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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】表示装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20230228BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230228BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230228BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13 505
G09F9/00 366
G09F9/30 349Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019544890
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2018077891
(87)【国際公開番号】W WO2018188427
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-02-24
(31)【優先権主張番号】201710229236.6
(32)【優先日】2017-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲譚▼ ▲紀▼▲風▼
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204028936(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106526944(CN,A)
【文献】特開2008-167154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光センシングユニットを有する表示パネルを含み、前記表示パネルの表示側に位置するとともに、前記表示パネルから離れた方向に順次設置された光透過孔形成層、液晶レンズ層、導光層、及び前記導光層の側面に設置された光源をさらに含む表示装置であって、
前記光透過孔形成層は、光透過状態と小孔状態との間で切り替え可能であるように配置され、前記小孔状態は、前記光透過孔形成層が各感光センシングユニットに対向する光透過孔を形成するための状態であり、
前記液晶レンズ層は、非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替え可能であるように配置され、前記レンズ状態は、前記液晶レンズ層が各前記感光センシングユニットに対向する凸レンズを形成するための状態であり、
各前記感光センシングユニットの中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記光透過孔の中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記凸レンズの中心とが、同一の垂直線上に位置し、
前記液晶レンズ層がレンズ状態である時、前記表示パネルに平行な方向において、隣り合う前記凸レンズが接触して設置され
各前記凸レンズの口径がD0、前記凸レンズの中心からそれと対向する前記光透過孔の中心までの垂直距離がH0、前記光透過孔の中心からそれと対向する前記感光センシングユニットまでの垂直距離がH1であり、前記感光センシングユニットの幅の範囲は
【数1】
、かつ
【数2】
である、表示装置。
【請求項2】
前記光源から発せられた光線が前記導光層に入り、かつ前記導光層の上底面と下底面に当たり、
前記導光層の上底面と下底面に当たる前記光線の入射角度は前記導光層の臨界角度以上である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光透過孔形成層は、第1キャビティ内にシールされた第1液晶層と、前記第1液晶層を駆動するための第1画素電極及び第1共通電極とを含み、前記第1画素電極及び前記第1共通電極は少なくとも前記光透過孔以外の領域に設置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記液晶レンズ層は、第2キャビティ内にシールされた第2液晶層と、前記第2液晶層を駆動するための第2画素電極及び第2共通電極とを含み、
前記第2画素電極及び前記第2共通電極は前記第2液晶層を非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替えるように駆動する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示パネルは、対向設置される第1基板及び第2基板を含み、前記第2基板は前記第1基板に比べて前記光透過孔形成層に近接して設置され、前記複数の感光センシングユニットは前記第2基板に設置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の感光センシングユニットは、アレイ状に均一配置され、前記複数の感光センシングユニットが前記表示パネルにおいて占める総領域がセンシング領域であり、前記表示パネルの表示領域における前記センシング領域以外の領域が出光領域である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記センシング領域と前記出光領域との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
各前記感光センシングユニットが前記表示パネルにおいて占める領域と前記表示パネルの画素領域またはサブ画素領域との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である、請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の感光センシングユニットのうちの何れか1つの感光センシングユニットは、前記複数の感光センシングユニットのうちの前記何れか1つの感光センシングユニットの、前記光透過孔形成層から離れた表面に設置される遮光層をさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
制御モジュールをさらに含む前記表示装置において、
前記制御モジュールが指紋認証信号を受信すると、指紋認証領域の光透過孔形成層を小孔状態に切り替え、液晶レンズ層をレンズ状態に切り替えるように制御して、導光層、前記導光層の側面に設置された光源、及び複数の感光センシングユニットに依拠して前記表示装置に指紋認証を行わせることと、
前記制御モジュールが表示信号を受信すると、前記光透過孔形成層を光透過状態に切り替え、前記液晶レンズ層を非レンズ状態に切り替えるように制御し、前記表示装置に表示を行わせることと、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年4月10日に提出された中国特許出願201710229236.6号の優先権を主張し、この中国特許出願のすべての開示内容を参照により本願に援用する。
【0002】
本開示は表示装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
指紋認証技術はその発展に伴い、携帯電話、タブレット型コンピュータ、テレビ、エントランスゲート及び金庫などの設備に広く利用されている。指紋認証技術としては主に、光学式、静電容量式及び超音波式があり、光学式指紋認証技術は、認証範囲がより広く、かつ低コストである。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施例は、複数の感光センシングユニットを有する表示パネルを含み、前記表示パネルの表示側に位置するとともに、前記表示パネルから離れた方向に順次設置された光透過孔形成層、液晶レンズ層、導光層、及び前記導光層の側面に設置された光源をさらに含む表示装置を提供する。
【0005】
前記光透過孔形成層は、光透過状態と小孔状態との間で切り替え可能であり、前記小孔状態は、前記光透過孔形成層が各感光センシングユニットに対向する光透過孔を形成するための状態であり、前記液晶レンズ層は、非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替え可能であり、前記レンズ状態は、前記液晶レンズ層が各前記感光センシングユニットに対向する凸レンズを形成するための状態である。
【0006】
1つまたは複数の実施例において、各前記感光センシングユニットの中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記光透過孔の中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記凸レンズの中心とが、同一の垂直線上に位置する。
【0007】
1つまたは複数の実施例において、前記光源から発せられた光線が前記導光層に入り、かつ前記導光層の上底面と下底面に当たり、前記導光層の上底面と下底面に当たる前記光線の入射角度は前記導光層の臨界角度以上である。
【0008】
1つまたは複数の実施例において、前記光透過孔形成層は、第1キャビティ内にシールされた第1液晶層と、前記第1液晶層を駆動するための第1画素電極及び第1共通電極とを含み、前記第1画素電極及び前記第1共通電極は少なくとも前記光透過孔以外の領域に設置される。
【0009】
1つまたは複数の実施例において、前記液晶レンズ層は、第2キャビティ内にシールされた第2液晶層と、前記第2液晶層を駆動するための第2画素電極及び第2共通電極とを含み、前記第2画素電極及び前記第2共通電極は前記第2液晶層を非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替えるように駆動する。
【0010】
1つまたは複数の実施例において、前記表示パネルは、対向設置される第1基板及び第2基板を含み、前記第2基板は前記第1基板に比べて前記光透過孔形成層に近接して設置され、前記複数の感光センシングユニットは前記第2基板に設置される。
【0011】
1つまたは複数の実施例において、前記複数の感光センシングユニットは、アレイ状に均一配置され、前記複数の感光センシングユニットが前記表示パネルにおいて占める総領域がセンシング領域であり、前記表示パネルの表示領域における前記センシング領域以外の領域が出光領域である。前記センシング領域と前記出光領域との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である。
【0012】
1つまたは複数の実施例において、各前記感光センシングユニットが前記表示パネルにおいて占める領域と前記表示パネルの画素領域またはサブ画素領域との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である。
【0013】
1つまたは複数の実施例において、各前記感光センシングユニットの中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記光透過孔の中心と、前記感光センシングユニットに対向する前記凸レンズの中心とが同一の垂直線上に位置する場合において、前記液晶レンズ層がレンズ状態である時、前記表示パネルに平行な方向において、隣り合う前記凸レンズが隣接して設置される。
【0014】
1つまたは複数の実施例において、各前記凸レンズの口径がD0、前記凸レンズの中心からそれと対向する前記光透過孔の中心までの垂直距離がH0、前記光透過孔の中心からそれと対向する前記感光センシングユニットまでの垂直距離がH1であり、前記感光センシングユニットの幅の範囲は
【0015】
【数1】
【0016】
、かつ
【0017】
【数2】
【0018】
である。
【0019】
1つまたは複数の実施例において、前記感光センシングユニットは、各前記感光センシングユニットの、前記光透過孔形成層から離れた一側に設置される遮光層をさらに含む。
【0020】
本開示の実施例は、制御モジュールを含む、第一の態様に記載の表示装置の制御方法であって、前記制御モジュールが指紋認証信号を受信すると、指紋認証領域の光透過孔形成層を小孔状態に切り替え、液晶レンズ層をレンズ状態に切り替えるように制御して、導光層、前記導光層の側面に設置された光源、及び複数の感光センシングユニットに依拠して前記表示装置に指紋認証を行わせ、前記制御モジュールが表示信号を受信すると、前記光透過孔形成層を光透過状態に切り替え、前記液晶レンズ層を非レンズ状態に切り替えるように制御し、前記表示装置に表示を行わせる制御方法を提供する。
【0021】
本開示の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下では実施例で要する図面について簡単に説明する。当然のことながら、以下で説明する図面は、本開示の一部の実施例に過ぎず、当業者は創造力を働かせることなく、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は関連技術による表示装置の構造模式図である。
図2図2は本開示の実施例による表示装置の構造模式図である。
図3図3は本開示の実施例による、表示に用いられる時の表示装置の原理図である。
図4図4は本開示の実施例による、指紋認証に用いられる時の表示装置の原理図である。
図5図5は本開示の実施例による、光線の導光層における光路図である。
図6図6(a)は本開示の実施例による光透過孔の模式図1であり、図6(b)は本開示の実施例による光透過孔の模式図2である。
図7図7(a)は本開示の実施例による凸レンズの模式図1であり、図7(b)は本開示の実施例による凸レンズの模式図2である。
図8図8は本開示の実施例による表示パネルの構造模式図1である。
図9図9は本開示の実施例による表示パネルの構造模式図2である。
図10図10は本開示の実施例による複数の感光センシングユニットの設置方法の模式図1である。
図11図11は本開示の実施例による複数の感光センシングユニットの設置方法の模式図2である。
図12図12(a)は本開示の実施例による複数の感光センシングユニットの設置方法の模式図3であり、図12(b)は本開示の実施例による複数の感光センシングユニットの設置方法の模式図4である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では本開示の実施例における図面を組み合わせて本開示の実施例における技術案について明瞭かつ完全に説明するが、説明する実施例は本開示の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本開示における実施例に基づき当業者が創造力を働かせずに得られるその他のあらゆる実施例はすべて本開示の請求範囲にある。
【0024】
図1に示すように、かかる光学式指紋認証器には複数の光電センサ50が設置され、バックライト60から発せられた光が指に照射されると、光束が指によって乱反射し、そのうちの一部の光束が光電センサ50に吸収される。光束が指の谷線(以下、凹という)と隆線(以下、凸という)によって乱反射した時、反射光の光エネルギーには差異がある。光束が凹によって反射した光エネルギーは凸での反射による光エネルギーよりも低く、光電センサ50は受光した光エネルギーの差異に基づいて指紋認証を行うことができる。
【0025】
しかし、光電センサ50は指によって乱反射した光束の僅か一部しか受光せず、かつ光束が指の凹と凸によって反射した光エネルギー量の差異は極めて小さいので、光電センサ50が凹と凸との相対位置を判断するには不利である。また、指の凹と凸との間に環境光による干渉が存在する場合、光電センサ50による指紋の正確な認証はさらに不利である。
【0026】
本開示の実施例は、図2図4に示すように、複数の感光センシングユニット10を有する表示パネル1を含む表示装置を提供する。当該表示装置は、表示パネル1の表示側に位置するとともに、表示パネル1から離れた方向に順次設置された光透過孔形成層20、液晶レンズ層30、導光層40、及び導光層40の側面に設置された光源41をさらに含む。
【0027】
光透過孔形成層20は、光透過状態(図3に示す通り)と小孔状態(図4に示す通り)との間で切り替え可能である。小孔状態は、光透過孔形成層20が各感光センシングユニット10に対向する光透過孔21を形成するための状態である。液晶レンズ層30は、非レンズ状態(図3に示す通り)とレンズ状態(図4に示す通り)との間で切り替え可能である。レンズ状態は、液晶レンズ層30が各感光センシングユニット10に対向する凸レンズ31を形成するための状態である。導光層40は滑らかな上底面と下底面を有する。
【0028】
ここで、表示用の光線が、複数の感光センシングユニット10に出射された指紋認証用の光線に干渉することを避けるために、各感光センシングユニット10は、感光センシングユニット本体のほかに、遮光層をさらに含んでよい。遮光層は、各感光センシングユニット本体の、光透過孔形成層20から離れた一側に設置される。感光センシングユニット本体は、センシング素子、変換素子などを含んでよい。1つまたは複数の実施例において、感光センシングユニット本体は、送信器、受信器、検出回路などを含んでよい。
【0029】
なお、第1に、前記表示装置は、指紋、掌紋などの紋様を有する被測定物を認証するのに用いることができ、本開示ではこれについて限定しない。説明の便宜上、以下ではすべて指紋認証をもって詳しく説明する。
【0030】
第2に、感光センシングユニット10は、光信号を電気信号に変換するためのものであり、感光センサ、光電センサなどであってよい。感光センシングユニット10が感光センサである場合、感光センサの構造としては、PIN(positive-intrinsic-negative、略称:PINダイオード)構造であってよい。1つまたは複数の実施例において、感光センサの構造としては、PN(Positive-Negative junction、略称:PNダイオード)などであってよい。
【0031】
第3に、本開示は、複数の感光センシングユニット10の配列方法について限定しない。複数の感光センシングユニット10の設置位置は、指が表示装置の表示側の指紋認証用の領域の任意の位置に触れた時に指紋認証を行うことができ、かつ複数の感光センシングユニット10の占める領域が表示装置の正常表示に影響しないということを満たせばよい。隣り合う感光センシングユニット10は、隣接して設置してもよいし(すなわち、2つの感光センシングユニットの間に出光用の領域がない)、間隔を空けて設置してもよい(すなわち、2つの感光センシングユニットの間が出光用の領域によって隔てられる)。1つまたは複数の実施例において、表示装置内の隣り合う各感光センシングユニット10はいずれも間隔を空けて設置される。1つまたは複数の実施例において、表示装置内の隣り合う感光センシングユニット10は隣接して設置してもよいし、間隔を空けて設置してもよく、隣接して設置された感光センシングユニット10は表示装置の正常表示に影響しない。
【0032】
第4に、各感光センシングユニット10の中心とそれと対向する光透過孔21の中心は、1本の垂直線上に位置してもよいし、1本の垂直線上に位置しなくてもよく、光透過孔21の表示パネル1における正投影が、対応する感光センシングユニット10の表示パネル1における正投影と重なっていれば(完全に重なっている場合と部分的に重なっている場合を含む)よい。
【0033】
各感光センシングユニット10の中心とそれと対向する凸レンズ31の中心とは、1本の垂直線上に位置してもよいし、1本の垂直線上に位置しなくてもよく、凸レンズ31の表示パネル1における正投影が、対応する感光センシングユニット10の表示パネル1における正投影と重なっていれば(完全に重なっている場合と部分的に重なっている場合を含む)よい。
【0034】
一般的に、表示パネル1は平行な上下面を有し、表示パネル1における正投影とは、凸レンズ31、光透過孔21、感光センシングユニット10が、表示パネル1の上下面に垂直な方向で表示パネル1の上下面に投影されたものをいう。
【0035】
第5に、光透過孔形成層20の形成方法については限定せず、光透過孔形成層20が、光透過状態と小孔状態との間で切り替え可能であればよい。例えば、光透過孔形成層20は、電極により液晶を駆動するという方式または電気泳動技術で形成される。光透過孔形成層20の小孔状態は、光透過を許容する光透過孔21が形成された状態であり、光透過孔21がある領域は光を透過し、その他の領域は光を遮るという意味であると当業者は理解すべきである。光透過孔形成層20の光透過状態とは、光透過を許容する状態をいい、すなわち、光透過孔形成層20における状態変化可能な領域はすべて光透過状態になる。「状態変化可能な領域」の例としては、光透過孔形成層20が小孔状態に切り替えられた時の、光透過孔21以外の遮光領域が挙げられる。
【0036】
液晶レンズ層30のレンズ状態は、凸レンズ31が形成された状態であり、凸レンズ31がある領域は光線を集光し、他の領域は液晶の偏向の違いに応じて、光透過または遮光の状態を呈するという意味であると当業者は理解すべきである。表示装置を表示に用いることができるように、液晶レンズ層30の非レンズ状態は、光透過を許容する状態であるべきであり、すなわち、非レンズ状態で、液晶レンズ層30における全ての領域はいずれも光透過状態になる。
【0037】
第6に、導光層40は、表示パネル1に近い一側の底面が下底面であり、表示パネル1から離れた一側の底面が上底面であり、上底面と下底面との間に隣接する複数の面は導光層40の複数の側面である。光源41は導光層40の1つの側面に設置されてもよいし、導光層40の複数の側面に設置されてもよい。
【0038】
第7に、導光層40はドットを含んでもよいし、ドットを含まなくてもよい。導光層40がドットを含まない場合、光源41から発せられた光線は導光層40の側面から導光層40に入り、一部の光線が導光層40において全反射し、一部の光線が導光層40の上底面から出射される。指が表示装置に触れると、導光層40の上底面から出射された光線が指に当たり、指での乱反射により複数の感光センシングユニット10に当たり、これによって、指紋認証を実現する。導光層40がドットを含む場合、光源41から発せられた光線は導光層40の側面から導光層40に入り、導光層40の上底面から出射される。指が表示装置に触れると、導光層40の上底面から出射された光線が指に当たり、指での乱反射により複数の感光センシングユニット10に当たり、これによって、指紋認証を実現する。
【0039】
第8に、導光層40の材料については限定せず、これはポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンの熱可塑性樹脂、ポリカーボネート(PC)などの樹脂材料であってよい。シクロオレフィンの熱可塑性樹脂は、シクロオレフィンポリマー(COP)であってよい。
【0040】
第9に、光透過孔21と凸レンズ31の導光層40の下底面における正投影の形状については限定せず、例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、光透過孔21の導光層40の下底面における正投影は、矩形、円形、楕円形(図示せず)などであってよい。図7(a)及び図7(b)に示すように、凸レンズ31の導光層40の下底面における正投影は、矩形、円形(図示せず)、楕円形(図示せず)などであってよい。1つまたは複数の実施例において、凸レンズ31及び光透過孔21の導光層40の下底面における正投影は円形である。
【0041】
第10に、前記表示装置は、液晶ディスプレイであってよく、OLED(Organic Light-Emitting Diode、略称:有機発光ダイオード)ディスプレイであってもよい。
【0042】
表示装置が液晶ディスプレイである場合、表示パネル1とバックライトを含み、バックライトは表示装置に表示用の光源を提供する。表示パネル1は、アレイ基板、対向基板及びそれらの間に設置された液晶層を含む。アレイ基板は、TFT(Thin Film Transistor、略称:薄膜トランジスタ)と、TFTのドレインに電気的に接続される画素電極とを含んでよい。アレイ基板は、共通電極をさらに含んでもよい。対向基板は、ブラックマトリクスとカラーフィルムを含んでよい。ここで、カラーフィルムは、対向基板に設置してもよいし、アレイ基板に設置してもよい。共通電極は、アレイ基板に設置してもよいし、対向基板に設置してもよい。これを踏まえ、液晶表示装置は、表示パネル1の、バックライトに近い側及びバックライトから離れた側にそれぞれ設置される偏光板を含んでもよい。
【0043】
表示装置がOLEDである場合、OLEDは自発光装置であるので、表示用の光源を自ら提供することができる。OLEDは、アレイ基板と封止基板を含む。アレイ基板は、TFTと、TFTのドレインに電気的に接続される陽極、陰極と、陽極と陰極との間に位置する有機材料機能層とを含んでよい。
【0044】
本開示の実施例は、表示パネル1の表示側において、表示パネル1から離れた方向に光透過孔形成層20、液晶レンズ層30、導光層40、を順次設置し、導光層40の側面に光源41が設置される表示装置を提供する。前記表示装置が表示のみに用いられる場合、光透過孔形成層20が光透過状態に切り替えられ、液晶レンズ層30が非レンズ状態に切り替えられ、これによって、前記表示装置に表示を行わせる。前記表示装置が指紋認証に用いられる場合、指紋認証領域の光透過孔形成層20は小孔状態に切り替え可能であり、液晶レンズ層30はレンズ状態に切り替え可能であり、さらに、表示パネル1の表示領域における指紋認証領域以外のその他の領域は依然として正常表示に用いることができる。光源41から発せられた光が導光層40から指に当たり、指によって乱反射した光線が先ず液晶レンズ層30の凸レンズ31を介して集光されることで、凹、凸の光エネルギーが大きくなる。凹、凸の光エネルギーが大きくなるにつれて、両者の間の光エネルギーの差も大きくなる。凸レンズ31を透過した光線がさらに光透過孔形成層20の光透過孔21を透過し、集光された光線が光透過孔21を介して複数の感光センシングユニット10に当たる。これによって、光透過孔21以外のその他の領域の光線による干渉を排除でき、本開示では、凹、凸の間の光エネルギーの差を大きくするとともに、光透過孔21以外のその他の領域の光線による干渉を排除することにより、指紋の正確な認証を実現する。
【0045】
これに基づいて、凸レンズ31の少なくとも1つの面が曲面であり、全ての曲面のうち、球面が最も量産に適し、高精度に加工しやすいことを考慮すると、1つまたは複数の実施例において、凸レンズ31は球面レンズである。1つまたは複数の実施例において、図4に示すように、各感光センシングユニット10の中心と、感光センシングユニット10に対向する光透過孔21の中心と、感光センシングユニット10に対向する凸レンズ31の中心とは、同一の垂直線上に位置する。
【0046】
本開示の実施例において、各感光センシングユニット10に対向する凸レンズ31の中心と前記感光センシングユニット10に対向する光透過孔21の中心とを同一の垂直線上に設置することにより、光透過孔21を透過した光線が、凸レンズ31を介して集光された光線のみを含むようにすることができ、感光センシングユニット10は集光された光線以外のその他の光線による干渉を完全に排除する。隣り合う感光センシングユニット10が隣接して設置されることを考慮して、感光センシングユニット10がある平面に当たる光線が重ならないようにするために、光透過孔21を透過した光線は全て当該光透過孔21に対向する感光センシングユニット10に当たる。よって、感光センシングユニット10の中心と前記感光センシングユニット10に対向する光透過孔21の中心とを同一の垂直線上に設置することで、感光センシングユニット10の幅を小さくすることができ、感光センシングユニット10の幅が大き過ぎて表示装置の開口率に影響を与えるということを回避する。
【0047】
1つまたは複数の実施例において、光源41から発せられた光線は導光層40に入り、かつ導光層40の上底面と下底面に当たる。導光層40の上底面と下底面に当たる前記光線の入射角度は導光層40の臨界角度以上である。
【0048】
なお、光線が光学的に密な媒質から疎な媒質へ入射するとき、密な媒質における光線の入射角度が一定の数値まで増加すれば、疎な媒質における光線の屈折角度は90°に達し、この時、疎な媒質には屈折光線が存在せず、光線は依然として密な媒質において反射し、このような現象を全反射現象というと当業者は理解すべきである。疎な媒質における光線の屈折角度が90°である場合、密な媒質における光線の入射角度は臨界角度であり、密な媒質における光線の入射角度が臨界角度以上であれば、光線は密な媒質において全反射する。
【0049】
本開示の実施例において、図5に示すように、光線は光源41から導光層40に入射してから、空気に出射されたり、導光層40において反射したりする。導光層40は光学的に密な媒質、空気は疎な媒質と見なすことができ、導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γは、密な媒質における光線の入射角である。よって、導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γの角度が導光層40の臨界角度以上である場合、光線は導光層40において全反射する。この時、前記表示装置が表示のみに用いられる場合、人間の目に見える光線は前記表示装置が表示に用いる光線だけであり、前記表示装置が指紋認証に用いられる場合、指が表示装置に触れ、導光層40が力の作用を受け、指の触れた位置が変形し、光線の導光層40における全反射が損なわれる。その後、光は導光層40から指に当たり、指による乱反射によって複数の感光センシングユニット10に当たり、これによって、指紋認証を実現する(図5は光線が導光層の上底面に当たることのみを示しており、α、β、γの値の範囲は0°以上、かつ90°以下である)。
【0050】
ここで、導光層40の屈折率が
【0051】
【数3】
【0052】
であれば、導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γを導光層40の臨界角度以上にできる。そうでなければ、光源41から発せられた光線が導光層40に当たる入射角度αを変更することにより、導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γを導光層40の臨界角度以上にできる。
【0053】
例えば、図5に示すように、導光層40の材料がポリメチルメタクリレート(PMMA)であり、屈折率がn=1.49であり、sin90°=1であれば、臨界角度は
【0054】
【数4】
【0055】
である。よって、導光層40の上底面と下底面に当たる前記光線の入射角度γは42.2°以上、すなわち、γ≧42.2°であればよい。
【0056】
図5から見て取れるように、光源41から発せられた光線が導光層40に当たる屈折角度βと、導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γとの和は90°であり、すなわち、β+γ=90°である。よって、90°-β≧42.2°であり、β≦47.8°を得られる。
【0057】
これを踏まえ、導光層40の屈折率n、及び光源41から発せられた光線が導光層40に当たる屈折角度βが分かり、光源41から発せられた光線が導光層40に当たる入射角度αが求められる。sin47.8°≒0.74であり、屈折率の式
【0058】
【数5】
【0059】
によりsinα≦0.74*1.49=1.1026が得られる。
【0060】
αの値の範囲が0≦α≦90°、sinαの値の範囲が0≦sinα≦1であり、sinαの値の範囲は上述の算出結果から1.1026以内であることが分かっているので、導光層40の屈折率が1.49である場合、光源41から導光層40に入射した光線はいずれも導光層40の上底面と下底面に当たる光線の入射角度γを臨界角度以上にでき、ひいては光源41から導光層40の上底面と下底面に当たる全ての光線を導光層40において全反射させる。
【0061】
本開示の実施例において、導光層40の上底面と下底面に当たる前記光線の入射角度γを導光層40の臨界角度以上とすることにより、前記表示装置が表示のみに用いられる場合、人間の目に見える光線を前記表示装置が表示に用いる光線だけにすることができ、導光層40の上底面から出射した光線が、前記表示装置が表示する画面のコントラストに影響を及ぼすことを避ける。一方、前記表示装置が指紋認証に用いられる場合、指が表示装置に触れ、導光層40が力の作用を受け、指の触れた位置が変形し、光線の導光層40における全反射が損なわれ、光が導光層40から指に当たり、指による乱反射によって複数の感光センシングユニット10に当たり、これによって、指紋認証を実現する。
【0062】
1つまたは複数の実施例において、図2に示すように、光透過孔形成層20は、第1キャビティ内にシールされた第1液晶層22と、第1液晶層22を駆動するための第1画素電極23及び第1共通電極24とを含む。第1画素電極23及び第1共通電極24は少なくとも光透過孔21以外の領域に設置される。
【0063】
ここで、光透過孔形成層20は、第1キャビティの、表示パネル1に近い一側に設置される第1偏光板25と、表示パネル1から離れた一側に設置される第2偏光板26とをさらに含む。1つまたは複数の実施例において、第1液晶層22の液晶はコレステリック相液晶またはPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal、略称:高分子分散型液晶)である。
【0064】
また、光透過孔形成層20は、第1液晶層22の、表示パネル1に近い一側に設置される第3基板と、表示パネル1から離れた一側に設置される第4基板とをさらに含む。
【0065】
なお、第1偏光板25と第2偏光板26の透過軸の相対位置の違い及び光透過孔形成層20の動作モードの違いに応じて、具体的に以下の2つの情況に分けられる。
【0066】
第1の状況:第1偏光板25と第2偏光板26の透過軸が垂直に設計される。
【0067】
光透過孔形成層20がTN(Twisted Nematic、略称:ねじれネマティック)モードで光透過孔21を形成した場合、光透過孔形成層20が非通電時に白状態となり、通電時に黒状態となる。光透過孔形成層20が小孔状態に切り替えられると、光透過孔21がある領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧がなく、当該領域に光透過を許容させる。光透過孔21以外の領域において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧があり、当該領域に光を遮らせる。
【0068】
光透過孔形成層20がADS(Advanced Super Dimension Switch、略称:アドバンスドスーパーディメンションスイッチ)モードで光透過孔21を形成した場合、光透過孔形成層20は非通電時に黒状態となり、通電時に白状態となる。光透過孔形成層20が小孔状態に切り替えられると、光透過孔21がある領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧があり、当該領域に光透過を許容させる。光透過孔21以外の領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧がなく、当該領域に光を遮らせる。
【0069】
第2の状況:第1偏光板25と第2偏光板26の透過軸が平行に設計される。
【0070】
光透過孔形成層20がTN(Twisted Nematic、略称:ねじれネマティック)モードで光透過孔21を形成した場合、光透過孔形成層20は非通電時に黒状態となり、通電時に白状態となる。光透過孔形成層20が小孔状態に切り替えられると、光透過孔21がある領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧があり、当該領域に光透過を許容させる。光透過孔21以外の領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧がなく、当該領域に光を遮らせる。
【0071】
光透過孔形成層20がADS(Advanced Super Dimension Switch、略称:アドバンスドスーパーディメンションスイッチ)モードで光透過孔21を形成した場合、光透過孔形成層20は非通電時に白状態となり、通電時に黒状態となる。光透過孔形成層20が小孔状態に切り替えられると、光透過孔21がある領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧がなく、当該領域に光透過を許容させる。光透過孔21以外の領域内において、第1画素電極23と第1共通電極24との間には電圧があり、当該領域に光を遮らせる。
【0072】
本開示の実施例では、第1画素電極23と第1共通電極24により第1液晶層22が偏向するように駆動することで、光透過孔形成層20を光透過状態と小孔状態との間で切り替えており、この技術は成熟したものであって、表示装置の正常表示に影響しない。
【0073】
1つまたは複数の実施例において、図2に示すように、液晶レンズ層30は、第2キャビティ内にシールされた第2液晶層32と、第2液晶層32を駆動するための第2画素電極33及び第2共通電極34とを含む。第2画素電極33及び第2共通電極34は第2液晶層32を非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替えるように駆動する。
【0074】
また、液晶レンズ層30は、第2液晶層32の、表示パネル1に近い一側に設置される第5基板と、表示パネル1から離れた一側に設置される第6基板とをさらに含む。
【0075】
本開示の実施例では、第2画素電極33と第2共通電極34により第2液晶層32が偏向するように駆動することで、液晶レンズ層30を非レンズ状態とレンズ状態との間で切り替えており、この技術は成熟したものであって、表示装置の正常表示に影響しない。
【0076】
1つまたは複数の実施例において、図8及び図9に示すように、表示パネル1は、対向設置される第1基板101及び第2基板102を含み、第2基板102は第1基板101に比べて光透過孔形成層20に近接して設置され、複数の感光センシングユニット10は第2基板102に設置される。
【0077】
なお、図8に示すように、複数の感光センシングユニット10は、第2基板102の、第1基板101に近い一側に設置してよい。1つまたは複数の実施例において、図9に示すように、複数の感光センシングユニット10は、第2基板102の、第1基板101から離れた一側に設置してよい。
【0078】
本開示の実施例では、複数の感光センシングユニット10を第1基板101に設置する場合に比べて、複数の感光センシングユニット10を第2基板102に設置したほうが、光線が表示パネル1を透過する際に光エネルギーが減衰してしまうのを避けることができる。
【0079】
また、複数の感光センシングユニット10は、第1基板101の、第2基板102に近い一側に設置してもよいし、第1基板101の、第2基板102から離れた一側に設置してもよい。
【0080】
よって、表示装置における基板は、表示パネル1における第1基板101及び第2基板102と、光透過孔形成層20における第3基板及び第4基板と、液晶レンズ層30における第5基板及び第6基板と、を含むほか、導光層40をさらに含む。一部の基板は共用してよく、具体的には、以下の4つの情況に分けられる。
【0081】
第1の状況:表示装置が6つの基板、すなわち、第1基板101、第2基板102、第3基板、第4基板、第5基板、第6基板を含む。
【0082】
第2の状況:表示装置が5つの基板を含む。導光層40は第6基板として用いられる。
【0083】
第3の状況:表示装置が4つの基板を含む。第1液晶層22の液晶はコレステリック相液晶またはPDLCであり、1つまたは複数の実施例において、第1偏光板25は、第3基板の、第4基板に近い一側に設置され、第2偏光板26は、第4基板の、第3基板に近い一側に設置され、第3基板と第2基板102が共有され、第4基板と第5基板が共有される。
【0084】
第4の状況:表示装置が3つの基板を含む。導光層40は第6基板として用いられ、第3基板と第2基板102が共有され、第4基板と第5基板が共有される。
【0085】
1つまたは複数の実施例において、図10に示すように、複数の感光センシングユニット710は、アレイ状に均一配置され、複数の感光センシングユニット10が表示パネル1において占める総領域がセンシング領域であり、表示パネル1の表示領域におけるセンシング領域以外の領域が出光領域2である。センシング領域と出光領域2との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である。
【0086】
本開示の実施例において、複数の感光センシングユニット10をアレイ状に配置することによって、複数の感光センシングユニット10を表示パネル1において均一配置することができ、さらに、指が表示装置の表示側の任意の位置に触れた時に指紋認証を行うことができる。センシング領域と出光領域2との面積比の範囲は1:4以上、かつ1:1以下であり、この面積比の範囲内において、表示装置が表示に用いられる時に、開口率の低減が表示装置の正常表示に影響を及ぼすことはない。
【0087】
これを踏まえ、1つまたは複数の実施例において、センシング領域と出光領域2との面積比は1:1であり、表示装置の正常表示に影響しないという状況での指紋認証の効果が最もよい。
【0088】
1つまたは複数の実施例において、各感光センシングユニット10が表示パネル1において占める領域と表示パネル1の画素領域4(図12(a)及び図12(b)に示す通り)またはサブ画素領域3(図11に示す通り)との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である。
【0089】
具体的には、カラー表示装置にとって、画素領域4とは、その中に複数の色を表現できる最小重複領域をいい、サブ画素領域3とは、画素領域4において原色を1つ表現するための領域をいい、画素領域4は少なくとも3つのサブ画素領域3を含むのが一般的である。例えば、サブ画素領域3は、赤色サブ画素領域、緑色サブ画素領域、または青色サブ画素領域であってよい。画素領域4は、1つの赤色サブ画素領域、1つの緑色サブ画素領域、1つの青色サブ画素領域を少なくとも含む領域であってよい。単色光装置にとって、画素領域4は1つのサブ画素領域3を含み、画素領域4の大きさはサブ画素領域3の大きさである。
【0090】
なお、感光センシングユニット10は、表示パネル1における各画素領域4または各サブ画素領域3と逐一対応してよく、或いは感光センシングユニット10は、表示パネル1における一部の画素領域4または一部のサブ画素領域3に設置され、複数の感光センシングユニット10がある領域の大きさが指紋認証に用いることができるものであればよい。
【0091】
本開示の実施例において、表示パネル1内の1つの画素または1つのサブ画素を単位として各感光センシングユニット10を設置することで、複数の感光センシングユニット10を表示パネル1において均一配置することができる。各感光センシングユニット10が表示パネル1において占める領域と画素領域4またはサブ画素領域3との面積比は1:4以上、かつ1:1以下である。この面積比の範囲内において、表示装置が表示に用いられる時に、開口率の低減が表示装置の正常表示に影響を及ぼすことはない。
【0092】
これを踏まえ、1つまたは複数の実施例において、各感光センシングユニット10が表示パネル1において占める領域と表示パネル1の画素領域4またはサブ画素領域3との面積比は1:1に等しく、表示装置の正常表示に影響しないという状況での指紋認証の効果が最もよい。
【0093】
指紋情報の欠落により指紋認証が正確でなくなる可能性を考慮して、各感光センシングユニット10の中心と、感光センシングユニット10に対向する光透過孔21の中心と、感光センシングユニット10に対向する凸レンズ31の中心とが同一の垂直線上に位置する場合、1つまたは複数の実施例において、図4に示すように、液晶レンズ層30がレンズ状態である場合、前記表示パネル1に平行な方向において、隣り合う凸レンズ31が隣接して設置される。
【0094】
1つまたは複数の実施例において、図4に示すように、各凸レンズ31の口径がD0、凸レンズ31の中心からそれと対向する光透過孔21の中心までの垂直距離がH0、光透過孔21の中心からそれと対向する感光センシングユニット10までの垂直距離がH1であり、感光センシングユニット10の幅の範囲は
【0095】
【数6】
【0096】
、かつ
【0097】
【数7】
【0098】
である。
【0099】
具体的には、図4に示すように、表示パネル1に平行な方向において、隣り合う凸レンズ31が隣接して設置されれば、1つの凸レンズ31の口径D0は、光透過孔21の幅rと、隣り合う光透過孔21の間の非光透過領域の幅dとの和に等しい。隣り合う光透過孔21の間の非光透過領域の幅dに比べて、光透過孔21の幅rは非常に小さく、考慮せずともよい。よって、凸レンズ31の口径D0は隣り合う光透過孔21の間の非光透過領域の幅dにほぼ等しく、すなわち、D0=dである。
【0100】
凸レンズ31の中心からそれと対向する光透過孔21の中心までの垂直距離がH0、凸レンズ31の口径がD0であることが分かっており、凸レンズ31を透過した光線が光透過孔21を透過するときになす最大角度θが求められる。正弦定理により、
【0101】
【数8】
【0102】
が得られる。
【0103】
これを踏まえ、光透過孔21の中心からそれと対向する感光センシングユニット10までの垂直距離H1及び最大角度θの値が分かり、光透過孔21を透過した光線が、感光センシングユニット10がある面に当たる最大幅D1が求められる。正弦定理により、
【0104】
【数9】
【0105】
であるため、
【0106】
【数10】
【0107】
が得られる。
【0108】
隣り合う感光センシングユニット10が隣接して設置される場合、感光センシングユニット10の幅は、光透過孔21の幅rと、隣り合う光透過孔21との間の非光透過領域の幅dとの和に等しい。隣り合う光透過孔21の間の非光透過領域の幅dに比べて、光透過孔21の幅rは非常に小さく、考慮せずともよい。よって、感光センシングユニット10の幅は隣り合う光透過孔21の間の非光透過領域の幅dにほぼ等しい。この場合、光透過孔21を透過して感光センシングユニット10がある平面に当たる光線が重ならないようにするために、感光センシングユニット10の幅はD1の値以上すべきであって、すなわち、感光センシングユニット10の幅の範囲は、
【0109】
【数11】
【0110】
であり、式
【0111】
【数12】
【0112】
が得られる。上述の関係からD0=dが得られるため、
【0113】
【数13】
【0114】
であり、簡略化すれば、
【0115】
【数14】
【0116】
が得られる。
【0117】
なお、観察者の観察位置及び切断面の切断位置が違えば観察者が目にする断面図も異なるが、説明の便宜上、本開示の実施例において、凸レンズ31の口径、光透過孔21の幅はそれぞれ図4におけるD0、rである。
【0118】
例えば、光透過孔21の導光層40の下面における正投影が円形である場合、光透過孔21の幅rは前記円形の直径を示す。光透過孔21の導光層40の下面における正投影が楕円形である場合、光透過孔21の幅rは前記楕円形の長軸または短軸を示す。光透過孔21の導光層40の下面における正投影が方形である場合、光透過孔21の幅rは前記方形の一辺の辺の長さを示す。
【0119】
凸レンズ31の導光層40の下面における正投影が円形である場合、凸レンズ31の、導光層40の下底面に近い面及び導光層40の下底面から離れた面がいずれも曲面であれば、凸レンズ31の口径D0は、前記円形の直径を示す。凸レンズ31の、導光層40の下底面から離れた面が平面を含めば、凸レンズ31の口径D0は、前記平面の直径を示す。凸レンズ31の導光層40の下面における正投影が楕円形である場合、凸レンズ31の、導光層40の下底面に近い面及び導光層40の下底面から離れた面がいずれも曲面であれば、凸レンズ31の口径D0は、前記楕円形の長軸または短軸を示す。凸レンズ31の、導光層40の下底面から離れた面が平面を含めば、凸レンズ31の口径D0は、前記平面の長軸または短軸を示す。凸レンズ31の導光層40の下面における正投影が方形である場合、凸レンズ31の、導光層40の下底面に近い面及び導光層40の下底面から離れた面がいずれも曲面であれば、凸レンズ31の口径D0は、前記方形の一辺の辺の長さを示す。凸レンズ31の、導光層40から離れた下底面の面が平面を含めば、凸レンズ31の口径D0は、前記一辺の辺の長さを示す。
【0120】
本開示の実施例において、感光センシングユニット10の幅が
【0121】
【数15】
【0122】
、かつ
【0123】
【数16】
【0124】
の場合、指紋情報の欠落を避けることができるだけでなく、隣り合う感光センシングユニット10が隣接して設置された時に、光透過孔21を透過して感光センシングユニット10がある平面に当たる光線が重ならないという条件を満たすこともでき、光線の重なりが指紋認証への干渉を招いて指紋認証が正確でなくなることが避けられる。
【0125】
本開示の実施例は、制御モジュールを含む、本開示の上述したいずれか1つの実施例による表示装置の制御方法をさらに提供する。
【0126】
制御モジュールが指紋認証信号を受信すると、指紋認証領域の光透過孔形成層20を小孔状態に切り替え、液晶レンズ層30をレンズ状態に切り替えるように制御して、導光層40、前記導光層40の側面に設置された光源41、及び複数の感光センシングユニット10に依拠して前記表示装置に指紋認証を行わせる。
【0127】
制御モジュールが表示信号を受信すると、光透過孔形成層20を光透過状態に切り替え、液晶レンズ層30を非レンズ状態に切り替えるように制御し、前記表示装置に表示を行わせる
【0128】
なお、前記指紋認証領域は、表示パネル1の表示領域であってもよいし、表示パネル1の表示領域よりも小さくてもよい。前記指紋認証領域が表示パネル1の表示領域である場合、制御モジュールが指紋認証信号を受信すると、表示領域の任意の位置を指紋認証に用いることができる。前記指紋認証領域が表示パネル1の表示領域よりも小さい場合、前記指紋認証領域は指紋認証に用いることができ、表示パネル1の表示領域における指紋認証領域以外の領域は表示に用いることができる。
【0129】
本開示の実施例は、表示パネル1を含み、表示パネル1の表示側において、表示パネル1から離れた方向に光透過孔形成層20、液晶レンズ層30、導光層40を順次設置し、導光層40の側面に光源41が設置される表示装置の制御方法を提供する。前記表示装置が表示のみに用いられる場合、光透過孔形成層20が光透過状態に切り替えられ、液晶レンズ層30が非レンズ状態に切り替えられ、前記表示装置に表示を行わせる。前記表示装置が指紋認証に用いられる場合、指紋認証領域の光透過孔形成層20は小孔状態に切り替え可能であり、液晶レンズ層30はレンズ状態に切り替え可能であり、表示パネル1の表示領域において、指紋認証領域以外のその他の領域は依然として正常表示に用いることができる。光源41から発せられた光が導光層40から指に当たり、指によって乱反射した光線が先ず液晶レンズ層30の凸レンズ31を介して集光されることで、凹、凸の光エネルギーが大きくなる。凹、凸の光エネルギーが大きくなるにつれて、両者の間の光エネルギーの差も大きくなる。凸レンズ31を透過した光線がさらに光透過孔形成層20の光透過孔21を透過し、集光された光線が光透過孔21を介して複数の感光センシングユニット10に当たり、光透過孔21以外のその他の領域の光線による干渉を排除できる。本開示では、凹、凸の間の光エネルギーの差を大きくするとともに、光透過孔21以外のその他の領域の光線による干渉を排除することにより、指紋の正確な認証を実現する。
【0130】
以上の記載は、本開示の具体的な実施の形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限られるものではなく、本開示で開示された技術範囲内において、本分野について熟知している当業者が容易に想到できる如何なる変更または置き換えも全て本開示の保護範囲内に含まれるものとする。よって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に基づくものとする。
【符号の説明】
【0131】
1 表示パネル
2 出光領域
3 サブ画素領域
4 画素領域
10 感光センシングユニット
20 光透過孔形成層
21 光透過孔
22 第1液晶層
23 第1画素電極
24 第1共通電極
25 第1偏光板
26 第2偏光板
30 液晶レンズ層
31 凸レンズ
32 第2液晶層
33 第2画素電極
34 第2共通電極
40 導光層
41 光源
50 光電センサ
60 バックライト
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】