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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】チャイルドセーフティシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20230228BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B60N2/28
B60N2/42
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020218284
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2021109651
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201911396862.X
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520144059
【氏名又は名称】バンビーノ プレツィオーソ スウィツァーランド アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Bambino Prezioso Switzerland AG
【住所又は居所原語表記】Beim Bahnhof 5, 6312 Steinhausen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 如意
(72)【発明者】
【氏名】張 大亮
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0114706(US,A1)
【文献】米国特許第07073859(US,B1)
【文献】特開2011-195142(JP,A)
【文献】特開2017-088167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0061665(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0126877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドセーフティシートであって、
乗り物の座席に設置されるように適応した支持ベースと、
前記支持ベース上に置くことができるシートシェルであり、前記シートシェルは、前端、シート部分、背もたれ部分、及び2つの側壁を有し、前記前端は開口部を有し、前記2つの側壁は、前記シート部分の左側及び右側においてそれぞれ突出し、それによって、子供を受けるための内部空間が、前記2つの側壁の間に少なくとも部分的に画定され、前記2つの側壁のそれぞれが内部空洞、2つの対向する側壁表面、および側壁の縁を有し、前記2つの側壁表面のうち1つは、前記シートシェルの内部空間に面し、前記2つの側壁表面のうちもう1つは、前記シートシェルの外側に面し、前記側壁の縁は、前記シート部分の上方に位置し、前記2つの側壁表面とそれぞれ接続され、前記側壁の縁は、前記シートシェルの前端まで延び、前記2つの側壁のそれぞれの内部空洞は、その2つの側壁表面と側壁の端とによって少なくとも部分的に境界が定められた、シートシェルと、
横断部分、及び前記横断部分と接続された2つの側面部分を有するリトラクタブルの前端部であり、前記横断部分は、前記シートシェルの幅方向に沿って延び、さらに、前記2つの側面部分は、前記シートシェルの2つの側壁と枢動可能にそれぞれ接続され、それによって、前記前端部は、格納位置と展開位置との間で前記シートシェルに対して回転可能であり、前記前端部の横断部分は、前記格納位置において前記シートシェルの開口部の内側に少なくとも部分的に収容され受けられ、前記前端部の2つの側面部分は、前記格納位置において前記2つの側壁の内部空洞の内側に少なくとも部分的にそれぞれ受けられ、さらに、前記前端部の横断部分は、前記展開位置において前記シートシェルの開口部の外側に延び、前記2つの側面部分のそれぞれが前面を有し、前記前面は、前方及び下方に傾斜し、前記展開位置において、前記前面に隣接する前記側壁の側壁の縁から輪郭延長部を形成し、前記前面は、前記格納位置において、前記前面に隣接する前記側壁の側壁の縁に対して角度を形成している、リトラクタブルの前端部と、
前記展開位置において前記前端部をロックするためのラッチ機構と、
を含むチャイルドセーフティシート。
【請求項2】
前記横断部分及び前記2つの側面部分を含む前記前端部は、単一部品として一体的に形成されている、請求項1に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項3】
前記2つの側面部分は、前記横断部分から互いに対称に曲げられている、請求項1又は2に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項4】
前記前端部は、前記シート部分の上方に位置するピボット軸を中心として前記2つの側壁と枢動可能に接続されている、請求項1、2、又は3に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項5】
前記2つの側面部分のそれぞれが結合端を有し、前記2つの側面部分の結合端は、前記2つの側壁の内部空洞の内側にそれぞれ配置され、2つのピボットシャフトを介して前記2つの側壁と枢動可能にそれぞれ接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項6】
前記ラッチ機構は、前記2つの側面部分の結合端とそれぞれ接続された2つのラッチを含み、前記2つのラッチは、前記シートシェルと係合するか又は前記シートシェルから係合を解くために、前記前端部に対して移動可能である、請求項に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項7】
前記2つのラッチは、前記2つの側面部分の結合端と摺動可能にそれぞれ接続され、それによって前記2つのラッチは、前記シートシェルと係合するか又は前記シートシェルから係合を解くために、前記前端部に対して摺動可能である、請求項に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項8】
前記ラッチ機構は、前記2つのラッチとそれぞれ接続された2つのばねをさらに含み、前記2つのばねは、前記2つのラッチにそれぞれバイアスをかけて、前記シートシェルと係合するように移動させる、請求項又はに記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項9】
前記ラッチ機構は、リリースアクチュエータ及び2つのケーブルをさらに含み、前記リリースアクチュエータは、前記前端部と共に組み立てられ、前記2つのケーブルを介して前記2つのラッチとそれぞれ接続され、前記リリースアクチュエータは、前記2つのラッチを移動させて前記シートシェルから係合を解くように作動可能である、請求項、又はに記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項10】
前記リリースアクチュエータは、前記前端部の横断部分に設けられている、請求項に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項11】
前記支持ベースは、互いに枢動可能に接続されたシェル本体及び回転プラットフォームを含み、前記シートシェルを、前向きの位置、後ろ向きの位置、及び横向きの位置を含む異なる向きにおいて置くことができるように、前記シートシェル及び前記回転プラットフォームは、前記シェル本体に対して調和して回転可能である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項12】
前記シートシェルが前記支持ベース上で横向きの位置にあり、前記前端部が前記展開位置にある場合に、前記前端部は、前記支持ベースから第1の距離だけ横に突出し、前記シートシェルが前記支持ベース上で横向きの位置にあり、前記前端部が前記格納位置にある場合に、前記前端部は、前記支持ベースから第2の距離だけ横に突出し、前記第2の距離は、前記第1の距離の約半分以下である、請求項11に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項13】
チャイルドセーフティシートであって、
乗り物の座席に設置されるように適応した支持ベースと、
前記支持ベース上に置くことができるシートシェルであり、前記シートシェルは、前端、シート部分、背もたれ部分、及び2つの側壁を有し、前記前端は開口部を有し、前記2つの側壁は、前記シート部分の左側及び右側においてそれぞれ突出し、それによって、子供を受けるための内部空間が、前記2つの側壁の間に少なくとも部分的に画定される、シートシェルと、
横断部分、及び前記横断部分と接続された2つの側面部分を有するリトラクタブルの前端部であり、前記横断部分は、前記シートシェルの幅方向に沿って延び、さらに、前記2つの側面部分は、前記シートシェルの2つの側壁と枢動可能にそれぞれ接続され、それによって、前記前端部は、格納位置と展開位置との間で前記シートシェルに対して回転可能であり、前記前端部の横断部分は、前記格納位置において前記シートシェルの開口部の内側に少なくとも部分的に収容され受けられ、さらに、前記前端部の横断部分は、前記展開
位置において前記シートシェルの開口部の外側に延びる、リトラクタブルの前端部と、
前記展開位置において前記前端部をロックするためのラッチ機構と、
を含み、
前記2つの側壁のそれぞれが内部空洞を有し、前記2つの側面部分のそれぞれが結合端を有し、前記2つの側面部分の結合端は、前記2つの側壁の内部空洞の内側にそれぞれ配置され、前記2つの側壁と枢動可能にそれぞれ接続され、前記ラッチ機構は、前記2つの側面部分の結合端とそれぞれ接続された2つのラッチを含み、前記2つのラッチは、前記シートシェルと係合するか又は前記シートシェルから係合を解くために、前記前端部に対して移動可能であり、
前記シートシェルは、前記支持ベースに対して、前向きの位置、後ろ向きの位置、及び横向きの位置に調整可能であり、前記シートシェルが横向きの位置にあり、前記前端部が前記展開位置にある場合に、前記前端部は、前記支持ベースから第1の距離だけ横に突出し、さらに、前記シートシェルが横向きの位置にあり、前記前端部が前記格納位置にある場合に、前記前端部は、前記支持ベースから第2の距離だけ横に突出し、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも短い、チャイルドセーフティシート。
【請求項14】
前記第2の距離は、前記第1の距離の約半分以下である、請求項13に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項15】
前記前端部は、前記シート部分の上方に位置するピボット軸を中心として前記2つの側壁と枢動可能に接続されている、請求項13又は14に記載のチャイルドセーフティシート。
【請求項16】
前記2つの側面部分は、前記横断部分から互いに対称に曲げられている、請求項1314、又は15に記載のチャイルドセーフティシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年12月30日に出願された中国特許出願第201911396862.X号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、チャイルドセーフティシートに関する。
【背景技術】
【0003】
チャイルドセーフティシートは、典型的には、衝突事故の場合に子供を適切に押さえるために自動車において使用される。特に、チャイルドセーフティシートを後ろ向きの位置で設置することによって、子供の身体のより大きな領域(すなわち、子供の胴体及び頭部)にわたって衝突エネルギーを分散させるのが可能であるため、より良好な保護を提供することができるということが良く知られている。従って、安全対策の専門家及び自動車シートの製造業者は、通常、2歳になるまで後ろ向きの位置で子供を座らせることを推奨している。子供の年齢が上がるにつれて、チャイルドセーフティシートは、前向きの位置で設置されてもよい。
【0004】
一部の既存のチャイルドセーフティシートは、後ろ向きの位置と前向きの位置との間でチャイルドシートを回転して調整するのを可能にし、子供を降ろす又は乗せることを容易にするために、チャイルドシートを横向きの位置にさらに設定することができる。しかし、チャイルドセーフティシートの支持ベースは、通常、車両のドアから遠くない位置で車両の座席に取り付けられるため、チャイルドシートは、横向きの位置に向かって回転する場合に、不都合に車両のドアに衝突する可能性がある。
【0005】
従って、柔軟な調整を可能にし、少なくとも上述の問題に取り組むことができる改善されたチャイルドセーフティシートが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、より柔軟に調整可能であり、より便利な使用を提供することができるチャイルドセーフティシートを記載している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、チャイルドセーフティシートは、乗り物の座席に設置されるように適応した支持ベースと、支持ベース上に置くことができるシートシェルと、格納位置と展開位置との間でシートシェルに対して回転可能な前端部と、展開位置において前端部をロックするためのラッチ機構とを含む。シートシェルは、前端と、シート部分と、背もたれ部分と、2つの側壁とを有し、前端は開口部を有し、2つの側壁は、シート部分の左側及び右側においてそれぞれ突出し、それによって、子供を受けるための内部空間が、2つの側壁の間に少なくとも部分的に画定される。前端部は、横断部分及び横断部分と接続された2つの側面部分を有し、横断部分は、シートシェルの幅方向に沿って延び、2つの側面部分は、シートシェルの2つの側壁と枢動可能にそれぞれ接続されている。前端部の横断部分は、格納位置においてシートシェルの開口部の内側に少なくとも部分的に収容され受けられ、展開位置においてシートシェルの開口部の外側に延びる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】前向きの位置にあるチャイルドセーフティシートの一実施形態を例示した斜視図である。
図2】後ろ向きの位置にあるチャイルドセーフティシートを例示した斜視図である。
図3】横向きの位置にあるチャイルドセーフティシートを例示した斜視図である。
図4】チャイルドセーフティシートの支持ベースを例示した斜視図である。
図5】チャイルドセーフティシートのチャイルドシートを例示した斜視図である。
図6】チャイルドシートの一部の構造詳細を例示した部分分解図である。
図7】チャイルドシートのシートシェルの一部の内部構造詳細を例示した斜視図である。
図8】チャイルドシートを、その前端部が格納位置にある状態で例示した斜視図である。
図9】シートシェルが横向きの位置にあり、前端部が展開位置にあるチャイルドセーフティシートの構成を例示した概略図である。
図10】シートシェルが横向きの位置にあり、前端部が格納位置にあるチャイルドセーフティシートの構成を例示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~3は、異なる位置にあるチャイルドセーフティシート100の一実施形態を例示した斜視図である。図1~3を参照すると、チャイルドセーフティシート100は、支持ベース102と、支持ベース102上に配置されたチャイルドシート104とを含む。支持ベース102は、乗り物の座席に設置されるように適応し、チャイルドセーフティシート100に対して安定した支持を提供することができる。支持ベース102は、図1において示されている前向きの位置、図2において示されている後ろ向きの位置、及び図3において示されている横向きの位置等、異なる向きで支持ベース102上にチャイルドシート104を置くのに適した構造を有し得る。
【0010】
図1~3と関連して、図4は、支持ベース102を例示した斜視図である。図1~4を参照し、構成の一例によると、支持ベース102は、シェル本体106、回転プラットフォーム108、2つのラッチ装置110、及び支持脚112を含み得る。シェル本体106は、上方に突出する支持パネル114を形成する端部を有し得る。2つのラッチ装置110は、シェル本体106と共に組み立てることができ、支持パネル114に隣接してシェル本体106の左側及び右側に配置することができる。支持ベース102は、支持を提供するために、支持パネル114を乗り物の座席のシートバックに隣接させて乗り物の座席に設置することができ、2つのラッチ装置110は、乗り物に提供されたアンカー構造(例えば、ISOFIXアンカー等)と解放可能に係合して、乗り物の座席上の正しい位置において支持ベース102をロックすることができる。支持脚112はシェル本体106と、ラッチ装置110が提供された端部とは反対のその端部において接続することができ、シェル本体106の底部から下方に延びることができる。使用中、シェル本体106の底部から延びる支持脚112は、支持ベース102が設置されている乗り物の座席の前で乗り物の床に接触することができ、これによって、乗り物の前方へ向かうチャイルドセーフティシート100の不都合な回転を防ぐことができる。
【0011】
回転プラットフォーム108は、ピボット軸Zを中心としてシェル本体106と枢動可能に接続され、チャイルドシート104の設置を受けるように適応している。ピボット軸Zは、回転プラットフォーム108を垂直に通過することができ、垂直に又は垂直軸に対してわずかに傾斜した角度(例えば、約10度から約15度)で延びることができる。回転プラットフォーム108には、リリースアクチュエータ118と作動的に接続された複数のラッチ116を提供することができる。チャイルドシート104が回転プラットフォーム108に設置されると、チャイルドシート104と回転プラットフォーム108が互いにロックされるように、ラッチ116はチャイルドシート104と係合することができる。リリースアクチュエータ118は、チャイルドシート104を回転プラットフォーム108から取り外すために、ラッチ116を移動させて、チャイルドシート104から係合を解くように作動可能である。構成の一例によると、回転プラットフォーム108は、突出部分120を有してもよく、4つのラッチ116を突出部分120に提供することができる。
【0012】
それらが互いにロックされた後で、チャイルドシート104と回転プラットフォーム108は、シェル本体106に対してピボット軸Zを中心にして調和して回転することができ、それによってチャイルドシート104を異なる向きにおいて置くことができる。例えば、図1は、前向きの位置にあるチャイルドシート104と回転プラットフォーム108を例示し、図2は、後ろ向きの位置にあるチャイルドシート104と回転プラットフォーム108を例示し、図3は、横向きの位置にあるチャイルドシート104と回転プラットフォーム108を例示している。チャイルドセーフティシート100が乗り物の座席上に前向きの位置において設置されると、子供は、乗り物の前方方向に向いてチャイルドシート104に座ることができる。チャイルドセーフティシート100が、乗り物の座席上に後ろ向きの位置において設置されると、子供は、乗り物の座席のシートバックに向いてチャイルドシート104に座ることができる。チャイルドセーフティシート100が、横向きの位置において設定されると、子供は、乗り物のドアに向いてチャイルドシート104に座ることができる。前向きの位置と横向きの位置との間の角変位は、約90度であってよく、後ろ向きの位置と横向きの位置との間の角変位も、約90度であってもよい。
【0013】
支持ベース102は、チャイルドシート104と回転プラットフォーム108を前向きの位置、後ろ向きの位置、及び横向きの位置のいずれかにおいてロックするための複数のラッチ部(図示せず)を含んでもよい。例えば、回転プラットフォーム108との係合をロックするために上方に、及び、回転プラットフォーム108から係合を解くために下方に移動するように作動可能な複数のラッチ部と共にシェル本体106を組み立てることができる。
【0014】
図1~4と関連して、図5は、チャイルドシート104を例示した斜視図であり、図6は、チャイルドシート104の一部の構造詳細を例示した部分分解図である。図1~6を参照すると、チャイルドシート104は、シートシェル130と、リトラクタブルの前端部132とを含む。例えば、シートシェル130の底部構造を支持ベース102の回転プラットフォーム108と係合させることによって、シートシェル130を支持ベース102に設置することができる。それらが互いにロックされると、シートシェル130と回転プラットフォーム108は、図1の前向きの位置、図2の後ろ向きの位置、及び図3の横向きの位置等、異なる向きにシートシェル130を置くことができるように、シェル本体106に対して調和して回転することができる。
【0015】
シートシェル130は、前端134、シート部分136、背もたれ部分138、及び2つの側壁140を有し得る。シート部分136は、前端134と背もたれ部分138との間で延びることができ、2つの側壁140は、シート部分136から上方にその左側及び右側においてそれぞれ突出することができる。子供を受けるのに適したシートシェル130の内部空間を、2つの側壁140間に少なくとも部分的に画定することができる。
【0016】
各側壁140は中空構造を有してもよく、2つの対向する側壁表面142及び144、側壁の縁146、及び、2つの側壁表面142及び144の間の(図6~8においてより良く示されている)内部空洞148を含み得る。より具体的には、側壁表面142は、シートシェル130の内部空間に面することができ、側壁表面144は、シートシェル130の外側に面することができる。側壁の縁146は、シート部分136の上方に位置することができ、2つの側壁表面142及び144とそれぞれ接続することができ、側壁の縁146の前方部分が前方に面することができるように傾斜してシートシェル130の前端134まで延びることができる。側壁140の内部空洞148は、2つの側壁表面142及び144並びに側壁の縁146によって少なくとも部分的に境界を定めることができる。
【0017】
図5及び6を参照すると、シートシェル130の前端134は開口部150を有してもよく、これは、シートシェル130に対して横向きに延びることができ、2つの側壁140の内部空洞148とそれぞれ接続させることができる。前端部132は、シートシェル130と枢動可能に接続することができ、それによって前端部132は、展開位置と格納位置との間でシートシェル130に対して回転することができる。展開位置において、前端部132は、開口部150の外側に延び、前方及び下方に突き出ることができる。格納位置において、前端部132は、開口部150の内側に少なくとも部分的に収容され受けられ得る。より具体的には、前端部132は、横断部分152及び2つの側面部分154を有してもよく、横断部分152は、シートシェル130の幅方向に沿って延びている。構成の一例によると、横断部分152は、湾曲した形状を有し得る。2つの側面部分154は、横断部分152とそれぞれ接続することができ、横断部分152から互いに対称に曲がることができる。構成の一例によると、横断部分152及び2つの側面部分154を含む前端部132を、単一部品として一体的に形成することができる。
【0018】
前端部132の2つの側面部分154は、シートシェル130の2つの側壁140と枢動可能にそれぞれ接続されており、それによって前端部132は、展開位置と格納位置との間でシートシェル130に対して回転することができる。構成の一例によると、各側面部分154は、結合端156を有してもよく、結合端156は、側面部分154と固定して接続され、側面部分154から外側に突出することができる。2つの側面部分154の結合端156は、2つの側壁140の内部空洞148の内側にそれぞれ配置することができ、2つのピボットシャフト158を介して、2つの側壁140と枢動可能にそれぞれ接続することができる。その結果、前端部132は、ピボットシャフト158によって画定されるピボット軸Yを中心として、2つの側壁140と枢動可能に接続され、シート部分136の上方に位置することができる。各側面部分154は、側壁140に隣接する位置の内部空洞148の幅よりも小さい幅を有してもよく、それによって、前端部分132が格納位置にある場合に、側面部分154を、側壁140の内部空洞148内に少なくとも部分的に格納することができる。
【0019】
図5は、展開位置にあるチャイルドシート104の前端部132を例示している。展開位置では、前端部132の横断部分152は、シートシェル130の開口部150の外側に延びることができ、シート部分136の前に置かれ得る。さらに、前端部132の各側面部分154は、側面部分に隣接する側壁140に対して滑らかな輪郭延長部を形成することができ、輪郭延長部は、開口部150から前方及び下方に突出する。例えば、各側面部分154は前面160を有してもよく、全面160は、前方及び下方に傾斜し、それに隣接する側壁140の側壁の縁146から概ね滑らかな輪郭延長部を形成する。前端部132は、展開位置において子供の足又は脚に対する支持を提供することができる。
【0020】
図8は、格納位置にあるチャイルドシート104の前端部132を例示している。格納位置では、前端部132の横断部分152は、シートシェル130の開口部150の内側に少なくとも部分的に収容され受けられてもよく、より具体的には、シート部分136の上面136Aの下でシート部分136の中空内部に置くことができる。さらに、前端部132の2つの側面部分154は、2つの側壁140の内部空洞148の内側で少なくとも部分的にそれぞれ受けられてもよく、それによって、各側面部分154の前面160は、側面部分に隣接する側壁140の側壁の縁146に対して角度を形成し得る。
【0021】
図5及び6と関連して、図7は、シートシェル130の一部の内部構造詳細を例示した斜視図である。分かりやすくするために、図7は、前端部132の表示を省略している。図5~7を参照すると、チャイルドシート104は、展開位置において前端部132をロックするためのラッチ機構162をさらに含み得る。ラッチ機構162は、2つのラッチ164、2つのばね166、リリースアクチュエータ168、及び2つのケーブル170を含み得る。2つのラッチ164は、2つの側面部分154の結合端156とそれぞれ接続することができ、前端部132に対して移動して、シートシェル130と係合するか又はシートシェル130から係合を解くことができる。例えば、各ラッチ134は、展開位置において前端部132をロックするためにシートシェル130に提供されたロック用開口部172と係合することができ、ロック用開口部172は、例証的に、側壁140の内部空洞148の内側に配置することができる。構成の一例によると、各ラッチ164は、それに関連付けられた側面部分154の結合端156と摺動可能に接続することができ、シートシェル130と係合させるか又はシートシェル130から係合を解くために前端部132に対してスライドすることができる。2つのばね166は、2つのラッチ164とそれぞれ接続することができ、2つのラッチ164にそれぞれバイアスをかけて、シートシェル130と係合するように移動させることができる。リリースアクチュエータ168は、前端部132と共に組み立てることができ、2つのケーブル170を介して2つのラッチ164とそれぞれ接続することができる。構成の一例によると、リリースアクチュエータ168は、前端部132の横断部分152上に提供することができる。リリースアクチュエータ168は、2つのラッチ164を移動させて、シートシェル130から係合を解くように介護者によって作動可能であり、それによって、前端部132は、展開位置と格納位置との間の調整のためにロックを解除することができる。
【0022】
一実施形態によると、ラッチ機構162は、格納位置において前端部132をロックするようにさらに構成することができる。例えば、各ラッチ164は、格納位置において前端部132をロックするためにシートシェル130に提供された別のロック用開口部174と係合することができる。図1、3、5、6、及び8を参照すると、ロック用開口部174は、例証的に、側壁の縁146上に提供することができる。
【0023】
図1~8と関連して、図9は、シートシェル130が横向きの位置にあり、前端部132が展開位置にあるチャイルドセーフティシート100を例示した概略図であり、図10は、シートシェル130が横向きの位置にあり、前端部132が格納位置にあるチャイルドセーフティシート100を例示した概略図である。図9を参照すると、シートシェル130が支持ベース102上で横向きの位置にあり、前端部132が展開位置にある場合、前端部132は、支持ベース102から距離L1だけ横に突出することができる。より具体的には、支持ベース102の底面P上の前端部132の画像投影は、底面P上の支持ベース102の画像投影Bから距離L1だけ突出することができる。
【0024】
図10を参照すると、シートシェル130が支持ベース102上で横向きの位置にあり、前端部132が格納位置にある場合、前端部132は、支持ベース102から距離L2だけ横に突出することができ、前端部132の横断部分152は、概ね、シート部分136の中空内部に位置することができるため、距離L2は、距離L1よりも実質的に小さくすることができる。構成の一例によると、距離L2は、距離L1の約半分以下にすることができる。構成の別の例によると、シートシェル130が支持ベース102上で横向きの位置にあり、前端部132が格納位置にある場合、支持ベース102の底面P上の前端部132の画像投影は、底面P上の支持ベース102の画像投影Bの境界内にあってもよい。従って、チャイルドセーフティシート100が乗り物の内側で使用される場合、介護者は、第一に、前端部132を格納位置に調整し、次に、チャイルドシート104から子供を降ろすか又はチャイルドシート104に子供を乗せるために、チャイルドシート104を前向き又は後ろ向きの位置から横向きの位置まで回転させることができる。前端部132が格納位置にあると、チャイルドシート104が横向きの位置まで回転するときに、チャイルドシート104(特に、その前端部132)と乗り物のドアとの衝突を防ぐことができる。
【0025】
本明細書において記載される構造の利点は、必要に応じて異なる向きに調整可能であり、且つ、チャイルドセーフティシートの調整中に乗り物環境への望ましくない干渉を防ぐために格納可能な前端部を有するチャイルドセーフティシートを提供することができるということを含む。従って、チャイルドセーフティシートは、より柔軟で使用中便利であり得る。
【0026】
チャイルドセーフティシートの実現が、特定の実施形態に関して記載されてきた。これらの実施形態は、例示的であり、限定的ではないことを意図している。多くの変更、修正、追加、及び改善が可能である。これら及び他の変更、修正、追加、及び改善は、以下の特許請求の範囲において定められている本発明の範囲内にあり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10