(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】インラインで走行する複数の空のガラス容器の寸法をX線により測定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01B 15/00 20060101AFI20230228BHJP
G01B 15/02 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
G01B15/00 H
G01B15/02 H
(21)【出願番号】P 2020523449
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(86)【国際出願番号】 FR2018052683
(87)【国際公開番号】W WO2019081876
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509083201
【氏名又は名称】ティアマ
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】コノー,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】コル,オリヴィエ
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-514435(JP,A)
【文献】特開2014-238422(JP,A)
【文献】特開平11-174001(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19756697(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00-15/08
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネック及び本体を形成するとともに内表面及び外表面によって境界が定められた壁をそれぞれ有する1シリーズの複数の空のガラス容器(2)の少なくとも1つの検査対象領域の寸法を測定する方法であって、
前記ネックの少なくとも一部及び/又は前記容器本体の少なくとも一部を含む少なくとも1つの検査対象領域を選択することと、
変位ベクトルによって具体化された方向(T)で、平らな軌道に沿って、搬送平面(Pc)において、底部によって支えられた前記複数の容器を輸送することと、
前記検査対象領域の両側に、X線発生管の少なくとも1つの焦点(Fj)と、複数のX線感応イメージセンサ(Cji)とを配置することと、
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各容器について、前記検査領域の少なくとも3つの放射線画像を取得することと、
コンピュータシステムを使用して、少なくとも3つの放射線画像から、各容器について前記検査対象領域のデジタル幾何モデルを構築することと、
照射方向(Dji)に直交しない平面において、前記モデル上で測定された前記ネックの少なくとも1つの内径を、及び/又は、照射方向(Dji)に直交しない平面において、前記モデル上で測定された前記本体の壁の少なくとも1つの厚さを推測することと、
を含み、
前記複数の容器は移動中に搬送体積(Vt)を発生し、
前記複数のイメージセンサのそれぞれは、関連付けられた焦点(Fj)から得られるX線に曝され、前記X線は少なくとも前記検査対象領域を通り抜けて、前記照射方向(Dji)における放射線照射を各イメージセンサ上に生成し、
前記少なくとも3つの放射線画像は、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射から得られ、前記少なくとも3つの放射線照射の照射方向は異なっており、
前記幾何モデルは、複数の点の組の三次元座標を含み、前記少なくとも3つの放射線画像から計算され、前記複数の点の組は、前記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、照射方向(Dji)に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの点を有する、
方法。
【請求項2】
前記複数の点の組の三次元座標を含む前記検査対象領域のデジタル幾何モデルは、
それぞれが前記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、かつ照射方向(Dji)に直交せず、前記移動方向(T)と平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、照射方向(Dji)に直交する平面に属さず、かつ前記移動方向(T)に平行な平面に属さない複数の点を含む、前記容器の壁の内表面及び外表面の少なくとも1つの表面表現、
及び/又は、照射方向(Dji)に直交する平面と異なり、かつ前記移動方向(T)に平行な平面と異なる平面に沿っている、前記検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検査対象領域として、前記搬送平面(Pc)に平行な2つの平面の間に延びる少なくとも1つの定義された区域を選択することを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネックの内径としての複数の直線線分の組の長さの測定により、各容器の前記ネックを測定することを含み、
前記複数の線分は、
前記デジタル幾何モデルの対称軸に直交しており、
前記デジタル幾何モデルの対称軸を横断しており、
前記デジタル幾何モデルの前記ネックにおいて少なくとも2つの異なる高さ(ZG1、ZG2)に位置付けられており、
複数の前記照射方向(Dji)に直交しない少なくとも1つの線分を有し、前記デジタル幾何モデルの対称軸の周囲に角度的に分布した複数の方向を有し、
各高さの数が、照射方向(Dji)の数よりも大きく、
かつ、各線分は、前記デジタル幾何モデルの前記ネックの内表面に属するとともに前記容器の前記デジタル幾何モデルの対称軸に対して反対側にある2つの点を接続していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ブローチ加工の測定値又は前記容器の開口の直径を特定するように、前記デジタル幾何モデルの前記ネックのいくつかの高さ及びいくつかの方向に渡って、前記直径の最小直径が計算されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各容器の前記デジタル幾何モデルの前記外表面の複数の点と前記内表面の複数の点を2つ1組で結んでいる複数の線分の長さの組の測定により、各容器の前記壁の厚さを測定することを含み、
前記測定された複数の線分は、
前記内表面及び外表面のうちの1つに、好ましくは前記外表面に、略直交しており、
前記検査対象領域において少なくとも2つの異なる高さ(HE1、HE2)に位置付けられており、
前記対称軸から始まり、前記容器の前記デジタル幾何モデルの前記対称軸の周囲に角度的に分布した複数の半径に隣接する複数の方向を持ち、前記複数の照射方向(Dji)に直交しない少なくとも1つの線分を有しており、
各高さの数が、照射方向(Dji)の数の2倍よりも大きいことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記検査対象領域に渡って最小厚さを計算し、そうでなければ「薄い区域」と呼ばれる公差閾値より小さい厚さを有する前記壁の関連区域を特定し、前記最小厚さ又は前記薄い区域のその区域の表面及び/又は形状に応じて前記容器の品質を決定することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
120°より大きい開きを有する発散X線ビームが得られる焦点、又は前記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点が前記軌道の一方の側に位置付けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記搬送平面(Pc)に少なくとも1つの焦点を配置することを含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記搬送平面(Pc)に直交し、前記搬送体積(Vt)に交差する平面(Ps)の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)をそのビームが前記交差平面(Ps)及び前記検査対象領域を通り抜けるように配置することと、
前記交差平面(Ps)に対して反対側に、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)を配置することと、
を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記搬送平面(Pc)の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)をそのビームが前記搬送平面(Pc)を通り抜けるように配置することと、
前記搬送平面(Pc)に対して反対側に、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)を配置することと、
を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各容器について、45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未
満の有効角度(α)を定義する複数の照射方向(Dji)に対応する前記検査領域の少なくとも2つの放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各容器について、前記移動方向(T)と10°から60°の間の開き角度(β)を有する照射方向(Dji)に対応する前記検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の前記シリーズの各容器について、前記移動方向(T)と10°未満の開き角度(β)を有する照射方向(Dji)に対応する前記検査領域の放射線画像を取得しないことを含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記焦点又は複数の焦点から得られるとともに前記複数のイメージセンサ(Cji)に到達するX線が他の容器を通り抜けないように、容器の前記検査領域の複数の放射線照射を生成して取得することを含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各容器について、前記検査対象領域の異なる方向の3から40の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
複数のイメージセンサ(Cji)を使用して、移動中の各容器について、前記検査対象領域の異なる方向の4から15の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得することを含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のイメージセンサ(Cji)はリニアタイプであって、それぞれが、前記関連付けられた焦点(Fj)と、前記照射方向(Dji)を含む照射平面(Pji)とで定義する支持直線(Lji)に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
前記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、前記関連付けられた焦点(Fj)からのX線ビームによって前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように、
個々の前記イメージセンサに対する前記照射平面(Pji)が互いに異なっており、かつ前記搬送平面(Pc)と平行でないように、
前記少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)のそれぞれを用いて、前記軌道(T)に沿った各容器の増分変位毎に、前記検査対象領域の複数の放射線線形画像が、各容器について前記検査対象領域全体が全ての前記線形放射線画像において完全に表現されるように選択された数に従って取得されるように、
前記検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3組が、各容器について分析されるように、
配置されることを特徴とする、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記コンピュータシステムに、前記複数の容器のシリーズの前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することを含み、
前記推測的幾何モデルは、
前記シリーズの複数の容器のコンピュータ設計のためのデジタルモデルによって、
又は、測定装置による同じシリーズの1つ又は複数の容器の測定から得られる前記デジタル幾何モデルによって、
又は、入力値から、及び/又は前記コンピュータシステムのマンマシンインターフェース上のオペレータによって選択される図面及び/又は形状から、前記コンピュータシステムによって生成されるデジタル幾何モデルによって、
取得されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記コンピュータシステムに、前記複数の容器を構成するガラスの減衰係数の値を提供することを含むことを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ネック及び本体を形成するとともに内表面及び外表面によって境界が定められた壁をそれぞれ有する複数の空のガラス容器(2)の少なくとも1つの検査対象領域の寸法を自動的に測定するための設備であって、
搬送平面(Pc)における略直線の軌道に沿って、変位ベクトルによって具体化された方向(T)に、前記方向(T)に延びた搬送体積(Vt)を通過する前記複数の容器を輸送するための装置と、
前記通過された体積(Vt)の外側に位置付けられたX線発生管(12)の少なくとも1つの焦点(Fj)と、
関連付けられた焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように、前記搬送体積(Vt)の外側に位置付けられた少なくとも3つのイメージセンサ(Cji)と、
移動中の各容器について、前記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、前記複数のイメージセンサ(Cji)に接続された取得システムと、
各容器について、前記検査対象領域のデジタル幾何モデルを構築するように、少なくとも3つの異なる放射線照射から得られる前記少なくとも3つの放射線画像を分析するコンピュータシステムと、
を含み、
前記少なくとも1つの焦点(Fj)は、少なくとも前記ネックの一部及び/又は前記容器本体の一部を含む少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
前記焦点又は複数の焦点(Fj)及び前記複数のイメージセンサ(Cji)は、前記複数の容器が前記X線を通り抜けるときに前記焦点(Fj)から得られるX線によって各イメージセンサが前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように配置されており、前記複数の放射線照射の照射方向は互いに異なっており、
前記少なくとも3つの放射線画像は、前記検査対象領域の異なる照射方向を有する少なくとも3つの放射線照射から得られ、
前記デジタル幾何モデルは、複数の点の組の三次元座標を含み、少なくとも3つの放射線画像から計算され、この複数の点の組は、前記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、照射方向(Dji)に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの点を有しており、各デジタル幾何モデルにより、照射方向(Dji)に直交しない平面において前記モデル上で測定された前記ネックの少なくとも1つの内径を、及び/又は、照射方向(Dji)に直交しない平面において前記モデル上で測定された前記本体の壁の少なくとも1つの厚さを推測することが可能である、
設備。
【請求項22】
2つの異なる位置に別々に配置されたX線を生成するための少なくとも2つの焦点(F1、F2)と、X線に感度を有する少なくとも3つのイメージセンサ(Cji)とを含み、それらは、
少なくとも前記検査対象領域を通過して、少なくとも1つの関連付けられたイメージセンサ(Cji)に到達するビームを各焦点が放出するように、
各イメージセンサ(Cji)が、1つの焦点に関連付けられるとともに、前記焦点から得られるX線を前記検査対象領域の通過後に受け取るように、
位置付けられていることを特徴とする、請求項21に記載の設備。
【請求項23】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる少なくとも1つの焦点、又は前記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点を含むことを特徴とする、請求項21又は22に記載の設備。
【請求項24】
前記搬送平面(Pc)に配置された少なくとも1つの焦点を含むことを特徴とする、請求項21から23のいずれか1項に記載の設備。
【請求項25】
前記搬送平面(Pc)に直交し、前記搬送体積(Vt)に交差する平面(Ps)の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)と、
前記交差平面(Ps)に対して反対側にあり、前記焦点(Fj)から得られるX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)と、
を含み、
前記ビームは前記交差平面(Ps)及び前記検査対象領域を通り抜けるようになっていることを特徴とする、請求項21から24のいずれか1項に記載の設備。
【請求項26】
前記搬送平面(Pc)の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点(Fj)と、
前記搬送平面(Pc)に対して反対側にあり、前記焦点(Fj)からX線を受け取るように前記焦点(Fj)に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ(Cji)と、
を含み、
前記ビームは前記搬送平面(Pc)を通り抜けるようになっていることを特徴とする、請求項21から25のいずれか1項に記載の設備。
【請求項27】
少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサ(Cji)は、それらが受け取る前記検査領域の前記複数の照射方向(Dji)が、これら照射方向の間に45°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未
満の有効角度(α)を有するように配置されることを特徴とする、請求項21から26のいずれか1項に記載の設備。
【請求項28】
少なくとも1つの焦点(Fj)及び1つのイメージセンサ(Cji)は、容器(2)が前記複数のイメージセンサの被写界を通過するとき、前記イメージセンサ(Cji)上の前記検査領域の前記照射方向(Dji)が、前記移動方向(T)と10°から60°の間の開き角度(β)をなすように配置されることを特徴とする、請求項21から27のいずれか1項に記載の設備。
【請求項29】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び前記複数の焦点(Fj)は、前記焦点又は複数の焦点から得られて前記複数のイメージセンサ(Cji)に到達するとともに容器の前記領域を通過するX線が、同時に他の容器を通り抜けないように配置されることを特徴とする、請求項21から28のいずれか1項に記載の設備。
【請求項30】
1つ又は複数のX線発生管から得られる1つから4つの焦点(Fj)を含むことを特徴とする、請求項21から29のいずれか1項に記載の設備。
【請求項31】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の各容器(2)について、前記複数のイメージセンサ上の前記検査対象領域の前記複数の放射線照射が、3から40の異なる照射方向を有するようになっていることを特徴とする、請求項21から30のいずれか1項に記載の設備。
【請求項32】
前記複数のイメージセンサ(Cji)及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の各容器(2)について、前記複数のイメージセンサ上の前記検査対象領域の前記複数の放射線照射が、4から15の異なる照射方向を有するようになっていることを特徴とする、請求項21から30のいずれか1項に記載の設備。
【請求項33】
前記複数のイメージセンサ(Cji)はリニアタイプであって、それぞれが、前記関連付けられた焦点(Fj)と、前記照射方向(Dji)を含む照射平面(Pji)とで定義する支持直線(Lji)に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
前記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、前記関連付けられた焦点(Fj)からのX線ビームによって前記検査対象領域の前記放射線照射を受け取るように、
個々の前記イメージセンサに対する前記照射平面(Pji)が互いに異なっており、かつ前記搬送平面(Pc)と平行でないように、
配置されることを特徴とする、請求項21から32のいずれか1項に記載の設備。
【請求項34】
少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)は、互いに平行な自身の支持直線(Lji)を有することを特徴とする、請求項33に記載の設備。
【請求項35】
少なくとも3つのリニアイメージセンサ(Cji)は、前記搬送平面(Pc)に直交する自身の支持直線(Lji)を有することを特徴とする、請求項33又は34に記載の設備。
【請求項36】
焦点(Fj)は、前記搬送平面(Pc)の一方の側に配置され、かつ、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサ(Cji)は、前記搬送平面(Pc)に対して前記焦点(Fj)の反対側に配置され、その支持直線(Lji)は前記搬送平面(Pc)に平行であることを特徴とする、請求項33から35のいずれか1項に記載の設備。
【請求項37】
前記コンピュータシステムに前記複数の容器を構成するガラスの減衰係数を提供するための装置を備えることを特徴とする、請求項21から36のいずれか1項に記載の設備。
【請求項38】
前記コンピュータシステムに前記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置を備え、前記装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースであることを特徴とする、請求項21から37のいずれか1項に記載の設備。
【請求項39】
前記コンピュータシステムに前記ネックの寸法の値及び/又は公差、及び/又は前記本体の壁のガラス厚さの最小値、及び/又は容器の少なくとも1つの幾何基準モデルを提供するための装置を備えることを特徴とする、請求項21から38のいずれか1項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、起こり得る寸法欠陥を検出するためにボトル、ジャー、フラスコなどの空のガラス容器を検査する技術分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、製造後にインラインで走行している複数の空のガラス容器が、要求される寸法基準を満たしているかどうかを判定するために、そのような容器の寸法を測定することに関する。
【背景技術】
【0003】
製造後、複数の空のガラス容器は様々な寸法制御を受ける。
【0004】
そのため、複数の容器には、その美観又はより重要な機械的強度に影響を与えるガラス分布が不十分な1つ又は複数の局所的区域が存在するリスクがあることが知られている。
【0005】
容器の壁の厚さを測定するために、三角測量法と呼ばれる方法が、例えば、特許 EP 0 320 139又は特許 EP 0 584 673から知られており、上記方法は、ゼロ以外の入射角で容器の壁に光ビームを照射することと、壁の外表面及び内表面で反射した光ビームを集めることとを含む。これら2つの表面における光の反射は、入射ビームの正反射方向に、つまり入射ビームの衝突点での表面の法線に対して入射ビームと対称的に発生する。壁の内表面及び外表面で反射された光線は、レンズによって集められ、リニア光センサに送られる。容器の壁の厚さは、壁の内表面及び外表面で反射された複数のビーム間の距離間隔に従って光センサで測定される。容器は軸を中心にした1回転で回転駆動され、その横断面の1つに沿ってその厚さが測定される。
【0006】
三角測量法による従来の光学測定技術の代替方法は、特許出願 DE 10 2007 044 530に記載されている「クロマティズム共焦点光学」法と呼ばれる方法による測定である。この方法は、色符号を有する光ビームを送ることと、内面及び外面で反射したビームを回収することと、反射したビームの波長をセンサに分析させることと、反射したビームの波長に応じてその厚さを決定することとを含む。
【0007】
同様に、特許 EP 2 676 127には、中心軸に従って特定された容器の高さに従って、検査領域に重畳的に分布させたいくつかの測定点で複数の容器のガラス壁の厚さを測定することが可能な装置が記載されている。上記検査方法は、中心軸と、外面と内面との間で境界が定められた壁とを有する複数の透明な容器について、材料分布の欠陥を検出することを意図している。
【0008】
上述の光学測定法はどれも、非接触でかなり高速であるため、広く使用されているが、これらの方法はすべて、周囲の厚さを測定するために複数の容器を回転させる必要がある。実際には、これらの技術は、光のビームの照射と、壁の内表面及び外表面の2つの表面で反射した光の回収とを共通点として有している。特に正反射のせいで、ある範囲の入射及びこれに対応する方向の観察のみが可能である。容器は一般に円筒形であるため、上記測定はセンサの光軸の周囲に位置付けられた狭い領域でのみ可能である。したがって、これらの原理を使用して、製造中にコンベアライン上をインラインで走行する複数の容器を測定することは不可能である。
【0009】
加えて、光学的厚さ測定に必要とされる複数の容器の回転には費用がかかる。実際、回転は複雑な取扱機器の使用を必要とする。実際、複数の容器がコンベヤ上を並進するのを止めて、測定中にこれらを回転してから、これらをコンベヤ上の並進運動に戻す必要がある。その後、容器はガイド、ローラ、スターホイールと接触する。調整は面倒であって、各容器のサイズに適合させた機器(可変式機器)の使用を伴う。最後に、最も効率的なラインにおけるガラス容器の現在の生産量が、現在のところ毎分700容器を超えているのに対して、そのレートは毎分300から400容器に制限されている。したがって、場合によっては、2倍の測定機器が必要となる。
【0010】
従来の方式では、ガラス容器の壁の厚さの測定に加えて、容器のネック又はリング(内径又は外径、シール、高さ)及び容器のカラー(内径、内部プロファイル、ブローチ加工)の測定も対象である。
【0011】
そのような検査を実施するために、1つ又は複数の装置を使用することが知られており、上記装置のそれぞれは、容器の性質に応じた正確な距離だけ離れた上方に、又は容器に接触する若しくは検査時間中に容器上に載るように、下降することを意図した検査ヘッドを含んでいる。従来の方式では、このような検査は、異なる複数の制御ステーションとの関係において複数の容器を配置するためのインデックス付き円運動を含むとともに、複数の容器を正確な位置に保持するように構成された直線形コンベヤ、又は好ましくは星形コンベヤのいずれかを有する機械を使用して行われる。星形コンベヤの場合、各検査ヘッドは交互の垂直運動で移動するが、直線形コンベヤの場合、検査ヘッドはさらに水平移動もする。
【0012】
特許 FR 2 818 748には、アイドルプーリと、サーボモータによって駆動されるプーリとの間に取り付けられたベルトによって垂直往復運動で移動する運び台に固定された水平スライドに取り付けられたヘッドを含む検査装置が記載されている。このような装置の欠点の一つは、移動する質量が比較的大きいので、検査ヘッドの移動の速度及び加速が制限されることである。その結果、複数の容器の検査レートが制限され、これは、複数の容器のインライン生産プロセスにおける大きな欠点である。このような公知の装置の別の欠点は、検査ヘッドが、容器に接触することが意図されている場合に現れる。実際には、複数の容器の高さのばらつきを理由として、そして、ブローチ加工工程の最中には検査ヘッドが下降できないといったストロークに影響を及ぼす欠点を理由として、検査ヘッドのストロークは定義されてはいない。また、このストローク及び搭載質量が不確定であると、検査ヘッドと容器との間に大きな衝撃が発生することがあり、これにより、容器及び/又は検査ヘッドが損傷するおそれがある。
【0013】
特許 GB 1 432 120には、いくつかの制御ステーションを含み、複数の容器を検査するための装置が記載されており、そのうちの1つは、複数の容器のリング及びカラーの寸法の適合性を制御することを目的としている。この制御ステーションは、容器の対称軸に平行な移動方向で、上記装置のフレームに対する交互運動で電動システムによって駆動される可動式機器を含んでいる。この可動式機器には、複数の容器のリングの外径を制御するための外側ゲージと、複数の容器のリング及びカラーの内径を制御するための内側ゲージが装備されている。この文献に記載されている装置には、特許FR 2 818 748に記載されている検査装置と同じ欠点がある。
【0014】
特許 FR 2 965 344は、接触検出と垂直移動の動的制御とを組み合わせて、可動部分を軽量化することによって、大幅に高速化することを解決策としているが、複数の容器、可変式機器、及びゲージと複数の容器との接触を取り扱う機械的な動きは依然として大きな欠点である。
【0015】
容器に収容された液体の体積の検出分野においては、特許出願 WO 2010/025539に、X線検査システム及び方法が記載されている。この文献の検出の原則は、放射線画像から、通過された液体の厚さ(
図5aの符号512及び
図5bの符号592)を知り、そこから充填レベル(メニスカス520)を推測し、それにより容器内の液体の全体積を知ることである。この目標のために、上記方法は、放射線画像から、通過されたガラス508及び506の厚さによる減衰量を差し引くことを提案している。
【0016】
しかし、方向502から504への照射による放射線撮影では、ガラスによる減衰量及び収容された液体による減衰量を知ることは不可能である。この問題を克服するために、この文献では、その二次元放射線画像から容器の三次元理論モデルを作成することを提案している。放射線画像から、容器の理論的三次元モデルの減衰量が差し引かれて、測定された減衰量が推測されるので、液体の減衰量のみから、液体体積を概ね推測することが可能となる。
【0017】
この文献に記載される例示的実施形態によれば、三次元理論モデルは、単一の照射方向で撮影された放射線撮影から得られる。放射線撮影は、1つの照射方向で照射された容器の二次元プロファイルを知るために分析される。容器の二次元プロファイルは、保存されたモデルのライブラリから、又は複数の容器の軸対称の仮定された形状を考慮した二次元プロファイルの軸を中心にした回転によって、容器の理論上の三次元形状を得るために使用される。
【0018】
別の例示的実施形態によれば、この文献は、液体のメニスカスの位置を特定する精度を向上させるために、異なる複数の方向において放射線画像を撮影することを提案している。この例によれば、上記方法は、第1の放射線撮影方向における液体のメニスカスの位置と、第2の放射線撮影方向における液体のメニスカスの位置とを特定して、液体のメニスカスの平均位置に関する液体のメニスカスの位置を保つことを意図している。
【0019】
上記例示的実施形態にかかわらず、この文献の教示に従って構築された三次元理論モデルは、放射線撮影の実際の容器物体に対応していない。したがって、このような三次元理論モデルで実行された、特に厚さの測定には誤りがある。さらに、唯一可能な厚さ測定が、放射線の照射方向に直交する1つの方向における測定であることに注意すべきである。そのため、放射線の照射方向に直交しない複数の方向におけるガラスの厚さなどの寸法は、二次元プロファイルにおける厚さと全く同じであって、複数の放射線照射に直交する複数の方向における厚さと全く同じである。この仮定は、この文献で想定されているような完全な又は理論上の容器についてのみ検証されており、正確な測定が実行されるべき容器に対しては誤りであることが理解される。
【0020】
特許出願 JP S60 260807は、それぞれが複数のセンサと関連付けられている1つ又は複数の焦点から得られるX線測定を使用して、軸に沿って並進で動かされる管の壁の厚さを測定することを提案している。焦点及び複数のセンサは、管の移動方向に直交する平面に沿って複数の放射線照射を生成するように配置されている。したがって、複数の放射線照射は、管の対称軸に直交する照射平面と同一平面上にある。これら放射線照射の方向は、移動方向に対して直角(90°)をなす。この技術により、管の内表面及び外表面を完全に知ることは不可能である。この特許出願に記載される方法では、照射方向における管の2つの壁の累積厚さのみが測定可能であり、正確な測定が他の複数の方向においてなされることを可能とする管の三次元モデルの再構築はなされない。
【0021】
同じように、特許 US 5 864 600には、容器輸送コンベヤの両側に横方向に配置されたX線源とセンサとを使用して、容器の充填レベルを特定する方法が記載されている。この方法により、その材料の累積厚さの測定が可能である。この文献は複数の容器の三次元モデリングを提供していないため、このシステムでは、横方向に方向付けられていない表面に対して測定を行うことが不可能である。
【0022】
特許出願 US 2009/0262891には、コンベヤによって並進移動させられる手荷物内に置かれた複数の物体を、X線によって検出するためのシステムが記載されている。このシステムは、複数のパルス発生管又は走行方向に平行な寸法の大きいセンサを含む。この文献は、物体を再構築する方法を提供しているが、移動方向における照射の欠如により、移動方向に直交する方向における寸法の測定が不可能であるため、満足のいくものではない。1つの角度セクタにおける放射線照射の欠如により、正確な測定を確保するための適切なデジタルモデルを作成することが不可能となっている。
【0023】
特許出願 DE 197 56 697には、特許出願 US 2009/0262891と同じ欠点を有する装置が記載されている。
【0024】
特許出願 WO 2010/092368には、放射線源及び3つのリニアセンサを使用して、並進移動している物体をX線によって視覚化するための装置が記載されている。
【0025】
特許出願 US 2006/0058974には、特に複数のタンク又は複数のパイプラインの複数のデジタル画像を取得し、これらデジタル画像を、被検査体を特徴付ける絶対厚さマップに変換することが可能なデジタル放射線画像システムが記載されている。各感応素子から生成されたデジタルデータは、例えば、X線源と検出器との間の複数のX線経路における変動を補正することによって校正されたり、空間周波数応答の変動を補正することによって校正されたり、検査中の物体の幾何プロファイルにおける変動を補正しかつ物体の内部及び/又は周囲に含まれる材料を補正することによって校正されたりする。この技術は、インラインで走行している複数の容器の寸法制御に対して実施することができない。
【0026】
従来の技術的解決策を分析すると、複数の容器の高い搬送速度を維持しながら、これらの全体性を変えることなく、複数の容器について寸法測定を実行することが可能な新たな技術が必要であるという結論に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、高速でインラインで走行している複数の容器の正確な寸法測定を遂行することを可能とする新たな非接触測定技術を提供することによって、この必要性を満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的を達成するために、本発明は、1シリーズの複数の空のガラス容器の少なくとも1つの検査対象領域の寸法を測定する方法に関し、それぞれの容器は、ネック及び本体を形成するとともに内表面及び外表面によって境界が定められた壁を有し、当該方法は、
上記ネックの少なくとも一部及び/又は上記容器本体の少なくとも一部を含む少なくとも1つの検査対象領域を選択することと、
変位ベクトルによって具体化された方向で、平らな軌道に沿って、搬送平面において、底部によって支えられた上記複数の容器を輸送することと、
上記検査対象領域の両側に、X線発生管の少なくとも1つの焦点と、複数のX線感応イメージセンサとを配置することと、
複数のイメージセンサを使用して、移動中の各容器について、上記検査領域の少なくとも3つの放射線画像を取得することと、
コンピュータシステムを使用して、少なくとも3つの放射線画像から、各容器について上記検査領域のデジタル幾何モデルを構築することと、
照射方向に直交しない平面において、上記デジタル幾何モデル上で測定された上記ネックの少なくとも1つの内径を、及び/又は、照射方向に直交しない平面において、上記デジタル幾何モデル上で測定された上記本体の壁の少なくとも1つの厚さを推測することと、
を含み、
上記複数の容器は移動中に搬送体積を発生し、
上記複数のイメージセンサのそれぞれは、関連付けられた焦点から得られるX線に曝され、上記X線は少なくとも上記検査対象領域を通り抜けて、上記照射方向における放射線照射を各イメージセンサ上に生成し、
上記少なくとも3つの放射線画像は、上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射から得られ、上記少なくとも3つの放射線照射の照射方向は異なっており、
上記検査対象領域の上記デジタル幾何モデルは、複数の点の組の三次元座標を含み、上記少なくとも3つの放射線画像から計算され、上記複数の点の組は、上記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの点を有する。
【0029】
加えて、本発明に係る方法は、以下の追加の特徴のうちの少なくとも1つ及び/又はそれ以外を、組み合わせてさらに含み得る。
【0030】
上記複数の点の組の三次元座標を含む上記検査対象領域のデジタル幾何モデルは、
それぞれが上記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、かつ照射方向に直交せず、上記移動方向と平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、照射方向に直交する平面に属さず、かつ上記移動方向に平行な平面に属さない複数の点を含む、上記容器の壁の内表面及び外表面の少なくとも1つの表面表現、
及び/又は、照射方向に直交する平面と異なり、かつ上記移動方向に平行な平面と異なる平面に沿っている、上記検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含む。
【0031】
当該方法は、検査対象領域として、上記搬送平面に平行な2つの平面の間に延びる少なくとも1つの定義された区域を選択することを含む。
【0032】
当該方法は、検査対象領域として、上記ネック及び上記容器本体の一部を含む区域を選択することと、上記検査領域における上記容器壁の内表面及び外表面に属する複数の点の組の三次元座標を含む上記検査対象領域のデジタル幾何モデルを特定することとを含み、これにより、少なくとも上記ネックの内径及び上記容器本体の上記ガラス壁の厚さを推測する。
【0033】
当該方法は、120°より大きい開きを有する発散X線ビームが得られる焦点、又は上記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点が上記軌道の一方の側に位置付けられていることを含む。
【0034】
当該方法は、上記搬送平面に少なくとも1つの焦点を配置することを含む。
【0035】
当該方法は、上記搬送平面に直交する上記搬送体積の交差平面の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点をそのビームが上記交差平面及び上記検査対象領域を通り抜けるように配置することを含む。
【0036】
当該方法は、上記交差平面に対して反対側に、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサを配置することを含む。
【0037】
当該方法は、上記搬送平面の一方の側に、発散X線ビームが得られる焦点をそのビームが上記搬送平面を通り抜けるように配置することを含む。
【0038】
当該方法は、上記搬送平面に対して反対側に、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサを配置することを含む。
【0039】
当該方法は、複数のイメージセンサを使用して、移動中の各容器について、45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満、有利には60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度を定義する複数の照射方向に対応する上記検査領域の少なくとも2つの放射線画像を取得することを含む。
【0040】
当該方法は、複数のイメージセンサを使用して、移動中の各容器について、上記移動方向と10°から60°の間の開き角度を有する照射方向に対応する上記検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得することを含む。
【0041】
当該方法は、上記焦点又は複数の焦点から得られるとともに上記複数のイメージセンサに到達するX線が他の容器を通り抜けないように、容器の上記検査領域の複数の放射線照射を生成して取得することを含む。
【0042】
当該方法は、複数のイメージセンサを使用して、移動中の各容器について、上記検査対象領域の異なる方向の3から40の、好ましくは4から15の放射線照射から得られる複数の放射線画像を取得することを含む。
【0043】
上記複数のイメージセンサはリニアタイプであって、それぞれが、上記関連付けられた焦点と、上記照射方向を含む照射平面とで定義する支持直線に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
上記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、上記関連付けられた焦点から得られるX線ビームによって上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように、
個々の上記イメージセンサに対する上記照射平面が互いに異なっており、かつ上記搬送平面と平行でないように、
上記少なくとも3つのリニアイメージセンサのそれぞれを用いて、上記軌道に沿った各容器の増分変位毎に、上記検査対象領域の複数の放射線線形画像が、各容器について上記検査対象領域全体が全ての上記線形放射線画像において完全に表現されるように選択された数に従って取得されるように、
上記検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3組が、各容器について分析されるように、
配置される。
【0044】
当該方法は、上記コンピュータシステムに、上記複数の容器のシリーズの上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供することを含み、
上記推測的幾何モデルは、
上記シリーズの複数の容器のコンピュータ設計のためのデジタルモデルによって、
又は、測定装置による同じシリーズの1つ又は複数の容器の測定から得られるデジタル幾何モデルによって、
又は、入力値から、及び/又は上記コンピュータシステムのマンマシンインターフェース上のオペレータによって選択される図面及び/又は形状から、上記コンピュータシステムによって生成されるデジタル幾何モデルによって、
取得される。
【0045】
当該方法は、上記コンピュータシステムに、上記複数の容器を構成するガラスの減衰係数の値を提供することを含む。
【0046】
本発明の別の目的は、ネック及び本体を形成するとともに内表面及び外表面によって境界が定められた壁をそれぞれ有する複数の空のガラス容器の少なくとも1つの検査対象領域の直線寸法を自動的に測定するための設備を提供することであって、当該設備は、
搬送平面における略直線の軌道に沿って、変位ベクトルによって具体化された方向に、上記方向に延びた搬送体積を通過する上記複数の容器を輸送するための装置と、
上記通過された体積の外側に位置付けられたX線発生管の少なくとも1つの焦点と、
関連付けられた焦点から得られるX線を受け取るように、上記搬送体積の外側に位置付けられた少なくとも3つのイメージセンサと、
移動中の各容器について、上記検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像を取得するように、上記複数のイメージセンサに接続された取得システムと、
各容器について、上記検査対象領域のデジタル幾何モデルを構築するように、少なくとも3つの異なる放射線照射から得られる上記少なくとも3つの放射線画像を分析するコンピュータシステムと、
を含み、
上記少なくとも1つの焦点は、少なくとも上記ネックの一部及び/又は上記容器本体の一部を含む少なくとも1つの検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成し、
上記焦点又は複数の焦点及び上記複数のイメージセンサは、上記複数の容器が上記X線を通り抜けるときに上記焦点から得られるX線によって各イメージセンサが上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように配置されており、上記複数の放射線照射の照射方向は互いに異なっており、
上記少なくとも3つの放射線画像は、上記検査対象領域の異なる照射方向を有する少なくとも3つの放射線照射から得られ、
上記デジタル幾何モデルは、複数の点の組の三次元座標を含み、少なくとも3つの放射線画像から計算され、この複数の点の組は、上記容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、照射方向に直交しない平面に位置付けられた少なくとも2つの点を有しており、各デジタル幾何モデルにより、照射方向に直交しない平面において上記モデル上で測定された上記ネックの少なくとも1つの内径を、及び/又は、照射方向に直交しない平面において上記モデル上で測定された上記本体の壁の少なくとも1つの厚さを推測することが可能である。
【0047】
加えて、本発明に係る設備は、以下の追加の特徴のうちの少なくとも1つ及び/又はそれ以外を、組み合わせてさらに含み得る。
【0048】
2つの異なる位置に別々に配置されたX線を生成するための少なくとも2つの焦点と、X線に感度を有する少なくとも3つのイメージセンサであって、それらは、
少なくとも上記検査対象領域を通過して、少なくとも1つの関連付けられたイメージセンサに到達するビームを各焦点が放出するように、
各イメージセンサが、1つの焦点に関連付けられるとともに、上記焦点から得られるX線を上記検査対象領域の通過後に受け取るように、
配置される。
【0049】
120°に等しいかそれよりも大きい開きを有する発散X線ビームが得られる少なくとも1つの焦点、又は上記開きの合計が120°に等しいかそれよりも大きい複数の発散X線ビームが得られる少なくとも2つの焦点。
【0050】
上記搬送平面に配置された少なくとも1つの焦点。
【0051】
上記搬送平面に直交し、上記搬送体積に交差する平面の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点であって、そのビームは上記交差平面及び上記検査対象領域を通り抜けるようになっている。
【0052】
上記交差平面に対して反対側にあり、上記焦点から得られるX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ。
【0053】
上記搬送平面の一方の側にあり、発散X線ビームが得られる焦点であって、そのビームは上記搬送平面を通り抜けるようになっている。
【0054】
上記搬送平面に対して反対側にあり、上記焦点からX線を受け取るように上記焦点に関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサ。
【0055】
少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサは、それらが受け取る上記検査領域の上記複数の照射方向が、これら照射方向の間に45°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未満、有利には60°に等しいかそれよりも大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度を有するように配置される。
【0056】
少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサは、容器が上記複数のイメージセンサの被写界を通過するとき、上記イメージセンサ上の上記検査領域の上記照射方向が、上記移動方向で10°から60°の間の開き角度をなすように配置される。
【0057】
上記複数のイメージセンサ及び上記複数の焦点は、上記焦点又は複数の焦点から得られて上記複数のイメージセンサに到達するとともに容器の上記領域を通過するX線が、同時に他の容器を通り抜けないように配置される。
【0058】
1つ又は複数のX線発生管から得られる1つから4つの焦点。
【0059】
上記複数のイメージセンサ及び関連付けられた複数の焦点の数及び配置は、移動中の各容器について、上記複数のイメージセンサ上の上記検査対象領域の上記複数の放射線照射が、3から40の、好ましくは4から15の異なる照射方向を有するようになっている。
【0060】
上記複数のイメージセンサはリニアタイプであって、それぞれが、上記関連付けられた焦点と、上記照射方向を含む照射平面とで定義する支持直線に沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含み、
上記複数のイメージセンサは、
これらイメージセンサそれぞれの少なくともm個の感応素子が、上記関連付けられた焦点からのX線ビームによって上記検査対象領域の上記放射線照射を受け取るように、
個々の上記イメージセンサに対する上記照射平面が互いに異なっており、かつ上記搬送平面と平行でないように、
配置されている。
【0061】
少なくとも3つのリニアイメージセンサは、互いに平行な自身の支持直線を有する。
【0062】
少なくとも3つのリニアイメージセンサは、上記搬送平面に直交する自身の支持直線を有する。
【0063】
焦点は、上記搬送平面の一方の側に配置され、かつ、本発明によれば、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサは、上記搬送平面に対して上記焦点の反対側に配置され、その支持直線は上記搬送平面に平行である。
【0064】
本発明によれば、当該設備は、
上記コンピュータシステムに上記複数の容器を構成するガラスの減衰係数を提供するための装置と、
上記コンピュータシステムに上記検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置と、
上記コンピュータシステムに上記ネックの寸法の値及び/又は公差、及び/又は上記本体の壁のガラス厚さの最小値、及び/又は容器の少なくとも1つの幾何基準モデルを提供するための装置と、
を備え、
上記推測的幾何モデルを提供するための装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースである。
【0065】
他の様々な特徴が、本発明の目的の非限定的な例及び実施形態を通じて、示される添付図面を参照して以下でなされる説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は、インラインで走行している複数の容器のX線による寸法測定が可能な設備を示す概略上面図である。
【
図2】
図2は、容器のX線による寸法測定が可能な設備を示す概略側面斜視図である。
【
図3】
図3は、検査された容器の一部を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、直線移動中の複数の容器によって通過された又は生成された体積を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、3つのX線発生焦点を含む本発明に係る設備の例示的な実施形態を示す概略上面図である。
【
図8】
図8は、2つの照射方向の間の有効角度の定義を説明する概略図である。
【
図9】
図9は、2つの照射方向の間の有効角度の定義を説明する概略図である。
【
図10】
図10は、検査される複数の容器の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、検査される複数の容器の移動に対する複数のイメージセンサの配置を示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、複数のマトリクスイメージセンサを実装する本発明に係る設備の例示的実施形態の図である。
【
図13】
図13は、2つのマトリクスイメージセンサに対応する2つの別個の区域を示すX線感応素子のマトリクスの図である。
【
図14】
図14は、検査領域がネックを含む場合に、本発明に係る方法に従って得られる容器のデジタル幾何モデルの図である。
【
図15】
図15は、本発明に係る方法に従って得られ、寸法の測定値が表されている容器のデジタル幾何モデルの垂直断面及び4つの水平断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
先立って、本発明の文脈で使用される用語のいくつかの定義を以下で示す。
【0068】
X線発生管の焦点Fjは、点X線源、好ましくは、例えば直径が0.01mmから1mmの間の「マイクロ焦点」であって、発散X線ビームを生成する。任意のタイプの点又は点とみなすことができるX線源を使用できる。
【0069】
感応素子は、X線感応素子、換言すると、例えば寸法が0.2×0.2mm又は0.02×0.02mmの基本表面であって、受け取ったX線を電気信号に変換する。一般に、シンチレータがX線を可視光線に変換し、次に光電センサが可視光線を電気信号に変換する。X線を電気信号に直接変換する技術もある。画素は、サンプリングされた画像における点の基本値を指定し、0と最大値との間のその諧調によって特徴付けられる。例えば、12ビットのデジタル画像について、画素は0から4095の間のデジタル値を取る。
【0070】
複数の放射線画像を読取る又は取得するためのシステムは、1つ又は複数のX線感応表面を、つまり、以下の説明においては、従来方式でコンピュータによって導入されかつコンピュータシステムによって定められた分析システムに送信されるべき電気信号に、X線を変換する複数の感応素子を備える複数の表面を含む。同一の感応表面区域に属する複数の感応素子の組から得られる複数の信号は、取得装置によって取得され、かつコンピュータシステムに一緒に送信され、放射線画像を構成する。コンピュータシステムによって分析されるために、複数の放射線画像は、感応表面に可能な限り近いか、又はコンピュータシステムから可能な限り離れて、複数のデジタル放射線画像に好ましくは変換される。
【0071】
焦点Fjから得られるX線ビームは、少なくとも1つの検査領域を通り抜けて、感応表面上に検査領域の放射線照射を形成し、放射線照射は、放射画像と呼ばれることもあり、かつ通過された材料によるX線の減衰量の情報を含む。
【0072】
検査領域の放射線照射を受け取るX線感応表面区域は、イメージセンサCjiと呼ばれる。イメージセンサCjiは、関連付けられた焦点FjからのX線に曝される。イメージセンサは、この放射線照射を、検査領域のX線画像に変換する。感応表面区域が複数の感光素子の列を含む場合、送信された放射線画像は線形であり、複数の値の一次元配列を形成する画素の列から構成される。感応表面区域が複数の感光素子のマトリクスを含む場合、送信された放射線画像はマトリクス放射線画像であり、複数の値の二次元配列を形成する画素のマトリクスから構成される。
【0073】
照射方向Djiは、焦点Fjを出て、イメージセンサCjiの中心を、つまり、焦点とイメージセンサとの間を容器が移動している最中の取得時に検査領域の放射線照射を受け取るX線感応区域の中心を通り抜ける指向方向又はベクトルである。イメージセンサに関連付けられた一対の焦点について、照射方向は、焦点からイメージセンサの中央に到達するベクトルである。複数のイメージセンサの配置は、感応表面が照射方向と平行にならないようになっている。場合によっては、イメージセンサの感応表面が、関連付けられた焦点で定義された照射方向と直交していると有利なことがある。しかし、これは、例えば、各画像キャプチャに連携し、いくつかの異なる焦点を異なる複数の照射方向に有するいくつかの感応区域を感応表面が含む場合には必須ではない。
【0074】
複数の放射線照射の照射方向Djiは、2つ1組の照射方向Djiが、それらの間に少なくとも5°に等しい最小角度をなす場合、異なっている。
【0075】
複数の感応素子の単列を含む感応表面区域は、支持直線線分に沿って分布された複数の感応素子の直線配列を含むリニアイメージセンサを構成する。この定義によれば、取得装置によって別々に取得及び送信されたマトリクス感応表面に属する段又は列は、リニアイメージセンサとみなされる。同一表面のいくつかの感応表面区域は、それぞれが異なる画素の単列を含み、そのためいくつかのリニアイメージセンサを構成する。そのため、取得された線形放射線画像に関連付けられた照射方向は、焦点から始まり、画像取得時に支持直線線分の中央を通り抜ける方向である。
【0076】
複数の感応素子のマトリクスを含む感応表面区域は、マトリクス状に分布した複数のX線感応素子のマトリクス配列を含むマトリクスイメージセンサを構成する。
図12に示されるように、この定義によれば、より大きな感応表面Ssに属し、かつ取得装置によって別々に取得及び送信されるマトリクス感応表面区域C11、C12は、1つのマトリクスイメージセンサである。同一表面のいくつかのマトリクス感応表面区域C11、C12は、取得装置によって別々に取得及び送信され、それゆえ、それぞれ異なる放射線画像M11、M12を提供するいくつかのマトリクスイメージセンサを構成する(
図13)。マトリクス放射線画像M11、M12にそれぞれ関連付けられた照射方向D11、D12は、画像の取得時に、焦点F1から始まり、マトリクス感応表面区域C11、C12の中央を通り抜ける方向である。したがって、イメージセンサC11、C12は、時間の経過とともに連続的に活性化された非分離領域であり得る。
【0077】
もちろん、当業者は、イメージインテンシファイア、あるいは、「スクリーンキャプチャカメラ」に基づくマトリクスセンサ技術を使用することができ、この技術では、シンチレータプレートが放射画像を受け取って、それを可視光線に変換し、シンチレータの背面で見える画像は、必要に応じてレンズが設けられた可視カメラで撮影される。
【0078】
図面から分かるように、本発明の目的は、複数の空のガラス容器2の寸法測定を遂行するための方法の実施を可能とする設備1に関する。慣習的には、容器2は、ヒール又は周縁に接続された底部3を含む中空物体であり、吸い口との境界を定めているリング6によって終了するネック又はカラー5に接続されたショルダーによって拡張された本体4が、ヒール又は周縁から立ち上がっており、吸い口により容器を充填又は空にすることができる。そのため、
図3に示されるように、容器2は、内表面8によって内部的に、かつ外表面9によって外部的に境界が定められたガラス壁7を有する。壁7は、内表面8と外表面9との間に厚さeを有する。ネック5は、壁の内表面によって定義される内径Dを有する。
【0079】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、検査対象領域の寸法特性に対応して、容器の少なくとも1つの領域における寸法測定を遂行できるように、容器の少なくとも1つの領域が検査対象として選択される。通常、検査対象領域は、少なくとも容器のネック5を含むことができ、この検査対象領域の寸法特性の測定値は、少なくともネックの内径Dに対応している。同様に、検査対象領域は、周縁とショルダーとの間に含まれ、そして、例えば、容器の配置平面に平行な2つの平面によって境界が定められた本体4の壁の少なくとも一部を含むことができ、この検査対象領域の寸法特性の測定値は、この壁7を境界とする内表面8と外表面9との間に含まれるガラス壁の厚さeに対応している。したがって、本発明は、ネック及び/又は容器本体の壁の内表面に関する寸法を測定するのに非常に特に適している。そのため、本発明に係る方法により、ネックの内径、ガラス壁の厚さ、又はネックの内径及びガラス壁の厚さの少なくともいずれかを測定することが可能となる。
【0080】
同様に、検査対象領域は、容器の本体、周縁又は底部を含む壁7の一部に対応していてもよい。検査対象領域はまた、容器2全体に対応していてもよい。測定される寸法は、本体のガラス壁の厚さ、底部のガラス壁の厚さ、周縁のガラス壁の厚さ、高さ、内径又は外径、例えばネックのねじ山の幅である。これらの測定によりまた、例えば、容器の楕円化又は傾斜したネックを持つ容器など、検査対象領域の寸法特性を推測することが可能となる。
【0081】
本発明に係る方法は、ガラス容器2、換言すると、単一材料すなわちガラスで構成された製造物体のシリーズに対して実施される。ガラスの減衰係数μは固有であり、つまり複数の容器について検査対象領域におけるどの点でも同じ値を有し、好ましくは、時間が経過しても一定であって、同じシリーズの複数の容器について同一であるとみなされる。1日当たり数百トンのガラスを生産するオーブン内においてガラスの組成に変動がないため、これらの条件は満たされている。ガラスの減衰係数μは、厳密には、波長λ又はX線のエネルギーに依存するスペクトル特性μ(λ)であることに注意すべきである。この特徴は、本発明に係る方法において、特定の放出されたスペクトル組成を有するX線源の範囲にまで、必ずしも考慮される訳ではなく、減衰係数μは、選択された源のスペクトルに対するガラスの特徴とみなされ得る。当業者はまた、複数のビームのスペクトルの減衰を考慮に入れるための任意の方法を使用して本発明を遂行する方法を知っているであろう。当業者はまた、放出されたスペクトルを、例えばそれを強化することによって、適応させる方法を知っているであろう。
【0082】
結果として、空気の減衰量はガラスの減衰量と比較して無視できるほどであるとみなすことができる。容器を通り抜けるX線ビームの減衰量は、一方では、放出されたX線スペクトルの一定の減衰量のみに、他方では、通過されたガラスの累積厚さのみに依存するであろう。あるいは、すべてのビームについて、通過された空気の厚さが大きくかつ均一であるとみなされ、そのため、それは既知とみなされ得る。空気による減衰量は、測定された減衰量の合計から差し引くことができる。そのため、任意に補正された各放射線画像における諧調は、通過されたガラスの累積厚さの合計にのみ直接に依存する。その結果、空気とガラスとの間の遷移部である境界表面を正確に特定することが可能となる。
【0083】
そのため、コンピュータシステムは、この計算操作のために、検査されている複数の容器のガラスの減衰係数を考慮に入れる。有利には、設備1は、コンピュータシステムに、例えばオーブン内でのガラスの分析によって識別された複数の容器のガラスの減衰係数を提供するための装置を含む。この提供装置は、大容量メモリ、マンマシンインターフェースによって、又は有線若しくは無線のコンピュータネットワークによって作られ得る。
【0084】
設備1はまた、変位ベクトルによって具体化された方向Tで、平らな軌道に沿って、搬送平面Pcにおいて複数の容器2を輸送するための装置11を含む。好ましくは、上記軌道は略直線である。慣習的には、輸送装置11は、立位で、つまり搬送平面Pcに設置されるようにコンベア上に複数の容器の底部3を載せることで、複数の容器の直線移動を確保するベルト又はチェーンコンベアである。
【0085】
本発明に係る設備によれば、高速走行で移動する複数の容器2のリニア寸法測定を自動的に遂行するための方法を実施することが可能となる。本発明は、変形又は製造工程の後で、複数の容器の品質、又は変形若しくは製造方法の質を制御するための、複数の容器の1シリーズの「インライン」制御と呼ばれる制御に関する。
【0086】
この方法は、複数の容器2のフローの走行速度に対して動作する。理想的には、設備1は、例えば毎分600容器の生産レートで、生産物を処理する能力がある。
【0087】
ただし、計算時間は2つの容器の間の時間間隔を超えていてもよい。同様に、複数の画像及び読取りセンサの露光時間が長すぎてもよい。本発明に係る単一の設備だけで、最速のフローを処理することができない場合、それぞれが生産の一部を制御するいくつかの設備を並列に導入することができる。そのため、本発明に係る2つ又は3つの設備によって検査される2つ又は3つの並列なフローに、生産フローを分割することが可能である。言うまでもなく、フローの数が、よって本発明に係る設備の数が少ないままである場合、本発明の経済的利益に影響が及ぶ。
【0088】
本発明は、複数の容器の走行中に、接触なしで、内表面及び壁の厚さを測定することにより、著しい改善をもたらすものであって、回転式コンベヤで実施されるような回転物の複雑な動作は排除される。このことはまた、検査領域の周囲全体に渡る、そして高さ全体に渡る厚さマッピングを可能とする。ネックの制御のため、従来技術は、テンプレート又は少ないサンプルの測定によってバイナリ適合性試験を実行するだけであるが、本発明は、生産のすべての容器について、ネックにおける測定を可能とする。したがって、これらの測定により、その製造方法の傾向を観察することが可能となる。
【0089】
図1及び2にさらに具体的に示されるように、複数の容器2の移動方向は、基準軸XYZのうち水平軸Xに沿って確立され、基準軸XYZは、水平軸Xに垂直な垂直軸Zと、垂直軸Zに垂直な横軸Yと、水平軸Xとを含み、X及びYは、略水平な搬送平面Pcに平行な平面にある。
【0090】
図4にさらに具体的に示されるように、直線移動中に、複数の容器2は、搬送体積Vtと呼ばれる体積を生成又は通過する。平面Psは、搬送体積Vtと交差し、搬送平面Pcに直交し、移動方向Tに平行な平面である。例えば、中央平面は上記体積を2つの等しいサブ体積に分割する。平面Psは、搬送平面が概ね水平である限り、垂直平面である。
【0091】
設備1はまた、
図1及び2に示されるように、X線発生管12の少なくとも1つの焦点Fj(jは1からkまで変わる)を含み、X線発生管12は、搬送体積Vtを通り抜けるように、より具体的には、容器2の少なくとも検査対象領域を通り抜けるように向けられた発散X線ビームを生成する。伝達における吸収係数が所定のX線に対して均一である材料で容器の検査対象領域が製造されるように、容器2がガラスで製造されていることに注意すべきである。
【0092】
設備1はまた、少なくとも3つのイメージセンサCji(iは1からNまで変わり、Nは3以上である)を含み、イメージセンサCjiは、X線に感度を持ち、関連付けられた焦点Fjから得られるX線に曝されるように位置付けられており、X線は、搬送体積Vtを、より具体的には少なくとも容器2の検査対象領域を通り抜ける。もちろん、管12及び複数のイメージセンサCjiは、搬送体積Vtの外側に位置付けられるので、この体積内において複数の容器は自由な移動が可能である。慣習的には、X線発生管12及び複数のイメージセンサCjiは、X線密封容器内に配置されている。
【0093】
イメージセンサCjiに関連付けられた焦点Fjから得られるX線ビームは、少なくとも検査領域を通り抜け、イメージセンサ上に、検査領域の放射線照射を照射方向Djiで形成する(
図1及び2)。照射方向Djiは、焦点Fjを出て、イメージセンサCjiの中心Mjiを通り抜けるベクトルの指向方向である。焦点又は複数の焦点Fj及び複数のイメージセンサCjiは、各イメージセンサが、検査対象領域の1つの照射方向における検査対象領域の放射線照射を受け取るように配置される。
【0094】
設備1はまた、移動中の各容器2について、異なる方向を有する検査対象領域の少なくとも3つの放射線照射を取得するように、複数のイメージセンサCjiに接続された取得システムを含む。得られる放射線画像に関連付けられた照射方向は、画像の取得時に、焦点から始まりイメージセンサの感応表面区域の中央を通り抜ける方向であることを想起されたい。そのため、少なくとも3つの放射線照射は、2つ1組でそれらの間に角度をなす複数の照射方向を有する。
【0095】
取得システムは、図示されていないが、それ自体公知の全てのタイプのコンピュータシステムに接続される。一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、複数のイメージセンサCjiを使用して、移動中の各容器について、異なる複数の照射方向における検査対象領域の特定された数の放射線照射から生じる複数の放射線画像を記録する。通常、異なる照射方向Djiの数は、3から40、好ましくは4から15である。一つの有利な変形実施形態によれば、設備1は、3から40のイメージセンサCjiを含む。一つの好ましい変形実施形態によれば、設備1は、4から15のイメージセンサCjiを含む。
【0096】
以下の記載で詳細に説明するように、コンピュータシステムは、各容器について、異なる複数の方向の少なくとも3つの放射線照射から得られる少なくとも3つの放射線画像を分析して、各容器について、検査対象領域のデジタル幾何モデルを特定するようにプログラムされており、デジタル幾何モデルは、検査領域における容器の壁に属する複数の点の組の三次元座標を含む。より具体的には、各デジタル幾何モデルは、少なくとも容器の壁の内表面に、好ましくは容器の壁の内表面及び外表面に属する複数の点の組の三次元座標を含む。これら複数の点の三次元座標の特定により、検査領域、すなわちネックの少なくとも1つの内径、又は容器の本体4のガラス壁の少なくとも1つの厚さ、又は少なくともネックの内径及び容器本体のガラス壁の厚さにについて、容器の寸法測定の遂行が可能となる。
【0097】
これら複数の点の三次元座標の特定及び寸法測定の実行は、公知の三次元幾何データ分析技術によって、任意の適切な方式で実行することができる。
【0098】
一般に、検査対象領域のデジタル幾何モデルは、複数の点の組の三次元座標を含み、検査対象領域の少なくとも3つの放射線画像から計算される。この複数の点の組は、容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、照射方向Djiと直交しない平面に位置付けられた空間の少なくとも2つの三次元点を有する。
【0099】
有利には、複数の点の組の三次元座標を含む検査対象領域のデジタル幾何モデルは、
それぞれが容器の壁の内表面及び/又は外表面に属し、かつ照射方向Djiに直交せず、移動方向Tと平行でない平面に位置付けられている、空間の少なくとも2つの三次元点、
及び/又は、照射方向Djiに直交する平面に属さず、かつ移動方向Tに平行な平面に属さない複数の点を含む、容器の壁の内表面及び外表面の少なくとも1つの表面表現、
及び/又は、照射方向Djiに直交する平面と異なり、かつ移動方向Tに平行な平面と異なる平面に沿っている、検査対象領域の少なくとも1つの断面、
を含む。
【0100】
その上で、以下に記載される方法の1つに従って寸法測定が遂行される。
【0101】
一般に、各容器のデジタル幾何モデル上でなされた寸法測定は、照射方向Djiに直交しない平面において上記モデルで測定されたネックの少なくとも1つの内径、及び/又は照射方向Djiに直交しない平面において上記モデルで測定された本体の壁の少なくとも1つの厚さに関する。
【0102】
一つの好ましい例示的実施形態は、各容器について、検査対象領域における容器の内表面及び外表面を表すデジタル幾何モデルを決定することを含む。
【0103】
この例によれば、各容器に関する複数の放射線画像のデジタル分析によって、これらの各容器について、三次元デジタル幾何モデルを構築することが可能となる。換言すると、放射線撮影によって検査された各容器について、三次元デジタル幾何モデルが、容器に対応する複数の放射線画像から構築される。任意に、このデジタル幾何モデルは、単に複数の二次元デジタル幾何モデルの積み重ねとすることができる。デジタル幾何モデルの作成とは、数学的な、図式的な及びデータ構造の用語における手法であって、この手法においては、複数の三次元容器は、コンピュータシステムのメモリ内においてデジタル形式で表現され、処理される。
【0104】
上記モデリングは体積測定によるものとすることができる。したがって、単一材料容器は、その値が材料の量を表すボクセルによって表すことができる。ボクセルは、完全、部分的に完全、又は空に(この場合は空気である)なり得る。体積幾何モデルを分析して、容器の複数の境界を特定し、そこから長さ又は厚さなどの直線寸法を測定することができる。また、それは、表面モデルであって、つまりそこで容器の複数の境界表面をモデル化することができる表面モデルへと変換されうる。
【0105】
複数の放射線画像から直接、つまり体積モデルの計算を行うことなく表面モデルを取得することが可能である。
【0106】
表面モデリングにおいて、容器は少なくとも1つの三次元表面によって定義される。三次元表面は、容器の材料とその外部環境(通常は空気)との間の境界に対応しており、三次元表面により、容器の内部及び外部の概念を理解することが可能となる。通常、複数の三次元表面は、多角形モデリングによって、パラメータに関する曲面又は表面(円柱、円錐、球、スプラインなど)によって、又は表面の下位区分によってなど、いくつかの手法でモデル化される。多角形、例えば三角形のメッシュを使用すると、容器の複数の三次元表面は、三角形の辺で接続された小平面の組によって表される。
【0107】
三次元容器の断面とは、平面との交差部分である。複数の三次元表面の断面とは、断面平面における複数の二次元曲線である。一連の断面平面におけるこれら複数の二次元曲線の情報により、複数の三次元表面の再構築が可能となる。
【0108】
長さを測定するには、いくつかの手法がある。
【0109】
第1の体積方法では、直線、又は複数の直線を有するビームに沿って体積モデルを通り抜けて、物質/空気の境界ボクセルを特定することが可能である。
【0110】
第2の表面方法では、線分であって、その両端が直線と表面モデルの材料/空気の境界表面との交点である線分を計算することが可能である。そのアルゴリズムは、トポロジーの問題をかなりよく解決する。上記交点は固有である。最後に、混合方法は、上記体積モデルを表面モデルに変換することと、その後に、上記第2の方法を適用することとを含む。
【0111】
第3の方法は、1つ又は2つの二次元曲線の2点間の距離を、切断平面で特定することを含み、上記曲線は物質と空気の境界である。
【0112】
三次元点とは、その座標が任意の基準軸内において、三次元空間で知られる点である。
【0113】
これら3つの従来の方法は、2つの三次元点の間の距離を特定して、直線寸法の測定値を特定する方法の例である。
【0114】
本発明の目的は、単純な複数の二次元放射線画像により可能とされていた測定よりも完全な測定を遂行することである。実際、マトリクスイメージセンサを使用して、検査領域の照射に対応する二次元放射線画像を取得し、「照射平面」と呼ばれる照射方向に直交する面において寸法を測定することは容易である。同様に、リニアイメージセンサを使用して、移動方向Tでの移動中に得られる連続する複数の画像の列の並置により取得される検査領域のファンビーム照射(複数の平行な平面)に対応する二次元放射線画像を取得し、移動方向に平行な照射平面における寸法を測定することは容易である。一方、本発明によれば、複数の照射平面に含まれず、複数の照射平面に平行でもない複数の方向において直線寸法を測定することができる。本発明に係る方法は、実際には、少なくとも3つの異なる照射方向における複数の放射線画像の組み合わせを処理する際に、実質的に全ての方向において寸法を再構築及び測定することを含む。これは、容器の検査対象領域に含まれる境界表面に属する空間内の複数の三次元点の特定を可能にする任意の方法によって可能である。表面若しくは体積タイプの、又は複数の断面平面に基づく、検査対象領域の三次元モデルの再構築は、あり得る方法である。実際、本発明によれば、表面若しくは体積モデルから又は複数の断面平面から間接的に、又は直接的に、少なくとも2つの三次元点、又はさらに好ましくは、複数の二次元放射線画像においてのみ測定不能な方向に分布する三次元点の群を特定することが可能となる。
【0115】
したがって、デジタル幾何モデルは、点、線分、表面、基本体積のような幾何学的要素で構成され、幾何学的要素は、デジタル幾何モデルが、理想的な空の容器に比べてゆがみを有する実際の空の容器の構造の忠実な表現であることを目的として、各要素、実際の空の容器上の点を通り抜けた少なくとも一部のX線の減衰量を計算することを考慮して、複数の放射線画像から計算される。換言すると、幾何学的要素の座標は、これら幾何学的要素をどの2D放射線照射においても区別することができない場合でさえも、その座標が複数の放射線照射を補正したことを考慮することによって特定される。したがって、デジタル幾何モデル上の寸法測定は、どの放射線照射においても区別することができない幾何学的要素から、モデル化された各空の容器の寸法の情報を与える。
【0116】
ガラス容器は単一材料で作られており、そのため、一定の減衰係数を有するか、又はそのようにみなされるので、表面の形状においてそのデジタル幾何モデルを特定するのに有利である。デジタル幾何モデルにおいて、例えば、容器のネックの内表面を特定して、表すことが可能である。検査領域は、この例によれば、ネック3を含み、それゆえ、リング6表面の平面とこれに平行な平面との間に延びている。次に、ネックの内径Dを測定することができる。具体的には、ネックのいくつかの内径Dを測定することができる。例えば、リングの表面に又は容器の底部に平行な切断平面を選択することで所定の高さを選択することにより、この平面において0から360°まででいくつかの直径を測定することができる。そのため、開口(又は吸い口)での、例えばリング表面の3mm下に切断平面を配置することにより吸い口の3mm下での、直径Doを特定することが可能である。ネックの内表面の全体高さhに渡る最小直径Dを特定して、ブローチ加工による測定に置き換えることも可能である。
【0117】
複数の容器の構造を考慮すると、円筒座標で推論するのがより容易である。容器で測定を実行する場合、上記方法により、例えば、
図14に示されるように、ネックに対応する容器の少なくとも検査対象領域を正確に表すデジタル幾何モデルMGNが、又は
図15に示されるように、容器のデジタル幾何モデルMGNの垂直断面又は4つの水平断面が生成される。
【0118】
このデジタル幾何モデル上の円柱座標ZM、ρ、θの基準軸は、容器モデルの対称軸に対応する軸ZMと、軸ZMに沿っているとともに配置平面に位置付けられている場合にゼロに等しい高さZとで定義することができる。円筒形又は円錐形の容器の場合、配置平面に直交しかつ容器の底部の中心を通る軸としてZMを定義することが可能である。実際は、容器のデジタル幾何モデルMGNは、内表面SIと外表面SEとを含む。
【0119】
各容器のネックを測定するための一つの有利な変形例によれば、上記方法は、デジタル幾何モデルMGN上で、ネックの内径Dとして、複数の直線線分の組の長さを測定することを含み、
複数の線分は、
デジタル幾何モデルの対称軸ZMに直交しており、
デジタル幾何モデルの対称軸ZMを横断しており、
デジタル幾何モデルのネックにおいて少なくとも2つの異なる高さZG1、ZG2に位置付けられており、
複数の照射方向Djiに直交しない少なくとも1つの線分を有し、デジタル幾何モデルの対称軸ZMの周囲に角度的に分布した複数の方向を有し、
各高さの数が、照射方向Djiの数よりも大きく、
かつ、各線分は、デジタル幾何モデルのネックの内表面に属するとともに容器のデジタル幾何モデルの対称軸ZMに対して反対側にある2つの点を接続している。
【0120】
上記複数の線分は、軸を中心にした完全な回転による理想的な容器の場合にのみ、数学的な意味で対称軸ZMを正確に横断することに注意すべきである。デジタル幾何モデルは実際の容器を表すため、常にそうとはいえない。
【0121】
本発明の主な目的は、インラインで、つまり、複数の容器が、機械的な又は空気圧のセンサに接触することなくコンベヤ上で高速移動状態にある場合に、ネックの適合性を保証するために、生産のタイプに応じて、必要とされるいくつかの測定を遂行することであることを想起されたい。
【0122】
ブローチ加工には、ネックに、最小直径の円柱、例えば充填カニューレを挿入する可能性がある。本発明によりブローチ加工の測定をするために、対称軸ZMに沿ったいくつかの高さに渡って、かつ0から360°までの異なる複数の角度θに応じたいくつかの方向において、最小直径を特定することができる。各容器のデジタル幾何モデルの内表面の内側への円柱の挿入を、そのネックでシミュレートできる。円柱が内接するとき、そのため、さらに膨張することができずに、ネックの内表面の内側へ、又は内表面の複数の点の組に、円柱が到達する最大直径を特定することもできる。各容器の開口のプロファイルを測定するために、デジタル幾何モデルのリング表面Zbから、次にリング表面から特定された深さZb-pに渡って段階的に、各高さZ
【数1】
において、例えば各深さ又は高さZでの最小直径D、すなわち
【数2】
のような複数の直径の統計データを計算し、そこから深さ、すなわち
【数3】
に応じた最小直径などのプロファイル関数を推測して、このプロファイルを基準プロファイルと比較することが可能である。
【0123】
開口における、例えば3mmの深さでの直径Doを測定するために、リング表面Zbから3mmの深さまでのすべての直径Dが公差範囲内に含まれていることをチェックすることができる。
【0124】
この変形例の一つの有利な特徴によれば、上記方法は、各容器のデジタル幾何モデルの外表面SEの複数の点と内表面SIの複数の点を2つ1組で結んでいる複数の線分の長さの組の測定により、各容器の壁の厚さeを測定することを含む。測定された複数の線分は、
内表面及び外表面のうちの1つに、好ましくは外表面SEに、好ましくは略直交しており、
検査対象領域において少なくとも2つの異なる高さZE1、ZE2に位置付けられており、
対称軸ZMから始まり、デジタル幾何モデルの対称軸の周囲に角度的に分布した複数の半径に隣接する複数の方向を持ち、複数の照射方向Djiに直交しない少なくとも1つの線分を有しており、
各高さの数が、照射方向Djiの数の2倍よりも大きい。
【0125】
検査対象領域として、例えば、周縁とショルダーとの間に延びる容器の本体4を選択することも可能である。そのため、検査対象領域は、底部3に又は容器配置平面に平行な2つの平面によって境界を定めることができ、上記2つの平面は、一方が周縁の上に、もう一方がショルダーの下に配置されている。次に、検査対象領域の内表面及び外表面のデジタル幾何モデルが特定され、これにより、多点においてこれら表面間のガラス厚さeの測定が可能となり、もってガラスの分布の測定値が提供される。
【0126】
図15に示されるように、少なくとも2つの別個の高さZE1、ZE2について、ZM軸に直交し、かつ0から360°に分布するいくつかの径方向の線分に沿って壁の厚さeを測定することができる。そのため、容器を回転する機械において複数の光センサによって可能となるのと同様の機能が、すなわち、1つ、2つ、3つ又は4つの異なる高さで、円周上の最小厚さを見つけることが、最小限で遂行される。
【0127】
本発明によれば、各容器の検査対象領域のデジタル幾何モデルは、内表面SI及び外表面SEを含む。したがって、外表面SEと内表面SIを結んでおり、かつ全体高さZ及び複数の方向θに渡って均一に分布する多数の線分を、複数のセンサの解像度と、各容器について計算されたデジタル幾何モデルとによって許容される限りの細かさの高さdZのピッチと角度ピッチdθとを用いて測定することにより、厚さeを特定することができる。そのため、検査領域の、それどころか容器全体の全部又は一部の厚さをマッピングすることができる。
【0128】
一つの変形実施形態によれば、上記方法は、検査対象領域に渡って最小厚さを計算し、そうでなければ「薄い区域」と呼ばれる公差閾値より小さい厚さを有する壁の関連区域を特定し、最小厚さ又は薄い区域のその区域の表面及び/又は形状に応じて容器の品質を決定することを特徴とする。
【0129】
一つの変形実施形態によれば、検査対象領域は容器のネック5の少なくとも一部に対応しており、そのため、複数の放射線画像を分析して、少なくともネックの内表面のデジタル幾何モデルが構築され、そのため、ネックの内径Dを測定することができ、これは、検査対象領域の寸法特性の測定値に対応している。
【0130】
別の変形実施形態によれば、検査対象領域は容器の本体4の少なくとも一部に対応しており、そのため、複数の放射線画像を分析して、検査された壁部分における容器の内表面及び外表面のデジタル幾何モデルが構築され、そして、デジタル幾何モデルの内表面及び外表面から、上記表面間に含まれる容器本体のガラス壁の厚さeの測定値が得られる。
【0131】
一つの好ましい変形実施形態によれば、検査対象領域は少なくともネックの一部及び容器本体の壁の一部を含んでおり、そのため、複数の放射線画像を分析して、容器の内表面及び外表面のデジタル幾何モデルが構築され、そして、デジタル幾何モデルの内表面及び外表面から、ネックの内径の及び容器本体のガラス壁の厚さの測定値が得られる。
【0132】
上述の記載から、本発明により、各容器について、ネックの少なくとも一部及び/又は各容器の本体の少なくとも一部を含む少なくとも検査対象領域に対応するデジタル幾何モデルを構築することが可能であることが分かる。既に述べた通り、デジタル幾何モデルは、容器2を構成するガラスの減衰係数を用いて構築される。
【0133】
従来の測定方法には、容器のデジタル幾何モデルの対称軸ZMに直交する複数の平面の、よって複数の水平断面の異なる複数の高さZで連続する複数の断面に応じて、各容器のデジタル幾何モデルを分析し、次にこのデジタル幾何モデルを、複数の径方向において、0から360°の間の角度θで測定方向を変えることによって分析するというものもある。言うまでもなく、同様の結果が、複数の容器の対称軸ZMと交差する複数の平面に沿った複数の断面、よって0から360°の間の複数の角度θで分布した複数の垂直断面によって取得される。
【0134】
一つの有利な変形実施形態によれば、デジタル幾何モデルはまた、検査領域の推測的幾何モデルを使用して構築され、これにより、各容器のデジタル幾何モデルの再構築計算が加速され、かつ信頼できるものになる。
【0135】
そのため、推測的幾何モデルは、複数の容器のシリーズのデジタル幾何モデルであって、検査された各容器のデジタル幾何モデルを構築するための再構築ソフトウェアの初期設定として使用される。その役割は主に、計算によってモデル化される物体の形状、構造及び寸法に関する情報をコンピュータシステムに提供することである。
【0136】
推測的情報により、
複数の放射線画像から、その推測的材料の空の画像空間の複数の領域における減衰量を、そこでは減衰量はゼロと見なされるため、モデル化しないこと、
及び/又は、
複数の放射線画像から、寸法の測定が行われる複数の表面のみを、ボクセルの特定を経ることなく任意に直接モデル化すること、
及び/又は、
複数の放射線画像からモデル化された複数の表面と、複数の理論上の理想的表面との間の偏差のみを特定すること、
が可能となる。
【0137】
複数のガラス容器の推測的幾何モデルの知見により、推測的モデルに応じた材料を含む空間の複数の領域における減衰値は、使用されたガラスの減衰値として知られているので、複数の放射線画像から特定しないことも可能である。
【0138】
ただし、このモデルは容器とは無関係に知られており、非現実的な理論上の理想を表しているので、本発明によれば、推測的幾何モデルの測定値から容器の測定値は推測されないことを理解されたい。
【0139】
そのため、推測的幾何モデルは、複数の容器のシリーズのデジタルモデルであって、再構築ソフトウェアの初期設定として使用される。
【0140】
したがって、コンピュータシステムは、この計算操作を実行するための検査対象領域の推測的幾何モデルを有している。そのため、設備1は、コンピュータシステムに、複数の容器又は複数の容器のシリーズについて、検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置を含んでいる。
【0141】
検査対象領域の推測的幾何モデルを提供するための装置は、大容量メモリ、有線若しくは無線のコンピュータネットワーク、又はマンマシンインターフェースである。
【0142】
本発明の第1の変形例によれば、推測的幾何モデルは、容器の設計(三次元CAD)中に作成された容器のコンピュータ設計のデジタルモデルによって取得される。この場合、生産で測定可能な容器の種々のモデルに対応するいくつかのCADモデルを含むデータベースへのコンピュータネットワークを介した接続などの種々の可能な手段によるコンピュータシステムに、上記設備等の内部のデータベースにおけるオペレータによる選択が提供される。
【0143】
本発明の第2の変形例によれば、推測的幾何モデルは、同じシリーズの(したがって、同じ商業モデルの)1つ又は複数の容器の測定から構築されたデジタル幾何モデルから、測定装置、例えばプローブ測定機又は体軸断層撮影装置によって取得される。推測的幾何モデルは、同じシリーズのいくつかの製造された容器の測定値を統合することによって構築することができる。
【0144】
本発明の第3の変形例によれば、推測的幾何モデルは、入力値から、及び/又はコンピュータシステムのマンマシンインターフェースでオペレータによって選択された図面及び/又は形状から、上記コンピュータシステムによって生成されたデジタル幾何モデルである。
【0145】
例えば、ネックの内側寸法を制御する場合、推測的幾何モデルを提供するために、検査領域は、少なくともネックを、よって容器のリングの上部とショルダーとの間の容器の領域を含んでいる。ネックの推測的幾何モデルは、上部及び底部の両方の直径、並びに壁の厚さが知られている単純な中空の円錐台であり得る。それはまた、例えば、外側のレリーフ、逆のリング及び含まれる丸みを有するワイン型リングの完全な幾何モデルであり得る。別の例によれば、コンピュータシステムは、そのインターフェースを介して、例えば、保存された3Dモデルによって、又は長さ、深さ及びねじ山ピッチなどのパラメータによって記述された標準化されたねじリングの一種を含む推測的モデルの技術的記述を受け取ることができる。
【0146】
同様に、容器本体のガラス分布の制御の場合、推測的幾何モデルを提供するために、検査領域は少なくとも、周縁(又はヒール)とショルダーとの間に位置付けられた検査高さに渡って延びている。本体の推測的幾何モデルは、その外径、高さ及び平均厚さのみが所定の、完全な中空円筒の単純な部分であり得る。したがって、推測的幾何モデルを提供するための手段を、外径、高さ及び厚さの値を入力すること又はデジタル送信することに限定することができる。もちろん、これらの方法は、あらゆる形状の、例えば多角形断面を持つ容器について、容易に一般化することができる。
【0147】
推測的幾何モデルは、コンピュータシステムに複数の容器のシリーズの大まかな三次元構造について知らせるために、十分な技術的、幾何学的、位相的及び/又はデジタルの情報を少なくとも含んでいなければならず、これら情報の詳細度及び精度は、複数のリニア測定について所望の精度を損なうことなく、非常に低くなり得ることを理解されたい。
【0148】
コンピュータシステムに複数の仮想ゲージ配置を設けることによって、制御を構成することが可能である。この場合、本発明に係る装置は、言うまでもなく、測定公差範囲を提供するための手段を含んでいる。
【0149】
複数の寸法及びこれらの適合性を判定するための別の手段は、検査領域のデジタル幾何モデルを、基準又は理論上の幾何モデルと比較することである。
【0150】
幾何基準モデルは、検査された複数の容器のシリーズからの理想的モデルである。寸法制御を実行するために、各容器の検査領域のデジタル幾何モデルは、複数のモデルの照合と、その後の複数のモデル間の偏差の測定とを含むアルゴリズムを使用して、複数の容器のシリーズに共通する幾何基準モデルと比較され得る。幾何基準モデルは、少なくとも複数の容器の外表面について上記CADから取得することができる。
【0151】
そのため、各容器の検査領域のデジタル幾何モデルを幾何基準モデルと照合する操作を進め、次に、上記基準モデルに属する複数の表面要素と、デジタル幾何モデルに属する複数の表面要素との間の距離を測定することによって、寸法偏差を特定することが可能である。例えば、本発明によれば、ガラス製造業者が「開口の直径」と呼ぶもの、例えば18mm+/-0.5の公差範囲で、リング表面からの所定の深さ、例えば3mmに渡って、最小及び最大直径公差によって特定されるもの、を測定することが可能である。本発明によれば、ネックの内側のモデル化された表面に内接する最大直径を有する3mm高さの第1円筒面と、同様に、モデル化された各容器の内表面を含む最小直径を有する3mm高さの第2円筒面とを仮想的に配置し、そして、各容器の開口における直径の複数の測定値として、内接した円筒面及び外接した円筒面の複数の直径を考慮することが可能であり、これらはそれぞれが公差と比較される。
【0152】
本発明の一つの変形例によれば、幾何基準モデルと推測的幾何モデルは、同じ幾何モデルである。
【0153】
本発明の別の変形例によれば、推測的幾何モデルは、幾何基準モデルよりも精度が低く、完全性が低く、及び/又は幾何基準モデルとは異なる。
【0154】
上述の記載から、コンピュータシステムにより、各容器について、少なくともネックの内径及び/又は少なくとも容器本体のガラス壁の厚さが特定されることが分かる。一般的な手法で、本発明により、複数の容器2について一連の寸法測定を遂行することが可能である。寸法制御は、実際の複数の寸法を測定することと、これら寸法を要求される複数の寸法と比較することとを含む。推測的に、1シリーズのどの容器も、要求される複数の寸法を有する理想的な基準容器に近いが、寸法変動によってそこから外れている。大まかには、複数の容器について得られる複数の測定値を、要求される複数の値、例えば品質部門により定義される複数の値と比較することが目的である。これら寸法測定値、又は要求される値からのこれら測定値の偏差は、表示、保存などができる。これらはまた、自動的に分類され得る複数の容器について適合性を判断するために使用することができる。
【0155】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域の複数のリニア測定の値、及び/又は複数の基準値からの寸法偏差を表示するための装置に接続されている。例えば、本発明に係る設備は、検査領域の複数の放射線画像、及び測定された複数の寸法を視覚化するための画面を含んでいてもよい。
【0156】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、コンピュータシステムは、検査対象領域のリニア測定に応じて複数の容器を分類するための装置に接続されている。そのため、この分類装置は、測定された複数の直線寸法を考慮して、欠陥があると考えられる容器を輸送装置から取り出すことができる。
【0157】
もちろん、焦点Fjと複数のイメージセンサCjiとの相対位置は様々であるが、焦点Fj及び複数のイメージセンサCjiは、搬送体積Vtの外側に配置されることを想起されたい。
【0158】
一つの変形実施形態によれば、設備1は、搬送体積Vtの一方の側に沿って配置された単一焦点Fj=F1と、焦点F1から発せられ、かつ検査対象領域を通り抜けたX線を受け取るように搬送体積Vtの反対側に沿って配置された一連のイメージセンサCji=C1i=C11、C12、C13、…とを含む。この例では、上記焦点は、少なくとも、例えば
図1の平面X、Yのような任意の平面で測定される開きOfを有しており、開きOfは、120°に等しいかそれよりも大きい。上記設備が、上記焦点と上記体積Vtとの間に、又は上記体積Vtと上記複数のイメージセンサとの間に、広がりを減らす目的でビームを有効なビームのみに制限するための複数のスクリーンを備える場合、この開きOfは、上記焦点の出口にあるとみなされる。
【0159】
別の変形実施形態によれば、X線を生成するための少なくとも2つの焦点Fj(F1及びF2)は、2つの異なる位置に別々に配置され、X線に感度を持つ少なくとも3つのイメージセンサCjiは、各焦点が少なくとも1つのイメージセンサCjiに関連付けられ、かつ各イメージセンサCjiが1つの焦点に関連付けられ、そして上記焦点から得られるとともに検査対象領域を通り抜けるX線を受け取るように置かれる。この例では、2つの焦点の開きの合計が120°以上になるように、各焦点は60°以上の開きを有する。
【0160】
図5から7に示される例示的実施形態では、設備1は、それぞれが別個の発生管12に関連付けられた3つの焦点F1、F2、F3を含む。設備1はまた、第1の関連付けられた焦点F1から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、第2の関連付けられた焦点F2からのX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25と、第3の関連付けられた焦点F3からのX線にそれぞれ感度を持つ3つのイメージセンサC31、C32、C33とを含む。
【0161】
この例示的実施形態によれば、上記設備は、少なくとも1つの焦点(この例では、2つの焦点F1及びF2)を含み、上記焦点のそれぞれから、発散X線ビームが得られる。少なくとも1つの焦点(この例では、2つの焦点F1及びF2)は、各ビームが交差平面Ps及び検査対象領域を通り抜けるように、交差平面Psの一方の側に配置される一方で、焦点Fjと関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCjiは、焦点Fjから得られるX線を受け取るように、交差平面Psに対して反対側に配置される。(この例において、それらは、関連付けられた焦点F1から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC11、C12、C13、C14及びC15と、関連付けられた焦点F2から得られるX線にそれぞれ感度を持つ5つのイメージセンサC21、C22、C23、C24及びC25である。)もちろん、複数の関連付けられたイメージセンサが、交差平面Psの両側に配置されるように、交差平面Psの一方の側に1つの焦点を、交差平面Psの他方の側に別の焦点を有するように設けることもできる。
【0162】
図5から7に示される一つの有利な変形実施形態によれば、発散X線ビームが得られる焦点Fjは、そのビームが搬送平面Pcを通り抜けるように搬送平面Pcの一方の側に配置される一方で、上記焦点から得られるX線を受け取るように、焦点Fjに関連付けられた少なくとも1つのイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに対して反対側に配置される。図示された例では、焦点F3が搬送平面Pcの上方に配置されている一方で、3つのイメージセンサC31、C32、C33は搬送平面Pcの下方に配置されている。もちろん、上記焦点と上記複数のイメージセンサの間の位置は、搬送平面に対して逆にすることができる。
【0163】
一つの有利な変形実施形態によれば、複数の焦点Fjの少なくとも1つが、搬送平面Pcに配置される。好ましくは、これら複数の焦点は、交差平面Psに対して反対側に位置付けられた複数の関連付けられたイメージセンサと連携しており、したがって、平らなコンベヤ上に配置された複数の容器を輸送する場合、この配置により、複数の放射線画像において、複数の容器の複数の照射が、コンベヤの照射に重複しないようにすることが可能となる。そのため、複数の容器のデジタル幾何モデルにおいて、容器がコンベヤと接触する部分を正確に特定することができる。
【0164】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、複数のイメージセンサCji及び複数の焦点の配置は、焦点又は複数の焦点Fjから得られるとともに複数のイメージセンサCjiに到達するX線が、一度に1つの検査対象領域だけを通り抜けるようになっている。換言すると、X線は、一度に1つの容器だけを通り抜ける。上記設備は、例えば、複数の容器と横方向で接触するねじ又はベルトのように、連続して走行する複数の容器間の間隔を制御するためのシステムを含んでいてもよいことに注意すべきである。
【0165】
本発明の目的の一つは、迅速であるだけでなく、安価であって、寸法制御に要求される精度で計算することが可能な方法を得ることである。本発明は、再構築のために必要とされる画像の数を、所望の寸法精度を達成することを可能にする最小の数まで減らすことを意図している。例えば、本発明により、検査領域の9つの照射及び限られた数の画像を用いて、+/-0.05mmで円筒の内径を測定することが可能である。有利には、本発明に係る設備は、1つから4つの焦点Fj、好ましくは1つ又は2つの焦点Fjと、好ましくは4つから15のイメージセンサCjiとを含む。
【0166】
本発明によれば、少なくとも3つの照射方向の組み合わせにより、検査領域のデジタル幾何モデルの特定が最適化されるように、複数の容器の循環のために通過された体積Vtを空けておく必要があることを考慮して、複数のイメージセンサ及び焦点又は複数の焦点を配置する必要がある。
【0167】
以下の規則は、本発明の文脈において有利に実行されるものであって、これら規則は、リニアイメージセンサ又はマトリクスイメージセンサに有効である。
【0168】
以下において、角度は絶対値である。
図8及び9は、ベクトルでもある2つの照射方向Dji及びD’jiを示している。これらの図は、これら2つの照射方向の間の角度r、すなわち
【数4】
と、角度rに相補的な角度sとを示しており、すなわちs=180°-rである。定義によって、2つの異なる照射方向Dji及びD’jiの間の有効角度αは、角度r及びsの最小値であり、すなわちα=Min(r,s)である。そのため、有効角度αは、照射方向Dji、D’jiを伝える2つの直線によって形成され、かつ検査領域における任意の点に戻される複数の角度のうちの最小値である。
【0169】
本発明の一つの有利な変形例によれば、その間に45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αが形成される2つの異なる方向Dji及びD’jiにおいて、各容器について、2つの放射線照射から得られる少なくとも2つの画像が取得される。一つの有利な変形実施形態によれば、その間に60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αがなされる2つの異なる方向において、各容器について、2つの放射線照射から得られる少なくとも2つの画像が取得される。
【0170】
この目的のために、本発明に係る設備1は、少なくとも1つの焦点及び2つのイメージセンサを含み、これらが受け取る検査領域の複数の照射方向が、その間に45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の、有利には60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満の有効角度αを有するように配置される。
【0171】
例えば、
図5に示されるように、方向D15とD11との間、及び方向D13とD25との間の有効角度αは、45°より大きい。言うまでもなく、少なくとも1つの有効角度は45°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満であり、有利には、少なくとも1つの有効角度は60°に等しいかそれより大きく90°に等しいかそれ未満であり、2つの方向Djiの間の他の複数の有効角度は任意であることを理解されたい。この規則に基づいて、当業者は、検査領域の複数の照射方向の可能な限り完全な分布を提供する配置を見つけることができるであろう。
【0172】
別の有利な特徴によれば、各容器について、コンピュータシステムは、移動方向Tと特定の開き角度βをなす照射方向に対応する検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得する。
【0173】
図10及び11に示されるように、照射方向(ベクトルDji)と複数の容器の軌道(ベクトルT)との間の角度pが考慮されるところ、角度p=(Dji,T)であり、つまり
図10に示される例においてp=(D11,T)かつp=(D12,T)であり、
図11に示される例においてp=(D22,T)かつp=(D11,T)である。角度pに相補的な角度qは、q=180°-pであるようになっている。定義により、照射方向Djiと軌道Tとの間の開き角度βは、角度p及びqの最小値であり、すなわちβ=Min(p,q)である。そのため、開き角度βは、2つの直線によって形成され、かつ検査領域における任意の点に戻される複数の角度のうちの最小値であって、上記2つの直線は、一方が照射方向Djiを伝え、他方が軌道Tを伝える。
【0174】
別の有利な特徴によれば、各容器について、コンピュータシステムは、移動方向Tと10°から60°の間の開き角度βを有する照射方向Djiに対応する検査領域の少なくとも1つの放射線画像を取得する。換言すると、本発明に係る設備は、容器が複数のイメージセンサの被写界を通過するとき、イメージセンサCji上の検査領域の照射方向Djiが、移動方向Tと10°から60°の間の開き角度βをなすように配置される少なくとも1つの焦点及び1つのイメージセンサCjiを含む。
【0175】
換言すると、設備1の構成は、複数の容器に適応した通過された体積Vt及び再構築の良好な質を維持しながら、移動方向において自身のサイズを低減するように最適化されている。
【0176】
通過された体積Vtのせいで、上記設備は移動方向Tの周囲に照射を生成しない。通過された体積Vtは最小のベータ角を与える。本発明によれば、βmin=10°である。10°未満の角度βの照射を提供するように配置されたセンサはない。
【0177】
以上のことから、本発明によれば、各容器についての照射角の分布が均一ではないということが推測されなければならない。
【0178】
図9に示されるように、照射角の分布には、盲点領域と呼ばれる2×10°又は20°の隔たりがあり、180°に渡って完全にカバーしているのではない。
【0179】
例えば、
図10に示されるように、本発明に係る設備は、少なくとも1つの焦点F1及び2つのイメージセンサC11、C12を含み、照射方向D11、D12は、移動方向Tとの角度であって、角度p及びqにそれぞれ対応する10°から60°の間の開き角度βで定義される。
図11に示される例では、上記設備は少なくとも、焦点F1に関連付けられたイメージセンサC11と、焦点F2に関連付けられたイメージセンサC22とを含む。照射方向D11、D22は、10°から60°の間の、角度pに対応する開き角度βを定義する。同様に、
図5に示される設備は、焦点F1及び照射方向D11に関連付けられたイメージセンサC11を含み、照射方向D11は、移動方向Tに対して、10°から60°の間の角度βをなす。
【0180】
複数のイメージセンサCjiは、マトリクス又はリニアタイプである。
【0181】
一つの好ましい変形実施形態によれば、設備1は複数のリニアイメージセンサを含む。この好ましい変形例によれば、各イメージセンサCjiは、関連付けられた焦点Fjと、照射方向Djiを含む照射平面Pjiとで定義される支持直線Ljiに沿って分布する複数のX線感応素子の直線配列を含む(
図2)。これらイメージセンサCjiは、各イメージセンサの少なくともm個の感応素子が、関連付けられた焦点Fjから得られるX線ビームによって、検査対象領域の放射線照射を、互いに異なりかつ搬送平面Pcに平行でない、個々のイメージセンサについての複数の照射平面Pjiで受け取るように配置されている。各リニアイメージセンサの感応素子の数mは、128より大きく、好ましくは512より大きい。隣接する感応素子間の距離(「ピッチ」と呼ばれる)及び/又は感応素子の寸法は、好ましくは800μmよりも小さい。画像の列の読み取り周波数は、好ましくは100Hzよりも大きく、有利には1kHzよりも大きい。もちろん、これらパラメータは、容器のサイズ、所望の精度及び走行速度に応じて調整される。
【0182】
一つの有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニアイメージセンサCjiは、互いに平行な自身の支持直線Ljiを有する。
【0183】
別の有利な実施形態の特徴によれば、少なくとも3つのリニアイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに直交する自身の支持直線Ljiを有する。
【0184】
一つの変形例によれば、焦点Fjは、そのビームが検査領域を、次に搬送平面Pcを通り抜けるように配置される。加えて、少なくとも1つの関連付けられたリニアイメージセンサCjiは、搬送平面Pcに対して焦点Fjの反対側に、そして、その支持直線Ljiが搬送平面Pcと平行になるように配置される。
【0185】
複数のリニアイメージセンサを用いたこれらの変形実施形態によれば、取得システムは、少なくとも3つのイメージセンサCjiのそれぞれを使用して、軌道上の各容器の各増分変位で、各容器について検査対象領域全体が全ての線形放射線画像において完全に表されるように選択された数に従って検査対象領域の複数の放射線線形画像を取得する。そのため、容器の移動中に、各イメージセンサは、容器の検査対象領域全体がイメージセンサから得られる全ての線形放射線画像において完全に表されるように、複数の線形放射線画像を取得することができる。そのため、各容器について、検査対象領域の複数の線形放射線画像の少なくとも3組が得られ、これらはその後分析される。検査領域の複数のマトリクス放射線画像は、複数の線形放射線画像の複数の組を並置することにより作成することができる。ただし、幾何モデルの再構築及び測定は、必ずしもそれを強いるものではない。
【0186】
通過された体積Vtを考慮に入れると、移動方向Tの両側に位置付けられた盲点領域(β<±10°)において放射線照射が得られないことに注意すべきである。本発明に係る方法により、この角度間隔における放射線照射がないにもかかわらず、推測的幾何モデルのおかげで、容器の正確かつ完全なデジタル幾何モデルを再構築することが可能となる。そのため、デジタル幾何モデル全体に渡って、特に、あり得る複数の照射方向に直交しない複数の方向に沿って、直線寸法の測定を実行することが可能となり、直線寸法の測定には、移動方向Tの両側に位置付けられた盲点領域に対応する欠落した複数の照射の方向に直交する複数の測定方向における直線寸法の測定が含まれる。実際、本発明に係る方法を用いずに、例えば従来の「完全な」体軸断層撮影を対象とした方法を用いると、盲点領域の複数の方向において放射線照射が得られない場合、再構築されたモデルもまた盲点領域に直交する角度セクタにおいて再構築エラーを有し、これにより、表面を正確に特定することが不可能になり、したがって、容器の直線寸法の測定が不可能になる。
【0187】
増分変位とは、2つの連続する画像の取得間で、容器によって実行される変位である。複数の容器の所定の走行速度について、増分変位は、複数のイメージセンサの読み取り速度によって下方に制限される。このパラメータは、複数のリニアイメージセンサの垂直解像度と(又は複数のマトリクスイメージセンサの水平及び垂直解像度と)組み合わされており、デジタル幾何モデルの複数の測定点の密度を、最終的には、検査対象領域の寸法特性の空間解像度及び測定精度を調整する。例えば、増分変位は、0.5mm未満、好ましくは0.2mm未満であってよく、これは、複数の容器の1mmの移動中に複数のイメージセンサが5回読み取られることを意味する。
【0188】
もちろん、焦点の数、各焦点に関連付けられたイメージセンサの数、及びそれらの相対的な配置は、所望の測定精度、容器の形状、及びコンベヤ上のそれらの間隔に応じて、任意の適切な方式で選択される。
【0189】
本発明により、異なる方向の少なくとも3つのX線照射によって、また、最適で高速でかつ十分に正確な計算手段によって、単一材料の特性のおかげで、さらにまた、複数の容器の大まかな形状の推測的知見によって、高速かつ非接触で、走行する複数のガラス容器の(寸法制御のための)寸法測定が可能となる。
【0190】
ガラス製品では、異なる複数の容器のいくつかのシリーズが同時に同じ制御ライン上に存在する場合があることに注意すべきである。本発明に係る設備は、いくつかの異なるシリーズ、例えば第1のシリーズ及び第2のシリーズから構成される複数の容器のフローを検査するために使用され得る。この場合、上記設備は、本発明の方法を同じシリーズの全ての容器に実施するために、複数の容器それぞれが属するシリーズをコンピュータシステムに示すためのシステムを含む。換言すると、上記設備には、各容器シリーズの推測的幾何モデルをコンピュータシステムに提供するための手段が設けられ、コンピュータシステムは、各容器の複数の放射線画像を、それが属するシリーズに関連付けるように構成されている。
【0191】
本発明は、記載及び図示された例に限定されることなく、その範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。