(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】位置選択的に置換されたセルロースエステル
(51)【国際特許分類】
C08B 3/16 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
C08B3/16
(21)【出願番号】P 2019553402
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(86)【国際出願番号】 US2018024797
(87)【国際公開番号】W WO2018183466
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ロバート リン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョン ロディグ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジャックス シャープ
(72)【発明者】
【氏名】グレン ルイス ショアフ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-515515(JP,A)
【文献】特表2010-518166(JP,A)
【文献】特表2011-530643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0~2.0の範囲のC2及びC3の組み合わせ置換
度(C2+C3)D
S及び0.1未満のC6の置換
度C6DS
を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
アシル置換基は前記(C2+C3)DSに寄与しており、前記C6DSは第一のカルボン酸から得られるアシル基置換度であり、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中において、セルロースを
、1.4当量
~1.8当量の無水トリフルオロ酢
酸TFA
A及び0.1当量
~0.8当量の1つ以上の第一のカルボン酸と接触させることを含み、
前記適切な溶媒はトリフルオロ酢酸であり、
ここで、TFAA及び第一のカルボン酸の当量はセルロースの無水グルコシル単位の合計に基づ
き、
前記第一のカルボン酸はR
1
-COOHであり、
ここで、R
1
は(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれる、方法。
【請求項2】
位置選択的に置換されたセルロースエステル
は50,000Da
~500,000Daの範囲の重量平均分子量(「M
w」)を有する、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
0.01~1のC2置換
度C2D
S、0.01~1のC3置換
度C3D
S及び0~0.1のC6置換
度C6D
Sを有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
アシル置換基は(C2+C3)DS、すなわち、C2及びC3の組み合わせ置換度に寄与しており、前記C6DSは第一のアシル化剤FAAから得られるアシル基置換度であり、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中で、セルロース
を0.5
~5.0当量の無水トリフルオロ酢
酸TFA
A及び0.1~2.0当量の1つ以上の
前記第一のアシル化
剤と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成することを含み、
前記適切な溶媒はトリフルオロ酢酸であり、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づ
き、
前記FAAはR
1a
-C(O)OC(O)-R
1b
であり、
ここで、R
1a
及びR
1b
は独立して(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、各R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれるか、
または、
前記FAAはR
1a
-C(O)Xであり、
ここで、R
1a
は(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、
ここで、各R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
Xは、クロロ、ブロモ又はヨードである、方法。
【請求項4】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)セルロースを、第一
の溶媒を含む第一の反応媒体中で、0.5~5.0当量の無水トリフルオロ酢
酸TFA
A及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化
剤FA
Aと接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、0.01~1のC2置換
度C2D
S、0.01~1のC3置換
度C3D
S及び0
~0.1のC6置換
度C6D
Sを有する中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成すること、
アシル置換基は(C2+C3)DS、すなわち、C2及びC3の組み合わせ置換度に寄与しており、前記C6DSは前記FAAから得られるアシル基置換度であり、前記第一の溶媒はトリフルオロ酢酸であり、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づ
き、
前記FAAはR
1a
-C(O)OC(O)-R
1b
であり、
ここで、R
1a
及びR
1b
は独立して(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、各R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれるか、
または、
前記FAAはR
1a
-C(O)Xであり、
ここで、R
1a
は(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、
ここで、各R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
Xは、クロロ、ブロモ又はヨードである、
(2)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステ
ルIRSC
Eを分離すること、及び、
(3)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを、第二
の溶媒を含む第二の反応媒体中で、0.1~2.0当量の1つ以上の第二のアシル化
剤SA
Aと接触させることを含み、
ここで、
前記SAAの当量はIRSCEの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法。
【請求項5】
前記第二
の溶媒はメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロメタン、ピリジン又はジクロロメタンから選ばれる、請求項
4記載の方法。
【請求項6】
前記セルロースは、硬木セルロース、軟木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである、請求項1、
3又は
4のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、セルロース化学、セルロースエステル組成物、セルロースエステルの製造方法及びセルロースエステルから製造されたフィルムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
セルロースは、無水グルコースのβ-1,4-結合ポリマーである。セルロースは、典型的に、水及び実質的にすべての一般的な有機溶媒中に不溶性の高分子量の多分散ポリマーである。住宅又は布帛などの木材又は綿製品に未変性セルロースを使用することはよく知られている。未変性セルロースは、通常、セロファンなどのフィルム、ビスコースレーヨンなどの繊維、又は、医薬品用途で使用される微結晶セルロースなどの粉末として、さまざまな他の用途でも利用される。セルロースエステルなどの変性セルロースも多種多様な商業用途で広く利用されている。Prog. Polym. Sci. 2001, 26, 1605-1688。セルロースエステルは、一般に、まずセルロースをセルローストリエステルに転化させ、次いで、セルローストリエステルを所望の置換度に酸性水性媒体中で加水分解することにより調製される。これらの条件下でのセルローストリアセテートの加水分解により、最終的な置換度に応じて8種のモノマーから構成することができるランダムコポリマーが生成される。Macromolecules 1991, 24, 3050。
【0003】
本出願は、まずセルロースをトリフルオロ酢酸中の無水トリフルオロ酢酸で処理し、次いで、アシル供与体又はアシル供与体前駆体を添加することにより調製された新規な位置選択的に置換されたセルロースエステルについて説明する。
【発明の概要】
【0004】
発明の要旨
本出願は、以下を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルを開示する:
(i)複数のR1-CO-置換基、及び
(ii)複数のヒドロキシル置換基、
ここで、C2位でのR1-CO-の置換度(「C2DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、
C3位でのR1-CO-の置換度(「C3DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、
C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.5の範囲にあり、
ヒドロキシルの置換度は約0~約2.6の範囲にあり、
R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0005】
本出願はまた、以下を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルを開示する:
(i)複数のR1-CO-置換基、
(ii)複数のR4-CO-置換基、
(iii)複数のヒドロキシル置換基、
ここで、C2位でのR1-CO-の置換度(「C2DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、
C3位でのR1-CO-の置換度(「C3DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、
C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.5の範囲にあり、
C6位でのR4-CO-の置換度(「C6DSR4」)は約0.1~約1.0の範囲にあり、
ヒドロキシルの置換度は約0~約2.6の範囲にあり、
R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、
R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、
R4は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-5)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)から選ばれ、
R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0006】
本出願はまた、本明細書に開示される位置選択的に置換されたセルロースエステルから作製されたフィルムを開示する。本出願はまた、本明細書に開示される位置選択的に置換されたセルロースエステルを調製するための方法を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本明細書及び以下の特許請求の範囲において、多くの用語が参照され、これらの用語は以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0008】
単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0009】
値は「約」又は「およそ」指定された数として表すことができる。同様に、範囲は、「約」特定の値から、及び/又は「約」又は別の特定の値までとして本明細書で表すことができる。そのような範囲が表現される場合に、別の態様は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行詞「約」を使用して値が近似値として表される場合に、特定の値が別の態様を形成することが理解される。
【0010】
光学フィルムは、一般に、屈折率nに関連する複屈折の観点から定量化される。屈折率は、典型的には、ポリマー一般については1.4~1.8の範囲にあり、セルロースエステルについては約1.46~1.50にあることができる。屈折率が高いほど、その所与の材料を光波が伝播するのが遅くなる。
【0011】
配向されていない等方性材料について、屈折率は、入射光波の偏光状態に関係なく同じになる。材料が配向する又はさもなければ異方性になると、屈折率は材料の方向に依存性になる。本発明の目的のために、重要な3つの屈折率があり、nx、ny及びnzで示され、それぞれ機械方向(「MD」)、横断方向(「TD」)及び厚さ方向に対応する。材料がより異方性になると(例えば、延伸によって)、2つの屈折率の差は増加する。この差は「複屈折」と呼ばれる。材料の方向の選択には多くの組み合わせがあるため、それに応じて複屈折の値が異なる。最も一般的な2つ、つまり平面複屈折(又は「面内」複屈折)Δe及び厚さ複屈折(又は「面外」複屈折)Δthは、次のように定義される。
【0012】
(1a)Δe=nx-ny
(1b)Δth=nz-(nx+ny)/2
【0013】
複屈折Δeは、MD方向とTD方向の間の相対的な面内配向の尺度であり、無次元である。対照的に、Δthは、平均平面配向に対する厚さ方向の配向の尺度を提供する。
【0014】
光学フィルムに関してしばしば使用される別の用語は、光学遅延Rである。Rは単純に対象のフィルムの複屈折×厚さdである。したがって、
【0015】
(2a)Re=Δed=(nx-ny)d
(2b)Rth=Δthd=[nz-(nx+ny)/2]d
【0016】
遅延は、2つの直交する光波間の相対的な位相シフトの直接的な尺度であり、典型的にナノメートル(nm)単位で報告される。Rthの定義は、Rthの計算方法に応じて、特に符号(+/-)に関して著者によって異なることに注意されたい。
【0017】
材料は、その複屈折/遅延挙動に関しても様々であることが知られている。例えば、ほとんどの材料は、伸張すると、伸張方向に沿って高い屈折率を示し、伸張に垂直方向で低い屈折率を示す。これは、分子レベルでは、典型的には、屈折率がポリマー鎖の軸に沿って高く、鎖に垂直に対して低いためである。これらの材料は一般に「正の複屈折」と呼ばれ、現在市販されているセルロースエステルを含むほとんどの標準的なポリマーを表している。後で説明するように、正の複屈折材料を使用して、正又は負の複屈折フィルム又は波長板を作成できることに注意されたい。
【0018】
混乱を避けるために、ポリマー分子自体の複屈折挙動は「固有複屈折」と呼ばれ、ポリマーの特性である。材料光学の観点から、固有複屈折は、すべての鎖が一方向に完全に整列した状態に材料が完全に延伸された場合に発生する複屈折の尺度である(ほとんどのポリマーでは、完全に整列できないため、これは理論上の限界値である)。本発明の目的のために、それはまた、所与の量の鎖配向に対する所与のポリマーの感度の尺度を提供する。例えば、高い固有複屈折を有するサンプルは、フィルム内の相対応力レベルがほぼ同じであっても、低い固有複屈折を有するサンプルよりもフィルム形成中により大きな複屈折を示すであろう。
【0019】
ポリマーは、正、負又はゼロの固有複屈折を有することができる。負の固有複屈折のポリマーは、(平行方向に対して)延伸方向に対して垂直方向に高い屈折率を示す。特定のスチレン系樹脂及びアクリル系樹脂は、かなりかさばる側基のために、固有複屈折挙動が負になることがある。組成に応じて、芳香環構造を有する幾つかのセルロースエステルも負の固有複屈折を示すことがある。対照的に、ゼロ固有複屈折は特別な場合であり、延伸しても複屈折を示さないため、固有複屈折がゼロの材料を表す。このような材料は、光学遅延又は歪みを示すことなく、加工中に成形、延伸又はその他の方法で応力を加えることができるため、特定の光学用途に理想的な場合がある。
【0020】
LCDで使用される実際の補償フィルムは、3つのすべての屈折率が異なり、2つの光軸が存在する二軸フィルム、及び3つの屈折率のうち2つが同一である1つだけの光軸を持つ一軸フィルムなどを含む、様々な形態をとることができる。また、フィルムの厚さ方向に光軸がねじれ又は傾く他のクラスの補償フィルムもあるが(例えば、ディスコチックフィルムなど)、これらは一般にあまり重要ではない。一般に、作成可能な補償フィルムのタイプは、ポリマーの複屈折特性(つまり、正、負、又はゼロの固有複屈折)によって制限される。記号は、フィルムのタイプの前又は後に配置されうる(例:+A又はA+)。以下に幾つかの例を示す。
【0021】
一軸フィルムの場合には、次のような屈折率を有するフィルムは「+A」光学フィルムとして示される。
(3a)nx>ny=nz 「+A」光学フィルム
このようなフィルムでは、フィルムのx方向(機械方向)は屈折率が高く、y方向及び厚さ方向は大きさがほぼ同じであり(そしてnxよりも小さい)。このタイプのフィルムは、光軸がx方向に沿った正の一軸結晶構造とも呼ばれる。そのようなフィルムは、例えばフィルムストレッチャーを使用して、正の固有複屈折の材料を一軸延伸することにより作製することができる。
【0022】
対照的に、「-A」の一軸フィルムは次のように定義される。
(3b)nx<ny=nz 「-A」光学フィルム
【0023】
ここで、x軸の屈折率は他の方向(それらはほぼ等しい)よりも低い。-A光学フィルムを作製するための1つの方法は、負の固有複屈折のポリマーを延伸すること、又は、分子が優先方向に並ぶように(例えば、下にあるエッチングされた配向層を使用して)負の(固有の)複屈折の液晶ポリマーを表面にコーティングすることである。
【0024】
遅延に関して、「±A」光学フィルムは、Re及びRthの間に次の関係がある(3c)。
(3c)Rth=-Re/2 「±A」光学フィルム
【0025】
別のクラスの一軸光学フィルムは、「+C」又は「-C」にもなり得るC光学フィルムである。C光学フィルムとA光学フィルムの違いは、C光学フィルムでは、固有の屈折率(又は光軸)がフィルムの平面ではなく厚さ方向にあることである。したがって、
【0026】
(4a)nz>ny=nx 「+C」光学フィルム
(4b)nz<ny=nx 「-C」光学フィルム
【0027】
C光学フィルムは、フィルムの溶媒キャスティング中に生じる応力を利用して製造できる。引張応力は、一般に、キャスティングベルトによって課せられた拘束のためにフィルムの平面に形成される。これはまた、本質的に等二軸延伸される。これらはフィルムの平面内で鎖を整列させる傾向があり、正及び負の固有複屈折材料に対してそれぞれ-C又は+Cフィルムをもたらす。ディスプレイに使用される多くのセルロースエステルフィルムは溶媒キャスティングされ、多くは本質的に正の複屈折性であるため、溶媒キャスティングされたセルロースエステルは、通常、-C光学フィルムのみを生成することが明らかである。これらのフィルムを一軸延伸して、+A光学フィルムを作製することもできる(初期のキャスト時の遅延は非常に低いと仮定)。
【0028】
一軸光学フィルムの他に、二軸延伸フィルムを使用することもできる。二軸フィルムは、主方向(これらの主軸の方向に沿って)に3つの屈折率nx、ny及びnzを単純にリストすることを含む様々な方法で定量化される。一般的に、nx≠ny≠nz。
【0029】
ある特定の二軸配向フィルムは、一対の交差偏光子又は面内スイッチング(「IPS」)モード液晶ディスプレイの光漏れを補償する特有の光学特性を有する。光学フィルムは、約0.4~約0.9の範囲、又は約0.5に等しいパラメータNzを有し、Nzは次のように定義される。
【0030】
(5)Nz=(nx-nz)/(nx-ny)
【0031】
このパラメータは、面内複屈折に対する有効面外複屈折を提供する。Nzは、1対の交差偏光子の補償フィルムとして使用するときに約0.5になるように選択できる。Nzが約0.5であるときに、対応する面外遅延Rthは約0.0nmに等しくなる。
【0032】
光学フィルムの補償効果を示すために、補償フィルムを使用した場合と使用しない場合の1対の交差偏光子の光透過率又は漏れを以下にコンピューターシミュレーションで計算する。
【0033】
「置換度」とは、セルロースエステルの無水グルコースモノマーあたりの置換基の平均数を意味する。置換度は、無水グルコースモノマーに結合した置換基、例えばアシル基を指すことができる。置換度は、無水グルコースモノマー上の遊離ヒドロキシル基の数も指すことができる。置換度は、無水グルコースモノマー上の位置を指定することができる。例えば、置換度は、無水グルコースモノマーのC2、C3又はC6位に適用することができる(例えば、C2DS、C3DS、C6DS)。
【0034】
【0035】
あるいは、位置置換度は、用語「置換度」の前に位置を示すことによって表現することができる(例えば、C2置換度又はC2及びC3組み合わせ置換度)。
【0036】
「重合度」とは、1つのポリマー分子を構成するグルコース単位の数を意味する。
【0037】
光学フィルムの製造に使用するのに適した位置選択的に置換されたセルロースエステルは、複数のアルキル-アシル置換基及び複数のアリール-アシル置換基を含むことができる。本明細書で使用されるときに、用語「アシル置換基」は、構造:
【0038】
【0039】
セルロースエステル中のそのようなアシル基は、一般に、エステル結合を介して(すなわち、酸素原子を介して)セルロースのピラノース環に結合している。
【0040】
本明細書で使用されるときに、用語「アルキル-アシル」は、「R」がアルキル基であるアシル置換基を表す。しばしば、アルキル基の炭素単位は含まれ、例えば、(C1-6)アルキル-アシルである。アルキル-アシル基の例としては、アセチル、プロピオニル、ブチリルなどが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用されるときに、用語「アルキル」は炭化水素置換基を表す。本明細書での使用に適したアルキル基は、直鎖、分岐鎖又は環状であることができ、飽和又は不飽和であることができる。しばしば、アルキル基中の炭素単位は含まれ、例えば、(C1-6)アルキルである。本明細書での使用に適したアルキル基としては、任意の(C1-20)、(C1-12)、(C1-5)又は(C1-3)アルキル基が挙げられる。様々な実施形態において、アルキルはC1-5直鎖アルキル基であることができる。さらに他の実施形態では、アルキルはC1-3直鎖アルキル基であり得る。適切なアルキル基の具体例としては、限定するわけではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が挙げられる。
【0042】
アシル化剤は、セルロースをアシル化してセルロースエステルを生成するための当該技術分野で公知のいずれのものであってもよい。本発明の1つの実施形態において、アシル化試薬は、1つ以上のC1~C20直鎖又は分岐鎖アルキル又はアリールカルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、ジケテン又はアセト酢酸エステルである。カルボン酸無水物の例としては、限定するわけではないが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ヘキサン酸、無水2-エチルヘキサン酸、無水ノナン酸、無水ラウリン酸、無水パルミチン酸、無水ステアリン酸、無水安息香酸、置換無水安息香酸、無水フタル酸及び無水イソフタル酸が挙げられる。カルボン酸ハロゲン化物の例としては、限定するわけではないが、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、2-エチルヘキサノイル、ラウロイル、パルミトイル、ベンゾイル、置換ベンゾイル及びステアロイルハロゲン化物が挙げられる。アセト酢酸エステルの例としては、限定するわけではないが、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテート、ブチルアセトアセテート及びtert-ブチルアセトアセテートが挙げられる。本発明の1つの実施形態において、アシル化試薬は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、2-エチルヘキサン酸、無水ノナン酸及び無水ステアリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのC2~C9直鎖又は分岐鎖アルキルカルボン酸無水物である。セルロースがアルキルリン酸テトラアルキルアンモニウム中に溶解した後に、アシル化試薬を加えることができる。所望ならば、セルロースをアルキルリン酸テトラアルキルアンモニウム中に溶解する前に、アルキルリン酸テトラアルキルアンモニウム中にアシル化試薬を加えることができる。別の実施形態において、アルキルリン酸テトラアルキルアンモニウム及びアシル化試薬をセルロースに同時に添加して、セルロース溶液を生成することができる。
【0043】
「ハロアルキル」とは、少なくとも1つの水素がハロゲン基で置換されているアルキル置換基を意味する。ハロアルキル基中の炭素単位はしばしば含まれ、例えば、ハロ(C1-6)アルキルである。ハロアルキル基は直鎖又は分岐鎖であることができる。ハロアルキルの非限定的な例としては、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジブロモエチルなどが挙げられる。
【0044】
「アルケニル」とは、少なくとも1つの二重結合を含む少なくとも2つの炭素単位のアルキル基を意味する。アルケニル基中の炭素単位はしばしば含まれ、例えば(C2-6)アルケニルである。アルケニル基は直鎖又は分岐鎖であることができる。アルケニルの非限定的な例としては、エテニル、アリル、1-ブテニルなどが挙げられる。
【0045】
「シクロアルキル」とは、少なくとも3つの炭素単位を有する環状アルキル基を意味する。シクロアルキル基中の炭素単位はしばしば含まれ、例えば、(C3-8)シクロアルキルである。シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0046】
「アリール」とは芳香族炭素環式基を意味する。アリール基は単環式であっても又は多環式でもあってもよい。多環式環系中の環の1つがアリールである場合、多環式環系はアリールと考えられる。言い換えれば、多環式アリール基中の炭素環式環のすべてが芳香族である必要はない。アリール基中の炭素単位はしばしば含まれ、例えば(C6-20)アリールである。アリールの非限定的な例としては、フェニル、ナフタレニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニルなどが挙げられる。
【0047】
「ヘテロアリール」とは、アリール環中の炭素単位の少なくとも1つがO、N及びSなどのヘテロ原子で置換されているアリールを意味する。ヘテロアリール環は単環式であっても又は多環式であってもよい。しばしば、ヘテロアリール環系を構成する単位が含まれ、例えば、5~20員環系である。5員ヘテロアリールは、ヘテロアリール環を形成する5つの原子を有する環系を意味する。ヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジニル、キノリニル、ピリミジニル、チオフェニルなどが挙げられる。
【0048】
「アルコキシ」とは、アルキル-O-又は酸素基に末端結合したアルキル基を意味する。しばしば、炭素単位が含まれ、例えば、(C1-6)アルコキシである。アルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシなどが挙げられる。
【0049】
「ハロアルコキシ」とは、少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されているアルコキシを意味する。しばしば、炭素単位が含まれ、例えば、ハロ(C1-6)アルコキシである。ハロアルコキシの非限定的な例としては、トリフルオロメトキシ、ブロモメトキシ、1-ブロモ-エトキシなどが挙げられる。
【0050】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードなどのハロゲンを意味する。
【0051】
「逆Aフィルム」とは以下の条件を満たすフィルムである。面内遅延は、589nmで測定したときに、約100nm~約300nmの範囲にあり、Re450/Re550は1未満であり、Re650/Re550は1を超え、Re450、Re550及びRe650は、それぞれ450nm、550nm及び650nmの波長で測定されたときのフィルムの面内遅延値である。
【0052】
「逆NRZフィルム」は以下の条件を満たすフィルムである。面内遅延(「Re」)は、589nmで測定したときに約100nm~約300nmの範囲にあり、面外遅延(「Rth」)は約-50nm~約0nmの範囲にあり、Re450/Re550は1未満であり、Re650/Re550は1を超え、ここで、Re450、Re550及びRe650は、それぞれ450nm、550nm及び650nmの波長で測定されたときのフィルムの面内遅延値である。
【0053】
「NRZフィルム」とは、以下の条件を満たすフィルムである。nZ=(nx-nz)/(nx-ny)=0.5のNZ値を使用する。あるいは、Rth=[nz-(nx+ny)/2]*d=0のRth値を使用する。ここで、nx、ny及びnzは、それぞれx、y及びz方向のフィルムの屈折率であり、dは膜厚である。
【0054】
本明細書で使用されるときに、「及び」又は「又は」とともに使用される「から選ばれる」という用語は以下の意味を有する:A、B及びCから選ばれる変数は、変数がA単独、B単独又はC単独であることができることを意味する。変数A、B又はCは、変数がA単独、B単独、C単独、AとBの組み合わせ、BとCの組み合わせ、AとCの組み合わせ、又はAとBとCの組み合わせであることを意味する。
【0055】
本発明の方法により調製されるセルロースエステルは様々な用途に有用である。アシル置換基のタイプ、DS、MW及びセルロースエステルコポリマーのタイプなどの因子はセルロースエステルの物理的性質に有意に影響を及ぼすので、特定の用途がセルロースエステルの特定のタイプに依存することを当業者は理解するであろう。Prog. Polym. Sci. 2001, 26, 1605-1688。
【0056】
本発明のさらに別の実施形態において、セルロースエステルはコーティング用途に使用される。コーティング用途の例としては、限定するわけではないが、自動車、木材、プラスチック又は金属コーティングが挙げられる。コーティング用途での使用に好ましいセルロースエステルの例としては、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース又はそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
本発明のさらに別の実施形態において、セルロースエステルは、フィルムの溶媒キャスティングを伴う用途に使用される。これらの用途の例としては、写真フィルム、及び、液晶ディスプレイ用の保護及び補償フィルムが挙げられる。溶媒キャストフィルム用途での使用に好ましいセルロースエステルの例としては、三酢酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酢酸プロピオン酸セルロースが挙げられる。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のセルロースエステルは、フィルムの溶媒キャスティングを伴う用途に使用することができる。そのような用途の例としては、写真フィルム、LCD用の保護フィルム及び補償フィルムが挙げられる。溶媒キャストフィルム用途での使用に適したセルロースエステルの例としては、限定するわけではないが、三酢酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酢酸プロピオン酸セルロースが挙げられる。
【0059】
本発明の1つの実施形態において、本発明のセルロースエステルを含むフィルムは製造され、LCD用の保護フィルム及び補償フィルムとして使用される。これらのフィルムは、米国特許出願第2009/0096962号明細書に記載の溶媒キャスティング又は米国特許第8,344,134号明細書に記載の溶融押出により調製することができ、両方とも本明細書の記載と矛盾しない範囲で本発明にその全体が取り込まれる。
【0060】
保護フィルムとして使用するときに、フィルムは、典型的に、配向ヨウ素化PVOH偏光フィルムのいずれかの側にラミネートされ、PVOH層を引っかき及び湿分から保護し、一方で、構造的剛性も高める。補償フィルム(又はプレート)として使用するときに、前記フィルムは偏光子スタックとラミネート化されるか、又はさもなければ偏光子と液晶層の間に含まれることができる。これらの補償フィルムは、LCDのコントラスト比、広視野角及びカラーシフト性能を向上させることができる。この重要な機能の理由は、LCDで使用される典型的な交差偏光子の組では、特に視野角が大きくなると、対角線に沿った有意な光漏れ(低いコントラスト比につながる)があるためである。光学フィルムの様々な組み合わせを使用して、この光漏れを補正又は「補償」できることが知られている。これらの補償フィルムは、特定の明確な遅延(又は複屈折)値を有しなければならず、これは、使用する液晶セルのタイプ又はモードによって異なる。というのは、液晶セル自体も、補正する必要がある特定の程度の望ましくない光学遅延を与えるためである。
【0061】
補償フィルムは一般に複屈折の観点から定量化され、複屈折は次いで屈折率nに関連している。セルロースエステルについては、屈折率は約1.46~1.50である。配向されていない等方性材料については、屈折率は入射光波の偏光状態に関係なく同じになる。材料が配向され、又はさもなければ異方性になると、屈折率は材料の方向に依存する。本発明の目的のために、nx、ny及びnzで示される3つの重要な屈折率があり、それぞれMD、TD及び厚さ方向に対応する。材料の異方性が大きくなると(たとえば、延伸により)、2つの屈折率の差が大きくなる。屈折率のこの差は、屈折率の特定の組み合わせについての材料の複屈折と呼ばれる。材料の方向の選択には多くの組み合わせがあるため、それに対応して様々な複屈折の値が存在する。最も一般的な2つの複屈折パラメータは、Δe=nx-nyとして定義される平面複屈折、及び、Δth=nz-(nx+ny)/2として定義される厚さ複屈折(Δth)である。複屈折Δeは、MDとTDの間の相対的な面内配向の尺度であり、無次元である。対照的に、Δthは、平均平面配向に対する厚さ方向の配向の尺度を提供する。
【0062】
光学遅延(R)は、フィルムの厚さ(d)によって複屈折に関連付けられる;Re=Δed=(nx-ny)d;Rth=Δthd=[nz-(nx+ny)/2]。遅延は2つの直交する光波間の相対的な位相シフトの直接的な尺度であり、典型的にはナノメートル(nm)単位で報告される。Rthの定義は、特に符号(±)に関して、著者によって異なることに留意されたい。
【0063】
材料は、その複屈折/遅延挙動に関して様々であることも知られている。たとえば、ほとんどの材料は、伸張すると、伸張方向に沿って高い屈折率を示し、伸張に対して垂直方向に低い屈折率を示す。これは、分子レベルでは、典型的に、屈折率がポリマー鎖の軸に沿って高く、鎖に垂直方向に低いためである。これらの材料は一般に「正の複屈折」と呼ばれ、現在のすべての従来的なセルロースエステルを含むほとんどの標準的なポリマーを表している。
【0064】
混乱を避けるため、ポリマー分子自体の複屈折挙動は「固有複屈折」と呼ばれ、ポリマーの特性である。材料光学の観点から、固有複屈折は、すべての鎖が一方向に完全に整列した状態で材料が完全に延伸された場合に発生する複屈折の尺度である(ほとんどのポリマーでは、完全に整列できないため、これは理論上の限界値である)。本発明の目的のために、それはまた、所与の量の鎖配向に対する所与のポリマーの感度の尺度を提供する。例えば、高い固有複屈折を有するサンプルは、フィルム内の相対応力レベルがほぼ同じであっても、低い固有複屈折を有するサンプルよりもフィルム形成中により大きい複屈折を示す。
【0065】
ポリマーは、正、負又はゼロの固有複屈折を有することができる。負の(固有)複屈折のポリマーは、(平行方向に対して)延伸方向に対して垂直方向により高い屈折率を示し、その結果、負の固有複屈折も有する。特定のスチレン系樹脂及びアクリル系樹脂は、そのかなりかさばる側基により、負の固有複屈折を有することが知られている。組成に応じて、芳香環構造を有する幾つかのセルロースエステルも負の固有複屈折を示す。対照的に、ゼロ固有複屈折は特別な場合であり、延伸しても複屈折を示さないため、固有複屈折がゼロの材料を表す。このような材料は、光学遅延又は歪みを示すことなく、加工中に成形、延伸又はその他の方法で応力が加えられることができるため、光学用途に理想的である。
【0066】
LCDで使用される実際の補償フィルムは、3つすべての屈折率が異なり、2つの光軸が存在する二軸フィルム及び3つの屈折率のうち2つが同じであり、1つだけの光軸を有する一軸フィルムなどを含む様々な形態をとることができる。また、光軸がフィルムの厚さにわたって捩れ又は傾斜する他のクラスの補償フィルム(例えば、ディスコティックフィルム)もあるが、これらは本発明を理解する上でそれほど重要ではない。重要な点は、作製できる補償フィルムのタイプは、ポリマーの複屈折特性(すなわち、正、負又はゼロの固有複屈折)によって制限されることである。
【0067】
補償フィルム又はプレートは、LCDディスプレイデバイスが動作するモードに応じて多くの形態をとることができる。たとえば、Cプレート補償フィルムはx-y平面で等方性であり、プレートは正(+C)又は負(-C)になることができる。+Cプレートの場合に、nx=ny<nzである。-Cプレートの場合に、nx=ny>nzである。別の例は、y-z方向に等方性のAプレート補償フィルムである。この場合も、プレートは正(+A)又は負(-A)であることができる。+Aプレートの場合に、nx>ny=nzである。-Aプレートの場合に、nx<ny=nzである。
【0068】
一般に、脂肪族セルロースエステルは、フィルム厚60μmで約0~約-350nmの範囲のRth値を提供する。観察されるRthに影響を与える最も重要な要因は、置換基のタイプ及びDSOHである。非常に低いDSOHのセルロース混合エステルを使用して製造されたフィルムは、約0~約-50nmの範囲のRth値を有していた。米国特許第8,344,134号。セルロース混合エステルのDSOHを有意に増加させることにより、約-100~約-350nmの範囲のRthのより大きな絶対値が得られることが示された。米国特許出願公開第2009/0096962号。酢酸セルロースは、典型的に、DSOHに応じて約-40~約-90nmの範囲のRth値を提供する。
【0069】
本発明のセルロースエステルを使用して所望のRe値を得るためには、フィルムを延伸しなければならない。延伸温度、延伸タイプ(一軸又は二軸)、延伸比、予熱時間及び温度、及び、延伸後アニーリング時間及び温度などの延伸条件を調整することにより、所望のRe及びRthを達成できる。正確な延伸条件は、セルロースエステルの特定の組成、可塑剤の量及びタイプ、及び、その特定の組成物のガラス転移温度に依存する。したがって、特定の延伸条件は広く異なることができる。延伸温度は140℃~190℃の範囲にあることができる。延伸比は、機械方向(MD)で1.0~1.3の範囲で、TDで1.1~1.8の範囲にあることができる。予熱時間は10~300秒の範囲にあることができ、予熱温度は延伸温度と同じにすることができる。ポストアニーリング時間は0~300秒の範囲にあることができ、ポストアニーリング温度は延伸温度より10℃~40℃低い範囲にあることができる。フィルムの厚さは、延伸前のフィルムの厚さ及び延伸条件に依存する。延伸後に、好ましいフィルム厚は約10μm~約200μmである。より好ましいのは、フィルムの厚さが約20μm~約100μmの場合である。さらにより好ましいのは、フィルムの厚さが約25μm~約70μmである場合である。
【0070】
位置選択的に置換されたセルロースエステル
本発明は、以下を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルを開示する:(i)複数のR1-CO-置換基、(ii)複数のヒドロキシル置換基、ここで、C2位でのR1-CO-の置換度(「C2DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、C3位でのR1-CO-の置換度(「C3DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.5の範囲にあり、ヒドロキシルの置換度は約0~約2.6の範囲にあり、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0071】
1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.5~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.1~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.2~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.3~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.4~約2.6の範囲にある。
【0072】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約5,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約25,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約50,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0073】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、そしてR2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0074】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0075】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0076】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0077】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.3の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0078】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0079】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0080】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0081】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0082】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.1の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0083】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0084】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0085】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0086】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0087】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.08の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0088】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0089】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0090】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0091】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0092】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.06の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0093】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0094】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0095】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0096】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0097】
物質の組成物の1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.04の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0098】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0099】
この実施形態の1つのクラスでは、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0100】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0101】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0102】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキルである。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1はハロ(C1-20)アルキルである。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C2-20)アルケニルである。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C3-7)シクロアルキルである。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)であり、R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0103】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれる。
【0104】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0105】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。
【0106】
位置選択的に置換されたセルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、複数のR4-CO-置換基をさらに含み、C6位でのR4-CO-の置換度(「C6DSR4」)は、約0.1~約1.0の範囲にあり、R4は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-5)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)から選ばれ、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0107】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は、約0~約0.5の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は約0~約0.5の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0108】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.4の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.4の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスでは、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0109】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.3の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.3の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0110】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.2の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.2の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0111】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0112】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。
【0113】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0114】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C1-20)アルキルである。この実施形態の1つのクラスにおいて、R4はハロ(C1-5)アルキルである。
【0115】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C2-20)アルケニルである。
【0116】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C3-7)シクロアルキルである。
【0117】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)であり、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0118】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)であり、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0119】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はメチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はエチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はプロピルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は1-エチル-ペンチル-である。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は3,4,5-トリメトキシフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は2-ナフチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はベンゾチオフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はヘプタデカニルである。
【0120】
1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.1未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.08未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.06未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.05未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.04未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.02未満である。
【0121】
1つの実施形態において、R1-CO-は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ベンゾイル、ナフトイル、3,4,5-トリメトキシベンゾイル、ビフェニル-CO-、ベンゾイル-ベンゾイル又はベンゾチオフェニル-CO-から選ばれる。
【0122】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニルである。この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニル(すなわち、R1-CO-はプロピオニル)の置換度は約1.0~約1.4であり、C2位でのプロピオニルの置換度(「C2DSPr」)は0.6~0.9であり、C3位でのプロピオニルの置換度(「C3DSPr」)は約0.3~約0.5である。このクラスの1つのサブクラスにおいて、C6位でのプロピオニルの置換度(「C6DSPr」)は0.05未満である。
【0123】
1つの実施形態において、R1-CO-は、ベンゾイル及びナフトイルを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、ベンゾイルの置換度は約0.2~約1.2であり、ナフトイルの置換度は約0.8~約1.8である。
【0124】
この実施形態の1つのクラスにおいて、ベンゾイルの置換度は約0.4~約0.8であり、ナフトイルの置換度は約1.2~約1.6であり、ベンゾイル及びナフトイルの組み合わせのC6位での置換度は0.05未満である。
【0125】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニル及び(C6-20)アリールを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニル及び(C6-20)アリールの組み合わせのC6位での置換度は0.1未満である。
【0126】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニル及びベンゾイルを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニルの置換度は約0.4~約0.7であり、ベンゾイルの置換度は約0.2~約0.5であり、プロピオニル及びベンゾイルの組み合わせのC6位での置換度は0.05未満である。
【0127】
この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニルの置換度は約1.1~約1.8であり、ベンゾイルの置換度は約0.1~約0.5であり、プロピオニル及びベンゾイルの組み合わせのC6位での置換度は0.05未満である。
【0128】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニル及びナフトイルを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニルの置換度は0.2~0.9の範囲にあり、ナフトイルの置換度は0.4~1.4の範囲にある。
【0129】
1つの実施形態において、R1-CO-は、プロピオニル、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリールを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニルの置換度は0.2~0.4の範囲にあり、ナフトイルの置換度は0.9~1.1の範囲にある。
【0130】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニル及び(C6-20)アルキル-CO-を含む組み合わせである。
【0131】
1つの実施形態において、R1-CO-は、アセチル及び(C6-20)アリール-CO-を含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、アセチルの置換度は約0.7~約0.9であり、(C6-20)アリール-CO-の置換度は約0.1~約0.5であり、アセチル及び(C6-20)アリール-CO-の組み合わせのC6位での置換度は0.1未満である。
【0132】
1つの実施形態において、R1-CO-は、アセチル、及び、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリールを含む組み合わせである。この実施形態の1つのクラスにおいて、アセチルの置換度は約0.8~約1.1であり、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリールの置換度は約0.1~約0.3であり、アセチル及びベンゾイルの組み合わせのC6位での置換度は0.1未満である。
【0133】
本出願はまた、以下を含む位置選択的に置換されたセルロースエステルを開示する:(i)複数のR1-CO-置換基、(ii)複数のR4-CO-置換基、(iii)複数のヒドロキシル置換基、ここで、C2位でのR1-CO-の置換度(「C2DSR1」)は、約0.2~約1.0の範囲にあり、C3位でのR1-CO-の置換度(「C3DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.5の範囲にあり、C6位でのR4-CO-の置換度(「C6DSR4」)は約0.1~約1.0の範囲にあり、ヒドロキシルの置換度は約0~約2.6の範囲にあり、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R4は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-5)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)から選ばれ、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0134】
1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.5~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.1~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.2~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.3~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.4~約2.6の範囲にある。
【0135】
1つの実施形態において、R1-CO-は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ベンゾイル、ナフトイル、3,4,5-トリメトキシベンゾイル、ビフェニル-CO-、ベンゾイル-ベンゾイル-又はベンゾチフェン-CO-から選ばれ、R4-CO-は、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル、アセチル、ナフトイル、3,4,5-トリメトキシベンゾイル、ビフェニル-CO-、ベンゾイル-ベンゾイル-又はベンゾチフェン-CO-から選ばれる。
【0136】
1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.1未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.08未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.06未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.05未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.04未満である。1つの実施形態において、C6DSR1-CO-は0.02未満である。
【0137】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニルである。
【0138】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4-CO-は(C6-20)アリール-CO-である。
【0139】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4-CO-は、ピバロイル及び(C6-20)アリール-CO-の組み合わせである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、(C6-20)アリール-CO-はベンゾイル及びナフトイルから選ばれる。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、ピバロイルの置換度は0.6~0.9である。(C6-20)アリール-CO-の置換度は0.2~0.5である。
【0140】
この実施形態の1つのクラスにおいて、プロピオニルの置換度は約1.0~約1.4であり、C2位でのプロピオニルの置換度は0.6~0.9であり、C3でのプロピオニルの置換度は約0.3~約0.5である。
【0141】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、C6位でのプロピオニルの置換度は0.05未満である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、ピバロイルの置換度は0.6~0.9であり、(C6-20)アリール-CO-の置換度は0.2~0.5である。
【0142】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4-CO-は(C6-20)アリール-CO-である。
【0143】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4-CO-はピバロイル及び(C6-20)アリール-CO-の組み合わせである。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、(C6-20)アリール-CO-はベンゾイル及びナフトイルから選ばれる。このサブサブクラスの1つのサブサブサブクラスにおいて、ピバロイルの置換度は0.6~0.9であり、(C6-20)アリール-CO-の置換度は0.2~0.5である。このサブサブサブクラスの1つのサブサブサブサブクラスにおいて、C6位でのプロピオニルの置換度は0.05未満である。このサブサブサブクラスの1つのサブサブサブサブクラスにおいて、ピバロイルの置換度は0.6~0.9であり、(C6-20)アリール-CO-の置換度は0.2~0.5である。
【0144】
1つの実施形態において、R1-CO-は、ベンゾイル及びナフトイルを含む組み合わせである。
【0145】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4-CO-は(C1-6)アルキル-CO-である。
【0146】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、ベンゾイルの置換度は約0.2~約1.2であり、ナフトイルの置換度は約0.8~約1.8であり、(C1-6)アルキル-CO-の置換度は0.5未満である。
【0147】
このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、R4-CO-はプロピオニルである。
【0148】
1つの実施形態において、R1-CO-はプロピオニル及びベンゾイルの組み合わせである。
【0149】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4-CO-はプロピオニル及びベンゾイルの組み合わせである。
【0150】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、C2及びC3の組み合わせ位置でのベンゾイルの置換度の合計は0.1~0.6であり、C2及びC3の組み合わせ位置でのプロピオニルの置換度は0.5~1.4であり、C6位でのベンゾイルの置換度は0~0.8であり、プロピオニルの置換度は0~1.0である。
【0151】
このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、C6でのベンゾイルの置換度は0.1~0.2であり、C6でのプロピオニルのC6置換度は0.4~0.8である。
【0152】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、C2及びC3の組み合わせ位置でのベンゾイルの置換度の合計は0.05~2.0であり、C2及びC3の組み合わせ位置でのプロピオニルの置換度は0.5~1.4であり、C6位でのベンゾイルの置換度は0~0.8であり、プロピオニルの置換度は0~1.0である。
【0153】
このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、C6でのベンゾイルの置換度は0.1~0.2であり、C6でのプロピオニルのC6置換度は0.4~0.8である。
【0154】
このクラスの1つのサブクラスにおいて、C2及びC3の組み合わせ位置でのベンゾイルの置換度の合計は0.6~2.0であり、C2及びC3の組み合わせ位置でのプロピオニルの置換度は0.5~1.4であり、C6位でのベンゾイルの置換度は0~0.8であり、プロピオニルの置換度は0~1.0である。
【0155】
このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、C6でのベンゾイルの置換度は0.1~0.2であり、C6でのプロピオニルのC6置換度は0.4~0.8である。
【0156】
本出願はまた、以下を含む位置選択的に置換されたトリフルオロアセチルセルロースエステルを開示する:
(i)複数のトリフルオロアセチル置換基、
ここで、C2位での置換度(「C2DSTFA」)は約0~約0.1であり、
ここで、C3位での置換度(「C3DSTFA」)は約0~約0.1であり、
ここで、C6位での置換度(「C6DSTFA」)は約0.9~約1.0であり、
ここで、位置選択的に置換されたトリフルオロアセチルセルロースエステルは、約50,000Da~約600,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。
【0157】
実施形態の1つのクラスにおいて、C2DSTFAは約0~約0.05であり、C3DSTFAは約0~約0.05である。実施形態の1つのクラスにおいて、C2DSTFAは約0~約0.02であり、C3DSTFAは約0~約0.02である。実施形態の1つのクラスにおいて、C2DSTFAは約0~約0.01であり、C3DSTFAは約0~約0.02である。
【0158】
この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約50,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約50,000Da~約150,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。
【0159】
フィルム
本出願は、以下を含むセルロースエステルを含むフィルムを開示する:(i)複数のR1-CO-置換基、(ii)複数のR4-CO-置換基、(iii)複数のヒドロキシル置換基、ここで、C2位でのR1-CO-の置換度(「C2DSR1」)は、約0.2~約1.0の範囲にあり、C3位でのR1-CO-の置換度(「C3DSR1」)は約0.2~約1.0の範囲にあり、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は約0~約0.5の範囲にあり、C6位でのR4-CO-の置換度(「C6DSR4」)は約0.1~約1.0の範囲にあり、ヒドロキシルの置換度は約0~約2.6の範囲にあり、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R4は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-5)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)から選ばれ、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0160】
1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.5~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.1~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.2~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.3~約2.6の範囲にある。1つの実施形態において、ヒドロキシルの置換度は約0.4~約2.6の範囲にある。
【0161】
位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約5,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約25,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約50,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0162】
位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0163】
位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0164】
位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0165】
位置選択的セルロースエステルの1つの実施形態において、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0166】
フィルムの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は、約0~約0.3の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0167】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0168】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0169】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0170】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0171】
フィルムの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は、約0~約0.1の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0172】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0173】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0174】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0175】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0176】
フィルムの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は、約0~約0.08の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0177】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0178】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0179】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0180】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0181】
フィルムの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は、約0~約0.06の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0182】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0183】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0184】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0185】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0186】
フィルムの1つの実施形態において、C6位でのR1-CO-の置換度(「C6DSR1」)は、約0~約0.04の範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。この実施形態の1つのクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0187】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0188】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C1-20)アルキルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0189】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0190】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約150,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、位置選択的に置換されたセルロースエステルの重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約150,000Daの範囲にある。
【0191】
フィルムの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキルである。物質の組成物の1つの実施形態において、R1はハロ(C1-20)アルキルである。組成物の1つの実施形態において、R1は(C2-20)アルケニルである。物質の組成物の1つの実施形態において、R1は(C3-7)シクロアルキルである。物質の組成物の1つの実施形態において、R1は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)であり、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。物質の組成物の1つの実施形態において、R1は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)であり、R3は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0192】
フィルムの1つの実施形態において、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員のヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれる。
【0193】
フィルムの1つの実施形態において、R1は、(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル又は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)から選ばれ、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0194】
フィルムの1つの実施形態において、R1は、メチル、エチル、プロピル、1-エチルペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。
【0195】
フィルムの1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、複数のR4-CO-置換基をさらに含み、C6位でのR4-CO-の置換度(「C6DSR4」)は約0.1~約1.0の範囲にあり、R4は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-5)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)から選ばれ、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0196】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は、約0~約0.5の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は約0~約0.5の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0197】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.4の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.4の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0198】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.3の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.3の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0199】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C2位でのR4-CO-の置換度(「C2DSR4」)は約0~約0.2の範囲にあり、ここで、C3位でのR4-CO-の置換度(「C3DSR4」)は、約0~約0.2の範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。このクラスの1つのサブクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0200】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は、約80,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0201】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は約80,000Da~約100,000Daの範囲にある。
【0202】
この実施形態の1つのクラスにおいて、重量平均分子量(「Mw」)は、約100,000Da~約250,000Daの範囲にある。
【0203】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C1-20)アルキルである。この実施形態の1つのクラスにおいて、R4はハロ(C1-5)アルキルである。
【0204】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C2-20)アルケニルである。
【0205】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C3-7)シクロアルキルである。
【0206】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR5基で置換されている)であり、R5は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0207】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む単環式又は二環式ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR6基で置換されている)であり、R6は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0208】
この実施形態の1つのクラスにおいて、R4は、メチル、エチル、プロピル、1-エチル-ペンチル-、フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、2-ナフチル、ベンゾチオフェニル又はヘプタデカニルから選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はメチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はエチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はプロピルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は1-エチル-ペンチル-である。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は3,4,5-トリメトキシフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4は2-ナフチルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はベンゾチオフェニルである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、R4はヘプタデカニルである。
【0209】
フィルムの1つの実施形態において、フィルムは一軸又は二軸光学フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムは一軸光学フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムは二軸光学フィルムである。
【0210】
1つの実施形態において、フィルムは、589nmの波長で測定したときに、約0.007~約0.010の複屈折(「Δn」)を有する。1つの実施形態において、フィルムは、589nmの波長で測定したときに、約0.008~約0.010のΔnを有する。1つの実施形態において、フィルムは、589nmの波長で測定したときに、約0.009~約0.010のΔnを有する。
【0211】
1つの実施形態において、フィルムは約0.9未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.8未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.7未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.6未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.5未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは0.4未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.3未満の%曇り度を有する。1つの実施形態において、フィルムは約0.2未満の%曇り度を有する。
【0212】
1つの実施形態において、フィルムは、C+フィルム、C-フィルム、A+フィルム又はA-フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはC+フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはC-フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはA+フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはA-フィルムである。この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはA-フィルムである。
【0213】
1つの実施形態において、フィルムは、C+フィルム、C-フィルム、逆Aフィルム又はNRZフィルムである。
【0214】
この実施形態の1つのクラスにおいて、C+フィルムである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムは589nmで測定したときの面外遅延(「Rth」)をフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~20の範囲にある。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。
【0215】
この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはC-フィルムである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムは、589nmの波長で測定したときの面外遅延(「Rth」)をフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~約-12の範囲にある。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムは、589nmの波長で測定したときの面外遅延(「Rth」)をフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~約-17の範囲にある。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムは、589nmの波長で測定したときの面外遅延(「Rth」)をフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-2~約-17の範囲にある。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムは、589nmの波長で測定したときの面外遅延(「Rth」)をフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-5~約-17の範囲にある。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。
【0216】
この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムは逆Aフィルムである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムはRe450/Re550<1及びRe650/Re550>1の関係を満たし、ここで、Re450、Re550及びRe650は、それぞれ450nm、550nm及び650nmの波長で測定されたときの面内遅延である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、589nmの波長で測定されたときのフィルムの面内遅延(「Re」)は、約100nm~約300nmの範囲にある。このサブサブクラスの1つのサブサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。
【0217】
この実施形態の1つのクラスにおいて、フィルムはNRZフィルムである。このクラスの1つのサブクラスにおいて、フィルムはRe450/Re550<1及びRe650/Re550>1の関係を満たし、ここで、Re450、Re550及びRe650は、それぞれ450nm、550nm及び650nmの波長で測定されたときの面内遅延である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、フィルムの589nmの波長で測定されたときの面内遅延(「Re」)は、約100nm~約300nmの範囲にある。このサブサブクラスの1つのサブサブサブクラスにおいて、フィルムの589nmの波長で測定されたときの面外遅延(「Re」)は、約0nm~約-50nmの範囲にある。このサブサブサブクラスの1つのサブサブサブサブクラスにおいて、フィルムは一軸、二軸又は45度延伸されている。
【0218】
1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-50~50の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ「d」)で割った値が-50~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~50の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-20~20の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-20~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~20の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-15~15の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-15~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~15の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-10~10の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-10~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~10の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、Rthのnmが-5~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、Rthのnmが-5~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~5の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-3~3の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-3~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~3の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-1~1の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-1~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~1の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-0.5~0.5の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が-0.5~0の範囲にある。1つの実施形態において、上述に開示のフィルムは、589nmの波長で測定されたときのRthをフィルムの厚さ(「d」)で割った値が0~0.5の範囲にある。
【0219】
上述のフィルムのいずれも、約40~約120μmの範囲、約40~約70μmの範囲又は約5~約20μmの範囲の厚さを有することができる。本出願では、厚さ及び平均厚は互換的に使用される。本明細書で使用されるときに、「平均厚」は光学フィルムの厚さの少なくとも3つの等間隔測定値の平均を表すものとする。
【0220】
様々な実施形態において、可塑剤、安定剤、UV吸収剤、抗ブロッキング剤、スリップ剤、潤滑剤、染料、顔料、遅延調整剤などの添加剤は、上記の光学フィルムの調製に使用される位置選択的に置換されたセルロースエステルと混合されてよい。これらの添加剤の例は、例えば、米国特許出願公開第2009/0050842号、同第2009/0054638号及び同第2009/0096962号明細書に見出すことができ、その内容を参照により本明細書に取り込む。
【0221】
上記の光学フィルムはいずれも、溶媒キャスティング、溶融押出、ラミネート化又はコーティングプロセスによって作製されうる。これらの手順は、当該技術分野で一般的に知られている。溶媒キャスティング、溶融押出、ラミネート化及びコーティングプロセスの例は、例えば、米国特許出願公開第2009/0050842号、同第2009/0054638号及び同第2009/0096962号明細書に見出すことができ、その内容を参照により本明細書に取り込む。フィルムを形成するための溶媒キャスティング、溶融押出、ラミネート化及びコーティングプロセスのさらなる例は、例えば、米国特許第4,592,885号及び同第7,172,713号明細書、ならびに米国特許出願公開第2005/0133953号及び同第2010/0055356号明細書に見出すことができ、その内容を参照により本明細書に取り込む。
【0222】
本明細書に記載の位置選択的に置換されたセルロースエステルを使用して所望のRe及びRth値を得るのを助けるために、フィルムを延伸することができる。延伸温度、延伸タイプ(一軸又は二軸)、延伸比、予熱時間及び温度ならびに延伸後アニーリング時間及び温度などの延伸条件を調整することにより、所望のRe及びRthを達成することができる。正確な延伸条件は、位置選択的に置換されたセルロースエステルの特定の組成、可塑剤の量及びタイプ、及びその特定の組成のガラス転移温度に依存しうる。したがって、特定の延伸条件は大きく変化させることができる。様々な実施形態において、延伸温度は約160~約210℃の範囲にありうる。さらに、機械方向(「MD」)での1.0に基づく延伸比は、横断方向(「TD」)での約1.3~約2.0の範囲にあることができる。予熱時間は約10~約300秒の範囲にあることができ、予熱温度は延伸温度と同じであることができる。ポストアニーリング時間は約0~約300秒の範囲にあり、ポストアニーリング温度は延伸温度よりも約10~約40℃低い範囲にあることができる。フィルムの厚さは、延伸前のフィルムの厚さ及び延伸条件に依存しうる。延伸後に、フィルムの厚さは、約1μm~約500μm、約5μm~約200μm又は約10μm~約120μmであることができる。
【0223】
光学特性に加えて、本明細書に記載の位置選択的に置換されたセルロースエステルから調製されたフィルムは、他の価値ある特徴を有する。LCDディスプレイに使用される多くの従来のセルロースエステルは、湿分吸収が比較的高く、寸法安定性に影響を与え、フィルムの光学値を変化させることになる。本明細書に記載の位置選択的に置換されたセルロースエステルから調製されたフィルムは、湿分吸収が低く、フィルムの光学値は、高湿及び高温でほとんど変化しない。したがって、様々な実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、2質量%未満の湿分、1質量%未満の湿分又は0.5質量%未満の湿分を含むことができる。他の様々な実施形態において、セルロースエステルフィルムのReの変化は、60℃、相対湿度100%で240時間保存したときに、4%未満、1%未満又は0.5%未満であることができる。
【0224】
本明細書に記載の位置選択的に置換されたセルロースエステルは、驚くほど熱的に安定であり、フィルムの溶融押出に非常に有用になる。したがって、本発明の1つの態様は、330℃、340℃又は350℃での熱重量分析による重量損失が10%未満である位置選択的に置換されたセルロースエステルに関する。
【0225】
上記のように、本明細書に記載の光学フィルムはLCDに使用することができる。特に、上記の光学フィルムは、LCDの偏光子スタックの補償フィルムの一部又は全部として使用することができる。上述のように、偏光子スタックは一般に、液晶層の両側に配置された2つの交差偏光子を含む。液晶層と偏光子の1つとの間に補償フィルムを配置することができる。1つ以上の実施形態において、上述の単層光学フィルムは、それ自体でLCDの補償フィルム(すなわち、波長板)として使用することができる。そのような実施形態において、単層光学フィルムはLCDの液晶層と偏光フィルターの1つとの間に配置することができる。他の実施形態において、上述の-A光学フィルムは、LCDの補償フィルム(すなわち、波長板)に使用することができる。そのような実施形態において、-A光学フィルムは、少なくとも1つの追加の光学フィルムに隣接して配置することができ、そのような追加の光学フィルムは-C光学フィルムであることができる。さらに他の実施形態において、上記の+C光学フィルムは、LCDの補償フィルム(すなわち、波長板)に使用することができる。そのような実施形態において、+C光学フィルムは少なくとも1つの追加の光学フィルムに隣接して配置することができ、そのような追加の光学フィルムは+A光学フィルムであることができる。上述の実施形態のいずれにおいても、本明細書に記載の光学フィルムを含んで調製されたLCDは、面内スイッチング(「IPS」)モードで動作することができる。
【0226】
本明細書に記載の光学補償フィルムはOLEDでも使用できる。たとえば、QWPを直線偏光子と組み合わせて円形偏光子を形成する。円偏光子をOLEDデバイスの前に配置すると、特にQWPが理想に近い逆分散を有する場合に、OLED金属電極から反射される周囲光を低減して、高コントラスト比及び低カラーシフトなどの表示品質を改善することができる。
【0227】
本明細書に記載の光学フィルムは円偏光子にも使用することができる。特に、直線偏光を円偏光に変換するために使用できる本発明の上述の光学フィルムの1つ以上を含む1/4波長板を調製することができる。この態様は、円偏光三次元(「3D」)メガネ及び/又は3Dメディアディスプレイ、例えばテレビ(「3D TV」)での使用に特に価値があることができる。したがって、1つ以上の実施形態において、上述の単層光学フィルムを含む1/4波長板を調製することができる。他の様々な実施形態において、上述の-A光学フィルムを含む1/4波長板を調製することができる。このような1/4波長板は、偏光スタックの上など、3-D TVのガラスに適用することができる。さらに、このような1/4波長板は、3Dメガネのガラスに適用することができる。3-Dメガネの場合に、光学フィルムは、一方のレンズの光軸が他方のレンズの光軸に対して垂直又は実質的に垂直になるように適用することができる。3-Dメガネの結果、特定の観察された偏光は1つのレンズでブロックされるが、他のレンズを通過して、観察される3D光学効果につながる。様々な実施形態において、1つ以上の上述の光学フィルムを含む1/4波長板は直線偏光子であることができる少なくとも1つの追加の偏光子と共に使用されうる。
【0228】
開示されたフィルムのいずれも、多層フィルムに取り込むことができる。本出願は、本出願の開示されたフィルムのいずれかを含む多層フィルムにも関する。
【0229】
方法
本出願は、約0~約2.0の範囲のC2及びC3の組み合わせ置換度(「(C2+C3)DS)」及び約0~約0.6の範囲のC6の置換度(「C6DS」)度を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒中の反応媒体中において、セルロースを、約1.4当量~約1.8当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び約0.1当量~約0.8当量の1つ以上の第一のカルボン酸と接触させることを含み、
ここで、TFAA及び第一のカルボン酸の当量はセルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
方法を開示する。
【0230】
この方法に適した溶媒は、出発セルロース又は所望の生成物をもたらす反応中に形成されるセルロースエステルを溶解又は部分的に溶解することができる任意の溶媒である。この方法の1つの実施形態において、適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。
【0231】
(C2+C3)DS及びC6DSに寄与するアシル置換基は、第一のカルボン酸又は任意のアシル化性化合物に由来するアシル置換基である。
【0232】
この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.4未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.2未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.1未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.08未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.06未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.04未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.02未満である。
【0233】
この方法の1つの実施形態において、(2)0.1~2.0当量の1つ以上のアシル供与体を添加することをさらに含み、アシル供与体の当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく。この実施形態の1つのクラスにおいて、アシル供与体は、第二のカルボン酸又は酸無水物から選ばれる。このクラスの1つのサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸である。このクラスの1つのサブクラスにおいて、アシル供与体は酸無水物である。
【0234】
この実施形態の1つのクラスにおいて、アシル供与体は、第一のカルボン酸の少なくとも50%が消費された後に添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸又は酸無水物から選ばれる。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は酸無水物である。
【0235】
この実施形態の1つのクラスにおいて、アシル供与体は、第一のカルボン酸の少なくとも80%が消費された後に添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸又は酸無水物から選ばれる。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は酸無水物である。
【0236】
この実施形態の1つのクラスにおいて、アシル供与体は、第一のカルボン酸の少なくとも90%が消費された後に添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸又は無水物から選ばれる。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は第二のカルボン酸である。このサブクラスの1つのサブサブクラスにおいて、アシル供与体は酸無水物である。
【0237】
この方法の1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約5,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。この方法の1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約25,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。この方法の1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約50,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。この方法の1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約80,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。この方法の1つの実施形態において、位置選択的に置換されたセルロースエステルは、約100,000Da~約250,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する。
【0238】
この方法の1つの実施形態において、第一のカルボン酸はR1-COOHであり、
【0239】
ここで、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0240】
この方法の1つの実施形態において、第二のカルボン酸はR1-COOHであり、
【0241】
ここで、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、R2は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0242】
この方法の1つの実施形態において、セルロースは、軟木セルロース、硬木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである。この方法の1つの実施形態において、セルロースはプラセテートF(Placetate F)セルロースである。
【0243】
この方法の1つの実施形態において、反応媒体は、約20℃~約80℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は約35℃~約75℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は約0℃~約20℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は、約30℃~約50℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は、約50℃~約80℃の範囲の温度に設定される。
【0244】
本出願は、0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び約0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中で、セルロースを約0.5~約5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成することを含み、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法を開示する。
【0245】
(C2+C3)DS及びC6DSに寄与するアシル置換基は、反応媒体に添加されたFAA又は任意の他のアシル化性化合物に由来するアシル置換基である。
【0246】
この方法のための適切な溶媒は、出発セルロース又は所望の生成物をもたらす反応中に生成されるセルロースエステルを溶解又は部分的に溶解することができる任意の溶媒である。この方法の1つの実施形態において、適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。
【0247】
この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.4未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.2未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.1未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.08未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.06未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.04未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.02未満である。
【0248】
この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約5.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約3.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約2.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは1.0当量~約2.0当量で存在する。
【0249】
この方法の1つの実施形態において、TFAAの導入後に、1つ以上のFAAは導入される。この実施形態の1つのクラスにおいて、1つ以上のFAA及びTFAAは、適切な溶媒に溶解されながら添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。この方法の1つの実施形態において、TFAAの導入前に1つ以上のFAAは導入される。この実施形態の1つのクラスにおいて、1つ以上のFAA及びTFAAは、適切な溶媒に溶解されながら添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。この方法の1つの実施形態において、1つ以上のFAA及びTFAAは同時に導入される。この実施形態の1つのクラスにおいて、1つ以上のFAA及びTFAAは、適切な溶媒に溶解されながら添加される。このクラスの1つのサブクラスにおいて、適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。
【0250】
この方法の1つの実施形態において、FAAは酸無水物又は酸ハロゲン化物から選ばれる。この方法の1つの実施形態において、FAAは対称酸無水物又は混合酸無水物から選ばれる。この実施形態の1つのクラスにおいて、混合酸無水物は、カルボン酸の添加により反応媒体中で生成される。この方法の1つの実施形態において、FAAは酸ハロゲン化物である。
【0251】
1つの実施形態において、FAAはR1a-C(O)OC(O)-R1bであり、
ここで、R1a及びR1bは独立して(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、各R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる。
【0252】
1つの実施形態において、FAAはR1a-C(O)Xであり、
ここで、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、
ここで、各R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
Xは、クロロ、ブロモ又はヨードである。
【0253】
この方法の1つの実施形態において、セルロースは、硬木セルロース、軟木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである。この方法の1つの実施形態において、セルロースはプラセテートF(Placetate F)セルロースである。
【0254】
この方法の1つの実施形態において、反応媒体は、約20℃~約80℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は約35℃~約75℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は約0℃~約20℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は、約30℃~約50℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、反応媒体は、約50℃~約80℃の範囲の温度に設定される。
【0255】
本出願は、位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)セルロースを、第一の適切な溶媒を含む第一の反応媒体中で、0.5~5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成すること、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
(2)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステル(「IRSCE」)を分離すること、及び、
(3)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを、第二の適切な溶媒を含む第二の反応媒体中で、0.1~2.0当量の1つ以上の第二のアシル化剤(「SAA」)と接触させることを含み、
ここで、SAAの当量はIRSCEの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法を開示する。
【0256】
(C2+C3)DS及びC6DSに寄与するアシル置換基は、第一の反応媒体に添加されたFAA又は任意のアシル化性化合物に由来するアシル置換基である。
【0257】
この方法のための第一の適切な溶媒は、出発セルロース又は所望の生成物をもたらす反応中に生成されるセルロースエステルを溶解又は部分的に溶解することができる任意の溶媒である。この方法の1つの実施形態において、第一の適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である。
【0258】
この方法のための第二の適切な溶媒は、出発セルロース又は反応中に生成されるセルロースエステルを溶解又は部分的に溶解することができ、反応に対して不活性である任意の溶媒である。この方法の1つの実施形態において、第二の適切な溶媒は、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロメタン、ピリジン又はジクロロメタンから選ばれる。
【0259】
この方法の1つの実施形態において、第一の適切な溶媒はトリフルオロ酢酸であり、第二の適切な溶媒はメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロメタン、ピリジン又はジクロロメタンから選ばれる。
【0260】
この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.08未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.06未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.04未満である。この方法の1つの実施形態において、C6DSは0.02未満である。
【0261】
この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約8.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約6.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約4.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約3.0当量で存在する。1つの実施形態において、TFAAは0.5当量~約2.0当量で存在する。この方法の1つの実施形態において、TFAAは1.0当量~約2.0当量で存在する。
【0262】
この方法の1つの実施形態において、TFA中のTFAAを導入した後に、1つ以上のFAAは導入される。この方法の1つの実施形態において、TFA中のTFAAを導入する前に、1つ以上のFAAは導入される。この方法の1つの実施形態において、TFA中の1つ以上のFAA及びTFAAは同時に導入される。
【0263】
この方法の1つの実施形態において、FAAは対称酸無水物又は混合無水物から選ばれる。この方法の1つの実施形態において、FAAは酸ハロゲン化物である。
【0264】
この方法の1つの実施形態において、セルロースは、硬木セルロース、軟木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである。この方法の1つの実施形態において、セルロースはプラセテートF(Placetate F)セルロースである。
【0265】
この方法の1つの実施形態において、第一の反応媒体は、約20℃~約80℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第一の反応媒体は、約35℃~約75℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第一の反応媒体は、約0℃~約20℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第一の反応媒体は、約30℃~約50℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第一の反応媒体は、約50℃~約80℃の範囲の温度に設定される。
【0266】
この方法の1つの実施形態において、第二の反応媒体は、約20℃~約80℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第二の反応媒体は、約35℃~約75℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第二の反応媒体は、約0℃~約20℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第二の反応媒体は、約30℃~約50℃の範囲の温度に設定される。この実施形態の1つのクラスにおいて、第二の反応媒体は、約50℃~約80℃の範囲の温度に設定される。
【0267】
実施形態
実施形態1.
約0~約2.0の範囲のC2及びC3の組み合わせ置換度(「(C2+C3)DS)」及び約0~約0.6の範囲のC6の置換度(「C6DS」)度を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中において、セルロースを、約1.4当量~約1.8当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び約0.1当量~約0.8当量の1つ以上の第一のカルボン酸と接触させることを含み、
ここで、TFAA及び第一のカルボン酸の当量はセルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
方法。
【0268】
実施形態2.
第一のカルボン酸はR1-COOHであり、
ここで、R1は(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる、実施形態1記載の方法。
【0269】
実施形態3.
位置選択的に置換されたセルロースエステルは約50,000Da~約500,000Daの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有する、実施形態1~2のいずれか1項記載の方法。
【0270】
実施形態4.
適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である、実施形態1~3のいずれか1項記載の方法。
【0271】
実施形態5.
0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び約0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中で、セルロースを約0.5~約5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成することを含み、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法。
【0272】
実施形態6.
FAAは酸無水物又は酸ハロゲン化物から選ばれる、実施形態5記載の方法。
【0273】
実施形態7.
FAAは酸無水物である、実施形態8記載の方法。
【0274】
実施形態8.
酸無水物はカルボン酸の添加により反応媒体中で生成される、実施形態9記載の方法。
【0275】
実施形態9.
FAAはR1a-C(O)OC(O)-R1bであり、
ここで、R1a及びR1bは独立して(C1-20)アルキル、ハロ(C1-20)アルキル、(C2-20)アルケニル、(C3-7)シクロアルキル、(C6-20)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR2基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR3基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R2は(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、各R3は、(C1-6)アルキル、ハロ(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ハロ(C1-6)アルコキシ、ハロ、(C3-7)シクロアルキル、(C6-10)アリール又はニトロから選ばれる、実施形態5~8のいずれか1項記載の方法。
【0276】
実施形態10.
位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)セルロースを、第一の適切な溶媒を含む第一の反応媒体中で、0.5~5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成すること、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
(2)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステル(「IRSCE」)を分離すること、及び、
(3)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを、第二の適切な溶媒を含む第二の反応媒体中で、0.1~2.0当量の1つ以上の第二のアシル化剤(「SAA」)と接触させることを含み、
ここで、SAAの当量はIRSCEの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法。
【0277】
実施形態11.
第一の適切な溶媒はトリフルオロ酢酸であり、第二の適切な溶媒はメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロメタン、ピリジン又はジクロロメタンから選ばれる、実施形態10記載の方法。
【0278】
実施形態12.
セルロースは、硬木セルロース、軟木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである、実施形態1、5又は10のいずれか1項記載の方法。
【0279】
実験
略語
AcOHは酢酸であり、Ac2Oは無水酢酸であり、AcClは塩化アセチルであり、aq.は水性であり、Bu2Oは無水ブタン酸であり、BzOHは安息香酸であり、Bz2Oは無水安息香酸であり、BztはベンゾチエフェニルC-CO-であり、BztOHはベンゾチエフェニル-COOHであり、BztClはベンゾチエフェニルCO-Clであり、℃は摂氏温度であり、C2DSは無水グルコース残基の2位の置換度であり、C3DSは無水グルコース残基の3位の置換度であり、C6DSは無水グルコース残基の6位の置換度であり、CICは燃焼イオンクロマトグラフィーであり、dは重水素化された又は重水素であり、Daはダルトンであり、DCEはジクロロエタンであり、DCMはジクロロメタンであり、DEPはフタル酸ジエチルであり、DMAcはN,N-ジメチルアセトアミドであり、DMAPは4-ジメチルアミノピリジンであり、DMSO-d6はヘキサ重水素化ジメチルスルホキシドであり、minは分であり、equiv又はeq.は当量であり、Et2Oはエチルエーテルであり、Exは例であり、gはグラムであり、GPCはゲル浸透クロマトグラフィーであり、hは時であり、Intは中間体であり、KOAcは酢酸カリウムであり、minは分であり、Mwは重量平均分子量であり、Mはモル濃度であり、MEKはメチルエチルケトンであり、MeOHはメタノールであり、mgはミリグラムであり、MHzはメガヘルツであり、MIPKはメチルイソプロピルケトンであり、mL又はmlはミリリットルであり、μLはマイクロリットルであり、mmはミリメートルであり、mmHgはミリメートル水銀であり、N2は窒素であり、NMRは核磁気共鳴であり、Npはナフチルであり、NpOHは2-ナフトエ酸であり、NpOHは2-ナフトエ酸であり、Np2Oは2-ナフトエ酸無水物であり、ppmは100万分率であり、Prはプロピオニルであり、iPrOHはイソプロピルアルコールであり、PrOHはプロピオン酸であり、Pr2Oは無水プロピオン酸であり、RDSは相対置換度であり、rtは室温であり、SMは出発材料であり、TFAはトリフルオロ酢酸であり、TFAAは無水トリフルオロ酢酸であり、Tgはガラス転移温度であり、TMBzは2,3,4-トリメトキシベンゾイルであり、TMBzOHは2,3,4-トリメトキシ安息香酸であり、TMBzClは2,3,5-トリメトキシベンゾイルクロリドであり、TPPはリン酸トリフェニルであり、wt%は質量パーセントである。
【0280】
材料及び方法
NMRの特性評価
NMR特性評価:プロトンNMRデータは、600MHzで動作するJEOL Model Eclipse-600 NMR分光計で取得した。サンプルチューブのサイズは5mmであり、サンプル濃度は約20mg/mL DMSO-d6であった。64回のスキャン及び15秒のパルス遅延を使用して各スペクトルを80℃で記録した。1~2滴のトリフルオロ酢酸-dを各サンプルに添加して、目的のスペクトル領域から残留水をシフトさせた。化学シフトは、内部基準としてDMSO-d6の中心ピーク(2.49ppm)を持つテトラメチルシランからのppmで報告される。
【0281】
定量13C NMRデータは、100MHzで動作するJEOL Model GX-400 NMR分光計で取得した。サンプルチューブのサイズは10mmであり、サンプル濃度は約100mg/mLDMSO-d6であった。アセチルアセトネートクロム(III)を、緩和剤として5mg/100mgセルロースエステルで各サンプルに加えた。各スペクトルは、典型的に、10000回のスキャン及び1秒のパルス遅延を使用して80℃で記録した。化学シフトは、内部基準としてDMSO-d6の中心ピーク(39.5ppm)を持つテトラメチルシランからのppmで報告される。
【0282】
プロトン及び炭素NMR割り当て、置換度及びセルロースエステルの様々なアシル基のRDSは、US2012/0262650に開示されている手順を適応させることによって決定した。C2、C3及びC6DSは13CNMRによって決定した。任意の置換基の合計DSは1H NMRによって決定される。
【0283】
分子量測定
この報告に記載されているセルロースエステルについて、ゲル浸透クロマトグラフィー分析は、1質量%の氷酢酸を含むN-メチルピロリジノン中で行なった。機器は、Agilentシリーズ1100液体クロマトグラフィー装置からなった。装置構成要素は、デガッサ、流量0.8ml/minに設定されたアイソクラティックポンプ、注入量50マイクロリットルのオートサンプラー、40℃に設定されたカラムオーブン及び40℃に設定された屈折率検出器を含んだ。カラムセットは、Agilent PLgel 10ミクロンガード(7.5×50mm)及び混合B(7.5×300mm)カラムが直列で構成された。サンプルは、2ドラムスクリューキャップバイアルに25mgの重量を量り、10mlの溶媒中に溶解して調製した。流量マーカーとして10マイクロリットルのトルエンを添加した。機器は、分子量が580~3,750,000の一連の14個の狭分子量ポリスチレン標準で較正した。機器の制御及びデータ収集/処理は、Agilent GPCソフトウェアバージョン1.2ビルド3182.29519を使用して実行した。この報告に記載されているセルロースサンプルの場合に、重量基準で70:30のN-メチルピロリジノン/トリブチルメチルアンモニウムジメチルホスフェートでゲル浸透クロマトグラフィー分析を行った。機器は、Agilentシリーズ1100液体クロマトグラフィー装置からなった。装置構成要素は、デガッサ、0.5ml/minに設定された流量のアイソクラティックポンプ、50マイクロリットルの注入量のオートサンプラー、60℃に設定されたカラムオーブン及び40℃に設定された屈折率検出器を含んだ。カラムセットは、Agilent PLgel 10ミクロンガード(7.5×50 mm)及び混合B(7.5×300 mm)カラムが直列で構成された。サンプルは、2ドラムスクリューキャップバイアルに12.5mgの重量を量り、10mlの溶媒中に溶解して調製した。10μLのトルエンを流量マーカーとして添加した。機器は、分子量が580~3,750,000の一連の14個の狭分子量ポリスチレン標準で較正し。機器の制御及びデータ収集/処理は、Agilent GPCソフトウェアバージョン1.2ビルド3182.29519を使用して実行した。
【0284】
ドープの準備
フィルムの調製及びフィルム製造のためのセルロースエステルの溶液は、US 2012/0262650に開示された手順を適合させることにより作製された。
【0285】
フィルムキャスティング及び光学フィルム分析の一般的な手順
溶媒(DCM、DCM中10%MeOH、DCM中10%アセトン、DCM中10%DCE、MEK又はMIPK)及び位置選択的セルロースエステル(8~12wt%)及び場合により可塑剤(10 wt%、DEP又はTPP)を混合してドープを作成した。次に、ナイフアプリケーターを使用してフィルムをガラス上にキャストし、DCM系ドープの場合には室温、又は、MEK及びMIPK系ドープ製造用ドープでは強制空気オーブン内で85℃にて10分間乾燥させた。キャストフィルムを強制空気オーブンでそれぞれ10分間100℃及び120℃でアニールして、残留溶媒を除去した。フィルムの厚さは、Metricon Prism Coupler 2010(Metricon Corp.)又はPosiTector 6000を使用して測定した。複屈折、光学分散及び遅延は、M-2000Vエリプソメータ(J. A. Woollam Co.)を使用して測定した。
【実施例】
【0286】
例
例1:6-トリフルオロアセチル置換セルロース
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(337g)を添加し、次いで、TFAA(41.9g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌で約75分間材料を混合した。温度コントローラを50℃に設定し、反応混合物を35分間撹拌した。反応混合物を2000mLの無水ジエチルエーテルを含むビーカーに注ぎ、粗生成物を沈殿させた。ホモジナイザーを使用して沈殿物を均一な粒子サイズに分散させ、得られた固形分を真空ろ過により収集した。固形分をフィルター上でジエチルエーテル(2×200 mL)ですすぎ、続いて室温で真空下で乾燥させて、表題生成物を得た。分析:合計DS: 1.1, C2DS: 0.03, C3DS: 0.1, C6DS: 1.0及びMw: 497,487。
【0287】
比較例1.微結晶セルロースを使用してリーベルト(Liebert)に従って製造されたセルロース-6-トリフルオロアセテート
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップにオーバーヘッド攪拌シャフトを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にアルファ・アエサルA17730微結晶性セルロース(10g、2.2wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(297g)を添加し、次いで、TFAA(149g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。材料を室温でオーバーヘッド攪拌により混合した。約2~3時間後に、セルロースは完全に溶解し、透明な粘性溶液を形成した。溶液を1時間混合し、1500mLの無水Et2Oを含むビーカーに溶液を注いだ。ホモジナイザーを使用して沈殿物を均一な粒子サイズに分散させ、真空ろ過を使用して固形分を収集した。固形分をフィルター上でジエチルエーテルですすぎ(2×200mL)、次いで室温で真空乾燥して、表題化合物を得た。分析:合計DS: 1.2; C2DS 0.08; C3DS: 0.09; C6DS: 1.0; Mw: 220,902。
【0288】
比較例1は、リーベルト法により、C2位の選択性が低いがC3位の選択性が高いセルロースエステルが生成されることを示している。さらに、最終製品のMwは例1の半分未満である。
【0289】
比較例2.プラセテートF(PlacetateF)セルロースパルプを使用してリーベルト(Liebert)に従って製造されたセルロース-6-トリフルオロアセテート
1000 mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフトを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(10g、2.2wt%)を入れた。別の500 mLメスシリンダにTFA(297g)を添加し、次いで、TFAA(149g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。材料を室温でオーバーヘッド攪拌により混合した。3時間後に、セルロースは完全には溶解せず、代わりに粘性のある不均一な塊が生じた。この混合物をさらに1時間混合した後に、無水Et2O(1.5L)を含むビーカーに移した。ホモジナイザーを使用して材料を均一な粒子サイズに分散させ、真空ろ過を使用して固形分を収集した。固形分をフィルター上でジエチルエーテルですすぎ(2×200mL)、続いて室温で真空乾燥して、表題化合物を得た。分析:合計DS 1.4; C2DS: 0.1; C3DS: 0.7; C6DS: 0.7; Mw: 1,322,504。
【0290】
比較例2は、リーベルト法が未改質の軟木パルプからセルロース6-トリフルオロアセテートを製造するのに有効でないことを示している。さらに、これらの条件下では有意な分子量の低下は観察されない。
【0291】
セルロースのアシル化に最適なTFAA濃度の決定
TFAA濃度を決定する一般的な手順は次のとおりである。セルロースを含む反応容器に、室温でTFA及びTFAAを加え、反応物を60℃まで温めた。セルロースが完全に溶解するまで混合物を撹拌し、温度を50℃に下げ、その時に、2.00当量のAc2O(セルロースの無水グルコース単位あたり)を加え、混合物を一晩撹拌した。沈殿及びポリマー分離により、得られた酢酸セルロースを提供した。
【0292】
これらの予備調査の概要を表1に示す。0.6当量のTFAAを添加すると、合計DSAcが1.36であり、C6で少量のエステル化を伴うことを観察した。この結果は、アシル化が完全ではなかったが、C6での選択的トリフルオロアセチル化を示した。しかし、1.6当量のTFAAを使用したときに、C6での置換はほとんどなく、C2及びC3で良好なアセチル化が観察されることが判って満足した。次に、TFAAの追加装填の影響を調べて、トリフルオロアセチル化がC2又はC3に対しても選択的であるかどうかを判断したが、2.6及び3.6当量のTFAAを添加しても、この選択性の追加は期待できなかった。最終的に、1.65当量のTFAAがC6での選択的トリフルオロアセチル化のための理想的な量論比であり、さらに官能化のためにC2及びC3は開放されたままとすることが決定された。
【0293】
【0294】
結果は、セルロースパルプのアセチル化のための既知の方法と比較して有利である(表2)。Eastman(商標)CA-320sなどの酢酸セルロースの不均一な調製により、アセチル基がC2、C3及びC6に分散したランダム置換コポリマーが得られる。ブキャナンが開発したギ酸プロトコル(US9243072の例13)で調製された酢酸セルロースは、C6での置換が有意に少ないCAを提供する(DSC6=0.3)。対照的に、TFA/TFAAプロトコルにより分離されたポリマーは、C6での置換を事実上含まない。例えば、例2の酢酸セルロースにはDS=0.05が含まれているが、残りの官能基はC2及びC3に排他的に集中している。特に、例2は、Eastman(商標)CA 320S又はブキャナンの例13よりも有意に高い分子量で調製できる。これらのデータは、TFA/TFAA方法を使用したセルロースエステル化の品質の向上を示している。
【0295】
【0296】
例2:セルロース2,3-アセテート
1000 mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップには、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(337g)、次いで、TFAA(41.9g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌で約75分間材料を混合した。次に、温度コントローラを50℃に設定し、反応混合物を35分間撹拌した。続いて、オーバーヘッド添加漏斗を介して、Ac2O(25.1g、2.00当量)を10分間かけて反応混合物に添加した。得られた混合物を12時間撹拌した。その後、3000 mLの脱イオン水に注いでドープを沈殿させ、粗生成物を得た。粗生成物を均質化により均一な粒子サイズに分解した。粗生成物をフリットでのろ過により収集した。次いで、粗生成物を2000mLの5M KOAc(aq.)に懸濁し、36時間スラリー化した。粗生成物をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。次に、表題化合物をセラミック皿で真空中60℃で12時間乾燥させた。分析: 合計 DSAc: 1.9, C2DSAc: 0.9, C3DSAc: 0.9, C6DSAc: 0.05, Mw: 118,627 Da。
【0297】
合成手順を例2の合成に適応させることにより、例3~5を合成した。
【0298】
【0299】
例6:セルロース-2,3-プロピオネート
1000 mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。TFAA(42.7g)をTFA(337g)に加えることにより、TFA/TFAA溶液を調製した。次に、TFA/TFAA溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、反応混合物をオーバーヘッド攪拌(75分)で混合した。次に、設定値を50℃に設定した。別のフラスコで、PrOH(18.26g、2.0当量)及びTFA(30mL)をN2雰囲気下で攪拌した。PrOH/TFA溶液にTFAA(51.8g、2.0当量)を加え、溶液を攪拌(45分)して混合無水物混合物を調製した。混合無水物混合物を、オーバーヘッド添加漏斗を介して10分かけて添加し、得られた反応混合物を12時間撹拌した。次に、脱イオン水(3000mL)に注ぐことでドープを沈殿させ、粗生成物を得た。粗生成物を均質化により均一な粒子サイズに分解した。粗生成物をフリットでのろ過により収集し、次いで粗生成物を5M KOAc(aq.)(2000mL)に懸濁し、36時間スラリー化した。粗生成物をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。材料を真空(60℃)で12時間乾燥させた後に、表題化合物を得た。分析: DSPr: 2.0, C2DSPr: 0.8, C3DSPr: 0.9, C6DSPr: 0.03, Mw: 163,340 Da。
【0300】
例6の合成手順を適応させることにより、例7~12及び例58~61を合成した。
【0301】
【0302】
例13:セルロース2,3-ベンゾエートプロピオネート
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応容器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。TFAA(41.9g)をTFA(337g)に加えることにより、TFA/TFFAの溶液を調製した。次に、TFA/TFAA溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、反応混合物をオーバーヘッド攪拌により約75分間攪拌した。温度コントローラを50℃に設定し、反応混合物を35分間撹拌した。Pr2O(8.02g、0.5eq)をオーバーヘッド添加漏斗を介して反応混合物にゆっくりと添加した。Pr2Oの添加中、Bz2O(41.9g、1.50当量)を固体添加漏斗を介して少しずつ反応混合物に添加した。両方の添加は10分後に完了した。反応混合物を12時間撹拌した。次に、脱イオン水(3000mL)に注ぐことでドープを沈殿させ、粗生成物を得た。粗生成物を均質化により均一な粒子サイズに分解した。粗生成物をフリットでのろ過により収集した。次に、固形分をiPrOHに再懸濁し、30分間スラリー化した。粗生成物をフリットでのろ過により収集した。次に、粗生成物を5M KOAc(aq.)(2000 mL)に懸濁し、撹拌した(36時間)。粗生成物をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。真空(60℃)で12時間乾燥した後に、表題の化合物を得た。分析: DSBz: 0.9, DSPr: 1.0, C2DS: 0.9, C3DS: 1.0: C6DS: 0.0, Mw: 132,072 Da。
【0303】
例13の合成手順を適応させることにより、例14~16を合成した。
【0304】
【0305】
表6は例14~16についての置換度を提供する。
【0306】
【0307】
例17:セルロース2,3-(2-ナフトエート)プロピオネート
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(337 g)、次いで、TFAA(41.9 g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌により材料を混合した。約75分後に、混合物は濃いオレンジ色の溶液を形成し、その時点で温度コントローラを50℃に設定した。この方法が行われている間に、別のオーブン乾燥した250mL丸底フラスコに、窒素雰囲気下で磁気攪拌しながら、2-NpOH(21.2g、1.0当量)及びTFA(60mL)を装填した。この溶液にTFAA(25.9g、1.0当量)をゆっくりと加え、溶液を45分間攪拌すると、スラリーが均一になった。次いで、反応ケトルに2つの別個の液体添加漏斗を取り付けた。1つの漏斗に新たに調製したNpOH/TFAA溶液を入れ、第二の漏斗にPr2O(4.8 g、0.3 当量)を入れた。各漏斗の活栓を開き、液体を約10分間かけて加えた。得られた混合物を12時間撹拌した。次に、脱イオン水(3000mL)に注ぐことでドープを沈殿させ、生成物を白色固形分として得た。均質化により固形分を均一な粒子サイズに分解した。固形分をフリットでのろ過により収集した。次いで、粗生成物をセルロースシンブルに移し、ソックスレー装置を使用して7時間MeOHで抽出した。次に、粗生成物を収集し、5M KOAc(aq.)(2000 mL)中に懸濁させ、36時間スラリー化した。粗生成物をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。真空(60℃)で12時間乾燥した後に、表題化合物を得た。分析: DSNp: 0.7, DSPr: 0.6, C2DS: 0.7, C3DS: 0.4, C6DS: 0.07, Mw: 90,003 Da。
【0308】
例17の合成手順を適応させることにより、例18~20を調製した。
【0309】
【0310】
表8は例18~20についての置換度及び分子量の情報を提供する。
【0311】
【0312】
例21:セルロース2,3-(2-ナフトエート)プロピオネート
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(337 g)を添加し、次いで、TFAA(42.7g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌により材料を混合した。約75分後に、混合物は濃いオレンジ色の溶液を形成し、その時点で温度コントローラを50℃に設定した。この方法が行われている間に、別のオーブン乾燥した250mL丸底フラスコに2-NpOH(25.5g、1.2当量)、PrOH(2.74g、0.3当量)及びTFA(60mL)をN2雰囲気下に磁気攪拌しながら入れた。この溶液にTFAA(38.87g、1.5当量)をゆっくりと加え、溶液を45分間撹拌すると、スラリーが均一になった。次に、反応ケトルに液体添加漏斗を取り付けた。次いで、漏斗に、先に調製した酸無水物の混合物を入れた。漏斗を開き、添加が10分以内に完了するように、無水物溶液をセルロースドープに添加した。得られた混合物を12時間撹拌した。ドープを脱イオン水(3000mL)に注ぎ、粗生成物を得た。粗生成物を均質化により均一な粒子サイズに分解した。粗生成物をフリットでのろ過により収集した。次いで、粗生成物をセルロースシンブルに移し、ソックスレー装置を使用して7時間MeOHで洗浄した。次いで、粗生成物を収集し、5M KOAc(aq.)(2000mL)に懸濁し、36時間スラリー化した。固形分をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。真空(60℃)で12時間乾燥した後に、表題化合物を得た。分析: DSNp: 1.3, DSPr: 0.3, C2DS: 0.9, C3DS: 0.6, Mw: 124,916 Da。
【0313】
例21の合成手順を適応させることにより、表9の例を調製した。
【0314】
【0315】
表10に、例22~29、62~65及び76~81についての置換度及び分子量情報を示す。アシル1、アシル2、アシル3は、それぞれ酸1、酸2、酸3のアシル置換基である。
【0316】
【0317】
例30:2,3-置換セルロースエステルの位置選択的C6プロピオニル化の手順
オーブンで乾燥した500mLジャケット付き丸底フラスコに、窒素雰囲気下で機械的に攪拌しながら、新たに乾燥した(22mmHg、50℃、12時間)例58(50 g、8.9wt%固形分)を装填した。反応容器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。フラスコに、DMAc(448g)、ピリジン(61.6g、5.00eq)及びDMAP(1.90g、0.1eq)を添加した。温度コントローラを50℃に設定し、固形分が溶解するまで(約1~2時間)混合物を撹拌し、反応混合物を室温に冷却した。次に、液体添加漏斗を介してPr2O(27.3g、1.35eq)を添加した(2分)。混合物を室温で12時間攪拌し、混合物をアセトン(150mL)で希釈した。得られた混合物を脱イオン水(3000mL)に注いだ。沈殿した粗生成物を均質化により均一なサイズに分解し、粗生成物を真空ろ過により粗いフリットで収集した。粗生成物をフィルター上でMeOH(200mL)にて洗浄した。次に、粗生成物を室温の脱イオン水で8時間連続して洗浄した。真空(60℃)で12時間乾燥させた後に、表題化合物を得た。分析: DSPr:1.4; DSBz:1.5; C2DS: 0.9; C3DS: 0.9; C6DS: 1.0; Mw: 120,125 Da。
【0318】
例31:位置選択的2,3-置換ベンゾエート/2-ナフトエートプロピオネートセルロース
1000mLのジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(20g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(337g)、次いで、TFAA(41.9g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌により材料を混合した。約75分後に、混合物は濃いオレンジ色の溶液を形成し、その時点で温度コントローラを50℃に設定した。反応ケトルのガラス栓をプラスチック漏斗に交換し、Bz2O(27.8g、1.00eq)及び2-Np2O(40.1g、1.00eq)の混合物を小分けして添加した。反応物を12時間撹拌し、その時に、3000mLの脱イオン水に注ぐことによりドープを沈殿させ、生成物を白色固形分として得た。均質化により固形分を均一な粒子サイズに分解した。固形分をフリットでのろ過により収集した。次いで、固形分をセルロースシンブルに移し、ソックスレー装置を使用して24時間MeOHで抽出した。次に、固形分を収集し、5M KOAc(aq.)(2000mL)に懸濁させ、36時間撹拌した。固形分をフリットでのろ過により収集し、脱イオン水で8時間連続して洗浄した。次に、固形分を真空(60℃)で12時間乾燥させた。分析: DSNp:1.4; DSBz: 0.6; C2DS: 0.9; C3DS; 0.9; C6DS; 0.01; MW ;157,907 Da。
【0319】
例31の合成手順を適応させることにより、表11の例を調製した。
【0320】
【0321】
例32
オーブンで乾燥した500mLジャケット付き丸底フラスコに、N2雰囲気下で機械的に攪拌しながら、新鮮に乾燥した(50℃、22.5mmHg、12時間)例31(10 g、8.9wt%固形分)を装填した。反応容器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。フラスコにDMAc(93g)、ピリジン(9.4g、5.00eq)及びDMAP(0.29g、0.1eq)を加え、温度コントローラを50℃に設定して、出発材料の溶解を促進した。セルロースエステルの完全な溶解が観察されたら、反応物を室温まで冷却し、その時に、Pr2O(0.93g、0.3eq)を約2分間にわたってシリンジの滴下により添加した。混合物を室温で12時間攪拌し、その時に、反応混合物をアセトン100mLで希釈した。得られた混合物を水(2000mL)に注ぎ、粗生成物を沈殿させた。均質化により固体を均一なサイズに分解し、粗いフリットでの真空ろ過により固形分を収集した。固形分をフィルター上で200mLのMeOH(200mL)で洗浄し、水で8時間連続して洗浄した。次に、固形分を真空(60℃)で12時間乾燥させた。分析: DSNp: 1.4; DSBz: 0.6; DSPr: 0.3; C2DS: 0.9; C3DS: 0.9; C6DS: 0.3; Mw ;166,868 Da。
【0322】
例32の調製のための手順を適応させることにより、表12の例を調製した。
【0323】
【0324】
表13は例33~41についての置換度及び分子量情報を提供する。
【0325】
【0326】
例42.セルロース2,3-ベンゾエート
1000mLジャケット付き反応ケトルは取り外し可能な4ネックトップを備えていた。トップに、オーバーヘッド攪拌シャフト、温度プローブ、還流冷却器、すりガラスストッパーを取り付けた。反応物を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。反応器にプラセテートF(Placetate F)セルロースパルプ(50g、5wt%)を入れた。別の500mLメスシリンダにTFA(843g)、次いで、TFAA(112g)を添加した。次に、得られた溶液をゆっくりと反応器に注いだ。温度コントローラを60℃に設定し、オーバーヘッド攪拌により材料を混合した。約75分後に、混合物は濃いオレンジ色の溶液を形成し、その時点で温度コントローラを50℃に設定した。反応ケトルのガラス栓をプラスチック漏斗で置き換え、Bz2O(125g、1.00eq)を小分けして添加した。反応物を12時間攪拌し、その時に、脱イオン水(3000mL)に注ぐことによりドープを沈殿させて、生成物を白色固形分として得た。均質化により固形分を均一な粒子サイズに分解した。固形分をフリットでのろ過により収集した。次に、固形分をiPrOH(3000mL)を含むビーカーに移し、30分間スラリー化した。次に、固形分を粗いフリットでのろ過により収集した。次に、固形分を収集し、5M KOAc(aq.)(2000mL)に懸濁し、混合物を36時間撹拌した。固形分をフリットでのろ過により収集し、水で8時間連続して洗浄した。次に、固形分を真空(60℃)で12時間乾燥させた。分析: DSPr: 0.0 ; DSBz: 1.3 (NMR溶媒に低い解像度のためにより低く現れた); C2DS: 0.8; C3DS: 0.9; C6DS: 0.02; Mw: 129,434 Da。
【0327】
例43.セルロース2,3-ベンゾエート-6-プロピオネート
1000mLジャケット付き丸底フラスコに、新たに真空乾燥した(22.5mmHg、50℃、12時間)例42(50g、8.9wt%固形分)をN2雰囲気下で機械的に攪拌しながら装填した。反応容器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。フラスコにDMAc(443g)、ピリジン(55.9g、5.00 eq)及びDMAP(1.73g、0.1eq)を添加し、温度コントローラを50℃に設定した。混合物を固形分が溶解するまで攪拌した(約1~2時間)。反応混合物を室温まで冷却し、Pr2O(18.38g、1.0eq)を滴下した(2分)。混合物を室温で12時間撹拌し、反応混合物をアセトン(200mL)で希釈した。得られた混合物を脱イオン水(3000mL)に注いだ。沈殿した粗生成物を均質化により均一なサイズに分解し、粗生成物を真空ろ過により粗いフリットで収集した。粗生成物をフィルター上でMeOH(200mL)にて洗浄し、次いで室温で8時間連続した水流で洗浄した。乾燥(22.5mmHg、60℃、12時間)後に表題化合物を得た。分析: DSPr: 1.1; DSBz: 2.1; C2DS: 1.0; C3DS: 1.0; C6DS: 0.8; Mw: 139,604 Da; Tg: 171.2oC。
【0328】
例43の調製手順を使用して、表14の例を調製した。
【0329】
【0330】
表15は例44~57についての置換度の情報、分子量及びガラス転移温度の情報を提供する。
【0331】
【0332】
例67:セルロース2,3-プロピオネート-6-ナフトエートピバレートの合成
オーブン乾燥した500mLジャケット付き丸底フラスコに、窒素雰囲気下で機械的に攪拌しながら、新たに乾燥した(22mmHg、50℃、12時間)例60(20g、8.3wt%固形分)を添加した。反応容器を、ゴムチューブを介してThermo Neslab RTE-7温度コントローラに接続し、設定値を25℃に設定した。フラスコにDMAc(97g)及びピリジン(122g)を添加した。温度コントローラを50℃に設定し、固形分が完全に溶解するまで(約1~2時間)混合物を撹拌した。次に、反応混合物を20℃に冷却した。別の容器で、2-ナフチルクロリド(6.55g、0.4当量)を15~20mLのDMAcに取り、磁気攪拌した。塩化2-ナフチルが完全に溶解したら、溶液を約2分間にわたって激しく撹拌しながら溶解したセルロースに添加した。反応混合物を20℃で3~4時間撹拌した。この時間が経過した後に、反応混合物にピバロイルクロリド(9.31g、0.9当量)を2分間にわたって激しく撹拌しながら装填した。添加が完了したら、温度コントローラを35℃に設定し、得られた溶液を少なくとも12時間攪拌した。次いで、反応物をアセトン(150mL)で希釈した。得られた混合物を脱イオン水(3000mL)に注ぎ、沈殿した粗生成物を均質化により均一なサイズに分解した。得られた固形分を、粗いフリットでの真空ろ過により収集した。粗生成物をフィルター上で2回のiPrOH(2×200 mL)で洗浄した。次いで、粗生成物を室温の脱イオン水で8時間連続して洗浄した。真空(60℃)で12時間乾燥させた後に、表題化合物を得た。
【0333】
表16の例を、例67の調製手順を適応させることにより調製した。
【0334】
【0335】
表17は例66~73及び82~88についての置換度及び分子量の情報を提供する。
【0336】
【0337】
例98の調製:
オーブン乾燥された500mLジャケット付き3つ首丸底フラスコをヒュームフードに移し、フード足場に取り付けた。次いで、フラスコを冷却しながら窒素雰囲気下でパージさせた。次に、窒素の正圧とともにフラスコに機械的撹拌機及びアダプタを取り付けた。次いで、フラスコに、固形分添加漏斗を使用して例89(20グラム)を装填した。DMAc(50mL)をフラスコに添加し、次いで、ピリジン(150mL)を添加した。反応温度を50℃に調整し、セルロースエステルの完全な溶解が観察されるまで混合物を撹拌させた。反応温度を25℃に調整し、2-ベンゾチオフェンカルボニルクロリド(10.3g、0.6当量)を約2分間かけて添加した。次に、反応混合物を3時間保持し、その時に、塩化ピバロイル(8.1g、0.77当量)を2分間にわたって滴下した。次に、反応混合物を40℃に温め、少なくとも12時間撹拌した。次に、得られた混合物を100mLのアセトンで希釈し、2000mLの脱イオン水を含むビーカーに注ぎ、白色固形分を沈殿させた。均質化により固形分を均一なサイズに分解し、粗いフリットでの真空ろ過により固形分を収集した。固形分をフィルター上で200mLのiPrOHで2回洗浄した。次に、固形分を室温の脱イオン水で8時間連続して洗浄した。次に、固形分をセラミック皿(22.5mmHg、60℃)で12時間真空乾燥した。生成物を1H NMR、13C NMR、GPC及びCICにより分析した。DSBz = 0.29, DSC2 = 0.83, DSC3=0.52, DSC6=0.96。
【0338】
一般手順Bを適応させることにより、以下のセルロースエステルを調製した。
【0339】
【0340】
表19は表18に提供されたセルロースエステルの置換度を提供する。
【0341】
【0342】
表20は例98~103についての追加の置換度の情報を提供する。
【0343】
【0344】
表21は例104~109についての置換度を提供する。
【0345】
【0346】
フィルム
表22はフィルムの調製のための一般手順を用いて調製されたフィルムを提供する。
【0347】
【0348】
表23に示される以下のフィルムは上述に開示の手順を適応することにより調製した。フィルムは溶媒MEKから調製した。
【0349】
【0350】
【0351】
【0352】
表24は表23におけるフィルムについての追加の特性を提供する。
【0353】
【0354】
【0355】
【0356】
開示された実施形態に限定されない特許請求の範囲
上述の本発明の好ましい形態は例示としてのみ使用されるべきであり、本発明の範囲を解釈するために限定的な意味で使用されるべきではない。上述の例示的な実施形態に対する変更は本発明の主旨から逸脱することなく当業者によって容易に行われうる。
【0357】
本発明者らは、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の文字通りの範囲から実質的に逸脱せずに、本発明の文字通りの範囲外の任意の装置に関連する本発明の合理的に公正な範囲を決定及び評価するために均等論に依存する意図をここに述べる。
(態様)
(態様1)
約0~約2.0の範囲のC2及びC3の組み合わせ置換度(「(C2+C3)DS)」及び約0~約0.6の範囲のC6の置換度(「C6DS」)度を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中において、セルロースを、約1.4当量~約1.8当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び約0.1当量~約0.8当量の1つ以上の第一のカルボン酸と接触させることを含み、
ここで、TFAA及び第一のカルボン酸の当量はセルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
方法。
(態様2)
第一のカルボン酸はR
1
-COOHであり、
ここで、R
1
は(C
1-20
)アルキル、ハロ(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれる、態様1記載の方法。
(態様3)
位置選択的に置換されたセルロースエステルは約50,000Da~約500,000Daの範囲の重量平均分子量(「M
w
」)を有する、態様1~2のいずれか1項記載の方法。
(態様4)
適切な溶媒はトリフルオロ酢酸である、態様1~3のいずれか1項記載の方法。
(態様5)
0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び約0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)適切な溶媒を含む反応媒体中で、セルロースを約0.5~約5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成することを含み、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法。
(態様6)
FAAは酸無水物又は酸ハロゲン化物から選ばれる、態様5記載の方法。
(態様7)
FAAは酸無水物である、態様8記載の方法。
(態様8)
酸無水物はカルボン酸の添加により反応媒体中で生成される、態様9記載の方法。
(態様9)
FAAはR
1a
-C(O)OC(O)-R
1b
であり、
ここで、R
1a
及びR
1b
は独立して(C
1-20
)アルキル、ハロ(C
1-20
)アルキル、(C
2-20
)アルケニル、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-20
)アリール(アリールは非置換であるか又は1~6個のR
2
基で置換されている)、又は、酸素、硫黄及び窒素から独立して選ばれる1~3個のヘテロ原子を含む5~20員ヘテロアリール(ヘテロアリールは非置換であるか又は1~6個のR
3
基で置換されている)から選ばれ、
ここで、各R
2
は(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれ、そして
ここで、各R
3
は、(C
1-6
)アルキル、ハロ(C
1-6
)アルキル、(C
1-6
)アルコキシ、ハロ(C
1-6
)アルコキシ、ハロ、(C
3-7
)シクロアルキル、(C
6-10
)アリール又はニトロから選ばれる、態様5~8のいずれか1項記載の方法。
(態様10)
位置選択的に置換されたセルロースエステルの調製方法であって、
(1)セルロースを、第一の適切な溶媒を含む第一の反応媒体中で、0.5~5.0当量の無水トリフルオロ酢酸(「TFAA」)及び0.1~2.0当量の1つ以上の第一のアシル化剤(「FAA」)と接触させ、セルロースの少なくとも一部をエステル化し、それにより、0.01~1のC2置換度(「C2DS」)、0.01~1のC3置換度(「C3DS」)及び0~約0.1のC6置換度(「C6DS」)を有する中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを生成すること、
ここで、TFAA及びFAAの当量は、セルロースの無水グルコシル単位の合計に基づく、
(2)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステル(「IRSCE」)を分離すること、及び、
(3)前記中間体の位置選択的に置換されたセルロースエステルを、第二の適切な溶媒を含む第二の反応媒体中で、0.1~2.0当量の1つ以上の第二のアシル化剤(「SAA」)と接触させることを含み、
ここで、SAAの当量はIRSCEの無水グルコシル単位の合計に基づく、方法。
(態様11)
第一の適切な溶媒はトリフルオロ酢酸であり、第二の適切な溶媒はメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルアセトアミド、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、酢酸ブチル、トリクロロメタン、ピリジン又はジクロロメタンから選ばれる、態様10記載の方法。
(態様12)
セルロースは、硬木セルロース、軟木セルロース、綿リンターセルロース又は微結晶セルロースである、態様1、5又は10のいずれか1項記載の方法。