(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】廃棄体の放射能評価システムおよび廃棄体の放射能評価方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/167 20060101AFI20230228BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20230228BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20230228BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20230228BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20230228BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230228BHJP
【FI】
G01T1/167
G21F9/30 531E
G21F9/00 Z
G21F9/36 511C
G01T1/167 D
G01T1/00 D
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2019147187
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】高倉 恵太
(72)【発明者】
【氏名】中村 建城
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-292228(JP,A)
【文献】特開2015-230223(JP,A)
【文献】特開2015-087300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00-1/16
G01T 1/167-7/12
G21F 9/00-9/36
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器が放射化されることに基づく放射化汚染放射能量に関する放射化汚染放射能データを記憶する放射化汚染放射能データベースと、
前記機器に放射性物質が付着したことに基づく二次的汚染放射能量に関する二次的汚染放射能データを記憶する二次的汚染放射能データベースと、
前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の処分用の形態である廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う評価部と、
を備
え、
前記評価部は、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、減衰期間の要否または除染の要否を判定する放射能低減判定部を備える、
廃棄体の放射能評価システム。
【請求項2】
前記機器の構造および物量に関する構造・物量データを記憶する構造・物量データベースを備え、
前記評価部は、前記構造・物量データに基づいて、前記機器の解体により生じる前記廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う、
請求項1に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項3】
前記放射化汚染放射能データは、前記機器の部分ごとに異なる前記放射化汚染放射能量に関するデータを含み、
前記二次的汚染放射能データは、前記機器の部分ごとに異なる前記二次的汚染放射能量に関するデータを含む、
請求項1または請求項2に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項4】
前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データは、核種に関するデータを含む、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項5】
前記機器を実測して得られた前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量に関する線量実測・核種分析データを記憶する線量実測・核種分析データベースを備え、
前記評価部は、前記線量実測・核種分析データに基づいて、前記廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項6】
前記機器が使用された履歴に関する機器使用履歴データを記憶する機器使用履歴データベースを備え、
前記評価部は、前記機器使用履歴データに基づいて、前記廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項7】
前記評価部は、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の部分ごとの放射能濃度を設定する放射能濃度設定部を備える、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項8】
前記評価部は、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の放射能濃度の分布を設定する濃度分布設定部を備える、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項9】
前記評価部は、前記放射能低減判定部により減衰期間または除染が必要であると判定された場合に、減衰期間経過後または除染後の前記廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う放射能低減評価部を備える、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項10】
前記評価部は、
前記機器の解体処分の態様を検討するときの検討パラメータを設定する検討パラメータ設定部と、
前記検討パラメータに基づいて、前記機器を切断するときの切断寸法と切断位置との少なくともいずれか一方を含む切断態様を検討する切断態様検討部と、
を備える、
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項11】
前記評価部は、前記切断態様検討部が導出した前記切断態様で前記機器を切断した場合に、前記機器の切断片の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う切断片評価部を備える、
請求項
10に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項12】
前記評価部は、前記検討パラメータに基づいて、前記機器の切断片を処分容器に収納するときの収納態様を検討する収納態様検討部を備える、
請求項
10または請求項
11に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項13】
前記評価部は、前記切断態様検討部が導出した前記切断態様で前記機器を切断した場合に、前記機器の切断片を前記処分容器に収納した後の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う収納評価部を備える、
請求項
12に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項14】
それぞれの前記機器の切断片を識別可能な切断片識別情報と前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量を含む切断片情報データとを対応付けて管理する切断片管理部を備える、
請求項
13に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項15】
前記切断片識別情報と前記切断片情報データとを対応付けて表示する切断片情報表示部を備える、
請求項
14に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項16】
前記評価部は、前記収納評価部による評価に基づいて、前記廃棄体としての条件に適合しているか否かを判定する収納後判定部を備え、
前記収納態様検討部は、前記収納後判定部により前記廃棄体としての条件に適合していないと判定された場合に、前記検討パラメータが見直され、この見直された前記検討パラメータに基づいて、前記収納態様の再検討を行う、
請求項
13から請求項
15のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項17】
前記機器の切断片を収納したそれぞれの前記処分容器を識別可能な処分容器識別情報と前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量を含む廃棄体情報データとを対応付けて管理する廃棄体管理部を備える、
請求項
12から請求項
16のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項18】
前記処分容器識別情報と前記廃棄体情報データとを対応付けて表示する廃棄体情報表示部を備える、
請求項
17に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項19】
前記検討パラメータは、前記機器を切断するときの制約に関する切断条件と、前記機器の切断片を処分容器に収納するときの制約に関する処分容器条件と、前記機器の切断片を前記処分容器に収納した後の制約に関する廃棄体制約条件と、の少なくともいずれかを1つを含む、
請求項11から請求項
18のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項20】
前記評価部は、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の切断片を収納する処分容器の表面の線量当量率と前記処分容器の発熱量との少なくともいずれか一方を評価する廃棄体評価部を備える、
請求項11から請求項
19のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項21】
前記機器の切断片を収納したそれぞれの前記処分容器を識別可能な処分容器識別情報と前記処分容器の表面の線量当量率と前記処分容器の発熱量との少なくともいずれか一方を含む廃棄体情報データとを対応付けて管理する廃棄体管理部を備える、
請求項
20に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項22】
前記処分容器識別情報と前記廃棄体情報データとを対応付けて表示する廃棄体情報表示部を備える、
請求項
21に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項23】
前記機器は、原子力施設にて使用されたものである、
請求項1から請求項
22のいずれか1項に記載の廃棄体の放射能評価システム。
【請求項24】
機器が放射化されることに基づく放射化汚染放射能量に関する放射化汚染放射能データを放射化汚染放射能データベースに記憶するステップと、
前記機器に放射性物質が付着したことに基づく二次的汚染放射能量に関する二次的汚染放射能データを二次的汚染放射能データベースに記憶するステップと、
前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の処分用の形態である廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行うステップと、
を含
み、
前記評価を行うステップで、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、減衰期間の要否または除染の要否を判定する、
廃棄体の放射能評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、廃棄体の放射能評価システムおよび廃棄体の放射能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力施設の解体計画を立案するときに放射性廃棄物を収納する容器の個数を算出する技術が知られている。また、解体設備の放射線量分布から切断条件を設定し、廃棄物の切断片の放射線量を求め、容器への収納方法を検討する技術が知られている。また、廃棄物を収納する容器または切断後の廃棄物の個数および線量のシミュレーションを行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-87300号公報
【文献】特開2017-75897号公報
【文献】国際公開第99/39253号
【非特許文献】
【0004】
【文献】ピット処分及びトレンチ処分対象廃棄物の放射能濃度決定に関する基本手順:2011(AESJ-SC-F022:2011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、原子力施設の廃止措置により発生する放射性廃棄物の処分方法が検討されている。この廃止措置では、放射化汚染がなされた放射化汚染廃棄物、二次的汚染がなされた二次的汚染廃棄物、放射化汚染および二次的汚染の両方の汚染がなされた放射性廃棄物が大量に発生する。しかしながら、従来技術では、放射化汚染または二次的汚染の区別を行わずに、解体した廃棄物の放射能量が評価されている。そのため、汚染の実態に合わせた放射能量を評価できないという課題がある。
【0006】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、汚染の実態に合わせて廃棄体の放射能量を評価することができる廃棄体の放射能評価技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る廃棄体の放射能評価システムは、機器が放射化されることに基づく放射化汚染放射能量に関する放射化汚染放射能データを記憶する放射化汚染放射能データベースと、前記機器に放射性物質が付着したことに基づく二次的汚染放射能量に関する二次的汚染放射能データを記憶する二次的汚染放射能データベースと、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、前記機器の処分用の形態である廃棄体の前記放射化汚染放射能量および前記二次的汚染放射能量の評価を行う評価部と、を備え、前記評価部は、前記放射化汚染放射能データおよび前記二次的汚染放射能データに基づいて、減衰期間の要否または除染の要否を判定する放射能低減判定部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態により、汚染の実態に合わせて廃棄体の放射能量を評価することができる廃棄体の放射能評価技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】廃棄体の放射能評価システムを示すブロック図。
【
図3】放射化汚染放射能データベースの登録内容を示す説明図。
【
図4】二次的汚染放射能データベースの登録内容を示す説明図。
【
図5】構造・物量データベースの登録内容を示す説明図。
【
図6】線量実測・核種分析データベースの登録内容を示す説明図。
【
図7】機器使用履歴データベースの登録内容を示す説明図。
【
図11】機器別汚染放射能濃度の設定内容を示すグラフ。
【
図12】機器別汚染放射能分布の設定内容を示すグラフ。
【
図13】減衰期間経過後・除染後の核種濃度評価を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、廃棄体の放射能評価システムおよび廃棄体の放射能評価方法の実施形態について詳細に説明する。
図1の符号1は、本実施形態の放射能評価システムである。
【0011】
原子力発電所などの原子力施設では、原子炉、シュラウド、炉内構造物、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、タービン、復水器、配管、タンク、生体遮蔽壁、その他の機器が使用されている。これらの機器は、原子炉から生じる中性子にさらされ、放射化されたり、原子炉で発生した放射性物質が付着したりして汚染されている。放射化によって放射能汚染物となったものを放射化汚染廃棄物、放射性物質の付着によって放射能汚染物となったものを二次的汚染廃棄物、放射化および放射性物質の付着によって放射能汚染物となったものを混合汚染廃棄物と呼称する。
【0012】
原子力施設の廃止措置では、放射化汚染廃棄物、二次的汚染廃棄物が大量に発生する。これらの放射性廃棄物は、処分容器に収納されて保管管理される。放射性廃棄物を収納した処分容器を「廃棄体」と称する。放射性廃棄物を処分容器に収納する際には、廃棄体の要件を満足するように、放射性廃棄物が切断され、収納され、収納された放射性廃棄物の放射能量(放射能濃度)を決定することが求められる。
【0013】
廃棄体の要件とは、収納放射能量、表面線量当量率、発熱などの要件(制限)であり、この要件を満足するように廃止措置の一連の計画が立案される。
【0014】
廃止措置の一連の計画にも影響する放射性廃棄物の放射能濃度は、作業および処分の被ばくの観点から過小に評価することが許されず、保守的に評価することが一般的である。一方で、過度に保守的な放射能濃度で放射性廃棄物の処理処分を検討すると、作業時間、容器数、廃棄体数が多く計画されてしまう。被ばくを考慮し、廃棄体の要件を満足した上で、放射性廃棄物の処理処分費用の合理化を図るためには、より現実的に、精緻に放射性廃棄物の放射能濃度を評価する必要がある。
【0015】
ここで、放射化放射能と二次的放射能では、含まれる放射性核種または放射能分布に違いがあり、そのために、放射能の減衰速度または最適な除染方法が異なる。従って、放射性廃棄物の放射能を、放射化放射能と二次的放射能とで区別して管理すると、放射性廃棄物ごとに最適な除染を効率的に実行でき、また、廃棄体の実際の放射能量を経過時間に基づいて精緻に推測し把握することができる。
【0016】
一方、放射性廃棄物の放射能量を、放射化放射能と二次的放射能とで区別せずに管理すると、放射性廃棄物に最適な除染ができずに除染後の放射能量を誤って把握する場合が考えられる。また、時間の経過とともに廃棄体の実際の放射能量と管理上の放射能量に違いが生じることも考えられる。
【0017】
また、放射化放射能では、炉心からの位置、材質、機器の厚みなどで中性子の照射量が異なるため、放射化放射能濃度は、1つの放射性廃棄物内で濃度分布が生じ得るし、また、放射性廃棄物ごとに異なる濃度分布を示すことがある。
【0018】
例えば、原子炉圧力容器の場合は、内側から中性子にさらされるため、内側と外側とでは、放射化の度合いが異なる。また、中性子の発生源となる炉心は、原子炉圧力容器の中央に設けられるため、原子炉圧力容器の中央部分と他の部分とでも、放射化の度合いが異なる。このような原子炉圧力容器を切断し、複数に解体した場合に、それぞれの放射性廃棄物で放射能量または放射能分濃度布が異なる。
【0019】
また、二次的放射能では、同一の形態の放射性廃棄物であっても、接液の有無、構造により汚染の付着が異なるため、二次的汚染放射能濃度には、1つの放射性廃棄物の内部で濃度分布が生じ得るし、また、放射性廃棄物ごとに異なる濃度分布を示すことがある。
【0020】
例えば、放射性物質は、原子炉の冷却水に含まれているため、この冷却水に接触する配管またはタンクなどの機器の内面には、二次的放射能汚染となる放射性物質が付着する。そのため、機器の内側と外側とでは、二次的汚染による放射能汚染の度合いが異なることがある。また、タンクの場合は、汚染された水を貯留する底部と、汚染された水が接触し難い上部とでは、二次的放射能汚染の度合いが異なることがある。このようなタンクを切断し、複数に解体した場合に、切断片ごとに放射能量が異なることになる。
【0021】
従って、廃棄体ごとに放射能量を精緻に評価するためには、収納される放射性廃棄物の放射能分布を考慮する必要がある。
【0022】
放射能の濃度分布がある放射性廃棄物を複数に切断する場合、放射能の濃度分布によって、切断位置に応じて切断片の放射能量が変動する。廃棄体の収納放射能量の要件を満たし、放射能量を精緻に把握するためには、切断時に放射性廃棄物の内部の放射能濃度分布を考慮し、また、処分容器に入れる切断された放射性廃棄物の組み合せもよく検討する必要がある。
【0023】
本実施形態の放射能評価システム1は、切断片にその放射化放射能量のデータおよびその二次的放射能量のデータを対応付ける。また、処分容器と、この処分容器に収納される切断片を対応付けることで、それぞれの廃棄体に含まれる二次的放射能量と放射化放射能量を求めることを可能にする。なお、処分容器に収納される状態となった放射性廃棄物を「切断片」と呼称する。放射性廃棄物は、処分容器に収納される前に、廃棄体の要件に合わせて切断されることが多いため、切断片と呼称するが、もともとの大きさが小さい場合は切断されていない場合もある。以下、簡便のため、処分容器に収納される際に切断されない放射性廃棄物も切断片と呼称する。
【0024】
次に、放射能評価システム1のシステム構成を
図1に示すブロック図を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、放射能評価システム1は、入力情報部2と検討パラメータ設定部3と評価部4と記憶部5と表示部6とを備える。
【0026】
本実施形態のシステムは、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の放射能評価方法は、プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
【0027】
入力情報部2は、廃棄体の放射能量の評価を行うときに評価部4に各種情報の入力を行う。この入力情報部2は、放射化汚染放射能データベース7と二次的汚染放射能データベース8と構造・物量データベース9と線量実測・核種分析データベース10と機器使用履歴データベース11とを備える。
【0028】
なお、入力情報部2は、外部から多数の情報が入力され、これらの情報を記憶するメモリまたはHDDで構成される。つまり、入力情報部2は、多数の情報を取得する。また、入力情報部2と評価部4とは、それぞれ個別のコンピュータで構成されても良い。つまり、複数のコンピュータがネットワークを介して接続されて放射能評価システム1を構成しても良い。また、入力情報部2に対する情報の入力操作は、ネットワークを介して接続された他のコンピュータで行われても良い。
【0029】
検討パラメータ設定部3は、評価部4で機器の解体処分の態様を検討するときの検討パラメータを設定する。例えば、汚染された機器の切断態様または処分容器への収納態様を検討するときの検討パラメータの設定を行う。この検討パラメータ設定部3は、検討パラメータとしての切断条件と処分容器条件と廃棄体制約条件とを記憶する条件記憶部12を備える。
【0030】
切断条件は、機器を切断するときの制約に関する。この切断条件には、機器の切断方法の条件が含まれる。例えば、切断が可能な寸法、または切断後のバリの有無などの条件である。また、切断片のハンドリング方法の条件が含まれる。例えば、ロボットアームなどの所定の機械を用いて切断片を把持するときの把持方法、切断片を(一旦)収納するための籠または内容器の使用の有無などの条件である。このようにすれば、機器を切断するときの制約に関する条件に基づいて機器の解体処分の態様を検討することができる。
【0031】
処分容器条件は、機器の切断片を処分容器に収納するときの制約に関する。この処分容器条件には、処分容器の内寸法の条件が含まれる。また、処分容器を使用するときに、処分容器の内部に配置される内容器の使用の有無の条件が含まれる。また、クリアランス寸法の条件が含まれる。例えば、切断片同士の間の寸法、切断片と処分容器の内壁の間の寸法などの条件である。このようにすれば、機器の切断片を処分容器に収納するときの制約に関する条件に基づいて機器の解体処分の態様を検討することができる。
【0032】
廃棄体制約条件は、機器の切断片を処分容器に収納した後の制約に関する。この廃棄体制約条件には、所定の処分容器に収納される切断片の全てを合計したときの放射能量、切断片の全てを合計したときの収納重量、処分容器の表面の線量当量率、処分容器の発熱量、収納方法に関する制約などの条件が含まれる。このようにすれば、機器の切断片を処分容器に収納した後の制約に関する条件に基づいて機器の解体処分の態様を検討することができる。
【0033】
評価部4は、機器の処分用の形態である廃棄体の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。この評価は、少なくとも放射化汚染放射能データベース7に記憶される放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データベース8に記憶される二次的汚染放射能データに基づいて行われる。
【0034】
放射化汚染放射能量は、単位重量当たりの放射能量(単位は「Bq/t」)として算出可能である。二次的汚染放射能量は、単位面積当たりの放射能量(単位は「Bq/cm2」)として算出可能である。例えば、二次的汚染放射能濃度の計算値または分析値(単位は「Bq/cm2」)を機器の接液面積(表面積)(単位は「cm2」)で乗算し、さらに機器の重量または切断片重量(単位は「t」)で除算することで、機器または切断片の単位重量当たりの二次的汚染放射能量(単位は「Bq/t」)も算出可能である。このようにすれば、放射化汚染放射能量と二次的汚染放射能量とを区別して算出しつつ、これらの汚染放射能量を同一の単位の値(「Bq/t」)として算出可能である。なお、計算値または分析値は、計算により求めた値でも良いし、線量の実測に基づく値でも良いし、線量の実測に基づいて計算により求めた値でも良い。
【0035】
また、評価部4は、放射能濃度設定部13と濃度分布設定部14と放射能低減判定部15と放射能低減評価部16と切断態様検討部17と切断片評価部18と収納態様検討部19と収納評価部20と収納後判定部21と廃棄体評価部22とを備える。これらは、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
【0036】
記憶部5は、濃度分布記憶部23と切断片管理部24と廃棄物管理部25と廃棄体管理部26とを備える。なお、記憶部5は、情報を記憶するメモリまたはHDDで構成される。
【0037】
表示部6は、濃度分布表示部27と切断片情報表示部28と廃棄物情報表示部29と廃棄体情報表示部30とを備える。
【0038】
放射能評価システム1には、ディスプレイなどの表示装置が含まれる。つまり、表示部6は、ディスプレイに表示される画像の制御を行う。なお、ディスプレイはコンピュータ本体と別体であっても良いし、一体であっても良い。さらに、ネットワークを介して接続される他のコンピュータが備えるディスプレイに表示される画像の制御を表示部6が行っても良い。
【0039】
なお、本実施形態では、表示装置としてディスプレイを例示するが、その他の態様であっても良い。例えば、プロジェクタを用いて情報の表示を行っても良い。さらに、紙媒体に情報を印字するプリンタをディスプレイの替りとして用いても良い。つまり、表示部6が制御する対象としてプロジェクタまたはプリンタが含まれても良い。
【0040】
本実施形態では、機器を切断して処分容器に収納する。例えば、
図2に示すように、機器31として円筒形状を成すタンクを例示する。このタンクは、複数の水平方向の切断線L1~L4で切断されて5つに分割され、これら分割されたものが、さらに中央の垂直方向の切断線L5で切断される。つまり、1個の機器から10個の切断片P1~P10が生じる。これらの切断片P1~P10が処分容器に収納される。なお、1個の処分容器に複数の切断片P1~P10が収納されても良い。
【0041】
また、切断片P1~P10ごとに、放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量が異なる。所定の処分容器に切断片P1~P10を収納する際には、収納される切断片P1~P10に応じて評価を行う必要がある。さらに、切断片P1~P10の寸法と処分容器の内寸法との状況、切断片P1~P10を処分容器に収納するときの向き、収納方法などの各種条件の評価を行う必要がある。これらの評価に必要な機器に関する情報は、放射化汚染放射能データ、二次的汚染放射能データ、構造・物量データに含まれる。
【0042】
なお、切断片P1~P10には、それぞれの切断片P1~P10を識別可能な切断片識別情報としての切断片IDが付与される。また、切断片P1~P10を収納した処分容器には、それぞれの処分容器(廃棄体)を識別可能な処分容器識別情報(廃棄体識別情報)としての処分容器ID(廃棄体ID)が付与される。
【0043】
図1に示すように、放射化汚染放射能データベース7は、機器が放射化されることに基づく放射化汚染放射能量に関する放射化汚染放射能データを記憶する。
【0044】
図3に示すように、放射化汚染放射能データベース7には、評価対象の機器に対応付けて、その機器が設置されていた設置場所、機器の切断片である場合はその切断片の部位を示す情報、その部位の寸法、放射化汚染の原因となる核種に関する情報が記憶される。なお、核種としては、トリチウム、炭素14、コバルト60、セシウム137などの放射性同位体を例示する。
【0045】
図1に示すように、二次的汚染放射能データベース8は、機器に放射性物質が付着したことに基づく二次的汚染放射能量に関する二次的汚染放射能データを記憶する。
【0046】
図4に示すように、二次的汚染放射能データベース8には、評価対象の機器に対応付けて、その機器が設置されていた設置場所、機器の切断片である場合はその切断片の部位を示す情報、機器が使用されていた系統、二次的汚染の原因となる核種に関する情報が記憶される。
【0047】
本実施形態において、放射化汚染放射能データは、機器の部分ごとに異なる放射化汚染放射能量に関するデータを含む。また、二次的汚染放射能データは、機器の部分ごとに異なる二次的汚染放射能量に関するデータを含む。このようにすれば、機器の部分ごとに異なる汚染の実態に合わせた放射能量を評価することができる。
【0048】
また、放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データは、核種に関するデータを含む。このようにすれば、放射化汚染および二次的汚染の実態を核種に基づいて評価することができる。
【0049】
図1に示すように、構造・物量データベース9は、機器の構造および物量に関する構造・物量データ(機器属性データ)を記憶する。評価部4は、少なくとも構造・物量データに基づいて、機器の解体により生じる廃棄体の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。このようにすれば、機器の構造および物量により、機器の解体後の汚染の実態が変化するため、この解体により生じる放射能量の変化に合わせた評価を行うことができる。
【0050】
図5に示すように、構造・物量データベース9には、評価対象の機器に対応付けて、その機器が設置されていた設置場所、機器の切断片である場合はその切断片の部位を示す情報、タンクおよび配管などの円筒形状を成す機器の場合はその外径と内径(他の機器の場合は外寸法と内寸法)、機器の高さ寸法、機器の質量、機器を構成する材質、その材質の密度、機器の表面積(接液面積)などの各種情報が記憶される。
【0051】
図1に示すように、線量実測・核種分析データベース10は、機器から採取した試料を実測して得られた放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量に関する線量実測・核種分析データ(放射能濃度実測データ)を記憶する。評価部4は、少なくとも線量実測・核種分析データに基づいて、機器の処分用の形態である廃棄体の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。このようにすれば、機器を実測して得られた放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量に応じた評価を行うことができる。
【0052】
図6に示すように、線量実測・核種分析データベース10には、実測のための試料を採取した機器に対応付けて、その試料を採取した部位、試料寸法、試料の質量、試料の線量実測データ、試料に含まれる放射化により生じた放射化核種濃度、試料に含まれる二次的汚染により生じた汚染核種濃度などの各種情報が記憶される。核種に関しては、同一の核種であっても、放射化汚染によるものと二次的汚染によるものとを識別可能な態様で記憶される。
【0053】
図1に示すように、機器使用履歴データベース11は、機器が使用された履歴に関する機器使用履歴データを記憶する。評価部4は、少なくとも機器使用履歴データに基づいて、機器の処分用の形態である廃棄体の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。このようにすれば、機器が使用された履歴により、機器の汚染の実態が異なるため、使用実態に合わせた評価を行うことができる。
【0054】
図7に示すように、機器使用履歴データベース11には、評価対象の機器に対応付けて、その機器が設置されていた設置場所、その機器の使用期間(設置期間)、除染工事が成された日付、除染効率、特記事項などの各種情報が記憶される。
【0055】
図8に示すように、切断片管理情報は、評価部4の評価により得られる情報である。この切断片管理情報には、切断片の発生源となった機器、その切断片に対応する機器の部位、その切断片に対応する機器の位置、切断片の寸法、切断片の質量、切断片に含まれる放射化により生じた放射化核種濃度、切断片に含まれる二次的汚染により生じた汚染核種濃度などの各種情報が含まれる。これらの情報は、切断片IDに対応付けて記憶される。なお、核種に関しては、同一の核種であっても、放射化汚染によるものと二次的汚染によるものとを識別可能な態様で記憶される。
【0056】
切断片管理情報は、切断片管理部24に記憶される。つまり、切断片管理部24は、それぞれの機器の切断片を識別可能な切断片識別情報と、放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量を含む切断片情報データとを対応付けて管理する。このようにすれば、機器の切断片を適切に管理することができる。
【0057】
さらに、切断片管理部24に記憶された切断片管理情報を切断片情報表示部28の制御によりディスプレイに表示させることもできる。つまり、切断片情報表示部28は、切断片識別情報と切断片情報データとを対応付けて表示する。このようにすれば、放射能評価システム1の使用者が、それぞれの切断片に関する切断片情報データを把握することができる。
【0058】
図9に示すように、廃棄物管理情報は、評価部4の評価により得られる情報である。この廃棄物管理情報には、廃棄物の発生源である機器、この機器が切断された後に生じる切断片に付与される切断片ID、切断された機器の名称、切断片の合計の質量を示す廃棄物質量、切断片に含まれる放射化により生じた放射化核種濃度、切断片に含まれる二次的汚染により生じた汚染核種濃度などの各種情報が含まれる。これらの情報は、それぞれの廃棄物を識別可能な廃棄物IDに対応付けて記憶される。なお、核種に関しては、同一の核種であっても、放射化汚染によるものと二次的汚染によるものとを識別可能な態様で記憶される。
【0059】
廃棄物管理情報は、廃棄物管理部25に記憶される。つまり、廃棄物管理部25は、廃棄物識別情報と、放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量を含む廃棄物情報データとを対応付けて管理する。このようにすれば、廃棄物を適切に管理することができる。
【0060】
さらに、廃棄物管理部25に記憶された廃棄物管理情報を廃棄物情報表示部29の制御によりディスプレイに表示させることもできる。つまり、廃棄物情報表示部29は、廃棄物識別情報と廃棄物情報データとを対応付けて表示する。このようにすれば、放射能評価システム1の使用者がそれぞれの廃棄物情報データを把握することができる。
【0061】
図10に示すように、廃棄体管理情報は、評価部4の評価により得られる情報である。この廃棄体管理情報には、処分容器に収納される切断片の切断片ID、収納された切断片と処分容器との合計の質量を示す全体質量、処分容器の表面の線量当量率、処分容器の発熱量などの各種情報が含まれる。なお、これらの情報を廃棄体情報データと称する。この廃棄体情報データは、それぞれの処分容器を識別可能な処分容器識別情報としての処分容器IDを含む廃棄体管理情報に対応付けて記憶される。
【0062】
廃棄体管理情報は、廃棄体管理部26に記憶される。つまり、機器の切断片を収納したそれぞれの処分容器を識別可能な処分容器識別情報と廃棄体情報データとを対応付けて管理する。このようにすれば、処分容器(廃棄体)を適切に管理することができる。
【0063】
さらに、廃棄体管理情報を廃棄体情報表示部30の制御によりディスプレイに表示させることもできる。つまり、廃棄体情報表示部30は、処分容器識別情報と廃棄体情報データとを対応付けて表示する。このようにすれば、放射能評価システム1の使用者が、それぞれの処分容器に関する廃棄体情報データを把握することができる。
【0064】
図1に示すように、放射能濃度設定部13は、少なくとも放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データに基づいて、機器の部分ごとの放射能濃度を設定する。このようにすれば、機器の部分ごとの放射能濃度に基づいて評価を行うことができる。
【0065】
例えば、
図11に示すグラフにおいて、横軸を機器の高さ方向の位置とし、縦軸を機器の部分ごとの放射能濃度とする。このグラフでは、機器の部分ごとの放射化放射能濃度の値と二次的汚染放射能濃度の値とこれらの合計値を示している。
【0066】
図11のグラフに示すように、機器の二次的汚染放射能濃度の値は、機器全体に亘って一定の値を示すが、放射化放射能濃度の値は、機器の中央部分が高くなっている。この機器の部分ごとの放射能濃度の設定は、例えば、放射化汚染放射能データ、二次的汚染放射能データ、構造・物量データに基づいて行われる。この設定に基づいて評価が行われる。
【0067】
図1に示すように、濃度分布設定部14は、少なくとも放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データに基づいて、機器の放射能濃度の分布を設定する。このようにすれば、機器の放射能濃度の分布に基づいて評価を行うことができる。
【0068】
本実施形態の濃度分布設定部14は、放射能濃度設定部13で設定された機器の部分ごとの放射能濃度と、線量実測・核種分析データおよび機器使用履歴データとに基づいて、機器の放射能濃度の分布を設定する。
【0069】
なお、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布は、濃度分布記憶部23に記憶される。この濃度分布記憶部23に記憶された放射能濃度の分布を濃度分布表示部27の制御によりディスプレイに表示させることもできる。つまり、濃度分布表示部27は、放射能濃度の分布を表示する。
【0070】
例えば、
図12に示すグラフにおいて、横軸を機器の高さ方向の位置とし、縦軸を放射能濃度とする。このグラフでは、線量実測・核種分析データおよび機器使用履歴データが反映された機器の部分ごとの放射化放射能濃度の値と二次的汚染放射能濃度の値とこれらの合計値を示している。
【0071】
図12のグラフに示すように、機器をa部分の範囲で切断片を形成した場合とb部分の範囲で切断片を形成した場合とでは、切断片の放射化放射能濃度および二次的汚染放射能濃度の値が異なる。つまり、機器をa部分の範囲で切断するか、b部分の範囲で切断するかを事前に検討し、切断片の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行うことができる。
【0072】
図1に示すように、放射能低減判定部15は、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布に基づいて、減衰期間の要否または除染の要否を判定する。このようにすれば、汚染の実態に合わせて減衰期間の要否または除染の要否を判定することができる。
【0073】
放射能低減評価部16は、放射能低減判定部15により減衰期間または除染が必要であると判定された場合に、減衰期間経過後または除染後の機器(廃棄物)の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。このようにすれば、減衰期間または除染により放射能が低減される場合には、その実態に合わせて放射能量を評価することができる。なお、放射能低減判定部15により減衰期間または除染が必要ないと判定された場合には、放射能低減評価部16による評価を省略しても良い。
【0074】
本実施形態の放射能低減評価部16は、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布と、線量実測・核種分析データおよび機器使用履歴データとに基づいて、減衰期間経過後または除染後の機器(廃棄物)の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。
【0075】
なお、放射能低減評価部16で評価された機器の放射能濃度の分布は、濃度分布記憶部23に記憶される。この濃度分布記憶部23に記憶された放射能濃度の分布を濃度分布表示部27の制御によりディスプレイに表示させることもできる。
【0076】
例えば、
図13に示すグラフにおいて、横軸を機器の高さ方向の位置とし、縦軸を機器の部分ごとの放射能濃度とする。このグラフでは、減衰期間経過後または除染後の機器の部分ごとの放射化放射能濃度の値と二次的汚染放射能濃度の値とこれらの合計値を示している。放射化放射能濃度の値は、減衰期間経過後の値を示し、二次的汚染放射能濃度の値は、減衰期間経過後または除染後の値を示す。
【0077】
図13のグラフに示すように、減衰期間経過前または除染前の機器の放射能濃度の分布(
図12参照)と比較して、全ての値で放射能濃度の値が低くなっている。つまり、減衰期間経過後または除染後の機器の放射能濃度を事前に検討し、その評価を行うことができる。
【0078】
例えば、原子力施設の機器は、炉心に近い機器ほど放射化放射能濃度が高い。特に、原子炉内の炉内構造物は、炉内の核燃料で発生する中性子の照射によって放射化し、放射化放射能濃度が高くなる。原子炉圧力容器または生体遮蔽壁内の機器は、原子炉からの中性子の透過、散乱などの影響で、炉内構造物よりは濃度は低いものの、放射化する。
【0079】
また、機器の径方向、軸方向でも放射能濃度の分布があり、同一材質、同一位置のものであっても、内側(炉心側)と外側とでは、放射能濃度の分布が異なる。なお、放射化放射能濃度は、放射化計算等の理論計算によって評価する方法、採取をサンプリングして放射化学分析などによってその濃度を評価する方法がある。
【0080】
また、炉水が直接接触した機器、または炉水などの放射性物質を含有する水が表面に付着した部位を有する機器は、二次的汚染を有する。しかし、放射性物質が付着していない部位、または接液時間の長短によっても、二次的汚染濃度に違いがある。そのため、同一機器内で放射能濃度分布が異なる。汚染放射能濃度は、理論計算による方法、試料をサンプリングして放射化学分析などによってその濃度を評価する方法がある。さらに、同一系統のサンプル分析データから主要な核種との組成比を予め求める方法、平均放射能濃度を求めて推定評価する方法、スケーリングファクタ法、平均放射能濃度法などの評価方法がある。
【0081】
なお、放射化放射能濃度、二次的汚染放射能濃度ともに、廃棄物ごとにサンプリングと分析を行うことは、容易ではない。特に、炉内構造物などは線量が高いため、サンプリングは遠隔で実施する必要がある。このような理由で、サンプリングにかかる工数または費用が高額となる。また、構造上の理由からサンプリングが困難な部位もある。従って、理論計算、推定値、分析値を組み合わせて廃棄物の放射能濃度を評価する必要がある。なお、放射能濃度の具体的な評価方法は、日本原子力学会により基本手順が示されている(非特許文献1参照)。
【0082】
これらの評価値は、放射能濃度設定部13で設定される機器中の代表点(
図11のグラフの各点)ごとの放射能濃度である。しかし、例えば、炉内構造物または圧力容器などの機器では、放射能濃度分布があることから、これらの代表点での汚染放射能データと機器の構造に関するデータを組み合わせて、機器の放射能濃度分布を推定評価する。
【0083】
また、機器の構造(接液面、材質、板厚などの構造を含む)、中性子束データ、線量データ、放射能分布に関する実測データがある場合には、それらを考慮して、放射化汚染放射能濃度と二次的汚染放射能濃度の代表点データを、2次元または3次元の分布データとして評価する。この評価は、濃度分布設定部14で行っても良い。なお、機器の構造データとしては、図面のデータの他に、3D-CADのデータを使うことができる。
【0084】
なお、評価対象となる放射性核種の全てにおいて、放射能濃度データがなく、一部の濃度データしかない場合がある。その場合には、過去の類似評価、スケーリングファクタ(SF値、非特許文献1参照)を用いて核種別放射能濃度に分布を設定する。
【0085】
また、放射能低減評価部16では、機器の解体前に除染を行う場合に、評価結果から除染効果を考慮した放射能濃度に補正することが可能である。そのため、機器の解体計画において、解体前後の除染の有無、または廃棄物の発生量の低減効果を検討することが可能である。
【0086】
また、放射能低減評価部16で求められた評価結果は、原子力施設の運転停止後、解体までの期間保管される機器の放射能濃度の低減効果、核種の半減期を期待した廃棄物解体予定の時期、または廃棄物保管時期の評価にも活用できる。
【0087】
図1に示すように、切断態様検討部17は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて、機器を切断するときの切断寸法と切断位置との少なくともいずれか一方を含む切断態様を検討する。このようにすれば、適切な切断態様で機器を切断して廃棄物とすることができる。なお、本実施形態における適切な切断態様には、最終的に廃棄体となったときに、放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量を目的とする値にするための切断態様を含む。さらに、目的とする値は、廃棄体が処分される処分場に応じて定められる。
【0088】
切断片評価部18は、切断態様検討部17が導出した切断態様で機器を切断したことを想定した場合に、この機器の切断片の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。この評価は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて行われる。また、濃度分布記憶部23に記憶された機器の放射能濃度の分布を参照して評価を行っても良い。このようにすれば、機器の切断片の実態に合わせて放射能量を評価することができる。なお、切断片評価部18の評価結果は、切断片管理情報として切断片管理部24に記憶される。
【0089】
機器の切断位置の変更に伴い、最終的な形態である廃棄体の放射能量または平均放射能濃度は変動する。切断片評価部18では、機器の切断位置の変動に伴い変化する放射能量を評価することができる。なお、現在の学会などで定められている原子力施設の廃止措置および廃棄体の処分に関する基準では、切断条件、処分容器条件、廃棄体制約条件が確定しておらず、今後も変動する可能性がある。そのため、これら条件を含む検討パラメータを検討パラメータ設定部3に設定し、適宜変更可能とすることで、各種条件が変動した場合でも容易に廃棄体の放射能量、または廃棄体の仕様を算定することが可能である。
【0090】
収納態様検討部19は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて、機器の切断片を処分容器に収納するときの収納態様を検討する。このようにすれば、機器の切断片を適切な収納態様で処分容器に収納することができる。
【0091】
収納評価部20は、切断態様検討部17が導出した切断態様で機器を切断した場合に、機器の切断片を処分容器に収納した後の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。この評価は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて行われる。また、切断片管理部24に記憶された切断片管理情報を参照して評価を行っても良い。このようにすれば、機器の切断片を処分容器に収納した後の実態に合わせて放射能量を評価することができる。なお、収納評価部20の評価結果は、廃棄物管理情報として廃棄物管理部25に記憶される。
【0092】
なお、収納態様検討部19にて、機器の切断片の放射能濃度と収納方法の検討結果により、切断片ごとの収納方法を検討することで、収納評価部20において、廃棄物収納放射能量のデータが構築できる。そして、切断条件の処分容器の条件、または廃棄体制約条件のパラメータサーベイを行う(条件が良いものを使う)ことで、収納方法を再検討することも可能である。
【0093】
収納後判定部21は、収納評価部20による評価に基づいて、機器の切断片を収納した処分容器である廃棄体が、廃棄体としての条件に適合しているか否かを判定する。この判定は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて行われる。特に、検討パラメータの廃棄体制約条件を参照する。このようにすれば、検討パラメータが見直された場合に、再検討を行って最適な収納態様を得ることができる。
【0094】
なお、収納後判定部21により廃棄体としての条件に適合していないと判定された場合には、検討パラメータ設定部3の検討パラメータの見直し(フィードバック)が行われる。この見直しは、検討パラメータ設定部3で実行される。また、この見直しを切断態様検討部17または収納態様検討部19で実行しても良い。なお、見直しを人手で行っても良い。そして、見直し時に検討パラメータを変更する。切断態様検討部17または収納態様検討部19は、見直された検討パラメータに基づいて、切断態様または収納態様の再検討を行う。なお、廃棄体としての条件に適合するまで、切断態様または収納態様の再検討が繰り返されても良い。
【0095】
廃棄体評価部22は、少なくとも放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データに基づいて、機器の切断片を収納する処分容器の表面の線量当量率と処分容器の発熱量との少なくともいずれか一方を評価する。この評価は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて行われる。また、廃棄物管理部25に記憶された廃棄物管理情報を参照して評価を行っても良い。このようにすれば、処分容器の実態に合わせてその管理を行うことができる。なお、廃棄体評価部22の評価結果は、廃棄体管理情報として廃棄体管理部26に記憶される。
【0096】
なお、実際に廃棄体の作成が開始された場合には、処分容器IDごとに、廃棄体の放射能量、廃棄体の仕様の結果を保存、管理、帳票出力することで、廃棄体の管理が可能となる。また、廃棄物収納放射能量のデータを用い、処分容器の表面の線量当量率と処分容器の発熱量とを求めることもできる。
【0097】
次に、放射能評価システム1が実行する放射能評価処理について
図14から
図16のフローチャートを用いて説明する。なお、
図1に示すブロック図を適宜参照する。
【0098】
図14に示すように、まず、ステップS11において、入力情報部2は、放射化汚染放射能データを取得する。そして、放射化汚染放射能データベース7は、放射化汚染放射能データを記憶する。
【0099】
次のステップS12において、入力情報部2は、二次的汚染放射能データを取得する。そして、二次的汚染放射能データベース8は、二次的汚染放射能データを記憶する。
【0100】
次のステップS13において、入力情報部2は、構造・物量データを取得する。そして、構造・物量データベース9は、構造・物量データを記憶する。
【0101】
次のステップS14において、入力情報部2は、線量実測・核種分析データを取得する。そして、線量実測・核種分析データベース10は、線量実測・核種分析データを記憶する。
【0102】
次のステップS15において、入力情報部2は、機器使用履歴データを取得する。そして、機器使用履歴データベース11は、機器使用履歴データを記憶する。
【0103】
次のステップS16において、放射能濃度設定部13は、放射化汚染放射能データ、二次的汚染放射能データ、構造・物量データに基づいて、機器の部分ごとの放射能濃度を設定する。
【0104】
次のステップS17において、濃度分布設定部14は、放射能濃度設定部13で設定された機器の部分ごとの放射能濃度と、線量実測・核種分析データおよび機器使用履歴データとに基づいて、機器の放射能濃度の分布を設定する。
【0105】
次のステップS18において、濃度分布記憶部23は、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布を記憶する。または、濃度分布表示部27は、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布を表示する。
【0106】
次のステップS19において、放射能低減判定部15は、濃度分布設定部14で設定された機器の放射能濃度の分布に基づいて、減衰期間または除染が必要であるか否かを判定する。ここで、減衰期間または除染が必要でない場合(ステップS19がNO)は、ステップS21に進む。一方、減衰期間または除染が必要である場合(ステップS19がYES)は、ステップS20に進む。
【0107】
次のステップS20において、放射能低減評価部16は、減衰期間経過後または除染後の機器(廃棄物)の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。
【0108】
次のステップS21において、濃度分布記憶部23は、放射能低減評価部16で評価された放射能濃度低減後の機器の放射能濃度の分布を記憶する。または、濃度分布表示部27は、放射能低減評価部16で評価された放射能濃度低減後の機器の放射能濃度の分布を表示する。
【0109】
図15に示すように、次のステップS22において、検討パラメータ設定部3は、評価部4で機器の解体処分の態様を検討するときの検討パラメータを設定する。
【0110】
次のステップS23において、切断態様検討部17は、後述の切断態様検討処理(
図17参照)を実行する。そして、その検討結果が導出される。
【0111】
次のステップS24において、切断片評価部18は、切断態様検討部17が導出した切断態様で機器を切断したことを想定した場合に、この機器の切断片の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。
【0112】
次のステップS25において、切断片管理部24は、切断片評価部18の評価結果としての切断片管理情報を記憶する。または、切断片情報表示部28は、切断片評価部18の評価結果としての切断片管理情報を表示する。
【0113】
次のステップS26において、収納態様検討部19は、収納態様検討処理を実行する。この収納態様検討処理では、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータと各種データベース7~11に記憶されたデータとに基づいて、機器の切断片を処分容器に収納するときの収納態様が検討され、その検討結果が導出される。
【0114】
次のステップS27において、収納評価部20は、切断態様検討部17が導出した切断態様で機器を切断した場合に、機器の切断片を処分容器に収納した後の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う。
【0115】
次のステップS28において、廃棄物管理部25は、収納評価部20の評価結果としての廃棄物管理情報を記憶する。または、廃棄物情報表示部29は、収納評価部20の評価結果としての廃棄物管理情報を表示する。
【0116】
次のステップS29において、収納後判定部21は、収納評価部20による評価に基づいて、機器の切断片を収納した処分容器である廃棄体が、廃棄体としての条件に適合しているか否かを判定する。ここで、廃棄体としての条件に適合している場合(ステップS29がYES)は、後述のステップS33に進む。一方、廃棄体としての条件に適合していない場合(ステップS29がNO)は、ステップS30に進む。
【0117】
次のステップS30において、検討パラメータ設定部3は、検討パラメータの見直しを行う。なお、検討パラメータの見直しを人手で行っても良い。
【0118】
次のステップS31において、収納後判定部21は、検討パラメータの見直しにより、収納態様の再検討が必要であるか否かの判定を行う。ここで、収納態様の再検討が必要である場合(ステップS31がYES)は、前述のステップS26に戻る。一方、収納態様の再検討が必要でない場合(ステップS31がNO)は、ステップS32に進む。
【0119】
次のステップS32において、収納後判定部21は、検討パラメータの見直しにより、切断態様の再検討が必要であるか否かの判定を行う。ここで、切断態様の再検討が必要である場合(ステップS32がYES)は、前述のステップS23に戻る。一方、切断態様の再検討が必要でない場合(ステップS32がNO)は、ステップS33に進む。
【0120】
図16に示すように、次のステップS33において、廃棄体評価部22は、機器の切断片が収納された処分容器である廃棄体の表面の線量当量率を評価する。
【0121】
次のステップS34において、廃棄体評価部22は、機器の切断片が収納された処分容器である廃棄体の発熱量を評価する。
【0122】
次のステップS35において、廃棄体管理部26は、廃棄体評価部22の評価結果としての廃棄体管理情報を記憶する。または、廃棄体情報表示部30は、廃棄体評価部22の評価結果としての廃棄体管理情報を表示する。そして、処理を終了する。
【0123】
次に、放射能評価システム1の切断態様検討部17が実行する切断態様検討処理について
図17のフローチャートを用いて説明する。なお、
図1に示すブロック図を適宜参照する。
【0124】
図17に示すように、次のステップS41において、切断態様検討部17は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータに基づいて、切断条件の設定を行う。
【0125】
次のステップS42において、切断態様検討部17は、検討パラメータ設定部3に設定された検討パラメータに基づいて、処分容器条件の設定を行う。
【0126】
次のステップS43において、切断態様検討部17は、設定された切断条件および処分容器条件の条件整備を行う。例えば、評価対象となる機器に対応する条件を検討パラメータとしてセットする。
【0127】
次のステップS44において、切断態様検討部17は、機器の切断寸法の検討を行う。
【0128】
次のステップS45において、切断態様検討部17は、機器の切断位置、つまり機器の切断線L1~P5(
図2参照)の検討を行う。
【0129】
次のステップS46において、切断態様検討部17は、検討結果を導出する。そして、処理を終了する。
【0130】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0131】
本実施形態のシステムは、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。このシステムは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
【0132】
なお、本実施形態のシステムで実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
【0133】
また、このシステムで実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、このシステムは、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【0134】
なお、減衰期間を適用した評価をする場合において、機器を切断する前に減衰期間をおいても良いし、機器を切断した後に減衰期間をおいても良い。さらに、除染を適用した評価をする場合において、機器を切断する前に除染をしても良いし、機器を切断した後に除染をしても良い。
【0135】
以上説明した実施形態によれば、放射化汚染放射能データおよび二次的汚染放射能データに基づいて、機器の処分用の形態である廃棄体の放射化汚染放射能量および二次的汚染放射能量の評価を行う評価部を備えることにより、汚染の実態に合わせて廃棄体の放射能量を評価することができる。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0137】
1…放射能評価システム、2…入力情報部、3…検討パラメータ設定部、4…評価部、5…記憶部、6…表示部、7…放射化汚染放射能データベース、8…二次的汚染放射能データベース、9…構造・物量データベース、10…線量実測・核種分析データベース、11…機器使用履歴データベース、12…条件記憶部、13…放射能濃度設定部、14…濃度分布設定部、15…放射能低減判定部、16…放射能低減評価部、17…切断態様検討部、18…切断片評価部、19…収納態様検討部、20…収納評価部、21…収納後判定部、22…廃棄体評価部、23…濃度分布記憶部、24…切断片管理部、25…廃棄物管理部、26…廃棄体管理部、27…濃度分布表示部、28…切断片情報表示部、29…廃棄物情報表示部、30…廃棄体情報表示部、31…機器、L1~L5…切断線、P1~P10…切断片。