(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】迅速解除機構体付きレチクルポッド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
H01L21/68 T
(21)【出願番号】P 2021040677
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】9F.,No.2,Sec.4,Zhongyang Rd.,Tucheng Dist.,New Taipei,Taiwan236
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】林 書弘
(72)【発明者】
【氏名】李 國華
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-166065(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181255(JP,U)
【文献】特開2001-110886(JP,A)
【文献】特表2008-531416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルポッドであって、
担持面および前記担持面
に設けられた複数の取り付け用受座を備えた下側カバーと、
レチクルまたはレチクルキャリヤを支持するために上方に延びる支持部材および前記支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む支持機構体とを有し、前記取り付け部材は、前記取り付け用受座のうちの対応の取り付け用受座に取り外し可能に連結され、その結果、前記支持機構体が前記下側カバーに装着されるよう構成され
、
前記取り付け部材は、少なくとも1つの可撓性脚を有し、少なくとも1つの保持部材が前記脚の遠位端部のところに設けられ、対応の前記取り付け用受座は、前記可撓性脚の前記保持部材を受け入れて該保持部材を固定するよう構成された少なくとも1つの切り欠きを有する、レチクルポッド。
【請求項2】
前記支持部材は、前記レチクルの底部に接触する少なくとも1つの第1の支持柱状体および前記レチクルの側方変位を制限する少なくとも1つの第2の支持柱状体を有する、請求項1記載のレチクルポッド。
【請求項3】
レチクルポッドであって、
当接面および前記当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーを有し、
担持面および前記担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーを有し、
レチクルまたはレチクルキャリヤの底部を支持するために上方に延びる支持部材および前記支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む少なくとも1つの第1の支持機構体を有し、前記取り付け部材は、前記第1の支持機構体が前記下側カバーに装着されるよう対応の前記下側カバーと受座に取り外し可能に結合するよう構成され、
前記レチクルまたは前記レチクルキャリヤの頂部に当接する当接部分および前記当接部分に結合する接合部分を含む少なくとも1つの第2の支持機構体を有し、前記接合部分は、前記第2の支持機構体が前記上側カバーに装着されるよう対応の前記上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成されている、レチクルポッド。
【請求項4】
前記上側カバー取り付け用受座は、対応の前記接合部分に結合される多数の突出ウィング部分を有する、請求項
3記載のレチクルポッド。
【請求項5】
前記第2の支持機構体の前記接合部分を貫通して開口部が設けられ、前記開口部は、対応の前記上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、前記開口部は、対応の前記上側カバー取り付け用受座を前記開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する、請求項
4記載のレチクルポッド。
【請求項6】
前記開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、前記上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、前記開口部は、前記第2のリブを第1の回転方向に沿って前記第1のリブ上で摺動させることができるが、前記第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている、請求項
5記載のレチクルポッド。
【請求項7】
レチクルポッドであって、
当接面および前記当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、
担持面および前記担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーと、
レチクルまたはレチクルキャリヤの底部または頂部に接触する少なくとも1つの支持機構体とを有し、前記支持機構体は、対応の前記上側カバー取り付け用受座または対応の前記下側カバー取り付け用受座に回転的に取り外し可能に連結されるよう構成されている、レチクルポッド。
【請求項8】
前記上側カバー取り付け用受座は、多数の突出ウィング部分を有する、請求項
7記載のレチクルポッド。
【請求項9】
前記支持機構体は、前記レチクルの頂部に当接する当接部分および前記当接部分に結合する接合部分を含み、前記接合部分を貫通して開口部が設けられ、前記開口部は、対応の前記上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、前記開口部は、対応の前記上側カバー取り付け用受座を前記開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する、請求項
8記載のレチクルポッド。
【請求項10】
前記開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、前記上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、前記開口部は、前記第2のリブを第1の回転方向に沿って前記第1のリブ上で摺動させることができるが、前記第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている、請求項
9記載のレチクルポッド。
【請求項11】
前記支持機構体は、前記レチクルの底部を支持するために上方に延びる支持部材および前記支持部材と反対側に位置する取り付け部を含む、請求項
7記載のレチクルポッド。
【請求項12】
前記下側カバー取り付け用受座を貫通して開口部が設けられ、前記開口部は、前記支持機構体の前記取り付け部材が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、前記開口部は、前記支持機構体の前記取り付け部材を前記開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する、請求項
11記載のレチクルポッド。
【請求項13】
前記支持部材は、第1の傾斜面、第2の傾斜面および第3の傾斜面を有し、前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面は、前記第3の傾斜面が前記第1および前記第2の傾斜面から落ちた粒子を排出するために前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面との間に
設けられ、前記レチクルに接触するよう構成されている、請求項
7記載のレチクルポッド。
【請求項14】
前記第3の傾斜面は、多数の傾斜面を含む、請求項
13記載のレチクルポッド。
【請求項15】
レチクルポッドであって、
当接面および前記当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーを有し、
担持面および前記担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーを有し、
レチクルまたはレチクルキャリヤを支持するために上方に延びる支持部材および前記支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む少なくとも1つの第1の支持機構体を有し、前記取り付け部材は、前記第1の支持機構体が前記下側カバーに装着されるよう対応の前記下側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成され、前記取り付け部材は、雄型‐雌型連結部によって対応の前記下側カバー取り付け用受座に結合するよう構成され、
前記レチクルの頂部に当接する当接部分および前記当接部分に結合する接合部分を含む少なくとも1つの第2の支持機構体を有し、前記接合部分は、前記第2の支持機構体が前記上側カバーに装着されるよう対応の前記上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成され、前記接合部分は、雄型‐雌型連結部によって前記上側カバー取り付け用受座に結合するよう構成されている、レチクルポッド。
【請求項16】
前記上側カバー取り付け用受座は、多数の突出ウィング部分を有し、前記第2の支持機構体の前記接合部分を貫通して開口部が設けられ、前記開口部は、前記突出ウィング部分が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、前記開口部は、前記突出ウィング部分を前記開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する、請求項
15記載のレチクルポッド。
【請求項17】
前記第1の支持機構体の前記取り付け部材と前記下側カバー取り付け用受座との前記雄型‐雌型連結部は、前記第1の支持機構体が前記下側カバー取り付け用受座に対して相対的に回転するのを阻止する、請求項
15記載のレチクルポッド。
【請求項18】
前記第1の支持機構体は、側方延長部分、第1の傾斜アームおよび第2の傾斜アームを含み、前記第1の傾斜アームおよび前記第2の傾斜アームは、前記レチクルまたは前記レチクルキャリヤを支持するよう構成されている、請求項
15記載のレチクルポッド。
【請求項19】
レチクルポッドであって、
当接面および前記当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、
レチクルまたはレチクルキャリヤの頂部に当接する当接部分および前記当接部分に結合された接合部分を含む支持機構体とを有し、前記接合部分は、前記支持機構体が前記上側カバーに装着されるよう対応の前記上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成され
、
前記上側カバー取り付け用受座は、対応の前記接合部分に結合する多数の突出ウィング部分を有する、レチクルポッド。
【請求項20】
前記支持機構体の前記接合部分を貫通して開口部が設けられ、前記開口部は、
前記突出ウィング部分を備える前記上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、前記開口部は、
前記突出ウィング部分を備える前記上側カバー取り付け用受座を
前記開口部内で前記開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する、請求項
19記載のレチクルポッド。
【請求項21】
前記開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、前記上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、前記開口部は、前記第2のリブを第1の回転方向に沿って前記第1のリブ上で摺動させることができるが、前記第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている、請求項
20記載のレチクルポッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容(本発明)は、レチクルポッド、特に迅速解除機構体付きのレチクルポッドに関する。
【背景技術】
【0002】
レチクルは、半導体業界において製造プロセス中、運搬のためにレチクルポッド内に入れられる。レチクルが先行技術のレチクルポッド内に入れられると、レチクルを支持している支持機構体の傾斜部、球体または筒体の当接面(これは、レチクルに当接している)が衝突の繰り返しに起因して摩耗する場合がある。かかる衝突は、支持機構体をさらに摩耗させる場合があり、その結果として望ましくない粒子が生じる。典型的には、摩耗がひどい場合、唯一の解決策は、レチクルポッドを交換することであり、これは資源の無駄遣いになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、支持機構体の摩耗に起因して生じる粒子に関連した上述の問題を解決するとともに資源の無駄ならびに製造費を減少させる改良型レチクルポッドが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述の問題、例えば頻繁に生じる摩耗によりレチクルの当接面から生じる粒子およびハードウェアの無駄を解決するために迅速解除機構体付きのレチクルポッドを提供する。
【0005】
本発明は、レチクルポッドであって、担持面および担持面から延びる複数の取り付け用受座を備えた下側カバーと、レチクルまたはレチクルキャリヤを支持するために上方に延びる支持部材および支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む支持機構体とを有することを特徴とするレチクルポッドを提供する。取り付け部材は、取り付け用受座のうちの対応の取り付け用受座に取り外し可能に連結され、その結果、支持機構体がオプションとして下側カバーに装着されるよう構成されている。
【0006】
一実施形態では、取り付け部材は、少なくとも1つの可撓性脚を有し、少なくとも1つの保持部材が脚の遠位端部のところに設けられ、対応の取り付け用受座は、可撓性脚の保持部材を受け入れてこの保持部材を固定するよう構成された少なくとも1つの切り欠きを有する。
【0007】
一実施形態では、取り付け部材は、螺合によって対応の取り付け用受座に結合するよう構成され、取り付け用受座は、担持面から上方に延びるねじ山付き柱状体である。
【0008】
一実施形態では、取り付け部材は、雄型‐雌型連結部によって対応の取り付け用受座に結合し、それにより支持機構体を対応の取り付け用受座に対して相対的に回転するのを阻止するよう構成されている。
【0009】
一実施形態では、取り付け部材は、雌型コネクタであり、対応の取り付け用受座は、雄型コネクタである。
【0010】
一実施形態では、支持部材は、レチクルの底部に接触する少なくとも1つの第1の支持柱状体およびレチクルの側方変位を制限する少なくとも1つの第2の支持柱状体を有する。
【0011】
本発明は、レチクルポッドであって、当接面および当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、担持面および担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーと、レチクルまたはレチクルキャリヤの底部を支持するために上方に延びる支持部材および支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む少なくとも1つの第1の支持機構体とを有し、取り付け部材は、第1の支持機構体がオプションとして下側カバーに装着されるよう対応の下側カバーと受座に取り外し可能に結合するよう構成され、レチクルポッドは、レチクルまたはレチクルキャリヤの頂部に当接する当接部分および当接部分に結合する接合部分を含む少なくとも1つの第2の支持機構体をさらに有し、接合部分は、第2の支持機構体がオプションとして上側カバーに装着されるよう対応の上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成されていることを特徴とするレチクルポッドを提供する。
【0012】
一実施形態では、上側カバー取り付け用受座は、対応の接合部分に結合される多数の突出ウィング部分を有する。
【0013】
一実施形態では、第2の支持機構体の接合部分を貫通して開口部が設けられ、開口部は、対応の上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、開口部は、対応の上側カバー取り付け用受座を開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する。
【0014】
一実施形態では、開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、開口部は、第2のリブを第1の回転方向に沿って第1のリブ上で摺動させることができるが、第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている。
【0015】
本発明は、レチクルポッドであって、当接面および当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、担持面および担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーと、レチクルまたはレチクルキャリヤの底部または頂部に接触する少なくとも1つの支持機構体とを有し、支持機構体は、対応の上側カバー取り付け用受座または対応の下側カバー取り付け用受座に回転的に取り外し可能に連結されるよう構成されていることを特徴とするレチクルポッドを提供する。
【0016】
一実施形態では、上側カバー取り付け用受座は、多数の突出ウィング部分を有する。
【0017】
一実施形態では、支持機構体は、レチクルの頂部に当接する当接部分および当接部分に結合する接合部分を含み、接合部分を貫通して開口部が設けられ、開口部は、対応の上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、開口部は、対応の上側カバー取り付け用受座を開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する。
【0018】
一実施形態では、開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、開口部は、第2のリブを第1の回転方向に沿って第1のリブ上で摺動させることができるが、第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている。
【0019】
一実施形態では、支持機構体は、レチクルの底部を支持するために上方に延びる支持部材および支持部材と反対側に位置する取り付け部を含む。
【0020】
一実施形態では、下側カバー取り付け用受座を貫通して開口部が設けられ、開口部は、支持機構体の取り付け部材が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、開口部は、支持機構体の取り付け部材を開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する。
【0021】
一実施形態では、支持部材は、第1の傾斜面、第2の傾斜面および第3の傾斜面を有し、第1の傾斜面および第2の傾斜面は、第3の傾斜面が第1および第2の傾斜面から落ちた粒子を排出するために第1の傾斜面と第2の傾斜面との間にサンドイッチされている間、レチクルに接触するよう構成されている。
【0022】
一実施形態では、第3の傾斜面は、多数の傾斜面を含む。
【0023】
本発明は、レチクルポッドであって、当接面および当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、担持面および担持面上に配置された複数の下側カバー取り付け用受座を備えた下側カバーと、レチクルまたはレチクルキャリヤを支持するために上方に延びる支持部材および支持部材と反対側に位置する取り付け部材を含む少なくとも1つの第1の支持機構体とを有し、取り付け部材は、第1の支持機構体がオプションとして下側カバーに装着されるよう対応の下側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成され、取り付け部材は、雄型‐雌型連結部によって対応の下側カバー取り付け用受座に結合するよう構成され、レチクルポッドは、レチクルの頂部に当接する当接部分および当接部分に結合する接合部分を含む少なくとも1つの第2の支持機構体をさらに有し、接合部分は、第2の支持機構体がオプションとして上側カバーに装着されるよう対応の上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成され、接合部分は、雄型‐雌型連結部によって上側カバー取り付け用受座に結合するよう構成されていることを特徴とするレチクルポッドを提供する。
【0024】
一実施形態では、上側カバー取り付け用受座は、多数の突出ウィング部分を有し、第2の支持機構体の接合部分を貫通して開口部が設けられ、開口部は、突出ウィング部分が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、開口部は、突出ウィング部分を開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する。
【0025】
一実施形態では、第1の支持機構体の取り付け部材と下側カバー取り付け用受座との雄型‐雌型連結部は、第1の支持機構体が下側カバー取り付け用受座に対して相対的に回転するのを阻止する。
【0026】
一実施形態では、第1の支持機構体は、側方延長部分、第1の傾斜アームおよび第2の傾斜アームを含み、第1の傾斜アームおよび第2の傾斜アームは、レチクルまたはレチクルキャリヤを支持するよう構成されている。
【0027】
本発明は、レチクルポッドであって、当接面および当接面上に配置された複数の上側カバー取り付け用受座を備えた上側カバーと、レチクルまたはレチクルキャリヤの頂部に当接する当接部分および当接部分に結合された接合部分を含む支持機構体とを有し、接合部分は、支持機構体がオプションとして上側カバーに装着されるよう対応の上側カバー取り付け用受座に取り外し可能に結合するよう構成されていることを特徴とするレチクルポッドを提供する。
【0028】
一実施形態では、上側カバー取り付け用受座は、対応の接合部分に結合する多数の突出ウィング部分を有する。
【0029】
一実施形態では、支持機構体の接合部分を貫通して開口部が設けられ、開口部は、上側カバー取り付け用受座が入ることができまたは出ることができる第1のチャネルを有し、開口部は、上側カバー取り付け用受座を開口部に対して相対的に回転させることができる第2のチャネルを有する。
【0030】
一実施形態では、開口部は、少なくとも1つの第1のリブを有し、上側カバー取り付け用受座は、少なくとも1つの第2のリブを有し、開口部は、第2のリブを第1の回転方向に沿って第1のリブ上で摺動させることができるが、第2のリブを第2の回転方向に沿って回転させるのを阻止するよう形作られている。
【0031】
本発明の実際の実施形態に関し、図面に示されている要素の縮尺は、限定的な意味に解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係るレチクルポッド(上側カバーが取り外されている)とレチクルとの関係を示す略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るレチクルポッドの支持機構体を示す部分拡大略図である。
【
図3】本発明の別の実施形態に係るレチクルポッドの支持機構体を示す部分拡大略図である。
【
図4】本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッドの支持機構体を示す部分拡大略図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るレチクルポッドの外観を示す斜視図である。
【
図6A】本発明の実施形態に係るレチクルポッドの外観を示す平面図である。
【
図7】
図6Bに示されたレチクルポッドの支持機構体の部分拡大断面図である。
【
図8】上側カバー固定用受座から分離されているレチクルポッドの上側カバー支持機構体を示す図である。
【
図9A】第1の状態におけるレチクルポッドの上側カバーの底面図である。
【
図9B】
図9Aに示された上側カバー支持機構体のうちの1つの拡大図である。
【
図9C】
図9Aに示されたBB線に沿って取った上側カバー支持機構体の部分断面図である。
【
図10A】第2の状態におけるレチクルポッドの上側カバーの底面図である。
【
図10C】
図10Aに示されたCC線に沿って取った上側カバー支持機構体の部分断面図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係るレチクルポッド(上側カバーが取り外されている)およびレチクルを示す斜視図である。
【
図12A】
図11のDD線に沿って取った本発明の実施形態に係る支持機構体の断面図である。
【
図12B】
図11に示されたDD線に沿って取った本発明の別の実施形態に係る支持機構体の断面図である。
【
図12C】
図11に示されたDD線に沿って取った本発明のさらに別に実施形態に係る支持機構体の断面図である。
【
図13A】本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド(上側カバーが取り外されている)およびレチクルを示す斜視図である。
【
図13B】
図13Aに示された支持機構体(組立ステップ前における)を示す斜視図である。
【
図14A】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスを示す図である。
【
図14B】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスを示す図である。
【
図14C】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスを示す図である。
【
図14D】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスの断面図である。
【
図14E】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスの断面図である。
【
図14F】下側カバー支持機構体を下側カバーの固定用受座上に設置するプロセスの断面図である。
【
図15A】本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド(上側カバーが取り外されている)およびレチクルを示す正面図である。
【
図15B】
図15Aに示されているレチクルと1つの下側カバー支持機構体との接触状態を示す部分拡大断面図である。
【
図15C】下側カバー支持機構体およびレチクルを示す別の断面斜視図である。
【
図15D】下側カバー支持機構体の部分斜視図である。
【
図16A】本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド(上側カバーが取り外されている)およびレチクルキャリヤを示す斜視図である。
【
図16C】レチクルポッドの下側カバー支持機構体を示す斜視図である。
【
図16D】レチクルポッドの下側カバーおよび下側カバー支持機構体を示す斜視図である。
【
図16E】
図16Aに示されたFF線に沿って取った下側カバー支持機構体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、レチクルポッド、特に迅速解除機構体付きのレチクルポッドを提供する。本明細書に組み込まれた添付の図面は、本発明の実施形態を詳細に示している。これら添付の図面では、同一および/または均等な要素は、同一の参照符号で示されている。
【0034】
本発明の種々の実施形態が本明細書において開示される。それにもかかわらず、開示する実施形態は、本発明の種々の形態を示すための実施例として用いられる。特定の実施形態に関して提供される各図面は、一実施例として意図されているに過ぎず、本発明を限定するものとして意図されてはいない。加うるに、図面は、必ずしも、実際の縮尺に比例してはおらず、幾つかの特徴は、特定の要素の細部を誇張するために拡大されている場合がある(図面に示されている全ての縮尺、材料、その他は、本発明の限定としてではなく、実施例として提供されているに過ぎない)。したがって、本明細書において開示する特定の構造および機能の細部は、本発明を限定するものと解されてはならない。これとは異なり、かかる細部は、本明細書において開示する本発明の実施形態をどのようにして実施するかを当業者に教示するための基礎として用いられるのに過ぎない。
【0035】
図1は、本発明にかかるレチクルポッド100およびレチクル10を示す略図であり、特に、図面は、レチクル10がレチクルポッド100(上側カバーは示されていない)内に収容されている図を示している。レチクルポッド100は、下側カバー120および複数の支持機構体140を有し、これら支持機構体は、取り外し可能な手段によって下側カバー120に連結されている。実施形態の詳細な説明が以下に提供される。特に、下側カバー120は、担持面122および複数の取り付け用受座124を有し、これら取り付け用受座は、担持面上に分布して配置された状態で支持機構体140に結合するよう用いられる。取り付け用受座124と支持機構体140は一緒になって、レチクル10を担持面122の上方に持ち上げる。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係るレチクルポッド100の1つの支持機構体140を示す部分拡大略図である。支持機構体140は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部材142および下側カバー120に向くよう支持部材142と反対側に位置した取り付け部材144を含み、取り付け部材144は、支持機構体140を下側カバー120上に選択的に設置できるよう対応の取り付け用受座124に取り外し可能に連結される。この実施形態では、取り付け部材144は、2つの可撓性脚145を有し、各可撓性脚145は、その端部のところに位置する保持部材146を有する。取り付け用受座124は、可撓性脚145の保持部材146を受け入れて安定的に収容するよう構成された2つの切り欠き147を有する。例えば、取り付け用受座124は、摺動溝を備えるのが良く、これら摺動溝により、支持機構体140の可撓性脚145の保持部材146は、取り付け用受座124の表面に沿って対応の切り欠き147中に滑り込むことができる。支持機構体140は、加圧機構体を備えるのが良く、この加圧機構体は、可撓性脚145の保持部材146を対応の切り欠き147から解除するよう作動可能であり、保持部材146は、鍵型の形をしていても良くまたは他の形態を有しても良い。
【0037】
図3は、本発明の別の実施形態に係るレチクルポッド100の支持機構体140を示す部分拡大略図である。支持機構体140は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部材142および下側カバー120に向くよう支持部材142と反対側に位置した取り付け部材144を含み、取り付け部材144は、支持機構体140を下側カバー120上に選択的に設置できるよう対応の取り付け用受座124に取り外し可能に連結される。取り付け部材144は、ロック可能な仕方で取り付け用受座124に連結されるよう構成され、取り付け用受座124は、担持面122から上方に延びる固定用柱状体であり、この取り付け用受座は、その頂部のところに位置するキャップ部分125を有する。支持機構体140の取り付け部材144およびキャップ部分125は、適正な嵌め合いによって互いに連結されるのが良い。例えば、取り付け部材144およびキャップ部分125は、嵌合する構造的形態を有するのが良く、その結果、取り付け部材144は、キャップ部分125にはまることができ、そして嵌合式構造的形態に起因して回転しないようになっているのが良い。変形例として、取り付け部材144は、摩擦によってキャップ部分125に連結されても良い。
【0038】
別の実施形態では、取り付け部材144は、ねじ山を備えるのが良く、これに対し、対応の取り付け柱状体124またはキャップ部分125は、取り付け部材144に設けられたねじ山とかみ合うことができる別のねじ山を有する。
【0039】
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド100の支持機構体140を示す部分拡大略図である。同様に、支持機構体140は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部材142および支持部材142と反対側に位置した取り付け部材144を含み、取り付け部材144は、支持機構体140を下側カバー120上に選択的に設置できるよう対応の取り付け用受座124に取り外し可能に連結される。取り付け部材144および固定用受座144は、嵌合式連結部を形成するよう構成され、取り付け部材144は、雌型コネクタであり、取り付け用受座124は、雄型コネクタであり、またはこれとは逆の関係になっていても良い。
図3に示された実施形態と同様、雌型コネクタおよび雄型コネクタは、取り付け用受座124に対する取り付け部材144の回転を阻止するよう嵌合式構造的形態を有するのが良い。
【0040】
図2~
図4を参照されたい。一実施形態では、支持部材142は、レチクル10の底面に接触する少なくとも1つの第1の支持柱状体143aおよびレチクル10の側部の変位を阻止する少なくとも1つの第2の支持柱状体143bをさらに有する。しかしながら、本発明では、支持柱状体の数には制限がない。
【0041】
図5は、一実施形態に係るレチクルポッド500の外観を示す斜視図である。レチクルポッド500は、内側レチクルポッドまたはレチクルキャリヤを収容する外側レチクルポッドであるのが良い。
図6Aは、レチクルポッド500の平面図であり、
図6Bは、
図6AのAA線に沿って取ったレチクルポッド500の断面図である。
図5、
図6Aおよび
図6Bは、レチクルポッド500とレチクル10との関係を示している。レチクル10は、レチクルポッド500内に収容され、このレチクルポッドは、下側カバー520、下側カバー支持機構体540、上側カバー560、および上側カバー支持機構体580を有する。上側カバー560および下側カバー520は、レチクルポッド500内に収容空間を画定する。変形例として、レチクル10の収容とは別に、レチクルポッド500はまた、内側レチクルポッドまたは他形式のキャリヤ(例えば、ペリクル包装用容器)を収容するのが良い。下側カバー520は、担持面522上に分布して設けられた複数の下側カバー取り付け用受座524を有する。各下側カバー機構体540は、取り外し可能な手段によって下側カバー520上に設けられている下側カバー取り付け用受座524に連結される。下側カバー支持機構体540は、レチクル10の底部を支持するために用いられる。上側カバー560は、当接面562および当接面562上に分布して設けられた複数の上側カバー取り付け用受座564を有する。各上側カバー支持機構体580は、取り外し可能な手段によって上側カバー560上の上側カバー取り付け用受座564に連結される。上側カバー支持機構体580は、レチクル10の頂部に当接するために用いられる。
【0042】
図7は、
図6Bに示されたレチクルポッド500の別の断面斜視図である。レチクルポッド500内に収容されたレチクル10が下側カバー支持機構体540と上側カバー支持機構体580との間に閉じ込められていることがわかる。下側カバー支持機構体540は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部分542および支持部分540と反対側に位置しかつ下側カバー520に向いた取り付け部材544を含む。取り付け部材544は、下側カバー支持機構体540を下側カバー520上に選択的に設置できるよう対応の取り付け用受座523に取り外し可能に連結されている。この実施形態では、取り付け部材544は、ロック可能な仕方で取り付け用受座524に連結され、取り付け部材544はさらに、ねじ山を備えるのが良く、これに対し、対応の取り付け用受座524は、取り付け部材544に設けられているねじ山と螺合することができる別のねじ山を有するのが良い。
【0043】
図8は、上側カバー取り付け用受座564から分離されている上側カバー支持機構体580を示している。上側カバー560は、当接面562および当接面562上に分布して設けられた複数の上側カバー取り付け用受座564を有する。当接面562は、上側カバー560の内側の下方に向いた表面であり、この下方に向いた表面は、下側カバー520とは接触関係にはない。上側カバー取り付け用受座564の各々は、当接面562から下方に延びる構造体である。この実施形態では、上側カバー取り付け用受座564は、筒体部分および筒体部分から側方に延びる2つの突出したウィング部分565a,565bを有する。他の考えられる実施形態では、上側カバー取り付け用受座564は、上側カバー560の内側の側面上に配置されるのが良い。各上側カバー支持機構体580は、取り外し可能な手段によって上側カバー560上の上側カバー取り付け用受座564に連結され、連結方法については以下に提供される。
【0044】
図9Aは、第1の状態にあるレチクルポッド500の上側カバー560の底面図である。
図9Bは、
図9Aの上側カバー支持機構体580のうちの1つが1つの上側カバー取り付け用受座564に連結された第1の状態を示しており、この第1の状態では、上側カバー支持機構体580を取り付け用受座564から引き出してこれから分離することができる。
図9Cは、
図9Aに示されたBB線に沿って取った上側カバー支持機構体580の断面図である。
図10Aは、第2の状態にあるレチクルポッド500の上側カバー560の底面図である。
図10Bは、
図10Aの上側カバー支持機構体580のうちの1つが1つの上側カバー取り付け用受座564に連結された第2の状態を示しており、この第2の状態では、上側カバー支持機構体580を取り付け用受座564から引き出して分離することができない。
図10Cは、
図10Aに示されたCC線に沿って取った上側カバー支持機構体580の断面図である。
【0045】
具体的に言えば、
図9A~
図9Cは、上側カバー支持機構体580が上側カバー取り付け用受座564に連結され、上側カバー支持機構体580が上側カバー取り付け用受座564に対して第1の向きにあることを示している。
図10A~
図10Cは、上側カバー支持機構体580が上側カバー取り付け用受座564に対して第2の向きをなすよう回動され、第2の向きにより上側カバー支持機構体580がしっかりと締結され、したがって、上側カバー560から分離できないことを示している。
【0046】
図9Bおよび
図10Bに示されているように、上側カバー支持機構体580は、レチクルの頂部に当接する当接部分582および当接部分582に結合した接合部分583を含む。当接部分582は、同様に、形状が三角形であり、その幅は、接合部分583から遠位端まで次第に狭くなっている。さらに、当接部分582は、遠位端部の近くに曲げ可能な構造を有し、この曲げ可能な構造は、上側カバー560と下側カバー520が
図7に示されているように互いに結合されるとレチクルの頂部リムまたはその近くに位置する上面に適正に接触するように構成されているが、当接部分582の構造または形態は、図示の実施形態に示された構造または形態には限定されない。上側カバー支持機構体580の接合部分583は、開口部584を有し、この開口部は、上側カバー取り付け用受座564を収容するために用いられ、この開口部により、上側カバー取り付け用受座564は、この中で回動することができる。開口部584は、蝶のような形をしており、この開口部は、ウィング部分565a,565bが回動するための空間を提供する。接合部分583は、内側に設けられていて、開口部584に向いた複数の第1のリブを有し、上側カバー取り付け用受座564は、筒体部分の表面に設けられた第2のリブ588を有する。図示のように、4つの第1のリブ586は、基本的には、上側カバー取り付け用受座564の筒体部分上の表面と接触状態にある。開口部の形状は、上側カバー取り付け用受座564の第2のリブ588が第1の回転方向R1(図面では時計回りの方向)に、すなわち、
図9Bの状態から
図10Bの状態に第1のリブ586を超えて摺動することができるが、
図9Bの第1のリブ588が第2の回転方向R2(反時計回りの方向)に回転するのを阻止するよう定められている。
図9Bに示されているように、2つの隣り合う第1のリブ586相互間には、上側カバー取り付け用受座564がR2の方向に回転するのを阻止する構造体が形成されている。
図10Bの状態を
図9Bの状態に戻すためには、大きな力を加えて第2のリブ588が第1のリブ586を超えてスナップ動作し、その結果、上側カバー支持機構体580がこれを引き出すことができる状態に戻るようになっている。理解されるべきこととして、第1の回転方向R1および第2の回転方向R2は、上側カバー支持機構体580および上側カバー固定用受座584の相対的方向を表すために用いられており、実際には、回転するのは上側カバー支持機構体580である。
図9Bの状態から
図10Bの状態に変化させるためには、適当な力を上側カバー支持機構体580に加えるのが良く、その結果、第1のリブ586は、第2のリブ588を超えてスナップ動作して上側カバー支持機構体580の設置を完了することができるようになっている。これとは逆に、
図10Bの状態から
図9Bの状態に戻すためには、逆方向に大きな力を上側カバー支持機構体580に加えて第1のリブ586が第2のリブ588を超えてスナップ動作し、その結果、上側カバー支持機構体580がこれを取り外した状態に戻るようになっている。
【0047】
具体的に言えば、開口部584は、上側カバー取り付け用受座564を入れまたは出すことができる第1の通路および上側カバー取り付け用受座564を開口部584に対して回転させることができる第2の通路を有する。
図9Cに示されているように、開口部584は、上側カバー支持機構体580が第1の向きにあるときに上側カバー取り付け用受座564が第1の通路を通って開口部584に入ったりこれから出たりすることができるように構成されている。
図10Cに示されているように、開口部584は、上側カバー支持機構体580が第2の向きにあるとき、上側カバー取り付け用受座564が第2の通路を通ってストッパ589によって開口部584内に制止されるよう構成されている。すなわち、ストッパ589は、上側カバー取り付け用受座564のウィング部分565a,565bに接触してこれを制止し、その結果、上側カバー支持機構体580を引き上げることができないようにする。
【0048】
図11は、本発明の別の実施形態に係るレチクルポッド600(上側カバーが取り外されている)およびレチクル10を示している。
図12A~
図12Cは、
図11に示されたDD線に沿って取った支持機構体の断面図であり、支持機構体の互いに異なる実施形態をそれぞれ示している。
図11は、レチクルポッド600とレチクル10との関係を示している。レチクル10は、レチクルポッド600内に支持されるとともに収容される(
図7に示されているように)。レチクルポッド600は、下側カバー620および複数の下側カバー支持機構体640を有する。
【0049】
図12Aの実施形態に示されているように各下側カバー支持機構体640は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部材642および支持部材642と反対側に位置しかつ下側カバー620に向いた取り付け部材644を含む。取り付け部材644は、下側カバー支持機構体640を下側カバー620上に選択的に設置できるよう下側カバー620の対応の固定部分(この実施形態では穴)に取り外し可能に連結される。この実施形態では、取り付け部材644は、2つの可撓性脚645を有し、各可撓性脚645は、その端に保持部材646を有する。下側カバー620の固定部分(穴)は、可撓性脚645の保持部材646を受け入れてこれを安定可能に収容するよう構成されている。例えば、下側カバー620は、摺動溝(図示せず)を備えるのが良く、これら摺動溝は、下側カバー支持機構体640の可撓性脚645の保持部材646が摺動溝に沿って穴に入るようにするためのものであり、かくして、保持部材646は、穴の肩部分に当接することができ、その結果、下側カバー支持機構体640を下側カバー620に固定することができるようになっている。封止手段(例えば、気密封止リング)が下側カバー支持機構体640の支持部材642と取り付け部材644との間に設けられるのが良く、それによりレチクルポッドの収容空間が穴を経てカバーの外部の空間と連通するのを阻止するようになっている。さらに、下側カバー支持機構体640は、加圧機構体を備えるのが良く、この加圧機構体を作動させると、可撓性脚645の保持部材646を対応の溝から解除することができる。変形例として、工具を用いて可撓性脚645を下側カバー620の穴経由で解除しても良く、また、保持部材646は、鍵の形をしてもよくまたは他の形態を有しても良い。
【0050】
図12Bの実施形態に示されているように、下側カバー支持機構体640の取り付け部材644(この実施形態では穴)は、下側カバー支持機構体640を下側カバー620上に選択的に設置できるよう下側カバー620に設けられたねじに取り外し可能に連結される。取り付け部材644は、ねじにはまるねじ穴であるのが良く、その結果、下側カバー支持機構体640を下側カバー620に提供することができるようになっている。取り付け部材644は、その端に位置決め構造体647を備えるのが良く、この位置決め構造体647は、ねじが下側カバー620に設けられる前に、下側カバー支持機構体640を設置位置に整列させるために用いられるのが良い。
【0051】
図12Cの実施形態に示されているように、下側カバー支持機構体640の取り付け部材644は、穴であり、取り付け部材644は、上から対応の取り付け用受座624にはまりその結果、下側カバー支持機構体640を下側カバー620上に選択的に設置することができるようになっている。かくして、嵌合式連結部を形成することができ、取り付け部材644は、雌型コネクタであり、取り付け用受座624は、雄型コネクタであり、またはこの逆の関係が成り立つ。取り付け部材644および取り付け用受座624は、嵌合式構造的形態を有するのが良く、特に、かかる構造的形態は、取り付け部材644が取り付け用受座624に対して回転するのを阻止するためのある特定の角度を有するのが良い。
【0052】
図13Aは、本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド700(上側カバーが取り外されている)およびレチクル10を示している。
図13Bは、下側カバー720の下側カバー支持機構体740および下側カバー固定用受座(穴)を示している。
図13Cは、
図13Aに示されたEE線に沿って取った1つの下側カバー支持機構体740の断面図である。各下側カバー支持機構体740は、レチクル10を支持するために上方に延びる支持部分742および支持部分742と反対側に位置しかつ下側カバー720に向いた固定部分744を含む。固定部分744は、下側カバー支持機構体740を下側カバー720上に選択的に設置することができるよう対応の下側カバー固定用受座724に取り外し可能に連結される。固定部分744は、基本的に、筒体部分および筒体部分の表面から延びる2つのウィング部分を有する。
図13Bに示されているように、下側カバー固定用受座724は、固定部分744の形状と合致する形状を備えた開口部725を有し、それにより下側カバー支持機構体740の固定部分744は、開口部725に入りまたこれを通って出ることができる。
図9に示された構造と同様、開口部725もまた、固定部分744を入れまたは出すことができる第1の通路および固定部分744を開口部725に対して回転させることができる第2の通路を有するよう構成されている。下側カバー支持機構740を下側カバー720の下側カバー固定用受座724に取り付けるプロセスについて以下に説明する。
【0053】
図14A~
図14Cは、下側カバー支持機構体740を下側カバー720上に設置するプロセスを示している。最初に、
図14Aが示すように、下側カバー支持機構体740を
図13Bに示されているような向きで開口部725中に挿入する。次に、
図14Bが示すように、下側カバー支持機構体740を方向R3に回転させる。最後に、下側カバー支持機構体740は、
図14Cに示されているような向きを保ち、かかる下側カバー支持機構体を引き上げることができない。
【0054】
図14D~
図14Fは、下側カバー支持機構体740を下側カバー720上に設置する方法を断面図で示している。
図14Dは、第1の向きにある下側カバー支持機構体740を開口部725に整列させるのが良いことを示し、
図14Eは、下側カバー支持機構体740を開口部725中に挿入した後の下側カバー支持機構体740を示している。
図14Fは、下側カバー支持機構体740がこれを回転させた後の第2の向きにあり、開口部725のところのストッパ(図示せず)が下側カバー支持機構体740のウィング部分に接触してこれを制止し、その結果、下側カバー支持機構体740を引き上げることができないようになっていることを示している。
【0055】
図15Aは、レチクルポッド800(上側カバーが取り外されている)およびレチクル10を示す正面図である。
図15Bは、レチクル10および1つの下側カバー支持機構体840を示す断面図である。
図15Cは、下側カバー支持機構体840およびレチクル10を示す部分拡大断面図である。
図15Dは、下側カバー支持機構体840の支持部分842の実施形態を示している。下側カバー支持機構体840の固定部分は、先の実施形態で説明したように任意の形態を取ることができる。
【0056】
図15Dを参照されたい。下側カバー支持機構体840は、第1の壁841およびその底部から上方に延びる第2の壁842を含む。第1の壁841および第2の壁842の頂端部(すなわち、支持部分)は、それぞれ、第1の傾斜面841a、および第2の傾斜面842aを備え、2つの傾斜面は、頂端部から第1の壁841と第2の壁842の交差部に向かって下方に傾けられている。レチクル10が下側カバー支持機構体840に配置されると、レチクル10の下縁は、各下側カバー支持機構体840の第1の傾斜面841aおよび第2の傾斜面842aに接触することになる。この設計により、レチクル10を第1の傾斜面841aおよび第2の傾斜面842aに沿って次第に下方に摺動した後に正確に配置することができる。さらに、1つまたは2つ以上の第3の傾斜面843によって構成されるダスト収集機構体が第1の傾斜面841aと第2の傾斜面842aの交差部のところに設けられている。図示の実施形態では、2つの第3の傾斜面843が設けられる。
図15B~
図15Dに示されているように、2つの第3の傾斜面843は、同一方向に向かって(例えば、レチクルから遠ざかる方向に向かって)傾けられており、その結果、レチクル10の下縁と第1および第2の傾斜面841a,842aとの摩擦によって生じるダストまたは微粒子が第3の傾斜面843上に落下することができ、次にレチクル10から遠ざかる方向で下側カバーまで滑り落ちることができ、それによりレチクル10の底面の汚染が回避される。
【0057】
本発明の下側カバー支持機構体の機能は、レチクルの支持には限定されない。
図16Aは、本発明のさらに別の実施形態に係るレチクルポッド900(上側カバーが取り外されている)およびレチクルキャリヤ901を示し、
図16Bは、同一実施形態を示す正面図である。
図16Cは、この実施形態に係る下側カバー支持機構体940を示す斜視図である。
図16Dは、下側カバーおよび下側カバーに取り付けられた下側カバー支持機構体940を示している。
図16Eは、
図16Aに示されているFF線に沿って取った下側カバー支持機構体940を示す断面図である。
【0058】
図16Cに示されているように、下側カバー支持機構体940は、側方延長部分941、第1の傾斜アーム942a、および第2の傾斜アーム942bを含む。側方延長部分941は、先の実施形態で説明した固定部分とほぼ同様に機能することができ、かかる側方延長部分を下側カバー920に連結することができ、例えば、
図16Eに示されている実施形態を
図12Cに示されている実施形態と比較することができる。第1の傾斜アーム942aおよび第2の傾斜アーム942bは各々、側方延長部分941から延びている。具体的に言えば、第1の傾斜アーム942aおよび第2の傾斜アーム942bの各々は、この実施形態では、平たい延長部および傾斜した延長部で構成されている。
図16Dは、下側カバー上に設置された1つの下側カバー支持機構体940を示している。
図16Dに示されているように、側方延長部分941は、レチクルキャリヤ901の方向に向かってわずかに延び、一方、第1の傾斜アーム942aおよび第2の傾斜アーム942bは、下側カバー920の周囲に向かって、特に、下側カバー920の互いに異なる縁に向かって延びている。
図16Eに示されているように、第1の傾斜アーム942aおよび第2の傾斜アーム942bにより、レチクルキャリヤ901は、適切に配置されるよう次第に下方に摺動することができ、それによりレチクルキャリヤ901の急傾斜が回避される。
【0059】
先行技術では、レチクルを支持している支持機構体の傾斜部、球体または筒体の当接面(これは、レチクルに当接している)が衝突の繰り返しに起因して摩耗する場合がある。かかる衝突は、支持機構体をさらに摩耗させる場合があり、その結果として望ましくない粒子が生じる。そして、摩耗がひどい場合の唯一の解決策は、レチクルポッドを交換しまたはレチクルポッドを破壊的な仕方で分解することであり、これは資源の無駄遣いになる。上記において与えられた種々の実施形態で説明したように、本発明は、レチクルが配置されているときにバッファともなることができる迅速解除支持機構体を提供する。本発明の支持機構体が摩耗すると、これを迅速に交換して粒子の発生を減少させることができる。このように、レチクルポッド全体を交換する必要はなく、かくして製造費と資源の無駄の両方を減少させることができる。
【0060】
1つまたは2つ以上の実施形態が本発明を説明するために提供されたが、理解されるべきこととして、本発明は、本明細書において開示した実施形態には限定されない。例えば、本発明に係る支持機構体の構造的形態は、これら実施形態において開示した構造的形態には限定されない。また、上側カバーおよび下側カバーは、同一の形態を有するよう設計されるのが良く、あるいは変形例として、上側カバー支持機構体および下側カバー支持機構体は、互いに異なる形態を有するよう設計されても良い。添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神または範囲から逸脱していない改造例および同様な構成例の全ては、本発明によって規定される最も広い意味で解釈されるべきである。本発明の開示はまた、添付の特許請求の範囲に記載された実施形態の全てを含む。
【符号の説明】
【0061】
10 レチクル
100 レチクルポッド
120 下側カバー
122 担持面
124 取り付け用受座または固定用受座
140 支持機構体
142 支持部材
143a,143b 支持柱状体
146 保持部材
147 切り欠き
156 可撓性脚
520 下側カバー
540 下側カバー支持機構体
560 上側カバー
580 上側カバー支持機構体