(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】核磁気共鳴を使用する処置のための装置を調整する方法
(51)【国際特許分類】
A61N 2/02 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A61N2/02 Z
(21)【出願番号】P 2020500136
(86)(22)【出願日】2018-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2018067839
(87)【国際公開番号】W WO2019007912
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】102017114856.6
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518398936
【氏名又は名称】ムンターマン,アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ムンターマン,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】エッグ,マルギット
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-518145(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118535(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0145457(US,A1)
【文献】特表2015-515274(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014015198(DE,A1)
【文献】特表2001-520094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100589(US,A1)
【文献】特表平07-506754(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00005713(EP,A1)
【文献】国際公開第2015/157712(WO,A2)
【文献】特開2004-290629(JP,A)
【文献】特開2003-010230(JP,A)
【文献】特表2009-525141(JP,A)
【文献】特開2002-153268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/02-2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核磁気共鳴を用いる処置のための装置を調整する、特に較正する方法であって、細胞培養物又は使用者の細胞時計及び/又は使用者のクロノタイプに対する、前記核磁気共鳴を用いる処置の影響を決定することと、該決定に基づき、前記核磁気共鳴を用いる処置のための装置を設定することとを含む方法であって、
前記装置は、ヘルムホルツ配置で互いに面し、均一磁場を発生させるために使用される2つのコイルを含み、
核磁気共鳴を発生させるために、前記2つのコイルで発生させた均一磁場に対して垂直な交番磁場を照射する更なるコイルが用いられることを含む方法。
【請求項2】
前記設定は、処置持続時間、処置間隔、処置の時刻、磁場の変調周波数、及び磁場を用いる処置のための前記装置によって発生する磁場の磁場強度から選択される少なくとも1つを設定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設定は、特異的なタンパク質発現の最大若しくは最小、概日時計の位相シフトの最大若しくは最小、及び概日時計の同期から選択される少なくとも1つを達成するように、前記装置を調整する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記設定は、前記使用者のクロノタイプに基づいて行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記クロノタイプは、温度測定、血圧測定、皮膚抵抗の測定及び/又は心拍数の測定によって決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって調整された、核磁気共鳴を用いる処置のための装置であって、
前記装置は、ヘルムホルツ配置で互いに面し、均一磁場を発生させるように構成された2つのコイルを含み、
前記装置は、核磁気共鳴を発生させるために、前記2つのコイルで発生させた均一磁場に対して垂直な交番磁場を照射するように構成された更なるコイルを含む装置。
【請求項7】
核磁気共鳴を用いる処置のための装置を含む処置システムであって、
使用者のクロノタイプに対する、前記核磁気共鳴を用いる処置の影響を決定し、該決定に基づき、前記装置を設定することを特徴とし、
前記装置は、ヘルムホルツ配置で互いに面し、均一磁場を発生させるように構成された2つのコイルを含み、
前記装置は、核磁気共鳴を発生させるために、前記2つのコイルで発生させた均一磁場に対して垂直な交番磁場を照射するように構成された更なるコイルを含み、
前記処置システムは、使用者の前記クロノタイプを決定するセンサーを備える、処置システム。
【請求項8】
前記センサーは、使用者の体温、血圧、皮膚抵抗及び/又は心拍数を測定するように構成されている、請求項7に記載の処置システム。
【請求項9】
前記センサーは、前記装置の制御ユニットに無線でデータを送信するように構成されている、請求項7又は8に記載の処置システム。
【請求項10】
前記センサーは、外部ユニットの一部である、請求項7~9のいずれか一項に記載の処置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核磁気共鳴を使用する処置のための装置の調整、選択的制御、値収集、再調整、及び特に較正の方法に関する。本発明はまた、核磁気共鳴を使用する処置のための装置と、処置システムと、特に治療目的及び美容目的での核磁気共鳴の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
治療効果及び美容効果を達成するために核磁気共鳴装置を使用することが知られている。
【0003】
核磁気共鳴を用いるヒト又は動物の組織の処置における治療効果は、特許文献1(特許権者Axel Muntermann)においてすでに記載されている。
【0004】
商標名MBST(商標)で運用される治療装置は、処置ゾーンにおいて核磁気共鳴を達成するために、処置ゾーンにおいて、均一磁場強度を有する磁場に、垂直に照射される交番磁場が重ね合わされる装置である。核磁気共鳴は、交番磁場の周波数を垂直な均一磁場の磁場強度に適切に調整することにより、処置ゾーンにおいて発生させることができる。均一磁場の磁場強度は、変調周波数fmで変調され、したがって、基本量と可変変調量とから構成される。変調により、1周期に1回、ラーモア状態が達成され、その結果、処置容積において核磁気共鳴が周期的に発生する。
【0005】
基本静磁場B0の不均一性は、核スピン配向の反転をもたらす、断熱高速通過(AFP)経路を介して補償される。
【0006】
処置ユニットに導入される電子モニタリング電子回路を備えた受信コイルを使用して、核磁気共鳴処置場の適切な機能、処置パラメーター、処置領域における金属等の影響を与える干渉因子の補償、磁場強度及び体内に導入されるエネルギー線量の強度の変化、必要な共鳴状態並びに他の所定の重要な試験パラメーターを光学的にかつ音響的にモニタリングして、それらを品質、有効性及び安全に関する再調整プロセスに使用することができる。
【0007】
核磁気共鳴を使用する処置により、例えば皮膚の結合組織脆弱性及びセルライトの処置における美容効果とともに、骨の関節、臓器、靭帯、筋肉、腱の範囲内の細胞機能が乱れた又は変性した全ての領域における治療効果、並びに術後創傷治癒、皮膚火傷、骨に関連する代謝障害又は循環障害、骨折治癒等、及び他の再生領域における両方の効果を達成できることがわかった。
【0008】
身体自体のシグナル及び電気的過程は、科学においてますます重要になってきている。最初のシグナルは、例えば、ECG又はEEGである。
【0009】
研究により、細胞再生領域(ATP)における圧電過程は、乱れた細胞機能を補償又は維持するために絶対的に必要であることが示されている(非特許文献1)。
【0010】
これら圧電過程がない場合、又は不十分にしか生成されない場合(押引過程による運動エネルギーの欠如)、変性効果が発生し、この変性効果は、注入される核磁気共鳴磁場によって非常に有効にかつ効率的に補償することができる。
【0011】
このことに対する基本は、選択された細胞群(軟骨、骨、皮膚、臓器細胞等)の再生部位と共鳴する伝導経路に従うことである。
【0012】
研究により、核磁気共鳴技法のモニタリング及び制御電子回路を利用して、核磁気共鳴処置の後の細胞の酸素濃度(低酸素)及びATPを非常に著しく増大させ(非特許文献1を参照)、かつ、制御パターンに応じて細胞分裂速度を加速させるか又は減速させることができることの証拠が提供された(非特許文献2)。
【0013】
核磁気共鳴を使用する目標とされる処置成功のための決定的な因子は、再生すべき個々の細胞群の細胞共鳴窓の正確な決定である。
【0014】
異なる細胞群は、異なる低周波数共鳴応答パターンを有し、このことが、核磁気共鳴を用いる処置において利用される。
【0015】
核磁気共鳴を用いる現処置の1つの焦点は、関節症、骨粗鬆症並びにスポーツ損傷及び事故損傷等、筋骨格系の変性変化が起こっている疼痛患者である。
【0016】
例えば、文献:非特許文献3は、MBST(商標)核磁気共鳴療法を用いる処置によるリウマチ患者における疼痛症状の著しい改善について記載している。
【0017】
MBST(商標)治療システムは、診断に使用されるイメージング核磁気共鳴断層撮影装置より低い磁場強度で動作する。しかしながら、意外なことに、低磁場強度で作動するこの種のシステムによって、良好な処置成功を正確に達成することができることがわかった。
【0018】
処置の効力は、特に、均一磁場の変調周波数、処置の回数、処置の持続時間、及び複数回の処置の間の期間である間隔にもよることが更にわかった。
【0019】
適応症に応じて、こうしたパラメーターを最初に経験的に決定し、最適な処置パラメーターを決定及び検証することで、MBST(商標)療法の有効性を更に向上させかつ適用される適応症の範囲を拡張してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【非特許文献】
【0021】
【文献】Steinecker-Frohnwieser B, Weigl L, Weberhofer G, Kullich W, Kress HG著、「The Influence of Nuclear Magnetic Resonance Therapy (NMRT) and Interleukin IL1-b Stimulation on Cal 78 Chondrosarcoma Cells and C28/I2 Chondrocytes」J Orthopedics Rheumatol. 2014; 1(3):9
【文献】N. Budny; Com. Director Prof. Dr. med. D. Palmes, Prof. Dr. med. Dipl.-Ing.HU Spiegel; Inaugural dissertation to obtain the doctor rerum medicinalium from the Medical Faculty of the Westphalian Wilhelms-University in Munster, clinic for General and Visceral Surgery, Department of Surgical Research, University Hospital Munster, Germany; October 2015
【文献】Kullich W., J. Overbeck, H.U. Spiegel著、(2013)「One-year-survey with multicenter data of more than 4,500 patients with degenerative rheumatic diseases treated with therapeutic nuclear magnetic resonance」J Back Musculoskelet Rehabil 26, 93-104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
この背景を考慮して、本発明は、核磁気共鳴を使用する処置のための装置を、適応症に応じて、装置のパラメーターをより単純かつより有効な方法でより正確に設定するのを可能にする、特に目標とされる制御、値収集、再調整及び較正に関して調整する方法を、提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、独立請求項のうちのいずれか一つに記載される、核磁気共鳴を用いる処置のための装置を調整する方法、特に較正する方法により、処置システムにより、及び核磁気共鳴の使用により、すでに達成されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】内部時計の発振を表す、経時的にプロットされた、内部時計の中枢フィードバックループからの代表的な遺伝子のmRNAコピーの数を示す図である。クリプトクローム1、ピリオド1、ピリオド2及びクロック1の発振を示す。シャム処置細胞と、各事例において同時刻に連続した4日間において1時間、核磁気共鳴を用いて処置された細胞との発振の比較を示す。位相シフトを明確に見ることができ、それは、ピリオド1遺伝子及びクリプトクローム1遺伝子の場合に著しい(コサイナーフィット(cosinor fit)分析、GraphPad Prism 6.0)。
【
図2】シャム処置細胞と、同時刻に連続した4日間において1時間、核磁気共鳴を用いて処置された細胞との低酸素シグナル伝達経路からのhif-1α及びhif-3αのmRNA濃度の変化(A及びE)と、同じ処置方式によるゼブラフィッシュ幼生全体におけるhif-1α及びhif-3αのmRNA発振の選択的同期(B及びF)とを示す図であり、一方、hif-2αは、細胞及びゼブラフィッシュ幼生全体においてともに影響を受けないままである(
図2、C及びD)。
【
図3】一方では4回繰り返された1時間処置の後(A)、他方では1回の4時間処置の後(B)に、核磁気共鳴によって達成された、ゼブラフィッシュ細胞における概日hif-1タンパク質振動の同期を示す図である。
【
図4】酸化ペルオキシレドキシン(A)、フリー酸素ラジカル(B)及びhif-1αタンパク質(C)の線量依存的に低減した量を示す図である。4時間処置により、1時間のみの処置と比較して、タンパク質の量及びフリー酸素ラジカルの量がそれぞれ低減する。
【
図5】核磁気共鳴を使用する処置のための装置を調整する方法の概略フローチャートである。
【
図6】核磁気共鳴を使用する処置のための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の好ましい実施形態及び改良形態(refinements)は、従属請求項の主題、説明及び図面によって指定される。
【0026】
本発明は、核磁気共鳴を使用する処置のための装置を調整する、特に、選択的制御、値収集、再調整のための方法、特に、そうした装置を較正する方法に関する。
【0027】
本発明は、特に、50ガウス未満、最も好ましくは30ガウス未満の磁場強度と、100Hz未満の変調周波数fmとで磁場を発生させる核磁場共鳴を発生させる装置に関する。
【0028】
垂直に照射される交番磁場の周波数は、好ましくは、100kHz未満であり、最も好ましくは50kHz未満である。
【0029】
変調周波数fmは、好ましくは1Hz~100Hzである。
【0030】
本発明によれば、使用者の細胞時計(cellular clock)及び/又は使用者のクロノタイプに対する、核磁気共鳴を使用する処置の影響が決定され、核磁気共鳴を使用する処置のための装置は、この決定に基づいて調整される。
【0031】
本発明によれば、ヒト細胞培養物又は動物起源の細胞培養物に、核磁気共鳴を用いる処置を施すことも可能であり、細胞培養物の細胞の細胞時計に対する、核磁気共鳴を用いる処置の影響が決定される。
【0032】
特に、肝臓細胞又は軟骨細胞等のヒト起源の細胞培養物を使用することができる。
【0033】
肝臓再生の分野における研究により、処置パラメーターを変更することによって細胞分裂速度を減速も加速もともに行うことができることが示された(非特許文献2を参照)。細胞分裂中、細胞分裂、したがって再生を実質的に加速させることができるメッセンジャー物質が観察された。
【0034】
装置を調整する、特に較正するために、それぞれの細胞タイプの概日時計(circadian clock)に対する、核磁気共鳴を用いる処置の影響が決定される。この目的で、処置を実行するために使用されるパラメーターが変更され、処置のためのパラメーターは、概日時計に対するそれらの影響に応じて設定される。
【0035】
さらに、光を受けて生きている全ての有機体、したがってヒトも内部概日時計を有しており、これにより転写過程及び代謝過程を介して、細胞レベルで数日間、光等の外部刺激なしに時間知覚を維持することができることが知られている。この概日時計は、低酸素シグナル伝達経路に相互に関連する。低酸素誘導因子1(Hif-1α)は、特に、エリスロポエチンの発現、及び低酸素濃度に応じた大きな代謝の変化の原因であることが知られており、特に、ここではグルコース代謝について言及することができる。
【0036】
さらに、Hif-1によって調節され、多くの細胞回路において、例えば、細胞増殖、アポトーシス又は血管新生において役割を果たす遺伝子が数多く存在する。
【0037】
これに関して、特に以下の刊行物を参照されたい。
【0038】
Egg, M.; Paulitsch, M.; Ennemoser, Y.; Wustenhagen, A.; Schwerte, T.; Sandbichler, A. M.; Fiechtner, B.; Koblitz, L.; Prem, C.; Pelster, B.著、(2014)「Chronodisruption increases cardiovascular risk in zebrafish via reduced clearance of senescent erythrocytes」CHRONOBIOLOGY INTERNATIONAL 31/5, pp. 680 - 689. (DOI)
【0039】
Egg, M.; Koblitz, L.; Hirayama, J.; Schwerte, T.; Folterbauer, C.; Kurz, A.; Fiechtner, B.; Most, M.; Salvenmoser, W.; Sassone-Corsi, P.; Pelster, B.著、(2013)「Linking oxygen to time: The bidirectional interaction between the hypoxic signaling pathway and the circadian clock」CHRONOBIOLOGY INTERNATIONAL 30/4, pp. 510 - 529
【0040】
Pelster, B.; Egg, M.著、(2015)「Multiplicity of Hypoxia-Inducible Transcription Factors and Their Connection to the Circadian Clock in the Zebrafish」PHYSIOLOGICAL AND BIOCHEMICAL ZOOLOGY 88/2, pp. 146 - 157. (DOI)
【0041】
Sandbichler, A.M.: Jansen, B.; Peer, B.A.; Paulitsch, M.; Pelster, B.; Egg, M.著、(2018)「Metabolic Plasticity Enables Circadian Adaptation to Acute Hypoxia in Zebrafish Cells」CELLULAR PHYSIOLOGY AND BIOCHEMISTRY 46/3, pp. 1159 - 1174. (DOI)
【0042】
哺乳動物において、したがってヒトにおいても、概日時計は、階層的に構造化されており、視交叉上核(SCN)として知られる視床下部に位置する領域と、臓器特異的及び/又は組織特異的である末梢時計と、有機体の全ての細胞に存在し、概日時計は、SCNによって末梢時計と合せて調整される細胞時計とを含む。内部時計の外部昼夜リズムとの同期は、主に、光の光子からの情報を介して起こる。光の光子は、眼の網膜を通ってSCNに伝送され、そこでニューロン及び体液性両方の変化をもたらす。ヒトを含む、光を受けて生きている全ての有機体において、多くの生理学的過程は、概日的に調節される。これらの生理学的過程には、特に、体温、血圧、皮膚抵抗及び心臓活動とともに、ホルモン分泌又は臓器特異的な活動(肝臓、腎臓、心臓等の活動は、それぞれの特異的な昼夜リズムを受ける)が含まれる。外部昼夜リズムと同期される概日リズムは、有機体にとって有利であり、(交代勤務、時差ぼけ又は睡眠障害によってもたらされる)この同期の長期の障害は、心血管疾患、ホルモン誘発性腫瘍、糖尿病、肥満だけでなく、関節症等の疼痛及び炎症性疾患等のあらゆる疾患の発現の原因となる。
【0043】
細胞概日時計の簡略化された分子機構は、いくつかのフィードバックループから構成され、それらフィードバックループのうちの中枢フィードバックループについて以下に説明する。
【0044】
中枢負フィードバックループにおいて、脳及び筋肉ARNT様タンパク質(Brain and Muscle ARNT-like protein)(Bmal1)と「概日運動器出力サイクル異常1(Circadian locomotor output cycles kaput 1)」(Clock1)タンパク質とは、二量化し、それらの拮抗物質(antagonists)のDNAにおけるE-boxプロモーター要素、ピリオド遺伝子(genes Period)(Per1~3)及びクリプトクローム(Cry1/2)に結合する。結果として、これらの遺伝子のmRNAの発現、したがってそれらのタンパク質生成物の発現も、細胞質において増加し、そこで両タンパク質は、互いに付着して二量化する。そこから、それらは再度、細胞核内に移動し、そこで、タンパク質複合体は、Clock/Bmal1の遺伝子発現を阻止する。負フィードバックループは、カゼインキナーゼIε(CKIε)によるPER/CRY複合体のリン酸化と後続するプロテアソームにおける分解とによって完了する。
【0045】
この中枢フィードバックループを代表するものとしてよく知られているものとしては、「時計遺伝子」clock1、bmal1、per1、per2、cry1及びcry2が挙げられる。
【0046】
分子レベルで、低酸素シグナル経路は、例えばゼブラフィッシュ及び哺乳動物において、内部時計と密接に絡み合っている。そのため、2つのシグナル経路は明らかに非常に保存されている過程であるため、ヒトにおける両シグナル経路の既存の相互作用に関して推断することも許容される。そして、低酸素シグナル経路はまた、概日時計のように、多くのヒト疾患においても中心的な役割を果たす。特に、本明細書では、組織における酸素飽和度の低下に関連する疾患、例えば心臓発作若しくは脳卒中、又は他にも関節等における通常の生理学的条件下で酸素飽和度の低下が必要とされる疾患について言及することができる。特に、本明細書では、変形性関節症について言及し、実際に、変形性関節症の発症及び進行に対する低酸素シグナル伝達経路の重要性は、研究され何度か述べられてきた。
【0047】
低酸素下で細胞代謝を調節及び調整する生物学的に必要なタンパク質は、低酸素誘導因子(Hif)群からの転写因子であり、その最も重要な代表はHif-1αである。
【0048】
両シグナル伝達経路、すなわち概日時計及び低酸素シグナル伝達経路は、利用可能な量のフリー酸素ラジカル(ROS)に更に相互に依存し、フリー酸素ラジカル(ROS)は、さらに、例えば、カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等の様々な酸素による酸素ラジカルスカベンジャー(抗酸化物質)により、又は、低分子量タンパク質であるペルオキシレドキシン(PRX)として知られるもの(それら自体も概日の酸化還元周期を受ける)により、生理学的条件の下で非常に厳密に区分化され(compartmentalized)かつ調節される。炎症過程における及び自然な細胞老化過程におけるフリー酸素ラジカル(ROS)の役割は、すでに徹底的に考察されかつ述べられており、依然として最新の研究の焦点である。
【0049】
ここで、核磁気共鳴を使用する処置により、例えば、ゼブラフィッシュの線維芽細胞株Z3の、概日ピリオド1及びクリプトクローム1遺伝子の発振の位相が著しくシフトすることがわかった。この位相シフトは、光が完全に排除された状態で発生する(
図1を参照)。さらに、mRNAレベルにおけるhif-1α及びhif-3α等の酸素調節遺伝子の発現は、細胞及びゼブラフィッシュ幼生全体において著しく変化し(
図2のA、B、E及びF)、一方でアイソフォームhif-2αは全く影響を受けず(
図2のC及びD)、これも、HIFアイソフォームに対する核磁気共鳴の特異的なかつ選択的な影響に対する指標である。hif-1αタンパク質レベルで、細胞培養物において、タンパク質の概日リズムに対する核磁気共鳴の明確な同期効果を見出すことができ(
図3のA及びB)、これは、1回の4時間の処置、及び1時間処置の4回の繰返しのどちらでも発生する。さらに、酸化ペルオキシレドキシン(PRX)、フリー酸素ラジカル及びHIF-1タンパク質の量(
図4のA、B及びC)は、時刻及び線量に応じて、同じ方向に調節され、この場合では低減する。
【0050】
この新しい知識により、改善された処置成功を達成することができるように、核磁気共鳴を得る装置を調整及び採用することができる。
【0051】
例えば、マイクロコンピューターチップカードを使用して、記憶された処置シーケンスを、チップカードリーダーを介して制御ユニットに入力し、核磁気共鳴処置の厳密なかつ正確な実行を確実にすることができる。
【0052】
例えば、チップカードに記憶することができる複数の任意選択的な連続する処置時間間隔により、処置装置に関する最適な制御仕様が確保される。
【0053】
マイクロコンピューターチップカードにおけるシーケンス、処置手順及び処置時間は、処置時間中に共鳴効果を開始するように選択的に変更することができる。これは、細胞の概日時計の再同期をトリガーするために非常に重要である。
【0054】
処置ユニットに導入され電子モニタリング電子回路を含む受信コイルを、核磁気共鳴処置場の適切な動作、処置パラメーター、磁場強度及び強さの変化、体内に導入されるエネルギー線量、必要な共鳴条件、及び他の所定の決定的な検証パラメーターを、光学的にかつ音響的にモニタリングするために使用することができ、品質、有効性及び安全に関する再調整プロセスに使用することができる。
【0055】
処置パラメーターを最適化するこの再調整は、フィードバックループを通して実施することができる。
【0056】
更なるモニタリング電子回路は、代謝変化を特定するために、かつそうした変化を、処置手順の制御電子回路の制御及びモニタリングプロセスにおいて最適化パラメーターとしてみなすために、皮膚の領域における温度変化を測定及びモニタリングする。
【0057】
装置は、特に、細胞概日時計の同期を達成するような方法でパラメーター化及び使用することができる。これにより、処置の有効性、特に、変形性関節症患者に対する処置の有効性が向上する。
【0058】
特に、処置の時間、処置の持続時間、処置間隔、すなわち処置間の期間、断熱周期に対する磁場の変調周波数、及び/又は磁場を用いる処置のための装置によって発生する磁場の磁場強度が、細胞時計のそれぞれの位相に応じて調整される。
【0059】
処置間隔に関して、処置は、本発明の1つの実施形態によれば、12時間又は24時間リズム±2時間で実施される。他の処置間隔も可能である。
【0060】
この目的で使用される装置は、好ましくは、処置持続時間、変調周波数fm及び/又は処置間隔等のパラメーター化データとともに、患者データを記憶する、メモリを含む。
【0061】
このことに基づき、装置に処置計画を記憶することができ、その結果、装置は、処置が、記憶された処置計画に従って実施される場合にのみ、処置を実施することになる。
【0062】
本発明によれば、装置の較正に関して、使用者の個々の概日時計、すなわちクロノタイプが考慮される。
【0063】
基本的に、ヒトには2つのクロノタイプ(それらの間に中間型がある)、すなわち、朝型(「ひばり」)として知られる一方と、夜型(「ふくろう」)として知られる他方とがあり、それらは、生理学的にすでに特徴付けられている。
【0064】
特にこの目的に好適なのは、使用者の個々の概日時計を表すために、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間の期間にわたる体温、心拍数、皮膚抵抗及び/又は血圧の測定である。
【0065】
特に、これに基づき、処置間隔及び/又は処置の最適な時刻を決定することができる。
【0066】
本発明は、さらに、上述した方法によって調整される、核磁気共鳴を使用する処置のための装置に関する。
【0067】
本発明は、さらに、核磁気共鳴を使用する処置のための装置を備える処置システムに関する。処置システムは、使用者のクロノタイプを決定する手段、特にセンサーを備える。
【0068】
本発明の1つの実施形態によれば、センサーは、使用者の体温、血圧、皮膚抵抗及び/又は心拍数を測定するように構成される。
【0069】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも48時間の期間にわたり体温、皮膚抵抗及び心拍数を測定する、結合されたセンサーを提供する。
【0070】
別の実施形態では、皮膚抵抗は、この期間にわたり、好ましくは排他的に測定される。これに関して、Vidacek他著、「Personality differences in the phase of the circadian rhythms: a comparison of morningness and extraversion」ERGONOMICS 1988, Vol. 31, No. 6, 873-888を参照されたい。この文献から、クロノタイプを決定するために皮膚抵抗のみを使用することができることがわかる。
【0071】
測定値に基づき、センサーが配置されている外部ユニットにおいて、又は、核磁気共鳴を発生させる装置の制御ユニットにおいて、又は別の外部コンピューターユニットにおいて、クロノタイプを測定することができる。
【0072】
非常に重要なことは、核磁気共鳴を発生させる装置の制御ユニットに、使用者のクロノタイプに関する情報が提供されるということである。
【0073】
1つの実施形態によれば、センサーは、装置の制御ユニットにデータを無線で送信する。
【0074】
別の実施形態によれば、センサーを備える外部ユニットにおいて測定されたデータが記憶され、装置に外部ユニットを接続することによって特に装置の制御ユニットに該データが転送される。
【0075】
使用者のクロノタイプに関する情報は、外部メモリに記憶することができるが、核磁気共鳴を使用する処置のための装置の制御ユニットのメモリにも記憶することができる。
【0076】
核磁気共鳴を発生させる装置は、好ましくは、リムーバブルメモリを通して、特に、メモリを備える複合マイクロプロセッサチップカードを通して制御される。これを使用して、変更可能なタイミングでの複数のプログラム可能なプログラムステップを介して、概日時計を再度トリガーする生物学的過程が開始される。
【0077】
処置手順は、好ましくは自動化され、事前定義されたタイミングで複数のプログラムステップを通して実行する。
【0078】
処置データ及び処置時間は、好ましくは、停電の場合に処置の中断又はエラー(corruption)なしに処置を継続することができるようにするために、制御ユニットにバッファーに格納される(buffered)。
【0079】
別の実施形態では、生物学的かつ電気的患者データは、患者に対する治療の前にセンサーを用いて測定され、記憶され、その後、参照又は処置の基礎として処置プロセスのために直接使用され、又は、治療を開始する前に制御ユニットに入力される。
【0080】
装置を調整するために、センサーからのデータを介して、使用者の個々の概日時計を考慮することができる。特に、処置時間、処置持続時間、処置間隔及び/又は変調周波数fmは、センサーから転送されたデータに応じて事前に決定することができる。
【0081】
本発明は、使用者の細胞の概日時計を同期させ及び/又はリクロックするための核磁気共鳴の使用に関する。特に、ピリオド1及びクリプトクローム1 mRNA発振の位相を、選択的な核磁気共鳴処置によってシフトさせて、それにより概日時計を同期させることができることがわかった。さらに、細胞レベルでのHIF-1αタンパク質の概日振動も、核磁気共鳴によって同期する。さらに、HIF-1、PRXにおいて、かつフリー酸素ラジカルの量において、時間及び線量に依存する変化をもたらすことができ、ヒトの病態生理に関するこのことの重要性については、すでに言及している(上記を参照)。
【0082】
本発明による核磁気共鳴の使用は、排他的に美容処置、特に、セルライトの処置に関するとともに、治療処置、特に術後処置に関する。
【0083】
核磁気共鳴方法は、骨の関節、臓器、靭帯、筋肉、腱の領域における、術後創傷治癒、皮膚火傷、骨の領域における代謝障害又は循環障害、骨折治癒等におけるとともに、他の再生領域における、細胞機能が乱れた又は変性した状況において、非常に効率的にかつ高度に有効に適用することができる。
【0084】
所望の目的に応じて、核磁気共鳴を使用する処置のパラメーター、特に、処置の時刻、処置間隔、処置持続時間及び/又は変調周波数fmは、最大の位相シフト若しくは最小の位相シフト、又は概日時計のあり得る最適な同期がもたらされるように、設定され又は入力される。
【0085】
ここで、
図1~
図5の図面を参照して、本発明の主題についてより詳細に説明する。
【0086】
図1は、内部時計の発振を表す、経時的にプロットされた、内部時計の中枢フィードバックループからの代表的な遺伝子のmRNAコピーの数を示す図である。クリプトクローム1、ピリオド1、ピリオド2及びクロック1の発振を示す。シャム処置細胞と、各事例において同時刻に連続した4日間において1時間、核磁気共鳴を用いて処置された細胞との発振の比較を示す。位相シフトを明確に見ることができ、それは、ピリオド1遺伝子及びクリプトクローム1遺伝子の場合に著しい(コサイナーフィット(cosinor fit)分析、GraphPad Prism 6.0)。
図2は、シャム処置細胞と、同時刻に連続した4日間において1時間、核磁気共鳴を用いて処置された細胞との低酸素シグナル伝達経路からのhif-1α及びhif-3αのmRNA濃度の変化(A及びE)と、同じ処置方式によるゼブラフィッシュ幼生全体におけるhif-1α及びhif-3αのmRNA発振の選択的同期(B及びF)とを示す図であり、一方、hif-2αは、細胞及びゼブラフィッシュ幼生全体においてともに影響を受けないままである(
図2、C及びD)。
図3は、一方では4回繰り返された1時間処置の後(A)、他方では1回の4時間処置の後(B)に、核磁気共鳴によって達成された、ゼブラフィッシュ細胞における概日hif-1タンパク質振動の同期を示す図である。
図4は、酸化ペルオキシレドキシン(A)、フリー酸素ラジカル(B)及びhif-1αタンパク質(C)の線量依存的に低減した量を示す図である。4時間処置により、1時間のみの処置と比較して、タンパク質の量及びフリー酸素ラジカルの量がそれぞれ低減する。
図5は、核磁気共鳴を使用する処置のための装置を調整する方法の概略フローチャートである。
図6は、核磁気共鳴を使用する処置のための装置の概略図である。
【0087】
ここで、
図1~
図6のグラフを参照して、様々な生物学的パラメーターに対する核磁気共鳴を使用する処置の影響について説明する。
【0088】
図1及び
図2の各々において、x軸は時刻を表し、y軸は、16ngの全RNAに基づくmRNAコピーの特定の数を表す。各事例において、シャム処置対照群が、各事例において連続した4日間、1時間にわたってMBST(商標)治療装置を用いて処置された細胞培養物と比較されている。処置は1日の同じ時刻に行った。
【0089】
この目的で、ゼブラフィッシュ線維芽細胞の細胞培養物を使用した。
【0090】
図1は、クリプトクローム1、ピリオド1、ピリオド2及びクロック1遺伝子のmRNA発振を示す。
【0091】
ピリオド1及びcry1遺伝子の概日mRNA発振が、シャム処置対照細胞と比較して、約2時間シフトしていることを見ることができる。したがって、これらの遺伝子発振の位相は、外部の光の影響なしに正常にシフトした。処置群の著しい差が明らかであり、これは、コサインカーブフィット(Graphpad Prism6)によって統計的に証明された。
【0092】
図2は、1日の過程にわたるhif-1α、hif-2α及びhif-3α遺伝子のmRNA量を示す。
【0093】
アイソフォームhif-1α及びhif-3αは、細胞レベルで(A及びE)並びに有機体全体において(B及びF)、核磁気共鳴によって選択的に制御され、一方で、hif-2αは、細胞及びゼブラフィッシュ幼生全体においてともに影響を受けないままであることを見ることができる。
【0094】
図3は、1日の過程にわたる細胞のhif-1αタンパク質の量を示す。核磁気共鳴が、両処置変形(4時間にわたる1回の処置[B]と比較して4回の1時間[A])においてhif-1αタンパク質発現の概日リズムの同期をもたらすことを見ることができる。
【0095】
図4は、線量に対する核磁気共鳴の影響の依存性を示し、1時間のみの1回の処置と対照的に、4時間の1回の処置のみが、酸化Prx(A)、フリー酸素ラジカル(B)及びhif-1α(C)の量の著しい低減を示す。
【0096】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、核磁気共鳴を使用する処置のための装置を調整する方法のフローチャートである。
【0097】
第1に、皮膚抵抗、血圧、体温及び/又は心拍数を通して、患者の内部時計の位相が決定され、すなわち、個々のクロノタイプが決定される。これに基づき、クロノタイプの機能に応じて、処置持続時間、一続きの処置の時間間隔、処置のための日中時間帯(day time window)、及び/又は核磁気共鳴を用いる処置のための装置の変調周波数fmが設定される。
【0098】
この設定に基づき、複数の処置が実行される。これらは、治療処置又は美容処置であり得る。
【0099】
図6は、核磁気共鳴を用いて使用者に処置を施す本発明によるシステム6の概略図である。システム6は、処置すべき組織において核磁気共鳴を発生させる装置1を備える。
【0100】
ここでは概略的に示す装置1は、コイル2及びコイル3を備え、コイル2及びコイル3は、ヘルムホルツ配置で互いに面し、指示されるx軸の方向に沿って延在する均一磁場を発生させるために使用される。
【0101】
核磁気共鳴を発生させるために、コイル2及びコイル3によって発生する均一磁場に対して垂直に、コイル4によって交番磁場が照射される。
【0102】
その周波数は、ラーモア状態が達成されるように調整される。
【0103】
さらに、コイル2及びコイル3によって発生する均一磁場は、基本量と、変調周波数fmによって例えば矩形状で変調される変調量とからなる。
【0104】
変調により、処置容積内で、各周期中に少なくとも1回、共鳴状態が発生する。
【0105】
装置1は、使用者データ、処置の持続時間、処置間隔及び/又は変調周波数fmに関するデータを記憶するメモリを備える。
【0106】
処置の時間窓(time window)、処置持続時間、処置間隔及び/又は変調周波数は、処置が施される人のクロノタイプの機能に応じて実施される。
【0107】
本発明によれば、システム6は、使用者のクロノタイプを決定する手段を備える。
【0108】
本事例では、これは、使用者に取り付けることができる外部ユニットの一部を形成し、装置1の制御ユニットに好ましくは無線でデータを転送する、センサー5である。これはまた、例えばインターネットを介して達成することもできる。
【0109】
例えば、センサー5は、少なくとも24時間の期間にわたり、心拍数、体温又は皮膚抵抗を測定することができる。測定値に基づき、それぞれの使用者のクロノタイプが決定される。
【0110】
このとき、使用者の概日時計の位相に応じて、最適化された処置パラメーターを含む処置プロファイルを、好ましくは装置の制御ユニットによって自動的に確立することができる。
【0111】
これは、特に、処置が実施される時刻に適用される。
【0112】
装置1は、好ましくは、上述したデータを含むメモリも備える装置制御ユニットを備え、装置の制御ユニットは、例えば、計算プログラムに基づき、又はデータベースに基づき、最適化された処置パラメーターを好ましくは自動的に計算し、それらをそれぞれの使用者データに関連してメモリに記憶する。
【0113】
そうしたデータに基づく処置装置のパラメーターの設定により、核磁気共鳴を用いる処置の有効性を簡単な方法で向上させることができる。
【0114】
マイクロコンピューターチップカードは、記憶された治療シーケンスをチップカードリーダーを介して制御ユニットに入力するために使用され、それにより、MBST(商標)核磁気共鳴処置の目標とされる、かつ適切な実行が確実になる。
【0115】
マイクロコンピューターチップカードにおけるシーケンス、処置手順及び処置時間は、処置持続時間中に共鳴効果を開始するために、選択的に変更し、検証し、再調整することができる。
【0116】
これは、細胞のATP及び低酸素レベルの非常に著しい増大のために、かつ細胞の概日時計の再同期をトリガーするために、非常に重要である。
【0117】
研究により、免疫システムの防御を促進することができ、それによって細胞機能の変性をなくすことができることが示された。