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特許7234299自動車用の走行用バッテリーシステム及び電気駆動装置を有する自動車
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  • 特許-自動車用の走行用バッテリーシステム及び電気駆動装置を有する自動車 図1
  • 特許-自動車用の走行用バッテリーシステム及び電気駆動装置を有する自動車 図2
  • 特許-自動車用の走行用バッテリーシステム及び電気駆動装置を有する自動車 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】自動車用の走行用バッテリーシステム及び電気駆動装置を有する自動車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230228BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B60K1/04
B62D25/20 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021107494
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2022014897
(43)【公開日】2022-01-20
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 117 832.8
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ケルナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー フォルクマー
(72)【発明者】
【氏名】マックス フォルク
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ ブランディク
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-127747(JP,A)
【文献】特開2012-91636(JP,A)
【文献】特開2018-52209(JP,A)
【文献】特開平11-180169(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017762(WO,A1)
【文献】特開2019-51886(JP,A)
【文献】特開2019-155993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気で動くことができる自動車の走行用バッテリーシステムであって、前記走行用バッテリーシステム(1)の走行用バッテリー(7)であって、床下バッテリーの形態で構成される走行用バッテリー(7)は、少なくとも1つの第1のバッテリーモジュール(8)及び1つの第2のバッテリーモジュール(9)を有し、前記走行用バッテリーシステム(1)は、前記バッテリーモジュール(8、9)を動作させるように設計されたバッテリー補助モジュール(13)を含み、前記バッテリーモジュール(8、9)、及び、補助モジュールハウジング(26)を有する前記バッテリー補助モジュール(13)は、前記自動車(2)の車体(3)の車体縦軸(X)の方向において互いに対して直列に配置されており、且つ前記車体(3)の第1の台枠(4)と第2の台枠(5)との間に配置されることがある、走行用バッテリーシステムにおいて、
前記バッテリー補助モジュール(13)は、前記車体(3)の側面要素(4、5、11)に作用する力を伝達するための荷重伝達要素(18)を有し、この荷重伝達要素は、前記車体(3)の車体横軸(Y)の方向に前記第1の台枠(4)から前記第2の台枠(5)まで延びるように設計されており、
前記荷重伝達要素(18)は、前記補助モジュールハウジング(26)上に形成された接続ポイント(22)の助けを借りて、前記車体(3)に固定できることを特徴とする、走行用バッテリーシステム。
【請求項2】
前記バッテリー補助モジュール(13)は、バッテリー管理システム(14)及び統合電力システム(15)から形成され、前記補助モジュールハウジング(26)は、前記バッテリー管理システム(14)のバッテリー管理システムハウジング(16)及び前記統合電力システム(15)の電力システムハウジング(17)から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項3】
前記バッテリーモジュール(8、9)は、前記側面要素(4、5、11)にはたらく力の一部に耐えるように設計されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項4】
前記荷重伝達要素(18)は、特にネジ接続の形態をした、嵌め込み式ではない接続の助けを借りて、前記補助モジュールハウジング(26)に接続されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項5】
前記荷重伝達要素(18)は、前記補助モジュールハウジング(26)のカバー(19、20)であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項6】
前記荷重伝達要素(18)は、押し出し成形品であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項7】
前記荷重伝達要素(18)は冷却ダクト(24)を有することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項8】
前記補助モジュールハウジング(26)のカバー(19、20)は、嵌め込み式ではない接続、特にネジ接続、の助けを借りて、前記補助モジュールハウジング(26)のフレーム(21)に接続されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項9】
前記補助モジュールハウジング(26)のカバー(19、20)はプラスチック製品であり、且つ/又は、前記補助モジュールハウジング(26)のフレーム(21)は、鋳造又は鍛造部品であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の走行用バッテリーシステム。
【請求項10】
電気駆動装置を有する自動車であって、走行用バッテリーシステム(1)が、前記自動車(2)の車体(3)の第1の台枠(4)と第2の台枠(5)との間に配置され、前記走行用バッテリーシステム(1)は、請求項1~の何れか一項に記載のように設計される、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前提部(プリアンブル)に記載するような、自動車用の走行用バッテリーシステムに関する。本発明は更に、特許請求項12に記載するような、電気駆動装置を有する自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の走行用バッテリーシステムが知られている。前述の走行用バッテリーシステムは、電気駆動するように、又はハイブリッド駆動装置の形態で部分的に駆動するように設計された複数のバッテリーセルを有する多数のバッテリーモジュールである。複数のバッテリーセルが束ねられて1つのバッテリーモジュールが形成され、複数のバッテリーモジュールが、走行用バッテリーのバッテリーハウジング内に収容される。走行用バッテリーシステムは、自動車の車体の収容スペース内に収容される。
【0003】
(特許文献1)は、自動車用の走行用バッテリーシステムについて開示しており、その走行用バッテリーシステムのバッテリーモジュール並びに関連部品、例えば、冷却装置、電気トランスデューサ、交流及び直流コンバータなどが、自動車の車体に取り付けることができる支持フレーム内に収容される。
【0004】
(特許文献2)は、走行用バッテリーシステムを有する自動車について開示しており、そこでは、走行用バッテリーは、床下バッテリーの形態で設計されており、自動車の車体は、走行用バッテリーシステムの制御ユニットが収容される中央トンネルを有する。
【0005】
(特許文献3)は、自動車用の走行用バッテリーシステムについて開示しており、その走行用バッテリーシステムのバッテリーモジュールは、側面衝撃荷重に対して高い剛性を有する締結構造の中に収容され、互いに隣り合わせに配置されるバッテリーモジュールの間には、荷重伝達要素が設けられる。
【0006】
(特許文献4)には、自動車用の走行用バッテリーシステムが記載されており、この走行用バッテリーシステムのバッテリーモジュールはバッテリーハウジング内に収容され、バッテリーハウジングの内側には、衝突時に変形するための少なくとも1つの変形要素が配置されている。
【0007】
床下バッテリーの形態で構成される走行用バッテリーを備える走行用バッテリーシステムは、通常、自動車の車体の中央領域において車体の2つの側面の間にバッテリーモジュールを有しており、この中央領域とは、一般的に、乗員室である。走行用バッテリーを動作させるように設計されたバッテリー補助システムが、短い連結経路を実現するために、走行用バッテリーの隣、従って、通常、車体の2つの台枠の間に位置する車体の中央領域に、同様に配置される。バッテリー補助システムは、車体の横軸の方向における長さの点で、通常はバッテリーモジュールよりも短く、この理由により、例えば、所謂衝突が起きた際に、側面にはたらく力を伝達するのには適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第10 2011 109 024A1号明細書
【文献】日本特許第3070353B2号公報
【文献】独国特許出願公開第10 2017 206 852A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2017 211 365A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、特に、側面から加えられる力に関して、改善された態様で守られる、自動車用の走行用バッテリーシステムを規定することである。更なる目的は、電気駆動装置を備える、側面において加えられる力に関して改善された態様で守られる、自動車を規定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明によれば、特許請求項1の特徴を有する自動車用の走行用バッテリーシステムによって達成され、更なる目的は、本発明によれば、特許請求項12の特徴によって達成される。本発明の適切で自明ではない発展形態と共に有利な改善形態が、それぞれの従属請求項において規定される。
【0011】
電気で動くことができる自動車の本発明による走行用バッテリーシステムは、少なくとも1つの第1のバッテリーモジュール及び1つの第2のバッテリーモジュールを有する走行用バッテリーシステムの走行用バッテリーを有し、この走行用バッテリーは、床下バッテリーの形態で設計される。走行用バッテリーシステムは、バッテリーモジュールを動作させるように設計されたバッテリー補助モジュールを更に含み、バッテリーモジュール及びバッテリー補助モジュールは、自動車の車体の縦軸の方向に、互いに対して直列に配置され、車体の第1の台枠と第2の台枠との間に配置されることがある。本発明によれば、バッテリー補助モジュールは、車体の側面要素に作用する衝撃力を伝達するための荷重伝達要素を有し、この荷重伝達要素は、車体の横軸の方向に第1の台枠から第2の台枠まで延びるように、設計されている。即ち、言い換えると、荷重伝達要素は、力を伝えるための一方の台枠から他方の台枠への荷重経路を形成し、その結果として、側面の方向からの力の作用に対するバッテリー補助モジュールの保護が改善される。
【0012】
バッテリー補助モジュールが、互いに別々に形成される2つのコンポーネント、即ち、バッテリー管理システムと、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、及び/又は温度制御システムのヒーター、を有する統合電力システムと、から構成され、従って、補助モジュールハウジングが、バッテリー管理システムのバッテリー管理システムハウジング及び統合電力システムの電力システムハウジングから形成される場合、荷重伝達システムの主な利点は、別々のコンポーネントであるにも関わらず、車体横軸の方向に連続的な荷重経路がもたらされることである。
【0013】
従って、これら2つのシステム、即ちバッテリー管理システム及び「統合電力ボックス」とも呼ばれる統合電力システムは、有利にも、設置スペースの点で最適化された態様で、固定されたとぎれのない荷重経路を伴って、配置されることがある。互いに別々に設計されたシステムの利点は、特に、対応システムの当該分野をそれぞれ専門とする異なる供給元からの異なるシステムを用意できることであり、その結果、高品質のシステムを使用することができ、その結果、保証及び信用に係るコストを低く保つことができる。
【0014】
同様に、走行用システムの安全性を高めるために耐荷重バッテリーモジュールを使用することが有利である。
【0015】
原則的には、好ましくはネジ接続の形態をした、嵌め込み式ではない接続が、荷重伝達要素をバッテリー補助モジュールに、ワンピースの形態又はツーピースの形態で、しっかりと固定するのに適しており、固定する目的のために特に提供される接続ポイントが、バッテリー補助モジュールに、特に補助モジュールのハウジングに、設けられる。
【0016】
補助モジュールハウジング、又はバッテリー管理システムハウジング及び電力システムハウジングの2つの部分からなるハウジングは、好ましくは漏れのない設計の密封容器を形成するための第1のカバー及び第2のカバーを有するフレームから構成されることが好ましい。これらのカバーをフレームにしっかりと固定するために、好ましくはネジ接続の形態をした、嵌め込み式ではない接続を使用することができる。荷重伝達要素をカバーのうちの少なくとも一方に固定することを背景として、これも同様に、ネジ接続の助けを借りて行われることが好ましい、というのも、確実で安定した接続が、ネジ接続を用いて実現できるからである。
【0017】
本発明による走行用バッテリーシステムの一改良形態では、荷重伝達要素は、補助モジュールハウジングのカバーである。即ち、言い換えると、荷重伝達要素は、フレームに面するように設計された面により、補助モジュールハウジングを確実で漏れのない態様で覆うように構成されている。従って、漏れのないハウジング、特に防湿のハウジングを、費用対効果の高い態様で生成することができる、というのも、追加のカバーが不要になるからである。
【0018】
更に費用対効果の高い態様では、荷重伝達要素は、押し出し成形で製造される。この製造方法を使用すると、荷重伝達要素が冷却ダクトを有するように設計される、走行用バッテリーシステムの好ましい改良形態も、費用対効果の高い態様で実現することができる。荷重伝達要素内に形成される冷却ダクトの助けを借りると、荷重伝達要素を、バッテリー補助モジュールを冷却するための冷却要素として使用することができる。更に、その結果、荷重伝達要素は、冷却ダクト、又は好ましくは複数の冷却ダクトのおかげで、安定化した断面を有する。
【0019】
荷重伝達要素を補助モジュールハウジングのカバーとして使用しないならば、プラスチックからカバーを製造することにより、このカバーを費用対効果の高い態様で且つ軽量に提供することができる。フレームは、鋳造又は鍛造部品の形態で、費用対効果が高く且つ安定した態様で製造される。
【0020】
従って、結果的に全体として、設置スペースの点で最適化され、重量の点で効率的な態様で、走行用バッテリーシステムに荷重伝達要素が統合される。
【0021】
本発明の第2の態様は、電気駆動装置を有する自動車を提供することであり、この自動車は、例えば所謂衝突事故時など、側面に過剰な力が加えられた場合に、改善した態様で守られ、走行用バッテリーシステムは、自動車の車体の第1の台枠と第2の台枠との間に配置される。本発明によれば、走行用バッテリーシステムは、この目的のために、請求項1~11の何れか一項に記載されるように、設計される。
【0022】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細が、好ましい例示的な実施形態についての以下の説明及び図面を参照することで、分かる。上記の説明で挙げられた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに、以下の図の説明で挙げられるか且つ/又は図単独で示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ示された組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせ又は単独で使用することもできる。同一であるか又は同じ機能を有する要素には、同一の参照符号が割り当てられている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】自動車用の本発明による走行用バッテリーシステムの基本的な図を示す。
図2】荷重伝達要素の領域での、図1による走行用バッテリーシステムの詳細の斜視図を示す。
図3】走行用バッテリーシステムの荷重伝達要素を通る縦方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、自動車2用の本発明による走行用バッテリーシステム1の基本的な図を示しており、走行用バッテリーシステム1は、自動車2の電気駆動装置である。自動車2は、第1の台枠4及び第2の台枠5を備える車体3を有しており、これらの台枠は、車体3のシェル6の側面要素である。車体3の軸の範囲の方向を示す直交座標系、車体縦軸X、車体横軸Y、及び車体垂直軸Zが、本発明の理解を深めるために、描かれている。
【0025】
車体3は、走行用バッテリーシステム1を収容するように設計されており、シェル6は、走行用バッテリーシステム1を固定するように構成されている。走行用バッテリーシステム1の走行用バッテリー7は、床下バッテリーの形態で構成され、少なくとも2つのバッテリーモジュール、この例示的な実施形態では第1のバッテリーモジュール8及び第2のバッテリーモジュール9を含み、これらのバッテリーモジュールはそれぞれ、詳細は図示しないが複数のバッテリーセルを有し、これらの複数のバッテリーセルは、バッテリーモジュール8、9のバッテリーモジュールハウジング10内にそれぞれ収容される。バッテリーモジュール8、9は通常、同一の構造のものである。
【0026】
バッテリーモジュール8、9は、車体縦軸Xの方向に直列に、2つの台枠4と5との間に配置され、所謂耐荷重バッテリーモジュール8、9として設計される。自動車2は、専ら電気で動作する、従って、バッテリーで動作する車両であり得るが、走行用バッテリーシステム1は、詳細は図示しないが、更なる駆動装置、例えば内燃エンジンなどを支援するように設計されることもあり、従ってこの場合、自動車2は、部分的に電気で動作する自動車2の形態で設計される。
【0027】
バッテリーモジュール8、9はシェル6に固定される。それらのモジュールは、台枠4、5が側面11の構成部品であり、例えば、側面11に対する衝撃又は衝突の結果として、車体3の側面11に力がはたらいた場合に、そのはたらいた力が、部分的に、とりわけ大部分が、バッテリーモジュールハウジング10によって吸収されるように、固定される。
【0028】
補助モジュールハウジング26を有するバッテリー補助モジュール13が、車体3の収容スペース12に更に収容され、このバッテリー補助モジュールは、この例示的な実施形態ではバッテリー管理システム14及び統合電力システム15を含み、バッテリー管理システム14はバッテリー管理システムハウジング16を有し、統合電力システム15は電力システムハウジング17を有し、その収容スペース12は、バッテリーモジュール8、9を収容する。即ち、言い換えると、この例示的な実施形態では、補助モジュールハウジング26は、バッテリー管理システムハウジング16と、バッテリー管理システムハウジング16とは別個に形成された電力システムハウジング17と、を含む。同様に、バッテリー補助モジュール13は、バッテリー管理システム14のみ、又は統合電力システム15のみから構成されることがある。
【0029】
BMCeとも呼ばれるバッテリー管理システム14は、温度及び電圧監視装置、接触器、並びに熱作用ヒューズを有する。統合電力システム15は、充電器、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータ、及びバッテリー温度制御回路のヒーターを含む。
【0030】
バッテリー管理システム14及び統合電力システム15は、車体横軸Yの方向に互いに隣り合わせて、且つ車体縦軸Xの方向においてバッテリーモジュール8、9に対して直列に、従って、この例示的な実施形態では第2のバッテリーモジュール9の向かい合わせに配置され、この場合、それらのシステムは、進行方向(矢印を参照)においてバッテリーモジュール8、9の後ろに配置される。従って、バッテリーモジュール8、9と同様に、それらのシステムは側面11に対する力の作用の荷重経路内にあり、従って、同様に、衝撃又は衝突時に側面11にはたらく力の一部に耐えなければならない。
【0031】
2つのハウジング16、17は、媒体を通さない、特に水密の設計のものであり、ハウジング16、17は、設置スペースの点で最適化された態様で、車体横軸Yの方向に、互いに別個に設計される。第1の台枠4から第2の台枠5までの及びその逆の荷重経路を生成するために、2つの台枠4と5との接続を実現する荷重伝達要素18が形成され、ハウジング16、17と共にこの荷重伝達要素18の助けを借りて、電磁シールドが形成される。荷重伝達要素18は、圧力が加わった際に側面11にはたらく力の大部分、とりわけ殆どの部分を吸収するように、設計される。2つのハウジング16、17は、とりわけ車体横軸Yの方向でのねじれに対して、荷重伝達要素18を安定化させるように設計される。
【0032】
荷重伝達要素18を有するバッテリー補助モジュール13は、走行用バッテリーシステム1の事前組立体の形態で設計され、ハウジング16、17は、荷重伝達要素18を固定するための接続ポイント22を有する。荷重伝達要素18とハウジング16、17との接続は、嵌め込み式ではない接続の形態で、好ましくはネジ接続の形態で実現されることが好ましい。接続ポイント22は、ハウジング16、17をバッテリーフレーム又はシェル6にネジ留めするようにはたらく。
【0033】
図2は、バッテリー管理システム14及び統合電力システム15を有するバッテリー補助モジュール13を詳細に示す。バッテリー管理システムハウジング16及び電力システムハウジング17はそれぞれ矩形をしており、好ましくはアルミニウムから製造される、特にアルミニウム鋳物の形態をしたフレーム21が、好ましくはプラスチックから製造される第1のカバー19と第2のカバー20との間に形成される。同様に、フレームは、鍛造部品の形態で製造されることもある。カバー19、20とフレーム21との接続は、嵌め込み式ではない接続を使用して、好ましくはネジ接続の形態で形成されることが好ましい。
【0034】
フレーム21は、開口部の形態をした接続ポイント22を有し、この開口部は、例えば、ハウジング16、17をシェル6又はバッテリーフレームに接続するためのネジを受け取るように設計されている。カバー19、20、とりわけ車体垂直軸Zの方向において上部に位置するように配置された第1のカバー19は、高電圧コンポーネント25を有する。
【0035】
荷重伝達要素18は、好ましくはネジ接続によって、カバー19、20に直接的に接続されることがある。同様に、第1の台枠4から第2の台枠5まで連続的に延びるように設計された荷重伝達要素18が、カバー19、20を置き換えるように設計されることがある。この例示的な実施形態では、これは、例えば、2つのハウジング16、17の上部に位置する第1のカバー19が、上部に位置するように配置された荷重伝達要素18によって置き換えられることを意味する。ここでは、フレーム21に面するように設計された要素面23を漏れのない設計で、実装することがある。
【0036】
この例示的な実施形態では、2つの荷重伝達要素18が設けられている。荷重伝達要素18は、カバー19、20の真上及び真下に取り付けられ、その結果、点検作業のために、ハウジング16、17を接続ポイント22からはずす必要なく、荷重伝達要素18及び隣接して配置されたカバー19、20を取り外すことができ、従って、ハウジング16、17の内部に配置されたバッテリー補助モジュール13のコンポーネント25への直接アクセスが可能になる。
【0037】
図3は、好ましくは押し出し成形された荷重伝達要素18の断面を示しており、この荷重伝達要素18は、力の吸収機能に加えて、バッテリーモジュール4、5の温度を制御するための冷却機能を有しており、この目的のために、媒体が中を流れることができる冷却ダクト24を有している。
【符号の説明】
【0038】
1 走行用バッテリーシステム
2 自動車
3 車体
4 第1の台枠
5 第2の台枠
7 走行用バッテリー
8 第1のバッテリーモジュール
9 第2のバッテリーモジュール
11 側面要素
13 バッテリー補助モジュール
14 バッテリー管理システム
15 統合電力システム
16 バッテリー管理システムハウジング
17 電力システムハウジング
18 荷重伝達要素
19 カバー
20 カバー
21 フレーム
22 接続ポイント
24 冷却ダクト
26 補助モジュールハウジング
図1
図2
図3