(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】マルチリンクシーンでのローミング方法、マルチリンク装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 48/20 20090101AFI20230228BHJP
H04W 76/15 20180101ALI20230228BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20230228BHJP
【FI】
H04W48/20
H04W76/15
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2021554417
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(86)【国際出願番号】 CN2020108688
(87)【国際公開番号】W WO2022027720
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】202010764631.6
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521406639
【氏名又は名称】チョントゥー ジミー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU XGIMI TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Building 4, Zone A, Tianfu Software Park, No. 1129 Century City Road, High-tech Zone, Chengdu, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー ハオ
(72)【発明者】
【氏名】シエ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ヤン
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-017148(JP,A)
【文献】Guogang Huang (Huawei),Tentative Re(Association) for Non-AP MLD,IEEE 802.11-20/0834r7,米国,IEEE mentor,2020年07月29日
【文献】Sharan Naribole (Samsung),MLO Constraint Indication and Operating Mode,IEEE 802.11-20/0226r5,米国,IEEE mentor,2020年04月24日
【文献】Dave Cavalcanti (Intel Corporation),Low latency service in 802.11be,IEEE 802.11-20/0418r3,米国,IEEE mentor,2020年06月25日
【文献】Taewon Song (LG Electronics),Multi-link Acknowledgement,IEEE 802.11-19/1887r1,米国,IEEE mentor,2020年01月09日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
条件を満たすネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択することと、
元のネットワークアクセス装置のメインリンクに対応する論理エンティティ(1)、又は元のネットワークアクセス装置の第1のサブリンクに対応する論理エンティティ(2)は、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ(2)と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求することと、
論理エンティティ(2)と元のネットワークアクセス装置との接続が切断された後、対象ネットワークアクセス装置に関連要求メッセージを送信することと、
論理エンティティ(2)は、対象ネットワークアクセス装置から送信された関連応答メッセージを受信し、対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することと、
論理エンティティ(2)と対象ネットワークアクセス装置との接続が確立された後、論理エンティティ(1)は元のネットワークアクセス装置に関連解除要求メッセージを送信し、論理エンティティ(1)、又は論理エンティティ(1)並びに論理エンティティ(1)及び論理エンティティ(2)以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断することと、
論理エンティティ(2)が対象ネットワークアクセス装置との接続を確立し、且つ論理エンティティ(1)が元のネットワークアクセス装置との接続を切断しない場合、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ(2)に対応するメイン・サブリンク識別子を一時的なメインリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに設定し、論理エンティティ(1)が元のネットワークアクセス装置との接続を切断した場合に、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ(1)のメインリンク識別子をクリアし、論理エンティティ(2)に対応するメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定することと、
を含む、
ことを特徴とするマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項2】
対象ネットワークアクセス装置を選択することは、
元のネットワークアクセス装置の信号強度又は信号品質が第1の所定の閾値より低く、且つ持続的な第1の所定の検出時間にいずれも当該第1の所定の閾値より低い場合、元のネットワークアクセス装置以外のネットワークアクセス装置の信号を検索することと、
ネットワークアクセス装置の信号強度又は信号品質が第2の所定の閾値より高く、かつ持続的な第2の所定の検出時間にいずれも当該第2の所定の閾値より高い場合、当該ネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置とすることと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項3】
対象ネットワークアクセス装置を選択することは、
元のネットワークアクセス装置の負荷が第3の所定の閾値を超える場合、元のネットワークアクセス装置以外のネットワークアクセス装置を検索することと、
ネットワークアクセス装置の負荷が第4の所定の閾値より低い場合、当該ネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置とすることと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項4】
対象ネットワークアクセス装置を選択することは、
複数のネットワークアクセス装置が条件を満たす場合、当該複数のネットワークアクセス装置から信号強度が最も高いもの、又は信号品質が最も高いもの、又は最も高いQoSを提供するもの、又はネットワーク負荷が最も小さいネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項5】
リンク切断要求メッセージには、接続切断の原因が「ローミング試行」であることを示す原因パラメータ、又は/及び更新された業務識別子とリンクとの対応情報が含まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項6】
論理エンティティ(1)又は論理エンティティ(2)は、元のネットワークアクセス装置から送信された、業務識別子とリンクの対応情報を含むリンク切断応答メッセージを受信することと、
受信された業務識別子とリンクの対応情報を記憶することと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項7】
論理エンティティ(2)と対象ネットワークアクセス装置との接続確立中に取得された対象ネットワークアクセス装置の動作可能なリンク情報に基づいて、論理エンティティ(1)、及び/又は、論理エンティティ(1)及び論理エンティティ(2)以外の論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項8】
ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ(1)、及び/又は、論理エンティティ(1)及び論理エンティティ(2)以外の論理エンティティに対応するメイン・サブリンク識別子をサブリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに設定することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
7に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項9】
論理エンティティ(2)は対象ネットワークアクセス装置にリンク交換要求メッセージを送信し、リンク交換要求メッセージはリンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含むことと、
論理エンティティ(2)は対象ネットワークアクセス装置から送信されたリンク交換応答メッセージを受信し、リンク交換応答メッセージは、リンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含むことと、
リンク交換応答メッセージに基づいて、メインリンク識別子に対応する論理エンティティのメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定し、メインリンク識別子に対応する論理エンティティ以外の論理エンティティのメイン・サブリンク識別子をサブリンクに設定することと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項
8に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項10】
マルチリンクシーンは、端末マルチリンク装置が複数のリンクをしてネットワークアクセス装置に接続されることを示し、さらに、
一本のメインリンクを設定し、かつ他のリンクをサブリンクに設定し、メインリンクにおいては、データ伝送、放送情報の読み取り及び全てのリンクを動作させる管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行し、サブリンクにおいては、データ伝送、又はデータ伝送及び本リンクを動作させる管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項11】
関連要求メッセージに「ローミング試行」を指示することは、
対象ネットワークアクセス装置は関連要求メッセージを受信した後、「ローミング試行」の指示を読み取ると、関連応答メッセージを論理エンティティ2に送信し、かつサーバにDS-STA-Notifyメッセージを送信することをさらに含む
ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか一項に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法。
【請求項12】
条件を満たすネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択するための対象ネットワークアクセス装置選択手段と、
元のネットワークアクセス装置のメインリンクに対応し、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ(2)と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求し、論理エンティティ(2)と対象ネットワークアクセス装置との接続を確立した後、元のネットワークアクセス装置に関連解除要求メッセージを送信し、論理エンティティ(1)、又は論理エンティティ(1)並びに論理エンティティ1及び論理エンティティ(2)以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断する論理エンティティ(1)と、
元のネットワークアクセス装置の第1のサブリンクに対応し、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ(2)と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求し、元のネットワークアクセス装置との接続を切断した後、対象ネットワークアクセス装置に関連要求メッセージを送信し、対象ネットワークアクセス装置から送信された関連応答メッセージを受信し、対象ネットワークアクセス装置との接続を確立する論理エンティティ(2)と、
論理エンティティ(2)が対象ネットワークアクセス装置との接続を確立し、且つ論理エンティティ(1)が元のネットワークアクセス装置との接続を切断しない場合、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ(2)に対応するメイン・サブリンク識別子を一時的なメインリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに設定し、論理エンティティ(1)が元のネットワークアクセス装置との接続を切断した場合に、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ(1)のメインリンク識別子をクリアし、論理エンティティ(2)に対応するメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定するメインリンク交換手段と、
を備える、
ことを特徴とするマルチリンク装置。
【請求項13】
プログラムを記憶するためのメモリと、
前記メモリに結合され、前記プログラムを実行させるときに請求項1~
10のいずれか一項に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法を実現するプロセッサと、
を備えることを特徴とするマルチリンク装置。
【請求項14】
端末により実行される場合、請求項1~
10のいずれか一項に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法を実現するコンピュータ命令を含む、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、無線通信の分野に関し、特にマルチリンクシーンでのローミング方法、マルチリンク装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
802.11beネットワークは、Extremely High Throughput(EHT)ネットワークとも呼ばれ、一連のシステム特性及び様々なメカニズムにより機能を強化して非常に高いスループットを実現する。無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)の使用の持続的な増加に伴い、多くの環境(例えば、家庭、企業及びホットスポット)において無線データサービスを提供することはますます重要になる。特に、ビデオトラフィックは継続的に多くのWLAN配置における主要なトラフィックタイプである。4k及び8kのビデオ(20Gbpsの未圧縮レート)が登場しているため、これらのアプリケーションのスループット要件は絶えず発展している。例えば仮想現実又は拡張現実、ゲーム、遠隔オフィス及びクラウドコンピューティングのような新型の高スループット・低遅延アプリケーションプログラムは急増する(例えば、リアルタイムゲームの遅延が5ミリ秒より低い)。
【0003】
これらのアプリケーションプログラムの高スループット及び厳しいリアルタイム遅延要求に鑑み、ユーザは、WLANを使用するとき、そのアプリケーションプログラムをサポートするために、スループットがより高く、信頼性がより高く、遅延及びジッタがより少なく、電源効率がより高いことを望む。ユーザは、タイムセンシティブネットワーク(TSN)との集積を改善することにより、異種イーサネット及び無線LANでのアプリケーションプログラムをサポートすることを望む。802.11beネットワークは、総スループットをさらに向上させかつ遅延を低下させることによりWLANの競争力を確保すると同時に、旧版技術標準との後方互換性及び共存を確保することを目的とする。2.4GHz、5GHz及び6GHz周波数帯で動作する802.11は、装置との互換性を有する。
【0004】
802.11beネットワークにおいて、上記目的を実現するために、端末とアクセスポイントとの間に複数のデータ伝送リンクを確立することができ、複数のリンクで同時に伝送することにより、伝送速度を向上させることを提出する。
【発明の概要】
【0005】
無線ローカルエリアネットワークの端末が移動する場合、一つのネットワークアクセス装置(例えばルータ、アクセスポイントAPなどであり、以下、直接的にAPを例として説明する)のカバー範囲から別のネットワークアクセス装置のカバー範囲まで移動することが、ローミングと呼ばれる。一般的に、シングルリンク端末は一本のリンクのみを有するため、まず元のAPとの接続を切断し、次に新たなAPとの接続を確立しなければならず、業務の中断をもたらす。マルチリンク端末の特性により端末は二本又は二本以上のリンクを同時に確立することができるので、本願のリンクへの管理及びインタラクティブ制御の方式により、端末が異なるAPの間でローミングする場合、業務の連続性を保持する可能である。
【0006】
第1の態様において、本願は、
条件を満たすネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択することと、
元のネットワークアクセス装置のメインリンクに対応する論理エンティティ1、又は元のネットワークアクセス装置の第1のサブリンクに対応する論理エンティティ2は、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ2と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求することと、
論理エンティティ2と元のネットワークアクセス装置との接続が切断された後、対象ネットワークアクセス装置に関連要求メッセージを送信することと、
論理エンティティ2は、対象ネットワークアクセス装置から送信された関連応答メッセージを受信し、対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することと、
論理エンティティ2と対象ネットワークアクセス装置との接続が確立された後、論理エンティティ1は元のネットワークアクセス装置に関連解除要求メッセージを送信し、論理エンティティ1、又は論理エンティティ1並びに論理エンティティ1及び論理エンティティ2以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断することと、
を含むマルチリンクシーンでのローミング方法を提供する。
【0007】
本願は、論理エンティティ2が対象ネットワークアクセス装置との接続を確立した後、論理エンティティ2以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断し、データ伝送の連続性を保証し、パケットロスを避ける。
【0008】
一つの可能的な設計において、対象ネットワークアクセス装置を選択することは、元のネットワークアクセス装置の信号強度又は信号品質が第1の所定の閾値より低く、且つ持続的な第1の所定の検出時間にいずれも当該第1の所定の閾値より低い場合、元のネットワークアクセス装置以外のネットワークアクセス装置の信号を検索することと、ネットワークアクセス装置の信号強度又は信号品質が第2の所定の閾値より高く、かつ持続的な第2の所定の検出時間にいずれも当該第2の所定の閾値より高い場合、当該ネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置とすることと、を含む。
【0009】
他の可能的な設計において、対象ネットワークアクセス装置を選択することは、元のネットワークアクセス装置の負荷が第3の所定の閾値を超える場合、元のネットワークアクセス装置以外のネットワークアクセス装置を検索することと、ネットワークアクセス装置の負荷が第4の所定の閾値より低い場合、当該ネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置とすることと、を含む。
【0010】
選択的に、対象ネットワークアクセス装置を選択することは、複数のネットワークアクセス装置が条件を満たす場合、当該複数のネットワークアクセス装置から信号強度が最も高いもの、又は信号品質が最も高いもの、又は最も高いQoSを提供するもの、又はネットワーク負荷が最も小さいネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択することをさらに含む。
【0011】
選択的に、リンク切断要求メッセージには、接続切断の原因が「ローミング試行」であることを示す原因パラメータ、又は/及び更新された業務識別子とリンクとの対応情報が含まれている。
【0012】
選択的に、論理エンティティ1又は論理エンティティ2は、元のネットワークアクセス装置から送信された、業務識別子とリンクの対応情報を含むリンク切断応答メッセージを受信することと、受信された業務識別子とリンクの対応情報を記憶することと、をさらに含む。
【0013】
選択的に、論理エンティティ2が対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することは、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ2に対応するメイン・サブリンク識別子を一時的なメインリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに設定することを含む。
【0014】
選択的に、論理エンティティ2が対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することは、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ1のメインリンク識別子をクリアし、論理エンティティ2に対応するメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定することをさらに含む。
【0015】
選択的に、論理エンティティ2と対象ネットワークアクセス装置との接続確立中に取得された対象ネットワークアクセス装置の動作可能なリンク情報に基づいて、論理エンティティ1、及び/又は、論理エンティティ1及び論理エンティティ2以外の論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続を確立することをさらに含む。
【0016】
選択的に、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ1、及び/又は、論理エンティティ1及び論理エンティティ2以外の論理エンティティに対応するメイン・サブリンク識別子をサブリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに設定することをさらに含む。
【0017】
メインリンクは、装置全体の管理及び制御に関するため、より高いデータ伝送信頼性を必要とする。従来のメインリンクのデータ伝送の信頼性が高くない可能性があり、この場合にメインリンク交換を行い、メインリンクを、データ伝送の信頼性がより高いリンクに交換する必要がある。
【0018】
選択的に、論理エンティティ2は対象ネットワークアクセス装置にリンク交換要求メッセージを送信し、リンク交換要求メッセージはリンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含むことと、論理エンティティ2は対象ネットワークアクセス装置から送信されたリンク交換応答メッセージを受信し、リンク交換応答メッセージは、リンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含むことと、リンク交換応答メッセージに基づいて、メインリンク識別子に対応する論理エンティティのメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定し、メインリンク識別子に対応する論理エンティティ以外の論理エンティティのメイン・サブリンク識別子をサブリンクに設定することと、をさらに含む。
【0019】
選択的に、マルチリンクシーンは、端末マルチリンク装置が複数のリンクをしてネットワークアクセス装置に接続されることを示し、さらに、一本のメインリンクを設定し、かつ他のリンクをサブリンクに設定し、メインリンクにおいては、データ伝送、放送情報の読み取り及び全てのリンクを動作させる管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行し、サブリンクにおいては、データ伝送、又はデータ伝送及び本リンクを動作させる管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行することを含む。
【0020】
選択的に、関連要求メッセージに「ローミング試行」を指示することは、対象ネットワークアクセス装置は関連要求メッセージを受信した後、「ローミング試行」の指示を読み取ると、関連応答メッセージを論理エンティティ2に送信し、かつサーバにDS-STA-Notifyメッセージを送信することをさらに含む。
【0021】
対象ネットワークアクセス装置は「ローミング試行」の指示を読み取った後、サーバにDS-STA-Notifyメッセージを送信することにより、サーバは端末マルチリンク装置を対象ネットワークアクセス装置にリアルタイムに関連し、端末マルチリンク装置に送信する必要があるデータを対象ネットワークアクセス装置に送信し、パケットロスを避ける。
【0022】
第2の態様において、本願は、物理装置であるマルチリンク装置を提供し、複数の論理エンティティにより異なるリンクでデータ送受信を独立的に行い、各論理エンティティは独立したデータ送受信モジュールを含み、
条件を満たすネットワークアクセス装置を対象ネットワークアクセス装置として選択するための対象ネットワークアクセス装置選択手段と、
元のネットワークアクセス装置のメインリンクに対応し、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ2と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求し、論理エンティティ2と対象ネットワークアクセス装置との接続を確立した後、元のネットワークアクセス装置に関連解除要求メッセージを送信し、論理エンティティ1、又は論理エンティティ1並びに論理エンティティ1及び論理エンティティ2以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断する論理エンティティ1と、
元のネットワークアクセス装置の第1のサブリンクに対応し、元のネットワークアクセス装置にリンク切断要求メッセージを送信し、論理エンティティ2と元のネットワークアクセス装置との接続を切断するように要求し、元のネットワークアクセス装置との接続を切断した後、対象ネットワークアクセス装置に関連要求メッセージを送信し、対象ネットワークアクセス装置から送信された関連応答メッセージを受信し、対象ネットワークアクセス装置との接続を確立する論理エンティティ2と、
を備える。
【0023】
第3の態様において、本出願は、プログラムを記憶するためのメモリと、前記メモリに結合され、前記プログラムを実行させるときに第1の態様又は第2の態様の可能的な実現方式にいずれか一項に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法を実現するプロセッサと、を備えることを特徴とするマルチリンク装置を提供する。
【0024】
第4の態様において、本出願は、端末により実行される場合、第1の態様又は第2の態様の可能的な実現方式にいずれか一項に記載のマルチリンクシーンでのローミング方法を実現するコンピュータ命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0025】
なお、本願における第2の態様及び第3の態様に記載のマルチリンク装置及び第4の態様に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記第1の態様に提供される方法を実行することに用いられるので、第1の態様に記載の方法と同じ有益な効果を達成することができ、本願の実施例はここでは繰り返しの説明を省略する。
【0026】
本出願は、リンク管理及びインタラクティブ制御により、端末が異なるネットワークアクセス装置の間でローミングすることを実現し、サービスの連続性を保証し、パケットロスを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
実施例及び図面を参照して本出願を説明する。
【
図1】
図1は、本出願の実施例のマルチリンクシーンでのローミング方法の基本的なフローチャートである。
【
図2】
図2は、本願の実施例による端末と元のAPとの接続を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本願の実施例の端末が対象APと接続を確立する過程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
当業者が本出願における技術案をよりよく理解するために、以下に本出願の実施例における図面を参照しながら、本出願の実施例における技術案を明確で、完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本出願の一部の実施例のみであり、全ての実施例ではない。理解できるように、ここで説明された具体的な実施例は本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではない。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属すべきである。また、本願に開示された内容は例示的な一つ又は複数の実施例に応じて説明されるが、理解すべきことは、これらの開示された内容の様々な態様に対して単独で一つの完全な技術案を構成することができる。衝突しない場合、下記実施例及び実施例における特徴は互いに組み合わせることができる。
【0029】
本願の実施例において、「例示的」、「例えば」などの用語は例、例証又は説明を示すことに用いられる。本願において「例示」と記載された全ての実施例又は設計案は他の実施例又は設計案よりも好ましい又はより優れた利点を有すると解釈されるべきではない。具体的には、「例示」の用語は具体的な方式で概念を表示することを意図する。
【0030】
特に定義しない限り、本出願に使用される技術用語又は科学用語は本出願の分野において一般的な技能を有する人が理解される一般的な意味である。本出願に使用される「第1」、「第2」及び類似の単語はいかなる順序、数量又は重要性を示すものではなく、単に区別して説明することに用いられる。「備える」又は「含む」などの類似の用語は、当該詞の前に記載された素子又は部品が当該詞の後に列挙された素子又は部品及びその均等なものをカバーし、他の素子又は部品を排除しないことを意味する。用語「及び/又は」は一つ又は複数の関連する列挙項目の任意及び全ての組み合わせを含む。
【0031】
以下、図面を参照しながら、本出願の技術案を説明する。
【0032】
無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network、WLAN)は端末及びアクセスポイント(Access Point、AP)を含む。一つのアクセスポイントは、複数の端末に対応可能である。端末とアクセスポイントの間に複数のリンクを確立することができる。複数のリンクは、データ伝送効率を向上させてネットワークの高スループットを実現するように、データを同時に伝送することができる。端末はシングルリンク装置及びマルチリンク装置(Multi-link Device、MLD)を含む。各シングルリンク装置は一本のリンクを介してアクセスポイントとデータ伝送を行い、マルチリンク装置は複数の論理エンティティを含み、各論理エンティティはそれぞれ一本のリンクを介してアクセスポイントとデータ伝送を行う。リンクは、データを伝送するための無線リソースである。
【0033】
マルチリンクシーンは、端末マルチリンク装置が複数のリンクを介してネットワークアクセス装置に接続されることを示し、ここで、一本のメインリンクを設定し、かつ他のリンクをサブリンクとして設定する。メインリンクにおいては、データ伝送、放送情報の読み取り及び全てのリンクへの接続要求、認証及びリンク切替要求等の管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行する。サブリンクにおいては、データ伝送を実行し、或いは、データ伝送及び本リンクを動作させる管理フレーム又は制御フレームの伝送を実行する。メインリンクは、装置全体の管理及び制御に関するので、より高いデータ伝送の信頼性が必要になる。例えば、より低いレートの符号化方式を採用する又は低い周波数帯域を使用することによりデータ伝送の信頼性を保証する。
【0034】
図1は、本出願の実施例のマルチリンクシーンでのローミング方法の基本的なフローチャートである。
図1に示すように、マルチリンクシーンでのローミング方法の基本的な思想は、条件を満たす対象ネットワークアクセス装置を選択することと、元のネットワークアクセス装置の一つのサブリンクに対応する論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断することと、当該論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続を確立し、かつ当該論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続リンクを対象ネットワークアクセス装置のメインリンクに設定することと、当該論理エンティティ以外の論理エンティティと元のネットワークアクセス装置との接続を切断することと、を含む。
【0035】
いくつかの実施例において、さらに対象ネットワークアクセス装置の動作可能なリンク情報に基づいて、上記一つのサブリンクに対応する論理エンティティ以外の論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続を確立し、かつこれらの論理エンティティと対象ネットワークアクセス装置との接続リンクを対象ネットワークアクセス装置のサブリンクに設定する。メインリンクはより高いデータ伝送信頼性を必要とするため、いくつかの実施例において、さらに対象ネットワークアクセス装置のメインリンクを交換する必要があり、それにより対象ネットワークアクセス装置のメインリンクは低いレートの符号化方式を採用する又は低い周波数帯域を使用するリンクである。
【0036】
ネットワークアクセス装置は、ルータ、APなどであってもよい。以下の実施例において、本願はAPを例として説明し、かつ本願は二本のリンクを例として説明するが、実施過程が二本のリンクを超えるシーンに適用されることを制限しない。
【0037】
図2に示すように、端末マルチリンク装置STA MLDは二つの論理エンティティSTA1及びSTA2を含み、かつ二本のリンクlink1及びlink2により元のネットワークアクセス装置AP MLD1に接続される。AP MLD1は論理エンティティAP1及びAP2を含む。ここで、STA1及びAP1はlink1でデータを伝送し、STA2及びAP2はlink2でデータを伝送する。link1は、2.4GHz周波数帯域で動作するリンクであり、AP MLD1のメインリンクである。link2は5GHz周波数帯域で動作するリンクであり、AP MLD1のサブリンクである。ここでのlink1及びlink2はリンクの識別子である。マルチリンクシーンでのローミング方法は以下のことを含む。
【0038】
(1)STA MLDが移動する場合、AP MLD1の信号が悪くなることを検出し、他のAPの信号を検索する可能性がある。いくつかの実施例において、STA MLDの内部に閾値Th_Roam_Out及び検出時間DTime1を予め設定することができる。AP MLD1の信号強度又は信号品質が閾値Th_Roam_Outより低い場合、かつDTime1持続時間にいずれもこの閾値より低い場合、他のAPの信号を検索する。他のいくつかの実施例において、AP MLD1の負荷が所定の閾値を超える場合、又はAP MLD1のネットワークが故障する場合などに、他のAPの信号を検索する可能である。
【0039】
(2)条件を満たすAPが対象APとして選択される。例として、選択方式は閾値Th_Roam_In及び検出時間DTime2を予め設定することであってもよく、APの信号強度又は信号品質が閾値Th_Roam_Inより高く、かつDTime2持続時間にいずれもこの閾値より高い場合、当該APを対象APとする。他のいくつかの実施例において、負荷が所定の閾値より低いAPを対象APとして選択することができる。複数のAPが条件を満たす場合、端末が選択することができ、例えば信号強度が最も高いもの、又は信号品質が最も高いもの、又は最も高いQoSを提供するもの、又はネットワーク負荷が最も小さいものなどの様々な条件に基づいて選択する。当該実施例において、AP MLD2は対象APである。
【0040】
(3)STA MLDは、STA1又はSTA2によりAP MLD1にリンク切断要求メッセージを送信し、link2の接続を切断するように要求し、すなわちSTA2とAP MLD1の接続を切断する。
【0041】
いくつかの実施例において、この要求及び応答の過程において、AP MLD1及びSTA MLDはTID(業務識別子)とリンクの対応情報を同期に修正する必要がある。具体的な方法は、リンク切断要求メッセージには更新されたTIDとリンクの対応情報を含むことと、AP MLD1はリンク切断応答メッセージをSTA MLDに送信し、リンク切断応答メッセージはTIDとリンクの対応情報を含むことと、STA MLDのSTA1又はSTA2はAP MLD1から送信されたリンク切断応答メッセージを受信し、受信されたTIDとリンクの対応情報を記憶することと、を含む。
【0042】
例として、元のTIDとリンクの対応情報は表1のように示されている。更新されたTIDとリンクの対応情報は表2のように示されている。
【表1】
【表2】
【0043】
いくつかの実施例において、リンク切断要求メッセージはさらに原因パラメータを含む可能であり、切断の原因が「ローミング試行」であることを示す。
【0044】
(4)STA2とAP MLD1との接続を切断した後、STA2によりAP MLD2に関連要求メッセージを送信する。いくつかの実施例において、関連要求メッセージに「ローミング試行」を指示する。
【0045】
(5)AP MLD2は関連要求メッセージを受信した後、関連応答メッセージをSTA MLDに送信する。いくつかの実施例において、関連要求メッセージに「ローミング試行」を指示し、当該実施例において、AP MLD2が関連要求メッセージを受信した後、「ローミング試行」の指示を読み取ると、関連応答メッセージをSTA MLDに送信し、かつサーバにDS-STA-Notifyメッセージを送信する。このメッセージは、端末がAPに接続された後、APがサーバに端末とAPとの関連関係を通知することに用いられる。サーバがこのメッセージを受信した後、当該端末の業務データを、更新されたAPに送信する。その前に、サーバが元のAPによりデータを端末に送信する。このメッセージを受信した後、更新されたAPによりデータが端末に送信されるため、業務データが中断されない。
【0046】
(6)STA2により関連応答メッセージを受信した後、STA2とAP MLD2との接続を確立し、かつSTA2とAP MLD2中のAP4とを接続するリンクlink4を、AP MLD2でのメインリンクとする。
図3に示すように、当該リンクでデータ伝送を行う。
【0047】
(7)STA2とAP MLD2との接続を確立した後、STA1によりAP MLD1に関連解除要求メッセージを送信し、STA1とAP MLD1との接続を切断し、すなわちDeassociationプロセスによりSTA MLDとAP MLD1との関連を解除する。
いくつかの実施例において、ローミング方法はさらに以下のステップを含むことができる。
【0048】
(8)STA2とAP MLD2との接続確立において取得されたAP MLD2の動作可能性リンク情報に基づいて、STA1とAP MLD2との接続を確立し、且つAP MLD2上のサブリンクとされる。
いくつかの実施例において、さらにメインリンクを交換することができ、具体的には以下のステップを含む。
【0049】
(9)STA2はAP MLD2にリンク交換要求メッセージを送信する。リンク交換要求メッセージは、リンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含む。当該実施例において、対応するSTAアドレスはSTA1のアドレスである。
【0050】
(10)AP MLD2はリンク交換要求メッセージを受信した後、リンク交換要求を受けると、STA2にリンク交換応答メッセージを送信する。リンク交換応答メッセージはリンク識別子、対応する論理エンティティアドレス、及びメインリンク識別子を含む。
【0051】
(11)STA MLDはSTA2によりリンク交換応答メッセージを受信した後、リンク交換応答メッセージに基づいて、メインリンク識別子に対応する論理エンティティ(本実施例ではSTA1である)のメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定する。メインリンク識別子に対応する論理エンティティ以外の論理エンティティのメイン・サブリンク識別子をサブリンクに設定する。すなわち、STA1をメインリンクの動作エンティティに設定し、STA1とAP MLD2を接続するリンクをAP MLD2上のメインリンクとし、STA2をサブリンクの動作エンティティとし、STA2とAP MLD2を接続するリンクをAP MLD2上のサブリンクとする。
【0052】
いくつかの実施例において、STA MLDはローカルに論理エンティティリンク対応テーブルを記憶し、メイン・サブリンクを識別することに用いられる。例示的には、当該論理エンティティリンク対応テーブルはフィールド論理エンティティアドレス、リンク識別子、メイン・サブリンク識別子及びAPアドレスを含む。STA MLDがAP MLD1に接続される場合、論理エンティティリンク対応テーブルの設定は表3のように示されている。ここで、P-linkはメインリンクを示し、S-linkはサブリンクを示す。
【表3】
【0053】
STA2がAP MLD2に接続され、かつSTA1がAP MLD1との接続を切断しない場合、ローカルに記憶されている論理エンティティリンク対応テーブルにおける、論理エンティティ2に対応するメイン・サブリンク識別子を一時的なメインリンクに設定し、対応するネットワークアクセス装置アドレスを対象ネットワークアクセス装置アドレスに修正する。例として、修正論理エンティティリンク対応テーブルは表4のように示されている。ここで、TP-linkは一時的なメインリンクを示す。
【表4】
【0054】
STA1とAP MLD1が切断された後、STA1のメインリンク識別子をクリアし、STA2に対応するメイン・サブリンク識別子をメインリンクに設定する。例として、修正論理エンティティリンク対応テーブルは表5のように示される。
【表5】
【0055】
STA1とAP MLD2が接続された後、STA1に対応するメイン・サブリンク識別子をサブリンクに修正する。例として、修正論理エンティティリンク対応テーブルは表6のように示される。
【表6】
【0056】
メインリンク交換を行った後、STA1に対応するメイン・サブリンク識別子をメインリンクに修正し、STA2に対応するメイン・サブリンク識別子をサブリンクに修正する。例として、修正論理エンティティリンク対応テーブルは表7のように示す。
【表7】
【0057】
本出願の実施例はさらにマルチリンク装置を提供し、当該装置は上記実施例に係るマルチリンク装置が実行するマルチリンクシーンでのローミング方法を実現することに用いられ、ハードウェアにより実現されてもよく、ハードウェアにより対応するソフトウェアを実行して実現されてもよい。ハードウェア又はソフトウェアは上記機能に対応する一つ又は複数の手段、例えば、対象ネットワークアクセス装置選択手段、論理エンティティ1、論理エンティティ2を含む。
【0058】
本出願の実施例はさらにマルチリンク装置を提供し、プログラムを記憶するために用いられるメモリと、前記メモリに結合されるプロセッサとを含み、前記プロセッサは前記プログラムを実行することにより、上記実施例に係るマルチリンク装置が実行するマルチリンクシーンでのローミング方法を実現する。
【0059】
本出願の実施例は、さらにコンピュータ命令が端末で実行する場合、上記実施例に係る方法を実現するコンピュータ命令が含まれているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0060】
理解すべきことは、本願の様々な実施例において、上記各プロセスの番号の大きさは実行順序の前後を意味するものではなく、一部又は全部のステップを並列に実行する又は前後に実行することができ、各プロセスの実行順序はその機能及び固有論理で決定されるべきであり、本願の実施例の実施プロセスに任意の限定を構成するべきではない。
【0061】
当業者であれば、本明細書に開示の実施例を参照して説明された各例のユニット及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせで実現することができることと理解すべきである。これらの機能がハードウェアで実行されるか又はソフトウェアで実行されるかは、技術案の特定の応用及び設計制約条件に依存する。専門技術者は各特定のアプリケーションに対して異なる方法を用いて説明された機能を実現することができるが、このような実現は本願の範囲を超えると考えられるべきではない。
【0062】
当業者であれば、説明の利便性及び簡潔のために、上記説明されたシステム、装置及びユニットの具体的な動作過程が、前述の方法の実施例における対応過程を参照することができることを明確に理解することができる。ここでは説明を省略する。
【0063】
本願が提供するいくつかの実施例において、理解すべきことは、開示されたシステム、装置及び方法は、他の方式で実現することができる。例えば、以上に説明された装置の実施例は例示的なものに過ぎず、例えば、前記ユニットの分割は、論理機能の分割に過ぎず、実際に実現する時に他の分割方式を有することができ、例えば複数のユニット又はコンポーネントを結合する又は他のシステムに統合することができ、又はいくつかの特徴を無視する、又は実行しないことができる。また、表示される又は議論される相互間の結合又は直接結合又は通信接続はいくつかのインタフェース、装置又はユニットの間接結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的又は他の形式であってもよい。
【0064】
前記分離部材として説明されたユニットは物理的に分離されてもよいし、物理的に分離されなくてもよい。ユニットとして表示された部材は物理的ユニットであってもよいし、物理的ユニットでなくてもよい。つまり、一つの場所に位置してもよく、又は複数のネットワークユニットに分布してもよい。実際の需要に応じてそのうちの一部又は全部のユニットを選択して本実施例の解決手段の目的を達成することができる。
【0065】
また、本願の各実施例における各機能ユニットは一つの処理ユニットに集積されてもよく、各ユニットが単独で物理的に存在してもよく、二つ又は二つ以上のユニットが一つのユニットに集積されてもよい。
【0066】
前記機能はソフトウェア機能ユニットの形式で実現され且つ独立した製品として販売される又は使用される場合、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。このような理解に基づいて、本願の技術案の本質又は従来の技術に寄与する部分又は当該技術案の部分はソフトウェア製品の形式で現れることができ、当該コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワーク装置又は端末装置などであってもよい)に本願の各実施例に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための若干な命令を含む。前述の記憶媒体は、Uディスク、リムーバブルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶できる媒体を含む。
【0067】
本願の実施例において使用される用語は特定の実施例を説明する目的のみであり、本発明を限定することを意図するものではない。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲に使用される単数の形式の「一」、「前記」及び「当該」は、コンテキストが他の意味を明確に示すことを除き、複数の形式を含むことを意図する。さらに理解されるように、本明細書で使用される用語「及び/又は」は一つ又は複数の関連する列挙項目の任意又は全ての可能な組み合わせを含む。本明細書における符号「/」は、一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0068】
コンテキストに依存して、例えばここで使用された単語「場合(if)」は、「…場合に」又は「…とき」又は「決定に応答して」又は「検出に応答して」と解釈することができる。同様に、コンテキストに依存して、フレーズ「決定する場合」又は「検出する場合(記述された条件又はイベント)」は、「決定するとき」又は「決定に応答する場合」又は「検出する場合(記述された条件又はイベント)に応答する場合」又は「検出する場合(記述された条件又はイベント)」と解釈することができる。
【0069】
当業者であれば理解できるように、上記実施例の方法における全部又は一部のステップの実現はプログラムにより関連ハードウェアを命令して完了することができ、前記プログラムは一つの装置の読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、当該プログラムを実行する時、上記全部又は一部のステップを含み、前記記憶媒体は、例えば、FLASH、EEPROMなどである。
【0070】
前述のように、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、任意の本技術分野に精通する当業者は本願に開示された技術的範囲内で、容易に想到できる変更又は置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は請求範囲の保護範囲を基準とすべきである。