面するように設計される、前記治具。
[10][1]~[8]のいずれか1項に記載の治具を用いた、ピンホールコンタクトレンズの形成方法であって、
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせ、及び第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部、雌部及び第2の雄部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程
を含む、前記形成方法。
[11][4]又は[8]に記載の治具を用いた、ピンホールコンタクトレンズの形成方法であって、
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌側の凹部に設けた係止部との間で第1のコンタクトレンズを挟むようにして、第1の雄部と雌部とを嵌め合わせ、かつ、第2の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間で第2のコンタクトレンズを挟むようにして、第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部、雌部及び第2の雄部からなる治具を着色液に接触させ、第1及び第2のコンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
第1及び第2のコンタクトレンズをピンホールコンタクトレンズ形成用治具より取り出す工程
を含む、前記形成方法。
[12][9]に記載の治具を用いた、ピンホールコンタクトレンズの形成方法であって、
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部及び雌部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程
を含む、前記形成方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雌部に設けた挿入孔にピンホール形成用部材を挿入した上で、雄部と雌部との間にコンタクトレンズを挟み込み、コンタクトレンズを着色することによって、所望の数及び位置のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズを効率良く安定的に製造することができる。
【0016】
また、本発明によれば、両端部の形状が異なるピンホール形成用部材を用いることにより、径や間隔が異なるピンホールを形成することが可能であり、汎用性を高めることができる。さらに、本発明によれば、同一又は異なる形状の2種のピンホールを有する2個のピンホールコンタクトレンズを一回の着色処理により製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1態様の治具における第1の雄部の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1態様の治具における雌部の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1態様の治具における第2の雄部の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1態様の治具における、第1の雄部及び第2の雄部並びに挿入孔にピンホール形成用部材を挿入した雌部の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1態様の治具における、第1の雄部と雌部と第2の雄部とを嵌合し組み合わせた態様の斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1態様の治具の断面図及び斜視図である。
図6A:第1の雄部、雌部、ピンホール形成用部材及び第2の雄部の断面図。
図6B:ピンホール形成用部材の斜視図。
図6C:第1の雄部とピンホール形成用部材を挿入した雌部との間にコンタクトレンズを挟み込み、さらに第2の雄部と雌部とを嵌合し組み合わせた態様の断面図。
【
図7】
図7は、本発明の第1態様の治具の平面図である。
図7A:第1の雄部(凸部側)の平面図。
図7B:雌部(上面側及び下面側)の平面図。
図7C:第2の雄部(凸部側)の平面図。
【
図8】
図8は、本発明の第1態様の治具の断面図である。
図8A:中心部染色用部材を備えた治具の断面図。
図8B:第1の雄部と雌部との間にコンタクトレンズ及び中心部染色用部材を挟み込み、さらに第2の雄部と雌部とを嵌合し組み合わせた態様の断面図。
【
図9】
図9は、本発明の第2態様の治具の断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第5態様の治具の断面図である。
図12A:雌部10が上面側の凹部110の底面から下面側の凹部120の底面までの間に着色剤流入孔12及び着色剤流入孔14を備える態様の断面図。
図12B:雌部10が着色剤流入孔12を備え、かつ、上面側の凹部110の側面部を貫通してなる着色剤流入孔13を備える態様の断面図。
【
図13】
図13は、本発明の第6態様の治具の断面図である。
図13A:雌部10が後端部(凹部の底面)を貫通してなる着色剤流入孔12を備える態様の断面図。
図13B:雌部10が側面部を貫通してなる着色剤流入孔13を備える態様の断面図。
図13C:異なる直径の2種の部材が互いに縦方向に積重してなるピンホール形成用部材30を用いる態様の断面図。
【
図14】
図14は、後述する実施例に記載があるとおりの、ピンホールコンタクトレンズ1の平面図を示す。
【
図15】
図15は、後述する実施例に記載があるとおりの、ピンホールコンタクトレンズ2の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の詳細について適宜図面を参照して説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0019】
本明細書における各用語は、別段の定めがない限り、当業者により通常用いられている意味で使用され、不当に限定的な意味を有するものとして解釈されるべきではない。また、本明細書においてなされている推測や理論は、本発明者らのこれまでの知見や経験によってなされたものであることから、本発明の技術的範囲はこのような推測や理論のみによって拘泥されるものではない。
【0020】
「及び/又は」とは、列記した複数の関連項目のいずれか1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせ若しくは全ての組み合わせを意味する。
【0021】
数値範囲の「~」は、その前後の数値を含む範囲であり、例えば、「0%~100%」は、0%以上であり、かつ、100%以下である範囲を意味する。
【0022】
「モノマー」とは、分子内に重合可能な官能基である重合性基を1個以上有して、共重合反応によりポリマーを形成することが可能な化合物を意味する。
【0023】
[第1態様の治具]
本発明の第1態様の治具は、2個の雄部、雌部及びピンホール形成用部材を含む。雌部は上面側及び下面側に2個の凹部を備える。すなわち、雌部は、凹部と逆向きの凹部とが結合したような構成をとる。雌部の2個の凹部はそれぞれ、2個の雄部の凸部と嵌合可能なように設計される。
【0024】
雌部の上面側の凹部は、内側に、第1の雄部における凸部の先端の一部と接する係止部を備える。同様に、雌部の下面側の凹部は、内側に、第2の雄部における凸部の先端の一部と接する係止部を備える。
【0025】
第1の雄部と雌部とを嵌合すると、第1の雄部における凸部の先端の一部が雌部の内側に設けられた係止部に接面して止まり、第1の雄部における凸部の先端の位置は係止部の位置となる。係止部にコンタクトレンズを載置し、第1の雄部と雌部とを嵌合することにより、コンタクトレンズを第1の雄部及び雌部の間に挟み込むことができる。
【0026】
第1の雄部と雌部とを嵌合すると、雌部の凹部は係止部の内側が凹状になっていることから、この凹状の両側面及び下面と第1の雄部における凸部の先端の係止部に接しない面とによって囲まれる空間ができ、該空間にて外部から流入した着色剤を貯留することができる。該空間を着色剤貯留部とよぶ。
【0027】
雌部は、上面側の凹部底面から下面側の凹部底面にかけて貫通した、1個又は複数個のピンホール形成用部材を挿入するための1個又は複数個の挿入孔を備える。ピンホール形成用部材は、互いに縦方向に積重してなる、第1の外径を有する第1の柱形状部及び第1の外径より大きい第2の外径を有する第2の柱形状部からなる。雌部の挿入孔の径は、ピンホール形成用部材の第1の外径より大きく、かつ、第2の外径より小さい。雌部の下面側からピンホール形成用部材を挿入孔に挿入する場合、ピンホール形成用部材における第1の柱形状部は挿入孔を通貫することができるが、第2の柱形状部は挿入孔に入ることができない。したがって、この場合、第2の柱形状部がストッパーとなって、ピンホール形成用部材が挿入孔を通貫することを係止する。
【0028】
ピンホール形成用部材は、雌部の下面側から挿入孔に挿入した際に、第1の柱形状部の端部が第1の雄部と雌部との間に挟まれたコンタクトレンズに接面し、かつ、第2の柱形状部の端部が第2の雄部の凸部の先端に接面するように設計される。したがって、第1及び第2の雄部と雌部とを嵌合する際の第1の雄部における凸部の先端部から第2の雄部における凸部の先端部までの距離が、ピンホール形成用部材の長さとなる。さらに、この際、ピンホール形成用部材における第1の柱形状部の長さは第1の雄部における凸部の先端部から雌部の下面側の凹部の底面までの距離に相当し、ピンホール形成用部材における第2の柱形状部の長さは第2の雄部における凸部の先端部から雌部の下面側の凹部の底面までの距離に相当する。
【0029】
本発明の第1の態様の治具は、第2の雄部の凸部の先端部から後端部へ貫通してなる着色剤流入孔を備える。
【0030】
第2の雄部が着色剤流入孔を備える場合、雌部に設けた挿入孔の少なくとも1個にピンホール形成用部材を挿入せずに第1及び第2の雄部と雌部とを嵌合し、第2の雄部の着色剤流入孔を通じて着色剤を流入する場合、該挿入孔を通じて着色剤が着色剤貯留部に流入する。この際、雌部に設けた挿入孔に全てにピンホール形成用部材を挿入したければ、別途、雌部の上面側の凹部底面から下面側の凹部底面にかけて貫通してなる、着色剤が流入可能である着色剤流入孔を設ければよい。
【0031】
雌部が着色剤流入孔を備える場合、該着色剤流入孔を通じて着色剤を流入すれば、着色剤が着色剤貯留部に流入する。この際、雌部の凹部に着色剤流入孔を設けなくともよい。
【0032】
ピンホール形成用部材を雌部の下面側から挿入孔に挿入し、次いで第2の雄部と雌部とを嵌合し、次いで雌部の上面側の凹部に設けた係止部にコンタクトレンズを載置し、次いで第1の雄部と雌部とを嵌合し、次いで着色剤流入孔を通じて着色剤貯留部に着色剤を送り込むことにより、着色剤と接する部分は着色し、かつ、ピンホール形成用部材の第1の柱形状部の端部に接する部分は非着色であるピンホールコンタクトレンズを得ることができる。このようにピンホールとは、微細な穴を指すものではなく、着色されずにコンタクトレンズ基材の色を維持する部位を指すものである。
【0033】
本発明の第1態様の具体的態様として、第2の雄部が着色剤流入孔を備え、かつ、雌部が凹部を貫通してなる着色剤流入孔を備える態様の治具について、
図1~
図8を参照して説明する。
【0034】
図1~
図3はそれぞれ第1の雄部、雌部及び第2の雄部の斜視図を示す。
図4は、第1の雄部及び第2の雄部並びに挿入孔にピンホール形成用部材を挿入した後の雌部の斜視図を示す。
図5は、第1の雄部と雌部と第2の雄部とを嵌合し組み合わせた態様の斜視図を示す。
【0035】
図6Aは、第1の雄部、雌部、ピンホール形成用部材及び第2の雄部の断面図を示す。
図6Bは、ピンホール形成用部材の斜視図を示す。
図6Cは、第1の雄部とピンホール形成用部材を挿入した雌部との間にコンタクトレンズを挟み込み、さらに第2の雄部と雌部とを嵌合し組み合わせた態様の断面図を示す。
【0036】
図7A~
図7Cは、それぞれ第1の雄部(凸部側)、雌部(上面側及び下面側)及び第2の雄部(凸部側)の平面図を示す。
【0037】
図8Aは、中心部染色用部材を備える第1態様の治具の断面図を示す。
図8Bは、第1の雄部と雌部との間にコンタクトレンズ及び中心部染色用部材を挟み込み、さらに第2の雄部と雌部とを嵌合し組み合わせた態様の断面図を示す。
【0038】
図6及び
図7に示すとおり、治具1は、雌部10と、第1の雄部20及び第2の雄部40とを組み合わせて使用する。雌部10は、上面側の凹部110と下面側の凹部120とを備える。第1の雄部20は凸部21を備え、第2の雄部40は凸部41及び1個又は複数個の着色剤流入孔43を備える。着色剤流入孔43の直径T5は着色剤が流入可能な径であれば、特に限定されないが、例えば、0.5mm~1.5mmである。
【0039】
雌部10の上面側の凹部110及び下面側の凹部120は、それぞれ、第1の雄部20の凸部21と第2の雄部40の凸部41と嵌合可能である。雌部10の上面側の凹部110は、内側に、嵌合する第1の雄部20における凸部21の先端部の一部と接する係止部111を備える。雌部10の下面側の凹部120は、内側に、嵌合する第2の雄部40における凸部41の先端部の一部と接する係止部121を備える。
【0040】
雌部10は、上面側の凹部110の底面から下面側の凹部120の底面へ貫通してなる、ピンホール形成用部材30を挿入するための、2個又は複数個の挿入孔11を備える。また、雌部10は、着色剤流入孔12を備える。着色剤流入孔12の直径T4は着色剤が流入可能な径であれば、特に限定されないが、例えば、0.5mm~1.5mmである。
【0041】
ピンホール形成用部材30は、2個の柱形状部31及び柱形状部32が互いに縦方向に積重してなる構造からなる。柱形状部31の直径T1は、柱形状部32の直径T2よりも小さい。また、柱形状部31の直径T1は挿入孔11の直径T3よりも小さく、柱形状部32の直径T2は挿入孔11の直径T3よりも大きい。柱形状部31の直径T1、柱形状部32の直径T2及び挿入孔11の直径T3が上記のような関係(T2>T3>T1)にあることにより、ピンホール形成用部材30を、雌部10の下面側の凹部120から挿入孔11に挿入した際に、柱形状部31の端部が挿入孔11を通過するとともに、柱形状部32の周縁部が凹部120の底面に当接するため、ピンホール形成用部材30の配置が安定する。柱形状部31の直径T1は、所望のピンホール径に合わせて適宜設定すればよく、例えば、0.05mm~1.5mmであり、好ましくは0.1mm~1.0mmである。挿入孔11の直径T3は、例えば、柱形状部31の直径T1に対して、110%~300%である。柱形状部32の直径T2は、例えば、挿入孔11の直径T3に対して、110%~300%である。
【0042】
柱形状部31及び柱形状部32の先端部の形状は、平坦であり、かつ、所望により、円、楕円、角形、星形、三日月形などの規則的又は不規則的な形状を取り得るが、円形状であることが好ましい。
【0043】
第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせた際に、第1の雄部20における凸部21の先端部の一部と雌部10における係止部111とが当接し、第1の雄部20におけるフランジ部22と雌部10における係合部112とが当接する。この際、第1の雄部20における凸部21の先端部の一部と雌部10における係止部111との間にコンタクトレンズを挟み込むことができ、これらはコンタクトレンズの固定部として機能する。
【0044】
雌部10の係止部111の幅は特に限定されないが、例えば、コンタクトレンズを戴置するのに十分な幅であるという観点から、1mm~5mmの範囲であることが好ましい。
【0045】
雌部10の係合部112の幅と、第1の雄部20のフランジ部22の幅とが同程度の値になるように設計することで、嵌合時の雌部10と第1の雄部20との遊びが低減されるために、治具1の全体的なずれが抑止され、ピンホールを所望の位置に有するピンホールコンタクトレンズを安定的に供給することができるようになる。雌部10の係合部112の幅及び/又は第1の雄部20のフランジ部22の幅は特に限定されないが、例えば、1mm~5mmの範囲である。
【0046】
第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせた際に、雌部10の係止部111の内側に空隙である着色剤貯留部113が形成される。着色剤貯留部113は十分な量の着色剤を貯留することができれば、その体積及び寸法については特に限定されない。着色剤貯留部113の高さA10は、例えば、1.0mm~10mmである。
【0047】
第1の雄部20と雌部10との関係と同様にして、第2の雄部40と雌部10とを嵌め合わせた際に、第2の雄部40における凸部41の先端部の一部と雌部10における係止部121とが当接し、第2の雄部40におけるフランジ部42と雌部10における係合部122とが当接する。また、この際、雌部10の係止部121の内側に空隙である着色剤貯留部123が形成される。
【0048】
ピンホール形成用部材30の柱形状部31の長さP1は、挿入孔11の深さA1と着色剤貯留部113の高さA10との合計の長さに相当する。ピンホール形成用部材30の柱形状部32の長さP2は、着色剤貯留部123の高さA20に相当する。柱形状部31の長さP1及び柱形状部32の長さP2がこのような関係にあることにより、ピンホール形成用部材30を雌部10の下面側の凹部120の底面から挿入孔11に挿入した際に、柱形状部31の端部が第1の雄部20と雌部10との間に挟まれたコンタクトレンズL1に当接し、かつ、柱形状部32の端部が第2の雄部40の凸部41の先端部に当接する。
【0049】
柱形状部31の長さP1と柱形状部32の長さP2との関係性は特に限定されないが、例えば、P1:P2が1:0.1~1:5、好ましくは1:0.1~1:2、より好ましくは1:0.2~1:1になるような関係性が挙げられる。
【0050】
ぐらつきや抜き難さを低減して、ピンホール形成用部材30を挿入孔11内に維持するためには、柱形状部31の長さP1は挿入孔11の深さA1に対して150%~500%であり、及び/又は、柱形状部32の長さP2は挿入孔11の深さA1に対して80%~200%であることが好ましい。
【0051】
第1の雄部20の凸部21の高さC10は、雌部10の上面から係止部111までの高さB10と同程度である限り、特に限定されないが、例えば、第1の雄部20と雌部10との嵌め合わせが安定するような高さであり、好ましくは1mm~10mmである。第2の雄部40の凸部41の高さD10及び雌部10の下面から係止部121までの高さB20についても同様である。
【0052】
雌部10の第一外径X1及び第二外径Y1並びにコンタクトレンズL1の直径Z1は、Y1≧Z1>X1の関係にある限り、それぞれ特に限定されない。例えば、雌部10の第一外径X1は、コンタクトレンズL1の直径Z1に対して50%~95%であり、雌部10の第二外径Y1は、コンタクトレンズL1の直径Z1に対して100%~125%である。第二外径Y1と第一外径X1との差分の1/2の数値は、雌部10の係止部111の幅に相当する。
【0053】
本発明の第1態様の治具は、コンタクトレンズの特定の部位のみを着色するための中心部染色用部材を備えてもよい。中心部染色用部材は上面側から下面側へ貫通した1個又は複数個の着色剤流入孔を備える。この場合、雌部は、上面側の凹部における係止部から下面方向の内側に、中心部染色用部材が戴置可能である中心部染色用部材戴置部を備える。中心部染色用部材を用いれば、ピンホール形成用部材を用いずとも、中心部染色用部材に設けた着色剤流入孔の位置に合わせて、コンタクトレンズの表面に着色部を形成することができる。
【0054】
中心部染色用部材を備える本発明の第1態様の治具の具体的な実施態様を、
図8に示す。雌部10は、上面側の凹部110における係止部111から下面方向の内側に、中心部染色用部材載置部114を備える。中心部染色用部材載置部114に中心部染色用部材50を置いて、第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせると、中心部染色用部材50は、第1の雄部20の凸部21の先端の一部と中心部染色用部材載置部114とによって挟まれ、固定される。そのためには、中心部染色用部材50の高さ(厚み)は、中心部染色用部材載置部114から係止部111までの距離に相当する。
【0055】
[第2態様の治具]
本発明の第2態様の治具は、第2の雄部が着色剤流入孔を備えず、代わりに雌部が側面部を貫通してなる着色剤が流入可能である着色剤流入孔を備えること以外は、本発明の第1態様の治具と同様の構成をとる。
【0056】
本発明の第2態様の治具は、雌部が側面部を貫通してなる着色剤流入孔を備えることにより、第2の雄部が着色剤流入孔を備えずとも、治具を着色剤中へ浸漬することなどすることにより、第1の雄部と雌部との間に挟み込んだコンタクトレンズの表面にピンホールを形成することが可能である。
【0057】
本発明の第2態様の治具の具体的な実施態様を、
図9に示す。雌部10は、側面部を貫通してなる着色剤流入孔13と上面側及び下面側の凹部を貫通してなる着色剤流入孔12とを備える。この場合、第2の雄部40における凸部41の先端部の一部と雌部10における係止部121との間にコンタクトレンズL2を挟み込むことで、ピンホール形成用部材30の柱形状部32の先端部の形状に合わせて、コンタクトレンズL2の表面にピンホールを形成することが可能である。なお、コンタクトレンズL1のみにピンホールを形成する場合は、着色剤流入孔12を設けなくてもよい。着色剤流入孔12を設ける場合は、雌部の側面部に設けるべき着色剤流入孔は、上面側の凹部とは別に、又は上面側の凹部とともに、下面側の凹部に設けてもよい。
【0058】
[第3態様の治具]
本発明の第3態様の治具は、第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを少なくとも含む。第1の雄部と雌部との関係性及び第2の雄部の構造は本発明の第1態様の治具と同様である。
【0059】
本発明の第3態様の治具における雌部は、上面側の凹部から下面側の凹部へピンホール形成用部材が挿通可能であるように設計された挿入孔を備える。また、雌部の上面側の凹部は、内側に、嵌合する第1の雄部における凸部の先端の一部と接する係止部を備えるが、下面側の凹部は係止部を備えない。したがって、第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる場合、第2の雄部の凸部の先端は雌部の下面側の凹部に接面する。この際、雌部の挿入孔に挿入したピンホール形成用部材の先端は、第2の雄部の凸部の先端に接面する。
【0060】
第2の雄部及び雌部は、嵌め合わせた際に、第2の雄部の下面側から雌部の上面側の凹部へ貫通するように設計された、着色剤流入孔を備える。
【0061】
ピンホール形成用部材は直径が一様のものであっても、異なる直径の2種以上の部材が互いに縦方向に積重してなるものであっても、どちらでもよい。ピンホール形成用部材の直径が小さ過ぎる場合には、挿入孔から抜けやすくなる可能性がある。この場合、ピンホール形成用部材における挿入孔に挿入する部分の部材の直径を大きくして、挿入孔内の壁面と接触する面積を大きくすればよい。これは、後述する本発明の第4態様~第6態様の治具についても同様である。
【0062】
本発明の第3態様の治具の具体的な実施態様を、
図10に示す。
図10に示すとおり、第2の雄部40に設けた着色剤流入孔43及び雌部10に設けた着色剤流入孔12を通じて、着色剤が治具
1内を流入して着色剤貯留部113に溜まり、コンタクトレンズL1に到達する。治具1を着色剤中へ浸漬することなどすることにより、コンタクトレンズ表面にピンホールを形成することが可能である。
【0063】
[第4態様の治具]
本発明の第4態様の治具は、第2の雄部が着色剤流入孔を備えず、代わりに雌部が側面部を貫通してなる着色剤流入孔を備えること以外は、本発明の第3態様の治具と同様の構成をとる。
【0064】
本発明の第4態様の治具の具体的な実施態様を、
図11に示す。
図11に示す治具1を着色剤中へ浸漬することなどすることにより、コンタクトレンズ表面にピンホールを形成することが可能である。
【0065】
[第5態様の治具]
本発明の第5態様の治具は、第1の雄部及び第2の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを少なくとも含む。第1の雄部と雌部との関係性及び第2の雄部と雌部との関係性は本発明の第1態様の治具と同様である。ただし、第2の雄部が着色剤流入孔を備えず、代わりに雌部が側面部を貫通してなる着色剤流入孔を備える。
【0066】
本発明の第5態様の治具の具体的な実施態様を、
図12に示す。
図12Aに記載の雌部10は、上面側の凹部110の底面から下面側の凹部120の底面までの間に着色剤流入孔12を備え、かつ、その間に側面部を貫通してなる着色剤流入孔14を備える。一方、
図12Bに記載の雌部10は、着色剤流入孔12を備え、かつ、上面側の凹部110の側面部を貫通してなる着色剤流入孔13を備える。上記のような構成をとることにより、
図12A及び
図12Bに示す治具1を着色剤中へ浸漬することなどすることにより、コンタクトレンズ表面にピンホールを形成することが可能である。
【0067】
図12Bに示す治具において、コンタクトレンズL1のみにピンホールを形成する場合は、着色剤流入孔12を設けなくてもよい。着色剤流入孔12を設ける場合は、雌部の側面部に設けるべき着色剤流入孔は、上面側の凹部とは別に、又は上面側の凹部とともに、下面側の凹部に設けてもよい。
【0068】
[第6態様の治具]
本発明の第6態様の治具は、第1の雄部と、雌部と、ピンホール形成用部材とを少なくとも含む。したがって、本発明の第6態様の治具は、本発明の第1態様の治具とは異なり、第2の雄部は含まない。
【0069】
本発明の第6態様の治具における雌部は、上面側にのみ凹部を備える。また、雌部は、ピンホール形成用部材を挿入するための挿入孔を備えるが、挿入孔は凹部の底面を貫通してなるものではない。挿入孔がこのような構成をとるためには、貫通しない程度に雌部の凹部の底面を穿孔してもよいし、貫通するように雌部の凹部の底面を穿孔した後に、雌部の凹部の底面に底板を貼り付けてもよい。さらに、雌部は、後端部又は側面部を貫通してなる着色剤流入孔を備える。
【0070】
本発明の第6態様の治具の具体的な実施態様を、
図13に示す。
図13Aに示す雌部10は、後端部(凹部の底面)を貫通してなる着色剤流入孔12を備える。一方、
図13Bに示す雌部10は、側面部を貫通してなる着色剤流入孔13を備える。これにより、治具1を着色剤中へ浸漬することなどすることにより、コンタクトレンズ表面にピンホールを形成することが可能である。また、
図13Cに示すように、異なる直径の2種の部材が互いに縦方向に積重してなるピンホール形成用部材30を用いることによって、ピンホール形成用部材が挿入孔から抜けやすくすることを防ぐことができる。
【0071】
[第1態様の方法]
本発明の第1態様の方法は、本発明の第1態様~第5態様の治具を用いてピンホールコンタクトレンズを形成する方法に関する。本発明の第1態様の方法は、以下の工程を少なくとも含む:
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせ、及び第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部、雌部及び第2の雄部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程。
【0072】
本発明の第1態様の方法について、再び、本発明の第1態様の治具を図示した
図6~8を参照して、具体的に説明する。
第一工程として、雌部10の挿入孔11へピンホール形成用部材30を挿入する。ピンホール形成用部材30及び/又は挿入孔11の数は、所望のピンホールを形成するような数であればよく、例えば、2個以上であり、好ましくは20個~100個であり、より好ましくは40個~60個である。
【0073】
雌部10の凹部110に設けた係止部111にコンタクトレンズL1を載置し、第1の雄部20における凸部21の先端の一部と係止部111との間でコンタクトレンズL1を挟むようにして、第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせる。このようにすることで、ピンホール形成用部材30の柱形状部31の先端部がコンタクトレンズL1に接面する。その結果として、コンタクトレンズL1は、第1の雄部20の凸部21と、ピンホール形成用部材30及び雌部10の凹部110の係止部111との間で挟み込まれ、固定される。
【0074】
第2の雄部40と雌部10とを嵌め合わせる。この際、第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせた後に第2の雄部40と雌部10とを嵌め合わせてもよいし、第2の雄部40と雌部10とを嵌め合わせた後に第1の雄部20と雌部10とを嵌め合わせてもよい。
【0075】
第三工程として、嵌め合わせた第1の雄部20、雌部10及び第2の雄部40からなる治具1を着色剤に接触させる。第2の雄部40に設けられた着色剤流入孔43を通じて、着色剤は治具1内に流入し、着色剤貯留部123に溜まる。
【0076】
着色剤貯留部123に溜まった着色剤は、挿入するピンホール形成用部材30の数が挿入孔11の数と同数である場合は、雌部10の着色剤流入孔12を通じて、着色剤が治具1内に流入し、着色剤貯留部113に溜まり、コンタクトレンズL1に到達する。
【0077】
着色剤貯留部123に溜まった着色剤は、挿入するピンホール形成用部材30の数が挿入孔11の数よりも少ない場合は、雌部10の着色剤流入孔12及びピンホール形成用部材30が挿入されていない挿入孔11を通じて、着色剤が治具1内に流入し、着色剤貯留部113に溜まり、コンタクトレンズL1に到達する。したがって、この場合は、雌部に着色剤流入孔を設けなくともよい。
【0078】
治具と着色剤との接触方法は、特に限定されないが、例えば、治具を着色液に浸漬すること、着色剤を着色剤流入孔より注入することなどが挙げられる。使用する着色剤は特に限定されず、例えば、顔料及び染料などが挙げられるが、着色性及び着色の安定性を考慮すれば、染料が好ましい。
【0079】
染料は、化学構造及び/又は反応性により、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応染料などに分類されるが、いずれのものを用いてもよい。
【0080】
直接染料の具体例として、ダイレクト S イエロー RL、ダイレクト S レッド BWS、ダイレクト オレンジ S、ダイレクト ボルドー GS、ダイレクト ブルー BB、ダイレクト S ブルー 4BL H/C、ダイレクト S ブルー BRL 200、ダイレクト スカイブルー 5B、ダイレクトライト スカーレット F2G、ダイレクトライト ローズ FR、ダイレクト F ブラック B160、スミライト S ブルー FBGL、スミライト S ブルー FGL、カヤラス L イエロー F8G、カヤラス S イエロー GLS、カヤラス イエロー PG、カヤラス S オレンジ 2GL 125%、カヤラス S ブロン B2R、カヤラス S ブロン GL 125、カヤラス S ブロン GTL、カヤラス L レッド F5B、カヤラス S ルビン BL、カヤラス S ブルー RCL、カヤラス S ブルー 4G、カヤラス S ブルー BWL 143、カヤラス T ブルー GL、カヤラス S グリーン F4G、カヤラス C グリーン G、カヤラス S グレー L3R、カヤラス S グレー CGL、カヤラス S スカーレッド BNL 200、カヤラス ライトスカーレット F2G、カヤラス S レッド 6BL 170%、カヤラス S バイオレット 5BL コンク、カヤラス C ネイビーブルー CLWなどが挙げられる。
【0081】
酸性染料の具体例としては、カヤノール イエロー NFG、カヤノール イエロー N3R、カヤノール M イエロー 5GW、カヤノール M イエロー O、カヤノール M イエロー 3GW、カヤノール M スカーレット FGW、カヤノール M レッド 6BW、カヤノール M バイオレット FBW、カヤノール M ターキスブルー 3G、カヤノール M ブラック VLG、カヤノール M グリーン 5GW、カヤノール M グリーン GW、カヤノール ミーリング ブルー GW、カヤノール ミーリング ブルー BW、カヤノール M バイオレット FBW、カヤノール ミーリング ブラック TLB、アミニール イエロー E-3RL、アミニール イエロー E-3GL、アミニール レッド E-3BL、アミニール ブルー E-2GL、カヤカラン スカーレット GL、カヤカラン ボルドー BL、スミノール F イエロー R コンク、スミノール F イエロー 2GP、スミノール F ブラック BR コンク、スミノール F イエロー G、スミノール M ボルドー B、スミノール M ブリリアント レッド B(N) コンク、スミノール M ブリリアント レッド 3BN コンク、スミノール M レッドブラウン V コンク、ラニール ブラック BG ex/co、ラニール ブロン GR(N)、ラニール イエロー R ex/co、アシド M レッド PG、アシド M レッド GRA、アシド M レッド RS 125、アシド M レッド 3BW、アシド グリーン SS 200、アシド M グリーン B、アシド バイオレット 4BNS、アシド M サイアニン 5R、イノラ M イエロー NRG-N、イノラ スカーレット BA、イノラ F サイアニン 6B H/C、イノラ F バイオレット 5Bなどが挙げられる。
【0082】
塩基性染料の具体例としては、アストラ フロキシン FF コンク、プリモ フラビン 8G、メチールバイオレット BB、メチールバイオレット ピュア SP、カチロン イエロー 7GLH、カチロン B イエロー 5GLH200%、カチロン イエロー3GLH200%、カチロン イエロー K-3RLH、カチロン イエロー SGLH、カチロン イエロー T-RLH、カチロン オレンジ GLH200%、カチロン B レッド 4GH200%、カチロン レッド 6BH、カチロン レッド 7BNH200%、カチロン B レッド 3BPH、カチロン レッド CD-FBLH、カチロン ブルー BRLH200%、カチロン ブルー T-BLH、カチロン ブルー CD-FBLH、カチロン ブルー 3GLH、カチロン ブラック CD-BLH、カチロン ブラック MH、カチロン ブラック NH200%、アストラゾン イエロー 7GLL200%、アストラゾン イエロー 8GSL200%、アストラゾン イエロー GRL200%、アストラゾン レッド BBL200%、アストラゾン レッド 6B、アストラゾン レッド CS-N、アストラゾン レッド GTLN200% 01、アストラゾン ブルー BG200%、アストラゾン ブルー 5GL200%、アストラゾン ブルー AU-N02、アストラゾン ブラック FDL200%01、アストラゾン ブラック SW200%などが挙げられる。
【0083】
分散染料の具体例としては、ダイアニックス Br イエロー 5GE、ダイアニックス Br ブルー GRE、ダイアニックス Br ネイビーブルー BNE、ダイアニックス Br ブラック BNSE、ダイアニックス イエロー 7GL200%、ダイアニックス イエロー G-FS200、ダイアニックス レッドR-E167、ダイアニックス レッドBN-SE、ダイアニックス レッドG-FS、ダイアニックス レッドGR、ダイアニックス ブルー3RLS、ダイアニックス ブルーFBL-E、ダイアニックス ブラックBG-FS200%01、ダイアニックス ブラックHG-FS コンク、スミカロン イエロー SE5G、スミカロン ブロン G、スミカロン カーキ GG、スミカロン オリーブ MW、スミカロン バイオレット S4RL ex/co、ミケトン P オレンジ SF、ミケトン P レッド BSF、ミケトン P レッド BLSF、カヤロン P スカーレット RLSF、カヤロン P ルビン GLSE 200%、カヤロン P ブラック EXSF 200%などが挙げられる。
【0084】
反応染料の具体例としては、レマゾール B イエロー 4GL、レマゾール B イエロー GL、レマゾール イエロー FG 150%、レマゾール イエロー GNL、レマゾール イエロー GR、レマゾール G イエロー G、レマゾール G オレンジ4G、レマゾール B オレンジ FR、レマゾール B オレンジ 3R、レマゾール B レッド GG、レマゾール B レッド BB150%、レマゾール B レッド F3B、レマゾール レッド RHG、レマゾール ボールド B、レマゾール B バイオレット 5R90%、レマゾール B ブルー RKN、レマゾール B ブルー BB133%、レマゾール ターキス B、レマゾール ターキス G133%、レマゾール B グリーン 6B175%、レマゾール ネービー RGB150%、レマゾール ブラック B150%、レマゾール ブラック DEN、レマゾール ブラック A、レマゾール ブラック B、スミフィクス イエロー 2GL150%、スミフィクス イエロー GR150%、スミフィクス G イエロー GG150%、スミフィクス オレンジ 3R150%、スミフィクス レッド G150%、スミフィクス レッド BB150%、スミフィクス レッド BS、スミフィクス レッド 7BF25%、スミフィクス ブルー R、スミフィクス ブルー KP、スミフィクス ターキスブルー G、スミフィクス Nブルー EXF、スミフィクス ブラック B150%、スミフィクス ブラック EX、スミフィクス ブラック EA、カヤシオン イエロー P-5G、カヤシオン イエロー PN―3R、ミカシオン イエロー 8GN、カヤシオン オレンジ PG、カヤシオン ブラウン P-4NR、カヤシオン スカーレットP RN、カヤシオン レッド P-2B、カヤシオン レッド P-4BN、カヤシオン レッド A-3B、カヤシオン ブルー P-3R、カヤシオン ブルー A-B、カヤシオン ネイビー P-N2R、カヤシオン ブラック P-N、シバクロン イエロー P―6GS、シバクロン オレンジ P―2R、シバクロン ブラウン P―6R150、シバクロン レッド P―B、シバクロン レッド P―4B、シバクロン レッド P―6B150、シバクロン ブルー P-3R、シバクロン ブラック PGR150%などが挙げられる。
【0085】
着色剤として、ジアゾニウム塩化合物を用いてもよい。ジアゾニウム塩化化合物は、例えば、以下に記載の固着工程において、アゾカップリングを行うことにより、染料としての構造を有するようになる。
【0086】
着色剤は、所望の色味に合わせ、種類を問わず適宜組み合せて使用してもよいし、単独で使用してもよい。着色剤の配合量は、所望の色味により変動し、特に限定されないが、例えば、総量として、溶液中に0.01重量%~50重量%、好ましくは0.01重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~5.0重量%である。
【0087】
着色剤の調製は、例えば、染料及び/又は顔料を溶媒に溶解又は分散することにより行う。溶媒の液質は、使用する着色剤の性質により異なり得る。そのために、溶媒は、適宜調整して使用する。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒などが挙げられ、これらは単独で、又は組み合せて使用する。
【0088】
着色剤を酸性条件で使用する場合は一般的な酸性化合物を添加し、塩基性条件で使用する場合は一般的な塩基性化合物を添加する。コンタクトレンズと着色剤との接触時間、すなわち、着色時間は、所望の色味、着色液の液質、温度などの条件により変動し、特に限定されないが、例えば、数分~数時間であり、着色中におけるコンタクトレンズのダメージを考慮すれば、5時間以内であることが好ましい。反応温度は特に限定されず、例えば、0℃~100℃が好ましく、0℃~75℃がより好ましい。
【0089】
治具1と着色剤とが接触することにより、表面に着色部とピンホールである無着色部とが形成されたコンタクトレンズが得られる。この際、ピンホール形成用部材30の設計内容に合わせて、所望の孔径、形状及び数のピンホールを備えたピンホールコンタクトレンズが得られる。ピンホールコンタクトレンズにおける着色部の色は特に限定されないが、例えば、黒色、茶色、灰色、青色などが挙げられるが、眼球内への光の到達を遮るという観点では、光吸収率が大きい色が好ましく;ピンホールコンタクトレンズの装用の有無を外部から確認することを困難にするという観点では黒色、茶色及び灰色が好ましい。
【0090】
治具1と着色剤とを接触した後、水洗するなどして治具1から着色剤を取り除き、次いで治具1と着色固着剤とを接触して、コンタクトレンズ表面上の染色を固着する固着工程を実施することが好ましい。着色固着剤は特に限定されないが、例えば、一般的なアルカリ固着やアゾカップリングなどをもたらす着色固着剤であればよく、使用した着色剤の種類により使い分ければよい。染色の固着により、コンタクトレンズ基材への着色剤の染色の堅牢度、耐光性及び色調の鮮明さが向上する。
【0091】
固着工程後、余剰の着色剤及び着色固着剤、酸性又は塩基性化合物などを除去する洗浄工程を実施することが好ましい。洗浄工程は洗浄用溶媒を用いて実施することが好ましい。洗浄用溶媒は特に限定されないが、例えば、着色剤、着色固着剤、酸性又は塩基性化合物などを溶解可能な溶媒などが挙げられるが、精製水が好ましい。洗浄工程の具体例として、沸騰した十分な量の精製水内に治具1を数分~数十分間浸漬した後、治具1を流水にて水洗することなどが挙げられる。洗浄工程は、沸騰水への浸漬及び流水による洗浄を複数回繰り返すことによって実施してもよい。沸騰水への浸漬時間は、最長で120分である。流水による水洗を省略して、治具1を沸騰水へ浸漬した後、引き続き別の沸騰水に浸漬してもよい。
【0092】
第四工程として、コンタクトレンズL1を治具1より取り出す。この際、例えば、第1の雄部20を雌部10から脱離して、第1の雄部20又は雌部10に残存するコンタクトレンズL1を回収すればよい。
【0093】
本発明の第1態様の方法によってピンホールを形成するコンタクトレンズは、本発明の一態様の治具を用いてピンホールが形成されるコンタクトレンズであれば特に限定されない。コンタクトレンズとしては、第1の雄部20と雌部10との間に挟み込んでも破損しない材質のコンタクトレンズが好ましく、ソフトコンタクトレンズであることがより好ましい。
【0094】
ソフトコンタクトレンズは特に限定されない。ソフトコンタクトレンズは、例えば、モノマー成分を共重合反応に供して得られる。モノマー成分としては、例えば、親水性モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、シリコーン系モノマー、架橋性モノマーなどが挙げられる。
【0095】
親水性モノマーは、分子内に親水性を示す基を少なくとも1個以上有するモノマーであれば特に限定ない。親水性モノマーの具体例は、N、N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、グリセロールメタクリレート、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミドなどが挙げられる。親水性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
アクリル酸エステル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートなどの直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アクリル酸エステル系モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
シリコーン系モノマーとしては、高分子量のシリコーンモノマー、例えば、分子内に直鎖状のシロキサン結合構造を有する高分子量のシリコーンモノマーなどが挙げられる。シリコーン系モノマーの具体例としては、α-モノ(メタクリロキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジ(メタクリロキシメチル)ポリジメチルシロキサン、α-モノ(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジ(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α-モノ(3-メタクリロキシブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジ(3-メタクリロキシブチル)ポリジメチルシロキサン、α-モノビニルポリジメチルシロキサン、α,ω-ジビニルポリジメチルシロキサンポリシロキサンマクロマーや、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルメチル(メタ)アクリレート、3-メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、3-トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、3-トリメチルシロキシジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、3-メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなどの末端にアルキルシロキシ基を有するシリコーン含有モノマーなどが挙げられる。シリコーン系モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0098】
架橋性モノマーは、分子内に重合性基を2個以上有するモノマーであれば特に限定されない。架橋性モノマーの具体例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系架橋性モノマー;アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼンなどのビニル系架橋性モノマーなどが挙げられる。
【0099】
コンタクトレンズは、例えば、所望の量の各モノマー成分を均一に撹拌した後、重合開始剤を添加し、さらに撹拌を行った後、共重合反応に供することにより得られる。重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などのアゾ系重合開始剤;ターシャリーヘキシルパーオキシデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシピバレートなどの有機過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
所望の紫外線吸収能を付与するために、2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(メタ)アクリロイルオキシ-5-t-ブチルベンゾフェノン、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-メタクリロイルオキシメチル安息香酸フェニルなどの紫外線吸収剤を配合してもよい。
【0101】
コンタクトレンズを製造するに際して、所望の形状になるような成形型に入れてモノマー成分を共重合反応に供する方法、チューブ状の容器中でモノマー成分を共重合反応に供した後に所望の形状にコンタクトレンズを切削及び/又は研磨する方法などの公知の方法を採用できる。
【0102】
[第2態様の方法]
本発明の第2態様の治具及び本発明の第5態様の治具を用いれば、2枚のコンタクトレンズを用いて同時的にピンホールコンタクトレンズを形成することができる。
【0103】
すなわち、本発明の第2態様の治具又は本発明の第5態様の治具を用いて、以下の工程を実施することにより、2枚のピンホールコンタクトレンズを形成することができる:
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌側の凹部に設けた係止部との間で第1のコンタクトレンズを挟むようにして、第1の雄部と雌部とを嵌め合わせ、かつ、第2の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間で第2のコンタクトレンズを挟むようにして、第2の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部、雌部及び第2の雄部からなる治具を着色液に接触させ、第1及び第2のコンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
第1及び第2のコンタクトレンズをピンホールコンタクトレンズ形成用治具より取り出す工程。
【0104】
[第3態様の方法]
本発明の第3態様の方法は、本発明の第6態様の治具を用いたピンホールコンタクトレンズの形成方法であり、以下の工程を含む:
ピンホール形成用部材を挿入孔へ挿入する工程、
第1の雄部における凸部の先端部の一部と雌部の凹部に設けた係止部との間でコンタクトレンズを挟むようにして第1の雄部と雌部とを嵌め合わせる工程、
嵌め合わせた第1の雄部及び雌部からなる治具を着色剤に接触させ、コンタクトレンズの表面に着色部とピンホールである無着色部とを形成する工程、及び
コンタクトレンズを治具より取り出す工程。
【0105】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0106】
[1.コンタクトレンズの形成]
(1-1)コンタクトレンズ1/含水性軟質コンタクトレンズ
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)98重量%及びエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)2重量%を添加したモノマー溶液を、各成分が均一になるように室温にて30分間撹拌することにより混合してモノマー混合溶液を得た。得られたモノマー混合溶液に、重合開始剤である2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.5重量部添加し、十分に撹拌して混合した。
【0107】
得られた混合溶液を、ポリプロピレン製のコンタクトレンズ用成形型内に注入し、窒素雰囲気下、70℃で10時間加温する共重合反応に供した。成形型内からレンズ形状の共重合体を得た。
【0108】
得られた共重合体を、残留原料を除くためにエタノールを用いて洗浄するとともに膨潤を行った。膨潤後の共重合体をリン酸緩衝液(pH8.0)に入れることにより、レンズ径14.2mm、ベースカーブ8.70mmの含水性軟質コンタクトレンズを得た。
【0109】
(1-2)コンタクトレンズ2/シリコーン系含水性軟質コンタクトレンズ
α,ω-ジ(3-メタクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン30重量%、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)60重量%、トリデシルメタクリレート(TDMA)8重量%及びエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)2重量%を添加した溶液に、該溶液に対してターシャリーブチルアルコール(t-BuOH)の量が60重量%となるように添加して得たモノマー溶液を、各成分が均一になるように室温にて30分間撹拌することにより混合してモノマー混合溶液を得た。得られたモノマー混合溶液に、重合開始剤であるターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート(t-BuND)を0.5重量部添加し、十分に撹拌して混合した。
【0110】
得られた混合溶液について、上記(1-1)と同様に処理することにより、レンズ径14.0mm、ベースカーブ8.90mmのシリコーン系含水性軟質コンタクトレンズを得た。
【0111】
[2.コンタクトレンズの着色]
(2-1)単一径のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズ1
【0112】
図4~
図6に示す態様の雌部10、第1の雄部20、ピンホール形成用部材30及び第2の雄部40からなる、表1に示す寸法で構成された治具1を用いた。53個のピンホール形成用部材30を、柱形状部31の先端部が挿入孔11を通過するとともに、柱形状部32の周縁部が凹部120の底面に当接するように、雌部10の下面側の凹部120の底面から上面側の凹部110の底面に向けて53個の挿入孔11に挿入した。
【0113】
次いで、上記(1-1)で形成したコンタクトレンズ1を係止部111にフロント面を上向きに載置した後、雌部10と雄部20及び40とを嵌め合せて、コンタクトレンズL1を挟み込んだ治具1を得た。
【0114】
表2に示す組成の着色液及び着色固着液を調製した。
【0115】
コンタクトレンズL1を挟み込んだ治具1を、500mL容量のビーカーに入れた5℃の着色液1内に浸漬した状態で、冷蔵庫内で5℃にて60分間静置した。
【0116】
着色液1から取り出した治具1を、その全体を流水で水洗した後、500mL容量のビーカーに入れた着色固着液1内に浸漬して、室温にて60分間静置した。
【0117】
着色固着液1から取り出した治具1を、その全体を流水で水洗した後、500mL容量のビーカーに入れた沸騰した精製水内に浸漬して、60分間静置した。ビーカー内の精製水を交換して、さらに沸騰した精製水内に浸漬して、60分間静置することで、ピンホールコンタクトレンズ1を得た。ピンホールコンタクトレンズ1の模式図を
図14に示す。
【0118】
(2-2)複数径のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズ2
挿入孔11のうち、最外周に位置する8個の挿入孔11へは、ピンホール形成用部材30を雌部10の上面側の凹部110から挿入し、着色液2、着色固着液2を用いた以外は、上記(2-1)のピンホールコンタクトレンズ1と同様にして、ピンホールコンタクトレンズ2を得た。
ピンホールコンタクトレンズ2の模式図を
図15に示す。
【0119】
【0120】
【符号の説明】
【0121】
1 治具
10 雌部
11 挿入孔
12~14 着色剤流入孔
110 上面側の凹部
111 係止部
112 係合部
113 着色剤貯留部
114 中心部染色用部材戴置部
120 下面側の凹部
121 係止部
122 係合部
123 着色剤貯留部
20 第1の雄部
21 凸部
22 フランジ部
30 ピンホール形成用部材
31~32 柱形状部
40 第2の雄部
41 凸部
42 フランジ部
43 着色剤流入孔
50 中心部染色用部材
L1~L2 コンタクトレンズ
A1 挿入孔の深さ
A10~A20 着色剤貯留部の高さ
B10 雌部の上面から係止部までの高さ
B20 雌部の下面から係止部までの高さ
C10~D10 凸部の高さ
T1~T2 柱形状部の直径
T3 挿入孔の直径
T4~T5 着色剤流入孔の直径
P1~P2 柱形状部の高さ
Q1 ピンホール形成用部材の高さ
X1 雌部の第一外径
Y1 雌部の第二外径
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明によれば、所望の数及び位置のピンホールを有するピンホールコンタクトレンズを効率良く安定的に製造することができることから、ピンホールコンタクトレンズを工業的規模で供給することに利用可能である。