IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ ビジョンの特許一覧

特許7234257少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置
<>
  • 特許-少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置 図1
  • 特許-少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置 図2
  • 特許-少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置 図3
  • 特許-少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】少なくとも1つのピクセル化光源を有する車両用の照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/663 20180101AFI20230228BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20230228BHJP
   F21S 41/155 20180101ALI20230228BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230228BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20230228BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230228BHJP
   F21W 102/145 20180101ALN20230228BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20230228BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230228BHJP
【FI】
F21S41/663
F21S41/153
F21S41/155
F21S41/143
F21Y115:20
F21Y115:15
F21W102:145
F21W102:19
F21Y115:10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020554220
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019058429
(87)【国際公開番号】W WO2019193066
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】1852897
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン、ロエル
(72)【発明者】
【氏名】マリー、ペラリン
(72)【発明者】
【氏名】ソフィ、クラード
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0264824(US,A1)
【文献】特開2009-272307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/663
F21S 41/153
F21S 41/155
F21S 41/143
F21Y 115/20
F21Y 115/15
F21W 102/145
F21W 102/19
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つの第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(21)を備えた第1照明モジュール(2)であって、第1解像度と第1水平方向角度幅とを有する第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)を生成可能である第1照明モジュール(2)と、
- 第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(31)を備えた第2照明モジュール(3)であって、前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)の角度幅より小さい角度幅と前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB)の解像度より高い解像度とを有する第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)を生成可能である第2照明モジュール(3)と
を備え
前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)が、少なくとも4°に等しい鉛直方向幅と少なくとも25°に等しい水平方向幅とを有するように、前記第1照明モジュール(2)は構成されている、自動車両用の照明装置(1)。
【請求項2】
前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)および前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)のそれぞれが少なくとも400個のピクセルを有するように、前記第1照明モジュール(2)および前記第2照明モジュール(3)は各々構成されている、請求項1に記載の照明装置(1)。
【請求項3】
前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)の各ピクセルが、1°より小さいか1°に等しい、好適には0.5°より小さいか0.5°に等しい横幅および/または高さを有するように、前記第1照明モジュール(2)は構成されている、請求項1または2に記載の照明装置(1)。
【請求項4】
前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)の各ピクセルが、0.5°より小さいか0.5°に等しい、好適には0.3°より小さいか0.3°に等しい横幅および/または高さを有するように、前記第2照明モジュール(3)は構成されている、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項5】
前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)が、少なくとも2°に等しく最大で6°に等しい鉛直方向幅と、少なくとも8°に等しく最大で20°に等しい水平方向幅とを有するように、前記第2照明モジュール(3)は構成されている、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項6】
前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)と前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)とが少なくとも部分的に重なるように、前記照明装置(1)は構成されている、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項7】
前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)と前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)とが並置されるように、前記照明装置(1)は構成されている、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(21)および前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(31)は、同一サイズの発光面を有する基本エミッタを有し、前記第1照明モジュール(2)は第1光学投影システム(22)を更に備えるとともに、前記第2照明モジュール(3)は第2光学投影システム(32)を備え、前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)の解像度が前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)の解像度より高くなるように、前記第2光学投影システム(32)の倍率は、前記第1光学投影システム(22)の倍率より小さい、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項9】
前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(31)は基本エミッタを有し、前記基本エミッタの発光面は、前記第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(21)のものたちの(基本エミッタ)のもの(発光面)よりサイズが小さく、前記第1照明モジュール(2)は第1光学投影システム(22)を更に備えるとともに、前記第2照明モジュール(3)は第2光学投影システム(32)を備え、前記第2ピクセル化部分ハイビーム(HB2)の解像度が前記第1ピクセル化部分ハイビーム(HB1)の解像度より高くなるように、前記第2光学投影システムの倍率は、前記第1光学投影システム(22)の倍率に等しいかこれより小さい、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項10】
前記第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(21)および/または前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源(31)は矩形の発光面を有する、請求項1からのうちのいずれか一項に記載の照明装置(1)。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの照明装置(1)を備えた自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピクセル化された光線(ピクセル化光線)を投射するための、少なくとも1つのピクセル化光源を有するヘッドライトまたはライトタイプの自動車両用照明装置、特に照明および/または信号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような自動車両用照明装置の分野における近年の開発により、照明装置に追加機能を設けることができるようになった。
【0003】
これにより、照明装置が局所的な照明機能を発揮し得るピクセル化光線を生成することができる。例えば、パターンをシーンに投影することができる。このような機能は、アダプティブ照明、または「アダプティブ・ドライビング・ビーム」の頭文字であるADBの分野から知られている。グレアのないハイビームの形態での照明は、例えば、対向車に対応する領域を暗くしてこの他方のユーザを眩惑させないようにすると同時に、追い越すまたは後ろに続く車両の周囲を照明することからなることが知られている。また、ベンディング照明機能、またはDBL(「ダイナミック・ベンディング・ライト」の頭文字)も知られている。これは、例えばカーブや道路の交差点において車両が直進するのでない場合、シーンの照明領域を変更する機能である。
【0004】
このようなピクセル化ビームを生成するために、DMDやLCDスクリーン等の種々の技術が提案されている。しかしながら、それらのコストは現在でも非常に高く、大量流通が妨げられている。また、特許文献EP2772682号に開示されるように、照明の点で効率が依然として限定されており、広いピクセル化照明領域を提供するには、これらの技術を備えたモジュールの個数を増やす必要がある。
【0005】
したがって、照明装置の価格を下げるように、例えば、特許文献EP2772682号は、ピクセル化ビームを、十分な範囲のハイビームをもたらす相補的な非ピクセル化ビームと組み合わせることにより、ピクセル化ビームを限定された範囲に制限することを提案している。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、既知の解決策より経済的でありながらも、大きい水平方向範囲および高い解像度を有すると同時に十分な最大強度を有するピクセル化ハイビームを生成する自動車両用の照明装置を提案することである。
【0007】
この点において、本発明の第1の主題は、
‐ 少なくとも1つの第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源を備えた第1モジュールであって、第1解像度と第1水平方向角度幅とを有する第1ピクセル化部分ハイビームを生成可能である第1モジュールと、
‐ 第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源を備えた第2モジュールであって、前記第1ピクセル化部分ハイビームのものより小さい角度幅と前記第1ピクセル化第1部分ハイビームのものより高い解像度とを有する第2ピクセル化部分ハイビームを生成可能である第2モジュールと、
を備えた自動車両用の照明装置である。
【0008】
ピクセル化エレクトロルミネセンス光源を持つ2つのモジュールを有するとともに異なる解像度を有するこのような構成により、ピクセル化ハイビームが、十分な範囲に亘って、且つビームの一部において高い解像度を維持しつつ得られることを理解されたい。ビームの一部とは、具体的には、水平方向軸と鉛直方向軸との交点にある中央部分であって、1995年以降の全てのバージョンの規制、特にR112ECEにおいて定義されたハイビームの最大強度に対応する中央部分である。
【0009】
また、このような解決策は、DMDまたはLCD部品と比較して特に経済的である。
【0010】
第1および第2のピクセル化ビームの解像度は、これらのビームの幅に対する、ビームを形成するピクセルの個数および寸法により推定され得る。
【0011】
好適には、前記第1ピクセル化部分ハイビームおよび前記第2ピクセル化部分ハイビームのそれぞれが少なくとも400個のピクセルを有するように、前記第1照明モジュールおよび前記第2照明モジュールは各々構成される。
【0012】
一実施形態において、第1ピクセル化部分ハイビームが少なくとも400個のピクセル、更にまたは少なくとも1000個のピクセル、更にまたは少なくとも2000個のピクセルを有するように、第1照明モジュールは構成され得る。この第1ピクセル化ビームは、例えば、20列および20行のピクセル、特に32列および32行のピクセルを備え得る。有利には、第1ピクセル部分ハイビームは行より列が多く、このため、照明装置から25mの測定スクリーンに投影された場合、高さより幅においてより広範囲に延びる。
【0013】
有利には、前記第1ピクセル化部分ハイビームの各ピクセルが、1°以下の(1°より小さいか1°に等しい)横幅および/または高さ、特に0.5°以下の(0.5°より小さいか0.5°に等しい)横幅および/または高さを有するように、前記第1モジュールは構成され得る。
【0014】
また有利には、前記第1ピクセル化部分ハイビームが少なくとも4°に等しい、好適には9°までの鉛直方向幅と、少なくとも25°に等しい、好適には50°までの水平方向幅とを有するように、前記第1照明モジュールは構成され得る。
【0015】
有利には、前記第2ピクセル化部分ハイビームの各ピクセルが、0.5°以下(0.5°より小さいか0.5°に等しい)、好適には0.3°以下の(0.3°より小さいか0.3°に等しい)横幅および/または高さを有するように、前記第2照明モジュールは構成される。
【0016】
また有利には、前記第2ピクセル化部分ハイビームが、少なくとも2°に等しく最大で6°に等しい鉛直方向幅と、少なくとも8°に等しく最大で20°に等しい、好適には12°の水平方向幅とを有するように、前記第2照明モジュールは構成される。
【0017】
例えば、前記第1モジュールおよび前記第2モジュールのそれぞれは、
‐ マトリックスアレイに配置された複数の基本エミッタであって、それぞれが基本光ビームを発光するように選択的に作動され得る基本エミッタを備えたピクセル化エレクトロルミネセンス光源と、
‐ ピクセルの形態において前記基本光ビームのそれぞれを投射するための、前記光源に関連付けられた光学投影システムであって、ピクセルのセットが前記ピクセル化ビームを形成する光学投影システムと、
を備える。
【0018】
有利には、ピクセル化ビームが、少なくとも2°に等しい鉛直方向幅と、少なくとも8°に等しい水平方向幅とを有するように、前記光学投影システムは構成される。これらの水平方向および鉛直方向幅により、ピクセル化ビームが、このピクセル化ビームにパターンを投影することによって道路の領域に投影されることが保証される。この道路の領域は、道路上で書写機能、具体的には地上マーク表示機能、運転支援機能、およびGPS情報投影機能、また更には光ビームのピクセル化を必要とするアダプティブ照明機能や特にグレアのないハイビーム機能、ダイナミックベンディング機能を実行するのに十分な大きさである。したがって、光学投影システムは、以下の光学部品、すなわち、レンズ、リフレクタ、ガイド、コリメータ、プリズムのうちの1つ、またはこれらの組み合わせを備え得る。
【0019】
必要に応じて、ピクセル化光源は、少なくとも20列および20行の基本エミッタ、特に少なくとも32の行および列の基本エミッタを備え得る。基本エミッタのこれらの最小列数および行数と、上述の鉛直方向および水平方向幅とを組み合わせることにより、1°以下(1°より小さいか1°に等しい)、または更に0.3°以下(0.3°より小さいか0.3°に等しい)の開口角を、各基本光ビームについて、これらのビームが光学投影システムにより投影されたときに得ることができる。このようにして、ピクセル化ビームが道路に投影されたとき、その高い解像度が得られる。これにより、道路の使用者および/またはこのように装備された車両のドライバーは、確実にピクセル化ビームに投影された前記パターンを良好に知覚できる。
【0020】
有利には、2つの隣り合うピクセル、すなわち同一行または同一列上の2つの隣接するピクセルが連続するように、すなわちそれらの隣接する縁部同士が一致するように、基本エミッタと光学投影システムは構成される。
【0021】
本発明の第1実施形態によれば、前記第1ピクセル化部分ハイビームと前記第2ピクセル化部分ハイビームとが少なくとも部分的に重なるように、前記照明装置は構成される。
【0022】
1つの代替的な実施形態によれば、前記第1ピクセル化部分ハイビームと前記第2ピクセル化部分ハイビームとが並置されるように、前記照明装置は構成される。
【0023】
本発明の一実施形態において、ピクセル化エレクトロルミネセンス光源は、エレクトロルミネセンス源からなるマトリックスアレイ(「ソリッドステート光源」と称される)である。ピクセル化エレクトロルミネセンス源は、少なくとも2列および2行のマトリックスアレイに配置された複数のエレクトロルミネセンス素子を備える。エレクトロルミネセンス素子の例には、発光ダイオードすなわちLED、有機発光ダイオードすなわちOLED、またはポリマー発光ダイオードすなわちPLED、または更にマイクロLEDが含まれる。
【0024】
本発明の1つの好適な実施形態において、第1モジュールおよび/または第2モジュールからなるピクセル化エレクトロルミネセンス光源は、少なくとも2列×少なくとも2行に配置されたエレクロトルミネセンス素子の少なくとも1つのマトリックスアレイ(モノリシックアレイと称される)を備える。好適には、エレクトロルミネセンス源は、モノリシックマトリックスアレイとも称される、エレクトロルミネセンス素子のモノリシックマトリックスアレイからなる少なくとも1つのマトリックスアレイを備える。
【0025】
モノリシックマトリックスアレイにおいて、エレクトロルミネセンス素子は、共通の基板から成長し、選択的に、個別に、またはエレクトロルミネセンス素子のサブセット毎に作動され得るように電気的に接続される。したがって、各エレクトロルミネセンス素子またはエレクトロルミネセンス素子のグループは、その材料に電気を供給されると光を発光することができる前記ピクセル化光源の基本エミッタのうちの1つを形成し得る。
【0026】
エレクトロルミネセンス素子の種々の構成は、モノリシックマトリックスアレイの当該定義を満たし得る。但し、エレクトロルミネセンス素子が共通の基板に対して実質的に垂直な主延在寸法のうちの1つを有し、且つ、単数の、または電気的にグループ化された複数のエレクトロルミネセンス素子により形成される基本エミッタ同士の間の間隔が、印刷回路基板にはんだ付けされた平坦な正方形チップの既知の構成に与えられた間隔と比較して小さいことを条件とする。
【0027】
基板は、主として半導体材料から作製され得る。基板は、単数または複数の更なる材料、例えば、非半導体材料を含み得る。
【0028】
1ミリメートル未満寸法のこれらのエレクトロルミネセンス素子は、例えば、六角形の断面のロッドを形成するように基板から突出して配置される。エレクトロルミネセンスロッドは、基板の第1面上で生じる。本例において窒化ガリウム(GaN)を使用して形成された各エレクトロルミネセンスロッドは、本例においてシリコンや、本発明の文脈から逸脱することなく使用可能な他の材料、例えば炭化珪素から製造された基板から突出して、垂直または実質的に垂直に延びる。例示として、エレクトロルミネセンスロッドは、窒化アルミニウムおよび窒化ガリウムの合金(AlGaN)から、またはアルミニウム、インジウム、およびリン化ガリウムの合金(AlInGaP)から製造され得る。各エレクトロルミネセンスロッドは、各ロッドの基部が基板の上面の平面に配置された状態で、その高さを規定する長手方向軸に沿って延びている。
【0029】
同一のモノリシックマトリックスアレイのエレクトロルミネセンスロッドは、有利には同一形状および同一寸法を有する。それらは、端面、およびロッドの伸長軸に沿って延びる周壁によりそれぞれ画定されている。エレクトロルミネセンスロッドをドーピングして偏光処理すると、半導体源の出力部で得られる光は、主に周壁から発光する。光線は、端面からも出射し得ることを理解されたい。この結果、各エレクトロルミネセンスロッドは、単一の発光ダイオードとして機能するとともに、この源の光出力は、第一に存在するエレクトロルミネセントロッドの密度によって向上し、第二に周壁により規定される照明面であって、ロッドの全周および全高に亘って延びる照明面のサイズによって向上する。ロッドの高さは、2μmと10μmとの間、好適には8μmである。ロッドの端面の最大寸法は、2μm未満、好適には1μm以下(1μmより小さいか1μmに等しい)である。
【0030】
エレクトロルミネセンスロッドを形成する際、ピクセル化光源の或る領域と別の領域との間で、対応する領域の輝度をこれを形成するロッドの平均高さを増加させることで高くするように、高さを変更できることを理解されたい。したがって、1ミリメートル未満寸法のエレクトロルミネセンスロッドを含む同一の半導体光源を形成している2つのグループにおいて、或るグループのエレクトロルミネセンスロッドは、別のグループのエレクトロルミネセンスロッドとは異なる単数または複数の高さを有し得る。また、エレクトロルミネセンスロッドの形状は、或るモノリシックマトリックスアレイと別のものとの間で、特にロッドの断面に亘って、および端面の形状に亘って変化し得る。ロッドは、全体として円筒形であるが、特に多角形の、より具体的には六角形の断面を有し得る。周壁を通過して発光可能である光にとって、周壁が多角形また円形の形状を有することが重要であることを理解されたい。
【0031】
更に、端面は、実質的に平面的であるとともに周壁に対して垂直な形状を有し得る。これにより、端面は、基板の上面と実質的に平行に延びる。或いは、端面から出射する光の発光方向を増加させるように、端面は、中央において湾曲した、または尖った形状を有し得る。
【0032】
エレクトロルミネセンスロッドは、二次元のマトリックスアレイに配置されている。この構成は、ロッドが五の目型に配置されるようなものであり得る。一般に、ロッドは、基板上に一定の間隔で配置される。マトリックスアレイの各寸法において、2つの隣接するエレクトロルミネセントロッドの離間距離は、少なくとも2μmに等しい、好適には3μmと10μmとの間であるべきである。これにより、各ロッドの周壁を通過して発光する光が、エレクトロルミネセンスロッドのマトリックスアレイから出射することができる。更に、隣接するロッドの2つの伸長軸の間で測定されるこのような離間距離は、100μmを超えないことが想定される。
【0033】
別の実施形態によれば、モノリシックマトリックスアレイは、例えば炭化珪素から作製された単一の基板であって、(研削および/またはアブレーションにより)スライスされて同一基板からそれぞれ生じる複数の基本エミッタを形成する基板上のエピタキシャルエレクトロルミネセンス素子の層、具体的には、nドープGaNの第1層およびpドープGaNの第2層によって形成されたエレクトロルミネセンス素子を備え得る。このような設計の結果として、同一基板から全て生じる複数のエレクトロルミネセンスブロックであって、互いに選択的に作動され得るように電気的に接続されたエレクトロルミネセンスブロックが得られる。
【0034】
このような他の実施形態による1つの例示的な実施形態において、モノリシックマトリックスアレイからなる基板は、100μmと800μmとの間、特に200μmに等しい厚さを有し得る。各ブロックは、それぞれ50μmと500μmとの間、好適には100μmと200μmとの間である幅および幅を有し得る。一変形例において、長さと幅とは等しい。各ブロックの高さは、500μm未満、好適には300μm未満である。最後に、各ブロックの出射面は、基板のエピタキシーの反対側を介して形成され得る。2つの基本エミッタの間の離間距離。各連続する基本エミッタ間の距離は、1μm未満、特に500μm未満であり得るが、好適には200μm未満である。
【0035】
上述のように同一の基板から延びてそれぞれ突出するエレクトロルミネセントロッドと、同一の基板に重ねられたエレクトロルミネセンス層をスライスすることにより得たエレクトロルミネセンスブロックとの両方を有する図示しない別の実施形態によれば、モノリシックマトリックスアレイは、エレクトロルミネセンス素子が少なくとも部分的に埋め込まれたポリマー材料からなる層を更に備え得る。したがって、層は、基板の全範囲に亘って、またはエレクトロルミネセンス素子の所与のグループの周囲にのみ延び得る。特にシリコーンベースであり得るポリマー材料は、光線の拡散を損なうことなくエレクトロルミネセンス素子を保護可能な保護層を形成する。更に、ポリマー材料からなるこの層に、素子の1つにより発光された光線の少なくとも一部を吸収可能であるとともに、前記吸収された励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を有する発光光に変換可能である波長変換手段、例えば発光団を組み込むこともできる。同様に、発光団をポリマー材料の塊に埋め込む、または更にこのポリマー材料からなる層の表面に配置することも想定される。
【0036】
ピクセル化光源は、光線を光源の出射面に偏向させる反射材料のコーティングを更に備え得る。
【0037】
1ミリメートル未満寸法のエレクトロルミネセンス素子は、基板に実質的に平行な平面に所与の出射面を規定する。この出射面の形状は、これを形成するエレクトロルミネセンス素子の個数および配置に応じて定義されることを理解されたい。したがって、実質的に矩形の発光面を規定することができる。発光面は、本発明の文脈から逸脱することなく変更可能であって任意の形状を採り得ることを理解されたい。
【0038】
発光可能な単数または複数のモノリシックマトリックスアレイは、制御ユニットに連結され得る。制御ユニットは、単数または複数のマトリックスアレイに取り付けられ得る。したがって、この組み合わせ体は、照明サブモジュールを形成する。本例において、制御ユニットは、メモリに連結された中央処理ユニットを備え得る。メモリには、プロセッサに光源を制御するための信号を生成するステップを実施させる命令を含むコンピュータプログラムが格納されている。制御ユニットは、集積回路、例えばASIC(「特定用途向け集積回路」の頭文字)またはASSP(「特定用途向け標準製品」の頭文字)であり得る。
【0039】
本発明の第1変形実施形態によれば、前記第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源および前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源は、同一サイズの発光面を有する基本エミッタを有する。前記第1モジュールは第1光学投影システムを更に備えるとともに、前記第2モジュールは第2光学投影システムを備える。前記第2ピクセル化部分ハイビームの解像度が前記第1ピクセル化部分ハイビームのものより高くなるように、前記第2光学投影システムの倍率は、前記第1光学投影システムのものより小さい。
【0040】
前述のものに代わる第2変形例によれば、前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源は基本エミッタを有し、前記基本エミッタの発光面は、前記第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源のものたちのものよりサイズが小さい。前記第1モジュールは第1光学投影システムを更に備えるとともに、前記第2モジュールは第2光学投影システムを備える。前記第2ピクセル化部分ハイビームの解像度が前記第1ピクセル化部分ハイビームのものより高くなるように、前記第2光学投影システムの倍率は、前記第1光学投影システムのものに等しいかこれより小さい。
【0041】
本発明の1つの有利な実施形態によれば、前記第1ピクセル化エレクトロルミネセンス光源および/または前記第2ピクセル化エレクトロルミネセンス光源は、矩形の全発光面を有する。これにより、発光面のアスペクト比を変更したり、自動車両の照明に適した寸法の投影ビームを得たりすることを目的として、アナモフィック光学投影システムを使用する必要が有利に回避される。
【0042】
また、本発明は、上述の実施例乃至変形例の1つによる少なくとも1つの照明装置を備える自動車両に関する。
【0043】
本発明の他の特徴および利点は、実施例および図面の説明からより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の好適な実施形態による照明装置の正面図。
図2図1の平面図。
図3】本発明による照明装置により投射される光ビームの第1の構成を示す図。
図4】本発明による照明装置により投射される光ビームの別の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1および2は、本発明の実施形態による照明装置1を示す。この照明装置は、第1おピクセル化されたハイビーム(ピクセル化ハイビーム)HB1を投影可能な第1照明モジュール2と、第2のピクセル化部分ハイビームHB2を投影可能な第2照明モジュール3と、を備えている。照明装置1から25mに配置されたスクリーンに投影された第1および第2のピクセル化ビームHB1およびHB2を図3および4に示す。水平方向を示す水平方向軸H‐H、およびこの水平方向軸H-Hに対して垂直であるとともに照明装置1の光軸Xに交差する鉛直方向軸V-Vが形成されている。
【0046】
第1モジュール2は、
‐ 例えば、20行×45列のマトリックスアレイに配置された900個の基本エミッタであってそれぞれが基本光ビームを発光するように選択的に作動され得る基本エミッタを備えたピクセル化エレクトロルミネセンス光源21と、
‐ 1°の幅および高さを有するピクセルの形態において前記基本光ビームのそれぞれを投射するための、前記光源に関連付けられた光学投影システム22と、
を備えている。
【0047】
記載された例において、上述のように、光源21は、エレクトロルミネセンス素子のモノリシックマトリックスアレイを備えている。
【0048】
ピクセル化エレクトロルミネセンス光源21に代えて、例えば発光ダイオードのマトリックスアレイ等、上述とは別のタイプのピクセル化エレクトロルミネセンス光源を用いることも想定され得る。
【0049】
第1モジュール2により投影されるピクセルのセットは、前記第1ピクセル化ハイビームHB1を形成する。このビームHRは、25°の水平方向幅、および9°の鉛直方向幅を有している。このビームは、鉛直方向軸V‐Vの両側に対照的に延びている。
【0050】
第1照明モジュールは、少なくとも1つのピクセル化エレクトロルミネセンス光源21を備えている。第1照明モジュールは、1つ、2つ、または3つのピクセル化エレクトロルミネセンス光源21を備え得る。これにより、非常に大きな水平方向範囲を有する第1のピクセル化部分ハイビームHB1を得ることができる。
【0051】
第1照明モジュール2は、上述以外の要素を備え得る。このような要素は、本発明による構成と機能的に相互作用しないため、本発明の文脈では説明しない。
【0052】
第2照明モジュール3は、第1照明モジュール2と構造的に類似している。
【0053】
第2照明モジュール3は、
‐ 例えば、20行×45列のマトリックスアレイに配置された900個の基本エミッタであって、それぞれが基本光ビームを発光するように選択的に作動され得る基本エミッタを備えたピクセル化エレクトロルミネセンス光源31と、
‐ 0.3°の幅および高さを有するピクセルの形態において前記基本光ビームのそれぞれを投射するための、前記光源に関連付けられた光学投影システム32と、
を備えている。
【0054】
照明装置は、相補的なロービームLBを生成することが意図された追加のモジュール4を備えている。
【0055】
追加のモジュール4は、
‐ 選択的に作動され得るとともに行に沿って配置され得る9個の発光ダイオードであって、それぞれが基本光ビームを発光可能な発光ダイオードを備えた基本エミッタからなるマトリックスアレイ41と、
‐ マトリックスアレイ31の前方に配置された複数42の一次光学要素であって、各発光ダイオードから発生した基本光ビームを集光、フォーマットおよびガイドするための一次光学要素と、
‐ 3°の横幅および5°の長さを有するピクセルの形態において前記一次光学要素から生じた前記基本光ビームのそれぞれを投射するように前記一次光学要素の前方に配置された投影光学システム43と、
を備えている。
【0056】
特に、このようなモジュールの動作原理について説明している文献FR3056692を参照されたい。
【0057】
したがって、第2のピクセル化ビームは、ピクセル化ロービームを形成する。
【0058】
最後に照明装置1は、制御ユニット5を備えている。制御ユニット5は、受信した制御命令に基づいて、例えば、光源21および31の基本エミッタをオンにしたり選択的にオフにする、または更にこれらの基本エミッタのそれぞれに供給される電力を増減させることにより、例えば第1および第2ビームHB1およびHB2の各ピクセルの光強度を選択的に制御可能である。
【0059】
本発明の第1構成によれば、図3に示すように、第1および第2照明モジュール2および3は、第1および第2ビームHB1およびHB2が少なくとも部分的に重なるように構成されている。本例において、第2ビームHB2は、第1ビームHB1に含まれている。
【0060】
本発明の別の構成によれば、図3に示すように、第1および第2照明モジュール2および3は、第1および第2ビームHB1およびHB2が隣接するように構成されている。本例において、第2ビームHB2は、複数のサブエリアに分割された第1ビームHB1内でフレーミングされている。これらのサブエリアのそれぞれは、専用のピクセル化エレクトロルミネセンス光源21により生成され得る。図示例において、ピクセル化ハイビームHB1のフィールドおよび形状をカバーするように3つのピクセル化光源が存在している。
図1
図2
図3
図4