IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】トリメチルベンゼン誘導体の製造
(51)【国際特許分類】
   C07C 253/30 20060101AFI20230228BHJP
   C07C 255/56 20060101ALI20230228BHJP
   C07C 255/57 20060101ALI20230228BHJP
   C07D 407/10 20060101ALI20230228BHJP
   C07D 493/08 20060101ALI20230228BHJP
   C07D 317/26 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
C07C253/30
C07C255/56
C07C255/57
C07D407/10 CSP
C07D493/08
C07D317/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019569222
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2018065904
(87)【国際公開番号】W WO2018229237
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】17305725.8
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, エリク
(72)【発明者】
【氏名】ソータ, バラ
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0364631(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102267915(CN,A)
【文献】特開昭50-035124(JP,A)
【文献】特表2013-500999(JP,A)
【文献】Organic Letters,2003年05月09日,Vol.5,No.11,p2003-2005,doi:10.1021/ol034572a
【文献】Tetrahedron,2008年,Vol.64,pp.2740-2749
【文献】Organic Letters,2002年05月22日,Vol.4,No.12,p2055-2058,doi:10.1021/ol/0200605
【文献】ACS Catalysis,2015年,Vol.5,pp.6946-6955
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
(式中、
X及びYは、であり
は、Hであり
、Hであり、R -CNである)
の化合物の調製方法であって、
a)その方法が、式(II)
(X及びYは、であり;
Rは、-CH -CH であり
、Hであり
、Hであり、R -CNである)
の化合物の、
式(III)
(式中、X、Y、R、R、R及びRは、上記の通り定義される)
の化合物を得るための脱水/芳香族化;
引き続く式(III)の化合物の脱保護を含むか;
又は
b)その方法が、単一段階で式(II)の前記化合物の脱水/芳香族化及び脱保護を実施することを含む
方法。
【請求項2】
式(V)
(式中、オルト位である、Hであり、メタ位であるR -COHである)
のトリメチルベンゼン誘導体の調製方法であって、その方法が、請求項に記載の方法によって得られる、式(I’)
(式中、オルト位である、Hであり、メタ位であるR -CNである)
の化合物の同時の又はその後の酸化及び加水分解を含む方法。
【請求項3】
式(VI)
[式中、
X及びYは、であり;
Rは、-CH -CH であり
、Hである]
の化合物の、トリメチルベンゼン誘導体の製造のための使用。
【請求項4】
前記トリメチルベンゼン誘導体が、トリメリット酸である請求項に記載の使用。
【請求項5】
トリメチルベンゼン誘導体の製造のための、式(II)
の化合物又は式(III)の化合物
(式中、
X及びYは、であり;
Rは、-CH -CH であり
、Hであり
、Hであり、 -CNである)
の使用。
【請求項6】
前記トリメチルベンゼン誘導体が、トリメリット酸である、請求項に記載の使用。
【請求項7】
トリメチルベンゼン誘導体の製造のための、式(I)
(式中、
X及びYは、であり;
は、Hであり
、Hであり、 -CNである)
に従う化合物の使用。
【請求項8】
前記トリメチルベンゼン誘導体が、トリメリット酸である、請求項に記載の使用。
【請求項9】
式(II’)
(式中
、Hであり、 -CNである)

又は式(III’)
(式中
、Hであり、 -CNである)
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年6月14日出願の欧州特許出願第17305725.8号に対する優先権を主張するものであり、この出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、ジホルミルフランからの三官能性の芳香族分子の製造に、特に、ジホルミルフラン及びその誘導体からの、例えばトリメリット酸又は1,2,4-トリ(アミノメチル)ベンゼンなどの、トリメチルベンゼン誘導体の製造に関する。本発明は、ジホルミルフラン及びその誘導体を、新規中間体を含むトリメチルベンゼン誘導体へ変換するための新たなルートを記載する。
【0003】
近年、再生可能資源から様々な化学物質を得る傾向が高まっている。これに関連して、セルロース、デンプン、ヘミセルロース、糖等などの、バイオマス炭水化物から化学物質を生み出す傾向がある。脱水条件下で、これらの炭水化物は、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール及びそれらの誘導体を含む、多数の興味深い化学物質へ変換することができる。付加価値のある化合物の製造のためにこれらの化学物質を使用することに対する興味が存在する。そのような付加価値のある化合物の例としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及び2つ以上のカルボン酸部分置換基を含有する他のベンゼン誘導体が挙げられる。
【0004】
フラン、フルフラール及びそれらの誘導体を化学的により価値のある6員環芳香族化合物へ転化するための1つの方法は、フラン環系とエチレン又はエチレン誘導体との間のディールス-アルダー(Diels-Alder)反応である。
【0005】
フラン誘導体とのディールス-アルダー反応は既知である。3,6-エポキシシクロヘキセンへのフランとエチレンとのディールス-アルダー反応が米国特許第2,405,267号明細書に記載されている:
【0006】
国際公開第2010/151346号パンフレットは、パラ-キシレンへの2,5-ジメチルフランの変換を記載している。
【0007】
フルフリルエーテルをエチレン誘導体と反応させることによる置換ベンゼン誘導体の調製方法が国際公開第2013/048248号パンフレットに記載されている。
【0008】
国際公開第2014/065657号パンフレットは、フラン誘導体をエチレンと反応させることによるベンゼン誘導体の調製方法を広く特許請求している。フラン誘導体は、アルキル、アラルキル、-CHO、-CHOR、-CH(OR)(OR)及び-COORを含む様々な置換基を2位及び5位に有し得る。しかしながら、この文書は、2,5-ジメチルフラン、2-メチルフラン、2,5-フランジカルボン酸及び2,5-フランジカルボン酸のジメチルエステルでの例のみを提供している。特に、フルフラールがベンゼン誘導体へ変換される例はない。
【0009】
Green Chem.,2012,14,3314-3325においてYu-Ting Chengらは、フラン及びオレフィンを使ったディールス-アルダークラスの反応を用いることによる標的芳香族化合物の生成に関する概要を提供している。著者らは、フラン、メチルフラン及びジメチルフランがオレフィンと円滑に反応する一方、フルフラール変換のための第1段階は、フラン及びCOを形成する脱カルボニル化であることを見出した。次いで、生成したフランが、既知のフラン変換反応に入る:
【0010】
フルフラールをオレフィンと反応させる際のこれらの難題は、国際公開第2014/197195号パンフレットにおいて確認されている。この文書の著者らは、様々な溶媒、触媒、反応温度、圧力及び時間、並びに5-ヒドロキシ-2-フルフラール濃度の範囲を試験する、スクリーニング実験を行ったが、彼らは、4-ヒドロキシメチルベンズアルデヒドが形成される系を特定することはできなかった。著者らは、オレフィンとのディールス-アルダー反応において良好に機能することが示されている、対応する5-ヒドロキシメチル-2-フロ酸又は他の酸化誘導体を生成するための5-ヒドロキシメチル-2-フルフラールの空気酸化によって、この問題を解決することを提案している。
【0011】
フランへのフルフラールの脱カルボニル化並びにフロ酸へのフルフラールの酸化は、両方とも、フラン環でのアルデヒド置換基が失われるという欠点を有する。その結果として、アルデヒド置換基は、得られたディールス-アルダー付加体にはもはや存在せず、それは、フラン誘導体、特にフルフラールからベンズアルデヒド誘導体を得ることをより困難にする。しかしながら、ベンズアルデヒド誘導体は、メタ-キシレンジアミン、オルト-キシレンジアミン及び1,2,3-トリ(アミノメチル)ベンゼンなどの、他の重要な化合物の調製における価値のある中間体として望ましい。これらの化合物に加えて、トリメリット酸又は1,2,4-トリ(アミノメチル)ベンゼンなどの、1,2,4-トリメチルベンゼン誘導体もまた非常に興味深い。
【0012】
米国特許出願公開第2004/0054219号明細書において、トリメリット酸の製造方法であって、トリメリット酸に更に酸化されるジメチル安息香酸と、ジメチルベンジルアルコールとジメチルベンズアルデヒドとの反応混合物を得るためにプソイドクメンが酸化される方法が開示されている。
【0013】
類似の方法は、トリメリット酸を製造するためのジメチルベンズアルデヒド又はその誘導体の酸化に言及する、米国特許出願公開第2011/0112323号明細書に開示されている。
【0014】
米国特許出願公開第20165/0264506号明細書において、トリメリット酸は、テレフタル酸の製造のための中間生成物であり、ここで、2分子のプロピオン酸又はプロピオン酸誘導体の還元的カップリングが実施される。
【0015】
これらの文書は具体的なトリメチルベンゼン誘導体トリメリット酸の製造方法を記載しているが、様々な三官能性の芳香族分子を製造するために用いることができる方法を提供することは依然として必要とされている。
【0016】
特に、これらの文書のどれも、フラン誘導体、特にジホルミルフランが、これらの三官能性の芳香族分子の製造のための良好な出発原料であることを教示していない。
【0017】
以前の研究において、本出願の発明者らは、フルフラールの環式ケタールが意外にもアクリロニトリルと反応し、それによって所望のディールス-アルダー付加体を形成することを見出している。更なる反応段階において、環式ケタールは、所望のアルデヒド置換基に変換して戻すことができ、アルデヒド置換基は、必要に応じて、更に反応させて他の置換基にすることができる。フルフラールのジアルキル-ケタール誘導体がエチレン誘導体とディールス-アルダー付加体を形成しないことを考慮すると、この知見は特に意外である。ケタールは、アルコールを除去することによって所望のアルデヒドを容易に得ることができるアルデヒドの既知の誘導体である。しかしながら、フルフラールのジエチル-ケタールをアクリロニトリルと反応させる場合、ほんの痕跡量のディールス-アルダー付加体、オキサノルボルネンが観察された。研究中に、本発明者らは、フルフラールの環式ケタールが意外にも特定のエチレン誘導体のみと反応することを更に見出した。例えば、フルフラールの環式ケタールはアリルアミン及びアクリルアミドと反応しないことが見出された。アクリロニトリル及びフマロニトリルのみがディールス-アルダー縮合反応で円滑に反応した。これらの研究は、参照により本明細書に援用される、PCT/CN第2015/096821号明細書に詳細に記載されている。
【0018】
本発明者らは今、アクリロニトリルとともにジホルミルフランの環式ケタールを使用することによって、所望のディールス-アルダー付加体をまた得ることができることを見出した。このディールス-アルダー付加体は、シアノ-テレフタルアルデヒド誘導体の製造のための中間生成物であり、その誘導体は再び、様々な三官能性の芳香族分子、特に、トリメリット酸又は
1,2,4-トリ(アミノメチル)ベンゼンなどの1,2,4-ジメチルベンゼン誘導体の製造のための良好な出発原料である。
【0019】
本発明は、それ故、ジホルミルフランからのトリメチルベンゼン誘導体の調製方法に、特に式(I)
(式中、
X及びYは、独立して、任意選択的に置換されたヘテロ原子であり;
各Rは、独立して、H、アルキル、アルケニル又はアリールであり;
及びRは、独立して、H又は-CNであり、但し、R及びRの少なくとも1つは-CNである)
の化合物の調製方法であって、
a)その方法が、式(II)
(式中、
X、Y、R、R、R、Rは、上記の通り定義され、
Rは、1つ以上のRで任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン基であり;
ここで、Rは、1つ以上の官能基を任意選択的に有する線状、分岐及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基である)
の化合物の、
式(III)
(式中、X、Y、R、R、R、Rは、上記の通り定義される)
の化合物を得るための脱水/芳香族化;
引き続く式(III)の化合物の脱保護を含むか;
又は
b)その方法が、単一段階で式(II)の化合物の脱水/芳香族化及び脱保護を実施することを含む
方法に関する。
【0020】
式(II)
(式中、
X及びYは、独立して、任意選択的に置換されたヘテロ原子であり;
Rは、1つ以上のRで任意選択的に置換されていてもよいC1~4アルキレン基であり;
は、任意選択的に1つ以上の官能基を有する線状、分岐及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基であり;
は、独立して、H、アルキル、アルケニル又はアリールであり;
及びRは、独立して、H又は-CNであり、但し、R及びRの少なくとも1つは、-CNである)
の化合物は、
好ましくは、式(VI)
(式中、X、Y、R、Rは、上記の通り定義される)
の化合物、ジホルミルフラン誘導体を、式(VII)又は(VII’)
(式中、R及びRは、上記の通り定義される)
の化合物と反応させることによって製造される。
【0021】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体は、例えばApplied Catalysis A,Vol.456,pages 44-50に記載されているように5-ヒドロキシメチル-2-フルフラール(HMF)の酸化によって例えば製造することができる。
【0022】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体において、ジホルミルフランのアルデヒド残基は、環式ケタールとして存在する。しかしながら、本発明は、ジホルミルフラン及びその環式ケタール誘導体に限定されず、O以外のヘテロ原子を含むジホルミルフラン誘導体をも含む。それ故、式(VI)の化合物におけるX及びYは、互いに独立して、O、S及びNなどの、任意選択的に置換されたヘテロ原子である。
【0023】
これに関連して、「任意選択的に置換された」は、ヘテロ原子が、必要ならば、置換基を有してもよいことを定義する。ヘテロ原子が任意の更なる置換基を有することができない場合、置換基は存在しない。例えば、ヘテロ原子がO又はSである場合、ヘテロ原子に置換基は存在しない。しかしながら、ヘテロ原子がNである場合、X及びYは、-NH-又は-N(置換基)-であり得る。この置換基は、Rと同じ意味を有する。したがって、X及びYは、好ましくは、-O-、-S-、-NH-、及び-N(R)-から、より好ましくは-O-及び-S-から独立して選択される。最も好ましくは、X及びYは両方ともOであるか、又は両方ともSである。
【0024】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体において、Rは、C1~4アルキレン基、好ましくはC2~4アルキレン基、より好ましくはC2~3アルキレン基、最も好ましくはCアルキレン基である。このアルキレン基は、1つ以上のR置換基で任意選択的に置換されていてもよい。Rは、1つ以上の官能基を任意選択的に有する線状、分岐及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基である。そのような炭化水素基は、必要な数の水素原子に加えて、炭素原子、好ましくは1~24個の炭素原子を含む全ての化学部分を含む。線状、分岐、及び/又は環式の、飽和又は不飽和の炭化水素基の例は、アルキル、アルケニル、アルキニル、芳香族基等である。炭化水素基は、任意選択的に1つ以上の官能基を有し得るし、それは、炭化水素基が、O、N及びSなどの、1つ以上のヘテロ原子、又は-CO-若しくは-COO-などの、官能基を含有し得ることを意味する。更に、炭化水素基は、ニトロ、ニトロソ、スルホ、スルホネート、シアノ、シアナト、チオシアナト、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル等などの、官能基で置換されていてもよい。
【0025】
の代表的な例をこれからより詳細に説明し、それによってまた、別段に定義されない限り、本明細書の全体にわたって、特にまた全ての他の置換基に適用可能である特定の用語の定義を提供する。
【0026】
本明細書において使用される場合、「アルキル」という用語は、1~約24個の炭素原子、好ましくは1~約12個の炭素原子、又は1~約6個の炭素原子、1~約3個の炭素原子を必ずしも含有するわけではないが、典型的には、線状、分岐、又は環式の飽和の炭化水素基を意味する。特定の実施形態は、アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、オクチル、デシル等、並びにシクロペンチル、シクロヘキシル等などのシクロアルキル基であることを規定する。一般的に、再び必ずしもそうではないが、本明細書においてアルキル基は、1~約12個の炭素原子を含有する。「低級アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子のアルキル基を意図し、「シクロアルキル」という特定の用語は、典型的には4~8個、好ましくは5~7個の炭素原子を有する、環式アルキル基を意図する。「置換アルキル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されたアルキル基を意味し、「ヘテロ原子含有アルキル」及び「ヘテロアルキル」を包含し、それらの用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキル基を意味する。別段の指示がない限り、「アルキル」及び「低級アルキル」という用語は、それぞれ、線状、分岐、環式、非置換、置換、及び/又はヘテロ原子含有アルキル及び低級アルキル基を含む。
【0027】
本明細書において使用される場合、「アルキレン」という用語は、二官能性の線状、分岐、又は環式アルキル基を意味し、ここで、「アルキル」は、上で定義された通りである。
【0028】
本明細書において使用される場合、「アルケニル」という用語は、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、エイコセニル、テトラコセニル等などの、少なくとも1つの二重結合を含有する2~約24個の炭素原子の線状、分岐、又は環式炭化水素基を意味する。本明細書において好ましいアルケニル基は、2~約12個の炭素原子を含有する。
【0029】
「低級アルケニル」という用語は、2~6個の炭素原子のアルケニル基を意図し、「シクロアルケニル」という特定の用語は、好ましくは5~8個の炭素原子を有する、環式アルケニル基を意図する。「置換アルケニル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されたアルケニル基を意味し、「ヘテロ原子含有アルケニル」及び「ヘテロアルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルケニル基を意味する。別段の指示がない限り、「アルケニル」及び「低級アルケニル」という用語は、それぞれ、線状、分岐、環式、非置換、置換、及び/又はヘテロ原子含有アルケニル及び低級アルケニル基を含む。
【0030】
本明細書において使用される場合、「アルケニレン」という用語は、二官能性の線状、分岐、又は環式アルケニル基を意味し、ここで、「アルケニル」は、上で定義された通りである。
【0031】
本明細書において使用される場合、「アルキニル」という用語は、エチニル、n-プロピニル等などの、少なくとも1つの三重結合を含有する2~約24個の炭素原子の線状又は分岐の炭化水素基を意味する。本明細書において好ましいアルキニル基は、2~約12個の炭素原子を含有する。「低級アルキニル」という用語は、2~6個の炭素原子のアルキニル基を意図する。「置換アルキニル」という用語は、1つ以上の置換基で置換されたアルキニル基を意味し、「ヘテロ原子含有アルキニル」及び「ヘテロアルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられているアルキニルを意味する。別段の指示がない限り、「アルキニル」及び「低級アルキニル」という用語は、それぞれ、線状、分岐、非置換、置換、及び/又はヘテロ原子含有アルキニル及び低級アルキニル基を含む。
【0032】
本明細書において使用される場合、「アルコキシ」という用語は、単一の、末端エーテル結合を介して結合したアルキル基を意図し;即ち、「アルコキシ」基は、アルキルが上で定義された通りである-O-アルキルとして表され得る。「低級アルコキシ」基は、1~6個の炭素原子を含有するアルコキシ基を意図する。同様に、「アルケニルオキシ」及び「低級アルケニルオキシ」は、それぞれ、単一の、末端エーテル結合を介して結合したアルケニル及び低級アルケニル基を意味し、「アルキニルオキシ」及び「低級アルキニルオキシ」は、それぞれ、単一の、末端エーテル結合を介して結合したアルキニル及び低級アルキニル基を意味する。
【0033】
「芳香族」という用語は、芳香族性についてのヒュッケル(Hueckel)則4n+2を満たす環部分を意味し、アリール、アラルキル、アルカリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又はalk-ヘテロアリー部分を含む、アリール(即ち、炭素環)及びヘテロアリール(ヘテロ芳香族とも称される)構造の両方を含む。
【0034】
本明細書において使用される場合、及び特に明記しない限り、「アリール」という用語は、一緒に縮合しているか、直接的に結合しているか、又は間接的に結合している(異なる芳香環がメチレン又はエチレン部分などの共通の基によって結合しているような)単一の芳香環又は複数の芳香環を含有する芳香族置換基又は構造を意味する。特に修正しない限り、「アリール」という用語は、炭素環構造を意味する。好ましいアリール基は、5~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアリール基は、5~14個の炭素原子を含有する。典型的なアリール基は、1つの芳香環又は2つの縮合した若しくは結合した芳香環、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルアミン、ベンゾフェノン等を含有する。「置換アリール」は、1つ以上の置換基で置換されたアリール部分を意味し、「ヘテロ原子含有アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、以下に更に詳細に記載されるように、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子で置換されているアリール置換基を意味する。
【0035】
本明細書において使用される場合、「アリールオキシ」という用語は、単一の、末端エーテル結合を介して結合したアリール基を意味し、ここで、「アリール」は上で定義された通りである。「アリールオキシ」基は、-O-アリールとして表すことができ、ここで、アリールは上で定義された通りである。好ましいアリールオキシ基は、5~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアリールオキシ基は、5~14個の炭素原子を含有する。アリールオキシ基の例としては、限定なしに、フェノキシ、o-ハロ-フェノキシ、m-ハロ-フェノキシ、p-ハロ-フェノキシ、o-メトキシ-フェノキシ、m-メトキシ-フェノキシ、p-メトキシ-フェノキシ、2,4-ジメトキシフェノキシ、3,4,5-トリメトキシ-フェノキシ等が挙げられる。
【0036】
「アルカリール」という用語は、アルキル置換基を持ったアリール基を意味し、「アラルキル」という用語は、アリール置換基を持ったアルキル基を意味し、ここで、「アリール」及び「アルキル」は、上で定義された通りである。好ましいアルカリール及びアラルキル基は、6~24個の炭素原子を含有し、特に好ましいアルカリール及びアラルキル基は、6~16個の炭素原子を含有する。アルカリール基としては、例えば、p-メチルフェニル、2,4-ジメチルフェニル、p-シクロヘキシルフェニル、2,7-ジメチルナフチル、7-シクロオクチルナフチル、3-エチル-シクロペンタ-1,4-ジエン等が挙げられる。アラルキル基の例としては、限定なしに、ベンジル、2-フェニル-エチル、3-フェニル-プロピル、4-フェニル-ブチル、5-フェニル-ペンチル、4-フェニルシクロヘキシル、4-ベンジルシクロヘキシル、4-フェニルシクロヘキシルメチル、4-ベンジルシクロヘキシルメチル等が挙げられる。「アルカリールオキシ」及び「アラルキルオキシ」という用語は、式-ORの置換基を意味し、式中、Rは、それぞれ、たった今定義されたような、アルカリール又はアラルキルである。
【0037】
「アシル」という用語は、式-(CO)-アルキル、-(CO)-アリール、又は-(CO)-アラルキルを有する置換基を意味し、「アシルオキシ」という用語は、式-O(CO)-アルキル、-O(CO)-アリール、又は-O(CO)-アラルキルを有する置換基を意味し、式中、「アルキル」、「アリール」、及び「アラルキル」は、上で定義された通りである。
【0038】
「環式」及び「環」という用語は、置換されていてもいなくてもよく、及び/又はヘテロ原子含有であってもなくてもよく、且つ、単環式、二環式、又は多環式であってもよい脂環式基又は芳香族基を意味する。「脂環式」という用語は、芳香環式部分とは対照的に、脂肪族環式部分を意味する従来の意味で用いられ、単環式、二環式、又は多環式であってもよい。「非環式」という用語は、環構造内に二重結合が含有されない構造を意味する。
【0039】
「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨード置換基を意味する従来の意味で用いられる。
【0040】
「ヘテロ原子含有基」におけるような「ヘテロ原子含有」という用語は、1個以上の炭素原子が炭素以外の原子、例えば、窒素、酸素、硫黄、リン又はケイ素、典型的には窒素、酸素又は硫黄で置き換えられている炭化水素分子又は分子フラグメントを意味する。同様に、「ヘテロアルキル」という用語は、ヘテロ原子含有であるアルキル置換基を意味し、「複素環式」という用語は、ヘテロ原子含有である環式置換基を意味し、「ヘテロアリール」及び「ヘテロ芳香族」という用語は、それぞれ、ヘテロ原子含有である「アリール」及び「芳香族」置換基を意味する等である。「複素環式」基又は化合物は、芳香族であってもなくてもよいことに、更に、「複素環」は、「アリール」という用語に関して上記のように単環式、二環式、又は多環式であってもよいことに留意されたい。ヘテロアルキル基の例としては、アルコキシアリール、アルキルスルファニル置換アルキル、N-アルキル化アミノアルキル等が挙げられる。ヘテロアリール置換基の例としては、ピロリル、ピロリジニル、ピリジニル、キノリニル、インドリル、ピリミジニル、イミダゾリル、1,2,4-トリアゾリル、テトラゾリル等が挙げられ、ヘテロ原子含有脂環式基の例は、ピロリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、ピペリジノ等である。
【0041】
前述の定義のいくつかで示唆されるように、「置換アルキル」、「置換アリール」等におけるような「置換」とは、アルキル、アリール、又は他の部分において、炭素(又は他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が1個以上の非水素置換基で置き換えられていることを意味する。そのような置換基の例としては、限定なしに:ハロ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、C~C24アルコキシ、C~C24アルケニルオキシ、C~C24アルキニルオキシ、C~C24アリールオキシ、C~C24アラルキルオキシ、C~C24アルカリールオキシ、アシル(C~C24アルキルカルボニル(-CO-アルキル)及びC~C24アリールカルボニル(-CO-アリール)などの)、アシルオキシ(C~C24アルキルカルボニルオキシ(-O-CO-アルキル)及びC~C24アリールカルボニルオキシ(-O-CO-アリール)などの、-O-アシル)、C~C24アルコキシカルボニル((CO)-O-アルキル)、C~C24アリールオキシカルボニル(-(CO)-O-アリール)、ハロカルボニル(-CO)-X、ここで、Xはハロである)、C~C24アルキルカルボナト(-O-(CO)-O-アルキル)、C~C24アリールカルボナト(-O-(CO)-O-アリール)、カルボキシ(-COOH)、カルボキシラト(-COO-)、カルバモイル(-(CO)NH)、モノ-(C~C24アルキル)-置換カルバモイル(-(CO)NH(C~C24アルキル))、ジ-(C~C24アルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-N(C1~C24アルキル))、モノ-(C~C24ハロアルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-NH(C~C24アルキル))、ジ-(C~C24ハロアルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-N(C~C24アルキル))、モノ-(C~C24アリール)-置換カルバモイル(-(CO)-NH-アリール)、ジ-(C~C24アリール)置換カルバモイル(-(CO)-N(C~C24アリール))、ジ-N-(C~C24アルキル),N-(C~C24アリール)-置換カルバモイル、チオカルバモイル-(C)-NH)、モノ-(C~C24アルキル)-置換チオカルバモイル(-(CO)-NH(C~C24アルキル))、ジ-(C~C24アルキル)-置換チオカルバモイル(-(CO)-N(C~C24アルキル))、モノ-(C~C24アリール)置換チオカルバモイル(-(CO)-NHアリール)、ジ-(C~C24アリール)-置換チオカルバモイル((CO)-N(C~C24アリール)z)、ジ-N-(C~C24アルキル),N-(C~C24アリール)-置換チオカルバモイル、カルバミド(-NH-(CO)-NH2)、シアノ(-C=N)、シアナト(-O-C=N)、チオシアナト(-SC=N)、ホルミル(-(CO)-H)、チオホルミル(-(CS)-H)、アミノ(-NH)、モノ-(C~C24アルキル)-置換アミノ、ジ-(C~C24アルキル)-置換アミノ、モノ-(C~C24アリール)-置換アミノ、ジ-(C~C24アリール)-置換アミノ、C~C24アルキルアミド(-NH-(CO)-アルキル)、C~C24アリールアミド(-NH-(CO)-アリール)、イミノ(-CR=NH、ここで、R=水素、C~C24アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキル等である)、C~C20アルキルイミノ(CR=N(アルキル)、ここで、R=水素、C~C24アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキル等である)、アリールイミノ(-CR=N(アリール)、ここで、R=水素、C~C20アルキル、C~C24アリール、C~C24アルカリール、C~C24アラルキル等である)、ニトロ(-NO)、ニトロソ(-NO)、スルホ(-SOOH)、スルホネート(SOO-)、C~C24アルキルスルファニル(-S-アルキル;「アルキルチオ」とも称される)、C~C24アリールスルファニル(-S-アリール;「アリールチオ」とも称される)、C~C24アルキルスルフィニル(-(SO)-アルキル)、C~C24アリールスルフィニル(-(SO)-アリール)、C~C24アルキルスルホニル(-SO-アルキル)、C~C24モノアルキルアミノスルホニル(-SO-N(H)アルキル)、C~C24ジアルキルアミノスルホニル-SO-N(アルキル)、C~C24アリールスルホニル(-SO-アリール)、ボリル(-BH)、ボロノ(B(OH))、ボロナト(-B(OR)、ここで、Rは、アルキル又はアリールである)、ホスホノ(-P(O)(OH))、ホスホナト(P(O)(O))、ホスフィナト(P(O)(O-))、ホスホ(-PO)、及びホスフィン(-PH)などの官能基;並びに部分C~C24アルキル(好ましくはC~C12アルキル、より好ましくはC~Cアルキル)、C~C24アルケニル(好ましくはC~C12アルケニル、より好ましくはC~Cアルケニル)、C~C24アルキニル(好ましくはC~C12アルキニル、より好ましくはC~Cアルキニル)、C~C24アリール(好ましくはC~C24アリール)、C~C24アルカリール(好ましくはC~C16アルカリール)、及びC~C24アラルキル(好ましくはC~C16アラルキル)が挙げられる。
【0042】
置換基が「置換された」又は「任意選択的に置換された」と記載される場合、これらのFn置換は、好ましくは、ハロ、ヒドロキシル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルカルボニル(CO-アルキル)、C~C24アルコキシカルボニル((CO)-O-アルキル)、カルボキシ(-COOH)、カルバモイル(-(CO)-NH)、モノ-(C~Cアルキル)-置換カルバモイル(-(CO)NH(C~Cアルキル))、ジ-(C~Cアルキル)-置換カルバモイル(-(CO)-N(C~Cアルキル))、シアノ(-C=N)、シアナト(-O-C=N)、チオシアナト(-S-C=N)、ホルミル(-(CO)-H)、アミノ(-NH)、モノ-(C~Cアルキル)-置換アミノ、又はジ-(C~Cアルキル)置換アミノを含む。
【0043】
「官能化アルキル」、「官能化オレフィン」、「官能化環式オレフィン」等におけるような「官能化」とは、アルキル、オレフィン、環式オレフィン、又は他の部分において、炭素(又は他の)原子に結合した少なくとも1個の水素原子が、本明細書で及び上に記載されるものなどの1つ以上の官能基で置き換えられていることを意味する。「官能基」という用語は、本明細書に記載される使用に好適である任意の官能種を含むことを意図する。特に、本明細書において使用される場合、官能基は、必然的に、基材表面上の対応する官能基と反応するか又はそれに結合する能力を有するであろう。
【0044】
更に、前述の官能基は、特定の基が許容する場合、上で具体的に列挙されたものなどの1つ以上の追加の官能基で更に置換されていてもよい。同様に、上述の基は、具体的に列挙されたものなどの1つ以上の官能基で更に置換されていてもよい。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、Rは、非置換であるか又は1つ若しくは2つ、好ましくは2つの低級アルキル、好ましくはメチル若しくはエチル、より好ましくはメチルで置換されているC又はCアルキレン基である。Rについての好ましい例は、-CH-CH-、-CH-CH-CH-、-CH(CH)-CH(CH)-及び-CH-C(CH-CH-である。
【0046】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体において、Rは、独立して、上で定義された通り、H、アルキル、アルケニル又はアリールである。好ましくは、Rは、独立して、H又はアルキルであり、より好ましくはH又はC1~4アルキル、より好ましくはH又はC1~3アルキル、更により好ましくはH又はC1~2アルキル、最も好ましくはH又はメチルである。更に好ましい実施形態において、RはHである。
【0047】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体の特定の実施形態は、以下の化合物:
[式中、
X’及びY’は、両方ともO又はSであり;
R’は、1つ又は2つのC1~4アルキル(好ましくはメチル)で任意選択的に置換されているC又はCアルキレンである];
である。
【0048】
式(VI)のジホルミルフラン誘導体は、例えば、ジホルミルフランをエチレングリコール、置換エチレングリコール又は任意の他の好適なジアルコールと反応させることによって得ることができる。環式ケタールの形態でのジホルミルフランのアルデヒド官能基の保護をまた構成する、この反応は、当業者に公知である。保護反応は、例えば、A15アンバーリスト樹脂などの、好適な触媒を使用して、シクロヘキサンなどの、好適な有機溶媒中で実施することができる。例えば、2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランである、式(VI)のジホルミルフラン誘導体は、ジホルミルフランをエチレングリコールと反応させることによって定量的に得ることができる。
【0049】
本発明によれば、ジホルミルフランそれ自体及びジホルミルフランのジアルキル-ケタール誘導体がエチレン及びその誘導体とディールス-アルダー付加体を形成しないが、式(VI)のジホルミルフラン誘導体は、意外にもジエンと反応して、式(II)のディールス-アルダー付加体をもたらすことが見出された。
【0050】
それ故、式(II)のディールス-アルダー縮合付加体の製造のために、式(VI)のジホルミルフラン誘導体が式(VII)のエチレン誘導体と反応させられる。
【0051】
式(VII)又は(VII’)のエチレン誘導体は、2つの置換基、R及びRを有する。これらの置換基は、独立して、H又は-CNであり、但し、R及びRの少なくとも1つは-CNである。したがって、式(VII)又は(VII’)のエチレン誘導体は、少なくとも1つの置換基を有する。一実施形態において、RはHであり、Rは-CNである。或いは、R及びRは、両方とも-CNであり得る。R及びRが、両方とも、-CNである場合、エチレン誘導体は、フマロニトリルのシス異性体及びトランス異性体を含む。
【0052】
式(VI)の化合物と式(VII)又は(VII’)の化合物との間のディールス-アルダー縮合反応は、当業者に公知の通常のディールス-アルダー条件下で実施することができる。用いられる特定の誘導体に応じて、縮合反応は、任意の触媒の存在下又は不存在下で、且つ、また任意の溶媒を使用して又は使用せずに実施することができる。反応は、約2又は5秒~約6日、好ましくは約3時間~約4日、より好ましくは約12時間~約4日、例えば、約44時間又は約24時間などの、出発化合物を所望のディールス-アルダー付加体に変換するのに十分な時間、約10~約120℃、好ましくは約20~約100℃、より好ましくは約20~約80℃の任意の好適な温度で実施することができる。反応は、周囲圧力又は増加した圧力で実施することができる。有利には、反応は、約1000hPaなどの、周囲圧力で、又は約10000hPaまで、好ましくは約5000hPaまで、より好ましくは約2000hPaまでの圧力で実施される。
【0053】
有利には、ディールス-アルダー反応は、触媒、特に既知のディールス-アルダー触媒の存在下で行われる。これらの触媒としては、ルイス酸、例えば、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、ハフニウム、又は鉄化合物、例えば、AlCl、Al(Et)Cl、Al(Et)Cl、BF、B(Ac)、ZnCl、ZnBr、Zn(Ac)、ZnI、CuCl、Sc(OTf)、Bi(OTf)及びBiCl、FeCl、Fe(Ac)、FeCl及びFe(Ac)、ブレンステッド酸、例えば、無機鉱酸、例えば、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸又は塩酸、及び有機酸、例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はカルボン酸が挙げられる。ディールス-アルダー触媒としては、また、スズ又はチタンのハロゲン化物、例えば、SnCl及びTiClが挙げられる。或いは、活性炭、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、ジルコニア又はゼオライトが使用され得る。炭素、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、ジルコニア及びゼオライトは、そのまま使用され得るが、それらはまた、触媒的に活性な金属又は金属化合物のための担体としても使用され得る。そのような金属又は金属化合物としては、好適には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、貴金属、希土類金属が挙げられる。触媒は、例えば、担体をリン酸で処理することによって、又はそれらをそれらの酸性形態へするためのゼオライトのイオン交換によって、酸性であり得る。触媒は、酸触媒であり得る。固体触媒の例としては、非晶質シリカ-アルミナ、ゼオライト、好ましくはそれらのH-形態でのゼオライト、及び酸性イオン交換樹脂が挙げられる。液体であるか又は均一な触媒環境をもたらすために適切な溶媒に溶解させられ得る他の好適な触媒としては、アルカンカルボン酸、アレーンカルボン酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸及び硝酸などの、有機及び無機酸が挙げられる。
【0054】
式(VI)の化合物と式(VII)又は(VII’)の化合物との間のディールス-アルダー縮合反応は、式(II)のオキサノルボルネン誘導体をもたらす。使用される出発化合物に応じて、得られるオキサノルボルネンは、エンド異性体若しくはエキソ異性体又はそれらの混合物などの、異なる異性体として得られ得る。全ての可能な異性体及びそれらの混合物が、本発明の範囲内に包含される。
【0055】
式(II)の、特に式(II’)のオキサノルボルネン誘導体は、同様に他の化合物の調製のための価値のある中間体である、式(III)の、特に式(III’)
(式中、R及びRは、独立して、H又は-CNであり、但し、R及びRの少なくとも1つは-CNである)
の化合物などの、他の化合物の調製における価値のある中間体を構成する。
【0056】
両中間体(II)/(II’)及び(III)/(III’)は、次の反応スキーム(本発明による方法の好ましい例を示す):
に記載されるように、式(I)の化合物に、特に式(I’)に従うシアノ-テレフタルアルデヒドに変換することができる。
【0057】
式(II)/(II’)の化合物の芳香族化及び脱保護は、上記のように単一段階で実施することができる。或いは、式(I)/(I’)の所望の化合物は、式(III)/(III’)の中間体を介して2段階プロセスで得ることができる。この代わりのルートは、好ましい化合物を使用する反応を再び例示する次の反応スキーム:
に示される。
【0058】
式(II)の化合物の芳香族化及び脱保護のための反応条件は、当業者に周知である。しかしながら、意外にも、式(II)の化合物の芳香族化反応は、例えば、ナトリウムメトキシド又は水酸化ナトリウムなどの、メトキシド又は水酸化物の存在下で、塩基性反応条件を必要とすることが分かった。例えば、芳香族化反応は、100℃の温度で約1時間、DMSO中のナトリウムメトキシドを使用して定量的収率で行うことができる。メタノール及びエタノールなどの、アルコールが、他の好適な溶媒である。
【0059】
好ましくは、式(II)の化合物は、ジホルミルフラン、特に式(VI)を有するジホルミルフランの環式ケタール誘導体を出発物質として使用して上記の方法によって得られる。
【0060】
必要ならば、本発明による方法で得られた式(I)の化合物は、例えばモノ-シアノテレフタル酸、2,3-ジシアノテレフタル酸、アミノメチルテレフタル酸、2,3-ジアミノメチルテレフタル酸、トリメリット酸又は1,2,4-トリ(アミノメチル)ベンゼンなどの、他の化合物へ更に変換され得る。
【0061】
本発明の好ましい実施形態において、所望の生成物は、式(IV)に従った化合物、好ましくは1,2,4-トリ(アミノメチル)ベンゼン、
[式中、Rは、独立して、H又はCH-NHであり、但し、Rの少なくとも1つは、式(I)に従った化合物のシアノ部分のニトリル水素化及びアルデヒド部分の還元的アミノ化によって得ることができる、-CH-NHである]
である。ニトリル水素化及び還元的アミノ化は、例えば、触媒としてCo Raneyを使って100℃、50バールの水素で、メタノール中のNH溶液においてシアノテレフタル酸(NH/3-シアノベンズアルデヒド比 約19)を反応させることによって、同時に行うことができる。或いは、ニトリル水素化及び還元的アミノ化は、次の反応スキーム
に図式的に示されるような多段階プロセスで行うことができる。
【0062】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(I)の化合物は、式(V)
(式中、Rは、独立して、H又は-COHであり、但し、Rの少なくとも1つは、-COHである)
のトリメチルベンゼン誘導体へ変換され;特に式(V’)を有するトリメリット酸へ変換され、トリメリット酸は、本発明の方法によって得られる、式(I’)
(式中、Rは、独立して、H又は-CNであり、但し、Rの少なくとも1つは-CNである)
の化合物の同時の又はその後の酸化及び加水分解によって得ることができる。
【0063】
式(I)/(I’)の化合物の酸化及び水素化は、当技術分野において公知の任意の好適な方法によって実施することができる。例えば、トリメリット酸を製造するために、2-シアノテレフタル酸は、水酸化ナトリウム溶液に加えられ、115℃で5時間還流される。その後、反応液は、次の反応スキーム
に示されるように、トリメリット酸を得るために硫酸によってpH1まで酸性化される。
【0064】
式(V)/(V’)の化合物を得るための式(I)/(I’)の化合物の酸化及び加水分解は、上記のように単一段階で実施することができる。例えば、式(V’)を有するトリメリット酸は、室温で5時間撹拌下に、ジメチルホルムアミド中の式(I’)の化合物の溶液に酸化剤としてのペルオキシ一硫酸カリウム(オキソン)を加えることによって得ることができる。
【0065】
本発明の更なる実施形態において、式(I)の化合物の製造方法は、ワンポット反応のような単一段階で実施することができる。
【0066】
特に、式(II’)及び(III’)の化合物は、上記の方法及びその生成物のための新規中間体である。
【0067】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0068】
本発明は、以下の実施例によってこれから例示されるが、本発明は、限定的であることを意図しない。
【実施例
【0069】
実施例1
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランの製造
3gのジホルミルフラン(DFF)及び50mgのアンバーリスト(Amberlyst)15を、80mLのトルエン及び9gのエチレングリコールに懸濁させる。混合物を、4hディーン-スターク(Dean-Stark)装置において還流させる。アンバーリストの濾過後に、80mLの酢酸エチルを加え、有機相を30mLの水で3回洗浄する。有機相を、MgSO上で乾燥させ、蒸発させてほぼ純粋な生成物を得る。
【0070】
実施例2
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランとアクリロニトリルとのディールス-アルダー反応
PTFEセプタムスクリューキャップを取り付けたカルーセル(carousel)チューブに、2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フラン(1.87g;8.81ミリモル)を秤取した。次いで、アクリロニトリル(2.33g;44.0ミリモル)及びZnCl(281mg;2.06ミリモル)を加えた。反応混合物を43hの間60℃で撹拌した。付加体Cのエンド/エキソ混合物への転化率は87%である。反応混合物を真空下で濃縮した。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/シクロヘキサン)によって精製して1.64gの予期付加体(1.14gのエンド及び0.50gのエキソ)を、わずかに黄色の固体として得、全体単離収率は70%である。
【0071】
実施例3
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリルへの前実施例のディールス-アルダー付加体の変換
PTFEセプタムスクリューキャップを取り付けたカルーセルチューブに、エンド付加体C(1.0g;3.77ミリモル)、ジメチルスルホキシド(5ml)及びナトリウムメトキシド溶液(メタノール中25重量%、169mg;0.75ミリモル)を装入する。反応混合物を100℃で1hの間撹拌する。
【0072】
冷却後に、粗生成物をジクロロメタン(20ml)で希釈する。混合物を水(10ml)で洗浄する。水相をジクロロメタン(20ml)で抽出し、有機相を水(10ml、3回)で洗浄する。乾燥(MgSO)後に、溶媒を蒸発させて887mgの油状液体を得る(93%)。
【0073】
実施例4
2,5-ジホルミルベンゾニトリルへの2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリルの脱保護
THF(10ml)中の2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリル(200mg;0.81ミリモル)の撹拌溶液に、1NのHCl溶液(10ml)を室温で加える。混合物を80℃で1h加熱し、室温に冷却する。反応混合物をクロロホルム(10ml、3回)で抽出する。合わせたクロロホルム溶液を乾燥させ(無水MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発させて126mg(98%)の2,5-ジホルミルベンゾニトリルを得る。
【0074】
実施例5
2-シアノテレフタル酸への2,5-ジホルミルベンゾニトリルの酸化
31.8g(200ミリモル)の2,5-ジホルミルフラン、80gのジオキサン、35.2gの炭酸水素ナトリウム、及び200gの水を撹拌しながら混合する。反応系の内温を50℃以下に維持しながら、9のpHに調整した410gの13.5重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1時間にわたって滴加し、結果として生じた混合物を追加の1時間撹拌する。次いで、7.2gの尿素を加え、結果として生じた混合物を20分間撹拌する。更に、24gの98重量%硫酸及び300gの水を加える。沈殿結晶が形成され;それらを濾過し、水で洗浄し、乾燥させて約35g(収率:約92%)の2-シアノテレフタル酸を得る。純度は98%以上である。
【0075】
実施例6
トリメリット酸への2-シアノテレフタル酸の加水分解
6.5g(34ミリモル)の2-シアノテレフタル酸を、水(26g)中のNaOH(2.93g)の溶液に加える。結果として生じた溶液を5時間加熱し還流した(115℃)。冷却後に、70mlの水を加え、95%硫酸の滴加によって溶液をpH=1に酸性化する。白色の固体沈殿物が形成される。白色の固体沈殿物を濾過し、10mlの水で3回洗浄する。乾燥(60℃、10ミリバール、2h)後に、6.86gのトリメリット酸(96%収率)が得られる。
【0076】
実施例7
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランの製造
トルエン(200ml)中のジホルミルフラン(12g、96.7ミリモル)の懸濁液を、ディーン-スターク装置付きの丸底フラスコに取る。エチレングリコール(35g、563ミリモル)及びアンバーリスト-15H(250mg)を反応混合物に加え、反応混合物を一晩還流するままにする。反応混合物を室温まで放冷し、濾過して酸触媒を除去する。濾液を酢酸エチル(200ml)で希釈する。有機相を亜硫酸水素塩溶液で(3回)洗浄し、最後に水で洗浄する。有機相を無水NaSO上で乾燥させる。濾液を濃縮し、乾燥させて16g(収率:78%)の2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランを得る。
【0077】
生成物をNMR分光法によってキャラクタリゼーションした。
H NMR(400MHz,CDCl):6.40(2H,s),5.93(2H,s),4.12-3.98(8H,m).
【0078】
実施例8
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フランとアクリロニトリルとのディールス-アルダー反応
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)フラン(10g、47.13ミリモル)を、高圧チューブに取った。アクリロニトリル(12ml、183.18ミリモル)及びZnCl(1g、7.7ミリモル)をチューブに加え、チューブをきつく閉じた。反応混合物を65℃で48h撹拌するままにした。出発原料の完全な消費を、薄層クロマトグラフィー(溶出液:50%のEtOAc/シクロヘキサン)によって確認した。反応混合物を室温まで冷却し、ジクロロメタン(250ml)で希釈した。有機相をNaHCO溶液及び水で洗浄した。最後に、有機相を無水NaSO上で乾燥させた。濾液を濃縮し、乾燥させた。粗混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製してディールス-アルダー生成物のエンド/エキソ混合物(9.6g、収率:77%)を単離した。
【0079】
生成物をNMR分光法によってキャラクタリゼーションした。
H NMR(400MHz,CDCl):6.58(0.72H,d,J=6Hz),6.55(0.72H,d,J=6Hz),6.45(0.28H,dd,J=0.8 & 6Hz),6.28(0.28H ,d,J=5.6Hz),5.44(0.28H,d,J=0.7Hz),5.35(0.72H,s),5.29(0.28H,s),5.22(0.72H,s),4.14-3.92(8H,m),3.15(0.72H,dd,J- 4 &9.6Hz),2.65(0.28H,dd,J=4 & 8Hz),2.43(0.72H,dd,J=9.6 & 11.6Hz),2.25(0.28H,dd,J=4 & 11.6Hz),1.94(0.28H,dd,J=8.4 & 11.6Hz),1.68(0.72H,dd,J=4 & 11.6Hz).
13C NMR(100MHz,CDCl):137.6/137.5,133.7,133.7,120.1,119.7,101.4,101.4,101.1,101,91.3,91.2,91.1,90.8,66.3,66.2,65.9,65.9,65.8,65.8,33.9,33.8,31.1,27.9.
【0080】
実施例9
2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリルへの前実施例のディールス-アルダー付加体の変換
ジメチルスルホキシド(40ml)中のディールス-アルダー生成物混合物(6g、22.6ミリモル)の溶液を、丸底フラスコに取り、すり潰した粉末のKOH(2.5g,44.56ミリモル)を溶液に加えた。懸濁液を室温で2h撹拌するままにした。出発原料の完全な消費を、薄層クロマトグラフィー(溶出液:40%のEtOAc/シクロヘキサン)によって確認した。反応混合物をジクロロメタン(200ml)で希釈した。有機相を水で(3~4回)洗浄した。有機相を無水NaSO上で乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮し、乾燥させて純粋な生成物(5.1g、収率:91%)を得た。生成物は、いかなる更なる精製もなしに次工程のために使用した。
【0081】
生成物をNMR分光法によってキャラクタリゼーションした。
H NMR(400Hz,CDCl):7.83(1H,d,J=4Hz),7.69(1H,dd,J=4 & 8Hz),7.62(1H,d,J=8Hz),5.98(1H,s),5.83(1H,s),4.23-4.05(8H,m).
13C NMR(100MHz,CDCl):141.9,140.6,131.9,130.9,128.1,117.1,111.6,102.2,101.9,66.1,65.6.
【0082】
実施例10
2,5-ジホルミルベンゾニトリルへの2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリルの脱保護
アセトン(60ml)中の2,5-ビス(1,3-ジオキソラン-2-イル)ベンゾニトリル(4.9g、19.82ミリモル)の溶液を丸底フラスコに取った。希釈HCl(2~3Nの水溶液、60ml)を反応混合物に加え、反応混合物を室温で5~6h撹拌するままにした。反応混合物を減圧下で濃縮し、有機化合物をジクロロメタン(3×60ml)中へ抽出した。合わせた有機相を、水で更に洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。濾液を濃縮し、乾燥させて純粋な生成物(2.6g、収率:83%)を得た。
【0083】
生成物をNMR分光法によってキャラクタリゼーションした。
H NMR(400MHz,CDCl):8.33(1H,dd,J=0.4 & 1.6Hz),8.27(1H,ddd,J=0.5,1.5 & 8Hz),8.23(1H,d,J=8Hz).
13C NMR(100MHz,CDCl):189.4,188.0,140,139.8,134.9,133.8,130.6,115.2,114.9.
【0084】
実施例11
トリメリット酸への2,5-ジホルミルベンゾニトリルの酸化
ジメチルホルムアミド(20ml)中の2,5-ジホルミルベンゾニトリル(1.4g、8.8ミリモル)の溶液を丸底フラスコに取った。オキソン(ペルオキシ一硫酸カリウム)(5.4g、17.57ミリモル)を反応混合物に加え、懸濁液を室温で5~6h撹拌するままにした。出発原料の完全な消費を薄層クロマトグラフィーによって確認した。反応混合物を濾過して沈殿物(無機塩のほとんど)を除去した。減圧で濾液からジメチルホルムアミドを留去し、残留固体(約2g)を乾燥させた。残留固体を、液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)によってキャラクタリゼーションし、逆相カラムクロマトグラフィーによる精製後にトリメリット酸を単離した。トリメリット酸を、カラムクロマトグラフィー後に単離した。
【0085】
生成物をNMR分光法によってキャラクタリゼーションした。
H NMR(400MHz,DMSO-d6):8.22(1H,d,J=1.5Hz),8.11(1H,dd,J=1.7&8Hz),7.56(1H,d,J=8Hz).
13C NMR(100MHz,DMSO-d6):168.4,167.5,166,137.4,132.4,132.2,131.8,129.5,128.7.