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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20230301BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20230301BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230301BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/24
A61K8/26
A61K8/27
A61Q1/02
A61Q1/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018106090
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019167330
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-05-07
(31)【優先権主張番号】P 2017228997
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018055011
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小泉 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】石川 桃子
(72)【発明者】
【氏名】緒方 七重
(72)【発明者】
【氏名】森 健治
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-316065(JP,A)
【文献】特開平03-284613(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017372(WO,A1)
【文献】特開2016-141780(JP,A)
【文献】大野 和久,発光粉体の開発と化粧品への応用,FRAGRANCE JOURNAL,1994年02月,pp.11-16
【文献】桜井 紀,高田 定樹,最近のファンデーションの研究開発の現状と課題,FRAGRANCE JOURNAL,2000年05月,pp.13-18
【文献】光井 武夫,新化粧品学,第2版,南山堂,2001年01月18日,pp.78-110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機化合物からなる2種類以上の蛍光体を含有する化粧料であって、
該化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルが、400~530nmの範囲及び620~720nmの範囲にそれぞれ蛍光発光ピークを有し、かつ、530~620nmの範囲の最大発光強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが3.6~11.3であり、
波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率が3.1~40%であり、
下記式(1);
Mg Ti (1)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、1.5<x<2.5、0.5<y≦1.5、z=x+2yを表す。)で表される化合物に、該化合物中のマグネシウム1molに対して0.00005~0.05molの割合でMnを含む複合酸化物、及び、下記式(2);
Ca Al (2)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、0.1<x<1.05、11.9<y≦12、z=(2x+3y)/2を表す。)で表される化合物に、該化合物中のアルミニウム1molに対して0.000042~0.0083molの割合でMnを含む複合酸化物、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体と、
下記式(3);
Ca (3)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、3.2≦x≦5.0、1.9≦y≦2.1、z=x+5を表す。)で表される化合物に、該化合物中のリン1molに対して0.0005~0.05molの割合でCeを含む複合酸化物、及び、蛍光性酸化亜鉛、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体と
の混合物を含むことを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルにおいて、400~530nmの範囲の最大ピーク強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが1~40であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際の発光色が、CIE色度座標上においてx値が0.25~0.55の範囲にあり、かつy値が0.22~0.42の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記化粧料中の蛍光体の含有量は、化粧料全体に対して0.1~20重量%であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】
パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドー、メイクアップフィルムから選ばれるいずれかの剤形であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。より詳しくは、肌に立体感を付与することのできる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料にはファンデーションや口紅、アイシャドー等、多くの種類があり、消費者の細かな嗜好に合わせた様々な製品が販売されている。このような化粧料に求められる効果の1つは、肌のくすみやシミなどを目立たなくして肌を若々しく見せることであり、その他に、顔の立体感を演出する効果も求められる。メーキャップにより立体感を演出する方法には、色味の異なるファンデーションを塗布して陰影をつける方法や、ノーズシャドウで鼻筋をすっきり見せる方法などがある。しかし、これらは通常の化粧を行った後に、別途ハイライト用化粧料を併用しなければならず、また特別な化粧テクニック(ハイライトの種類、塗布する場所や順番によって見え方が異なるなど)を要することや、側面から見ると色の差が目立って仕上がりが不自然になる、など課題がある。このため、このような煩わしさなく自然な立体感が得られる化粧料が望まれる。
このような効果を目的として、所定の多層顔料を含む成分および平板状、針状もしくは球状の着色剤および/または充填剤を含む成分を含む顔料混合物(特許文献1参照)や、所定の粒径のパール顔料と球状樹脂粉末とを所定の割合で含有するファンデーション又は化粧下地が開示されている。またそれ以外にも種々の蛍光体を用いた化粧料が開示されている(特許文献2~9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-345096号公報
【文献】特開2005-97218号公報
【文献】特開2006-316065号公報
【文献】特開2005-206613号公報
【文献】特開2008-50312号公報
【文献】特開2000-44828号公報
【文献】特開2002-326911号公報
【文献】特開2006-249012号公報
【文献】特開2016-132650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、種々の化粧料が提案されているが、例えば上記特許文献1の化粧料では粉体を塗布した部分だけが不自然に輝き、むき立てのゆで卵のように、高い部分がどの角度から見ても光り輝いて見えるような自然な立体感は得られない。
若々しい印象の顔に見せるためには、自然な立体感を演出することに加えて、透明感のある美しい肌の輝きが同時に求められる。美しい肌は、光が肌の深部まで透過し、540nmと578nmに顕著な光の吸収域を持つ血液に吸収されることで、赤色と青色の光を多く反射している。そのため、メーキャップで美しい肌に見せる方法として、化粧料に赤色や青緑色の顔料を添加し、美しい肌の見え方に擬似的に近づける方法が取られているが、この方法は顔料で肌を着色しているに過ぎず、自然な光の反射とは見え方が全く異なるためにかえって不自然になってしまう。上記特許文献3の化粧料組成物は、無機蛍光体を複数用いて、少なくとも3種類の発光ピークが得られるように蛍光体を混合して白色発光を得て、皮膚を明るく見せるものであるが、これも美しい肌の反射スペクトルとは全く異なり、擬似的な白色発光でむしろ不自然さが際立つ。そのため、蛍光体を含む化粧料により若々しく、かつ自然な立体感を演出することはできていない。その他の特許文献2、4~9の化粧料もこの点で十分な効果を発揮するものとはいえない。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、肌を若々しい印象にみせるとともに自然な立体感を演出することができる化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決することができる化粧料について検討し、無機化合物からなる2種類以上の蛍光体を含有し、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルが、400~530nmの範囲及び620~720nmの範囲にそれぞれ蛍光発光ピークを有し、かつ、530~620nmの範囲の最大発光強度と620~720nmの範囲の最大ピーク強度との比が所定の範囲である化粧料が肌を若々しい印象にみせるとともに自然な立体感を演出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、無機化合物からなる2種類以上の蛍光体を含有する化粧料であって、該化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルが、400~530nmの範囲及び620~720nmの範囲にそれぞれ蛍光発光ピークを有し、かつ、530~620nmの範囲の最大発光強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが1~30である化粧料である。
【0008】
上記化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルにおいて、400~530nmの範囲の最大ピーク強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが1~40であることが好ましい。
【0009】
上記化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際の発光色が、CIE色度座標上においてx値が0.25~0.55の範囲にあり、かつy値が0.22~0.42の範囲にあることが好ましい。
【0010】
上記化粧料は、下記式(1);
MgTi (1)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、1.5<x<2.5、0.5<y≦1.5、z=x+2yを表す。)で表される化合物に、該化合物中のマグネシウム1molに対して0.00005~0.05molの割合でMnを含む複合酸化物、及び、下記式(2);
CaAl (2)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、0.1<x<1.05、11.9<y≦12、z=(2x+3y)/2を表す。)で表される化合物に、該化合物中のアルミニウム1molに対して0.000042~0.0083molの割合でMnを含む複合酸化物、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体と、
下記式(3);
Ca (3)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、3.2≦x≦5.0、1.9≦y≦2.1、z=x+5を表す。)で表される化合物に、該化合物中のリン1molに対して0.0005~0.05molの割合でCeを含む複合酸化物、及び、蛍光性酸化亜鉛、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体との混合物を含むことが好ましい。
【0011】
上記化粧料中の蛍光体の含有量は、化粧料全体に対して0.1~20重量%であることが好ましい。
【0012】
上記化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率が1~40%であることが好ましい。
【0013】
上記化粧料は、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドー、メイクアップフィルムから選ばれるいずれかの剤形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化粧料は、透明感のある美しい肌の輝きに近い発光を有し、かつ、自然な立体感を演出することができるため、肌を若々しい印象に見せるとともに、ハイライト用化粧料や特別な化粧テクニックを必要とせずに顔の立体感を際立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例1、2で得られた化粧料1、2の発光スペクトル測定結果である。
図2】実施例3、4で得られた化粧料3、4の発光スペクトル測定結果である。
図3】実施例5、6で得られた化粧料5、6の発光スペクトル測定結果である。
図4】比較例2、3で得られた比較化粧料2、3の発光スペクトル測定結果である。
図5】比較例4、5、6で得られた比較化粧料4、5、6の発光スペクトル測定結果である。
図6】実施例7~9で得られた化粧料7~9の発光スペクトル測定結果である。
図7】実施例10で得られた化粧料10の発光スペクトル測定結果である。
図8】試験例1(比較例7)、試験例2(実施例11)で得られた化粧塗布部分の分光反射率測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0017】
本発明の化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルが、400~530nmの範囲及び620~720nmの範囲にそれぞれ蛍光発光ピークを有し、かつ、530~620nmの範囲の最大発光強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが1~30であることを特徴とする。
上述したとおり、美しい肌は、光が肌の深部まで透過し、透過した光のうち540nm~578nmの波長域の光が血液に吸収され、それよりも短波長域の緑~青色の光および長波長域の赤色の光を反射する。本発明の化粧料はこのような美しい肌の光の反射スペクトル(450~550nmの青~緑にかけての反射ピークと600nmから高波長に向けての反射のシャープな立ち上がり)に類似の発光を有することで、肌を美しく若々しい肌に見せることができる。
本発明の化粧料において、上記I/Iは好ましくは、2~29であり、より好ましくは、3~27であり、更に好ましくは、5~26である。
なお、「530~620nmの範囲の最大発光強度」とは、530~620nmの範囲に発光強度が最大となるような鋭角のピークが認められる場合には、該ピークにおける発光ピーク強度を意味し、530~620nmの範囲にそのような鋭角のピークが認められない場合には、530~620nmの範囲において発光強度が最大となる位置における発光強度を意味する。
【0018】
本発明の化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルにおいて、400~530nmの範囲の最大ピーク強度をI、620~720nmの範囲の最大ピーク強度をIとすると、I/Iが1~40であることが好ましい。
美しい肌の光の反射パターンは、波長400~530nmの範囲及び波長620~720nmの範囲にともに反射光を有しつつ、波長400~530nmの範囲の光の反射に比べて、波長620~720nmの範囲の光の反射が大きいことから、I/Iが1~40であることで本発明の化粧料の発光が美しい肌の光の反射スペクトルに近くなり、肌を若々しい印象にみせる効果がより高くなる。I/Iはより好ましくは、2~30であり、更に好ましくは、3~25である。
、IやIは後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0019】
本発明の化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際の発光色が、CIE色度座標上においてx値が0.25~0.55の範囲にあり、かつy値が0.22~0.42の範囲にあることが好ましい。CIE色度座標上におけるx値、y値がこのような範囲にあると、本発明の化粧料の発光色が白色に近くなり、光が当たった際の輝きが大きくなることで、より自然な立体感や艶が得られるようになる。これにより、本発明の化粧料をファンデーションや化粧下地として使用した場合に、鼻筋やほほ骨、眉間の上等の顔の高い部分に光が集まり、明るく輝いて見せることができ、肌にハリがある、健康的で若々しい印象の顔をより十分に演出することができる。また、発光色が白色であると、光が当たった部分に艶が出ることから、むきたてのゆでタマゴのような弾力感のある肌の質感が簡単に得られることになる。これらにより、本発明の化粧料が立体感付与化粧料としてより好適なものとなる。
上記x値の範囲はより好ましくは、0.29~0.52であり、更に好ましくは、0.32~0.45である。
また上記y値の範囲はより好ましくは、0.26~0.41であり、更に好ましくは、0.33~0.40である。
x値、y値は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0020】
本発明の化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトルが、400~530nmの範囲に幅広い蛍光発光ピークを有し、かつ、400~530nmの範囲の最大ピーク強度の半分の強度を示す2点間の間隔(半値幅、半値全幅ともいう)が50~200nmであることが好ましい。半値幅がこのような範囲にあると、明度と青みを高めるとともに、自然な透明感を演出することができる。
本発明の化粧料において、上記半値幅は好ましくは、100~170nmであり、より好ましくは、110~160nmであり、更に好ましくは、120~150nmである。
【0021】
本発明の化粧料は、無機化合物からなる2種類以上の蛍光体を含有するものであって、上記所定の光学特性を有するものであれば、どのような蛍光体を含むものであってもよいが、下記式(1);
MgTi (1)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、1.5<x<2.5、0.5<y≦1.5、z=x+2yを表す。)で表される化合物に、該化合物中のマグネシウム1molに対して0.00005~0.05molの割合でMnを含む複合酸化物、及び、下記式(2);
CaAl (2)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、0.1<x<1.05、11.9<y≦12、z=(2x+3y)/2を表す。)で表される化合物に、該化合物中のアルミニウム1molに対して0.000042~0.0083molの割合でMnを含む複合酸化物、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体と、
下記式(3);
Ca (3)
(式中、x、y及びzはそれぞれ、3.2≦x≦5.0、1.9≦y≦2.1、z=x+5を表す。)で表される化合物に、該化合物中のリン1molに対して0.0005~0.05molの割合でCeを含む複合酸化物、及び、蛍光性酸化亜鉛、からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体、との混合物を含むことが好ましい。
【0022】
上記式(1)におけるxは、1.5<x<2.5であればよいが、1.7<x<2.3であることが好ましい。より好ましくは、1.8<x<2.2であり、更に好ましくは、x=2である。
上記式(1)におけるyは、0.5<y≦1.5であればよいが、0.7<y<1.3であることが好ましい。より好ましくは、0.8<y<1.2であり、更に好ましくは、0.9<y<1.1である。
【0023】
上記式(1)で表される化合物にMnを含む複合酸化物において、Mnの含有量は、0.00005~0.05(式中のマグネシウム1molに対するモル比)の範囲である。当該範囲とすることによって、良好な発光性能を得ることができる。上記Mnの含有量の下限は、0.0001であることがより好ましく、0.001であることが更に好ましい。
上記Mnの含有量の上限は、0.01であることがより好ましく、0.005であることが更に好ましい。
また、上記x、yは、x/yの下限が1.5であることが好ましく、1.8であることがより好ましい。また、上限が2.7であることが好ましく、2.2であることがより好ましい。
【0024】
上記式(2)におけるxは、0.1<x<1.05であればよいが、0.5<x<1.03であることが好ましい。より好ましくは、0.8<x<1.02であり、更に好ましくは、0.9<x<1.01である。
上記式(2)におけるyは、11.9<y≦12であればよいが、11.901<y≦12であることが好ましい。より好ましくは、11.905<y≦12であり、更に好ましくは、y=12である。
【0025】
上記式(2)で表される化合物にMnを含む複合酸化物において、Mnの含有量は、0.000042~0.0083(式中のアルミニウム1molに対するモル比)の範囲である。当該範囲とすることによって、良好な発光性能を得ることができる。上記Mnの含有量の下限は、0.00005であることがより好ましく、0.0001であることが更に好ましい。上記Mnの含有量の上限は、0.005であることがより好ましく、0.001であることが更に好ましい。
【0026】
上記式(3)におけるxは、3.2≦x≦5.0であればよいが、3.3<x<4.7であることが好ましい。より好ましくは、3.4<x<4.6であり、更に好ましくは、3.5<x<4.5である。
上記式(3)におけるyは、1.9≦y≦2.1であればよいが、1.95<y<2.05であることが好ましい。より好ましくは、1.97<y<2.02であり、更に好ましくは、y=2である。
【0027】
上記式(3)で表される化合物にCeを含む複合酸化物において、Ceの含有量は、0.0005~0.05(式中のリン1molに対するモル比)の範囲である。当該範囲とすることによって、良好な発光性能を得ることができる。上記Ceの含有量の下限は、0.0006であることがより好ましく、0.0007であることが更に好ましい。上記Ceの含有量の上限は、0.045であることがより好ましく、0.04であることが更に好ましい。
【0028】
上記蛍光性酸化亜鉛としては、紫外線励起により発光する酸化亜鉛であればいずれのものであってもよいが、酸化亜鉛(ZnO)を還元処理することで得られる、酸素欠陥を有する酸化亜鉛が好ましい。このような酸素欠陥を有する酸化亜鉛は、Zn1+zO又はZnO1-xの平均組成式で表されると考えられる。
【0029】
上記式(1)~(3)で表される化合物にMn又はCeを含む複合酸化物および蛍光性酸化亜鉛は、波長200nm~400nmといった近紫外領域~青色領域の光で励起することにより、式(1)で表される化合物を含む蛍光体は橙色~赤色、式(2)で表される化合物を含む蛍光体は橙色~赤色、式(3)で表される化合物を含む蛍光体は青色~緑色、蛍光性酸化亜鉛は緑色の発光色をそれぞれ示す。
【0030】
上記式(1)で表される化合物にMnを含む複合酸化物及び上記式(2)で表される化合物にMnを含む複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体(以下、蛍光体Aと記載)と、上記式(3)で表される化合物にCeを含む複合酸化物及び蛍光性酸化亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種を含む蛍光体(以下、蛍光体Bと記載)との混合物において、蛍光体Aと蛍光体Bとの質量比(蛍光体A/蛍光体B)は、1/99~99/1であることが好ましい。より好ましくは、5/95~60/40であり、更に好ましくは、35/65~45/55である。
【0031】
上記蛍光体Aとして、上記式(1)で表される化合物にMnを含む複合酸化物と上記式(2)で表される化合物にMnを含む複合酸化物の両方を含むものを用いる場合、上記式(1)で表される化合物にMnを含む複合酸化物と上記式(2)で表される化合物にMnを含む複合酸化物の配合割合は、蛍光体Aと蛍光体Bとの質量比が上記のようになる範囲で適宜調整することができる。
【0032】
上記蛍光体Bとして、上記式(3)で表される化合物にCeを含む複合酸化物と蛍光性酸化亜鉛の両方を含むものを用いる場合も上記蛍光体Aと同様、上記式(3)で表される化合物と蛍光性酸化亜鉛の配合割合は、蛍光体Aと蛍光体Bとの質量比が上記のようになる範囲で適宜調整することができる。
【0033】
蛍光体Aは、上記式(1)で表される化合物を含む場合、上記式(1)で表される化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。上記式(2)で表される化合物についても同様に、1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
同様に、蛍光体Bは、上記式(3)で表される化合物や蛍光性酸化亜鉛をそれぞれ1種含いんでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0034】
上記式(1)で表される化合物にMnを含む複合酸化物、式(2)で表される化合物にMnを含む複合酸化物の製造方法は特に制限されないが、例えば、国際公開第2016/017372号(上記式(1)で表される化合物)および国際公開第2015/166895号(上記式(2)で表される化合物)に記載の方法等により製造することができる。
上記式(3)で表される化合物にCeを含む複合酸化物の製造方法は特に制限されないが、例えば、上記式(3)にCeを含む複合酸化物を構成する各元素およびCeの化合物を所定の割合で混合し、これを還元焼成することで製造することができる。
蛍光性酸化亜鉛の製造方法は特に制限されないが、例えば、酸化亜鉛や炭酸亜鉛等の酸素含有亜鉛化合物に硫黄含有化合物を添加した後、これを還元雰囲気下で焼成することで製造することができる。
また、上記式(1)~(3)で表される化合物にMn又はCeを含む複合酸化物、および蛍光性酸化亜鉛は、後述する実施例に記載の方法を参考に製造することもできる。
【0035】
本発明の化粧料に含まれる蛍光体のメジアン径(D50)は、0.1~20μmであることが好ましい。蛍光体のD50がこのような範囲にあると、より充分な発光強度が得られ、かつ、肌に塗布した際の使用感にもより優れたものとなる。また、紫外線防御能とソフトフォーカス効果も得られることになる。蛍光体のD50はより好ましくは、0.5~15μmであり、更に好ましくは、1~12μmである。
本明細書中、メジアン径(D50)とは、体積基準での50%積算粒径を意味し、粉体(粒子)をある粒子径から2つに分けた際に、大きい側と小さい側とが等量になる径をいう。蛍光体のD50は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
【0036】
本発明の化粧料に含まれる蛍光体は、波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率が1%以上であることが好ましい。これにより、蛍光体として有用なものとなる。より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上、最も好ましくは35%以上である。
本明細書中、内部量子効率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
【0037】
本発明の化粧料中の蛍光体の含有量は、化粧料全体に対して0.1~20重量%であることが好ましい。この範囲であれば使用感や化粧膜の均一性を損なうことなく、本発明の化粧料の効果をより十分に発揮することができる。蛍光体の含有量はより好ましくは、化粧料全体に対して0.5~15重量%である。
【0038】
本発明の化粧料は、Eu成分の含有量が化粧料全体の1質量%以下であることが好ましい。Eu成分の含有量がこのようなものであると、人の皮膚に直接使用する化粧料としてより安全性の高いものとなる。Eu成分の含有量は、より好ましくは化粧料全体の0.8質量%以下であり、更に好ましくは、化粧料全体の0.5質量%以下である。
化粧料に含まれるEu成分の含有量は、後述の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定することができる。
なお、ここでいうEu成分とは、Euの単体及びEuの化合物を意味する。
【0039】
本発明の化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率が1~40%であることが好ましい。
下記のように、化粧料には上述した無機化合物からなる2種類以上の蛍光体と他の成分とを配合して調製され、他の成分として紫外線吸収剤や着色顔料が配合されることがある。
しかし、紫外線吸収剤は紫外線を、着色顔料は可視光線を吸収するものであるため、これらの配合が多いと、蛍光体が励起に必要な紫外線や可視光線を十分に吸収することができず、上述した蛍光体による効果を十分に発揮することができない場合がある。例えば、蛍光化粧料中の紫外線吸収剤が多い場合、紫外線励起の青・緑色蛍光体が十分に発光せず、可視光でも発光する赤色蛍光体からの発光が目立ち、太陽光下で自然な白色が得られなくなる場合がある。この点に関し、化粧料を波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率が1~40%となるように紫外線吸収剤や着色顔料を配合することで、蛍光体による効果と紫外線吸収剤や着色顔料を配合することによる効果とをバランスよく発揮し、太陽光下での顔の立体感強調効果や肌の変色や透明感の低下を改善する効果の実効感により優れた発光を有する化粧料とすることができる。
本発明の化粧料を波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率は、より好ましくは、3~30%である。
化粧料を波長365nmの励起光で励起した際の内部量子効率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0040】
本発明の化粧料は、上述した無機化合物からなる2種類以上の蛍光体と、他の成分とを含む。他の成分は特に限定されないが、例えば、有機溶媒や分散剤の他、化粧料分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分が挙げられる。具体的には、油分;界面活性剤;保湿剤;高級アルコール;金属イオン封鎖剤;各種高分子(天然、半合成、合成若しくは無機の、水溶性又は油溶性高分子);紫外線遮蔽剤;その他薬剤成分;各種抽出液;無機及び有機顔料;無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体;金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料;有機染料等の色剤;防腐剤;酸化防止剤;色素;増粘剤;pH調整剤;香料;冷感剤;収斂剤;殺菌剤;皮膚賦活剤;等が挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0041】
油分としては特に限定されず、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、パーム油、牛脂、羊脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化牛脂、硬化ヤシ油、硬化ひまし油等の硬化油、牛脚脂、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0042】
界面活性剤としては、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤の他、その他の界面活性剤が挙げられる。親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0043】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、PO
Eソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0044】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0045】
保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0046】
高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0047】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1- ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
【0048】
天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0049】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
【0050】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20000、40000、60000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
【0051】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0052】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾ
フェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3- カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5- メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0053】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤;タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤;や、イオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等が挙げられる。
【0054】
各種抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等が挙げられる。
【0055】
各種粉体としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、硫酸バリウム、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等が挙げられる。好ましくは、官能特性向上や化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理したものである。
【0056】
本発明の化粧料としては特に限定されず、例えば、化粧水、保湿液、乳液、美容液、ハンドクリーム、ボディローション、ボディクリームのような基礎化粧料;パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、フェイスパウダー、ムースパウダー、コンシーラー;頬紅、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅、化粧下地のようなメークアップ化粧料(上記基礎化粧料、メークアップ化粧料においては、日焼け止め機能(UVカット機能)を備えていることを明示していてもよいし、明示していなくてもよい);日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム等の日焼け止め化粧料、シミやニキビ、傷隠し用フィルムのようなメイクアップフィルム等に用いることができる。また、これらの製剤の機能を1つの製剤にまとめた多機能型製剤も挙げられる。これらの製剤は常法に従い製造することができる。
【0057】
本発明においてメイクアップフィルムとは、美容や医療等の分野において、皮膚に貼り付けることで皮膚上の傷の隠蔽やシミ、シワ、ニキビなどを目立たなくする目的で使用される化粧料を意味する。通常、メイクアップフィルムは、樹脂成分を含有する。
【0058】
メイクアップフィルムの形態としては、特に制限されないが、フィルム状、テープ状、シール状、ロール状等が挙げられ、接着剤付メイクアップフィルムも包含する。
本発明のメイクアップフィルムは、蛍光体と樹脂とを含む。樹脂は、メイクアップフィルムの形態や使用される用途によって適宜選択すればよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のいずれであってもよい。具体例として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、マレイミド樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらの1種であっても2種以上であってもよい。また、光硬化性樹脂の具体例として、光重合開始剤により重合可能な各種アクリレート化合物及びメタクリレート化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、チオール化合物、シリコーン系化合物などが挙げられる。
【0059】
本発明のメイクアップフィルムは、更に必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
本発明のメイクアップフィルムは、厚みが10~300μmであることが好ましい。
【0060】
本発明において日焼け止め化粧料とは、紫外線から皮膚を保護する目的で使用される化粧料を意味する。通常、日焼け止め化粧料は、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を含有する。日焼け止め化粧料の形態としては、特に制限されないが、水中油型または油中水型エマルジョン状、スティック(固形)状等が挙げられ、下地機能付日焼け止め化粧料も包含する。
【0061】
本発明において化粧下地とは、皮膚の凹凸を補正する;肌の色を補正する;ファンデーション等のメーキャップ化粧料のつきやのび、化粧仕上り、化粧持ちを良好にする;紫外線を防御する(日焼け止め機能付下地);等の目的で使用される化粧料を意味する。化粧下地の形態としては、特に制限されないが、水中油型または油中水型エマルジョン状、クリーム状、スティック(固体)状等が挙げられる。
【0062】
ファンデーションの形態としては、特に制限されないが、固形状、パウダー状、油性スティック状、水中油型または油中水型エマルジョン状、クリーム状等が挙げられる。
【0063】
頬紅、フェイスパウダーの形態も特に制限されず、例えば、頬紅であれば、パウダー、クリーム、スティック状等が、フェイスパウダーであれば、パウダー状等が挙げられる。
【0064】
本発明の化粧料を用いた化粧方法は、特に制限されないが、化粧下地等を肌に塗布した後、本発明の化粧料を塗布する方法;化粧水・乳液・美容液等の基礎化粧料で肌を整えた後、化粧下地等を肌に塗布し、その後、本発明の化粧料を塗布する方法;等が挙げられる。
【0065】
本発明の化粧料は、下地用化粧料を肌に塗布した後に、その上から最後に塗布して使用されることが好ましい。このような本発明の化粧料の使用方法もまた、本発明の1つである。本発明の化粧料を下地用化粧料の上に塗布することにより、肌表面に均一に塗布することができる。また通常、日焼け止め化粧料、化粧下地、ファンデーション等には、紫外線吸収剤や着色顔料などの光吸収材料や、紫外線散乱剤やパール顔料などの光散乱材料が配合される。そのため、蛍光体を含有する化粧料の上にこれら化粧料を塗布すると、蛍光体の励起に必要な紫外線や可視光線が一部阻害され、かつ蛍光体からの発光も一部吸収されるため、結果として蛍光体からの発光が十分に得られない場合がある。これに対し、本発明の化粧料を下地用化粧料を肌に塗布した後に使用すると、蛍光体が紫外線や可視光線を十分に吸収することができ、蛍光体による発光をより十分に得ることができる。さらには、本発明の化粧料に含まれる蛍光体が紫外線を一部吸収するため、本発明の化粧料が日焼け止め効果も奏することになる。
したがって、上記剤形の中でも、本発明の化粧料がパウダーファンデーション、リキッドファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドー、メイクアップフィルムから選ばれるいずれかの剤形であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。ファンデーションやフェイスパウダーは下地用化粧料の上に使用されるものであり、下地用化粧料に紫外線吸収剤が含まれていても化粧料に含まれる蛍光体が十分に紫外線を吸収することができるため、顔の立体感強調効果や肌の変色や透明感の低下を改善する効果の実効感をより十分に得ることができる。より好ましくは、フェイスパウダーである。
【0066】
本発明の化粧料のうち、メイクアップフィルムでの使用形態においては、下地用化粧料を肌に塗布した後に、その上から最後に貼付して使用されることが好ましい。このような本発明の化粧料の使用方法もまた、本発明の1つである。本発明の化粧料を下地用化粧料の上に貼付することにより、肌表面に均一に付着することができる。また、メイクアップフィルムと肌との境界線を視覚的にぼかして、見た目の違和感を軽減するために、境界線付近にファンデーション等を塗布してもよい。
【0067】
本発明の化粧料を塗布する前に使用できる下地用化粧料は、特に限定されず、一般に市販されているものを用いることができる。剤型としては油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物などの乳化組成物、油型組成物などが挙げられ、形状としてはクリーム状、液状、ジェル状、固形状などが挙げられる。
【実施例
【0068】
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0069】
合成例1~4で合成した蛍光体のD50、組成比(元素含有量)、および実施例、比較例で作製した化粧料のEu含有量は、以下のようにして測定した。
<平均粒径D50
合成例1~4で合成した蛍光体の平均粒径D50は、レーザー回折・散乱式粒度分析計(日機装社製:型番 マイクロトラックMT3000)を用い以下のように測定した。
すなわち、サンプル0.1gと0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、超音波ホモジナイザー(US-600、日本精機製作所社製)にて十分に分散した懸濁液を調製したものを試料とし、分散媒屈折率(1.33:0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液)、試料屈折率(チタン酸マグネシウムマンガン蛍光体:2.15、アルミン酸カルシウムマンガン蛍光体:1.81、リン酸カルシウムセリウム蛍光体:1.64、蛍光性酸化亜鉛:2.00)、流速50%、超音波分散3分間、透過率80~95%の条件で測定した。
【0070】
<組成比(元素含有量)、Eu含有量>
各粉体中の元素含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析装置(SII社製、ICP SPS3100)を用い、スカンジウム(Sc)を内標準とした検量線法によって求めた。測定試料は、塩酸に溶解して作製したが、難溶性の場合は四ホウ酸リチウムを用いたアルカリ溶融法により調製した。
【0071】
合成例1~4で合成した蛍光体の結晶構造の同定、組成式の同定、及び内部量子効率の測定は以下のようにして行った。
<結晶構造の同定>
粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を用いた。測定は、リガク社製、RINT-UltimaIIIを使用し、平行光学系(長尺スリット:200mm、開口角度0.057度)を用い、
ステップ幅:0.02°、測定範囲2θ=1.6~70°の条件で行った。
より詳細には以下のようにして測定した。
-分析条件-
使用機:リガク社製、RINT-UltimaIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
長尺スリット:200mm、開口角度0.057度
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:FT
計数時間:2.0秒
ステップ幅:0.0200°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:1.6000~70.0000°
積算回数:1回
【0072】
<組成式の同定>
各蛍光体の組成式の同定には、JCPDSカードを用いた。なお、JCPDSカードとは、各種物質のX線回折法によるピークプロファイルをまとめたものである。
チタン酸マグネシウムマンガン蛍光体:MgTiO、JCPDSカード 00-025-1157
アルミン酸カルシウムマンガン蛍光体:CaAl1219、JCPDSカード 00-038-0470
リン酸カルシウムセリウム蛍光体:Ca(POO、JCPDSカード 00-025-1137
蛍光性酸化亜鉛:ZnO、JCPDSカード 00-036-1451
【0073】
<内部量子効率>
各粉体(蛍光体)の内部量子効率をQE-2000(大塚電子社製)を用いて測定した。
励起波長は365nmとし、5nmステップにて測定を行った。より詳細には以下のようにして測定した。
各粉体(蛍光体)をそれぞれ専用ホルダーに仕込み、量子効率測定システム(QE-2000、大塚電子社製)に装着し、励起波長を365nmとして5nmステップにて発光スペクトルを得た。得られた試料の発光スペクトルから波長352~378nmの発光スペクトルの積分値(L)と、波長390~750nmの発光スペクトルの積分値(E)を求めた。次いで、硫酸バリウム粉体を専用ホルダーに仕込み、測定装置に装着し、励起波長を365nmとして5nmステップにて発光スペクトルを得た。得られた硫酸バリウムの発光スペクトルから波長352~378nmの発光スペクトルの積分値(R)を求めた。
求めたL、E及びRから下記の式を用いて内部量子効率を算出した。
内部量子効率=100×E/(R-L)
【0074】
合成例1(チタン酸マグネシウムマンガン蛍光体の合成)
塩基性炭酸マグネシウム(神島化学工業社製、GP-30N、Mgとして含有量26.1重量%)1396g、炭酸マンガン(中央電気社製、純度94.6%)3.65g、酸化チタン(堺化学工業社製、A-120、純度99.0%)603gを秤量し、イオン交換水中に入れてビーズミルを用いて十分に混合した。得られた混合スラリーを蒸発乾燥させて焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体粉末をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1250℃まで昇温し、そのまま10時間保持後、200℃/時で室温まで降温した。次いで、イオン交換水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に粉砕し、得られた粉砕スラリーを130℃にて12時間乾燥させた。得られた固形物を、大気雰囲気中で200℃/時で600℃まで昇温し、そのまま24時間保持後、200℃/時で室温まで降温することにより、チタン酸マグネシウムマンガン蛍光体を得た。この蛍光体の組成式は、MgTi0.9963.992であり、Mn量はマグネシウム1molに対して0.002molであった。この蛍光体のD50は1.2μmであり、内部量子効率は75%であった。
【0075】
合成例2(アルミン酸カルシウムマンガン蛍光体の合成)
炭酸カルシウム(堺化学工業社製、CWS-20、5.21g)、炭酸マンガン(中央電気社製、0.06g)、及び酸化アルミニウム(岩谷化学社製、RG-40、31.9g)を秤量し、イオン交換水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。混合スラリーを130℃にて蒸発乾燥させて得られた固形物を乳鉢で解砕して焼成前駆体粉末を得た。次いで、その焼成前駆体粉末をアルミナ製坩堝に15g充填して、大気雰囲気中で200℃/時で1300℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で室温まで降温することにより、アルミン酸カルシウムマンガン蛍光体を得た。この蛍光体の組成式は、Ca0.99Al11.9618.93であり、Mn量はアルミニウム1molに対して0.00083molであった。この蛍光体のD50は7.4μmであり、内部量子効率は51%であった。
【0076】
合成例3(リン酸カルシウムセリウム蛍光体の合成)
炭酸カルシウム20.35g(堺化学工業社製、CWS-20)、酸化セリウム0.17g(信越化学工業社製)、リン酸アンモニウム11.45g(米山化学工業社製)、を秤量し、イオン交換水中に入れて遊星ボールミルを用いて十分に混合した。ついで、その混合物をアルミナ製坩堝に充填して、大気雰囲気中で200℃/時で850℃まで昇温し、そのまま3時間保持後、200℃/時で降温した。得られた焼成粉を遊星ボールミルを用いて十分に混合粉砕した。粉砕スラリーを130℃の乾燥機で一晩乾燥させて乾燥粉を得た。ついでその乾燥粉をアルミナ製坩堝に充填して、水素3体積%の窒素雰囲気で200℃/時で1400℃まで昇温し、そのまま8時間保持後、200℃/時で降温した。その焼成粉を遊星ボールミルを用いて粉砕することにより、リン酸カルシウムセリウム蛍光体を得た。この蛍光体の組成式は、Ca4.089.08であり、Ce量はリン1molに対して0.01molであった。この蛍光体のD50は5.1μmであり、内部量子効率は49%であった。
【0077】
合成例4(蛍光性酸化亜鉛の合成)
酸化亜鉛(堺化学工業社製、微細酸化亜鉛)20g、硫化亜鉛(堺化学工業社製、RAK-T)0.0179g、炭酸水素ナトリウム(関東化学社製、特級)0.0105gを秤量し、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥することにより、蛍光性酸化亜鉛を得た。この蛍光体のD50は3.5μmであり、内部量子効率は35%であった。
【0078】
実施例1~10、比較例1~6(化粧料の作製)
合成例1~4で合成した蛍光体と他の成分とを表1に記載の割合で使用し、以下の製法で化粧料1~10及び比較化粧料1~6を作製した。
[製法]
実施例1~9、比較例1~6
使用する蛍光体及び他の成分のうち粉体のものをヘンシェルミキサーを用いて混合し、これに油分となる成分を加えてさらに混合した。得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、化粧料(固形ファンデーション)を得た。
実施例10
エチレン-酢酸ビニル系共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製、エバフレックス EV360、「EVA樹脂」とも称す)に蛍光体を添加し、樹脂混練機(東洋精機製、ラボプラストミル)に投入し、温度90℃、ローター回転数60rpmの条件下で20分間混練することで、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、プレス機(東洋精機製、Mini Test Press MP-WNH)を用い、温度:110℃、加圧条件:3MPa×5分、5MPa×3分、10MPa×2分(この順に)にてプレスした後、室温まで冷却することで、化粧料(メイクアップフィルム)を得た。得られたフィルムの膜厚は260μmであった。
なお、化粧料の作製に用いた材料は、すべて化粧品グレードのものである。
【0079】
実施例1~10、比較例1~6で得られた化粧料について、以下の方法により色度、365nmの励起光での発光スペクトルを測定し、400~530nmの範囲の半値幅、I/I及びI/Iを求め、また、化粧料の内部量子効率を測定した。また、得られた化粧料にハンディーUVランプ(アズワン社製、LUV-16)を用いて、365nmの紫外線を照射し、蛍光発光色を目視にて観察した。更に、以下の方法で透明感のある艶、化粧膜の均一性及び立体感強調効果を評価した。これらの結果を表1に示した。
また、実施例1、2で得られた化粧料1、2の発光スペクトル測定結果を図1に、実施例3、4で得られた化粧料3、4の発光スペクトル測定結果を図2に、実施例5、6で得られた化粧料5、6の発光スペクトル測定結果を図3に示した。更に、比較例2、3で得られた比較化粧料2、3の発光スペクトル測定結果を図4に、比較例4、5、6で得られた比較化粧料4、5、6の発光スペクトル測定結果を図5に示した。更に、実施例7~9で得られた化粧料7~9の発光スペクトル測定結果を図6に示した。更に、実施例10で得られた化粧料10の発光スペクトル測定結果を図7に示した。
さらに、実施例1~10、比較例1~6で得られた化粧料中のEu含有量を、上述した誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定したところ、全ての化粧料でEuは1ppm以下であった。
[色度(x、y)、発光スペクトル]
発光スペクトルは、日本分光社製FP-8600を用いて測定を行い、励起波長は365nmとした。蛍光積分球にはISF-834型を使用し、感度をMediumとした。また、発光色のCIE色度座標については、発光スペクトルを測定した結果を、CIE色度座標に当てはめたときの色により算出した。
[内部量子効率]
上記した蛍光体の内部量子効率と同じ方法で各粉体およびメイクアップフィルム(化粧料)の内部量子効率をQE-2000(大塚電子社製)を用いて測定した。
[透明感のある艶、化粧膜の均一性、立体感強調効果]
10人のパネラーによる官能評価を行った。評価は「3:非常に良好、2:良好、1:普通、0:劣る」の4段階とし、10人の平均により以下の基準に基づいて判定した。なお、化粧料(ファンデーション)は全顔に塗布し、化粧料(メイクアップフィルム)は顔のほほ部に貼付した。透明感のある艶および化粧膜の均一性、立体感強調効果については、晴れた日の明中の太陽光下において、塗布後の化粧膜を目視により官能評価した。特に、立体感強調効果については、観察の角度を変化させて評価した。各項目について、比較例1の化粧料と対比し、以下の評価基準により評価を行った。結果は10名の平均点を元に、以下に示す基準で評価した。
◎:パネラー10人の平均点が2超~3
○:パネラー10人の平均点が1超~2
×:パネラー10人の平均点が0~1
【0080】
【表1】
表1中、400~530nmの発光ピークの半値幅測定結果の※は、400~530nmに発光ピークが確認できないことを意味する。
【0081】
表1中、*1~*9を付した成分はそれぞれ以下のものである。
*1:Y-2300X(ヤマグチマイカ社製)
*2:FSE(三信鉱工社製)
*3:板状硫酸バリウム-H(堺化学工業社製)
*4:KSP-105(信越化学工業社製)
*5:R-3LD(堺化学工業社製)
*6:黄酸化鉄(ピノア社製)
*7:ベンガラ(ピノア社製)
*8:JPM-100(堺化学工業社製)
*9:KF-96-100cs(信越化学工業社製)
*10:エバフレックス EV360(三井・デュポンポリケミカル社製)
【0082】
実施例11、比較例7
[化粧料の塗布による分光反射率測定]
実施例1の化粧料について、塗布前後の皮膚の分光反射率を測定した。人の肌に近い感触と弾性を有するウレタンエラストマー(バイオスキン、ビューラックス社製)に対して、市販の下地用化粧料約30mgを直径約4cmの円となるように塗布した(試験例1)。
また、実施例1の化粧料約30mgを、試験例1の塗布部上に、直径約4cmの円となるように塗布した(試験例2)。試験例1を比較例7、試験例2を実施例11とし、それぞれの塗布部について、分光反射率をCMS-35SPX(村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。結果を図8に示した。
【0083】
実施例及び比較例より、以下のことを確認した。
表1に示すとおり、実施例1~10で得た化粧料の評価では、透明感のある艶と化粧膜の均一性に優れ、かつ晴れた日の明中の太陽光下では、立体感強調効果が極めて良好なものであった。なお、透明感のある艶や立体感強調効果に優れることは、蛍光体を含まない比較例1との比較からも明らかである。
また、実施例7で得た化粧料は、実施例1で得た化粧料に比べて著しく高い内部量子効率を有する結果となった。これは、実施例7で得た化粧料が、酸化チタンや酸化鉄を含有していないことから、蛍光体の励起に必要な紫外線や可視光線が阻害されず、かつ蛍光体からの発光が吸収されることがないためである。官能評価からも、実施例7で得た化粧料は実効感に極めて優れていることが分かった。
【0084】
一方、比較例2~6で得た化粧料は、波長365nmの励起光で励起した際に発する発光スペクトル(図4、5)が、400~530nmの範囲及び620~720nmの範囲のどちらか片方にしか蛍光発光ピークを持たない。これらの比較例2~6で得た化粧料は、実施例1~6で得た化粧料に比較して透明感のある艶と化粧膜の均一性、および立体感強調効果が著しく劣る結果となった。
【0085】
図8より、実施例1の化粧料を皮膚に塗布することにより、450~550nmの青~緑にかけての反射率が向上することにより、肌を明るく輝かせて見せることができる。また、600nmから高波長に向けての反射率が向上することにより、肌に透明感を与え、シミや毛穴等を目立たせずに美しい肌として見せることができる。このように、美しい肌の光の反射スペクトルに近似することで、肌を美しく若々しい肌に見せることができることが分かった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8