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特許7234297医療用の機器からのガスを受容するフィルタユニットを備える受容装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】医療用の機器からのガスを受容するフィルタユニットを備える受容装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/01 20060101AFI20230228BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
A61M16/01 A
A61M16/00 370A
【請求項の数】 27
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021098066
(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公開番号】P2021194542
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】10 2020 115 602.2
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102192
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
【住所又は居所原語表記】Moislinger Allee 53-55,Luebeck,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ウルリヒ シューラー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヘーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト シュミート
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-252358(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038566(WO,A1)
【文献】特表平03-500488(JP,A)
【文献】特開昭63-315127(JP,A)
【文献】特表2019-514446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/01
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用の機器(1)からのガスを受容する受容装置(100)であって、
前記受容装置(100)は、
-供給管路(6,16)と、
-導出管路(8,32)と、
-少なくとも1つのフィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を有するフィルタユニット(4)と、
-少なくとも1つのバッファアキュムレータ(19,23,36,70)と、
を備え、
前記フィルタユニット(4)の前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)は、予め設定された少なくとも1種類のガス成分を、このフィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を通して導かれるガスからろ過するように構成されており、
前記供給管路(6,16)は、少なくとも一時的に前記医療用の機器(1)との流体接続を形成するように構成されており、
前記導出管路(8,32)は、少なくとも一時的に流体受容部(7)または周囲との流体接続を形成するように構成されており、
それぞれ1つの流体接続(14,30)が前記供給管路(6,16)と前記フィルタユニット(4)との間および前記導出管路(8,32)と前記フィルタユニット(4)との間に形成されているか、または形成可能であり、
前記バッファアキュムレータ(19,23,36,70)は、
-前記供給管路(6,16)にそれぞれ流体接続(22.1)されており、かつ/または前記導出管路(8,32)にそれぞれ流体接続(22.2)されており、
-前記供給管路(6,16)および/または前記導出管路(8,32)からガスを中間貯蔵し、後に再び前記供給管路(6,16)および/または前記導出管路(8,32)内に放出するように構成されており、
前記受容装置(100)は、
-前記医療用の機器(1)からのガスを前記供給管路(6,16)を通して前記フィルタユニット(4)に導き、
-前記フィルタユニット(4)を通して、このとき、少なくとも部分的に、前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を通して案内し、
-前記導出管路(8,32)を通して前記流体受容部(7)または前記周囲に導く、
ように構成されており、
前記フィルタユニット(4)は、フィルタ受容部(13)を有し、前記フィルタ受容部(13)は、前記供給管路(6,16)に流体接続(14,30)され、前記導出管路(8,32)に流体接続(26,35)されており、
記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)は、前記フィルタ受容部(13)内に装入されているか、または装入可能であり、
前記フィルタユニット(4)は、前記フィルタ受容部(13)内への前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)の装入後、前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)と前記フィルタ受容部(13)との間に中間室(19)が生じるように構成されており、
前記中間室(19)は、
-前記供給管路(6,16)に流体接続(25)され、前記導出管路(8,32)に流体接続(34)されており、
-前記バッファアキュムレータ(19)を提供するか、または前記バッファアキュムレータ(19,23,36,70)に属する、
ことを特徴とする、受容装置(100)。
【請求項2】
記バッファアキュムレータ(19,23,36,70)は、ハウジング(23)を有し、
前記ハウジング(23)は、前記フィルタユニット(4)に流体接続(26)されており、ガスを受容する内室を提供する、
ことを特徴とする、請求項記載の受容装置(100)。
【請求項3】
記バッファアキュムレータ(23)は、前記供給管路(6,16)から前記導出管路(8,32)への流れ方向で見て前記フィルタユニット(4)の下流に配置されているか、または
前記フィルタユニット(4)は、前記バッファアキュムレータ(70)の下流に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の受容装置(100)。
【請求項4】
動に配置されるプレート(31)が、前記フィルタ受容部(13)の前記内室をフィルタ中空室(37)とバッファアキュムレータ中空室(36)とに分割し、
記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)は、前記フィルタ受容部(13)内に装入されているか、または装入可能であり、
前記フィルタ中空室(37)は、前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を受容するように構成されており、
前記バッファアキュムレータ中空室(36)は、
-前記バッファアキュムレータ(19,23,36,70)に属するか、または前記バッファアキュムレータ(19,23,36,70)を形成し、
-少なくともフィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)が前記フィルタ受容部(13)内に装入されていないときは、前記供給管路(6,16)に流体接続され、前記導出管路(8,32)に流体接続されている、
ことを特徴とする、請求項記載の受容装置(100)。
【請求項5】
前記プレート(31)は、前記フィルタ受容部(13)に対して相対的にバッファアキュムレータ位置とパーキング位置との間で往復可動であり、
前記プレート(31)は、
-フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)が装入されていないときは、前記バッファアキュムレータ位置にあり、
-フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)が装入されているときは、前記パーキング位置にあり、
前記供給管路(6,16)は、少なくとも1つの流出開口(14,14.1)を有し、
前記導出管路(8,32)は、少なくとも1つの流入開口(35,35.1)を有し、
前記プレート(31)が前記バッファアキュムレータ位置にあるときは、
-前記流出開口(14.1)は、前記供給管路(6,16)を前記バッファアキュムレータ中空室(30)に接続し、
-前記流入開口(35.1)は、前記導出管路(8,32)を前記バッファアキュムレータ中空室(30)に接続し、
前記プレート(31)が前記パーキング位置にあるときは、
-前記流出開口(14)は、前記供給管路(6,16)を前記フィルタ中空室(37)に接続し、
-前記流入開口(35)は、前記導出管路(8,32)を前記フィルタ中空室(37)に接続する、
ことを特徴とする、請求項記載の受容装置(100)。
【請求項6】
前記受容装置(100)は、スライダ(48)を有し、前記スライダ(48)は、
-前記フィルタ受容部(13)の内部に配置されており、
-前記フィルタ受容部(13)に対して相対的にバッファアキュムレータ位置とパーキング位置との間で往復可動であり、
前記供給管路(6,16)は、フィルタ流出開口(14)とバッファアキュムレータ流出開口(14.1)とを有し、
前記導出管路(8,32)は、フィルタ流入開口(35)とバッファアキュムレータ流入開口(35.1)とを有し、
前記スライダ(48)が前記バッファアキュムレータ位置にあるときは、
-前記バッファアキュムレータ流出開口(14.1)は、前記供給管路(6,16)を前記バッファアキュムレータ中空室(36)に接続し、
-前記バッファアキュムレータ流入開口(35.1)は、前記導出管路(8,32)を前記バッファアキュムレータ中空室(36)に接続し、
-前記スライダ(48)は、前記フィルタ流出開口(14)と前記フィルタ流入開口(35)とを遮断し、
前記スライダ(48)が前記パーキング位置にあるときは、
-前記フィルタ流出開口(14)は、前記供給管路(6,16)を前記フィルタ中空室(37)に接続し、
-前記フィルタ流入開口(35)は、前記導出管路(8,32)を前記フィルタ中空室(37)に接続し、
-前記スライダ(48)は、前記バッファアキュムレータ流出開口(14.1)と前記バッファアキュムレータ流入開口(35.1)とを遮断する、
ことを特徴とする、請求項または請求項記載の受容装置(100)。
【請求項7】
前記フィルタユニット(4)は、フィルタセンサ(47)を有し
記フィルタセンサ(47)は、フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)が前記フィルタ受容部(13)内に装入されているか否かを自動的に確認するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項8】
記バッファアキュムレータ(70)の容積は、可変であり、
前記バッファアキュムレータ(70)内へのガスの供給は、前記バッファアキュムレータ(70)を膨張させ、
膨張された前記バッファアキュムレータ(70)は、収縮し、これにより受容したガスを再び放出するように努めている、
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項9】
前記受容装置(100)は、少なくとも1つの正圧弁(50)を備え、
前記正圧弁(50)は、前記供給管路(6,16)内の圧力と、前記導出管路(8,32)内の圧力との間の差が、予め設定された正圧限界を上回ると、開弁する、
ことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項10】
前記正圧弁(50)は、流体案内ユニット(64)により前記導出管路(8,32)に接続されており、
正圧弁(50)が開放されているとき、流体接続が前記正圧弁(50)と前記流体案内ユニット(64)との間に形成されている、
ことを特徴とする、請求項記載の受容装置(100)。
【請求項11】
前記受容装置(100)は、濃度センサ(15)を備え、前記濃度センサ(15)は、前記ガス成分の濃度を前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)の下流の測定位置において求めるように構成されており、
前記受容装置(100)は、
-前記正圧弁(50)が開放されているか、または
-前記濃度センサ(15)が、予め設定された濃度限界を上回る濃度を検知した、
とき、報知を生成するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項または請求項10記載の受容装置(100)。
【請求項12】
前記受容装置(100)は、負圧弁(80)を備え、
前記負圧弁(80)は、前記供給管路(6,16)内または前記フィルタユニット(4)の内部の圧力と、周囲の圧力との間の差が、予め設定された負圧限界を下回ると、開弁する、
ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項13】
前記フィルタユニット(4)の壁(13)内には、少なくとも1つの開口(21)が設けられており、
負圧弁(80)が開放されているとき、前記フィルタ受容部(13)の内部は、前記フィルタユニット(4)の前記壁(13)内に設けられた前記開口(21)を通して前記周囲に流体接続されており、
閉鎖された前記負圧弁(80)は、前記フィルタユニット(4)の内部と前記周囲との間の前記流体接続を閉鎖する、
ことを特徴とする、請求項12記載の受容装置(100)。
【請求項14】
前記フィルタユニット(4)は、第1のフィルタ(11.1)と第2のフィルタ(11.2)とを有し、
前記受容装置(100)は、切り換え装置(72)を備え、
前記切り換え装置(72)は、選択的に前記第1のフィルタ(11.1)または前記第2のフィルタ(11.2)を前記供給管路(6,16)および前記導出管路(8,32)に流体接続させるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項15】
前記第1のフィルタ(11.1)は、予め設定された第1のガス成分をろ過するように構成されており、
前記第2のフィルタ(11.2)は、前記第1のガス成分とは異なる予め設定された第2のガス成分をろ過するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項14記載の受容装置(100)。
【請求項16】
前記フィルタユニット(4)は、
-ガスが、前記供給管路(6,16)から前記導出管路(8,32)に至る経路において前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を通るように案内され、
-ガスが前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を迂回してしまうことは防止される、
ように構成されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項17】
壁(38)が前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)を第1の領域(Ab)と第2の領域(Au)とに分割し、
前記第1の領域(Au)は、前記供給管路(6,16)に流体接続され、前記第2の領域(Ab)は、前記導出管路(8,32)に流体接続されており、
前記フィルタユニット(4)は、ガスが前記供給管路(6,16)から前記第1の領域(Au)を通り、その後、前記第2の領域(Ab)を通って前記導出管路(8,32)内に流れるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項18】
前記フィルタユニット(4)は、データ記憶媒体(92)を有し、
前記受容装置(100)は、前記データ記憶媒体(92)の読み取り用の読み取り装置を備え、
前記データ記憶媒体(92)内には、以下の情報の少なくとも1つ:
-前記フィルタユニット(4)の一義的な識別子、
-前記フィルタユニット(4)が新しいものか、または既に使用されたものであるかの情報、
-どのガス成分のために前記フィルタユニット(4)が使用され、かつ/または使用されないかの情報、
-前記フィルタユニット(4)がろ過のために使用開始された時点についての情報、
が記憶されている、
ことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項19】
前記受容装置(100)は、成分量定器(93)を備え、
前記成分量定器(93)は、
-前記供給管路(6)を通って前記フィルタユニット(4)に向かう流体の時間的に変化する体積流についての信号および
-前記供給管路(6)内の前記ガス成分の時間的に変化する濃度についての信号または、如何ほどの量の前記ガス成分が前記供給管路(6)内に送り込まれているかについての信号
を受信し、
両前記信号に依存して近似的に、前記フィルタユニット(4)がこれまで受容した前記ガス成分の量を求め、
これまで受容した量を、前記フィルタユニット(4)が受容することができる予め設定された最大の量と比較し、
前記比較の結果に応じて、報知を発する、
ように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項20】
前記フィルタユニット(4)は、データ記憶媒体(92)を有し、
前記データ記憶媒体(92)内には、前記フィルタ(11,20,11.1,20.1,11.2,20.2)が受容することができる前記ガス成分の最大の量についての情報が記憶されており、
前記成分量定器(93)は、前記比較時、予め設定された最大の量として、前記データ記憶媒体(92)内に記憶された情報を使用するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項19記載の受容装置(100)。
【請求項21】
前記受容装置(100)は、負圧発生器を備え、
前記導出管路(8)は、前記負圧発生器(10)に流体接続されており、
前記負圧発生器(10)は、負圧を前記導出管路(8)内に発生させるように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の受容装置(100)。
【請求項22】
請求項1から21までのいずれか1項記載の受容装置(100)の、
医療用の機器(1)からのガスを受容するための、
使用。
【請求項23】
医療用の装置であって、
-医療用の機器(1)と、
-請求項1から21までのいずれか1項記載の少なくとも1つの受容装置(100)と、
を備え、
記受容装置(100)のそれぞれの前記供給管路(6,16)は、少なくとも一時的に前記医療用の機器(1)に流体接続されている、
医療用の装置。
【請求項24】
前記医療用の装置は、別の医療用の機器(1.1)を備え、
選択的にまたは同時に流体接続(6.1,6.2)が、前記医療用の機器(1)と、前記供給管路(6)との間、または前記別の医療用の機器(1.1)と、同じ受容装置(100)の前記供給管路(6)との間に形成される、
ことを特徴とする、請求項23記載の医療用の装置。
【請求項25】
前記受容装置(100)は、前記医療用の機器(1)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項23または請求項24記載の医療用の装置。
【請求項26】
医療用のシステムであって、
-請求項23から25までのいずれか1項記載の医療用の装置と、
-流体受容部(7)と
を備え、
前記受容装置(100)の前記導出管路(8,32)は、少なくとも一時的に前記流体受容部(7)に流体接続されている、
医療用のシステム。
【請求項27】
前記医療用のシステムは、別の流体受容部(7.1)を備え、
選択的にまたは同時に流体接続(7.1,7.2)が、前記流体受容部(7)と、前記導出管路(8,32)との間、または前記別の流体受容部(7.1)と、前記導出管路(8,32)との間に形成される、
ことを特徴とする、請求項26記載の医療用のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の機器、特に麻酔器からのガスを受容することができる受容装置に関する。さらに本発明は、このような受容装置を用いて医療用の機器からのガスを受容する方法に関する。
【0002】
この受容装置および方法の1つの応用例では、医療用の機器は、患者に繋がれ、呼吸回路によって患者に呼吸を行わせ、かつ麻酔をかける麻酔器である。麻酔器には、必要とされるガスが供給され、麻酔器自体は、患者にガス混合物を供給する。このガス混合物は、酸素を含むとともに、少なくとも1種類の麻酔剤が加えられているので、患者は、完全にまたは少なくとも部分的に麻酔がかけられている。典型的には、麻酔器は、呼吸行程を実施し、呼吸行程毎に一定量のガスが患者に送られる。患者が吐き出した空気は、一構成において再び医療用の機器に達し、医療用の機器は、吐き出した空気から二酸化炭素をろ過する。
【0003】
米国特許出願公開第2001/0025640号明細書には、ハウジング(enclosure 4)と、入口(inlet 6)と、出口(outlet 8)とを有する麻酔剤フィルタ(anaesthetic gas filter 2)が記載されている。穴20を有する仕切り壁(partition 18)が、ハウジング4を第1のフィルタ(first absorbent 12)用の第1のチャンバ(first absorption volume 10)と、第2のフィルタ(second absorbent 16)用の第2のチャンバ(second absorption volume 14)とに分割している。第1のフィルタ12が第1のチャンバ10から取り出されると、第1の管路(first shunt line 24)が、入口6を穴20、ひいては第2のチャンバ14に接続する。第2のフィルタ16が第2のチャンバ14から取り出されると、第2の管路(second shunt line 26)が、穴20、ひいては第2のチャンバ14を出口8に接続する。2つの麻酔剤インジケータ22および22Bが、いつ第1のフィルタ12あるいは第2のフィルタ16を交換しなければならないかを表示している。
【0004】
人工的な呼吸時、呼吸回路に供給されるガスが、再び取り出されるガスより多いことはよくある。呼吸回路には、この場合、余剰のガスが生じる。この余剰のガスは、呼吸回路から除去されなければならない。このガスには往々にして麻酔剤が含まれている。患者が危険に曝されるべきでないことは自明である。特に人工的な呼吸および麻酔は、維持されなければならない。
【0005】
本発明の根底にある課題は、医療用の機器からのガスを受容する公知の受容装置および方法よりも良好にその機能を果たす受容装置および方法を提供することである。
【0006】
上記課題は、請求項1の特徴を備える受容装置および請求項31の特徴を備える方法により解決される。有利な構成は、従属請求項に記載されている。本発明に係る受容装置の有利な構成は、そのことが有意義である限りにおいて、本発明に係る方法の利点でもあり、その逆もまた然りである。
【0007】
本発明に係る受容装置は、供給管路と導出管路とを備えている。供給管路は、受容するべきガスが流れ出る医療用の機器に接続、好ましくは着脱自在に接続され、この接続の形成後、少なくとも1つの流体接続を医療用の機器と受容装置との間に形成するように構成されている。導出管路は、流体受容部に接続、好ましくは着脱自在に接続され、この接続の形成後、少なくとも1つの流体接続を流体受容部と受容装置との間に形成するように構成されている。流体受容部は、定置の流体受容部であっても、移動式の流体受容部であってもよく、流体用の溜めとして機能する。流体受容部は、建屋の内または外に設けられた空間的に離隔した吸引部であってもよい。代替的には、導出管路は周囲に通じている。
【0008】
本発明に係る受容装置は、フィルタユニットをさらに備えている。フィルタユニットは、少なくとも1つのフィルタを有している。
【0009】
フィルタユニットの前記または各フィルタは、フィルタを通して導かれるガスから少なくとも1種類のガス成分をろ過するように構成されている。フィルタの構造および/または性状および/または材料は、フィルタがどの1種類または複数種類のガス成分をろ過するかを決定する。好ましくは、フィルタは、ガスから少なくとも1種類の麻酔剤をろ過することができる。すなわち、前記または少なくとも1種類のガス成分は、麻酔剤である。
【0010】
受容装置は、以下の機能を実現するように構成されている:医療用の機器から吐出または吸出される、あるいは別の方法で機器から流れ出たガスは、供給管路を通してフィルタユニットへ導かれ、フィルタユニットを通して導かれる。フィルタユニットは、フィルタを有している。このガスの少なくとも一部、好ましくはすべてのガスは、フィルタを通して案内され、フィルタは、フィルタが消耗または故障していない限り、前記または少なくとも1種類のガス成分をガスからろ過、具体的には、少なくとも部分的に、好ましくは完全にろ過する。フィルタユニットを通して流され、少なくとも1種類のガス成分がろ過されたガスは、導出管路を通して流体受容部または周囲に導かれる。
【0011】
本発明に係る方法は、このような受容装置を用いて実施され、以下のステップを備えている:
-医療用の機器と供給管路との間に少なくとも1つの流体接続を形成する。
-導出管路と流体受容部との間に少なくとも1つの別の流体接続を形成する。代替的には、導出管路を周囲へ案内しておくまたは案内する。
-ガスを医療用の機器から流れ出させる。特に医療用の機器がこのガスを吐出する、かつ/またはこのガスを医療用の機器から吸出する。流れ出たガスは、供給管路内に達する。
-受容装置は、流れ出たガスを、供給管路と、フィルタユニットと、導出管路とを通して流体受容部に導く。
-このガスをフィルタユニットを通して導く間、このガスの少なくとも一部、好ましくは、持続的にまたは少なくとも一時的にすべてのガスを、フィルタユニットのフィルタを通して流す。
-フィルタは、フィルタを通って流れるガスから、前記のまたは予め設定された少なくとも1種類のガス成分、特に少なくとも1種類の麻酔剤をろ過する。導出管路内には、それゆえ、前記または少なくとも1種類のガス成分が完全にまたは少なくとも部分的にろ過されたガスが達する。
【0012】
本発明に係る受容装置は、少なくとも1つのバッファアキュムレータをさらに備え、前記または各バッファアキュムレータは、それぞれ、少なくとも一時的に供給管路に流体接続され、少なくとも一時的に導出管路に流体接続され、または少なくとも一時的に供給管路にも、導出管路にもそれぞれ流体接続されている。医療用の機器から流れ出たガスは、それゆえ前記または1つのバッファアキュムレータ内に達し、再びこのバッファアキュムレータから流れ出て、その後、導出管路内に達することができる。本発明に係る方法は、少なくとも1つのこのようなバッファアキュムレータを用いて実施される。
【0013】
本発明に係る受容装置および本発明に係る方法は、一方では、望ましくないガス成分を含むガスが医療用の機器の周囲に流れ出てしまう危険を軽減する。特に本発明に係る受容装置および本発明に係る方法は、麻酔剤が周囲空気中に流れ出て、この流れ出た麻酔剤が、医療用の機器の近傍かつ/または人工的に呼吸が行われている患者の近傍に滞在している人、特に病院内で勤務している人の健康を害してしまう危険を軽減する。この作用は、特に、本発明に係る受容装置および本発明に係る方法が、医療用の機器から流れ出たまたは流れ出されたガスを流体受容部内に導くことによって達成される。これによって、完全にまたは少なくともある程度まで、吐出されたガスが流れ出て、医療用の機器の周囲に達してしまうことは防止される。
【0014】
他方では、本発明は、流れ出たまたは流れ出されたガスが供給システムまたは環境、例えば病院外の外界に達してしまう危険を軽減する。
【0015】
本発明の1つの応用例において、流体受容部は、定置の流体受容部であって、特に建屋の定置のインフラストラクチャに属している。この応用例の場合、本発明に係る受容装置および本発明に係る方法は、多くの場合、望ましくないガス成分を含むガスが流体受容部を介して、定置の流体受容部が接続された定置のインフラストラクチャシステム、特に病院内のインフラストラクチャシステム内に達してしまう危険を軽減する。このインフラストラクチャシステムは、望ましくないガス成分を含むガスを再び医療用の機器に放出してしまうことがあり、このことは、望ましくないことが多く、またはこのガスを環境に吐出してしまうことがあり、このことは、環境負荷に繋がってしまうことがある。これらの望ましくない影響は、特にフィルタを有するフィルタユニットにより防止される。フィルタユニットの構成要素として、ガスがフィルタを通して導かれる間、前記のまたは予め設定された少なくとも1種類のガス成分をガスからろ過することができるフィルタが使用される。
【0016】
流体受容部が、受容したガスを導出管路を介して排気設備の近傍に導き、排気設備がガスを、閉鎖されたまたは部分的にもしくは完全に開放された空間から吸引し、受容することも可能である。この応用例の場合、導出管路は、必ずしも定置の流体受容部に接続されない。この応用例の場合も、本発明は、ガスの望ましくないガス成分が環境に達してしまうことを防止する。
【0017】
本発明により受容装置は、付加的に少なくとも1つのバッファアキュムレータを備えている。このバッファアキュムレータは、一案では、直接的または間接的に供給管路と少なくとも1つの流体接続を形成し、別の一案では、直接的または間接的に導出管路と少なくとも1つの流体接続を形成し、第3の案では、直接的または間接的に供給管路とも導出管路とも流体接続を形成している。「間接的」とは、この流体接続が本発明に係る装置の別の構成要素を通して案内されていることを意味している。
【0018】
このバッファアキュムレータは、特に、定置の流体受容部がこのガスを目下まったく受容することができないか、または完全には受容することができないとき、医療用の機器から吐出されたまたは別の方法で流れ出されたガスを一時的に受容し、中間貯蔵することができる。バッファアキュムレータは、この場合に、吐出されたガスのバックウォータが生じてしまう危険を軽減する。このバックウォータは、医療用の機器に遡って作用し、機器に繋がれた患者を危険に曝し、かつ/または医療用の機器を損傷させてしまう恐れがある。大きなバックウォータは、さらに、例えば正圧に基づいて、受容装置の流体接続を不密にしてしまう恐れがある。バッファアキュムレータのおかげで、多くの場合、ガスを周囲に排出することによってこの正圧を解消することは不要となる。周囲に排出してしまえば、麻酔剤は、周囲に流れ出てしまうことになり、このことは、上述したように望ましいことではない。さらに、多くの場合、バッファアキュムレータのおかげで、人間によるハンドリングは不要となる。
【0019】
導出管路が受容することができるより多くのガスが医療用の機器から流れ出て、供給管路内に達するときは、ガスは、前記または少なくとも1つのバッファアキュムレータ内に導かれ、具体的には、好ましくは供給管路からバッファアキュムレータ内に導かれる。導出管路が受容することができるより少ないガスが流れ出るときは、ガスは、再びバッファアキュムレータから流出し、好ましくは導出管路内に導かれ、そこから流体受容部内に導かれる。
【0020】
多くの場合、フィルタを時々、特にフィルタが比較的長期にわたって使用されて閉塞したとき、交換することが必要である。フィルタまたはフィルタユニット全体が交換される間、患者の人工的な呼吸を継続しなければならないまたは継続すべきであることはよくある。この場合も、大量の余剰のガスが周囲に達してしまうことは回避すべきである。特にフィルタの交換時であっても、大量の麻酔剤が周囲に達してしまうことは回避すべきである。受容装置の前記または少なくとも1つの本発明に係るバッファアキュムレータは、この場合も、余剰のガスの少なくとも一部、理想的には、すべての余剰のガスを受容し、後に再び放出する。
【0021】
本発明により少なくとも1つのバッファアキュムレータが供給管路に流体接続され、かつ/または導出管路に流体接続されているので、2つのフィルタ受容部を直列に接続して、流体受容部毎にそれぞれ1つの迂回管路(バイパス)を設け、あらゆる時点で少なくとも一方のフィルタ受容部内にフィルタが装入されていることを保証することは、不要である。2つのフィルタ受容部のこのような直列接続は、多くの場合、単一のフィルタ受容部および1つのバッファアキュムレータよりも多くのスペースを必要とする。本発明に係るバッファアキュムレータは、フィルタ受容部から空間的に離れて配置されていることが可能である。さらに本発明のおかげで、多くの場合、フィルタ受容部を取り巻く迂回管路(バイパス)は、不要である。
【0022】
特許請求の範囲の意味での「フィルタ」とは、ガス混合物がフィルタを通って流動している間に、少なくとも1種類のガス成分をこのガス混合物からろ過することができる構成部材と解される。フィルタは、ガス成分を自身に吸着、例えば活性炭により、かつ/またはフィルタがゼオライトを含んでいるために、吸着してもよい。フィルタは、ガス成分を化学分解または熱分解してもよい。フィルタは、機械的に作用してもよく、例えば分子ふるいを有していてもよい。複数の作用を組み合わせてもよい。
【0023】
特許請求の範囲の意味での「管路」とは、2点を流体密に、ひいてはガス密に互いに接続し、流体を一方の点から他方の点へと導くことが可能な流体案内ユニットである。管路は、軟性、特にコルゲートホースもしくは平滑なホースであっても、硬性、特にパイプまたは管であってもよい。特許請求の範囲の意味での管路は、フィルタユニットを別の機器に着脱自在に接続する流体密な連結箇所であってもよい。
【0024】
ガスのための「バッファアキュムレータ」とは、囲壁によって包囲された、ガスを受容するチャンバと解される。このガスは、1つの応用例では、少なくとも1種類の麻酔剤を含んでいる。チャンバは、第1のタイムスパンにおいては、このガスのうち、放出できるよりも多い分を受容することができ、後続する第2のタイムスパンにおいては、第1のタイムスパンで受容したガスまたは同量のこのガスを再び放出することができるように配置されている。つまり、第1のタイムスパンでは、バッファアキュムレータ内へのこのガスの体積流は、バッファアキュムレータからのこのガスの体積流より大きく、第2のタイムスパンでは小さい。本発明により、第1のタイムスパンでは、ガスが供給管路および/または導出管路から前記または1つのバッファアキュムレータ内に流れ、第2のタイムスパンでは、ガスがバッファアキュムレータから再び供給管路および/または導出管路内に流れる。
【0025】
一構成において、前記または1つのバッファアキュムレータは、一箇所で供給管路に接続されているだけで、導出管路にはまったく接続されていないか、または一箇所で導出管路に接続されているだけで、供給管路にはまったく接続されていない。本構成では、ガスは、この箇所でバッファアキュムレータ内に流れ、同じ箇所で再びバッファアキュムレータから流れる。
【0026】
別の一構成において、前記または1つのバッファアキュムレータは、2つの異なる互いに離隔した箇所で供給管路および/または導出管路に接続されている。この別の構成では、バッファアキュムレータの横断面積は、供給管路の横断面積より大きく、導出管路の横断面積より大きい。このより大きな横断面積のおかげで、この別の構成では、バッファアキュムレータは、ガスを中間貯蔵することができる。
【0027】
一構成において、第1のタイムスパンの経過中、チャンバの容積および/またはチャンバ内を支配する圧力は、増大する。好ましくは、容積または圧力は、この第1のタイムスパン中、倍増する。容積または圧力は、第2のタイムスパンの経過中、再び減少する。好ましくは、第2のタイムスパンの終了後、容積および圧力は、再び第1のタイムスパンの開始時と同じ小ささになる。バッファアキュムレータの囲壁は、硬性または弾性であることができ、その結果、バッファアキュムレータの容積は、一定であるか、またはしかし、バッファアキュムレータ内の圧力と、外部からバッファアキュムレータに作用する圧力との間の差に依存して可変である。
【0028】
一構成において、囲壁は、バッファアキュムレータのチャンバを流体密に周囲から隔離している。バッファアキュムレータが、周囲に流体接続されていて、ガスが、第1のタイムスパンでは空気をバッファアキュムレータから押しのけるので、空気を周囲へ流し、第2のタイムスパンではガスが、バッファアキュムレータから圧送され、再び空気をバッファアキュムレータ内へ流すこともできる。本構成では、チャンバ内の容積および圧力は、一定のままであることができる。本構成でも、バッファアキュムレータは、大量の麻酔剤が周囲に流れ出てしまう危険を軽減する。
【0029】
ガスのための管路は、これに対して、障害のない運転時、常に同じ容積を有し、障害のない運転時、周囲には流体接続されておらず、ガスを供給点から導出点へ導くという役割を有している。通例、あらゆる時点で、管路に入る体積流は、管路から出る体積流に等しい。
【0030】
本発明により、フィルタユニットは、フィルタを有している。好ましくは、フィルタユニットは、付加的にフィルタ受容部を有している。フィルタは、フィルタ受容部内に装入されているか、またはフィルタ受容部内に装入され、好ましくは、再びフィルタ受容部から取り出される。フィルタ受容部は、供給管路および導出管路にそれぞれ流体接続されている。装入されたフィルタは、一構成において再びフィルタ受容部から取り除かれ、これにより、例えば新しいまたは別のフィルタ(別のフィルタ特性を有するフィルタ)に置換されることができる。好ましい一構成によれば、フィルタは、フィルタ受容部内に装入され、後に再びフィルタ受容部から取り出される。これにより、フィルタが、医療用の機器から流れ出たガスの前記のまたは1種類のガス成分を、このフィルタがその所望のフィルタ作用をまったく満たすことができないか、もしくはもはや十分な程度には満たすことができないほどの量、受容したとき、かつ/またはフィルタが閉塞してしまったとき、このフィルタを交換することが可能になる。
【0031】
フィルタ受容部のおかげで、フィルタを交換すべく、供給管路と導出管路との間の、または医療用の機器との流体接続を一時的に断ち、後に再形成することは不要である。これにより、消耗したフィルタは、迅速に新しいフィルタに置換される。流体接続を初めてまたは改めて形成する際のエラーの危険は、軽減される。さらに、同じ受容装置を続けてそれぞれ異なるフィルタとともにフィルタ受容部内で使用し、これにより、様々なガス成分をガスからろ過し、かつ/または受容装置をそれぞれ異なる周囲条件で使用することが可能である。この特徴は、さらに、それぞれ異なる使用目的のための、特にそれぞれ異なるガス成分をろ過するための、複数の本発明に係る受容装置を提供することを容易くする。これらの本発明に係る受容装置は、それぞれ異なって構成されるフィルタさえ違っていればよい。受容装置のその他の構成要素は、一致していてもよいし、または寸法だけ違っていてもよい。
【0032】
フィルタ受容部を有する構成では、本発明に係る方法は、以下の付加的なステップを備えている:
-既に装入されていないのであれば、フィルタをフィルタ受容部内に装入する。
-受容装置は、医療用の機器から流れ出たガスを供給管路と、フィルタ受容部と、導出管路とを通して流体受容部または周囲に導く。
-受容装置は、フィルタがフィルタ受容部内に装入されていて、ガスの少なくとも一部、好ましくはすべてのガスがフィルタを通して流れるように、このガスをフィルタ受容部を通して導く。
【0033】
一案において、フィルタは、フィルタユニットの固定の構成要素を形成し、フィルタユニット全体は、単一の構成部材である。好ましくは、供給管路および導出管路は、フィルタユニットに接続、特に好ましくは着脱自在に接続される。フィルタが消耗していて、さらなる量のガス成分を受容することができない場合、またはフィルタが閉塞してしまっている場合、このフィルタユニットは、フィルタとともに供給管路および導出管路から分離され、新しいフィルタユニットが供給管路および導出管路に接続される。
【0034】
フィルタユニットが、フィルタ受容部と、少なくとも1つのフィルタとを有する構成については、遥か上で既に説明した。前記または1つのフィルタは、フィルタ受容部内に装入され、再び、例えばフィルタを新しいフィルタに置換すべく、フィルタ受容部から取り出される。好ましい一発展形において、フィルタユニットは、フィルタセンサをさらに有している。このフィルタセンサは、フィルタがフィルタ受容部内に装入されているか否かを自動的に確認することができる。好ましくは、フィルタセンサは、フィルタがフィルタ受容部内に装入されていない場合、報知を発する。一実現形態において、フィルタセンサは、予め設定されたタイムスパンより長い期間、フィルタがフィルタ受容部内に装入されていないときだけ、この報知を発する。一改変形において、フィルタセンサは、前記のタイムスパンより長い期間、フィルタが装入されておらず、加えてガスが供給管路を通して流れているときだけ、報知を発する。フィルタセンサを有する本構成は、意図せずフィルタがフィルタ受容部内に装入されておらず、それゆえガス成分がろ過されることができず、より大量のガス成分が流体受容部内に達してしまうリスクを軽減する。他方では、多くの場合、フィルタの交換時の無用のアラームは回避される。
【0035】
好ましくは、前記または少なくとも1つのバッファアキュムレータは、供給管路および/または導出管路にそれぞれ流体接続されているだけでなく、付加的に周囲にも流体接続されており、具体的には、持続的に、または少なくともバッファアキュムレータの内部と、周囲との間の圧力差が大きいとき、周囲にも流体接続されている。バッファアキュムレータは、つまり、供給管路および/または導出管路と、周囲との間に存在している。これにより、医療用の機器から流れ出たガスが大量で、定置の流体受容部も、バッファアキュムレータもこの量を完全には受容することができないとき、バックウォータが生じてしまう危険は、さらに軽減される。確かに、ガスが周囲に流れ出てしまうことは望ましくはない。しかし、ガスが周囲に流れ出ることは、大抵の場合、このガスのバックウォータと比べれば害は少ない。バッファアキュムレータが周囲に流体接続されている構成は、特に、バッファアキュムレータが硬性であるとき、すなわちその容積が不変であるとき、有利である。一定の容積を有するバッファアキュムレータは、そのハウジングが硬性であり得るので、可変の容積を有するバッファアキュムレータより機械的に安定であることが多い。周囲との流体接続は、さらに、少なからぬ場合に望ましくない正圧がバッファアキュムレータ内に生じないことに至る。
【0036】
一構成において、フィルタユニットは、並列に接続された複数のフィルタを有している。受容装置は、ガスが供給管路と、これらのフィルタの少なくとも1つと、導出管路とを通して貫流するように構成されている。フィルタは、つまり供給管路から導出管路への流動経路中に存在している。一構成において、ガスは、1つのフィルタを通して流動し、少なくとも1つの別のフィルタは、リザーブ位置に存在している。別の一構成において、ガスは、少なくとも2つの並列の流れに分割され、各々の流れは、それぞれ1つのフィルタを通して流れる。
【0037】
一実現形態において、フィルタユニットは、少なくとも2つのフィルタのために、受容ユニット、特にタレット式受容部を有している。この受容ユニットは、供給管路に対して相対的にかつ導出管路に対して相対的に可動である。供給管路に対して相対的な受容ユニットの目下の位置は、どのフィルタが目下使用され、どのフィルタがリザーブ位置に存在するかを決定する。別の一実現形態において、フィルタユニットは、供給管路から流れるガスを選択的に第1のフィルタまたは第2のフィルタに導く切り換えポイント、またはガスを2つの並列の流れ、ひいては2つのフィルタに分割するY字部材を有している。
【0038】
複数のフィルタを有する本構成の一応用例において、フィルタユニットのすべてのフィルタは、同様に構成されており、特に同じガス成分をろ過することができる。フィルタが消耗または閉塞してしまっているとき、受容ユニットは、供給管路に対して相対的にかつ導出管路に対して相対的に動かされ、その結果、ガスは、新しいフィルタを通って流れる。例えばフィルタユニットは、受容ユニットのための駆動部を有している。
【0039】
別の一実現形態において、受容ユニット内の第1のフィルタは、第1のガス成分をろ過し、第2のフィルタは、第2のガス成分をろ過し、任意選択的に第3のフィルタは、第1、第2または第3のガス成分をろ過することができる。3つのガス成分は、化学的かつ/または機械的に互いに区別される。所望のまたは必要な用途に応じて、第1のフィルタまたは第2のフィルタまたは任意選択的な第3のフィルタは、供給管路から導出管路内への流動経路内に移動される。好ましくは、フィルタユニットは、選択ユニットを有し、選択ユニットによりユーザは、ろ過すべきガス成分を選択することができる。フィルタに向かって流れるガス中にどの種類のろ過すべきガス成分が存在しているかを認識するセンサが、フィルタの上流に配置されていることも可能である。このセンサの信号に応じて、正しいフィルタがガスの流動経路内に移動される。または、相応の報知がユーザに出力される。
【0040】
バッファアキュムレータの様々な構成が可能であって、これらの構成の少なくとも幾つかは、互いに組み合わされる。つまり、本発明に係る受容装置は、1つしかバッファアキュムレータを備えていないことも、またはしかし、少なくとも2つの同種のバッファアキュムレータもしくは少なくとも2つのそれぞれ異なるバッファアキュムレータを備えていることも可能である。
【0041】
既に言及した一構成において、フィルタユニットは、フィルタ受容部を有し、フィルタ受容部内には、フィルタが装入されるか、または装入されている。本構成の一発展形において、フィルタ受容部により取り囲まれる空間は、少なくとも1つの方向でフィルタよりも大きい。より正確にいえば、フィルタ受容部の少なくとも1つの内壁と、フィルタの対向する外壁との間には、中間室が存在している。この中間室は、フィルタの2つの外壁、例えば側面と一方の端面とに隣接しているか、または1つの外壁にのみ、例えば側面にのみ隣接していることが可能である。この中間室は、供給管路および導出管路にそれぞれ流体接続されており、前記または1つのバッファアキュムレータを形成しているか、または前記または1つのバッファアキュムレータに属している。好ましくは、この中間室は、フィルタ受容部により包囲される空間の少なくとも10%、特に好ましくは、それどころか少なくとも20%、特に、少なくとも30%を占めている。好ましくは、中間室は、周囲に対して流体密に画定されているので、ガスは、中間室から周囲へ直接逃げることはできない。
【0042】
中間室を有する構成は、バッファアキュムレータの別の可能な構成と比較して特に少ないスペースを占め、機械的に頑強である。さらに中間室は、少なからぬ構成において、人間が中間室内のフィルタを把持し、フィルタ受容部から除去することを容易くする。
【0043】
フィルタがフィルタ受容部内に装入されていない期間中は、フィルタ受容部の内室全体がバッファアキュムレータとして利用可能なことが多い。説明したばかりの構成では、この内室は、中間室なしのフィルタ受容部がフィルタを取り囲んでいるときよりも大きく、それゆえより多くのガスを受容することができる。それゆえ、往々にして、フィルタが装入されておらず、フィルタ受容部がそれゆえ周囲に向かって開放されているにもかかわらず、医療用の機器から流れ出たガスの比較的僅かしか周囲には達しない。この所望の状況は、特に、フィルタ受容部が上方に開放されており、医療用の機器から流れ出たガスが空気より重いときに生じる。大抵の麻酔剤は、空気より重い。
【0044】
中空室を取り囲むフィルタ受容部を有する構成では、好ましくは、バッファアキュムレータの中空室は、フィルタを受容する中空室から空間的に仕切られており、好ましくは、隔離、特に流体密に隔離、例えば定置または可動のプレートによって隔離されている。
【0045】
別の一構成において、バッファアキュムレータは、ハウジングを有し、ハウジングは、中空室を取り囲み、一構成では、硬性のハウジングであり、別の一構成では、弾性のハウジングであり、第3の構成では、少なくとも1つの硬性の領域と少なくとも1つの弾性の領域とを有するハウジングである。このハウジングは、供給管路および導出管路とそれぞれ少なくとも1つの流体接続を形成している。ハウジングを有するバッファアキュムレータを有する構成は、フィルタユニットが単一の構成部材を形成する構成とも組み合わされる。一構成において、バッファアキュムレータのこのハウジングは、付加的にフィルタユニットと少なくとも1つの流体接続を形成し、この流体接続は、ハウジングと供給管路との間に生じ、かつ/またはフィルタユニットを通っている。
【0046】
好ましくは、バッファアキュムレータのハウジングが取り囲む内室内には、複数の金属薄板またはその他の好適な案内要素が組み込まれており、金属薄板またはその他の案内要素は、ハウジングを通る好ましくは蛇行した流路を提供する。本構成は、ハウジングが周囲に流体接続されており、それにもかかわらず比較的少量のガスしかハウジングから周囲に流れ出ないことを可能にする。蛇行した流路は、ガスを低速でしかハウジングの内室を通して流れさせない。バッファアキュムレータは、硬性のハウジングを有していてもよい。
【0047】
一構成において、このハウジングは、周囲に流体接続されており、その結果、余剰のガスは、周囲に流れ出ることができる。ハウジング内に蛇行した流路が形成される場合、この流体接続にもかかわらず比較的僅かなガスしか周囲に流れ出ないことが多い。
【0048】
好ましくは、両構成において、バッファアキュムレータは、「ラストイン-ファーストアウト」の原理にしたがって機能するように構成されている。
【0049】
一構成において、バッファアキュムレータのハウジングは、フィルタユニットの下方に垂直にまたは斜めに配置されており、好ましくは、フィルタユニットに流体接続されている。本構成は、特に、ろ過すべきガス成分を含むガスが空気より重く、それゆえフィルタユニット内で下方に沈む場合に、有利である。大抵の麻酔剤は、空気より重い。
【0050】
一構成において、バッファアキュムレータのハウジングは、フィルタユニットの下流に配置されている。代替的な一構成において、フィルタユニットは、バッファアキュムレータのハウジングの下流に配置されている。「下流」という称呼は、供給管路から導出管路への流体の流れ方向に関する。これらの両構成は、本発明に係る受容装置の、その他の可能な構成と比較して僅かな鉛直の延在長さに至る。
【0051】
装入されたフィルタとフィルタ受容部との間に中間室が生じるとともに、バッファアキュムレータの別体のハウジングが、フィルタユニットの下方または下流もしくは上流に配置されていることが可能である。本構成は、特に大きなバッファアキュムレータを提供することを可能にする。ガスが周囲に流れ出てしまうリスクは、さらに軽減される。
【0052】
既に言及したように、フィルタユニットは、一構成においてフィルタ受容部を有し、フィルタ受容部内には、フィルタが装入されるか、または装入されている。本構成の別の一進展形において、フィルタ受容部内には、プレートが装入されている。このプレートは、フィルタ受容部の内室を、フィルタを受容するために構成されたフィルタ中空室と、前記または1つのバッファアキュムレータに属するか、またはバッファアキュムレータを形成するバッファアキュムレータ中空室とに分割する。少なくともフィルタがフィルタ受容部内に装入されていないとき、このバッファアキュムレータ中空室は、一方では、供給管路に流体接続され、他方では、導出管路に流体接続されている。
【0053】
プレートは、ガスが流体受容部から周囲に達してしまう危険を軽減し、具体的には、フィルタがフィルタ受容部内に装入されていないときも、ガスが流体受容部から周囲に達してしまう危険を軽減する。フィルタ受容部内に設けられたプレートを有する本構成は、バッファアキュムレータのその他の可能な構成と比較して同じくスペースを削減する。別体のハウジングをバッファアキュムレータのために設ける必要性は省かれる。
【0054】
一構成において、バッファアキュムレータ中空室は、フィルタ中空室の下方に存在している。好ましくは、プレートは水平に配置されている。本構成は、特に、ろ過すべきガス成分を含むガスが空気より重く、それゆえフィルタ受容部内で下方に沈むときに、有利である。大抵の麻酔剤は、空気より重い。
【0055】
プレートは、定置にフィルタ受容部内に取り付けられていてもよい。一構成において、プレートは、これに対してフィルタ受容部に対して相対的にパーキング位置とバッファアキュムレータ位置との間で往復動される。フィルタがフィルタ受容部内に装入されていれば、プレートは、パーキング位置に存在し、そうでなければ、バッファアキュムレータ位置に存在している。供給管路は、少なくとも1つの流出開口を有し、流出開口は、好ましくは、フィルタ受容部の内部に配置されている。導出管路は、少なくとも1つの流入開口を有し、流入開口は、好ましくは、フィルタ受容部の内部に配置されている。
【0056】
プレートがバッファアキュムレータ位置にあるとき、本構成によれば、以下の状況が形成されている:
-前記または1つの流出開口は、供給管路をバッファアキュムレータ中空室に接続する。
-前記または1つの流入開口は、バッファアキュムレータ中空室を導出管路に接続する。
-これによりバッファアキュムレータ中空室は、供給管路にも、導出管路にもそれぞれ流体接続されている。
-一構成において、プレートは、バッファアキュムレータ中空室を略流体密に周囲およびフィルタ中空室に対して封止する。フィルタ受容部は、両中空室を周囲に対して封止する。
【0057】
プレートがパーキング位置にあるとき、本構成によれば、以下の状況が形成されている:
-前記または1つの流出開口は、供給管路をフィルタ中空室に接続する。
-前記または1つの流入開口は、導出管路をフィルタ中空室に接続する。
-これによりフィルタ中空室は、そして正しく装入されたフィルタも、供給管路と導出管路とに流体接続されている。
-一構成において、パーキング位置にあるプレートは、供給管路あるいは導出管路をフィルタ中空室とともに使用する両開口を流体密にバッファアキュムレータ中空室から仕切る。
-別の一構成において、プレートがパーキング位置にあるときも、供給管路および/または導出管路は、バッファアキュムレータ中空室に流体接続されている。
【0058】
プレートがバッファアキュムレータ位置にあるとき、バッファアキュムレータ中空室は、バッファアキュムレータをフィルタ受容部の内部に提供する。このバッファアキュムレータは、それゆえ、目下フィルタが装入されていないとき、余剰のガスを医療用の機器から受容することができる。この状況は、特に、フィルタ受容部内のフィルタが交換されるときに生じる。バッファアキュムレータ位置にあるプレートは、バッファアキュムレータ中空室を周囲から仕切り、周囲に流れ出るガスの量を減少させる。
【0059】
可動のプレートのおかげで、一方では、所望のろ過を達成し、他方では、ガスが周囲に流れ出てしまうことを防止するために、さらなる機構を設ける必要がなくなる。プレートは、比較的単純な機械的な構造を可能にする。
【0060】
一構成において、フィルタユニットは、フィルタがフィルタ受容部内に装入されるとき、プレートがバッファアキュムレータ位置からパーキング位置に移動されるように構成されている。フィルタが再びフィルタ受容部から取り出されるとき、プレートは、パーキング位置から再びバッファアキュムレータ位置に移動される。例えば機械式または空気圧式のばねが、プレートをバッファアキュムレータ位置に移動させ、バッファアキュムレータ位置に保持するように努めている。好ましくは、このばねは、フィルタ受容部のハウジングに支持されている。
【0061】
一構成において、フィルタユニットは、パーキング位置からバッファアキュムレータ位置へのプレートの移動が、フィルタをフィルタ受容部から押し出すように構成されている。
【0062】
一構成において、プレートは、操作要素に結合されており、操作要素は、好ましくは、フィルタ受容部の外からアクセス可能であり、プレートを両位置間で往復動させるべく、好ましくは手動で操作される。例えばフィルタがフィルタ受容部内に装入され、続いて操作要素が、プレートをパーキング位置に移動させるべく、操作される。これによりフィルタも完全にフィルタ受容部内に導入される。フィルタを除去すべく、操作要素は改めて操作され、プレートをバッファアキュムレータ位置に押圧する。これによりフィルタは、フィルタ受容部から押し出される。
【0063】
別の一構成において、駆動部がプレートを両ポジション間で往復動させてもよい。駆動部は、好ましくは、外部から動作制御かつ/または作動される。
【0064】
好ましくは、プレートは、少なくとも一方の終端位置で、特に好ましくは両終端位置で係止される。
【0065】
好ましくは、パーキング中空室は、バッファアキュムレータ中空室より小さい。本構成は、それゆえバッファアキュムレータのその他の可能な構成と比較してスペースを削減する。
【0066】
一実現形態において、手動で操作すべき操作要素および/または駆動部は、プレートに結合されている。操作要素により、プレートは、一方の位置から他方の位置に移動される。駆動部は、プレートを一方の位置から他方の位置に移動させることができる。
【0067】
好ましい一実現形態では、これに対してフィルタの装脱が、プレートを一方の位置から他方の位置に移動させ、これによりガスの流れがフィルタ中空室を通して導かれるか、あるいはバッファアキュムレータ中空室を通して導かれるようにしている。本構成は、別体の操作要素または別体の駆動部を省く。係止ユニットがプレートを所定の位置に保持するようになっていてもよい。
【0068】
好ましくは、プレートは、フィルタ受容部内に弾発支持されている。少なくとも1つのばね要素が、プレートをバッファアキュムレータ位置に移動、特に上方に移動させるように努めている。ばね要素は、好ましくはフィルタ受容部に支持されている。装入されるフィルタは、プレートをばね力に抗してパーキング位置に、好ましくは自重に基づいてかつ/またはフィルタを装入する際に加えられる力に基づいて移動させる。本構成は、プレートを一方の位置から他方の位置に移動させるために、操作要素を設けるかつ/またはハンドリングを行うかつ/または駆動部を設ける必要性を省く。むしろプレートは、自動的に装入時および離脱時に一方から他方の位置に移動される。係止結合またはロックがプレートをパーキング位置に保持するようになっていてもよい。
【0069】
説明したばかりの構成によれば、フィルタ受容部の内部に設けられたプレートは、フィルタ中空室をバッファアキュムレータ中空室から、具体的には一構成において流体密に仕切っている。
【0070】
この流体密な構成の一進展形において、フィルタ受容部の内部には、付加的にスライダが存在し、スライダは、好ましくは、機械的にプレートに結合されている。スライダも、パーキング位置とバッファアキュムレータ位置との間で往復動され、好ましくは、プレートとともに往復動される。
【0071】
供給管路は、本構成によれば、空間的に互いに離隔した2つの流出開口、すなわちフィルタ流出開口とバッファアキュムレータ流出開口とを有している。導出管路も、空間的に互いに離隔した2つの流入開口、すなわちフィルタ流入開口とバッファアキュムレータ流入開口とを有している。
【0072】
プレートおよびスライダがパーキング位置にあるとき、供給管路は、フィルタ流出開口を介してフィルタ中空室に接続されている。導出管路は、フィルタ流入開口を介してフィルタ中空室に接続されている。スライダは、バッファアキュムレータ流出開口およびバッファアキュムレータ流入開口を遮断する。供給管路から流れ出るガスは、フィルタ中空室を通して、ひいてはフィルタを通して導出管路内に案内される。パーキング位置にあるスライダは、ガスがフィルタ受容部内に設けられたフィルタを迂回し、供給管路からバッファアキュムレータ中空室を通して直接導出管路内に流れてしまうことを防止する。
【0073】
プレートおよびスライダがバッファアキュムレータ位置にあるとき、供給管路は、バッファアキュムレータ流出開口を介してバッファアキュムレータ中空室に接続されている。導出管路は、バッファアキュムレータ流入開口を介してバッファアキュムレータ中空室に接続されている。スライダは、フィルタ流出開口およびフィルタ流入開口を遮断する。供給管路から流れ出るガスは、バッファアキュムレータ中空室を通して導出管路内に案内される。バッファアキュムレータ位置にあるスライダは、ガスが供給管路または導出管路から流れ出て、フィルタ中空室内に達し、そこから周囲に達してしまうことを防止する。本実現形態においても、バッファアキュムレータ位置にあるプレートは、バッファアキュムレータ中空室をフィルタ中空室から、具体的には好ましくは流体密に仕切っている。
【0074】
プレートとスライダとを有する説明したばかりの実施の形態は、特に単純な機械的な実現に至る。手動で操作すべき操作要素および/または駆動部がスライダを移動させ得るようになっていてもよい。好ましくは、フィルタの装入が、プレートおよびスライダをパーキング位置に移動させ、パーキング位置に保持するようになっている。フィルタの取り除きが、プレートおよびスライダをバッファアキュムレータ位置に移動させ、バッファアキュムレータ位置に保持するようになっている。一実現形態では、少なくとも1つの機械式または空気圧式のばねが、プレートおよびスライダをバッファアキュムレータ位置に移動させ、バッファアキュムレータ位置に保持するように努めている。ばねは、好ましくはフィルタ受容部に支持されている。ばねの代わりに、スライダに対して力を及ぼす別の弾性要素も使用される。
【0075】
一構成において、前記または少なくとも1つのバッファアキュムレータの容積は、変化、好ましくは可逆に変化する。特にバッファアキュムレータは、完全にまたは少なくとも一部領域において弾性である壁を有している。これによりバッファアキュムレータは、膨張し、かつ再び収縮することが可能である。ガスの供給は、バッファアキュムレータを膨張させ、バッファアキュムレータの容積を拡大させる。膨張されたバッファアキュムレータは、貯蔵したガスを再び放出することができ、このとき、バッファアキュムレータは収縮し、バッファアキュムレータの容積は減少する。本構成は、多くの場合、特に単純に構成されるバッファアキュムレータに至る。バッファアキュムレータの内部には、硬性のハウジングを有するバッファアキュムレータと比較して低い正圧が生じる。
【0076】
好ましくは、この膨張可能なバッファアキュムレータは、供給管路に流体接続されており、つまりフィルタユニットの上流に配置されている。本構成は、単位時間あたりフィルタユニットに到達するガスの量がそれほど強く時間的に変動しないことを引き起こす。受容装置が医療用の機器に接続されているとき、本構成は、望ましくなく高い圧力が医療用の機器、ひいては医療用の機器に繋がれた患者に作用してしまう危険を軽減する。膨張可能なバッファアキュムレータは、導出管路に流体接続され、フィルタユニットの下流に配置されていてもよい。
【0077】
一構成において、受容装置は、膨張可能なバッファアキュムレータと、硬性のハウジングを有するバッファアキュムレータおよび/またはフィルタ受容部の内部に設けられたバッファアキュムレータとを備えている。好ましくは、弾性のバッファアキュムレータは、硬性のハウジングを有するバッファアキュムレータの上流に配置されている。これにより、単位時間あたり硬性のバッファアキュムレータに到達するガスの量は、時間的にそれほど強く変動しない。膨張可能なバッファアキュムレータが別のバッファアキュムレータに流体接続されていることも可能である。
【0078】
一応用例において、本発明に係る受容装置は、医療用の機器、特に麻酔器に接続される。前記または1つのバッファアキュムレータとして、患者の手動式の呼吸用のバッグが使用される。このバッグは、供給管路または導出管路に接続されている。この種の手動式呼吸バッグは、多くの場合、既に医療用の使用に認可されており、標準化された寸法を有している。本発明に係る受容装置の接続部材は、これらの寸法に適合される。
【0079】
一構成において、受容装置は、付加的に少なくとも1つの正圧弁を供給管路内にまたは供給管路に接して備えている。この正圧弁は、正圧弁にかかっている差圧が予め設定された正圧限界を上回っているときに開弁する。開放された正圧弁は、ガスを周囲に放つ。正圧弁は、供給管路内の圧力と供給管路を取り巻く周囲圧との間の差が正圧限界を上回っているときに自動的に開弁するようにポジショニングされている。これにより正圧弁は、供給管路内の正圧を解消し、特に、バックウォータが供給管路内に生じてしまう危険を軽減する。このバックウォータは、ガスを供給管路内に吐出する機器に、望ましくない形で作用してしまうことがある。
【0080】
この正圧限界は、一構成において正圧弁の構造によって予め設定されている。別の一構成において、圧力センサが、正圧弁にかかっている圧力差を測定する。一実現形態において、制御装置またはコンパレータが、この圧力センサから測定値を受信し、正圧弁を動作制御、具体的には、圧力差が正圧限界を上回ると、正圧弁が開弁するように動作制御する。別の一実現形態において、圧力センサの測定値は、人間により知覚可能な形で出力される。例えば正圧限界を上回る圧力差が検知されると、アラームが出力される。制御装置/コンパレータが正圧弁を動作制御する実現形態と、測定値および/またはアラームが出力される実現形態とは、互いに組み合わされる。
【0081】
一構成において、前記または1つの正圧弁は、フィルタユニットと直列にかつフィルタユニットの上流に、特に供給管路内にまたは供給管路に接して配置されている。別の一構成において、前記または1つの正圧弁は、フィルタユニットに対して並列に配置されている。この別のレイアウトの場合、正圧弁が開放されているとき、ガスの一部が供給管路を通ってフィルタユニットの周囲を流れる。両構成において、供給管路は、正圧弁が閉鎖されているとき、すべてのガスをフィルタユニットに案内する。
【0082】
一構成において、開放された正圧弁は、ガスを周囲に放出する。別の一構成において、流体案内ユニット、特にホースまたはその他の管路が、正圧弁を導出管路に接続する。正圧弁が開放されているとき、供給管路からこの流体案内ユニットを通して導出管路に至る流体接続が形成されている。第3の構成において、正圧弁は、フィルタユニットの内部に配置されている。正圧弁が開放されているときも、ガスは、周囲に流れ出ることなく、供給管路とフィルタユニットとを通して導出管路内に流れる。しかし、このガスの少なくとも一部は、フィルタユニットのフィルタを通って流れるのではなく、フィルタの周囲を流れる。これらの好ましい両構成は、正圧弁が開放されているとき、ガスが周囲に流れ出てしまう危険を軽減する。むしろ、正圧時、ガスは、フィルタの周囲を導出管路内へ流れる。
【0083】
正圧弁の別の可能なレイアウトは、フィルタユニットがフィルタ受容部を有し、フィルタがフィルタ受容部内に装入され、フィルタ受容部が供給管路および導出管路にそれぞれ流体接続されている構成と組み合わされる。本構成では、正圧弁が閉鎖されているとき、ガスは、供給管路からフィルタを通して導出管路へ案内される。正圧弁が開放されているときも、ガスは、供給管路からフィルタ受容部の内部を通して導出管路内に流れる。しかし、この場合、ガスの少なくとも一部は、フィルタを通り過ぎて流れる。本構成は、正圧弁が開放されているときに、ガスが周囲に逃げてしまう可能性があるというリスクを軽減する。
【0084】
前記または1つの正圧弁は、フィルタ受容部に、または導出管路内にもしくは導出管路に接して配置されており、正圧時、ガスを周囲に排出してもよい。
【0085】
正圧弁を有する構成の一進展形において、フィルタユニットの壁内に少なくとも1つの開口が設けられている。正圧弁は、この開口を閉鎖する。正圧弁が正圧に基づいて開弁すると、フィルタユニットは、開口を通して周囲に流体接続されている。開口が正圧弁に対して並列に配置されていることも可能である。好ましくは、正圧弁は、正圧が解消されると、再び自動的に閉弁する。
【0086】
別の一構成において、受容装置は、少なくとも1つの負圧弁を備えている。この負圧弁は、一方では、供給管路内の圧力またはフィルタユニットの内部の圧力と、他方では、周囲の圧力との間の差が、予め設定された負圧限界を下回っているときに開弁する。このような大きな負圧は、この負圧がガスを、供給管路に接続された機器から吸ってしまう恐れがあるため、往々にして望ましくない。機器が医療用の機器であり、患者に繋がれている場合、患者は、負圧により危険に曝される恐れがある。このような負圧は、例えばガスが能動的に導出管路から吸出され、かつフィルタユニットおよび/または供給管路が詰まっているか、または供給管路が機器を正しくフィルタユニットに接続していない(コネクティングエラー)ときに生じることがある。
【0087】
正圧弁に類似して、一実現形態において、負圧限界は、負圧弁の構造によって予め設定されている。別の一実現形態において、制御装置またはコンパレータが、負圧が負圧限界下に降下したときに、負圧弁を開弁させている。第3の実現形態において、負圧が負圧限界を下回ると、人間により知覚可能な形で報知が出力される。制御装置が自動的に負圧弁を開く実現形態と、報知が出力される実現形態とは、互いに組み合わされる。
【0088】
一構成において、フィルタユニットの壁内に少なくとも1つの開口、好ましくは複数の開口が設けられている。これらの開口により、フィルタユニットの内部と周囲との間の流体接続が形成可能である。フィルタユニットが、フィルタが装入されるか、または装入されているフィルタ受容部を有している場合、開口は、好ましくはフィルタ受容部の壁内に設けられている。
【0089】
負圧弁が開放されているとき、フィルタユニットの内部と周囲との間の流体接続が形成されており、その結果、ガスは、周囲から負圧弁と1つまたは複数の開口とを通してフィルタユニットの内部に流れることができる。前記または1つの閉鎖される負圧弁は、この開口またはこれらの開口を、負圧が負圧限界より小さいときに閉鎖し、フィルタユニットの内部と周囲との間の流体接続を遮断する。開口は、フィルタユニット内へのガスの流れを制限する。
【0090】
本実現態様の一改変形において、負圧弁は、バッファアキュムレータの壁または供給管路の壁内に設けられている。バッファアキュムレータ内の負圧が負圧限界を下回っているとき、ガスは、周囲からバッファアキュムレータ内に流れる。本構成は、バッファアキュムレータ内の過大な負圧がガスを供給管路から吸ってしまったり、バッファアキュムレータが過大な負圧に基づいて損傷されてしまったりするリスクを軽減する。
【0091】
フィルタユニットがフィルタ受容部を有する構成の好ましい一実現態様において、フィルタ受容部は、ポットを有しているか、またはポットとして構成されている。フィルタは、上方からこのポット内に装入され、かつ再びポットから取り出される。好ましくは、このポットは、蓋により流体密に閉鎖され、蓋は、例えばフィルタを交換すべく、再び除去される。ろ過すべきガスが空気より重いとき、ガスは、このポット内で下方に沈み、有意な量が直接周囲に逃げてしまうことはない。例えばフィルタが交換される間、ポット形のフィルタ受容部内に目下フィルタが装入されていなくても、特にフィルタが交換される間、たとえポットが閉鎖されておらず、周囲に向かって開放されているときでさえ、流れ出たガスが周囲に達するのは、比較的僅かな量にすぎない。本構成は、フィルタの交換時の時間を節約する。
【0092】
本発明により、フィルタユニットは、供給管路と少なくとも1つの流体接続を形成している。一構成において、この供給管路の一部区間は、フィルタユニットの内室を通して案内されている。この区間は、好ましくは、フィルタユニットの壁と、フィルタ受容部内に装入されたフィルタとの間に存在している。フィルタユニットがフィルタ受容部を有している場合、好ましくは、供給管路の一部区間は、フィルタ受容部の内室を通して案内されており、フィルタが装入されているとき、フィルタと、フィルタ受容部の壁との間に存在している。供給管路のこの区間内に設けられた流出開口は、どの箇所でガスが供給管路から流れ出て、フィルタ受容部、ひいてはフィルタ内に流れ込むかを決定する。この流出開口は、フィルタユニットの底部の近傍、特にフィルタ受容部の近傍に存在していることができる。本構成は、特に、前記または少なくとも1種類のガス成分がろ過されるべきガスが空気より重いとき、有利であり、このことは、特に麻酔剤を含むガス混合物であるときに該当する。流出開口は、フィルタユニットの上側の末端の近傍にポジショニングされていてもよい。第1の流出開口が、フィルタに通じ、第2の流出開口が、フィルタ受容部内に設けられたバッファアキュムレータに通じるようにしてもよい。フィルタが装入されているか否かに応じて、一方の流出開口は開放され、他方の流出開口は閉鎖されており、その逆もまた然りである。
【0093】
導出管路も、フィルタユニットの内部に配置されていて、フィルタユニットの壁と、装入されたフィルタとの間に存在している区間を有していてもよい。フィルタユニットがフィルタ受容部を有している場合、好ましくは、導出管路のこの区間は、フィルタと、フィルタユニットの壁との間に存在している。この区間は、1つの流入開口を有し、任意選択的には、少なくとも2つの流入開口を有していてもよい。
【0094】
本構成は、中空室がフィルタ受容部とフィルタとの間に生じ、バッファアキュムレータに属している上述の構成と組み合わされる。好ましくは、供給管路の区間と、導出管路の区間とは、フィルタ受容部内で流体密に、フィルタ受容部内に設けられたバッファアキュムレータから仕切られている。
【0095】
ガスは、それが供給管路内に圧送される、例えば供給管路に接続された機器により吐出されるだけで、本発明に係る受容装置内に達してもよい。別の一構成において、付加的にまたはその代わりにガスが導出管路から吸い出される。この別の構成の一実現形態によれば、受容装置は、さらに負圧発生器、特に吸引ポンプを備え、負圧発生器、特に吸引ポンプは、好ましくは、導出管路にまたは導出管路の下流に配置されている。負圧発生器は、導出管路に流体接続されており、負圧を導出管路内に発生させる。導出管路内のこの負圧は、ガスを吸引する。吸出されるガスは、供給管路に接続された機器、特に医療用の機器から、供給管路と、フィルタユニットと、導出管路とを通して吸引される。好ましくは、少なくとも1つの流体接続が、前記または1つのバッファアキュムレータを導出管路に接続している。負圧発生器が引き起こす負圧は、たとえ目下ガスが医療用の機器から流れ出ていなくても、または僅かしか流れ出ていなくても、バッファアキュムレータをこの流体接続を通して空にする。
【0096】
既述の一構成において、フィルタユニットは、フィルタ受容部とフィルタとを有している。フィルタ受容部は、供給管路および導出管路にそれぞれ流体接続されている。フィルタは、フィルタ受容部内に装入され、再び、例えばフィルタを新しいフィルタに置換すべく、フィルタ受容部から取り除かれる。負圧発生器を有する説明したばかりの構成は、それがフィルタ受容部およびフィルタとの組み合わせで実現されるとき、さらなる利点を達成する。フィルタの交換時、フィルタ受容部は、多くの構成では少なくとも部分的に周囲に流体接続されている。負圧発生器は、フィルタが装入されていないときも、ガスをフィルタ受容部から吸う。これにより負圧発生器は、フィルタ受容部から周囲に流れ出るガスの量を減少させる。
【0097】
負圧発生器は、前記または少なくとも1つのバッファアキュムレータが、例えば正圧を解消すべく、持続的にまたは少なくとも一時的に周囲に流体接続されているときも、有利である。負圧発生器は、正圧を解消し、大量のガスが周囲に流れ出てしまう危険を軽減する。
【0098】
一改変形において、負圧発生器は、受容装置の供給管路に流体接続されている。フィルタユニットおよび/または少なくとも1つのバッファアキュムレータは、負圧発生器の下流に配置されている。本構成は、フィルタユニットのフィルタの空気抵抗の克服を容易くする。
【0099】
負圧発生器によって吸引されたガスが供給管路を通して上述の流体受容部内に、そしてそこからさらに導出管路内に吸われることが可能である。導出管路および流体受容部は、フィルタがフィルタ受容部内に装入されていないときも、大量のガス成分が周囲に流れ出てしまうことを防止する。この作用は、とりわけ、負圧発生器が引き起こす負圧がガスをバッファアキュムレータから吸出し、これによりこのガスが周囲に流れ出てしまうことを防止するため、発現される。
【0100】
負圧発生器の別の作用は、以下の通りである:引き起こされた負圧が、受容装置のフィルタの空気抵抗を克服し、バックウォータがフィルタの上流に生じてしまう危険を軽減する。
【0101】
本構成の一進展形において、受容装置の制御装置が、負圧発生器のアクチュエータを動作制御し、負圧発生器が所望の体積流を導出管路内に達成することを引き起こす。センサが実際の体積流を測定し、制御装置は、実際の体積流について測定値をこのセンサから受信し、所望の体積流と実際の体積流との間の差が減じられるように、アクチュエータを動作制御、つまり、導出管路内の体積流を閉ループ制御または開ループ制御する。
【0102】
好ましくは、負圧発生器は、吸引ポンプを有している。吸引ポンプの代わりに、その他の負圧発生器、例えばエジェクタ装置が、導出管路に流体接続されていてもよい。
【0103】
好ましくは、ガスは、供給管路から導出管路へのその経路上で強制的にフィルタユニットを通る予め設定された経路上に導かれ、ガスは、つまり強制案内される。この強制案内は、すべてのガスがフィルタを通って流れ、一切のガスがフィルタを通り過ぎて流れてしまわないことを引き起こす。これにより、望ましくないガスが流体受容部内に達してしまう危険は減じられる。
【0104】
好ましくは、さらにガスは、フィルタを通して強制案内される。一構成において、壁がフィルタを少なくとも2つの領域に分割している。好ましくは、この壁は、ガスがフィルタを通って流れる方向に対して平行にまたは斜めに延在している。フィルタの第1の領域は、供給管路に流体接続され、フィルタの第2の領域は、導出管路に流体接続されている。フィルタは、ガスが供給管路を通って流れ、その後、第1の領域を通り、その後、第2の領域を通り、その後、導出管路内に流れるように構成されている。本構成では、ガスは、二度ろ過され、すなわち一度第1の領域でろ過され、一度第2の領域でろ過される。一方の領域が閉塞してしまって、比較的僅かなろ過作用しか達成されないか、またはまったくろ過作用が達成されないときも、多くの場合、まだ他方の領域がろ過を行う。それゆえ本構成は、信頼性を向上させる。
【0105】
好ましくは、受容装置は、少なくとも1つのチェック弁を備えている。このチェック弁は、例えば導出管路内または供給管路内に配置されている。チェック弁は、供給管路から導出管路を通る方向の流れを可能にし、逆方向の流れを防止する。このチェック弁は、導出管路が流体受容部に接続されているとき、流体が流体受容部から導出管路と供給管路とを通して、供給管路に接続された機器に達してしまうことを防止する。このような逆流は、機器を損傷させる恐れがあるか、またはそれが医療用の機器であれば、機器に繋がれた患者を危険に曝す恐れがある。受容装置は、複数のチェック弁を備えていてもよく、例えば供給管路内に1つ、導出管路内に1つ備えていてもよい。
【0106】
通例、フィルタユニットのフィルタは、ろ過すべき前記または各ガス成分の最大の量しか受容することができず、そうなると消耗されている。この最大の量の受容後、フィルタユニットは交換されなければならない。この最大の量は、例えばフィルタユニットの製造元によって予め設定または予め算出される。さらに、フィルタの少なからぬ構成では、フィルタが液体に基づいて膨れ、この理由からさらなる量のガス成分をもはや受容することができず、それゆえ交換されなければならない場合もある。
【0107】
一構成において、受容装置は、ろ過すべき前記または少なくとも1種類のガス成分のための成分センサ、特に麻酔剤センサを備えている。このセンサは、フィルタの下流の測定位置において流過するガス中のガス成分の量または濃度の度合いを測定する。この度合いが予め設定された成分限界を超過している場合、成分センサは、アラームの出力をトリガする。麻酔剤限界を上回る量または濃度は、フィルタがガス成分をもはや十分には貫流するガス流からろ過することができないことを示している。一構成において、このアラームは、人間により知覚可能な形で空間的に離れた箇所、例えば中央で出力される。受容装置は、それぞれ異なるガス成分のために様々な成分センサを備えていてもよい。
【0108】
好ましい一構成において、このセンサは、測定フィーラまたはその他の測定値ピックアップを有し、測定フィーラまたは測定値ピックアップは、フィルタユニットのフィルタ受容部の内部に配置されている。ろ過すべきガス成分が空気より重く、それゆえ下方に沈む場合、測定値ピックアップは、好ましくは、フィルタ受容部内でフィルタの下方に存在している。別の一構成において、このセンサは、フィルタユニットの下流に配置されている。この測定値ピックアップは、両構成において、フィルタの下流にポジショニングされており、流過するガス中のろ過すべき少なくとも1種類のガス成分の濃度を測定する。フィルタが十分な量のガス成分をもはや通流するガス流からろ過することができない場合、センサは、それゆえ、ろ過すべきであるが、実際にはろ過されないガス成分の濃度の上昇を記録する。
【0109】
フィルタ受容部を有するフィルタユニットの可能な一構成、すなわち、フィルタ受容部の内部の圧力が、予め設定された正圧限界を超過すると、フィルタ受容部の内部に設けられた正圧弁が開弁する構成については、遥か上で既に説明した。正圧弁が開放されているとき、一実現形態において、フィルタ受容部に到達したガスの少なくとも一部は、フィルタ受容部内に設けられたフィルタの周囲を導かれる。この状況において、測定値ピックアップを有するセンサは、フィルタ受容部の内部で、ろ過すべきガス成分の濃度の上昇を測定する。センサは、正圧が生じ、正圧弁が開弁し、それゆえガスがフィルタ受容部内でフィルタの周囲を流れるときも、正圧弁が閉鎖されており、ガスが確かにフィルタを通って流れてはいるものの、フィルタがガス成分をもはや十分な度合いではろ過することができないときも、この濃度の上昇を検知する。
【0110】
一構成において、以下の状況の少なくとも1つが生じたとき、アラームが出力される:
-説明したばかりのセンサが、フィルタ受容部の内部におけるガス成分の濃度の上昇を測定したとき、
-供給管路、フィルタユニット、導出管路または前記または1つのバッファアキュムレータに設けられた正圧弁が開弁したとき、または開放されたとき、
-供給管路、フィルタユニット、導出管路または前記または1つのバッファアキュムレータに設けられた負圧弁が開弁したとき、または開放されたとき。
【0111】
本構成は、フィルタが多量のガス成分を受容したために消耗したときも、フィルタが何らかの別の理由から閉塞、例えば詰まってしまったり、または誤って装入されてしまったり、または包装が除去されていなかったりしたときも、アラームが出力されることを保証する。多くの場合、フィルタの上流に詰まりが生じたときも、アラームが出力される。
【0112】
別の一構成において、受容装置は、成分量定器を備えている。この成分量定器は、フィルタがこれまで受容した予め設定されたガス成分、特に麻酔剤の量の度合いを近似的に求める。「これまで」とは、好ましくは、目下使用されているフィルタがフィルタユニット内で使用開始された時点以来を意味している。成分量定器は、供給管路に接続されている機器の内部に配置されていてもよいし、計算機、例えばスマートフォン上で実現されていてもよい。この量を近似的に求めるべく、成分量定器は、一構成において、
-一方では、供給管路を通ってフィルタユニットに向かうガスの時間的に変化する体積流についての信号
-他方では、供給管路内の前記または少なくとも1種類のガス成分の時間的に変化する濃度についての信号
を受信し、かつ使用する。
【0113】
別の一構成において、成分量定器は、供給管路内へのガス成分の送り込みについての信号を受信する。例えばキャリアガスに添加される麻酔剤の量の度合いが測定される。
【0114】
成分量定器は、ケーブル接続されてまたは電波を介してこれらの信号を受信する。これらの両信号から、成分量定器は、これまでフィルタにより受容された量を近似的に算出する。ガス体積流と濃度の積は、ガス成分の体積流を提供する。濃度が時間的に変化する場合、この積を介して数値積分される。
【0115】
本構成は、センサをフィルタユニットの下流に設ける必要性を省く。供給管路に接続される機器は、体積流のためのセンサを既に有していることが多い。ガス成分の濃度は、少なからぬ場合、この機器の別のセンサによって測定され、またはこの機器において調整される。成分量定器は、少なくとも一時的にワイヤ接続されてまたはワイヤレスに(電波を介して)これらの両センサにデータ接続されている。
【0116】
一構成において、データ記憶媒体内に、如何ほどの量のガス成分をフィルタユニットのフィルタがこれまで受容したかの情報が記憶される。フィルタがそれぞれ異なるガス成分を受容することが可能である場合、本構成の一進展形において、データ記録媒体上に、このフィルタが受容することができるすべての可能なガス成分について、このガス成分のそれぞれ1つの標付けと、このガス成分を如何ほどの量フィルタがこれまで受容したかの情報とが書き込まれる。
【0117】
データ記録媒体は、フィルタユニットの構成要素であってもよく、例えばフィルタユニットに取り付けられていてもよい。好ましくは、フィルタユニットに属するデータ記憶媒体は、RFIDチップとして構成されている。データ記憶媒体は、バーコードとして構成されていてもよい。データ記憶媒体は、フィルタユニットから空間的に仕切られて配置されていてもよい。これまで受容された量は、フィルタユニットのセンサにより測定されてもよいし、または説明したばかりの成分量定器により近似的に求められていてもよい。好ましくは、記憶された量に関するこの情報は、遠隔で求められ、読み出され、予め設定された所定値と比較される。所定値は、フィルタが受容することができる最大の量が如何ほどであるかを予め設定する。本構成は、適時に新しいフィルタ、またはフィルタを有する新しいフィルタユニットを提供することを可能にする。さらに、受容された量のためのデータ記憶媒体を有する構成は、消耗したフィルタを処理し、かつ/または材料をフィルタから回収することを容易くする。データ記憶媒体内に記憶されている情報は、フィルタにより受容されたガス成分および/またはガス量に前記処理を適合させるために使用される。
【0118】
同じフィルタが使用の経過中それぞれ異なるガス成分を受容することができてもよい。好ましくは、データ記憶媒体内には、各ガス成分のために、最大で可能な量についてそれぞれ1つの情報が記憶されている。ガス成分毎に、フィルタがこれまで受容した量が、データ記憶媒体内に記憶された最大で可能な量と比較される。
【0119】
フィルタが、通流するガスからろ過することができる上記のまたは1種類のガス成分は、一構成において麻酔剤である。別の一構成において、成分は、可燃性かつ/または人間にとって有害なガスである。ガス成分は、或る量の、ガス中に含まれているか、または含まれている可能性のある粒子、例えば空気中に含まれている可能性のあるダストまたは微生物またはウイルスまたはその他の病原体である場合もある。フィルタが、複数のガス成分、例えば複数のそれぞれ異なる麻酔剤および/または少なくとも1種類の麻酔剤ならびに粒子を、通流するガスからろ過することが可能であってもよい。
【0120】
さらに本発明は、少なくとも1つの医療用の機器と、本発明に係る受容装置とを備える医療用の装置に関する。前記または1つの医療用の機器は、特に麻酔器である。受容装置の供給管路は、少なくとも一時的に前記または1つの医療用の機器に流体接続されている。好ましくは、この流体接続は形成され、後に再び解除される。これにより、同じ受容装置が、順にそれぞれ異なる医療用の機器に接続され、同じ医療用の機器が、順にそれぞれ異なる受容装置に接続される。
【0121】
一構成において、本発明に係る受容装置は、空間的に医療用の機器から仕切られている。受容装置の供給管路は、医療用の機器に流体接続されている。好ましくは、受容装置は、順にそれぞれ異なる医療用の機器に接続される。別の一構成において、本発明に係る受容装置は、医療用の機器の構成要素であり、医療用の機器の内部に配置されている。好ましくは、導出管路は、医療用の機器が吐出したかつ/または吸出される流体のための連結箇所を提供する。
【0122】
一構成において、医療用の装置は、第1および第2の医療用の機器を備えている。選択的にまたは同時にも、供給管路と第1の医療用の機器との間および/または供給管路と第2の医療用の機器との間に流体接続が形成される。本構成は、両医療用の機器のために、フィルタユニットを有するそれぞれ1つの固有の受容装置を提供する必要性を省く。
【0123】
両医療用の機器が同時に受容装置に接続されている場合、少なからぬ場合、供給管路内の体積流および/または圧力は、受容装置が単一の医療用の機器にしか接続されていない場合ほど強く変動しない。
【0124】
本発明に係る受容装置は、選択的にまたは同時にも3つ以上の医療用の機器にそれぞれ流体接続されていることも可能である。
【0125】
本発明により、導出管路は、流体受容部に接続され、流体受容部は、一構成において定置の流体受容部である。この定置の流体受容部は、好ましくは、医療用のインフラストラクチャシステム、特に病院内の定置のインフラストラクチャシステムに属する。この医療用のインフラストラクチャシステムは、必要とされるガスおよびその他の流体も医療用の機器のために提供することができる。任意選択的には、流体受容部の負圧発生器、例えば吸出ポンプが、少なくとも一時的に導出管路に流体接続されており、ガスを吸引することができる。
【0126】
さらに本発明は、医療用のシステムであって、少なくとも1つの医療用の機器および本発明に係る受容装置を有する医療用の装置と、流体受容部とを備える医療用のシステムに関する。受容装置の導出管路は、少なくとも一時的に流体受容部に流体接続されている。
【0127】
本構成の一進展形において、医療用のシステムは、少なくとも1つの別の流体受容部を備えている。特に好ましくは、医療用のシステムの両流体受容部は、定置の流体受容部である。選択的にまたは同時に一方の流体受容部と導出管路との間または他方の流体受容部と導出管路との間に流体接続が形成される。医療用のシステムが3つ以上の流体受容部を備え、導出管路が選択的にまたは同時に少なくとも3つの流体受容部にそれぞれ流体接続されていることも可能である。
【0128】
少なくとも2つの流体受容部を有する構成は、特に大量のガスを医療用の機器から受容することを可能にする。医療用の機器が吐出するまたは吸出されるガスを選択的に一方または他方の流体受容部に変向させることも可能であり、このことは、特に医療用の機器が相前後してそれぞれ異なるガス、例えばそれぞれ異なる麻酔剤を含むガスを吐出するとき、時として有利である。
【0129】
別の一応用例において、受容装置は、或る領域、例えば建屋または車両内の閉鎖された空間内の空気を微生物、その他の病原体または粒子から清浄化するために使用される。好ましくは、受容装置は、圧送ユニットを備えているか、または圧送ユニットに流体接続されている。この圧送ユニットは、清浄化すべき空気を前記空間から、供給管路と、フィルタユニットと、導出管路とを通して、前記空間に戻すように圧送する。
【0130】
以下に本発明について一実施例を基に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0131】
図1】麻酔器と、本発明に係る受容装置とを備える医療用の装置を示す図である。
図2】フィルタ受容部の内部にフィルタを取り巻くように設けられていて、空気圧式に作用するバッファアキュムレータを有する構成であって、フィルタを有するカートリッジが装入された状態の図である。
図3図2の構成であって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図4】ガスがカートリッジを通って強制案内される図2の構成の改変形であって、カートリッジが装入された状態の図である。
図5】正圧時にガスを周囲に排出する正圧弁が供給管路内に配置された図4の構成の改変形を示す図である。
図6】開放された正圧弁がガスを周囲ではなく、導出管路内に排出する図5の構成の改変形を示す図である。
図7】フィルタユニットの測定フィーラが、正圧弁により排出されるガスの任意の特性も測定する図6の構成の改変形を示す図である。
図8図5ないし図7の正圧弁の様々な可能な実現形態を示す図である。
図9図4ないし図7の構成の、図4ないし図7の平面A-Aにおける断面図である。
図10図4の構成であって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図11】ポットに設けられた負圧弁を有する構成を示す図である。
図12図11の負圧弁の様々な可能な実現形態を示す図である。
図13】供給管路内に設けられた弾性のバッファアキュムレータの様々な可能な実現形態を示す図である。
図14】フィルタ受容部の内部に、かつ付加的にフィルタの下方に設けられた、機械的に作用するバッファアキュムレータを有する構成であって、カートリッジが装入された状態の図である。
図15図14の構成であって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図16】ガスがカートリッジを通って強制案内される図14および図15の構成の改変形であって、カートリッジが装入された状態の図である。
図17図16の構成であって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図18図14および図15の構成の別の改変形であって、装入されたフィルタが可動のスライダをパーキング位置に保持した状態の図である。
図19図18の構成であって、フィルタが取り出され、スライダがバッファアキュムレータ位置にある状態の図である。
図20】フィルタ受容部の下方に設けられた別体のバッファアキュムレータを有する構成であって、カートリッジが装入された状態の図である。
図21図20の構成であって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図22】バッファアキュムレータの複数の構成の組み合わせであって、カートリッジが装入された状態の図である。
図23図22の組み合わせであって、カートリッジが取り出された状態の図である。
図24】フィルタ受容部の下流に設けられた別体のバッファアキュムレータを有する構成を示す図である。
図25】麻酔剤量定器と、フィルタユニットに設けられたデータ記憶媒体とを付加的に備える、図1に示した装置の改変形を示す図である。
図26】タレット式受容部内に装入された2つのフィルタを有するフィルタユニットを示す図である。
図27】2つの医療用の機器が同じ本発明に係る受容装置に接続されている構成を示す図である。
図28】2つの定置のガス受容部が同じ本発明に係る受容装置に接続されている構成を示す図である。
【0132】
本実施例において、本発明は、患者に対して人工的に呼吸を行わせ、その際に患者に少なくとも1種類の麻酔剤を供給するために使用される。患者は、人工的に呼吸させられている間、取り囲まれた空間、例えば病院の病室内または車両の上にいる。
【0133】
図1は、この患者Pに麻酔をかけ、患者に対して人工的に呼吸を行わせる医療用の装置を示している。患者Pには、吸気ガス管路27を介して呼吸空気が供給される。この呼吸空気には、患者Pを麻酔状態に保つために、少なくとも1種類の麻酔剤が混合されている。患者Pが吐き出した呼吸空気は、二酸化炭素(CO)を含んでおり、呼気ガス管路28を介して吸出される。両ガス管路27,28は、患者Pに呼吸空気と麻酔剤とを供給するとともに、吐き出した空気を吸出して受容するために、呼吸回路を維持する麻酔器1の形態の医療用の機器に接続されている。
【0134】
麻酔器1には、病院インフラストラクチャから、加圧された呼吸空気と、純粋な酸素(O)と、笑気ガス(NO)とが供給される。麻酔器1は、本実施例では、以下の構成要素:
-供給される3つのガス(空気、OおよびNO)のうちの2つから、麻酔剤のためのキャリアガスとして使用される混合物を生成する混合器29であって、独国特許発明第102008057180号明細書に記載されているように構成されていてもよい混合器29と、
-呼吸回路内のガスを動かして呼吸回路を維持するベンチレータユニット5と、
-液状の麻酔剤用のタンク49を有する麻酔剤気化器2と、
-患者Pが吐き出し、呼気ガス管路28を介して導き出される呼吸空気からCOをろ過する石灰フィルタを有する麻酔器内部のフィルタユニット3と、
を有している。
【0135】
麻酔剤気化器2は、タンク49から麻酔剤をキャリアガスに添加する。例えば麻酔剤気化器2は、タンク49内の麻酔剤を気化させ、かつ/または麻酔剤をキャリアガス中に吹き込む。
【0136】
麻酔器1は、呼吸回路にガスを供給する。フィルタユニット3は、呼吸回路からガス、特にCOを抽出する。これにより差し引き、呼吸回路に供給されるガスは、取り出されるよりも多い。それゆえ、余剰のガスを呼吸回路から導出することが必要である。この余剰のガス(以下、「余剰ガス」という)は、2つのガス管路6および8、すなわち供給管路6と導出管路8とにより麻酔器1から除去される。一方では、ベンチレータユニット5は、ガスを吐出し、吐出された余剰ガスを供給管路6内に圧送する。このとき、吐出された余剰ガスの体積流は、時間とともに変動し、この体積流量の時間経過は、例えば正弦半波曲線の形状を呈している。他方では、吐出された余剰ガスは、導出管路8を通して導かれ、一構成では吸引される。
【0137】
本実施例において、導出管路8は、定置の流体受容部7に通じており、流体受容部7は、壁W内に設けられている。流体受容部7は、好ましくは、病院の定置のインフラストラクチャの構成要素であり、この定置のインフラストラクチャは、様々な医療用の機器により吐出されたガスを受容し、その先へ導いている。
【0138】
好ましくは、導出管路8内にチェック弁65が設けられており、チェック弁65は、ガスを導出管路8から流体受容部7に向かう方向に通過させるが、ガスが流体受容部7から逆方向に導出管路8を通して流動することは防止する。代替的な一実現形態において、チェック弁65は、流体受容部7に統合されている。前記または1つのチェック弁65を供給管路6内にまたは供給管路6と麻酔器1との間の接続部内にポジショニングすることも可能である。可能なすべてのポジショニングにおいて、チェック弁65は、麻酔器1がガスを吐出することを可能にする一方、逆流が麻酔器1、ひいては患者Pに作用し得ることは防止する。
【0139】
医療用の装置は、さらに、フィルタユニット4と、管路6および8とを備える本発明に係る受容装置100を備えている。フィルタユニット4は、フィルタ11,20と、フィルタ受容部として機能するポット13とを有している。これらの構成要素については以下で詳しく説明する。
【0140】
図1に示した構成では、供給管路6は、部分的に麻酔器1外に存在している。供給管路6が完全に麻酔器1内に存在し、フィルタユニット4が麻酔器1に着脱自在に連結されていることも可能である。本発明に係る受容装置100が完全に麻酔器1内に存在することも可能である。
【0141】
一構成において、麻酔器1は独力で、余剰ガスを管路6および8を通して吐出させる。
【0142】
別の一構成において、導出管路8に流体接続された吸引ポンプ10が、余剰ガスを受容装置100内に吸引する。この吸引ポンプ10は、好ましくはオン/オフされ、フィルタユニット4から出て導出管路8を通る体積流量を発生させる。図示の実現形態において、吸引ポンプ10は、壁Wの手前にポジショニングされており、導出管路8に流体接続されている。別の一実現形態において、吸引ポンプ10は、壁W内または壁Wの背後に存在し、流体受容部7に流体接続され、流体受容部7を介して間接的に導出管路8にも流体接続されている。
【0143】
この吸引がなされる一構成において、体積流、つまり単位時間あたり導出管路8を通って流れる体積は、時間的に一定であるか、または予め設定された別の時間経過にしたがう。任意選択的な体積流量センサ9が、導出管路8内の体積流量、つまり単位時間あたりの体積を測定する。一構成において、吸引ポンプ10は、この体積流量センサ9の測定値に応じて、例えば受容装置100の制御装置により、導出管路8を通る実際の体積流が、予め設定された所望の体積流に等しくなるように、動作制御される。これにより導出管路8内の実際の体積流量は、自動的に閉ループ制御される。
【0144】
別の一構成において、図示しない圧力センサが、導出管路8内または導出管路8の上流の、好ましくは以下で説明するフィルタユニット4の上流でもある測定点において、圧力を測定する。測定される圧力が、予め設定された圧力限界を超過すると直ちに、吸引ポンプ10は、作動され、余剰ガスを導出管路8内に吸い込む。吸引ポンプ10は、測定される圧力が再び圧力限界の下に低下するまで、作動し続ける。
【0145】
麻酔器1から吐出され、吸出される余剰ガスは、O、NOおよび/または麻酔剤を含んでいることがある。それゆえこの余剰ガスは、本発明に係る受容装置100に導かれる。この受容装置100は、供給管路6を介して麻酔器1に流体密に流体接続され、かつ導出管路8を介してガス受容部7の形態の定置の流体受容部に流体密に流体接続されている。ガス受容部7は、壁Wに配置され、一部がこの壁Wの背後に配置されていて、病院インフラストラクチャに属している。好ましくは、麻酔器1と供給管路6との間の接続部も、導出管路8とガス受容部7との間の接続部も解除され、後に再び形成される。
【0146】
余剰ガスは、フィルタユニット4を通して導かれる。供給管路6は、麻酔器1からこのフィルタユニット4に通じている。導出管路8は、フィルタユニット4からガス受容部7に通じている。ガス受容部7は、ろ過されて導出管路8を通って流れるガスを受容する。フィルタユニット4のフィルタ11,20は、余剰ガスから望ましくない成分、特に前記または各麻酔剤をろ過する。好ましくは、受容装置100は、余剰ガスが強制的にフィルタユニット4を通して案内され、フィルタユニット4を迂回することができないように構成されている。
【0147】
余剰ガスから望ましくない成分がろ過された後、ガス受容部7がろ過された余剰ガスを受容するので、多くの場合、有意な量の望ましくないガス成分、例えばO、NOおよび/または麻酔剤が、病院インフラストラクチャ内もしくは病院の空間内に達してしまったり、または病院の周囲に吐出されてしまったりすることは防止される。1番目の事象(病院インフラストラクチャまたは空間内の麻酔剤)が望ましくないのは、流れ出たガス、特に麻酔剤が、その空間内にいる人に健康被害をもたらし、Oが、付加的に機器を損傷させる恐れがあるからである。2番目の事象が望ましくないのは、環境エミッションは低く保つことが望ましいからである。
【0148】
以下に示す実施の形態において、供給管路6は、フィルタユニット4を医療用の機器1に接続している。フィルタユニット4が直接医療用の機器1に着脱自在に、例えば2つの対応する連結要素により連結されることも可能である。本構成は、医療用の機器1外の供給管路6を省略する。
【0149】
以下に説明する構成において、フィルタユニット4は、ポット13の形態のフィルタ受容部を有し、ポット13は、中心軸線に対して回転対称であり、この中心軸線は、使用中鉛直に配置されている。略柱形のフィルタは、上方からこのポット13内に装入され、再びポット13から取り出される。任意選択的には、蓋42が上方からポット13上に載置され、再び取り外される。フィルタユニット4には、さらにフィルタ11,20が属している。
【0150】
一構成において、ポット13は、フィルタセンサ47を有し、フィルタセンサ47は、フィルタ11,20がポット13内に装入されているか否かを確認する。例えばフィルタセンサ47のコンタクトスイッチが、フィルタ11,20が装入されているとき、電流回路を閉じ、またはフィルタ11,20が装入されているとき、このような電流回路を遮断する。あるいは装入されたフィルタ11,20が、ライトバリアを遮断する。本構成は、予め設定されたタイムスパン限界より長いタイムスパンの間、フィルタ11,20がポット13内に装入されていないとき、アラームを発し、人間により知覚可能な形で出力することを可能にする。本構成の一進展形において、この警告は、ガス混合物が供給管路6を通してかつ/またはフィルタユニット4内に流れることが付加的に確認されるときのみ出力される。
【0151】
図2ないし図17は、受容装置100の複数の可能な構成を示し、以下で説明するバッファアキュムレータが、フィルタユニット4内のカートリッジと、ポット13との間に配置されている。同じ符号は、同じ意味を有している。図2ないし図7図10図11および図14ないし図17は、フィルタユニット4を側面図で示しており、このときフィルタユニット4の中心軸線は、図平面内に位置している。図9は、フィルタユニット4を図4ないし図7の平面A-Aにおける断面図で示し、このとき柱形のフィルタユニット4の中心軸線は、図9の図平面に対して垂直である。図20ないし図24は、異なる構成を示しており、この場合、バッファアキュムレータは、ポット13外に配置されており、フィルタユニット4は、同じく側面図で示してある。受容装置100が、ポット13内のバッファアキュムレータと、ポット13外のバッファアキュムレータとを備えていることも可能である。
【0152】
図示の構成において、フィルタユニット4は、
-以下、「フィルタエレメント」または「麻酔剤フィルタ」とも称呼する麻酔剤用の本来のフィルタ11と、
-麻酔剤フィルタ11を包囲する、好ましくは、以下に説明する開口を除いて完全にかつガス密に包囲する柱形のカートリッジ20と、
-カートリッジ20上部において環状に延びる突出部12と、
-麻酔剤フィルタ11を有するカートリッジ20を受容し、底部44と側面とを有する柱形のポット13と、
-流体密に供給管路6に接続されており、供給される余剰ガスを開口22.1からポット13の底部44に向かって導き、流出開口14で終端しているポット供給管路16と、
-流体密に導出管路8に接続されており、麻酔剤フィルタ11から流れ出た余剰ガスを導出管路8に向かって導き、かつ流入開口35でまたはカートリジ20の底部39の高さで始端し、開口22.2に通じているポット導出管路32と、
-麻酔剤フィルタ11の下方または麻酔剤フィルタ11の下側の領域における麻酔剤の量の度合いを測定する測定フィーラ15と、
-消耗表示器17、特に、麻酔剤フィルタ11を有するカートリッジ20がいつ更新されなければならないかを表示する消耗表示器17と、
-測定フィーラ15から消耗表示器17に通じる測定線路18と、
を有している。
【0153】
以下、フィルタエレメント11とカートリッジ20とを有する構成部材を略して「フィルタ11,20」または「麻酔剤フィルタ11,20」とも称呼する。一構成において、フィルタエレメント11とカートリッジ20とは、全体としてのみ交換され得る単一の構成部材を形成している。フィルタエレメント11がカートリッジ20内に装入され、再びカートリッジ20から取り出されるようにし、その結果、同じカートリッジ20を異なるフィルタエレメント11のために続けて使用することも可能である。
【0154】
麻酔剤用のフィルタエレメント11は、好ましくは柱体の形態を呈し、好ましくは、剛体として、特に好ましくは、活性炭からなるか、または活性炭を含む剛体として構成されている。フィルタエレメント11は、ゼオライトを含んでいてもよい。この柱体の中心軸線は、フィルタ11,20がポット13内に装入されているとき、鉛直に配置されており、図2ないし図7図10図11図14ないし図24および図26の図平面内に位置し、図9の図平面に対して垂直である。特に好ましくは、フィルタエレメント11は、複数の平行なチャネルを有する活性炭からなるモノリスとして構成されている。このように構成されたフィルタエレメント11は、同等のフィルタ性能を有するその他のフィルタよりも低い空気抵抗を及ぼし、かつ軽量である。しかし、このようなフィルタエレメント11は、機械的な作用に対して敏感であり、特に比較的破損しやすい場合もある。活性炭からなり、チャネルを有するこのようなフィルタエレメントは、例えば独国特許出願公開第102015012410号明細書に記載されている。
【0155】
カートリッジ20は、フィルタエレメント11をある程度まで機械的な損傷から保護する。カートリッジ20は、好ましくは、同じく柱体の形態を呈していて、柱体の中心軸線は、好ましくは、フィルタエレメント11の中心軸線と一致している。カートリッジ20は、蓋42と、底部39と、蓋42と底部39との間を延在する側面43とを有している。蓋42および側面43は、さらに下で説明する任意選択的な開口を除いて、流体不透過性である。底部39は、一構成では、同じく流体不透過性であり、別の一構成では、流体透過性である。好ましくは、カートリッジ20は、硬質のプラスチックまたは金属から製造されている。好ましくは、カートリッジ20の外面に少なくとも1つの案内要素(図示せず)が配置されており、案内要素は、ポット13の壁の内面に設けられた対応する案内要素に対応している。これらの対応する両案内要素は、フィルタ11,20が正確に(正確な回転位置で)ポット13内に装入されることを保証する。
【0156】
一構成において、フィルタ11,20は、データ記憶媒体92を有し、データ記憶媒体92は、好ましくは、カートリッジ20の外面に取り付けられており、例えばRFIDチップまたはバーコードとして構成されている。このデータ記憶媒体92上には、フィルタ11,20に関する情報が記憶されている。受容装置100の図示しない読み取り装置は、これらの情報を読み取ることができる。好ましい一構成において、この読み取り装置は、読み取り兼書き込み装置であり、すなわち、情報をデータ記憶媒体92上に書き込むこともできる。
【0157】
好ましくは、データ記憶媒体92内には、フィルタ11,20の一義的な識別子が記憶されている。この識別子は、このフィルタ11,20を、病院内で使用されるその他すべてのフィルタから区別する。一実現形態において、読み取り装置は、この一義的な識別子を読み込み、中央のデータ記憶媒体(図示せず)内に、どのフィルタ11,20が目下、病院の麻酔器その他の医療用の機器のどの機器に流体接続されているかを記憶させる。これらの情報は、必要なときにアップデートされる。
【0158】
通例、フィルタ11,20は、それが消耗するまで、単一の受容装置100内でのみ使用されるべきであるか、または使用されてよく、その後は、使用されてはならないか、または処理がなされた後に初めて、改めて使用されてもよい。望ましくない再使用は、例えば説明したばかりのデータ記憶媒体92を評価することによって防止される。好ましい一実現形態において、これに対してデータ記憶媒体92は、このデータ記憶媒体92が、ひいてはこのデータ記憶媒体92が取り付けられたフィルタ11,20が、既に受容装置100内に装入されたことがあるか否かの情報を、例えばフラグの形態で含んでいる。新しいフィルタ11,20のデータ記憶媒体92は、このフィルタ11,20がまだ装入されたことがないという情報を含んでいる。読み取り兼書き込み装置は、フィルタ11,20の装入後、この情報を読み取る。フィルタ11,20が既に以前に受容装置100内に装入されたことがあれば、読み取り兼書き込み装置は、相応の報知を発する。そうでなければ読み取り兼書き込み装置は、データ記憶媒体92上に、フィルタ11,20が今や受容装置100内に装入さたという情報を記憶させる。好ましくは、読み取り兼書き込み装置は、フィルタ11,20の装入後、データ記憶媒体92を発見することができなかったり、データ記憶媒体92を読み取ることができなかったりした場合、エラー報知を発する。バーコードの場合、読み取り装置は、例えばフィルタ11,20の一義的な識別子を読み込み、続いてバーコード92を、例えば液体を吹き付けたり、上から塗り潰したり、上張りしたりすることによって読み取り不能にする。
【0159】
一構成において、データ記憶媒体92上に、フィルタ11,20がこのデータ記憶媒体92とともに初めて受容装置100のポット13内に装入されたのがいつか、情報が記憶され、再び読み取られる。新しいフィルタ11,20には、装入のデータが記憶されていない。読み取り兼書き込み装置は、データ、任意選択的には、フィルタ11,20がポット13内に装入された時点を記憶する。この情報は、フィルタが如何ほどの長さ既にポット13内で使用されたかを求めるために、後で再び読み取られる。少なからぬ場合に、フィルタ11,20の最大の使用期間が予め設定されている。別の一実現形態において、バーコード92は、フィルタ11,20がいつ製造されたかの情報を含んでいる。読み取り装置は、この製造年月日を読み込み、その後、バーコードを読み取り不能にする。
【0160】
装入のデータを含む説明したばかりの構成は、同じフィルタ11,20が複数回続けて装入されてしまうことを防止するためにも使用される。読み取り兼書き込み装置が、装入されたばかりのフィルタに、既にデータ記憶媒体92内に以前の装入のデータを発見した場合、このフィルタ11,20は、既に以前に使用されており、読み取り兼書き込み装置は、相応の報知を発する。バーコード92が読み取り不能である場合、同じくエラー報知が出力される。
【0161】
一構成において、データ記憶媒体92内には、どの麻酔剤のためにこのフィルタエレメント11が使用されてもよいかの情報および/またはどの麻酔剤のためにこのフィルタエレメント11が使用されてはならないかの情報が記憶されている。読み取り装置は、この情報をデータ記憶媒体92から読み取る。好ましくは、読み取り装置は、麻酔器1にデータ接続されており、目下使用されるフィルタエレメント11が許容するかつ/または許容しない麻酔剤についての情報を麻酔器1に伝送する。例えばユーザ入力に基づいて、麻酔器1の内部のデータ記憶媒体内には、どの麻酔剤が目下使用されるのかの情報が記憶されている。麻酔器1は、フィルタエレメント11が、目下使用される前記または各麻酔剤のために許容されているか否かを自動的に調べる。許容されないフィルタエレメント11の場合、麻酔器1は、人間により知覚可能な形で相応のエラー報知を発する。
【0162】
ポット13は、流体密に供給管路6と導出管路8とに接続されている。ポット13の壁が製造されている材料は、流体不透過性であり、化学的に麻酔剤により攻撃されない。好ましくは、ポット13の壁は、硬質のプラスチックまたは金属から製造されている。
【0163】
カートリッジ20が正確に、特に正しい回転位置でポット13内に装入されているとき、一構成においてポット供給管路16の流出開口14は、カートリッジ20内に設けられた入口開口25とオーバラップする。流入開口35は、カートリッジ20内に設けられた出口開口34とオーバラップする。両開口14,35は、ポット13の底部44の近傍に存在し、両開口25,34は、側面43内であって、カートリッジ20の底部39の近傍に存在している。余剰ガスは、カートリッジ20内に設けられた入口開口25を通してフィルタエレメント11内に流れ込み、カートリッジ20内に設けられた出口開口34を通して再びフィルタエレメント11から流れ出ることができる。麻酔剤フィルタ11,20は、麻酔剤フィルタ11,20を通って流れるガスの強制案内を引き起こし、その結果、余剰ガスは、入口開口25から出口開口34に至る比較的長い経路にわたって麻酔剤フィルタ11,20を通って流れる。
【0164】
図5に示す一構成において、供給管路6には、正圧弁50が配置されており、正圧弁50は、供給管路6に流体接続されている。正圧弁50は、つまりフィルタユニット4の上流に存在している。供給管路6内の圧力と、供給管路6を取り巻く周囲の圧力との間の差に応じて、正圧弁50は、閉鎖または開放されている。圧力差が、予め設定された正圧限界を下回っている間、この正圧弁50は閉鎖されている。圧力差が、予め設定された正圧限界に到達するか、または超過すると直ちに、正圧弁50は、自動的に開弁するか、または開放され、供給管路6と周囲との間の流体接続を形成する。余剰のガスを周囲に逃がすことが可能である。好ましくは、正圧弁50は、圧力差が再び正圧限界を下回ると直ちに、自動的に再び閉弁するか、または閉鎖される。
【0165】
単純な機械的な一実現態様において、正圧弁50は、弁プレート51を有し、弁プレート51は、上方に開いた弁クレータ52上に位置している。弁プレート51の重量と、弁クレータ52の上側の開口の面積との間の比は、達成される正圧限界を決定する。正圧限界を上回るガス圧は、弁プレート51を弁クレータ52から持ち上げるので、ガスを逃がすことが可能である。弁プレート51は、重力によって再び下降する。
【0166】
図6は、同じく正圧弁50が使用されるが、この正圧弁50は、余剰のガスを周囲には排出しない一改変形を示している。むしろこの正圧弁50は、フィルタユニット4に対して並列に接続されている。正圧弁50は、ポット13の内部に存在し、そこでポット供給管路16の端部に、またはその近傍に存在している。ポット供給管路16における圧力差が正圧限界を上回ると、ガスは、正圧弁50を通してポット供給管路16からポット13内に流れ出る。概略的にのみ略示したホース64は、正圧時に正圧弁50から流れ出る余剰のガスを、フィルタユニット4を通過させ、導出管路8へと案内する。このホース64は、少なくとも部分的にポット13の内部に配置されていることができる。
【0167】
測定フィーラ15は、一構成において、フィルタエレメント11によって受容されず、それゆえフィルタ11,20を後にする麻酔剤の量の度合いを測定している。好ましくは、測定フィーラ15は、フィルタユニット4の下流に存在し、測定フィーラ15を取り巻くガス流中の前記または少なくとも1種類の麻酔剤の濃度を測定する。理想的には、麻酔剤フィルタ11,20は、貫流するガスからすべての麻酔剤をろ過し、すべての麻酔剤を受容する。フィルタエレメント11により吸収または別の方法で受容されない麻酔剤の量が、予め設定された限界を上回ってしまったとき、このことは、フィルタエレメント11が麻酔剤で満たされてしまっているか、または閉塞してしまっており、さらなる麻酔剤を受容することができないため、交換されなければならないことの徴である。本実施例において、測定フィーラ15、測定線路18および消耗表示器17は、カートリッジ20に属している。同じカートリッジ20が、複数のフィルタエレメント11のために続けて使用されてもよい。測定フィーラ15、測定線路18および消耗表示器17は、カートリッジ20とは別にポジショニングされていることも可能である。
【0168】
カートリッジ20は、一構成においてポット13内に懸装されており、この場合、環状に延びる縁部12が、ポット13の上縁の上に載置されている。2つの上側のシール要素41または1つの単一の円形のシール要素41が、ポット13の上側の縁部と、環状に延びる縁部12との間の領域を閉鎖している。好ましくは、シールリングまたは別の好適なシール要素41が、ポット13の上縁の全周を巡っており、その結果、装入されたカートリッジ20は、ガス密にポット13内に懸装されている。カートリッジ20は、ポット13内に懸装されており、本実施例ではポット13ほどの高さがないため、中間室が、カートリッジ20の底部39と、ポット13の底部44との間に生じ、この中間室は、以下で説明するバッファアキュムレータに属する。カートリッジ20が、環状に延びる縁部12を有さず、ポット13内に懸装されず、ポット13の底部44上に立っていることも可能である。
【0169】
すべての構成において、フィルタユニット4は、硬性のポット13の内部に設けられたバッファアキュムレータ19(図2ないし図11および図14ないし図19に示す構成)、あるいは供給管路6または導出管路8に設けられた膨張可能なバッファアキュムレータ70(図13)または硬性のバッファアキュムレータ23(図20ないし図23に示す構成)を有し、バッファアキュムレータ19,23,70は、ガス管路6および8にも、周囲にも流体接続されており、流体を受容するとともに、放出することができる。このバッファアキュムレータ19,23,70は、供給管路6内の流体流入率が導出管路8内の流体流出率より大きい間、麻酔器1から流れ出るガスを受容する。バッファアキュムレータ19,23,70は、反対に導出管路8内の体積流が供給管路6内の体積流より大きいときは、受容したガスを再び放出する。特に患者Pが息を吐くとき、つまり呼気相のとき、通例、麻酔器1から供給管路6内に流入する流体は、供給管路6から流出するよりも多い。患者Pが息を吸うとき、つまり吸気相のとき、供給管路6内に流入する流体は、流出するよりも少ない。
【0170】
バッファアキュムレータ19,23,70の説明した構成は、組み合わされる。つまり、本発明に係る受容装置100は、説明したばかりの種類の異なるバッファアキュムレータ19,23,70を1つ、2つまたは3つ、および/または同じ種類のバッファアキュムレータを2つ備えていることが可能である。
【0171】
一構成において、硬性のバッファアキュムレータ23は、ポット13の下方に存在している。受容すべきガスは、通例、空気より重く、ポット13の底部44内に設けられた開口26を通して、ポット13の下方に存在するバッファアキュムレータ23内に沈む。
【0172】
図7の例では、好ましくは水平の仕切り壁53が、バッファアキュムレータ19をフィルタユニット4から仕切っている。フィルタユニット4を通って流れ、フィルタユニット4内でろ過されたガスも、正圧弁50から流れ出た余剰のガスも、フィルタユニット4と仕切り壁53との間の空間54内に達する。この空間54からのガスは、仕切り壁53内に設けられた開口を通してバッファアキュムレータ19内に達し、その後、バッファアキュムレータ19からポット導出管路32を通して導出管路8内に流れる。
【0173】
測定フィーラ15は、図7の構成において、空間54内、つまりフィルタ11,20の下流に存在し、空間54内の麻酔剤の濃度を測定する。予め設定された限界を上回る濃度の原因は、以下の両原因のうちの少なくとも一方である:
-フィルタユニット4が閉塞しているか、または別の理由から消耗してしまっており、この理由または別の理由から、もはや十分には麻酔剤を、通流するガス流からろ過することができなくなっている。
-ポット供給管路16内の圧力が正圧限界を上回り、正圧弁50が開弁し、ガスをポット13内の空間54内に放出している。
【0174】
両事象は、フィルタユニット4を交換することを必要とする。表示ユニット17は、ユーザに対し、フィルタユニット4を交換すべきであることを知らせるシグナルを送る。
【0175】
図8は、正圧弁50の7つの様々な可能な実現形態を示している。図4図6または図7に示した構成における正圧弁50は、これらの実現形態の各々によって実施される。
【0176】
図8a)は、弁プレート51が弁クレータ52上に位置する既述の実現形態50.1を示している。圧力が十分に大きければ、弁プレート51は持ち上げられ、その結果、ガスは、持ち上げられた弁プレート51と弁クレータ52との間の中間室から流れ出ることができる。弁プレート51の重量と、弁クレータ52の開口の面積との間の比は、正圧限界を決定する。
【0177】
図8b)に示す正圧弁50.2は、付加的に圧縮ばね55を有し、圧縮ばね55は、正圧弁50のハウジングに支持され、弁プレート51を重力に抗して上方に押し上げるように努めている。好ましくは、この弁プレート51は、図8a)に示した実現形態におけるより重く構成されている。正圧限界は、付加的に圧縮ばね55のばね定数によって決定される。図8b)に示した正圧弁50.2は、正圧限界を上回る圧力が十分な長さでかかって初めて開弁する。短期的な圧力ピークは、つまり緩衝される。漏れが正圧弁50内で生じてしまう危険は低減される。この種の正圧弁は、例えば米国特許第8997741号明細書に記載されている。
【0178】
図8c)に示す正圧弁50.3の場合、弁プレート51が弁ボール56に置換されており、弁ボール56は、弁クレータ52上に載置されている。正圧限界は、やはり弁ボール56の重量と、弁クレータ52の面積との間の比によって決定されている。
【0179】
図8d)に示す正圧弁50.4は、弁フラップ57を有し、弁フラップ57は、弁クレータ52に取り付けられており、弁クレータ52に対して相対的に、図8の図平面に対して垂直である水平の回転軸を中心に回転される。正圧は、この弁フラップ57を重力に抗して弁クレータ52から離間方向に回転させ、その結果、弁クレータ52の自由端部に開口が生じる。重力および図示しない任意選択的な引っ張りばねは、弁フラップ57を閉鎖された位置に保持するように努めている。代替的には、任意選択的な引っ張りばねが、弁フラップ57を重力に抗して開放された位置に引っ張り、この位置に保持するように努めている。特に、任意選択的な引っ張りばねとの関連において、比較的重い弁フラップ57は、正圧が十分な長さでかかって初めて、正圧弁50.4が開弁するに至らしめる。短期的な圧力変動は、緩衝される。
【0180】
図8e)に示す正圧弁50.5は、U字形の管58を有し、管58内には、下側の部分に液体59が存在している。この液体59は、正圧弁50が使用および保管される温度を上回る温度になって初めて気化する。圧力が正圧限界に到達するか、または超過した場合、ガスは、気泡の形態で管58から流れ出す。本構成は、ガスが意図せず漏出箇所を通して流れ出てしまう危険を特に良好に軽減する。
【0181】
図8f)に示す正圧弁50.6は、動作制御可能な切り換え弁61と、動作制御可能な切り換え弁61に至る供給管路52内に設けられた圧力センサ60とを有している。圧力センサ60の信号は、さらに電気式のコンパレータまたはプロセッサへと導かれる。コンパレータもしくはプロセッサは、または圧力センサ60自体も、供給管路52内の圧力が正圧限界を上回る事象を検知すると、切り換え弁61を動作制御し、これにより開放する。圧力が再び正圧限界の下に下がると、切り換え弁61を再び閉鎖する。任意選択的には、測定された圧力についての信号および/または正圧限界が超過されたという報知が、図示しない出力ユニットへと、好ましくは、病院内における正圧弁50.6の位置の標付けと関連付けられて、さらに導かれる。出力ユニットは、測定された圧力あるいは報知を、人間により知覚可能な形で出力する。この出力ユニットは、受容装置100から空間的に離れて、例えば中央(センタ)に配置されていてもよい。
【0182】
図8g)に示す正圧弁50.7の場合、一種のダックビル62が弁クレータ52上に載置されている。圧力が正圧限界を上回ると、ダックビル62は開弁し、圧力が正圧限界を下回ると、再び閉弁する。
【0183】
以下の望ましくない両事象は、防止されなければならない。両事象は、患者Pに害を及ぼしかねない:
-例えばフィルタエレメント11が多くの麻酔剤を受容し、これによりまたは液体に基づいて部分的に閉塞してしまったがゆえに、または麻酔器1が目下比較的多くのガスを供給管路6内に吐出したために、供給管路6内にバックウォータが生じる。このバックウォータは、麻酔器1内に伝播し、呼吸回路に作用してしまうことがある。
-例えば麻酔器1が目下比較的少ないガスを供給管路6内に吐出したために、供給管路6と導出管路8とを通して、余剰ガスが麻酔器1から吸出される。
【0184】
図4ないし図8に関して説明した正圧弁50は、例えばバックウォータに基づいて発生することがある正圧を防止する。望ましくない両事象を防止すべく、一構成においてバッファアキュムレータ19は、ポット13の壁内に設けられた少なくとも1つの開口21、好ましくは複数の開口21を介して周囲に流体接続されている。複数の開口21が存在していれば、1つの開口21が例えば物を吸引して閉塞してしまっても、流体接続は維持される。バッファアキュムレータ19の壁内に少なくとも1つの開口21が設けられている構成は、吸引、つまり、ガスを導出管路8内に吸う吸引ポンプ10(図1参照)との組み合わせにおいて特に有意義である。麻酔器1が余剰ガスを吐出することのみによって、余剰ガスがバッファアキュムレータ19内に達する場合、つまり、吸引が実施されない場合、バッファアキュムレータ19は、好ましくは、周囲との持続的な流体接続を有しない。
【0185】
正圧弁50と、ポット13の壁内に設けられた開口21との両方を設けることも、正圧弁50のみ、または開口21のみ設けることも可能である。例示的に図2ないし図4図10図11および図14ないし図17には、開口21を示してあり、図5ないし図7には正圧弁50を示してある。
【0186】
既に言及したように、一実現形態において、硬性のポット13内に設けられたバッファアキュムレータ19は、少なくとも1つの開口21を介して周囲に流体接続されている。ポット13の下方またはポット13の下流に設けられた硬性のバッファアキュムレータ23は、一実現形態において、少なくとも1つの開口24を介して周囲に流体接続されている。この開口21あるいは24を通して、余剰ガスは、バッファアキュムレータ19,23と周囲との間を行き来して流れることができる。このことは、図2ないし図24に破線の矢印により略示してある。
【0187】
一改変形において、バッファアキュムレータ23の壁内に設けられた開口24の手前またはその箇所に、バッファアキュムレータ23内の圧力と周囲圧との間の差が、予め設定された正圧限界を上回ると、開弁するまたは開放される正圧弁50が配置されている。この正圧弁50は、図8に関して説明したように構成されていることができる。
【0188】
図20ないし図24は、硬性のバッファアキュムレータ23を有する構成を示しており、バッファアキュムレータ23は、開口24または正圧弁50を介して周囲に、正圧弁50の場合は当然のことながら弁が開放されたときだけ、流体接続されている。硬性のバッファアキュムレータ23が開口24を介して弾性のバッファアキュムレータ70、つまり、可変の容積を有するバッファアキュムレータに流体接続されていることも可能である。この弾性のバッファアキュムレータ70は、図13に関して説明するように構成されていてもよい。
【0189】
図11は、ポット13の内部が常に開口21を介して周囲に流体接続されている構成に対する代替案または補足案を示している。この代替案は、ポット13から流れ出る麻酔剤の量を減少させる。さらに、以下に説明する代替案は、ポット13内の圧力が、予め設定された負圧限界を超えない範囲で、ポット13を取り巻く周囲の圧力を下回るようにする。過大な負圧は、麻酔器1からガスを吸出しかねないため、しばしば望ましくない。ポット13内の過大な負圧を回避する以下に説明する構成は、吸引、つまり、ガスを導出管路8内に吸う吸引ポンプ10との関連において特に有意義である。ポット13が少なくとも1つの開口21を有している場合、望ましくない負圧は、特に前記または各開口21が詰まってしまったときに発生し得る。消耗または閉塞したフィルタ11,20は、同じく吸引時に過大な負圧に至り得る。
【0190】
負圧弁80が、ポット13の側壁内に設けられた開口21を覆っている。この負圧弁80は、負圧限界より大きな負圧がポット13内を支配しているとき、つまり、ポット13内の圧力が、負圧限界を超える範囲で、周囲圧を下回っているとき、開弁する。そうでなければ、負圧弁80は閉鎖されている。開口21は、ポット13内への最大の体積流を制限する。開口21は、負圧弁80に属していてもよい。
【0191】
一構成において、負圧弁80が開弁すると直ちに、空間的に離れたアラーム発報ユニット上に、アラームが表示または別の方法で出力される。例えばこのアラームは中央で出力される。このアラームに対する反応として、ユーザは、ポット13を検査することができる。
【0192】
図12は、図11の負圧弁80の7つの様々な可能な実現形態を示している。図12には、例示的にポット13の側壁の一部と、覆われた開口21とを示してある。負圧弁80の図示の各実現形態は、それぞれ、図8に示した正圧弁50の実現形態に対応している。図12において、符号が同じであれば、意味は、図8における意味と同じである。
【0193】
図2ないし図17に示した構成では、供給管路6がポット供給管路16内に開口し、ポット供給管路16は、鉛直にまたは斜めにポット13の内壁に沿って案内されており、流出開口14をカートリッジ20の底部39の近傍に有している。側面43内には、カートリッジ20の底部39の近傍に、入口開口25が存在している。麻酔器1から流れ出た余剰ガスは、供給管路6と、ポット13内に設けられた開口22.1とを通してポット供給管路16内に流れる。このガスは、通例、空気より重い。それゆえ、吐出された余剰ガスは、鉛直にまたは斜めに配置されたポット供給管路16内を下方に流れる。吐出された余剰ガスは、ガス管路6および16を通して流出開口14まで流れ、入口開口25を通して麻酔剤フィルタ11,20内に達する。余剰ガスは、医療用の機器1により吐出かつ/または吸引ポンプ10により吸引され、フィルタエレメント11を通り抜け、このとき、余剰ガスは、好ましくは、蛇行線形の経路上を強制案内され、これにより、麻酔剤は、ガスからろ過される。ろ過された余剰ガスは、カートリッジ20からの出口開口34から流れ出て、流入開口35を通してポット導出管路32内に流れ、ポット13内に設けられた開口22.2を通して導出管路8内に達し、そこからガス受容部7内に達する。
【0194】
バッファアキュムレータ19は、図2ないし図17に示した構成では、ポット13の内壁と、カートリッジ20の外壁との間の中間室により形成される。この中間室19は、ポット13の側面にも、底部44にも隣接している。
【0195】
図13は、バッファアキュムレータ70の3つの可能な実現形態を示しており、バッファアキュムレータ70は、供給管路6に流体接続されており、直列にフィルタユニット4の上流に配置されている。このバッファアキュムレータ70は、すべての実現形態において弾性材料から構成されている。周囲圧は、外部からバッファアキュムレータ70に作用する。十分に多くのガスが供給管路6内に流動し、これによりバッファアキュムレータ70内に十分に大きな圧力が存在しているとき、弾性のバッファアキュムレータ70は、膨張され、具体的には、供給管路6内の圧力と周囲圧との間の差が大きければ大きいほど、強く膨張される。圧力が減少すると、弾性のバッファアキュムレータ70は、再び収縮し、これにより、受容したガスを再び供給管路6内に放出する。
【0196】
弾性のバッファアキュムレータ70が導出管路8に流体接続されていることも可能である。第1の弾性のバッファアキュムレータ70が供給管路6に流体接続され、第2の弾性のバッファアキュムレータ70が導出管路8に流体接続されていることも可能である。
【0197】
図13a)に示した実現形態によれば、供給管路6は、接続部材71を有し、接続部材71は、好ましくは供給管路6の下または導出管路8の下に配置されており、下方を向いている(麻酔剤は、空気より重い)。この接続部材71には、弾性のバッグ70.1の形態のバッファアキュムレータ70が懸装されている。圧力が高いとき、ガスは、供給管路6/導出管路8から接続部材71を通してバッグ70.1内に流れ、バッグ70.1を膨張させる。圧力が減少すると、バッグ70.1は、再び収縮し、受容したガスを再び供給管路6/導出管路8に放出する。好ましくは、接続部材71の直径は、規格化され、22mmである。バッグ70.1として、好ましくは、本来は手動式の呼吸用として予定または構成されたバッグが使用される。それというのも、この種の手動式呼吸バッグは、既に標準化されており、医療での使用が認可されているからである。
【0198】
図13b)に示した実現形態では、供給管路6の一部区間または導出管路8の一部区間が、弾性のバッグ70.2の形態のバッファアキュムレータ70により完全にまたは少なくとも部分的に包囲される。供給管路6または導出管路8のこの区間は、穴またはその他の開口を有し、その結果、バッグ70.2は、供給管路6または導出管路8に流体接続されている。弾性のバッグ70.2は、供給管路6または導出管路8内に設けられた開口を完全に覆っている。やはり、弾性のバッグ70.2は、圧力が大きいとき、膨張され、圧力が低いとき、収縮する。
【0199】
図13c)に示した実現形態では、弾性のバッファアキュムレータ70がベローズ70.3の形態を呈し、ベローズ70.3は、接続部材72を介して供給管路6または導出管路8に流体接続されている。ベローズ70.3は、圧力が大きいとき、長手方向軸線に沿って膨張し、圧力が比較的低いとき、再び収縮する。ベローズ70.3は、供給管路6または導出管路8の上方または下方に存在し、あるいは側方に存在していてもよい。
【0200】
図20および図21に示す構成では、バッファアキュムレータ23は、別体のバッファアキュムレータにより形成され、好ましくは、蛇行した管を有している。入口開口30は、カートリッジ20の上側3分の1に配置され、出口開口34は、カートリッジ20の底部39内に配置されている。バッファアキュムレータ23は、開口26を介してポット13に流体接続されている。この開口26は、出口開口34とオーバラップしている。カートリッジ20の底部39内に設けられた出口開口34のおかげで、バッファアキュムレータ23は、麻酔剤フィルタ11,20にも流体接続されている。さらにバッファアキュムレータ23は、導出管路8に流体接続されるとともに、開口24を介して周囲に流体接続されている。蛇行した管は、開口26から開口24に通じている。
【0201】
吐出された余剰ガスは、供給管路6を通して流れ、側方より、カートリッジ20内に設けられた入口開口30に達する。余剰ガスは、上方から下方へ麻酔剤フィルタ11,20を通して流れ、出口開口34において再び麻酔剤フィルタ11,20から流れ出る。吸引ポンプ10がガスを吸引すると直ちに、このガスは、導出管路8を通してバッファアキュムレータ23から再び吸出される。バッファアキュムレータ23は、つまり、ラストイン-ファーストアウト(後入先出)の原理にしたがって機能する。バッファアキュムレータ23の蛇行した形態は、比較的小さな寸法で長い管を実現する。長い管は、吐出された余剰ガスが周囲空気と混ざってしまうことを軽減する。
【0202】
フィルタエレメント11は、麻酔剤を受容し、これにより次第に閉塞かつ/または飽和していく。フィルタエレメント11が、閉塞または飽和しかけ、それゆえもはや麻酔剤をそれ以上受容することができないか、または膨れてしまった場合、フィルタエレメント11は、または麻酔剤フィルタ11,20全体は、置換されなければならない。任意選択的な消耗表示器17は、多くの場合、この事象を表示する。フィルタエレメント11と表示ユニット15,17,18とを有するカートリッジ20は、ポット13から取り出される。図3図10および図15は、カートリッジ20を取り出した後の状況を示している。患者Pの人工的な呼吸は、カートリッジ20がフィルタエレメント11とともに交換される間、中断されてはならない。それゆえ、麻酔器1とガス受容部7との間の流体接続は維持される。カートリッジ20がポット13内に装入されていなくても、吐出されたガスが大量に周囲に流れ出てしまうことは防止される。
【0203】
このことは、図2ないし図10に示した構成では、空気圧式に、すなわち、余剰ガスが吸引されることによって達成され、図14ないし図17に示した構成では、機械式に、すなわち、弾発支持されるプレート31によって達成され、図20および図21ならびに図24に示した構成では、バッファアキュムレータ23の蛇行した形態によって達成され、図22および図23に示した構成では、弾発支持されるプレート31と、バッファアキュムレータ23の蛇行した形態との組み合わせによって達成される。図13の弾性のバッファアキュムレータ70も、ある程度までは、カートリッジ20の交換時に大量の麻酔剤が周囲に流れ出てしまうことを防止する。
【0204】
図2ないし図10に示した空気圧式の解決手段の場合、余剰ガスは、ポット13とカートリッジ20との間の中間室19内に集合する。吸出ポンプ10が存在している場合、このガスは、ポット13の底部44から導出管路8を通して吸出される。ポット導出管路32内への流入開口35は、好ましくは、ポット13内に設けられた開口21の全横断面積よりも大きな横断面積を有している。特にそれゆえ、供給管路6を通る体積流量が時間的に変動しても、余剰ガスの僅かな部分しかポット13から上方に、または開口21を通して、周囲に流れ出ないことが達成される。ポット13自体は、つまり、前記または1つのバッファアキュムレータとして機能する。
【0205】
好ましくは、ガスは、強制案内によりフィルタユニット4を通して導かれる。この強制案内については、以下で図4ないし図10(空気圧式の解決手段)および図14ないし図19(機械式の解決手段)に関して説明する。
【0206】
フィルタ11,20の内部には、壁38が装入されており、壁38は、流体不透過性である。この壁38は、好ましくは、フィルタ11の中心軸線に対して平行に離隔して延在し、好ましくは、平らな面、または鉛直の軸線に沿って曲げられた面の形態を呈している。壁38は、カートリッジ20、ひいてはカートリッジ20内のフィルタエレメント11を、ガスのための上昇領域Auと下降領域Abとに分割している(図9参照)。フィルタ11,20の中心軸線に対して平行な観察方向で見て、上昇領域Auも、下降領域Abも、それぞれ、弓形の形態を呈している。上昇領域Auは、入口開口25に流体接続されている。カートリッジ20の底部39は、本実現態様において、少なくとも下降領域Abにおいてガス透過性であり、出口開口として機能し、これにより、側面43に設けられる出口開口34に取って代わる。下降領域Abは、この透過性の底部39内に開口している。
【0207】
供給管路6からのガスは、以下のようにフィルタユニット4を通して強制案内される:ガスは、他の実施例とまったく同様に、医療用の機器1から吐出され、かつ/または導出管路8内に吸入される。ガスは、ポット供給管路16、流出開口14および入口開口25を通して、カートリッジ20の壁と、垂直な壁38との間に存在する上昇領域Au内に流れる。壁38と、カートリッジ20の蓋42との間には、中間室が存在している。この中間室を通して、ガスは、ポット13を後にすることなく、上昇領域Auから下降領域Ab内に達する。ガスは、下降領域Abを通して透過性の底部39に向かって流れ、その後、ポット導出管路32を通して導出管路8へ流れる。ガスは、この場合、好ましくは上昇領域Auと下降領域Abとの両方で、しかし、少なくとも下降領域Abでろ過される。
【0208】
下側の2つのシール要素40または環状に延びる1つのシールリング40は、吸引されたガスが、ポット供給管路14から、カートリッジ20を通り過ぎて、カートリッジ20の底部39と、ポット13の底部44との間の空間を通って流れてしまうことを防止する。このようなガスは、フィルタ11,20を通り過ぎて流れてしまい、それゆえろ過されず、このことは、望ましくない。
【0209】
図14ないし図19および図22に示した機械式の解決手段の場合、プレート31がポット13の底部44の近傍で支持されている。このプレート31は、カートリッジ20が装入されているか、または取り出されているかに応じて、ガス流路を切り換える。プレート31は、好ましい一構成において、ポットガス管路16および32ならびに不可避の間隙を除いて、ポット13の全横断面積を占めている。プレート31は、ポット13の内室をフィルタ中空室37と、バッファアキュムレータ中空室36とに分割している。フィルタ中空室37は、プレート31の上方に存在し、フィルタ11,20を受容し、包囲することができる。バッファアキュムレータ中空室36は、プレート31と底部44との間に存在し、バッファアキュムレータに属している。これについては以下で説明する。好ましくは、環状に延びるシールリング40が、プレート31の周面を包囲している。
【0210】
供給管路6は、ポット供給管路16と開口14とを介して、装入されたカートリッジ20に流体接続されている。導出管路8は、開口35とポット導出管路32とを介して、装入されたカートリッジ20に流体接続されている。プレート31は、パーキング位置(図14図16図18図22)と、バッファアキュムレータ位置(図15図17図19)との間で往復動される。カートリッジ20が装入されているとき、プレート31は、パーキング位置に存在し、カートリッジ20は、供給管路6と導出管路8とにそれぞれ流体接続されているか、または導出管路8にのみ(図22)流体接続されている。プレート31およびシールリング40は、ガスが供給管路6からカートリッジ20を通り過ぎて導出管路8内に流れてしまうことを防止する。カートリッジ20が取り出されているとき、プレート31は、バッファアキュムレータ位置にあり、バッファアキュムレータ中空室36は、供給管路6と導出管路8とにそれぞれ流体接続されている。シールリング40は、ガスがバッファアキュムレータ中空室36から上方に逃げて周囲に達してしまうリスクを防止、または少なくとも低減する。
【0211】
プレート31を如何にして移動させるかについての一構成を以下で説明する。本構成は、特に単純な機械式の構成である。複数のばね要素33が、ポット13の底部44に支持され、プレート31を重力に抗して上方に、すなわちポット13の底部44から離間方向に、バッファアキュムレータ位置へ押圧し、バッファアキュムレータ位置に保持するように努めている。カートリッジ20がポット13内に装入されると、プレート31は、ばね要素33のばね力に抗して下方にパーキング位置へ押圧される。この効果は、カートリッジ20の重量によって引き起こされるか、またはユーザがカートリッジ20をポット13内で下方に押圧することによって引き起こされる。カートリッジ20が再び取り出されると、ばね要素33は、プレート31がポットガス管路16および32の下側の末端に到達するまで、プレート31を上方にバッファアキュムレータ位置へ押圧する。プレート31は、任意選択的なシールリング40との関連で、余剰ガスがポット13から上方に周囲に流れ出てしまうことを大幅に防止する。図示しない係止ユニットがプレート31を所定の位置に保持することが可能である。
【0212】
図18および図19は、バッファアキュムレータ19の機械式の解決手段の別の一構成を示している。符号が同じであれば、意味は、図14ないし図17における意味と同じである。やはりプレート31が、ポット13の内室をフィルタ中空室37とバッファアキュムレータ中空室36とに分割している。これによりプレート31は、装入されたフィルタ11,20からバッファアキュムレータ19を仕切っている。このバッファアキュムレータ19は、やはり、プレート31とポット13の底部44との間に存在している。図18および図19に示した構成において、開口21は、ポット13の壁内に設けられていない。本構成は、好ましくは、吸出ポンプ10なしの応用例で使用される。
【0213】
ポット13の内部に設けられたスライダ48が、堅固にプレート31に結合されており、プレート31とともにバッファアキュムレータ位置(図19、フィルタ11,20は装入されていない)と、パーキング位置(図18、フィルタ11,20は、ポット13内のフィルタ中空室37内に装入されている)との間で昇降動される。ばね要素33は、プレート31をスライダ48とともに上方にバッファアキュムレータ位置へ移動させるように努めている。装入されたフィルタ11,20の重量、任意選択的にはフィルタ11,20の装入を行うユーザは、プレート31、ひいてはスライダ48をばね要素33のばね力に抗して下方にパーキング位置へ押圧する。任意選択的には、プレート31は、パーキング位置で係止される。
【0214】
ポット供給管路16の下側の端部には、以下、フィルタ流出開口あるいはバッファアキュムレータ流出開口と称呼する2つの流出開口14および14.1が配置されている。フィルタ流出開口14は、バッファアキュムレータ流出開口14.1の上方に存在している。フィルタ11,20が正確に装入されている場合(図18)、先の実施の形態におけるのとまったく同様に、フィルタ流出開口14が、カートリッジ20の入口開口25とオーバラップしている。ポット供給管路16のフィルタ流出開口14は、つまり、フィルタ11,20の入口開口25に通じている。下方に押圧されたスライダ48は、フィルタ流出開口14を解放し、バッファアキュムレータ流出開口14.1を遮断している。フィルタ11,20が装入されておらず、スライダ48がバッファアキュムレータ位置にある場合(図19)、ポット供給管路16が、バッファアキュムレータ流出開口14.1を通してバッファアキュムレータ19に流体接続されている。バッファアキュムレータ流出開口14.1は、つまり、バッファアキュムレータ19に通じている。上方に押圧されたスライダ48は、バッファアキュムレータ流出開口14.1を解放し、フィルタ流出開口14を遮断している。
【0215】
相応のことは、ポット導出管路32に当てはまる。ポット導出管路32の下側の端部には、フィルタ流入開口35の下方に、バッファアキュムレータ流入開口35.1が設けられている。フィルタ11,20が装入されており、スライダ48がパーキング位置にある場合、フィルタ流入開口35が、カートリッジ20の出口開口34にオーバラップしている。フィルタ11,20の出口開口34は、つまり、ポット導出管路32のフィルタ流入開口35に通じている。下方に押圧されたスライダ48は、フィルタ流入開口35を解放し、バッファアキュムレータ流入開口35.1を遮断している。フィルタ11,20が装入されていない場合、ポット導出管路32は、バッファアキュムレータ流入開口35.1によりバッファアキュムレータ19に流体接続されている。バッファアキュムレータ19は、つまり、ポット導出管路32のバッファアキュムレータ流入開口35.1に通じている。上方に押圧されたスライダ48は、バッファアキュムレータ流入開口35.1を解放し、フィルタ流入開口35を遮断している。
【0216】
プレート31とスライダ48とがパーキング位置にある場合(図18)、ガスは、ポット供給管路16と開口14および25とを通してフィルタエレメント11内に流れ、続いて開口34および35を通してポット導出管路32内に流れる。スライダ48は、ガスがバッファアキュムレータ19内に達してしまうことを防止する。プレート31とスライダ48とがバッファアキュムレータ位置にある場合(図19)、ガスは、ポット供給管路16と開口14.1とを通してバッファアキュムレータ19内に流れ、開口35.1を通してポット導出管路32内に流れる。プレート31は、ガスが上方にバッファアキュムレータ19から流れ出てしまうことを大幅に防止する。
【0217】
図22および図23は、図14ないし図17の弾発支持されたプレート31が、図20および図21のバッファアキュムレータ23と組み合わされ、同じくポット供給管路16を有している一実施の形態を示している。図22に示した状況において、カートリッジ20は、フィルタエレメント11とともに装入されており、図23に示した状況において、カートリッジ20は、取り出されている。プレート31には、シール要素またはシールリング40が取り付けられている。さらにポット13の内部には、環状に延びる別のシールリング40が取り付けられている。ポット供給管路16とホルダ45とは、このシールリング40を好適な位置に保持する。
【0218】
プレート31は、図22ではパーキング位置に存在し、図23ではバッファアキュムレータ位置に存在している。プレート31の下には、環状に延びる土手が設けられ、この土手は、プレート31がパーキング位置にあるとき、底部44と接触し、ガスが供給管路6からプレート31の下を通り抜けて導出管路8内に流れてしまうことを防止する。これにより、ガスが麻酔剤フィルタ11,20を迂回してしまうことは防止される。むしろガスは、開口22.1を通って流れ、まずは、ポット13とカートリッジ20との間の中間室内へ上方にポット供給管路16を通って入口開口25まで導かれ、その後、フィルタ11,20を通して流れ、出口開口34に達する。開口22.2を通して、ガスは、導出管路8内に流れる。
【0219】
カートリッジ20が取り出され、プレート31がバッファアキュムレータ位置にあるとき(図23)、プレート31に設けられたシール要素40と、ポット13の内部に設けられたシールリング40とは、ガスがバッファアキュムレータ中空室36からプレート31を通り過ぎて上方に流れ、周囲に逃げてしまうという望ましくない事象を防止する。むしろプレート31とポット13とは、バッファアキュムレータ中空室36を大幅に周囲から隔離する。
【0220】
この改変形でも、ポット13の底部44内には、開口26が設けられており、ポット13は、この開口26を通して、蛇行した管を有する硬性のバッファアキュムレータ23に流体接続されている。カートリッジ20の入口開口25は、カートリッジ20の蓋42の近傍に配置されており、出口開口34は、カートリッジ20の底部39の近傍に配置されている。測定フィーラ15および測定線路18は、カートリッジ20の蓋42の近傍に配置されている。カートリッジ20がポット13内に装入されると、プレート31は、ばね33の力に抗して下方に押圧され、これによりガスをカートリッジ20内に変向させる。カートリッジ20が取り出されると、ばね33は、プレート31が傾倒してしまうことなく、プレート31を上方に押圧する。カートリッジ20が装入されているとき、ガスは、プレート31の周囲をバッファアキュムレータ中空室36内へ流れ、そこからバッファアキュムレータ23内に流れることができるとともに、再び流れ戻ることもでき、これにより、バッファアキュムレータの機能が実現されている。
【0221】
図24は、硬性のバッファアキュムレータ23がフィルタユニット4の下流に配置され、導出管路8に流体接続されている一構成を示している。「下流」という称呼は、医療用の機器1の先の、流体受容部7に向かうガスの流れ方向に関する。バッファアキュムレータ23は、フィルタユニット4の上流に配置され、供給管路6に流体接続されていてもよい。
【0222】
図24に示した構成は、図2ないし図19ならびに図22および図23に示した構成と比較して、フィルタユニット4をより小さくかつ/またはフィルタ11,20をより大きく構成することを可能にする。それというのも、カートリッジ20とポット13との間に、バッファアキュムレータとして機能する中空室を生じさせることが、必ずしも必要ではなくなるからである。さらに鉛直の寸法は、前述の構成と比較して小さい。導出管路8は、バッファアキュムレータ23に通されている。フィルタユニット4を介して、バッファアキュムレータ23は、間接的に供給管路6にも流体接続されている。体積流センサ9および吸引ポンプ10は、好ましくは、バッファアキュムレータ23の下流に存在している。
【0223】
図24に示した構成において、バッファアキュムレータ23は、フィルタユニット4の下流に配置されている。図13に示した改変形において、フィルタユニット4は、同じく弾性のバッファアキュムレータ70の上流に、またはしかし下流に配置されている。本改変形においても、好ましくは、任意選択的な体積流センサ9および吸引ポンプ10が、フィルタユニット4の下流に配置されている。
【0224】
これまで説明してきた実施の形態は、測定フィーラ15を有し、測定フィーラ15は、カートリッジ20内の麻酔剤の量または濃度の度合いを測定する。この量または濃度が、予め設定された麻酔剤限界を上回るという事象は、フィルタエレメント11がもはや十分には麻酔剤を、貫流するガス流からろ過しないことを示している。この事象の検出に対する反応として、アラームが消耗表示器17上で出力される。好ましくは、正圧弁50が開弁したときも、アラームが出力される。正圧弁50が開弁した理由の1つの可能性としては、例えばフィルタエレメント11が湿分に基づいて膨れてしまったため、フィルタエレメント11が閉塞したことがある。
【0225】
前記または1つの消耗表示器17は、フィルタユニット4またはポット13に配置されていることができる。消耗表示器またはアラーム発報ユニットが空間的に離れて、例えば中央に配置されていることも可能である。中央では、測定フィーラ15が高濃度の麻酔剤を測定したとき、または正圧弁50が開弁し、それゆえ、フィルタ11,20を検査し、必要であれば交換する必要があるときに、アラームが表示される。
【0226】
代替的な一実施の形態は、麻酔剤の量または濃度のための測定フィーラ15をポット13の内部に設ける必要性を回避する。むしろ、供給管路6を通って麻酔剤フィルタ11,20へ流れる麻酔剤の量は、近似的に求められる。可能な一実現形態によれば、連続する複数のサンプリング時点で、供給管路6内へのそれぞれ目下の体積流、つまり、麻酔器1が供給管路6内に吐出するガスの単位時間あたりの体積が測定される。または目下の体積流は、別の方法で求められる。さらに、このガス流中の麻酔剤が目下如何ほどの濃度を有しているか、近似的に測定、または別の方法で求められる。これらの両値から、ある特定のサンプリング時点で供給管路6を通してフィルタユニット4内を流れ、理想的には完全にフィルタエレメント11により受容される麻酔剤の体積流が算出される。麻酔剤体積流に関するこれらの値にわたって数値積分がなされる。このプロセスは、フィルタエレメント11がこれまで受容した麻酔剤の量についての近似値を提供する。こうして算出された近似値は、特に正圧弁50が一時的に開弁すると、または少なくとも1つの漏出箇所が麻酔器1とフィルタ11,20との間で生じると、実際に受容された量より大きくなることがある。
【0227】
代替的な一構成において、麻酔剤タンク49内の液状の麻酔剤の量の度合いが繰り返し、例えばタンク49内に設けられた浮子によって測定される。この量は、タンク49から麻酔剤がキャリアガスに添加されるので、時間とともに減少していく。タンク49を後にした麻酔剤の一部は、例えば気化によりキャリアガスに添加され、供給管路6内に達する。これまでタンク49を後にした麻酔剤の量は、フィルタエレメント11がこれまで受容した麻酔剤の量の上限である。
【0228】
説明したばかりの両構成は、特に不正確性を低減すべく、組み合わされる。
【0229】
好ましくは、受容された量についての値は、新しいフィルタ11,20がポット13内に装入されると、ゼロにセットされる。例えばフィルタ11,20は、データ記録媒体92、例えばRFIDチップを有し、データ記録媒体92は、好ましくは、カートリッジ20の外壁に配置されている。受容装置100は、このようなデータ記録媒体用の読み取り兼書き込み装置、例えばRFID読み取り兼書き込み装置を備えている。代替的な一構成において、ユーザは、据え置きもしくはポータブルの計算機またはその他の入力ユニットにより、新しいフィルタ11,20がポット13内に装入されるという情報を入力する。
【0230】
一構成において、予め設定され、麻酔剤気化器2において調整された濃度が求められる(図1参照)。別の一構成において、麻酔剤の実際の濃度が、麻酔器1内の少なくとも1つの測定点において測定される。
【0231】
通例、麻酔剤気化器2は、液状の麻酔剤用の貯蔵タンク49を有している。一構成において、充填レベルセンサが、このタンク内の液状の麻酔剤の量の度合いを、例えば浮子によって測定する。この充填レベルセンサの測定値から、如何ほどの量の液状の麻酔剤がこれまで気化されたか、導き出される。これまで気化されたこの量は、フィルタエレメント11がこれまで受容した麻酔剤の量の上限である。
【0232】
一構成において、麻酔器1は、呼気相においてのみ麻酔剤を供給管路6内に吐出する。それゆえ、麻酔剤量を算出するとき、呼気相にあるサンプリング時点の値のみが考慮される。このようなプロセスは、例えば独国特許発明第102006027052号明細書に記載されている。別の一構成において、呼吸空気または別の新鮮ガスの供給は、麻酔器1が吸気相においても麻酔剤を吐出するほど大きい。
【0233】
一構成において、データ記憶媒体、例えばカートリッジ20の外壁に設けられた説明したばかりのデータ記憶媒体92上に、フィルタエレメント11が最大で如何ほどの麻酔剤の量を受容することができるかの情報が格納されている。この量は、予め設定されている。コンパレータは、このフィルタエレメント11がこれまで受容した、たった今説明したように近似的に算出される麻酔剤の量を、予め設定され、かつ記憶された、フィルタエレメント11が最大で受容することができる量と繰り返し比較する。実際に受容された量が、予め設定され、かつ記憶された最大の量から、絶対値または百分率で示される予め設定された限界を下回って相違すると直ちに、人間により知覚可能な形で警告が、例えば空間的に離れた出力ユニット上に出力される。出力ユニットは、特に中央にポジショニングされている。
【0234】
図25は、例示的な一構成を示しており、図1の装置に対して相応の構成要素が補足されている。同じ構成要素は、図1におけるのと同じ符号を有している。付加的に示したものは:
-麻酔剤タンク49内の目下の充填レベルの度合いを測定し、例えばタンク49内の麻酔剤の表面に浮いた浮子および/または秤を有する充填レベルセンサ89と、
-麻酔器1に属し、麻酔器1が供給管路6内に吐出するガスの体積流、つまり単位時間あたりの体積を測定する体積流センサ90と、
-麻酔剤気化器2において調整されたかつ/または麻酔剤気化器2が実際に達成した麻酔剤の濃度を測定する濃度センサ91と、
-フィルタユニット4のフィルタ11,20のデータ記憶媒体92と、
-データ処理する麻酔剤量定器93と、
である。
【0235】
例示的に図25にはチェック弁65を示してあり、チェック弁65は、麻酔器1と受容装置100との間、つまり供給管路6の上流に配置されている。チェック弁65は、麻酔器1からのガスは通過させるが、ガスが供給管路6から麻酔器1内に流れることはできないようにしている。特にガスは、流体受容部7から麻酔器1内に流れ得ない。
【0236】
図25に示した例において、データ記憶媒体92上には、フィルタエレメント11が受容し得る麻酔剤の最大の量についての情報が記憶されている。この最大の量は、ガス状または液状の麻酔剤の体積で表示され、またはその重量で表示されることもある。
【0237】
麻酔剤量定器93は、センサ89,90および91から測定値を受信するとともに、データ記憶媒体92から最大の量についての情報を受信する。麻酔剤量定器93は、たった今説明したように、フィルタエレメント11がこれまで受容した麻酔剤の量の度合いを算出し、これまで受容した量を最大の量と比較し、これまで受容した量がフィルタエレメント11の最大の量に近ければ、警告を出力する。
【0238】
一構成において、麻酔剤量定器93は、麻酔器1内で実現されており、このことは、図25に略示してある。麻酔剤量定器93が別体の計算機、例えばスマートフォン上で実現されていることも可能である。
【0239】
一構成は、同じフィルタエレメント11が続けて、または同時にも、異なる麻酔剤を受容することができる可能性を考慮している。例えば、受容装置100は、異なる麻酔剤が使用される様々な手術で続けて使用されることが可能である。受容装置100は、複数の麻酔剤が混合されて使用される1つの手術で使用されることも可能である。
【0240】
データ記憶媒体92上には、本構成によれば、フィルタエレメント11が最大で受容することができる参照麻酔剤の最大の量の情報が記憶されている。さらに、フィルタエレメント11が使用される可能性のある各麻酔剤のために、それぞれ換算係数が記憶、具体的にはデータ記憶媒体92上または別のデータ記憶媒体上に記憶されている。フィルタエレメント11は、或る麻酔剤を、その換算係数と、参照麻酔剤の最大の量との積に等しい最大の量受容することができる。
【0241】
麻酔剤量定器93は、使用中、センサ90および91から測定値を受信するとともに、データ記憶媒体92から参照麻酔剤の最大の量についての情報と、換算係数と、如何ほどの期間それぞれどの麻酔剤が使用されたかの情報とを受信する。麻酔剤量定器93は、例えば麻酔器1にデータ接続されており、麻酔器1は、麻酔剤量定器93に、どの麻酔剤が目下使用されていて、それゆえフィルタエレメント11を通して流れているまたは流れている可能性があるかの情報を伝送する。
【0242】
麻酔剤量定器93は、たった今説明したように、使用される各麻酔剤について、フィルタエレメント11がこれまで如何ほどの量この麻酔剤を受容したかを算出する。換算係数の逆数を基に、麻酔剤量定器93は、可能な各麻酔剤について、この麻酔剤のこれまで受容された量を参照麻酔剤の相応の量に換算する。麻酔剤量定器93は、参照麻酔剤の相応の量を足し合わせ、これにより、参照麻酔剤の等価の受容された総量を算出する。等価の量のこの合計が参照麻酔剤の最大の量に到達するか、または超過したとき、フィルタエレメント11は、消耗しており、交換されなければならない。
【0243】
フィルタエレメント11が如何ほどの量の麻酔剤を受容することができるかは、多くの場合、麻酔剤の種類だけでなく、付加的に使用条件にも依存している。一構成において、麻酔剤に関する説明したばかりの換算係数は、付加的に以下の測定可能な使用条件の少なくとも1つに依存している:
-フィルタエレメント11を通して流れるガスの温度、圧力および/または湿度、
-このガス中の麻酔剤の濃度、
-周囲の空気の温度、圧力および/または湿度。
【0244】
一構成において、フィルタエレメント11が消耗しかけているまたは消耗し尽くしているという警告は、信号機の形態で出力される。青信号は、実際に受容された量が、予め設定された幅よりも大きな幅をもって最大の量を下回っていることを意味している。黄信号は、実際に受容された量がまだ最大の量を下回ってはいるものの、予め設定された幅よりは小さな幅をもって下回っていることを意味している。赤信号は、実際に受容された量が最大の量に到達しているか、または上回っていることを意味している。別の一構成において、麻酔剤のこれまで受容された量は、例えば麻酔剤毎に別々に、この麻酔剤の最大で可能な量の百分率として出力される。
【0245】
説明したばかりの構成は、目下使用されるフィルタエレメント11が受容することができる麻酔剤の最大で可能な量についての情報を使用する。一構成において、最大の量についてのこの情報は、装入されるフィルタ11,20のデータ記憶媒体92上に記憶されている。受容装置100の読み取り装置は、このデータ記憶媒体を読み取ることができる。別の一構成において、読み取り装置は、装入されたフィルタ11,20がどのタイプであるかを読み込む。データ記憶媒体内には、フィルタユニット4の可能な各タイプのために、このタイプのフィルタユニットが受容することができる麻酔剤のそれぞれの最大の量が格納されている。
【0246】
一構成において、読み取り兼書き込み装置は、データ記憶媒体92上に、使用される各麻酔剤のために、フィルタエレメント11がこの麻酔剤を如何ほどの量これまで受容したかの情報を記憶させる。好ましくは、この情報は絶えずアップデートされる。この情報は、後に、フィルタエレメント11を再び処理するために、かつ/または受容された麻酔剤をフィルタエレメント11から回収するために、使用される。フィルタエレメント11の再生時のプロセスステップは、すなわち、受容された麻酔剤の種類および量に依存していることがある。
【0247】
任意選択的には、データ記憶媒体92または中央のデータ記憶媒体上には、付加的に、参照麻酔剤のこれまで受容された量についての情報が記憶される。この情報は、好ましくは絶えずアップデートされ、その結果、参照麻酔剤の消費された量の時間経過が作成される。この時間経過は、近似的にフィルタエレメント11の残された使用期間を予測することを可能にする。
【0248】
一構成において、データ記憶媒体92または中央のデータ記憶媒体上には、各麻酔剤のために、これまで受容された量が記憶される。好ましくは、この記憶は、手術の度に、またはフィルタ11,20のその他の使用の度に改めて実施される。手術の開始前または開始時に、これまで受容された量が読み出されるか、または別の方法で求められる。手術の前後での受容された量の差は、手術中の消費の度合いを表している。
【0249】
これまで説明してきたすべての構成で、フィルタユニット4は、単一のフィルタエレメント11を、任意選択的には1つのカートリッジ20内に有している。図26は、フィルタユニット4が2つのフィルタエレメント11.1および11.2をそれぞれ1つのカートリッジ20.1,20.2内に有している例示的な一構成を示している。符号が同じであれば、意味は、先の図面における意味と同じである。
【0250】
両フィルタ11.1,20.1および11.2,20.2は、受容ユニット71の2つの対応する受容部内に装入されており、受容ユニット71は、タレット式受容部の形態を呈し、回転軸73を中心として回転可能である。水平の回転軸73は、回転可能にポット13の側壁に結合されており、図26の図平面内に位置している。これにより、選択的にフィルタ11.1,20.1およびフィルタ11.2,20.2のいずれかが、ポット供給管路16の下側の端部に設けられた流出開口14と、ポット導出管路32の下側の端部との間にある位置へもたらされる。これにより、選択的にフィルタ11.1,20.1およびフィルタ11.2,20.2のいずれかが、供給管路6と、このフィルタ11.1,20.1または11.2,20.2と、導出管路8とを通してガスを流動させる位置にある。図26に示した状況では、ガスは、フィルタ11.1,20.1を通して流動可能である一方、フィルタ11.2,20.2は、パーキングポジションにある。
【0251】
好ましくは、受容ユニット71は、ポット13に対して相対的に、フィルタ11.1,20.1または11.2,20.2の入口開口25が流出開口14にオーバラップする位置にあるとき、係止される。これにより、ガスがフィルタエレメント11.1または11.2を通り過ぎて流れてしまうリスクは軽減される。
【0252】
ユーザが軸73を中心として受容ユニット71を手動で回転させることが可能である。別の一構成において、任意選択的なモータ72が、軸73を中心として受容ユニット71をポット13に対して相対的に回転させることが可能である。一構成において、モータ72は、外部から動作制御されるか、またはユーザにより入力、例えばボタン押下により作動される。動作制御または作動されたモータ72は、受容ユニット71を所定位置に来るように回転させる。これにより、外部からの動作制御または作動によっても、選択的にフィルタ11.1,20.1またはフィルタ11.2,20.2が、ガスによって貫流される位置にあることが達成される。
【0253】
一実現形態において、制御装置は、ポット13内に設けられた上述の測定フィーラ15から測定値を受信して、モータ72を動作制御することができる。測定フィーラ15が、高濃度の麻酔剤を測定すると直ちに、制御装置は、モータ72を動作制御し、モータ72は、受容ユニット71を回転させ、位置を1つ進める。
【0254】
一構成において、両フィルタ11.1,20.1および11.2,20.2は、同様に構成されており、1つの同じ麻酔剤または複数の同じ麻酔剤を、貫流するガスからろ過することができる。受容ユニット71は、フィルタが消耗したとき、手動でまたはモータ72により回転される。別の一構成では、フィルタエレメント11.1が第1の麻酔剤をろ過し、フィルタエレメント11.2が第2の麻酔剤をろ過することが可能である。どの麻酔剤を目下ガス流からろ過すべきかに応じて、フィルタ11.1,20.1またはフィルタ11.2,20.2を、入口開口25が流出開口14にオーバラップする位置へもたらす。
【0255】
もちろん、受容ユニット71は、2つより多くのフィルタのための受容部を有していてもよい。受容ユニット71は、ポット13に対して相対的に回転されるのではなく、直動または揺動されてもよい。
【0256】
一案において、受容装置100は、供給管路6とポット13との間に配置された切り換えポイントを備えている。この切り換えポイントは、供給管路6を通して流れるガスを、選択的に第1のフィルタ11.1,20.1または第2のフィルタ11.2,20.2または図示しない任意選択的な第3のフィルタへ導く。
【0257】
これまで説明してきた構成では、本発明に係る受容装置100は、単一の医療用の機器1に接続されている。図27は、本発明に係る同じ受容装置100が、2つの医療用の機器1および1.1に接続されているか、または接続可能である2つの代替的な構成を示している。符号が同じであれば、意味は、前述の構成における意味と同じである。
【0258】
図27a)に示した構成では、受容装置100は、選択的に医療用の機器1または医療用の機器1.1に接続される。管路6.1は、医療用の機器1から、受容装置100に属する切り換えポイント96に通じている。管路6.2は、医療用の機器1.1から同じく切り換えポイント96に通じている。図27a)に示した位置では、切り換えポイント96は、流体接続を管路6.1と供給管路6との間に形成している。切り換えポイント96は、流体接続を管路6.2と供給管路6との間に形成する位置へ移行される。
【0259】
図27b)に示した構成では、受容装置100は、切り換えポイント96の代わりにY字部材97を有している。このY字部材97の両分枝は、両管路6.1および6.2に接続されている。Y字部材97の主枝は、供給管路6に接続されている。Y字部材97のおかげで、両医療用の機器1および1.1は、同時に本発明に係る受容装置100に接続されている。
【0260】
これまで説明してきた構成では、受容装置100は、壁W内に設けられた1つの定置の流体受容部7に接続されている。図28は、受容装置100が選択的にまたは同時にも定置の流体受容部7または別の定置の流体受容部7.1に接続されているか、または接続可能である2つの代替的な構成を示している。
【0261】
図28a)に示した構成では、切り換えポイント98が、導出管路8を選択的に管路8.1または管路8.2に接続する。管路8.1は、流体受容部7に通じ、管路8.2は、別の流体受容部7.1に通じている。図28a)に示した位置では、フィルタユニット4は、管路8および8.1を介して流体受容部7に接続されている。
【0262】
図28b)に示した構成では、Y字部材99の両分枝が、両管路8.1および8.2に接続されている。Y字部材99の主枝は、導出管路8に接続されている。これによりフィルタユニット4は、同時に両流体受容部7および7.1に流体接続されている。本構成のおかげで、一方の定置の流体受容部7,7.1が故障しているか、あるいは単独では吐出されたガスの全量を受容することができないときも、ガスは受容される。
【符号の説明】
【0263】
1 麻酔剤気化器2と、混合器29と、石灰フィルタ3と、ベンチレータユニット5とを有する麻酔器
2 麻酔器1内に設けられ、麻酔剤タンク49を有する麻酔剤気化器
3 吐き出された空気からCOをろ過する石灰フィルタ
4 ポット13、カートリッジ20およびカートリッジ20内に設けられた活性炭フィルタ11を有し、供給管路6および導出管路8に接続される、麻酔器1により放出されたガスから麻酔剤をろ過するフィルタユニット
5 呼吸回路内のガスを動かす麻酔器1のベンチレータユニット
6 麻酔器1からフィルタユニット4に通じる供給管路
6.1,6.2 切り換えポイント96またはY字部材97を医療用の機器1および1.1に接続する管路
7 壁Wに受容され、導出管路8を介してフィルタユニット4に接続される病院インフラストラクチャの定置のガス受容部
7.1 壁Wに受容された別の定置のガス受容部
8 フィルタユニット4からガス受容部7に通じる導出管路
8.1,8.2 切り換えポイント98またはY字部材99をガス受容部7および7.1に接続する管路
9 導出管路8内に設けられた体積流センサ
10 導出管路8にまたは流体受容部7内に設けられ、導出管路8に流体接続されている吸引ポンプ
11 フィルタエレメントとして機能し、カートリッジ20により包囲される、フィルタユニット4の柱形の活性炭フィルタ
11.1,11.2 受容ユニット71内に設けられた柱形のフィルタエレメント
12 環状に延び、ポット13の上側の縁部に支持されるカートリッジ20の突出部
13 供給管路6が導入されるとともに、導出管路8が導出され、フィルタ受容部として機能するポット
14 ポット供給管路16の下側の端部に配置され、カートリッジ20が装入されたときに入口開口25にオーバラップするポット供給管路16の流出開口
14.1 流出開口14の下方に配置され、フィルタ11,20が装入されていないときにバッファアキュムレータ19に流体接続されているポット供給管路16のバッファアキュムレータ流出開口
15 活性炭フィルタ11の状態を測定する測定フィーラ
16 供給管路6の流体密な延長部をなし、ガスを供給管路6からポット13の底部44に導き、流出開口14において終端している、ポット13の内部に設けられたポット供給管路
17 活性炭フィルタ11のための消耗表示器
18 測定フィーラ15から消耗表示器17に至る信号線路
19 ポット13とカートリッジ20との間の中間室の形態のバッファアキュムレータ
20 活性炭フィルタ11を包囲し、環状に延びる突出部12を有し、データ記憶媒体92を担持する柱形のカートリッジ
20.1,20.2 フィルタエレメント11.1,11.2のための柱形のカートリッジ
21 ポット13内に設けられ、周囲に接続された開口
22.1 ポット13内に設けられ、供給管路6が終端している開口
22.2 ポット13内に設けられ、導出管路8が始端している開口
23 開口24を有する蛇行した管の形態のバッファアキュムレータ
24 周囲との接続を形成するバッファアキュムレータ23の開口
25 カートリッジ20の底部39または蓋42の近傍に設けられ、フィルタ11,20が装入されているときに流出開口14にオーバラップする入口開口
26 入口開口25に連通されているバッファアキュムレータ23の開口
27 患者Pに呼吸空気を供給する吸気ガス管路
28 患者Pが吐き出した呼吸空気を吸出する呼気ガス管路
29 麻酔剤のためのキャリアガスを生成する麻酔器1の混合器
30 カートリッジ20の蓋42内に設けられた入口開口
31 ポット13の底部44の近傍で弾発支持され、ポットをフィルタ中空室37とバッファアキュムレータ中空室36とに分割するプレート
32 ポット13の内部に設けられ、ガスをポット13の底部44から導出管路8内に導くポット導出管路
33 ポット13の底部44に支持されて、プレート31を底部44から離間方向に押し上げるように努めるばね要素
34 カートリッジ20の底部39の近傍に設けられ、フィルタ11,20が装入されているときに流入開口35にオーバラップする出口開口
35 フィルタ11,20が装入されているときに出口開口34に流体接続されているポット導出管路32の流入開口
35.1 フィルタ11,20が取り出されたときにバッファアキュムレータ19に流体接続されているポット導出管路32のバッファアキュムレータ流入開口
36 ポット13の下側の領域に設けられ、プレート31、ポット13の底部44および壁により形成され、バッファアキュムレータに属し、プレート31によりフィルタ中空室37から仕切られたバッファアキュムレータ中空室
37 ポット13の上側の領域に設けられ、フィルタ11,20を受容することができ、プレート31によりバッファアキュムレータ中空室36から仕切られたフィルタ中空室
38 フィルタ11,20の内部に設けられ、上昇領域Auを下降領域Abから仕切る鉛直の仕切り壁
39 カートリッジ20の底部
40 ガスがポット供給管路16からカートリッジ20の周囲をポット導出管路32へと流れてしまうことを防止する下側のシール要素
41 ポット13の上側の縁部と、カートリッジ20の環状に延びる縁部12との間に設けられた上側のシール要素
42 カートリッジ20の蓋
43 カートリッジ20の側面
44 ポット13の底部
45 下側のシール要素40のための保持要素
47 ポット13内に設けられ、フィルタ11,20が装入されているか否かを確認するフィルタセンサ
48 ポット13の内部に設けられ、プレート31に結合されているスライダ
49 麻酔剤気化器2の麻酔剤タンク
50 供給管路6内に設けられた正圧弁
50.1 弁プレート51と弁クレータ52とを有する正圧弁50の実現形態
50.2 弁プレート51と弁クレータ52と圧縮ばね55とを有する正圧弁50の実現形態
50.3 弁プレート51と弁ボール56とを有する正圧弁50の実現形態
50.4 弁クレータ52と弁フラップ57とを有する正圧弁50の実現形態
50.5 液体59を含んだU字形の管58を有する正圧弁50の実現形態
50.6 圧力センサ60と、動作制御可能な切り換え弁61とを有する正圧弁50の実現形態
50.7 弁クレータ52とダックビル62とを有する正圧弁50の実現形態
51 弁クレータ52上に載置される正圧弁50の弁プレート
52 正圧弁50の弁クレータ
53 ポット13内でフィルタユニット4とバッファアキュムレータ19との間に設けられた仕切り壁
54 フィルタユニット4と仕切り壁53との間に設けられた空間
55 弁プレート51を押し上げるように努める圧縮ばね
56 弁クレータ52上に載置される弁ボール
57 回転可能に弁クレータ52に結合される弁フラップ
58 液体59が内部に存在するU字形の管
59 管58内の液体
60 動作制御可能な切り換え弁61に至る供給管路内に設けられた圧力センサ
61 動作制御可能な切り換え弁
62 弁クレータ72上に載置されたダックビル
64 正圧弁50を導出管路8に接続するホース
65 導出管路8内に設けられ、ガスが流体受容部7から導出管路8を通して麻酔器1に逆流してしまうことを防止するチェック弁
70 供給管路6に設けられた弾性のバッファアキュムレータ
71 タレット式受容部として構成されており、軸73を中心として回転可能である両フィルタ11.1,20.1および11.2,20.2のための受容ユニット
72 軸73を中心として受容ユニット71を回転させることができるモータ
73 回転可能にポット13に結合された受容ユニット71の回転軸
80 ポット13に設けられた負圧弁
89 麻酔剤タンク49内の目下の充填レベルの度合いを測定する充填レベルセンサ
90 麻酔器1が供給管路6内に吐出するガスの体積流を測定する麻酔器1の体積流センサ
91 麻酔剤気化器2において調整されたまたは麻酔剤気化器2が実際に達成した麻酔剤の濃度を測定する濃度センサ
92 フィルタエレメント11が受容することができる麻酔剤の最大の量についての情報が記憶されており、一構成においてカートリッジ20に設けられたRFIDチップまたはバーコードであるフィルタ11,20のデータ記憶媒体
93 体積流センサ90および濃度センサ91から測定値を入手し、データ記憶媒体92から最大の量についての情報を入手し、フィルタエレメント11がこれまで受容した麻酔剤の量を求め、これまで受容した量を最大の量と比較する麻酔剤量定器
96 供給管路6を選択的に管路6.1または管路6.2に接続する切り換えポイント
97 管路6.1および6.2を供給管路6に接続するY字部材
98 導出管路8を選択的に管路8.1または管路8.2に接続する切り換えポイント
99 管路8.1および8.2を導出管路8に接続するY字部材
100 フィルタユニット4と、供給管路6と、導出管路8と、体積流センサ9と、吸引ポンプ10とを備える受容装置
Ab フィルタ11,20内に設けられ、その内部ではガスがカートリッジ20内を下方に底部39に向かって下降する下降領域
Au フィルタ11,20内に設けられ、その内部ではガスがカートリッジ20内を上方に蓋42に向かって上昇する上昇領域
P 麻酔器1に繋がれており、少なくとも1種類の麻酔剤を吸い込む患者
W 定置のガス受容部7を受容する壁
図1
図2
図3
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