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特許7234388高レベルのアミン末端基を有するポリアミド
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  • 特許-高レベルのアミン末端基を有するポリアミド 図1
  • 特許-高レベルのアミン末端基を有するポリアミド 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】高レベルのアミン末端基を有するポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20230228BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20230228BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230228BHJP
【FI】
C08L77/00
C08K5/00
C08K3/013
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021545372
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 US2020016965
(87)【国際公開番号】W WO2020163571
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】62/801,869
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509354042
【氏名又は名称】アセンド・パフォーマンス・マテリアルズ・オペレーションズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ASCEND PERFORMANCE MATERIALS OPERATIONS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100168066
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】スパークス,ブラッドリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンサーリング,ライアン・エム
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529364(JP,A)
【文献】特表2011-529991(JP,A)
【文献】特開2001-302901(JP,A)
【文献】特表2013-501095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0353543(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25重量%~99重量%の、50μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有するアミドポリマーと、
ランタノイド系化合物を含む第1の安定剤と、
銅系化合物を含む第2の安定剤と、
0重量%~65重量%の充填材と
を含む、熱安定化ポリアミド組成物であって、
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、51%超の引張強度保持を示す、熱安定化ポリアミド組成物。
【請求項2】
190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、59%超の引張強度保持を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項3】
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、102MPa超の引張強度を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項4】
190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、119MPa超の引張強度を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項5】
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、11110MPa超の引張弾性率を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項6】
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m超の反発弾性を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項7】
210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、99MPa超の引張強度を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項8】
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、82MPa超の引張強度を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項9】
210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、50%超の引張強度保持を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項10】
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、41%超の引張強度保持を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項11】
210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m超の反発弾性を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項12】
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m超の反発弾性を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項13】
190℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m超の反発弾性を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項14】
1ppm~1重量%のシクロペンタノンをさらに含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項15】
アミドポリマーが、60μ当量/グラム~105μ当量/グラムの範囲内のアミン末端基レベルを有する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項16】
少なくとも1wppmのアミン/金属錯体を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項17】
ハロゲン化物を含み、ハロゲン化物に対する第1の熱安定剤の重量比が0.1~25の範囲内である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項18】
2の熱安定剤が0.01重量%~5重量%の範囲内の量で存在する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項19】
ランタノイド系化合物を含む第1の熱安定剤がセリウム系熱安定剤であり、ランタノイド系化合物を含む第1の熱安定剤が0.01重量%~10重量%の範囲内の量で存在する、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項20】
追加のポリアミドを含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項21】
ランタノイド系化合物が、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコラート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるランタノイド配位子を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項22】
第1の安定剤がランタノイド系化合物であり、第2の安定剤が銅系化合物であり;220℃の温度で2500時間熱老化された場合、ポリアミド組成物が、99MPa超の引張強度、および50%超の引張強度保持を示す、請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項23】
アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、
ランタノイド系化合物が、酸化セリウム、セリウムオキシハイドレート、もしくはセリウム水和物、またはこれらの組み合わせを含み、ポリアミド組成物が、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し
リアミド組成物が、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み、
190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が59%超の引張強度保持を示し、
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m超の反発弾性を示す、
請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項24】
アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、
アミドポリマーがPA-6,6を含み、
組成物が、追加のポリアミドをさらに含み、
ランタノイド系化合物がセリウム系化合物を含み
10℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が82MPa超の引張強度を示し、
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が41%超の引張強度保持を示し、
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が13kJ/m超の反発弾性を示す、
請求項1に記載のポリアミド組成物。
【請求項25】
請求項1に記載の熱安定化ポリアミド組成物を含む自動車パーツであって、210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m超の反発弾性を示す、自動車パーツ。
【請求項26】
高温用途における使用のための物品であって、請求項1に記載の熱安定化ポリアミド組成物から形成され、締結具、回路遮断器、端子群、接続機、自動車パーツ、什器パーツ、家庭器具パーツ、ケーブル留め具、スポーツ装備品、銃床、窓用断熱層、エアロゾル弁、食品用フィルム包装、自動車/乗り物パーツ、布、産業用繊維、カーペット、または電気/電子パーツのために使用される、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる、2019年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/801,869号の優先権および出願の利益を主張する。
分野
[0002]本開示は、特に熱劣化に対するポリアミドの安定化、このような安定化において使用される添加剤、および得られる安定化ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]従来のポリアミドは一般に、例えば、布、自動車パーツ、カーペット、およびスポーツウェアを含めた、多くの用途におる使用で知られている。
[0004]これらの用途のうちのいくつかでは、問題のポリアミドは、例えば150℃~250℃のオーダーの高温に曝露されうる。このような高温に曝露される場合、複数の不可逆的な化学変化および物理変化がポリアミドに影響を及ぼし、その影響はいくつかの不利な特性を通じて顕在化することが知られている。例えば、ポリアミドが脆くなる、または変色することがある。その上、引張強度および反発弾性などのポリアミドの望ましい機械的特性は、典型的には、高温への曝露がもとで減少する。熱可塑性ポリアミドは特に、建築材料におけるガラス繊維強化成形材料の形態において、頻繁に使用される。多くの場合、これらの材料は昇温に供され、ポリアミドに損傷、例えば熱酸化による損傷が生じる。
【0003】
[0005]一部の場合、性能、例えばより高い温度における性能を改善するために、熱安定剤または熱安定剤パッケージが、ポリアミド混合物に加えられることもある。従来の熱安定剤パッケージの添加は、いくつかの熱酸化による損傷を遅延させることが示されているが、典型的には、これらの熱安定剤パッケージは、損傷を遅らせるに過ぎず、永続的に損傷を防止するものではない。加えて、いくつかの(大部分の)従来の安定剤パッケージは、より高い温度範囲にわたって、例えば特定の温度ギャップにわたって、効果がないことが見出されている。
【0004】
[0006]加えて、従来の安定剤パッケージは、より高い温度範囲にわたって、例えば、180℃~240℃または190℃~220℃などの特定の温度ギャップにわたって、効果がないことが見出されている。重要なことに、190℃~220℃の温度範囲は、ポリアミドの(従来の熱安定剤パッケージを用いて安定化されたポリアミドの)引張特性における低減が、通例見られる範囲である。この温度範囲は、多くの自動車エンジン関連用途に関係するため、特に重要である。別の方法で述べれば、多くの公知の安定剤パッケージは、広い温度範囲にわたる安定性/性能ギャップを有するポリアミドをもたらす。例えば、銅系安定剤を採用したポリアミドは、180℃超、例えば190℃超の温度に性能ギャップを有するポリアミドをもたらす。同様に、ポリオール系安定剤を採用したポリアミドは、190℃超、例えば210℃超の温度に性能ギャップを有するポリアミドをもたらす。さらに、少数部のカプロラクタムを含有するポリマーを採用したポリアミド組成物は、より高い温度で、例えば240℃超で良好な性能を発揮するが、180℃~210℃のギャップにおいては性能が不十分であることが見出されている。したがって、ポリアミドがこれらの温度に曝露される場合、ポリアミドは、例えば、とりわけ引張強度および/または反発弾性に関して、性能が不十分となる。
【0005】
[0007]さらに、これらの安定剤のうちの多くは、いくつかの温度で性能を改善しうるが、各安定剤パッケージはしばしば、特有の追加の欠点のセットを与える。例えば、鉄系安定剤を利用する安定剤パッケージには、鉄化合物の平均粒子サイズにおける高い精度が必要となることが知られており、これによって製造が困難となる。その上、これらの鉄系安定剤パッケージは、安定性の課題を示しており、例えば、ポリアミドは、様々な製造段階中に劣化することがある。結果として、製造プロセスの様々な段階の滞留時間が、注意深く監視されなければならない。同様の課題は、亜鉛系安定剤を利用するポリアミドにおいても存在する。
【0006】
[0008]従来の安定化組成物の一例として、EP2535365A1は、(A)(A1)255~330℃の融点を有する、少なくとも1種の半芳香族半結晶性ポリアミドと、(A2)少なくとも1種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)とは異なる、少なくとも50重量%のカプロラクタム含有量を有する、少なくとも1種のカプロラクタムを含有するポリアミドとを含む、ポリアミド混合物(27~84.99重量%);(B1)少なくとも1種の充填材および強化剤(15~65重量%);(C)少なくとも1種の温度安定剤(0.01~3重量%);ならびに(D)少なくとも1種の添加剤(0~5重量%)を含むポリアミド成形材料を開示する。ポリアミド成形材料は、(A)(A1)255~330℃の融点を有する、少なくとも1種の半芳香族半結晶性ポリアミドと、(A2)少なくとも1種の半芳香族半結晶性ポリアミド(A1)とは異なる、少なくとも50重量%のカプロラクタム含有量を有する、少なくとも1種のカプロラクタムを含有するポリアミドとを含む、ポリアミド混合物(27~84.99重量%)を含む。ポリアミド(A1)とポリアミド(A2)とに含有されるカプロラクタムの合計は、ポリアミド混合物に対して22~30重量%である。ポリアミド混合物は、(B1)少なくとも1種の充填材および強化剤(15~65重量%);(C)少なくとも1種の温度安定剤(0.01~3重量%);ならびに(D)少なくとも1種の添加剤(0~5重量%)をさらに含む。周期律表のVB、VIB、VIIB、またはVIIIB族の遷移金属の金属塩および/または金属酸化物は、ポリアミド成形材料中に存在しない。
【0007】
[0009]GB904,972は、安定剤として0.5~2重量%の次亜リン酸および/または次リン酸塩、ならびに0.001~1重量%の水溶性セリウム(III)塩および/または水溶性チタン(III)塩を含有する安定化ポリアミドを開示する。具体的な次リン酸塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、セリウム、トリウム、銅、亜鉛、チタン、鉄、ニッケル、およびコバルトの次リン酸塩である。具体的な水溶性セリウム(III)およびチタン(III)塩は、塩化物、臭化物、ハロゲン化物、スルホン酸塩、ギ酸塩、および酢酸塩である。具体的なポリアミドは、カプロラクタム、カプリルラクタム、o-アミノウンデカン酸、アジピン酸か、スベリン酸か、セバシン酸か、またはデカメチレンジカルボン酸とヘキサメチレンまたはデカメチレンジアミンとの塩、ヘプタンジカルボン酸とビス-(4-アミノシクロヘキシル)-メタンとの塩、テトラメチレンジイソシアネートとアジピン酸との塩、およびそれぞれ官能基同士の間に4~34個の炭素原子を有する、脂肪族w-アミノアルコールとジカルボン酸との塩から誘導されたものである。安定剤は、重縮合反応中または反応後に、ポリアミドに加えられうる。つや消し剤、例えば二酸化セリウム、二酸化チタン、二酸化トリウム、または三酸化イットリウムも、ポリアミドに加えられうる。実施例(1)および(2)は、(1)次リン酸二水素二ナトリウム六水和物、および(a)塩化チタン(III)六水和物、(b)塩化セリウム(III)の存在下、アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウムの重合;(2)(a)次リン酸トリウムおよび塩化チタン(III)六水和物の存在下、カプロラクタムの重合を記載するが、他方では実施例(3)において、ポリカプリルラクタムが、次リン酸四ナトリウム、酢酸チタン(III)、および二酸化チタンと混合される。
【0008】
[0010]また、EP1832624A1は、光化学的、熱的、物理的および/または化学的に誘起される、フリーラジカルを通じた分解に対する、好ましくはUV光曝露に対する、有機ポリマーの安定化のためのラジカル捕捉剤(catcher)の使用を開示する。二酸化セリウムは、無機ラジカル捕捉剤として使用される。(1)二酸化セリウム、UV吸収剤、および/または第2のラジカル捕捉剤を含むポリマー組成物;(2)二酸化セリウム、UV吸収剤、および/または少なくとも第2のラジカル捕捉剤の組み合わせを含む有機ポリマーの安定化のための薬剤;ならびに(3)任意選択で、UV吸収剤と、または第2のラジカル捕捉剤と組み合わせて、無機ラジカル捕捉剤として二酸化セリウムを混合するステップを含む、光化学的、熱的、物理的および/または化学的に誘起される、フリーラジカルを通じた分解に対する、好ましくはポリマー系配合物、ラッカー、着色剤、またはコーティングマスの形態における、有機ポリマーの安定化のための手順についての独立請求項が含まれる。
【0009】
[0011]また、US9,969,882は、熱老化に対する改善された耐性を有し、以下の組成物:(A)25~84.99重量%の少なくとも1種のポリアミド、(B)15~70重量%の少なくとも1種の充填材および強化手段、(C)0.01~5.0重量%の少なくとも1種の無機ラジカルインターセプター(interpectpr)、(D)(C)のもとの無機フリーラジカルスキャベンジャーとは異なる、0~5.0重量%の少なくとも1種の熱安定剤、ならびに(E)0~20.0重量%の少なくとも1種の添加剤を含む、ポリアミド成形材料を開示する。この発明はさらに、これらのポリアミド成形材料から製造された、自動車または電気/電子セクターにおける部品としての成形物品に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0012]参考文献を考慮しても、広い温度範囲にわたって優れた性能を示す、特に、より高い温度範囲、例えば190℃超または190℃~220℃で、(性能の特徴の中でも)引張強度および反発弾性における有意な改善を示す、改善されたポリアミド組成物について必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0015]一部の実施形態では、本開示は、50μ当量/グラム超、例えば、65μ当量/グラム超、または65μ当量/グラム~105μ当量/グラム、例えば65μ当量/グラム~75μ当量/グラムのアミン末端基レベルを有する、(25重量%~99重量%の)アミドポリマー、例えば、PA-6,6もしくはPA-6,6/6T、またはこれらの組み合わせ;および(0重量%~65重量%の)充填材を含む、熱安定化ポリアミド組成物に関する。ポリアミド組成物は、追加のポリアミドを含んでもよい。ポリアミド組成物は、少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、少なくとも75MPa、例えば、少なくとも100MPa、もしくは少なくとも110MPaの引張強度を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、51%超の引張強度保持を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は59%超の引張強度保持を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は102MPa超の引張強度を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は119MPa超の引張強度を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は11110MPa超の引張弾性率を示し;かつ/または190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は17kJ/m超の反発弾性を示し;かつ/または、210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は99MPa超の引張強度を示し;かつ/または210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は82MPa超の引張強度を示し;かつ/または210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は50%超の引張強度保持を示し;かつ/またはここで、210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は41%超の引張強度保持を示し;かつ/または210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は17kJ/m超の反発弾性を示し;かつ/または210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は13kJ/m超の反発弾性を示し;かつ/または190℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は17kJ/m超の反発弾性を示す。組成物は、(0.01重量%~10重量%の)第1の(ランタノイド系)熱安定剤、例えばセリウム系熱安定剤、および/または(0.01重量%~5重量%の)第2の熱安定剤、例えば銅系化合物を含みうる、熱安定剤パッケージをさらに含んでもよい。組成物は、少なくとも1wppmのアミン/金属錯体、例えばアミン/セリウム/銅錯体、1~10000wppmのシクロペンタノン、および/または(0.3重量%未満の)ステアレート添加剤を含んでもよく、3~100の範囲内の相対粘度を有してもよい。組成物はハロゲン化物を含んでもよく、ハロゲン化物に対する第1の熱安定剤の重量比は、0.1~25の範囲内であってもよい。ランタノイド系熱安定剤は、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート(chromoates)、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコレート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるランタノイド配位子を含んでもよい。アミドポリマーは、アミドポリマーの総重量を基準にして、90重量%超の低カプロラクタム含有ポリアミド、例えば、PA-6,6/6および/もしくはPA-6,6/6T/6(または低溶融温度ポリアミド)、ならびに10重量%未満の非低カプロラクタム含有ポリアミド(または非低溶融温度ポリアミド)を含んでもよい。アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有してもよく;ランタノイド系熱安定剤は、酸化セリウムおよび/またはセリウムオキシハイドレートを含んでもよく、ポリアミド組成物は、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有してもよく;第2の熱安定剤は銅系化合物を含んでもよく;ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含む。アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;ランタノイド系熱安定剤はセリウム系熱安定剤を含んでもよく;第2の熱安定剤は銅系化合物を含んでもよく;ポリアミド組成物は、5.0~50.0の範囲内のセリウム比を有してもよく;ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含んでもよい。一部の場合、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;ランタノイド系化合物は、酸化セリウム、セリウムオキシハイドレート、もしくはセリウム水和物、またはこれらの組み合わせを含み、ポリアミド組成物は、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し;第2の熱安定剤は銅系化合物を含み;ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は59%超の引張強度保持を示し;190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は17kJ/m超の反発弾性を示す。一部の場合、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;アミドポリマーはPA-6,6を含み;組成物は、追加のポリアミドをさらに含み;ランタノイド系化合物はセリウム系化合物を含み;第2の熱安定剤は銅系化合物を含み;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は82MPa超の引張強度を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は41%超の引張強度保持を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は13kJ/m超の反発弾性を示す。
【0012】
[0016]一部の実施形態では、本開示は、請求項1に記載の熱安定化ポリアミド組成物を含む自動車パーツであって、210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m超の反発弾性を示す、自動車パーツに関する。一部の実施形態では、本開示は、高温用途における使用のための物品であって、請求項1に記載の熱安定化ポリアミド組成物から形成され、締結具、回路遮断器、端子群、接続機、自動車パーツ、什器パーツ、家庭器具パーツ、ケーブル留め具、スポーツ装備品、銃床、窓用断熱層、エアロゾル弁、食品用フィルム包装、自動車/乗り物パーツ、布、産業用繊維、カーペット、または電気/電子パーツのために使用される、物品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]2500時間の熱老化において、開示される組成物の実施形態によって達成される、引張強度保持を示すグラフである。
図2】[0014]3000時間の熱老化において、開示される組成物の実施形態によって達成される、引張強度保持を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017]この開示は、より高い温度におけるおよび熱老化条件下での性能、例えば引張強度および/または反発弾性における有意な改善を可能にする、特定のレベルのアミン末端基(AEG)を有するアミドポリマーを採用した熱安定化ポリアミド組成物に関する。従来のポリアミド組成物は、典型的には、熱安定剤パッケージを利用して、高温性能に対処する。残念なことに、これらの熱安定剤パッケージのうちの多くは、単独では、広い温度範囲、例えば190℃~220℃の温度範囲にわたる安定性/性能ギャップがある。結果として、組成物から形成されたポリアミド構造は、性能および/または構造の不全を生じる傾向がある。
【0015】
[0018]開示されるポリアミド組成物および構造は、異なる手法を取り入れて、ポリアミド組成物の熱安定性に対処する-任意選択で特定の安定剤パッケージと組み合わせて、特定のAEGレベルを利用する。これらのAEGレベルの効果的な使用は、熱老化弾性の改善に寄与し、温度負荷がかかったポリアミド成分の不全リスクを減少させうる。さらに、これらのAEGレベルは有利なことに、熱老化性能における改善を可能にするので、(所望の結果を達成するための)安定剤パッケージの必要性を低減または排除することができ、とりわけ、多くの安定剤パッケージが高価な金属成分を含有するという事実を考慮して、プロセス効率化をもたらす。
【0016】
[0019]ここで開示される組成物は、より高レベルのAEGを有するアミドポリマーを含み、予想外の高温性能に寄与する。例えば、開示されるポリアミド組成物は、熱老化後に高い引張強度を示すことが見出されている。より詳細には、ここで開示されるポリアミド組成物は、驚くべきことに、190℃~220℃の範囲内の温度で、とりわけ、このような温度での熱老化に長期間曝露された場合には、有意な性能改善を達成することが見出されている。重要なことに、この温度範囲は、例えば自動車用途において、多くのポリアミド構造が利用される範囲である。例示的な自動車用途としては、多様な「ボンネット下」の使用、例えば内燃機関のための冷却システムを挙げることができる。特に、多くのポリアミド構造は、ポリアミドを高温に曝露する、過給器および給気冷却システムにおいて採用される。
【0017】
[0020]理論によって束縛されるものではないが、特定のAEGレベルは、とりわけより高い温度で、ポリアミドの分枝(またはことによると架橋)の加速を促進すると考えられる。この分枝は分子量の増加をもたらし、これによって、機械的特性に関する温度劣化が低減すると考えられる。分子量の増加は、例えばより高い温度での劣化の速度を低減し、そのため、劣化が同じ速さでは起こらないと仮定される。
【0018】
[0021]また、本発明者は、前述のAEGレベルを利用することによって、一定の有害な反応副生成物が低減または排除されうることを見出した。これらの副生成物の低減または排除は、予想外にも、劣化性能に対する有利な効果を有することが見出された。特に、熱酸化劣化プロセス中にシクロペンタノンが形成することがあり、シクロペンタノンは、特に190℃~220℃の温度範囲で、ポリマーの劣化に寄与することが見出された。シクロペンタノンは、ポリマー上の酸末端基によって促進される環化メカニズムを介して形成されうると考えられる。これらの酸末端基が反応して環化し、有害なシクロペンタノンを形成する。本発明者は、ここで開示されるAEGレベルを採用することによって、アミン末端基/酸末端基相互作用の速度論が、有益に均衡することを見出した。そして、この改善により、酸末端基によって促進される環化が少なくなり、それによって、より少ないシクロペンタノンが生成される。シクロペンタノンの量が低減した結果として、とりわけ、190℃~220℃の温度ギャップにおける劣化性能が改善される。
【0019】
[0022]さらに、アミドポリマーのAEGは、特定の熱安定剤、例えばランタノイド系または銅系熱安定剤の成分と相乗的に反応および/または錯形成することがあり、これによって、アミドポリマー/金属錯体が得られると考えられる。この錯体は、これらの金属の酸化状態を安定化しうるが、これは、熱老化性能における有意な改善に寄与しうる。一部の場合、錯形成は、熱安定剤中に存在する配位子を有益に変質させると仮定される。
【0020】
[0023]一部の実施形態では、本開示は、高いAEGレベル(例えば、50μ当量/グラム超のAEGレベル)を有する(25重量%~90重量%の)アミドポリマーを含む、熱安定化ポリアミド組成物に関する。結果として、ポリアミド組成物は、特徴の中でも、例えば、少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、少なくとも75MPa(超);かつ/または190℃~220℃の温度範囲全体にわたって3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、102MPa超の高引張強度を示す。対照的に、従来の低AEGレベルを利用する従来のポリアミド組成物は、とりわけ前述の温度範囲全体にわたって、劣った引張強度値を示す。
【0021】
[0024]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、熱安定剤パッケージをさらに含み、熱安定剤パッケージは、第1の安定剤、例えば(0.01重量%~10重量%の)ランタノイド系化合物、および/または第2の熱安定剤(第1の(ランタノイド系)熱安定剤以外)を含んでもよい。熱安定剤は、金属系熱安定剤、例えば、ランタノイド系化合物および/または銅系化合物であってもよい。
末端基
[0025]ここで使用される場合、アミン末端基は、ポリアミド中に存在するアミン末端(-NH)の量として定義される。AEGの計算方法は周知である。
【0022】
[0026]開示されるアミドポリマーは、特定の範囲および/または限度のAEGレベルを利用する。一部の実施形態では、アミドポリマーは、50μ当量/グラム~90μ当量/グラム、例えば、55μ当量/グラム~85μ当量/グラム、60μ当量/グラム~90μ当量/グラム、70μ当量/グラム~90μ当量/グラム、74μ当量/グラム~89μ当量/グラム、76μ当量/グラム~87μ当量/グラム、78μ当量/グラム~85μ当量/グラム、60μ当量/グラム~80μ当量/グラム、62μ当量/グラム~78μ当量/グラム、65μ当量/グラム~75μ当量/グラム、または67μ当量/グラム~73の範囲内のAEGレベルを有する。
【0023】
[0027]下限に関して、ベースポリアミド組成物は、50μ当量/グラム超、例えば、55μ当量/グラム超、57μ当量/グラム超、60μ当量/グラム超、62μ当量/グラム超、65μ当量/グラム超、67μ当量/グラム超、70μ当量/グラム超、72μ当量/グラム超、74μ当量/グラム超、75μ当量/グラム超、76μ当量/グラム超、または78μ当量/グラム超のAEGレベルを有してもよい。上限に関して、ベースポリアミド組成物は、90μ当量/グラム未満、例えば、89μ当量/グラム未満、87μ当量/グラム未満、85μ当量/グラム未満、80μ当量/グラム未満、78μ当量/グラム未満、75μ当量/グラム未満、70μ当量/グラム未満、65μ当量/グラム未満、63μ当量/グラム未満、または60μ当量/グラム未満のAEGレベルを有してもよい。繰り返すが、特定のAEGレベルの利用は、熱老化弾性、例えば(中でも)引張強度および/または反発弾性の予想外の組み合わせを可能にする。
【0024】
[0028]AEG含有量は、従来の低AEG含有量ポリアミドを処理することによって、獲得/達成/制御することができ、その非限定例は下で提供される。一部の場合、AEGレベルは、重合反応混合物中の過剰なヘキサメチレンジアミン(HMD)の量を制御することによって、獲得/達成/制御することができる。HMDは、反応において採用される(ジ)カルボン酸、例えばアジピン酸よりも、揮発性が高いと考えられる。一般に、反応混合物中の過剰なHMDは、最終的に、AEGのレベルに影響を及ぼす。一部の場合、AEGレベルは、(モノ)アミンの組み込みを介して、例えば、末端構造のうちのいくつかをアミンによって「キャッピング」することによって獲得/達成/制御することができ、単官能性末端キャッピングは、前述の高AEGレベルアミドポリマーに到達するために採用されうる。
【0025】
[0029]例示的な(モノ)アミンとしては、限定するものではないが、ベンジルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチル-1-ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、アミルアミン、tert-ブチルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、もしくはオクタデシルアミン、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。例示的な(一)酸としては、限定するものではないが、酢酸、プロピオン(proprionic)酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、オレイン酸、もしくはステアリン酸、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
ポリアミド
[0030]上に述べられたように、開示される熱安定化ポリアミド組成物は、多量のAEGを有するアミドポリマー(高AEGポリアミド)を含む。ポリアミド自体、例えば、高AEGポリアミド)を形成するために処理されうるベースポリアミドは、広く多様でありうる。一部の場合、ポリアミドは、高AEG含有量を達成するために加工されうる(例示的な技法は、上に述べられる)。
【0026】
[0031]多種多様な天然および人工ポリアミドが公知であり、高AEGポリアミドの形成に利用されうる。一般的なポリアミドとしては、ナイロンおよびアラミドが挙げられる。例えば、ポリアミドは、PA-4T/4I;PA-4T/6I;PA-5T/5I;PA-6;PA-6,6;PA-6,6/6;PA-6,6/6T;PA-6T/6I;PA-6T/6I/6;PA-6T/6;PA-6T/6I/66;PA-6T/MPDMT(ここで、MPDMTは、ジアミン成分としてヘキサメチレンジアミンおよび2-メチルペンタメチレンジアミンの混合物と、二酸成分としてテレフタル酸とをベースとするポリアミドである);PA-6T/66;PA-6T/610;PA-10T/612;PA-10T/106;PA-6T/612;PA-6T/10T;PA-6T/10I;PA-9T;PA-10T;PA-12T;PA-10T/10I;PA-10T/12;PA-10T/11;PA-6T/9T;PA-6T/12T;PA-6T/10T/6I;PA-6T/6I/6;PA-6T/61/12;およびこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0027】
[0032]組成物のアミドポリマーとしては、脂肪族ポリアミド、例えば、ポリマー性E-カプロラクタム(PA6)およびポリヘキサメチレンアジポアミド(PA66)、または他の脂肪族ナイロン、芳香族成分、例えばパラフェニレンジアミンおよびテレフタル酸を有するポリアミド、ならびに例えば、2-メチルペンタメチレン(pentmethylene)ジアミンと、ナトリウムサルタネート(sultanate)塩の形態における3,5-ジカルボキシベンゼンスルホン酸またはスルホイソフタル酸とのアジピン酸エステルなどのコポリマーを挙げることができる。ポリアミドとしては、ポリアミノウンデカン酸、およびビス-パラアミノシクロヘキシルメタンとウンデカン酸とのポリマーを挙げることができる。他のポリアミドとしては、ポリ(アミノドデカノアミド)(poly(aminododecanoamide))、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリ(p-キシリレンアゼレアミド)、ポリ(m-キシリレンアジポアミド)、ならびにビス(p-アミノシクロヘキシル)メタンと、アゼライン酸、セバシン酸、および均一脂肪族ジカルボン酸からのポリアミドが挙げられる。ここで使用される場合、「PA6ポリマー」および「PA6ポリアミドポリマー」という用語は、PA6が主成分であるコポリマーも含む。ここで使用される場合、「PA66ポリマー」および「PA66ポリアミドポリマー」という用語は、PA66が主成分であるコポリマーも含む。一部の実施形態では、PA-6,6/6I;PA-6I/6T;もしくはPA-6,6/6Tなどのコポリマー、またはこれらの組み合わせが、ポリアミドポリマーとしての使用について企図される。一部の場合、これらのポリマーの物理的ブレンド、例えば溶融ブレンドが企図される。一実施形態では、ポリアミドポリマーは、PA-6もしくはPA-6,6、またはこれらの組み合わせを含む。
【0028】
[0033]熱安定化ポリアミド組成物の高AEGポリアミドは、ポリアミドの組み合わせを含んでもよい。様々なポリアミドを組み合わせることによって、最終組成物は、各構成要素のポリアミドの所望の特性、例えば機械的特性を組み込むことができうる。
【0029】
[0034]一部の場合、高AEGポリアミド、例えば高AEGのPA-6,6および/またはPA-6,6/6Tは、20重量%~99重量%、30重量%~85重量%、30重量%~70重量%、40重量%~60重量%、50重量%~90重量%、70重量%~90重量%、および80重量%~90重量%の量で、組成物中に存在してもよい。上限に関して、これらのポリアミドは、99重量%未満、例えば、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、60重量%未満、50重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、または15重量%未満の量で存在してもよい。下限に関して、これらのポリアミドは、1重量%超、例えば、10重量%超、20重量%超、30重量%超、40重量%超、50重量%超、70重量%超、および80重量%超の量で存在してもよい。
【0030】
[0035]一部の場合、ポリアミド組成物は、高AEGポリアミドに加えて、低AEG含有量を有しうる追加のポリアミドをさらに含んでもよい。別の方法で述べれば、組成物は、高AEGポリアミドと低AEGポリアミドとの両方を含んでもよい。低AEGポリアミドとしては、ここで記載される高AEG含有量を有しない、または有するように処理されていない、前述のポリアミドのいずれかが挙げられうる。組成物中のポリアミドの組み合わせは、任意の数の公知のポリアミドを含んでもよい。例えば、一部の実施形態では、ポリアミドは、(低AEG)ポリアミドと(高AEG)PA-6,6および/または(高AEG)PA-6,6/6Tとの組み合わせを含む。一部の実施形態では、組成物は、(低AEG)ポリアミドと(高AEG)PA-6,6/6Tとを含む。一部の実施形態では、組成物は、(低AEG)ポリアミドと(高AEG)PA-6,6とを含む。
【0031】
[0036]熱安定化ポリアミド組成物は、熱安定化ポリアミド組成物の総重量を基準にして、25重量%~99重量%のポリマー(高AEGポリアミドと低AEGポリアミドとの全体として)を含んでもよい。一部の場合、熱安定化ポリアミド組成物はアミドポリマーを、25重量%~99重量%、30重量%~95重量%、30重量%~85重量%、50重量%~95重量%、50重量%~90重量%、50重量%~75重量%、55重量%~70重量%、57重量%~67重量%、59重量%~65重量%、70重量%~95重量%、70重量%~90重量%、および80重量%~95重量%、または80重量%~90重量%の量で含んでもよい。上限に関して、熱安定化ポリアミド組成物はアミドポリマーを、99重量%未満、例えば、95重量%未満、90重量%未満、75重量%未満、70重量%未満、67重量%未満、または65重量%未満の量で含んでもよい。下限に関して、熱安定化ポリアミド組成物はアミドポリマーを、25重量%超、例えば、30重量%超、50重量%超、55重量%超、57重量%超、59重量%超、59重量%超、70重量%超、80重量%超、85重量%超、または90重量%超の量で含んでもよい。
【0032】
[0037]低AEGポリアミドは、一部の場合、ラクタムの共重合および/または共重縮合を含めて、開環重合または重縮合を通じて生成されたポリアミドを含みうる。これらのポリアミドは、例えば、プロプリオラクタム(propriolactam)、ブチロラクタム、バレロラクタム、およびカプロラクタムから生成されたポリアミドを含むことができる。例えば、一部の実施形態では、組成物は、カプロラクタムの重合から誘導されたポリアミドポリマーを含む。低AEGポリアミドはまた、カプロラクタムを含有するポリマーおよびコポリマーを含んでもよい。例えば、低AEGポリアミドは、ポリアミドを含みうるが、例えば、プロプリオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、およびカプロラクタムから生成されたポリアミド、例えば、PA-66/6;PA-6;PA-66/6T;PA-6/66;PA-6T/6;PA-6,6/6I/6;PA-6I/6;もしくは6T/6I/6、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一部の場合、これらのコポリマーは、低カプロラクタム含有量、例えば50%未満、またはその組み合わせを有しうる。
【0033】
[0038]例えば一部の実施形態では、例えば低AEGポリアミドがカプロラクタムポリマーである場合、低AEGポリアミド、例えばカプロラクタムポリアミドは、全ポリマーの1重量%超、例えば、2重量%超、4重量%超、5重量%超、10重量%超、11重量%超、15重量%超、20重量%超、または25重量%超の量で存在する。範囲に関して、組成物は、2重量%~50重量%の低AEGポリアミド、例えば、2重量%~40重量%、2重量%~20重量%、4重量%~30重量%、4重量%~20重量%、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、2重量%~8重量%、10重量%~50重量%、15重量%~47重量%、20重量%~47重量%、25重量%~45重量%、または30重量%~45重量%を含む。上限に関して、組成物は、50重量%未満の低AEGポリアミド、例えば、47重量%未満、45重量%未満、42重量%未満、40重量%未満、35重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または8重量%未満を含む。これらの範囲は、低AEGポリアミド、例えばカプロラクタム系ポリアミドに適用でき、個別にも同様である。
【0034】
[0039]特に、PA-66/6;PA-6;PA-66/6T;PA-6/66;PA-6T/6;PA-6,6/6I/6;PA-6I/6;もしくは6T/6I/6、またはこれらの組み合わせが採用される場合、これらは、1重量%~80重量%、5重量%~70重量%、10重量%~50重量%、2重量%~40重量%、2重量%~20重量%、4重量%~30重量%、4重量%~20重量%、1重量%~15重量%、1重量%~10重量%、2重量%~8重量%、10重量%~30重量%、または10重量%~20重量%の量で存在してもよい。上限に関して、これらは、99重量%未満、例えば、90重量%未満、80重量%未満、70重量%未満、50重量%未満、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または8重量%未満の量で存在してもよい。下限に関して、これらは、1重量%超、例えば、2重量%超、4重量%超、5重量%超、10重量%超、11重量%超、または12重量%超の量で存在してもよい。一部の場合、これらは、他のポリアミドの量よりも有意に少ない量で存在する。
【0035】
[0040]加えて、本発明者は、特定の量(多量)の(高AEG)低カプロラクタム含有ポリアミド、例えばPA-6,6/6コポリマー、例えば90重量%超(したがって、少量の高カプロラクタム含有ポリアミド、例えばPA-6)の使用は、驚くべきことに、とりわけ相乗的熱安定剤パッケージとともに採用される場合には、前述の温度範囲にわたって良好な熱安定性を可能にすることを見出した。また、予想外にも、特定の量(多量)の低い、例えば210℃未満の溶融温度を有するポリアミド(したがって、少量の高溶融温度ポリアミド、例えばPA-6)の使用は、実際に熱安定性を改善することが見出されている。伝統的には、低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミドの使用は、例えば、これらの低温ポリアミドは、高カプロラクタム含有ポリアミドよりも低い溶融温度を有するため、得られるポリマー組成物の最終的な高温性能に有害であろうと考えられている。本発明者は、予想外にも、一定量の低カプロラクタム含有(一部の場合、高AEG含有)ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミドの添加は、実際に高温熱性能を改善することを見出した。理論によって束縛されるものではないが、より高い温度ではこれらのアミドポリマーは、実際に「解重合」し、モノマー相に向かって移行すると仮定され、これは驚くべきことに、高熱性能の改善を生じる。さらに、低い溶融温度を有するポリアミドの使用は、解重合が起こる温度の低下を実際に可能にすると考えられ、したがって、予想外にも、温度安定性の改善にさらに寄与する。
【0036】
[0041]一部の実施形態では、ここで述べられるように、低カプロラクタム含有ポリアミド、例えば、50重量%未満のカプロラクタム、例えば、49重量%未満、48重量%未満、47重量%未満、46重量%未満、45重量%未満、44重量%未満、42重量%未満、40重量%未満、37重量%未満、35重量%未満、33重量%未満、30重量%未満、28重量%未満、25重量%未満、23重量%未満、または20重量%未満を含むポリアミドが利用される。範囲に関して、低カプロラクタム含有ポリアミドは、5重量%~50重量%のカプロラクタム、例えば、10重量%~49.9重量%、15重量%~49.5重量%、20重量%~49.5重量%、25重量%~48重量%、30重量%~48重量%、35重量%~48重量%、37重量%~47重量%、39重量%~46重量%、40重量%~45重量%、41重量%~45重量%、41重量%~44重量%、または41重量%~43重量%を含んでもよい。下限に関して、低カプロラクタム含有ポリアミドは、2重量%超のカプロラクタム、例えば、5重量%超、10重量%超、15重量%超、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、37重量%超、39重量%超、40重量%超、または41重量%超を含んでもよい。低カプロラクタム含有ポリアミドの例としては、PA-66/6;PA-6;PA-66/6T;PA-6/66;PA-6T/6;PA-6,6/6I/6;PA-6I/6;もしくは6T/6I/6、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらのポリアミドは、いくらかのカプロラクタムを含有してもよいが、少量でありうる。
【0037】
[0042]いくつかの実施形態では、低溶融温度ポリアミド、例えば、210℃未満、例えば、208℃未満、205℃未満、203℃未満、200℃未満、198℃未満、195℃未満、193℃未満、190℃未満、188℃未満、185℃未満、183℃未満、180℃未満、178℃未満、または175℃未満の溶融温度を有するポリアミドが利用される。いくつかのポリアミドは、低カプロラクタム含有ポリアミドのみならず低溶融温度ポリアミド、例えばPA-66/6であってもよい。他の場合、低溶融温度ポリアミドは、いくつかの低カプロラクタム含有ポリアミドを含んではならず、逆もまた同様である。
【0038】
[0043]一部の実施形態では、低カプロラクタム含有ポリアミドは、PA-6,6/6;PA-6T/6;PA-6,6/6T/6;PA-6,6/6I/6;PA-6,6;PA-6I/6;もしくは6T/6I/6、またはこれらの組み合わせを含む。一部の場合、低カプロラクタム含有ポリアミドは、PA-6,6/6および/またはPA-6,6/6T/6を含む。一部の実施形態では、低カプロラクタム含有ポリアミドは、PA-6,6/6および/またはPA-6,6を含む。
【0039】
[0044]一部の実施形態では、低溶融温度ポリアミドは、PA-6,6/6;PA-6T/6;PA-6,6/6I/6;PA-6I/6;もしくは6T/6I/6、またはこれらの組み合わせを含む。一部の場合、低カプロラクタム含有ポリアミドはPA-6,6/6を含む。一部の場合、低溶融温度ポリアミドの溶融温度は、モノマー成分を操作することによって制御されうる。
【0040】
[0045]一部の場合、ポリアミドは、特定の(高)濃度の(高AEG含有)低カプロラクタム含有ポリアミド(カプロラクタムを含まないポリアミドを含めて)、および/または低溶融温度ポリアミドを含む。例えば、ポリアミドは、90重量%超の低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミド、例えば、91重量%超、92重量%超、93重量%超、94重量%超、95重量%超、96重量%超、97重量%超、98重量%超、99重量%超、または99.5重量%超を含んでもよい。範囲に関して、ポリアミドは、90重量%~100重量%の低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミド、例えば、90重量%~99重量%、90重量%~98重量%、90重量%~96重量%、91重量%~99重量%、91重量%~98重量%、91重量%~97重量%、91重量%~96重量%、92重量%~98重量%、92重量%~97重量%、または92重量%~96重量%を含んでもよい。上限に関して、ポリアミドは、100重量%未満の低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミド、例えば、99重量%未満、98重量%未満、97重量%未満、96重量%未満、95重量%未満、94重量%未満、93重量%未満、92重量%未満、または91重量%未満を含んでもよい。
【0041】
[0046]一部の場合、ポリアミドは、特定の(低)濃度の他の非低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または高溶融温度ポリアミドを含む。例えば、ポリアミドは、10重量%未満の非低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミド、例えば、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満を含んでもよい。範囲に関して、ポリアミドは、0.5重量%~10重量%の他の非低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または高溶融温度ポリアミド、例えば、1重量%~9重量%、1重量%~8重量%、2重量%~8重量%、3重量%~8重量%、3重量%~7重量%、4重量%~9重量%、4重量%~8重量%、5重量%~9重量%、5重量%~8重量%、または6重量%~8重量%を含んでもよい。下限に関して、ポリアミドは、0.5重量%超の非低カプロラクタム含有ポリアミドおよび/または低溶融温度ポリアミド、例えば、1重量%超、2重量%超、3重量%超、4重量%超、5重量%超、6重量%超、7重量%超、8重量%超、または9重量%超を含んでもよい。
【0042】
[0047]その上、熱安定化ポリアミド組成物は、ラクタムとナイロンとの共重合を通じて生成されたポリアミド、例えば、カプロラクタムポリアミドとPA-6,6との共重合の生成物を含んでもよい。
【0043】
[0048]ポリアミド組成物の組成上の構成に加えて、安定剤パッケージと組み合わせたアミドポリマーの相対粘度では、性能および加工の両方において、多くの驚くべき利点を有することが認められることも発見されている。例えば、アミドポリマーの相対粘度が一定の範囲内および/または限度内である場合、製造速度ならびに引張強度(および任意選択で反発弾性)が改善される。
【0044】
[0049]熱安定化ポリアミド組成物において、アミドポリマーは、3~100、例えば、10~80、20~75、30~60、35~55、40~50、または42~48の範囲内の相対粘度を有してもよい。下限に関して、アミドポリマーの相対粘度は、3超、例えば、10超、20超、30超、35超、36超、40超、または42超であってもよい。上限に関して、アミドポリマーの相対粘度は、100未満、例えば、80未満、75未満、60未満、55未満、50未満、または48未満であってもよい。相対粘度は、ギ酸法を介して決定することができる。
【0045】
[0050]一部の場合、熱安定化ポリアミド組成物は(一部の場合、熱老化後または熱老化中に)、少量のシクロペンタノンを含み、これは上に述べられた劣化性能を改善する。一部の実施形態では、熱安定化ポリアミド組成物は、1ppm~1重量%(10,000ppm)のシクロペンタノン、例えば、1ppm~5000ppm、10ppm~4500ppm、50ppm~4000ppm、100ppm~4000ppm、500ppm~4000ppm、1000ppm~5000ppm、2000ppm~4000ppm、1500ppm~4500ppm、1000ppm~3000ppm、1500ppm~2500ppm、または2500ppm~3500ppmを含む。下限に関して、熱安定化ポリアミド組成物は、1ppm超のシクロペンタノン、例えば、10ppm超、50ppm超、100ppm超、250ppm超、400ppm超、500ppm超、1000ppm超、1500ppm超、2000ppm超、または2500ppm超を含んでもよい。上限に関して、熱安定化ポリアミド組成物は、10,000ppm未満のシクロペンタノン、例えば、5000ppm未満、4500ppm未満、4000ppm未満、3500ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、または1000ppm未満を含んでもよい。
熱安定剤パッケージ
[0051]ここで開示される熱安定剤パッケージは、AEGレベルと組み合わせて、ポリアミドの熱への曝露から生じる効果損傷、例えば熱酸化による損傷を緩和、遅延、または防止することによって、ポリアミド組成物の実用性および機能性を相乗的に改善しうる。熱安定剤パッケージは広く多様であってよく、多くのポリマー(ポリアミド)熱安定剤が公知であり、市販されている。
【0046】
[0052]一部の実施形態では、熱安定剤パッケージは、第1の熱安定剤、例えばランタノイド系化合物、および/または第2の熱安定剤を含む。一部の場合、第1の熱安定剤の量は、第2の熱安定剤を超える量で存在する。
ランタノイド
[0053]第1の熱安定剤は、広く多様であってよい。一般に、第1の熱安定剤は、ランタノイド、例えばセリウムまたはランタンを含む化合物である。一部の実施形態では、ランタノイドは、ランタン、セリウム、プラセオジム(praesodymium)、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、もしくはルテチウム、またはこれらの組み合わせであってもよい。一部の場合、ランタノイド系熱安定剤は、+IIIまたは+IVの酸化数を有しうる。
【0047】
[0054]一部の場合、第1の熱安定剤は一般に、構造(L)Xのものであり、式中、Xは配位子であり、nはゼロでない整数であり、Lはランタノイドである。すなわち、一部の実施形態では、ランタノイド系熱安定剤はランタノイド系配位子である。本発明者は、とりわけ前述の量、限度、および/または比において利用される場合には、特定のランタノイド配位子は、ポリアミドを特に良好に安定化できることを見出した。一部の実施形態では、配位子は、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコラート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されうる。これらの水和物も同様に企図される。
【0048】
[0055]一部の場合、配位子は酸化物および/またはオキシハイドレートであってもよい。一部の実施形態では、熱安定剤は、特定の酸化/オキシハイドレート化合物、好ましくは酸化ランタノイド(セリウム)および/またはランタノイド(セリウム)オキシハイドレートを含む。一部の場合、セリウムオキシハイドレートおよび酸化セリウムは1306-38-3のCAS番号を有することがあり;セリウム水和物は12014-56-1のCAS番号を有することがある。
- セリウムオキシハイドレート=CeO・H
- 酸化セリウム=CeO;CAS 1306-38-3
- 水酸化セリウム=(四)水酸化セリウム=Ce(OH)
[0056]一部の場合、ランタンがこのランタノイド金属である。前述の配位子が適用できる。一部の実施形態では、ランタノイド系化合物は、ランタン系化合物、例えば酸化ランタンもしくはランタンオキシハイドレート、またはこれらの組み合わせを含む。ランタン水和物も選択肢である。一部の実施形態では、熱安定化ポリアミド組成物は、複数種のランタノイド系熱安定剤を含む。例えば、熱安定化ポリアミド組成物は、酸化ランタン、ランタン(三)水酸化物(水和物)、ランタンオキシハイドレート、および/または酢酸ランタンの両方を含んでもよい。一部の場合、第1の安定剤は、ランタン系化合物およびセリウム系化合物の組み合わせを含む。
【0049】
[0057]一部の実施形態では、熱安定化ポリアミド組成物は、複数種のランタノイド系熱安定剤を含む。例えば、熱安定化ポリアミド組成物は、セリウムオキシハイドレートと酢酸セリウムとの両方を含んでもよい。複数種のセリウム系熱安定剤を選択することによって、個々の熱安定剤の熱安定化効果を相乗的に改善することができうる。その上、複数種のセリウム系熱安定剤を含むポリアミド組成物は、より広い範囲の温度にわたる、またはより高い温度における、改善された熱安定性を提供しうる。いくつかの好ましい実施形態では、セリウムがこのランタノイドである場合、セリウム系化合物は、セリウムオキシハイドレート、酢酸セリウム、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0050】
[0058]本発明者は、驚くべきことに、セリウム水和物と酢酸セリウムとの両方を含むセリウム系化合物を採用することで、ここで論じられる利点を可能にする熱安定剤パッケージをもたらすことを見出した。
【0051】
[0059]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、第1の熱安定剤、例えばランタノイド系化合物、例えば酸化セリウム/ランタノイドおよび/またはセリウム/ランタンオキシハイドレートを、0.01重量%~10.0重量%、例えば、0.01重量%~8.0重量%、0.01重量%~7.0重量%、0.02重量%~5.0重量%、0.03~4.5重量%、0.05重量%~4.5重量%、0.07重量%~4.0重量%、0.07重量%~3.0重量%、0.1重量%~3.0重量%、0.1重量%~2.0重量%、0.2重量%~1.5重量%、0.1重量%~1.0重量%、または0.3重量%~1.2重量%の範囲内の量で含む。下限に関して、ポリアミド組成物は、0.01重量%超の第1の熱安定剤、例えば、0.02重量%超、0.03重量%超、0.05重量%超、0.07重量%超、0.1重量%超、0.2重量%超、または0.3重量%超を含んでもよい。上限に関して、ポリアミド組成物は、10.0重量%未満の第1の熱安定剤、例えば、8.0重量%未満、7.0重量%未満、5.0重量%未満、4.5重量%未満、4.0重量%未満、3.0重量%未満、2.0重量%未満、1.5重量%未満、1.2重量%未満、1.0重量%未満、または0.7重量%未満を含んでもよい。
【0052】
[0060]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、1.0重量%未満の二酸化セリウム、例えば、0.7重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、または0.01重量%未満を含む。範囲に関して、ポリアミド組成物は、1wppm~1重量%の二酸化セリウム、例えば、1wppm~0.5重量%、1wppm~0.1重量%、5wppm~0.05重量%、または5wppm~0.01重量%を含んでもよい。
【0053】
[0061]一部の場合、ポリアミド組成物は、セリウム水和物をほとんどまたはまったく含まず、例えば、10.0重量%未満のセリウム水和物、例えば、8.0重量%未満、7.0重量%未満、5.0重量%未満、4.5重量%未満、4.0重量%未満、3.0重量%未満、2.0重量%未満、1.5重量%未満、1.2重量%未満、1.0重量%未満、0.7重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、または0.1重量%未満を含む。一部の場合、ポリアミド組成物は、セリウム水和物を実質的に含まず、例えばセリウム水和物を含まない。
【0054】
[0062]言及された範囲および限度は、一般にランタノイド系化合物に、ならびに詳細にはセリウム系化合物およびランタン系化合物にも適用できる。
[0063]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、酸化セリウム(もしくはランタン)(任意選択で、唯一のセリウム系熱安定剤として)、またはセリウム(もしくはランタン)オキシハイドレート(任意選択で、唯一のセリウム系熱安定剤として)、あるいは酸化セリウム(もしくはランタン)とセリウム(もしくはランタン)オキシハイドレートとの組み合わせを、10ppm~1重量%、例えば、10ppm~9000ppm、20ppm~8000ppm、50ppm~7500ppm、500ppm~7500ppm、1000ppm~7500ppm、2000ppm~8000ppm、1000ppm~9000ppm、1000ppm~8000ppm、2000ppm~8000ppm、2000ppm~7000ppm、2000ppm~6000ppm、2500ppm~7500ppm、3000ppm~7000ppm、3500ppm~6500ppm、4000ppm~6000ppm、または4500ppm~5500ppmの範囲内の量で含む。
【0055】
[0064]下限に関して、ポリアミド組成物は、10ppm超の酸化セリウム(もしくはランタン)、またはセリウム(もしくはランタン)オキシハイドレート、あるいはこれらの組み合わせ、例えば、20ppm超、50ppm超、100ppm超、200ppm超、500ppm超、1000ppm超、2000ppm超、2500ppm超、3000ppm超、3200ppm超、3300ppm超、3500ppm超、4000ppm超、または4500ppm超を含んでもよい。上限に関して、ポリアミド組成物は、1重量%未満の酸化セリウムもしくはセリウムオキシハイドレート、またはこれらの組み合わせ、例えば、9000ppm未満、8000ppm未満、7500未満、7000ppm未満、6500ppm未満、6000ppm未満、または5500ppm未満を含んでもよい。
【0056】
[0065]一部の実施形態では、酸化セリウムもしくはセリウムオキシハイドレート、または酸化セリウムとセリウムオキシハイドレートとの組み合わせが利用される場合、ポリアミドはセリウム(配位子を含まない)を、10ppm~9000ppm、例えば、20ppm~7000ppm、50ppm~7000ppm、50ppm~6000ppm、50ppm~5000ppm、100ppm~6000ppm、100ppm~5000ppm、200ppm~4500ppm、500ppm~5000ppm、1000ppm~5000ppm、1000ppm~4000ppm、1000ppm~3000ppm、1500ppm~4500ppm、2000ppm~5000ppm、2000ppm~4500ppm、2000ppm~3000ppm、1500ppm~2500ppm、2000ppm~4000ppm、2500ppm~3500ppm、2700ppm~3300ppm、または2800ppm~3200ppmの範囲内の量で含む。一部の実施形態では、ランタンがこのランタノイド金属である場合、同様の濃度範囲および限度を適用する。
【0057】
[0066]下限に関して、ポリアミド組成物はセリウム(配位子を含まない)を、10ppm超、例えば、20wppm超、50wppm超、100wppm超、200wppm超、500wppm超、1000wppm超、1500wppm超、2000wppm超、2500wppm超、2700wppm超、または2800wppm超の量で含む。上限に関して、ポリアミド組成物はセリウム(配位子を含まない)を、9000ppm未満、例えば、7000ppm未満、6000ppm未満、5000ppm未満、4500ppm未満、4000ppm未満、3500ppm未満、3300ppm未満、3200ppm未満、3000ppm未満、2700ppm未満、2500ppm未満、または2200ppm未満の量で含む。一部の実施形態では、ランタンがこのランタノイド金属である場合、同様の濃度範囲および限度を適用する。
第2の熱安定剤
[0067]第2の熱安定剤は、広く多様であってよい。本発明者は、特定の第2の熱安定剤が、予想外にも、とりわけ前述の量、限度、および/または比において、かつランタノイド系安定剤、ステアレート添加剤、およびハロゲン化物添加剤とともに利用される場合には、相乗的な結果を可能にすることを見出した。
【0058】
[0068]一部の実施形態では、第2の熱安定剤は、フェノール系、アミン、ポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されうる。
[0069]例えば、熱安定剤パッケージは、アミン安定剤、例えば、第二級芳香族アミンを含んでもよい。例としては、フェニレンジアミンとアセトンとの付加物(Naugard A)、フェニレンジアミンとリノレンとの付加物、Naugard 445、N,N’-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-シクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、またはこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0059】
[0070]他の例としては、立体障害フェノールをベースとする熱安定剤が挙げられる。例としては、N,N’-ヘキサメチレン-ビス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオンアミド、ビス-(3,3-ビス-(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)-ブタン酸)-グリコールエステル、2,1’-チオエチルビス-(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、4-4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-プロピオネート、またはこれらの安定剤の混合物が挙げられる。
【0060】
[0071]さらなる例としては、ホスファイトおよび/またはホスホナイトが挙げられる。ホスファイトおよびホスホナイトの具体例としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス-(tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチル-ジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、およびビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトである。特に好ましいのは、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル)-フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト、およびトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Hostanox(登録商標) PAR24:Clariant社(Basel)の市販品)が挙げられる。
【0061】
[0072]一部の実施形態では、第2の熱安定剤は銅系安定剤を含む。本発明者は、驚くべきことに、ここで論じられる量における、銅系安定剤とセリウム系安定剤との使用は、相乗効果を有することを見出した。理論によって束縛されるものではないが、セリウム系熱安定剤と銅系安定剤との活性化温度の組み合わせは、予想外にも、特に有用な範囲、例えば、190℃~220℃または190℃~210℃における熱酸化安定化を可能にすると考えられる。この特定の範囲は、従来の安定剤パッケージが採用される場合、性能ギャップを生じることが示されている。ここで論じられる量(AEG量とともに)で銅系化合物とセリウム系化合物との組み合わせを利用することによって、熱安定化が予想外にも達成される。
【0062】
[0073]非限定例として、第2の熱安定剤の銅系化合物は、一価または二価銅の化合物、例えば、一価または二価銅と無機もしくは有機酸または一価もしくは二価フェノールとの塩、一価または二価銅の酸化物、あるいはアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアン化物、またはホスフィンとの銅塩の錯化合物、およびこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの好ましい実施形態では、銅系化合物は、一価または二価銅とハロゲン化水素酸、シアン化水素酸、または脂肪族カルボン酸との塩、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、シアン化銅(I)、酸化銅(II)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)、酢酸銅(II)、またはリン酸銅(II)を含んでもよい。好ましくは、銅系化合物は、ヨウ化銅および/または臭化銅である。第2の熱安定剤は、下に論じられるハロゲン化物添加剤とともに採用されてもよい。第2の熱安定剤として(ステアリン酸添加剤としてではない)、ステアリン酸銅も企図される。
【0063】
[0074]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、第2の熱安定剤を、0.01重量%~5.0重量%、例えば、0.01重量%~4.0重量%、0.02重量%~3.0重量%、0.03~2.0重量%、0.03重量%~1.0重量%、0.04重量%~1.0重量%、0.05重量%~0.5重量%、0.05重量%~0.2重量%、または0.07重量%~0.1重量%の範囲内の量で含む。下限に関して、ポリアミド組成物は、0.01重量%超の第2の熱安定剤、例えば、0.02重量%超、0.03重量%超、0.035重量%超、0.04重量%超、0.05重量%超、0.07重量%超、または0.1重量%超を含んでもよい。上限に関して、ポリアミド組成物は、5.0重量%未満の第2の熱安定剤、例えば、4.0重量%未満、3.0重量%未満、2.0重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、または0.035重量%未満を含んでもよい。
【0064】
[0075]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、第2の熱安定剤、例えば銅系化合物を、1ppm~1500ppm、例えば、10ppm~1200ppm、50ppm~1000ppm、50ppm~800ppm、100ppm~750ppm、200ppm~700ppm、300ppm~600ppm、または350ppm~550ppmの範囲内の量で含む。下限に関して、ポリアミド組成物は、第2の熱安定剤を、1ppm超、例えば、10ppm超、50ppm超、100ppm超、200ppm超、300ppm超、または350ppm超の量で含む。上限に関して、ポリアミド組成物は、第2の熱安定剤を、1500ppm未満、例えば、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、750ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、または550ppm未満の量で含む。
【0065】
[0076]第2の熱安定剤が銅系化合物である場合、銅系化合物は熱安定剤パッケージ中(およびポリアミド組成物中)に、第2の熱安定剤全体に対して、ここで論じられる量で存在してもよい。
【0066】
[0077]ランタノイド系熱安定剤、例えばセリウム系熱安定剤と第2の熱安定剤、例えば銅系熱安定剤との重量比は、ここでは、「ランタノイド比」または「セリウム比」と称されうる。セリウム比についての範囲および限度は、ランタノイド比にも適用し、逆もまた同じである。
【0067】
[0078]上に述べられたように、セリウム比は予想外にも、得られるポリアミド組成物全体としての熱安定性に、大きな影響を及ぼすことが見出されている。一部の実施形態では、ランタノイド比は、8.5未満、例えば、8.0未満、7.5未満、7.0未満、6.5未満、6.0未満、5.5未満、5.0未満、4.5未満、4.0未満、3.5未満、3.0未満、3.5未満、3.0未満、2.5未満、2.0未満、1.5未満、1.0未満、または0.5未満である。範囲に関して、ランタノイド比は、0.1~8.5、例えば、0.2~8.0;0.3~8.0、0.4~7.0、0.5~6.5、0.5~6、0.7~5.0、1.0~4.0、1.2~3.0、または1.5~2.5の範囲内であってもよい。下限に関して、ランタノイド比は、0.1超、例えば、0.2超、0.3超、0.5超、0.5超、0.7超、1.0超、1.2超、1.5超、2.0超、3.0超、または4.0超であってもよい。
【0068】
[0079]一部の実施形態では、ランタノイド比は、14.5超、例えば、15.0超、16.0超、18.0超、20.0超、25.0超、30.0超、または35.0超である。範囲に関して、ランタノイド比は、14.5~50.0、例えば、14.5~40.0;15.0~35.0、16.0~30.0、18.0~30.0、18.0~25.0、または18.0~23.0の範囲内であってもよい。上限に関して、ランタノイド比は、50.0未満、例えば、40.0未満、35.0未満、30.0未満、25.0未満、または23.0未満であってもよい。
【0069】
[0080]一部の実施形態では、ランタノイド比は、5超、例えば、6.0超、7.0超、8.0超、または9.0超である。範囲に関して、ランタノイド比は、5.0~50.0、例えば、5~40.0;5.0~30.0、5.0~20.0、5.0~15.0、7.0~15.0、または8.0~13.0の範囲内であってもよい。上限に関して、ランタノイド比は、50.0未満、例えば、40.0未満、30.0未満、20.0未満、15.0未満、または13.0未満であってもよい。
【0070】
[0081]ここで述べられるように、AEGと熱安定剤との相乗的な組み合わせは、有利なことに、アミン/金属錯体を形成すると考えられ、この錯体は驚くべきことに、高温性能における改善に寄与する。一部の実施形態では、特定のレベルのAEGおよび特定のランタノイド化合物に起因して、熱安定化ポリアミド組成物は、アミン/金属錯体を含む。一部の場合、熱安定化ポリアミド組成物は、1ppm~1重量%(10,000ppm)のアミン/金属錯体、例えば、1ppm~5000ppm、10ppm~4500ppm、50ppm~4000ppm、100ppm~4000ppm、500ppm~4000ppm、1000ppm~5000ppm、2000ppm~4000ppm、1500ppm~4500ppm、1000ppm~3000ppm、1500ppm~2500ppm、または2500ppm~3500ppmを含む。下限に関して、熱安定化ポリアミド組成物は、1ppm超のアミン/金属錯体、例えば、10ppm超、50ppm超、100ppm超、250ppm超、400ppm超、500ppm超、1000ppm超、1500ppm超、2000ppm超、または2500ppm超を含んでもよい。上限に関して、熱安定化ポリアミド組成物は、10,000ppm未満のアミン/金属錯体、例えば、5000ppm未満、4500ppm未満、4000ppm未満、3500ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、または1000ppm未満を含んでもよい。一部の場合、アミン/金属錯体は、アミン/ランタノイド錯体、例えば、アミン/セリウム錯体;アミン/銅錯体;もしくはアミン/ランタノイド/銅錯体、例えば、アミン/セリウム/銅錯体、またはこれらの組み合わせである。ここで言及される範囲および限度は、これらの特定の錯体にも同様に適用できる。
【0071】
[0082]ポリアミドは、(第1および第2の熱安定剤に加えて、)ハロゲン化物添加剤、例えば、塩化物、臭化物、および/またはヨウ化物をさらに含んでもよい。一部の場合、ハロゲン化物添加剤の目的は、ポリアミド組成物の安定化を改善することである。驚くべきことに、本発明者は、ここで記載されるように採用される場合、ハロゲン化物添加剤は、ポリアミドのフリーラジカル酸化を緩和することによって、安定剤パッケージと相乗的に働くことを発見した。例示的なハロゲン化物添加剤としては、塩化カリウム、臭化カリウム、およびヨウ化カリウムが挙げられる。一部の場合、これらの添加剤は、ここで論じられる量で利用される。
【0072】
[0083]ハロゲン化物添加剤は、広く多様であってよい。一部の場合、ハロゲン化物添加剤は、第2の熱安定剤とともに利用されうる。一部の場合、ハロゲン化物添加剤は第2の熱安定剤と同じ成分ではなく、例えば、第2の熱安定剤、ハロゲン化銅は、ハロゲン化物添加剤とはみなされない。ハロゲン化物添加剤は、一般に公知であり、市販されている。例示的なハロゲン化物添加剤としては、ヨウ化物および臭化物が挙げられる。好ましくは、ハロゲン化物添加剤は、塩化物、ヨウ化物、および/または臭化物を含む。
【0073】
[0084]一部の実施形態では、ハロゲン化物添加剤は、ポリアミド組成物中に、0.001重量%~1重量%、例えば、0.01重量%~0.75重量%、0.01重量%~0.75重量%、0.05重量%~0.75重量%、0.05重量%~0.5重量%、0.075重量%~0.75重量%、または0.1重量%~0.5重量%の範囲内の量で存在する。上限に関して、ハロゲン化物添加剤は、1重量%未満、例えば0.75重量%未満、または0.5重量%未満の量で存在してもよい。下限に関して、ハロゲン化物添加剤は、0.001重量%超、例えば、0.01重量%超、0.05重量%超、0.075重量%超、または0.1重量%超の量で存在してもよい。
【0074】
[0085]一部の実施形態では、ハロゲン化物、例えばヨウ化物は、30wppm~5000wppm、例えば、30wppm~3000wppm、50wppm~2000wppm、50wppm~1000wppm、75wppm~750wppm、100wppm~500wppm、150wppm~450wppm、または200wppm~400wppmの範囲内の量で存在する。下限に関して、ハロゲン化物は、少なくとも30wppm、例えば、少なくとも50wppm、少なくとも75wppm、少なくとも100wppm、少なくとも150wppm、または少なくとも200wppmの量で存在してもよい。上限に関して、ハロゲン化物は、5000wppm未満、例えば、3500wppm未満、3000wppm未満、2000wppm未満、1000wppm未満、750wppm未満、500wppm未満、450wppm未満、または400wppm未満の量で存在してもよい。
【0075】
[0086]一部の場合における全ハロゲン化物、例えばヨウ化物の含有量は、すべての供給源からのヨウ化物、例えば、第1および第2の熱安定剤、例えばヨウ化銅、および添加剤、例えばヨウ化カリウムからのヨウ化物を含む。
【0076】
[0087]一部の場合、ランタノイドとハロゲン化物、例えばヨウ化物との重量比は、予想外の熱性能を発揮することが示されている。理論によって束縛されるものではないが、ハロゲン化物はランタノイド、例えばセリウムの再生に重要であり、おそらく、一部のセリウム(またはランタン)イオンに元の状態に戻る能力を提供し、これによって、改善された、経時的により一定した熱性能が生じると仮定される。一部の場合、酸化ランタノイドおよび/またはランタノイドオキシハイドレートが採用される場合、特定の(より多い)量のハロゲン化物、例えばヨウ化物が、これらと一緒に使用される。有益なことに、ヨウ化物およびランタノイド系熱安定剤のこれらの量、および/またはこれらの重量比が採用される場合、臭素を含有する成分の使用を、有利なことに排除できる。加えて、ヨウ化物イオンは、セリウムのより高い酸化状態を安定化する役割を果たすことがあり、これによって、酸化セリウム/セリウムオキシハイドレート系の熱安定性にさらに寄与することができる。
【0077】
[0088]一部の場合、ハロゲン化物に対する、第1の熱安定剤、例えばランタノイド系化合物の重量比の比は、0.175未満、例えば、0.15未満、0.12未満、0.1未満、0.075未満、0.05未満、または0.03未満である。範囲に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、0.001~0.174、例えば、0.001~0.15、0.005~0.12、0.01~0.1、または0.5~0.5の範囲内であってもよい。下限に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、少なくとも0.001、例えば、少なくとも0.005、少なくとも0.01、または少なくとも0.5である。
【0078】
[0089]一部の場合、ハロゲン化添加剤に対する、第1の熱安定剤、例えばランタノイド系化合物の重量比の比は、25未満、例えば、20未満、18未満、または17.5未満である。範囲に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、0.1~25、例えば、0.5~20、0.5~18、5~20、または10~17.5の範囲内であってもよい。下限に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、少なくとも0.1、例えば、少なくとも0.5、少なくとも1、または少なくとも10である。
【0079】
[0090]一部の場合、ハロゲン化添加剤に対する、第2の熱安定剤、例えば銅系化合物の重量比の比は、0.175未満、例えば、0.15未満、0.12未満、0.1未満、0.075未満、0.05未満、または0.03未満である。範囲に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、0.001~0.174、例えば、0.001~0.15、0.005~0.12、0.01~0.1、または0.5~0.5の範囲内であってもよい。下限に関して、ハロゲン化物に対するセリウム系化合物の重量比は、少なくとも0.001、例えば、少なくとも0.005、少なくとも0.01、または少なくとも0.5である。
【0080】
[0091]好ましい実施形態では、熱安定化ポリアミドは好ましくは、ステアレート添加剤、例えばステアリン酸カルシウムを含んでもよいが、含むとしても少量である。一般に、ステアレートが安定化に寄与することは公知ではなく、むしろ、ステアレート添加剤は典型的には、潤滑のため、および/または離型を補助するために使用される。相乗的な少量が採用されることによって、開示される熱安定化ポリアミド組成物は、従来のポリアミド中には典型的に存在する多量のステアレート潤滑剤を必要とすることなく、ポリアミド構造を効果的に製造することができ、このようにして、製造効率化を提供する。また、本発明者は、少量のステアレート添加剤が、有害なステアレート劣化生成物の形成についての潜在性を低減することを見出した。特に、ステアレート添加剤は、比較的高い温度で劣化して、ポリアミド組成物におけるさらなる安定性の問題を生じることが見出されている。
【0081】
[0092]一部の場合、ポリアミド組成物は、有益なことに、ステアレート、例えば、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛を、ほとんどまたはまったく含まない。一部の場合、ハロゲン化物添加剤とステアレート添加剤との重量比、および/または第2の熱安定剤とハロゲン化物添加剤との重量比は、一定の範囲内および/または限度内に維持される。
【0082】
[0093]ステアレート添加剤は、相乗的な少量で存在してもよい。例えば、ポリアミド組成物は、0.3重量%未満のステアレート添加剤、例えば、0.25重量%未満、0.2重量%未満、0.15重量%未満、0.10重量%未満、0.05重量%未満、0.03重量%未満、0.01重量%未満、または0.005重量%未満を含んでもよい。範囲に関して、ポリアミド組成物は、1wppm~0.3重量%のステアレート添加剤、例えば、1wppm~0.25重量%、5wppm~0.1重量%、5wppm~0.05重量%、または10wppm~0.005重量%を含んでもよい。下限に関して、ポリアミド組成物は、1wppm超のステアレート添加剤、例えば、5wppm超、10wppm超、または25wppm超を含んでもよい。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、ステアレート添加剤を実質的に含まない、例えば、ステアレート添加剤を含まない。
【0083】
[0094]本発明者はまた、ハロゲン化物添加剤とステアレート添加剤との重量比が一定の範囲内および/または限度内に維持される場合、安定化が相乗的に改善されることを発見した。一部の実施形態では、ハロゲン化物添加剤、例えば臭化物またはヨウ化物と、ステアレート添加剤、例えばステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛との重量比は、45.0未満、例えば、40.0未満、35.0未満、30.0未満、25.0未満、20.0未満、15.0未満、10.0未満、5.0未満、4.1未満、4.0未満、または3.0未満である。範囲に関して、この重量比は、0.1~45、例えば、0.1~35、0.5~25、0.5~20.0、1.0~15.0、1.0~10.0、1.5~8、1.5~6.0、2.0~6.0、または2.5~5.5の範囲内であってもよい。下限に関して、この比は、0.1超、例えば、0.5超、1.0超、1.5超、2.0超、2.5超、5.0超、または10.0超であってもよい。
【0084】
[0095]一部の実施形態では、ハロゲン化物添加剤は、ポリアミド組成物中に、0.001重量%~1重量%、例えば、0.01重量%~0.75重量%、0.01重量%~0.75重量%、0.05重量%~0.75重量%、0.05重量%~0.5重量%、0.075重量%~0.75重量%、または0.1重量%~0.5重量%の範囲内の量で存在する。上限に関して、ハロゲン化物添加剤は、1重量%未満、例えば0.75重量%未満、または0.5重量%未満の量で存在してもよい。下限に関して、ハロゲン化物添加剤は、0.001重量%超、例えば、0.01重量%超、0.05重量%超、0.075重量%超、または0.1重量%超の量で存在してもよい。
【0085】
[0096]一部の場合、ポリアミド組成物は、抗酸化添加剤、例えばフェノール系抗酸化剤を、ほとんどまたはまったく含まない。上に述べられたように、抗酸化剤は、本開示のポリアミド組成物において不必要な、公知のポリアミド安定剤である。好ましくは、ポリアミド組成物は、抗酸化剤を含まない。結果として、有利なことに、抗酸化添加剤の必要性はほとんどなく、製造効率化が達成される。例えば、ポリアミド組成物は、5重量%未満の抗酸化添加剤、例えば、4.5重量%未満、4.0重量%未満、3.5重量%未満、3.0重量%未満、2.5重量%未満、2.0重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満を含んでもよい。範囲に関して、ポリアミド組成物は、0.0001重量%~5重量%の抗酸化剤、例えば、0.001重量%~4重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~2重量%、0.01重量%~1重量%、0.01重量%~0.5重量%、または0.05重量%~0.5重量%を含んでもよい。下限に関して、ポリアミド組成物は、0.0001重量%超の抗酸化添加剤、例えば、0.001重量%超、0.01重量%超、0.05超、または0.1重量%超を含んでもよい。
【0086】
[0097]ここで開示される熱安定化ポリアミド組成物を調製する場合、ランタノイド系化合物は有利には、その活性化温度に基づいて選択できることが発見されている。ランタノイド系化合物の安定化する能力は、低温では十分に活性化しない場合があることも発見されている。一部の場合、ランタノイド系化合物は、180℃超、例えば、183℃超、185℃超、187℃超、190℃超、192℃超、195℃超、197℃超、200℃超、202℃超、205℃超、207℃超、210℃超、212℃超、または215℃超の活性化温度を有してもよい。範囲に関して、ランタノイド系化合物は、180℃~230℃、例えば、180℃~220℃、185℃~230℃、185℃~220℃、190℃~220℃、190℃~210℃、195℃~205℃、または200℃~205℃の範囲内の活性化温度を有してもよい。上限に関して、ランタノイド系化合物は、230℃未満、例えば、220℃未満、210℃未満、または205℃未満の活性化温度を有してもよい。好ましい実施形態では、ランタノイド系化合物は、およそ230℃の活性化温度を有する。
【0087】
[0098]ポリアミド熱安定剤の活性化温度は、「有効活性化温度」でありうる。有効活性化温度は、添加剤の安定化機能性が、ポリアミド組成物の熱酸化劣化よりも活性となる温度に関する。有効活性化温度は、安定化の速度論と劣化の速度論との間のバランスを反映する。
【0088】
[0099]一部の場合、熱安定化目標がわかっている場合、セリウム系化合物、またはセリウム系熱化合物の組み合わせは、熱安定化目標に基づいて選択することができる。例えば、一部の実施形態では、セリウム系化合物は、好ましくは、ここで言及される範囲内および限度内に入る活性化温度を有するように選択される。
【0089】
[0100]一部の実施形態では、第2の熱安定剤は、200℃未満、例えば、190℃未満、180℃未満、170℃未満、160℃未満、150℃未満、または148℃未満の活性化温度を有してもよい。下限に関して、第2の熱安定剤は、100℃超、例えば、110℃超、120℃超、130℃超、140℃超、または142℃超の活性化温度を有してもよい。範囲に関して、第2の熱安定剤は、100℃~200℃、例えば、120℃~160℃、110℃~190℃、110℃~180℃、120℃~170℃、130℃~160℃、140℃~150℃、または142℃~148℃の範囲内の活性化温度を有してもよい。有効活性化温度は同様に、これらの範囲内および限度内であってもよい。
【0090】
[0101]好ましい実施形態では、第2の熱安定剤は、ランタノイド系化合物の活性化温度よりも低い活性化温度を有するように選択される。ランタノイド系化合物のものよりも低い活性化温度を有する第2の熱安定剤を利用することによって、得られるポリアミド組成物は、上昇した熱安定性および/またはより広い範囲の温度にわたる熱安定性を示しうる。一部の実施形態では、ランタノイド系化合物の活性化温度は、第2の熱安定剤、例えば銅系化合物の活性化温度よりも高く、例えば、少なくとも10%高い、少なくとも12%高い、少なくとも15%高い、少なくとも17%高い、少なくとも20%高い、少なくとも25%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、または少なくとも50%高い。
【0091】
[0102]上に述べられたように、いくつかの従来の安定剤パッケージは、第2の熱安定剤、例えばステアレート(例えばステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛)、次亜リン酸、および/または次リン酸塩の組み合わせに依存しうる。前述のセリウム系熱安定剤、および存在するとしても少量のこれらの化合物の使用は、驚くべきことに、得られるポリアミド組成物の安定化プロファイルを改善することが認められることが発見されている。一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、0.5重量%未満の次亜リン酸および/または次リン酸塩、例えば、0.3重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、または0.01重量%未満を含む。範囲に関して、ポリアミド組成物は、1wppm~0.5重量%の次亜リン酸および/または次リン酸塩、例えば、1wppm~0.3重量%、1wppm~0.1重量%、5wppm~0.05重量%、または5wppm~0.01重量%を含んでもよい。好ましい実施形態では、ポリアミド組成物は、次亜リン酸および/または次リン酸塩を含まない。
【0092】
[0103]熱安定化ポリアミド組成物の一部の実施形態は、充填材、例えばガラスを含む。これらの場合、充填材は、20重量%~60重量%、例えば、25重量%~55重量%、または30重量%~50重量%の範囲内の量で存在してもよい。下限に関して、ポリアミド組成物は、少なくとも20重量%の充填材、例えば、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、または少なくとも40重量%を含んでもよい。上限に関して、ポリアミド組成物は、60重量%未満の充填材、例えば、55重量%未満、50重量%未満、45重量%未満、または40重量%未満を含んでもよい。ここで開示される他の成分についての範囲および限度は、「充填された」組成物を基準とする。ニート組成物について、範囲および限度は、充填材がないことを補償するために調整される必要がありうる。一例として、ニート組成物は、57重量%~98重量%のアミドポリマー、例えば、67重量%~87重量%;0.1重量%~10重量%のニグロシン、例えば、0.5~5重量%;5重量%~40重量%の追加のポリアミド、例えば、5重量%~30重量%;0.1重量%~10重量%のカーボンブラック、例えば、0.1重量%~5重量%;0.05重量%~10重量%の第1の安定剤、例えば、0.05~5重量%;および0.05重量%~10重量%の第2の安定剤、例えば、0.05重量%~5重量%を含んでもよい。
【0093】
[0104]充填材の材料は、特に限定されず、当技術分野において公知のポリアミド充填材から選択されうる。非限定例として、充填材は、ガラス繊維および/または炭素繊維、粒子状充填材、例えば、天然および/または合成層ケイ酸塩、タルク、マイカ、ケイ酸塩、石英、二酸化チタン、ケイ灰石、カオリン、非晶質ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、白亜、石灰、長石、硫酸バリウムをベースとする無機充填材、固体または中空のガラスボールまたはすりガラス、永久磁性または磁化性の金属化合物および/もしくは合金ならびに/またはこれらの組み合わせ、ならびにまたこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0094】
[0105]他の場合、熱安定化ポリアミド組成物は「ニート」組成物であり、例えば、ポリアミド組成物は充填材を、ほとんど含まない、または含まない。例えば、ポリアミド組成物は、20重量%未満の充填材、例えば、17重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、または5重量%未満を含んでもよい。範囲に関して、ポリアミド組成物は、0.01重量%~20重量%の充填材、例えば、0.1重量%~15重量%、または0.1重量%~5重量%を含んでもよい。このような場合、他の成分の量は、前述の成分の範囲および限度を基準にして、しかるべく調整されうる。当業者は、ガラス充填材を含むか除外するかを考慮して、ポリアミド組成物の他の成分の濃度を調整できるであろうことが企図される。
【0095】
[0106]充填された実施形態もニートの実施形態も両方、それぞれが、驚くほどに改善された機械的特性を示す。しかしながら、ポリアミドの非充填樹脂について、熱安定性は典型的には、ポリアミド組成物の引張強度を参照することによって測定されず、むしろ、熱安定性はしばしば、相対温度指数(RTI)を使用して測定される。RTIは、公知の材料または参照材料の性能に対して材料の性能を比較することによる、材料の温度区分を指す。しばしば、RTIは、設定された時間量の間、様々な温度に曝露された場合に、材料が引張強度の少なくとも50%を維持する能力を測定することによって、材料が高温への曝露に耐える能力を評価する。熱安定化ポリアミド組成物の非ガラス充填実施形態は、改善されたRTIを示す。
【0096】
[0107]一実施形態では、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、ランタノイド系熱安定剤は、酸化セリウムおよび/またはセリウムオキシハイドレートを含み、ポリアミド組成物は、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し;第2の熱安定剤は銅系化合物を含み;ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも100MPa、または少なくとも110MPaの引張強度を有する。
【0097】
[0108]一実施形態では、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、アミドポリマーは、PA-6,6もしくはPA-6,6/6T、またはこれらの組み合わせを含み、組成物は、追加の低AEGポリマーを含み、ランタノイド系熱安定剤はセリウム系熱安定剤を含み、第2の熱安定剤は銅系化合物を含み、ポリアミド組成物は、5.0~50.0の範囲内のセリウム比を有し、ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも100MPa、または少なくとも110MPaの引張強度を有する。
【0098】
[0109]一実施形態では、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;ランタノイド系化合物は、酸化セリウム、セリウムオキシハイドレート、もしくはセリウム水和物、またはこれらの組み合わせを含み、ポリアミド組成物は、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し;第2の熱安定剤は銅系化合物を含み;ポリアミド組成物は、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;190℃~220℃の全温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は59%超の引張強度保持を示し;190℃~220℃の全温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は17kJ/m超の反発弾性を示す。
【0099】
[0110]一実施形態では、アミドポリマーは、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;アミドポリマーは70重量%~90重量%の高AEG PA-6,6を含み;組成物は、10重量%~30重量%の追加のポリアミドを含み、ランタノイド系化合物はセリウム系化合物を含み;第2の熱安定剤は銅系化合物を含み;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は82MPa超の引張強度を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は41%超の引張強度保持を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物は13kJ/m超の反発弾性を示す。
性能の特徴
[0111]前述の熱安定化ポリアミド組成物は、驚くべき性能結果を示す。例えば、ポリアミド組成物は、広い(熱老化)温度範囲にわたって、公知の性能ギャップ、例えば温度ギャップにわたって(例えば190℃~220℃の全範囲にわたって)さえ、優れた引張性能を示す。上に論じられる理由のため、性能は全範囲にわたって、特に望ましい。これらの性能パラメータは例示的なものであり、実施例は、本開示によって企図される他の性能パラメータを裏付ける。例えば、他の熱老化温度、例えば220℃で、他の熱老化期間、例えば3000時間で取得される他の性能の特徴は、本開示のポリアミド組成物を特徴付けるために企図され、利用されうる。
【0100】
[0112]その上、熱安定剤パッケージは、より高い温度に曝露された場合でさえ、ポリアミドへの損傷を遅延させることが示されている。引張強度がより高い温度で測定される場合、熱安定化ポリアミド組成物の引張強度は、驚くほど高いままである。典型的には、ポリアミド組成物の引張強度は、より高い温度で測定される場合、遥かに低い。この傾向は、ここで開示される熱安定化ポリアミド組成物に依然として当てはまる一方、実際の引張強度は、複数の温度で測定される場合でさえ、驚くほど高いままである。
【0101】
[0113]一般に、引張強度測定は、ISO 527-1(2019)のもとで実施することができ、ポリアミド組成物のシャルピーノッチ付き衝撃エネルギー損失は、ISO 179-1(2010)などの標準プロトコルを使用して測定することができ、熱老化測定は、ISO 180(2018)のもとで実施することができる。
引張強度保持
[0114]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって2500時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、50%超、例えば、55%超、59%超、60%超、61.5%超、または62%超の引張強度保持を示す。
【0102】
[0115]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、45%超、例えば、45%超、49%超、50%超、53%超、または54%超の引張強度保持を示す。
【0103】
[0116]一部の実施形態では、210℃の温度で2500時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、50%超、例えば、53%超、55%超、60%超、62%超、または63%超の引張強度保持を示す。
【0104】
[0117]一部の実施形態では、210℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、41%超、例えば、43%超、45%超、500%超、52%超、または53%超の引張強度保持を示す。
引張強度
[0118]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって2500時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、98MPa超、例えば、100MPa超、105MPa超、110MPa超、115MPa超、118MPa超、119MPa超、または120MPaの引張強度を示す。
【0105】
[0119]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、81MPa超、例えば、85MPa、90MPa超、95MPa超、100MPa超、101MPa超、102MPa超、または105MPa超の引張強度を示す。
【0106】
[0120]一部の実施形態では、210℃の温度で2500時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、99MPa超、例えば、105MPa超、110MPa超、115MPa超、120MPa超、または125MPa超の引張強度を示す。
【0107】
[0121]一部の実施形態では、210℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、81MPa超、例えば、82MPa超、85MPa超、90MPa超、95MPa超、100MPa超、または105MPa超の引張強度を示す。
【0108】
[0122]一部の実施形態では、ポリアミド組成物は、少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、少なくとも75MPa、例えば、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、または少なくとも110MPaの引張強度を示す。範囲に関して、引張強度は、75MPa~175MPa、例えば、80MPa~160MPa、85MPa~160MPa、または90MPa~160MPaの範囲内であってもよい。
【0109】
[0123]一部の場合、少なくとも190℃の温度で3000時間熱老化され、190℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも25MPa、例えば、少なくとも15MPa、少なくとも25MPa、少なくとも35MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、または少なくとも80MPaの引張強度を示す。範囲に関して、引張強度は、15MPa~100MPa、例えば、25MPa~100MPa、35MPa~90MPa、40MPa~90MPa、40MPa~75MPa、または40MPa~65MPaの範囲内であってもよい。これらのような温度に曝露された後、このような高い引張強度を示すポリアミド組成物は、当技術分野において公知のポリアミドを熱安定化する他の方法を上回る、著しい改善となる。
【0110】
[0124]一実施形態では、少なくとも230℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも1MPa、例えば、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも12MPa、少なくとも15MPa、少なくとも20MPa、または少なくとも30MPaの引張強度を示す。範囲に関して、引張強度は、1MPa~100MPa、例えば、5MPa~100MPa、5MPa~50MPa、5MPa~40MPa、または10MPa~30MPaの範囲内であってもよい。これらの引張強度は減少するとはいえ、これらの値は、従来の安定剤パッケージを採用した従来のポリアミド組成物の値よりも、まだ驚くほど高い。
【0111】
[0125]一実施形態では、190℃~210℃の範囲内の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも50MPa、例えば、少なくとも55MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも100MPa、少なくとも125MPa、または少なくとも200MPaの引張強度を示す。範囲に関して、引張強度は、50MPa~150MPa、例えば、60MPa~125MPa、70MPa~100MPa、75MPa~95MPa、または80MPa~95MPaの範囲内であってもよい。
【0112】
[0126]一実施形態では、少なくとも190℃の温度で3000時間熱老化され、190℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、少なくとも1MPa、例えば、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも12MPa、少なくとも15MPa、少なくとも20MPa、または少なくとも30MPaの引張強度を示す。範囲に関して、引張強度は、1MPa~100MPa、例えば、5MPa~100MPa、5MPa~50MPa、5MPa~40MPa、または80MPa~90MPaの範囲内であってもよい。
【0113】
[0127]これらの引張強度は減少するとはいえ、これらの値は、従来の安定剤パッケージを採用した従来のポリアミド組成物の値よりも、まだ驚くほど高い。
引張弾性率
[0128]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、9750MPa超、例えば、10000MPa超、11000MPa超、11110MPa超、11200MPa超、11300MPa超、11340MPa超、または11500MPa超の引張弾性率を示す。
【0114】
[0129]引張特性は、高温への曝露で損なう、ポリアミドの唯一の機械的特性ではない。熱によって生じるポリアミドへの損傷は、複数の方法において現れる。熱安定化ポリアミド組成物はまた、他の形態の損傷への耐性の改善を示すことが見出されている。すなわち、ポリアミド組成物は、高温に曝露された後、他の望ましい機械的特性を呈する。1つのこのような特性は、反発弾性である。反発弾性は、ポリアミド組成物の耐久性に関する測定基準である。
反発弾性
[0130]一部の実施形態では、190℃~220℃の全温度範囲にわたって3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、13kJ/m超、例えば、15kJ/m超、16kJ/m超、17kJ/m超、18kJ/m超、または19kJ/m超の反発弾性を示す。
【0115】
[0131]一部の実施形態では、210℃の温度で2500時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、16kJ/m超、例えば、20kJ/m超、22kJ/m超、24kJ/m超、25kJ/m超、または28kJ/m超の反発弾性を示す。
【0116】
[0132]一部の実施形態では、210℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、13kJ/m超、例えば、15kJ/m超、18kJ/m超、20kJ/m超、21kJ/m超、または22kJ/m超の反発弾性を示す。
【0117】
[0133]一部の実施形態では、190℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物は、16kJ/m超、例えば、16.5kJ/m超、17kJ/m超、17.5kJ/m超、18kJ/m超、または19kJ/m超の反発弾性を示す。
【0118】
[0134]熱安定化ポリアミド組成物の一部の実施形態は、ISO 179(2018)によって測定される場合、25kJ/m超、例えば、30kJ/m超、35kJ/m超、40kJ/m超、45kJ/m超、50kJ/m超、70kJ/m超、80kJ/m超、または100kJ/m超の反発弾性を呈する。範囲に関して、熱安定化ポリアミド組成物は、25kJ/m~500kJ/m、30kJ/m~250kJ/m、35kJ/m~150kJ/m、35kJ/m~100kJ/m、25kJ/m~75kJ/m、または35kJ/m~750kJ/mの範囲内の反発弾性を呈する。
【0119】
[0135]さらなる性能比較、例えば性能の範囲および限度は、表2aおよび2b、ならびに図1および2から容易に収集することができる。
製造方法
[0136]本開示はまた、熱安定化ポリアミド組成物を製造する方法にも関する。好ましい方法は、ポリアミドを準備すること、所望の熱安定化目標を決定すること、所望の熱安定化目標を基準にしてAEGレベルを選択すること、およびポリアミドにおけるAEGレベルを調整することを含み、熱安定化ポリアミド組成物を形成する。例えば、180℃~220℃の範囲内の温度で3000時間熱老化され(、23℃で測定され)る場合、少なくとも75MPaの引張強度が所望されるならば、ここで開示されるAEGレベルを利用して、特定の熱老化温度範囲における所望の性能が達成されうる(ここで論じられる他の熱老化温度の範囲および限度は、この方法で同様に採用されうる)。こうすることによって、このAEGレベルを採用して、所望の温度で熱安定性を呈するポリアミド組成物を製造することができる。
【0120】
[0137]一部の場合、熱安定化ポリアミド組成物は(熱老化後または熱老化中に)、ここで論じられる少量のシクロペンタノンを含む。
[0138]この方法はまた、所望の熱安定化目標およびAEGレベルを基準にして、熱安定剤パッケージを選択するという、さらなるステップを含むことができる。熱安定剤、例えばセリウム系熱安定剤は、活性化温度を基準にして選択することができる。同様に、追加の熱安定剤も、所望の熱安定化レベルおよび/または選択されるセリウム系熱安定剤を基準にして、選択することができる。得られるポリアミド組成物は、ここで論じられる有益な性能の特徴を有することになる。
【0121】
[0139]この方法の好ましい実施形態では、セリウム系安定剤はセリウム系配位子であり、第2の熱安定剤は銅系熱安定剤である。これらの実施形態では、セリウム系配位子の選択は、所望の熱安定化レベルを基準とする、セリウム系配位子の配位子成分の選択をさらに含んでもよい。
【0122】
[0140]好ましくは、この方法の結果は、少なくとも190℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、少なくとも200MPaの引張強度を有する、熱安定化ポリアミド組成物である。
【0123】
[0141]加えて、本開示は、熱安定化ポリアミド組成物を製造する方法にも関する。この方法は、アミドポリマーを準備するステップと、ポリマーに、ここで論じられるセリウム系熱安定剤と第2の熱安定剤とを加えて、中間ポリアミド組成物を形成するステップと、中間ポリアミド組成物を、所定の温度、例えば少なくとも180℃に加熱するステップと、加熱された中間ポリアミド組成物を冷却して、熱安定化ポリアミド組成物を形成するステップとを含んでもよい。有益なことに、ポリアミドを加熱するステップは、安定剤パッケージを活性化する役割を果たし、ひいては、中間ポリアミド組成物を熱安定化する。結果として、(冷却された)熱安定化ポリアミド組成物は、ここで論じられるように、改善された性能の特徴を有することになる。
【0124】
[0142]この方法の一部の実施形態は、アミドポリマーを粉砕するステップおよびセリウム系熱安定剤を粉砕されたアミドポリマーに加えるステップの、中間ステップを含む。次いで、残りの成分が、得られた粉砕されたアミドポリマーとセリウム系熱安定剤との混合物に加えられる。本発明者は、この方法では有利なことに、セリウム系熱安定剤が、最終的な熱安定化ポリアミド組成物の全体に、より均一に分散することを発見した。
成形物品
[0143]本開示はまた、提供される耐衝撃性改良ポリアミド組成物のいずれかを含む物品に関する。物品は、例えば、従来の射出成形、押出成形、吹込成形、プレス成形、圧縮成形、またはガスアシスト成形技法を介して、製造することができる。開示される組成物および物品に対する使用に好適な成形プロセスは、米国特許第8,658,757号;同第4,707,513号;同第7,858,172号;および同第8,192,664号に記載され、これらのそれぞれはすべての適用上、参照によって全体が本明細書に組み込まれる。提供されるポリアミド組成物を用いて作製することができる物品の例としては、電気および電子用途(例えば、限定するものではないが、回路遮断器、端子群、および接続機等)に使用されるもの、自動車用途(例えば、限定するものではないが、空気量調整ハンドルシステム、ラジエータエンドタンク、ファン、および囲い板等)、什器および家庭器具パーツ、ならびにワイヤ位置決め装置、例えばケーブル留め具が挙げられる。
【実施例
【0125】
[0144]実施例1および比較例Aは、表1に示される成分を組み合わせること、および二軸スクリュー押出機において調合することによって調製した。ポリマーを溶融させ、溶融物に添加剤を加え、得られた混合物を押し出してペレット化した。百分率は、重量百分率として表される。実施例1は、78μ当量/グラム~85μ当量/グラムの範囲内のアミン末端基を有する、PA-6,6ポリアミドを採用した。比較例Aは、より少量のアミン末端基(40μ当量/グラム~44μ当量/グラムの範囲内)を有する、PA-6,6ポリアミドを採用した。第1の熱安定剤、例えばランタノイド系熱安定剤を、例えば銅安定剤と金属ハロゲン化物とを含む、第2の熱安定剤と組み合わせて使用した。
【0126】
【表1】
【0127】
[0145]ペレットからパネルを形成し、複数の温度でパネルを熱老化させ、引張強度、引張強度保持、引張伸び、引張弾性率、および反発弾性について(様々な温度および熱老化時間で)測定した。2500時間および3000時間の熱老化についての結果を、表2aおよび2bに示す。引張保持全体の結果(170℃~230℃の温度範囲)を、図1および図2にグラフによって表示する。
【0128】
【表2】
【0129】
[0146]示されるように、熱老化性能(2500および3000時間における)は、190℃~220℃の温度範囲において、驚くほど改善した。特に、引張保持は、この温度範囲全体にわたって、予想外に改善した。例えば、2500時間の熱老化において、190℃における引張強度保持は、実施例1については62%、比較例Aについては59%、すなわち5%の改善であり;210℃における引張強度保持は、実施例1については63%、比較例Aについては50%、すなわち26%の改善であった。また、3000時間の熱老化の場合、190℃における引張強度保持は、実施例1については54%、比較例Aについては51%、すなわち6%の改善であり;210℃における引張強度保持は、実施例1については53%、比較例Aについては41%、すなわち29%の改善であった。これらの改善は、とりわけより高い高度で、有意である。
【0130】
[0147]引張強度保持における改善も、図1(2500時間の熱老化)および2(3000時間の熱老化)に表示する。これらの図は、190℃~220℃での「浸漬」における、予想外の引張保持の改善を示す。190℃~220℃の範囲における、平坦な引張強度保持対温度曲線は、非常に望ましい。図1および2は、実施例1の組成物が、この温度範囲において有意な引張強度保持を発揮したことを示し、すなわち、実施例1についての曲線は、比較例Aについての曲線よりも有意に上(y軸)にある。
【0131】
[0148]驚くべき引張保持の改善に加えて、作用例はまた、190℃~220℃の温度範囲全体にわたって、有意な引張強度の改善を示した。例えば、2500時間の熱老化において、190℃における引張強度は、実施例1については122MPa、比較例Aについては118MPa、すなわち3%の改善であり;210℃における引張強度は、実施例1については126MPa、比較例Aについては99MPa、すなわち27%の改善であった。また、3000時間の熱老化の場合、190℃における引張強度は、実施例1については108MPa、比較例Aについては101MPa、すなわち7%の改善であり;210℃における引張強度は、実施例1については106MPa、比較例Aについては82MPa、すなわち29%の改善であった。
【0132】
[0149]また、反発弾性(および引張性能と反発弾性との組み合わせ)が改善した。典型的には、良好な引張性能を示すポリアミド組成物は、所望されるよりも低い反発弾性性能を有し、逆もまた同様である。例えば、2500時間の熱老化において、210℃における反発弾性は、例1については29kJ/m、比較例Aについては17kJ/m、すなわち70%の改善であった。また、3000時間の熱老化の場合、190℃における反発弾性は、実施例1については20kJ/m、比較例Aについては17kJ/m、すなわち18%の改善であり;210℃における反発弾性は、実施例1については22kJ/m、比較例Aについては13kJ/m、すなわち70%の改善であった。
【0133】
[0150]さらなる性能比較は、表2aおよび2b、ならびに図1および2から容易に収集することができる。
実施形態
[0151]以下の実施形態が企図される。特性および実施形態のすべての組み合わせが企図される。
【0134】
[0152]実施形態1:25重量%~99重量%の、50μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有するアミドポリマーを含む、熱安定化ポリアミド組成物であって、少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、少なくとも75MPaの引張強度を有する、熱安定化ポリアミド組成物。
【0135】
[0153]実施形態2:アミドポリマーが、65μ当量/グラム~75μ当量/グラムの範囲内のアミン末端基レベルを有する、実施形態1に記載の実施形態。
[0154]実施形態3:アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有する、実施形態1または2に記載の実施形態。
【0136】
[0155]実施形態4:少なくとも1wppmのアミン/金属錯体を含む、実施形態1~3のいずれかに記載の実施形態。
[0156]実施形態5:組成物が、ランタノイド系熱安定剤を含む熱安定剤パッケージを含む、実施形態1~4のいずれかに記載の実施形態。
【0137】
[0157]実施形態6:0.01重量%~10重量%のランタノイド系熱安定剤を含む、実施形態1~5のいずれかに記載の実施形態。
[0158]実施形態7:組成物が、第2の熱安定剤を含む熱安定剤パッケージを含む、実施形態1~6のいずれかに記載の実施形態。
【0138】
[0159]実施形態8:アミドポリマーが、PA-6、PA-6,6、もしくはPA-6,6/6T、またはこれらの組み合わせを含む、実施形態1~7のいずれかに記載の実施形態。
【0139】
[0160]実施形態9:アミドポリマーが、3~100の範囲内の相対粘度を有する、実施形態1~8に記載の実施形態。
[0161]実施形態10:ランタノイド系熱安定剤がセリウム系熱安定剤である、実施形態1~9のいずれかに記載の実施形態。
【0140】
[0162]実施形態11:第2の熱安定剤が銅系化合物を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の実施形態。
[0163]実施形態12:少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体をさらに含む、実施形態1~11のいずれかに記載の実施形態。
【0141】
[0164]実施形態13:ランタノイド系熱安定剤が、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコラート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるランタノイド配位子を含む、実施形態1~12のいずれかに記載の実施形態。
【0142】
[0165]実施形態14:第2の熱安定剤が0.01重量%~5重量%の範囲内の量で存在する、実施形態1~13のいずれかに記載の実施形態。
[0166]実施形態15:ランタノイド系熱安定剤がセリウム系熱安定剤であり、第2の熱安定剤が銅系化合物を含む、実施形態1~14のいずれかに記載の実施形態。
【0143】
[0167]実施形態16:ハロゲン化物添加剤、および0.3重量%未満のステアレート添加剤をさらに含む、実施形態1~15のいずれかに記載の実施形態。
[0168]実施形態17:アミドポリマーが、アミドポリマーの総重量を基準にして、90重量%超の低カプロラクタム含有ポリアミドを含み;アミドポリマーの総重量を基準にして、10重量%未満の非低カプロラクタム含有ポリアミドを含む、実施形態1~16のいずれかに記載の実施形態。
【0144】
[0169]実施形態18:低カプロラクタム含有ポリアミドが、PA-6,6/6および/またはPA-6,6/6T/6を含む、実施形態1~17のいずれかに記載の実施形態。
[0170]実施形態19:アミドポリマーが、アミドポリマーの総重量を基準にして、90重量%超の低溶融温度ポリアミドを含み;アミドポリマーの総重量を基準にして、10重量%未満の非低溶融温度ポリアミドを含む、実施形態1~18のいずれかに記載の実施形態。
【0145】
[0171]実施形態20:アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;ランタノイド系熱安定剤が、酸化セリウムおよび/またはセリウムオキシハイドレートを含み、ポリアミド組成物が、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し;第2の熱安定剤が銅系化合物を含み;ポリアミド組成物が、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物が、少なくとも100MPa、または少なくとも110MPaの引張強度を有する、実施形態1~19のいずれかに記載の実施形態。
【0146】
[0172]実施形態21:アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、アミドポリマーが、PA-6、PA-6,6、もしくはPA-6,6/6T、またはこれらの組み合わせを含み、ランタノイド系熱安定剤がセリウム系熱安定剤を含み;第2の熱安定剤が銅系化合物を含み;ポリアミド組成物が、5.0~50.0の範囲内のセリウム比を有し;ポリアミド組成物が、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、ポリアミド組成物が、少なくとも100MPa、または少なくとも110MPaの引張強度を有する、実施形態1~20のいずれかに記載の実施形態。
【0147】
[0173]実施形態22:任意選択で、少なくとも180℃の温度で3000時間熱老化され、23℃で測定される場合、1wppm~1重量%のシクロペンタノンをさらに含む、実施形態1~21のいずれかに記載の実施形態。
【0148】
[0174]実施形態23:25重量%~99重量%の、50μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有するアミドポリマー;ランタノイド系化合物を含む第1の安定剤;第2の安定剤;および0重量%~65重量%の充填材を含む、熱安定化ポリアミド組成物であって;190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、51%超の引張強度保持を示す、熱安定化ポリアミド組成物。
【0149】
[0175]実施形態24:190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が59%超の引張強度保持を示す、実施形態23に記載の実施形態。
【0150】
[0176]実施形態25:190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が102MPa超の引張強度を示す、実施形態23または24に記載の実施形態。
【0151】
[0177]実施形態26:190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が119MPa超の引張強度を示す、実施形態23~25に記載の実施形態。
【0152】
[0178]実施形態27:190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が11110MPa超の引張弾性率を示す、実施形態23~26のいずれかに記載の実施形態。
【0153】
[0179]実施形態28:190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~27のいずれかに記載の実施形態。
【0154】
[0180]実施形態29:210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が99MPa超の引張強度を示す、実施形態23~28のいずれかに記載の実施形態。
【0155】
[0181]実施形態30:210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が82MPa超の引張強度を示す、実施形態23~29のいずれかに記載の実施形態。
【0156】
[0182]実施形態31:210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が50%超の引張強度保持を示す、実施形態23~30のいずれかに記載の実施形態。
【0157】
[0183]実施形態32:210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が41%超の引張強度保持を示す、実施形態23~31のいずれかに記載の実施形態。
【0158】
[0184]実施形態33:210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~32のいずれかに記載の実施形態。
【0159】
[0185]実施形態34:210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が13kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~33のいずれかに記載の実施形態。
【0160】
[0186]実施形態35:190℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~34のいずれかに記載の実施形態。
【0161】
[0187]実施形態36:1ppm~1重量%のシクロペンタノンをさらに含む、実施形態23~35のいずれかに記載の実施形態。
[0188]実施形態37:アミドポリマーが、60μ当量/グラム~105μ当量/グラムの範囲内のアミン末端基レベルを有する、実施形態23~36のいずれかに記載の実施形態。
【0162】
[0189]実施形態38:少なくとも1wppmのアミン/金属錯体を含む、実施形態23~37のいずれかに記載の実施形態。
[0190]実施形態39:組成物がハロゲン化物を含み、ハロゲン化物に対する第1の熱安定剤の重量比が、0.1~25の範囲内である、実施形態23~38のいずれかに記載の実施形態。
【0163】
[0191]実施形態40:第2の熱安定剤が銅系化合物を含み、第2の熱安定剤が0.01重量%~5重量%の範囲内の量で存在する、実施形態23~39のいずれかに記載の実施形態。
【0164】
[0192]実施形態41:ランタノイド系熱安定剤がセリウム系熱安定剤であり、ランタノイド系熱安定剤が0.01重量%~10重量%の範囲内の量で存在する、実施形態23~40のいずれかに記載の実施形態。
【0165】
[0193]実施形態42:組成物が追加のポリアミドを含む、実施形態23~41のいずれかに記載の実施形態。
[0194]実施形態43:ランタノイド系化合物が、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコラート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるランタノイド配位子を含む、実施形態23~42のいずれかに記載の実施形態。
【0166】
[0195]実施形態44:第1の安定剤がランタノイド系化合物であり、第2の安定剤が銅系化合物であり;220℃の温度で2500時間熱老化された場合、ポリアミド組成物が、99MPa超の引張強度、および50%超の引張強度保持を示す、実施形態23~43のいずれかに記載の実施形態。
【0167】
[0196]実施形態45:アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;ランタノイド系化合物が、酸化セリウム、セリウムオキシハイドレート、もしくはセリウム水和物、またはこれらの組み合わせを含み、ポリアミド組成物が、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し;第2の熱安定剤が銅系化合物を含み;ポリアミド組成物が、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み;190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が59%超の引張強度保持を示し;190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~44のいずれかに記載の実施形態。
【0168】
[0197]実施形態46:アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し;アミドポリマーがPA-6,6を含み;組成物が、追加のポリアミドをさらに含み;ランタノイド系化合物がセリウム系化合物を含み;第2の熱安定剤が銅系化合物を含み;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が82MPa超の引張強度を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が41%超の引張強度保持を示し;210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が13kJ/m超の反発弾性を示す、実施形態23~45のいずれかに記載の実施形態。
【0169】
[0198]実施形態47:先行する実施形態のいずれかに記載の熱安定化ポリアミド組成物を含む自動車パーツであって、210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m超の反発弾性を示す、自動車パーツ。
【0170】
[0199]実施形態48:高温用途における使用のための物品であって、先行する実施形態のいずれかに記載の熱安定化ポリアミド組成物から形成され、締結具、回路遮断器、端子群、接続機、自動車パーツ、什器パーツ、家庭器具パーツ、ケーブル留め具、スポーツ装備品、銃床、窓用断熱層、エアロゾル弁、食品用フィルム包装、自動車/乗り物パーツ、布、産業用繊維、カーペット、または電気/電子パーツのために使用される、物品。
【0171】
[0200]本発明は詳細に記載されているが、本発明の趣旨および範囲内の修正は、当業者には容易に明らかとなるであろう。背景技術および発明を実施するための形態に関する、前述の議論、当技術分野における関連知識、および上に論じられた参考文献を考慮して、これらの開示内容はすべて、参照によって本明細書に組み込まれる。加えて、本発明の態様、および様々な実施形態の各部、ならびに下に列挙される、および/または付属の特許請求の範囲における様々な特性は、全体または部分のいずれかにおいて、組み合わされてもよく、または交換されてもよいことは理解されるべきである。当業者には理解されるであろうが、前述の様々な実施形態の記載において、別の実施形態を参照するこれらの実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせてもよい。その上、当業者は、前述の記載は例としての記載に過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]25重量%~99重量%の、50μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有するアミドポリマーと、
ランタノイド系化合物を含む第1の安定剤と、
第2の安定剤と、
0重量%~65重量%の充填材と
を含む、熱安定化ポリアミド組成物であって、
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、51%超の引張強度保持を示す、熱安定化ポリアミド組成物。
[2]190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、59%超の引張強度保持を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[3]190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、102MPa超の引張強度を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[4]190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、119MPa超の引張強度を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[5]190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、11110MPa超の引張弾性率を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[6]190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m 超の反発弾性を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[7]210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、99MPa超の引張強度を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[8]210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、82MPa超の引張強度を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[9]210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、50%超の引張強度保持を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[10]210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、41%超の引張強度保持を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[11]210℃の温度で2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m 超の反発弾性を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[12]210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m 超の反発弾性を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[13]190℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、17kJ/m 超の反発弾性を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[14]1ppm~1重量%のシクロペンタノンをさらに含む、[1]に記載のポリアミド組成物。
[15]アミドポリマーが、60μ当量/グラム~105μ当量/グラムの範囲内のアミン末端基レベルを有する、[1]に記載のポリアミド組成物。
[16]少なくとも1wppmのアミン/金属錯体を含む、[1]に記載のポリアミド組成物。
[17]ハロゲン化物を含み、ハロゲン化物に対する第1の熱安定剤の重量比が0.1~25の範囲内である、[1]に記載のポリアミド組成物。
[18]第2の熱安定剤が銅系化合物を含み、第2の熱安定剤が0.01重量%~5重量%の範囲内の量で存在する、[1]に記載のポリアミド組成物。
[19]ランタノイド系熱安定剤がセリウム系熱安定剤であり、ランタノイド系熱安定剤が0.01重量%~10重量%の範囲内の量で存在する、[1]に記載のポリアミド組成物。
[20]追加のポリアミドを含む、[1]に記載のポリアミド組成物。
[21]ランタノイド系化合物が、アセテート、水和物、オキシハイドレート、ホスフェート、臭化物、塩化物、酸化物、窒化物、ホウ化物、炭化物、カーボネート、硝酸アンモニウム、フッ化物、ニトレート、ポリオール、アミン、フェノール類、水酸化物、オキサレート、オキシハロゲン化物、クロモエート、サルフェート、もしくはアルミネート、パークロレート、硫黄、セリウムおよびテルルのモノカルコゲン化物、炭酸塩、水酸化物、酸化物、トリフルオロメタンスルホネート、アセチルアセトネート、アルコラート、2-エチルヘキサノエート、またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるランタノイド配位子を含む、[1]に記載のポリアミド組成物。
[22]第1の安定剤がランタノイド系化合物であり、第2の安定剤が銅系化合物であり;220℃の温度で2500時間熱老化された場合、ポリアミド組成物が、99MPa超の引張強度、および50%超の引張強度保持を示す、[1]に記載のポリアミド組成物。
[23]アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、
ランタノイド系化合物が、酸化セリウム、セリウムオキシハイドレート、もしくはセリウム水和物、またはこれらの組み合わせを含み、ポリアミド組成物が、10ppm~9000ppmの範囲内のセリウム含有量を有し、
第2の熱安定剤が銅系化合物を含み、
ポリアミド組成物が、少なくとも1wppmのアミン/セリウム/銅錯体を含み、
190℃~220℃の温度範囲にわたって2500時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が59%超の引張強度保持を示し、
190℃~220℃の温度範囲にわたって3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が17kJ/m 超の反発弾性を示す、
[1]に記載のポリアミド組成物。
[24]アミドポリマーが、65μ当量/グラム超のアミン末端基レベルを有し、
アミドポリマーがPA-6,6を含み、
組成物が、追加のポリアミドをさらに含み、
ランタノイド系化合物がセリウム系化合物を含み、
第2の熱安定剤が銅系化合物を含み、
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が82MPa超の引張強度を示し、
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が41%超の引張強度保持を示し、
210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、ポリアミド組成物が13kJ/m 超の反発弾性を示す、
[1]に記載のポリアミド組成物。
[25][1]に記載の熱安定化ポリアミド組成物を含む自動車パーツであって、210℃の温度で3000時間熱老化された場合、23℃で測定されると、13kJ/m 超の反発弾性を示す、自動車パーツ。
[26]高温用途における使用のための物品であって、[1]に記載の熱安定化ポリアミド組成物から形成され、締結具、回路遮断器、端子群、接続機、自動車パーツ、什器パーツ、家庭器具パーツ、ケーブル留め具、スポーツ装備品、銃床、窓用断熱層、エアロゾル弁、食品用フィルム包装、自動車/乗り物パーツ、布、産業用繊維、カーペット、または電気/電子パーツのために使用される、物品。
図1
図2