(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】マイクロ波エネルギー送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A61B18/18 100
(21)【出願番号】P 2021131123
(22)【出願日】2021-08-11
(62)【分割の表示】P 2020119038の分割
【原出願日】2011-05-03
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2010-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512023166
【氏名又は名称】ニューウェーブ メディカル,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NEUWAVE MEDICAL,INC.
【住所又は居所原語表記】3529 Anderson Street,Madison,Wisconsin 53704,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ヴァイデ,ダニエル ウォレン
(72)【発明者】
【氏名】リー,フレッド ティー.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ブレース,クリストファー リー
(72)【発明者】
【氏名】シェフェルカー,リチャード ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ローラ キング
(72)【発明者】
【氏名】マーク ソム
(72)【発明者】
【氏名】マシュー シエル
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-207898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0033424(US,A1)
【文献】特表2007-532024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0147056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端とを備えているマイクロ波エネルギー送達デバイスであって、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、近位端および遠位端を有する内部導体、近位端および遠位端を有する外部導体、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの長手方向に対する垂直方向において上記内部導体と上記外部導体との間に位置する冷却剤管、及び、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端に位置するスタイレット先端を備えており、
上記内部導体の上記遠位端は、上記スタイレット先端の近傍に位置し、上記内部導体は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しており、
上記外部導体の上記遠位端は、上記内部導体の上記遠位端よりも近位側に位置しており、上記外部導体は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しておらず、
上記冷却剤管の遠位端は、上記外部導体の上記遠位端の近傍に位置しており、上記冷却剤管は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しておらず、
上記冷却剤管内を遠位方向に流れる冷却剤は、上記冷却剤管の上記遠位端における開口から流出し、上記内部導体および上記外部導体間に形成されたチャネル内を近位方向に流れ、上記冷却剤管から流出した上記冷却剤は、上記スタイレット先端の近傍には流れ
ず、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記長手方向に対する上記垂直方向において、上記内部導体と上記外部導体との間に位置する誘電体材料が更に備えられ、
上記誘電体材料は、円筒状の内部部材、円筒状の外部部材、及び、上記内部部材および上記外部部材に連結されている複数の連結部材を備え、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記長手方向に対する上記垂直方向において、上記外部部材の直径は上記内部部材の直径よりも大きく、上記複数の連結部材は上記内部部材から上記外部部材まで放射状に延在しており、上記内部導体は上記内部部材の内側に位置し、上記外部部材は上記外部導体の内側に位置し、
複数のチャネルが、上記外部部材、上記内部部材、及び、上記複数の連結部材により画定され、複数の冷却剤管の各々が上記複数のチャネルの各々の中に配置されており、
上記冷却剤が上記近位方向に流れるための戻り管は上記複数のチャネルの各々の中に設けられておらず、上記複数の冷却剤管の各々の遠位端における開口から流出した上記冷却剤は、上記複数のチャネルの各々における、上記複数の冷却剤管の各々の外側の領域を通って、上記近位方向に流れるようになっている、ことを特徴とするマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項2】
上記スタイレット先端は、切断トロカールである、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項3】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記長手方向において、上記外部導体の上記遠位端および上記スタイレット先端間に、非金属性充填剤が備えられている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項4】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスには電力定格が設けられており、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは上記電力定格を超えるエネルギーを送達することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項5】
上記冷却剤がCO
2であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項6】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、望ましくない加熱を伴わずに、ヒト被験者の末梢肺の治療部位にアブレーションエネルギーを送達することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項7】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、ヒト被験者の口腔から、上記ヒト被験者の気管を通して、
上記ヒト被験者の末梢肺まで延在するのに十分な長さであることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項8】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの直径は2mm以下であり、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは可撓性であることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項9】
上記内部導体の上記遠位端は、導電性接着剤により、上記スタイレット先端に固定されている、ことを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【請求項10】
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは温度センサを備えていることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、参照によりその全体が組み込まれる、2010年5月3日に出願された米国特許仮出願第61/330,800号に対する優先権を主張する。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、医学的手技(例えば、組織のアブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、心不整脈および律動異常の治療、電気外科術、組織採取等)を含む様々な応用のためにエネルギーを組織に送達するための包括的なシステム、デバイス、および方法に関する。ある実施形態において、エネルギーをアクセス困難な組織領域(例えば、末梢肺組織)に送達するための、および/またはエネルギー送達中に放出される望ましくない熱量を低減するための、システム、デバイス、および方法が提供される。
【0003】
〔背景技術〕
アブレーションは、ある種の組織(例えば良性および悪性腫瘍、心不整脈、心律動異常、ならびに頻脈)を治療するための重要な治療方策である。大部分の認可されたアブレーションシステムは、アブレーションエネルギー源として無線周波数(RF)エネルギーを利用している。故に現在、医師は、種々のRFに基づくカテーテルおよび電源を利用することができる。しかしながら、RFエネルギーは、エネルギーの迅速な散逸により浅い「火傷」を生じること、またより深い腫瘍または不整脈性組織にアクセスできないことを含む、いくつかの制限を有する。RFアブレーションシステムの別の制限は、さらなる電気エネルギーの付与を制限する焼痂および凝血塊をエネルギー放射電極上に形成する傾向があることである。
【0004】
マイクロ波エネルギーは、生物学的組織を加熱するための有効なエネルギー源であり、例えば癌治療および輸血前に血液を予熱する等の応用において使用される。故に、従来のアブレーション手法の欠点を考慮して、近年、アブレーションエネルギー源としてマイクロ波エネルギーを使用することに大きな関心が寄せられている。RFを超えるマイクロ波エネルギーの利点は、組織へのより深い浸透、炭化に対する非感受性、接地の必要性がないこと、より信頼性のあるエネルギー付与、より速い組織の加熱、およびRFよりも大きい熱焼灼部を生成する能力であり、それらにより実際のアブレーション手技が大幅に単純化される。故に、アブレーションエネルギー源としてマイクロ波周波数範囲の電磁エネルギーを利用する、数多くのデバイスが開発されている(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,641,649号、第5,246,438号、第5,405,346号、第5,314,466号、第5,800,494号、第5,957,969号、第6,471,696号、第6,878,147号、および第6,962,586号を参照されたい)。
【0005】
残念なことに、現在のデバイスは、それらがエネルギーを送達することが可能である身体の領域に関して、サイズおよび適応性が限定される。例えば、肺では気管支樹の空気経路が、それらが肺の末梢部へと深さを増しながら分岐するにつれて、漸進的により狭くなる。そのような到達困難な領域へのエネルギー送達デバイスの正確な配置は、現在のデバイスでは実現できない。到達困難な組織領域にエネルギーを送達するための改善されたシステムおよびデバイスが必要である。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、医学的手技(例えば、組織のアブレーション、切除、焼灼、血管血栓症、心臓不整脈および律動異常の治療、電気外科術、組織採取等)を含む、様々な応用に関する、エネルギーを組織に送達するためのシステム、デバイス、および方法に関する。ある実施形態では、エネルギーの印加を通して組織領域(例えば、腫瘍)を治療するための、システム、デバイス、および方法が提供される。いくつかの実施形態では、エネルギー送達デバイスを到達困難な組織領域にアクセスさせるための、システム、デバイス、および方法が提供される。いくつかの実施形態では、エネルギー伝送線に沿った熱放出を低減するための、システム、デバイス、および方法が提供される。
【0007】
本発明は、エネルギーを組織領域(例えば、腫瘍、管腔、臓器等)に送達するための構成要素を用いる、システム、デバイス、および方法を提供する。いくつかの実施形態において、本システムは、エネルギー送達デバイスと、プロセッサ、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、撮像システム、同調システム、温度調整システム、デバイス配置システムのうちの1つ以上とを備える。
【0008】
本発明は、特定の種類のエネルギー送達デバイスに限定されない。本発明は、本発明のシステムの任意の知られている、または将来開発されるエネルギー送達デバイスの使用を企図する。いくつかの実施形態では、既存の市販のエネルギー送達デバイスが利用される。他の実施形態では、最適化した特性(例えば、小型、最適化したエネルギー送達、最適化したインピーダンス、最適化した熱散逸等)を有する、改善されたエネルギー送達デバイスが使用される。いくつかのそのような実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を組織領域に送達するように構成される。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、最適化した特性インピーダンスでマイクロ波エネルギーを送達するために構成される(例えば、50~90Ω、例えば、50Ωを超える、...、55、56、57、58、59、60、61、62、...、90Ω、好ましくは、77Ω)(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/728,428号を参照されたい)。
【0009】
いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギー送達デバイスを到達困難な構造体、組織領域、および/または臓器(例えば、分岐構造(例えば、ヒトの肺))の中に配置するためのデバイス、システム、および方法を提供する。故に、いくつかの実施形態において、本発明は、多重カテーテルシステムまたはデバイスを提供し、該システムまたはデバイスは、内部管腔(一次管腔)を含む、一次カテーテルと、内部管腔(チャネル管腔)を含み、かつ一次管腔内に嵌合するように構成される、チャネルカテーテルまたはシースと、チャネル管腔内に嵌合するように構成される、1つ以上の挿入可能なツール(例えば、操縦可能なナビゲーションカテーテル、治療ツール(例えば、エネルギー送達デバイス、生検鉗子、針等)等))と、を備える。いくつかの実施形態において、本発明は、到達困難な組織領域(例えば、高度に分岐した組織(例えば、肺の末梢))にアクセスするための方法を提供し、該方法は、チャネルカテーテルが一次カテーテルの一次管腔内にある、操縦可能なナビゲーションカテーテルを、チャネルカテーテルのチャネル管腔内に提供することを含む。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、i)臨床医または操作者によって患者、臓器、管腔、および/または組織内の位置を操作することを可能にする、操縦可能な先端と、ii)患者、臓器、管腔、および/または組織を通して、操縦可能なナビゲーションカテーテルを追跡することを可能にする、位置センサと、を備える。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルの操縦可能な先端は、カテーテル先端を所望の移動方向に向けることによって機能する。いくつかの実施形態において、カテーテルの手動のまたは自動的な移動は、先端の方向に方向付けられる移動をもたらす。いくつかの実施形態において、一次カテーテル、チャネルカテーテル、および操縦可能なナビゲーションカテーテルは、患者内の組織領域(例えば気管支)の中に挿入され、一次カテーテル(例えば、気管支鏡)は、利用可能な空間のサイズ(例えば、管腔(例えば、気管支))および一次カテーテル(例えば、気管支鏡)が許容するサイズと同程度に組織領域の中に挿入される。いくつかの実施形態において、一次カテーテル、チャネルカテーテル、および操縦可能なナビゲーションカテーテルは、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよび/または一次カテーテル内の操縦機構の操縦可能な先端を介して、患者、臓器、管腔、および/または組織を通して移動する。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルは、一次カテーテルの端部を超えて延在して、より小さい、より深い、および/またはより到達困難な組織領域(例えば、末梢気管支、細気管支等)にアクセスする。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルは、操縦可能なナビゲーションカテーテルの操縦可能な先端を介して、患者、臓器、管腔、および/または組織を通して移動する。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルの位置は、操縦可能なナビゲーションカテーテルの位置センサを介して監視される。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルの遠位端は、患者、臓器、管腔、および/または組織(例えば、肺の末梢気管支、末梢肺結節等)の標的部位(例えば、治療部位)に配置される。いくつかの実施形態では、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルの遠位端の標的部位(例えば、治療部位)での適切な配置に応じて、チャネルカテーテル(例えば、チャネルカテーテルの遠位端)が、所定の位置に固定される。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルの遠位端は、当技術分野で理解されているように、任意の好適な安定化機構(例えば、ねじ、クリップ、翼等)を使用して、適切な場所に固定される。いくつかの実施形態では、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルの遠位端の標的部位(例えば、治療部位)での適切な配置に応じて、操縦可能なナビゲーションカテーテルが、チャネルカテーテルを通して、チャネルカテーテルの近位端から引き出される。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルの近位端から操縦可能なカテーテルを引き出すことは、チャネルカテーテルを、任意の好適な挿入可能なツール(例えば、治療ツール(例えば、エネルギー送達デバイス、生検デバイス等)等)とともに標的部位(例えば、治療部位)にアクセスするためのチャネルとして、所定の位置に残す。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルが除去され、適切に位置付けられて、固定されたチャネルカテーテルは、対象の体外から、挿入可能なツール(例えば、エネルギー送達デバイス、生検デバイス等)とともに標的部位(例えば、肺の末梢気管支)にアクセスするための、案内チャネルを備える。いくつかの実施形態において、1つ以上の挿入可能なツール(例えば、治療ツール(例えば、エネルギー送達デバイス、生検デバイス等)は、空のチャネルカテーテル(例えば、案内チャネル)を通して挿入され、挿入可能なツールの遠位先端が、標的部位(例えば、治療部位)に配置される。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイス(例えば、マイクロ波アブレーションデバイス)は、空のチャネルカテーテル(例えば、案内チャネル)を通して挿入され、エネルギー送達デバイスの遠位先端が、標的部位(例えば、治療部位)に配置される。いくつかの実施形態において、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)は、(例えば、標的部位で組織をアブレーションするために)エネルギーを送達するための挿入されたエネルギー送達デバイスを介して、チャネルカテーテルを通して標的部位に送達される。
【0010】
いくつかの実施形態において、本発明は、分岐構造を通してカテーテルを標的場所に操縦するための方法を提供し、該方法は、(a)カテーテルの遠位先端の近くに位置する位置検知要素を備え、該位置検知要素は、3次元基準系に対するカテーテル先端の位置および指示方向を測定するシステムの一部である、操縦可能なナビゲーションカテーテルを提供することと、(b)3次元基準系に対する標的場所を指定することと、(c)カテーテルを分岐構造の中へと前進させることと、(d)カテーテル先端の指示方向と、カテーテル先端から標的場所に向かう方向との間の幾何学的関係によって定義される、少なくとも1つのパラメータの表現を表示することと、を含む。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、チャネルカテーテルの管腔内に存在する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、前述した機構によってチャネルカテーテルの移動を方向付ける。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルは、一次カテーテル(例えば、気管支鏡)の管腔内に存在する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、前述した機構によってチャネルカテーテルおよび一次カテーテルの移動を方向付ける。いくつかの実施形態において、一次カテーテルは、操縦可能なナビゲーションカテーテルとは別の方向制御(操縦)機構を有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのパラメータの表現は、(例えば、操縦可能なナビゲーションカテーテルの位置および/または方向に関する情報をユーザに提供するために)(i)操縦可能なナビゲーションカテーテル先端の指示方向と、(ii)操縦可能なナビゲーションカテーテル先端から標的場所に向かう方向との間の幾何学的相関によって定義される、少なくとも1つのパラメータの表現が表示される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのパラメータは、操縦可能なナビゲーションカテーテル先端の指示方向と、操縦可能なナビゲーションカテーテル先端から標的場所に向かう方向との間の角度偏差を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのパラメータは、操縦可能なナビゲーションカテーテルの指示方向を標的場所と配列させるために必要な偏向方向を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのパラメータの表現は、操縦可能なナビゲーションカテーテル先端の指示方向に沿った視界の表現との関連において表示される。いくつかの実施形態において、位置検知要素は、操縦可能なナビゲーションカテーテル先端の位置および姿勢を3並進自由度および3回転自由度で測定する、6自由度位置測定システムの一部である。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルには、カテーテルの遠位部分を少なくとも3つの異なる方向のうちの任意の1つに選択的に偏向させるために構成される、多方向操縦機構がさらに提供される。いくつかの実施形態において、操縦機構は、操縦可能なナビゲーションカテーテルの近位端で、制御デバイスを介してユーザによって制御される。いくつかの実施形態において、操縦機構は、遠隔制御デバイスを介してユーザによって制御される。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテル先端が進行する経路は、位置検知要素を使用して監視され、進行する経路の表現は、先端の現在位置とともに表示され、この表現は、先端の指示方向に対して平行でない少なくとも1つの方向から見たときの状態を投影する。
【0012】
いくつかの実施形態において、標的場所(例えば、治療場所(例えば、腫瘍))は、(a)対象のコンピュータ断層撮影データを使用して標的場所を指定すること、および(b)コンピュータ断層撮影データを3次元基準系で位置合わせすること、によって指定される。いくつかの実施形態において、他のマッピングデータ(例えば、MRI、X線、PET等)は、本明細書で説明される本発明の任意の実施形態におけるコンピュータ断層撮影データの代替となる。いくつかの実施形態において、位置合わせすることは、(a)カメラを伴う操縦可能なカテーテルを提供することと、(b)対象内の少なくとも3つの示差的特徴のそれぞれのカメラ視界を生成することと、(c)コンピュータ断層撮影データから、少なくとも3つの示差的特徴のそれぞれのシミュレートした視界を生成することであって、各カメラ視界および対応する1つのシミュレートした視界が、一対の類似した視界を構成する、生成することと、(d)操作者が、それぞれのカメラ視界内で観察された基準点、および対応するシミュレートした各視界内で観察された対応する基準点を指定することを可能にすることと、(e)指定された基準点から、コンピュータ断層撮影データと3次元基準系との間の最適に適合する位置合わせを得ることと、を含む。いくつかの実施形態において、対象を通しての(例えば、対象内の分岐構造(例えば、肺の構造(例えば、気管支))を通しての)標的場所までの意図する経路は、コンピュータ断層撮影データを使用して指定され、意図する経路の表現は、先端の現在位置とともに表示され、この表現は、先端の指示方向に対して平行でない少なくとも1つの方向から見たときの状態を投影する。いくつかの実施形態では、(a)位置検知要素の現在位置が検出され、(b)位置検知要素に対する所定の空間的関係および配列で位置するカメラによって観察される画像に対応するコンピュータ断層撮影データから、仮想内視鏡画像が生成され、そして(c)仮想内視鏡画像が表示される。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明のカテーテルシステムは、近位挿入開口部から遠位開口部まで延在する管腔を有する、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルと、シースの近位開口部を通して、管腔に沿って遠位開口部まで延在する挿入位置に挿入するために構成される、誘導要素と、を備える。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルはシースであり、それを通して、操縦可能なナビゲーションカテーテル(またはエネルギー送達デバイス)を挿入することおよび/または引き出すことができる。いくつかの実施形態では、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルの遠位先端が標的場所(例えば、治療部位(例えば、腫瘍))に隣接するように、チャネルカテーテルを位置付けるために、操縦可能なナビゲーションカテーテルが使用される。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、標的場所で適切な位置に固定される。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、チャネル管腔から引き出されて、対象への挿入地点から標的部位まで延在する開口チャネルを残す。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、挿入可能なツール(例えば、医学的ツール(例えば、エネルギー送達デバイス))の挿入に利用可能である。いくつかの実施形態において、本発明は、方法を提供し、該方法は、(a)チャネルカテーテル内の操縦可能なナビゲーションカテーテルを、先端が標的場所に隣接する位置に誘導することと、(b)チャネルカテーテルから操縦可能なナビゲーションカテーテルを引き出して、医学的ツール(例えば、エネルギー送達デバイス))の挿入に利用可能なチャネル管腔を残すことと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、操作ハンドルおよび一次管腔を有する一次カテーテル(例えば、可撓性内視鏡、可撓性気管支鏡等)と、一次管腔内で展開され、かつチャネル管腔を有するチャネルカテーテルと、チャネル管腔内で展開される操縦可能なナビゲーションカテーテルと、を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、方法を提供し、該方法は、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルを収容する一次カテーテルを、一次カテーテルがさらなる挿入によりその最大挿入距離(例えば、サイズによって限定される)に到達するまで、対象、臓器、組織、および/または管腔に挿入することと、(b)チャネルカテーテルに対する操縦可能なナビゲーションカテーテルの移動を防止するために、操縦可能なナビゲーションカテーテルをチャネル管腔内で係止することと、(c)一次カテーテルの遠位端を超えて、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルを標的場所に誘導することと、(d)一次カテーテルおよび/または操作ハンドルに対するチャネルカテーテルの相対移動を防止するために、チャネルカテーテルを一次管腔内で係止することと、(e)チャネルカテーテルから操縦可能なナビゲーション要素を係止解除して、ツール(例えば、エネルギー送達デバイス)を標的場所に挿入するためのガイドとして、チャネルを所定の位置に残すことと、を含む。いくつかの実施形態において、本発明のシステムまたはデバイスは、1つ以上の要素が対象および/または身体領域の中で展開されたときにそれらを保持するために、安定化機構および/またはアンカー機構を備える。いくつかの実施形態において、選択的に作動可能なアンカー機構は、チャネルカテーテルの一部分と関連付けられる。いくつかの実施形態において、選択的に作動可能なアンカー機構は、膨張可能な要素を含む。いくつかの実施形態において、選択的に作動可能なアンカー機構は、機械的に展開される要素を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルまたは操縦可能なナビゲーションカテーテルは、カテーテルの指示方向の画像を生成するために展開される画像センサを含む。いくつかの実施形態において、画像センサは、操縦可能なナビゲーションカテーテルとともに引き出されるように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、コンピュータ断層撮影データ(または他のマッピングデータ(例えば、MRI、PET、X線等))と、位置測定システムの3次元基準系との間の位置合わせを達成するための方法を提供し、該方法は、(a)(i)3次元基準系に対するカテーテル先端の位置および指示方向の測定を可能にするように位置測定システムの一部として動作する、位置検知要素と、(ii)画像センサと、を伴う、カテーテルを提供することと、(b)コンピュータ断層撮影データから、分岐構造内の示差的特徴の少なくとも3つのシミュレートした視界を生成することと、(c)示差的特徴の少なくとも3つのカメラ視界を生成することであって、各カメラ視界および対応する1つのシミュレートした視界が、一対の類似した視界を構成する、生成することと、(d)操作者が、それぞれのカメラ視界内で観察された基準点、および対応するシミュレートした各視界内で観察された対応する基準点を指定することを可能にすることと、(e)指定された基準点から、コンピュータ断層撮影画像と3次元基準系との間の最適に適合する位置合わせを得ることと、を含む。いくつかの実施形態において、操作者によるそれぞれのカメラ視界内の基準点の指定は、位置検知要素を基準点と近接させる操作者によって行われる。いくつかの実施形態において、操作者による各シミュレートした視界内の基準点の指定は、(a)操作者が、各シミュレートした視界内のシミュレートした画像基準点を選択し、(b)シミュレートした画像基準点から、基準点に対するシミュレートした視点のベクトルを算出し、(c)基準点に対するシミュレートした視点のベクトルと組織表面との交差点を、コンピュータ断層撮影データから得られる身体の一部分の数値モデルで計算することによって、行われる。いくつかの実施形態では、(a)コンピュータ断層撮影データ内の少なくとも1つの場所が確認され、(b)少なくとも1つの場所の位置が3次元基準系で計算され、(c)少なくとも1つの場所の表現が位置検知要素の位置の表現とともに表示される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの場所は、医学的ツール(例えば、エネルギー送達デバイス(例えば、マイクロ波アブレーションデバイス)等)が方向付けられる標的場所(例えば、治療場所(例えば、腫瘍、気管支(例えば、末梢気管支)等))を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの場所は、医学的ツールが方向付けられる、計画された経路を画定する一連の場所である。いくつかの実施形態は、コンピュータ断層撮影データと位置測定システムの3次元基準系との間の位置合わせを達成するための方法であり、該方法は、(a)(i)3次元基準系に対するカテーテル先端の位置および指示方向の測定を可能にするように位置測定システムの一部として動作する、位置検知要素と、(ii)画像センサと、を伴う、操縦可能なナビゲーションカテーテルを提供することと、(b)分岐構造の第1の分岐部分に沿ってカテーテルの先端を移動させて、カメラから複数の画像を得ることであって、各画像は、位置センサの対応する位置データと3次元基準系で関連付けられる、得ることと、(c)画像および対応する位置データを処理して、第1の分岐部分に対する所定の幾何学的なモデルの最適な適合を3次元基準系で得ることと、(d)分岐構造の第2の分岐部分について、ステップ(b)および(c)を繰り返すことと、(e)第1のおよび第2の分岐部分の幾何学的モデルをコンピュータ断層撮影データと相関させて、コンピュータ断層撮影データと3次元基準系との間で最適に適合する位置合わせを得ることと、を含む。いくつかの実施形態において、画像および対応する位置データを処理することは、(a)それぞれが異なる位置で撮像された複数の画像に存在する、可視的特徴を識別することと、(b)可視的特徴のそれぞれについて、複数の画像のそれぞれにおける特徴に対するカメラの方向を得ることと、(c)特徴に対するカメラの方向および対応する位置データを用いて、各可視的な特徴について特徴位置を判定することと、(d)特徴位置に対する所定の幾何学的モデルの最適な適合を得ることと、を含む。いくつかの実施形態において、所定の幾何学的なモデルは、円筒である。いくつかの実施形態では、(a)コンピュータ断層撮影データ内の少なくとも1つの場所が識別され、(b)少なくとも1つの場所の位置が3次元基準系で計算され、(c)少なくとも1つの場所の表現が位置検知要素の位置の表現とともに表示される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの場所は、医学的ツール(例えば、エネルギー送達デバイス(例えば、マイクロ波アブレーションデバイス)が方向付けられる標的場所(例えば、治療場所(例えば、腫瘍(例えば、末梢気管支内の腫瘍)))を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの場所は、医学的ツールが方向付けられる、計画された経路を決定する一連の場所である。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明は、操縦可能なナビゲーションカテーテルの遠位部分を、少なくとも2つの独立した方向のうちのいずれか1つに選択的に偏向させるための操縦機構を提供し、該機構は、(a)少なくとも3個の細長い張力調整要素であって、カテーテルに沿って延在し、かつ、張力調整要素のいずれか1個に印加される張力が、カテーテルの先端を対応する所定の方向に偏向させるように構成される、張力調整要素と、(b)第1の位置から第2の位置まで変位可能なアクチュエータと、(c)アクチュエータの第1の位置から第2の位置への変位が、選択された細長い張力調整要素の少なくとも1個に張力を印加するように、選択された細長い張力調整要素の少なくとも1個とアクチュエータとを選択的かつ機械的に相互接続するために構成される、セレクタ機構と、を備える。いくつかの実施形態において、セレクタ機構の第1の状態は、アクチュエータの変位が、先端を所定の方向に偏向させるように、1個の細長い張力調整要素をアクチュエータと機械的に相互接続し、セレクタ機構の第2の状態は、アクチュエータの変位が、先端を、2つの所定の方向の中間の方向に偏向させるように、2個の細長い張力調整要素をアクチュエータと機械的に相互接続する。いくつかの実施形態において、少なくとも3個の張力調整要素は、偶数個の張力調整要素を含み、複数対の張力調整要素が、セレクタ機構からカテーテルに沿って先端まで延在し、かつ操縦可能なナビゲーションカテーテルに沿ってセレクタ機構に戻る、単一の細長い要素として実装される。いくつかの実施形態において、少なくとも3個の張力調整要素は、各張力調整要素が、単独で作動させたときに、先端を、実質的に90°の倍数で分割された4つの所定の方向のうちの異なる1つに偏向させるように展開される、4個の張力調整要素として実装される。いくつかの実施形態において、セレクタ機構の第1の状態は、アクチュエータの変位が、先端を4つの所定の方向のうちの1つに偏向させるように、1個の細長い張力調整要素をアクチュエータと機械的に相互接続し、セレクタ機構の第2の状態は、アクチュエータの変位が、先端を、4つの所定の方向のうちの2つの間にそれぞれ存在する4つの中間方向のうちの1つの方向に偏向させるように、2個の細長い張力調整要素をアクチュエータと機械的に相互接続する。いくつかの実施形態において、アクチュエータは、カテーテルと関連付けられるハンドルと関連して滑動可能である、リングを含み、セレクタ機構は、張力調整要素のそれぞれに取り付けられ、かつハンドル内で滑動可能に展開される、スライドと、リングから突出する少なくとも1つの突起とを含み、リングを回転させたときに、少なくとも1つの突起が、リングの変位が少なくとも1つのスライドを移動させるように、スライドの少なくとも1つを選択的に係合する。
【0018】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象内の組織へのエネルギー送達中の過熱を低減するためのデバイス、システム、および方法を提供する。デバイスの望ましくない過熱の1つの重大な原因は、絶縁体(例えば、同軸絶縁器)の誘電加熱であり、潜在的に副次的な組織損傷をもたらす。本発明のエネルギー送達デバイスは、望ましくない過熱を防止するように設計される。エネルギー送達デバイスは、望ましくない過熱を防止する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、冷却剤の循環を用いる。いくつかの実施形態において、デバイスは、(例えば、外部導体に沿った)デバイス内の望ましくない温度上昇を検出して、冷却剤を冷却剤通路チャネルに流すことによって、そのような望ましくない温度上昇を自動的にまたは手動で低減するように構成される。いくつかの実施形態において、デバイスは、誘電体材料として多孔絶縁体を用い、それによって、冷却剤が誘電体材料を通って流れることを可能にする。いくつかの実施形態において、1つ以上の冷却剤チャネルは、伝送線から周辺組織までの熱損失を低減するための手段を提供する。いくつかの実施形態では、過熱を低減するために、一定の低出力エネルギーまたはパルス高出力エネルギーが送達される。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、誘電体材料を通って延びる。いくつかの実施形態において、冷却剤は、誘電体材料としての役割を果たす。いくつかの実施形態において、誘電空間は、全てまたは一部が冷却剤材料で充填される。
【0019】
いくつかの実施形態では、エネルギー送達デバイスは、冷却特性を改善している。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスの直径を増大させずに、冷却剤を使用できるようにする。これは、外部スリーブを通して冷却剤を流すか、または別様には、冷却剤流を適用するようにデバイスの直径を増大させる、既存のデバイスとは対照的である。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、不必要な熱散逸を低減する目的で、1つ以上の冷却剤通路チャネルをその中に有する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/728,460号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、デバイスの全長にわたる、またはデバイスの全長の一部分にわたる、冷却剤材料の循環を通してデバイスの過熱を防止するように設計された管(例えば、針、プラスチック管等)をその中に有する。いくつかの実施形態において、チャネルまたは管は、同軸ケーブルの内部導体と外部導体との間に位置する誘電体成分からの材料を置き換える。いくつかの実施形態において、冷却剤材料(例えば、空気、CO
2等)は、誘電体材料である。いくつかの実施形態において、冷却剤材料は、誘電空間(例えば、同軸伝送線の内部導体と外部導体と間の空間)の全部または一部を構成する。いくつかの実施形態において、チャネルまたは管は、誘電体材料を置き換えているか、または実質的に誘電体材料を置き換えている。いくつかの実施形態では、誘電体材料を通しての冷却剤流に適応させるために、多孔誘電体材料が使用される。いくつかの実施形態において、チャネルまたは管は、外部導体の一部分に取って代わる。例えば、いくつかの実施形態では、冷却剤流のための流路を生成するために、外部導体の一部分が除去されるか、または削り取られる。そのような実施形態を
図12に示す。同軸ケーブル900は、外部導体910と、内部導体920と、誘電体材料930とを有する。外部導体の領域940を除去して、冷却剤流のための空間を作成している。同軸ケーブルを囲む、または実質的に囲む、わずかに残る外部導体材料が、遠位950の端部領域および近位960の端部領域にある。導電材料の薄帯970は、遠位950の端部領域と、近位960の端部領域とを接続する。外部導電材料が除去された(またはなくなるように加工された)領域940の中に冷却剤が流れることを可能にするために、薄いチャネル980が、近位端領域960において導電材料から切り取られる。本発明は、冷却剤を送達することができるのであれば、流路のサイズまたは形状によって限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、流路は、同軸ケーブルの全長にわたる線状経路である。いくつかの実施形態では、螺旋状のチャネルが用いられる。いくつかの実施形態において、管またはチャネルは、内部導体の少なくとも一部分に取って代わるか、またはそれを置換する。例えば、内部導体の大部分を冷却剤チャネルと置き換えて、同調を可能にするようにデバイスの近位端部および遠位端部の近くに、導電材料の薄帯によって接続される、金属のごく一部分を残してもよい。いくつかの実施形態では、冷却剤のための1つ以上のチャネルを作成するために、内部空間の領域が、内部導体内または外部導体内に作成される。例えば、内部導体は、冷却剤チャネルが中央に提供される、導電材料の中空管として提供されてもよい。そのような実施形態において、内部導体は、冷却剤の流入または流出(または両方)のために使用することができる。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、誘電体材料の一部分に取って代わる。いくつかの実施形態において、チャネルは、間隙によって誘電体材料内に形成される。
【0020】
冷却剤管がデバイス内に配置されるいくつかの実施形態において、管は、デバイスを通して冷却剤を吸入および排出するための複数のチャネルを有する。デバイスは、誘電体材料内での管(例えば、冷却剤針)の特定の位置付けに限定されない。いくつかの実施形態において、管は、誘電体材料の外縁部が、誘電体材料の中央か、または誘電体材料内の任意の場所に沿って位置付けられる。いくつかの実施形態において、誘電体材料は、管を受容して、固定するように設計されたチャネルとともに予備成形される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、デバイスに取り付けられ、ハンドルは、例えば、管を出入りする冷却剤の通過を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、管は、可撓性である。いくつかの実施形態において、管は、非可撓性(例えば、非可撓性の領域)である。いくつかの実施形態において、管は、複数部分が可撓性である一方で、他の複数部分は非可撓性である。いくつかの実施形態において、管は、圧縮性である。いくつかの実施形態において、管は、非圧縮性である。いくつかの実施形態において、管は、複数部分が圧縮性である一方で、他の複数部分は非圧縮性である。管は、特定の形状またはサイズに限定されない。いくつかの実施形態において、管は、12ゲージ針以下の直径を有する同軸ケーブル内に嵌合する、冷却剤針(例えば、29ゲージ針または同等のサイズ)である。いくつかの実施形態において、管の外部は、管を固定するために、またはデバイス内での滑動移動を可能にするために、接着剤および/またはグリースの被覆を有する。いくつかの実施形態において、管は、その長さに沿って、デバイスの所望の領域内への冷却剤の放出を可能にする、1つ以上の孔を有する。いくつかの実施形態において、孔は、最初に融解可能な材料によって塞がれており、よって、この材料を融解させて、影響を受けた特定の孔(単数または複数)を通して冷却剤を放出するために、熱の特定の閾値が必要である。このように、冷却剤は、熱レベルの閾値に到達した領域にだけ放出される。
【0021】
いくつかの実施形態において、冷却剤は、本発明のデバイスのアンテナ、ハンドル、または他の構成要素に予め充填される。他の実施形態において、冷却剤は、使用中に加えられる。いくつかの予め充填された実施形態において、液体冷却剤は、例えば、永続可能な真空を作成するという条件下で、アンテナの遠位端に予め充填される。いくつかのそのような実施形態では、液体冷却剤を気化させたときに、より多くの流体が真空によって吸い込まれる。
【0022】
本発明は、用いられる冷却剤材料の性質によって限定されない。冷却剤としては、液体および気体が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な冷却剤としては、水、グリコール、空気、不活性ガス、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、イオン溶液(例えば、カリウムおよび他のイオンを伴う、または伴わない塩化ナトリウム)、水中のデキストロース、乳酸リンゲル液、有機化学溶液(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはプロピレングリコール)、油(例えば、鉱物油、シリコーン油、フルオロカーボン油)、液体金属、フレオン、ハロメタン、液化プロパン、他のハロアルカン、無水アンモニア、二酸化硫黄のうちの1つ以上、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、冷却剤流体は、誘電体材料としての役割も果たす。いくつかの実施形態において、冷却剤は、その臨界点まで、またはほぼ臨界点まで圧縮される気体である。いくつかの実施形態において、冷却は、冷却剤の濃度、圧力、または容積を変化させることによって、少なくとも部分的に起こる。例えば、冷却は、ジュール-トムソン効果を使用して、気体冷却剤を介して達成することができる。いくつかの実施形態において、冷却は、化学反応によって提供される。デバイスは、特定の種類の温度を下げる化学反応に限定されない。いくつかの実施形態において、温度を下げる化学反応は、吸熱反応である。デバイスは、望ましくない加熱を防止するために吸熱反応を適用する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態では、第1および第2の化学物質がデバイスの中に流され、それらが反応してデバイスの温度を下げる。いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスに予め充填された第1および第2の化学物質とともに調製される。いくつかの実施形態において、化学物質は、必要に応じて除去される障壁によって分離される。いくつかの実施形態において、障壁は、所定の温度または温度範囲への曝露時に融解するように構成される。そのような実施形態において、デバイスは、冷却に値する熱レベルに到達したときにだけ、吸熱反応を開始する。いくつかの実施形態では、望ましくない加熱が起こっているデバイスの複数部分にだけ局所的な冷却が起こるように、デバイスの全体を通して、複数の異なる障壁が位置する。いくつかの実施形態において、使用される障壁は、2つの化学物質のうちの1つを包含する、ビーズである。いくつかの実施形態において、障壁は、融解して2つの化学物質を組み合わせる、壁(例えば、ワッシャ形状の円盤)である。いくつかの実施形態において、障壁は、所定の温度で融解するように構成される蝋で作製される。デバイスは、特定の種類、系統、または量の融解可能な材料に限定されない。いくつかの実施形態において、融解可能な材料は、生体適合性である。デバイスは、特定の種類、系統、または量の第1および第2の化学物質に限定されないが、それらの混合が温度を下げる化学反応をもたらすことを条件とする。いくつかの実施形態において、第1の材料は、水酸化バリウム八水和物の結晶を含み、第2の材料は、乾燥塩化アンモニウムである。いくつかの実施形態において、第1の材料は、水であり、第2の材料は、塩化アンモニウムである。いくつかの実施形態において、第1の材料は、塩化チオニル(SOCl2)であり、第2の材料は、硫酸コバルト(II)七水和物である。いくつかの実施形態において、第1の材料は、水であり、第2の材料は、硝酸アンモニウムである。いくつかの実施形態において、第1の材料は、水であり、第2の材料は、塩化カリウムである。いくつかの実施形態において、第1の材料は、エタン酸であり、第2の材料は、炭酸ナトリウムである。いくつかの実施形態では、融解可能な材料が使用され、デバイスの外面の熱が低減されるような様式で融解して流れることによって、それ自体が熱を低減する。
【0023】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、望ましくない加熱を防止し、および/または温度が上昇したときに、デバイスから放射されるエネルギーの量を調整すること(例えば、デバイスの共振によるエネルギー波長を調整すること)を通して、所望のエネルギー送達性能を維持する。デバイスは、デバイスから放射されるエネルギーの量を調整する特定の方法に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスがある閾値温度に到達したときに、またはデバイスが範囲を超えて加熱したときに、デバイスの共振によるエネルギー波長が調整されるように構成される。デバイスは、デバイスの共振によるエネルギー波長を調製するための特定の方法に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、温度が上昇するにつれて容積が変化する材料をその中に有する。容積の変化は、エネルギー送達に影響を及ぼすデバイスの構成要素を移動させるかまたは調整するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、温度の上昇とともに膨張する材料が使用される。この膨張は、デバイスの遠位先端を外向きに移動させて(デバイスの近位端からの距離を増大させて)、デバイスのエネルギー送達性能を変化させるために使用される。これは、本発明の中央給電ダイポールの実施形態との特定の用途を見出す。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、望ましくない加熱を防止し、および/またはエネルギー波長を低減させずにエネルギー送達プログラムを調整することを通して、所望のエネルギー送達性能を維持する。いくつかの実施形態において、パルスプログラムは、伝送経路に沿った望ましくない加熱を誘発せずに、突発的なエネルギー(例えば、所望の作業(例えば、アブレーション)を行うのに十分な突発的なエネルギー)を治療部位に送達する。いくつかの実施形態において、パルスプログラムは、連続送達プログラムと比較したときに、伝送経路に沿った熱を低減する。いくつかの実施形態では、異なるパターンのパルスプログラムが、治療部位に送達される大量のエネルギーと、送達経路に沿った熱の低減との潜在的に矛盾する要求を効果的にバランスさせる。いくつかの実施形態では、エネルギーの送達および経路の加熱を最適化するために、異なるパルスパターン(例えば、エネルギーを送達する時間の長さ、エネルギーパルス間の時間の長さ)および異なるエネルギーレベル(例えば、エネルギー波長)が利用される。
【0024】
ある実施形態において、本発明は、エネルギーを組織に送達するために構成されるアンテナを備える、デバイスを提供し、該アンテナの遠位端は、導体を取り囲む剛体の中空管を備える中央給電ダイポール構成要素を備え、該中空管内には、スタイレットが固定される。いくつかの実施形態において、中空管は、20ゲージ針以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、中空管は、17ゲージ針以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、中空管は、12ゲージ針以下の直径を有する。いくつかの実施形態において、デバイスは、組織に送達されるエネルギーの量を調整するための、同調要素をさらに備える。いくつかの実施形態において、デバイスは、組織をアブレーションするかまたは血栓症を引き起こすのに十分な量のエネルギーを送達するように構成される。いくつかの実施形態において、導体は、中空管の途中まで延在する。いくつかの実施形態において、中空管は、λ/2の長さを有し、ここで、λは、組織の媒質の電磁場波長である。いくつかの実施形態では、膨張可能な材料がスタイレットの近くに位置付けられ、よって、デバイスの温度が上昇したときに、この膨張可能な材料が膨張してスタイレット上に押し込まれ、スタイレットを移動させ、そして、デバイスのエネルギー送達性能を変化させる。いくつかの実施形態では、膨張可能な材料が、中央給電ダイポールデバイスの共振要素を提供する金属円盤の背後(近位)に位置付けられる。材料が膨張するにつれて、円盤が遠位に押し込まれて、デバイスの同調が調整される。膨張可能な材料は、好ましくは、膨張速度が、最適結果に対するエネルギー送達の所望の変化と一致するように選択される。しかしながら、所望の方向における任意の変化が本発明との用途を見出すことを理解されたい。いくつかの実施形態において、膨張可能な材料は、蝋である。
【0025】
いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスに取り付けられるハンドルを有し、該ハンドルは、例えば、冷却剤チャネルを出入りする冷却剤の通過を制御するように構成される。いくつかの実施形態では、ハンドルだけが冷却される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、気体状冷却剤の臨界点まで、または臨界点近くまで圧縮された気体状冷却剤を送達するように構成される。他の実施形態では、ハンドルおよび取り付けられたアンテナが冷却される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、ある時間が経過した後に、および/またはデバイスがある閾値温度に到達したときに、自動的に冷却剤を冷却剤チャネルに通過させる。いくつかの実施形態において、ハンドルは、ある時間が経過した後に、および/またはデバイスの温度が閾値温度よりも下がったときに、自動的に冷却剤を冷却剤チャネルに通過させるのを停止する。いくつかの実施形態において、ハンドルを通して流れる冷却剤は、手動で制御される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、その上に1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個等)の照明(例えば、ディスプレイ照明(例えば、LED照明))を有する。いくつかの実施形態において、照明は、識別目的のために構成される。例えば、いくつかの実施形態では、異なるプローブを区別するために、照明が使用される(例えば、第1のプローブの起動を1個の照明で、第2のプローブの起動を2個の照明で、第3のプローブの起動を3個の照明で示す、または各プローブがそれぞれ指定された照明を有する、等)。いくつかの実施形態では、事象(例えば、デバイスを通した冷却剤の送達、デバイスを通したエネルギーの伝送、それぞれのプローブの移動、デバイス内の環境(例えば、温度、位置)の変化等)の発生を識別するために、照明が使用される。ハンドルは、特定の表示様式(例えば、点滅、別の色、無色等)に限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、中央給電ダイポール構成要素をその中に有する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願製造番号11/728,457を参照されたい)。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギーを伝送して、放射するための複数のセグメントを伴うカテーテルを備える(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/237,430号、第11/237,136号、および第11/236,985号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、反射熱損失を低減するための最適化された同調能力を伴う、3軸マイクロ波プローブを備える(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,101,369号、また、米国特許出願第10/834,802号、第11/236,985号、第11/237,136号、第11,237,430号、第11/440,331号、第11/452,637号、第11/502,783号、第11/514,628号、ならびに国際特許出願第PCT/US05/14534号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、誘電体コアとして空気または他の気体を有する同軸伝送線(例えば、同軸ケーブル)を通してエネルギーを放射する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/236,985号を参照されたい)。いくつかのそのような実施形態では、内部導体と外部導体との間でデバイスの構造体を支持する材料を、使用前に除去してもよい。例えば、いくつかの実施形態において、材料は、使用前または使用中に除去される、分解可能なまたは融解可能な材料で作製される。いくつかの実施形態において、材料は、融解可能であり、経時的に(例えば、組織の温度変化等に応答して)デバイスのエネルギー送達性能を最適化するように、使用中に(熱への曝露時に)除去される。
【0027】
本発明は、特定の同軸伝送線の形状に限定されない。実際に、いくつかの実施形態では、特定の必要性に合わせるために、同軸伝送線および/または誘電体素子の形状を調整することが可能である。いくつかの実施形態において、同軸伝送線および/または誘電体素子の断面形状は、円形である。いくつかの実施形態において、断面形状は、非円形(例えば、楕円形等)である。そのような形状は、同軸ケーブル全体に適用してもよく、または1つ以上の副構成要素にだけ適用してもよい。例えば、楕円形の誘電体材料が、円形の外部導体の中に配置されてもよい。これは、例えば、例えば冷却剤を循環させるために用いられ得る、2つのチャネルを作成するといった利点を有する。別の例として、正方形の/長方形の誘電体材料が、円形の導体の中に配置されてもよい。これは、例えば、4つのチャネルを作成するといった利点を有する。異なる数および形状のチャネルを作成するために、断面の異なる多角形(例えば、五角形、六角形等)が用いられてもよい。断面形状は、ケーブル長さの全体を通して同じである必要はない。いくつかの実施形態では、第1の形状が、ケーブルの第1の領域(例えば、近位領域)に使用され、第2の形状が、ケーブルの第2の領域(例えば、遠位領域)に使用される。また、不規則な形状が用いられてもよい。例えば、任意の所望のサイズおよび形状の単一のチャネルを作成するために、その長さに沿って延びる鋸歯状の溝を有する誘電体材料が円形の外部導体の中に用いられてもよい。いくつかの実施形態において、チャネルは、デバイスの最終的な外部直径を増大させずに、冷却剤、針、または他の所望の構成要素をデバイスの中に供給するための空間を提供する。
【0028】
同様に、いくつかの実施形態において、本発明のアンテナは、その長さに沿って、またはその長さの1つ以上の小区画に沿って、非円形の断面形状を有する。いくつかの実施形態において、アンテナは、非円筒であるが、円筒である同軸ケーブルを含む。他の実施形態において、アンテナは、非円筒であり、非円筒である(例えば、アンテナの形状と一致する、または異なる非円筒形状を有する)同軸ケーブルを含む。いくつかの実施形態において、非円筒形状である1つ以上の構成要素(例えば、カニューレ、アンテナの外殻、同軸ケーブルの外部導体、同軸ケーブルの誘電体材料、同軸ケーブルの内部導体)を有することで、特に冷却剤を循環させるために使用され得る1つ以上のチャネルをデバイスの中に作成することを可能にする。特にアンテナの外径における非円形の形状は、ある種の医学的なまたは他の応用に対する用途を見出す。例えば、形状は、可撓性を最大化するように、または身体内の特定の場所にアクセスするように選択されてもよい。また、形状は、エネルギー送達を最適化するように選択さてもよい。また、形状(例えば、非円筒形状)は、特に小径デバイスに対して、デバイスの剛性および/または強度を最大化するように選択されてもよい。
【0029】
ある実施形態において、本発明は、アンテナを備えるデバイスを提供し、該アンテナは、内部導体の周囲を覆う外部導体を備え、該内部導体は、エネルギーを受容および伝送するように設計され、該外部導体は、外部導体に沿って円周方向に位置付けられる、少なくとも1つの間隙をその中に有し、該アンテナの長さに沿って複数のエネルギーピークが生成され、該エネルギーピークの位置は、間隙の場所によって制御される。いくつかの実施形態において、エネルギーは、マイクロ波エネルギーまたは高周波エネルギーである。いくつかの実施形態において、外部導体は、2つの間隙をその中に有する。いくつかの実施形態において、アンテナは、内部導体と外部導体との間に配置される、誘電体層を備える。いくつかの実施形態において、誘電体層は、ほぼゼロの導電性を有する。いくつかの実施形態において、デバイスは、スタイレットをさらに備える。いくつかの実施形態において、内部導体は、約0.013インチ(0.330mm)以下の直径を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、デバイスの外部導体または外面の任意の間隙、不整合性、または不規則性を材料で充填して、滑らかで均一な、または実質的に滑らかで均一な外面を提供する。いくつかの実施形態では、間隙、不整合性、または不規則性を充填するために、耐熱樹脂が使用される。いくつかの実施形態において、樹脂は、生体適合性である。他の実施形態では、生体適合性ではなく、例えば、生体適合材料で被覆することができる。いくつかの実施形態において、樹脂は、任意の所望のサイズまたは形状に構成可能である。このように、硬化したときに、鋭利なスタイレット先端をデバイスに提供するように、または任意の他の所望の物理的形状を提供するように、樹脂が使用されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、デバイスは、鋭利なスタイレット先端を備える。先端は、任意の材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態において、先端は、硬化した樹脂から作製される。いくつかの実施形態において、先端は、金属である。いくつかのそのような実施形態において、金属製先端は、アンテナの金属部分の延長部で、電気的に活性である。いくつかの実施形態において、デバイスの遠位先端は、切断トロカールを備える。
【0032】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、システム内でエネルギーを組織領域に送達するように構成され、該システムは、プロセッサ、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、各アンテナへの電力送達を個別に制御する機能を伴う、電力分配器)、撮像システム、同調システム、温度測定調整システム、および/またはデバイス配置システムを備える。
【0033】
本発明は、特定の種類のプロセッサに限定されない。いくつかの実施形態において、プロセッサは、例えば、システム(例えば、温度監視システム、エネルギー送達デバイス、組織インピーダンス監視構成要素等)の構成要素から情報を受信し、そのような情報をユーザに表示し、また、システムの他の構成要素を操作(例えば、制御)するように設計される。いくつかの実施形態において、プロセッサは、システム内で動作するように構成され、該システムは、エネルギー送達デバイス、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、撮像システム、同調システム、および/または温度測定調整システムを備える。
【0034】
本発明は、特定の種類の電源に限定されない。いくつかの実施形態において、電源は、任意の所望の種類のエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギー、放射線エネルギー、低温エネルギー、電気穿孔、高密度焦点式超音波、および/またはこれらの混合物)を提供する。いくつかの実施形態において、電源は、2つ以上のエネルギー送達デバイスへのエネルギーの送達を可能にするために、電力分配器を利用する。いくつかの実施形態において、電源は、システム内で動作するように構成され、該システムは、電力分配器、プロセッサ、エネルギー送達デバイス、撮像システム、同調システム、および/または温度調整システムを備える。
【0035】
本発明は、特定の種類の撮像システムに限定されない。いくつかの実施形態において、撮像システムは、撮像デバイス(例えば、内視鏡デバイス、コンピュータ支援定位神経外科ナビゲーションデバイス、熱センサ位置決めシステム、運動速度センサ、操縦ワイヤシステム、手技中の超音波、蛍光透視、磁気共鳴コンピュータ断層撮像、核医学撮像デバイスによる三角測量撮像、介在超音波、マイクロ波撮像、音響断層撮影、二重エネルギー撮像、熱音響撮像、赤外線、および/またはレーザ撮像、電磁的撮像)を用いる(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,817,976号、第6,577,903号、第5,697,949号、および第5,603,697号、ならびに国際特許出願第WO06/005,579号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、システムは、内視鏡カメラ、撮像構成要素、および/または本発明のエネルギーシステムとともに使用される品目のいずれかの配置、位置付け、および/または監視を可能にもしくは援助する、ナビゲーションシステムを利用する。いくつかの実施形態において、撮像システムは、エネルギー送達システムの特定の構成要素の場所情報(例えば、エネルギー送達デバイスの場所)を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、撮像システムは、システム内で動作するように構成され、該システムは、プロセッサ、エネルギー送達デバイス、電源、同調システム、および/または温度調整システムを備える。いくつかの実施形態において、撮像システムは、エネルギー送達デバイス内に位置する。いくつかの実施形態において、撮像システムは、アブレーションする区域の性質(例えば、直径、長さ、断面積、容積)に関する定性的情報を提供する。撮像システムは、定性的情報を提供するための特定の手法に限定されない。いくつかの実施形態において、定性的情報を提供するために使用される手法としては、1つの介在性デバイス単独であるか、または他の介在デバイスもしくは外部デバイスと連携するかに基づいて、時間領域反射率測定、飛行時間型パルス検出、周波数変調距離検出、固有モードもしくは共鳴周波数検出もしくは反射、および任意の周波数での伝送が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、介在デバイスは、撮像(例えば、電気音響撮像、電磁的撮像、電気インピーダンス断層撮影)のための信号および/または検出を提供する。
【0036】
本発明は、特定の同調システムに限定されない。いくつかの実施形態において、同調システムは、エネルギー送達システム内の変数(例えば、送達されるエネルギーの量、送達されるエネルギーの周波数、システムに提供される複数のデバイスのうちの1つ以上に送達されるエネルギー、提供される冷却剤の量または種類等)の調整を可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、同調システムは、エネルギー送達デバイスの機能を監視するユーザまたはプロセッサに、連続的にまたは複数の時点で、フィードバックを提供する、センサを備える。センサは、システムの構成要素の1つ以上の位置での熱(例えば、温度)、組織での熱、組織の性質、領域の定性的情報等が挙げられるが、これらに限定されない、任意の数の性質を記録および/または報告してもよい。センサは、CT、超音波、磁気共鳴撮像、蛍光透視、核医学撮像、または任意の他の撮像デバイスの形態であってもよい。いくつかの実施形態において、特に研究的応用の場合、システムは、全体としてシステムの将来的な最適化で使用するための情報、および/または特定の条件(例えば、患者の種類、組織の種類、標的領域のサイズおよび形状、標的領域の場所等)の下でのエネルギー送達を最適化するための情報を記録して保存する。いくつかの実施形態において、同調システムは、システム内で動作するように構成され、該システムは、プロセッサ、エネルギー送達デバイス、電源、撮像、および/または温度調整システムを備える。いくつかの実施形態において、撮像構成要素または他の制御構成要素は、電力出力(または他の制御パラメータ)を調整して最適な組織応答を提供することができるように、フィードバックをアブレーションデバイスに提供する。
【0037】
本発明は、特定の温度調整システムに限定されない。いくつかの実施形態において、温度調整システムは、医学的手技中に、システムの種々の構成要素(例えば、エネルギー送達デバイス)の不必要な熱を低減するように、または標的組織をある温度範囲内に保つように設計される。いくつかの実施形態において、温度調整システムは、システム内で動作するように構成され、該システムは、プロセッサ、エネルギー送達デバイス、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達するための手段(例えば、電力分配器)、同調システム、および/または撮像システムを備える。いくつかの実施形態において、温度調整システムは、手技(例えば、アブレーション手技)中にエネルギー送達デバイスが移動するのを防止するために、デバイスを一時的に患者の内部組織に接着させるのに十分である温度まで、エネルギー送達デバイスを冷却するように設計される。
【0038】
いくつかの実施形態において、システムは、システム(例えば、エネルギー送達デバイス)および/または組織領域の種々の構成要素の温度または反射電力を監視するための、温度監視または反射電力監視システムをさらに備える。いくつかの実施形態において、監視システムは、例えば、温度または反射エネルギーの量が所定の値を超えた場合に、特定の組織領域へのエネルギーの送達を変化させる(例えば、止める、低減する)ように設計される。いくつかの実施形態において、温度監視システムは、組織またはエネルギー送達デバイスを好ましい温度に、または所定の温度範囲内に維持するために、特定の組織領域へのエネルギーの送達を変化させる(例えば、止める、低減する)ように設計される。
【0039】
いくつかの実施形態において、システムは、例えば、以前に使用された構成要素(例えば、無菌でないエネルギー送達デバイス)の使用を防止するように、また、システムの構成要素の性質を識別することによって、システムの他の構成要素が、適合性または最適化した機能について適切に調整され得るように構成される、識別または追跡システムをさらに備える。いくつかの実施形態において、システムは、本発明のシステムの構成要素と関連付けられるバーコードまたは他の情報伝達要素を読み取る。いくつかの実施形態では、さらなる使用を防止するために、使用に続いて、システムの構成要素間の接続を変更(例えば、中断)する。本発明は、システムで使用される構成要素の種類または用いられる用途によって限定されない。実際に、デバイスは、任意の所望の様式で構成されてもよい。同様に、システムおよびデバイスは、エネルギーが送達される任意の応用において使用されてもよい。そのような用途としては、任意のおよび全ての医学的、獣医学的、および研究的応用が挙げられる。しかしながら、本発明のシステムおよびデバイスは、農業環境、製造環境、機械的環境、またはエネルギーが送達される任意の他の応用で使用されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、システムは、エネルギーの経皮的、血管内、心臓内、腹腔鏡、または外科的送達のために構成される。同様に、いくつかの実施形態において、システムは、カテーテルを通しての、外科的に作られた孔を通しての、および/または身体オリフィス(例えば、口腔、耳、鼻、眼、膣、陰茎、肛門)を通してのエネルギー送達のために構成される(例えば、NOTES手技)。いくつかの実施形態において、システムは、標的組織または領域へのエネルギー送達のために構成される。本発明は、標的組織または領域の性質によって限定されない。用途としては、心臓不整脈の治療、腫瘍(良性および悪性)のアブレーション、手術中の出血制御、心的外傷後、任意の他の出血制御、柔組織の除去、組織の切除および採取、静脈瘤症の治療、管腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道および食道腺癌等の食道病理を治療する)、骨性腫瘍、正常な骨、および良性の骨の病態の治療、眼内用途、美容整形外科用途、脳腫瘍および電気的擾乱を含む中枢神経系病理の治療、滅菌手技(例えば、卵管のアブレーション)、ならびに任意の目的での血管または組織の焼灼が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、外科的応用は、アブレーション治療(例えば、凝固性壊死を達成する)を含む。いくつかの実施形態において、外科的応用は、標的(例えば、転移性腫瘍)に対する腫瘍アブレーションを含む。いくつかの実施形態において、デバイスは、脳、頸部、胸部、肺(例えば末梢肺)、腹部、および骨盤が挙げられるが、これらに限定されない、任意の所望の場所に、組織または生体に対して最小限の損傷で、移動させて、位置付けるために構成される。いくつかの実施形態において、システムは、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴撮像、蛍光透視等による、誘導された送達のために構成される。
【0041】
ある実施形態において、本発明は、組織領域を治療する方法を提供し、該方法は、組織領域および本明細書で説明されるシステム(例えば、エネルギー送達デバイス、ならびにプロセッサ、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、温度モニタ、撮像装置、同調システム、温度降下システム、および/またはデバイス配置システムといった構成要素のうちの少なくとも1つ)を提供することと、エネルギー送達デバイスの一部分を組織領域の近傍に位置付けることと、デバイスによってある量のエネルギーを組織領域に送達することと、を含む。いくつかの実施形態において、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、エネルギーを送達することは、例えば、血管の組織領域および/または血栓症のアブレーション、ならびに/または組織領域の電気穿孔をもたらす。いくつかの実施形態において、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、組織領域は、心臓、肝臓、生殖器、胃、肺(例えば肺の末梢)、大腸、小腸、脳、頸部、骨、腎臓、筋肉、腱、血管、前立腺、膀胱、脊髄、皮膚、静脈、指の爪、および足の爪のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態において、プロセッサは、センサから情報を受信し、システムの他の構成要素を監視および制御する。いくつかの実施形態では、所望に応じて、最適化した治療のために、電源のエネルギー出力を変化させる。2つ以上のエネルギー送達構成要素が提供されるいくつかの実施形態において、送達構成要素のそれぞれに送達されるエネルギーの量は、所望の結果を達成するために最適化される。いくつかの実施形態において、システムの温度は、温度センサによって監視され、閾値レベルに到達するか、または接近すると、温度降下システムの起動によって下げられる。いくつかの実施形態において、撮像システムは、プロセッサに情報を提供し、この情報は、システムのユーザに表示され、また、システムの出力を制御するためのフィードバックループで使用されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、エネルギーは、異なる強度で、かつデバイス内の異なる場所から組織領域に送達される。例えば、組織領域のある領域が、デバイスのある部分を通して治療される一方で、組織の他の部分が、デバイスの異なる部分を通して治療されてもよい。加えて、建設的位相干渉を達成する(例えば、放射されたエネルギーが相乗効果を達成する)ように、デバイスの2つ以上の領域が、同時に、特定の組織領域にエネルギーを送達してもよい。他の実施形態において、デバイスの2つ以上の領域は、相殺的干渉効果を達成するようにエネルギーを送達してもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、建設的位相干渉および/または相殺的位相干渉を達成する目的で、付加的なデバイスをさらに提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上のデバイス間の位相干渉(例えば、建設的位相干渉、相殺的位相干渉)は、プロセッサ、同調要素、ユーザ、および/または電力分配器によって制御される。
【0043】
本発明のシステム、デバイス、および方法は、他のシステム、デバイス、および方法と併せて使用されてもよい。例えば、本発明のシステム、デバイス、および方法は、他のアブレーションデバイス、他の医療デバイス、診断方法および試薬、撮像方法および試薬、デバイス配置システム、ならびに治療方法および薬剤とともに使用されてもよい。使用は、同時であってもよく、または別の介入の前または後に起こってもよい。本発明は、任意の他の医学的介入と併せた本発明のシステム、デバイス、および方法の使用を企図している。
【0044】
加えて、ユーザへのフィードバックを提供し、種々のシステム構成要素間での通信を可能にする、一体型のアブレーションおよび撮像システムが必要である。システムパラメータは、エネルギー送達を最適化するために、アブレーション中に調整されてもよい。加えて、ユーザは、手技がいつ成功裏に完了したのかをより正確に判定することが可能であり、治療の失敗および/または治療関連の合併症の起こり易さを低減する。
【0045】
ある実施形態において、本発明は、デバイスを提供し、該デバイスは、エネルギーを組織に送達するために構成されるアンテナを備え、該アンテナは、同軸ケーブル内に1つ以上の冷却管またはチャネルを備え、該管は、冷却剤をアンテナに送達するように構成され、該冷却剤は、その臨界点まで、またはほぼ臨界点まで圧縮される気体である。いくつかの実施形態において、冷却剤は、同軸ケーブルの誘電体材料を含む。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、誘電体空間の全部または一部を備える。デバイスは、特定の気体に限定されない。いくつかの実施形態において、気体は、CO2である。いくつかの実施形態において、1つ以上の冷却剤管またはチャネルは、同軸ケーブルの外部導体と誘電体材料との間にある。いくつかの実施形態において、1つ以上の冷却剤管またはチャネルは、同軸ケーブルの内部導体と誘電体材料との間にある。いくつかの実施形態において、多孔誘電体材料は、冷却剤が誘電体材料を通して直接流れることを可能にする。いくつかの実施形態において、1つ以上の冷却剤管またはチャネルは、内部導体内または外部導体内にある。いくつかの実施形態において、デバイスは、近位領域と、中央領域と、遠位領域とをその中に有する。いくつかの実施形態において、遠位領域は、エネルギーを組織に送達するように構成される。いくつかの実施形態において、近位領域および/または中央領域は、冷却剤管またはチャネルをその中に有する。いくつかの実施形態において、遠位部分は、冷却剤管またはチャネルを有しない。
【0046】
いくつかの実施形態において、デバイスは、1つ以上の「固着」領域をその中に有し、該領域は、例えば、エネルギー送達中にデバイスを所望の位置に固定するために、固着領域への組織の接着を促進するように構成される。いくつかの実施形態において、固着領域は、固着領域への組織の凍結を引き起こす温度を達成して、維持するように構成される。いくつかの実施形態において、固着領域は、中央領域内および/または近位領域内に位置付けられる。固着領域は、組織領域の接着を促進するための任意の特定の温度に限定されない。いくつかの実施形態において、固着領域は、冷却剤を循環させたネルギー送達デバイスの領域に接触させることを通して組織領域の接着を促進するための温度を達成して、維持する。いくつかの実施形態において、固着領域の温度は、固着領域との接触時に組織領域の接着が起こる(例えば、組織領域が固着領域上に凍結する)のに十分低い温度に維持される。固着領域は、特定の材料組成に限定されない。いくつかの実施形態において、固着領域は、例えば、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、および/またはそのような物質の任意の組み合わせである。
【0047】
いくつかの実施形態において、遠位領域および中央領域は、遠位領域の冷却を防止するように設計されたプラグ領域によって分離される。プラグ領域は、遠位領域の冷却を防止する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、その温度を下げずに、温度を下げた領域(例えば、冷却剤を循環させたエネルギー送達デバイスの中央領域)と接触するように設計される。いくつかの実施形態において、プラグ領域の材料は、その温度を大幅に下げずに、低温である材料と接触させることが可能であるもの(例えば、断熱材料)である。プラグ領域は、特定の種類の断熱材料(例えば、合成ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアイシネン(polyicynene)、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)、エーロゲル、グラスファイバー、コルク)に限定されない。いくつかの実施形態において、プラグ領域を有するデバイスは、組織を、冷却された領域(例えば、プラグ領域の近位にあるデバイスの領域)および冷却されていない領域(例えば、プラグ領域の遠位にあるデバイスの領域)に同時に曝露することを可能にする。
【0048】
ある実施形態において、本発明は、デバイスを提供し、該デバイスは、エネルギーを組織に送達するために構成されるアンテナを備え、該アンテナは、1つ以上の冷却管またはチャネルを同軸ケーブル内に備え、該同軸ケーブルは、誘電体領域を有し、該誘電体領域は、可撓性および非可撓性領域を有する。いくつかの実施形態において、可撓性領域は、プラスチックであり、非可撓性領域は、セラミックである。いくつかの実施形態において、非可撓性領域は、電力放射が最も高い場所に位置付けられる。
【0049】
ある実施形態において、本発明は、デバイスを提供し、該デバイスは、エネルギーを組織に送達するために構成されるアンテナを備え、該アンテナは、1つ以上の冷却管またはチャネルを同軸ケーブル内に備え、該デバイスは、引張りワイヤアンカーに接続される1つ以上の引張りワイヤをその中に有する。いくつかの実施形態において、引張りワイヤアンカーに接続される1つ以上の引張りワイヤの収縮は、デバイスの可撓性を低減する。いくつかの実施形態において、1つ以上の引張りワイヤは、特定の温度で湾曲するように設計される(例えば、超弾性ニチノールワイヤ)。
【0050】
いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を対象の治療部位に送達するための、システム、デバイス、および方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギーを対象のアクセス困難な領域に送達するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、気管支樹を通しての末梢肺へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、例えば、肺の中への切開術を伴わずに、または肺の外部からの進入を伴わずに、肺結節、肺腫瘍、および/または末梢肺組織上の焼灼部へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、気管および/または気管支樹(例えば一次、二次、および三次気管支、ならびに細気管支)を通しての肺結節、肺腫瘍、および/または末梢肺組織上の焼灼部へのアクセスを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、損傷を与えずに(例えば、経路に沿って組織に大きな損傷を与えずに)、肺末梢への気管支樹を通してエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を送達する。
【0051】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕本発明の一実施形態における、エネルギー送達システムの概略図である。
【0052】
〔
図2〕本発明のいくつかの実施形態における、同軸伝送線および/または誘電体素子の種々の形状を示す図である。
【0053】
〔
図3A〕デバイスの望ましくない加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する目的で、融解可能な壁によって遮断された第1および第2の材料を伴う分割されたセグメントを有する、同軸伝送線の実施形態を示す図である。
【0054】
【0055】
〔
図4A〕デバイスの望ましくない加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する第1および第2の材料(例えば、混合時に、温度を下げる化学反応を生じるように構成される材料)を含有する、融解可能な壁によって隔離された分割セグメントを有する、同軸伝送線の実施形態を示す図である。
【0056】
【0057】
〔
図5〕冷却剤チャネルを出入りする冷却剤の通過を制御するように構成されるハンドルの概略図である。
【0058】
〔
図6〕冷却剤の通路を有する同軸ケーブルの実施形態の横断面概略図である。
【0059】
〔
図7〕外部導体および誘電体材料を有するエネルギー放射デバイス内に位置付けられる、冷却剤循環管(例えば、冷却剤針、カテーテル)を示す図である。
【0060】
〔
図8〕本発明の中央給電ダイポール構成要素を備える、本発明のデバイス(例えば、アブレーションデバイスのアンテナ)の遠位端を概略的に示す図である。
【0061】
〔
図9〕温度測定ステーションの試験装置および位置を示す図である。図示されるように、全ての実験について、アブレーション針の軸は、20.5cmとした。プローブ1、2、および3は、ステンレス針の先端の近位側4、8、および12cmに位置させた。
【0062】
〔
図10〕異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、35%での治療(13:40から13:50までマイクロ波を「オン」)を示す図である。プローブ3は、最初に、空中で、肝臓組織のわずかに外側に位置させた。
【0063】
〔
図11〕異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、45%での10分間の治療(14:58から15:08までマイクロ波を「オン」)を示す図である。ステーション4のピーク温度は、40.25℃であった。
【0064】
〔
図12〕本発明の一実施形態における、冷却剤流の空間を作成するために除去されたその外部導体の領域を有する、1つの同軸ケーブルを示す図である。
【0065】
〔
図13〕流入/流出ボックス、輸送シース、および手技デバイスポッドの概略図である。
【0066】
〔
図14〕引張りワイヤアンカーと接続された2つの引張りワイヤを有する、エネルギー送達デバイスを示す図である。
【0067】
〔
図15〕非可撓性領域および可撓性領域を有する、エネルギー送達デバイスの外部透視図である。
【0068】
〔
図16〕内部導体と接続されたアンテナ内に位置付けられたより大きい同軸伝送線と接続された細い同軸伝送線を有する、エネルギー送達デバイスを示す図である。
【0069】
〔
図17〕非可撓性領域および可撓性領域を有する、エネルギー送達デバイスの断面図である。
【0070】
〔
図18〕手技テーブルストラップに接続された手技デバイスハブを示す図である。
【0071】
〔
図19〕開窓を伴う特殊滅菌ドレープおよび開窓を通して挿入されたケーブルを示す図である。
【0072】
〔
図20〕ケーブルを介して手技デバイスハブに接続された発電機を有し、手技デバイスハブが手技テーブルに固定されている、本発明のエネルギー送達システムを示す図である。
【0073】
〔
図21〕エネルギー送達デバイスによる冷却を実証する図である。アンテナの近位側7cmで測定した、アブレーション中の温度プロファイルは、冷却水による冷却が、120Wを超える入力電力によって引き起こされる加熱を除去できることを示した(上図)。冷却したアンテナ(125W、5分)で作成した3cm以下のアブレーションは、アンテナに沿っていかなる「尻尾」も示さない。セラミック管および平らに削った先端は、経皮導入を可能にする(下図)。
【0074】
〔
図22〕種々の受動的な冷却手法による、アンテナ軸に沿ってシミュレートした温度分布を示す図である。熱抵抗体および絶縁シースの組み合わせは、最も顕著に近位の温度を低減した。
【0075】
〔
図23〕等尺度で示した、正常なブタの肺において10分で作成されたマイクロ波によるアブレーション(左図)およびRFによるアブレーション(右図)を示す図である。マイクロ波アブレーションは、RFアブレーションよりも大きく、かつ球状であった。
【0076】
〔
図24〕実験装置(上図)、および35Wの熱をアンテナ軸内部で発生させている間の、アンテナ軸に沿った温度の測定結果(下図)を示す図である。軸に沿った任意の地点での温度が8℃を超えて上昇しないよう保つために、1.0L/分(stp)のCO
2流だけしか必要としなかった。10L/分(stp)では、50Wの加熱電力を打ち消すことが可能であった。
【0077】
〔
図25〕実験装置(上図)、および0、13、および23.8L/分(stp)のNC-CO
2流について、アンテナ先端を150℃に維持している間の、アンテナ軸に沿った温度の測定結果(下図)を示す図である。この試験では、加熱は、アンテナ先端からの熱伝導だけを考慮し、内部加熱は考慮しなかったことに留意されたい。
【0078】
〔
図26〕アンテナの先端からの熱伝導加熱を平衡させるのに、10秒で1L/分(stp)ほどのCO
2のパルスであることを示す図である。
【0079】
〔
図27〕時間の関数として、従来の画像解像度および高度に限定された逆投影法(HYPR)の画像解像度を示す図である。
【0080】
〔
図28〕ある期間にわたる標準腫瘍画像および高度に限定された逆投影法(HYPR)の腫瘍画像を示す図である。
【0081】
〔
図29〕エネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
【0082】
〔
図30〕エネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
【0083】
〔
図31〕手技環境内でのエネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
【0084】
〔
図32〕冷却剤として同軸伝送線の誘電体材料を使用するための種々の例示的な構成を示す図である。a)従来の同軸構成。b)誘電空間を、1つの冷却剤チャネルおよび1つの戻りチャネルに分割した構成。c)誘電体空間を、チャンバ(1つの冷却剤チャネル、1つの戻りチャネル)および2つの流れのないチャネルに分割した構成。d)誘電体空間を、2つの冷却剤チャネルおよび2つの戻りチャネルに分割した構成。e)誘電区間内に1つの冷却剤チャネルおよび1つの戻りチャネルの構成。f)誘電区間内に2つの冷却剤チャネルおよび2つの戻りチャネルの構成。g)誘電区間内に4つの冷却剤チャネルおよび4つの戻りチャネルの構成。h)冷却剤が誘電体材料を通って流れることを可能にした多孔誘電体材料。i)誘電空管を4つのチャンバに分割し、チャンバへの冷却剤流が収縮可能なチャネルを膨張させて、チャネルの断面外形を増大させる。j)収縮可能なチャネルは、冷却剤流がない状態では、収縮した形態で、その断面外形を低減させ、冷却剤流がある状態では、冷却剤チャネルを膨張させて、チャネルの断面外形を増大させる。(「C」および「R」は、潜在的な冷却剤(C)チャネルおよび戻り「R」チャネルを表す) 〔
図33〕誘電体材料がチャネルの中の内部導体と外部導体との間の空間を分割する、同軸伝送線の例示的な「ワゴンホイール」断面を示す図である。
【0085】
〔
図34〕外部シースおよび切断トロカールを載置した、例示的な「ワゴンホイール」伝送線を示す図であり、冷却剤管およびチャネルを通しての冷却剤流を示す。
【0086】
〔発明を実施するための形態〕
本発明は、医学的手技(例えば、組織アブレーション(例えば、腫瘍アブレーション)、切除、焼灼、血管血栓症、中空臓器の管腔内アブレーション、不整脈治療のための心臓アブレーション、電気外科術、組織採取、美容外科術、眼内使用等)を含む、様々な応用に関する、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギー)を組織に送達するための包括的なシステム、デバイス、および方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、マイクロ波エネルギーを送達するためのシステムを提供し、該システムは、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、プロセッサ、エネルギー放射デバイス、冷却システム、撮像システム、温度監視システム、デバイス配置システム、および/または追跡システムを備える。具体的には、本発明のエネルギー送達システムの使用を通して、アクセス困難な組織領域(例えば、末梢肺腫瘍)を治療するための、システム、デバイス、および方法が提供される。
【0087】
本発明のシステムは、種々のシステム/キットの実施形態内で組み合わせてもよい。例えば、本発明は、システムを提供し、該システムは、1つ以上の付属構成要素(例えば、手術機器、手技を援助するためのソフトウェア、プロセッサ、温度監視デバイス等)とともに、発電機、電力分配システム、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、エネルギーアプリケータ、デバイス配置システム(例えば、複数のカテーテルシステム)のうちの1つ以上を備える。本発明は、任意の特定の付属構成要素に限定されない。
【0088】
本発明のシステムは、組織領域へのエネルギー(例えば、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザ、集束超音波等)の送達を伴う、任意の医学的手技(例えば、経皮的または外科的)で使用されてもよい。システムは、特定の種類または系統の組織領域(例えば、脳、肝臓、心臓、血管、足、肺、骨等)を治療することに限定されない。例えば、本発明のシステムは、腫瘍領域(例えば、肺腫瘍(例えば、末梢肺腫瘍))のアブレーションにおける用途を見出す。付加的な治療としては、心臓不整脈の治療、腫瘍(良性および悪性)のアブレーション、手術中の出血制御、心的外傷後、任意の他の出血制御、柔組織の除去、組織の切除および採取、静脈瘤症の治療、管腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道および食道腺癌等の食道病理を治療する)、骨性腫瘍、正常な骨、および良性の骨の病態の治療、眼内用途、美容整形外科用途、脳腫瘍および電気的擾乱を含む中枢神経系病理の治療、滅菌手技(例えば、卵管のアブレーション)、ならびに任意の目的での血管または組織の焼灼が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、外科的応用は、アブレーション治療(例えば、凝固性壊死を達成する)を含む。いくつかの実施形態において、外科的応用は、標的(例えば、原発腫瘍もしくは転移性腫瘍、または末梢肺結節)に対する腫瘍アブレーションを含む。いくつかの実施形態において、外科的応用は、出血の制御(例えば、電気焼灼器)を含む。いくつかの実施形態において、外科的応用は、組織の切断または除去を含む。いくつかの実施形態において、デバイスは、脳、頸部、胸部、腹部、骨盤、および四肢が挙げられるが、これらに限定されない、任意の所望の場所に、組織または生体に対して最小限の損傷で、移動させて、位置付けるために構成される。いくつかの実施形態において、デバイスは、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴撮像、蛍光透視等による誘導された送達のために構成される。
【0089】
いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギー送達デバイスを到達困難な構造、組織領域、および/または臓器(例えば、分岐構造(例えば、ヒトの肺))に配置するための、デバイス、システム、および方法を提供する。本明細書で説明される、電力生成および分配システム、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、エネルギーアプリケータ、ならびに付属構成要素(例えば、手術機器、手技を援助するためのソフトウェア、プロセッサ、温度監視デバイス等)は、エネルギー送達デバイスをアクセスが困難な組織領域に正確に配置するためのシステム(例えば、複数のカテーテルシステム(例えば、一次カテーテル、チャネルカテーテル、および操縦可能なナビゲーションカテーテル))との用途を見出す。
【0090】
いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を送達するデバイスから対象の組織領域までの熱損失を低減するための、ならびに/またはエネルギー送達デバイス内の、およびこれに沿った望ましくない加熱を低減するための、デバイス、システム、および方法を提供する。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスからの望ましくない熱損失、ならびに/またはエネルギー送達デバイス内の、およびこれに沿った望ましくない加熱は、エネルギー送達手技の効率を損ない、標的部位を取り囲むおよび/または送達経路に沿った組織に損傷を与えることになり、標的部位での有効なエネルギー送達を達成するために、エネルギーの増加を必要とする。いくつかの実施形態において、断熱材料(例えば、多孔断熱物)、エネルギー送達デバイスに沿った冷却剤の送達、特殊なケーブル構成(例えば、1つ以上の冷却剤チャネル、膨張可能な冷却剤チャネル等)、低熱エネルギー送達プログラム(例えば、低エネルギー、パルスプログラム等)、ならびに他の好適な熱損失低減デバイスおよび/または温度降下デバイス、システム、および方法を通しての加熱および/または熱損失の低減は、本発明との用途を見出す。
【0091】
以下に提供される例示の実施形態は、医学的応用(例えば、マイクロ波エネルギーの送達による組織のアブレーション)に関して、本発明のシステムを説明する。しかしながら、本発明のシステムは、医学的応用に限定されないことを理解されたい。システムは、負荷(例えば、農業環境、製造環境、研究環境等)へのエネルギーの送達を必要とする任意の環境で使用されてもよい。例示の実施形態は、マイクロ波エネルギーに関して本発明のシステムを説明する。本発明のシステムは、特定の種類のエネルギー(例えば、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、集束超音波エネルギー、レーザ、プラズマ)に限定されないことを理解されたい。
【0092】
本発明のシステムは、任意の特定の構成要素または構成要素の数に限定されない。いくつかの実施形態において、本発明のシステムは、電源、電力を方向付ける、制御する、送達する手段(例えば、電力分配器)、プロセッサ、アンテナを伴うエネルギー送達デバイス、冷却システム、撮像システム、デバイス配置システム、および/または追跡システムを含むが、これらに限定されない。複数のアンテナを使用するときに、本システムは、各アンテナを別に個別に制御するために使用されてもよい。
【0093】
図1は、本発明の例示的なシステムを示す。図示されるように、エネルギー送達システムは、電源と、伝送線と、電力分配構成要素(例えば、電力分配器)と、プロセッサと、撮像システムと、温度監視システムと、エネルギー送達デバイスとを備える。いくつかの実施形態において、図示されるように、エネルギー送達システムの構成要素は、伝送線、ケーブル等を介して接続される。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、電源、電力を方向付ける、制御する、および送達する手段(例えば、電力分配器)、プロセッサ、撮像システム、滅菌野障壁全体にわたる温度監視システムから分離される。
【0094】
エネルギー送達システムの例示的な構成要素は、以下の節でさらに詳細に説明される。I.電源、II.エネルギー送達デバイス、III.プロセッサ、IV.撮像システム、V.同調システム、VI.温度調整システム、VII.識別システム、VIII.温度を監視しているデバイス、IX.手技デバイスハブ、X.用途、およびXI.デバイス配置システム。
【0095】
I.電源
本発明のエネルギー送達システム内で利用されるエネルギーは、電源を通して供給される。本発明は、特定の種類または系統の電源に限定されない。いくつかの実施形態において、電源は、エネルギーを本発明のエネルギー送達システムの1つ以上の構成要素(例えば、アブレーションデバイス)に提供するように構成される。電源は、特定の種類のエネルギー(例えば、高周波エネルギー、マイクロ波エネルギー、放射線エネルギー、レーザ、集束超音波等)を提供することに限定されない。電源は、特定の量のエネルギーを提供すること、または特定の送達速度で提供することに限定されない。いくつかの実施形態において、電源は、組織のアブレーションの目的で、エネルギーをエネルギー送達デバイスに提供するように構成される。
【0096】
本発明は、特定の種類の電源に限定されない。いくつかの実施形態において、電源は、任意の所望の種類のエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギー、放射線エネルギー、低温エネルギー、電気穿孔、高密度焦点式超音波、および/またはこれらの混合物)を提供する。いくつかの実施形態において、電源によって提供されるエネルギーの種類は、マイクロ波エネルギーである。いくつかの実施形態において、電源は、組織のアブレーションの目的でマイクロ波エネルギーをアブレーションデバイスに提供する。組織のアブレーションのマイクロ波エネルギーの使用は、数多くの利点を有する。例えば、マイクロ波は、広い電力密度の場(例えば、印加されるエネルギーの波長に応じて、アンテナの周囲約2cm)を有し、それに応じた広い区域の能動的加熱を伴い、それによって、標的区域内および血管周囲の領域のどちらにおいても均一な組織アブレーションを可能にする(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2006/004585号を参照されたい)。加えて、マイクロ波エネルギーは、より迅速な組織加熱を伴う複数のプローブを使用して、組織の大きいまたは複数の区域をアブレーションする能力を有する。マイクロ波エネルギーは、より少ない表面の加熱で、組織に浸透して深い焼灼部を作成する能力を有する。エネルギー送達時間は、高周波エネルギーによるものよりも短く、プローブは、十分に組織を加熱して、予測可能かつ深度制御可能な、均一で対称な焼灼部を作成することができる。マイクロ波エネルギーは、一般に、血管の近くで使用しても安全である。また、マイクロ波は、組織、流体および血液、ならびに空気を通して放射されるときに、電気伝導に依存しない。したがって、マイクロ波エネルギーは、組織、管腔、肺、および経脈管的に使用することができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、電源は、エネルギー発電機である。いくつかの実施形態において、発電機は、915MHz~5.8GHzの周波数で、100ワット程度のマイクロ波電力を提供するように構成されるが、本発明はそのように限定されない。いくつかの実施形態では、マイクロ波オーブンで一般的に使用されている種類の従来のマグネトロンが、発電機として選択される。いくつかの実施形態では、単一マグネトロンに基づく発電機(例えば、単一のチャネル、または複数に分けたチャネルを通して300Wを出力する能力を伴う)が利用される。しかしながら、任意の他の好適なマイクロ波電源と置き換えることができることを理解されたい。いくつかの実施形態において、発電機の種類としては、Cober-Muegge,LLC,Norwalk,Connecticut,USA、Sairem generators、およびGerling Applied
Engineering generatorsから入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、発電機は、少なくとも約60ワット(例えば、50、55、56、57、58、59、60、61、62、65、70、100、500、1000ワット)が利用可能である。より高い電力での動作のために、発電機は、約300ワット(例えば、200ワット、280、290、300、310、320、350、400、750ワット)を提供することが可能である。複数のアンテナが使用されるいくつかの実施形態において、発電機は、必要とされるエネルギー(例えば、400ワット、500、750、1,000、2,000、10,000ワット)を提供することが可能である。いくつかの実施形態において、発電機は、別々に動作させて位相制御することができる、固体増幅器モジュールを備える。いくつかの実施形態において、発電機出力は、総出力を増加させるように建設的に組み合わせられる。いくつかの実施形態において、電源は、(例えば、発電機から受け取った)エネルギーを電力分配システムで分配する。本発明は、特定の電力分配システムに限定されない。いくつかの実施形態において、電力分配システムは、組織アブレーションの目的で、エネルギーをエネルギー送達デバイス(例えば、組織アブレーションカテーテル)に提供するように構成される。電力分配システムは、例えば、発電機からエネルギーを受け取る特定の様式に限定されない。電力分配システムは、エネルギーをアブレーションデバイスに提供する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、電力分配システムは、エネルギー送達デバイス(例えば、組織アブレーションカテーテル)の特性インピーダンスと一致するように、発電機の特性インピーダンスを変換する。
【0098】
いくつかの実施形態において、電力分配システムは、様々なエネルギーレベルを、エネルギー送達デバイスの異なる領域に、または異なるエネルギー送達デバイス(例えば、組織アブレーションカテーテル)に提供するために、可変電力分配器とともに構成される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、システムの別の構成要素として提供される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、別のエネルギー信号を複数のエネルギー送達デバイスに供給するために使用される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、例えば、デバイスの1つが、温度による撓みの増大の結果として負荷の増大を受けた場合に、そのユニットに送達されるエネルギーを変化させる一方で、別のデバイスに送達されるエネルギーは変化させないように、各エネルギー送達デバイスに送達されるエネルギーを電気的に分離する。本発明は、特定の種類または系統の電力分配器に限定されない。いくつかの実施形態において、電力分配器は、SMエレクトロニクスによって設計される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、電力発生器からエネルギーを受容し、エネルギーを付加的なシステム構成要素(例えば、エネルギー送達デバイス)に提供するように構成される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、7、10、15、20、25、50、100、500~)の付加的なシステム構成要素と接続することが可能である。いくつかの実施形態において、電力分配器は、デバイスの異なる領域から可変量のエネルギーを送達する目的で、エネルギーをエネルギー送達デバイス内の異なる領域に送達するように構成される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、組織領域を治療する目的で、可変量のエネルギーを複数のエネルギー送達デバイスに提供するために使用される。いくつかの実施形態において、電力分配器は、システム内で動作するように構成され、該システムは、プロセッサ、エネルギー送達デバイス、温度調整システム、電力分配器、同調システム、および/または撮像システムを備える。いくつかの実施形態において、電力分配器は、最大発電機出力プラス、例えば、25%(例えば、20%、30%、50%)を扱うことが可能である。いくつかの実施形態において、電力分配器は、1000ワット定格の2~4チャネル電力分配器である。
【0099】
複数のアンテナが用いられるいくつかの実施形態において、本発明のシステムは、該アンテナを同時または順に延ばす(例えば、切り替えと共に)ように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、建設的干渉または相殺的干渉のために、場を位相整合するように構成される。位相整合は、単一のアンテナ内の異なる要素に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のアンテナが同時に作動し、位相が制御され、次いで、新しい一組のアンテナに切り替えられるように、切り替えが位相整合と組み合わせられる(例えば、切り替えは、完全に逐次的である必要はない)。いくつかの実施形態において、位相制御は、正確に達成される。いくつかの実施形態において、位相は、空間および時間における建設的干渉または相殺的干渉の領域を移動させるように、連続的に調整される。いくつかの実施形態において、位相は、ランダムに調整される。いくつかの実施形態において、ランダムな位相調整は、機械的干渉および/または磁気的干渉によって行われる。
【0100】
II.エネルギー送達デバイス
本発明のエネルギー送達システムは、エネルギーを送達する(例えば、放射する)ように構成される任意の種類のデバイス(例えば、アブレーションデバイス、外科的デバイス等)の使用を企図している(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,101,369号、第7,033,352号、第6,893,436号、第6,878,147号、第6,823,218号、第6,817,999号、第6,635,055号、第6,471,696号、第6,383,182号、第6,312,427号、第6,287,302号、第6,277,113号、第6,251,128号、第6,245,062号、第6,026,331号、第6,016,811号、第5,810,803号、第5,800,494号、第5,788,692号、第5,405,346号、第4,494,539号、米国特許出願第11/728,460号、第11/728,457号、第11/728,428号、第11/237,136号、第11/236,985号、第10/980,699号、第10/961,994号、第10/961,761号、第10/834,802号、第10/370,179号、第09/847,181号、英国特許出願第2,406,521号、第2,388,039号、欧州特許第1395190号、および国際特許出願第WO06/008481号、第WO06/002943号、第WO05/034783号、第WO04/112628号、第WO04/033039号、第WO04/026122号、第WO03/088858号、第WO03/039385号、第WO95/04385号を参照されたい)。そのようなデバイスとしては、エネルギーを放射するために構成される任意のおよび全ての医学的、獣医学的、および研究的応用デバイス、ならびに農業環境、製造環境、機械的環境、またはエネルギーが送達される任意の他の応用で使用されるデバイスが挙げられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、システムは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、高周波エネルギー、放射線エネルギー)を放射するように構成されるアンテナをその中に有する、エネルギー送達デバイスを利用する。システムは、特定の種類または設計のアンテナに限定されない(例えば、アブレーションデバイス、外科的デバイス等)。いくつかの実施形態において、システムは、直線状のアンテナを有する、エネルギー送達デバイスを利用する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,878,147号、第4,494,539号、米国特許出願第11/728,460号、第11/728,457号、第11/728,428号、第10/961,994号、第10/961,761号、および国際特許出願第WO03/039385号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、システムは、非直線状のアンテナを有する、エネルギー送達デバイスを利用する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,251,128号、第6,016,811号、および第5,800,494号、米国特許出願第09/847,181号、ならびに国際特許出願第WO03/088858号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、アンテナは、角状の反射構成要素を有する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,527,768号、第6,287,302号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、アンテナは、指向性反射遮蔽体を有する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,312,427号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、アンテナは、エネルギー送達デバイスを特定の組織領域内に固定するために、固定構成要素をその中に有する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,364,876号および第5,741,249号を参照されたい)。
【0102】
いくつかの実施形態において、エネルギーを放射するように構成されるアンテナは、同軸伝送線を備える。デバイスは、特定の構成の同軸伝送線に限定されない。同軸伝送線の例としては、Pasternack、Micro-coax、およびSRC Cablesによって開発された同軸伝送線が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、同軸伝送線は、中央導体と、誘電体素子と、外部導体(例えば、外部遮蔽体)とを有する。いくつかの実施形態において、システムは、(例えば、肺静脈の周囲に、または環状構造を通して位置付ける目的で)可撓性同軸伝送線を有するアンテナを利用する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,033,352号、第6,893,436号、第6,817,999号、第6,251,128号、第5,810,803号、第5,800,494号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、システムは、剛性同軸伝送線を有するアンテナを利用する(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,878,147号、米国特許出願第10/961,994号、第10/961,761号、国際特許出願第WO03/039385号を参照されたい)。
【0103】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、アンテナ内に位置付けられる同軸伝送線と、アンテナと接続している同軸伝送線とを有する。いくつかの実施形態において、アンテナ内の同軸伝送線のサイズは、アンテナと接続される同軸伝送線よりも大きい。アンテナ内の同軸伝送線およびアンテナと接続している同軸伝送線は、特定のサイズに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナと接続される同軸伝送線がほぼ0.032インチ(約0.813mm)であるのに対して、アンテナ内の同軸伝送線のサイズは、0.032インチより大きい(例えば、0.05インチ(約1.27mm)、0.075(約1.905mm)インチ、0.1インチ(約2.54mm)、0.5インチ(約12.7mm))。いくつかの実施形態において、アンテナ内の同軸伝送線は、硬くて厚い内部導体を有する。いくつかの実施形態において、アンテナ内の同軸伝送線の端部は、経皮的な使用のために鋭利である。いくつかの実施形態において、アンテナ内の同軸伝送線の誘電体被覆は、(例えば、カニューレから内部導体(例えば、薄くて鋭利な内部導体)への平滑な遷移の目的で)PTFEである。
図16は、内部導体1640と接続されるアンテナ1630内に位置付けられるより大きい同軸伝送線1620と接続される細い同軸伝送線1610を有する、エネルギー送達デバイス1600を示す。
【0104】
本発明は、特定の同軸伝送線の形状に限定されない。実際に、いくつかの実施形態において、同軸伝送線および/または誘電体素子の形状は、特定の必要性に合わせるように選択され、および/または調整可能である。
図2は、同軸伝送線および/または誘電体素子がとり得る種々の、限定的でない形状のいくつかを示す。
【0105】
いくつかの実施形態において、外部導体は、20ゲージ針または20ゲージ針に類似した直径の構成要素である。好ましくは、経皮的な使用のために、外部導体は、17ゲージ針よりも小さい(例えば、16ゲージ針と同程度の大きさである)。いくつかの実施形態において、外部導体は、17ゲージ針である。しかしながら、いくつかの実施形態において、所望に応じて、より大きいデバイスが使用される。例えば、いくつかの実施形態において、12ゲージの直径が使用される。本発明は、外部導体のサイズによって限定されない。いくつかの実施形態において、外部導体は、医学的手技を援助する(例えば、組織生検を援助する)目的で、一連のより大きい針内に嵌合するように構成される(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,652,520号、第6,582,486号、第6,355,033号、第6,306,132号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、中央導体は、エネルギーを所望の場所に送達する目的で、外部導体を超えて延在するように構成される。いくつかの実施形態において、給電線の特性インピーダンスの一部もしくは全部は、その遠位端で終わるアンテナの種類に関わりなく、電力散逸を最小にするように最適化される。
【0106】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、3軸伝送線を有する。いくつかの実施形態において、本発明は、3軸マイクロ波プローブ設計を提供し、外部導体は、伝送線を通して反射されるエネルギーを低減するために、アンテナの改善された同調を可能にする。この改善された同調は、伝送線の加熱を低減してより多くの電力を組織に印加することを可能にし、および/またはより小さい(例えば、より細い)伝送線の使用を可能にする。さらに、外部導体は、同調の調整を可能にして、組織が同調に及ぼす影響を修正するように、内部導体に対して摺動してもよい。いくつかの実施形態において、外部導体は、内部導体に対して静止している。いくつかの実施形態において、本発明は、第1の導体と、第1の導体を同軸状に囲むが第1の導体から絶縁される(例えば、誘電体材料および/または冷却剤によって絶縁される)管状の第2の導体とを有する、プローブを提供する。管状の第3の導体は、第1および第2の導体の周囲で同軸状に嵌合される。第1の導体は、プローブの近位端が身体の中に挿入されたときに、第2の導体を超えて組織の中に延在してもよい。第2の導体は、第1および第2の導体の露出部分のプローブ外側で放散する電力を制限する、プローブの改善された同調を提供するように、第3の導体を超えて組織の中に延在してもよい。第3の管状の導体は、身体の中への挿入のためのチャネルカテーテルであってもよく、またはチャネルカテーテルと別であってもよい。いくつかの実施形態において、第1、第2、および第3の導体を備えるデバイスは、曲折した経路を(例えば、対象内の分岐構造を通して(例えば、上腕木を通して)ナビゲートするのに十分に可撓性である。いくつかの実施形態において、第1および第2の導体は、第3の導体内で摺動可能に嵌合し得る。いくつかの実施形態において、本発明は、第3の導体の内側で第1および第2の導体を摺動させることによって組織内のプローブの同調を容易にする、プローブを提供する。いくつかの実施形態において、プローブは、第3の導体に対して第1および第2の導体の摺動場所を調整可能に係止するように第3の導体に取り付けられる、係止具を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,101,369号、米国特許出願第2007/0016180号、米国特許出願第2008/0033424号、米国特許出願第20100045558号、米国特許出願第20100045559号で説明されるような、3軸伝送線を提供する。
【0107】
いくつかの実施形態において、同軸伝送線または3軸伝送線の1つ以上の構成要素は、可撓性および/または収縮可能な材料(例えば、2軸配向のポリエチレンテレフタレート(boPET)(例えば、MYLAR、MELINEX、HOSTAPHAN等)等)を含む。いくつかの実施形態において、同軸伝送線の外部導体(または3軸伝送線の第2の(中間)導体)は、可撓性および/または収縮可能な材料(例えばboPET)を含む。いくつかの実施形態において、同軸伝送線(例えば、外部導体)の構成要素は、所望の特性(例えば電気伝導度、熱絶縁等)を提供するために、1つ以上の膜で被覆されるboPETを含む。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、伝送線が、可変断面外形(例えば、可変直径、可変形状等)をとることを可能にする(例えば、
図32Iおよび32Jを参照されたい)。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、内部導体を囲む。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、内部導体の周囲で閉じた袋を形成する。いくつかの実施形態において、その可変断面外形を調整するために、流体(例えば、誘電体材料および/または冷却剤)を収縮可能な外部導体を通して流すことができる。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、流体が外部導体内の領域から引き出され、外部導体内の圧力が減少したときに、収縮した形態をとる。いくつかの実施形態では、収縮形態において、外部導体は、最小化された断面外形を示す(例えば、
図32Iおよび32Jを参照されたい)。いくつかの実施形態では、収縮形態において、外部導体は、内部導体の外周を密に抱え込む(32Jを参照されたい)。いくつかの実施形態において、収縮形態は、同軸伝送線の挿入、配置、および/または引き出しを補助するように、縮小した断面外形および/または増大した可撓性を提供する。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、流体が外部導体内の領域の中に流れ、それによって、外部導体内の圧力が増大したときに、膨張した形態をとる。いくつかの実施形態では、膨張形態において、外部導体は、最大化された断面外形を示す。いくつかの実施形態では、膨張形態において、内部導体と外部導体との間の距離が最大となる。いくつかの実施形態において、膨張形態は、同軸伝送線に沿ったエネルギーの送達を補助するように、増大した断面外形および/または最適化した導電を提供する。いくつかの実施形態において、膨張形態は、同軸伝送線に沿って増加した冷却剤の容積を提供する。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、膨張形態において任意の好適な形状をとる。いくつかの実施形態において、同軸伝送線は、管腔を通って延び、その形状は、収縮可能な外部導体の膨張した形状を決定する。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、収縮形態において任意の好適な形状をとる。いくつかの実施形態において、誘電体材料の形状または構成は、収縮可能な外部導体の収縮した形状を決定する。いくつかの実施形態において、収縮可能な外部導体は、本明細書で説明されるように、冷却剤シースも備える。
【0108】
いくつかの実施形態において、誘電体材料は、チャネル(例えば、空気チャネル、冷却剤チャネル、空のチャネル等)を誘電体空間内に提供するように提供するように成形される(
図33を参照されたい)。いくつかの実施形態において、チャネルは、誘電体材料によって、完全にまたは部分的に包含される。いくつかの実施形態において、誘電体材料は、「ワゴンホイール」形態を作成するために、誘電体空間をチャネルに分割する(
図33および
図34を参照されたい)。いくつかの実施形態において、誘電体材料は、誘電体空間(例えば、内部導体と外部との間の空間)を1つ以上のチャネル(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のチャネル)に分割する。いくつかの実施形態において、誘電体空間内のチャネルは、冷却剤チャネルとしての役割を果たす。いくつかの実施形態において、誘電体空間内のチャネルは、冷却剤管を収容する。いくつかの実施形態において、チャネル内の冷却剤管は、伝送線に沿って冷却剤を送達し、冷却剤チャネルは、戻り経路を伝送線の近位端に提供する(例えば、
図34を参照されたい)。いくつかの実施形態において、チャネルは、複数の冷却剤管(例えば、冷却剤管および戻り管)を備える。いくつかの実施形態において、誘電体材料によって形成されるチャネルは、非金属充填剤を含む。いくつかの実施形態において、非金属充填剤は、(例えば、外部導体の端部を超えて)伝送線の遠位領域内のチャネルの中に存在する。
【0109】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスには、近位部分および遠位部分が提供され、遠位部分は、取り外し可能であり、かつコア近位部分に取り付けることができる種々の異なる構成で提供される。例えば、いくつかの実施形態において、近位部分は、ハンドルと、システムの他の構成要素(例えば、電源)へのインターフェースとを備え、遠位部分は、所望の性質を有する取り外し可能なアンテナを備える。異なる用途のために構成される複数の異なるアンテナが提供されて、適切な指示のためのハンドルユニットに取り付けられてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、複数の(例えば、1つを超える)(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、10、20等の)同軸伝送線および/または3軸伝送線が、長期間にわたる大量のエネルギー送達の目的で、各エネルギー送達デバイス内に位置付けられる。本発明のための実施形態を開発する過程で行われた実験では、3つのより小電力の同軸伝送線(例えば、同じプローブ内に位置付けられる)(例えば、13ゲージ針内)が、1つのより大電力の同軸伝送線を有するエネルギー送達デバイスよりも、長期間にわたってより大量のエネルギーを送達することが可能であると判定された。
【0111】
いくつかの実施形態において、デバイスは、取り外し可能なハンドルを取り付けるように構成される。本発明は、特定の種類の取り外し可能なハンドルに限定されない。いくつかの実施形態において、取り外し可能なハンドルは、そのようなデバイスを通してのエネルギーの送達を制御する目的で、複数のデバイス(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、10個、20個、50個~)を接続するように構成される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、電力をエネルギー送達デバイスに提供するための電力増幅器を考慮して設計される。
【0112】
いくつかの実施形態において、デバイスは、エネルギー送達の目的で、特定の組織領域を物理的に囲むように設計される(例えば、デバイスは、特定の組織領域の周囲で可撓的に成形されてもよい)。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは、エネルギーを組織内の正確な領域に送達する目的で、血管(例えば、肺静脈)の周囲で可撓的に成形されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、圧縮力への曝露時に形状を保持するために構成される。エネルギー送達デバイスは、圧縮力への曝露時に形状を保持するための特定の構成に限定されない。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、圧縮時に形状を保持する目的で、引張りワイヤシステムをその中に有する。本発明は、特定の種類の引張りワイヤシステムに限定されない。いくつかの実施形態において、引張りワイヤシステムは、引張りワイヤアンカーと接続される1つ以上の引張りワイヤ(例えば、1つの引張りワイヤ、2つの引張りワイヤ、5つの引張りワイヤ、10の引張りワイヤ、50の引張りワイヤ)を備える。いくつかの実施形態において、引張りワイヤアンカーに接続された1つ以上の引張りワイヤの収縮(押すこと、引くこと)(例えば、ユーザによる収縮)は、エネルギー送達デバイスによる非可撓性状態という前提をもたらし、よって、エネルギー送達デバイスは、圧縮力への曝露時にその形状を保持する。いくつかの実施形態において、引張りワイヤは、収縮した位置で係止することができる。いくつかの実施形態において、引張りワイヤアンカーと接続した1つ以上の引張りワイヤを有するエネルギー送達デバイスは、引張りワイヤ収縮を使用せずに可撓性を保持する。
図14は、引張りワイヤアンカー1430と接続される2つの引張りワイヤ1410、1420を有する、エネルギー送達デバイス1400を示す。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、圧縮応力が与えられ、それによって、一定の非可撓性形状を提供する対称パターンで配列される、3つ以上の引張りワイヤを有する。いくつかの実施形態において、引張りワイヤは、刺激(例えば、電気刺激、圧縮刺激)に応答して、自動的に収縮するように構成される(例えば、筋肉ワイヤ)。いくつかの実施形態において、引張りワイヤは、圧縮力(例えば、反作用力)に応答して、平衡力を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、引張りワイヤは、特定の温度で湾曲するように設計される(例えば、超弾性ニチノールワイヤ)。いくつかの実施形態において、特定の温度での引張りワイヤの湾曲は、手技の状態を監視するために使用することができる、検出可能な事象である。
【0114】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、可撓性領域および非可撓性領域を有するように構成される。エネルギー送達デバイスは、可撓性領域および非可撓性領域を有するための特定の構成に限定されない。いくつかの実施形態において、可撓性領域は、プラスチック(例えば、PEEK)を含む。いくつかの実施形態において、非可撓性領域は、セラミックを含む。可撓性領域および非可撓性領域は、エネルギー送達デバイス内の特定の位置に限定されない。いくつかの実施形態において、可撓性領域は、より少量のマイクロ波場の放射を受ける領域に位置付けられる。いくつかの実施形態において、非可撓性領域は、大量のマイクロ波場の放射を受ける領域に位置付けられる(例えば、誘電強度および機械的剛性を提供するために、アンテナの近位部分上に位置する)。
図15は、非可撓性領域1510および1520(例えば、セラミック)と、可撓性領域1530(例えば、PEEK)とを有する、エネルギー送達デバイス1500の外部透視図を示す。
図17は、非可撓性領域1710および1720と、可撓性領域1730とを有する、エネルギー送達デバイス1700の断面を示す。図示されるように、非可撓性領域1710および1720は、例えば、カニューレとともに湾曲させるためのより大きい表面積を提供するために、および例えば、より大きい表面積にわたって湾曲力からの応力を分配するために、徐々に先細になる。図示されるように、可撓性領域1730は、その大径サイズにより強度を改善する目的で、接合部の外側に位置付けられる。いくつかの実施形態において、非可撓性領域の徐々の先細部は、付加的な強度を提供するために、結合材料で充填される。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、付加的な耐久性を提供するために、遠位部分(例えば、アンテナ)上に熱収縮を有する。
【0115】
いくつかの実施形態において、アンテナの材料は、耐久性があり、かつ高誘電率を提供する。いくつかの実施形態において、アンテナの材料は、ジルコニウムまたはジルコニウムの機能的均等物である。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、同一であるかまたは異なる電源に取り付けられる、2つ以上の別個のアンテナとして提供される。いくつかの実施形態では、異なるアンテナが同じハンドルに取り付けられるが、他の実施形態では、異なるハンドルが各アンテナに提供される。いくつかの実施形態では、患者内で所望の密度および幾何学的配置のエネルギーを送達するために、複数のアンテナが患者内で同時にまたは連続的に(例えば、切り替えて)使用される。いくつかの実施形態において、アンテナは、個別に制御可能である。いくつかの実施形態では、単一のユーザによって、コンピュータによって、または、複数のユーザによって、複数のアンテナを動作させてもよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、滅菌野内で動作するように設計される。本発明は、特定の滅菌野環境に限定されない。いくつかの実施形態において、滅菌野は、対象を囲む領域(例えば、手術台)を含む。いくつかの実施形態において、滅菌野は、滅菌された品目(例えば、滅菌されたデバイス、滅菌された補助薬剤、滅菌された身体部分)だけに対してアクセスを許可する任意の領域を含む。いくつかの実施形態において、滅菌野は、病原体感染を受け易い任意の領域を含む。いくつかの実施形態において、滅菌野は、滅菌野と非滅菌野との間に障壁を確立する、滅菌野障壁をその中に有する。本発明は、特定の滅菌野障壁に限定されない。いくつかの実施形態において、滅菌野障壁は、本発明のシステムを伴う手技(例えば、組織アブレーション)を受ける対象を囲むドレープである。いくつかの実施形態において、部屋は、無菌であり、滅菌野を提供する。いくつかの実施形態において、滅菌野障壁は、本発明のシステムのユーザ(例えば、医師)によって確立される。いくつかの実施形態において、滅菌野障壁は、滅菌野に非滅菌品目が進入するのを阻止する。いくつかの実施形態では、エネルギー送達デバイスは、滅菌野に提供されるが、システムの1つ以上の他の構成要素(例えば、電源)は、滅菌野の中に含まれない。
【0117】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギー送達デバイスの誤用を防止するように設計された保護センサをその中に有する。エネルギー送達デバイスは、特定の種類または系統の保護センサに限定されない。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、例えば、エネルギー送達デバイスの、および/またはエネルギー送達デバイスに接触している組織の温度を測定するように設計される、温度センサをその中に有する。いくつかの実施形態において、センサは、温度があるレベルに到達したときに、例えばプロセッサを介して、ユーザに警告を通知する。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギー送達デバイスと皮膚(例えば、皮膚の外面)との接触を検出するように設計される、皮膚接触センサをその中に有する。いくつかの実施形態において、皮膚接触センサは、望ましくない皮膚との接触に応じて、例えばプロセッサを介して、ユーザに警告を通知する。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギー送達デバイスと周囲空気との接触を検出(例えば、デバイスを通過する反射電力の測定を通じて検出)するように設計される、空気接触センサをその中に有する。いくつかの実施形態において、皮膚接触センサは、望ましくない空気との接触に応じて、例えばプロセッサを介して、ユーザに警告を通知する。いくつかの実施形態において、センサは、望ましくない出来事(例えば、皮膚との接触、空気との接触、望ましくない温度の上昇/降下)の検出に応じて、(例えば、電力の送達を低減または防止することによって)エネルギー送達デバイスの使用を阻止するように設計される。いくつかの実施形態において、センサは、望ましくない出来事がない場合にプロセッサが通知(例えば、緑色光)を表示するように、プロセッサと通信する。いくつかの実施形態において、センサは、望ましくない出来事があった場合にプロセッサが通知(例えば、赤色光)を表示して、望ましくない出来事を識別するように、プロセッサと通信する。
【0118】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、製造業者が推奨する電力定格を超えて使用される。いくつかの実施形態では、より高い電力送達を可能にするために、本明細書で説明される冷却手法が適用される。本発明は、特定の量の電力増加に限定されない。いくつかの実施形態において、電力定格は、製造業者の推奨を5倍以上(例えば、5倍、6倍、10倍、15倍、20倍等)超える。
【0119】
加えて、本発明のデバイスは、異なる時間に(例えば、ユーザによって制御される)、異なるエネルギー密度で(例えば、ユーザによって制御される)、デバイスの異なる領域(例えば、以下でさらに詳細に説明する、外部導体セグメントの間隙)からエネルギーを送達するように構成される。デバイス上でのそのような制御は、特定の組織領域での建設的位相干渉または特定の組織領域での相殺的位相干渉を達成する目的で、エネルギー送達場の位相調整を可能にする。例えば、ユーザは、組み合わせたエネルギー強度(例えば、建設的位相干渉)を達成するために、2つ(または2つ以上)の密に位置付けられた外部導体セグメントを通してのエネルギー送達を用いてもよい。そのような組み合わせたエネルギー強度は、特に深いまたは密集した組織領域において有用であり得る。加えて、そのような組み合わせたエネルギー強度は、2つ(または2つ以上)のデバイスの利用を通して達成されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のデバイス間の位相干渉(例えば、建設的位相干渉、相殺的位相干渉)は、プロセッサ、同調要素、ユーザ、および/または電力分配器によって制御される。したがって、ユーザは、正確にアブレーション区域を彫刻する目的で、デバイスの異なる領域を通してのエネルギーの放出を制御すること、およびデバイスの各領域を通して送達されるエネルギー量を制御することが可能である。
【0120】
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、最適化した特性インピーダンスを伴うエネルギー送達デバイス、3軸設計、冷却通路チャネルを有するエネルギー送達デバイス、「ワゴンホイール」断面、誘電体材料としての役割を果たす冷却剤流体、多孔誘電体材料、中央給電ダイポールを伴うエネルギー送達デバイス、および/または直線配列のアンテナ構成要素を有するエネルギー送達デバイスを利用する(それぞれ、上記および下記でさらに詳細に説明する)。
【0121】
本発明は、デバイスを冷却するための、様々な方法を提供する。いくつかの実施形態は、融解時に、吸熱反応を行う化学物質が接触するのを可能にする、融解可能な障壁を用いる。そのような実施形態の実施例を
図3に示す。
図3Aおよび3Bは、望ましくないデバイスの加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する目的で、融解可能な壁によって遮断された第1および第2の材料を伴う分割されたセグメントを有する、同軸伝送線(例えば、チャネル)の領域を示す。
図3Aおよび3Bは、本発明のエネルギー送達デバイスのいずれかの中で使用するために構成される、標準同軸伝送線300を示す。
図3Aに示されるように、同軸伝送線300は、中央導体310と、誘電体材料320と、外部導体330とを有する。加えて、同軸伝送線300は、壁350(例えば、融解可能な蝋壁)によって隔離された、4つの分割されたセグメント340をその中に有する。分割されたセグメント340は、第1の分割されたセグメント360および第2の分割されたセグメント370に分割される。いくつかの実施形態において、
図3Aに示されるように、第1の分割されたセグメント360および第2の分割されたセグメント370は、連続的に千鳥状にされる。
図3Aに示されるように、第1の分割されたセグメント360は、第1の材料(陰影タイプ1)を含有し、第2の分割されたセグメント370は、第2の材料(陰影タイプ2)を含有する。壁350は、第1の材料および第2の材料が混合するのを防止する。
図3Bは、事象(例えば、分割されたセグメント340の1つの温度上昇)後の、
図3Aで説明される同軸伝送線300を示す。図示されるように、壁350の1つが融解し、それによって、領域360に含有される第1の材料および領域370に含有される第2の材料が混合するのを可能にする。
図3Bは、ある温度閾値を超えた温度上昇が発生しなかった、融解していない壁350をさらに示す。
【0122】
図4は、代替の実施形態を示す。
図4Aおよび4Bは、望ましくないデバイスの加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する第1および第2の材料(例えば、混合時に、温度降下化学物質反応を生じさせるように構成される、材料)を含有する、融解可能な壁によって隔離された、分割されたセグメントを有する、同軸伝送線の実施形態を示す。
図4Aおよび4Bは、本発明のエネルギー送達デバイスのいずれかの中で使用するために構成される、同軸伝送線400を示す。
図4Aに示されるように、同軸伝送線400は、中央導体410と、誘電体材料420と、外部導体430とを有する。加えて、同軸伝送線400は、壁450によって隔離された、4つの分割されたセグメント440をその中に有する。壁450は、それぞれ、第2の材料470から分離された、第1の材料460を含有する。
図4Bは、事象(例えば、分割されたセグメント440の1つの温度上昇)後の、
図4Aで説明される同軸伝送線400を示す。図示されるように、壁450の1つが融解し、それによって、隣接する分割されたセグメント440内で第1の材料460および第2の材料470が混合するのを可能にする。
図4Bは、ある温度閾値を超えた温度上昇が発生しなかった、融解していない壁450をさらに示す。
【0123】
いくつかの実施形態において、デバイスは、特定の組織領域でアンテナを固定するための、アンカー要素をさらに備える。デバイスは、特定の種類のアンカー要素に限定されない。いくつかの実施形態において、アンカー要素は、膨張可能なバルーンである(例えば、バルーンの膨張は、アンテナを特定の組織領域に固定する)。膨張可能なバルーンをアンカー要素として利用する付加的な利点は、バルーンの膨張時の特定領域に対する血流または空気流の阻止である。そのような空気流または血流の阻止は、例えば、心臓アブレーション手技、ならびに肺組織、血管組織、および胃腸組織を伴うアブレーション手技で特に有用である。いくつかの実施形態において、アンカー要素は、特定の組織領域に係合(例えば、その上にラッチ係合)するように設計される、アンテナの延長部である。さらなる例としては、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,364,876号、および第5,741,249号で説明されるアンカー要素が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、アンカー要素は、アンテナと組織との間の界面で凍結し、それによってアンテナを所定の位置に固着させる、循環剤(例えば、その臨界点で、またはほぼ臨界点で送達されるガス(CO2))を有する。そのような実施形態において、組織が融解するにつれて、アンテナは、組織の乾燥により組織領域に固定された状態を維持する。
【0124】
いくつかの実施形態において、本発明のデバイスは、大量の空気流および/または血流を有する組織領域(例えば、肺組織、心臓組織、胃腸組織、血管組織)のアブレーションで使用される。大量の空気流および/または血流を有する組織領域のアブレーションを伴ういくつかの実施形態において、要素は、その領域への空気流および/または血流を阻止するためにさらに利用される。本発明は、特定の空気流および/または血流の阻止要素に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、気管内/気管支内挿管と組み合わせられる。いくつかの実施形態において、デバイスとともに取り付けられるバルーンは、デバイス(1つまたは複数)を所望の組織領域内に固定して、所望の組織領域への血流および/または空気流を阻止する目的で、組織領域で膨張させてもよい。
【0125】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明のシステム、デバイス、および方法は、流路の閉塞(例えば、気管支の閉塞)を提供する構成要素に連結される、アブレーションデバイスを提供する。閉塞構成要素(例えば、膨張可能なバルーン)は、アブレーションシステム上に直接載置されてもよく、またはシステムと関連する別の構成要素(例えば、気管内または気管支内挿管)とともに使用されてもよい。
【0126】
いくつかの実施形態において、本発明のデバイスは、付加的な医学的手技デバイス上に載置されてもよい。例えば、デバイスは、内視鏡、血管内カテーテル、気管支鏡、または腹腔鏡上に載置されてもよい。いくつかの実施形態において、デバイスは、操縦可能なカテーテル上に載置される。いくつかの実施形態において、可撓性カテーテルは、内視鏡、血管内カテーテル、または腹腔鏡上に載置される。例えば、可撓性カテーテルは、いくつかの実施形態において、所望の治療場所にナビゲートするために、所望に応じて、湾曲および操縦することを可能にする、(例えば、ムカデのような)複数の関節を有する。いくつかの実施形態において、本発明のデバイスは、内視鏡、血管内カテーテル、気管支鏡、または腹腔鏡を通して展開される。
【0127】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、例えば、ある部分(単数または複数)の冷却または加熱を防止する一方で、他の部分の冷却または加熱を可能にするために、エネルギー送達デバイスの内側部分を分離するように設計される、プラグ部分をその中に有する。プラグ領域は、エネルギー送達デバイスの任意の所望の領域(単数または複数)を他の任意の領域から隔離するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、エネルギー送達デバイスの1つ以上の領域の冷却を防止するように設計される。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、切除エネルギーを送達するように構成されるエネルギー送達デバイスの部分の冷却を防止するように設計される。プラグ領域は、デバイスの一部分の冷却を防止する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、温度を下げた領域(例えば、冷却剤を循環させたエネルギー送達デバイスの領域)と接触するように設計される。いくつかの実施形態において、プラグ領域の材料は、その温度を大幅に下げずに、温度が低い材料または領域と接触することが可能であるもの(例えば、断熱材料)である。プラグ領域は、特定の種類の断熱材料(例えば、合成ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアイシネン(polyicynene)、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)、エーロゲル、グラスファイバー、コルク)に限定されない。プラグ領域は、特定のサイズ寸法に限定されない。いくつかの実施形態において、プラグ領域のサイズは、循環冷却剤の冷却効果が、エネルギー送達デバイスの他の領域の温度を下げないようにすることを可能にするものである。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、エネルギー送達デバイスのカニューレ部分全体に沿って位置付けられる。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、エネルギー送達デバイスのカニューレ部分の遠位部分に位置付けられる。いくつかの実施形態において、プラグ領域は、エネルギー送達デバイスのカニューレ部分の外側部分を包み込む。
【0128】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、エネルギー送達デバイスを組織領域に固定するために設計される、「固着」領域をその中に有する。固着領域は、組織領域へのエネルギー送達デバイスの接続を容易にする特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、固着領域は、組織領域との接触時に、組織領域が固着領域に接着し、それによって、エネルギー送達デバイスと組織領域との付着がもたらされる程度に下げた温度を達成して、維持するように構成される。固着領域は、特定の材料組成に限定されない。いくつかの実施形態において、固着領域は、例えば、金属材料、セラミック材料、プラスチック材料、および/またはそのような物質の任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、固着領域は、組織領域との接触時に、固着領域上への組織領域の接着を誘発するような温度を達成して、維持することが可能な、任意の種類の材料を含む。固着領域は、特定のサイズ寸法に限定されない。いくつかの実施形態において、固着領域のサイズは、同時の組織アブレーション中に、および/またはエネルギー送達デバイスの同時の移動(例えば、位置付け)中に、組織領域の接着を維持することが可能な程度である。いくつかの実施形態では、2つ以上の固着領域が提供される。
【0129】
図29は、本発明のエネルギー送達デバイス実施形態を示す。図示されるように、エネルギー送達デバイス100は、アブレーション区域105の近傍に位置付けられる。図示されるように、エネルギー送達デバイス100は、ハンドル130と接続される冷却管110およびケーブルアセンブリ120を有し、該ハンドルは、アンテナ領域150と接続される冷却プローブカニューレ140と接続される。図示されるように、冷却プローブカニューレ140とアンテナ領域150との間の領域は、固着領域160およびプラグ領域170をその中に有する。固着領域160は、その表面上への組織領域の接着に適応する温度を達成して、維持するように設計される。プラグ領域170は、冷却プローブカニューレ140に起因する温度の降下を防止し、固着領域160がアンテナ領域150内の温度に影響を及ぼさない(例えば、降下させない)ように設計される。図示されるように、これらの実施形態において、アブレーション区域105は、エネルギー送達デバイス100の冷却領域(例えば、冷却プローブカニューレ140および固着領域160)、およびエネルギー送達デバイス100の非冷却領域(例えば、プラグ領域170およびアンテナ領域150)の双方を包含する。
【0130】
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、最適化した特性インピーダンスでマイクロ波エネルギーを送達するために構成されるデバイスを使用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/728,428号を参照されたい)。そのようなデバイスは、50Ωを超える特性インピーダンス(例えば、50~90Ω、例えば、50を超える、...55、56、57、58、59、60、61、62、...、90Ω、好ましくは、77Ω)で動作するように構成される。いくつかの実施形態において、最適化した特性インピーダンスは、適切な誘電体材料の選択によって(または、使用せずに)達成される。最適化した特性インピーダンスで動作するように構成されるエネルギー送達デバイスは、組織アブレーション手技に関して特に有用であり、最適化されていないデバイスに勝る数多くの利点を提供する。例えば、マイクロ波エネルギーを利用する現在利用可能な医療デバイスによる主な欠点は、伝送線を通した対象の組織上でのエネルギーの望ましくない散逸が、望ましくない熱傷をもたらすことである。そのようなマイクロ波エネルギー損失は、現在利用可能な医療デバイスの設計の制限に起因する。医療デバイス内の同軸伝送線の標準的なインピーダンスは、50Ω以下である。一般に、50Ωよりも低いインピーダンスを伴う同軸伝送線は、有限導電率値を伴う誘電体材料の存在のため、多量の熱損失を有する。このように、50Ω以下のインピーダンスを伴う同軸伝送線を有する医療デバイスは、伝送線に沿って多量の熱損失を有する。具体的には、マイクロ波エネルギーを利用する医療デバイスは、内部導体を囲む誘電体材料(例えば、ポリフルオロテトラエチレンまたはPTFE)をその中に有する同軸ケーブルを通して、エネルギーを伝送する。PTFE等の誘電体材料は、有限導電率を有し、これが伝送線の望ましくない加熱をもたらす。これは、組織アブレーションを可能にするために、十分な期間にわたって、必要な量のエネルギーを供給するときに特に当てはまる。最適化した特性インピーダンスで動作するように構成されるエネルギー送達デバイスは、固体誘電絶縁体を不足させる、または実質的に不足させることによって、この制限を解決している。例えば、従来の誘電絶縁体の代わりに空気を使用することで、77Ωで動作する効率的なデバイスをもたらす。いくつかの実施形態において、デバイスは、導電率がほぼゼロの誘電体材料(例えば、空気、水、不活性ガス、真空、部分的真空、またはこれらの組み合わせ)を用いる。同軸または3軸伝送線の使用を通して、または導電率がほぼゼロの誘電体材料によって、そのようなデバイス内の伝送線の全体的な温度が大幅に下がり、したがって、望ましくない組織の加熱が大幅に低減する。
【0131】
加えて、導電率がほぼゼロの誘電体材料を伴う同軸または3軸伝送線を提供することによって、また、典型的な誘電ポリマーの使用を回避することによって、同軸伝送線は、細い針(例えば、18~20ゲージ針)または同様に細いもしくはより細いカテーテル内に嵌合することができるように設計され得る。典型的に、マイクロ波エネルギーを送達するように構成される医療デバイスは、誘電体材料が大きいために、大きい針内に嵌合するように設計される。マイクロ波アブレーションは、プローブサイズが大きく(14ゲージ)、また、唯一の商用デバイス(Microtaze、Nippon Shoji,Osaka,Japan、2.450MHz、プローブ直径1.6mm、70W、60秒間)によって作成された壊死の区域が比較的に小さい(直径1.6cm)(Seki T et
al.,Cancer 74:817(1994))ために、臨床的に広く適用されなかった。他のデバイスは、同じくプローブのサイズを増大させ、組織の損傷を増大させる可能性のある、外部冷却水ジャケットを使用している。これらの大きいサイズのプローブは、胸部および腹部で使用したときに、合併症の危険性を増大させる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスを利用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,461,351号および米国特許出願第11/728,460号を参照されたい)。具体的には、本発明のエネルギー送達システムは、同軸構成要素の誘電体および/または内部導体もしくは外部導体を通して冷却材料を流すことによって冷却することを可能にする、同軸または3軸伝送線を伴うデバイスを利用する。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、誘電空間の一部または全部を備える。いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスの直径を最小化する一方で、冷却剤の通過を可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、冷却剤流体は、誘電体材料を含む。いくつかの実施形態において、冷却伝送線に必要とされる空間は、冷却剤(例えば、流動可能な冷却剤)として誘電体材料を使用することによって、最小化される。これは、いくつかの実施形態において、帯状の内部導体もしくは外部導体および/または固体誘電体材料を、冷却剤がそれを通して移送されるチャネルと置き換えることによって達成される。いくつかの実施形態において、チャネルは、1つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ)の区域から、同軸ケーブルの長さに沿って、内部導体もしくは外部導体および/または固体誘電体材料を剥ぎ取ることによって生成される。内部導体もしくは外部導体および/または固体誘電体材料の複数部分を除去して、冷却剤を移送するためのチャネルを作成することで、剥ぎ取った構成要素は、内部導体もしくは外部導体および/または固体誘電体材料を除去する前よりも小さい外部導体内に嵌合する。他の実施形態において、誘電空間の一部分は、冷却剤チャネルとして使用される。これらの実施形態は、それに由来する全ての利点を伴う、より小さいデバイスを提供する。複数のチャネルが用いられるいくつかの実施形態において、冷却剤は、チャネルの1つ以上を通して選択的な方向に移送されてもよい。そのようなデバイスの利点は、冷却剤を収容するために、同軸または3軸ケーブルの直径を増大させる必要がないことである。冷却剤を流すことができる多孔誘電体材料を利用する他の実施形態は、直径を増大させずに、温度の降下を達成する。同様に、誘電体材料自体を冷却剤として流すことは、断面外形を増大させずに、同軸または3軸伝送線を冷却することを可能にする。これは、最小侵襲性である冷却デバイスの使用を可能にし、かつ別の場合であればアクセス不可能である、または望ましくない危険性を伴わなければアクセス可能でない身体領域へのアクセスを可能にする。冷却剤の使用は、より大きいエネルギーの送達、および/または長期間にわたるエネルギーの送達も可能にする。さらなる冷却の実施形態は、発明の概要において前述している。
【0133】
いくつかの実施形態において、デバイスは、デバイスに取り付けられるハンドルを有し、該ハンドルは、例えば、冷却剤チャネルを出入りする冷却剤の通過を制御するように構成される。いくつかの実施形態において、ハンドルは、ある時間が経過した後に、および/またはデバイスがある閾値温度に到達したときに、自動的に冷却剤を冷却剤チャネルに通過させる。いくつかの実施形態において、ハンドルは、ある時間が経過した後に、および/またはデバイスの温度が閾値温度よりも下がったときに、自動的に冷却剤を冷却剤チャネルに通過させるのを停止する。いくつかの実施形態において、ハンドルは、冷却剤流を調整するために手動で制御される。
【0134】
いくつかの実施形態において、ハンドルは、その上に1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個等)の照明(例えば、ディスプレイ照明(例えば、LED照明))を有する。いくつかの実施形態において、照明は、識別目的のために構成される。例えば、いくつかの実施形態において、照明は、デバイスの特定の機能が作動中であるか、停止中であるかを指示するために使用される。例えば、デバイスが複数のプローブを有する場合、任意の個々のプローブが給電されているか、給電されていないかを指示するために、1個以上の照明が使用される。いくつかの実施形態において、事象(例えば、デバイスを通した冷却剤の送達、デバイスを通したエネルギーの伝送、それぞれのプローブの移動、デバイス内の環境(例えば、温度、位置)の変化等)の発生を識別するために、照明が使用される。ハンドルは、特定の表示様式(例えば、点滅、別の色、無色等)に限定されない。
図30は、3個のLED照明31000、32000、および33000を有する、デバイス30000を示す。
図31は、3個のLED照明31000、32000、および33000を有する、使用中のそのようなデバイス30000を示す。
【0135】
図5は、冷却剤チャネルを出入りする冷却剤の通過を制御するように構成されるハンドルの概略図を示す。
図5に示されるように、ハンドル500は、冷却剤チャネル520を有する同軸伝送線510と係合される。ハンドル500は、冷却剤入力チャネル530と、冷却剤出力チャネル540と、チャネル520を通って遮断構成要素の下流に流れるのを防止するように構成される第1の遮断構成要素550(例えば、ねじまたはピン)と、第2の遮断構成要素560とを有する。冷却剤入力チャネル530は、冷却剤チャネル520に冷却剤を提供するように構成される。冷却剤出力チャネル540は、冷却剤チャネル520から冷却剤(例えば、循環させて、デバイスから熱を除去した冷却剤)を除去するように構成される。冷却剤入力チャネル530および冷却剤出力チャネル540は、特定のサイズに、または冷却剤を提供および除去するための手段に限定されない。第1の遮断構成要素550および第2の遮断構成要素560は、特定のサイズまたは形状に限定されない。いくつかの実施形態において、第1の遮断構成要素550および第2の遮断構成要素560は、それぞれ、冷却剤入力チャネル530および冷却剤出力チャネル540の直径と一致する、円形形状およびサイズを有する。いくつかの実施形態では、ハンドル500のある領域への冷却剤の逆流を遮断するために、第1の遮断構成要素550および第2の遮断構成要素560が使用される。いくつかの実施形態において、遮断構成要素は、チャネルの一部分(例えば、1%、5%、10%、20%、50%、75%、85%、95%、99%)だけが遮断されるように構成される。一部分だけの遮断は、ユーザが、例えば、冷却剤チャネル520内の圧力勾配を変化させることを可能にする。
【0136】
冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、同軸伝送線の特性インピーダンスの調整を可能にする。具体的には、冷却剤の(またはチャネルを通過する非冷却剤材料の)誘電特性は、外部導体および内部導体を分離する誘電体媒質のバルク複素誘電率を変化させるように調整され得る。このように、特性インピーダンスの変更は、例えば、エネルギー送達、組織効果、温度、またはシステム、デバイス、もしくはアプリケーションの他の所望の性質を最適化するために、手技中に行われる。他の実施形態において、流す材料は、所望のパラメータに基づいて手技の前に選択され、手技全体を通して維持される。したがって、そのようなデバイスは、例えば、アンテナの適応同調を可能にして動作のピーク効率を確保するために、変化環境において共振するように調整される、変化誘電環境において放射するアンテナを提供する。所望に応じて、流体の流れは、同軸ケーブルとの間の熱伝達を可能にする。いくつかの実施形態において、チャネルまたは窪ませた領域は、真空または部分的真空を含む。いくつかの実施形態において、インピーダンスは、真空を材料(例えば、所望の結果を提供する、任意の材料)で充填することによって変動させる。調整は、1つ以上の時点で、または連続的に行われてもよい。
【0137】
冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、特定のチャネルの態様に限定されない。いくつかの実施形態において、チャネルは、流れる材料が内部導体または外部導体および残りの誘電体材料と接触するように、外部導体もしくは内部導体または固体誘電体材料の一部分だけを通り抜ける。いくつかの実施形態において、チャネルは、同軸ケーブルに沿って線状である。いくつかの実施形態において、チャネルは、線状でない。2つ以上のチャネルが使用されるいくつかの実施形態において、チャネルは、互いに平行に延びる。他の実施形態において、チャネルは、平行でない。いくつかの実施形態において、チャネルは、互いに交差する。いくつかの実施形態において、チャネルは、50%を超える(例えば、60%、70%、80%等)外部導体もしくは内部導体および/または固体誘電体材料を除去する。いくつかの実施形態において、チャネルは、実質的に全ての外部導体もしくは内部導体または固体誘電体材料を除去する。いくつかの実施形態では、流体の混合を可能にする(例えば、吸熱反応を誘発する)ために、2つ以上のチャネルを合流させる。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、誘電空間の1%~100%(例えば、1%...2%...5%...10%...20%...50%...90%...100%)を占める。
【0138】
冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、外部導体もしくは内部導体、収縮可能なチャネル、誘電空間、冷却剤チャネル、多孔誘電体材料、および/または固体誘電体材料を通って流れる材料の性質によって限定されない。いくつかの実施形態において、材料は、デバイスの特性インピーダンスを制御する能力を最大化するように、同軸ケーブルとの間の熱伝達を最大化するように、または特性インピーダンスの制御および熱伝達の組み合わせを最適化するように選択される。いくつかの実施形態において、外部導体もしく内部導体または固体誘電体材料を通って流れる材料は、液体である。いくつかの実施形態において、材料は、気体である。いくつかの実施形態において、材料は、液体または気体の組み合わせである。本発明は、液体または気体の使用に限定されない。いくつかの実施形態において、材料は、スラリー、ゲル等である。いくつかの実施形態では、冷却剤流体が使用される。現在知られている、または後に開発される任意の冷却剤流体が使用されてもよい。例示的な冷却剤としては、水、グリコール、空気、不活性ガス、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、六フッ化硫黄、イオン溶液(例えば、カリウムおよび他のイオンを伴う、または伴わない塩化ナトリウム)、水中のデキストロース、乳酸リンゲル液、有機化学溶液(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはプロピレングリコール)、油(例えば、鉱物油、シリコーン油、フルオロカーボン油)、液体金属、フレオン、ハロメタン、液化プロパン、他のハロアルカン、無水アンモニア、二酸化硫黄のうちの1つ以上、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、冷却剤流体は、エネルギー送達デバイスへの送達前に予冷される。いくつかの実施形態において、冷却剤流体は、エネルギー送達デバイスへの進入後に、冷却ユニットで冷却される。いくつかの実施形態において、誘電体材料を通過する材料は、付加的な材料との接触に応じて吸熱反応を生成するように設計される。
【0139】
冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、デバイスを通しての流体注入のパラメータに対する制御を可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、デバイスは、所望に応じて、ユーザ(例えば、治療を行う医師または技術者)によって手動で調整される。いくつかの実施形態において、調整は、自動化される。いくつかの実施形態において、デバイスは、情報をユーザまたは自動化されたシステム(例えば、情報を受信し、それに応じて流体注入または他のデバイスパラメータを調整するために構成される、プロセッサおよび/またはソフトウェアを備える)に提供するセンサとともに、構成または使用される。調整され得るパラメータとしては、流体の注入速度、流体の性質(例えば、誘電特性、熱伝達性、流速等)に影響を及ぼすイオンまたは他の成分の濃度、流体の温度、流体の種類、混合比率(例えば、正確な同調または冷却のための期待/流体の混合物)が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、デバイス(例えば、アンテナ)をより正確に同調させるために、またはデバイス、デバイスの複数の部分、もしくは対象の組織が望ましくない温度(または望ましくない期間にわたってある温度)に到達した場合に流体の注入を速めるために、1つ以上の所望のパラメータを変更することができる、フィードバックループを用いるように構成される。
【0140】
冷却剤通路チャネルを有するエネルギー送達デバイスは、現在利用可能なシステムおよびデバイスに勝る数多くの利点を提供する。例えば、チャネルが刻まれた、ある量の固体誘電体材料を実質的に除去することができる同軸または3軸伝送線を提供することによって、伝送線は、非常に細い針(例えば、18~20ゲージ以下の針)内に嵌合することができるように設計され得る。同様に、誘電体空間の一部分または全てを誘電体材料および冷却剤として使用することで、線の直径を低減することができる。典型的に、マイクロ波エネルギーを送達するように構成される医療デバイスは、誘電体材料が大きいために、大きい針内に嵌合するように設計される。他のデバイスは、同じくプローブのサイズを増大させ、組織の損傷を増大させる可能性のある、外部冷却水ジャケットを使用している。これらの大きいサイズのプローブは、胸部および腹部で使用したときに、合併症の危険性を増大させる。さらに、これらのプローブは、それらの大きいサイズおよび減少した可撓性のため、対象内の非常に迂遠で分岐した構造にアクセスできない。本発明のいくつかの実施形態において、対象に進入するデバイスの部分の最大外径は、16~18ゲージ以下(20ゲージ以下)である。
【0141】
図6は、標準的な同軸ケーブルの実施形態、および冷却剤通路を有する本発明の実施形態の横断面概略図を示す。
図6に示されるように、従来の同軸ケーブル600、および本発明の例示的な同軸ケーブル610、620が提供される。同軸ケーブルは、一般に、3つの別々の空間、すなわち、金属内部導体630、金属外部導体650、およびそれらの間の空間で作製される。それらの間の空間は、通常、内部導体を機械的に支持して外部導体とともに維持するために、低損失誘電体材料640(例えば、ポリフルオロテトラエチレンまたはPTFE)で充填される。同軸ケーブルの特性インピーダンスは、内部導体の直径と誘電体材料(すなわち、外部導体の内径)の直径との比率、ならびにそれらの間の空間の誘電率によって定められる。通常、誘電率は、それを含む固体ポリマーのため、一定である。しかしながら、本発明の実施形態において、可変誘電率(または導電性)を伴う流体は、少なくとも部分的にこの空間を占有し、ケーブルの特性インピーダンスの調整を可能にする。
【0142】
引き続き
図6を参照すると、本発明の一実施形態において、同軸ケーブル610は、誘電体材料640と外部導体650との間にチャネルを作成するために除去される、誘電体材料の外側部分を有する。図示された実施形態において、作成された空間は、外部導体650と固体誘電体材料640との間に空間を維持するように構成される、支持線660を付加することによって4つの個別のチャネル670に分離される。支持線660は、任意の所望の材料で作製されてもよく、固体誘電体材料640と同じまたは異なる材料であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイスの望ましくない加熱(例えば、外部導体の望ましくない加熱)を回避するために、支持線660は、生体適合性であり、融解可能な材料(例えば、蝋)で作製される。複数のチャネルが存在することで、チャネルの1つ以上を、ある方向に(ケーブルの近位端に向かう)流れること可能にし、1つ以上の他のチャネルを、反対方向に(ケーブルの遠位端に向かって)流れることを可能にする。
【0143】
さらに
図6を参照すると、別の実施形態において、同軸ケーブル620は、除去される固体誘電体材料640のかなりの部分を有する。そのような実施形態は、例えば、固体誘電体材料640を、4辺のそれぞれに対して、内部導体630の表面に至るまで剥ぎ取ることによって生成されてもよい。別の実施形態では、構造体を作成するために、帯状の誘電体材料640を内部導体630に貼り付ける。この実施形態では、4つのチャネル670が作成される。かなりの量の誘電体材料640を除去することによって、外部導体650の直径は、大幅に縮小される。残りの誘電体材料640によって提供される隅部は、内部導体630に対する外部導体650の位置を維持するための支持を提供する。この実施形態において、同軸ケーブル620およびデバイスの全径は、大幅に低減される。
【0144】
いくつかの実施形態において、デバイスは、本発明のエネルギー放射デバイスのいずれかの誘電体部分または内部導体もしくは外部導体を通して冷却剤を循環させるように構成される管の挿入を通して形成される、冷却剤通路を有する。
図7は、外部導体720と、誘電体材料730と、内部導体740とを有するエネルギー放射デバイス710内に位置付けられる、冷却剤循環管700(例えば、冷却剤針、カテーテル)を示す。
図7に示されるように、管700は、誘電体材料730の外側縁部および外部導体720の内側縁部に沿って位置付けられ、内部導体740は、誘電体材料730のほぼ中央に位置付けられる。いくつかの実施形態において、管700は、外部導体720に接触しないように、誘電体材料730内に位置付けられる。いくつかの実施形態において、管700は、冷却剤を誘電体材料730および/または外部導体720に通過させずに、管700内で冷却剤を再循環させ、それによって、誘電体材料730および/または管700の外部を伴う外部導体720を冷却する目的で、複数のチャネル(図示せず)を有する。
【0145】
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、中央給電ダイポール構成要素を用いたエネルギー送達デバイスを利用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/728,457号を参照されたい)。デバイスは、特定の構成に限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)の印加を通して組織領域を加熱するための、中央給電ダイポールをその中に有する。いくつかの実施形態において、そのようなデバイスは、中空管に接続される同軸ケーブルまたは3軸ケーブルを有する(例えば、内径が、外径の少なくとも50%である、例えば、内径が、外径と実質的に同様である)。同軸または3軸ケーブルは、標準的な同軸または3軸ケーブルであってもよく、または導電率がほぼゼロの誘電体成分(例えば、空気)をその中に有する同軸または3軸ケーブルであってもよい。同軸または3軸伝送線は、誘電空間内に、または第2の導体と第3の導体との間に、1つ以上の冷却剤チャネルを備えてもよい。管は、特定の設計構成に限定されない。いくつかの実施形態において、管は、例えば、20ゲージ針の形状(例えば、直径)をとる。いくつかの実施形態において、伝送線は、20ゲージ針未満のゲージである。好ましくは、管は、固体の導電材料(例えば、任意の数の金属、導体被覆セラミック、またはポリマー等)で作製される。いくつかの実施形態において、管は、強度および可撓性を提供するために、編組された材料(例えば、編組された金属)で構成される。いくつかの実施形態において、中空管は、例えばカニューレを使用せずに、デバイスを組織領域の中に直接挿入することを可能にするように、鋭利な先端を伴って、またはその遠位端にスタイレットを付加して構成される。管は、特定の組成(例えば、金属、プラスチック、セラミック)に限定されない。いくつかの実施形態において、管は、例えば、銅もしくは他の硬化金属を伴う銅合金、銀もしくは他の硬化金属を伴う銀合金、金めっきした銅、金属めっきしたMacor(機械加工可能なセラミック)、金属めっきした硬化ポリマー、および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、中央給電ダイポールは、プロセスの期間全体を通してより最適なエネルギー送達を提供するために、加熱に応答してエネルギー送達特性を調整するように構成される。いくつかの実施形態において、これは、材料の容積の変化がデバイスのエネルギー送達特性を変化させるように、温度の変化に応答して容積が変化する材料を使用することによって達成される。いくつかの実施形態では、例えば、加熱に応答して、中央給電ダイポール構成要素またはスタイレットの共振部分がデバイスに沿って遠位に押されるように、膨張可能な材料がデバイスの中に配置される。これは、より最適なエネルギー送達を維持するために、デバイスの同調を変化させる。移動の最大値は、所望であれば、例えば、特定の地点を超えて延長するのを防止する係止機構を提供することによって抑制することができる。
【0147】
中央給電ダイポール構成要素を用いたエネルギー送達デバイスは、中空管が同軸または3軸ケーブルに接続される様式によって限定されない。いくつかの実施形態では、同軸ケーブル給電線の遠位端の外部導体の一部分が除去され、固体誘電体材料の領域が露出している。中空管は、露出させた誘電体材料上に位置付けて、任意の手段によって取り付けることができる。いくつかの実施形態では、物理的間隙が外部導体と中空管との間に提供される。いくつかの実施形態において、中空管は、組織に挿入されたときに中空管の電気的な長さが周波数共振構造を構成するように、その中心点で、容量的または導電的に給電線に取り付けられる。
【0148】
使用に際し、中央給電ダイポール構成要素を用いたエネルギー送達デバイスは、中空管の開口遠位端で最大電場が生成されるように構成される。いくつかの実施形態において、中空管の遠位端は、対象を通して組織領域の中にデバイスを挿入するのを援助するように、尖頭形状を有する。いくつかの実施形態において、デバイス全体は、標的部位への直線状で直接的な挿入を容易にするように、硬質かつ剛性である。いくつかの実施形態において、構造体は、例えば、2.45GHz以下で共振し、(給電線の近位端で測定して)この周波数での最小の反射係数を特徴とする。デバイスの寸法(例えば、長さ、給電点、直径、間隙等)およびアンテナの材料(誘電体材料、導体等)を変化させることによって、共振周波数を変化させてもよい。所望の周波数での低い反射係数は、アンテナからアンテナを囲む媒質へのエネルギーの効率的な伝送を確保する。
【0149】
好ましくは、中空管は、λ/2の長さを有し、ここで、λは、媒質内で共振させるための、関心の媒質の電磁場波長である(例えば、肝臓において、2.45GHzについて18cm以下)。いくつかの実施形態において、中空管の長さは、約λ/2であり、ここで、λは、近位端で最小の電力反射が測定されるように、媒質内で共振させるための、関心の媒質の電磁場波長である。しかしながら、共振波長を生成するために、この長さからの偏差を用いてもよい(例えば、囲む材料が変更されたとき)。好ましくは、同軸ケーブルの内部導体は、管の中央において(例えば、管の端部からλ/4において)その遠位端とともに延在し、内部導体が電気接続を管の中央で維持するが、(例えば、共振波長を生成するために)この位置を可能にするように構成される。
【0150】
本発明の中空管部分は、様々な形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、管は、その全長を通して円筒である。いくつかの実施形態において、管は、中央位置から先細になり、よって、その中央と比較して、その端部でより小さい直径を有する。より小さい地点を遠位端に有するいくつかの実施形態は、対象を貫通して標的領域に到達するのを援助する。中空管の形状が円筒形状から偏差するいくつかの実施形態において、管は、対称の構造をその縦方向中心の両側で維持する。しかしながら、デバイスは、中空管の形状によって限定されないが、機能性質(すなわち、所望のエネルギーを標的領域に送達する能力)が達成されることを条件とする。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される利益を提供するために、中央給電ダイポール構成要素が様々なアブレーションデバイスの遠位端に追加され得る。同様に、本発明の中央給電ダイポール構成要素に対応させるために、様々なデバイスが改良されてもよい。
【0152】
いくつかの実施形態において、デバイスは、小さい外径を有する。いくつかの実施形態では、デバイスの侵襲的構成要素を対象に挿入するために、本発明の中央給電ダイポール構成要素が直接使用される。いくつかのそのような実施形態において、デバイスは、カニューレを含まず、侵襲的構成要素がより小さい外径を有することを可能にする。例えば、侵襲的構成要素は、非常に小さい針(例えば、18~20ゲージ針以下)内に嵌合するように、またはそのサイズであるように設計することができる。
【0153】
図8は、本発明の中央給電ダイポール構成要素810を備える、本発明のデバイス800(例えば、アブレーションデバイスのアンテナ)の遠位端を概略的に示す。当業者は、本発明の物理的および/または機能的側面を達成する、数多くの代替構成を理解するであろう。図示されるように、中央給電ダイポールデバイス800は、中空管815と、同軸伝送線820(例えば、同軸ケーブル)と、スタイレット890とをその中に有する。中央給電ダイポールデバイス800は、特定のサイズに限定されない。いくつかの実施形態において、中央給電ダイポールデバイス800のサイズは、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を組織領域に送達する目的で、その組織領域(例えば、肝臓)に位置付けるのに十分に小さい。
【0154】
再度
図8を参照すると、中空管815は、特定の材料(例えば、プラスチック、セラミック、金属等)に限定されない。中空管815は、特定の長さに限定されない。いくつかの実施形態において、中空管の長さは、λ/2であり、ここで、λは、関心の媒質の電磁場波長である(例えば、肝臓において、2.45GHzについて18cm以下)。中空管815は、中空管815が同軸伝送線820に取り付けられるように、同軸伝送線820に係合する(以下に詳細に説明する)。中空管815は、中空管物質860をその中に有する。中空管815は、特定の種類の中空管物質に限定されない。いくつかの実施形態において、中空管物質860は、空気、流体、または気体である。
【0155】
引き続き
図8を参照すると、中空管815は、特定の形状(例えば、円筒、三角形、正方形、長方形等)に限定されない。いくつかの実施形態において、中空管815の形状は、針(例えば、20ゲージ針、18ゲージ針)である。いくつかの実施形態において、中空管815は、それぞれが様々な長さである、2つの部分に分割される。図示されるように、中空管815は、それぞれが等しい長さである(例えば、各部分が、λ/4の長さを有する)2つの部分に分割される。そのような実施形態において、各部分の形状は、対称的である。いくつかの実施形態において、中空管は、20ゲージ針、17ゲージ針、12ゲージ針等以下の直径を有する。
【0156】
引き続き
図8を参照すると、中空管815の遠位端は、スタイレット890に係合する。デバイス800は、特定のスタイレット890に限定されない。いくつかの実施形態において、スタイレット890は、デバイス800の経皮的挿入を容易にするように設計される。いくつかの実施形態において、スタイレット890は、スタイレット890が固定されるように、中空管815内部で摺動させることによって、中空管815に係合する。
【0157】
引き続き
図8を参照すると、同軸伝送線820は、特定の種類の材料に限定されない。いくつかの実施形態において、近位同軸伝送線820は、市販の標準的な0.047インチ(約1.194mm)の半硬質同軸ケーブルで構成される。いくつかの実施形態において、同軸伝送線820は、金属めっき(例えば、銀めっき、銅めっき)されるが、本発明は、そのように限定されない。近位同軸伝送線820は、特定の長さに限定されない。
【0158】
引き続き
図8を参照すると、いくつかの実施形態において、同軸伝送線820は、同軸中央導体830と、同軸誘電体材料840と、同軸外部導体850とを有する。いくつかの実施形態において、同軸中央導体830は、その長さに沿って冷却液を導くように構成される。いくつかの実施形態において、同軸中央導体830は、中空である。いくつかの実施形態において、同軸中央導体830は、例えば、0.012インチ(約0.305mm)の直径を有する。いくつかの実施形態において、同軸誘電体材料840は、ポリフルオロテトラエチレン(PTFE)である。いくつかの実施形態において、同軸誘電体材料840は、ほぼゼロの導電率を有する(例えば、空気、流体、気体)。
【0159】
引き続き
図8を参照すると、同軸伝送線820の遠位端は、中空管815の近位端に係合するように構成される。いくつかの実施形態において、同軸中央導体830および同軸誘電体材料840は、中空管815の中央に延在する。いくつかの実施形態において、同軸中央導体820は、同軸誘電体材料840よりも中空管815の中へと延在する。同軸中央導体820は、中空管815への特定の延長量に限定されない。いくつかの実施形態において、同軸中央導体820は、中空管815の中にλ/4の長さ延在する。同軸伝送線820の遠位端は、中空管815の近位端に係合する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、中空管の近位端は、中空管815を同軸伝送線820とともに固定するために、同軸誘電体材料840に係合する。同軸誘電体材料840がほぼゼロの導電率を有するいくつかの実施形態において、中空管815は、同軸伝送線820とともに固定されない。いくつかの実施形態において、同軸中央導体830の遠位端は、導電材料870と直接接触して、またはそれとの接触を通して、中空管815の壁に係合する。該導体材料は、同軸中央導体と同じ材料で、または異なる材料(例えば、異なる導電材料)で作製されてもよい。
【0160】
引き続き
図8を参照すると、いくつかの実施形態において、間隙880は、同軸伝送線外部導体850の遠位端と、中空管815との間に存在し、それによって、同軸誘電体材料840を露出させている。間隙880は、特定のサイズまたは長さに限定されない。いくつかの実施形態において、間隙880は、同軸伝送線880の近位端および中空管815の遠位開口端部での最大電場を確保する。いくつかの実施形態において、中央給電ダイポールデバイス810は、この周波数での最小の反射係数を特徴とする、例えば、2.45GHz以下で共振する。デバイスの寸法(長さ、給電点、直径、間隙等)および材料(誘電体材料、導体等)を変化させることによって、共振周波数を変化させてもよい。この周波数での低い反射係数は、アンテナからアンテナを囲む媒質へのエネルギーの効率的な伝送を確保する。
【0161】
引き続き
図8を参照すると、いくつかの実施形態において、間隙880は、材料(例えば、エポキシ)で充填され、よって、同軸伝送線820および中空管815をブリッジする。デバイスは、特定の種類または系統の実質的な材料に限定されない。いくつかの実施形態において、実質的な材料は、デバイスを通してのエネルギー場の生成または放射を妨げない。いくつかの実施形態において、材料は、生体適合性および耐熱性である。いくつかの実施形態において、材料は、伝導性が不十分であるかまたは実質的に不十分である。いくつかの実施形態において、材料は、さらに、同軸伝送線820および中空管815を同軸中央導体830とともにブリッジする。いくつかの実施形態において、実質的な材料は、硬化性樹脂である。いくつかの実施形態において、材料は、歯エナメル質である(例えば、XRV Herculiteエナメル、また、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,924,325号、第6,890,968号、第6,837,712号、第6,709,271号、第6,593,395号、および第6,395,803号も参照されたい)。いくつかの実施形態において、実質的な材料は、硬化する(例えば、L.E.DemetronII硬化用照明等の、硬化用照明で硬化する)(例えば、米国特許第6,994,546号、第6,702,576号、第6,602,074号、および第6,435,872号を参照されたい)。したがって、本発明は、硬化エナメル質樹脂を含む、そのような樹脂は、生体適合性で、剛性があり、頑丈である。
【0162】
III.プロセッサ
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、システムの構成要素の1つ以上に関して、フィードバックを監視、および/または制御、および/または提供する、プロセッサを利用する。いくつかの実施形態において、プロセッサは、コンピュータモジュール内に提供される。コンピュータモジュールはまた、その機能の1つ以上を行うために、プロセッサによって使用されるソフトウェアを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、本発明のシステムは、標的組織のサイズおよび形状、組織領域の温度等が挙げられるが、これらに限定されない、組織領域の1つ以上の特性の監視を通して(例えば、フィードバックシステムを通して)、組織領域に提供されるマイクロ波エネルギーの量を調節するための、ソフトウェアを提供する(例えば、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/728,460号、第11/728,457号、および第11/728,428号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、リアルタイムで情報(例えば、監視情報)を提供するように構成される。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、本発明のエネルギー送達システムと相互作用するように構成され、よって、組織領域に送達されるエネルギーの量を増大または減少させることが可能である。いくつかの実施形態において、ソフトウェアは、冷却剤がエネルギー送達デバイスの使用前に所望の温度であるように、分配する冷却剤を、例えば、エネルギー送達デバイスに注入するように設計される。いくつかの実施形態では、プロセッサが、特定の種類の組織領域に対する事前校正された方法に基づいて、組織領域へのマイクロ波エネルギーの送達を調節(例えば、同調)することを可能にする目的で、治療されている組織の種類(例えば、肝臓)がソフトウェアに入力される。他の実施形態において、プロセッサは、特定の種類の組織領域に基づく図表または線図を生成し、有用な特性をシステムのユーザに表示する。いくつかの実施形態において、プロセッサは、例えば、電力を緩やかに逓減して、高い温度によって生じる急激なガス放出のため組織に亀裂が生じるのを回避する目的で、エネルギー送達アルゴリズムを提供する。いくつかの実施形態において、プロセッサは、ユーザが、電力、治療の継続期間、異なる組織種類に対する異なる治療アルゴリズム、複数のアンテナモードにおけるアンテナへの電力の同時印加、アンテナ間での電力送達の切り替え、コヒーレントおよびインコヒーレント位相調整等を選択することを可能にする。いくつかの実施形態において、プロセッサは、同様のもしくは異なる患者特性を伴う以前の治療に基づいた、特定の組織領域に対するアブレーション治療に関して、情報(例えば、特定の患者特性に基づいた、組織領域に対する、必要とされるエネルギーレベル、治療の継続期間)のデータベースを作成するために構成される。いくつかの実施形態において、プロセッサは、遠隔制御によって動作する。
【0163】
いくつかの実施形態において、例えば、組織特性(例えば、腫瘍の種類、腫瘍のサイズ、腫瘍の場所、周囲の血管情報、血流情報等)の入力に基づいて、アブレーション図表を生成するために、プロセッサが使用される。そのような実施形態において、プロセッサは、アブレーション図表に基づく所望のアブレーションを達成するために、エネルギー送達デバイスの配置を指示することが可能である。いくつかの実施形態において、プロセッサは、本発明のシステムおよびデバイスの適切な配置を提供するために、位置センサおよび/または操縦機構と通信する。
【0164】
いくつかの実施形態では、ユーザが、治療する組織のパラメータ(例えば、アブレーションする腫瘍または組織区画の種類、その位置、血管または脆弱な構造の場所、および血流情報)を入力し、次いで、所望のアブレーション区域をCTまたは他の画像上に描写して所望の結果を提供することを可能にする、プロセッサと相互作用するように、ソフトウェアパッケージが提供される。プローブは、組織の中に配置されてもよく、コンピュータは、提供された情報に基づいて、予想されるアブレーション区域を生成する。そのようなアプリケーションは、フィードバックを組み込んでもよい。例えば、CT、MRI、もしくは超音波撮像、または温度測定が、アブレーション中に使用されてもよい。このデータは、コンピュータにフィードバックされ、パラメータは、所望の結果を生成するように再調整される。
【0165】
本明細書で使用される、「コンピュータメモリ」および「コンピュータメモリデバイス」という用語は、コンピュータプロセッサによって読み取り可能な任意の記憶媒体を指す。コンピュータメモリの例としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、コンピュータチップ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)等)、磁気ディスク(例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、フロッピー(登録商標)ディスク、ZIP.RTMディスク等)、磁気テープ、および固体記憶デバイス(例えば、メモリカード、「フラッシュ」媒体等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
本明細書で使用される「コンピュータが読み取り可能な媒体」という用語は、情報(例えば、データおよび命令)を記憶し、コンピュータプロセッサに提供するための、任意のデバイスまたはシステムを指す。コンピュータが読み取り可能な媒体としては、光ディスク、磁気ディスク、磁気テープ、固体媒体、およびネットワーク上で媒体をストリーミングするためのサーバが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
本明細書で使用される「プロセッサ」および「中央処理ユニット」または「CPU」という用語は、同じ意味で使用され、コンピュータメモリデバイス(例えば、ROMまたは他のコンピュータメモリ)からプログラムを読み込み、プログラムに従って一組のステップを実行することが可能である、デバイスを指す。
【0168】
IV.撮像システム
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、撮像デバイスを備える撮像システムを利用する。エネルギー送達システムは、特定の種類の撮像デバイスに限定されない(例えば、内視鏡デバイス、コンピュータ支援定位神経外科ナビゲーションデバイス、熱センサ位置決めシステム、運動速度センサ、操縦ワイヤシステム、手技中の超音波、介在超音波、マイクロ波撮像、音響断層撮影、二重エネルギー撮像、蛍光透視、磁気共鳴コンピュータ断層撮影撮像、核医学撮像デバイスによる三角測量撮像、熱音響撮像、赤外線、および/またはレーザ撮像、電磁的撮像)(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,817,976号、第6,577,903号、第5,697,949号、および第5,603,697号、ならびに国際特許出願第WO06/005,579号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、システムは、内視鏡カメラ、撮像構成要素、および/または本発明のエネルギーシステムとともに使用される品目のいずれかの配置、位置付け、および/または監視を可能にもしくは援助する、ナビゲーションシステムを利用する。
【0169】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達システムは、撮像装置(例えば、CT、MRI、超音波)を使用するために構成される、ソフトウェアを提供する。いくつかの実施形態において、撮像装置のソフトウェアは、ユーザが、組織、血管系の既知の熱力学的および電気的な性質、ならびにアンテナの場所に基づいて予測を行うことを可能にする。いくつかの実施形態において、撮像ソフトウェアは、組織領域の場所(例えば、腫瘍、不整脈)、アンテナの場所の3次元マップの生成、およびアブレーション区域の予測マップの生成を可能にする。
【0170】
いくつかの実施形態では、アブレーション手技(例えば、マイクロ波熱アブレーション手技、無線周波数熱アブレーション手技)を監視するために、本発明の撮像システムが使用される。本発明は、特定の種類の監視に限定されない。いくつかの実施形態では、熱アブレーション手技を受けている特定の組織領域内で起こるアブレーションの量を監視するために、撮像システムが使用される。いくつかの実施形態において、監視は、アブレーションデバイス(例えば、エネルギー送達デバイス)とともに動作し、よって、特定の組織領域に送達されるエネルギーの量は、組織領域の撮像に依存する。撮像システムは、特定の種類の監視に限定されない。本発明は、撮像デバイスによって監視されていることに限定されない。いくつかの実施形態において、監視は、例えば、熱アブレーション手技の前、その間、およびその後に、領域の変化を検出するために、特定の領域の血液潅流を撮像している。いくつかの実施形態において、監視としては、MRI撮像、CT撮像、超音波撮像、核医学撮像、および蛍光透視撮像が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、熱アブレーション手技の前に、造影剤(例えば、ヨウ素造影剤もしくは他の好適なCT造影剤、ガドリニウムキレート造影剤もしくは他の好適なMRI造影剤、微小気泡造影剤もしくは他の好適な超音波造影剤等)が対象(例えば、患者)に供給され、アブレーション手技を受けている特定の組織領域を通して潅流させた造影剤は、血液潅流の変化について監視される。いくつかの実施形態において、監視は、アブレーション区域の性質(例えば、直径、長さ、断面積、容積)に関する定性的情報である。撮像システムは、定性的情報を監視するための特定の手法に限定されない。いくつかの実施形態において、定性的情報を監視するために使用される手法としては、非撮像手法(例えば、1つの介在デバイスだけ、もしくは他の介在デバイスもしくは外部デバイスとの連携に基づいた、時間領域反射率測定、飛行時間型パルス検出、周波数変調型距離検出、固有モードもしくは共鳴周波数検出、または任意の周波数での反射および伝送)が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、介在デバイスは、撮像(例えば、電気音響撮像、電磁撮像、電気インピーダンス断層撮影)のための信号および/または検出を提供する。いくつかの実施形態では、共鳴周波数検出、反射率測定、または距離検出手法、介在アンテナもしくは外部アンテナからの電力反射/伝送等を含む、いくつかの手段を通して、アンテナを囲む媒質の誘電特性を監視し、アブレーションした領域と正常な組織との間の界面を検出するために、非撮像手法が使用される。いくつかの実施形態において、定性的情報は、アブレーション状態、電力送達状態の評価、および/または電力が印加されていることを確保するための単純な継続/中止の確認である。いくつかの実施形態において、撮像システムは、任意の所望の頻度(例えば、1秒間隔、1分間隔、10分間隔、1時間間隔等)で、特定の組織領域を自動的に監視するように設計される。いくつかの実施形態において、本発明は、ソフトウェアを提供し、該ソフトウェアは、組織領域の画像を自動的に取得し(例えば、MRI撮像、CT撮像、超音波撮像、核医学撮像、蛍光透視撮像)、組織領域の任意の変化(例えば、血液潅流、温度、壊死組織の量等)を自動的に検出し、また、エネルギー送達デバイスを通して組織領域に送達されるエネルギーの量を自動的に調整するための検出に基づく。同様に、システムが、領域を効果的に治療するアブレーションプローブの種類、数、および場所を推奨するように、アブレーションされる組織領域の形状およびサイズ(例えば、腫瘍の形状)を予測するために、アルゴリズムが適用されてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、プローブの配置およびそれらの使用を援助または指示するために、(例えば、三角測量または他の位置付けルーチンを用いた)ナビゲーションまたはガイダンスシステムを伴うように構成される。
【0171】
例えば、そのような手技は、アブレーションまたは他の治療手技の経過を追跡するために、造影剤ボーラスの増強または抑制を用いてもよい。また、サブトラクション方法が使用されてもよい(例えば、デジタルサブトラクション血管造影法に使用される方法に類似したもの)。例えば、第1の画像は、第1の時間点で撮影されてもよい。以降の画像は、組織の変化がより容易に観察されるように、第1の画像から情報の一部もしくは全部を差し引く。同様に、(Nyquistサンプリングとは対照的に)「アンダーサンプリング」手法を適用する、撮像促進手法が使用されてもよい。そのような手法は、経時的に取得される複数の低解像度画像を使用した、優れた信号対雑音を提供することが想定される。例えば、HYPER(高度に抑制された投影再構築)と呼ばれるアルゴリズムを、本発明のシステムの実施形態に適用され得るMRIに利用可能である。
【0172】
組織温度が例えば50℃を超えたときに、熱に基づく治療が血管を凝固させるにつれて、この凝固は、完全に凝固した領域への血液供給を減少させる。凝固した組織領域は、造影剤の投与後に増強されない。いくつかの実施形態において、本発明は、撮像システムを利用して、例えば、少量の造影剤の試験注入を行い、造影剤の当該の組織領域における到達時間を測定して、基線増強を確立することによって、アブレーション手技の経過を自動的に追跡する。いくつかの実施形態では、アブレーション手技の開始に続いて、一連の少量の造影剤注入が行われ(例えば、CTの場合、15回まで、300mgI/mlの水溶性造影剤の10mlのボーラスが注入される)、所望の適切な注入後の時間(例えば、試験注入から決定される)に走査が行われ、そして、CTについては減衰(Hounsfield値(HU))、MRIについては信号、超音波についてはエコー源性等が挙げられるが、これらに限定されない、数多くのパラメータのうちの任意の1つを追跡するために、例えば、関心領域(ROI)を使用して、標的領域のコントラスト増強が判定される。撮像データは、特定の様式の提示に限定されない。いくつかの実施形態において、撮像データは、減衰/信号/エコー源性の変化、標的組織と非標的組織との差異、治療中の造影剤ボーラスの到達時間の差異、組織潅流の変化、および造影剤の注入前および注入後に測定することができる任意の他の組織特性の色分けされた、またはグレースケールのマップまたはオーバーレイとして提示される。本発明の方法は、選択されたROIに限定されず、任意の画像内の全ての画素に一般化することができる。画素は、どこで組織の変化が起こったか、および起こっているのかを示すために、色分けまたはオーバーレイを使用することができる。画素は、組織特性が変化するにつれて色(または他の性質)を変化させることができ、したがって、ほぼリアルタイムで治療の経過が表示される。この方法は、3d/4dの画像表示メソッドにも一般化することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、治療される領域がコンピュータオーバーレイ上に提示され、異なる色または陰影の第2のオーバーレイが、ほぼリアルタイムで治療の経過を与える。いくつかの実施形態では、撮像の結果に基づいて、電力(または任意の他の制御パラメータ)を調節するために、治療技術(RF、MW、HIFU、レーザ、低温等)に対するフィードバックループがあるため、提示および撮像が自動化される。例えば、標的領域に対する潅流が標的レベルまで減少した場合には、電力を低減または停止することが可能である。例えば、そのような実施形態は、正確に彫刻された組織の治療区域を作成するために、電力/時間/周波数/負荷サイクル等が位相配列システムの中の各個々のアプリケータまたは要素について調節されるように、複数のアプリケータシステムに適用することができる。逆に、いくつかの実施形態において、本方法は、治療されない領域(例えば、胆管、腸等の回避すべき脆弱な構造体)を選択するために使用される。そのような実施形態において、本方法は、回避すべき組織領域の変化を監視し、保存すべき構造体が損傷を受ける危険性があることを、警報(例えば、可視および/または可聴の警報)を使用して、ユーザ(例えば、治療を行う医師)に警告する。いくつかの実施形態において、フィードバックループは、治療されないように選択された組織領域に対する連続的な損傷を回避するように、電力または任意の他のパラメータを改良するために使用される。いくつかの実施形態において、アブレーションからの組織領域の保護は、脆弱な領域の中の標的ROI等の閾値を設定することによって、または所望に応じてユーザが「無治療」領域を画定するためにコンピュータオーバーレイを使用することによって達成される。
【0174】
V.同調システム
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、組織領域に送達されるエネルギーの量を調整するための、同調要素を利用する。いくつかの実施形態において、同調要素は、システムのユーザによって手動で調整される。いくつかの実施形態では、ユーザが所望に応じてデバイスのエネルギー送達を調整することを可能にするために、同調システムがエネルギー送達デバイスに組み込まれる(例えば、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,957,969号、第5,405,346号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、デバイスは、所望の組織に対して予め同調され、手技の全体を通して固定される。いくつかの実施形態において、同調システムは、発電機とエネルギー送達デバイスとの間でインピーダンスが一致するように設計される(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,364,392号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、同調要素は、本発明のプロセッサによって、自動的に調整および制御される(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,693,082号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、プロセッサは、標的組織の熱、性質、および/または場所、所望の焼灼部のサイズ、治療時間の長さ、敏感な臓器領域または血管に対する近接度等が挙げられるが、これらに限定されない、任意の数の所望の因子を考慮して、手技の全体を通して一定のエネルギーを提供するように、経時的にエネルギー送達を調整する。いくつかの実施形態において、システムは、デバイスの機能を連続的にもしくは時間点で監視するユーザまたはプロセッサにフィードバックを提供する、センサを備える。センサは、システムの構成要素の1つ以上の位置の熱、組織の熱、組織の性質等が挙げられるが、これらに限定されない、任意の数の性質を記録および/または報告してもよい。センサは、CT、超音波、磁気共鳴撮像、または任意の他の撮像デバイス等の、撮像デバイスの形態であってもよい。いくつかの実施形態において、特に研究応用について、システムは、一般にシステムの将来の最適化で使用するための情報、および/または特定の条件下でエネルギー送達を最適化するための情報(例えば、患者の種類、組織の種類、標的領域のサイズおよび形状、標的領域の場所等)を記録および記憶する。
【0175】
VI.温度調整システム
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、エネルギー送達デバイス(例えば、組織アブレーションカテーテル)内の、およびそれに沿った望ましくない加熱を低減するために、冷却剤システムを利用する。本発明のシステムは、特定の冷却システム機構に限定されない。いくつかの実施形態において、本システムは、同軸伝送線または3軸伝送線およびアンテナの温度が低減されるように、エネルギー送達デバイスの全体を通して冷却剤(例えば、空気、液体等)を循環させるように設計される。いくつかの実施形態において、本システムは、冷却剤の循環に適応するように設計されたチャネルをその中に有する、エネルギー送達デバイスを利用する。いくつかの実施形態において、システムは、アンテナを外部から冷却する目的で、アンテナまたはアンテナの複数部分を包み込む、冷却剤シースを提供する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/053,987号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、冷却剤シースは、収縮可能な材料(例えば、boPET)で構成され、(例えば、挿入および/または展開のために)収縮したときに小さい断面外径をとり、冷却剤がシースを通って流れたときに膨張する(
図32Iおよび32Jを参照されたい)。いくつかの実施形態において、冷却剤シースは、同軸ケーブルの外部導体として、または3軸ケーブルの外部もしくは第2の導体(中間導体)として機能する。いくつかの実施形態において、システムは、周辺組織への熱の散逸を制限する目的で、アンテナの周囲に導電被覆剤を有する、エネルギー送達デバイスを利用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,358,515号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、冷却剤の循環時に、冷却剤は、例えば、廃棄物容器に移出される。いくつかの実施形態において、冷却剤の循環時に、冷却剤は、再循環させられる。いくつかの実施形態において、冷却剤は、その臨界点または臨界点近くで、循環させられる気体である。いくつかの実施形態において、その臨界点または臨界点近くで送達される気体は、二酸化炭素ガスである。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、冷却剤をその臨界点または臨界点近くに保持するために、輸送される冷却剤(例えば、臨界点または臨界点近くの二酸化炭素ガス)を所望の圧力に圧縮するように構成される。
【0176】
いくつかの実施形態において、システムは、アンテナの表面から組織を遠ざける目的で、エネルギー送達デバイスと連動して膨張可能なバルーンを利用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/053,987号を参照されたい)。
【0177】
いくつかの実施形態において、システムは、エネルギー送達デバイス内の、およびそれに沿った望ましくない加熱を低減する目的で、エネルギー送達デバイス上に取り付けられる、デバイスを利用する(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第11/237,430号を参照されたい)。
【0178】
いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、任意の好適な構成であってもよく(
図32を参照されたい)、エネルギー送達デバイスおよび/またはシステム(例えば、同軸ケーブル、3軸、複数のカテーテル等)の任意の構成との用途を見出す。いくつかの実施形態において、同軸伝送線の誘電体材料(または3軸伝送線の同軸部分(例えば、内部導体、誘電体材料、第2の導体)の誘電体材料)は、伝送線のための冷却剤としての機能も果たす流体(例えば、気体(例えば、空気、CO
2等)または流体)を含む(
図32A)。いくつかの実施形態において、冷却剤(誘電体材料)は、内部導体と第2の導体(例えば、外部導体)との間の1つ以上の領域を通って流れる。いくつかの実施形態において、伝送線は、誘電体材料および/または冷却剤が流れる、1つ以上の冷却剤チャネル(例えば、1つのチャネル、2つのチャネル、3つのチャネル、4つのチャネル、5つのチャネル、6つのチャネル、7つのチャネル、8つのチャネル、9つのチャネル、10のチャネル等)を備える。いくつかの実施形態において、冷却剤チャネルは、最適な冷却および/または2つ以上の冷却剤成分の混合を提供するために(例えば、吸熱冷却反応を提供するために)、合流および/または分岐する。いくつかの実施形態において、1つ以上のチャネル(冷却剤チャネル)は、デバイスの近位端から遠位端への冷却剤流を提供し、1つ以上のチャネル(例えば、戻りチャネル)は、デバイスの遠位端から近位端まで冷却剤を提供する。いくつかの実施形態において、冷却された誘電体材料(例えば、冷却液体、空気、CO
2等)は、デバイスまたはシステムの近位端の近くに位置するポンプから、1つ以上の冷却剤チャネルを通して、伝送線に沿って流れる。いくつかの実施形態において、伝送線の遠位端に流れる誘電体材料は、戻りチャネルに移送され、近位端に戻る。いくつかの実施形態において、誘電体材料は、冷却剤チャネルおよび戻りチャネル双方の中の伝送線を冷却することが可能である。いくつかの実施形態において、冷却剤または誘電体材料は、連続流を伴わずにチャネルを充填する。いくつかの実施形態において、冷却剤または誘電体材料は、単一のチャネルとの間をポンプ圧送される。いくつかの実施形態において、誘電体材料は、誘電体材料が伝送線に沿って流れて、近位端から流れ出るときに、エネルギー伝送によって生成される熱を吸収して伝送線から取り除く。いくつかの実施形態において、多孔誘電体材料は、冷却剤が、誘電体材料を通って(例えば、単一方向、双方向等に)直接流れることを可能にする(
図32Hを参照されたい)。
【0179】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、伝送線の長さに沿った望ましくない加熱を低減するために、温度を下げたエネルギーパターンを利用する。いくつかの実施形態において、一定の低電力エネルギー伝送は、伝送線の経路に沿った過度の加熱を伴わずに、標的部位に十分な(例えば、有効な腫瘍アブレーションに十分な)エネルギーを提供する。いくつかの実施形態において、エネルギーは、従来の送達よりも伝送線に沿った少ない熱の蓄積で、標的部位に十分な(例えば、有効な腫瘍アブレーションに十分な)突発的なエネルギーを提供するように、パルスパターンで送達される。いくつかの実施形態において、パルスパターンの長さおよび強度は、伝送線に沿った温度、または伝送線を囲む組織の温度を監視することによって設定される。いくつかの実施形態において、パルスパターンは、標的部位に送達されるエネルギーの量と、伝送線に沿って放出される熱の量とを平衡させるために、予め定められる。いくつかの実施形態において、任意の好適なパルスパターンは、本発明のデバイス、システム、および方法との用途を見出す。いくつかの実施形態において、アブレーションアルゴリズムは、(例えば、治療、パルス、パルス間隔)の時間、電力(例えば、生成された電力、送達された電力、損失した電力等)、および温度監視の組み合わせに基づいて、計算または判定される。
【0180】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、伝送線の遠位端に、コンデンサおよび/またはエネルギーゲートを備える。コンデンサおよび/またはゲートは、コンデンサおよび/またはゲートの下流でエネルギーの閾値が蓄積されると、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を標的部位に送達する。低レベルのエネルギーが伝送線に沿って送達され、それによって、経路に沿った熱の蓄積を低減する。十分なエネルギーがコンデンサおよび/またはゲートに蓄積されると、高エネルギーの突発的なエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)が標的部位に送達される。コンデンサまたはゲートの送達方法は、低レベルのエネルギー伝達のため、ならびに(例えば、腫瘍アブレーションに十分な)突発的なエネルギーが標的部位に送達されるため、伝送経路に沿った加熱を低減するという利点を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、エネルギー生成回路の全部または一部が、伝送線に沿って1つ以上の地点に位置する。いくつかの実施形態では、マイクロ波生成回路の全部または一部が、伝送線に沿って1つ以上の地点に位置する。いくつかの実施形態において、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を伝送線に沿って1つ以上の地点で生成することは、エネルギーを移動させる必要がある距離を低減し、それによって、エネルギー損失および望ましくない熱の生成を低減する。いくつかの実施形態において、エネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー)を伝送線に沿って1つ以上の地点で生成することは、同じエネルギーレベルを治療部位に提供しながら、低減したエネルギーレベルで動作することを可能にする。
【0182】
VII.識別システム
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、システムの1つ以上の構成要素と関連付けられる識別要素(例えば、RFID要素、識別リング(例えば、基準点)、バーコード等)を利用する。いくつかの実施形態において、識別要素は、システムの特定の構成要素に関する情報を伝達する。本発明は、伝達される情報によって限定されない。いくつかの実施形態において、伝達される情報としては、構成要素の種類(例えば、製造業者、サイズ、エネルギー定格、組織の構成等)、(例えば、滅菌されていない構成要素が使用されないことを確実にするために)以前に構成要素が使用されたかどうか、構成要素の場所、患者固有の情報等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、情報は、本発明のプロセッサによって読み取られる。いくつかのそのような実施形態において、プロセッサは、識別要素を含む構成要素とともに使用するための、またはそれとともに最適に使用するための、システムの他の構成要素を構成する。
【0183】
いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、特定のエネルギー送達デバイスの識別を改善する(例えば、類似した外観を伴う他のデバイスの近傍に位置する特定のデバイスの識別を改善する)ために、マーキング(例えば、スクラッチ、配色、エッチング、彩色した造影剤マーキング、識別リング(例えば、基準点)、および/または隆線)をその上に有する。マーキングは、複数のデバイスが患者に挿入される場合に、特定の用途を見出す。そのような場合、特に、デバイスが種々の角度で互いに交差し得る場合、治療を行う医師は、患者の身体の外側に位置するどのデバイスの近位端が、患者の身体の内側に位置するどのデバイスの遠位端に対応するのかを関連付けることが困難である。いくつかの実施形態において、マーキング(例えば、番号)がデバイスの近位端に存在することによって、医師は自身の眼で視認することができ、(例えば、その番号に対応する)第2のマーキングがデバイスの遠位端に存在することによって、それが身体の中にあるときに、撮像デバイスによって視認することができる。一組のアンテナが用いられるいくつかの実施形態において、その組の個々の要素には、近位端および遠位端の双方に番号(例えば、1、2、3、4等)が付される。いくつかの実施形態では、ハンドルに番号が付され、一致するように番号が付された取り外し可能な(例えば、使い捨ての)アンテナが、使用前に、そのハンドルに接続される。いくつかの実施形態において、システムのプロセッサは、(例えば、RFIDタグまたは他の手段によって)ハンドルとアンテナとが適切に一致することを確実にする。アンテナが使い捨てであるいくつかの実施形態において、システムは、使い捨て構成要素が、廃棄すべきであるのに再使用しようとした場合に、警告を提供する。いくつかの実施形態において、マーキングは、MRI、CT、および超音波検出が挙げられるが、これらに限定されない、任意の種類の検出システムにおける識別を改善する。
【0184】
本発明のエネルギー送達システムは、特定の種類の追跡デバイスに限定されない。いくつかの実施形態では、GPSおよびGPS関連のデバイスが使用される。いくつかの実施形態では、RFIDおよびRFID関連のデバイスが使用される。いくつかの実施形態では、バーコードが使用される。
【0185】
そのような実施形態では、デバイスの使用前に、識別要素による当該デバイス使用前の許可(例えば、コードの入力、バーコードの走査)が必要である。いくつかの実施形態において、情報要素は、構成要素が以前に使用されたことを識別して、新しい滅菌された構成要素が提供されるまで、システムの使用をロック(例えば、遮断)するように、情報をプロセッサに送信する。
【0186】
VIII.温度監視システム
いくつかの実施形態において、本発明のエネルギー送達システムは、温度監視システムを利用する。いくつかの実施形態では、(例えば、温度センサによって)エネルギー送達デバイスの温度を監視するために、温度監視システムが使用される。いくつかの実施形態では、組織領域(例えば、治療されている組織、周辺組織)の温度を監視するために、温度監視システムが使用される。いくつかの実施形態において、温度監視システムは、プロセッサがシステムを適切に調整することを可能にするために、ユーザまたはプロセッサに温度情報を提供する目的で、プロセッサと通信するように設計される。いくつかの実施形態では、アブレーション状態、冷却状態を推定するために、または安全確認のために、アンテナに沿っていくつかの地点で温度が監視される。いくつかの実施形態では、例えば、(例えば、組織の種類およびエネルギー送達デバイスで使用される電力量に基づいて)アブレーション区域の地理的特性(例えば、直径、深さ、長さ、密度、幅等)を判定するために、アンテナに沿っていくつかの地点で監視される温度が使用される。いくつかの実施形態では、例えば、手技の状態(例えば、手技の終了)を判定するために、アンテナに沿っていくつかの地点で監視される温度が使用される。いくつかの実施形態において、温度は、介在アンテナを通して、熱電対または電磁的手段を使用して監視される。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される1つ以上の冷却手技(例えば、冷却剤流、減じた電力、パルスプログラム、遮断等)を開始するために、温度の監視から収集されたデータが使用される。
【0187】
IX.手技デバイスハブ
本発明のシステムは、本発明の特徴を直接的または間接的に利用するか、または援助する、1つ以上の付加的な構成要素をさらに用いてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、システムの任意の1つ以上の構成要素の機能を監視および/または報告するために、1つ以上の監視デバイスが使用される。加えて、直接的または間接的に、本発明のデバイスとともに使用され得る任意の医療デバイスまたはシステムが、システムに含まれてもよい。そのような構成要素としては、滅菌システム、デバイス、および構成要素、他の外科用、診断用、または監視デバイスもしくはシステム、ハンドブック、説明書、標識および誘導線、ロボット設備等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
いくつかの実施形態において、システムは、ポンプ、貯蔵槽、配管、配線、または本発明のシステムの種々の構成要素の接続性に関する材料を提供する他の構成要素を用いる。例えば、気体または液体の冷却剤を本発明のアンテナに供給するために、任意の種類のポンプが使用されてもよい。冷却剤を含有する気体または液体処理タンクが、システムに用いられてもよい。いくつかの実施形態では、2つ以上のタンクが使用され、よって、1つのタンクが空になったときに手技が中断するのを防止するために、付加的なタンクが自動的に使用される(例えば、1つのCO
2タンクが空になったときに、第2のCO
2タンクが自動的に使用され、それによって、手技の中断を防止する)。一定の実施形態において、エネルギー送達システム(例えば、エネルギー送達デバイス、プロセッサ、電源、撮像システム、温度調整システム、温度監視システム、および/または識別システム)および全ての関連するエネルギー送達システム利用源(例えば、エネルギー、気体、冷却剤、液体、圧力、および通信品目を提供する、ケーブル、ワイヤ、コード、管、パイプ)は、望ましくない体裁的な問題(例えば、絡むこと、散乱すること、および無菌性が、関連する組織化されてないエネルギー送達システム利用源を損なう)を軽減する様式で提供される。本発明は、望ましくない体裁的な問題が軽減されるように、エネルギー送達システムおよびエネルギー送達システム利用源を提供する特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、
図13に示されるように、エネルギー送達システムおよびエネルギー送達システム利用源は、流入/流出ボックス1300、輸送シース1310、および手技デバイスポッド1320で構成される。いくつかの実施形態において、流入/流出ボックス、輸送シース、および手技デバイスポッドで構成される、エネルギー送達システムおよびエネルギー送達システム利用源は、いくつかの利益を提供する。そのような利益としては、発電機(例えば、マイクロ波発生器)と患者との間を横断するコードの数が減少する(例えば、床上のコードの数が減少する)こと、滅菌環境および手技室が片付くこと、エネルギー送達システムを患者とともに「移動」させ、それによって、デバイスの脱落(例えば、アンテナの脱落)を防止することによって、患者の安全性が向上すること、エネルギー送達デバイス内のエネルギーの進行距離を低減することによって、電力送達効率が増大すること、使い捨てケーブルの長さが短くなることによって、使い捨てコストが減少すること、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
本発明は、特定の種類または系統の流入/流出ボックスに限定されない。いくつかの実施形態において、流入/流出ボックスは、電源および冷却剤供給源を含む。いくつかの実施形態において、流入/流出ボックスは、患者が治療されている滅菌野の外側に位置する。いくつかの実施形態において、流入/流出ボックスは、患者が治療されている部屋の外側に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のケーブルが、流入/流出ボックスと手技デバイスポッドとを接続する。いくつかの実施形態では、単一のケーブルが使用される(例えば、輸送シース)。例えば、いくつかのそのような実施形態において、輸送シースは、流入/流出ボックスとの間でエネルギーおよび冷却剤の双方を送達するための構成要素を含む。いくつかの実施形態において、輸送シースは、医師に対する物理的障害を引き起こさずに手技デバイスポッドに接続している(例えば、床下、頭上を進行する)。いくつかの実施形態において、ケーブルは、低損失ケーブル(例えば、電源を手技デバイスハブに取り付ける低損失ケーブル)である。いくつかの実施形態において、低損失ケーブルは、ケーブルを偶発的に引っ張った場合の損傷を防止するように(例えば、手技デバイスハブ、手技テーブル、天井に)固定される。いくつかの実施形態において、電力発生器(例えば、マイクロ波電力発生器)および手技デバイスハブを接続しているケーブルは、低損失の再使用可能ケーブルである。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブをエネルギー送達デバイスに接続しているケーブルは、可撓性の使い捨てケーブルである。
【0190】
本発明は、特定の種類または系統の手技デバイスポッドに限定されない。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、流入/流出ボックスまたは他の供給源から、電力、冷却剤、または他の要素を受容するように構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、エネルギーを医療デバイスに送達すること、冷却剤を医療デバイスに循環させること、データ(例えば、撮像データ、エネルギー送達データ、安全監視データ、温度データ等)を収集および処理すること、および医学的手技を容易にする任意の他の機能を提供すること、のうちの任意の1つ以上のために、患者の物理的に近くに位置する、制御センターを提供する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、関連するエネルギー送達システム利用源を受容するために、輸送シースに係合するように構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、種々のエネルギー送達システム利用源を受容して、適用可能なデバイス(例えば、エネルギー送達デバイス、撮像システム、温度調整システム、温度監視システム、および/または識別システム)に分配するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、エネルギー送達システム利用源からマイクロ波エネルギーおよび冷却剤を受容して、マイクロ波エネルギーおよび冷却剤をエネルギー送達デバイスに分配するように構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、所望に応じて、特定のエネルギー送達システム利用源のオン/オフ、校正、および量の調整を(例えば、自動的に、または手動で)行うように構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、所望に応じて、特定のエネルギー送達システム利用源の量を調整する(例えば、手動で、または自動的にオン/オフ、校正を行う)ための、電力分配器をその中に有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、所望の様式でエネルギー送達システム利用源を提供するように設計される、ソフトウェアをその中に有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、各エネルギー送達システム利用源の関連する特性(例えば、現在どのデバイスが使用中/未使用であるか、特定の身体領域の温度、特定のCO2タンクに存在するガスの量等)を示す、表示領域を有する。いくつかの実施形態において、表示領域は、触覚能力(例えば、タッチ画面)を有する。いくつかの実施形態では、エネルギー送達システムと関連付けられるプロセッサが、手技デバイスポッドの中に位置する。いくつかの実施形態では、エネルギー送達システムと関連付けられる電源が、手技デバイスポッド内に位置する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、望ましくない事象(例えば、望ましくない加熱、望ましくない漏出、望ましくない圧力の変化等)の発生時に、1つ以上のエネルギー送達システム利用源を自動的に抑制するように構成される、センサを有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブの重量は、患者の不快感および/または損傷を引き起こさずに、患者の上に配置することが可能な重量(例えば、15ポンド(約6.8kg)未満、10ポンド(約4.5kg)、5ポンド(約2.3kg))である。
【0191】
本発明の手技デバイスポッドは、特定の用途または特定の環境内での用途に限定されない。実際に、手技デバイスポッドは、エネルギーの放射が適用可能である任意の環境で使用するために設計される。そのような用途としては、任意のおよび全ての医学的、獣医学的、および研究的応用が挙げられる。加えて、手技デバイスポッドは、農業環境、製造環境、機械的環境、またはエネルギーが送達される任意の他の応用で使用されてもよい。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、患者の移動性が制限されない(例えば、CTスキャン、超音波撮像等)、医学的手技で使用される。
【0192】
いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、滅菌環境内の場所のために設計される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、患者のベッド上、患者がその上にあるテーブル(例えば、CT撮像、超音波撮像、MRI撮像等に使用されるテーブル)、または患者の近くの他の構造体(例えば、CTガントリー)上に位置付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、別個のテーブル上に位置付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、天井に取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、天井に取り付けられ、よって、ユーザ(例えば、医師)は、それを所望の位置まで移動させることができる(それによって、患者の上または近くのエネルギー送達システム利用源(例えば、エネルギー、気体、冷却剤、液体、圧力、および通信品目を提供する、ケーブル、ワイヤ、コード、管、パイプ)を使用中に位置付ける必要性を回避する)。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、患者の上(例えば、患者の脚、大腿、腰部、胸部の上)に置くように位置付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、患者の頭部の上側に、または患者の足の下側に位置付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、所望の領域(例えば、手技テーブル、患者のドレープおよび/またはガウン)上に取り付けることを可能にする、ベルクロを有する。
【0193】
いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、医学的手技に使用される手技ストラップ(例えば、CT安全ストラップ)に取り付けるために構成される。いくつかの実施形態において、手技ストラップは、(例えば、手技テーブルの側部上の溝を通して、ベルクロによって、接着剤によって、吸引によって)手技テーブル(例えば、CTテーブル)に取り付けられ、(例えば、患者に巻き付けることによって、および例えばベルクロとの接続を通して)患者を手技テーブルに固定するために使用される。手技デバイスハブは、特定の様式の手技ストラップによる取り付けに限定されない。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、手技ストラップに取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、手技ストラップの交換を可能にする別個のストラップに取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、手技ストラップに取り付けるように構成される別個のストラップに取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、手技テーブルの任意の領域に取り付けるように構成される別個のストラップに取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、患者の快適性を確保するための断熱材を有する、および/またはパッドを入れた別個のストラップに取り付けられる。
図18は、手技テーブルストラップに接続される、手技デバイスハブを示す。
【0194】
いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、手技リングへの取り付けのために構成される。本発明は、特定の種類または系統の手技リングに限定されない。いくつかの実施形態において、手技リングは、患者の周囲に(例えば、患者の胴部、頭部、足部、腕部等の周囲に)配置するために構成される。いくつかの実施形態において、手技リングは、手技テーブル(例えば、CTテーブル)に取り付けるように構成される。手技デバイスリングは、特定の形状に限定されない。いくつかの実施形態において、手技デバイスリングは、例えば、楕円形、円形、長方形、対角等である。いくつかの実施形態において、手技デバイスリングは、ほぼ半円形状(例えば、25%の円形状、40%の円形状、45%の円形状、50%の円形状、55%の円形状、60%の円形状、75%の円形状)である。いくつかの実施形態において、手技リングは、例えば、金属、プラスチック、グラファイト、木材、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせである。手技デバイスハブは、特定の様式の手技リングへの取り付けに限定されない。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、(例えば、接着剤、スナップオン、ベルクロで)手技リング上に取り付けられる。低損失ケーブルを利用するいくつかの実施形態では、付加的な低損失ケーブルが、手技リング上に取り付けられる。いくつかの実施形態において、手技リングのサイズは、患者のサイズに適合するように調整する(例えば、格納する、延在させる)ことができる。いくつかの実施形態では、付加的な品目が手技リングに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、手技リングは、患者の近くに、および近くから容易に移動され得る。
【0195】
いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、特殊滅菌ドレープ上に取り付けるために構成される。本発明は、特定の種類または系統の特殊滅菌ドレープに限定されない。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープは、患者の上に(例えば、患者の胴部、頭部、足部、腕部、身体全体の上等に)配置するために構成される。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープは、手技テーブル(例えば、CTテーブル)に取り付けるために構成される。特殊滅菌ドレープは、特定の形状に限定されない。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープは、例えば、楕円形、円形、長方形、対角等である。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープの形状は、患者の特定の身体領域を収容するような形状である。いくつかの実施形態において、手技リングは、例えば、布、プラスチック、またはそれらの任意の組み合わせである。手技デバイスハブは、特殊滅菌ドレープに取り付ける特定の様式に限定されない。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、(例えば、ベルクロ、スナップオン、接着剤、クランプ(例えば、ワニ口クランプ)で)特殊滅菌ドレープ上に取り付けられる。低損失ケーブルを利用するいくつかの実施形態では、付加的な低損失ケーブルが、特殊滅菌ドレープ上に取り付けられる。いくつかの実施形態では、付加的な品目が特殊滅菌ドレープに取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープは、患者の近くに、およびその近くから容易に移動され得る。いくつかの実施形態において、特殊滅菌ドレープは、医学的手技を行う目的で、1つ以上の開窓を有する。
図19は、開窓を伴う特殊滅菌ドレープおよび開窓を通して挿入されたケーブルを示す。
図20は、ケーブルを介して手技デバイスハブに接続された発電機を有し、手技デバイスハブが(例えば、手技テーブルストラップを介して)手技テーブルに固定されている、本発明のエネルギー送達システムを示す。さらに、
図20に示されるように、特殊滅菌ドレープは、手技テーブル上に横たわる患者の上に位置付けられ、特殊滅菌ドレープは、開窓を有する。
【0196】
いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、ハブを患者の近傍に位置付けるための脚部とともに構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、調整可能な脚部を有する(例えば、それによって、手技デバイスハブを種々の位置に位置付けることを可能にする)。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、3本の調整可能な脚部を有し、それによって、デバイスを種々の三脚位置に位置付けることを可能にする。いくつかの実施形態において、脚部は、所望の領域(例えば、手技テーブル、患者のドレープおよび/またはガウン)上に取り付けることを可能にする、ベルクロをその中に有する。いくつかの実施形態において、脚部は、手技テーブル(例えば、CTテーブル)の上に円弧を形成し、手技テーブルのレールを押し込むように構成される、弾力のある材料から形成される。いくつかの実施形態において、脚部は、手技テーブルのレールの上に取り付けるように構成される。
【0197】
いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、プロセッサ(例えば、コンピュータ、インターネット、携帯電話、PDA)と(無線で、または有線で)通信するように構成される。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、遠隔制御を介して動作させられ得る。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、1つ以上の照明をその上に有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、電力が手技デバイスハブからエネルギー送達デバイスに流れているときに、検出可能な信号(例えば、聴覚、視覚(例えば、パルス光))を提供する。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、聴覚入力(例えば、MP3プレーヤー)を有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、音声(例えば、MP3プレーヤーからの音)を提供するための、スピーカを有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、音声を外部スピーカシステムに提供するための、聴覚出力を有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドの使用は、より短い(例えば、4フィート(約1.2m)、3フィート(約0.9m)、2フィート(約0.6m)未満の)ケーブル、ワイヤ、コード、管、および/またはパイプの使用を可能にする。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドおよび/もしくはそれに接続される1つ以上の構成要素、またはそれらの複数部分は、滅菌シースによって覆われる。いくつかの実施形態において、手技デバイスハブは、(例えば、エネルギー送達デバイスに)電力を供給するための、電力増幅器を有する。
【0198】
いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、例えば、冷却剤を所望の圧力(例えば、気体の臨界点)に維持して、冷却または温度の維持を改善するために、輸送される冷却剤(例えば、CO2)を所望の圧力に圧縮するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、気体は、デバイス、線、ケーブル、または他の構成要素を一定の規定温度に、またはほぼ規定温度に維持する目的で、その臨界点で、またはほぼ臨界点で提供される。いくつかのそのような実施形態において、構成要素の温度は、開始温度(例えば、室温)から下がらないが、代わりに、介入がなければ構成要素が維持される温度よりも低い一定の温度に維持されるという点で、構成要素自体は冷却されない。例えば、CO2は、温度を維持するために、その臨界点で、またはほぼ臨界点で(例えば、78.21kPaで31.1℃)使用されてもよく、よって、システムの構成要素は、組織を焦がさない程度に十分に冷却されるが、同様に、該構成要素は、該構成要素と接触している皮膚が冷凍してしまうか、または別様に、冷却によって損傷を受けるような、大幅に低い室温もしくは体温に冷却されたり、維持されたりしない。そのような構成を使用することで、人から、または周囲環境から遮蔽しなければならない「冷却」構成要素がないので、断熱材の使用をより少なくすることが可能である。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、エネルギー、気体、冷却剤、液体、圧力、および/または通信品目を提供する、使用済みの、または未使用のケーブル、ワイヤ、コード、管、およびパイプを巻き取るように設計される、格納要素を有する。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、冷却剤がエネルギー送達デバイスの使用前に所望の温度であるように、分配する冷却剤を、例えば、エネルギー送達デバイスに注入するように設計される。いくつかの実施形態において、手技デバイスポッドは、分配する冷却剤を、例えば、エネルギー送達デバイスに注入するように構成されるソフトウェアをその中に有し、よって、システムは、エネルギー送達デバイスの使用前に所望の温度である。いくつかの実施形態において、臨界点の、または臨界点近くの冷却剤の循環は、付加的な冷却機構(例えば、送風機)の使用を必要とせずに、エネルギー送達デバイスの電子要素を冷却することを可能にする。
【0199】
例示的な一実施形態では、流入/流出ボックスは、1つ以上のマイクロ波電源と、冷却剤供給源(例えば、加圧された二酸化炭素ガス)とを含む。この流入/流出ボックスは、マイクロ波エネルギーおよび冷却剤の双方を手技デバイスポッドに送達する、単一の輸送シースに接続される。輸送シース内の冷却剤線またはエネルギー線は、輸送シース自体を最大限に冷却することが可能になるように、互いに巻き付けられてもよい。輸送シースは、患者に対応している医療チームの移動を妨げない場所の床面に沿って、手技が行われる滅菌野の中に延びる。輸送シースは、患者が横たわる撮像テーブルの近くに位置するテーブルに接続される。テーブルは、撮像テーブルとともに移動させるように、移動可能(例えば、車輪付き)で、撮像テーブルに接続可能である。テーブルは、腕部を患者の上方に、およびその上に位置付けることを可能にするために、可撓性または入れ子式であってもよい、腕部を含む。輸送シース、または輸送シースに接続されるケーブルは、腕部に沿って頭上位置まで延びる。腕部の端部には、手技デバイスポッドがある。いくつかの実施形態において、2つ以上の腕部には、2つ以上の手技デバイスポッド、または単一の手技デバイスポッドの2つ以上の副構成要素が提供される。手技デバイスポッドは、患者の上方での容易な移動および位置付けを可能にするように、小型(例えば、1立方フィート(約28317cm3)未満、10cm3未満等)である。手技デバイスポッドは、システムの全ての計算態様を制御するための、プロセッサを含む。デバイスポッドは、エネルギー送達デバイスに至るケーブルを接続するための、1つ以上の接続ポートを含む。ケーブルは、ポートに接続される。ケーブルは、格納可能であり、3フィート(約91.4cm)未満の長さである。短いケーブルの使用は、経費を削減し、かつ出力損失を防止する。使用しないときに、ケーブルは、患者の身体に接触しないように、患者の上方に吊り下げられる。ポートは、使用しないときに(例えば、エネルギー送達デバイスが、特定のポートに接続されないときに)、ダミー負荷とともに構成される。手技デバイスポッドは、手技中にコンピュータの制御を調整することができ、表示される情報をリアルタイムで見ることができるように、治療している医師の手の届く範囲にある。
【0200】
X.エネルギー送達システムの用途
本発明のシステムは、特定の用途に限定されない。実際に、本発明のエネルギー送達システムは、エネルギーの放射が適用可能である任意の環境で使用するために設計される。そのような用途としては、任意のおよび全ての医学的、獣医学的、および研究的応用が挙げられる。加えて、本発明のシステムおよびデバイスは、農業環境、製造環境、機械的環境、またはエネルギーが送達される任意の他の応用で使用されてもよい。
【0201】
いくつかの実施形態において、システムは、エネルギーの開腹手術、経皮的、血管内、心臓内、内視鏡、管腔内、腹腔鏡、または外科的送達のために構成される。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイスは、カテーテルを通して、外科的に作られた孔を通して、および/または身体オリフィス(例えば、口腔、耳、鼻、眼、膣、陰茎、肛門)(例えば、NOTES手技)を通して、患者の身体内に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、標的組織または領域へのエネルギー送達のために構成される。いくつかの実施形態では、本発明のエネルギー送達システムによるエネルギーの経皮的、血管内、心臓内、腹腔鏡、および/または外科的送達を改善するために、位置決めプレートが提供される。本発明は、特定の種類および/または系統の位置決めプレートに限定されない。いくつかの実施形態において、位置決めプレートは、エネルギーの経皮的、血管内、心臓内、腹腔鏡、および/または外科的送達のために、1つ以上のエネルギー送達デバイスを所望の身体領域に固定するように設計される。いくつかの実施形態において、位置決めプレートの組成は、身体領域がエネルギー送達システムからの望ましくない熱に曝露するのを防止することが可能な組成である。いくつかの実施形態において、プレートは、エネルギー送達デバイスの位置付けを支援するためのガイドを提供する。本発明は、標的組織または領域の性質によって限定されない。用途としては、心臓不整脈の治療、腫瘍(良性および悪性)のアブレーション、手術中の出血制御、心的外傷後、任意の他の出血制御、柔組織の除去、組織の切除および採取、静脈瘤症の治療、管腔内組織のアブレーション(例えば、バレット食道および食道腺癌等の食道病理を治療する)、骨性腫瘍、正常な骨、および良性の骨の病態の治療、眼内用途、美容整形外科用途、脳腫瘍および電気的擾乱を含む中枢神経系病理の治療、滅菌手技(例えば、卵管のアブレーション)、ならびに任意の目的での血管または組織の焼灼が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、外科的応用は、アブレーション治療(例えば、凝固性壊死を達成する)を含む。いくつかの実施形態において、外科的応用は、標的(例えば、転移性腫瘍)に対する腫瘍アブレーションを含む。いくつかの実施形態において、デバイスは、肺、脳、頸部、胸部、腹部、および骨盤が挙げられるが、これらに限定されない、任意の所望の場所に、組織または生体に対して最小限の損傷で、移動させて、位置付けるために構成される。いくつかの実施形態において、システムは、例えば、コンピュータ断層撮影、超音波、磁気共鳴撮像、蛍光透視等による、誘導された送達のために構成される。
【0202】
ある実施形態において、本発明は、組織領域を治療する方法を提供し、該方法は、組織領域および本明細書で説明されるシステム(例えば、エネルギー送達デバイス、ならびにプロセッサ、電源、温度モニタ、撮像装置、同調システム、温度降下システム、および/またはデバイス配置システムといった構成要素のうちの少なくとも1つ)を提供することと、エネルギー送達デバイスの一部分を組織領域の近傍に位置付けることと、デバイスによってある量のエネルギーを組織領域に送達することと、を含む。いくつかの実施形態において、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、エネルギーを送達することは、例えば、血管の組織領域および/または血栓症のアブレーション、ならびに/または組織領域の電気穿孔をもたらす。いくつかの実施形態において、組織領域は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、組織領域は、肺、心臓、肝臓、生殖器、胃、肺、大腸、小腸、脳、頸部、骨、腎臓、筋肉、腱、血管、前立腺、膀胱、および脊髄のうちの1つ以上を含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、本発明は、身体の到達困難な領域(例えば、肺の末梢)にアクセスする、システムを提供する。いくつかの実施形態において、システムは、分岐した身体構造(例えば、気管支樹)を通して標的部位に到達するようにナビゲートする。いくつかの実施形態において、本発明のシステム、デバイス、および方法は、身体、臓器、または組織の到達困難な領域(例えば、肺の末梢)へのエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、組織アブレーションのためのエネルギー)の送達を提供する。いくつかの実施形態において、システムは、分岐構造(例えば、気管支樹)を通して標的部位にエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、組織アブレーションのためのエネルギー)を送達する。いくつかの実施形態において、システムは、気管支(例えば、一次気管支、二次気管支、三次気管支、細気管支等)を通して肺の末梢にエネルギー(例えば、マイクロ波エネルギー、組織アブレーションのためのエネルギー)を送達する。いくつかの実施形態において、気管支を通して肺にアクセスすることは、肺に対する副次的損傷を最小化しながら、精密かつ正確な手法を提供する。肺の外側から肺(例えば、肺の末梢)にアクセスすることは、肺の穿刺または切開を必要とするが、これは、気管支へのアクセスによって回避することができる。肺を通しての挿入は、医学的合併症を有するが、これは、本発明の実施形態のシステムおよび方法によって回避される。
【0204】
いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルを含む、一次カテーテル(例えば、内視鏡、気管支鏡等)は、気管支の外周が縮小することで一次カテーテルがそれ以上前進できなくなるまで、(例えば、気管を介して)気管支樹の中へと前進する。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルおよび操縦可能なナビゲーションカテーテルを含む、一次カテーテル(例えば、内視鏡、気管支鏡等)は、チャネルカテーテルを展開する所望の地点まで、(例えば、気管を介して)気管支樹の中へと前進する。いくつかの実施形態において、一次カテーテルは、気管、一次気管支および/または二次気管支の中へと前進するが、それ以上は前進しない。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルを含むチャネルカテーテルは、一次カテーテルを通して、一次カテーテルの遠位先端を超えて、標的場所(例えば、治療部位、腫瘍等)まで、(例えば、気管を介して、一次気管支を介して、二次気管支を介して、三次気管支を介して、細気管支を介して、等で)気管支樹の中へと前進する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルを含むチャネルカテーテルは、気管支のサイズが縮小することで、(例えば、三次気管支の中、細気管支の中、治療部位)においてそれ以上前進できなくなるまで、(例えば、気管、一次気管支等を介して)気管支樹の中へと前進する。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、気管、一次気管支、二次気管支、三次気管支、および/または細気管支の中へと前進する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、気管、一次気管支、二次気管支、三次気管支、および/または細気管支の中へと治療部位まで前進する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、チャネルカテーテルを通して引き出され、(例えば、対象の中、気管の中、気管支樹の中等への)挿入地点から、気管支樹を通して(例えば、気管、一次気管支、二次気管支、三次気管支、細気管支等を通して)、標的部位(例えば、治療部位、腫瘍、末梢性肺腫瘍)まで延在する、開口チャネル管腔を残す。いくつかの実施形態において、エネルギー送達デバイス(例えばマイクロ波アブレーションデバイス)は、開口チャネル管腔を通して挿入されて、標的部位にアクセスする。いくつかの実施形態において、本発明は、マイクロ波アブレーションデバイスとともに気管支樹を通して末梢肺腫瘍にアクセスするためのシステム、デバイス、および方法を提供する。
【0205】
いくつかの実施形態において、本発明は、エネルギー送達デバイスを対象内のアクセス困難な組織領域に配置するための、システム、方法、およびデバイスを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、組織アブレーション治療(例えば、腫瘍アブレーション)のためのエネルギー送達デバイスの配置を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、肺の末梢上の腫瘍、増殖部、および/または結節へのアクセス、および/またはそれらの治療を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、末梢肺結節へのアクセス、およびそのアブレーションを提供する。末梢肺結節は、それらの位置が、三次気管支および細気管支の近くにあり、従来のデバイスおよび手法の及ぶ領域を超えているので、気管支樹を通してのアクセスが困難である。いくつかの実施形態において、本発明のデバイス、システム、および方法は、気管支樹を通しての末梢肺結節へのアクセスを提供する。末梢肺結節は、一般に、25mm未満の直径(例えば、25mm未満、20mm未満、10mm未満、5mm未満、2mm未満、1mm未満等)である。いくつかの実施形態において、末梢肺結節は、0.1mm~25mmの直径(例えば0.1mm~、0.2mm~、0.5mm~、1.0mm~、1.4mm~、2.0mm~、5.0mm~、10mm~、20mm~、25mm、およびその直径)である。いくつかの実施形態において、本発明は、対象内(例えば、対象の肺内)の任意のサイズおよび任意の場所の腫瘍、増殖部、および結節のアクセスおよび治療を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、末梢肺の腫瘍(例えば、結節)の治癒的治療および/または待期的治療を提供する。
【0206】
XI.デバイス配置システム
いくつかの実施形態において、本発明は、一次カテーテル(例えば、内視鏡、気管支鏡等)を提供する。いくつかの実施形態において、当業者に知られている任意の好適な内視鏡または気管支鏡は、本発明の一次カテーテルとしての用途を見出す。いくつかの実施形態において、一次カテーテルは、当技術分野で知られている1つ以上の内視鏡および/または気管支鏡の特性、ならびに本明細書で説明されている特性を採用している。従来の可撓性気管支鏡の1つの種類は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,880,015号で説明されている。気管支鏡は、長さが790mmであり、2つの主な部品、すなわち、作業ヘッドおよび挿入管を有する。作業頭部は、接眼レンズと、視度調整リングを伴う接眼レンズと、吸入配管、吸入弁、および光源のための取り付け具と、種々のデバイスおよび流体が作業チャネルに入り、気管支鏡の遠位端から出ることができるアクセスポートまたは生検入口と、を含む。作業ヘッドは、典型的に、長さが580mmで、直径が6.3mmである、挿入管に取り付けられる。挿入管は、遠位先端の対物レンズの中で終了する光ファイバーバンドルと、光導波路と、および作業チャネルとを含む。本発明の実施形態において用途を見出し得る他の内視鏡および気管支鏡、または本発明との用途を見出し得るその複数部分は、米国特許第7,473,219号、米国特許第6,086,529号、米国特許第4,586,491号、米国特許第7,263,997号、米国特許第7,233,820号、および米国特許第6,174,307号で説明されている。
【0207】
いくつかの実施形態において、本発明は、チャネルカテーテル(別名、誘導カテーテル、シース、シースカテーテル等)を提供する。いくつかの実施形態において、誘導カテーテルは、一次カテーテルの管腔内に嵌合するように構成され、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよび/または1つ以上の好適なツール(例えばエネルギー送達デバイス)を収容するのに十分な直径(例えば、1mm~、2mm~、3mm~、4mm~、5mm~)のチャネル管腔を含む。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、挿入部位(例えば、口腔、対象の身体の中への切開部等)から、気管および/または気管支樹を通して、末梢肺の治療部位まで延在するのに十分な長さ(例えば、50cm~、75cm~、1m~、1.5m~、2m~)のものである。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、一次カテーテルの到達範囲を超えて延在して、治療部位(例えば、末梢肺組織)に到達するのに十分な長さのものである。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、対象を通しての(例えば、分岐構造を通しての、気管支樹を通しての、等)迂遠な経路にアクセスするために、高可撓性である。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、当技術分野で理解されているように、強度および可撓性の双方を提供するために、編組された材料で構成される。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、3軸伝送線の外部導体を備える。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、ナビゲーション機構および/または操縦機構を備える。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、ナビゲーション、位置認識、または操作の独立した手段を伴わない。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、一次カテーテルまたは操縦可能なナビゲーションカテーテルに配置を依存する。
【0208】
いくつかの実施形態において、本発明は、操縦可能なナビゲーションカテーテルを提供する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、チャネルカテーテルの管腔内に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、本明細書で説明されるエネルギー伝送線と同程度の直径(例えば、0.2mm~、0.5mm~、1.0mm~、1.5mm~、2.0mm~)を有する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、挿入部位(例えば、口腔、対象の身体の中への切開部等)から、(例えば、気管および/または気管支樹を通して)末梢肺の治療部位まで延在するのに十分な長さ(例えば、50cm~、75cm~、1m~、1.5m~、2m~)のものである。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、一次カテーテルの到達範囲を超えて延在して、治療部位(例えば、末梢肺組織)に到達するのに十分な長さのものである。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、操縦可能なナビゲーションカテーテルの移動がチャネルカテーテルの同期した移動をもたらすように、チャネルカテーテルに係合する。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションが対象の中の経路に沿って挿入されるときに、操縦可能なナビゲーションカテーテルを囲むチャネルカテーテルがそれとともに移動する。いくつかの実施形態において、チャネルカテーテルは、操縦可能なナビゲーションカテーテルによって対象内に配置される。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルは、チャネルカテーテルから係合解除することができる。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルの係合解除は、チャネルカテーテルの移動を伴わない、操縦可能なナビゲーションカテーテルの経路に沿ったさらなる移動を可能にする。いくつかの実施形態において、操縦可能なナビゲーションカテーテルおよびチャネルカテーテルの係合解除は、チャネルカテーテルの移動を伴わない、チャネルカテーテルを通しての操縦可能なナビゲーションカテーテルの格納を可能にする。
【0209】
いくつかの実施形態において、システムまたはデバイスの全ての挿入される構成要素は、対象の狭く迂遠な経路に沿って(例えば、分岐構造を通して、気管支樹を通して、等)移動するために構成される。いくつかの実施形態において、構成要素は、きつい回転半径のために構成される、可撓性材料を含む。いくつかの実施形態において、必然的に、剛性構成要素は、きつい回転半径を可能にするように、サイズが低減(例えば、長さが短く)される。
【0210】
〔実験〕
〔実施例I〕
この実施例では、冷却剤チャネルを通して冷却剤を循環させる本発明のエネルギー送達デバイスの使用を通しての、望ましくない組織加熱の回避を実証する。全ての実験に対するアブレーション針軸は、20.5cmとした。ハンドルアセンブリの冷却は最小限であり、ハンドル冷却効果が十分に分離されたことを示している。温度プローブ1、2、および3は、ステンレス針の先端の近位側から4cm、8cm、および12cmに位置させた(
図9を参照されたい)。温度測定は、ブタ肝臓への挿入に続く35%電力測定、およびブタ肝臓への挿入に続く45%電力測定について行った。35%電力測定に関して、プローブ4は、ハンドル自体の上とした。45%電力測定に関して、プローブ4は、針と皮膚との間の界面、すなわち、ステンレス針先端の後方約16cmに位置させた。
【0211】
図10に示されるように、異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、35%電力での10分間にわたる治療は、プローブ1、2、3、およびハンドルにおいて、デバイスを非組織損傷温度に維持したことを実証した。
【0212】
図11に示されるように、異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、45%電力での10分間にわたる治療は、プローブ1、2、3、および4において、デバイスを非組織損傷温度に維持したことを実証した。異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、45%電力での10分間にわたる10分アブレーション後の皮膚および脂肪層の観察は、いかなる火傷または熱損傷も示していない。
【0213】
〔実施例II〕
この実施例では、発電機の校正を実証する。発電機の校正は、Cober-Muegge社により工場で行われ、150Wを超える電力に対して最も正確になるように設定した。マグネトロンは、ダイオードとほぼ同じように機能し、陰極電圧を増加させても、臨界閾値に到達するまで、真空電流(出力電力に比例する)は増加しなかった。臨界閾値では、真空電流が電圧とともに急激に増加した。マグネトロン源の制御は、その臨界地点の近くで陰極電圧の正確な制御に依存した。したがって、発電機は、0~10%の電力については指定されず、出力電力と理論上の入力電力割合の相関性は、15%以下という低さであった。
【0214】
発電機の校正を試験するために、電力制御ダイヤルを1%の増分で0.25%から変化させ(3Wの増分で0~75Wの理論出力電力に相当する)、発電機の出力電力の表示を記録し、電力出力を測定した。測定した電力出力は、同軸ケーブル、連結器、および室温での負荷の測定した損失に対して調整した。出力の表示は、オフセット誤差に対しても調整した(すなわち、ダイヤルを0.0%に設定したときの発電機の読みが2.0%)。
【0215】
ダイヤルと発電機の出力電力の表示との間の誤差は、低電力のダイヤル設定で大きかった。これらの2つの値は、15%を超えるダイヤル設定に対して、5%未満の誤差パーセントに迅速に合致した。同様に、測定した出力電力は、15%以下のダイヤル設定に対して、理論出力電力と大幅に異なったが、15%を超えるダイヤル設定に対してはより正確であった。
【0216】
〔実施例III〕
この実施例では、製造中のアンテナの設定および試験を説明する。これは、設定のための方法を提供し、製造環境において試験した。方法は、組織ではなく、液体の組織等価ファントムを用いる。
【0217】
アンテナに関して既に作製された数値的および実験的測定値から、L2を約1mm変化させると、反射電力が-30dB未満から-20~25dBに増加することが分かった。この増加は、アブレーション中に起こった組織性質の変化によって大幅に少なくすることが可能であり、よって、長さL2に対して0.5mmの相対許容差が相応であると考える。同様に、L1に対する総反射係数の依存度は、L2よりも少ないが、長さL1に対して0.5mmの許容差を使用した。
【0218】
品質制御の目的でのアンテナ同調の試験は、肝臓、肺、または腎臓の誘電特性を模倣するように設計された液体溶液を使用して達成することができる(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Guy AW(1971)IEEE Trans.Microw.Theory Tech.19:189-217を参照されたい)。アンテナは、ファントムの中に沈み込ませ、1ポート測定デバイスまたはフルベクトルネットワーク分析器(VNA)を使用して、反射係数を記録した。適切な同調を確保するために、-30dB以下の反射係数の確認を選択した。
【0219】
〔実施例IV〕
この実施例では、3軸および中央給電ダイポールアンテナの効率、加熱能力、および製造性を比較した。容易に挿入することが可能である、より剛性のある鋭利な先端を作成するために、元の3軸設計の改良が必要であった。アルミナシースの付加および平らに削った金属先端の付加によって、アンテナの長さをどのように変化させることが必要になり得るかを判定するために、最初に、コンピュータモデリングを使用した。モデリング後、アンテナを長くすることが必要であること、および金属先端が性能を低下させないことを確認し、エクスビボで肝臓組織を試験するために、アンテナを構成した。この試験は、改良した設計が、その高い効率を保持する一方で、経皮的配置に対して十分な機械的強度を提供することを示した。中央給電ダイポール設計のコンピュータモデリングからは、十分な結果が得られず、以降のデバイス製作を再現することは困難であることが証明された。故に、挿入可能な3軸デバイスを誘導アンテナ設計として選択した。
【0220】
コンピュータモデリングは、抵抗性被覆および連続する断熱部の双方が、遠位アンテナ先端からアンテナの近位区画まで流れることが可能となる熱の量を低減できることを示した。しかしながら、有効な水冷却溶液は、0.020インチ(約0.508mm)の同軸ケーブルの電力スループットを約8Wから150Wを超えるまで増加させることが可能であった。水冷却は、150Wの入力電力で使用したときに、アンテナ先端から近位に延在する任意の軸の加熱も排除した(
図21)。しかしながら、実装には、十分な水流量(30ml/分以下)を提供するために、高価な0.020インチ(約0.508mm)の同軸ケーブルの使用が必要であった。加えて、0.020インチのケーブルは、以前に使用されていた0.047インチ(約1.194mm)のケーブルよりも損失が2~3倍大きく、これは、15Wもの電力スループットを減少させ、その付加的な出力損失の冷却が必要であった。最終的なアンテナ設計は、熱伝導加熱を低減することが示される熱緩衝も提供する一方で、金属アンテナと周囲の組織との間で起こる可能性がある固着を低減するためにアセンブリ全体の周辺にPEEKシースを組み込んだ。
【0221】
研究は、正常なインビボのブタの肺モデルでアブレーションを作成するために、17ゲージのプロトタイプ冷却アンテナまたはValleylab/Covidienによる17ゲージの冷却RF電極のいずれかを使用して、経皮的に行った。アブレーションは、RF群に関しては、インピーダンス制御を伴う200W、マイクロ波群に関しては、135Wの臨床標準を使用して、10分間行った。作成されたアブレーションは、RF群におけるものよりもマイクロ波群におけるもののほうが大幅に大きく、平均アブレーション直径(平均±標準偏差)は、それぞれ、3.32±0.19cmおよび2.7±0.27cm(P<0.0001、
図9)であった。また、アブレーションの円形度は、RF群のものよりもマイクロ波群のもののほうが大幅に高かった(0.90±0.06対0.82±0.09、P<0.05)。研究全体を通して、いかなる主要な合併症も観察されなかった。どちらもRF群からの2つのアブレーション中に、1匹の動物において、わずかな気胸が観察された。どちらも、介入を伴わずに安定した状態を維持した。この研究から、肺組織の加熱に関して、RF電流よりもマイクロ波のほうがより有効であり、典型的に、より高速であると結論された。
【0222】
〔実施例V〕
この実施例では、シミュレートした加熱環境における冷却を調査した。3軸アンテナの第3の導体とほぼ同じ17ゲージのステンレス針を、加熱器のコイルに通した。4つの熱電対を、針の外側および独立気泡フォームによって熱的に隔離されたシステム全体に沿って配置した。この設定は、血流および生物学的組織の高い熱伝導性が、多少のアンテナ冷却を提供する傾向があるので、最悪の場合を考慮したものである。コイルは、0~50Wで加熱し、温度を記録し、NC-CO
2を0~10stp L/分の流量で動作させた。試験結果は、適度なCO
2の流れが、50Wの入力電力全体を冷却するのに十分であり、よって、加熱された管は、周囲温度の状態を維持した(
図24)。
【0223】
冷却を伴わない針の外面上で記録した温度は、100℃を超えたことを示したが、NC-CO
2の10~20stp L/分による冷却は、表面温度を30℃以下まで降下させた(
図24)。これらの試験は、適度な量のNC-CO
2(約10stp L/分)が、アブレーションアンテナの内側からの50W程度を効果的に冷却できることを示した。
【0224】
〔実施例VI〕
この実験では、加熱アンテナ先端から近位側の熱伝導の効果を測定した。改良したアンテナ(熱伝導性銅チューブと置き換えたセラミック放射セグメントを伴う)を、加熱器とアンテナとの間の良好な熱接触を確保するための熱ペーストを伴う、電気加熱器の中に配置した(
図25)。熱電対を、アンテナの外面に沿っていくつかの地点に配置して、温度対NC-CO
2流量を測定した。
【0225】
冷却前に、外部導体に沿った温度は、加熱器の近位側1cmで、80℃を超えていた。冷却を開始したときに、13stp L/分という少な目の流量であっても、NC-CO
2ガスの入力温度、すなわち、約0℃に降下した(
図25)。流量を増加させると、温度がさらに下がった。冷凍アブレーションプローブによって用いられているものに類似する、ニードル軸への「固着」作用の可能性を試験するために、ガスを熱交換器の中でわずかに予冷した。この予冷は、近臨界動作のための31℃という必要以上に低い温度に導き、付加的な実装は、この調査の範囲を超えていた。
【0226】
必要な冷却電力の下限を評価するために、同じ設定および加熱器を使用した追跡試験も行った。この研究では、10stp L/分の初期流で、温度が約0℃に降下することが示された。次いで、その流れを除去し、軸温度が30℃を超えて上昇したときに、1stp L/分でCO
2のパルスを約10秒間注入した。冷却されずに温度が急激に上昇したにもかかわらず、温度上昇を排除して、システムを周囲温度に保つのには、少ないCO
2のパルスだけしか必要としなかった(
図26)。これらの結果は、例えば、手技中にISO60601-1規格以下にアンテナを保つために、少量のCO
2を使用すればよいことを示唆している。手技中のCO
2の使用を最小にするために、温度フィードバック/監視システムを用いることが可能である。近臨界CO
2は、マイクロ波アブレーションアンテナの内側の液体冷却に対する実行可能で有効な代替案である。NC-CO
2の増加した熱容量は、アブレーションアンテナを安全なレベルに冷却するために少容積の流体だけしか必要としないことを確実にする。50W程度を発生するアンテナを冷却するのには、約10stp L/分という少な目の流量で十分であることが示された。
【0227】
〔実施例VII〕
この実施例では、アブレーション区域の視覚化を改善する一方で、造影剤の用量を低減するために、新しい再構築手法によるアブレーション通じての、少量のヨード化造影剤の周期的な使用の実現可能性を評価した。ユビキタスで有効な手技中の撮像手法の不足は、熱腫瘍アブレーションの分野に対する決定的な限界である。超音波撮像は、加熱の間に形成される気泡によって不明瞭となり、造影剤増強CTは、典型的に、大量の造影剤の注入による1回の走査に制限される。
【0228】
メスの飼育ブタを準備して、麻酔をかけた。RFアブレーションは、3つの内部冷却式切り替え電極を使用して、20分間行った。アブレーション中、2分毎に15mlのヨード化造影剤を送達し(300mg/ml)、各注入に続いて、所定の肝臓の増強時間(90秒)で腹部CTを収集した。CT画像は、従来のオンライン再構築および高度に抑制された逆投影法(HYPR)によるオフライン再構築の双方を使用して作成した。アブレーション区域と背景の肝臓との間の撮像コントラスト、および信号対雑音比について、従来の画像とHYPR再構築の画像とを比較した。
【0229】
アブレーション区域の成長は、2分の時間分解能によって視覚化することが可能であった。アブレーション区域は、15~45mlの累積造影剤用量によって、2~6分で容易に明らかになった。画像品質は、累積造影剤用量で改善した。HYPR再構築画像のSNRは、標準的な再構築画像よりも3~4倍程度良好であり、HYPRは、アブレーション区域と背景の肝臓との間の信号コントラストを最高で6倍改善した(
図27および
図28)。
【0230】
本明細書に記載された全ての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の説明された方法およびシステムの種々の修正および変更は、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本発明は、特定の実施形態に関連して説明されているが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことを理解されたい。実際に、関連する分野の当業者には明らかである、本発明を実行するための説明された方法の種々の修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0231】
〔付記事項〕
本発明は、以下のように表現する事もできる。
【0232】
〔構成1〕
マイクロ波エネルギーの印加によって末梢肺結節をアブレーションすることを含む、末梢肺結節を治療する方法。
【0233】
〔構成2〕
前記マイクロ波エネルギーは、マイクロ波送達デバイスに沿って送達される、構成1に記載の方法。
【0234】
〔構成3〕
前記マイクロ波送達デバイスは、対象の気管支樹を通して挿入される、構成2に記載の方法。
【0235】
〔構成4〕
a)一次管腔を備える、一次カテーテルと、
b)前記一次管腔内に嵌合するように構成され、かつチャネル管腔を備える、チャネルカテーテルと、
c)前記チャネル管腔内に嵌合するように構成され、かつ操縦可能な先端および位置検知要素を備える、操縦可能なナビゲーションカテーテルと、
d)前記チャネル管腔内に嵌合するように構成される、エネルギー送達デバイスと、を備える、システム。
【0236】
〔構成5〕
前記一次カテーテルは、気管支鏡を備える、構成4に記載のシステム。
【0237】
〔構成6〕
前記エネルギー送達デバイスは、マイクロ波アブレーションデバイスを備える、構成4に記載のシステム。
【0238】
〔構成7〕
前記一次カテーテル、前記チャネルカテーテル、前記操縦可能なナビゲーションカテーテル、および前記エネルギー送達デバイスのうちの1つ以上を操作するためのハンドルをさらに備える、構成4に記載のシステム。
【0239】
〔構成8〕
前記システムの構成要素のプロセッサによる動作をさらに含む、構成4に記載のシステム。
【0240】
〔構成9〕
前記エネルギー送達デバイスは、前記チャネルカテーテルを通してマイクロ波エネルギーを送達することが可能である、構成4に記載のシステム。
【0241】
〔構成10〕
エネルギー送達デバイスを到達困難な治療部位に配置する方法であって、
a)前記操縦可能なナビゲーションカテーテルが、前記チャネル管腔内にあり、前記チャネルカテーテルが、前記一次管腔内にある、構成1に記載のシステムを提供することと、
b)前記一次カテーテルを対象の開口部内に挿入して、前記一次カテーテルの直径によってさらなる前進が抑制されるまで、前記一次カテーテルを前記治療部位に向かって方向付けることと、
c)前記チャネルカテーテルを前記一次カテーテルの遠位端を超えて前進させて、前記チャネルカテーテルを前記治療部位まで延在させることと、
d)前記チャネルカテーテルの遠位端を前記治療部位に固定することと、
e)前記チャネル管腔を通して、前記チャネルカテーテルの近位端から前記操縦可能なナビゲーションカテーテルを引き出すことと、
f)前記エネルギー送達デバイスの遠位端が前記治療部位に到達するまで、前記チャネル管腔を通して前記エネルギー送達デバイスを挿入することと、を含む、方法。
【0242】
〔構成11〕
前記到達困難な治療部位は、肺の末梢を含む、構成10に記載の方法。
【0243】
〔構成12〕
前記到達困難な治療部位は、末梢肺結節を含む、構成11に記載の方法。
【0244】
〔構成13〕
前記肺結節には、気管支樹を通してアクセスする、構成12に記載の方法。
[追加構成1]
近位端と遠位端とを備えているマイクロ波エネルギー送達デバイスであって、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、近位端および遠位端を有する内部導体、近位端および遠位端を有する外部導体、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの長手方向に対する垂直方向において上記内部導体と上記外部導体との間に位置する冷却剤管、及び、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端に位置するスタイレット先端を備えており、
上記内部導体の上記遠位端は、上記スタイレット先端の近傍に位置し、上記内部導体は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しており、
上記外部導体の上記遠位端は、上記内部導体の上記遠位端よりも近位側に位置しており、上記外部導体は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しておらず、
上記冷却剤管の遠位端は、上記外部導体の上記遠位端の近傍に位置しており、上記冷却剤管は、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記遠位端まで延在しておらず、
上記冷却剤管内を遠位方向に流れる冷却剤は、上記冷却剤管の上記遠位端における開口から流出し、上記内部導体および上記外部導体間に形成されたチャネル内を近位方向に流れ、上記冷却剤管から流出した上記冷却剤は、上記スタイレット先端の近傍には流れない、ことを特徴とするマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成2]
上記スタイレット先端は、切断トロカールである、ことを特徴とする追加構成1に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成3]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの上記長手方向において、上記外部導体の上記遠位端および上記スタイレット先端間に、非金属性充填剤が備えられている、ことを特徴とする追加構成1または2に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成4]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスには電力定格が設けられており、
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは上記電力定格を超えるエネルギーを送達することを特徴とする追加構成1~3の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成5]
上記冷却剤がCO2であることを特徴とする追加構成1~4の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成6]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、望ましくない加熱を伴わずに、ヒト被験者の末梢肺の治療部位にアブレーションエネルギーを送達することを特徴とする追加構成1~5の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成7]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは、ヒト被験者の口腔から、上記ヒト被験者の気管を通して、前記ヒト被験者の末梢肺まで延在するのに十分な長さであることを特徴とする追加構成1~6の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成8]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスの直径は2mm以下であり、上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは可撓性であることを特徴とする追加構成1~7の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成9]
上記内部導体の上記遠位端は、導電性接着剤により、上記スタイレット先端に固定されている、ことを特徴とする追加構成1~8の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
[追加構成10]
上記マイクロ波エネルギー送達デバイスは温度センサを備えていることを特徴とする追加構成1~9の何れか1項に記載のマイクロ波エネルギー送達デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【
図1】本発明の一実施形態における、エネルギー送達システムの概略図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態における、同軸伝送線および/または誘電体素子の種々の形状を示す図である。
【
図3A】デバイスの望ましくない加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する目的で、融解可能な壁によって遮断された第1および第2の材料を伴う分割されたセグメントを有する、同軸伝送線の実施形態を示す図である。
【
図4A】デバイスの望ましくない加熱(例えば、外部導体に沿った加熱)を防止する第1および第2の材料(例えば、混合時に、温度を下げる化学反応を生じるように構成される材料)を含有する、融解可能な壁によって隔離された分割セグメントを有する、同軸伝送線の実施形態を示す図である。
【
図5】冷却剤チャネルを出入りする冷却剤の通過を制御するように構成されるハンドルの概略図である。
【
図6】冷却剤の通路を有する同軸ケーブルの実施形態の横断面概略図である。
【
図7】外部導体および誘電体材料を有するエネルギー放射デバイス内に位置付けられる、冷却剤循環管(例えば、冷却剤針、カテーテル)を示す図である。
【
図8】本発明の中央給電ダイポール構成要素を備える、本発明のデバイス(例えば、アブレーションデバイスのアンテナ)の遠位端を概略的に示す図である。
【
図9】温度測定ステーションの試験装置および位置を示す図である。図示されるように、全ての実験について、アブレーション針の軸は、20.5cmとした。プローブ1、2、および3は、ステンレス針の先端の近位側4、8、および12cmに位置させた。
【
図10】異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、35%での治療(13:40から13:50までマイクロ波を「オン」)を示す図である。プローブ3は、最初に、空中で、肝臓組織のわずかに外側に位置させた。
【
図11】異常に高い(6.5%)反射電力を伴う、45%での10分間の治療(14:58から15:08までマイクロ波を「オン」)を示す図である。ステーション4のピーク温度は、40.25℃であった。
【
図12】本発明の一実施形態における、冷却剤流の空間を作成するために除去されたその外部導体の領域を有する、1つの同軸ケーブルを示す図である。
【
図13】流入/流出ボックス、輸送シース、および手技デバイスポッドの概略図である。
【
図14】引張りワイヤアンカーと接続された2つの引張りワイヤを有する、エネルギー送達デバイスを示す図である。
【
図15】非可撓性領域および可撓性領域を有する、エネルギー送達デバイスの外部透視図である。
【
図16】内部導体と接続されたアンテナ内に位置付けられたより大きい同軸伝送線と接続された細い同軸伝送線を有する、エネルギー送達デバイスを示す図である。
【
図17】非可撓性領域および可撓性領域を有する、エネルギー送達デバイスの断面図である。
【
図18】手技テーブルストラップに接続された手技デバイスハブを示す図である。
【
図19】開窓を伴う特殊滅菌ドレープおよび開窓を通して挿入されたケーブルを示す図である。
【
図20】ケーブルを介して手技デバイスハブに接続された発電機を有し、手技デバイスハブが手技テーブルに固定されている、本発明のエネルギー送達システムを示す図である。
【
図21】エネルギー送達デバイスによる冷却を実証する図である。アンテナの近位側7cmで測定した、アブレーション中の温度プロファイルは、冷却水による冷却が、120Wを超える入力電力によって引き起こされる加熱を除去できることを示した(上図)。冷却したアンテナ(125W、5分)で作成した3cm以下のアブレーションは、アンテナに沿っていかなる「尻尾」も示さない。セラミック管および平らに削った先端は、経皮導入を可能にする(下図)。
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図22】種々の受動的な冷却手法による、アンテナ軸に沿ってシミュレートした温度分布を示す図である。熱抵抗体および絶縁シースの組み合わせは、最も顕著に近位の温度を低減した。
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図23】等尺度で示した、正常なブタの肺において10分で作成されたマイクロ波によるアブレーション(左図)およびRFによるアブレーション(右図)を示す図である。マイクロ波アブレーションは、RFアブレーションよりも大きく、かつ球状であった。
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図24】実験装置(上図)、および35Wの熱をアンテナ軸内部で発生させている間の、アンテナ軸に沿った温度の測定結果(下図)を示す図である。軸に沿った任意の地点での温度が8℃を超えて上昇しないよう保つために、1.0L/分(stp)のCO
2流だけしか必要としなかった。10L/分(stp)では、50Wの加熱電力を打ち消すことが可能であった。
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図25】実験装置(上図)、および0、13、および23.8L/分(stp)のNC-CO
2流について、アンテナ先端を150℃に維持している間の、アンテナ軸に沿った温度の測定結果(下図)を示す図である。この試験では、加熱は、アンテナ先端からの熱伝導だけを考慮し、内部加熱は考慮しなかったことに留意されたい。
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図26】アンテナの先端からの熱伝導加熱を平衡させるのに、10秒で1L/分(stp)ほどのCO
2のパルスであることを示す図である。
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図27】時間の関数として、従来の画像解像度および高度に限定された逆投影法(HYPR)の画像解像度を示す図である。
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図28】ある期間にわたる標準腫瘍画像および高度に限定された逆投影法(HYPR)の腫瘍画像を示す図である。
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図29】エネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
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図30】エネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
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図31】手技環境内でのエネルギー送達デバイスの実施形態を示す図である。
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図32】冷却剤として同軸伝送線の誘電体材料を使用するための種々の例示的な構成を示す図である。a)従来の同軸構成。b)誘電空間を、1つの冷却剤チャネルおよび1つの戻りチャネルに分割した構成。c)誘電体空間を、チャンバ(1つの冷却剤チャネル、1つの戻りチャネル)および2つの流れのないチャネルに分割した構成。d)誘電体空間を、2つの冷却剤チャネルおよび2つの戻りチャネルに分割した構成。e)誘電区間内に1つの冷却剤チャネルおよび1つの戻りチャネルの構成。f)誘電区間内に2つの冷却剤チャネルおよび2つの戻りチャネルの構成。g)誘電区間内に4つの冷却剤チャネルおよび4つの戻りチャネルの構成。h)冷却剤が誘電体材料を通って流れることを可能にした多孔誘電体材料。i)誘電空管を4つのチャンバに分割し、チャンバへの冷却剤流が収縮可能なチャネルを膨張させて、チャネルの断面外形を増大させる。j)収縮可能なチャネルは、冷却剤流がない状態では、収縮した形態で、その断面外形を低減させ、冷却剤流がある状態では、冷却剤チャネルを膨張させて、チャネルの断面外形を増大させる。(「C」および「R」は、潜在的な冷却剤(C)チャネルおよび戻り「R」チャネルを表す)
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図33】誘電体材料がチャネルの中の内部導体と外部導体との間の空間を分割する、同軸伝送線の例示的な「ワゴンホイール」断面を示す図である。
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図34】外部シースおよび切断トロカールを載置した、例示的な「ワゴンホイール」伝送線を示す図であり、冷却剤管およびチャネルを通しての冷却剤流を示す。