(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】患者インタフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021017579
(22)【出願日】2021-02-05
(62)【分割の表示】P 2017548860の分割
【原出願日】2016-03-16
【審査請求日】2021-02-25
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】マイケル、ポール、ロネイン
(72)【発明者】
【氏名】チェルシー、エリン、ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、アンドリュー、デイビッド、ミルン
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0245369(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0060200(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の顔面に患者インタフェースを固定する固定構造体であって、
本体を備え、
前記患者の顔面から離れる方に且つ前記患者インタフェースの方に面する前記本体の第1面は固定要素を含み、当該固定要素は、前記患者インタフェースの取付構造体の相補的な締結具に取り付け可能であり、
前記固定要素は、前記固定要素の可撓性を向上させるスリット又は薄い領域のパターンを有し、
前記スリット
又は薄い領域のパターンは、
複数の列を含み、
各列は、前記固定要素の長手方向に配置される複数のスリット又は薄い領域を含み、各スリット又は薄い領域は半円形を有し、
どの1つの列における前記複数のスリット又は薄い領域も、同じ方向に湾曲しており、
第1の列における前記複数のスリット又は薄い領域は、前記固定要素の幅方向に前記第1の列に隣り合う第2の列における前記複数のスリット又は薄い領域とは、反対の湾曲の方向を有し、
前記第1の列における前記複数のスリット又は薄い領域は、前記第2の列における前記複数のスリット又は薄い領域と、前記長手方向に交互に位置する、固定構造体。
【請求項2】
前記本体は、
第1縁と、
前記患者の顔面での使用時、前記第1縁より前記患者の鼻又は口から遠いように、前記第1縁に対向する第2縁であって、
前記長手方向が前記第1縁と前記第2縁との間で長さ方向に沿って延びる、第2縁と、
前記第1縁と前記第2縁との間に延在する、対向する第3縁及び第4縁と、を備え、
前記第1面は、前記第1縁と前記第2縁との間に延びる、請求項1に記載の固定構造体。
【請求項3】
前記スリットのうちの少なくともいくつかが、前記第1縁、前記第2縁、前記第3縁、及び前記第4縁のうちの少なくとも1つまで延在する、請求項2に記載の固定構造体。
【請求項4】
前記スリットのうちの少なくともいくつかが、前記第3縁及び前記第4縁まで交互に延在するスリットの列で配置されている、請求項2又は3に記載の固定構造体。
【請求項5】
前記半円形スリットは、前記固定構造体の長手方向において部分的に重なっている請求項2又は4に記載の固定構造体。
【請求項6】
前記スリットの列の各々が半円形又は三日月形状を有するスリットを備え、前記半円形又は三日月形状が、隣接する列のスリットの半円形又は三日月形の形状に対して反対方向に面し、且つ、隣接する列のスリットの半円形又は三日月形の形状から前記第3縁又は前記第4縁に向かって少なくとも部分的にずれている、請求項4に記載の固定構造体。
【請求項7】
前記固定要素が、前記第2縁によりも前記第1縁に近いように位置決めされている、請求項2~6のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項8】
前記固定要素の中間点が、前記第1縁と前記第2縁との間の中心線又は中心部分からずれている、請求項2~7のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項9】
前記固定要素の中間点が、前記第3縁と前記第4縁との間の中心線又は中心部分にある、請求項2~8のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項10】
前記固定要素によって覆われていない前記第1面の少なくとも一部が、把持領域又は支持領域を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項11】
前記固定要素が、前記第1縁から、前記第1縁と前記第2縁との間の前記第1面の長さに沿った位置まで延在し、又は前記第1縁と前記第2縁との間の前記固定要素の長さが、前記第1縁と前記第2縁との間の前記第1面の長さより短い、請求項2~10のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項12】
前記第1面の長さに対する、前記第1縁と前記第2縁との間の前記固定要素の長さの比が、0.2~0.9である、請求項11に記載の固定構造体。
【請求項13】
前記固定要素が、前記第1縁と前記第2縁との間の全体に延在し、前記第3縁と前記第4縁との間には部分的にのみ延在し、又は前記固定要素が、前記第1縁から、前記第1縁と前記第2縁との間の前記第1面の長さに沿った位置まで延在する、請求項2~6のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項14】
前記固定要素が、前記患者インタフェースの前記取付構造体の相補的なループファスナに取外し可能に取付可能なフックファスナを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項15】
前記フックファスナが、前記第1面から外向きに延在する複数のフックを備える、請求項14に記載の固定構造体。
【請求項16】
前記複数のフックのうちの少なくともいくつかが、前記第1縁及び/又は前記第2縁に向かって延在し、又は前記複数のフックのうちの少なくともいくつかが、前記第1縁及び前記第2縁に対して平行であり且つ前記第3縁及び前記第4縁に対して概して垂直な方向に概して延びる、請求項15に記載の固定構造体。
【請求項17】
前記スリットのうちの少なくともいくつかが、前記第3縁及び前記第4縁に向かって延在する、請求項2に記載の固定構造体。
【請求項18】
前記第1縁及び前記第2縁に近い方の前記スリットのうちの少なくともいくつかが、前記第1縁及び前記第2縁から遠い方の前記スリットのうちの少なくともいくつかより短く、又は前記スリットのうちの少なくともいくつかが、前記第3縁と前記第4縁との間の中心線又は中心部分を横切って延在しない、請求項17に記載の固定構造体。
【請求項19】
前記固定構造体が、前記第1縁と前記第2縁との間に延在する第2面を備え、前記第2面が、使用時に前記患者の顔面の方に且つ前記患者インタフェースから離れる方に面し、前記第2面が、前記患者の顔面に取付可能な第2締結具を備える、請求項2に記載の固定構造体。
【請求項20】
前記第2締結具が、前記患者の前記顔面に取外し可能に取付け可能な接着剤を備える、請求項19に記載の固定構造体。
【請求項21】
前記接着剤が、親水コロイド系接着剤及びシリコーン系接着剤のうちの少なくとも一方であり、又は前記接着剤が、使用時、前記顔面への塗布の後、少なくとも所定期間、前記患者の顔面に対する一定レベルの接着力を維持する材料を含み、又は前記接着剤が、使用時、前記患者の顔面の形状に沿う材料を含む、請求項20に記載の固定構造体。
【請求項22】
前記固定構造体が、均一な厚さを有し;又は前記固定構造体が、前記患者の顔面の動きに応じて前記固定構造体が曲がるのを可能にする厚さを有し;又は前記固定構造体が、0.05mm~5mmの厚さを有し;又は前記固定要素が、楕円形、矩形、正方形、台形、三角形又は五角形の形状を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の固定構造体。
【請求項23】
患者の顔面に患者インタフェースを固定する固定構造体であって、
第1縁と、
前記患者の顔面での使用時、前記第1縁より前記患者の鼻又は口から遠いように、前記第1縁に対向する第2縁と、
前記第1縁と前記第2縁との間に延在する、対向する第3縁及び第4縁と、
前記第1縁と前記第2縁との間に延在する第1面と、を備え、
前記第1面が、前記患者の顔面から離れる方に且つ前記患者インタフェースの方に面し、前記第1面が固定要素を含み、前記固定要素が前記患者インタフェースの取付構造体の相補的な締結具に取付可能であり、
前記固定要素は、前記固定要素の可撓性を向上させるスリット
又は薄い領域のパターンを有し、
前記スリット又は薄い領域のパターンは、複数の列を含み、各列は、前記固定要素の長手方向に配置される複数のスリット又は薄い領域を含み、各スリット又は薄い領域は半円形を有し、
どの1つの列における前記複数のスリット又は薄い領域も、同じ方向に湾曲しており、
第1の列における前記複数のスリット又は薄い領域は、前記固定要素の幅方向に前記第1の列に隣り合う第2の列における前記複数のスリット又は薄い領域とは、反対の湾曲の方向を有し、
前記第1の列における前記複数のスリット又は薄い領域は、前記第2の列における前記複数のスリット又は薄い領域と、前記長手方向に交互に位置する、固定構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して呼吸療法に関する。より詳細には、本開示は、呼吸療法を提供する患者インタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸疾患、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に取り組んでいる患者は、有効な呼吸を行うことが困難である場合がある。こうした困難さは、肺組織の破壊、末梢気道の機能不全、唾液の過剰な蓄積、感染、遺伝子疾患または心不全を含む種々の原因の結果である可能性がある。呼吸疾患によっては、患者に対して、患者の換気を改善することができる治療を提供することが有用である。患者に対して、呼吸療法システムを用いるハイフロー療法を提供することができ、この呼吸療法システムは、ガス源と、患者の気道にガスを送るために使用することができる患者インタフェースと、ガス源と患者インタフェースとの間に延在する導管とを含む。患者インタフェースは、通常、封止されていない。ガスは、患者に送達される前に加熱し加湿することができる。
【0003】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、通常は気道を開存させたままにする筋肉がつぶれて一時的に気道を封止する睡眠障害である。OSA患者の睡眠パターンは、繰り返される連続したいびき、呼吸困難、無呼吸、はっとして覚醒すること、および、その後睡眠に戻ることを特徴とする。気道を支え、OSAの発生を低減させるかまたはなくすために、持続的気道陽圧(CPAP)の呼吸療法を用いることができる。患者に対して、呼吸療法システムを用いるCPAP療法を提供することができ、この呼吸療法システムは、ガス源と、ガスを患者の気道に送るために使用することができる患者インタフェースと、ガス源と患者インタフェースとの間に延在する導管とを含む。患者インタフェースは、通常封止されている。ガスは、患者に送達される前に加熱し加湿することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
呼吸療法システム用の患者インタフェースは、鼻カニューレ、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻ピローマスクまたは気管内チューブを含むことができる。患者インタフェースが患者に取り付けられると、ガスは、患者インタフェースの経鼻送達要素(たとえば、患者の鼻孔内に位置する、鼻カニューレの管状プロング)を通して患者の気道に運ばれる。場合によっては、患者インタフェースを患者の顔面に取り付けることが有用である。1つのオプションは、患者の顔面に接着パッドを配置することであり、接着パッドは、患者の顔面から離れる方に面する接着パッドの側にメカニカルファスナを有する。メカニカルファスナは、患者インタフェースに取り付けられた相補的なファスナアと結合する。しかしながら、接着パッドの形状を含む要素に応じて、相補的ファスナからメカニカルファスナを分離することにより、接着パッドが患者の顔面から望ましくないように外れる可能性がある。上記問題点に対する解決法、または有用な代替物を提供するシステムもしくは装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口の方に面するように適合された第1縁を備える。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面するように適合された第2縁を備える。第1縁は、実質的に平坦であるかまたは直線状である。第1縁および第2縁は、実質的に同じ幅である。
【0006】
第1縁および第2縁は、形状およびサイズが同一であり得る。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する、実質的に平坦であるかまたは直線状の第3縁を備えることができる。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する、実質的に平坦であるかまたは直線状の第3縁および第4縁を備えることができる。第2縁は、実質的に曲線的であり得る。固定構造体は、実質的に三角形の形状を有する周縁部を備えることができる。固定構造体は、実質的に湾曲した形状を有する周縁部を備えることができる。
【0007】
固定構造体は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な第2締結具と連結するように適合された第1締結具を備えることができる。第1締結具は、使用時に患者の顔面から離れる方に面する、固定構造体の第1面に、固定するかまたは接着することができる。第1締結具は、実質的に固定構造体の第1面全体を覆うことができる。
【0008】
固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する、対向する第3縁および第4縁を備えることができる。第1締結具は、第1縁と第2縁との間では固定構造体の第1面の実質的に全体に沿って、対向する第3縁と第4縁との間では部分的にのみ延在することができる。
【0009】
第1締結具は、第1縁から、第1縁と第2縁との間に固定構造体の長さに沿った位置まで延在することができる。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する対向する第3縁および第4縁を備えることができる。第1締結具は、第1縁から、第1縁と第2縁との間の固定構造体の長さに沿った位置まで延在することができる。第1締結具は、第3縁から、第3縁と第4縁との間の固定構造体の幅に沿った位置まで延在することができる。
【0010】
第1締結具は、患者インタフェースの取付構造体の相補的なループファスナと連結するように適合されたフックファスナを備えることができる。フックファスナは、患者の顔面から離れる方に面する、固定構造体の面から外向きに延在するフックを備えることができる。フックは、固定構造体の第1縁および/または第2縁に向かって延在することができる。
【0011】
フックは、第3縁が実質的に平坦であるとき、第1縁および第2縁と概して平行であり、第3縁および第4縁と概して垂直であり得る。
【0012】
固定構造体は、実質的に均一な厚さであり得る。
【0013】
固定構造体は、親水コロイド系接着剤から構成することができる。固定構造体は、シリコーン系接着剤から構成することができる。
【0014】
固定構造体は、患者の顔面に固定構造体を接続するのを容易にするように適合させることができる。たとえば、固定構造体の患者対向領域は、使用時、少なくとも皮膚への適用後の所定期間、皮膚に対して一定レベルの接着力を実質的に維持する材料から構成することができる。
【0015】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示される。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、患者の顔面に付着するように適合された患者対向領域を有する本体を備える。固定構造体は、本体に接着された第1締結具を備える。第1締結具は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な第2締結具と連結するように適合される。本体は、親水コロイド系接着剤またはシリコーン系接着剤から構成される。
【0016】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示される。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口の方に面するように適合された第1縁を備える。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面するように適合された第2縁を備える。固定構造体は、患者インタフェースの取付構造体の相補的なループファスナと連結するように適合されたフックファスナを備える。フックファスナは、第1縁と第2縁との間に少なくとも部分的に延在する。フックファスナは、固定構造体の第1縁および/第2縁に向かって延在するフックを備える。
【0017】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口の方に面するように適合された第1縁を備える。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面するように適合された第2縁を備える。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する第3縁を備える。第3縁は凹状湾曲部を備える。
【0018】
固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する第4縁を備えることができる。第4縁は、患者の目の下の領域の形状に一致するような形状である凹状湾曲部を備えることができる。第3縁および第4縁は、対向することができる。
【0019】
固定構造体は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な第2締結具と連結するように適合された第1締結具を備えることができる。第1締結具は、固定構造体の患者から離れる方に面する面に固定することができる。第1締結具の中間点は、固定構造体の第1縁と第2縁との間の中途である第1中心線または中心部分からずらすことができる。第1締結具は、第2縁より第1縁の方に近いように位置決めすることができる。第1締結具の中間点は、固定構造体の第3縁と第4縁との間の中途である第2中心線または中心部分にあり得る。
【0020】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口の方に面するように適合された第1縁を備える。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面するように適合された第2縁を備える。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する第3縁を備える。第3縁は、第1縁および第2縁から遠い(distal)第3縁の部分におけるより、第1縁および第2縁に近い(proximal)第3縁の部分における方が、固定構造体の中心線または中心部分からより一層突出する。
【0021】
第2縁に近い第3縁の部分は、第1縁に近い第3縁の部分より、固定構造体の中心線または中心部分からより一層突出することができる。
【0022】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、患者の顔面に付着するように適合された本体を備える。本体は、少なくとも一部には、低吸湿性を有する材料から構成される。
【0023】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、患者の顔面に付着するように適合された本体を備える。本体は、少なくとも一部には、低ヤング率を有する材料から構成される。
【0024】
本体は、患者の顔面の動きに応じて本体が曲がるのを可能にする厚さを有することができる。本体は、0.05mm~5.0mmの厚さを有することができる。第1締結具の厚さは、本体の厚さより小さくすることができる。第1締結具の厚さは、本体の厚さの少なくとも1/4であり得る。
【0025】
本体は、使用時に患者の皮膚の形状に沿うシリコーン系接着剤を備えることができる。本体は、親水コロイド系接着剤を備えることができる。
【0026】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、患者の顔面に付着する本体を備える。本体は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な第2締結具と結合する第1締結具を備える。本体は、使用時に患者の顔面の皮膚に付着する接着剤を備える。接着剤は、皮膚への接着剤の塗布時に、皮膚に対する最大の接着力に実質的に即座に達する。
【0027】
接着剤は、皮膚への接着剤の塗布時に皮膚の間隙に実質的に即座に流れ込むことができる。接着剤は、シリコーン系接着剤であり得る。この接着剤では、患者の顔面の皮膚に塗布された同様のサイズの親水コロイド系接着剤より、除去するために必要な力を小さくすることができる。
【0028】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、固定構造体が開示されている。固定構造体は、患者インタフェースと協働して患者の顔面に患者インタフェースを固定するように適合される。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口の方に面する第1縁を備える。固定構造体は、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面する第2縁を備える。固定構造体は、固定構造体の可撓性を向上させる複数のスリットを備える。
【0029】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、患者インタフェースシステムが開示されている。患者インタフェースシステムは、患者インタフェースを備え、患者インタフェースは、患者インタフェースの患者対向部分に固定された取付構造体を備える。取付構造体は、使用時に患者インタフェースを顔面に締結するように顔面に固定される固定構造体と結合する。固定構造体は、上の節に記載した、または添付の図を参照して本明細書における別の場所で記載する、固定構造体のうちの任意のものと、同じかまたは同様であり得る。
【0030】
患者インタフェースは、患者の顔面の第1部分に載るように適合された第1本体と、患者の顔面の第2部分に載るように適合された第2本体と、第1本体および第2本体を連結するブリッジとを備えることができる。
【0031】
取付構造体は、第1本体および/または第2本体の患者対向面に固定することができる。
【0032】
患者インタフェースは、鼻カニューレ、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、非封止口鼻インタフェース、鼻ピローマスク、気管内チューブ、または他のこうした呼吸インタフェースを含むことができる。
【0033】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、患者の顔面に患者インタフェースを固定する固定構造体は、第1縁と、患者の顔面での使用時、第1縁より患者の鼻または口から遠いように、第1縁に対向する第2縁と、第1縁と第2縁との間に延在する、対向する第3縁および第4縁とを備える。第1縁および第2縁に近い方の第3縁の部分は、第1縁および第2縁から遠い方の第3縁の部分より、固定構造体の中心線または中心部分からより一層突出している。
【0034】
第2縁に近い方の第3縁の部分は、第1縁に近い方の第3縁の部分より、固定構造体の中心線または中心部分からより一層突出することができる。第3縁は、凹状湾曲部を備えることができる。第4縁は、患者の目の下の領域の形状に一致するような形状である凹状湾曲部を備えることができる。
【0035】
固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する第1面を備えることができる。第1面は、使用時に、患者の顔面から離れる方にかつ患者インタフェースの方に面することができる。第1面は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な締結具に取付可能な第1締結具を備えることができる。第1締結具は、第2縁より第1縁に近いように位置決めすることができる。第1締結具の中間点は、第1縁と第2縁との間の中途の中心線または中心部分からずらすことができる。第1締結具の中間点は、第3縁と第4縁との間の中途の中心線または中心部分にあり得る。
【0036】
第1締結具によって覆われていない、第1面の少なくとも一部は、把持または支持領域を構成することができる。第1締結具は、第1縁から、第1縁と第2縁との間の第1面の長さに沿った位置まで延在することができる。第1縁と第2縁との間の第1締結具の長さは、第1縁と第2縁との間の第1面の長さより小さくすることができる。第1面の長さに対する第1締結具の長さの比は、0.2~0.9であり得る。
【0037】
第1締結具は、第1縁と第2縁との間の実質的に全体に延在し、第3縁と第4縁との間には部分的にのみ延在することができ、第1締結具は、第3縁から、第3縁と第4縁との間の第1面の幅に沿った位置まで延在することができる。第1締結具は、第1縁から、第1縁と第2縁との間の第1面の長さに沿った位置まで延在することができ、第1締結具は、第3縁から、第3縁と第4縁との間の第1面の幅に沿った位置まで延在することができる。
【0038】
第1締結具は、患者インタフェースの取付構造体の相補的なループファスナに取外し可能に取付可能なフックファスナを備えることができる。フックファスナは、第1面から外向きに延在する複数のフックを備えることができる。複数のフックのうちの少なくともいくつかは、第1縁および/または第2縁に向かって延在することができる。複数のフックのうちの少なくともいくつかは、第1縁および第2縁に対して概して平行であり、第3縁および第4縁に対して概して垂直であり得る。
【0039】
第1締結具は、第1締結具の可撓性を向上させる複数のスリットを備えることができる。複数のスリットのうちの少なくともいくつかは、第1縁、第2縁、第3縁または第4縁のうちの少なくとも1つまで延在することができる。複数のスリットのうちの少なくともいくつかは、第3縁および第4縁まで交互に延在するスリットの列で配置することができる。スリットの列の各々は半円形または三日月形状を有するスリットを備えることができ、半円形または三日月形状は、隣接する列のスリットの半円形または三日月形の形状に対して反対方向に面し、かつそこから第3縁または第4縁に向かって少なくとも部分的にずれている。
【0040】
複数のスリットのうちの少なくともいくつかは、第3縁および第4縁に向かって延在することができる。第1縁および第2縁に近い方の複数のスリットの少なくともいくつかは、第1縁および第2縁から遠い方の複数のスリットのうちの少なくともいくつかより短くすることができる。複数のスリットのうちの少なくともいくつかは、第3縁と第4縁との間の中途の中心線または中心部分を横切って延在しないようにすることができる。
【0041】
複数のスリットのうちの少なくとも1つは、蛇行形状を有することができる。複数のスリットのうちの2つは、蛇行形状を有することができ、蛇行スリットのうちの一方は、第1縁に向かって延在することができ、蛇行スリットのうちの他方は、第2縁に向かって延在することができる。
【0042】
複数のスリットのうちの少なくともいくつかは、ジグザグ形状を有することができる。
【0043】
固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する第2面を備えることができる。第2面は、使用時に、患者の顔面の方にかつ患者インタフェースから離れる方に面することができる。第2面は、患者の顔面に取付可能な第2締結具を備えることができる。第2締結具は、患者の顔面に取外し可能に取付可能な接着剤を備えることができる。接着剤は、親水コロイド系接着剤であり得る。接着剤は、シリコーン系接着剤であり得る。接着剤は、使用時に、顔面への塗布の後、少なくとも所定期間、患者の顔面に対する一定レベルの接着力を実質的に維持する材料を含むことができる。接着剤は、使用時、患者の顔面の形状に実質的に沿う材料を含むことができる。
【0044】
固定構造体は、吸湿性の低い材料を含むことができる。固定構造体は、ヤング率の低い材料を含むことができる。固定構造体は、実質的に均一の厚さを有することができる。固定構造体は、固定構造体が、患者の顔面の動きに応じて曲がるのを可能にする厚さを有することができる。固定構造体は、0.05mm~5mmの厚さを有することができる。
【0045】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、患者の顔面に患者インタフェースを固定する固定構造体は、第1縁と、患者の顔面での使用時、第1縁より患者の鼻または口から遠いように、第1縁に対向する第2縁と、第1縁と第2縁との間に延在する第1面であって、患者の顔面から離れる方にかつ患者インタフェースの方に面する第1面と、第1面とは反対側の第2面とを備える。第1面は第1締結具を備え、第1締結具は、患者インタフェースの取付構造体の相補的な締結具に取付可能である。第2面は、患者の顔面に取付可能な第2締結具を備える。第1縁は実質的に直線状である。第1縁および第2縁は、実質的に同じ幅である。
【0046】
第1縁および第2縁は、形状およびサイズが実質的に同じであり得る。第2縁は、実質的に曲線的であり得る。固定構造体は、実質的に三角形の形状を有する周縁部を備えることができる。固定構造体は、実質的に湾曲した周縁部を備えることができる。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する実質的に直線状の第3縁を備えることができる。固定構造体は、第1縁と第2縁との間に延在する、対向する実質的に直線状の第3縁および第4縁を備えることができる。
【0047】
さらに、本明細書に開示する実施形態のうちの1つまたは複数のいくつかの特徴、態様および利点によれば、患者インタフェースシステムは、先に開示した実施形態のうちの任意の1つによる固定構造体と、使用時に患者の顔面の方に面する1つまたは複数の取付構造体を備える患者インタフェースとを備える。1つまたは複数の取付構造体の各々は、固定構造体の相補的な締結具に取付可能な締結具を備える。
【0048】
患者インタフェースは、顔面の第1部分に載るように適合された第1本体を備えることができる。患者インタフェースは、顔面の第2部分に載るように適合された第2本体を備えることができる。患者インタフェースは、第1本体および第2本体を連結するブリッジを備えることができる。第1本体および第2本体の一方または両方各々は、取付構造体のうちの1つを備えることができる。第1本体および第2本体の一方または両方各々は、第1縁と、第1縁と対向する第2縁とを備えることができる。患者の顔面での使用時、第2縁は、第1縁より患者の鼻または口から離れることができる。第2縁は、患者の顔面からの患者インタフェースの除去を容易にする取外構造体を備えることができる。患者インタフェースは、鼻カニューレ、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、非封止口鼻マスク、鼻ピローマスクまたは気管内チューブを含むことができる。
【0049】
具体的な実施形態およびその変更形態は、以下の図を参照する本明細書における詳細な説明から、当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図3】
図2に示す患者インタフェースの背面図を示す。
【
図4】
図2に示す患者インタフェースの側面斜視図を示す。
【
図5A】固定構造体の患者対向領域の上面図を示す。
【
図5B】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図5C】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7A】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7B】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7C】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7D】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7E】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7F】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図7G】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図8A】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図8B】線A-Aに沿った固定構造体のインタフェース対向領域の断面を示す。
【
図9A】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図9B】線B-Bに沿った固定構造体のインタフェース対向領域の断面を示す。
【
図10A】皮膚の層の上における固定構造体の図を示す。
【
図10B】皮膚の層の上における固定構造体の図を示す。
【
図11A-D】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図12A-H】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図13A】固定構造体のインタフェース対向領域の上面図を示す。
【
図14】別の固定構造体のインタフェース対向領域の上面図である。
【
図15】別の固定構造体のインタフェース対向領域の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、例としての呼吸療法システム100を示す。患者1は、この例では鼻カニューレアセンブリとして示す患者インタフェース200を通して、加熱され加湿されたガスを受け取っており、患者インタフェース200は、加湿ガス輸送経路または吸気導管3に接続され、吸気導管3は、ブロワ15または他の適切なガス供給部からのガスが供給される加湿器8(加湿チャンバ5を含む)に接続されている。呼吸療法システム100の外部のかつ/またはそれとは別個の供給源から、または呼吸療法システム100の内部のかつ/またはそれと一体化されている供給源から、ガスを供給することができる。患者の顔面に対して患者インタフェース200を支持し保持するために、ヘッドギア20が設けられている。吸気導管3は、水6を収容する加湿チャンバ5の出口4に接続されている。加湿チャンバ5は、好ましくは、プラスチック材料から形成され、加湿器8のヒータプレート7と直接接触している高熱伝導性ベース(たとえば、アルミニウムベース)を有することができる。加湿器8には、制御機構または電子コントローラ9が設けられており、それは、関連するメモリに格納されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラを含むことができる。吸気導管3を通って流れるガスは、患者インタフェース200を通して患者の気道に渡される。
【0052】
コントローラ9は、使用者(たとえば、看護師または他の医療提供者)が、たとえば患者に供給されるガスの湿度または温度の所定の必要な値(事前設定値)を設定することができる、入力手段(たとえば、ダイヤル10)等の入力源から、入力を受け取る。ダイヤル10、およびガスの流量または温度を検知する内部センサ等の他のあり得る入力部を介して入力される、使用者設定湿度もしくは温度値、またはコントローラ9によって計算されるパラメータに応じて、コントローラ9は、加湿チャンバ5内の水6を加熱するようにヒータプレート7にいつ(またはどのレベルまで)通電するべきかを判断する。加湿チャンバ5内の水6が加熱されると、水蒸気が、水の表面の上方のチャンバの容積を充填し始め、入口16を通って加湿チャンバ5に入る、ガス供給手段またはブロワ15から提供されるガス(たとえば、空気)の流れにより、加湿チャンバ5の出口4から排出される。加湿チャンバ5内のガスの湿度とヒータプレート7の温度との関係を取得することができることが留意されるべきである。したがって、ガスの湿度を求めるために、アルゴリズムまたはルックアップテーブルにおけるヒータプレート7の温度を利用することができる。
【0053】
ブロワ15には、ブロワ入口17を通して空気または他のガスを引き込む可変速ポンプまたはファン2を設けることができる。可変速ポンプまたはファン2の速度は、さらなる制御手段または電子コントローラ18によって、コントローラ9からの入力と、ダイヤル19等、1つまたは複数の入力デバイスを介する圧力および/またはファン速度の使用者が設定した所定の必要な値(事前設定値)に応じて制御することができる(または別法として、コントローラ18の機能をコントローラ9が実施することができる)。
【0054】
導管3内の加湿ガスの結露を防止するのに役立つように、導管3内に加熱要素11を設けることができる。こうした結露は、通常は導管3内の加湿ガスの温度より低い導管3の壁の温度が、周囲温度に近い(周囲雰囲気の温度である)ことによる。加熱要素11は、導管3の通過中に伝導および対流を通してガスから喪失するエネルギーを有効に置き換える。したがって、加熱要素11は、送達されるガスが最適な温度および湿度であることを確実にする。
【0055】
図示する構成では、患者インタフェース200は、鼻カニューレを含む。いくつかの代替構成では、患者インタフェース200は、封止インタフェースまたは非封止インタフェースを含むことができる。たとえば、患者インタフェース200としては、鼻マスク、口マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻カニューレ、非封止口鼻インタフェース、鼻ピローマスク、気管内チューブ、上記の組合せ、または他のガス搬送システムもしくは装置を挙げることができる。他のこうした患者インタフェースにおいて、図示する鼻カニューレのいくつかの特徴、態様および利点を想定することができる。
【0056】
図2~
図4を参照すると、患者インタフェース200が示されている。患者インタフェース200は、概して、顔の輪郭に実質的に一致するような形状とするかまたはそのように構成することができる。患者インタフェース200は、患者の鼻孔内に位置するように適合された第1経鼻送達要素202Aおよび第2経鼻送達要素202Bを含む。図示する経鼻送達要素202A、202Bは、実質的に管状であり、患者インタフェース200を通過するガスを患者に向ける。経鼻送達要素202A、202Bは、使用時に概して患者の鼻中隔に向かって内向きに延在するような形状とし、かつそのように角度を付けることができる。経鼻送達要素202A、202Bは、先端202A’、202B’で終端する。使用時、先端202A’、202B’は、患者の頭部の後部の方向に向く。いくつかの構成では、経鼻送達要素202A、202Bは異なる形状を有することが理解されるべきである。たとえば、図示する構成における経鼻送達要素202A、202Bの平均断面は実質的に円形であるが、いくつかの構成では、経鼻送達要素202A、202Bの断面は、実質的に楕円形、実質的に正方形、または実質的に矩形であり得る。いくつかの構成では、経鼻送達要素202A、202Bの断面は、経鼻送達要素202A、202Bの長さに沿って変化することができる。いくつかの構成では、第1経鼻送達要素202Aおよび第2経鼻送達要素202Bは異なる特徴を有することができる。たとえば、第1経鼻送達要素202Aは、第2経鼻送達要素202Bより小さいかまたは短い場合がある。いくつかの構成では、1つの経鼻送達要素のみが使用される場合がある。いくつかの構成では、3つ以上(たとえば、3つまたは4つ)の経鼻送達要素が用いられる場合がある。
【0057】
第1経鼻送達要素202Aおよび第2経鼻送達要素202Bは、患者インタフェース200の第1本体206Aおよび第2本体206Bから延在している。第1本体206Aおよび第2本体206Bは、内部ガス送達内腔210A、210Bを含み、それらは、第1本体206Aのガス入口208Aおよび第2本体206Bのガス入口208Bからガスを受け取り、第1経鼻送達要素202Aおよび第2経鼻送達要素202Bにガスを流す。ガス入口208A、208Bは、一対のガス送達導管218A、218Bと結合する(
図1を参照)。図示する構成では、ガス送達導管218A、218Bは、ガス入口208A、208Bに一体的に形成されているかまたは分離不可能に接続されている。そして、ガス送達導管218A、218Bは、ガス導管コネクタ222と一体的に形成されているかまたは分離不可能に接続されている。ガス導管コネクタ222は、ガス導管110(
図1を参照して本開示における別の場所において吸気導管3として記載されている)と空気圧連通している相補的なコネクタ118と結合する。他の構成が企図される。たとえば、いくつかの構成では、第1経鼻送達要素202Aおよび第2経鼻送達要素202Bは、第1本体206Aまたは第2本体206Bのうちの一方の中に位置決めされた単一の内部ガス送達内腔からガスを受け取ることができる。そして、単一の内部ガス送達内腔は、単一のガス送達導管からガスを受け取ることができる。
【0058】
いくつかの構成では、1つまたは複数のガス入口208A、208Bは、ガス導管110と直接(または、相補的なコネクタ118および/またはガス導管コネクタ222を介して間接的に)結合することができる。いくつかのこうした構成では、第1本体206Aおよび/または第2本体206Bは、ガス導管110と一体的に形成することができ、またはガス導管110と合わせて単一の連続したアセンブリの形態とすることができる。いくつかの構成では、ガス送達導管218A、218Bのうちの1つまたは複数は、ガス入口208A、208Bのうちの1つまたは複数に取外し可能に結合される。いくつかの構成では、ガス送達導管218A、218Bのうちの1つまたは複数は、ガス導管コネクタ222に取外し可能に結合される。
【0059】
患者インタフェース200の第1本体206Aおよび第2本体206Bは、患者の顔面に載るように適合されている。図示する構成では、第1本体206Aおよび第2本体206Bは、患者の顔の両側の頬の上に載るように適合されている。患者の顔面の適所に第1本体206Aおよび第2本体206Bを固定するために、第1本体206Aおよび第2本体206Bの患者対向領域に、取付構造体216A、216Bが設けられている。取付構造体216A、216Bは、患者インタフェース200を顔と所望の位置合せがなされた状態で維持するように適合されており、それにより、経鼻送達要素202A、202Bは、限定しない例では、鼻孔内に快適にかつ封止しないように位置決めすることができる。
【0060】
取付構造体216A、216Bは、使用時に顔面に接着される固定構造体と結合するかまたはそれに取り付けられる。いくつかの構成では、取付構造体216A、216Bおよび固定構造体は、互いに相補的であるように構造化することができる。たとえば、取付構造体216A、216Bは、第1本体206Aおよび第2本体206Bの患者対向領域に接着されるかまたは他の方法で固定される「ループ」部分(たとえば、テキスタイルまたはプラスチックから構成される)を含むことができ、固定構造体は、顔面に接着されるかまたは他の方法で固定することができ、「フック」パッドを含むことができる。取付構造体216A、216Bおよび固定構造体は、たとえば「フック・ループ」(面ファスナ)型接続を介して互いに結合するかまたは取り付けられる。他の構成が企図される。いくつかの構成では、取付構造体216A、216Bは、たとえば、接着パッドまたは他の構造体を介して、顔面と直接インタフェースすることができる。いくつかの構成では、単一の取付構造体を用いることができ、または3つ以上、たとえば3つもしくは4つの取付構造体を用いることができる。
【0061】
いくつかの構成では、取付構造体216A、216Bは、「ループ」部分以外の特徴を含むことができる。たとえば、取付構造体216A、216Bは、固定構造体の相補的な「ループ」部分と結合するかまたはそれに取り付けられる「フック」部分を含むことができる。別の例として、取付構造体216A、216Bは、固定構造体の機構と結合するかまたはそれに取り付けられる、スナップフィット機構または他の機械的噛み合い機構を含むことができる。いくつかの構成では、患者インタフェース200は、顔面で所望の向きまたは位置合せで患者インタフェース200を保持するように適合されたヘッドギアをさらに含むことができる。ヘッドギアは、たとえば、患者の頭部の周囲に延在するように構成された1本または複数本のストラップ、ストラップの有効長を変更することによってストラップの締まりを調整するバックル、キャップ、コイフ、ハット、ヘルメットおよび/または1つもしくは複数の他の特徴を含むことができる。
【0062】
ブリッジ204が、第1本体206Aおよび第2本体206Bを接続する。ブリッジ204は、第1本体206Aおよび/または第2本体206Bの延長部である。いくつかの実施形態では、ブリッジ204は、内部ガス内腔を含まない。ブリッジ204は、経鼻送達要素202A、202Bを互いに対して所望の向きで維持するのに役立つような役割を果たす。他の構成が企図される。たとえば、いくつかの構成では、ブリッジ204は、第1本体206Aおよび第2本体206Bとは異なる材料から構成することができる。別法として、ブリッジ204は、第1本体206Aおよび第2本体206Bと同じ材料から構成することができる。いくつかの構成では、たとえば、経鼻送達要素202A、202Bを流体結合する内部ガス内腔を介して、第1本体206Aと第2本体206Bとの間のガスの透過を可能にするように、ブリッジ204を開放することができる。いくつかのこうした構成では、本体206A、206Bのうちの一方のみが、内部ガス内腔および/またはガス入口を含む。いくつかの構成では、ブリッジ204は、第1本体206Aの第1接続点と第2本体206Bの第2接続点との間に延在する。
【0063】
図3に示すように、第1本体206Aおよび第2本体206Bは、経鼻送達要素202A、202Bおよびブリッジ204に向かって延在するに従って幅が低減することができる。取付構造体216A、216Bが固定構造体とともに使用されるときに、顔面における患者インタフェース200の安定性を向上させるために、第1本体206Aおよび第2本体206Bの外縁またはその近くにおける第1本体206Aおよび第2本体206Bの比較的幅の広い部分に、取付構造体216A、216Bは配置される。たとえば、取付構造体216A、216は、経鼻送達要素202A、202Bに対して第1本体206Aおよび第2本体206Bの先端部分またはその近くに位置決めすることができる。取付構造体216A、216Bは、第1本体206Aおよび第2本体206Bの患者対向領域を実質的に覆うことができる。取付構造体216A、216Bは、第1本体206Aおよび第2本体206Bの患者対向領域を少なくとも部分的に覆うことができる。第1本体206Aおよび第2本体206Bの少なくとも部分的に凹状の領域内に、取付構造体216A、216Bを配置することができる。
【0064】
図2および
図4をさらに参照すると、第1本体206Aおよび第2本体206Bの外縁は、取外構造体212A、212Bを含むことができる。取外構造体212A、212Bは、本体206A、206Bの非患者対向領域に位置決めされている。取外構造体212A、212Bは、ガス入口208A、208Bから間隔を空けて配置されている。図示する構成では、取外構造体212A、212Bは、本体206A、206Bの隣接部分に対して厚さが低減した内部領域を含むタブである。タブの内部領域の外側にかつ本体206A、206Bの外縁に向かって、タブは、本体206A、206Bの同じ隣接部分に対して通常の厚さまたは増大した厚さの外部領域をさらに含む。外部領域は、患者または別の人(たとえば、限定されないが看護師または医師等の医療専門家)が把持して引っ張ることができる。引っ張られると、外部領域は、内部領域の周囲で回転することができ、顔面に存在する固定構造体から取付構造体216A、216Bが取り外されるように、患者インタフェース200に対して十分な力をかけることができる。したがって、取外構造体212A、212Bを用いて、顔面から患者インタフェース200をより容易に取り外すことができる。他の構成が企図される。たとえば、いくつかの構成では、患者インタフェース200の第1本体206Aまたは第2本体206Bのうちの一方に、取外構造体212A、212Bのうちの一方を配置することができる。いくつかの構成では、患者インタフェース200は、3つ以上、たとえば3つまたは4つの取外構造体を含むことができる。いくつかの構成では、本体206A、206Bの他の部分、または患者インタフェース200の他の部分に、取外構造体212A、212Bを配置することができる。いくつかの構成では、取外構造体212A、212Bは、タブ以外の構造体を含むことができる。たとえば、取外構造体212A、212Bは、顔面から患者インタフェース200を分離するように引っ張るかまたは他の方法で操作することができる、第1本体206Aおよび/または第2本体206Bの平坦な延長部を含むことができる。
【0065】
図5Aは、固定構造体300の患者対向領域301を示し、
図5Bは、固定構造体300のインタフェース対向領域301’を示す。患者対向領域301は、患者の顔面と取外し可能に結合しまたはそれに付着する。固定構造体300のインタフェース対向領域301’は、患者の顔面に患者インタフェース200を取外し可能に結合するように、患者インタフェース200に取り付けられる。固定構造体300は、
図2~
図4を参照して本開示における別の場所に記載したように、取付構造体216A、216Bと取外し可能に接合する。
【0066】
図示する構成では、固定構造体300は、本体302を含む。本体302は、実質的に均一の厚さである。他の構成では、本体302は、本体302の長さLおよび/または幅Wに沿って可変厚さであり得る。本体302は、使用時に患者の鼻または口の方に面するように適合された第1縁304を含む。図示する構成では、第1縁304は、実質的に曲線的であり、幅がテーパ状になって本体302の延長部またはつまみを形成している。本体302は、第2縁306をさらに含み、それは、患者の顔面に対して外側の縁であり、したがって、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面するように適合されている。図示する構成では、第2縁306は、実質的に曲線的であり、幅がわずかにテーパ状になっている。対向する湾曲した第3縁308Aおよび第4縁308Bが、本体302の第1縁304と第2縁306との間に延在している。
【0067】
固定構造体300のインタフェース対向領域301’は、インタフェース対向固定要素310’を含む。インタフェース対向固定要素310’は、使用時に、取付構造体216A、216Bと係合して、患者の顔面に患者インタフェース200を固定する。図示する構成では、インタフェース対向固定要素310’は、(たとえば、フック・ループ型接続の場合)取付構造体216A、216Bのうちの一方のループ状パッドと取外し可能に接合するフック状パッドである。フック状パッドは、限定されないが、接着剤、超音波溶接、高周波数溶接、縫合または化学結合の使用を含む複数の手段により、固定構造体300に接合することができる。他の構成では、インタフェース対向固定要素310’は、限定されないが、取付構造体216A、216Bの相補的なラッチまたは取付構造体216A、216Bの相補的な留め具と結合するかまたはそれに取り付けられるラッチと結合することができる留め具、相補的な接着剤、ピン、クラスプ、または他の機械的締結具を含む、取付構造体216A、216Bと結合するかまたはそれに取り付けられるように適合された他の構造体または要素を含むことができる。
【0068】
患者対向領域301は、患者の顔面に取外し可能に接合することができる材料から構成される。図示する構成では、材料は、接着材料、たとえば、親水コロイド系接着材料、酸化亜鉛系接着材料、またはヒドロゲル系材料である。
【0069】
図5Cは、固定構造体300およびインタフェース対向固定要素310’の例示的な実施形態を示す。図示する構成では、インタフェース対向固定要素310’は、蛇行形状のフック状パッドである。蛇行形状は、インタフェース対向固定要素310’の隣接する塊の間に間隙312を画定する。間隙312は、特に、固定構造体300が、第1縁304および/または第2縁306に対して実質的に平行な軸の周囲においてねじり力を受けたとき、インタフェース対向固定要素310’の可撓性を向上させる。間隙312は、インタフェース対向固定要素310’に形成された切れ目、スリット、窓、または薄い領域を含むことができる。インタフェース対向固定要素310’は、材料構成を変更することにより、第1縁304および/または第2縁306に対して実質的に平行な軸の周囲においてねじり力を受けたときに、可撓性の向上を示すように構成することができる。たとえば、いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’は、第1縁304および/または第2縁306に対して実質的に平行な軸の周囲においてねじり力を受けたときに、可撓性の向上を示す、機械的異方性材料から構成することができる。いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’は、可撓性の異なる複数の材料から構成することができる。複数の材料は、インタフェース対向固定要素310’の長さに沿って層状にすることができる。
【0070】
図11A~
図11Dは、インタフェース対向固定要素310’に対して、たとえばスリットのさまざまなパターンの使用を示す。インタフェース対向固定要素310’は、実質的に楕円形の形状を有するが、他の構成では、インタフェース対向固定要素310’は、限定されないが、矩形、正方形、台形、三角形または五角形の形状を含む他の形状を有することができる。
図5Cを参照して記載したように、インタフェース対向固定要素310’は、インタフェース対向固定要素310’の可撓性を向上させるスリットまたは他の特徴を含むことができる。スリットのさまざまなパターンを用いて、インタフェース対向固定要素310’に対して可撓性を与えることができる。いくつかの実施形態では、スリットは、インタフェース対向固定要素310’の少なくとも1つの縁まで延在する。いくつかの実施形態では、スリットは、インタフェース対向固定要素310’の縁までは延在しない。
【0071】
図11Aは、連続したスリットのパターンを含むインタフェース対向固定要素310’であって、連続したスリットがインタフェース対向固定要素310’の長さ方向の縁に向かって弓形に延在する、インタフェース対向固定要素310’の実施形態を示す。スリットは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大している。
【0072】
図11Bは、インタフェース対向固定要素310’の第1領域におけるスリットの対のパターンと、インタフェース対向固定要素310’の第2領域における個別スリットとを含む、インタフェース対向固定要素310’の例を示す。インタフェース対向固定要素310’の第1領域におけるスリットの対は、インタフェース対向固定要素310’の第3縁308Aおよび第4縁308Bから実質的に内向きに延在し、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大している。インタフェース対向固定要素310’の第2領域における個別スリットは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大している。
【0073】
図11Cは、インタフェース対向固定要素310’の対向する幅方向の縁から交互に延在するスリットのパターンを含む、インタフェース対向固定要素310’の例を示す。スリットは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大している。
【0074】
図11Dは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大する連続した直線状のスリットのパターンを含む、インタフェース対向固定要素310’の例を示す。
【0075】
図12A~
図12Kは、実質的に三角形の形状、または曲線的である縁を備えたルーローの三角形状の形状、もしくは
図7Gに示す「ギターピック」状の形状と同様の形状を有するインタフェース対向固定要素310’の実施形態における、スリットのさまざまなパターンの使用を示す。しかしながら、スリットのこうしたパターンは、他の形状を有する固定要素に同様に適用することができることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、スリットは、インタフェース対向固定要素310’の少なくとも1つの縁まで延在する。いくつかの実施形態では、スリットは、インタフェース対向固定要素310’の縁までは延在しない。
【0076】
図12Aは、インタフェース対向固定要素310’の対向する端部から延在する一対のスリットのパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。図示するように、スリットは、インタフェース対向固定要素310’の幅Wおよび長さLの一部に沿って延在することができる。いくつかの実施形態では、対のスリットの各々は蛇行形状を有する。スリットは、蛇行スリットの各曲がりまたは方向転換を画定する、直線状の縁を有することができる。図示するように、蛇行スリットのうちの1つまたは各々は、長さ方向の部分によって連結された実質的に平行な幅方向の部分を含むことができる。長さ方向の部分は、インタフェース対向固定要素310’の縁に沿って延在することができ、半径方向外向きの方向に延在することができ、かつ/またはインタフェース対向固定要素310’の中心に向かって延在することができる。いくつかの構成では、長さ方向の部分は、長さ方向(たとえば、インタフェース対向固定要素310’の長手方向軸)から実質的にずれた角度にある。図示するように、いくつかの構成は、対のスリットの間に配置することができる単一の非蛇行スリットを有する。単一スリットは、少なくとも部分的に第3縁308Aと第4縁308Bとの間に延在することができる。
【0077】
図12Bは、蛇行スリットの各曲がりまたは方向転換を画定する直線状の縁を備える蛇行形状を有する単一スリットのパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。
【0078】
図12Cは、半円形スリットの交互の列のパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。各列は、両側の列に対して反対方向に面し、かつ少なくとも部分的に両側の列からずれている形状を備えた、半円形スリットを含む。
【0079】
図12Dは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって内向きに、インタフェース対向固定要素310’の第3縁308Aおよび第4縁308Bから延在するスリットのパターンを含む、インタフェース対向固定要素310’の例を示す。図示するスリットは、インタフェース対向固定要素310’の全体を横切っては延在しない可能性がある。
【0080】
図12Eは、
図12Cに示すものと同様のパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。しかしながら、図示するインタフェース対向固定要素310’では、半円形スリットの列は、
図12Cに示す列より互いに近いように整列されている。実施形態では、半円形スリットは部分的に重なることができる。
【0081】
図12Fは、「階段」またはジグザグ形状を含むスリットのパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。
【0082】
図12Gは、インタフェース対向固定要素310’の中心に向かって長さが増大する連続した直線状のスリットのパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。スリットは、インタフェース対向固定要素310’の第2縁306と実質的に平行である。
【0083】
図12Hは、
図12Gに示すものと同様のパターンを含むインタフェース対向固定要素310’の例を示す。しかしながら、図示するインタフェース対向固定要素310’では、真ん中のスリットは、直線状であり、インタフェース対向固定要素310’の第2縁306に対して実質的に平行であり、他のスリットは、真ん中のスリットに向かって内向きに湾曲している。
【0084】
固定構造体300の図示する実施形態は、患者の顔面における患者インタフェース200の保持に役立つためには有用であるが、場合によっては、固定構造体300に加えられる力により、固定構造体300は患者の顔面から意図せずに持ち上げられることになる可能性があり、それは、患者および/または患者の世話をしている医療専門家に対して不都合である可能性がある。これは、固定構造体300から患者インタフェース200を除去するために加えられる力の一部が固定構造体300に伝達される可能性があるため、発生する可能性がある。たとえば、患者の頬に対して垂直な方向に、力が加えられる可能性がある。患者インタフェース200の除去時等、患者の頬から固定構造体300が意図せずに除去される可能性を低減させるために、患者の頬に対する固定構造体300の接着力は、患者インタフェース200に対する固定構造体300の接着力より大きくすることができる。患者の顔面から固定構造体300を除去するためには、患者の顔面と固定構造体300との間の接着力に打ち勝つ除去力を加えることができる。別法として、水等の除去剤の塗布等、除去機構により、患者の顔面と固定構造体300との間の接着力を低減させることができる。他の除去剤も企図される。
【0085】
図6Aは、患者対向領域301が患者の顔面に固定されている固定構造体300を示す。言い換えれば、患者対向領域301は、
図6Aのページ内に面している。図示するように、固定構造体300の第1縁304は、患者の鼻N、人中Pおよび/または口Mの方に面する。インタフェース対向固定要素310’は、患者インタフェース200の第1本体206Aの取付構造体216Aと結合するかまたはそれに取り付けられるように適合されている。いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’と適切に位置合せされると、患者インタフェース200の本体206A、206Bおよび/またはブリッジ204は、患者の口Mの上方にかつ人中Pを越えて載ることができる。
【0086】
場合によっては、患者の顔面に固定構造体300を維持しながら、固定構造体300への取付によって患者の顔面に配置されている患者インタフェース200を取り外すことが望ましい可能性がある。たとえば、これは、患者インタフェース200を洗浄しかつ/もしくは交換し、または、限定されないが経鼻胃チューブもしくは経鼻空腸チューブを含むチューブを顔面に固定するとき、望ましい可能性がある。しかしながら、患者の顔面に対する固定構造体300の固定強度が不十分であることにより、固定構造体300の一部が顔面から離れるように持ち上げらやすくなることが分かった。たとえば、インタフェース対向固定要素310’に対して持上げ力(たとえば、固定構造体300に対して実質的に垂直な力)がかけられることに応じて、患者の顔面から離れるように固定構造体300を持ち上げることができる。いくつかの構成では、患者インタフェース200が固定構造体300から除去されている間に、固定構造体300の持上げ力を加えることができる。固定構造体300と患者の顔面との間の固定強度は、たとえば、患者対向領域301の患者対向固定要素310の接着材料または粘着材料の接着力によって決まる可能性がある。場合によっては、患者対向固定要素310の全体、したがって固定構造体300を顔面から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、インタフェース対向固定要素310’に持上げ力がかけられると、(
図6Bにおいてページ内に面している)患者対向固定要素310に持上げ力を伝達することができる。
図6Bに図示するように、この力の伝達により、固定構造体300の第1縁304、または本体302の他の部分を顔面から持ち上げることができる。
【0087】
固定構造体300の1つまたは複数の部分の形状は、固定構造体300が、たとえば患者インタフェース200の除去時に、顔面から持ち上げられるのに耐える能力における要素であり得ることが分かった。特に、
図5A~
図6Bに示す固定構造体300の実施形態では、テーパ状の第1縁304は、固定構造体300にかけられる持上げ力によってもたらされる圧力を集中させて、固定構造体300が顔面から持ち上げられやすくする役割を果たす。実施形態では、固定構造体300の形状は、固定構造体300が顔面から除去される際の圧力分布プロファイルを確定するように選択することができる。
【0088】
図7A~
図7Eは、固定構造体300およびインタフェース対向固定要素310’の実施形態の限定しない例を示す。固定構造体300のさまざまな図示する実施形態の本体302は、上記実施形態のうちのいくつかに関連して記載したような、テーパ状となるかまたは幅が狭くなる第1縁ではなく、第1縁304の実質的に平坦なまたは直線状の実施形態を含む。平坦なまたは直線状の第1縁304により、持上げ力によってもたらされる圧力を、第1縁304の長さに沿って分散させることができる。実施形態では、固定構造体300のコーナは実質的に丸い。実施形態では、インタフェース対向固定要素310’のコーナは実質的に丸い。
【0089】
図7Aは、第2縁306が曲線的である固定構造体300の実施形態例を示す。第3縁308Aおよび第4縁308Bは、少なくとも部分的に曲線的である。インタフェース対向固定要素310’は、第3縁308Aと第4縁308Bとの間に画定された方向において、実質的に本体302のインタフェース対向領域301’の全体に沿って延在する。インタフェース対向固定要素310’は、第1縁304と第2縁306との間に画定された方向において、本体302のインタフェース対向領域301’に部分的に沿って延在する。結果として、第2縁306の一部は、インタフェース対向固定要素310’に隣接しない可能性がある。
【0090】
図7Bは、第2縁306が実質的に平坦であるかまたは直線状である、固定構造体300の実施形態例を示す。第3縁308Aおよび第4縁308Bは実質的に曲線的である。インタフェース対向固定要素310’は、本体302のインタフェース対向領域301’の実質的に全体を覆う。別法として、インタフェース対向固定要素310’は、インタフェース対向領域301’の少なくとも一部を覆うことができる。インタフェース対向領域301’は、インタフェース対向固定要素310’の周囲に境界または縁を提供することができる。使用者(たとえば、看護師または他の医療提供者)は、固定構造体300の縁を把持して、患者の顔面から固定構造体300を除去することができる。固定構造体300のサイズに対するインタフェース対向固定要素310’のサイズは、患者インタフェース200の除去中に固定構造体300に加えられる力によって固定構造体300が患者の顔面から除去されないように、構成することができる。
【0091】
図7Cは、第1縁304、第2縁306、第3縁308Aおよび第4縁308Bがすべて実質的に平坦であるかまたは直線状である、固定構造体300の実施形態例を示す。例として、固定構造体300は、実質的に正方形または実質的に矩形の形状を形成する。代替例では、固定構造体300のコーナは実質的に丸い。インタフェース対向固定要素310’は、本体302のインタフェース対向領域301’の実質的に全体を覆う。別法として、インタフェース対向固定要素310’は、インタフェース対向領域301’の少なくとも一部を覆う。インタフェース対向領域301’は、インタフェース対向固定要素310’の周囲に境界または縁を提供することができる。使用者(たとえば、看護師または他の医療提供者)は、固定構造体300の縁を把持して、患者の顔面から固定構造体300を除去することができる。固定構造体300のサイズに対するインタフェース対向固定要素310’のサイズは、患者インタフェース200の除去中に固定構造体300に加えられる力によって固定構造体300が患者の顔面から除去されないように、構成することができる。
【0092】
図7Dは、第1縁304、第2縁306、第3縁308Aおよび第4縁308Bがすべて実質的に平坦であるかまたは直線状である、固定構造体300の実施形態例を示す。インタフェース対向固定要素310’は、本体302のインタフェース対向領域301’の一部のみを覆う。特に、インタフェース対向固定要素310’は、第1縁304から、第1縁304と第2縁306との間の本体302の長さLに沿った位置まで延在し、第4縁308Bから、第3縁308Aと第4縁308Bとの間の本体302の幅Wに沿った位置まで延在する。図示するように、いくつかの構成では、本体302および/またはインタフェース対向固定要素310’は、概して正方形の周囲形状を有する。いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’は、対角線Vに沿って延在する平面を中心に実質的に対称であり得る。図示するように、いくつかの構成では、対角線Vは、第1縁304および第4縁308Bによって画定される頂点と、第2縁306および第3縁308Aによって画定される頂点との間に延在する。そして、固定構造体300は、顔面の両頬に配置されるように90度回転可能であり得る。実質的に対称の構造(たとえば、周囲形状)を備えた固定構造体300の実施形態により、利便性を向上させることができ、かつ/または医療機関が購入し、貯蔵し、維持する異なる部品の数を低減させることができる。
【0093】
図7Eは、第1縁304、第2縁306、第3縁308Aおよび第4縁308Bがすべて実質的に平坦であるかまたは直線状である、固定構造体300の実施形態例を示す。インタフェース対向固定要素310’は、第1縁304と第2縁306との間の本体302のインタフェース対向領域301’の長さの全体に沿って実質的に延在する。インタフェース対向固定要素310’は、第4縁308Bから第3縁308Aと第4縁308Bとの間の位置まで本体302のインタフェース対向領域301’の幅に沿って部分的にのみ延在する。
【0094】
図7Fおよび
図7Gは、固定構造体300の限定しない構成を示す。
図7Fは、縁のすべてが実質的に曲線的である実質的に楕円形状を有する固定構造体300の実施形態を示す。第1縁304は、その長さに沿ってわずかにテーパ状であるが、そのテーパは、
図5A~
図6Bに示す固定構造体のように延長部またはつまみで終端しない。第1縁304の曲率は、固定構造体300に持ち上げ力が加えられるときに、第1縁304に対して望ましくないように集中する圧力を回避しながら、審美的に美しい形状が与えられるというものである。
【0095】
図7Gは、実質的に三角形の形状、または曲線的である縁を備えたルーローの三角形状の形状もしくは「ギターピック」状の形状と同様の形状を有する固定構造体300の実施形態を示す。この形状は、実質的に対称であり、鼻の両側に配置されて、回転または再方向付けを必要とすることなく同じ機械的特徴を有することができる。同様に、第1縁304および第2縁306(この場合、いずれも、使用時に患者の鼻および/または口の方に面するように適合されている)は、曲線的であり、わずかにテーパ状であるが、固定構造体300に持上げ力が加えられるとき、第1縁304および第2縁306に対する望ましくないように集中する圧力を依然として回避する。
【0096】
固定構造体300に対する他の有用な形状が企図される。患者によっては、顔のゆがみ(たとえば、号泣または感情の表現による)または固定構造体300の不適切な取扱いにより、固定構造体300が眼またはまぶたの上を移動し、患者に対して瞬間の強圧または刺激をもたらす可能性がある。場合によっては、固定構造体300の本体302に、せん断力、たとえば固定構造体300を眼の方に付勢する力がかけられるとき、患者の眼内に押し込まれる可能性が低いように固定構造体300を形成することが望ましい。
【0097】
図13Aは、固定構造体300に対する限定しない構成のインタフェース対向図を示す。固定構造体300の図示する実施形態は、使用時に患者の鼻または口の方に面する第1縁304の実施形態と、使用時に患者の鼻または口から離れる方に面する第2縁306の実施形態とを含む。対向する第3縁308Aおよび第4縁308Bは、第1縁304と第2縁306との間に延在する。図示するように、第3縁308Aおよび第4縁308Bは、(たとえば、固定構造体300の長手方向軸に対して)凹状湾曲部を含むことができる。図示するように、いくつかの実施形態では、第3縁308Aおよび第4縁308Bは、反対方向に湾曲するかまたは面する湾曲部を含む。第3縁308Aおよび第4縁308Bは、第1縁304および第2縁306から遠い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分(たとえば、第3縁308Aおよび第4縁308Bの中心部分)より、第1縁304および第2縁306に近い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分において、本体302の中心線または中心部分からより一層突出している。第2縁306に近い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分は、第1縁304に近い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分より、本体302の中心線または中心部分からより一層突出している。第4縁308Bの凹状湾曲部は、眼、または下まぶた等のまぶたの輪郭に実質的に一致する。力ベクトルF
1に沿って示すような上向きの力が、固定構造体300の本体302にかけられると、第4縁308Bの凹状部の曲率は、固定構造体300の本体302が眼の領域の周囲でへこむかまたは移動する傾向を増大させる。これにより、たとえば、本体302は、下まぶたの輪郭をへこませる可能性があり、かつ/または本体302が眼または瞼の中または上に移動する傾向を低減させることができる。第3縁308Aおよび第4縁308Bの両方に凹状湾曲部が存在するため、固定構造体300は、同じ特性を維持しながら、顔のいずれの側でも使用されるようにおよそ180度回転することができる。
【0098】
図示するように、インタフェース対向固定要素310’は、固定構造体300のインタフェース対向領域301’にあり、したがって、患者の顔面から離れる方に面する。インタフェース対向固定要素310’は、本体302の中心部分からずれている。図示する構成では、インタフェース対向固定要素310’は、第2縁306より第1縁304に近いように位置決めされている。さらに、インタフェース対向固定要素310’の長さL1は、固定構造体300の本体302の長さL2より小さいかまたはそれに等しく、L2は、第1縁304と第2縁306との間の長さとして定義される。いくつかの構成では、長さの比L1:L2は、0.2~0.9の範囲、または0.3~0.8の範囲、または0.4~0.7の範囲、または0.5~0.6の範囲にあり得る。インタフェース対向固定要素310’が本体302の中心部分からずれており、長さL1およびL2がこうした比を有する場合、本体302のインタフェース対向固定要素310’から最も遠い部分、たとえば、本体302の第2縁306により近い部分は、固定構造体300を患者の顔面に取り付けるかまたはそこから取り外すとき、より優れた把持領域を提供することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、固定構造体300は、支持部分として作用することができる拡大した領域を有する。たとえば、固定構造体300は、第1縁304、第2縁306、第3縁308Aおよび/または第4縁308B等、タブまたは他の突起を含むことができる。支持部分により、使用者(たとえば、看護師)は、指または器具を用いて支持部分を作動させる(たとえば、押し下げる)ことができる。これは、管(たとえば、経鼻胃チューブまたは経鼻空腸チューブ)および/または患者インタフェースから固定構造体300を分離するのに役立つことができる。いくつかの変形では、支持部分は、患者から管を除去するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、支持部分は、固定構造体300を安定化させるのに役立つことができ、かつ/または患者の顔面における固定構造体300の分断を低減させることができる。
【0100】
図13Aに示す固定構造体300の変形が企図されることが理解されるべきである。たとえば、いくつかの構成では、使用時に、患者の眼またはまぶたの方に面する縁等、第3縁308Aまたは第4縁308Bのうちの一方のみに、凹状湾曲部が存在する場合がある。いくつかの構成では、凹状湾曲部がある代わりに、第3縁308Aまたは第4縁308Bのうちの一方は、第1縁304および第2縁306のうちの一方に近い第3縁308Aまたは第4縁308Bの部分においてのみ、固定構造体300の中心線または中心部分からさらに延在することができる。いくつかの構成では、第2縁306に近い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分は、第1縁304に近い第3縁308Aおよび第4縁308Bの部分より、本体302の中心線または中心部分から短い距離、またはおよそそれに等しい距離、突出することができる。いくつかの構成では、凹状湾曲部は、限定されないが三日月形状を含むより誇張した形状を有することができる。いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’は、固定構造体300の中心からずれているのではなく固定構造体300の中心またはその近くに存在することができる。いくつかの構成では、インタフェース対向固定要素310’は、固定構造体300のインタフェース対向領域301’の大部分または実質的に全体を占有することができる。
【0101】
図13Bは、断面C-Cに沿った
図13Aの固定構造体300の図を示す。図示するように、固定構造体300の本体302は厚さt
1を有し、インタフェース対向固定要素310’は厚さt
2を有する。本体302に対して、たとえば号泣または感情の表現による顔面の形状の変化に沿うことができるように、高い可撓性または低いヤング率が望ましいことが理解されている。本体302の厚さt
1は、たとえば、0.05mm~0.35mm、または0.10mm~0.30mm、または0.15mm~0.25mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、本体302の厚さt
1は、たとえば、0.05mm~5.0mm±10%、0.05mm~3.0mm±10%、0.1mm~1.0mm±10%、0.178mm~0.76mm±10%、0.178mm~0.381mm±10%、0.38mm~0.76mm±10%の範囲、またはおよそ0.76mm±10%であり得る。いくつかの実施形態では、本体302の厚さt
1は、0.178mmに等しいかまたはおよそ0.178mmである。いくつかの実施形態では、本体302の厚さt
1は、インタフェース対向固定要素310’の厚さt
2に等しいか、およそ等しいか、またはそれより小さい可能性がある。相対的に小さい厚さt
1を有する本体302は、固定構造体300の全体的な可撓性を増大させることができる。いくつかの実施形態では、本体302は、ヤング率の低い材料を含む。いくつかの変形では、本体302の全体または本体302の実質的に全体は、ヤング率の低い材料を含む。いくつかの構成では、本体302の可撓性を増大させることにより、本体302の患者対向領域301は、患者の顔面に強力には接着しない可能性がある。別法として、本体302の患者対向領域301と患者の顔面との間の接着力を増大させることにより、本体302の可撓性が低減する可能性がある。したがって、可撓性を維持しながら、本体302の患者対向領域301と患者の顔面との間の接着力を最適化することが望ましい。異なる材料は、本体302の可撓性および/または接着力に対して異なる影響を与える可能性がある。
【0102】
図14および
図15は、固定構造体300に対するさらなる限定しない実施形態のインタフェース対向図を示す。
図14および
図15の実施形態は、
図13Aの実施形態の特徴のうちの任意のものを含むことができる。たとえば、図示するように、
図14および
図15の実施形態は、本体302、第1縁304および第2縁306を含むことができる。第1縁304は、使用時に、患者の鼻または口の方に面することができ、第2縁306は、使用時に、患者の鼻または口から離れる方に面することができる。対向する第3縁308Aおよび第4縁308Bは、第1縁304と第2縁306との間に延在することができる。図示するように、第3縁308Aおよび第4縁308Bは、(たとえば、固定構造体300の長手方向軸に対して)凹状湾曲部を含むことができる。
【0103】
固定構造体300は、インタフェース対向固定要素310’を含むことができる。インタフェース対向固定要素310’は、固定構造体300のインタフェース対向領域301’にあり、したがって、患者の顔面から離れる方に面する。インタフェース対向固定要素310’は、本体302の中心部分からずれている可能性がある。図示する構成では、インタフェース対向固定要素310’は、第2縁306より第1縁304に近いように位置決めされている。
【0104】
インタフェース対向固定要素310’は、1つまたは複数のスリットを含むことができる。スリットは、スリットの形状の交互の列を含むパターンであり得る。たとえば、図示するように、各列は、両側の列に対して反対の方向に面し、かつ両側の列から少なくとも部分的にずれている形状を備えた、弓形および/または半円形スリットを含むことができる。いくつかの実施形態では、スリットの列の一部は、固定構造体300の長手方向において部分的に重なっている。
【0105】
場合によっては、使用時、固定構造体300の周囲に、涙、粘液、吐物もしくは他の液体または液体固体混合物が存在する可能性がある。こうした物質の存在により、患者に対する固定構造体300の患者対向領域301の接着力が低減する可能性がある。液体または液体固体混合物の存在による患者対向領域301の顔面に対する接着力の喪失を低減させるように、固定構造体300の本体302を、比較的低い吸湿性を有する材料から構成することが望ましいことが理解されている。
【0106】
図8Aは、インタフェース対向固定要素310’を含む固定構造体300に対する例示的な限定しない構成を示す。インタフェース対向固定要素310’は、患者インタフェース200の取付構造体216A、216Bのうちの一方との「フック・ループ」型接続を形成するフック状パッドを含む。フック状パッドはフック314を含む。
図8Bは、第1縁304から見て点線A-Aに沿った拡大断面を示す。図示するように、フック314は、固定構造体300の本体302の第4縁308Bに向かって延在している。いくつかの構成では、フック314は、さらにまたは別法として、固定構造体300の本体302の第3縁308Aに向かって延在している。場合によっては、固定構造体300が、幼児または新生児等の患者の顔面で使用される場合、患者を傾けて、第1縁304または第2縁306のいずれかを把持し、固定構造体300の長さを横切ってそれぞれの縁を引っ張ることにより、固定構造体300を除去するように試みられる。フック・ループ固定の強度は、フック314の向きに対して異方性であることが理解されている。
【0107】
いくつかの構成では、
図9Aおよび
図9Bに示すように、フック314は、第2縁306に向かって延在するように配置することができる。(
図9Bは、第3縁308Aから見て線B-Bに沿った
図9Aの断面である。)他の構成では、フック314は、第1縁304、第2縁306、または第1縁304および第2縁306に向かって延在するように配置することができる。フック314が、第1縁304および/または第2縁306に向かって延在するように配置されている場合、フック・ループ固定の強度は、第1縁304および/または第2縁306に対して実質的に平行な軸に沿って力が加えられる場合より、第3縁308Aおよび/または第4縁308Bに対して実質的に平行な軸に沿って力が加えられる場合の方が、分離がより強く抵抗されるようなものであり得る。フック314に対して相補的なループが、こうした力が加えられるときに、フック314に対して実質的に垂直な方向に付勢されるのではなく、フック314の長さに向かってかつ/またはそれに対して実質的に付勢されるため、力はより強く抵抗される。いくつかの構成では、フック314は、複数の方向に延在することができる。いくつかのこうした構成では、フック314は、フック・ループ固定の強度の異方性を緩和するように、たとえば実質的に垂直な方向に延在することができる。いくつかの構成では、フック314の角度は、異なる用途に適合するように変更することができる。いくつかの構成では、異なる角度の組合せを用いて、インタフェース対向固定要素310’と患者インタフェース200との間の固定の強度を確定することができる。固定強度を補助するために、複数の異なる角度および/または異なる方向にフック314を位置決めすることができる。
【0108】
実施形態では、
図5Cおよび
図11A~
図12Hに示すスリットの実施形態のうちの少なくとも1つとフック314の構成との組合せを用いて、患者インタフェース200とのインタフェース対向固定要素310’の固定強度および/または可撓性を最大限にすることができる。
【0109】
図10Aは、患者の顔面の皮膚表面Sにおける固定構造体300の使用を示す。患者対向領域301は、皮膚表面Sに接着する材料、たとえば、親水コロイド系接着剤から構成することができる、患者対向固定要素310を含む。図示するように、顕微鏡レベルでは、皮膚表面Sは、皮膚表面Sに沿った不規則な厚さを含み、複数の出っ張りおよび間隙Gを含む。患者対向固定要素310は、皮膚表面Sに適用されると、最初は、皮膚表面Sの一部にのみ接着する(
図10Aの左側の図面を参照)。期間tの間に、接着性の患者対向固定要素310は、間隙Gに流れ込み、接着力を増大させる(
図10Aの右側の図面を参照)。しかしながら、固定構造体300が皮膚表面Sから除去されるときに不快感があり、それは、場合によっては、皮膚表面Sの体毛および角質層の一部が同時に除去されるためである、ということが理解されている。さらに、場合によっては、皮膚表面Sに接着剤を塗布した後、折々の接着剤の強度を予測することは困難である。
【0110】
図10Bは、固定構造体300の実施形態の使用を示し、そこでは、患者対向固定要素310は、シリコーン系接着剤から構成されている。図示するように、顕微鏡レベルで、皮膚表面への適用時、患者対向固定要素310は、迅速に間隙Gに流れ込み、急速に皮膚に対する最大接着力に達する。したがって、接着剤の塗布後の折々の接着剤の強度は、より予測可能になる。シリコーン系接着剤は、親水コロイド系接着剤より接着力が低く、親水コロイド系接着剤より除去するために必要な力が小さい。接着剤と皮膚との間の接触面積を増大させることにより、それらの間の十分な接着力を可能にし、固定構造体300が除去されるときの皮膚表面の一部の除去を低減させることができる。患者対向固定要素310がシリコーン系接着剤から構成されている場合、皮膚からの固定構造体300の除去または取外しの不快感を低減させることができる。
【0111】
別段文脈から明らかに必要でない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「備える」、「備えている」等の用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「含むが限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0112】
上述した説明において、既知の均等物を有する完全体または構成要素について言及しているが、それらの完全体または構成要素は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0113】
開示した方法、装置およびシステムはまた、本開示において個別にまたはまとめて言及されるかまたは示される部品、要素および特徴を、前記部品、要素または特徴のうちの2つ以上の任意のまたはすべての組合せで含むようにも広義に言うことができる。さらに、本開示は、さまざまな実施形態のさまざまな特徴、態様、方法、特性、特質、品質、属性、要素等の組合せを含む。たとえば、本明細書におけるある実施形態に関連する任意の特定の特徴、態様、方法、特性、特質、品質、属性、要素等は、本明細書における他の任意の実施形態に関連して使用することができる。
【0114】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する言及も、その先行技術が、世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成するという承認またはいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書で用いるような「およそ」、「約」、「概して」および「実質的に」という用語等、本明細書で用いる程度の文言は、依然として所望の機能を実行するかまたは所望の結果を達成する、述べられている値、量または特徴に近い値、量または特徴を表す。述べられている値、量または特徴からのずれは、たとえば、「概して平行な」および「実質的に平行な」という用語は、15度、10度、5度、3度、1度、0.1度等以下、厳密に平行であることから逸脱することができる値、量または特徴を指す。
【0116】
いくつかの実施形態について、添付図面に関連して記載した。図は、正確な尺度で描かれていないが、こうした尺度は限定するものであるべきではない。図示されているもの以外の寸法および比が企図され、本開示の範囲内にある。距離、角度、形状等は、単に例示的なものであり、必ずしも、図示する装置の実際の寸法および配置に厳密に関連するとは限らない。構成要素を追加し、除去し、かつ/または再配置することができる。
【0117】
いくつかの実施形態に関して本開示について記載したが、当業者には明らかである他の実施形態もまた、本開示の範囲内にある。したがって、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変形および変更を行うことができる。たとえば、要求に応じてさまざまな構成要素を再配置することができる。さらに、本開示を実施するために、特徴、態様および利点の必ずしもすべてが必要であるとは限らない。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。