(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】光受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20230228BHJP
H04B 10/66 20130101ALI20230228BHJP
【FI】
H04B10/079
H04B10/66
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021088318
(22)【出願日】2021-05-26
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】202010460144.0
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオウェン リャン
(72)【発明者】
【氏名】ツオンミン チュアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイフン チェン
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-172202(JP,A)
【文献】特開2018-007043(JP,A)
【文献】特開2005-354485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光受信装置であって、
光ファイバから光信号を受信し、該光信号に対して光電変換及び増幅を実行して、光電流を生成するために使用される変換モジュールと、
予め設定された出力電圧スイングを示す入力信号を受信し、前記変換モジュールを電気的に接続して前記光電流を受信する信号生成モジュールであって、該信号生成モジュールは、総利得自体を示す利得信号を提供し、電圧信号を生成するために、前記入力信号に従って前記光電流に対してトランスインピーダンス及び増幅を実行し、前記光電流に従って前記光信号に関連する平均光パワーを示す測定信号を生成する、信号生成モジュールと、
制御モジュールであって、前記変換モジュールと前記信号生成モジュールとに電気的に接続し、前記変換モジュールの利得を調整するために前記変換モジュールに可変である制御信号を出力し、その結果、前記変換モジュール自体の利得が変化するにつれて前記変換モジュールのダイナミックレンジが変化する、制御モジュールと
を備え
、
該制御モジュールは、前記入力信号を受信し、該入力信号を前記信号生成モジュールに出力し、前記利得信号及び前記測定信号を前記信号生成モジュールから更に受信するために使用され、前記制御モジュールは、前記入力信号と、前記利得信号と、前記測定信号と、前記変換モジュールの光電変換に関連する光応答性に従って消光比を取得し、該消光比は、前記変換モジュールが飽和領域で動作するかどうかを判断するために使用され、また前記消光比と予め設定された消光比閾値との間の比較を行い、該比較の結果に従って前記制御信号を調整して、生成し、その結果、前記消光比が前記予め設定された消光比閾値未満である場合、前記変換モジュールの利得は、前記制御信号の制御下で低下する、光受信装置。
【請求項2】
前記変換モジュールが、
前記光ファイバから前記光信号を受信し、前記制御モジュールを電気的に接続して前記制御信号を受信するために使用される半導体光増幅器であって、該半導体光増幅器は、前記制御信号に従って利得自体を調整し、増幅された光信号を生成するために該光信号を増幅し、前記半導体光増幅器の利得は、前記変換モジュールの利得として作用する、半導体光増幅器と、
該半導体光増幅器を結合して前記増幅された光信号を受信し、該増幅された光信号を帯域通過フィルタ処理してフィルタ処理された光信号を生成する光帯域通過フィルタと、
該光帯域通過フィルタを結合して前記フィルタ処理された光信号を受信し、該フィルタ処理された光信号を前記光電流に光電気的に変換する光検出器と
を備える、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項3】
前記変換モジュールが、
バイアス電圧を受信し、前記光ファイバから前記光信号を受信するために使用される光電変換器であって、該光電変換器は、前記バイアス電圧に応じて利得自体を調整し、前記光電流を生成するために前記光信号に対して光電変換及び増幅を行い、前記光電変換器の利得を前記変換モジュールの利得として作用させる、光電変換器と、
該光電変換器と前記制御モジュールとの間に電気的に接続され、前記制御モジュールから前記制御信号を受信し、該制御信号に従って前記バイアス電圧を調整して生成し、該バイアス電圧を前記光電変換器に出力するバイアス電圧発生器と
を備える、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項4】
前記光電変換器はアバランシェ・フォト・ダイオードで作製されている、請求項3に記載の光受信装置。
【請求項5】
前記光信号及び前記電圧信号はそれぞれ、少なくとも4つのレベルのマルチレベルパルス振幅変調信号である、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項6】
前記信号生成モジュールは、
前記変換モジュールを電気的に接続して前記光電流を検出し、該光電流に従って前記測定信号を生成し、該測定信号を前記制御モジュールに出力する電力検出器と、
前記変換モジュールを電気的に接続して前記光電流を受信し、該光電流に対してトランスインピーダンス及び増幅を実行して増幅された電圧信号を生成するトランスインピーダンス増幅器と、
可変利得を示す利得制御信号を受信し、前記トランスインピーダンス増幅器を電気的に接続して前記増幅された電圧信号を受信する可変利得増幅器であって、該可変利得増幅器は、前記利得制御信号に従って前記可変利得に利得自体を調整し、前記増幅された電圧信号を増幅して該電圧信号を生成する、可変利得増幅器と、
該可変利得増幅器及び前記制御モジュールを電気的に接続して、前記電圧信号及び前記入力信号をそれぞれ受信し、前記電圧信号の電圧スイングと前記入力信号によって示される前記予め設定された出力電圧スイングとの間の比較を実行して、該比較の結果に従って前記利得制御信号を調整して生成し、該利得制御信号を前記可変利得増幅器に出力する自動利得コントローラと
を備え、
該自動利得コントローラは、前記利得信号を更に提供し、該利得信号によって示される総利得は、前記トランスインピーダンス増幅器及び前記可変利得増幅器の利得の合計である、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項7】
前記信号生成モジュールを電気的に接続して前記電圧信号を受信し、該電圧信号を復調してデータ出力を生成するマルチレベルパルス振幅復調器
を更に備える、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項8】
前記光信号は、各々が少なくとも4つのレベルのパルス振幅変調信号である複数のマルチレベルパルス振幅変調信号を有し、前記光電流が複数の光電流部分を有し、前記変換モジュールは、
前記光ファイバから前記光信号を受信し、前記制御モジュールを電気的に接続して前記制御信号を受信するために使用される半導体光増幅器であって、該半導体光増幅器は、前記制御信号に従って利得自体を調整し、増幅された光信号を生成するために該光信号を増幅し、前記半導体光増幅器の利得は、前記変換モジュールの利得として作用する、半導体光増幅器と、
該半導体光増幅器を結合して前記増幅された光信号を受信し、該増幅された光信号を分波して、前記複数のマルチレベルパルス振幅変調信号にそれぞれ関連する複数の調整光信号を生成するデマルチプレクサと、
該デマルチプレクサを結合し、前記複数の調整光信号をそれぞれ受信し、それに応じて該複数の調整光信号を前記複数の光電流部分にそれぞれ光電気的に変換する複数の光検出器と
を備える、請求項1に記載の光受信装置。
【請求項9】
予め設定された出力電圧スイングが複数の予め設定された出力電圧スイング部分を有し、入力信号は、前記複数の予め設定された出力電圧スイング部分のうちの対応する1つを各々示す複数の入力信号部分を有し、利得信号は、複数の利得信号部分を有し、電圧信号は複数の電圧信号部分を有し、信号生成モジュールは、
複数の信号生成ユニットであって、各信号生成ユニットは、前記制御モジュールを電気的に接続して、対応する前記入力信号部分を受信し、対応する前記光検出器を電気的に接続して対応する前記光電流部分を受信し、各信号生成ユニットは、対応する前記利得信号部分を提供し、前記対応する入力信号部分に従って前記対応する光電流部分を増幅して、対応する前記電圧信号部分を生成し、前記対応する光電流部分に従って該対応する光電流部分の平均光パワーを示す測定信号部分を生成し、複数の測定信号部分が測定信号を構成する、複数の信号生成ユニット
を備える、請求項
8に記載の光受信装置。
【請求項10】
前記光受信装置は、
前記複数の信号生成ユニットをそれぞれ電気的に接続して、前記複数の電圧信号部分をそれぞれ受信し、該複数の電圧信号部分をそれぞれ復調して、それぞれ複数のデータ出力を生成する、複数のマルチレベルパルス振幅復調器と、
前記制御モジュールを電気的に接続し、前記複数のマルチレベルパルス振幅復調器を電気的に接続して前記複数のデータ出力を受信し、該複数のデータ出力に従って推定信号を生成し、該推定信号を前記制御モジュールに出力し、その結果、該制御モジュールは、前記推定信号に従って更に制御信号を調整する推定モジュールであって、前記推定信号は、光信号のビット誤り率及び信号対雑音比のうちの1つに関連付けられる、推定モジュールと
を更に備える、請求項
9に記載の光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装置に関し、特に、光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の光通信システムは、光送信装置と、光ファイバと、光受信装置と、調整可能な光減衰器と、光スプリッタと、光検知器と、を含む。
【0003】
光送信装置は、マルチレベルパルス振幅変調の光信号を送信し、光ファイバ及び調整可能な光減衰器を介して光信号を順次光スプリッタに送信するために使用される。光スプリッタは、受信した光信号を第1の光信号及び第2の光信号に分割し、第1の光信号及び第2の光信号を光検知器及び光受信装置にそれぞれ送信する。光受信装置は、受信された第2の光信号に対して光電変換、増幅、及び復調を実行してデジタルデータ出力を生成し、後段デジタル回路を使用することを可能にする。光検知器は、第1の光信号に従って光信号の光パワーを示す測定信号を生成し、測定信号を調整可能な光減衰器に送信する。測定信号に従って、調整可能な光減衰器は、光受信装置が、光スプリッタから光受信装置によって受信された第2の光信号の光パワーが大きすぎるため、内部の半導体光増幅器に飽和領域で動作させないように、光ファイバ光を介して受信した光信号が、最初に電力減衰及び調整のために機能し、その後、光スプリッタに出力されるかどうかを決定し、その結果、半導体光増幅器が飽和領域で動作するため、光受信装置によって生成されたデジタルデータ出力が不正確になることを回避する。
【0004】
したがって、光送信装置、光ファイバ、及び既存の光通信システムによって含まれる光受信装置などの基本要素に加えて、既存の光通信システムは、調整可能な光減衰器、光スプリッタ、及び光検知器を更に含むことを必要とし、その結果、既存の光通信システムは、より大きな音量及びより高いコストを有することになる。また、光信号の入力電力に関連する光受信装置のダイナミックレンジがより制限される。したがって、既存の光通信システムは、依然として、改善された空間を有する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本開示の目的は、既存の技術の欠点を克服することができる光受信装置を提供することである。
【0006】
したがって、本開示の光受信装置は、変換モジュールと、信号生成モジュールと、制御モジュールと、を備える。変換モジュールは、光ファイバから光信号を受信し、光信号に光電変換及び増幅を実行し、光電流を生成するために使用される。信号生成モジュールは、予め設定された出力電圧スイングを示す入力信号を受信し、変換モジュールを電気的に接続して光電流を受信し、信号生成モジュールは、総利得自体を示す利得信号を提供し、電圧信号を生成するために、入力信号に従って光電流に対してトランスインピーダンス及び増幅を実行し、光電流に従って光信号に関連する平均光パワーを示す測定信号を生成する。制御モジュールは、変換モジュールと信号生成モジュールとを電気的に接続し、変換モジュールの利得を調整するために変換モジュールに可変である制御信号を出力し、その結果、変換モジュール自体の利得が変化するにつれて変換モジュールのダイナミックレンジが変化する。
【0007】
本開示の技術的効果は、制御モジュールが制御信号を生成して変換モジュールの利得を調整することにより、変換モジュールのダイナミックレンジを更に増大させることができ、その結果、光ファイバを介した光信号の送信距離が制限されず、リンク性能が促進されることにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の他の特徴及び技術的効果は、添付の図面を参照する実施形態において明らかとなるであろう。
【0009】
【
図1】本開示の光受信装置の第1の実施形態を示すブロック図であり、光通信システムのために使用される。
【
図2】第1の実施形態の半導体光増幅器の利得を示すシミュレーション図であり、異なる駆動電流の下で入力電力を用いて変化する。
【
図3】第1の実施形態の半導体光増幅器の利得が一定であるときの入力電力によるビット誤り率の変化を示すシミュレーション図である。
【
図4】第1の実施形態の半導体光増幅器の利得が一定であるときの入力電力による消光比の変化を示すシミュレーション図である。
【
図5】第1の実施形態の半導体光増幅器の利得が一定でないときの入力電力によるビット誤り率の変化を示すシミュレーション図である。
【
図6】半導体光増幅器の第1の実施形態の利得が一定ではないときの入力電力による消光比の変化を示すシミュレーション図である。
【
図7】本開示の光受信装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【
図8】本開示の光受信装置の第3の実施形態を示すブロック図であり、別の光通信システムのために使用される。
【符号の説明】
【0010】
1 光受信装置
10 光通信システム
11、11a、11b 変換モジュール
111、116 半導体光増幅器
112 光帯域通過フィルタ
113、118 光検出器
114 光電変換器
115 バイアス電圧発生器
117 デマルチプレクサ
12、12a 信号生成モジュール
121 電力検出器
122 トランスインピーダンス増幅器
123 可変利得増幅器
124 自動利得コントローラ
125 信号生成ユニット
13 制御モジュール
14 マルチレベルパルス振幅復調器
15 推定モジュール
2 光送信装置
3 光ファイバ
Ac 利得制御信号
Cs 制御信号
Do データ出力
Do1-Don データ出力
DR、DR’ ダイナミックレンジ
Es 推定信号
Gs 利得信号
Gs1-Gsn 利得信号部分
La 増幅された光信号
Lf フィルタ処理された光信号
L1-Ln 調整光信号
Ls 光信号
Ms 測定信号
Ms1-Msn 測定信号部分
Pb 予め設定されたビット誤り率閾値
Pc 光電流
Pc1-Pcn 光電流部分
Pt 予め設定された消光比閾値
Q 位置
Q1 第1の入力電力
Q2 第2の入力電力
Si 入力信号
Si1-Sin 入力信号部分
Va 増幅された電圧信号
Vb バイアス電圧
Vs 電圧信号
Vs1-Vsn 電圧信号部分
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を詳細に説明する前に、同様の要素は、以下の説明において同じ参照符号によって示されることに留意すべきである。
【0012】
<第1の実施形態>
図1を参照すると、本開示の光受信装置1の実施形態は、光通信システム10に適合されている。光通信システム10は、光送信装置2と、光ファイバ3と、を備える。光送信装置2は、マルチレベルパルス振幅変調(PAM-N)の光信号Lsを送信し、光ファイバ3を介して光受信装置1に光信号Lsを送信するために使用される。光信号Lsは、少なくとも4つのレベルのマルチレベルパルス振幅変調信号である。本実施形態では、光信号Lsは、一例として、4つのレベルのパルス振幅変調信号であるが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0013】
本実施形態の光受信装置1は、変換モジュール11、信号生成モジュール12、制御モジュール13、及びマルチレベルパルス振幅復調器14を含む。
【0014】
変換モジュール11は、光ファイバ3から光信号Lsを受信し、光信号Lsに対して光電変換及び増幅を実行し、光電流Pcを生成するために使用される。本実施形態では、変換モジュール11は、半導体光増幅器111、光帯域通過フィルタ112、及び光検出器/光学検出器113を含む。
【0015】
半導体光増幅器111は、光信号Lsを受信し、可変である制御信号Csを受信するために使用される。半導体光増幅器111は、制御信号Csに従って利得自体を調整し、増幅された光信号Laを生成するために光信号Lsを増幅する。半導体光増幅器111の利得は、変換モジュール11の利得として作用する。具体的には、制御信号Csが変化するにつれて半導体光増幅器111の駆動電流が変化し、駆動電流が変化するにつれて半導体光増幅器111の利得が変化する。
図2を更に参照すると、
図2は、半導体光増幅器111の利得と、異なる駆動電流下の光信号Lsの入力電力との関係を示す。
図2から分かるように、半導体光増幅器111のより大きい(より小さい)利得が所望される場合、駆動電流は、制御信号Csに従って増加(減少)される。
【0016】
光帯域通過フィルタ112は、増幅された光信号Laを受信するように半導体光増幅器111に結合し、増幅された光信号Laを帯域通過フィルタ処理して、フィルタ処理された光信号Lfを生成する。具体的には、光帯域通過フィルタ112は、検出される波長を有する光信号が通過することを可能にし、検出されない波長を有する他の光信号を取り除くために使用される。
【0017】
光検出器113は、光帯域通過フィルタ112を結合して、フィルタ処理された光信号Lfを受信し、フィルタ処理された光信号Lfを光電流Pcに光電気的に変換する。
【0018】
信号生成モジュール12は、予め設定された出力電圧スイングを示す入力信号Siを受信し、変換モジュール11の光検出器113を電気的に接続して、光電流Pcを受信する。信号生成モジュール12は、総利得自体を示す利得信号Gsを提供する。信号生成モジュール12は、入力信号Siに従って光電流Pcに対してトランスインピーダンス及び増幅を行い、電圧信号Vsを生成し、光電流Pcに従って光信号Lsに関連する平均光パワーを示す測定信号Msを生成する。測定信号Msは、光受信装置1の受信信号強度表示(RSSI)として作用する。電圧信号Vsは、少なくとも4つのレベルのマルチレベルパルス振幅変調信号である。本実施形態では、電圧信号Vsは、4つのレベルのパルス振幅変調信号であるが、本開示はこれに限定されない。信号生成モジュール12は、電力検出器121、トランスインピーダンス増幅器122、可変利得増幅器123、及び自動利得コントローラ124を含む。
【0019】
電力検出器121は、光検出器113を電気的に接続して光電流Pcを検出し、光電流Pcに従って測定信号Msを生成する。
【0020】
トランスインピーダンス増幅器122は、光検出器113を電気的に接続して光電流Pcを受信し、光電流Pcに対してトランスインピーダンス及び増幅を行い、増幅された電圧信号Vaを生成する。
【0021】
可変利得増幅器123は、可変利得を示す利得制御信号Acを受信し、トランスインピーダンス増幅器122を電気的に接続して増幅された電圧信号Vaを受信する。可変利得増幅器123は、利得制御信号Acに従って利得自体を可変利得に調整し、増幅された電圧信号Vaを増幅して電圧信号Vsを生成する。
【0022】
自動利得コントローラ124は、入力信号Siを受信し、可変利得増幅器123を電気的に接続して電圧信号Vsを受信する。自動利得コントローラ124は、利得信号Gsを提供し、利得信号Gsによって示される総利得は、トランスインピーダンス増幅器122及び可変利得増幅器123の利得の合計である(したがって、自動利得コントローラ124はトランスインピーダンス増幅器122の利得を予め記憶し、トランスインピーダンス増幅器122の利得は一定である)。自動利得コントローラ124は、電圧信号Vsの電圧スイングと入力信号Siによって示される予め設定された出力電圧スイングとの間の比較を実行して、比較の結果に従って利得制御信号Acを調整して生成し、利得制御信号Acを可変利得増幅器123に出力する。例えば、電圧信号Vsの電圧スイングが予め設定された出力電圧スイング未満である場合、自動利得コントローラ124は、利得制御信号Acの可変利得を促進し、すると利得制御信号Acの制御下で利得制御信号Acと共に可変利得増幅器123の利得が増加し、その結果、電圧信号Vsの電圧スイングが予め設定された出力電圧スイングに等しくなるように徐々に調整されることにより、電圧信号Vsの出力大きさが、後段回路の要件と合致することを確実にする。
【0023】
制御モジュール13は、変換モジュール11の半導体光増幅器111と、信号生成モジュール12の電力検出器121及び自動利得コントローラ124とを電気的に接続する。制御モジュール13は、入力信号Siを受信し、入力信号Siを自動利得コントローラ124に出力し、自動利得コントローラ124からの利得信号G及び電力検出器121からの測定信号Msをそれぞれ更に受信するために使用される。制御モジュール13は、少なくとも入力信号Si、利得信号Gs、及び測定信号Msに従って制御信号Csを生成し、制御信号Csを半導体光増幅器111に出力して、変換モジュール11の半導体光増幅器111の利得を調整し、その結果、変換モジュール11のダイナミックレンジが半導体光増幅器111の利得が変化するにつれて変化する。
【0024】
具体的には、制御モジュール13は、入力信号Siと、利得信号Gsと、測定信号Msと、光検出器113の光電変換に関連する光応答性に従って消光比を取得し、消光比は、変換モジュール11の半導体光増幅器111が飽和領域で動作するか否かを判断するために使用され、制御モジュール13は、比較からの結果に従って制御信号Csを調整し、生成するために、消光比と予め設定された消光比閾値との間の比較を行い、その結果、消光比が予め設定された消光比閾値未満である場合(すなわち、半導体光増幅器111が線形領域ではなく飽和領域で動作し、増幅された光信号Laのアイダイヤグラムの変形が生じ、すると後段回路の復調の精度に影響を与える)、半導体光増幅器111の利得は、制御信号Csの制御下で低下し、これにより、調整後の消光比が予め設定された消光比閾値以上のため、半導体光増幅器111は線形領域で動作する。消光比は、以下の式(1)から得られてもよく、
【数1】
式中、パラメータERは消光比であり、パラメータPavgは、測定信号Msと光応答性との比に関連付けられ、パラメータOmaは、入力信号Siと利得信号Gsとの比に関連付けられる。
【0025】
マルチレベルパルス振幅復調器14は、可変利得増幅器123を電気的に接続して電圧信号Vsを受信し、電圧信号Vsを復調してデータ出力Doを生成する。
【0026】
図3及び
図4を参照すると、
図3は、半導体光増幅器111の利得が一定であるときの、データ出力Doのビット誤り率(BER)と光信号Lsの入力電力(光ファイバ3の損失に依存する)との関係を示す。
図4は、半導体光増幅器111の利得が一定であるときの消光比ERと光信号Lsの入力電力との関係を示す。
図3では、ビット誤り率が予め設定されたビット誤り率閾値Pb以下であるとき、光通信システム10は、より良好なリンク性能を有し、様々な光ファイバ送信長さにおいて、光受信装置1のダイナミックレンジ(すなわち、
図3の記号DRで表される変換モジュール11のダイナミックレンジ)を最大化することが好ましい。光信号Lsの入力電力が小さい(すなわち、Q点の前)ため、データ出力Doのビット誤り率は、光通信システム10のノイズによって制限されるが、光信号Lsの入力電力が大きい(すなわち、Q点の後)ため、光通信システム10のリンク性能が悪くなり、半導体光増幅器111に起因する非線形歪みによって、データ出力Doのビット誤り率が制限される(すなわち、半導体光増幅器111は飽和領域で動作する)。したがって、半導体光増幅器111が動作する非線形歪みの開始位置(すなわち、Q点)を調整して、光受信装置1のダイナミックレンジDRを最大化することにより、最良のリンク性能の光信号Lsの入力電力範囲を実現することができる。また、
図4に示すように、増幅された光信号Laの線形動作のために、光信号Lsのより小さい入力電力(すなわち、Q点の前)に対応する半導体光増幅器111の利得が直線的に変化するため、消光比ERは一定に維持される。しかし、光信号Lsの入力電力が大きい(すなわち、Q点後)ほど、半導体光増幅器111の利得が徐々に非線形になる(すなわち、半導体光増幅器111が飽和領域で動作する)ため、消光比ERは予め設定された消光比閾値未満になり始める。したがって、本開示の光受信装置1は、消光比ERが予め設定された消光比閾値未満であるかを判定することにより、半導体光増幅器111が線形領域で動作しているか否かを判定し(
図4の記号Ptで表される)、消光比ERが予め設定された消光比閾値Pt未満である場合、光受信装置1は、半導体光増幅器111の利得を低下させて(すなわち、半導体光増幅器111の駆動電流を減少させる)、半導体光増幅器111が動作する非線形歪みの開始位置Qを延期させ、その結果、変換モジュール11のダイナミックレンジがそれと共に大きくなるため、光ファイバ3を介した光信号Lsの伝送距離は比較的制限されず、リンク伝達性能を促進する。
【0027】
図5及び
図6を参照すると、
図5及び
図6は、半導体光増幅器111の利得が一定ではない点で、
図3及び
図4とそれぞれ異なる。
図5及び
図6のシミュレーション図から、光信号Lsの入力電力が第1の入力電力Q1よりも大きい場合、消光比ERは、予め設定された消光比閾値Pt未満になり始める。したがって、制御モジュール13は、半導体光増幅器111の利得を低下させて、半導体光増幅器111を線形領域で連続的に動作させ、線形領域で動作する半導体光増幅器111は、飽和領域の開始位置が、第1の入力電力Q1が位置する位置から第2の入力電力Q2が位置する位置に延期されるようになり、すると換モジュール11のダイナミックレンジDR’がそれと共に増加するため、本開示の光受信装置1は、実際に好ましいリンク性能を有する。
【0028】
他の実施形態では、光受信装置1は、マルチレベルパルス振幅復調器14と制御モジュール13との間で電気的に接続される推定モジュール(図示せず)を更に含むことに留意されたい。推定モジュールは、データ出力Doに従って推定信号(光信号Lsのビット誤り率及び信号対雑音比(SNR)の一方に関連付けられる)を生成し、推定信号を制御モジュール13に出力し、これにより、制御モジュール13は、推定信号に従って制御信号Csを更に調整する。
【0029】
<第2の実施形態>
図7を参照すると、本開示の光受信装置1の第2の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、第2の実施形態では、(1)変換モジュール11aが、第1の実施形態の変換モジュール11に置き換わり(
図1を参照)、変換モジュール11aは、光電変換器114及びバイアス電圧発生器115を含み、(2)電力検出器121は、光検出器113ではなく光電変換器114を電気的に接続する(
図1参照)という点で第1の実施形態と異なる。
【0030】
光電変換器114は、バイアス電圧Vbを受信し、光ファイバ3から光信号Lsを受信するために用いられる。光電変換器114は、バイアス電圧Vbに応じて利得自体を調整し(例えば、バイアス電圧Vbが増加すると、それと共に、光電変換器114の利得が増加する)、光信号Lsに対して光電変換及び増幅を行って光電流Pcを生成する。本実施形態では、光電変換器114の利得は、変換モジュール11aの利得として作用する。光電変換器114はアバランシェ・フォト・ダイオードで作製されている。
【0031】
バイアス電圧発生器115は光電変換器114と制御モジュール13との間で電気的に接続され、制御モジュール13から制御信号Csを受信し、制御信号Csに応じてバイアス電圧Vbを調整して生成し、バイアス電圧Vbを光電変換器114に出力する。
【0032】
なお、制御モジュール13は、少なくとも入力信号Siと、利得信号Gsと、測定信号Msと、光電変換器114の光電変換に関連する光応答性に従って消光比ERを得て、また、式(1)において、パラメータPavgは、測定信号Ms、光応答性、及び光電変換器114の利得に関連付けられることに留意されたい。光受信装置1の第2の実施形態の動作は、光受信装置1の第1の実施形態の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
<第3の実施形態>
図8を参照すると、本開示の光受信装置1の第3の実施形態は、別の光通信システムに使用され、別の光通信システムは、波長分割多重化(WDM)送信システムである。第3の実施形態は、第1の実施形態と同様であるが、第3の実施形態では、(1)光信号Lsは、各々が少なくとも4つのレベルのパルス振幅変調信号である複数のマルチレベルパルス振幅変調信号を有し(本実施形態では、各マルチレベルパルス振幅変調信号が4つのレベルのパルス振幅変調信号であることを例に取るが、本開示はこれに限定されない。)、(2)複数の光電流部分Pc1~Pcnが、光電流Pc(
図1参照)を構成し、複数の利得信号部分Gs1~Gsnが利得信号Gsを構成し(
図1参照)、複数の測定信号部分Ms1~Msnが測定信号Msを構成し、複数の電圧信号部分Vs1~Vsnが電圧信号Vsを構成し、(3)複数の入力信号部分Si1~Sinが入力信号Siを構成し(
図1参照)、複数の入力信号部分Si1~Sinはそれぞれ、複数の予め設定された出力電圧スイング部分を示し、複数の予め設定された出力電圧スイング部分は、入力信号Siで示される予め設定された出力電圧スイングを構成し、(4)変換モジュール11b及び信号生成モジュール12aは、第1の実施形態の変換モジュール11及び信号生成モジュール12(
図1を参照)をそれぞれ置き換え、また(5)複数のマルチレベルパルス振幅復調器14及び推定モジュール15が更に含まれる、という点で第1の実施形態とは異なる。
【0034】
本実施形態では、変換モジュール11bは、半導体光増幅器116、デマルチプレクサ117、及び複数の光検出器118を含む。なお、半導体光増幅器116の動作は
図1の半導体光増幅器111の動作と同様であるため、その説明を省略する。
【0035】
デマルチプレクサ117は、半導体光増幅器116を結合して増幅された光信号Laを受信し、増幅された光信号Laを分波して、光信号Lsの複数のマルチレベルパルス振幅変調信号にそれぞれ関連付けられた複数の調整光信号L1~Lnを生成する。
【0036】
複数の光検出器118は、デマルチプレクサ117を結合して複数の調整光信号L1~Lnをそれぞれ受信し、それに対応して複数の調整光信号L1~Lnを複数の光電流部分Pc1~Pcnにそれぞれ光電変換する。
【0037】
本実施形態において、信号生成モジュール12aは、複数の信号生成ユニット125を備えている。なお、各信号生成ユニット125の詳細な構成及び動作は、
図1の信号生成モジュール12と同様であるため、最上部の信号生成ユニット125のみを例にして簡単に説明する。
【0038】
信号生成ユニット125は、制御モジュール13を電気的に接続して対応する入力信号部分Si1を受信し、対応する光検出器118を電気的に接続して、対応する光電流部分Pc1を受信する。信号生成ユニット125は、対応する利得信号部分Gs1を提供し、対応する入力信号部分Si1に従って対応する光電流部分Pc1を増幅して対応する電圧信号部分Vs1を生成し、対応する光電流部分Pc1に従って、対応する光電流部分Pc1の平均光パワーを示す対応する測定信号部分Ms1を生成する。
【0039】
複数のマルチレベルパルス振幅復調器14は、複数の信号生成ユニット125をそれぞれ電気的に接続して、複数の電圧信号部分Vs1~Vsnをそれぞれ受信し、複数の電圧信号部分Vs1~Vsnをそれぞれ復調して、複数のデータ出力Do1~Donをそれぞれ生成する。
【0040】
推定モジュール15は、制御モジュール13を電気的に接続し、複数のマルチレベルパルス振幅復調器14を電気的に接続して複数のデータ出力Do1~Donを受信し、複数のデータ出力Do1~Donに従って推定信号Esを生成し、推定信号Esを制御モジュール13に出力し、これにより、制御モジュール13は、推定信号Esに従って制御信号Csを更に調整する。本実施形態では、推定信号Esは、光信号Lsのビット誤り率及び信号対雑音比のうちの1つに関連付けられる。
【0041】
なお、光受信装置1の第3の実施形態の動作は、光受信装置1の第1の実施形態の動作と同様であり、その説明を省略する。更に、制御モジュール13が制御信号Csを調整する方法は、(1)少なくとも複数の入力信号部分Si1~Sin、複数の利得信号部分Gs1~Gsn、及び複数の測定信号部分Ms1~Msnに従って複数の消光比を取得して、制御信号Csを調整することと、(2)信号生成ユニット125のうちの1つによって対応して出力される入力信号部分、利得信号部分及び測定信号部分、並びに対応する光応答性のみに従って消光比を取得して、制御信号Csを調整することと、(3)推定信号Esのみに従って制御信号Csを調整することと、(4)上記(2)の消光比と上記(3)の推定信号Esとを総合的に考慮することとによって、制御信号Csを調整するが、本開示はこれらに限定されない。
【0042】
結論として、本開示の光受信装置1は、光受信装置1自体の内部の信号生成モジュール12(12a)と制御モジュール13との協働によって、半導体光増幅器111(116)又は光電変換器114が飽和領域で動作しているかどうかを知り、制御モジュール13は、半導体光増幅器111(116)又は光電変換器114が飽和領域で動作しているという問題を回避するために、半導体光増幅器111(116)又は光電変換器114に対して対応する利得制御を実行する。このように、本開示の光受信装置1を用いた光通信システムは、既存の光通信システムにおいて追加的に設けられる調整可能な光減衰器、光スプリッタ及び光検知器を省略することができる。したがって、本開示の光受信装置1を用いた光通信システムは、既存の光通信システムと比較して、容積が小さく、低コストである。更に、半導体光増幅器111(116)又は光電変換器114の利得を調整することにより、それと共に変換モジュール11(11a、11b)のダイナミックレンジを更に拡大することができ、光ファイバ3を介した光信号Lsの伝送距離が制限されにくくなり、するとリンク性能が促進される。
【0043】
しかしながら、上記の説明は本開示の実施形態のためのものにすぎず、本開示の実施範囲を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲及び明細書の内容に従ってなされた単純な均等の変更及び修正は、依然として本開示の範囲に含まれる。