(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-27
(45)【発行日】2023-03-07
(54)【発明の名称】ブースタアンテナを有するデュアルインタフェース金属スマートカード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
G06K19/077 296
G06K19/077 144
G06K19/077 244
(21)【出願番号】P 2022001057
(22)【出願日】2022-01-06
(62)【分割の表示】P 2020563599の分割
【原出願日】2019-01-08
【審査請求日】2022-01-06
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516351810
【氏名又は名称】コンポセキュア,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】アダム ロー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ハーズロウ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ダシルバ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ネスター
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525601(JP,A)
【文献】特表2015-513712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
H01Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
向かい合った第1の表面及び第2の表面並びに厚さを有する金属層と、
前記金属層の前記第1の表面の第1の切り抜き領域であって、前記金属層の厚さより小さい深さを有する第1の切り抜き領域と、
前記第1の切り抜き領域内に固定された第1の部分及びモジュールアンテナを備える第2の部分を有する集積回路(IC)モジュールと、
前記金属層の前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する第2の切り抜き領域であって、非RF妨害容積を規定するとともに前記第1の切り抜き領域の周辺部より大きい周辺部を有する第2の切り抜き領域と、
前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層であって、ブースターアンテナの層を有する追加層と、
前記一つ以上の追加層の少なくとも一つと前記ICモジュールの間に延在する垂直孔と、
を有し、
前記ICモジュールの前記第2の部分は、前記孔に配置され、前記モジュールアンテナは、前記ブースターアンテナに物理的に結合された、取引カード。
【請求項2】
前記第2の切り抜き領域の周辺部は、前記第1の切り抜き領域の周辺部に対して対称に配置された、請求項1に記載の取引カード。
【請求項3】
前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層は、RF遮蔽層を有する、請求項1に記載の取引カード。
【請求項4】
前記RF遮蔽層は、フェライトを含む、請求項3に記載の取引カード。
【請求項5】
前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層は、接着層を有する、請求項1に記載の取引カード。
【請求項6】
前記モジュールアンテナは、溶接接続によって前記ブースターアンテナに物理的に結合された、請求項1に記載の取引カード。
【請求項7】
前記非RF妨害容積は、前記第2の切り抜き領域内に固定された非RF妨害材料のプラグを有する、請求項1に記載の取引カード。
【請求項8】
前記プラグは、前記第2の切り抜き領域の形状に対応する形状を有する、請求項7に記載の取引カード。
【請求項9】
前記プラグは、ポリ塩化ビニル(PVC)を含む、請求項7に記載の取引カード。
【請求項10】
前記孔の一部は、前記プラグ内に規定される、請求項7に記載の取引カード。
【請求項11】
前記ICモジュールの第2の部分は、前記プラグの前記孔の一部に配置される、請求項7に記載の取引カード。
【請求項12】
前記金属層は、ステンレス鋼を含む、請求項1に記載の取引カード。
【請求項13】
前記金属層と前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層とは、互いに積層されている、請求項1に記載の取引カード。
【請求項14】
前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層は、RF遮蔽層と接着層とのうちの少なくとも一つを有する、請求項1に記載の取引カード。
【請求項15】
前記ICモジュールは、デュアルインタフェースICモジュールである、請求項1に記載の取引カード。
【請求項16】
向かい合った第1の表面及び第2の表面並びに厚さを有するステンレス鋼を含む金属層と、
前記金属層の前記第1の表面の第1の切り抜き領域であって、前記金属層の厚さより小さい深さを有する第1の切り抜き領域と、
前記第1の切り抜き領域内に固定された第1の部分を有する集積回路(IC)モジュールと、
前記金属層の前記第1の表面から前記第2の表面まで延在する第2の切り抜き領域であって、非RF妨害容積を規定するとともに前記第1の切り抜き領域の周辺部より大きい周辺部を有する第2の切り抜き領域と、
前記第2の切り抜き領域内に固定されたPVCプラグと、
前記金属層の前記第2の表面に堆積された一つ以上の追加層であって、接着層と、RF遮蔽層と、ブースターアンテナを含むブースターアンテナの層とのうちの少なくとも一つを有する追加層と、
前記一つ以上の追加層の少なくとも一つと前記ICモジュールの間に延在する垂直孔であって、前記プラグが前記第2の切り抜き領域内に固定され、前記垂直孔の一部が前記プラグに形成され、前記ICモジュールのモジュールアンテナの部分が前記孔内に配置されるとともに前記ブースターアンテナに物理的に結合された垂直孔と、
を有する取引カード。
【請求項17】
請求項1に記載の取引カードを製造する方法であって、
前記金属層を選択するステップと、
前記金属層を前記金属層の前記第1の表面からの第1の深さまでミリングすることによって前記第1の切り抜き領域を形成するステップと、
前記金属層を前記金属層の前記第2の表面から前記金属層の前記第1の表面からの第1の深さまでミリングすることによって前記第1の切り抜き領域を形成するステップと、
前記一つ以上の追加層少なくとも一つをミリングすることによって前記孔を形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記非RF妨害材料のプラグを前記第2の切り抜き領域内に固定するステップを更に含み、前記孔を形成するステップは、前記プラグの前記孔の一部をミリングするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2018年5月10日に出願された米国特許出願第15/976,612号、および2018年1月8日に出願された米国特許出願第15/742,813号の利益を主張し、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
スマートカードは非常に望ましく、広く使用されており、例えば、大量輸送および高速道路料金などの納付およびチケット発行の用途、地域、国、および国際レベルでの個人識別および権利付与スキーム、市民カード、運転免許証、患者カードスキーム、および国際旅行のセキュリティを強化するためのバイオメトリックパスポートなどである。
【0003】
スマートカードは、直接的な物理的接触および/または遠隔非接触無線周波数インタフェースを用いてカードリーダに接続または結合する集積回路(IC)チップなどの埋め込み電子回路を含むカードである。一般に、本明細書では(1)接点、(2)非接触、および(3)デュアルインタフェースと呼ばれるスマートカードには3つのカテゴリがある。
【0004】
「接点」スマートカードは導電性接点プレートに接続されたICチップを含み、その上には、カードの上面に概ね位置する多数の物理的接点パッド(典型的には金メッキ)が実装されている。接触スマートカードは、接触型スマートカードリーダに挿入され、物理的接触パッドを介して指令、データ、およびカード状態を送信する。
【0005】
「非接触」スマートカードはICチップおよびカードアンテナを含み、スマートカードのICチップとカードリーダのアンテナとの間でRF信号を結合するように構成される。これは、カードとカードリーダとの間の直接的な電気的接触なしに、カードとカードリーダとの間の無線(例えば、RF)通信を可能にする。非接触スマートカードは、リーダに近接していることのみを必要とする。リーダとスマートカードの両方はアンテナを有し、2つは非接触リンクを介して無線周波数(RF)を使用して通信する。また、ほとんどの非接触型カードは、カードリーダが発する電磁信号から内部チップに対する電力を引き出す。動作範囲は、1インチ未満から数インチまで変動し得る。
【0006】
「デュアルインタフェース」スマートカードは典型的には単一のICチップ(ただし、2つを有することもできる)を有し、接触インタフェースと非接触インタフェースの両方を含む。デュアルインタフェースカードにより、接触および/または非接触インタフェースを用いてICチップにアクセスすることが可能である。
【0007】
また、1つ以上の金属層を有するカードを製造することが非常に望ましく、ファッショナブルになっている。金属層は、カードの外観および美的価値を高める望ましい重量および装飾パターンおよび/または反射面を提供する。これは、ハイエンド顧客による使用に特に望ましい。したがって、金属層を有する二重インタフェース(接点および非接触)スマートカードを製造することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、相反する要件のために、金属層を有するデュアルインタフェース(「非接触」及び「接触」)スマートカードの製造において、いくつかの問題が生じる。例として、デュアルインタフェーススマートカードを構成するために、ICチップに関連するコンタクトパッドは、コンタクトカードリーダと接触するようにカードの外部表面(上部または下端、通常は上部)に沿って配置され、ICチップは一般に、上面の近くに配置される。しかしながら、カード内の任意の金属層はカードとリーダとの間の無線周波数(RF)通信信号と干渉し(例えば、減衰し)、これは、非接触スマートカードを役に立たなくすることがある。したがって、金属層を有するデュアル・インタフェース・スマートカードは、理想的にはICチップに関するRF干渉を最小化する。課題を複雑にするのは、デュアルインタフェース金属スマートカードが高度に洗練された外観を有することが望まれることである。これらのカードのプレステージおよび美的側面のために、コンタクトパッドは、望ましくはカード表面との美的に好ましいインタフェースを有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、カード長さ、カード幅、およびカード厚さを有するカードである。カードは、互いに平行に延在する上面および底面を有する金属層を備える。前記金属層の開口部は(a)上面から下端まで延在するか、または(b)金属層の上面の第1の領域切り抜き領域と、金属層の下端から延在し、第1の切り抜き領域の下に垂直に延在し、第1の切り抜き領域に対してほぼ対称に延在する第2の切り抜き領域とによって画定される。深さD1、第1の領域、および第1の周囲を有する集積回路(IC)モジュールが、開口部または第1の切り抜き領域内に配置される。IC部は金属層の上面に沿って配置された接点を有し、非接触動作を可能にするためにRF送信を使用して伝達するように構成される。非RF妨害材料で形成されたプラグは開口部または第2の切り抜き領域内に配置され、プラグは第1の領域および第1の周囲とそれぞれ等しいかまたはそれより大きい第2の領域および第2の周囲を有する。フェライト層が金属層の下方に配置され、プラグ内の垂直孔であって、フェライト層を貫通して延在する垂直孔は、それぞれ、第1の領域および第1の周囲よりも小さい第3の領域および第3の周囲を有する。フェライト層にブースタアンテナを取り付け、IC部でRF伝達を増強する。
【0010】
第1のカットアウト領域は第1のカットアウト領域内に配置されたIC部のぴったりフィットを容易にするために、公称ではD1、第1の領域、及び第1の周囲と等しいがわずかに大きい寸法を有していてもよい。第2の切断領域は、プラグが第2の切断領域内に配置される状態で、上面から距離D1まで垂直に延びる第1の領域および第1の周囲よりも大きい第2の領域および第2の周囲をそれぞれ有することができる。金属層はD1よりも大きい厚さDを有していてもよく、金属層の開口は金属層の上端と底面との間に延在するプラグ上に取り付けられたIC部が位置する金属層の全厚にわたって延在していてもよい。
【0011】
金属層内の開口の第2の領域および第2の周辺はそれぞれ、第1の領域および第1の周辺よりも大きくてもよく、プラグは金属層に取り付けられ、金属層内の開口を充填してもよい。プラグは、それぞれ第1の領域および第1の周辺部に名目上等しいがわずかに大きい領域および周辺部を有する第1の切り抜き領域を有する可能性がある。プラグはIC部をぴったりと適合させて収容するために、上面の下のD1に名目上等しいがわずかに大きい深さにわたって延在することができる。プラグは、金属層の底面まで延在する第1の領域の下の第2の領域を有することができる。マスキング層は、上部金属表面およびプラグの任意の露出部分の上に配置されてもよい。
【0012】
ブースタアンテナはIC部に誘導結合するように構成されてもよいし、IC部に物理的に接続されてもよい。
【0013】
本明細書に記載されるようなカードの一実施形態を作製する方法は、金属層を選択するステップと、金属層の底面から開始して金属層内の第2の切り抜き領域を切り抜くステップと、第2の切り抜き領域内にプラグをしっかりと取り付けるステップとを含むことができる。プラグは第2の切り抜き領域に嵌合し、これを充填するように設計される。第1の切り抜き領域は、前記第2の切り抜き領域の上にある金属層の前記上面において切り抜かれ、第2の切り抜き領域に対して対称に配置される。IC部は金属層の上面と同じ水平面に沿って配置されたIC部の接点と共に、第1の切り抜き領域内に挿入され、しっかりと取り付けられる。フェライト層は金属層の底面に、ブースタアンテナ層はフェライト層に取り付けられている。次いで、プラグおよびフェライト層に垂直孔が形成される。本方法は、金属層、フェライト層、およびブースタアンテナ層を積層するステップをさらに含んでもよい。この方法は、ブースタアンテナをIC部に物理的に接続するステップを更に含むことができる。
【0014】
本明細書に記載されるカードを別の実施形態にする方法は金属層を選択し、開口部を形成し、開口部内にプラグをしっかりと取り付け、プラグ第1カットアウト領域内にICモジュールを挿入し、固定するステップを含んでもよい。金属層の底面にフェライト層を、フェライト層にブースタアンテナ層を取り付け、プラグとフェライト層に縦穴を形成した。この方法は、上部金属表面およびプラグの任意の露出部分の上にマスキング層を形成するステップをさらに含むことができる。この方法は、金属層、フェライト層、およびブースタアンテナ層を積層するステップを含むことができる。
【0015】
本発明の別の態様は上面と、互いに平行に延びる底面とを有する厚さDの金属層を含み、前記上面が水平面を規定する、二重インタフェース能力を有する金属スマートカードを含む。カードは、カードリーダと物理的に接触するように構成された接点を有する上部領域を有する集積回路(IC)モジュールを含む。また、ICモジュールはカードリーダとの非接触無線周波数(RF)通信のために構成され、第1の周辺部、第1の領域、および厚さD1を有し、ここで、D1は、D未満である。非RF妨害材料のプラグは、第1の領域および第1の周辺部とそれぞれ等しいかそれより大きい第2の領域および第2の周辺部を有する。金属層の開口は、金属層の全厚に対して延在する。ICモジュールは、開口部に配置されたプラグに取り付けられ、ICモジュールおよびプラグが金属層の上面と底面との間で垂直方向に延在し、ICモジュールの接点が金属層の上面と同じ水平面に沿って配置される。金属層内の開口部は、ICモジュールを収容するための上面でかつそのすぐ下にある第1のリージョンと、金属層の底面まで延在する第1のリージョンの下にある第2のリージョンとを有する。第1のリージョンの開口部は、D1に名目上等しいがそれよりわずかに大きい深さに対して、第1の領域および第1の周辺部に名目上等しいがそれよりわずかに大きい横方向寸法を有する。第2のリージョンは、第1のリージョンの下のカードの残りの厚さの深さのための第2の領域および第2の周辺部を有する。ICモジュールは第1のリージョンの開口部に嵌合し、これを充填し、プラグは第2のリージョンの開口部に嵌合し、これを充填する。第2の領域および第2の周辺部は、それぞれ、第1の領域および第1の周辺部よりも大きい。マスキング層が、上部金属表面およびプラグの任意の露出部分の上に配置される。金属層の下方にはフェライト層が配置されている。プラグの垂直穴がフェライト層を貫通して広がっている。垂直孔は、第1の領域および第1の周辺部よりもそれぞれ小さい第3の領域および第3の周辺部を有する。フェライト層にブースタアンテナを取り付け、IC部でRF伝達を増強する。ブースタアンテナはIC部に誘導結合するように構成されてもよいし、IC部に物理的に接続されてもよい。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、互いに平行に延在する上面および底面を有する金属層を含むカードを含む。金属層の上面に切り出された第1の領域は、第1の深さと、第1の周囲と、第1の領域とを有する。集積回路(IC)モジュールは、前記第1の切り抜き領域内にぴったりと固定される。IC部は金属層の上面に沿って配置された接点を有し、非接触動作を可能にするためにRF送信を使用して伝達するように構成される。第2の切り抜き領域は金属層の底面から、上面からの第1の深さまで延在する。第2の切り抜き領域は第1の切り抜き領域の下に垂直に延び、第1の切り抜き領域に対してほぼ対称に延びる。第2の切り抜き領域は、第1の領域および第2の周辺部よりも大きい第2の領域および第2の周辺部を有する。非RF妨害材料を含むプラグは、第2の切り抜き領域内にぴったりと固定される。金属層の下方にはフェライト層が配置されている。プラグの垂直孔はフェライト層を貫通し、第1の領域および第1の周辺部よりもそれぞれ小さい第3の領域および第3の周辺部を有する。フェライト層にブースタアンテナを取り付け、IC部でRF伝達を増強する。ブースタアンテナはIC部に誘導結合するように構成されてもよいし、IC部に物理的に接続されてもよい。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、互いに平行に延在する上面および底面と、上面と底面との間に延在する厚さとを有する金属層を備えるカードを含む。金属層の下方にはフェライト層が配置されている。IC部とのRF伝達を増強するために、フェライト層の下方にブースタアンテナが配置される。金属層およびフェライト層の開口部は、ブースタアンテナ層まで延びている。第1の領域と、第1の周囲と、金属層の厚さ未満である第1の深さとを有する集積回路(IC)モジュールが開口部内に配置され、金属層の上面に沿って配置された接点を有し、RF伝達を使用して通信するように構成されて、非接触動作を可能にする。ブースタアンテナとICモジュールとの間の物理的な電気的接続は、開口部を通って延びている。カードは、金属層の開口部内に非導電性ライナーを有することができる。非導電性ライナーは非導電性材料のプラグを備えることができ、プラグは、第1の領域及び第1の周囲よりもそれぞれ大きい第2の領域及び第2の周囲を有する。プラグは金属層の全厚に対して延びる深さに対して第2の領域および第2の周囲を有し、さらに、第1の領域、第1の周囲、およびカットアウト領域内でIC部を受け入れるための第1の深さと名目上等しいがそれよりわずかに大きいカットアウト領域をプラグ内に含むことができる。プラグはプラグの残りの深さのために切り抜き領域から延び、フェライト層の開口部に接続する貫通孔を更に有することができる。プラグ内の貫通孔およびフェライト層内の開口は、それぞれ、第1の領域および第1の周囲よりも小さい第3の領域および第3の周囲を有する。
【0018】
開口はICモジュールをその中にぴったりと嵌合させるために、第1の領域、第1の周辺部、および第1の深さに名目上等しいがわずかに大きい第1の領域を有する階段状の開口であってもよい。第2の領域は金属層の底面から金属層の全厚未満の距離にわたり延在する深さのために、第2の領域および第2の周辺部を有する。このプラグは、第2の領域にのみ配置され、フェライト層の開口部に接続する貫通孔を有している。プラグ内の貫通孔およびフェライト層内の開口は、それぞれ、第1の領域および第1の周囲よりも小さい第3の領域および第3の周囲を有する。
【0019】
開口は名目上第1の領域および第2の領域に等しいが、わずかに大きい領域および周囲を有してもよく、ブースタアンテナとIC部との間の物理的電気接続はブースタアンテナとIC部との間に配置された接続部を備えてもよい。ブースタアンテナは第1および第2の接続ノードを有してもよく、IC部は第3および第4の接続ノードを有する可能性がある。接続モジュールはその第1の表面上に嵌合する第1および第2の接続ノードを有し、その第2の表面上に第3および第4の接続ノードを有することができる。第1の導電性トレースは第1および第3のノードを接続し、第2の導電性トレースは、第2および第4のノードを接続する。
【0020】
本発明のさらに別の態様は、上述のカード実施形態を作製する方法であって、前記方法は前記金属層を選択するステップと、前記金属層の下に前記フェライト層を取り付ける
ステップと、前記フェライト層の下に前記ブースタアンテナ層を取り付けるステップと、前記フェライト層を通って前記ブースタアンテナに延びる前記金属層に前記開口部を形成するステップと、前記ICモジュールの接点が前記金属層の上面と同じ水平面に沿って配置されるとともに前記ICモジュールが前記ブースタアンテナの層に物理的に接続された状態で、前記開口部に前記ICモジュールを挿入し、確実に取り付けるステップと、を含む方法である。
【0021】
この方法はまず、金属層に開口を形成し、金属層の開口の少なくとも一部にプラグを配置し、プラグの少なくとも一部はそれぞれ第1の領域および第1の周辺部よりも大きい第2の領域および第2の周辺部を有し、プラグのスルーホールおよびフェライト層の開口を生成し、プラグのスルーホールおよびフェライト層の開口は、それぞれ第1の領域および第1の周辺部よりも小さい第3の領域および第3の周辺部を有することを含むことができる。本方法はまず、金属層の全厚未満のために金属層内に開口部の下端を形成し、下端が第2の領域および第2の周辺部を有し、プラグを金属層の下端に配置し、次に、プラグ内にスルーホールを、フェライト層内に開口部を形成し、プラグ内のスルーホールおよびフェライト層内の開口部は、それぞれ第1の領域および第1の周辺部未満の第3の周辺部を有することを含むことができる。本方法は第1に、金属層、金属層の下のフェライト層、およびブースタアンテナ層を一緒に積層し、次いで、フェライト層を通ってブースタアンテナまで延びる金属層に開口部を形成するステップを含んでもよく、開口部は、第1の領域および第1の周囲とそれぞれ、公称値で等しいがわずかに大きい面積および周囲を有する。
【0022】
この方法はICモジュールを開口部内に挿入し、かつ確実に取り付ける前に、開口部内にライナーを配置するステップと、ICモジュールをブースタアンテナ層に接続するステップとを含むことができる。ブースタアンテナ層は複数の接続ノードを有してもよく、IC部は複数の接続ノードを有してもよく、本方法は開口内にIC部を挿入する前に、開口内にコネクタを配置するステップをさらに含み、コネクタはブースタアンテナ接続ノードおよびIC部接続ノードに接続するための嵌合ノードを有する。
【0023】
本発明は現在好ましいが、それにもかかわらず、本発明による例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解され、添付の図面を参照すると、添付の図面は縮尺通りに描かれていないが、同様の参照符号は同様の成分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明を実施する、金属層30を有するスマートカード10の簡略化された等角図である。
【
図1A】本発明を具現化するスマートカードを作製する際に使用することを意図した非接触及び接触動作が可能な集積回路(IC)モジュールの高度に単純化され、理想化された等角図である。
【
図1B】
図1に示すカードで使用される
図1AのICモジュールの簡略化された理想化された断面図である
【
図2-1】本発明を具体化するカードを形成するための様々な処理ステップ(ステップ1からステップ7Aまたは7B)の断面図を含む。
【
図2-2】本発明を具体化するカードを形成するための様々な処理ステップ(ステップ1からステップ7Aまたは7B)の断面図を含む。
【
図3A】
図2のステップ5に示されるように製造されるカードの簡略化された断面図である。
【
図3B】プラグ(34)およびプラグに形成された開口部(36)を有する、
図3Aに示すように形成されたカードの上面図である。
【
図3C】
図2に示すプロセスに従って形成された本発明を具体化するカードの上層の上面図である。
【
図4】本発明の別の態様によるカードを形成するための様々な処理ステップ(ステップ1からステップ5Aまたは5B)の断面図を含む。
【
図5A】
図4のステップ4に対応する断面図であり、ICモジュールの挿入前にプラグ内に形成されたプラグ及び開口部を示す図である。
【
図5B】
図4に従って形成されたICモジュールの挿入前にプラグおよびプラグに形成された開口部を示す、
図5Aに示された断面を有するカードの上面図である。
【
図5C】
図4に示すプロセスステップに従って形成され、モジュール用の開口部にICモジュールを挿入した
図5A及び
図5Bに示すようなカードの上面図である。
【
図6】
図5Cに示すようなカード上に形成されたマスキング層を示す断面図である。
【
図7】本発明の別の態様によるカードを形成するための様々な処理ステップ(STEP1~STEP3)の断面図を含む。
【
図8】
図7のSTEP 3に示す実施形態に関連して使用するための例示的なコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1Aに示すような複数の接点を有する集積回路(IC)部7は
図1に示すように、IC部の上面及びその接点がカードの上面とほぼ同一平面上にあるカード10内に実装され、その上に実装されることになる。例として、カードの長さ、幅および深さは、それぞれ、約3.37インチ×2.125インチ×0.03インチであり得ることが示される。説明の目的および後続する議論のために、
図1Aに示されるように、IC部は、深さD1、長さL1および幅W1を有すると仮定する。IC部7などの部は例えば、InfineonまたはNXPから市販されている。これらのモジュールの幾つかの横方向寸法は、0.005インチから0.025インチを超える範囲の深さで、約0.052インチ×0.47インチであった。これらの寸法は純粋に例示的なものであり、本発明を実施するために使用されるIC部は、サイズがより大きくても小さくてもよい。
【0026】
図1Bに示すように、ICモジュール7は、内部マイクロプロセッサチップ7aと、チップアンテナ7bと、接触パッド7cとを含む。パッド7cは、接触型スマートカードに使用される従来の多接点パッドであってもよく、スマートカードが挿入されると、接触カードリーダ(図示せず)の接点と係合するように配置される。エポキシブロブ7dは、ICモジュールの下端をカプセル化する。エポキシブロブは、IC部が下にある表面に容易に(例えば接着によって)取り付けられることを可能にする。本発明は、チップを部に添付するためのいかなる特定の方法にも限定されず、その添付は例えば、代わりにフリップチップ接続であってもよい。
【0027】
上述したように、本発明の一態様は、デュアルインタフェース機能を有するスマートメタルカードの製造に関する。好ましくは、カードはまた、(a)IC部およびその接触、および/または(b)上面上に意図的に形成された任意の設計またはテクスチャを除いて、任意のバンプまたは窪みがない上面を有する。カードはたとえ二重インタフェース能力(すなわち、接触および非接触能力)を有していても、高度に審美的で、滑らかで、視覚的に心地よい外観を有するように作ることができる。ICモジュールの接点は、カードの外面に沿って配置される。典型的にはコンタクトはカードの上面に沿って配置されるが、コンタクトはカードの底面に沿って配置されてもよい。金属層の切り抜き(開口部)がICモジュールの下にあり、その周囲を取り囲んでいる。理想的には、金属層のこれらの切り抜き(開口部)がカードの滑らかで美的な外観(例えば、上端)に影響を及ぼすことなく形成される。
【0028】
本発明によるカードを形成する方法は、
図2に示す構造および処理ステップを含む。
【0029】
ステップ1-金属層30は、(
図2のステップ1に示すように)カード10の最上層として機能するように選択される。金属層30は、上面(前面)表面301および下端(背面)表面302を有し;前面および背面が互いに略平行である。金属層30の厚さ(D)は、0.01インチ未満から0.02インチを超える範囲とすることができる。一実施形態では、金属層30はステンレス鋼を含み、その厚さは0.0155インチである。金属層30は例として限定されるものではないが、鉄、タンタル、アルミニウム、真鍮、銅、又はこれらの合金若しくは化合物を含む。
【0030】
ステップ2-ポケット32が層30の下側に沿って形成される。これは、(
図2のステップ2に示すように)金属層30の底面から出発して形成されたリバースポケットと呼ぶことができる。ポケット32はミリング、キャスティング、3D印刷、レーザー切断、ウォータージェット電気放電(EDM)を含むが、これらに限定されないあらゆる公知の方法で形成することができる。ポケット32は上面301の下の距離(または厚さ)D1を終端する上面321を有し、ここで、D1は、典型的にはIC部7の深さに等しい(またはほぼ等しい)。次いで、ポケット32の深さ(厚さ)D2は、(D-D1)インチに等しい。D2は一般に、金属層30の深さDからカードを形成するために使用されるICモジュールの厚さD1を引いた深さDに等しく設定されるのであろう。ポケット32は、規則的または不規則な形状、直方体、または水平面における平面投影が角、長方形、または円形であってもよい円筒であってもよい。ポケット32の横方向寸法[長さ(12)および幅(W2)]はそれぞれ、以下でさらに論じるように、ICモジュールの横方向寸法[長さL1および幅W1]と等しいか、またはそれよりも大きくすることができる。実施形態ではL2およびW2がそれぞれ、L1およびW1よりも大きいように示されているが、これは必須条件ではない。
【0031】
ステップ3-RF伝達を実質的に妨害しない任意の材料(例えば、任意の非金属材料、またはタングステンまたはその複合材料などの材料)のプラグ34が、フライス加工されたポケット32の寸法に一致するように形成または成形され、フライス加工された(切り抜かれた)領域を充填するためにポケットに挿入される(
図2のステップ3に示されるように)。後述するように、プラグはIC部を金属層から電気的に絶縁および絶縁し、また、IC部を物理的に固定するように機能する。ポケット32の内部および/またはプラグ34の外部は適切な接着剤(例えば、アクリルまたはアクリル変性ポリエチレン、シアノアクリレート、シリコーンエラストマー、エポキシなど)で被覆され、したがって、プラグ34は、カードの形成における金属層の処理全体を通してポケットの壁にしっかりと接着する。プラグ34は、PET、PVC、または他の重合体などの熱可塑性材料、または硬化性樹脂もしくはエポキシ樹脂、セラミック、またはタングステンなど、高周波(RF)伝達を著しく妨げない任意の材料から作製されてもよい。
【0032】
ステップ4-
図2のステップ4に示すように、接着層42を使用して、フェライト層44を層30の裏面302に取り付ける。フェライト層44は金属層30の下方に配置され、シールド(反射体)として作用し、金属層30がスマートカードへの、及びスマートカードからの高周波放射と干渉するのを防止/低減する。フェライト層44は、アンテナ47を介して送信又は受信を可能にするための金属層30「短絡」効力を減少させる。当業者は、異なる方法でフェライト材料を形成またはレイアウトすることも可能であることを理解するのであろう。
【0033】
また、接着層46はブースタアンテナ47を含む及び/又はその上に取り付けられるプラスチック(例えば、PVC)層48を取り付けるために使用される。層48はPVC又はポリエステルで作ることができ、0.001~0.015インチの厚さとすることができる。ブースタアンテナ47の巻線は、直径が80ミクロン未満から120ミクロンを超える範囲であってもよく、導線をプラスチック層と接触させる前に導線を超音波溶接または加熱することによって、または任意の他の適切なプロセスによって、層48に固定されてもよい。署名パネル及び磁気ストライプを含む層52は、積層の前又は後に層48に取り付けることができる。層42、44、46、48(およびおそらく52)は、サブアセンブリ40として形成され、金属層30の下端302に取り付けられてもよい。
【0034】
ステップ5-層30、42、44、46および48を含むアセンブリを積層して(
図2のステップ5に示すように)、カードアセンブリ50を形成する。
【0035】
次いで、ステップ6-穴(または開口部)36が金属30を通して、上面から深さD1まで(例えば、ミリングによって)形成され、同時に、
図2のステップ6に示すように、次いで、プラグ34内に、(例えば、プラグ34のセンターのまわりをドリル加工することによって)、そして下にある層42、44および46を通して、層48まで、穴362が形成される。金属層30に形成された穴36の横方向の寸法は、ICモジュール7の寸法L1及びW1に対応するように設計されているので、穴(開口部)36にICモジュールを挿入することができる。プラグ34に形成された穴362の横方向寸法はL3及びW3であり、ここで、L3及びW3は、L1及びW1よりも小さい。このように形成されると、プラグレッジ341aはICモジュールの支持を提供し、ICモジュールを、上部カード表面の下のD1の設計高さに維持する。
【0036】
ステップ7-ICモジュールは次に、開口部36の側面及びプラグ34の頂部341aにぴったりと挿入され、取り付けられる。すなわち、IC部は、きついクリアランスで挿入され、所定の位置に接着されてもよい。穴36の下に形成されたより小さい穴(開口部)362は、モジュール7の後部(下端)端部を収容する。穴362はフェライト層44を通って垂直下方に延び、(a)ステップ7Aに示されるように、アンテナ47とチップアンテナ7bとの間のRF結合を使用する実施形態については、RF信号がアンテナ47とチップアンテナ7bとの間を通過できるように、または(b)ステップ7Bに示されるように、アンテナ47とチップアンテナとの間の物理的接続500を可能にするように、十分に広く作られる。
【0037】
物理的接続を有する実施形態では接続が限定はしないが、アンテナ巻線の導線とモジュールの対応する導線との間の連続導線、または
図7および
図8に示され、本明細書で後でより詳細に説明されるように、ノードとモジュール上の接続点との間の距離にわたるように構成されたコネクタと嵌合するアンテナ層上の接続点を含む、当技術分野で知られている形態とすることができる。物理的接続の場合、チップとアンテナ層との間に非RF妨害材料を有することはそれほど有益ではないかもしれないが、特に、チャネルを裏打ちする非金属材料を有することは依然として有利であるかもしれない。そのような材料は、必要に応じて、非絶縁コネクタ500の使用を可能にする。モジュールとアンテナの間に電気的接続を形成する方法は複数ある。アンテナは導線(例えば、銅または別の金属)または平面アンテナを含んでもよい。典型的な平面アンテナは、典型的にはロール・ツー・ロール方式で、エッチングまたは印刷されてもよい。部への直接接続は、異方性(ACF)テープ、導電性接着剤、ハンダ付またはハンダ付バンプ法を介して形成することができる。
【0038】
カードの動作に関して、ブースタアンテナ47は関連するカードリーダ(図示せず)によって生成された無線周波数エネルギーを捕捉し、カードリーダと通信するように設計される。設計によって、部アンテナ7bはアンテナ47と誘導結合するのに十分に近く(誘導結合実施形態では)、それによって、アンテナ47からチップ7aに信号を提供し、一方、チップはアンテナ47から電気的に絶縁されたままである。動作中、フェライト層44は金属層30を遮蔽し、高周波放射がカード10に入射して放出されることを可能にする。動作中、フェライト層44は金属層30を遮蔽し、高周波放射がカード10に入射して放出されることを可能にする。ブースタアンテナ47は関連するカード・リーダ(図示せず)によって生成された無線周波数エネルギーを捕捉し、カードリーダと通信するように設計されている。
【0039】
図2のステップ7Aに示すように、
図1Bに示すように、チップ7aと、チップアンテナ7bと、一組の接点7cとが穴36内に位置決めされたIC部7とを含む。IC部7は、所定の位置に接着され、例示的なカードの形成を完了する。
【0040】
最後に形成されたカードの外観を理解するために、最初に
図3A(これは本質的に
図2のステップ6の写しである)および
図3Bを参照する。
図3Bは、金属およびプラグに形成された開口部(36および362)を示す、形成されているカードの上面図である。金属層30の穴36はエッジ361を有し、プラグの穴362および下にある層42、44、46はエッジ345/367を有することに注意されたい。領域341bの下のプラグ34の部分およびプラグの外側端343は見えない。従って、外側端343は鎖線で示されている。
【0041】
結果として得られる
図3Cはカード10の上面図であり、カードの上端に取り付けられ、挿入されたモジュール7を示す。プラグ34は金属層の下にあるので見えない。従って、
図2に示すプロセスステップに従って形成されたカード10の上面は、完全に滑らかな破損していない金属表面(ICモジュールの接触パッドを除く)を表示する。下にあるプラグは、上にある金属領域によって覆われている(隠されている)。重要なことに、所望の美しい物理的外観を有するカードは、無線(非接触)カードとして、または接触カードとして機能することができる。
【0042】
チップと、公称寸法L1、W1を有するチップを受け入れるための開口部との両方について本明細書に記載されるように、チップは商業的に許容される許容範囲(例えば、0.0005~0.002インチ)だけ、L1、W1よりもわずかに小さく、および/または開口部はL1、W1よりもわずかに大きく、その結果、チップは商業的に許容される許容範囲でホール内にぴったりと適合することを理解されたい。しかしながら、好ましくはチップと開口部の側面との間のギャップが主として美的目的のために、「ぴったりとした」嵌合を提供するために最小化される(接点と金属本体の開口部の側面との間の短絡を防止するのに十分であるが、実質的にそれ以上ではない)。したがって、ICモジュールを受け入れるための開口部を指す用語「名目上等しいがそれより僅かに大きい」は、本明細書の説明から当業者によって理解されるように、より多くなく、この商業的に許容される許容範囲のみを含む開口部を指す。当技術分野で公知の他の設計とは異なり、チップと開口部の側面との間の意図的に大きなギャップは、適切なRF機能性を提供するために必要とされない。
【0043】
種々の穴/開口部および構成部品の寸法公差は好ましくはプラテン積層上で全ての部品がカードの外観に空域またはシンクがない状態で融合するように、十分に近接している。
【0044】
図に示すように、金属層30は、その上面に形成された切り欠き36を有する。切欠き36の厚さ/深さD1はIC部7の深さと実質的に等しく(すなわち、名目上等しいがそれよりわずかに大きい)される。穴/開口部36はモジュール7を受け入れるように寸法決めされた金属層30を通して機械加工され、これは、結合によるように、その中に固定される。モジュール7は、マイクロプロセッサチップ7a(内部)、チップアンテナ7bおよびコンタクトパッド7cを含む。パッド7cは接触型スマートカードに使用される従来の接触パッドであり、スマートカードがカードリーダに挿入されたときにカードリーダの接触子と係合するように配置される。
【0045】
設計により、
図2に描かれた実施形態では、プラグ34が部7よりも実質的に広い。好ましくは、プラグ34が部7の両側を越えて少なくとも0.04横方向に延びている。これにより、基板30内の金属がカードとチップとの間の通信を妨害することが防止される。しかしながら、プラグは部7よりも幅広である必要はない(すなわち、プラグの横方向寸法L2、W2は、部L1、W1の横方向寸法よりも大きい必要はない)。
【0046】
モジュール7は、金属層30内に垂直に配置され、上部金属表面に沿って接触パッド7cを提供して、デュアルインタフェースの接触機能を実現する。更に、部7よりも領域を大きくした(必ずしもそうではないが)プラグ34上の位置決め部7は、部アンテナ7bとブースタアンテナ47との間の無線通信における干渉を減少させることを可能にする。
【0047】
あるいは、本発明を具体化するカードが
図4、
図4A、
図5A、
図5B、
図5Cおよび
図6に示すように形成されてもよい。これらのカードは、その厚さが金属層の厚さに等しいプラグが形成されるという点で、先に議論したものとは異なる。すなわち、窪んだポケットは存在しない。
【0048】
図4に示すように、本発明のこの態様に従って形成されたカードは、以下の処理ステップおよび構造を含むことができる。
【0049】
ステップ1-金属層30が選択され(
図4のステップ1に示すように)、これはカード10の最上層として機能するように意図されている。金属層30は、上面(前面)301および下端(背面)302と、0.01インチ未満から0.02インチを超える範囲の厚さ(D)とを有する。金属層30は、上述した金属層30と同じ特性及び性質を有することができる。
【0050】
ステップ2-深さDの穴420を金属層30に形成する(
図4のステップ1に示すように)。穴の横方向の寸法は、L2およびW2である(
図5Aおよび5Bを参照)。穴420は任意の公知の方法(例えば、鋳造またはフライス削り)で形成されてもよい。穴420は、規則的または不規則な固形立方体であってもよく、または水平面における平面投影が角、長方形、円形、または不規則な形状であってもよい円筒であってもよい。
図4に示される実施形態では、穴420の横方向寸法[長さ(L2)および幅(W2)]が後述するように、ICモジュールの横方向寸法[長さL1および幅W1]よりもそれぞれ大きい。一般に、L2はL1よりも大きい(少なくとも0.04インチ、W2はW1よりも大きい(少なくとも0.04インチ)。しかしながら、上述のように、L2はL1に等しくされてもよく、W2はW1に等しくされてもよい。L1およびW1よりもそれぞれL2およびW2を大きくする利点は金属層とIC部との間により大きな分離を提供し、したがってRFの送受信を強化することである。
【0051】
RF伝達を妨害しないプラグ34のような任意の材料のプラグ434が、切り出された領域を満たすために穴420の寸法に適合するように形成または成形される。プラグ434は、IC部を保護するために処理され、機能する。穴420の内壁および/またはプラグ434の外壁は適切な接着剤で被覆され、その結果、プラグ434はカードの形成における金属層の処理の全体を通して、穴の壁にしっかりと接着する。プラグ434は、PET、PVC、または他の重合体などの任意の熱可塑性材料、またはエポキシ樹脂およびセラミックなどの任意の材料から作製されてもよい。
【0052】
ステップ3-接着剤層42を使用して、フェライト層44を層30の裏面302に取り付ける。接着層46はブースタアンテナ47を含む及び/又はその上に取り付けられるプラスチック(例えば、PVC)層48をフェライト層に取り付けるために使用される。層42、44、46、48およびブースタアンテナ47は、
図2に示す対応する数の構成要素と同様に形成され、同じまたは同様の機能を果たす。層30、42、44、46および48を含むアセンブリは、積層されてカードアセンブリ350を形成する。
【0053】
ステップ4-次いで、プラグ434を通してT字型の穴/開口436が形成される。穴436はフライス削り、ドリル削り、および/または任意の他の適切な手段によって形成される。T字型の穴436の上端部436aはICモジュールを収容するために、横方向および深さ方向の寸法を有するように形成される。ICモジュール7の寸法がL1×W1×D1である場合、436aの上端部はICモジュールが穴436a内にぴったりと挿入され、所定の位置に接着されることを可能にするために、D1によってW1だけ約L1となるように形成されるのであろう。プラグ434内に形成された孔436の下端436bは(プラグ434の中心を中心として垂直に下方にドリル加工することによって)、
図4のSTEP 4に示されるように、下層42、44および46を貫通し、層48まで延在する。プラグ434内に形成された穴436bの横方向寸法は(a)
図4のSTEP 5Aに描かれているような誘導結合実施形態においてRF通信が確実に行われることを可能にするために、ブースタアンテナ47とICチップ部7との間を十分なRF信号が通過することを可能にするために、および(b)
図4のSTEP 5Bに描かれているように、アンテナ部とIC部との間の物理的接続500を可能にするために、十分な大きさに作られている。物理的接続は
図2のステップ7Bに示す実施形態に関して説明したように、任意の形態をとることができる。プラグ434に形成された穴436bの横方向寸法はL3およびW3として示され、ここで、L3およびW3はL1およびW1より小さい。L3およびW3をそれぞれL1およびW1より小さくすると、棚438が形成され、IC部を支持し、IC部をカード上端301の下の設計高さD1に保つことに留意されたい。ICモジュール7は、レッジ438およびプラグ434の上端部内壁にぴったりと挿入され、取り付けられる(接着される)。
【0054】
ステップ5A又は5B-チップ7aとチップアンテナ7bと、一組の接点7cとを含むIC部7は、穴436a内に配置され、所定の位置に接着される。物理的接続は、
図4のステップ5Bに示される実施形態において、ブースタアンテナ47とチップアンテナ7bとの間に延在する。
【0055】
図5A(
図4のステップ5Aと混同しない)は
図4のステップ4に対応する拡大断面図であり、
図5Bは、金属およびプラグに形成された穴を示すカードの上面図である。
図5Cはカードの上面図であり、カードの上端に取り付けられて挿入されたモジュール7を示す。スマートメタルカード10は、無線(非接触)カードまたはコンタクトカードとして機能することができる。なお、
図5A、5Bおよび5Cに示すように、孔部436aは内側端440を有する。プラグは外側端442を有する。
図5B及び
図5Cから明らかなように、ICモジュール7は、開口部436a及び436bを覆うことになる。その結果、部7と金属層30との間のIC部の外周の周りに延びるエッジ440と442との間に空間/領域450が存在する。空間/領域450は、(必要なモジュール接触パッドを除いて)連続的な金属層を損なうので、美的な観点から異議を唱えることができる。しかしながら、空間領域450は、RF伝達を強化し得ることが理解されるべきである。
図6に示すように、スペース/領域450の存在、およびスペース450に関連する任意の窪みまたは隆起は、マスキング層470を追加することによってマスキングすることができる。マスキング層470は当技術分野で知られているようなPVC層などの任意の非金属層、またはポリエステル複合体もしくはポリカーボネートなどの他のポリマー、または非常に薄いセラミック層を含むことができるが、これらに限定されない。マスキング層を有する前記の構成は、多くの場合に許容可能であり得る。しかしながら、このような解決策が依然として受け入れられないか、または実現可能でない場合には、この解決策が
図2に示すプロセスステップに従ってカードを作成することに戻ることである。
【0056】
したがって、
図4に示すプロセスに従って形成されたスマートカードの課題は、プラグの一部が見られることである。プラグの部分はカードの連続的な外観を損ない、および/または表面上の隆起として、または窪みとしてもよい。これは、マスキング(隠蔽)層470が層30上に形成される場合であっても同様である。
【0057】
図2を参照して教示され論じられたように、基板30内に凹部ポケット32を形成し、カードの上端から見えないプラグ34で凹部を充填することによって、金属表面(ICモジュールを除く)内の間隔および任意の不連続性を回避する。したがって、以前のおよび他のデュアルインタフェーススマート金属カードとは対照的に、プラグ34は、表面上の隆起として、または窪みとして現れない。カードを外部から見ると、それは見えない。このように、
図2のプロセスは、金属層30に貫通孔420が形成され、プラグ434が孔420を充填する、
図4のプロセスと異なる。
【0058】
上述した全ての実施形態において、プラグはIC部を周囲の金属層から分離し、IC部をカード内に位置し、固定する。誘導結合設計では、プラグはまた、ブースタアンテナとIC部との間のRF透過率を高める。物理的に接続された設計では、プラグは動作上の利点を提供することもできる。プラグのための開口部およびカード内でのその位置決めは、カードの外部を平坦かつ視覚的に快適に維持するように設計される。
【0059】
しかしながら、アンテナモジュールとICアンテナとの間に物理的接続を有する実施形態は、プラグを含まなくてもよい。
図7に示すように、本発明のこの態様に従って形成されたカードは、以下の処理ステップおよび構造を含むことができる。
【0060】
ステップ1-金属層30が選択され、これはカード10の最上層として機能するように意図されている。金属層30は、上面(前面)301および下端(背面)302と、0.01インチ未満から0.02インチを超える範囲の厚さ(D)とを有する。金属層30は、上述した金属層30と同じ特性及び性質を有することができる。
図7のステップ1に示すように、接着層42を用いて、層30の裏面302にフェライト層44を付着させる。接着層46はブースタアンテナ47を含む及び/又はその上に取り付けられるプラスチック(例えば、PVC)層48をフェライト層に取り付けるために使用される。層42、44、46、48およびブースタアンテナ47は、
図2に示す対応する数の構成要素と同様に形成され、同じまたは同様の機能を果たす。層30、42、44、46および48を含むアセンブリは、次に積層されてカードアセンブリ750を形成する。署名パネル及び磁気ストライプを含む層52は、積層の前又は後に層48に取り付けることができる。層42、44、46、48(およびおそらく52)は、サブアセンブリとして形成され、金属層30の下端302に取り付けられてもよい。
【0061】
ステップ2-金属層30及び層42、44、46を貫通して層48まで孔720を形成する。層48で停止するように示されているが、いくつかの実施形態ではホールは層48を貫通してもよい(これは本明細書に記載され図示された他の実施形態にも当てはまる)。穴の横方向寸法はICモジュールの横方向寸法(例:L1およびW1)と公称等しいが、それよりわずかに大きい。穴720は任意の公知の様式(例えば、フライス削り、ドリル削り、および/または任意の他の適切な手段)で形成され得る。穴720は、規則的または不規則な固形立方体であってもよく、または水平面における平面投影が角、長方形、円形、または不規則な形状であってもよい円筒であってもよい。穴はまた、比較的広い部分が上面に面し、比較的狭い部分がカードの底面に面した階段形状(断面T字形状)を有していてもよく、これにより、挿入されたときのチップは、比較的狭い部分から比較的広い部分への移行部に形成されたカード本体内の金属棚上に載置される。
図7に示される実施形態では穴420の横方向寸法[公称長(L1)および幅(W1)]が本明細書で論じられるように、ICモジュールの横方向寸法[公称長さL1および幅W1も]よりわずかに大きく、この場合、穴とモジュール寸法の間の差は商業的に許容可能な許容差に適合する。
【0062】
ステップ3-物理的接続700は、
図7のステップ3に描かれているように、アンテナ部とIC部との間に設けられる。物理的接続は、
図2のステップ7に描かれている実施形態に関して説明したように、任意の形態をとることができる。ただし、穴720は非導電性プラグによって裏打ちされていないので、穴の壁に対する短絡を回避するために、物理的接続は絶縁されてもよい。
図7のステップ2のALT Aに示される一実施形態では、ライナー760が配線接続を行う前に、穴の側面に、例えば被覆または環状プラグが穴に挿入された状態で配置されてもよい。ライナー720は、ブースタアンテナへのICモジュールの挿入深さの下の穴全体を覆うのに十分な長さを有していてもよく、又は穴の金属部分のみを覆っていてもよい。別の実施形態では、金属本体の穴の部分内に配置される物理的接続700bの少なくとも一部が絶縁ワイヤ(例えば、非導電性被膜で被覆された導電ワイヤ)であってもよい。
図7のステップ3に示される別の実施形態ではブースタアンテナ層48が接続セグメント700aを介してアンテナに接続するための接続点702aを有し、IC部は対応する接続点704aを有する。
図8に示すように、モジュラコネクタ710はアンテナ層及びICチップ内の対応する接続点と嵌合するために、それぞれ嵌合接続点702b及び704bを有し、接続点702b及び704bをコネクタ内で接続する導電性接続セグメント700bを有する。コネクタ710の横方向の寸法は穴720内にぴったりと挿入できるように、ICモジュールと本質的に同じ商業的耐性内で、名目上L1およびW1でもある。コネクタはまた、L3およびW3の寸法がそれぞれL1およびW1未満の挿入部を有してもよく、その結果、ICモジュールを支持し、それを上部カード表面301の下方のD1の設計された高さに維持するレッジ738が形成される。同様に、
図7のステップ2のALT Aに示す実施形態では、ライナー760が同等の棚部を提供するようなサイズにすることができる。ICモジュール7は、レッジ738およびコネクタ710内の差し込み部の上端部内壁にぴったりと挿入され、取り付けられる(接着される)ことができる。この実施形態に関連して描かれているが、物理的接続を行うために本明細書に描かれている他の実施形態のいずれにも同様のコネクタ構造を使用することができ、コネクタの周辺部および横方向領域はコネクタが挿入される穴のそれぞれの周辺部および横方向領域に一致することを理解されたい。
図7のステップ3に描かれた実施形態では、コネクタの本体が好ましくはトレース700bの間、及び/又はトレースとカードの金属部分内の穴720の壁との間の任意の電気的接続を回避するように、非導電性材料を含む。
【0063】
図7のSTEP 3に示すように、チップ7aとチップアンテナ7bと一組の接点7cとを含むIC部7は、穴436内に位置決めされる。物理的接続部700a, bは、ブースタアンテナ47とチップアンテナ7bとの間に延びている。
【0064】
本明細書では様々な場所における寸法L3、W3に対する寸法L2、W2に対する寸法L1、W1に関して説明したが、本発明は上述したように、矩形の実施形態に限定されない。従って、別の寸法よりも大きな寸法を有する1つの要素に関して議論する場合、非矩形の実施形態では比較的大きな寸法を有する構造を参照することは比較的大きな周囲が比較的半径方向外側に位置する比較的大きな面積を有する構造を指すことが理解されるべきであり、これは実施例において参照される矩形の実施形態にも本質的に当てはまる。
【0065】
本発明は特定の実施形態を参照して本明細書に例示され、説明されるが、本発明は示される詳細に限定されることを意図されない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲の均等物の範囲および範囲内で、様々な改変を詳細に行うことができる。