(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】センサ対応創傷被覆材のセンサ監視領域の制限
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20230228BHJP
A61B 5/053 20210101ALI20230228BHJP
A61M 27/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
A61F13/02 D
A61F13/02 A
A61B5/053
A61M27/00
(21)【出願番号】P 2020500718
(86)(22)【出願日】2018-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2018070114
(87)【国際公開番号】W WO2019020666
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-19
(32)【優先日】2017-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ケネス・フレイジャー・グルージョン・ハント
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス・クラレンス・キンタナル
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-532642(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046058(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/025553(WO,A1)
【文献】特表2018-527070(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081580(US,A1)
【文献】特表2014-507961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00-13/02
A61B5/00、5/053-5/0538
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷接触層を含む創傷被覆材と、
前記創傷接触層の上またはその中に組み込まれた1以上のセンサであって、基材によって支持される、1以上のセンサと、
前記基材によって支持されるマスク層であって、前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられた時に、1以上の前記センサによる前記創傷から離れる方向における感知を制限するように構成される、マスク層と、を含
み、
1以上の前記センサが、前記基材のうち前記マスク層と同じ側面上に位置付けられ、かつ、絶縁体層を介して前記マスク層によって覆われている、創傷モニタリング装置。
【請求項2】
1以上の前記センサからの出力信号が、前記創傷の組織または前記創傷の周りの組織が生きているか死んでいるかを判定するのに使用可能である、請求項1に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項3】
1以上の前記センサがインピーダンスセンサを含む、請求項1または請求項2に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項4】
前記インピーダンスセンサが、絶縁体によって前記創傷から分離され、前記創傷に直接接触することなく前記創傷のインピーダンスを測定するように構成される、請求項3に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項5】
1以上の前記センサが駆動パッドおよび測定パッドを含み、前記マスク層が、1以上の前記センサの断面を見た時に、前記駆動パッドの中心と前記測定パッドの中心とを結ぶ線に平行な方向に延在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項6】
前記マスク層が、接地に接続されるのではなくフローティングしている、請求項1~5のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項7】
前記マスク層がフローティングしているのではなく接地に接続される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項8】
前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられる時、前記マスク層が、1以上の前記センサが、前記創傷被覆材のうち前記創傷から反対の側面上に位置付けられた組織を感知するのを防止するように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項9】
前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられる時、前記マスク層が、1以上の前記センサによる前記創傷に向かう方向の感知を許容するように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項10】
前記基材が実質的に可撓性のプリント回路を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【請求項11】
ハードウェアプロセッサをさらに備え、
前記ハードウェアプロセッサが、
1以上の前記センサからの出力信号から前記創傷の特性を判定し、
前記特性に応答してアラームを作動させる、
ように構成されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載の創傷モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、「RESTRICTION OF SENSOR-MONITORED REGION FOR SENSOR-ENABLED NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY DRESSINGS」と題した、2017年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/536,731号、および「RESTRICTION OF SENSOR-MONITORED REGION FOR SENSOR-ENABLED WOUND THERAPY DRESSINGS」と題した、2018年6月1日に出願された英国仮特許出願第1809007.6号に対する優先権を主張するものであり、それぞれが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、様々な治療方法と連通するセンサ対応モニタリングを介した、組織の治療のための装置、システム、および方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
医療のほぼすべての領域が、特に治療中にかかる情報がリアルタイムで収集される場合、治療される組織、器官、またはシステムの状態に関する改善された情報から恩恵を受ける可能性がある。多くのタイプの治療は、センサデータ収集の使用なしに依然として日常的に実施されるが、代わりに、こうした治療は、定量的センサデータではなく、介護者またはその他の限定的手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材または陰圧創傷療法を介した創傷治療の場合、データ収集は一般的に介護者による目視検査に限定され、また多くの場合、下にある創傷組織は包帯またはその他の視覚障害物によって遮られ得る。損傷を受けていない無傷の皮膚でさえ、潰瘍につながり得る血管損傷または深部組織損傷など、裸眼には見えない潜在的な損傷を有し得る。創傷治療と同様に、ギプスまたはその他の覆いで肢の固定化を必要とする整形外科用処置中も、限定された情報のみしか下層組織について収集されない。骨プレートなどの内部組織修復の場合、継続的な直接センサ駆動データ収集は実施されない。さらに、筋骨格機能を支持するために使用される留め具またはスリーブは、下にある筋肉の機能または肢の動きを監視しない。直接処置の外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室のアイテムが改善され得る。
【0004】
したがって、特に既存の治療方法に組み込むことができるセンサ対応基材の使用により、改善されたセンサモニタリングへのニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、改善された創傷モニタリングまたは療法装置を提供する。いくつかの実施形態による創傷モニタリングまたは療法装置は、創傷被覆材、一つ以上のセンサ、およびマスク層を含み得る。創傷被覆材は、創傷に接触して位置付けられるように構成された創傷接触層を含み得る。一つ以上のセンサは創傷接触層の上またはその中へ組み込まれてもよく、また一つ以上のセンサは基材によって支持されてもよい。マスク層は基材によって支持され得る。マスク層は、創傷被覆材が創傷と接触して位置付けられた時に、一つ以上のセンサによる創傷から離れる方向の感知を制限するように構成され得る。
【0006】
前述の段落の装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。一つ以上のセンサからの出力信号は、創傷の組織または創傷の周りの組織が生きているか死んでいるかを判定するのに使用可能であり得る。一つ以上のセンサは、インピーダンスセンサを含み得る。インピーダンスセンサは、絶縁体によって創傷から分離されてもよく、創傷に直接接触することなく創傷のインピーダンスを測定するように構成され得る。一つ以上のセンサは、駆動パッドおよび測定パッドを含み得る。マスク層は、一つ以上のセンサの断面を見た時に、駆動パッドの中心と測定パッドの中心を結ぶ線に平行な方向に延びてもよい。
【0007】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。マスク層は、接地に接続されるのではなくフローティングしてもよい。マスク層は、フローティングするのではなく接地に接続されてもよい。創傷被覆材は、創傷と接触して位置付けられ得る。マスク層は、一つ以上のセンサが、創傷から反対の創傷被覆材の側面上に位置付けられた組織を感知するのを防止するように構成され得る。創傷被覆材が創傷と接触して位置付けられる場合または時に、マスク層は、一つ以上のセンサによる創傷に向かう方向の感知を許容するように構成され得る。一つ以上のセンサは、マスク層から反対の基材の側面上に位置付けられ得る。
【0008】
前述の段落のいずれかの装置はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。一つ以上のセンサは、マスク層と同じ基材の側面上に位置付けられてもよい。一つ以上のセンサは、1V~150Vの電圧および10kHz~100kHzの周波数を有する入力信号を受信するように構成され得る。基材は、実質的に可撓性のあるプリント回路を含み得る。基材は熱可塑性ポリウレタンフィルムを含み得る。創傷モニタリング装置はさらに、一つ以上のセンサからの出力信号から創傷の特性を判定し、特性に応答してアラームを作動させるように構成されたハードウェアプロセッサを含み得る。
【0009】
本開示はまた、創傷モニタリング方法を提供する。方法は、創傷被覆材を用いて創傷から吸引された流体を回収することを含んでもよく、創傷被覆材は、創傷と接触して位置付けられた創傷接触層を含む。さらに、または別の方法として、方法は、創傷接触層の上またはその中へ組み込まれた一つ以上のセンサを作動させることを含んでもよく、一つ以上のセンサは、基材によって支持されている。さらに、またはあるいは、方法は、基材によって支持されたマスク層によって、一つ以上のセンサによる創傷から離れる方向の感知を制限することを含んでもよい。
【0010】
前述の段落の方法はまた、本明細書の記載の中でも特に、本段落に記載される以下のステップまたは特徴の、任意の組み合わせを含み得る。方法はさらに、一つ以上のセンサからの出力信号を出力することを含んでもよく、出力信号は、創傷の組織または創傷の周りの組織が生きているか死んでいるかを判定するのに使用可能である。一つ以上のセンサは、インピーダンスセンサを含んでもよく、作動させることは、インピーダンスセンサを作動させることを含み得る。インピーダンスセンサは、絶縁体によって創傷から分離されてもよく、方法はさらに、創傷に直接接触することなくインピーダンスセンサを使用して創傷のインピーダンスを測定することを含み得る。該制限することは、一つ以上のセンサが、創傷から反対の創傷被覆材の側面上に位置付けられた組織の感知を防止することを含み得る。方法はさらに、マスク層を用いて、一つ以上のセンサによる創傷に向かう方向の感知を許容することを含み得る。作動させることは、一つ以上のセンサを用いて、1V~150Vの電圧および10kHz~100kHzの周波数を有する入力信号を受信するのに応答して行われてもよい。方法はさらに、ハードウェアプロセッサを用いて、一つ以上のセンサからの出力信号から創傷の特性を判定することを含み得る。方法はさらに、ハードウェアプロセッサを用いて、特性に応答してアラームを作動させることを含み得る。
【0011】
本開示は、本明細書または対応する図に示される、もしくは説明される任意の特徴または工程を含み得る、被覆材またはその他の物品も提供する。
【0012】
以下に開示されるポンプの実施形態のいずれも、および、陰圧創傷療法の実施形態のいずれも含むがこれらに限定しないものとし、本出願に開示された配置または実施形態のいずれかの特徴、構成要素、または詳細のいずれも、新しい配置および実施形態を形成するよう本明細書に開示された配置または実施形態のいずれかのその他の特徴、構成要素、または詳細のいずれとも相互に組み合わせ可能である。本明細書に記載される主題の一つ以上の実装の詳細は、添付図面および下記の説明に記載されている。その他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。この発明の概要および以下の詳細な説明のいずれも、本発明の主題の範囲を定義または制限することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の実施形態は、単に例示として、添付図面を参照して、ここで以下に記載される。
【0014】
【
図1A】
図1Aは、いくつかの実施形態による陰圧創傷治療システムを図示する。
【
図1B】
図1Bは、いくつかの実施形態による創傷被覆材を図示する。
【
図1C】
図1Cは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
【
図1D】
図1Dは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
【
図1E】
図1Eは、いくつかの実施形態による、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる、可撓性流体コネクタおよび創傷被覆材を用いる、陰圧創傷治療システムを図示する。
【
図1F】
図1Fは、いくつかの実施形態による陰圧創傷療法システムを図示する。
【
図1G】
図1Gは、いくつかの実施形態による、陰圧なしで使用される、創傷滲出液を吸収し貯蔵できる創傷被覆材を用いる、創傷治療システムを図示する。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、創傷被覆材に組み込まれるセンサの設置を示す、センサアレイを図示する。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの実施形態による、センサアレイ部分、尾部分およびコネクタパッド端部分を含む、可撓性センサアレイを図示する。
【
図3B-1】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々なセンサアレイの幾何学形状を有する可撓性の回路基板を図示する。
【
図3B-2】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々なセンサアレイの幾何学形状を有する可撓性の回路基板を図示する。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの実施形態による、穿孔創傷接触層に組み込まれる可撓性センサアレイを図示する。
【
図3E-1】
図3Eは、いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図3E-2】
図3Eは、いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図3E-3】
図3Eは、いくつかの実施形態による、コントロールモジュールを図示する。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、センサアレイの一部であり得るインピーダンスセンサを含むセンサシステムを図示する。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、センサアレイの一部であり得るインピーダンスセンサを含むセンサシステムを図示する。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、センサアレイの一部であり得るインピーダンスセンサを含むセンサシステムを図示する。
【
図7-1】
図7は、いくつかの実施形態によるインピーダンスセンサの概略を図示する。
【
図7-2】
図7は、いくつかの実施形態によるインピーダンスセンサの概略を図示する。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による陰圧創傷療法プロセスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応基材を用いた生物組織のモニタリングおよび治療のための装置および方法に関する。本明細書に開示される実施形態は、特定のタイプの組織または傷害の治療またはモニタリングに限定されず、代わりに本明細書に開示されるセンサ対応技術は、センサ対応基材から利益を得られる任意のタイプの療法に広く適用可能である。一部の実施は、診断および患者管理の両方の決定を行うために、医療提供者によって依頼されたセンサおよびデータ収集を利用する。
【0016】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、無傷なまたは損傷を受けたヒトまたは動物組織の両方の治療で使用されるように構成された基材上に取り付けられたセンサの使用、またはその中に埋め込まれたセンサの使用に関する。こうしたセンサは、周囲の組織についての情報を収集し、かかる情報をコンピューティング装置または介護者に送信して、さらなる治療で利用することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサは、関節炎、温度、または問題を起こしかねないおよびモニタリングを必要とし得るその他の領域を監視するための領域を含む、本体のどこにでも皮膚に取り付けられ得る。本明細書に開示されるセンサは、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、例えば、装置の存在を示すために、X線不透過性マーカーなどのマーカーも組み込むことができる。
【0017】
本明細書で開示したセンサ実施形態は、衣服と組み合わせて使用され得る。本明細書に開示されるセンサの実施形態と併用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、ズボン、パンタロン、ドレス、下着、上着、手袋、靴、帽子、およびその他の適切な衣類が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、特定の衣服に溶着されるか、またはその中へと積層され得る。センサ実施形態は、衣服上に直接印刷されてもよく、または織物内に埋め込まれていてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も適切であり得る。
【0018】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、病院用ベッド内などの緩衝またはベッドパッディングに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特徴などの患者の特徴を監視することができる。特定の実施形態では、こうしたセンサを含む使い捨てフィルムは、病院用寝具の上に配置され、必要に応じて除去/交換され得る。
【0019】
一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、センサ実施形態が自立しているように、エネルギー収穫を組み込み得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の適切なエネルギー源から収穫され得る。
【0020】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、スポーツ医薬品を含むリハビリテーション装置および治療で利用され得る。例えば、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、支柱、スリーブ、ラップ、サポート、およびその他の適切な品目で使用され得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ヘルメット、スリーブ、またはパッドなどのスポーツ機器に組み込まれ得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、診断において有用であり得る加速度などの特性を監視するための保護ヘルメットに組み込まれ得る。
【0021】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置、例えば、Smith&Nephew Inc.によるNAVIO外科手術システムとの協調で使用され得る。実施において、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術装置の配置を案内するため、こうした外科手術装置と通信し得る。一部の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可能性のある外科手術部位への血流を監視するか、または外科手術部位への血流がないことを確実にすることができる。さらなる外科手術データは、瘢痕化の防止を補助することおよび影響を受ける領域から遠い領域を監視するために収集され得る。
【0022】
外科手術技術をさらに補助するために、本明細書に開示されたセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、裸眼では直接見えないドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ組み込み可撓性ドレープは、改善された面積集中データ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施では、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、フェンスを作り出して外科手術システムを制限/制御することができる。
【0023】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、外科手術の評価にも利用され得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、皮膚および潜在的な切開部位のための下にある組織を監視することによって、可能性のある外科手術部位についての情報を収集するために使用され得る。例えば、灌流レベルまたはその他の適切な特性は、個別の患者が外科手術合併症のリスクにさらされ得るかどうかを評価するために、皮膚の表面でおよび、組織内で深くモニターされ得る。本明細書に開示されるものなどのセンサ実施形態は、細菌感染の存在を評価し、抗菌剤の使用のための表示を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、褥瘡損傷または脂肪組織レベルを特定するなど、深部組織におけるさらなる情報を収集し得る。
【0024】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管モニタリングで利用され得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、心血管系の特性を監視し、かかる情報を別の装置または介護者に伝達するために、皮膚に載置することができる可撓性の心血管モニターに組み込まれ得る。例えば、こうした装置は、パルス速度、血液の酸素化、または心臓の電気活性を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ニューロンの電気活性の監視など、神経生理学的用途に利用され得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、可撓性の移植を含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能な装置に組み込まれ得る。こうしたセンサ実施形態は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部ソースはまた、こうしたインプラントのための電力を提供し得る。
【0026】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、筋肉のラクトース生成または皮膚の表面上の汗の生成など、皮膚の表面上または皮膚の表面下の生化学的活性を監視するためにも利用され得る。いくつかの実施形態では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚の水和性、皮膚の浸軟性、または皮膚のリッピングなど、その他の特徴を監視し得る。
【0027】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれ得る。例えば、こうしたセンサ実施形態は、鼻腔路内の創傷モニタリングなど、ENT関連手術からの回復を監視するために利用され得る。
【0028】
以下でより詳細に説明するように、本明細書に開示されるセンサ実施形態は、ポリマーフィルムでの封入などの封入を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。こうしたフィルムは、ポリウレタンなど本明細書で説明した任意のポリマーを使用して構築され得る。センサ実施形態の封入は、局所組織、局所的な流体、およびその他の潜在的な損傷源からの電子機器の防水および保護を提供し得る。
【0029】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるセンサは、以下に開示するように器官保護層に組み込まれ得る。このようなセンサ組み込み器官保護層は、対象臓器を保護するとともに、器官保護層が所定位置にあって保護を提供することを確認し得る。さらに、センサ組み込み器官保護層を利用して、血流、酸素化、および器官健康のその他の適切なマーカーを監視することによって、下にある臓器を監視することができる。いくつかの実施形態では、臓器の脂肪および筋肉含有量を監視することによって、移植された臓器を監視するためにセンサ対応器官保護層を使用し得る。さらに、臓器のリハビリの間など、移植中および移植後の臓器を監視するために、センサ対応器官保護層を使用し得る。
【0030】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、創傷(以下でより詳細に開示)またはさまざまなその他の用途に対する治療に組み込まれ得る。本明細書に開示されるセンサ実施形態の追加的用途の非限定的な例としては、無傷な皮膚のモニタリングおよび治療、血流を監視するための心血管系へ用途、手足の動きおよび骨修復を監視するなどの整形外科用途、電気的衝撃を監視するなどの神経生理学的用途、および改善されたセンサ対応モニタリングから利益を得ることができる任意の他の組織、臓器、システム、または状態が挙げられる。
【0031】
創傷療法
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷の防止または最小化、または例えば、陰圧源および創傷被覆材構成要素および装置などを含む、減圧を伴うまたは伴わない損傷した組織(例えば、本明細書で説明した創傷など)の治療に関連し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置および構成要素は、時に総称して本明細書では被覆材と呼ばれる。いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、減圧せずに利用されるように提供され得る。
【0032】
本明細書に開示するいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体上の創傷を指すことができ、本明細書における体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の体を指し得る。開示技術実施形態は、生理学的組織または生体組織への損傷、または損傷した組織の治療(例えば、本明細書に記載される創傷など)の防止または最小化に関連し得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切創、殴打、または皮膚が切断または損傷される典型的なものといった、その他の衝撃によって引き起こされ得る、生体組織に対する負傷を含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害であり得る。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。これらは、予測される期間内の治癒の段階を通して移動する。慢性創傷は典型的には急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わない場合に慢性創傷になることがあり、回復が長くなる。急性から慢性創傷への移行は、患者が免疫化されることによるものであり得る。
【0034】
慢性創傷には、例えば、慢性創傷の大部分を占める静脈性潰瘍(脚で発生するもの)が含まれ得るが、高齢の糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、周辺動脈疾患、褥瘡、または表皮解析球症(EB)に影響を与える。
【0035】
他の創傷の例としては、腹部創傷、または手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、あるいは他の状態のいずれかの結果としての他の大規模または切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、手術創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
創傷は深部組織損傷も含み得る。深部組織損傷は、政府褥瘡諮問パネル(NPUAP)によって提案される用語であり、褥瘡の固有の形態を記述するものである。これらの潰瘍は、紫色褥瘡、骨張った骨の突起で悪化し傷つく可能性が高い潰瘍、などの用語で、長年、臨床医によって説明されてきた。
【0037】
創傷はまた、本明細書に記載されるように、創傷になる恐れのある組織を含み得る。例えば、リスクのある組織には、骨の隆起を覆う組織(深部組織損傷/損傷のリスクがある)または(例えば、関節置換/外科的変更/再建のため)切断される可能性のある手術前の組織(膝の組織など)を含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示される技術を、高度な履物、患者を回転させる、オフロードする(例えば、糖尿病性足潰瘍をオフロードする、など)、感染症の治療、システミックス(systemix)、治療の処理、抗菌物質、構成物質、外科手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養摂取、水分補給、神経刺激、超音波、電子刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌物質、等のうちの一つ以上と併用して創傷を治療する方法に関する。
【0039】
別の方法としてまたは追加的に、創傷は、局所陰圧または適用された陰圧の使用によって支援されていない(非陰圧療法とも呼ばれる場合もある)従来の高度な創傷ケアを使用して治療され得る。
【0040】
高度な創傷治療には、吸収被覆材の使用、閉塞被覆材、創傷被覆材または付属物内における抗菌剤または創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、靴下や包帯といった、緩衝または圧縮療法)、等が含まれ得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、従来の創傷治療を使用して実施され得、創傷の治癒を促進および促進するために、創傷に被覆材が適用され得る。
【0042】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるように創傷被覆材を提供することを含む創傷被覆材を製造する方法に関する。
【0043】
開示された技術と併せて利用され得る創傷被覆材は、当該技術分野において既知の任意の被覆材を含む。本技術は、陰圧療法および非陰圧療法に適用可能である。
【0044】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、一つ以上の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体であり得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、多糖類または修飾多糖類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、コラーゲン、ゼラチン、またはそれらの混合物を含む被覆材層を含み得る。リストされたポリマーを含む被覆材層は、陰圧療法または非陰圧療法のいずれかの創傷被覆材層を形成するために有用であることが当技術分野で公知である。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、多糖類または修飾多糖類であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリマーマトリクスは、セルロースであってもよい。セルロース材料は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロース(CEC)、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシエチルスルホネートセルロース、セルロースアルキルスルホネート、またはそれらの混合物などの親水性修飾セルロースを含み得る。
【0048】
特定の実施形態では、セルロース材料はセルロースアルキルスルホネートであってもよい。硫酸アルキル置換基のアルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、またはブチルなどの1~6個の炭素原子を有するアルキル基を有し得る。アルキル部分は、分枝鎖または非枝鎖状であってもよく、従って好適なプロピルスルホネート置換基は、1-または2-メチル-エチルスルホネートであり得る。ブチルスルホネート置換基は、2-エチル-エチルスルホネート、2,2-ジメチル-エチルスルホネート、または1,2-ジメチル-エチルスルホネートであり得る。アルキルスルホネート置換基は、硫酸エチルであり得る。セルロースアルキルスルホネートは、WO10/061225、US2016/114074、US2006/0142560、またはUS5,703,225に記載されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
セルロースアルキルスルホナートは、様々な度合いの置換、セルロース骨格構造の鎖長、およびアルキルスルホナート置換基の構造を有してもよい。溶解性および吸収性は置換の程度に依存し、置換の程度が増大するほど、セルロースアルキルスルホナートはますます溶解性になる。溶解性が増加すると、吸収性が増加する。
【0050】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材はまた、上部またはカバー層を含む。
【0051】
本明細書に開示される創傷被覆材の厚さは、1mm~20mm、または2mm~10mm、または3mm~7mmであり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、開示された技術は、非陰圧被覆材と併せて使用され得る。創傷部位に保護を提供するのに好適な非陰圧創傷被覆材は、
【0053】
創傷滲出液を吸収するための吸収層と、
【0054】
使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素と、を含み得る。
【0055】
遮蔽要素は部分的に半透明であってもよい。
【0056】
遮蔽要素はマスキング層であってもよい。
【0057】
非陰圧創傷被覆材は、吸収層を見ることができるように遮蔽要素内またはそれに隣接した領域をさらに含み得る。例えば、遮蔽要素層は、吸収層の中央領域の上に提供され、および吸収層の境界領域上には提供されなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮蔽要素は親水性材料であるか、または親水性材料で被覆されている。
【0058】
遮蔽要素は、三次元編みスペーサ織物を含み得る。スペーサ生地は当業界で周知であり、編物スペーサ生地層を含み得る。
【0059】
遮蔽要素は、被覆材を変更する必要性を示すためのインジケータをさらに含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、遮蔽要素は、少なくとも部分的に吸収層の上に、使用中には吸収層よりも創傷部位から遠くに、層として提供される。
【0061】
非陰圧創傷被覆材は、流体をそれを通して移動させることを可能にするための遮蔽要素に複数の開口部をさらに含み得る。遮蔽要素は、所定のサイズまたは重量の分子の通過を選択的に許容または防止するためのサイズ排除特性を有する材料を含んでもよく、または被覆され得る。
【0062】
遮蔽要素は、600nm以下の波長を有する光放射を少なくとも部分的にマスクするように構成され得る。
【0063】
遮蔽要素は、50%以上、光吸収を減少させるように構成され得る。
【0064】
遮蔽要素は、CIEのL*値50以上、および必要に応じて70以上をもたらすように構成され得る。いくつかの実施形態ではにおいて、遮蔽要素は、CIE L*値70以上を生み出すように構成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層、発泡層、臭気抑制要素、耐圧層、およびカバー層のうちの少なくとも一つをさらに含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、カバー層が存在し、カバー層は半透明フィルムである。一般に、半透過性フィルムは500g/m2/24時間以上の蒸気透過性を持つ。
【0067】
半透過性フィルムは細菌バリアであり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層が創傷接触層の上にある。創傷接触層は、創傷部位の上に実質的に流体密封シールを形成するための接着部分を担持する。
【0069】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、単一層として提供される遮断要素および吸収層を含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材が発泡層を含み、遮断要素は、遮蔽要素の移動によって移動または破壊され得る構成要素を含む材料である。
【0071】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材が臭気抑制要素を含み、別の実施形態では、被覆材は臭気抑制要素を含まない。存在する時、臭気制御要素は、吸収層または遮蔽要素内またはそれに隣接して分散され得る。別の方法として、存在する場合、臭気制御要素は、発泡体層と吸収層との間に挟まれた層として提供され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材のために開示された技術は、創傷被覆材を製造する方法を含み、その方法は、創傷滲出液を吸収するための吸収層を提供することと、使用中に吸収層によって吸収された創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮断するための遮蔽要素を提供することと、を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位での保護を提供することに好適であってもよく、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、吸収層の上に、吸収層よりも創傷被覆材の創傷に面する側から離れて提供されるシールド層とを含む。シールド層は、吸収層の上に直接設けられてもよい。いくつかの実施形態では、シールド層は、三次元スペーサ生地層を含む。
【0074】
シールド層は、被覆材に適用される圧力が25%以上移動される範囲、または、適用の初期範囲を増加させる。例えば、シールド層は、被覆材に加えられる圧力が伝わる面積を50%以上、随意に100%以上、随意に200%以上増加させる。
【0075】
シールド層は、2つ以上のサブ層を含んでもよく、第一のサブ層は貫通孔を含み、およびさらなるサブ層は貫通孔を含み、第一のサブ層の貫通孔はさらなるサブ層の貫通孔からオフセットされる。
【0076】
本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、気体および蒸気を通過することを可能にする透過性カバー層をさらに備えてもよく、カバー層はシールド層の上に設けられ、カバー層の貫通孔はシールド層の貫通孔からオフセットされる。
【0077】
非陰圧創傷被覆材は、褥瘡の治療に好適であり得る。
【0078】
上記本明細書に開示される非陰圧被覆材のより詳細な説明は、国際特許第2013/007973号に提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷部位から滲出液を吸収するための繊維質吸収層と、創傷被覆材の少なくとも一部分の収縮を低減するよう構成された支持層とを含む、多層の創傷被覆材であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、液体不透過性フィルム層をさらに含み、支持層は吸収層とフィルム層との間に配置される。
【0081】
本明細書に開示される支持層は、ネットを含み得る。ネットは、それを通って延びる複数の実質的に幾何学的な隙間を持つ幾何学的構造を含み得る。幾何学的構造は、例えば、ポリマー鎖の間に実質的に幾何学的な隙間を形成するために、ポリマー鎖によって実質的に均等に間隔を置いて結合された複数の突起部を含み得る。
【0082】
ネットは、高密度ポリエチレンから形成され得る。
【0083】
アパーチャは、0.005~0.32mm2の面積を有し得る。
【0084】
支持層は0.05~0.06Nmの引張強さを有し得る。
【0085】
支持層は50~150μmの厚さを有し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、支持層は、吸収層に直接隣接して位置する。典型的には、支持層は、吸収層のトップ面の繊維に結合される。支持層は、結合層をさらに備えてもよく、ここで支持層は、結合層を介して吸収層内の繊維に積層される。結合層は、エチレンビニル酢酸塩接着剤などの低融点接着剤を含み得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、フィルム層を支持層に接着させる接着層をさらに含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多層の創傷被覆材は、創傷に隣接して位置付けるための、吸収層に隣接して配置される創傷接触層をさらに含む。多層創傷被覆材は、創傷から吸収層へと滲出液を移動させるための創傷接触層と吸収層との間に流体輸送層をさらに含み得る。
【0089】
上記本明細書に開示される多層の創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1618298.2を用いて2016年10月28日に出願された、GB特許出願において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、開示された技術が創傷被覆材に組み込まれてもよく、その創傷被覆材は、材料の吸収層の第一の層と、材料の第二の層とを含む垂直重複材料を含み、第一の層は、不織布繊維のうちの少なくとも一つの層から構築され、不織布繊維は、複数の折り目に折り畳まれてひだのある構造を形成する。いくつかの実施形態ではさらに、創傷被覆材は、材料の第一の層に一時的または永久的に接続された材料の第二の層を含む。
【0091】
通常、垂直重複材料は、切り込みが入れられている。
【0092】
いくつかの実施形態では、第一の層は、ひだの深さによって、または、切り込みの幅によって決められた深さを有する、ひだのある構造を有する。材料の第一の層は、成形、軽量、繊維系材料、材料の混合または組成物層であり得る。
【0093】
材料の第一の層は、合成、天然、または無機ポリマーで製造された繊維、セルロース性、タンパク質性、または鉱物源の天然繊維のうちの一つ以上を含み得る。
【0094】
創傷被覆材は、互いの上に積み重ねられた材料垂直重複材料の吸収層のうちの二つ以上の層を含んでもよく、二つ以上の層は、同一または異なる密度または組成を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材は、材料垂直重複材料の吸収層のうちの一つの層のみを含み得る。
【0096】
材料の吸収層は、天然または合成、有機または無機繊維、および結合剤繊維、または、特定温度で軟化し、全体的な混合の結合剤として作用する、低溶融温度PETコーティングを用いた、バイコンポーネント繊維、通常PETの混合である。
【0097】
いくつかの実施形態では、材料の吸収層は、5%~95%の熱可塑性ポリマー、および、5wt%~95wt%のセルロースまたはその誘導体であってもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される創傷被覆材は、発泡体または被覆材固定剤を含む第二の層を有する。
【0099】
発泡体は、ポリウレタン発泡体であってもよい。ポリウレタン発泡体は、開放または閉鎖空孔構造を有し得る。
【0100】
被被覆材固定剤は、包帯、テープ、ガーゼ、または裏当て層を含み得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、ラミネーションまたは接着剤によって第二の層に直接接続された材料の吸収層を含み、第二の層は被覆材固定層に接続される。接着剤は、アクリル接着剤、またはシリコーン接着剤であり得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、超吸収性繊維、またはビスコース繊維またはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるように、創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明または不透明なフィルムであり得る。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0104】
上記本明細書に開示される多層の創傷被覆材のより詳細な説明は、出願番号GB1621057.7を用いて2016年12月12日に、および出願番号GB1709987.0を用いて2017年6月22日に出願されたGB特許出願において提供され、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、創傷被覆材のための吸収性構成要素を含み得、構成要素が、発泡層に結合されたゲル形成繊維を含む創傷接触層を含み、発泡層が、接着剤、ポリマー系溶融層、フレームラミネーション、または超音波によって創傷接触層に直接結合される。
【0106】
吸収性構成要素は、シート形態であってもよい。
【0107】
創傷接触層は、織りまたは不織り、あるいは編みゲル形成繊維の層を含み得る。
【0108】
発泡層は、開放細胞発泡体、または閉鎖細胞発泡体であってもよく、通常は開放細胞発泡体である。発泡体層は、親水性発泡体である。
【0109】
創傷被覆材は、被覆材を創傷に接着する接着剤の周辺によって囲まれた、創傷と直接接触する島を形成する構成要素を含み得る。接着剤は、シリコーンまたはアクリル接着剤であってもよく、一般にシリコーン接着剤であり得る。
【0110】
創傷被覆材は、創傷から最も遠い被覆材の表面において、フィルム層によって覆われ得る。
【0111】
本明細書の本タイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP2498829に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、高レベルの滲出液を生成する創傷で使用する多層創傷被覆材を含んでもよく、被覆材が、少なくとも24時間で300gm2のMVTRを有する透過層と、滲出液を吸収し、保持することができるゲル形成繊維を含む吸収性コアと、滲出液を吸収性コアに送るゲル形成繊維を含む創傷接触層と、吸収性コア上に位置付けられるキーイング層とを含むことで特徴付けられ、吸収性コアおよび創傷接触層は、被覆材の滲出液の横方向の広がりを創傷領域に制限する。
【0113】
創傷被覆材は、24時間で被覆材の10cm2あたりの流体のうち、少なくとも6g(または8g~15g)に対応する能力を有し得る。
【0114】
創傷被覆材は、布の形態で化学修飾されたセルロース系繊維であるゲル形成繊維を含み得る。繊維は、カルボキシメチルセルロース繊維、一般的にナトリウムカルボキシメチル化セルロース繊維を含み得る。
【0115】
創傷被覆材は、横方向の吸い上げ量が毎分5mm~毎分40mmの創傷接触層を含み得る。創傷接触層は、35gm2など25gm2~55gm2の繊維密度を有し得る。
【0116】
吸収性コアは、少なくとも10g/gの滲出液の吸収性を有し得、通常、横方向の吸い上げ量は、毎分20mmより少ない。
【0117】
吸収性コアは、重量で最大25%のセルロース系繊維、および重量でゲル形成繊維の75%~100%の範囲の混合物を有し得る。
【0118】
あるいは、吸収性コアは、重量で最大50%のセルロース系繊維、および重量でゲル形成繊維の50%~100%の範囲の混合物を有し得る。例えば、混合物は、重量で50%のセルロース系繊維および重量で50%のゲル形成繊維の範囲内である。
【0119】
吸収性コアの繊維密度は、150gm2~250gm2、または約200gm2であってもよい。
【0120】
濡れた場合の創傷被覆材は、その元のサイズ/寸法の25%未満または15%未満の収縮を有し得る。
【0121】
創傷被覆材は、透過層を含み得、層は発泡体である。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0122】
創傷被覆材は、可溶性薬剤フィルム層、臭気吸収層、拡散層、および追加的接着剤層を含む群から選択される、一つ以上の層を含み得る。
【0123】
創傷被覆材は、厚さ2mm~4mmであってもよい。
【0124】
創傷被覆材は、キーイング層が吸収性コアを隣接する層に結合するという点で特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーとなる層は、吸収性コアの創傷面側または吸収性コアの非創傷面側のいずれかに位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、キーとなる層は、吸収性コアと創傷接触層との間に位置付けられる。キーとなる層はポリアミドウェブである。
【0125】
明細書の本タイプの創傷被覆材のより詳細な説明は、EP1718257に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
いくつかの実施形態では、非陰圧創傷被覆材は、圧縮包帯であってもよい。圧迫包帯は、例えば下肢の、浮腫およびその他の静脈障害およびリンパ系障害の治療に使用されることが周知である。
【0127】
圧迫包帯システムは、通常、皮膚と圧迫層との間のパディング層を含む複数層を用いる。圧縮包帯は、静脈性脚潰瘍の取り扱いなどの創傷に有用であり得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯は、内側の皮膚に面する層と、弾性外層を含む包帯システムを備え得、内層は、発泡体の第一の層と、吸収性不織りウェブの第二の層とを含み、内層および外層は、患者の手足周りに巻かれることができるよう、十分細長い。このタイプの圧縮包帯は、WO99/58090号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0129】
いくつかの実施形態では、圧迫包帯システムは、a)(i)細長い弾性基材と、
【0130】
ii)細長い発泡層と、を含む内側の皮膚に面した、細長い弾性包帯であって、発泡層が基材の面に取り付けられ、基材の面を横断方向に33%以上横切って、および、基材の面を長手方向に67%以上横切って延在する、弾性包帯と、b)外側の、細長い、ノンテープ式の弾性包帯であって、包帯が、延在されると圧縮力を有し、使用時には、内側包帯の発泡層が皮膚に面し、外側包帯が内側包帯の上にある、弾性包帯と、を含む。このタイプの圧縮包帯は、WO2006/110527号に開示されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0131】
いくつかの実施形態では、米国特許第6,759,566号および米国特許第2002/0099318号に開示されているものなど、その他の圧迫包帯システムがそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
陰圧創傷被覆材
いくつかの実施形態では、そのような創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施することができ、減圧または陰圧が、創傷の治癒を容易にして促進するように、創傷に適用され得る。本明細書に開示される創傷被覆材および方法は、身体の他の部分に適用されてもよく、創傷の治療に必ずしも限定されないことも、理解されるであろう。
【0133】
本開示の実施形態は、概して、局所陰圧(「TNP(topical negative pressure)」)治療システムで使用するように適用可能であることは理解されるであろう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを補助し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を低減し得る。加えて、治療によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援し得る。TNP治療のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0134】
陰圧療法は、大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療に使用され得る。局所陰圧(TNP)療法または、陰圧創傷療法(NPWT)は、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を置くことと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、さまざまな手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することとを伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過剰な流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0135】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、様々な種類の材料及び層、例えば、ガーゼ、パッド、フォームパッド、または多層創傷被覆材が含まれる。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephewから市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用され得る、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートに封止され得る。加えて、Smith&Nephewから市販されているRENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-ABおよびRENASYS-F/ABも、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するのに使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephewから市販されているALLEVYN Life被覆材である。
【0136】
本明細書に使用する通り、-XmmHgなど、減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。従って、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは-60mmHgよりも高い)。いくつかの実施形態では、局所的な周囲大気圧は基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0137】
開示のいくつかの実施形態に関する陰圧範囲は、約-80mmHg、または約-20mmHgから-200mmHgの間であり得る。これらの圧力は、760mmHgであり得る、平常の周囲大気圧に対して相対的であることには留意されたい。それゆえ、-200mmHgは、実質的には約560mmHgであろう。いくつかの実施形態では、圧力範囲は、約-40mmHgと-150mmHgとの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、他の実施形態では、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。代替として、およそ-100mmHgまたはさらに-150mmHgより上の圧力範囲が、陰圧デバイスにより供給され得る。
【0138】
本明細書に記載する創傷閉鎖デバイスのいくつかの実施形態では、創傷収縮の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖装置の実施形態によって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間と共に創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。いくつかの実施形態では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または一つまたは複数の患者の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間と共に陰圧を変化させてもよい。前述に関するさらなる開示を見つけることができる、そのような適用の例には、2012年8月7日に発行された名称「Wound treatment apparatus and method」の米国特許第8,235,955号、および2010年7月13日に発行された名称「Wound cleansing apparatus with stress」の米国特許第7,753,894号を含む。これら両特許の開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【0139】
本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2013年5月22日に国際出願番号第PCT/IB2013/001469号で出願され、2013年11月28日に国際公開第2013/175306A2号として公開された、名称「APPARATUSES AND METHODS FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」、2015年1月30日に米国特許出願第14/418,908号で出願され、2015年7月9日に米国特許出願公開第2015/0190286A1号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの開示は、参照することによりその全体が本明細書に援用される。本明細書に記載する創傷被覆材、創傷被覆材アセンブリ、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置および方法の実施形態は、また、2011年4月21日に米国特許出願第13/092,042号で出願され、米国特許第2011/0282309号として公開された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF USE」、および2015年5月18日に米国特許出願第14/715,527号で出願され、2016年11月24日に米国特許出願公開第2016/0339158A1号として公開された、名称「FLUIDIC CONNECTOR FOR NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、それらの各開示は、創傷被覆材、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料の実施形態に関するさらなる詳細を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
加えて、本明細書に記載するポンプまたは関連電子機器と組み合わせて、創傷被覆材を含むTNP創傷治療に関係するいくつかの実施形態はまた、2016年4月26日に国際出願第PCT/EP2016/059329号で出願され、2016年11月3日に国際公開2016/174048号として公開された、名称「REDUCED PRESSURE APPARATUS AND METHODS」に記載されるものと組み合わせて、またはそれらに加えて使用されてもよく、その開示が本明細書全体において参照によって組み込まれる。
【0141】
はじめに
創傷被覆材は、治癒するとき創傷の特性を監視するために、または一つ以上のリスク因子もしくは創傷を引き起こす場合がある状態を特定するために利用され得る一つ以上のセンサを組み込み得る。例えば、本明細書で説明したように、一つ以上のセンサは、創傷接触層内に組み込まれてもよく、または創傷接触層に取り付けられてもよい。創傷の特性は、例えば、良好に治癒した創傷からの、または創傷が治療軌道上にあるかどうかを示すための有用な洞察を提供しなかった創傷からのデータと比較されてもよい。
【0142】
創傷被覆材またはその一つ以上のセンサは、特定の実施形態において、一つ以上のセンサの信頼性、有効性、または精度を高める一つ以上の特徴を含むことが望ましい。一例として、創傷被覆材または一つ以上のセンサは、創傷被覆材と接触して位置付けられた創傷の特性によって引き起こされる、またはそれを反映したものであり得る要因などの特定の環境要因に対する、または特定の環境要因からの、一つ以上のセンサの曝露を制限する物理的構造を含み得る。物理的構造は、一つ以上のセンサの検出領域を制限して、一つ以上のセンサが、創傷に無関係であって、創傷を監視する対象領域外である事象を検出するのを防止するのに役立ち得る。例えば、一つ以上のセンサが場(磁場または電場など)を生成し、場の摂動を検出してセンサ出力を提供する実装では、物理的構造は、場が、創傷から離れて創傷に無関係の環境要因が場を摂動させてセンサ出力に悪影響を及ぼし得る領域への方向に延びることを阻止し得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、創傷被覆材の一つ以上のセンサは、基材上に位置付けられたインピーダンスセンサ(例えば、容量結合センサまたは誘導結合センサを含み得る)を含み得る。基材はさらに、創傷被覆材が創傷と接触して位置付けられる時に、インピーダンスセンサによる創傷から離れる方向の感知を制限し、インピーダンスセンサによる創傷に向かう方向の感知を許容する、基材上に位置付けられたマスク層を有してもよい。結果として、インピーダンスセンサは、創傷被覆材の創傷面側上の組織を検出するが、創傷被覆材の非創傷面側上に位置付けられた組織またはその他のアイテムは検出しない場合がある。例えば、マスク層は、インピーダンスセンサが、創傷被覆材を着用している患者がよりかかっているテーブルのインピーダンスを測定するのを防止し、組織と類似のインピーダンスを有するように構成され得る。さらに、または別の方法として、マスク層は、インピーダンスセンサが、創傷被覆材内の創傷滲出液のインピーダンスを測定するのを防止する、あるいは、代わりに、インピーダンスセンサが、創傷のインピーダンスを測定するのを防止するように構成されてもよい。例えば、マスク層は、インピーダンスセンサが、創傷のインピーダンスを測定することなく、創傷被覆材内の創傷滲出液のインピーダンスを測定できるように構成されてもよい。さらに、マスク層は、マスク層がインピーダンスセンサによって放射される信号の戻り経路を提供しないように、接地されるのではなくフローティングしてもよい。いくつかの実施形態では、生成されたノイズに対して読み取る信号の周波数によって、フローティングマスク層が重要であり得る。しかし、マスク層は、接地がシステムの接地に戻るように接地されてもよく、これは静電気放電(ESD)性能を向上させ得る。本明細書に記述したマスク層の構造は、インピーダンスセンサおよびその他の構成要素の電気的絶縁を増加させることができ、それによって除細動からなどの静電気放電(ESD)に対する堅牢性を改善することができる。いくつかの実施形態では、マスク層は、一時的な電圧抑制(TVS)ダイオードまたはバリアと結合されて接地することができ、これは、その時点で透過経路(例えば、電気的安全性に対する)となり得る閾値電圧を受けない限り、インピーダンスセンサを分離するよう機能し得る。
【0144】
本明細書に記述した一部の実施例は、創傷被覆材のインピーダンスセンサの文脈で説明されているが、本開示の態様は、その他のタイプの創傷被覆材のセンサに適用され得る。例えば、本開示の態様は、センサによる感知の方向性を制限することが、センサ出力に対する環境要因の影響を減らすのに有用であるセンサに適用され得る。
【0145】
創傷療法システムの概要
図1Aは、創傷くぼみ104であって、創傷カバー106によって封止された創傷くぼみの内部に置かれた創傷充填材108を含む、陰圧のまたは減圧創傷治療(またはTNP)システム102の一実施形態を図示する。創傷カバー106と組み合わされた創傷充填材108は、創傷被覆材として言及され得る。単一または複数の内腔管または導管112は、創傷カバー106と、減圧圧力を供給するように構成されるポンプアセンブリ114とを接続する。創傷カバー106は、創傷くぼみ104に流体連通することができる。
図1Aに示される実施形態のような本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、ポンプアセンブリは、キャニスタレスポンプアセンブリ(滲出液が、創傷被覆材に集められる、または別の位置に集めるために管112を介して運ばれることを意味する)であることができる。しかし、本明細書で開示されるいくつかのポンプアセンブリの実施形態は、キャニスタを含むまたは支持するように構成され得る。追加的に、本明細書で開示されるいくつかのシステムの実施形態において、いくつかのポンプアセンブリの実施形態は、被覆材に取付けられ、もしくは被覆材によって支持され、または被覆材に隣接することができる。
【0146】
創傷充填材108は、例えば、親水性または疎水性発泡体、ガーゼ、膨張可能なバッグ等の任意の適切なタイプであることができる。創傷充填材108は、それが実質的にくぼみを充填するように、創傷くぼみ104に適合することができる。創傷カバー106は、創傷くぼみ104を覆う実質的に流体不浸透性のシールを提供することができる。創傷カバー106は、上面および下面を有することができ、下面は、創傷くぼみ104を粘着的に(または任意のその他の適切な手法において)封止する。本明細書で開示される導管112もしくは内腔またはいくつかのその他の導管もしくは内腔は、ポリウレタン、PVC、ナイロン、ポリエチレン、シリコーン、または任意のその他の適切な材料から形成され得る。
【0147】
創傷カバー106のいくつかの実施形態は、導管112の端を受けるように構成される、ポート(図示せず)を有し得る。例えば、ポートは、Smith&Nephewから入手可能なRenays Soft Portであることができる。その他の実施形態では、導管112は、別のやり方では、創傷くぼみ内に所望のレベルの減圧圧力を維持するように、減圧圧力を創傷くぼみ104に供給するために創傷カバー106を通り抜けるまたはその下にあることができる。導管112は、ポンプアセンブリ114によって提供される減圧圧力を創傷くぼみ104に供給するように、ポンプアセンブリ114と創傷カバー106との間に少なくとも実質的に密封された流体流路を提供するように構成される、任意の好適な物品であることができる。
【0148】
創傷カバー106および創傷充填材108は、単一な物品または一体型の単一なユニットとして提供され得る。いくつかの実施形態では、創傷充填材が提供されずに、創傷カバーがそれ自体として創傷被覆材とみなされ得る。ついで、創傷被覆材は、導管112を介して、ポンプアセンブリ114といった陰圧源に接続され得る。ポンプアセンブリ114は小形化され、持ち運び可能とすることができるが、より大きな従来のそのようなポンプがまた使用されてもよい。
【0149】
創傷カバー106は、治療されることになる創傷部位の上に置かれ得る。創傷カバー106は、創傷部位を覆う実質的に密封されたくぼみまたはエンクロージャを形成することができる。いくつかの実施形態では、創傷カバー106は、過剰流体の蒸発を可能にする高い水蒸気浸透性を持つフィルムを有するように構成されることができ、また創傷滲出液を安全に吸収するためにその中に含まれる超吸収性材料を有することができる。本明細書全体を通して、創傷に関して言及することが理解されるであろう。この点において、創傷という用語は広く解釈され、皮膚が断裂、切開、もしくは穿孔される、または外傷によって挫傷が引き起こされる開放創および閉鎖創、あるいは患者の皮膚における任意の他の表面もしくは他の状態または欠陥、あるいは減圧治療によって利益を得る他のものを包含することを理解されたい。よって、創傷は、流体が生成されることもされないこともある、組織の任意の損傷領域として広く定義される。そのような創傷の例としては、急性創傷、慢性創傷、外科切開およびその他の切開、亜急性および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡性潰瘍、ストーマ、外科創傷、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に記載のTNPシステムの構成要素は、少量の創傷滲出液を滲出する切開創傷に特に適し得る。
【0150】
システムのいくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを使用することなく動作するように設計される。いくつかの実施形態は、滲出液キャニスタを支持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、管112がポンプアセンブリ114から迅速にかつ容易に取り除かれ得るようにポンプアセンブリ114および管112を構成することは、必要な場合、被覆材またはポンプを交換するプロセスを容易にする、または改善することができる。本明細書で開示されるいくつかのポンプの実施形態は、チューブとポンプとの間の任意の好適な接続を有するように構成され得る。
【0151】
ポンプアセンブリ114は、一部の実施において、およそ-80mmHg、または約-20mmHg~200mmHgの陰圧を供給するように構成され得る。これらの圧力は、正常な周囲大気圧に対する相対値であり、つまり、-200mmHgは、実際に則した用語において、約560mmHgであり得ることに留意されたい。圧力範囲は約-40mmHgから-150mmHgの間であり得る。代替として、最高-75mmHg、最高-80mmHgまたは-80mmHgを超える圧力範囲が使用され得る。また、-75mmHgを下回る圧力範囲が使用され得る。別の方法として、およそ-100mmHgまたはさらに150mmHgより上の圧力範囲が、ポンプアセンブリ114により供給され得る。
【0152】
動作時に、創傷充填材108は、創傷くぼみ104内に挿入され、創傷カバー106は、創傷くぼみ104を密封するように配置される。ポンプアセンブリ114は、創傷充填材108を介して創傷くぼみ104に送られる陰圧源を創傷カバー106に提供する。流体(例えば、創傷滲出液)は、導管112を通して引き出され、キャニスタ内に貯蔵され得る。いくつかの実施形態では、流体は、創傷充填材108または一つ以上の吸収層(図示せず)によって吸収される。
【0153】
本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに利用され得る創傷被覆材は、Smith&Nephewから入手可能なRenasys-F、Renasys-G、Renasys ABおよびPico被覆材を含む。本出願のポンプアセンブリおよびその他の実施形態とともに使用され得る陰圧創傷療法システムのこうした創傷被覆材およびその他の構成要素のさらなる説明は、米国特許公開第2011/0213287号、第2011/0282309号、第2012/0116334号、第2012/0136325号および第2013/0110058号において見出され、それらの全体が参照により援用される。その他の実施形態では、その他の好適な創傷被覆材が利用され得る。
【0154】
創傷被覆材の概要
図1Bは、いくつかの実施形態による、創傷被覆材155を通る断面図を図示する。
図1Bはまた、いくつかの実施形態による、流体コネクタ116を図示する。創傷被覆材155は、国際特許公開WO2013/175306A2に記載される創傷被覆材と類似している場合があり、これは参照によりその全体が組み込まれる。あるいは、創傷被覆材155は、明細書に開示するいずれの創傷被覆材の実施形態、または、本明細書に開示する創傷被覆材の実施形態のいずれの数の特徴のいかなる組み合わせでもあり得、治療される創傷部位の上に置かれ得る。創傷被覆材155は、創傷くぼみ104といった創傷の上に密封されたくぼみを形成するために配置されてもよい。いくつかの実施形態では、創傷被覆材155は、最上層もしくは被覆層、または任意の創傷接触層222に取り付けられる裏当て層220を含むことが好ましく、それらについて以下により詳細に記載する。これら二つの層220、222は、内部空間またはチャンバを画定するために、共に接合または封止され得る。この内部空間またはチャンバは、陰圧を分配または伝達し、創傷滲出液および創傷から除去された他の流体を貯蔵するように適応し得る追加構造と、以下により詳細に説明するであろう他の機能とを備えてもよい。以下に記載するそのような構造の例は、透過層226および吸収層221を含む。さらに、センサアレイの一部であり得る一つ以上のセンサ250は、図示する創傷接触層222などの創傷被覆材200上またはその中へ組み込まれてもよい。
【0155】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指す。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指す。
【0156】
創傷接触層222は、ポリウレタン層、ポリエチレン層、又は、例えばホットピンプロセス、レーザアブレーションプロセス、又は超音波プロセスを介すか、又はその他のいくつかの方法でパーフォレートされた、あるいは別の方法で液体及び気体が透過するようにしたその他の柔軟性のある層であってもよい。創傷接触層222は、下表面224(例えば、創傷と向かい合う)および上表面223(例えば、創傷から見て外を向く)を有する。穿孔225は、創傷接触層222の中に貫通孔を含むことができ、流体が層222を通って流れることが可能になる。創傷接触層222は、創傷被覆材の他の材料中への組織内殖を防ぐのに役立つ。一部の実施形態では、穿孔は、流体が穿孔を通って流れることを依然として可能にしながら、この要件を満たすほど充分に小さい。例えば、0.025mmから1.2mmの範囲の寸法を有するスリットまたは孔として形成された穿孔は、創傷滲出液が被覆材内に流れるのを可能にしつつ、創傷被覆材内に組織が内部成長するのを防止する一助となるには十分小さいと考えられる。一部の構成では、創傷接触層222は、陰圧を創傷に維持するために、吸収性パッドの周りに気密状態をも作り出しながら、被覆材155全体の完全性を維持するのに役立つ場合がある。いくつかの実施形態では、創傷接触層は、陰圧が創傷に加えられるとき、創傷接触層を通る流体の、単向性または実質的に一方向または単向性の流れを許可するように構成される。例えば、創傷接触層は、流体が、創傷接触層を通して創傷から流れるのは許可するが、流体が創傷に向かって戻ることは許可しない。特定の事例では、創傷接触層の穿孔は、創傷接触層を通る流体のこうした一方向または単向性の流れを許容するように構成される。
【0157】
創傷接触層222の一部実施形態はまた、任意の上部および下部接着層(図示せず)用の担体として働いてもよい。例えば、下部感圧接着剤が、創傷被覆材155の下面224上に提供されてもよい一方、上部感圧接着層は、創傷接触層の上面223上に提供されてもよい。シリコーン、ホットメルト、親水コロイドもしくはアクリルをベースとする接着剤、または他のそのような接着剤であり得る感圧接着剤は、創傷接触層の両面上、もしくは任意で選択された片面上に形成されてもよく、または創傷接触層のどちらの面上に形成されなくてもよい。下部感圧接着層を利用することが、創傷被覆材155を創傷部位の周りの皮膚に接着させる助けになってもよい。いくつかの実施形態では、創傷接触層は穿孔ポリウレタンフィルムを備えてもよい。フィルムの下面はシリコーン感圧接着剤を提供されてもよく、上面はアクリル感圧接着剤を提供されてもよく、それによって被覆材がその完全性を維持する事を助けてもよい。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフィルム層の上面および下面の両面上に接着層を提供してもよく、全三層は共に孔加工されていてもよい。
【0158】
多孔質材料の層226は、創傷接触層222の上方に置かれ得る。この多孔質層または透過層226により、液体およびガスを含む流体が、創傷部位から離れて創傷被覆材の上部層中へと透過することが可能になる。特に、透過層226によって、吸収層がかなりの量の滲出液を吸収したときでさえ、外気チャネルが、創傷範囲全体に陰圧を伝えるように維持され得ることを保証できる。層226は、好ましくは、上述の通り、陰圧創傷療法時に適用されることになる通常の圧力の下で開放されたままになるべきであり、それによって、創傷部位全体が等しい陰圧を受ける。層226は、三次元構造を有する材料から形成され得る。例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(例えば、Baltex 7970の横編ポリエステル)、または不織布が使用され得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、透過層226は、84/144で織られたポリエステルである最上層(すなわち、使用中、創傷床から遠位の層)と、10デニールの平坦なポリエステルである最下層(すなわち、使用中、創傷床に近接して置かれる層)と、編みポリエステルビスコース、セルロースまたは類似のモノフィラメント繊維により画定される領域である、これら二つの層の間に挟まれて形成される第三層とを含む、3Dポリエステルのスペーサ生地層を含む。他の材料、および他の線質量密度の繊維ももちろん使用され得る。
【0160】
本開示を通して、モノフィラメント繊維への言及がなされるものの、もちろん多糸の代替物が利用され得ることは理解されるであろう。それゆえ、最上部スペーサ生地は、それを形成するのに使用される一本の糸において、最下部スペーサ生地層を形成するのに使用される糸を構成するフィラメントの数よりも多くのフィラメントを有する。
【0161】
間隔を置いて配置された層におけるフィラメント数のこの差は、透過層を横切る水分の流れを制御する一助となる。具体的には、最上層のフィラメント数をより多くすることによって、すなわち、最上層が、最下層に使用される糸よりも多くのフィラメントを有する糸から作られることによって、液体は、最下層よりも最上層に沿ってより多く吸われる傾向がある。使用中、この差異によって、液体が創傷床から引き離され、被覆材の中央領域中に引き寄せられるようになり、吸収層221が液体を閉じ込めるのに役立つか、または液体を放出させ得るカバー層に向かって、それ自体で液体を前方へ吸い上げる。
【0162】
いくつかの実施形態では、透過層226を横切る(すなわち、最上部および最下部スペーサ層の間に形成されるチャネル領域と垂直に)液体の流れを改善するために、3D織物は、ドライクリーニング剤(限定するものではないが、パークロロエチレンなど)で処理されて、透過層の親水能力を邪魔する可能性がある、前に使用された鉱油、油脂またはワックスなどの、いかなる工業製品をも除去するのに役立ってもよい。続いて、3Dスペーサ布が親水性剤(限定するものではないが、Rudolph Groupから市販されている30g/lのFeran Iceなど)で洗われる、追加の製造ステップに進んでもよい。このプロセスステップは、水などの液体が3D編物に接触するとすぐに織物に進入し得るほど、材料の表面張力が低くなることを保証するのに役立つ。またこのステップは、いかなる滲出液の液状侵襲成分(liquid insult component)の流れを制御するのにも役立つ。
【0163】
吸収性材料の層221は、透過層226の上に提供され得る。発泡体もしくは不織の自然または合成材料を含み、任意で超吸収材料を含んでもよい吸収材は、流体、具体的には、創傷部位から除去される液体用の貯留部を形成する。一部の実施形態では、層221もまた、流体を裏当て層220の方へ引き寄せるのに役立ってもよい。
【0164】
吸収層221の材料はまた、創傷被覆材155に収集された液体が、被覆材内を自由に流れるのを防止し得、被覆材内に収集されるいかなる液体をも包含するように働き得る。吸収層221はまた、流体を創傷部位から引き寄せ、吸収層中に渡って貯蔵するように、吸い上げ作用によって層全体に流体を分配するのを助ける。これによって、吸収層のエリアにおける凝集を防止するのを補助する。吸収材の容量は、陰圧を適用するとき、創傷の滲出液が流れる速度を管理するのに充分でなくてはならない。使用中、吸収層は陰圧を経験するため、吸収層の材料は、そのような状況下で液体を吸収するように選ばれる。例えば、超吸収体材料といった、陰圧下にあるとき液体を吸収できる、いくつかの材料が存在する。吸収層221は通常、ALLEVYN(商標)発泡体のFreudenberg114-224-4またはChem-Posite(商標)11C-450より製造されてもよい。いくつかの実施形態では、吸収層221は、超吸収性粉末、セルロースなどの繊維材料、および結合繊維を含む複合材を含んでもよい。一部の実施形態では、複合材はエアレイドの熱的に結合された複合材である。
【0165】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、層中に渡って分散する乾燥粒子の形態である超吸収性材料を有する、不織りセルロース繊維の層である。セルロース繊維の使用によって、被覆材により吸収される液体を素早くかつ均等に分配するのに役立つ、高速吸い上げ要素が導入される。多数の撚糸様繊維を並列させることが、液体を分配するのに役立つ繊維パッドの、強い毛細管作用につながる。このように、超吸収材料に液体を効率的に供給する。また、吸い上げ作用によって、被覆材の蒸散率を増加させるのに役立つように、液体を上部カバー層と接触させるように支援する。
【0166】
陰圧を被覆材155に適用することが可能になるように、アパーチャ、孔またはオリフィス227が裏当て層220に提供される。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116は、被覆材155の中に作られるオリフィス227の上で、裏当て層220の最上部に取り付けられるか、または封止され、オリフィス227を通って陰圧を伝える。長い管が、被覆材から流体を汲み上げることが可能になるように、第一端部で流体コネクタ116に、第二端部でポンプユニット(図示せず)に結合されてもよい。流体コネクタが創傷被覆材の最上層に接着する場合、長いチューブは、チューブまたは導管が、流体コネクタから離れて平行に、または実質的に被覆材の最上表面へ延在するような、流体コネクタの第一端部で連結され得る。流体コネクタ116は、アクリル、シアノアクリレート、エポキシ、UV硬化性またはホットメルト接着剤などの接着剤を使用して、裏当て層220に接着および封止してもよい。流体コネクタ116は、ショアAスケールで30から90の硬度を有する、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンまたはポリウレタンといった柔らかいポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116は、柔らかい材料または適合する材料から作られてもよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、吸収層221は、流体コネクタ116の下にあるように配置される、少なくとも一つの貫通孔228を含む。貫通孔228は、いくつかの実施形態では、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。
図1Bに示す通り、単一の貫通孔は、流体コネクタ116の基礎を成す開口部を生み出すように使用され得る。複数の開口部が、代替として利用され得ることは理解されるであろう。加えて、二つ以上のポートが、本開示の特定の実施形態に従って利用されるべき場合、一つまたは二つ以上の開口部が、各流体コネクタと位置を合わせて、吸収層および不明瞭化層に作られてもよい。本開示の特定の実施形態には必須ではないものの、超吸収層に貫通孔を使用することで、吸収層が飽和に近いとき特に、遮断されないままの流体流路を提供し得る。
【0168】
貫通孔228は、裏当て層の開口部227と同じサイズであってもよく、またはより大きいもしくは小さくてもよい。アパーチャまたは貫通孔228は、
図1Bに示す通り、オリフィスが透過層226に直接接続するように、オリフィス227の下方の吸収層221に提供され得る。これによって、流体コネクタ116に適用される陰圧を、吸収層221を通過することなく、透過層226へ伝えることが可能になる。これで、吸収層が創傷滲出液を吸収するとき、創傷部位に適用される陰圧が、吸収層によって阻害されないことが保証される。他の実施形態では、隙間は吸収層221に提供されなくてもよく、または、代替として、オリフィス227の下にある複数の隙間が提供され得る。さらなる代替の実施形態では、別の透過層などの追加層、または参照することによりその全体が援用される、国際特許出願公開第2014/020440号に記載されるような不明瞭化層が、吸収層221の上および裏当て層220の下方に提供され得る。
【0169】
裏当て層220は、気体を透過させないが、水蒸気を透過させることができ、創傷被覆材155の幅を横切って延在し得る。例えば、片方の面に感圧接着剤を有するポリウレタンフィルム(例えば、Elastollan SP9109)であり得る、裏当て層220は、ガスに対して不透過性であり、それゆえ、この層は創傷を被覆し、上に創傷被覆材が置かれる創傷空洞を封止するように動作する。このように、効果的なチャンバが、陰圧が確立され得る、裏当て層220と創傷部位との間に作られる。裏当て層220は、被覆材の外周の周りの境界領域で、創傷接触層222に封止することができ、例えば、接着技術または溶接技術によって、空気が境界範囲を通って引き込まれることを保証する。裏当て層220によって、創傷が外部の細菌汚染から保護され(細菌バリア)、層を通って創傷滲出液からの液体を移動させ、フィルム外表面から蒸発させることが可能になる。裏当て層220は、ポリウレタンフィルムと、フィルム上に広がる接着パターンとの二つの層を含み得る。ポリウレタンフィルムは透湿性を持つことができ、濡れたときに水透過速度が高まる材料から製造されてもよい。いくつかの実施形態では、裏当て層が濡れると、裏当て層の透湿性が増大する。濡れた裏当て層の透湿性は、乾いた裏当て層の透湿性の最大約十倍であり得る。
【0170】
吸収層221は、透過層226の縁と重複するように、透過層226よりも大きい範囲から成ってもよく、それによって、透過層が裏当て層220に接触しないことを保証する。これにより、創傷接触層222と直接接触する、吸収層221の外側チャネルが提供され、滲出液の吸収層へのより急速な吸収に役立つ。さらに、この外側チャネルによって、液体が創傷空洞の外周に貯留できないことが保証され、そうでない場合には、被覆材の周囲の封止部から染み出して、漏出の形成につながる場合がある。
図1Bに図示する通り、吸収層221によって、境界線または境界領域が、吸収層221の端と裏当て層220の端との間に画定されるように、裏当て層220の周囲よりも小さい周囲を画定してもよい。
【0171】
図1Bに示す通り、創傷被覆材155の一実施形態は、流体コネクタ116の下方に置かれる吸収層221に、アパーチャ228を含む。使用中、例えば、陰圧が被覆材155に適用されるとき、流体コネクタの創傷に面する部分は、透過層226と接触してもよく、それゆえ、吸収層221が創傷流体で満たされているときでさえ、創傷部位に陰圧を伝達するのに役立ち得る。いくつかの実施形態によって、裏当て層220を透過層226に少なくとも一部接着させてもよい。いくつかの実施形態では、隙間228は、流体コネクタ116の創傷に面する部分またはオリフィス227の直径よりも、少なくとも1~2mm大きい。
【0172】
例えば、単一流体コネクタ116および貫通孔を伴う実施形態では、流体コネクタ116および貫通孔が、中心から外れた位置に置かれるのが好ましい場合がある。そのような位置は、流体コネクタ116が被覆材155の残余部に対して持ち上げられるように、被覆材155を患者の上に配置することを可能とし得る。そのように配置すると、流体コネクタ116およびフィルタ214は、創傷部位への陰圧の伝達を減じるために、時期を早めてフィルタ214を閉塞させ得る創傷流体と、接触する可能性が低くなる場合がある。
【0173】
ここで流体コネクタ116を参照すると、いくつかの実施形態は、封止面216と、近位端(陰圧源により近い)および遠位端140を有するブリッジ211と、フィルタ214とを含む。密封面216は、創傷被覆材の最上表面に封止される、アプリケータを形成し得る。いくつかの実施形態では、流体コネクタ116の最下層は、密封表面216を含んでもよい。流体コネクタ116はさらに、いくつかの実施形態では、流体コネクタの別個の上部層により画定される、密封表面216から垂直に間隔を空ける上表面を含んでもよい。他の実施形態では、上面および下面は、材料の同じ一片から形成され得る。いくつかの実施形態では、封止面216は、創傷被覆材と連通するように、その中に少なくとも一つの隙間229を備えてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ214は、封止面の開口部229を横切って配置されてもよく、開口部229全体にわたってもよい。封止面216は、創傷被覆材のカバー層に流体コネクタを封止するように構成されてもよく、接着剤または溶接部を備えてもよい。いくつかの実施形態では、密封面216は、フィルタ214と透過層226との間にギャップを作るよう構成された、スペーサ要素215を有する、カバー層のオリフィスの上に配置され得る。他の実施形態では、密封表面216は、カバー層のオリフィスおよび吸収層220のアパーチャの上に位置してもよく、流体コネクタ116によって透過層226を通る気流を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、ブリッジ211は、陰圧源と連通する第一流体通路212を備えてもよく、第一流体通路212は、3D編み材料など、前に記載した多孔質層226と同じでもよく、または異なってもよい、多孔質材料を備える。ブリッジ211は、近位端および遠位端を有し、第一の流体通路212を囲むように構成される、少なくとも一つの可撓性フィルム層208、210によって被包することができ、可撓性フィルムの遠位端は、密封表面216に接続する。フィルタ214は、創傷滲出液がブリッジに入ることを実質的に防止するように構成され、スペーサ要素215は、流体コネクタが透過層226に接触するのを防ぐように構成される。これらの要素については、以下により詳細に記載する。
【0174】
いくつかの実施形態はさらに、第一流体通路212の上方に位置する、任意の第二流体通路を備えてもよい。例えば、一部の実施形態によって、第一の流体通路212および被覆材155中への空気経路を提供するように構成され、最上層の近位端に配置される可能性がある、空気漏れ部を提供してもよく、これは、参照することによって全体が援用される、米国特許第8,801,685号に記載する吸引アダプタに類似する。
【0175】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、スペーサがねじれるかまたは折り重なる場合でも、流体が通過することを可能にする、可撓性のある、規格に準拠した材料から構築される。流体通路212の好適な材料には、ポリエチレンまたはポリウレタン発泡体など、連続気泡発泡体を含む発泡体、メッシュ、3D編物、不織材料および流体チャネルを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、流体通路212は、透過層226に関して上に記載したものと、類似の材料から構築され得る。有利なことに、流体通路212に使用されるそのような材料によって、患者の快適性をより増すことが可能になるだけでなく、ねじれるか、または曲がっている間でも、依然として流体通路212が流体を創傷から陰圧源の方へと移動できるような、より大きなねじれ抵抗を提供し得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、流体通路212は、例えば、編みもしくは織りスペーサ生地(ポリエステルで編まれた3D織物、Baltex 7970(登録商標)またはGehring 879(登録商標))といったウィッキング生地、または不織布から成ってもよい。選択されたこれらの材料は、創傷滲出液を創傷から離すように導き、陰圧または吐出された空気を創傷部位へ伝達するために置くことができ、また、ある程度のねじれ抵抗または閉塞抵抗を、流体通路212に与えてもよい。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、いくつかの事例では、流体の吸い上げまたは陰圧の伝達に役立つ場合がある、三次元構造を有し得る。特定の実施形態では、ウィッキング生地を含むある実施形態では、これらの材料は、開放されたままで、例えば、-40から-150mmHgの間の陰圧療法で使用される通常圧力下において、変わらず陰圧を創傷範囲に伝えることができる。いくつかの実施形態では、ウィッキング生地は、互いの上に積み重なった、または積層された材料のいくつかの層を備えてもよく、一部の場合には、陰圧の印加状況下において、流体通路212が崩れるのを防止するのに有用であり得る。他の実施形態では、流体通路212に使用されるウィッキング生地は、1.5mmと6mmとの間であってもよく、より好ましくは、ウィッキング生地は、3mmと6mmとの間の厚さであってもよく、一つまたはいくつかの個別のウィッキング生地層から成ってもよい。他の実施形態では、流体通路212は1.2~3mmの間の厚さであってもよく、好ましくは1.5mmよりも厚い。いくつかの実施形態、例えば、創傷滲出液などの液体を保持する被覆材と共に使用される吸引アダプタは、流体通路212に疎水性の層を用いてもよく、ガスのみが流体通路212を通って動いてもよい。加えて、前に記載した通り、システムに使用される材料は、適合する柔らかいものであることができ、患者の皮膚に対して圧力を加える創傷治療システムに起因する場合がある、褥瘡および他の合併症を回避するのに役立つ場合がある。
【0177】
いくつかの実施形態では、フィルタ要素214は、液体に対して不透過性であるが、気体に対しては透過性があり、液体バリアとして働き、液体が創傷被覆材155から漏れ出ることができないことを保証するように提供される。フィルタ要素214はまた、細菌バリアとして機能し得る。通常、管孔サイズは0.2μmである。フィルタ要素214のフィルタ材料に好適な材料には、MMT範囲からの0.2ミクロンのGore(商標)拡張PTFE、PALL Versapore(商標)200RおよびDonaldson(商標)TX6628を含む。より大きな管孔サイズも使用され得るが、これらは、二次フィルタ層が、完全な生物汚染の封じ込めを保証することを必要とする場合がある。創傷流体は脂質を含有するため、必須ではないものの、例えば、0.2ミクロンのMMT-323の前に1.0ミクロンのMMT-332といった、撥油性フィルタ膜を使用することが好ましい。これにより、脂質が疎水性フィルタを遮断するのを防げる。フィルタ要素は、オリフィスの上のポートもしくはカバーフィルムに取り付けられ得るか、または封止され得る。例えば、フィルタ要素214は、流体コネクタ116に成型されてもよく、または限定するものではないが、UV硬化接着剤などの接着剤を使用して、被覆層の最上部および吸引アダプタ160の最下部の一方または両方に接着してもよい。
【0178】
他のタイプの材料がフィルタ要素214に使用され得ることは、理解されるであろう。より広くは、薄く平坦な一枚のポリマー材料である、微多孔膜を使用することができ、これは数十億もの微細な管孔を包含する。選んだ膜に応じて、これらの管孔は、0.01マイクロメートルから10マイクロメートルより大きいサイズの範囲にあり得る。微多孔膜は、親水性(水のフィルタリング)および疎水性(撥水)形態の両方で利用可能である。一部の実施形態では、フィルタ要素214は、支持層と、支持層上に形成されるアクリルコポリマー膜とを含む。いくつかの実施形態では、特定の実施形態による創傷被覆材155は、疎水性微多孔膜(MHM:microporous hydrophobic membrane)を使用する。多数のポリマーを用いて、MHMを形成し得る。例えば、MHMは、PTFE、ポリプロピレン、PVDFおよびアクリルコポリマーの一つまたは複数から形成され得る。これら任意のポリマーの全てが、疎水性および撥油性の両方であり得る、特定の表面特性を得るために処理され得る。これらによって、マルチビタミン注入物、脂質、界面活性剤、油および有機溶媒など、表面張力の低い液体を追い払うであろう。
【0179】
MHMは、空気が膜を通って流れることを可能にしながら、液体を遮断する。MHMはまた、潜在的感染エアロゾルおよび粒子を排除する、非常に効率的なエアフィルタである。MHMの単一片は、機械式バルブまたはベントを交換する選択肢として、よく知られる。それゆえ、MHMの組込みによって製品組立費を削減し、利益、および患者に対する費用/利得の割合を改善し得る。
【0180】
フィルタ要素214はまた、例えば、活性炭、炭素繊維布もしくはVitec Carbotec-RT Q2003073発泡体、または類似のものといった臭気吸収材を含んでもよい。例えば、臭気吸収材は、フィルタ要素214の層を形成してもよく、またはフィルタ要素内の疎水性微多孔膜間に挟まれてもよい。それゆえ、フィルタ要素214によって、オリフィスを通してガスを排出することが可能になる。しかしながら、液体、微粒子および病原体は被覆材に包含される。
【0181】
創傷被覆材155は、流体コネクタ116およびフィルタ214と併せてスペーサ要素215を含み得る。こうしたスペーサ要素215を追加することで、流体コネクタ116およびフィルタ214は、吸収層220または透過層226と直接接触しないよう支持され得る。吸収層220はまた、フィルタ214を透過層226に接触させるための追加的なスペーサ要素として作用し得る。従って、こうした構成により、フィルタ214の使用中の透過層226および創傷液体との接触が、最小化され得る。
【0182】
上記の創傷被覆材の実施形態に類似して、一部の創傷被覆材は、皮膚接触面上にシリコーン接着剤、および裏面上にアクリル接着剤を伴う穿孔創傷接触層を含む。この縁取られた層の上方には、透過層または3Dスペーサ生地パッドが存在する。透過層の上方には吸収層が存在する。吸収層は超吸収不織(NW)パッドを含み得る。吸収層は、周囲をおよそ5mm越えて透過層に接し得る。吸収層は、一つの端部の方に向かう隙間または貫通孔を有し得る。隙間は直径約10mmであり得る。透過層および吸収層の上に、裏当て層がある。裏当て層は、アクリル接着剤でコーティングされた模様である、高水蒸気透過率(MVTR)フィルムであり得る。高MVTRフィルムおよび創傷接触層は、透過層および吸収層を被包して、およそ20mmの周囲境界を作り出す。裏当て層は、吸収層の隙間の上に重なる、10mmの隙間を有し得る。孔の上方には、前述したアパーチャの上に重なる、液体不透過性、気体透過性の半透過性膜(SPM:semi-permeable membrane)またはフィルタを備える、流体コネクタを結合し得る。
【0183】
図1C~
図1Dは、流体コネクタ110と連動して創傷被覆材100を用いる、陰圧創傷治療システム10の実施形態を図示する。図中、流体コネクタ110は、例えば、近位端130および遠位端140を有するブリッジ120などの細長い導管と、ブリッジ120の遠位端140にアプリケータ180とを備えてもよい。任意の連結器160は、ブリッジ120の近位端130に配置され得る。キャップ170が、システムに提供され得る(一部の場合、示す通り、カップリング160に取り付けられ得る)。キャップ170は、近位端130から流体が漏出するのを防止するときに有用であり得る。システム10は、ポンプまたは陰圧を供給できる陰圧ユニット150など、陰圧源を含んでもよい。ポンプは、創傷滲出液、および創傷から除去され得る他の流体を貯蔵する、キャニスタまたは他の容器を備えてもよい。キャニスタまたは容器はまた、ポンプとは別に提供され得る。一部の実施形態では、
図1A~
図1Bに示すように、ポンプ150は、Smith&Nephewより販売される、PICO(商標)ポンプなど、キャニスタなしのポンプであり得る。ポンプ150は、管190を介してカップリング160に接続してもよく、またはポンプ150は、カップリング160に直接、もしくはブリッジ120に直接接続し得る。使用中、被覆材100は、一部の場合、発泡体またはガーゼなどの創傷パッキング材料で満たされ得る、好適に準備された創傷の上に置かれる。流体コネクタ110のアプリケータ180は、被覆材100の隙間の上に置かれ、被覆材100の最上表面に封止される、封止面を有する。流体コネクタ110の被覆材100への接続の前、間、または後のいずれかに、ポンプ150は、管190を介してカップリング160へ接続されるか、またはカップリング160もしくはブリッジ120へ直接接続される。その後ポンプが起動され、それによって陰圧を創傷に供給する。陰圧の印加は、所望するレベルの創傷治癒を達成するまで行われてもよい。
【0184】
図1Eに示す通り、流体コネクタ110は、以下にさらに詳細に記載する通り、被覆材100と流体連通する拡大遠位端または頭部140を含む。一実施形態では、拡大遠位端は丸い形または円形を有する。頭部140は、図中、被覆材100の端近くに位置するように示しているが、被覆材上のいずれの場所に配置され得る。例えば、いくつかの実施形態は、被覆材100の端または角上または近くではない、中心または中心から外れた場所に提供され得る。いくつかの実施形態では、被覆材10は、二つ以上の流体コネクタ110を備えてもよく、各々、それと流体連通する一つまたは複数の頭部140を備える。一実施形態では、頭部140は、最も幅の広い縁に沿って30mmあってもよい。頭部140は、上に記載した、創傷被覆材の最上表面に対して封止されるように構成される、アプリケータ180を少なくとも一部形成する。
【0185】
図1Fに目を転じると、より大きな腹部創傷など、特定の実施形態で陰圧を用いる他の創傷タイプの治療では、図に概略的に示す通り、陰圧治療システム101を使用する。この実施形態では、腹部創傷として図に示す創傷126は、陰圧による治療から恩恵を受けることができる。そのような腹部創傷は、例えば、事故または外科的介入による結果である場合がある。一部の場合、腹部コンパートメント症候群、腹部高血圧、敗血症または水腫などの病状は、腹膜腔を曝露するように、腹壁を通る外科的切開による腹部の除圧を必要とする場合があり、その後、開口部は状態が回復するまで、開放してアクセス可能な状態の維持が必要とされることがある。他の状態もまた、具体的には腹腔などの開口部は、例えば、複数の外科的手技が必要とされる(場合により外傷に付随して起こる)場合、または腹膜炎または壊死性筋膜炎など、病態のエビデンスがある場合、開いたままにしておくことを必要とする場合がある。
【0186】
具体的には腹部などに創傷がある場合、創傷が開いたままであるべきであってもなくとも、または創傷が閉じられるであろう場合には、器官および腹膜腔の曝露に関係する、可能性のある合併症を管理することが望ましい。好ましくは陰圧の適用を使用する療法は、組織生存を促進し、創傷から有害な物質を除去しながら、感染のリスクを最小化することを目的とし得る。創傷への減圧または陰圧の印加は、とりわけ、概してより早い治癒、血流の増大、細菌負荷の減少、肉芽組織形成の速度増大の促進、線維芽細胞増殖への刺激、内皮細胞増殖への刺激、慢性開放創の閉鎖、熱傷の浸透(burn penetration)の阻害、または皮弁および移植片の付着強化をもたらすことがわかっている。陰圧の印加による治療への好反応を呈していた創傷には、感染開放創、褥瘡性潰瘍、裂開切開、中間層熱傷およびフラップまたは移植片を取り付けられたさまざまな病変を含むことも、報告されている。その結果として、創傷106への陰圧の適用は、患者にとって有益であり得る。
【0187】
したがって、ある実施形態では、創傷126の上に設置するように、創傷接触層105が提供される。創傷接触層はまた、器官保護層または組織保護層と称され得る。好ましくは、創傷接触層105は、創傷または接近した曝露された内臓にそれほど接着しない薄い可撓性材料であることができる。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはそれらの混合物などのポリマーが、使用され得る。一実施形態では、創傷接触層は透過性がある。例えば、創傷接触層105は、創傷126からの流体の除去、または創傷126への陰圧の伝達を可能にするように、孔、スリットまたはチャネルなどの開口部を提供され得る。創傷接触層105の追加の実施形態について、以下にさらに詳細に記載する。
【0188】
陰圧治療システム101のある実施形態はまた、創傷接触層105の上に配置され得る、多孔質創傷充填材103を使用してもよい。このパッド103は、柔らかく弾性的可撓性があり、概して創傷126に適合する、例えば、発泡体といった多孔性材料から構築され得る。そのような発泡体には、例えば、ポリマーから作られる連続気泡型の網状発泡体を含み得る。好適な発泡体には、例えば、ポリウレタン、シリコーンおよびポリビニルアルコールから成る発泡体を含む。このパッド103は、陰圧が創傷に印加されるとき、パッドを通って創傷滲出液および他の流体を導き得ることが好ましい。一部のパッド103は、そのような目的で事前に形成されるチャネルまたは開口部を含んでもよい。特定の実施形態では、パッド103は、約1インチと約2インチとの間の厚さを有してもよい。パッドはまた、約16インチと17インチとの間の長さ、および約11インチと12インチとの間の幅を有し得る。他の実施形態では、厚さ、幅または長さは、他の好適な値を有し得る。パッド103の代わりに、またはそれに加えて使用され得る、創傷充填材の他の実施形態について、以下にさらに詳細に議論する。
【0189】
ドレープ107は、創傷126を密封するために使用されることが好ましい。ドレープ107は、少なくとも一部の陰圧を創傷に維持してもよいように、少なくとも部分的に液体不透過性であり得る。ドレープ107に好適な材料は、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、および他のコポリマー、ならびにそれらの混合物を含む、それほど流体を吸収しない合成ポリマー材料を含むがこれらに限定されない。ドレープに使用される材料は、疎水性または親水性であり得る。好適な材料の例には、DeRoyalから市販されているTranseal(登録商標)、およびSmith&Nephewから市販されているOpSite(登録商標)を含む。患者の快適性に役立ち、皮膚の浸軟を回避するために、特定の実施形態におけるドレープは、水蒸気が被覆材下に閉じ込められたままにならず通過できるように、少なくとも一部に通気性がある。特定の実施形態では、代わりに別個の接着剤または接着ストリップを使用し得るものの、接着層には少なくとも一部分上に、ドレープを患者の皮膚に固定するように、ドレープ107の底面を提供し得る。任意で、放出層は、使用前、接着層を保護し、かつドレープ107の取り扱いを容易にするように、接着層の上に配置されてもよく、いくつかの実施形態では、放出層は複数セクションから成ってもよい。
【0190】
陰圧システム101は、陰圧源、例えば、ポンプ114に接続し得る。好適なポンプの一例は、Smith&Nephewから市販されているRenasys EZポンプである。ドレープ107は、導管122を介して陰圧供給源114に接続されてもよい。導管122は、ドレープ107のアパーチャ109の上に置かれるポート113に接続してもよく、あるいは、導管122は、ポートを使用せずにアパーチャ109を通って直接接続してもよい。さらなる代替物において、導管はドレープの下方を通り、ドレープの側面から延在し得る。米国特許 米国特許第7,524,315号は、陰圧システムの他の類似する態様について開示し、参照することによって本明細書によりその全体が援用され、本明細書の一部とみなされるべきである。
【0191】
多くの適用では、容器または他の貯蔵ユニット115は、創傷滲出液、および創傷から除去された他の流体を、陰圧源に進入させることなく貯蔵することが可能になるために、陰圧源124と導管122とに間置され得る。また、例えば、蠕動ポンプといった、あるタイプの陰圧源によっても、容器115をポンプ124の後に設置することが可能になってもよい。いくつかの実施形態はまた、流体、エアロゾルおよび他の微生物混入物が、容器115を離れ、または陰圧供給源124に進入するのを防止するように、フィルタを使用してもよい。さらなる実施形態はまた、オーバーフローを防止するように、容器に遮断弁、または閉塞疎水性もしくは撥油性フィルタを含んでもよく、他の実施形態は、容器の中の流体のレベルが容量に近づく場合、容量センサなどの感知手段、または陰圧の源を停止もしくは遮断するように働く、他の流体レベル検出器を含んでもよい。ポンプ排出部に、活性炭キャニスタなどの臭気フィルタを提供し得ることがまた好ましい。
【0192】
図1Gは、陰圧なしで創傷を治癒するために使用され得る、創傷被覆材の様々な実施形態を図示する。
図1Gの被覆材に示す通り、創傷被覆材は、
図1Gの被覆材がポートも流体コネクタも含まないことを除いて、
図1C~
図1Fを参照して説明した被覆材に類似する複数の層を有することができる。
図1Gの創傷被覆材は、本明細書に記載する通り、カバー層および創傷接触層を含み得る。創傷被覆材は、創傷接触層とカバー層との間に位置する様々な層を含み得る。例えば、被覆材は、
図1C~
図1Fを参照して本明細書に記載する通り、一つ以上の吸収層または一つ以上の透過層を含み得る。加えて、本明細書に記載する創傷被覆材を備える、創傷治療に関係する一部の実施形態はまた、2014年5月21日に米国特許出願第2014/0249495号で出願された、名称「WOUND DRESSING AND METHOD OF TREATMENT」と組み合わせて、または該米国特許出願に追加して使用されてもよく、該米国特許出願の開示は、創傷被覆材の実施形態、創傷被覆材の構成要素および原理、ならびに創傷被覆材に使用される材料に関係する、さらなる詳細を含め、参照することによって本明細書によりその全体が援用される。
【0193】
センサ付き創傷被覆材
多数のセンサを組み込む創傷被覆材は、創傷が治癒するにつれて、その創傷の特性を監視するために利用することができる。良好に治癒する創傷、および、治癒しない創傷からのデータを収集することは、創傷が治癒軌道上にあるかどうかを示すための測定基準を特定するための有用な洞察を提供できる。
【0194】
図1Bの創傷被覆材155などの創傷被覆材は、
図1Bの一つ以上のセンサ270などの様々なセンサまたは複数のセンサを組み込んでもよく、様々なセンサ技術を、創傷被覆材または創傷被覆材アセンブリ全体の一部を形成する一つ以上の構成要素に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態によるセンサアレイを有する創傷被覆材250および320を示す
図2および
図3Dに示す通り、一つまたは複数のセンサは、
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層であってもよい、創傷接触層上へまたは創傷接触層中へ組み込まれ得る。
図2および
図3Dの創傷接触層は、四角形を有するように示されるが、創傷接触層が、例えば、長方形、円形、楕円形などの他の形を有してもよいことは理解されるであろう。いくつかの実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、創傷面積の上に設置される個々の材料層として提供され、その後、創傷被覆材アセンブリ、創傷被覆材アセンブリの構成要素、例えば、ガーゼ、発泡体または他の創傷パッキング材料、超吸収層、ドレープ、PicoまたはAllevyn Life被覆材のような完全統合型被覆材など、によって被覆され得る。他の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、ここに記載するような、単一ユニット被覆材の一部であってもよい。
【0195】
センサ統合型創傷接触層は、創傷と接触して設置でき、流体が創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど起こさずに、接触層を通過することが可能になるであろう。センサ統合型創傷接触層は、シリコーンなどの可撓性材料から作ることができ、抗菌剤、または当該技術分野で知られる他の治療薬を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ統合型創傷接触層は、湿組織または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の実施形態では、センサ、またはセンサアレイは、上に記載した吸収層またはスペーサ層など、創傷被覆材の他の構成要素内に取り込まれ得るか、または被包され得る。
【0196】
図2および
図3Dに示す通り、例えば、温度(例えば、25個のサーミスタセンサ、配列5×5、ピッチ~20mm)、酸素飽和度またはSpO2(例えば、4個または5個のSpO2センサ、創傷接触層の中心から縁まで単一直線、ピッチ10mm)、組織色、(例えば、10個の光学センサ、配列2×5、ピッチ~20mm;配列の各列5個のセンサすべてが整列する必要はない)、pH(例えば、pH感受性パッドの色を測定することによって、組織の色用と同じ光学センサを任意で使用)、および伝導度(例えば、9個の伝導性接触部、配列3×3、ピッチ~40mm)用センサを含む、5個のセンサが使用され得る。加えてまたは代替として、生体化合物もしくは化学化合物(例えば、色素コーティングされた比色センサ)、または類似のものを測定するように構成される、圧力、流量、ひずみ、比色センサなどの他のセンサが使用され得る。比色センサは、臭気、毒性などを測定するために使用され得る。本明細書に記載する、いかなる一つ以上のセンサも、創傷または皮膚のいかなる場所の測定値をも得るように、設置または位置付けされ得る。
図3Aに示す通り、SpO2センサは、創傷接触層の中心からまたは中心付近から、創傷接触層の縁への単一直線状に配設され得る。SpO2センサの直線によって、センサが、様々な領域間の変化を測定するように、創傷の真ん中で、縁もしくは創傷で、または無傷の皮膚上で測定値を得ることが可能になり得る。一部の実施形態では、創傷接触層またはセンサアレイは、創傷の全体表面範囲だけでなく周囲の無傷の皮膚も被覆するように、創傷のサイズよりも大きくなり得る。より大きなサイズの創傷接触層またはセンサアレイ、および複数のセンサによって、センサが創傷の中心にのみ設置されていた場合、または一度にエリア一箇所ずつの場合よりも、創傷エリアについてより多くの情報を提供し得る。
【0197】
センサは、様々なフルオロポリマー(FEP)およびコポリマー、またはいかなる他の好適な材料に加えて、シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含むがこれらに限定されない可撓性ポリマーから形成され得る、可撓性のあるもしくは実質的に可撓性のあるプリント回路(FPC)のうちの一つ以上など、可撓性のあるもしくは実質的に可撓性のある基材によって支持され得るか、または可撓性のあるもしくは実質的に可撓性のある基材上に組み込まれ得る。実質的に可撓性のあるまたは可撓性のある基材は、片面、両面または多層回路を含み得る。一部の実装では、センサアレイは二層の可撓性回路の中に組み込まれ得る。一部の実施形態では、FPCは多層の可撓性プリント回路であり得る。いくつかの実施形態では、FPCのプリント回路インクは、特に、銅または銀を含み得る。一部の実施形態では、これらの可撓性プリント回路は、創傷被覆材のいかなる層の中にも組み込まれ得る。一部の実施形態では、可撓性回路は、創傷接触層の中に組み込まれ得る(例えば、創傷接触層上または中に位置し得る)。例えば、可撓性回路は、
図1Bを参照して記載した創傷接触層に類似する、創傷接触層の中に組み込まれ得る。創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つ以上のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。
【0198】
センサ統合型創傷接触層は、創傷接触層材料の二層の間に挟まれるFPCを伴う、第一および第二の創傷接触層を含み得る。第一の創傷接触層は、創傷と接触するように意図する下表面と、可撓性回路基板と接触するように意図する上表面とを有する。第二の創傷接触層は、FPCと接触するように意図する下表面と、創傷被覆材、または創傷被覆材組立品全体の一部を形成する、一つ以上の構成要素と接触するように意図する上表面とを有する。第一の創傷接触層の上表面および第二の創傷接触層の下表面は、2層の間に挟まれるFPCと共に接着され得る。
【0199】
一部の実施形態では、FPCの一つ以上のセンサは、創傷の中の水分または流体との接触を防止するように、創傷接触層によって完全に被包または被覆され得る。一部の実施形態では、第一の創傷接触層は、下表面から突出し、創傷範囲に直接接触する、一つ以上のセンサを可能にする、切り取り部またはスリットを有し得る。例えば、
図3Dに示す通りの一つ以上のSpO2センサは、創傷接触層の最下表面から突出して示されている。一部の実施形態では、SpO2センサは、第一の創傷接触層の下表面上に直接載置され得る。センサと電気もしくは電子構成要素の一部またはすべては、埋められてもよく、または、ポリマー、例えば、シリコンまたはエポキシベースのポリマーで、被包されてもよい(例えば、防水または防液の状態にする)。ポリマーで被包することで、流体進入、および構成要素からの化学物質浸出を防ぎ得る。一部の実施形態では、創傷接触層材料は、水が進入したり化学物質が浸出したりしないように、構成要素を密閉し得る。
【0200】
一部の実施形態では、創傷に関係する情報を集めて処理する際に、センサアレイ、コントロールまたは処理モジュール、およびソフトウェアを含む、三つの構成要素を利用し得る。三つの構成要素について、本明細書により詳細に記載する。
【0201】
図3Aは、センサアレイ部分301、尾部分302およびコネクタパッド端部分303を含む、センサアレイ300を図示する。センサ部分301は、その他の可能性のあるセンサの中でも特に、温度センサ、インピーダンスセンサ、光センサ、およびSpO2センサのうちの一つ以上ならびに関連回路を含み得る。センサアレイ300は、可撓性のセンサアレイのプリント回路とし得る。尾部分302は、センサ部分301からコネクタパッド端部分303へと延び得る。コネクタパッド端部分303は、センサからデータを受信するように、コントロールモジュールもしくは他の処理ユニットに電気的または電子的に接続することができる。長い尾部分302によって、コントロールモジュールを、例えば、創傷から離れた、より都合の良い場所などの、創傷から遠くに配置することが可能になり得る。
【0202】
図3Bは、いくつかの実施形態による、様々な四つのセンサアレイの幾何学形状301A、301B、301C、301Dを有するFPCの実施形態を図示する。図示した実施形態は、尾部分302A、302B、302C、および302Dを含む。いくつかの実施形態では、四つの異なるセンサアレイ形状は、可撓性回路に実装され得る。
図3Bは、四つの異なるセンサアレイ形式および構成を示すが、設計301Bおよび302Bは、スポンサーアレイ301Bとコントロールモジュールとの間の電気または電子接続を提供するように構成されたコネクタパッド端部分303も含む。301A、301C、または301Dの設計のうちの一つまたは複数は、部分303といった、コネクタパッド端部分を含み、可撓性回路基板301A、301C、または301Dがコントロールモジュールまたはその他の処理ユニットと通信できるようにする。いくつかの実施形態では、センサアレイはコントロールモジュールと無線通信し、尾部分は省略されてもよい。
【0203】
図3Cは、
図3Bに示すセンサアレイ設計のセンサアレイ部分301Bを、より詳細に示す。
図2または
図3A~
図3Dの実施形態のうちのいずれか一つまたは複数では、センサアレイ部分が、創傷接触層などの創傷被覆材構成要素の周囲近辺、または創傷被覆材構成要素の外縁から内向きのいずれかに延在する複数の部分を含み得る。例えば、図示する実施形態は、創傷被覆材構成要素の縁に平行で、一部の実施形態では、創傷被覆材構成要素の全体周囲を辿ってもよい、複数の直線延在部分を含む。一部の実施形態では、センサアレイ部分は、第二の複数の平行な直線延在部分と垂直である、第一の複数の平行な直線延在部分を含み得る。これらの直線延在部分はまた、異なる長さを有してもよく、創傷被覆材構成要素の内部の中で、内向きに異なる場所へ延在してもよい。センサアレイ部分は、創傷被覆材構成要素全体を被覆しないことが好ましく、そのため、センサアレイの複数部分間に割れ目が形成される。
図2に示す通り、これにより、一部、および場合により大多数の創傷被覆材構成要素のカバーを、センサアレイによって取ることが可能になる。例えば、
図2および
図3Dに示す通りの穿孔創傷接触層に対して、センサアレイ部分301は、創傷接触層の大多数の穿孔を遮断しなくてもよい。一部の実施形態では、センサアレイはまた、流体の流れへの穿孔の遮断を最小化するために、創傷接触層の穿孔に合致するように穿孔されてもよく、または形作られてもよい。
【0204】
図3Dは、一部の実施形態に従い、穿孔創傷接触層320に組み込まれる可撓性センサアレイを図示する。示す通り、センサアレイは、二つのフィルムまたは創傷接触層の間に挟まれ得る。創傷接触層は、創傷滲出液が被覆材の中へ流れるのが可能になる一方で、創傷被覆材の中への組織内殖を防止するのに役立つほど充分小さい、上に記載した通りのスリットまたは孔として形成される穿孔を有し得る。一部の実施形態では、創傷接触層は、統合型センサアレイを伴う創傷接触層の可撓性を増大させる、一つ以上のスリットを有し得る。一部の実施形態では、創傷接触層のうちの一つは、センサが皮膚に直接接触し得るように、センサを収容する余分な切り取り部を有し得る。
【0205】
センサアレイの接続性は、利用される様々なセンサおよびセンサアレイ設計によって変化し得る。一部の実施形態では、例えば
図3Bに示す通り、総計79個の接続部を使用して、センサアレイの構成要素を接続し得る。センサアレイは、40本、ピッチ0.5mmの平行フラットフレキシブルケーブル(FFC)の二つの接触表面で終端することができ、最上表面上に端子を伴い、Molex 54104-4031などのFFCコネクタに接続するように設計される。
【0206】
一部の実施形態では、サーミスタ、伝導度センサ、SpO2センサ、または光学、紫外線(UV)、赤外線(IR)もしくは他のタイプの可視もしくは不可視の光センサは、創傷の状態に関係する情報を提供するように、センサアレイ上で使用され得る。光学、紫外線(UV)、赤外線(IR)もしくは他のタイプの可視もしくは不可視の光センサ、または他の電磁スペクトルセンサによって、創傷のスペクトル測定値を提供し得る。一つ以上のセンサは、創傷の治癒を監視する際に、臨床医を支援し得る。一つ以上のセンサは、創傷および創傷治癒特性に関係するデータを提供するように、個々にまたは互いと連携して動作し得る。
【0207】
温度センサは、温度を測定するために、熱電対またはサーミスタを使用し得る。サーミスタは、基礎を成す創傷の温度、もしくは創傷被覆材内の熱環境を測定または追跡するように使用され得る。温度計は較正することができ、センサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。いくつかの実施形態では。周囲空気温度を測定する周囲センサは、環境温度シフトに関連する問題の排除を支援するためにも使用できる。
【0208】
光学センサは、照射源と共に、RGBセンサ(例えば、赤、緑、青、および透明(RGBC)センサまたは赤、緑青、および白(RGBW)センサ)を使用して創傷外観を測定するために使用できる。一部の実施形態では、RGBセンサおよび照射源の両方は、皮膚に押し付けることができ、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈するであろう。
【0209】
組織の中の光伝播は、二つの主要な現象である、散乱および減弱によって支配され得る。減弱に対して、光が組織を通過するとき、組織の様々な構成要素による吸収のために、光の強度が損なわれる場合がある。青色光は、大きく減衰する傾向がある一方、スペクトルの赤末端の光は、最も減衰が少ない傾向がある。
【0210】
散乱過程はより複雑である場合があり、考慮しなくてはならない様々な「レジーム」を有し得る。散乱の第一態様は、入射光の波長と比較した、散乱中心のサイズに基づく。散乱中心が光の波長よりもかなり小さい場合、レイリー散乱が想定され得る。散乱中心が光の波長ほどである場合、より詳細なミー散乱の定式化を考慮しなくてはならない。散乱光に関与する別の要素は、散乱媒質の投入と排出との間の距離である。光の平均自由行程(散乱事象間の距離)が、動く距離よりもかなり長い場合、弾道的光子輸送が想定される。組織の場合、スキャット事象はおよそ100ミクロン離れているため、1mmの行程距離により、光子の方向を効果的にランダム化し、システムは拡散性レジームに入るであろう。
【0211】
超高輝度発光ダイオード(LED)、RGBセンサ、およびポリエステル光フィルタを光学センサの構成要素として使用して、組織色分化を通して測定する。例えば、表面の色は反射光から測定し得るため、色は、所与の形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、拡散した散光、すなわち、皮膚と接触するLEDからの色の感知を含み得る。いくつかの実施形態では、LEDは、組織を通って拡散した光を検出するように、すぐ近くのRGBセンサと共に使用され得る。光学センサは、拡散した内部の光または表面反射光で撮像し得る。
【0212】
加えて、光学センサが、自己蛍光を測定するように使用され得る。組織は一つの波長で光を吸収し、別の波長で放出しているため、自己蛍光が使用される。加えて、死んだ組織は自己蛍光を発することができないため、これは、組織が健康か否かに関する非常にはっきりとした指標となり得る。そのような浅い侵入深さを有する青色光(または、さらにUV光)によって、例えば、非常に特有の波長で自己蛍光を発するであろう健康な組織に対して、バイナリテストとして働くように、すぐ近くの赤に敏感なフォトダイオード(または、一部の他の波長がシフトされたバンド)によるUV光を有することは、非常に有用である場合がある。
【0213】
インピーダンスセンサは、例えば、生きている組織と死んだ組織との間の差を判定するか、または病的組織の中で開いている創傷による、インピーダンスの変化を示すかに使用され得る。インピーダンスセンサは、Ag/AgCl電極およびインピーダンス分析器を含み得る。インピーダンスセンサは、例えば、周囲の組織/範囲のインピーダンスを測定することによって、創傷が大きくなった領域のインピーダンスの変化を測定するように使用され得る。インピーダンスセンサは、創傷床に、または創傷の周辺部で使用することも、または被覆材の接着不具合を検出するために使用することもできる。
【0214】
一部の実施形態では、pHが変化するパッドがpHセンサとして使用され得る。分光計、および広帯域の白色光源は、pH色素のスペクトル応答を測定するように使用され得る。照明および撮像は、創傷と接触している創傷被覆材の表面上と、流体適用と同じ側面にある最下表面上とに提供され得る。代替として、一部の実施形態では、照明および撮像源は、最下表面に対向し、流体適用から離れた創傷被覆材の表面、または被覆材の最上表面上に提供され得る。
【0215】
一部の実施形態では、パルスオキシメトリSpO2センサが使用され得る。血液がどのように酸素化され、拍動血がどのように流れるのかを計測することを、観察することができる。パルスオキシメトリ測定は、二つの異なる光波長で、光吸収/透過の時間分解測定を行うことによって機能する。ヘモグロビンが酸素化されるとき、その吸収スペクトルが非酸素化血液に関して変化する。二つの異なる波長で測定を行うことによって、一方で、血液を酸素化する方法の比率を用いた測定尺度を得る。
【0216】
センサアレイの中の構成要素は、複数の接続によって接続され得る。一部の実施形態では、サーミスタは、五個一組で配設され得る。各サーミスタは名目上10kΩであり、五つの各グループは共通の接地を有する。五組のサーミスタがあり、全部で30個の接続部を供給する。一部の実施形態では、九個の伝導性端子が存在し得る。各伝導性端子は一つの接続部を必要とし、全部で9個の接続部を供給する。一部の実施形態では、五個のSpO2センサが存在し得る。SpO2センサは、電力および接地(これらは別途被覆される)に加え三つの接続部を必要とし、全部で15個の接続部を供給する。一部の実施形態では、10色のpHセンサが存在し得る。各色センサは、RGB LEDおよびRGBフォトダイオードを含む。各色センサは六個の接続部を必要とするが、しかしながら、これらのうちの五個は全センサに共通し、全部で15個の接続部を供給する。電力および接地は別途考慮される。一部の実施形態では、5個のpHセンサが存在し得る。pHセンサは色が変化するディスクであることができ、上に記載した色センサを使用して感知され得る。そのため、pHセンサは追加の接続部を必要としない。三つの電源レールおよび七個の接地リターン信号があり、全部で10個の共通接続部を供給し得る。いくつかの実施形態には、25サーミスタ(Murata NCP15WB473E03RC)、9導電率端子、5Spo2(ADPD144RI)、10RGB LED(KPTF-1616RGBC-13など)、10個のRGB色センサ、10FET、プリント回路基板(PCB)、および組立品を含み得る。
【0217】
センサ部分301は、一部の実施形態では、インピーダンスセンサを利用して、創傷サイズまたは創傷の形状変化による周囲の電極上のインピーダンスの変化を測定することができる。例えば、断層撮影の再構築または断層撮影法は、異なる間隔のインピーダンスセンサまたは電極を使用することによって、創傷サイズを推測するように使用され得る。電圧または電流プローブは、患者の神経応答を判定もしくは試験するために、または創傷治癒を促進するために、電圧または電流の刺激を印加するように使用され得る。インピーダンスは、生体適合層(例えば、創傷被覆材の)を通る、または創傷に接触する、生体適合性ゲル層(例えば、導電性ゲル層)もしくは食塩水を通る導電経路で測定され得る。測定は、約2.5kHz~約100kHzの周波数域で行われ得る。これは、大きなパッチクランプ測定の使用と類似し得る。
【0218】
代替としてまたは加えて、インピーダンスは、組織との直接接触を形成することなく(例えば、非接触電極を使用して)、静電容量または静電結合方法を使用して測定され得る。例えば、約30kHz~約70kHzの周波数域における伝送が使用され得る。インピーダンスは、三点プローブ測定または四点プローブ測定を使用して測定され得る。創傷組織または滲出液の一つ以上のインピーダンスを測定することができ、細胞または組織の健康を推測するように使用され得る。創傷周辺の領域(創傷を囲む皮膚または組織など)のインピーダンスを測定し得る。インピーダンスセンサは、必要な場合には出入りするように、伸縮自在であり得る。インピーダンスセンサは、創傷および絶縁軸の中へ延びる導電性のある先端を伴う、微細またはマイクロプローブ針を含み得る。インピーダンスセンサは、創傷と接触する創傷接触層の真下にある、懸垂プローブであり得る。インピーダンスセンサは、乾燥接点電極を含み得る。インピーダンスセンサは、金、銀、白金または炭素電極など、生体適合性を保証または促進する電極を含み得る。
【0219】
特定の実施形態では、コントローラ(マイクロプロセッサなど)は、創傷被覆材上に載置され、一つ以上のセンサに接続され得る。そのように載置されたコントローラは、外部構成要素への接続に関連する負荷を軽減するように、3本または4本の有線接続(またはより少ないもしくは多い本数)などの接続によって、コントロールモジュールと通信し得る。例えば、尾部分302は3本または4本の有線接続を含み得る。一部の実装では、載置されたコントローラは無線通信し得る。
【0220】
コントローラまたはコントロールモジュールは、センサアレイと連動するように使用され得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサを駆動するように、バッテリなどの電源および電子機器を包含し得る。またコントロールモジュールにより、適切な間隔でデータのログを取り、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部コンピュータデバイスへの、データ転送が可能となり得る。コントロールモジュールは、センサアレイで使用されるセンサと、センサにより収集されるデータとによって、様々な特徴部を有するようにカスタマイズされ得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、数週間継続して身に着けられるほど、充分快適で小型であり得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材近くまたは創傷被覆材上に位置し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、創傷被覆材および付随のセンサアレイから遠隔の場所に位置し得る。コントロールモジュールは、被覆材上、被覆材近くまたは創傷被覆材から遠隔に位置していても、電線を介してまたは無線通信によって、センサアレイおよび創傷被覆材と通信し得る。一部の実施形態では、コントロールモジュールは、センサアレイ300によって収集されたデータから創傷の特性を判定し、死んだ組織が検出されたことを示すためなど、特性に応答してアラームを作動させ得る。
【0221】
一部の実施形態では、コントロールモジュールは、以下の表1に列挙する特徴を含むが限定はされない、様々な要件および特徴の組み合わせを含み得る。
【0222】
【0223】
図3Eは、一部の実施形態による、コントロールモジュール330のブロック図を示す。コントロールモジュール330は、インピーダンスドライバの特徴をサポートするインピーダンスドライバボックス391を含む。ボックス392は、温度センサ(例えば、サーミスタ)インターフェースの特徴をサポートし、ボックス393は光インターフェースの特徴をサポートする。コントロールモジュール330は、ボックス394に示されるものと類似の特徴を伴う、コントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。リアルタイムクロック(RTC)、状態LED、USBコネクタ、シリアルフラッシュおよびデバッグコネクタは、
図3Eに示す通り、コントロールモジュールの特徴部として含まれ得る。
【0224】
一部の実施形態では、マイクロプロセッサは、次の特徴のうちの一つ以上を有し得る。2.4GHz、もしくは別の他の好適な周波数無線(統合型または外付けのいずれか);供給するBluetooth(登録商標)ソフトウェアスタック;SPIインターフェース;USB(または外付けUSBドライバ用UART);I2C;3チャネルPWM;32GPIO;または6チャネルADC。一部の実施形態では、デバイスは、盛り上がりを作る制限から、少なくとも48個のI/Oピン、または場合によりそれ以上を必要とし得る。Bluetooth(登録商標)スタックは通常、20kB未満の搭載フラッシュを必要とするため、最低32kBが必要とされ得る。一部の実施形態では、複雑なデータ処理を考慮する場合には、64kBが必要とされ得る。プロセッサコアは、ARM Cortex M4または類似のプロセッサコアであり得る。一部の実施形態では、部品は、外部無線機、もしくは統合無線機を含むNXPのKinetis KWクラスを必要とし得る、STのSTM32L433LCまたはSTM32F302R8を含むだろう。
【0225】
一部の実施形態では、コントロールモジュールは、メモリ構成要素を含むことができ、ローカルストレージの量は、センサのサンプル速度および解像度による。例えば、推定されるデータ要件である256Mb(32MB)は、いくつかの製造業者(Micron、Spansion)のシリアルフラッシュデバイスを使用することによって満たされ得る。
【0226】
コントロールモジュールは、一つ以上のアナログスイッチを利用し得る。一部の実施形態では、優れたオン抵抗および合理的な帯域幅を伴うアナログスイッチが使用され得る。例えば、Analog DevicesのADG72またはNXPのNX3L4051HRが使用され得る。初期システムアーキテクチャに基づき、これらのうちの8つが必要となる。
【0227】
コントロールモジュールは、電池などの電源を組み込むことができ、または代わりに、コントロールモジュールとは別個の電源を利用することができる。例えば、300mWh/日のバッテリが使用され得る。7日間で2100mWhである。これは、10日間分の非充電式ER14250(直径14.5mm×25mm)LiSOCl2セル、または7日間分の充電式Li 14500(直径14.5mm×500mm)Li-Ionにより提供され得る。
【0228】
コントロールモジュールは、リアルタイムクロック(RTC)を組み込み得る。RTCは、結晶を伴ういずれのRTCデバイスより選ばれ得る。コントロールモジュールはまた、種々の抵抗器、コンデンサ、コネクタ、充電コントローラおよび他の電力供給部も含み得る。
【0229】
コントロールモジュールのPCBは、およそ50mm×20mmまたは25mm×40mmの4層基板であり得る。使用されるPCBのタイプは、センサアレイへの接続要件によって大部分駆動され得る。
【0230】
コントロールモジュールの筺体は、センサアレイまたはバッテリを充電するために、容易にアクセスが可能になるクリップ特徴部を伴う、二つの部分から成る成形品であり得る。
【0231】
センサアレイを通して収集されるデータは、コントロールモジュールを通過し、ホストソフトウェアにより処理され得る。ソフトウェアは、処理デバイス上で実行されてもよい。処理デバイスは、PC、タブレット形式のコンピュータデバイスもしくはタブレット、スマートフォンまたはホストソフトウェアを動かすことができる他のコンピュータ(例えば、特注のコンピュータデバイス)であり得る。ソフトウェアを実行する処理デバイスは、電線を通してまたは無線通信によって、コントロールモジュールと通信し得る。一部の実施形態では、ソフトウェアは、ビッグデータ解析を実施するのではなく、コントロールモジュール上に保管するデータへのアクセスを提供するように構成されてもよい。ホストソフトウェアは、Bluetooth(登録商標)またはUSBを介した、コントロールモジュールに対するインターフェースを含み得る。一部の実施形態では、ホストソフトウェアは、コントロールモジュールの状態読み取り、コントロールモジュールからのログデータのダウンロード、コントロールモジュールへのサンプル速度制御のアップロード、コントロールモジュールデータのビッグデータ解析エンジンによる処理に好適な形式への変換、または解析エンジンによる処理用クラウドへのデータのアップロードを行い得る。
【0232】
ソフトウェアは、PC(Windows/Linux(登録商標))、タブレットもしくはスマートフォン(Android/iOS)、または複数のプラットフォーム向けに開発されてもよい。
【0233】
センサまたはコントロールモジュールのうちの一つ以上を含む電子機器は、X線、MRIまたは他のタイプの走査に対して、互換性があるかまたは安全であるように構築され得る。電子機器は、体外または植込み型除細動器と適合し、またはそれらと使用しても安全であるように構築され得る。電子機器は、無線周波干渉(RFI)または電磁干渉(EMI)に対する保護を含み得る。例えば、フェライト、銅または別の材料から作られ得る、一つ以上のEMIシールドが使用され得る。ファラデー箱または類似のもの。
【0234】
いくつかの実施形態では、陰圧源(ポンプなど)、ならびに電源、センサ、コネクタ、ユーザインターフェース構成要素(例えば、ボタン、スイッチ、スピーカ、画面など)および同類のものなど、局所陰圧システムの他の構成要素の一部またはすべては、創傷被覆材と一体化し得る。一部の実施形態では、構成要素は、裏当て層の最上部下方、最上部内、最上部上、または裏当て層に隣接して統合され得る。一部の実施形態では、創傷被覆材は、創傷被覆材の層、および統合された構成要素のいずれの上に、位置決め用第二のカバー層または第二のフィルタ層を含み得る。第二カバー層は、被覆材の一番上の層であることができ、または局所陰圧システムの統合された構成要素を取り囲んでいた、別個の外皮であり得る。
【0235】
本明細書で使用される通り、上部層、最上層または上方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面から最も遠い層を指し得る。従って、下面、下部層、最下層または下方の層は、被覆材が使用中で、創傷の上に位置する間、皮膚または創傷の表面に最も近い層を指し得る。
【0236】
図4は、
図3Aのセンサアレイ300のようなセンサアレイの一部とし得るインピーダンスセンサを含むセンサシステム400の断面図を示す。センサシステム400は、TPUまたは別の好適な材料から構成され得る基材401を含み得る。センサシステム400は、マスク層402、第一の絶縁体層403、駆動パッド404、測定パッド405、および第二の絶縁体層406をさらに含み得る。
【0237】
マスク層402は、基材401の表面と平行な方向、ならびに駆動パッド404の中心と測定パッド405の中心を結ぶ線に平行な方向に延びてもよい。マスク層402は、一部の実装では印刷されたトラックとし得る。さらに、マスク層402は、駆動パッド404および測定パッド405の少なくとも一つの側を包含するものと理解され得る。
【0238】
第一の絶縁体層403および第二の絶縁体層406は、マスク層402、駆動パッド404、および測定パッド405を互いに電気的に分離し得る。第二の絶縁体406は、駆動パッド404および測定パッド405が、駆動パッド404および測定パッド405が創傷被覆材の一部である時の創傷などの他の表面と直接接触することを防止し得る。
【0239】
センサシステム400はさらに、センサドライバ410およびセンサ検出器420を含み得る。センサドライバ410は、例えば、駆動パッド404に(a)10kHz~100kHz、(b)30kHz~70kHz、または(c)約50kHzの周波数を有し得る、(i)1V~15V、(ii)3V~7V、または(iii)約5Vの電圧を供給し得る。一部の場合、10,009Hz、10,037Hz、または10,039Hzなどの素数周波数が使用される。さらに、または別の方法として、センサドライバ410は、1V未満(例えば、約200mV、400mV、600mV、または800mV)、または最大150Vを駆動パッド404に供給してもよい。センサ検出器420は、次に、駆動パッド404によって放射され、駆動パッド404および測定パッド405の近くの組織またはその他のアイテムによって摂動されている場合がある信号を検出し得る。
【0240】
マスク層402は、駆動パッド404によって放射された信号が、マスク層402を通って、基材401およびそれを越えて入ることを阻止し得る。この阻止によって、
図4に示すシールド方向ではなく、
図4に示す感知方向の感知を行えるように、駆動パッド404および測定パッド405による感知の方向性が導入される。さらに、マスク層402は、マスク層が駆動パッド404によって放射される信号の戻り経路を提供しないように、接地される(例えば、アース接地に接続される)のではなくフローティングしてもよい。しかし、マスク層は、接地がシステムの接地に戻るように接地されてもよく、これは静電気放電(ESD)性能を向上させ得る。例えば、マスク層は、過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオードまたはバリスタと結合されて接地することができ、これは、その時点で透過経路となり得る閾値電圧を受けない限り、インピーダンスセンサを分離するよう機能し得る。
【0241】
図5は、
図3Aのセンサアレイ300のようなセンサアレイの一部とし得るインピーダンスセンサを含むセンサシステム500の断面を図示する。センサシステム500は、基材501、マスク層502、第一の絶縁体層503、駆動パッド504、測定パッド505、および第二の絶縁体506層を含むことができ、これらは
図4の基材401、マスク層402、第一の絶縁体層403、駆動パッド404、測定パッド405、および第二の絶縁体層406とそれぞれ類似し得る。さらに、センサシステム500は、(i)マスク層502および第二の絶縁体層506が駆動パッド404および測定パッド405から反対の基材の側面上に位置付けられていること、および(ii)センサドライバ410およびセンサ検出器420と類似または同一のセンサドライバおよびセンサ検出器が使用可能であるものの図示されていいないこととを除いて、
図4のセンサシステム400と概して類似し得る。
【0242】
マスク層502は、駆動パッド504によって放射された信号が、マスク層502およびそれを越えて入ることを阻止し得る。この阻止によって、
図5に示すシールド方向ではなく、
図5に示す感知方向の感知を行えるように、駆動パッド504および測定パッド505による感知の方向性が導入される。
【0243】
図6は、
図3Aのセンサアレイ300のようなセンサアレイの一部とし得るインピーダンスセンサを含むセンサシステム600の断面を図示する。センサシステム600は、基材601、マスク層602、第一の絶縁体層603、駆動パッド604、測定パッド605、および第二の絶縁体606層を含むことができ、これらは
図4の基材401、マスク層402、第一の絶縁体層403、駆動パッド404、測定パッド405、および第二の絶縁体層406とそれぞれ類似し得る。さらに、センサシステム600は、(i)駆動パッド604および測定パッド605が基材601に結合されおり、マスク層602が第一の絶縁体層603によって基材601から分離されていること、および(ii)センサドライバ410およびセンサ検出器420と類似のセンサドライバおよびセンサ検出器を使用可能であるが、センサドライバおよびセンサ検出器が図示されていないことを除いて、
図4のセンサシステム400と概して類似し得る。
【0244】
マスク層602は、駆動パッド604によって放射された信号が、マスク層602およびそれを越えて入ることを阻止し得る。この阻止によって、
図6に示すシールド方向ではなく、
図6に示す感知方向の感知を行えるように、駆動パッド604および測定パッド605による感知の方向性が導入される。特に、感知方向は、
図4に示される感知方向に対して
図6では逆になる。
【0245】
インピーダンス感知
図7は、いくつかの実施形態による、インピーダンスセンサの概略を図示する。インピーダンスセンサの感知は、AC測定に基づいてもよい。例えば、第一の励起電極(本明細書では、駆動パッドとも称される)は、組織に結合(例えば、容量結合)されてもよい。第二の励起電極(本明細書では、駆動パッドとも称される)は、接地に接続されてもよい。第一の電極が励起信号を印加すると、AC電流が、第一の電極から、組織を通って第二の電極に流れる。
【0246】
一部の場合、第二の一組の(例えば、一対の)電極(本明細書では、測定パッドとも称される)は、第一の電極と第二の電極との間、またはこれらに近接して位置付けられて、電圧を感知するのに利用され得る。これらの測定電極は、励起電極よりも小さくてもよく、それぞれが、その出力が差動アンプに供給される高インピーダンスアンプに接続されてもよい。出力電圧を測定し、励起電流で割ることによって、測定電極間のインピーダンスを判定し得る。一部の場合、一対のロックインアンプを使用して電圧または電流を検出し得る。
【0247】
一部の場合、測定電極アンプは、比較的高いインピーダンス、特に組織接合部に対する電極に対処するときに重要であり得る高い入力インピーダンスを有し得る。図示した実施形態では、第一の段アンプは高い入力インピーダンスを有し、非反転アンプとして構成され、これはセンサがこの高い入力インピーダンスを利用することを可能にする。一部の場合、低周波ゲインは、コンデンサC1、C2、C3、およびC4を使用してロールダウンされる。
【0248】
いくつかの実施形態では、単一の供給動作などのために、非反転入力はミッドレールにおいて付勢され得る。付勢は、オペアンプの入力バイアス電流に対するDC経路を提供し得る。付勢は、非反転入力における抵抗分割器の使用を含むがこれに限定されない様々な方法で実施され得る。さらに、または別の方法として、入力バイアスは、一組の逆付勢されたダイオードを使用して達成され得る。逆付勢されたダイオードは、高いノイズ寄与のない高いインピーダンス(逆漏れによって判定可能)を呈し得る。いくつかの実施形態では、逆漏れが小さいダイオードが利用される。逆漏れは、オペアンプのバイアス電流に対するDC経路を提供し得る。
【0249】
創傷療法プロセス
図8は、創傷療法プロセス800を図示する。便宜上、創傷療法プロセス800が創傷被覆材200の構成要素の文脈において説明されるが、代わりに、本明細書に記載の他のシステムで、または示されていない他のシステムによって実施される場合もある。
【0250】
ブロック802で、創傷療法プロセス800は、創傷被覆材を用いて創傷から吸引された流体を回収し得る。例えば、創傷被覆材200は、創傷から吸引された流体を回収し得る。その後、創傷被覆材は、例えば、流体を保存するか、または貯蔵のためにキャニスタ内に流体を通す。
【0251】
ブロック804で、創傷療法プロセス800は、創傷被覆材上またはその中へ組み込まれたセンサを作動させ得る。例えば、一つ以上のセンサ250は、一つ以上のセンサ250に対してセンサドライバをオンするなどから作動し得る。
【0252】
ブロック806で、創傷療法プロセス800は、センサによる創傷から離れる方向の感知を制限し得る。例えば、創傷被覆材200または一つ以上のセンサ250の一部とし得る物理的構造は、一つ以上のセンサによる、創傷に面するのではなく、創傷から離れる感知を制限し得る。
【0253】
他の変形
本明細書で提供される閾値、限界値、期間などの値は、絶対的なものであることを意図するものではなく、したがっておおよそのものであり得る。さらに、本明細書で提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによって、固定されるかまたは変えられ得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。その上、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、超える、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下にある、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。また、種々のプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを判定することに関して説明され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に解釈され得る。
【0254】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して説明される特性、物質、特徴、または群は、本明細書に記載される他の任意の態様、実施形態、または実施例に、これらと両立できないことがない限り、適用可能であることを理解されたい。本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのすべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。本発明の保護するものは、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護するものは、本明細書(添付の任意の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)において開示される特徴のうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及び、または同様に開示される任意の方法またはプロセスのステップのうちの任意の新規なもの、もしくは任意の新規な組み合わせに及ぶ。
【0255】
特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具現化されてもよい。さらに、本明細書に記載の方法及びシステムの形態において、様々な省略、置換、及び変形がなされ得る。実施形態によっては、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップは、図に示されたステップとは異なり得ることを、当業者は認識するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、開示されるプロセスで実施される実際のステップまたはステップの順序は、図で示したものとは異なっていてもよい。実施形態によっては、上述したステップのうちの特定のステップが除去される場合があり、別のものが加えられる場合もある。例えば、図に示した様々な構成要素が、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装されてもよい。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェア構成要素は論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴及び特性は、様々な方法で組み合わせることができ、さらなる実施形態を形成することができるが、その全てが本開示の範囲内に収まることになる。
【0256】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、特定の実施形態が、特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、こうした条件付き言い回しは、特徴、要素、またはステップが一つまたは複数の実施形態に多少なりとも必要とされるという示唆、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが特定の任意の実施形態に含まれているかどうか、もしくは該実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、一つまたは複数の実施形態に必然的に含まれているという示唆を必ずしも意図するものではない。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」等の用語は、同義語であり、包含的に非限定様式で用いられ、追加の要素、特徴、行為、及び動作等を排除するものではない。また、用語「または(or)」は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)用いられることで、例えば要素の列記をつなぐのに使用される場合、列記の要素のうちの一つ、一部、または全てを意味することになる。さらに、用語「各々」は、本明細書で使用される場合、通常の意味を有するのに加えて、用語「各々」が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0257】
語句「X、Y、およびZのうちの少なくとも一つ」などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、Xか、Yか、Zのいずれかであり得ることを伝えるのに一般的に用いられる文脈と共に、別途解釈されるものである。したがって、こうした連言的言い回しは、特定の実施形態が、少なくともXのうちの一つと、少なくともYのうちの一つと、少なくともZのうちの一つとを含むことを必要とするという示唆を通常意図しない。
【0258】
本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語などの、本明細書で使用される程度を表す言い回しは、所望の機能を依然として果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近い値、量、または特性を表すものである。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、及び0.01%未満以内の量を意味し得る。別の例として、一定の実施形態において、「概して平行」及び「実質的に平行」という用語は、丁度平行である状態から15度以下、10度以下、5度以下、3度以下、1度以下、または0.1度以下ずれている値、量、または特性を意味する。
【0259】
本明細書(添付の別紙、特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のすべて、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのずべては、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が、互いに排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせで組み合わせられてもよい。開示対象は、いかなる前述の実施形態の詳細にも制限されない。開示は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書および図面のいずれをも含む)に開示する特徴のいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせ、または同様に開示するいずれの方法もしくは過程のステップのいずれか新規のもの、もしくはいずれか新規の組み合わせに及ぶ。
【0260】
本開示に記載する実装に対するさまざまな変形は、当業者には容易に明らかとなってもよく、本明細書に定義する全体的な原理は、本開示の精神または範囲を逸脱することなく、他の実装に適用され得る。それゆえ、開示は、本明細書に示す実装に限定することは意図していないが、本明細書に記載する原理および特徴と一致する、最も広い範囲が与えられるべきである。開示の特定の実施形態は、以下に列挙する、または後に提示する請求項の組に網羅される。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書で説明されている例または本出願の手続きの間に説明される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。本開示の範囲は、本明細書の好ましい実施形態の特定の開示により限定されることを意図しておらず、本明細書に提示する、または後に提示する特許請求の範囲によって定義することができる。
[付記項1]
創傷モニタリング装置であって、
創傷と接触して位置付けられるように構成された創傷接触層を含む創傷被覆材と、
前記創傷接触層の上またはその中に組み込まれた一つ以上のセンサであって、基材によって支持される、一つ以上のセンサと、
前記基材によって支持されるマスク層であって、前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられた時に、前記一つ以上のセンサによる前記損傷から離れる方向における感知を制限するように構成される、マスク層と、を含む、創傷モニタリング装置。
[付記項2]
前記一つ以上のセンサからの出力信号が、前記創傷の組織または前記創傷の周りの組織が生きているか死んでいるかを判定するのに使用可能である、付記項1に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項3]
前記一つ以上のセンサがインピーダンスセンサを含む、付記項1または付記項2のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項4]
前記インピーダンスセンサが、絶縁体によって前記創傷から分離され、前記創傷に直接接触することなく前記創傷のインピーダンスを測定するように構成される、付記項3に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項5]
前記一つ以上のセンサが駆動パッドおよび測定パッドを含み、前記マスク層が、前記一つ以上のセンサの断面を見た時に、前記駆動パッドの中心と前記測定パッドの中心とを結ぶ線に平行な方向に延在する、付記項1~4のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項6]
前記マスク層が、接地に接続されるのではなくフローティングしている、付記項1~5のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項7]
前記マスク層がフローティングしているのではなく接地に接続される、付記項1~6のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項8]
前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられる時、前記マスク層が、前記一つ以上のセンサが、前記創傷から反対の前記創傷被覆材の側面上に位置付けられた組織を感知するのを防止するように構成される、付記項1~7のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項9]
前記創傷被覆材が前記創傷と接触して位置付けられる時、前記マスク層が、前記一つ以上のセンサによる前記創傷に向かう方向の感知を許容するように構成される、付記項1~8のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項10]
前記一つ以上のセンサが、前記マスク層から反対の基材の側面上に位置付けられる、付記項1~9のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項11]
前記一つ以上のセンサが、前記マスク層と同じ基材の側面上に位置付けられる、付記項1~10のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項12]
前記一つ以上のセンサが、1V~150Vの電圧および10kHz~100kHzの周波数を有する入力信号を受信するように構成される、付記項1~11のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項13]
前記基材が実質的に可撓性のプリント回路を含む、付記項1~12のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項14]
前記基材が熱可塑性ポリウレタンフィルムを含む、付記項1~13のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項15]
ハードウェアプロセッサであって、
前記一つ以上のセンサからの出力信号から前記創傷の特性を判定し、
前記特性に応答してアラームを作動させるように構成されたハードウェアプロセッサをさらに備える、付記項1~14のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング装置。
[付記項16]
創傷モニタリング方法であって、
創傷被覆材を用いて前記創傷から吸引された流体を回収することであって、前記創傷被覆材が、前記創傷と接触して位置付けられた創傷接触層を含む、回収することと、
前記創傷接触層の上またはその中に組み込まれた一つ以上のセンサを作動させることであって、前記一つ以上のセンサが基材によって支持される、作動させることと、
前記基材によって支持されたマスク層を用いて、前記一つ以上のセンサによる前記創傷から離れる方向の感知を制限することと、を含む、方法。
[付記項17]
前記一つ以上のセンサからの出力信号を出力することをさらに含み、前記出力信号が、前記創傷の組織または前記創傷の周りの組織が生きているか死んでいるかを判定するのに使用可能である、付記項16に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項18]
前記一つ以上のセンサがインピーダンスセンサを含み、前記作動させることが前記インピーダンスセンサを作動させることを含む、付記項16または17のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項19]
前記インピーダンスセンサが、絶縁体によって前記創傷から分離され、前記創傷に直接接触することなく前記インピーダンスセンサを使用して前記創傷のインピーダンスを測定することをさらに含む、付記項18に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項20]
前記制限することが、前記一つ以上のセンサが、前記創傷から反対の前記創傷被覆材の側面上に位置付けられた組織の感知を防止することを含む、付記項16~19のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項21]
前記マスク層を用いて、前記一つ以上のセンサによる前記創傷に向かう方向の感知を許容することをさらに含む、付記項16~20のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項22]
前記作動させることが、前記一つ以上のセンサを用いて、1V~150Vの電圧および10kHz~100kHzの周波数を有する入力信号を受信するのに応答して実行される、付記項16~21のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング方法。
[付記項23]
ハードウェアプロセッサを用いて、前記一つ以上のセンサからの出力信号から前記創傷の特性を判定することと、
前記ハードウェアプロセッサを用いて、前記特性に応答してアラームを作動させることと、をさらに含む、付記項16~22のいずれか一項以上に記載の創傷モニタリング方法。