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特許7234215ポンプ・関節間高度レベルのユーザインターフェース、関節高度の自動較正、及び関節圧力推定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】ポンプ・関節間高度レベルのユーザインターフェース、関節高度の自動較正、及び関節圧力推定
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A61M1/00 140
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020512400
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018048814
(87)【国際公開番号】W WO2019046560
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】62/553,397
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/114,510
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デュマス・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】グリンベルグ・エドアルド
(72)【発明者】
【氏名】ギルエルメ・アンドレ・フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】コンフォーイ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マークス・ジェイコブ・エイ
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0157312(US,A1)
【文献】特表2008-543442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0209639(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0243054(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0154185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00,3/02
A61B 1/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用システムであって、
流体ポンプを含む流体ポンプシステムであって、前記流体ポンプシステムは、
前記流体ポンプと手術部位との間で流体をチュービングを通してポンプ圧送し、
前記流体ポンプにおける流体の圧力を測定し、
前記流体ポンプと前記手術部位との間の高度差及び前記チュービングの種類に基づいて、測定された前記圧力を調整することによって、前記手術部位における流体の推定圧力を決定し、かつ
前記手術部位における前記流体の推定圧力の指標を前記流体ポンプのユーザに提供するように構成されている、流体ポンプシステム、を備える、外科用システム。
【請求項2】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプシステムのディスプレイ上に前記推定圧力を表示することによって前記推定圧力の前記指標を提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することによって、前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記流体ポンプシステムが、前記高度差を示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプの起動時に前記入力を提供するように前記ユーザに自動的に促すように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおけるディスプレイ上に前記高度差の視覚的指標を提供するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体ポンプシステムのプロセッサが、前記高度差を自動的に決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記流体ポンプの起動時に前記高度差を自動的に決定するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記流体ポンプシステムが、前記チュービングを示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定される前記チュービングの前記種類に基づいて、前記手術部位における前記流体の推定圧力を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定される前記チュービングに関連付けられたシースの種類にも基づいて、前記手術部位における前記流体の推定圧力を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記流体ポンプが関節鏡流体ポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記手術部位が患者の関節である、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定するように構成されたセンサを含み、前記流体ポンプシステムは、前記センサから、測定された前記圧力を受信し、前記推定圧力を決定し、かつ前記指標を前記ユーザに提供させるように構成されたプロセッサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記流体ポンプシステムが、内部に記憶されたアルゴリズムを有するメモリを含み、前記流体ポンプシステムが、前記アルゴリズムを実行し、それによってプロセッサに前記推定圧力を決定させるように構成された前記プロセッサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記推定圧力を決定することが、前記手術部位への流入における損失を推定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記流入における損失を推定することが、前記流体ポンプのモータの速度を決定することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
流体ポンプシステムの動作方法であって、
前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプシステムにより流体ポンプにおいて測定された流体の圧力を、前記流体ポンプと前記流体ポンプからチュービングを通して流体が送られる手術部位との高度差及び前記チュービングの種類に基づいて、調整することによって、前記流体ポンプシステムが、前記手術部位における流体の推定圧力を決定することと、
前記流体ポンプシステムが、前記手術部位における流体の前記推定圧力の指標を前記流体ポンプのユーザに提供することと、を含む、流体ポンプシステムの動作方法。
【請求項19】
前記推定圧力の前記指標を前記流体ポンプのユーザに提供することが、前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプシステムのディスプレイ上に前記推定圧力を表示することを含む、請求項18に記載の流体ポンプシステムの動作方法。
【請求項20】
前記流体ポンプにおける流体の前記圧力前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することにより測定される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月1日に出願された「Methods,Systems,And Devices For Joint To Pump Elevation Level User Interfaces,Autocalibration For Joint Elevation,And Joint Pressure Estimation」と題する米国仮特許出願第62/553,397号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、ポンプ・関節間高度レベルのユーザインターフェース、関節高度の自動較正、及び関節圧力推定のための方法、システム、及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
関節鏡ポンプは、軟組織切除、輪郭形成、切断、凝固及び温度制御などの様々な機能に関連して、様々な手術手技において使用される。手術手技の実施中、関節鏡ポンプは、手術部位、例えば、患者の関節への流体の灌注(流入)、及び手術部位からの流体の吸込(流出)を提供し得る。ポンプは、関節における流体圧力を制御して、容易なアクセスのための関節の拡張を提供し、良好な可視性を維持し、及び/又は出血を制御することができる。しかしながら、ポンプが関節における流体圧力の正確な測定値を有することは困難であり、したがってポンプが関節内の流体圧力を正確に制御することは困難である。例えば、関節鏡ポンプは、典型的には、関節における流体圧力を測定しないが、その代わりにポンプにおける流体圧力を測定し、ポンプ圧力に対する調整を行い、関節における流体圧力を推定する。しかしながら、ポンプ及び患者の関節が異なる高度にある場合、例えばポンプが手術台上の患者より高い高度のカート上にある場合、ポンプにおいて測定された流体圧力は、関節における流体圧力を正確に反映しない。加えて、流体は、チュービング及びシースを通ってポンプと関節との間を移動するが、ポンプは、流量がポンプを通って変化するのでチュービング及びシースの圧力損失を正確に考慮しない場合がある。更に、関節鏡ポンプは、ポンプにおいて測定された流体圧力の指標を提供し得るが、ポンプでは、測定された流体圧力が、関節ではなくポンプにおけるものであることを外科医に示さない。したがって、外科医に提供される情報が、関節における実際の流体圧力を正確に反映しないため、外科医が関節での流体圧力を不適切に制御して、過度に高く又は過度に低くしてしまう可能性がある。
【0004】
いくつかのシステムでは、流体圧力は、関節に位置付けられたセンサなどを用いて関節で測定され得るが、関節における流体圧力を測定し、測定された流体圧力をポンプに伝達することは、通常、使い捨てチューブセットの大幅なコスト増加をもたらし、ほとんどの病院及び外科医にとって実現可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、関節鏡ポンプのための改善された装置、システム、及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、ポンプ・関節間高度レベルのユーザインターフェースのための方法、システム、及び装置、関節高度の自動較正のための方法、システム、及び装置、並びに関節圧力推定のための方法、システム、及び装置が提供される。
【0007】
一態様では、外科用システムが提供され、外科用システムは、一実施形態では、流体ポンプを含む流体ポンプシステムを備える。流体ポンプシステムは、流体ポンプと手術部位との間で流体をチュービングを通してポンプ圧送し、流体ポンプにおける流体の圧力を測定し、流体ポンプと手術部位との間の高度差及びチュービングの種類のうちの少なくとも一方に基づいて、測定された圧力を調整することによって、手術部位における流体の推定圧力を決定し、かつ手術部位における流体の推定圧力の指標を流体ポンプのユーザに提供するように構成される。
【0008】
外科用システムは、様々な方式で異なり得る。例えば、流体ポンプシステムは、流体ポンプシステムのディスプレイ上に推定圧力を表示することによって推定圧力の指標を提供するように構成され得る。別の例では、流体ポンプシステムは、流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することによって、流体ポンプにおける流体の圧力を測定するように構成され得る。
【0009】
更に別の例では、流体ポンプシステムは、高度差を示す流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、流体ポンプシステムは、流体ポンプの起動時に入力を提供するようにユーザに自動的に促すように構成され得、及び/又は流体ポンプシステムは、ポンプにおけるディスプレイ上に高度差の視覚的指標を提供するように構成され得る。
【0010】
なお別の例では、流体ポンプシステムのプロセッサは、高度差を自動的に決定するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、プロセッサは、流体ポンプの起動時に高度差を自動的に決定するように構成され得る。
【0011】
別の例では、流体ポンプシステムは、チュービングを示す流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成され得る。更に別の例では、流体ポンプシステムは、流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定されるチュービングの種類に基づいて、手術部位における流体の推定圧力を決定するように構成され得る。別の例では、流体ポンプシステムは、ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定されるチュービングに関連付けられたシースの種類にも基づいて、手術部位における流体の推定圧力を決定するように構成され得る。なお別の例では、流体ポンプは関節鏡流体ポンプであり得る。更に別の例では、手術部位は患者の関節であり得る。別の例では、流体ポンプシステムは、流体ポンプにおける流体の圧力を測定するように構成されたセンサを含み得、流体ポンプシステムは、センサから、測定された圧力を受信し、推定圧力を決定し、指標をユーザに提供させるように構成されたプロセッサを含み得る。更に別の例では、流体ポンプは、内部に記憶されたアルゴリズムを有するメモリを含み得、流体ポンプは、アルゴリズムを実行し、それによってプロセッサに推定圧力を決定させるように構成されたプロセッサを含み得る。
【0012】
別の例では、推定圧力を決定することは、手術部位への流入における損失を推定することを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、流入における損失を推定することは、流体ポンプのモータの速度を決定することを含み得る。
【0013】
別の態様では、外科的方法が提供され、その外科的方法は、一実施形態では、流体ポンプシステムと手術部位との間で流体をチュービングを通してポンプ圧送することと、流体ポンプシステムの流体ポンプにおける流体の圧力を測定することと、流体ポンプと手術部位との間の高度差及びチュービングの種類のうちの少なくとも一方に基づいて、測定された圧力を調整することによって、手術部位における流体の推定圧力を決定することと、手術部位における流体の推定圧力の指標を流体ポンプのユーザに提供することと、を含む。
【0014】
外科的方法は、あらゆるバリエーションを有することができる。例えば、推定圧力の指標を提供することは、流体ポンプシステムのディスプレイ上に推定圧力を表示することを含み得る。別の例では、流体ポンプにおける流体の圧力を測定することは、流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することを含み得る。
【0015】
更に別の例では、本方法は、流体ポンプシステムで、高度差を示す流体ポンプのユーザからの入力を受信することを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、本方法はまた、流体ポンプの起動時に入力を提供するようにユーザに自動的に促す流体ポンプシステムの流体ポンプを含み得、並びに/又は入力は、流体ポンプの充填チャンバを表すアイコン及び手術部位を表すアイコンの相対位置を変更することによって、手術部位と比較して、流体ポンプの相対高度レベルの視覚的表現を変更し得る。
【0016】
別の例では、本方法は、高度差を自動的に決定する流体ポンプシステムのプロセッサを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、流体ポンプシステムは、流体ポンプの起動時に高度差を自動的に決定する。
【0017】
更に別の例では、本方法は、チュービングを示す流体ポンプのユーザからの入力を受信することを含み得る。別の例では、チュービングの種類に基づいて手術部位における流体の推定圧力を決定することは、流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて測定された圧力を決定することを含み得る。なお別の例では、流体ポンプは関節鏡流体ポンプであり得る。別の例では、手術部位は患者の関節であり得る。更に別の例では、流体ポンプシステムは、流体ポンプにおける流体の圧力を測定するセンサを含み得、流体ポンプシステムは、センサから、測定された圧力を受信し、推定圧力を決定し、かつ指標をユーザに提供させるプロセッサを含み得る。更に別の例では、流体ポンプシステムは、内部に記憶されたアルゴリズムを有するメモリを含み得、流体ポンプシステムは、アルゴリズムを実行し、それによって推定圧力を決定させるように構成されたプロセッサを含み得る。
【0018】
別の例では、推定圧力を決定することは、手術部位への流入における損失を推定することを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、流入における損失を推定することは、流体ポンプのモータの速度を決定することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことで、より完全に理解されるであろう。
図1】関節鏡流体ポンプの一実施形態の斜視図である。
図1A】流入チュービング、シース、及び流出チュービングを介して手術部位に動作可能に連結された図1のポンプのブロック図である。
図2】流体ポンプと患者との間の1つの高度差を示す図1の流体ポンプのディスプレイである。
図3】流体ポンプと患者との間の別の高度差を示す図1の流体ポンプのディスプレイである。
図4】流体ポンプと患者との間の更に別の高度差を示す図1の流体ポンプのディスプレイである。
図5図1のポンプの流体制御アルゴリズムの一実施形態を示すブロック図である。
図6】流体圧力対時間を示すグラフである。
図7】流体圧力対時間を示す更に別のグラフである。
図8】流体圧力対時間を示す別のグラフである。
図9】3つの異なる流体流量での流体圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で開示される装置、システム、及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的実施形態について、これから説明する。これらの実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が、添付の図面に例示されている。当業者であれば、本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示される装置、システム、及び方法は、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲は、特許請求の範囲のみによって定義されることが理解されるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示又は記載される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような改変及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0021】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符合を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって、特定の実施形態において、同様の参照符合を付した各構成要素の各特徴については必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される範囲において、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置、並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくとも、システム及び装置が内部で用いられる対象の解剖学的構造、システム及び装置が一緒に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び手順に依存し得る。
【0022】
様々な例示的な、ポンプ・関節間高度レベルのユーザインターフェースのための方法、システム、及び装置、関節高度の自動較正のための方法、システム、及び装置、並びに関節圧力推定のための方法、システム、及び装置が提供される。一般に、関節鏡ポンプは、ユーザ(例えば、外科医及び他の医療従事者)に流体圧力の正確な指標を提供するために、手術部位、例えば、関節における流体圧力を推定するように構成され得る。したがって、手術部位における流体圧力は、手術結果を改善するために正確に制御され得る。手術部位における流体圧力は、外部流装置が関節に挿入されたときであっても正確に制御され得る。実際の関節圧力を60mmHg未満に正確に制御可能であることは、圧力が高すぎることに起因する血管外漏出のリスクを低減することなどによって、手術手技中の患者に対するリスクを低減するのに役立ち得る。例示的な実施形態では、流体圧力推定は、例えば、ポンプにおいてメモリに記憶された命令を実行するポンプにおけるプロセッサによって、1つ又は2つ以上の要因を調整する1つ又は2以上の制御アルゴリズムを使用して、ポンプで調整される、ポンプにおける流体圧力測定に基づく。流体圧力を推定する際に使用され得る要因の1つは、ポンプと手術部位との間で流体が流れるチュービング内の圧力損失である。流体圧力を推定する際に使用され得る要因のもう1つは、ポンプと手術部位との間の高度差である。したがって、手術部位自体での流体圧力を測定するために、内蔵型圧力センサを有するチュービングのような高価で特殊な装置は必要とされない。換言すれば、手術部位での流体圧力の正確な推定は、流体圧力がポンプでのみ測定されていても決定できる。
【0023】
損失、例えば、チュービング損失及びシース損失を推定することは、それらを手術部位圧力設定値、例えば、関節圧力設定値に加算し、ポンプ圧力制御ループ内のポンプ圧力設定値を更新することにより、手術部位圧力の制御を可能にし得、これは迅速に実行され得る。したがって、制御ループは、手術部位圧力の直接制御よりも速い応答性及びより高い安定性を提供し得る。
【0024】
特定の手術のセットアップでは、ポンプの手術部位との高度差が6インチ以上ある場合がある。場合によっては、ポンプが手術台上の患者のレベルより上又は下のカート又は棚に配置されている場合のように、高度差が数フィートになる場合がある。ポンプの使用説明書(instructions for use、IFU)では、このようなポンプの患者に対する位置決めに注意が記載されている場合があるが、手術室内のスペースの制約又はカートの高さが固定されているなどの理由で、IFUに必ずしも従わない場合がある。一般に、手術部位とポンプとの間の高度差は、高度差1フィート当たり22.4mmHgの誤差を生じる。換言すれば、ポンプにおいて測定された流体圧力は、手術部位とポンプとが異なる高度にあるとき、手術部位における流体圧力を正確に反映せず、流体圧力間の相違は、より大きな高度差に対してますます大きくなる。高度差を補償し、手術部位における流体圧力の正確な推定を提供する能力は、誤差を大幅に低減し得る。
【0025】
図1及び図1Aは、手術部位100における流体圧力を推定するように構成された関節鏡ポンプ10を含むポンプシステムの一実施形態を示す。例示的な実施形態では、手術部位は膝又は肩などの関節にある。ポンプ10は、ポンプ10と手術部位100との間の高度差、及びポンプ10と手術部位100との間で流体が流れるチュービングの少なくとも一方に基づいて、手術部位100における流体圧力を手術手技の実施とともにリアルタイムで推定するように構成される。例示的な実施形態では、ポンプ10は、これらの2つの要因のそれぞれに基づいて圧力を推定するように構成されるが、これらの要因のうちの1つのみを使用して圧力を推定してもよい。流入チュービング102及び流出チュービング104のそれぞれは、関連するシースを有し、この場合、流体圧力は、チュービング102及びその関連するシースに基づいて推定され得る。
【0026】
ポンプ10は、様々な構成を有することができる。例示した実施形態では、ポンプ10は、流体を手術部位にポンプ圧送するように構成された灌注ポンプを含み、手術部位から流体をポンプ圧送するように構成された吸込ポンプを含む。ポンプ10は、ポンプ10と手術部位との間で流体が流れることを可能にするための関節流入チュービングを含む。図1Aは、流入チュービング102を介して手術部位100に動作可能に接続されたポンプ10を概略的に示し、ポンプシステムの吸込ポンプに戻り、次いで廃棄物リザーバに戻る流出チュービング104を示す。ポンプ10はまた、流体の流れを滑らかにしかつリザーバ12の頂部にある感知チューブで圧力感知を提供するために使用される充填チャンバ又はリザーバ12を含む。圧力は、チャンバ12内の流体レベル、例えば、水位で感知されるため、流体レベルは、有効な圧力センサ位置である。
【0027】
ポンプシステムは、灌注ポンプ10及び吸込ポンプを制御するように構成されたプロセッサ22も含む。ポンプ10は、リザーバ12内の流体圧力及びポンプモータ速度、例えばポンプ10を駆動するように構成されたモータ24の速度に基づいて、ポンプ10における流体圧力を測定するように構成される。ポンプ10は、プロセッサ22によって制御されるように、ポンプ10で測定された圧力を調整し、以下で更に論じるように、1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムを使用して、手術部位100における推定圧力を決定するように構成される。1つ又は2つ以上の制御アルゴリズムは、ポンプシステムのメモリ26に記憶され、プロセッサ22によって実行可能である。プロセッサ22及びメモリ26は、図1Aのポンプ10の一部として示されているが、他の実施形態では、プロセッサ22及び/又はメモリ26は、ポンプシステム内の他の場所に位置し得る。
【0028】
ポンプシステムはまた、ポンプ10とのユーザ対話を容易にするように構成されたユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、手術手技の実施中にポンプ10を使用して、リアルタイムで(例示した本実施形態ではmmHg単位で)関節圧力を表示するように構成された第1のディスプレイ14を含む。第1のディスプレイ14に示される流体圧力は、手術部位における流体の推定圧力である。ユーザインターフェースはまた、(この例示した実施形態では回転毎分(RPM)で)シェーバー速度を表示するように構成された第2のディスプレイ16を含む。
【0029】
ユーザインターフェースはまた、様々なポンプ機能を制御するためにユーザから入力を受信するように構成されたユーザ制御部を含む。例示した実施形態では、ユーザ制御部は、第1のディスプレイ14上の情報の調整を制御するための押圧可能な+/-(上/下)矢印ボタン、及び第2のディスプレイ16上の情報の調整を制御するための押圧可能な+/-(上/下)矢印ボタンを含む。他の実施形態では、ノブ、ダイヤル、レバー、キーパッドなど、ボタン以外の制御部をディスプレイ14、16の一方又は両方に使用することができる。吸込ポンプ流量は、フロー+(FLOW+)及びシェーバー(SHAVER)とラベル付けされたボタンによって制御される。フロー+フローボタンは、フットペダルで起動されるように構成され、シェーバーフローボタンは、シェーバーが作動するときに起動されるように構成される。例示した実施形態はまた、充填チャンバ12の充填を可能にするキーと、(灌注ポンプのみの)ソロ(SOLO)モードを可能にするキーとを含む。他の実施形態では、フロー+及びシェーバーボタンの一方又は両方が、別の形態、例えばノブ、ダイヤル、レバーなどを有することができる。例示したユーザインターフェースはまた、血流停止、高圧警告、低圧警報、フロー+流量、シェーバー流量、チャンバ充填可能、及びポンプオン/オフ(運転/停止)などの種々の状態を示すために照明するライト、例えば発光ダイオード(LED)などを含む。
【0030】
上述したように、ポンプ10は、ポンプ10と手術部位100との間の高度差を考慮して圧力を推定するように構成され得る。例示した実施形態におけるユーザインターフェースは、ポンプ10と手術部位100との間の高度差に対するポンプの補償を容易にするように構成される。
【0031】
第1のディスプレイ14は、ポンプ10及び患者の相対高度を示す高度アイコンをその上に示すように構成される。この例示した実施形態における高度アイコンは、国際標準化機構(International Organization for Standardization、ISO)に準拠している。図1に示されるように、高度アイコンは、充填レベルを有するポンプ充填チャンバの形態のポンプ充填チャンバアイコン18と、手術台上の患者の形態のISO承認患者アイコン20とを含むが、他の形態の高度アイコンも使用することができる。充填レベルは、圧力が感知されているレベルを示す。例えば、図1の充填チャンバアイコンは、充填チャンバが部分的に充填されていることを示し、この充填レベルは、ポンプ圧力が感知されるレベル、例えば、ゼロ高度レベルを示すものである。ポンプ10と手術部位100との間の高度差は、ゼロレベルの高度に関して定義され、手術部位100は、ゼロレベルの高度(例えば、高度差なし)であるか、ゼロレベルの高度より低いか、又はゼロレベルの高度よりも高いかのいずれかである。
【0032】
第2のディスプレイ16は、ポンプ10、例えば充填チャンバ12の充填レベルと患者における手術部位100との間の高度差を示すように構成される。第2のディスプレイ16上の患者アイコン20は、手術部位100が充填チャンバ12の上方に上昇しているか(患者アイコン20が上部位置にある)、手術部位100が充填チャンバ12と同じ高度にあるか(患者アイコン20が中間又は中立位置にある)、又は手術部位100が充填チャンバ12より低いか(患者アイコン20が下部位置にある)を示すために、ポンプ充填チャンバアイコン18に対して、3つの位置のうちの1つにあるように構成される。例示した実施形態では、図1に示すように、第2のディスプレイ16は、充填チャンバ12の充填レベルと手術部位100との間の高度差が-5cmであり、手術部位100がポンプ10より5cm低いことを示す。したがって、患者アイコン20は、第1のディスプレイ14上のポンプ充填チャンバアイコン18に対して下部位置にある。他の実施形態では、使用される患者アイコン20の位置をより細分化し、ポンプ充填チャンバアイコン18に対する患者アイコン20の可能な位置を3つよりも多くしてもよい。患者アイコン20は、ポンプ充填チャンバアイコン18に対する5つの位置、例えば、手術部位100が充填チャンバ12と同じ高度にあることを示す位置、第1の所定の閾値高度差を超える高度を示す第1の高い位置、第1の所定の閾値高度差よりも大きい第2の所定の閾値高度差を超える高度を示す第2の高い位置、第3の所定の閾値高度差よりも低い高度を示す第1の低い位置、及び第3の所定の閾値高度差よりも大きい第4の所定の閾値高度差よりも低い高度を示す第2の低い位置、を取ることが可能であり得る。
【0033】
ユーザインターフェースは、ユーザが、第1のディスプレイ14に関連付けられた+/-矢印、又は代替的に、第2のディスプレイ16に関連付けられた+/-矢印を使用して高度差を調整することを可能にするように構成される。例えば、+矢印の各プッシュは、所定の量、例えば、1cm、2cm、5cm、10cmなどだけ高度差を増加させることができ、-矢印の各プッシュは、所定の量、例えば、1cm、2cm、5cm、10cmなどだけ高度差を減少させることができる。高度差が調整されると、患者アイコン20は、それに応じて上下に移動し、ポンプ10に対する、特にポンプ10の充填チャンバ12内の流体レベルに対する患者の高度の視覚的指標を提供する。充填チャンバ12の充填レベルが手術部位100の上方にあることを示す正のゼロでない高度差は、患者アイコン20が第1のディスプレイ14上のポンプ充填チャンバアイコン18に対して、特にポンプ充填チャンバアイコン18上の流体レベルマークに対して上方位置にあることで示され得る。例えば、図2は、第2のディスプレイ16上に+10cmの高度差を示し、したがって患者アイコン20が上方位置にある。ゼロの高度差は、患者アイコン20が第1のディスプレイ14上のポンプ充填チャンバアイコン18に対して、特にポンプ充填チャンバアイコン18上の流体レベルマークに対して中間又は中立位置にあることで示され得る。例えば、図3は、第2のディスプレイ16上に0cmの高度差を示し、したがって患者アイコン20が中間又は中立位置にある。充填チャンバ12の充填レベルが手術部位100の下方にあること示す負のゼロでない高度差は、患者アイコン20が第1のディスプレイ14上のポンプ充填チャンバアイコン18に対して、特にポンプ充填チャンバアイコン18上の流体レベルマークに対して下方位置にあることで示され得る。例えば、図4は、第2のディスプレイ16上に-10cmの高度差を示し、したがって患者アイコン20が下方位置にある。高度差は、+10cmよりも大きい又は-10cm未満であってもよい。例えば、高度差は、-60cm~+90cmの範囲にあってもよい。
【0034】
ユーザインターフェースは、ポンプ10の起動時に第1のディスプレイ14上に高度アイコンを示すように構成される。例えば、電源がオンにされるとき、又はポンプに「オン」信号を送るために運転/停止ボタンが押されたとき、ユーザは、ディスプレイ14、16の一方又は両方の指示によって、及び/又は、ポンプ10に動作可能に接続されたスピーカを介した可聴指示によって、手術部位100とポンプ10、特にポンプのチャンバ12の充填レベルとの相対高度を確認するように促される。ユーザは、第1のディスプレイ14に関連付けられた+/-矢印を使用して、必要に応じて高度を調整することによって、相対高度を確認する。したがって、システムは、プロセッサ22が手術部位100における流体圧力を推定する際に、後で使用できる正確な相対高度情報を有することができる。表示された高度を正確なものとして受け入れるために、ユーザは、運転/停止ボタンを押す。ユーザの相対高度の手動入力の後、第1のディスプレイ14は、高度アイコンを表示し続けることができ、又は代わりに流体圧力の数値を表示することができ、第2のディスプレイ16は、高度レベルを表示し続けることができ、又は代わりに、シェーバー速度の数値を表示することができる。運転/停止ボタンを再度押すと、灌注ポンプ及び吸込ポンプが起動する。
【0035】
少なくともいくつかの実施形態では、ユーザによるポンプ10への高度差の入力を容易にするように構成された測定装置を設けてもよい。例えば、ポンプ10は、その上に取り付けられた機械的測定装置、例えば定規などを有することができ、それは、ユーザがポンプ10から手術部位100まで延ばし、視線を用いた手術部位の高度の測定を可能にする。ポンプ10に取り付けられた機械的測定装置は、保管及び/又は使用を容易にするために、(巻尺と同様に)引き込み式であり得る。別の例では、ポンプ10は、手術部位の高度の測定を容易にするために、レベルレーザ光源に加えて、上述のように、機械的測定装置が取り付けられ得る。レベルレーザ光源は、例えば、機械的測定装置の端部に配置され得る。更に別の例では、機械的測定装置は、ポンプ10が載置されるカートに取り付けられ得、カートから手術部位まで延びて、視線を用いた手術部位の高度の測定を可能にする。カートに取り付けられた機械的測定装置は、保管及び/又は使用を容易にするために、(巻尺と同様に)引き込み式であり得る。なお別の例では、ポンプ10は、リニアエンコーダ(磁気又は光学)が取り付けられたスライドが取り付けられてもよい。スライドは、ユーザによって選択的に上下に移動可能であり、視線を用いてスライドの端部を手術部位100に位置合わせして、リニアエンコーダ測定位置に位置合わせすることができる。別の例では、ポンプ10は、手術部位の高度の測定を容易にするために、レベルレーザ光源に加えて、上述のようなスライドを有することができる。スライドは、ユーザによって選択的に上下に移動可能であり、ライトビームを(例えば、レーザーポイントなどの光源から)手術部位100に位置合わせして、リニアエンコーダ測定位置に位置合わせすることができる。更に別の例では、ポンプ10は、ポンプ10と手術部位100との間の高度差を測定するように構成されたレーザ干渉計を含み得る。
【0036】
少なくともいくつかの実施形態では、ポンプ10と手術部位100との間の高度差をユーザが手動で入力するのではなく、ポンプ10が、ポンプ10と手術部位100との間の高度距離を自動的に決定するように構成される。このような実施形態では、ポンプ10は、ポンプ10の起動時に高度を自動的に決定するように構成されるので、ポンプ10が使用中のときの高度差を考慮して流体圧力を調整するために必要な関連情報を有する。一般に、自動的に高度を決定するために、ポンプ10は、手術部位100とポンプ10との間の任意の高度差の補償を可能にするように、手術部位100のレベルにおける圧力をゼロにするように構成され得る。
【0037】
ポンプ自動較正の一実施形態では、ポンプ起動時に、ユーザは、ポンプのユーザインターフェース上の運転/停止ボタンを押す。次いで、第1のディスプレイ14及び/又は第2のディスプレイ16上にアイコンが表示され、圧力較正が行われることを示す。ユーザは、手術部位100のレベルにおいて、例えば、関節レベルにおいてポンプ10と手術部位100との間に延びる灌注チュービング102の端部に接続されたシースを、ポンプの灌注弁が開いた状態で保持し、次いで、運転/停止ボタンを再度押す。ポンプ10は、例えば、ディスプレイ14、16の一方又は両方の指示によって、及び/又は、ポンプ10に動作可能に接続されたスピーカを介した可聴の指示によって、シースを手術部位100のレベルで保持するようにユーザに促すように構成され得る。次いで、ポンプの灌注ポンプは、プライミングに十分な時間、流量制御モードで機能する。このとき、圧力は、所定の時間、例えば10分の数秒の間記録され、平均化される。次いで、灌注流量を増加させて、別の圧力データ点を提供する。これらの2つの圧力対流量データ点は、ポンプ10に対する手術部位100の高度、並びにチュービング及びシースの損失を推定するために、ポンプ10、例えば、そのプロセッサ22によって、制御アルゴリズムにおいて使用される。次いで、アルゴリズムの結果は、ポンプ10によって、例えば、ポンプのプロセッサ22によって制限チェックされ、結果が所定の許容範囲内にある場合、ポンプ10は自動較正を終了する。自動較正の終了は、ビープなどの可聴音によって、及び/又はディスプレイ14、16上の一方又は両方の視覚によって、ポンプ10によって示されてもよい。自動較正の終了時に、運転/停止ボタンを押圧することにより、ユーザは、関節圧力設定値及びシェーバーRPM速度設定値を調整することができる。運転/停止ボタンを再度押すと、ポンプ10がその通常の圧力調節モードで起動する。
【0038】
上述のように、ポンプ10と手術部位100との間の高度差を考慮して圧力を推定するポンプ10に加えて、又はその代わりに、ポンプ10は、チュービング102、104を考慮して圧力を推定するように構成され得、存在する場合、チュービング102、104に関連付けられたシースを考慮して圧力を推定するように構成され得る。少なくともいくつかの実施形態では、ポンプ10は、ユーザがチュービングサイズ及び/又はシースサイズを入力することを可能にするように構成され得る。ポンプ10は、ポンプ10と手術部位100との間に延びるチュービング及びシースによる圧力損失の補償を評価する際に、その入力サイズを使用するように構成され得る。例えば、ポンプのユーザインターフェースは、ユーザが、第1のディスプレイ14又は第2のディスプレイ16に関連付けられた+/-矢印を使用して、現在のシースサイズを反映するようにシースサイズを上下に調整できる、押圧可能なシースサイズ制御ボタンを含み得る。シースサイズ制御ボタンを再び押すと、表示されたシースサイズの受け入れを示すことができる。一般に、大部分の関節鏡手術では高流量シースが使用されるが、小関節では一般的には小さい低流量シースが使用され、その結果関節圧力の精度が低下する。したがって、シースサイズの入力を可能にすることは、ポンプ10が、手術部位における流体圧力を推定する際にシースサイズを補償することを可能にする。他の実施形態では、ノブ、ダイヤル、レバー、キーパッドなど、ボタン以外の制御部を、シースサイズを入力するために使用することができる。押圧可能なシースサイズ制御ボタンに加えて、又はその代わりに、ポンプのユーザインターフェースは、ユーザが第1のディスプレイ14又は第2のディスプレイ16に関連付けられた+/-矢印を使用して、現在のチュービングサイズを反映するようにシースサイズの入力に関して上述したものと同様にチュービングサイズを上下に調整できる、押圧可能なチュービングサイズ制御ボタンを含み得る。他の実施形態では、ノブ、ダイヤル、レバー、キーパッドなど、ボタン以外の制御部をチュービングサイズを入力するために使用することができる。
【0039】
少なくともチュービング損失及びシース損失に基づいて流体圧力を推定及び制御するためにポンプシステムが使用され得る制御アルゴリズムの一実施形態を、図5に関して以下に説明する。例示的な実施形態では、図5に示すように、制御アルゴリズムは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装される。プロセッサ22は、当業者には理解されるように、回転エンコーダ、モータ/ギヤボックス、圧力変換器、及びインターフェース/制御回路のポンプ構成要素など、様々な電子構成要素を用いて制御アルゴリズムを実行するように構成される。
【0040】
アルゴリズムは、最初に、チュービング/シース損失を推定し、この圧力降下を関節圧力設定値に加えることによって、ポンプ圧力設定値を決定する。次いで、比例積分(PI)コントローラを使用してポンプ圧力制御ループを制御する。加えて、吸引ポンプからのフィードフォワード制御は、フロー+及びシェーバー流量など、吸込ポンプによって誘導される突然の流量の変化を予測するために適用される。吸引ポンプからのフィードフォワード信号と組み合わされた(PIコントローラからの)圧力制御信号は、速度指令を灌注速度制御ループに提供する。図5は、灌注ポンプ制御ループを示す。ポンプ圧力設定値は、チュービング及びシースの推定損失に基づいて更新される。推定アルゴリズムは、フローモードを変更するときだけでなく、定期的に更新される。定期ベースは、例えば、X秒毎、Y分毎など、ポンプシステムの使用中の様々な所定の間隔のいずれかであり得る。
【0041】
灌注ポンプは、手術部位における、例えば、関節鏡手術が行われている手術関節内の圧力を制御するように構成される。しかしながら、圧力は、関節ではなく、ポンプで、例えば充填チャンバ内でのみ測定される。そこで、関節圧力を調節するために、チュービング/シース損失が推定され、次いで、所望の関節圧力Pjoint_cmd、例えば、ポンプに予め入力された、及び/又はポンプにおいて予め設定された圧力設定値に加えられて、更新されたポンプ圧力設定値Ppump_cmdを提供する。所望の関節圧力をチュービング/シース損失に加えて、更新されたポンプ圧力設定値を生成するための基準は、ポンプ圧力が、関節圧力にチュービング/シース圧力降下を加えたものに等しいことである。チュービング/シース損失は、流量の関数であり、したがって、ポンプシステムの灌注モータの速度の関数である。したがって、アルゴリズムは、モータ速度ωを考慮して、手術部位、例えば関節における流体圧力を推定する。チュービング/シース損失の推定器は以下のとおりである。ここで、ωは、EncoderCnts/secでの灌注モータの角速度である。
チューブ/シース損失[mmHg]=4.70ω+.0091ω+10
【0042】
角速度は、連続するエンコーダパルス間の時間を決定するために、(吸引ポンプ速度の計算と同じく)灌注エンコーダ割り込みを使用することによって計算される。1秒あたりのエンコーダカウント速度(velocity in encoder counts per second)は、以下のように決定される。
速度=1406250[clkPulses/sec]/エンコーダパルス間の時間
【0043】
タイマー割り込みが5ミリ秒(2KHzタイマー割り込みで10回)発生しなかったとき、速度はゼロとして報告される。速度指令は、圧力調節に使用される圧力ループPI(比例、積分)コントローラの出力として定期的に更新される。定期ベースは、例えば、X秒毎、Y分毎など、ポンプシステムの使用中の様々な所定の間隔のいずれかであり得る。圧力制御システムは、吸引ポンプと同じ速度制御ストラテジーを使用するので、圧力コントローラ(PI)は速度制御ループに速度指令を提供し、この更新はコントローラの計算に使用される。圧力ループPIコントローラは、吸引ポンプ及びシェーバーの制御にも使用される2KHzタイマー割り込みで更新される。しかしながら、圧力制御アルゴリズムは、割り込みサービスルーチン(interrupt service routine、ISR)を介して64回毎にのみ更新され、これは32ミリ秒に等しい。これは、圧力制御ループの閉ループ帯域幅が低いために(すなわち、<2Hz)十分である。PIコントローラの式は以下のとおりである。ここで、Kp=400、Ki=0.222、Kd=0.0、吸引フィードフォワード=吸引速度灌注/吸引ポンプの効率比。
setPointPumpPress=setPointJointPress+TubeSheathLoss
Pcontrol=errorKp+SUM_ERRORKi-KddErr
VELCMD=Pcontrol+suctionFeedForward
【0044】
更新されたポンプ圧力設定値を決定するために、上記の式は、所定の定期ベース、例えば、32ミリ秒毎に実行されるが、チューブ/シース損失は、ポンプ圧力が安定したときにのみ更新される。すなわち、(例えば、500ミリ秒間隔の)連続する読み取り値が、例えば、互いに2mmHg以内である場合にのみ更新される。
【0045】
制御ループは、吸引(吸込)ポンプの角速度を調節するために使用される。電流及び速度フィードバックの両方を使用することができるが、電流フィードバックは必須ではない。コントローラ出力は、20KHzのPWM出力比較タイマーを使用してモータにPWMデューティサイクルを提供する。更に、レートリミットがPWM出力に与えられ、これによって、各遷移でパルスがランプされ、確実に聞こえるであろう2KHzでのモータのパルスを除去する。レートリミットは、10エンコーダカウント/2KHz割り込み(10 encoderCnts/2 KHz interrupt)である。これは、モータが0.8秒以内にゼロから最大速度に達することができることを意味する。
【0046】
吸引流におけるシェーバー又はフロー+のステップ変化に対する応答時間を改善するために、モータ速度のフィードフォワード項が、吸引モータ速度指令から提供される。これは、関節圧力制御ループが、シェーバー又はフロー+を有効化又は無効化するなどの局所的な(すなわち、このポンプによって引き起こされる)流動障害を予測するのに役立つ。吸引速度フィードフォワードは、ポンプ効率比によって乗算され、吸引ポンプにおける追加の流量をオフセットするために、灌注ポンプにおける正確な定常状態フィードフォワード流量補償を提供する。シェーバー及びフロー+フローに使用される吸引ポンプの速度ランプをオフセットするために、吸引フィードフォワード速度にランプが適用される。フィードフォワード吸引速度補償は、PIDコントローラの出力と組み合わされて、灌注ポンプに使用される速度制御ループに速度指令を提供する。この速度制御ループは、吸引ポンプと同一である。
【0047】
表示される関節圧力の急速な更新に煩わされないように、表示される圧力は、0.5秒毎に更新され、更にフィルタリングされた推定関節圧力である。工場出荷時のデフォルトの関節圧力設定は70mmHgであるが、デフォルトは、ユーザがデフォルトメニューで更新することができる。他の実施態様では、工場出荷時のデフォルトの圧力設定は50mmHgである。
【0048】
吸引ポンプの操作は、ソロモードが選択されておらず、またポンプシステムのドアが閉じている限り、ユーザが運転(RUN)ボタンを押すだけでよい。これは、ポンプモータに過電流などのフォルトが存在しないことを前提としている。
【0049】
灌注(流入)ポンプ制御は、モータ速度を制御するために、2KHzタイマー及び2つの別個の制御機構圧力(2つの圧力センサ)及び速度(高速エンコーダ)を使用する。図5は、圧力を調節するための全体的な制御ループを示す。
【0050】
ポンプが運転モードにあるとき、以下の状態チャート処理と共に2KHzループが以下を実行する。(1)圧力コントローラは、2つのアナログチャネル(ADC)からの読み取り値を使用して、圧力設定値と圧力センサで読み取られた実際の圧力との差を決定する。これらの信号は、一緒に読み取られ、平均化される。この差(エラー)に基づいて、モータ制御ループの速度部分に供給される新しい指令PWMデューティサイクルカウント値が決定される。(2)速度コントローラは、入力捕捉比較タイマー(InputCaptureCompareTimer)に結び付けられた高速エンコーダ(周波数)からのフィードバックを使用する。前のステップで決定された指令カウント及びモータの速度周波数を使用して、PWM指令入力に対する新しいデューティサイクルが計算される。次いで、この指令は、流入モータに関連付けられたPWM制御レジスタに供給される。PWM周波数は、例えば、20Khzである。2つの圧力信号は、互いに所定の閾値、例えば、+/-10%以内で正確であることを確実にするために監視され、比較される。
【0051】
図6図8は、ポンプにおける流体圧力、例えばポンプの充填チャンバの充填レベルで測定された圧力が、手術部位における流体圧力と異なる、様々なシナリオを示すグラフである。これらの例示されたポンプにおける圧力と手術部位における圧力との差は、ポンプで測定された圧力を手術部位における圧力の正確な反映であると考える代わりに、手術部位における圧力を推定することの重要性を強調するのに役立つ。
【0052】
図6は、流体ポンプにおける圧力、並びに高度及びチュービング/シース損失を補償した流体ポンプによって計算された手術部位(本実施形態では関節)での推定圧力についての30mmHgステップ(70mmHg~100mmHg)に応答する圧力(mmHg単位で)対時間(10分の1秒単位で)を示すグラフである。グラフは、流体ポンプにおける圧力と手術部位における推定圧力との差がわずかであることを示す。
【0053】
図7は、約5秒~約250秒(アクティブ)の内部シェーバー吸引源による、約350mL/分の流れにおけるステップ変化に応答する圧力(mmHg単位で)対時間(10分の1秒単位で)を示すグラフである。グラフは、シェーバーが作動している間、関節圧力を調節するために、流量が増加すると、流体ポンプにおける圧力が増加することを示す。
【0054】
図8は、約5秒~約25秒(アクティブ)の外部吸引源による、約350mL/分の流れにおけるステップ変化に応答する圧力(mmHg単位で)対時間(10分の1秒単位で)を示すグラフである。グラフは、手術部位における圧力を調節するために、流体ポンプにおける圧力が増加することを示す。
【0055】
図9は、本明細書に記載される流体圧力推定を使用して手術部位における流体圧力を制御することの有効性を示すグラフである。図9のグラフは、3つの異なる流体流量、アイドル流量、中流量、及び高流量における圧力(mmHg単位で)を示す。このグラフは、本明細書に記載されるように手術部位における流体圧力を推定することによって、手術部位における流体圧力を正確に制御して、外科医がより低い圧力設定値を使用することを可能にし、これは、安全レベルで流体圧力を維持することによって、患者の安全性を改善するのに役立ち、例えば、血管外漏出のリスクを低減させるか、ないしは別の方法で患者の安全性を改善するのに役立ち得ることを示す。この実施例における圧力設定値は50mmHgであり、この実施例におけるサイト圧力は、アイドル流量で47mmHg、中流量で49mmHg、及び高流量で43mmHgであり、これは、そのような流れ範囲にわたって非常に良好な圧力調節である。
【0056】
当業者であれば、本発明には、従来の低侵襲性手術器具及び開放手術器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを認識するであろう。
【0057】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書において引用されている全ての刊行物及び参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 外科用システムであって、
流体ポンプを含む流体ポンプシステムであって、前記流体ポンプシステムは、
前記流体ポンプと手術部位との間で流体をチュービングを通してポンプ圧送し、
前記流体ポンプにおける流体の圧力を測定し、
前記流体ポンプと前記手術部位との間の高度差及び前記チュービングの種類のうちの少なくとも一方に基づいて、測定された前記圧力を調整することによって、前記手術部位における流体の推定圧力を決定し、かつ
前記手術部位における前記流体の推定圧力の指標を前記流体ポンプのユーザに提供するように構成されている、流体ポンプシステム、を備える、外科用システム。
(2) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプシステムのディスプレイ上に前記推定圧力を表示することによって前記推定圧力の前記指標を提供するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することによって、前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記流体ポンプシステムが、前記高度差を示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプの起動時に前記入力を提供するように前記ユーザに自動的に促すように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0059】
(6) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおけるディスプレイ上に前記高度差の視覚的指標を提供するように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記流体ポンプシステムのプロセッサが、前記高度差を自動的に決定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記プロセッサが、前記流体ポンプの起動時に前記高度差を自動的に決定するように構成されている、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記流体ポンプシステムが、前記チュービングを示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定される前記チュービングの前記種類に基づいて、前記手術部位における前記流体の推定圧力を決定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0060】
(11) 前記流体ポンプシステムが、前記ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて圧力を測定することによって決定される前記チュービングに関連付けられたシースの種類にも基づいて、前記手術部位における前記流体の推定圧力を決定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記流体ポンプが関節鏡流体ポンプである、実施態様1に記載のシステム。
(13) 前記手術部位が患者の関節である、実施態様1に記載のシステム。
(14) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定するように構成されたセンサを含み、前記流体ポンプシステムは、前記センサから、測定された前記圧力を受信し、前記推定圧力を決定し、かつ前記指標を前記ユーザに提供させるように構成されたプロセッサを含む、実施態様1に記載のシステム。
(15) 前記流体ポンプシステムが、内部に記憶されたアルゴリズムを有するメモリを含み、前記流体ポンプシステムが、前記アルゴリズムを実行し、それによって前記プロセッサに前記推定圧力を決定させるように構成されたプロセッサを含む、実施態様1に記載のシステム。
【0061】
(16) 前記推定圧力を決定することが、前記手術部位への流入における損失を推定することを含む、実施態様1に記載のシステム。
(17) 前記流入における損失を推定することが、前記流体ポンプのモータの速度を決定することを含む、実施態様16に記載のシステム。
(18) 外科的方法であって、
流体ポンプシステムと手術部位との間で流体をチュービングを通してポンプ圧送することと、
前記流体ポンプシステムの流体ポンプにおける流体の圧力を測定することと、
前記流体ポンプと前記手術部位との間の高度差及び前記チュービングの種類のうちの少なくとも一方に基づいて、測定された前記圧力を調整することによって、前記手術部位における流体の推定圧力を決定することと、
前記手術部位における前記流体の推定圧力の指標を前記流体ポンプのユーザに提供することと、を含む、外科的方法。
(19) 前記推定圧力の前記指標を提供することが、前記流体ポンプシステムのディスプレイ上に前記推定圧力を表示することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定することが、前記流体ポンプにおける流体チャンバ内の流体の圧力を感知することを含む、実施態様18に記載の方法。
【0062】
(21) 前記流体ポンプシステムで、前記高度差を示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(22) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプの起動時に前記入力を提供するように前記ユーザに自動的に促すことを更に含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記入力が、前記流体ポンプの充填チャンバを表すアイコン及び前記手術部位を表すアイコンの相対位置を変更することによって、前記手術部位と比較して、前記流体ポンプの相対高度レベルの視覚的表現を変更する、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記流体ポンプシステムのプロセッサが、前記高度差を自動的に決定することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(25) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプの起動時に前記高度差を自動的に決定する、実施態様24に記載の方法。
【0063】
(26) 前記チュービングの前記種類を示す前記流体ポンプのユーザからの入力を受信することを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(27) 前記チュービングの前記種類に基づいて前記手術部位における前記流体の推定圧力を決定することが、前記流体ポンプにおける灌注モータの速度に基づいて前記測定された圧力を決定することを含む、実施態様18に記載の方法。
(28) 前記流体ポンプが関節鏡流体ポンプである、実施態様18に記載の方法。
(29) 前記手術部位が患者の関節である、実施態様18に記載の方法。
(30) 前記流体ポンプシステムが、前記流体ポンプにおける前記流体の前記圧力を測定するセンサを含み、前記流体ポンプシステムは、前記センサから、測定された前記圧力を受信し、前記推定圧力を決定し、かつ前記指標を前記ユーザに提供させるプロセッサを含む、実施態様18に記載の方法。
【0064】
(31) 前記流体ポンプシステムが、内部に記憶されたアルゴリズムを有するメモリを含み、前記流体ポンプシステムが、前記アルゴリズムを実行し、それによって前記推定圧力を決定させるように構成されたプロセッサを含む、実施態様18に記載の方法。
(32) 前記推定圧力を決定することが、前記手術部位への流入における損失を推定することを含む、実施態様18に記載の方法。
(33) 前記流入における損失を推定することが、前記流体ポンプのモータの速度を決定することを含む、実施態様32に記載の方法。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9