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  • 特許-NMDAアンタゴニストプロドラッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】NMDAアンタゴニストプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/40 20060101AFI20230228BHJP
   A61K 31/4402 20060101ALI20230228BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20230228BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20230228BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20230228BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20230228BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230228BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20230228BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230228BHJP
   C07K 5/06 20060101ALI20230228BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20230228BHJP
【FI】
C07D213/40 CSP
A61K31/4402
A61P25/24
A61P25/18
A61P39/02
A61P25/08
A61K47/54
C07D401/12
A61K31/4439
C07K5/06
A61P43/00 111
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021044193
(22)【出願日】2021-03-18
(62)【分割の表示】P 2019222567の分割
【原出願日】2014-10-30
(65)【公開番号】P2021100950
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-08
(31)【優先権主張番号】61/899,903
(32)【優先日】2013-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】グンナール・ノードヴァル
(72)【発明者】
【氏名】カタリーナ・ホグディン
(72)【発明者】
【氏名】ペル・ヨーナス・マルムボリ
(72)【発明者】
【氏名】アニカ・ケルス
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・ワイゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・バーンスタイン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・クアーク
(72)【発明者】
【氏名】バレストラ・マイケル
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-505385(JP,A)
【文献】国際公開第2010/017504(WO,A1)
【文献】特表2004-536873(JP,A)
【文献】国際公開第2013/023155(WO,A1)
【文献】Nature Reviews Drug Discovery,2008年,Vol.7, No.3,p.255-270
【文献】Drugs of the Future,2006年,Vol.31, No.9,p.771-777
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群から選択される化合物:
(S)-(1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)メチルイソブチレート;
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート;
(R)2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート;
(S)2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート;
(R)-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート;
(S)-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート;
(R)-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート; および
(S)-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート;
または上記のいずれか1つの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される補助剤、賦形剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項3】
治療に使用するための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
うつ病の処置のための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物またはその薬学的
に許容される塩の使用。
【請求項5】
うつ病の処置において使用するための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項6】
うつ病障害が大うつ病性障害である、請求項に記載の使用。
【請求項7】
うつ病障害が大うつ病性障害である、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
疼痛の処置のための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
疼痛の処置において使用するための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項10】
レット症候群、自殺念慮、双極性障害、強迫性障害、サリンガス中毒またはてんかん重積状態の処置のための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項11】
レット症候群、自殺念慮、双極性障害、強迫性障害、サリンガス中毒またはてんかん重積状態の処置において使用するための、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年11月5日に出願された米国仮特許出願第61/899,903号に対する優先権を主張し、そのそれぞれの開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、NMDAアンタゴニスト、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ、ならびにうつ病およびうつ病性障害、特に大うつ病性障害(MDD)の処置における、そしてまた疼痛(例えば神経障害性疼痛)の処置のためのその使用に関する。また、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグは、レット症候群、自殺念慮、双極性障害(双極性うつ病を含む)、強迫性障害、サリンガス中毒およびてんかん重積状態の処置に用いることもできる。また、本発明は、プロドラッグを含む医薬組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある形態のまたは他の疼痛は、ヒトの生活に浸透したものとなっている。損傷による疼痛および術後疼痛は、しばしば一時的であるが、しかし、重度になることがあり、持続することがありうる。糖尿病性神経障害および帯状疱疹後神経痛のような神経障害性疼痛は、患者に過酷な影響を及ぼす。毎年、世界中では、人生の末期の患者を含む何千万もの人々が、妥当な処置なしに疼痛で苦しんでいる。
【0004】
うつ病は、世界的に約12億人の人々に影響を及ぼしている。うつ病の症状としては、抑うつ気分、興味もしくは喜びの喪失、罪悪感もしくは低い自己信頼、睡眠障害もしくは食欲障害、低エネルギー、および集中力不足、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。これらの問題は慢性または再発性となることがあり、個人の日常的な責任に対処する能力を実質的に損なうことになりうる。2000年には、うつ病は、障害生存年数(Years Lived with a Disability)(YLD)によって評
価されるような障害の主要な原因となり、そして障害調整生命年(Disability Adjusted Life Years)(DALY;すなわち、早期死亡による損失生存可能年数(years of potential life lost)と障害による損失生産的生存年数(years of productive life lost)
との合計)によって評価されるような世界疾病負担の第4の主要な誘因となっている。2020年までに、うつ病は、男性および女性の両方ですべての年齢について算出されたDALYのランキングにおいて、第2位に到達すると予測されている。今日では、うつ病は、両性別を併せた15~44歳の年齢区分ですでにDALYの第2の原因となっている。
【0005】
(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩は、静脈内注入処置を介したMDDの処置のために開示されている(非特許文献1)。他の関連した開示としては、特許文献1、特許文献2および特許文献3が挙げられる。便宜上、この薬物を経口投与形態として投与できることは有用であろう。しかし、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩のこのような経口投与形態に伴う懸念は、それが静脈内への誤用、例えば(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩の経口投与形態の錠剤粉砕、続いて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩の圧砕された経口投与形態の即時注射を受けやすいということであろう。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグは、ヒト体内で分解されて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンをもたらすことが予測され、そのため、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグが経口投与されるときには、それは分解されて治療有効量の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エ
タンアミンを遊離するであろう。しかし、本発明のプロドラッグが静脈内に投与される場合、そのプロドラッグは、対応する用量の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンが静脈内に投与される場合よりも、より遅い速度で(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを遊離してより低いCmaxが得られると予測される。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの使用は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの臨床的な安全性プロファイル(例えば、過剰投与または薬物乱用(例えば丸剤粉砕)条件下)を改善することが予測される。したがって、要約すると、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを直接、経口製剤にすると、乱用に至ることがありうる。本発明の化合物は、インビボで代謝されて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンが得られるが、しかし、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンが静脈内に投与されたときの速度よりも遅い速度で得られ、そのため(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの乱用可能性が助長されることがないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO1993/020052
【文献】WO2000/056324
【文献】WO2000/63175
【非特許文献】
【0007】
【文献】Gerard Sanacoraら、2012年12月6日に米国、フロリダ州、ハリウッドにおける米国神経精神薬理学会の第51回年会(51st Annual Meeting of the American College of Neuropsychopharmacology)で発表されたポスター
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式(I):
【化1】
(式中、R1は、C1-6アルキルC(O)O(C1-6アルコキシ)または
【化2】
であり;
AAは、ペプチド結合で結合された天然アミノ酸である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
アルキルは、直鎖または分枝鎖であり、かつ1~6個、例えば1~4個の炭素原子を含有する。アルキルは、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチルまたはtert-ブチルである。
【0010】
アルコキシは、直鎖または分枝鎖であり、かつ1~6個、例えば1~4個の炭素原子を含有する。アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、イソ-ブトキシまたはtert-ブトキシである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1aおよび1bは、ヒト腸液中でのインキュベーション期間中の、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(実施例5)の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換を示す。特に、図1aは、ヒト腸液中でのインキュベーション期間中に、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグが(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンに変換されるような、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(実施例5)の濃度(初期濃度30、100、300および600μM)を示す。図1bは、ヒト腸液中でのインキュベーション期間中に(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンがそのプロドラッグから変換されるような(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン濃度を示す(実施例5、初期濃度30、100、300および600μM)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な説明
一態様において、本発明は、式(I)(式中、R1はC1-6アルキルC(O)O(C1-6アルコキシ)であり、例えば、それはC1-4アルキルC(O)O(C1-4アルコキシ)である)の化合物を提供する。例としては、(CHCHC(O)OCHO、(CHCHC(O)OCH(CH(CH)O、CHC(O)OCH(CH)Oまたは(CHCHC(O)OCH(CH)Oが挙げられる。
【0013】
別の態様において、本発明は、R1が、
【化3】
であり、そしてAAがペプチド結合で結合された天然アミノ酸である、式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、R1が、
【化4】
である、式(I)の化合物を提供する。
【0015】
(つまり、キラル中心*はS絶対配置を有する)。
【0016】
さらなる態様において、本発明は、AAが、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒドロキシリシン、アルギニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリンまたはヒドロキシプロリンである、式(I)の化合物を提供する。なおさらなる態様において、AAは、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、ロイシン、アルギニン、ヒスチジン、リジンおよびバリンからなる群から選択される。別の態様において、AAは、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、リジンおよびバリンからなる群から選択される。なおさらなる態様において、AAはバリンである。
【0017】
適した薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、L-乳酸塩、D-乳酸塩、アスパラギン酸、リンゴ酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、ステアリン酸塩、2-フランカルボン酸塩、3-フランカルボン酸塩、ナパジシル酸(ナフタレン-1,5-ジスルホン酸塩またはナフタレン-1-(
スルホン酸)-5-スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン-1,2-ジスルホン酸塩ま
たはエタン-1-(スルホン酸)-2-スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2-メシチレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、D-マンデル酸塩、L-マンデル酸塩、2,5-ジクロロベンゼンスルホン酸塩、桂皮酸
塩または安息香酸塩である。
【0018】
以下の通りである、式(I)の化合物:
(S)-(1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)メチルイソブチレート;
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート;
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレートジアステレオマー1;
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレートジアステレオマー2;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテートジアステレオマー1;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテートジアステレオマー2;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレートジアステレオマー1;
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレートジアステレオマー2;
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-メチルブタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド;
(S)-1-((S)-2,6-ジアミノヘキサノイル)-N-((S)-1-フェニ
ル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド;
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド;
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アミノ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジン;
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジン;
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド;もしくは
(S)-1-((S)-2-アミノ-4-メチルペンタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド;
または上記のいずれか1つの薬学的に許容される塩。
【0019】
本発明の化合物は、当分野において記載された方法を適合させることによって、または実施例に記載された方法を適合させることによって製造することができる。化合物(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン)は、例えば、EP-0633879のプロセス方法論によって製造することができ、そしてその文書の内容は、参照により組み込まれている。
【0020】
R1が
【化5】
である本発明の化合物は、2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリド-2-インカルボキサミド)エチル)ピリジン中間体を通して進行する化学的過程を用いて合成することができる。
【0021】
したがって、別の態様において、本発明は、化合物2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリド-2-インカルボキサミド)エチル)ピリジン:
【化6】
またはその塩を提供し、ここで、上記塩は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩または安息香酸塩である。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、中間体化合物2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリジン-2-イウムカルボキサミド)エチル)ピリジニウムクロリド
【化7】
を提供する。
【0023】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、うつ病(例えば大うつ病性障害、例えば処置抵抗性の大うつ病性障害)の処置で用いることができる。
【0024】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、疼痛(例えば神経障害性疼痛、慢性疼痛、幻肢痛、侵害受容性疼痛、心因性疼痛、随伴痛または突出痛)の処置に用いることができる。
【0025】
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、レット症候群、自殺念慮、双極性障害、強迫性障害、サリンガス中毒またはてんかん重積状態の処置に用いることができる。
【0026】
したがって、本発明は、治療に使用するための本明細書に定義されたような式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。したがって、本明細書に用いる「プロドラッグ」という用語は、塩の形態または遊離塩基の形態の式(I)の化合物のことであってもよい。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、治療に使用するための薬剤の製造における、本明細書に定義されたような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0028】
さらなる態様において、本発明は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを患者に投与する方法であって、その薬学的に許容される塩の式(I)の化合物を患者に投与することを含み、上記式(I)の化合物が上記患者中で代謝されて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを産生する方法を提供する。
【0029】
本明細書の文脈において、「治療」という用語は、特に具体的な指示がない場合、「予防」も含む。「治療の」および「治療的に」という用語は、それに応じて解釈しなければならない。
【0030】
予防は、当該疾患または状態の以前のエピソードにかかったことがある人、または他の点でそのリスクが高いと考えられる人の処置に特に関係があると予想される。特定の疾患または状態を発症するリスクがある人としては、一般にその疾患もしくは状態の家族歴を有する人、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによってその疾患もしくは状態を特に発症しやすいと確認された人が挙げられる。
【0031】
またさらに、本発明は、うつ病の処置を必要とする患者に本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む、うつ病を処置する方法を提供する。
【0032】
またさらに、本発明は、MDDの処置を必要とする患者に本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む、MDDを処置する方法を提供する。
【0033】
またさらに、本発明は、疼痛の処置を必要とする患者に本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む、疼痛を処置する方法を提供する。
【0034】
またさらに、本発明は、神経障害性疼痛、慢性疼痛、幻肢痛、侵害受容性疼痛、心因性疼痛、随伴痛または突出痛を処置する方法であって、処置を必要とする患者に本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0035】
うつ病の処置のための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0036】
疼痛の処置のための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
【0037】
上記の治療的な使用では、投与される投与量は、当然のことながら、使用する化合物、投与方法、望ましい処置および指示された障害により変更することになる。例えば、本発明の化合物の1日の投与量は、吸入の場合、キログラム体重当たり0.05マイクログラム(μg/kg)からキログラム体重当たり100マイクログラム(μg/kg)までの範囲であってもよい。別法として、化合物が経口投与される場合、本発明の化合物の1日の投与量は、キログラム体重当たり0.01マイクログラム(μg/kg)からキログラム体重当たり100ミリグラム(mg/kg)までの範囲であってもよい。
【0038】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、それ自体で用いてもよいが、しかし、一般には、式(I)の化合物/塩(活性成分)が薬学的に許容される補助剤、賦形剤または担体と共にある医薬組成物の形態で投与される。適した医薬製剤の選択および製造のための慣用の手法は、例えば、“Pharmaceuticals - The Science of Dosage Form Designs”, M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0039】
投与方法に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05%wから99%w(質量パーセント)まで、より好ましくは0.05%wから80%wまで、さらにより好ましくは0.10%wから70%wまで、そしてさらにより好ましくは0.10%wから50%wまでの活性成分を含み、すべての質量パーセントは、全組成物に基づく。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、0.5%wの活性成分を含む。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、20%wの活性成分を含む。
【0040】
また、本発明は、本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される補助剤、賦形剤または担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0041】
さらに、本発明は、本明細書に定義された式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される補助剤、賦形剤または担体と混合することを含む、本発明の医薬組成物を製造する方法を提供する。
【0042】
経口投与では、本発明の化合物を、補助剤または担体、例えば、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、コーンスターチまたはアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン;および/または滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ロウ、パラフィンなどと混合し、次いで錠剤に圧縮してもよい。コーティング錠が必要となる場合、上記のように調製された芯を、例えば、アラビアガム、ゼラチン、タルクおよび二酸化チタンを含有しうる濃縮された糖溶液でコーティングしてもよい。別法として、錠剤を、易揮発性有機溶媒中に溶解された適したポリマーでコーティングしてもよい。
【0043】
軟ゼラチンカプセル剤を製造するには、本発明の化合物を、例えば植物油またはポリエチレングリコールと混合してもよい。硬ゼラチンカプセル剤は、錠剤のためのいずれかの上記賦形剤を用いて化合物の顆粒を含有してもよい。また、本発明の化合物の液状または半固形製剤を、硬ゼラチンカプセル剤に充填してもよい。
【0044】
本発明の化合物は、上の状態の処置に用いられる他の化合物と併せて投与してもよい。
【0045】
以下の実施例により、本発明を説明する。実施例では特定の技術を用い、ここで、それらを記載する。
【0046】
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)は、逆相(RP)カラムにおいて実施した。直線勾配は、例えば移動相A(MilliQ HO中の0.1%ギ酸、
またはMilliQ H2O中の0.1%NH3、またはMilliQ H2O中の10mM NH4OAcおよび5%CH3CN、またはMilliQ H2O中の0.05%トリフルオロ酸(trifluoric acid)、またはMilliQ H2O中のNH4HCO3
(10mM))およびB(CH3OHまたはCH3CN)を用いて適用した。質量分析計(MS)分析は、エレクトロスプレーイオン化(ESI+/-)、大気圧光イオン化(APPI+/-)および/または大気圧化学イオン化(APCI+/-)を用いて陽および/または陰イオンモードで実施した。
【0047】
ガスクロマトグラフィー(GC)は、質量分析計(MS)または水素炎イオン化検出器(FID)を備えたGCにおいて実施した。MSイオン源は、電子衝撃(EI)、または化学イオン化(CI、反応体ガス:メタン)であった。分離には、キャピラリーカラム、例えばDB-5MS(J&W Scientific)を用いた。直線温度勾配を適用した。
【0048】
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)は、順相(straight phase)カラムにおいて実施した。移動相A(CO2)および例えば移動相B(MeOH、EtOHまたはIPA)を用いて定組成の流れを適用した。
【0049】
別法として、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を順相カラムにおいて実施した。例えば移動相A(ヘプタン)およびB(EtOHまたはIPA)を用いて直線勾配または定組成の流れを適用した。
【0050】
NMRスペクトルは、適当な構造のプローブを備えた300MHz(または、より高い領域)の核磁気共鳴分光計において記録した。特に明記しない限り、スペクトルは、周囲温度で記録した。化学シフトは、TMS(0.00ppm)からの低磁場および高磁場のppmで得られる。以下の参照シグナルを用いた:TMS δ0.00、またはDMSO-d6 δ2.49、CD3OD δ3.30、アセトン-d6 δ2.04、CDCl3 δ7.25、もしくはD2O δ4.79の残留溶媒シグナル(特に明記しない限り)。共鳴多重度は、一重線、二重線、三重線、四重線、多重線、広い(broad)および見
かけの(apparent)について、それぞれs、d、t、q、m、brおよびappと表す。
【0051】
略語のリスト
DBU 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンDCM
ジクロロメタン
DEA ジエチルアミン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
HATU 2-(1H-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-
テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートメタナミニウム
IPA イソプロパノール
MTBE メチルtert-ブチルエーテル
rt 室温または周囲温度、約20~25℃
sat 飽和
T3P プロパンホスホン酸無水物
【0052】
実施例1
(S)-(1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)メチルイソブチレート
【化8】
【0053】
ステップA
クロロメチルイソブチレート
【化9】
DCM(6mL)中のイソ酪酸(0.600mL、6.47mmol)に炭酸水素ナトリウム(2092mg、24.91mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(220mg、0.65mmol)および水(6mL)を加えた。急速に撹拌しながら、クロリド硫酸クロロメチル(0.767mL、7.44mmol)を室温で加え、次いで反応混合物を室温で一夜撹拌した。次いで反応混合物をDCM(10mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮してクロロメチルイソブチレート(746mg、84%)を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 1.17 (m, 6 H), 2.62 (m, 1 H), 5.72 (s, 2 H).
【0054】
ステップB
(S)-(1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)メチルイソブチレート
【化10】
炭酸セシウム(1543mg、4.74mmol)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(1749mg、4.74mmol)を、室温で無水DMF(8mL)中の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(313mg、1.58mmol)に加えた。二酸化炭素ガスを反応混合物中に30分間バブリングし、続いてDMF(2mL)中のクロロメチルイソブチレート(647mg、4.74mmol)を加えた。COガスのバブリングを続けながら反応混合物を室温で一夜撹拌し、さらにCOガスを添加することなく週末にかけて撹拌を続けた。反応混合物を水で希釈し、EtOAc(3×)で抽出し、合わせた有機層を水(2×)、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そして濃縮した。ヘプタン中のEtOAcの勾配(0~60%)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製を行って表題化合物(239mg、44.2%)を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.00 (m, 6 H), 2.46 (m, 1 H, DMSO-d6に一部隠
れた), 3.09 (m, 2 H), 5.04 (m, 1 H), 5.52 (m, 2 H), 7.17 - 7.24 (m, 3 H), 7.27 -
7.34 (m, 4 H), 7.65 (td, 1 H), 8.24 (d, 1 H), 8.49 (m, 1 H).
【0055】
実施例2
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート
で特定された炭素原子の2つの可能な立体配置のため、実施例2には2つの異なるジアステレオマーがある。これらを、実施例2ジアステレオマー1および実施例2ジアステレオマー2と称する。それらの絶対配置は、決定されていない。
【化11】
【0056】
ステップA
2-メチル-1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)プロピルイソブチレート。
【化12】
【0057】
(i)4-(メチルメルカプト)フェノール(8.46g、57.30mmol)をDCM(60mL)に溶解し、次いで反応フラスコを0℃まで冷やし、続いて1-クロロ-2-メチルプロピルカルボノクロリデート(4.27mL、28.65mmol)を加えた。DCM(40mL)中の4-メチルモルホリン(7.87mL、71.63mmol)の溶液を0℃で50分かけて滴加し、生成した混合物をこの温度で5分間撹拌し、そして最後に室温で150分撹拌した。反応混合物を水(2×)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて1-クロロ-2-メチルプロピル4-(メチルチオ)フェニルカルボナート(13.84g)を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0058】
(ii)アルゴン雰囲気下の1-クロロ-2-メチルプロピル4-(メチルチオ)フェニルカルボナート(3.50g、12.74mmol)、酸化銀(I)(2.95g、12.74mmol)およびイソ酪酸(13.00mL、140.12mmol)の混合物を95℃に2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、室温で一夜撹拌し、次いでMTBEで希釈し、珪藻土を通して濾過し、そしてさらなるMTBEで洗浄した。合わせた濾液を、水(4×25mL)、飽和水性炭酸水素ナトリウム(2×25mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして蒸発させて2-メチル-1-((4-(メチルチオ)フェノキシ)カルボニルオキシ)プロピルイソブチレート3.56gを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0059】
(iii)2-メチル-1-((4-(メチルチオ)フェノキシ)カルボニルオキシ)プロピルイソブチレート(3.56g、10.91mmol)をアセトン(30mL)および水(7.50mL)の混合物に溶解し、続いて5分かけて少しずつオキソン(13.41g、21.81mmol)を加え、次いで室温で2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液をMTBE(2×50mL)で洗浄し、体積を50mLまで減らし(アセトンを留去する)、次いで生成した混合物をMTBEと水との間で分離させた。水層をMTBEで抽出し、合わせた有機物をNaSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて表題化合物1.89gを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0060】
ステップB:
2-メチル-1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート
【化13】
アセトニトリル(3mL)中の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(0.215g、1.08mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.182g、2.17mmol)の撹拌混合物にアセトニトリル(2mL)中の2-メチル-1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)プロピルイソブチレート(0.389g、1.08mmol)を加え、そして反応物を室温で2時間撹拌した。EtOAcと飽和水性NaHCOとの間で分離し、有機層を飽和水性NaHCOで洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして蒸発させて物質413mgを得、それをヘプタン中のEtOAcの勾配(0~50%)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製し、2-メチル-1-(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)プロピルイソブチレート235mgを2つのジアステレオマーの混合物として得た。
【0061】
ジアステレオマーの分析および分離は、それぞれ、3mL/分流量の10%MeOH/90%COを用いてChiralpak ADH(4.6*250mm);5μm、および50mL/分流量の10%MeOH/90%COを用いてChiralpak ADH、20*250mm;5μmにおいて行った。
【0062】
実施例2、ジアステレオマー1
キラル分離によって最初に溶出するジアステレオマーとして105mgのジアステレオマー1を光学純度99%で得た。
【0063】
回転異性体の混合物:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.66 - 1.07 (m), 1.86 (m), 2.39 (m), 2.98 - 3.21 (m), 5.01 (m), 6.31 (m), 7.10 - 7.26 (m), 7.26 - 7.37 (m), 7.56 - 7.73 (m), 8.10 (d), 8.43 - 8.55 (m). スペクトルのプロトンの総数:28 回転異性体メジャー/マイナー(major/minor)比:1/0.15
MS(ES+APCI+)m/z 385(M+H)
【0064】
実施例2、ジアステレオマー2
2番目に溶出するジアステレオマーとして104mgのジアステレオマー2を得た。
【0065】
回転異性体の混合物:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.48 - 0.69 (m), 0.75 - 0.87 (m), 0.87 - 1.07
(m), 1.73 (m), 1.85 (m), 2.40 (m), 2.98 (m), 3.03 - 3.18 (m), 4.97 (m), 6.22 - 6.38 (m), 7.13 - 7.26 (m), 7.26 - 7.37 (m), 7.65 (m), 7.78 (d), 8.06 (d), 8.48 (m). スペクトル中のプロトンの総数:28 回転異性体メジャー/マイナー比:1/0
.17
MS(ES+APCI+)m/z 385(M+H)
光学純度=99%
【0066】
実施例3
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート
で特定された炭素原子で2つの可能な立体配置のため、実施例3には2つの異なるジアステレオマーがある。これらを、実施例3ジアステレオマー1および実施例3ジアステレオマー2と称する。それらの絶対配置は、決定されていない。
【化14】
【0067】
ステップA:
1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルアセテート
【化15】
【0068】
(i)アルゴン雰囲気下の1-クロロエチル4-(メチルチオ)フェニルカルボナート(4.6g、18.65mmol)、酸化銀(I)(4.32g、18.65mmol)および酢酸(11.75mL、205.1mmol)の混合物を、95℃に2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、MTBEで希釈し、珪藻土を通して濾過し、そしてさらなるMTBEで洗浄した。合わせた濾液を水(4×25mL)、飽和水性炭酸水素ナトリウム(2×25mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして蒸発させて1-((4-(メチルチオ)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルアセテート1.79gを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0069】
(ii)1-((4-(メチルチオ)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルアセテート(1.79g、6.62mmol)をアセトン(16mL)および水(4.00mL)の混合物に溶解した。オキソン(8.14g、13.24mmol)を5分かけて少しずつ加え、次いで室温で一夜撹拌した。反応混合物を濾過し、そして濾液をMTBE(2×50mL)で洗浄し、体積を約50mLまで減らした(アセトンを留去する)。生成物をMTBEと水との間で分離した。水層をMTBEで抽出し、そして合わせた有機物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして蒸発させて表題化合物832mgを得、そしてさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0070】
ステップB:
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルアセテート
【化16】
アセトニトリル(4mL)中の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(198mg、1mmol)および炭酸水素ナトリウム(168mg、2.00mmol)の撹拌混合物にアセトニトリル(1mL)中の1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルアセテート(302mg、1.00mmol)を加え、そして反応物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をEtOAcと飽和水性NaHCOとの間で分離し、有機層を飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そして蒸発させた。この混合物を、ヘプタン中のEtOAcの勾配(0~50%)を用いてカラムクロマトグラフィーによって予備精製してその2つのジアステレオマーの混合物として表題化合物160mgを得た。
【0071】
ジアステレオマーの分析および分離は、それぞれ、流量3mL/分で30%MeOH+DEA/70%COを用いてPhenomenex LuxC4、4.6250mm;5μmおよび流量50mL/分で25%MeOH+DEA/75%COを用いてPhenomenex LuxC4、20250mm;5μmにおいて行った。
【0072】
実施例3、ジアステレオマー1
キラル分離によって最初に溶出するジアステレオマーとして29mgのジアステレオマー1を光学純度99%で得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.31 (d, 3 H), 1.92 (s, 3 H), 3.00 - 3.16 (m, 2
H), 5.00 (td, 1 H), 6.52 (q, 1 H), 7.14 - 7.25 (m, 3 H), 7.30 (d, 4 H), 7.65 (t, 1 H), 8.13 (d, 1 H), 8.50 (d, 1 H). スペクトルのシグナルは広がっており、DM
SO-シグナルの分裂を認めることができなかった。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 19.6, 20.7, 44.6, 54.9, 88.7, 121.6, 123.8, 126.4, 126.9, 128.3, 136.2, 143.0, 149.0, 153.2, 158.0, 168.6 ppm. MS(ES+)m/z 328(M+H)
【0073】
実施例3、ジアステレオマー2
2番目に溶出するジアステレオマーとして39mgのジアステレオマー2を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.32 (d, 3 H), 1.95 (s, 3 H), 3.01 - 3.18 (m,
2 H), 5.00 (td, 1 H), 6.53 (q, 1 H), 7.13 - 7.24 (m, 3 H), 7.29 (d, 4 H), 7.65 (t, 1 H), 8.17 (d, 1 H), 8.49 (d, 1 H). スペクトルのシグナルは広がっており、D
MSO-シグナルの分裂を認めることができなかった。
13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 19.6, 20.7, 44.4, 54.9, 88.6, 121.6, 123.7, 126.4, 126.9, 128.3, 136.2, 143.0, 149.0, 153.1, 158.0, 168.5. MS(ES+)m/z
329(M+H)
光学純度98%。
【0074】
実施例4
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート
で特定された炭素原子の2つの可能な立体配置のため、実施例4には2つの異なるジアステレオマーがある。これらを、実施例4ジアステレオマー1および実施例4ジアステレオマー2と称する。それらの絶対配置は、決定されていない。
【化17】
【0075】
ステップA:
1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルイソブチレート
【化18】
【0076】
(i)4-(メチルメルカプト)フェノール(4.91g、35.00mmol)をDCM(100mL)に溶解し、そして0℃に冷やした。1-クロロエチルクロロホルメート(1.888mL、17.50mmol)を加えた。DCM(20mL)中の4-メチルモルホリン(4.81mL、43.74mmol)の溶液を0℃で10分かけて滴加し、そして生成した混合物をこの温度で5分間撹拌した。反応混合物を室温で180分間撹拌し、そしてDCMで希釈し、水(2×)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて1-クロロエチル4-(メチルチオ)フェニルカルボナート(6.94g)を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0077】
(ii)アルゴン雰囲気下で1-クロロエチル4-(メチルチオ)フェニルカルボナート(2.3g、9.32mmol)、酸化銀(I)(2.160g、9.32mmol)およびイソ酪酸(9.51ml、102.55mmol)の混合物を95℃に2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、そしてMTBEで希釈し、珪藻土を通して濾過し、さらなるMTBEで洗浄した。合わせた濾液を、水(4×25mL)(飽和水性炭酸水素ナトリウム(2×25mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)させ、そして蒸発させて生成
物1.16gを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0078】
(iii)1-((4-(メチルチオ)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルイソブチレート(1.16g、3.89mmol)を、アセトン(12mL)および水(3.00mL)の混合物に溶解した。オキソン(4.78g、7.78mmol)を5分かけて少しずつ加え、次いで、室温で一夜撹拌した。反応混合物を濾過し、そして濾液をMTBE(2×50mL)で洗浄し、アセトンを留去することによって体積を約50mLまで減らし、そしてMTBEと水との間で分離した。水層をMTBEで抽出し、そして合わせた有機物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、そして蒸発させて表題化合物531mgを得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた。
【0079】
ステップB
1-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイルオキシ)エチルイソブチレート
【化19】
アセトニトリル(6mL)中の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(0.300g、1.51mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.254g、3.03mmol)の撹拌混合物にアセトニトリル(2mL)中の1-((4-(メチルスルホニル)フェノキシ)カルボニルオキシ)エチルイソブチレート(0.500g、1.51mmol)を加え、そして反応物を一夜撹拌した。混合物をEtOAcと飽和水性NaHCOとの間で分離し、有機層を飽和水性NaHCO、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、そして蒸発させて0.70gを得、これをヘプタン中のEtOAcの勾配(0~50%)を用いてカラムクロマトグラフィーによって精製して2つのジアステレオマーの混合物として表題化合物(0.309g、57.2%)を得た。
【0080】
ジアステレオマーの分析および分離は、それぞれ流量3mL/分で15%MeOH+DEA/85%COを用いてPhenomenex LuxC4(4.6*250mm);5μm、および流量50mL/分で15%MeOH+DEA/85%COを用いてPhenomenex LuxC4、20*250mm;5μmにおいて行った。
【0081】
実施例4、ジアステレオマー1
キラル分離によって最初に溶出するジアステレオマーとして25mgのジアステレオマー1を光学的純度99%で得た。
【0082】
回転異性体の混合物:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.86 - 1.05 (m), 1.19 (d), 1.32 (d), 2.31 - 2.44 (m), 2.98 - 3.20 (m), 4.94 - 5.07 (m), 6.48 (d), 6.52 (q), 7.15 - 7.25 (m), 7.25 - 7.34 (m), 7.60 - 7.70 (m), 7.77 (d), 8.06 - 8.18 (m), 8.44 - 8.55 (m).
スペクトル中のプロトンの総数:24 メジャー/マイナー比:1:0.07
MS(ES+APCI+)m/z 357(M+H)
UV純度=100%
【0083】
実施例4、ジアステレオマー2
2番目に溶出する異性体として25mgのジアステレオマー2を得た。
【0084】
回転異性体の混合物:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) d ppm 0.82 - 0.94 (m), 0.94 - 1.04 (m), 1.25 (d), 1.32 (d), 2.24 - 2.32 (m), 2.34 - 2.44 (m), 3.00 - 3.17 (m), 5.02 (td), 6.48 (d), 6.52 (q), 7.15 - 7.25 (m), 7.25 - 7.38 (m), 7.55 - 7.77 (m), 8.16 (d), 8.44 - 8.57 (m). スペクトル中のプロトンの総数:24 メジャー/マイナー比:1:0.08
MS(ES+APCI+)m/z 357(M+H)
UV純度=100%
光学純度=99%
【0085】
実施例5~12では、一般的な中間体を用い、ここで、その製造を記載する。
【0086】
実施例5~12の一般的な中間体の製造
2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリジン-2-イウムカルボキサミド)エチル)ピリジニウムジクロリド(それは(S)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド二塩酸塩と称することもできる)
【化20】
【0087】
ステップA
(S)-tert-ブチル2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【化21】
T3P(DMF中50質量%、0.86mL、1.47mmol)を、0℃でCHCl(7.4mL)中の(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタン-1-アミン(200mg、0.737mmol)、Boc-L-プロリン(159mg、0.737mmol)およびDIPEA(0.64mL、3.69mmol)の溶液に滴加した。反応物を室温に徐々に温まらせながら一夜撹拌した。有機層を5%水性NaHC
で2回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。50gスナップカラムを用い、MeOHおよびCHCl(0%MeOH/100%CHCl→10%MeOH/90%CHCl)の勾配で溶離して生成物を精製した。表題化合物305mg(>100%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.35 (s, 9 H), 1.70 - 1.90 (m, 2 H), 2.05 - 2.19 (m, 2 H), 3.13 (dd, 1 H), 3.29 - 3.39 (m, 1 H), 3.46 - 3.62 (m, 2 H), 4.20 - 4.29 (m, 2 H), 5.39 (q, 1 H), 6.91 (d, 1 H), 7.09 - 7.14 (m, 1 H), 7.16 - 7.23 (m, 5 H), 7.49 (td, 1 H), 8.45 - 8.59 (m, 1 H).
【0088】
別法:
Boc-L-Pro-OH(2.0g、9.29mmol)を無水DMF(15mL)に溶解した。HATU(3.7g、9.76mmol)およびヒューニッヒ塩基(5.3mL、30.66mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、2-[(2S)-2-アザニウウムイル(azaniumyl)-2-フェニルエチル]ピリジン
-1-イウムジクロリド(2.5g、9.29mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で3時間30分間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→10%MeOH/90%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離し、次いでC-18カラムにおいてMeOHおよび水(0~100%MeOH)の勾配で溶離して精製し、表題化合物2.9g(78%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.35 (s, 9 H), 1.70 - 1.90 (m, 2 H), 2.05 - 2.19 (m, 2 H), 3.13 (dd, J = 13.8, 7.1 Hz, 1 H), 3.29 - 3.39 (m, 1 H), 3.46 - 3.62 (m, 2 H), 4.20 - 4.29 (m, 1 H), 5.39 (q, J = 6.8 Hz, 1 H), 6.91 (d, J = 7.3 Hz, 1 H), 7.09 - 7.14 (m, 1 H), 7.16 - 7.23 (m, 5 H), 7.49 (td, J = 7.63, 1.8 Hz, 1 H), 8.45 - 8.59 (m, 1 H).
【0089】
ステップB
(S)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド二塩酸塩
【化22】
0℃で((S)-tert-ブチル2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-カルボキシレート(305mg、0.771mmol)を1,4-ジオキサン(7.7mL、30.8mmol)中の4M HC
l溶液に溶解した。反応物を室温に徐々に温まらせながら一夜撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして生成物をMTBEで摩砕した。ブーフナー漏斗上の濾過によって固形物を回収し、MTBEで洗浄し、そして真空下で乾燥させ、表題化合物263mg(93%)を二塩酸塩として得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): ppm 1.61 - 1.84 (m, 3 H), 2.30 - 2.36 (m, 1 H), 3.05 - 3.11 (m, 2 H), 3.39 - 3.47 (m, 2 H), 4.05 - 4.20 (m, 2 H), 5.34 (q, 1 H), 7.
17 - 7.41 (m, 5 H), 8.20 - 8.42 (m, 1 H), 8.67 - 8.75 (m, 1 H), 9.45 - 9.62 (m, 2 H).
【0090】
別法:
tert-ブチル(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-カルボキシレート(2.9g、7.33mmol)を1,4-ジオキサン中の4M HCl溶液(73mL、293.31mmo
l)に溶解した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして生成物をMTBEで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、MTBEで洗浄し、そして真空下で乾燥させ、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウム2.7g(100%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.66 - 1.83 (m, 3 H), 2.20 - 2.26 (m, 1 H), 3.14 (t, J = 6.9 Hz, 2 H), 3.34 (dd, J = 14.1, 8.2 Hz, 1 H), 3.51 (dd, J = 14.4, 7.3 Hz, 1 H), 4.18 (dd, J = 8.5, 6.2 Hz, 1 H), 5.11 (t, J = 7.9 Hz, 1 H), 7.06 - 7.10 (m, 2 H), 7.15 - 7.21 (m, 3 H), 7.61 - 7.70 (m, 2 H), 8.23 (dt, J = 7.9, 1.5 Hz,
1 H), 8.37 (d, J = 5.8 Hz, 1 H).
【0091】
実施例5
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-メチルブタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化23】
表題化合物を(S)-1-((S)-2-アミノ-3-メチルブタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミドの二塩酸塩として製造した。
【0092】
ステップA
tert-ブチル(S)-3-メチル-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ブタン-2-イルカルバメート
【化24】
T3P(DMF中50質量%、0.83mL、1.42mmol)を、0℃でDCM(7mL)中の(S)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド二塩酸塩(263mg、0.714mmol)、Boc-L-バリン(155mg、0.714mmol)およびDIPEA(0.62mL、3.57mmol)の溶液に滴加した。反応物を撹拌下で一夜、徐々に室温に温まらせた。有機層を5%水性NaHCOで2回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。50gスナップカラムを用い、MeOHおよびCHClの勾配(5%MeOH/95%CHCl→10%MeOH/90%CHCl)で生成物を溶離して精製し、表題化合物258mg(73%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 0.91 (d, 3 H), 1.00 (d, 3 H), 1.43 (s, 9 H), 1.85
- 1.99 (m, 2 H), 2.00 - 2.16 (m, 1 H), 2.17 - 2.21 (m, 1 H), 3.12 - 3.27 (m, 2 H), 3.47 - 3.62 (m, 1 H), 3.63 - 3.78 (m, 1 H), 4.32 (dd, 1 H), 4.58 (d, 1 H), 5.23 - 5.35 (m, 2 H), 6.97 (d, 1 H), 7.10 (dd, 1 H), 7.14 - 7.30 (m, 5 H), 7.50 (td, 1 H), 7.84 (d, 1 H), 8.48 (dd, 1 H).
【0093】
ステップB
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-メチルブタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド二塩酸塩
【化25】
tert-ブチル(S)-3-メチル-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ブタン-2-イルカルバメート(258mg、0.522mmol)を、1,4-ジオキ
サン中の4M HCl溶液(5.2mL、30.8mmol)に溶解した。反応混合物を一夜撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして生成物をEtOAcで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、次いでEtOで摩砕した。ブーフナー漏斗上の濾過後、固形物を真空下で乾燥させ、表題化合物200mg(82%)を二塩酸塩として得た。次いで、二塩酸塩としての表題化合物を、当業者に知られている技術によって遊離塩基に変換した。別法として、表題化合物を、当業者に知られている方法によってフマル酸塩として製造してもよい。
1H NMR (300 MHz, CD3OD): ppm 0.97 (d, 3 H), 1.04 (d, 3 H), 1.68 - 1.79 (m, 1 H), 1.86 - 2.05 (m, 2 H), 2.13 - 2.27 (m, 2 H), 3.50 - 3.61 (m, 3 H), 3.68 - 3.75
(m, 1 H), 4.02 (d, 1 H), 4.45 (dd, 1 H), 5.40 (dd, 1 H), 7.31 - 7.43 (m, 5 H), 7.90 (t, 1 H), 8.02 (d, 1 H), 8.51 (td, 1 H), 8.75 (d, 1 H).
[M+H]+=395.27
【0094】
実施例6
(S)-1-((S)-2,6-ジアミノヘキサノイル)-N-((S)-1-フェニル
-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化26】
表題化合物を、三塩化物、2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2,
5-ジアザニウムイルヘキサノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウム三塩化物として製造した。
【0095】
ステップA
tert-ブチル(S)-6-オキソ-6-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ヘキサン-1,5-ジイルジカルバメート
【化27】
N-アルファ,N-イプシロン-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジンジシクロヘキシルアンモニウム塩(287mg、0.54mmol)を、無水DMF(4mL)に溶解した。HATU(217mg、0.57mmol)およびDIPEA(0.21mL、1.19mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウムジクロリド(200mg、0.54mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→10%MeOH/90%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離し、そしてC-18カラムにおいてMeOHおよび水(0~100%MeOH)の勾配で溶離して精製し、表題化合物80mg(24%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.34 - 1.39 (m, 2 H), 1.41 (s, 9 H), 1.43 (s, 9 H
), 1.52 - 1.64 (m, 3 H), 1.68 - 2.02 (m, 4 H), 2.08 - 2.22 (m, 2 H), 3.02 - 3.16
(m, 3 H), 3.20 - 3.28 (m, 1 H), 3.48 - 3.57 (m, 1 H), 3.60 - 3.70 (m, 1 H), 4.40 - 4.51 (m, 1 H), 4.54 - 4.57 (m, 1 H), 4.97 - 5.08 (m, 1 H), 5,29 - 5.39 (m, 2
H), 7.00 (d, 1 H), 7.10 - 7.32 (m, 6 H), 7.52 (td, 1 H), 7.86 (d, 1 H), 8.49 (d, 1 H).
【0096】
ステップB
2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2,5-ジアザニウムイルヘキ
サノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムトリクロリドの合成
【化28】
tert-ブチル(S)-6-オキソ-6-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ヘキサン-1,5-ジカルバメート(80mg、0.13mmol)を1,4-ジオキサン中の4M HCl溶液(1.6mL、6.4mmol)に溶解した。この反応物を室温で18時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして生成物をMTBEで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、MTBEで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させて表題化合物60mg(88%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.23 - 1.35 (m, 2 H), 1.46 - 1.59 (m, 3 H), 1.65 - 1.80 (m, 4 H), 2.04 - 2.13 (m, 1 H), 2.80 (t, 2 H), 3.31 - 3.43 (m, 2 H), 3.47 -
3.57 (m, 2 H), 4.16 (t, 1 H), 4.28 (t, 1 H), 5.11 (t, 1 H), 7.10 - 7.13 (m, 2 H), 7.16 - 7.26 (m, 3 H), 7.68 - 7.73 (m, 2 H), 8.31 (td, 1 H), 8.42 (dd, 1 H);
[M+H]=424.2
【0097】
実施例7
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化29】
表題化合物を、三塩化物、2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-3-(1H-イミダゾール-1-イウム-4-イル)プロパノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムトリクロリドとして製造した。
【0098】
ステップA
tert-ブチル(S)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート
【化30】
Boc-His-OH(166mg、0.65mmol)を無水DMF(4mL)に溶解した。HATU(260mg、0.68mmol)およびDIPEA(0.38mL、2.85mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリジン-2-イウムカルボキサミド)エチル)ピリジニウムクロリド(240mg、0.65mmol)を加え、そして混合物を室温で66時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいてMeOHおよびCHClの勾配(0%~13%のMeOH)で溶離し、そしてC-18カラムにおいてMeOHおよび水(0~100%MeOH)の勾配で溶離して精製し、表題化合物100mg(29%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.44 (s, 9 H), 1.77 - 2.00 (m, 3 H), 2.05 - 2.19 (m, 1 H), 3.03 - 3.14 (m, 2 H), 3.23 (dd, 1 H), 3.40 (dd, 1 H), 3.52 - 3.58 (m, 1 ), 4.50 - 4.62 (m, 2 H), 5,43 - 5.50 (m, 2 H), 6.91 - 6.97 (m, 2 H), 7.13 - 7.27 (m, 5 H), 7.53 (t, 1 H), 7.65 (s, 1 H), 8.53 (d, 1 H), 8.67 (d, 1 H).
【0099】
ステップB
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アンモニオ-3-(1H-イミダゾール-1-イウム-4-イル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジニウムトリクロリド
【化31】
tert-ブチル(S)-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート(100mg、0.19mmol)を1,4-ジオキサン中の4M HCl溶液(2.3mL、9.39mmol)
に溶解した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そし
て生成物をMTBEで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、MTBEで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させて表題化合物85mg(69%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.50 - 1.58 (m, 1 H), 1.69 - 1.76 (m, 2 H), 2.07 - 2.14 (m, 1 H), 3.12 - 3.21 (m, 3 H), 3.38 (dd, 7.3 Hz, 1 H), 3.48 - 3.56 (m, 2 H), 4.32 (t, 1 H), 4.43 (t, 1 H), 5.14 (t, 1 H), 7.08 - 7.12 (m, 2 H), 7.15 - 7.23 (m, 3 H), 7.26 (s, 1 H), 7.65 - 7.70 (m, 2 H), 8.26 (td, 1 H), 8.39 (d, 1 H), 8.49 (d, 1 H);
[M+H]=433.2;
[M+Na]=455.1
【0100】
実施例8
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アミノ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジン二塩酸塩
【化32】
表題化合物は、2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムジクロリドと称することもできる。
【0101】
ステップA
tert-ブチル(S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート
【化33】
Boc-Tyr-OH(229mg、0.81mmol)を無水DMF(5mL)に溶解した。HATU(325mg、0.86mmol)およびDIPEA(0.47mL、2.69mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、2-((S)-2-フェニル-2-((S)-ピロリジン-2-イウムカロボキサミド)エチル)ピリジニウムクロリド(300mg、0.81mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で66時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相
をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→15%MeOH/85%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離し、そしてC-18カラムにおいてMeOHおよび水(0~100%のMeOH)の勾配で溶離して精製し、表題化合物180mg(40%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.44 (s, 9 H), 1.73 - 2.02 (m, 3 H), 2.16 - 2.22 (m, 1 H), 2.92 - 3.09 (m, 4 H), 3.35 - 3.42 (m, 1 H), 3.48 - 3.51 (m, 1 H), 3.53
- 3.68 (m, 1 H), 4.48 - 4.51 (m, 1 H), 4.65 - 4.73 (m, 1 H), 5.06 - 5.14 (m, 1 H), 5.43 (d, 1 H), 6.61 (d, 1 H), 6.86 (d,, 2 H), 6.94 - 6.99 (m, 2 H), 7.08 - 7.26 (m, 6 H), 7.42 (dd, 1 H), 8.49 (d, 1 H), 8.63 (s, 1 H).
【0102】
ステップB:
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アンモニオ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジニウムジクロリド
【化34】
tert-ブチル(S)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート(180mg、0.32mmol)を、1,4-ジオキサン中の4M HCl溶液(3.2mL、12.89mmol)に
溶解した。この反応物を室温で18時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、そして生成物をMTBEで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、MTBEで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥ささせて表題化合物150mg(88%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.48 - 1.57 (m, 1 H), 1.68 - 1.73 (m, 2 H), 1.98 - 2.05 (m, 1 H), 2.68 - 2.76 (m, 1 H), 2.93 - 3.00 (m, 1 H), 3.10 - 3.19 (m, 1 H),
3.40 - 3.63 (m, 3 H), 4.20 - 4.28 (m, 2 H), 5.14 (t, 1 H), 6.65 (d, 2 H), 6.96 (d, 2 H), 7.13 - 7.22 (m, 5 H), 7.63 - 7.66 (m, 2 H), 8.19 - 8.22 (m, 1 H), 8.40
(d, 1 H);
[M+H]=459.2
【0103】
実施例9
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジン二塩酸塩
【化35】
表題化合物は、2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-3-(1H-インドール-3-イル)プロパノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムジクロリドと称することもできる。
【0104】
ステップA
tert-ブチル(S)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート
【化36】
Boc-Trp-OH(207mg、0.68mmol)を無水DMF(4mL)に溶解した。HATU(271mg、0.71mmol)およびDIPEA(0.39mL、2.24mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウムジクロリド(250mg、0.68mmol)を加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%のヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→15%MeOH/85%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離して精製し、表題化合物410mg(定量的)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.44 (s, 9 H), 1.77 - 1.89 (m, 3 H), 2.14 - 2.24 (m, 1 H), 3.03 - 3.24 (m, 4 H), 3.28 - 3.36 (m, 2 H), 3.54 - 3.65 (m, 1 H), 4.52
- 4.58 (m, 1 H), 4.79 - 4.88 (m, 1 H), 5,12 - 5.27 (m, 1 H), 5.34 - 5.41 (m, 1 H), 6.63 (d, 1 H), 6.94 - 7.31 (m, 8 H), 7.38 - 7.53 (m, 3 H), 7.62 - 7.67 (m, 1
H), 8.59 (d, 1 H), 9.87 (s, 1 H).
【0105】
ステップB
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アンモニオ-3-(1H-インドー
ル-3-イル)プロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジニウムジクロリド
【化37】
tert-ブチル(S)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート(395mg、0.68mmol)をEtO中の1M HCl溶液(27.0mL、27.20mmol)に溶解した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。生成物をEtO中で摩砕し、そして固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、EtOで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させて表題化合物175mg(44%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.41 - 1.53 (m, 1 H), 1.63 - 1.72 (m, 2 H), 1.93 - 2.04 (m, 1 H), 2.85 (dd, 1 H), 2.94 - 3.55 (m, 5 H), 4.19 - 4.31 (m, 2 H), 5.08 (t, 1 H), 6.90 - 7.31 (m, 9 H), 7.38 (d, 1 H), 7.55 - 7.58 (m, 2 H), 8.15 (t, 1 H), 8.31 (d, 1 H);
[M+H]=482.2、
[M+Na]=504.1
【0106】
実施例10
(S)-1-((S)-2-アミノ-3-フェニルプロパノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化38】
表題化合物を、2-[(2S)-2-{[(2)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-3-フェニルプロパノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムジクロリドとして製造した。
【0107】
ステップA
tert-ブチル(S)-1-オキソ-3-フェニル-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート
【化39】
Boc-Phe-OH(180mg、0.68mmol)を無水DMF(4mL)に溶解した。HATU(271mg、0.71mmol)およびDIPEA(0.39mL、2.24mmol)を加え、そして混合物を室温で30分撹拌した。次いで、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウムジクロリド(250mg、0.68mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→15%MeOH/85%EtOAc/0%のヘプタン)で溶離し、次いで、C-18カラムにおいてMeOHおよび水の勾配(0~100%MeOH)で溶離して精製し、表題化合物170mg(46%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.44 (s, 9 H), 1.73 - 1.91 (m, 3 H), 2.10 - 2.19 (m, 1 H), 3.10 - 3.40 (m, 3 H), 3.45 - 3.61 (m, 2 H), 4.27 - 4.35 (m, 1 H), 4.50
- 4.56 (m, 1 H), 4.60 - 4.69 (m, 1 H), 5,17 - 5.41 (m, 3 H), 6.93 - 7.03 (m, 2 H), 7.06 - 7.32 (m, 9 H), 7.47 - 7.56 (m, 1 H), 7.82 (d, 1 H), 8.48 (d, 1 H).
【0108】
ステップB
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アンモニオ-3-フェニルプロパノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジニウムジクロリド
【化40】
tert-ブチル(S)-1-オキソ-3-フェニル-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)プロパン-2-イルカルバメート(170mg、0.31mmol)をEtO中の1M HCl溶液(12.5mL、12.53mmol)に溶解した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。生成物をEtOで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、Et2Oで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させて表題化合物150mg(93%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.39 - 1.48 (m, 1 H), 1.58 - 1.65 (m, 2 H), 1.92 - 1.99 (m, 1 H), 2.66 - 2.74 (m, 1 H), 2.95 - 3.10 (m, 2 H), 3.29 - 3.45 (m, 3 H),
4.15 - 4.27 (m, 2 H), 5.09 (t, 1 H), 6.97 - 7.17 (m, 10 H), 7.59 - 7.64 (m, 2 H
), 8.18 (t, 1 H), 8.35 (d, 1 H);
[M+H]=443.3、
[M+Na]=465.2
【0109】
実施例11
(S)-1-((S)-2-アミノ-4-メチルペンタノイル)-N-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル)ピロリジン-2-カルボキサミド
【化41】
表題化合物を、二塩化物2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-4-メチルペンタノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムジクロリドとして製造した。
【0110】
ステップA
tert-ブチル(S)-4-メチル-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ペンタン-2-イルカルバメート
【化42】
N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-ロイシン(157mg、0.68mmol)を無水DMF(4mL)に溶解した。HATU(271mg、0.71mmol)およびDIPEA(0.39mL、2.24mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウムジクロリド(250mg、0.68mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→15%MeOH/85%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離し、そしてC-18カラムにおいてMeOHおよび水の勾配(0~100%のMeOH)で溶離して精製し、表題化合物200mg(58%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 0.91 (d, 3 H), 0.98 (d, 3 H), 1.34 - 1.52 (m, 1 H), 1.41 (s, 9 H), 1.70 - 1.84 (m, 2 H), 1.85 - 1.96 (m, 3 H), 2.11 - 2.18 (m, 1 H), 3.07 - 3.27 (m, 2 H), 3.47 - 3.56 (m, 1 H), 3.61 - 3.71 (m, 1 H), 4.43 - 4.5
6 (m, 2 H), 5.14 - 5.18 (m, 1 H), 5,26 - 5.34 (m, 1 H), 6.98 (d, J = 7.7 Hz, 1 H), 7.08 - 7.25 (m, 5 H), 7.52 (t, 1 H), 7.83 (d, 1 H), 8.48 (d, 1 H).
【0111】
ステップB
2-((S)-2-((S)-1-((S)-2-アンモニオ-4-メチルペンタノイル)ピロリジン-2-カルボキサミド)-2-フェニルエチル)ピリジニウムジクロリド
【化43】
tert-ブチル(S)-4-メチル-1-オキソ-1-((S)-2-((S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチルカルバモイル)ピロリジン-1-イル)ペンタン-2-イルカルバメート(200mg、0.39mmol)をEtO中の1M
HCl溶液(15.7mL、15.7mmol)に溶解した。反応物を室温で18時間撹拌した。生成物をEtOで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、EtOで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させて表題化合物130mg(69%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 0.72 (d, 6 H), 1.31 - 1.49 (m, 4 H), 1.65 - 1.74 (m, 2 H), 1.93 - 2.02 (m, 1 H), 3.23 - 3.49 (m, 4 H), 3.99 - 4.04 (m, 1 H), 4.16 -
4.21 (m, 1 H), 5.07 (t, 1 H), 7.08 - 7.20 (m, 5 H), 7.63 - 7.67 (m, 2 H), 8.22 (td, 1 H), 8.37 (dd, 1 H);
[M+H]=409.2、
[M+Na]=431.2
【0112】
実施例12
2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-5-{[アザニウムイル(イミニウムイル)メチル]アミノ}ペンタノイル]-ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムテトラクロリド
【化44】
【0113】
ステップA
tert-ブチルN-[(1Z)-{[(4S)-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-オキソ-5-[(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イル]ペンチル]アミノ}({[(tert-ブトキシ)カルボニル]イミノ})メチル]カルバメート
【化45】
Boc-Arg(Boc)2-OH(644mg、1.36mmol)を無水DMF(7mL)に溶解した。HATU(542mg、1.43mmol)およびDIPEA(0.78mL、4.48mmol)を加え、そして混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-1-イウム-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イウムジクロリド(500mg、1.36mmol)を溶液に加え、そして混合物を室温で18時間撹拌した。水を加え、そして混合物をEtOAcで3×抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。生成物を、SiOカラムにおいて勾配(0%MeOH/50%EtOAc/50%ヘプタン→0%MeOH/100%EtOAc/0%ヘプタン→10%MeOH/90%EtOAc/0%ヘプタン)で溶離し、そしてC-18カラムにおいてMeOHおよび水の勾配(0~100%MeOH)で溶離して精製し、表題化合物200mg(20%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): ppm 1.43 (s, 9 H), 1.46 (s, 9 H), 1.51 (s, 9 H), 1.57
- 1.76 (m, 4 H), 1.86 - 1.99 (m, 3 H), 2.12 - 2.25 (m, 1 H), 3.11 (dd, 1 H), 3.23 - 3.30 (m, 1 H), 3.58 - 3.95 (m, 4 H), 4.42 (t,, 1 H), 4.56 (d, 1 H), 5,31 - 5.38 (m, 2 H), 6.98 (d, 1 H), 7.17 - 7.33 (m, 5 H), 7.54 (t, 1 H), 7.93 (d, 1 H), 8.56 (d, 1 H).
【0114】
ステップB
2-[(2S)-2-{[(2S)-1-[(2S)-2-アザニウムイル-5-{[アザニウムイル(イミニウムイル)メチル]アミノ}ペンタノイル]ピロリジン-2-イル]ホルムアミド}-2-フェニルエチル]ピリジン-1-イウムテトラクロリド
【化46】
tert-ブチルN-[(1Z)-{[(4S)-4-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-5-オキソ-5-[(2S)-2-{[(1S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エチル]カルバモイル}ピロリジン-1-イル]ペンチル]アミノ}({[(tert-ブトキシ)カルボニル]イミノ})メチル]カルバメート(200mg、0.27mmol)をEtO中の1M HCl溶液(5.3mL、10.64mmol)に溶解した。この反応物を室温で18時間撹拌した。生成物をEtOで摩砕した。固形物をブーフナー漏斗上の濾過によって回収し、EtOで洗浄し、そして真空下で乾燥させた。固形物を水に溶解し、そして凍結乾燥させ、表題化合物140mg(88%)を得た。
1H NMR (300 MHz, D2O): ppm 1.31 - 1.57 (m, 3 H), 1.66 - 1.78 (m, 4 H), 2.00 - 2.10 (m, 1 H), 2.99 (t, 2 H), 3.28 - 3.40 (m, 4 H), 4.16 (t, 1 H), 4.26 (t, 1 H)
, 5.09 (t, 1 H), 7.10 - 7.13 (m, 2 H), 7.16 - 7.21 (m, 3 H), 7.67 - 7.71 (m, 2 H), 8.27 (t, 1 H), 8.40 (d, 1 H);
[M+H]=452.2
【0115】
生物活性
本明細書に記載されたプロドラッグは、うつ病または疼痛を患っている対象に経口投与することが企図されている。
【0116】
実施例13
この実施例は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの異なる変換速度(すなわち、遅いまたは急速な)を達成して適したPKプロファイルを確認するため、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(式中、R1はC1-6アルキルC(O)O(C1-6アルコキシ)である)の異なるプロドラッグを用いてもよいことを示している。したがって、異なるプロドラッグを製造するためにR1を変えることにより、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態プロファイルが得られる。さらに、この実施例は、プロドラッグが遊離塩基に変換されるときに、経口曝露において予想される損失がないことを示している。プロドラッグ(式中、R1は、C1-6アルキルC(O)O(C1-6アルコキシ)である)の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換は、エステルのような官能基の最初の酵素的加水分解を介して起こり、続いて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの自然変換が起こることが予想される。含まれる酵素は、いくつかの非特異的な高い能力のエステラーゼであるのことが予想され、それは非選択的エステラーゼ阻害剤による変換を阻害するが、選択的阻害剤を用いた変換を阻害しないことによって示すことができる。このようなエステラーゼは、人体の至るところに分布することが予想される。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの薬物動態的性質ならびに異なる身体区画における(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形成速度および形成度を試験するため、ヒト腸液(HIF)、ヒト肝臓S9画分およびヒト全血を用いている。表1に示すように、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なるプロドラッグからの(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形成速度は、試験したすべてのアッセイにおいて著しく異なる。
【0117】
【表1】
【0118】
表1に示したインビトロでの結果は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なるプロドラッグを用いることによって(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態血漿プロファイルが達成できることを示している。したがって、特定のプロドラッグの選択により、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態プロファイルの達成が可能となるであろう。すなわち、異なるプロドラッグを用いて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの遅いまたは急速な変換を達成してもよい。表1に示した結果を得るために用いたヒト腸液(HIF)、ヒト肝臓およびヒト血液アッセイは、Malmborg J & Ploeger BA, .J Pharmacol Toxicol Methods (2013) May-Jun 67(3) 203-13に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれている。
【0119】
実施例14
この実施例は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換(すなわち、遅いまたは急速な)異なる速度を達成して適したPKプロファイルを確認するため、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(式中、R1は、
【化47】
である)の異なるプロドラッグを用いてもよいことを示している。したがって、異なるプロドラッグを製造するためにR1を変えることにより、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態プロファイルが得られる。さらに、こ
の実施例は、プロドラッグが遊離塩基に変換されるときに経口曝露において予想される損失がないことを示している。
【0120】
プロドラッグから式(I)(式中、R1は、
【化48】
である)の化合物の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換は、プロリンC末端で酵素的加水分解を介して起こり、ジペプチドおよび(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを放出することが予想される。含まれる酵素はジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)であることが予想され、それはこの酵素の選択的阻害剤により変換を阻害することによって示すことができる。DPPIVは、人体の至る所に分布することが予想される。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの薬物動態的性質ならびに異なる身体区画における(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形成速度および形成度を試験するため、ヒト腸液(HIF)、ヒト肝臓S9画分およびヒト全血を用いている。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの透過性および吸収可能性を評価するため、Caco-2細胞を用いている。表2に示すように、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なるプロドラッグからの(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形成速度は、試験したアッセイ、特にヒト血液において異なった。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なるプロドラッグによって示される透過性の違いは、選択されたプロドラッグに応じて(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの全身曝露が変化するであろうと示唆している。
【0121】
【表2】
【0122】
インビトロアッセイは、異なるプロドラッグを用いることによって(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態血漿プロファイルを達成できることを示している。
したがって、異なるプロドラッグの使用によって(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの異なる薬物動態プロファイルを達成することができる。
【0123】
実施例15
この実施例は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの経口投与が、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの1時間の静脈内注入と類似した薬物動態プロファイルを有することを示している。
【0124】
インビトロデータに基づいて、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン(ラニセミン)は、ヒトにおける良好な経口生物学的利用能(>75%)を有するが、しかし、静脈内ボーラスとして投与したときに、許容しうるCmaxより高いCmaxを有することが予想される(1時間注入としてのその安全性プロファイル)。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの有用性および適合性を評価するために用いられる1つの選択基準は、プロドラッグを血流に直接投与したとき、活性部分のCmaxを弱め、それによって潜在的誤用(例えば乱用傾向)および/またはCmaxによって生じる安全性の懸念を和らげると同時に、プロドラッグが(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの経口/1時間の静脈内注入特性(例えば、Tmax、Cmax、AUC)を保つ可能性であった。ヒトにおいて適当な薬物動態プロファイルを有するプロドラッグを特定する手段として、多区画の生理学的ベースの薬物動態モデル(PBPK)を、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンおよび検討中の各プロドラッグの両方について作製した。ヒトPKデータが入手可能であることが知られているプロドラッグのセットを用いてPBPKモデルを検証した(Malmborg J & Ploeger BA, .J Pharmacol Toxicol Methods (2013) May-Jun 67(3) 203-13参照、それは参照により本明細書に組み込まれている)。モデルで
用いた速度定数は、プロドラッグおよび(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの両方で実施したインビトロ安定性研究(すなわちヒト腸液、ヒト血液、など)に基づいた(表1および2に示された実施例の値)。
【0125】
表3は、実施例5-DPPIV切断プロドラッグの1つに関する鍵となる薬物動態予測を示す。表3に例示されるように、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのCmax曝露は、所定の経口投与形態を圧砕し、ボーラス静脈内投与として不正に送達したときに>2×まで上昇すると予測される。対照的に、経口投与されたプロドラッグから放出される(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンは、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの1時間注入と類似したPKプロファイルを有しており、ボーラスとして静脈内に投与したときのCmax倍加がない。さらにまた、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換はDPPIVによって選択的に引き起こされるため、意図的なまたは不注意による誤用の場合、変換を停止するためにDPPIV阻害剤を用いることができる-DPPIVプロドラッグデザインに組み込まれた付加的安全性の特徴。
【0126】
表3において、化合物1は(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンである。表3では、すべての用量は、等量の化合物1[(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン遊離塩基]を含有するように選択され、すなわち、各用量は、その中に同じ量の化合物1を含有し、そして遊離塩基(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形態での放出が潜在的に可能である。したがって、表3に示すように、遊離塩基化合物1のモデル化されたCmax濃度を(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンおよび(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの異なる投与にわたって直接比較してもよい。
【0127】
【表3】
【0128】
実施例16
この実施例は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩のプロドラッグ(実施例5)および(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩の用量をイヌに投与したときに、プロドラッグでは、NOELおよびLOELによって表されるような発作のリスクが、より少なかったことを示している。
【0129】
経口強制飼養(水)を介して(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩およびビヒクルを1日当たり1回投与した。製剤を週1回で2回調製した。投与に必要となるまで、投与製剤をアンバーガラス容器中で保存し、冷凍した(2~8℃)。すべての用量について用量体積(1mL/kg)を保つため、ビヒクル中のさまざまな濃度の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン二塩酸塩を調製した。個々の用量は、本研究に用いたイヌのごく最近の体重に基づいた。
【0130】
毎日ほぼ同じ時刻(±1時間)に経口強制飼養を介してフマル酸塩としての(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(実施例5)およびビヒクルを、1日当たり1回14日間投与した(ビヒクルは0.3Mグルコン酸pH3.0である)。すべて用量について用量体積(2mL/kg)を保つため、ビヒクル中のフマル酸塩としてさまざまな濃度の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(例えば3、10および30mg/mlの(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ)を調製した。投与前に少なくとも30分間、かつ投与手順を通じて連続的に撹拌することによって投与製剤を室温に温めた。個々の用量は、本研究に用いたイヌのごく最近の体重に基づいた。
【0131】
表4の化合物1は、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンである。表4は、化合物1二塩酸塩の投与後、および化合物1のフマル酸塩プロドラッグの投与後、発作が起こらない最も高い血中濃度(無影響量(No Observed Effect Limit)、NOEL)、および発作が起こる最も低い血中濃度(最少影響量(Lowest Observed Effect Limit)、LOEL)を示す。各場合、遊離塩基(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの最も高い血中濃度(Cmax)を測定する。第1の場合、遊離塩基(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンは、二塩酸塩として投与された化合物1から直接生成される。第2の場合、遊離塩基(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンは、フマル酸塩として投与された化合
物1のプロドラッグからインビボ変換を介して生成される。発作に関するNOELは、二塩酸塩として(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを投与したときと比較して、フマル酸塩として(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグを投与したときの方が、より高かった。
【0132】
【表4】
【0133】
実施例17
この実施例は、図1aおよび図1bに示すように、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ、実施例5の用量増加によるヒト腸液中の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの濃度の増加が、比例するよりも少ないことを示している。結果として、それにより、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを直接投与することに比べて、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグを投与することで高濃度の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンを得ることが困難となり、そのことは、薬物乱用に求められている。理論によって拘束されることを望むわけではないが、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(式中、R1がある)は、主にDPPIVによって切断される。プロドラッグの(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換に影響を及ぼすDPPIVの内因性および/または外因性の調整の可能性がある。
【0134】
DMSO中に溶解された(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの20mmol/L溶液の体積(8.25、25、75および150μL)をFaSSIF-v2(491.75、475、425、および350μL)に加えることによって(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの保存溶液(0.33、1、3および6mmol/L)を調製した。その後、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン保存溶液のプロドラッグ10μLをガラスバイアル中の上清(90μL HIF)に加え、1分間混合し、そしてLC-UVシステムに注射した。インキュベーションの初期濃度は、33、100、300および600μmol/Lであり、そしてインキュベーションの開始から5、20、35、65および125分でサンプルを採取した。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンの形成速度および濃度を決定するため標準試料(一点較正)として(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンμmol/L)のインキュベーション実験を用いた。分析は、Waters Acquity UPLCに接続されたホトダ
イオードアレー検出器において実施した(使用した分析波長は、261nmであった)。使用したカラムは、40℃に保たれた、0.2μmインライン前置フィルターを用いるBEH C-18、1.7μm、2.1×50mm IDであった。使用した移動相は、A:HO中の0.03%TFA(v/v)およびB:アセトニトリル中の0.03%TF
A(v/v)であった。実施例の勾配:最初の1%Bを、7分かけて95%Bに増加させ、次いで、0.6mL/分の流速で0.4分間、95%Bで保持した。時間に対して測定されたプロドラッグおよび(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミン濃度によって、プロドラッグから(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンへの変換速度を決定した。
【0135】
実施例18
実施例17のインビトロ観察と一致して、ラットにおけるインビボ研究(下の実施例18)は、上記のような(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのCmax曝露が、(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの治療用量と治療超過用量との間の移行に比例するほどには増加しないことを示している。これらのインビボ研究の結果を表5に作表した。
【0136】
雄52匹および雌52匹のラットに、(a)ビヒクル中のフマル酸塩として(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ(0.3Mグルコン酸、pH3.0)または(b)ビヒクル(0.3Mグルコン酸、pH3.0)のいずれかを、毎日ほぼ同じ時刻に(09:26+/-124分)1日当たり1回14日間投与した。用量(30、100および300mg/kgの(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグ)を10mL/kgの用量体積で投与した。14日後、投与後24時間、拘束された動物の外側尾静脈から血液サンプルを集めた。50μl中性Sarstedt Minivette POCT毛細管を用いて血液サンプルを集めた。次いで、そ
の血液を、氷冷クエン酸ナトリウムを含有する予め冷却された管に移し、手で5~10回振盪し、そして採取10秒以内にドライアイス中で凍結させた。分析のため、全血サンプルをドライアイス上で凍結させてコーヴァンス・ラボラトリー社(Covance Laboratories
Inc.)に送った。(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンお
よび(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグの濃度に関してサンプルを分析した。すべての分析作業は、コーヴァンス・ラボラトリー社、ウィスコンシン州、マディソン(Covance Laboratories, Inc., Madison, Wisconsin)によって、その研究所が開発および検証したLC/MS/MS分析法を用いて実施された。
【0137】
表5は、治療用量および治療超過用量の(S)-1-フェニル-2-(ピリジン-2-イル)エタンアミンのプロドラッグをラットに投与した後の毒物動態学的パラメータを示している。
【0138】
【表5】
図1