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特許7234513着色組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】着色組成物、カラーフィルタおよび液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20230301BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20230301BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20230301BHJP
   C09B 25/00 20060101ALI20230301BHJP
   C09B 47/04 20060101ALI20230301BHJP
   C09B 47/10 20060101ALI20230301BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230301BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
C09B67/20 G
C09B67/46 A
C09D17/00
C09B25/00 B
C09B25/00 Z
C09B47/04
C09B47/10
G02B5/20 101
G02F1/1335 500
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018112406
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019214672
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】李 騫
(72)【発明者】
【氏名】和久 寿男
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072709(JP,A)
【文献】特開2016-080966(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140519(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/141860(WO,A1)
【文献】特開2015-187741(JP,A)
【文献】特開2005-042006(JP,A)
【文献】特表2012-507595(JP,A)
【文献】特開2014-026228(JP,A)
【文献】特開2015-145952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/20
C09B 25/00
C09B 47/04
C09B 47/10
C09B 67/46
C09D 17/00
G02B 5/20
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤(A)、アルミニウムフタロシアニンを含む緑色顔料成分(B)、分散剤(D)を含む着色組成物であって、
前記溶剤(A)が、アルコール、および1以上の水酸基を有するアルキルアルコールエーテルからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶剤を含み、
前記溶剤(A)100質量%中に、前記アルコール系溶剤を0.01~1.99質量%含み、
前記分散剤(D)が酸性樹脂型分散剤を含む、着色組成物。
【請求項2】
さらに、キノフタロン顔料を含む、請求項1記載の着色組成物。
【請求項3】
前記溶剤(A)が、さらにアセテート系溶剤を含む、請求項1または2に記載の着色組成物。
【請求項4】
さらに、バインダ樹脂(E)、重合性化合物(F)、および光重合開始剤(G)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1~3いずれかに記載の着色組成物。
【請求項5】
基材、および請求項1~4いずれか1項に記載の着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5のカラーフィルタを備える、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ等の製造に使用する着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や固体撮像素子等で使用されるカラーフィルタは、顔料を分散した感光性着色組成物をフォトリソグラフ法で形成する方法が広く知られている。
カラーフィルタは、3原色(赤・緑・青)のフィルタセグメントを基本構成としているところ、緑色フィルタセグメントに使用する着色組成物は、緑色顔料として、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料(例えば、C.I.ピグメントグリーン36やC.I.ピグメントグリーン7)が使用されていたが、高いコントラスト比、および高い明度を得ることが難しかった。
【0003】
そこで、特許文献1では、緑色顔料にアルミニウムフタロシアニンを使用した着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-156652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のアルミニウムフタロシアニン着色組成物は、一定水準以上のコントラストおよび明度が得られていたが、より高い水準が求められていた。また、顔料をより微細に分散すると組成物の粘度が上昇し易く保存安定性に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、保存安定性が良好であり、高いコントラスト比、および高い明度を両立するカラーフィルタを形成できる着色組成物、カラーフィルタ、および液晶表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の着色組成物は、溶剤(A)、アルミニウムフタロシアニンを含む緑色顔料成分(B)、分散剤(D)を含む着色組成物であって、
前記溶剤(A)が、アルコール、および1以上の水酸基を有するアルキルアルコールエーテルからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶剤を含み、
前記溶剤(A)100質量%中に、前記アルコール系溶剤を0.01~50質量%含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の本発明により、保存安定性が良好であり、高いコントラスト比、および高い明度を両立するカラーフィルタを形成できる着色組成物、カラーフィルタ、および液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、液晶表示装置の模式的断面図である。
図2図2は、コントラスト比の測定装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書の着色組成物は、溶剤(A)、アルミニウムフタロシアニンを含む緑色顔料成分(B)、分散剤(D)を含む着色組成物であって、
前記溶剤(A)が、アルコール、および1以上の水酸基を有するアルキルアルコールエーテルからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶剤を含み、
前記溶剤(A)100質量%中に、前記アルコール系溶剤を0.01~50質量%含む。なお、本明細書で、緑色顔料成分(B)および黄色顔料成分(C)を含む着色成分を総称して着色剤という。
【0011】
着色組成物は、塗工により被膜を形成し、例えば、フォトリソグラフ法によってカラーフィルタセグメントを形成することが好ましい。本明細書の着色組成物は、溶剤(A)としてアルコールおよびアルキルアルコールエーテルを適量含むことで、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンを含む着色剤全体の相溶性が向上する。これにより、着色組成物の保存安定性が向上し、着色組成物のセルフライフが伸びることに加え、カラーフィルタに凝集物等の異物が生じにくい。さらに、着色剤をより微細に分散できるため高いコントラスト比、および高い明度を両立するカラーフィルタが得られる。このカラーフィルタは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置に加え、固体撮像素子等のセンサー用途等に使用することができる。
【0012】
<溶剤(A)>
本明細書で溶剤(A)は、着色組成物の粘度調整等に加え、顔料の分散性を補助する。本明細書の着色組成物は、溶剤(A)は、アルコール、および1以上の水酸基を有するアルキルアルコールエーテルからなる群より選択される1種以上のアルコール系溶剤含む。
【0013】
アルコール系溶剤は、アルコール、および1以上の水酸基を有するアルキルアルコールエーテル(以下、アルキルアルコールエーテルともいう)である。
アルコールは、例えば、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族アルコール:ベンジルアルコール等の芳香族アルコール等が挙げられる。
アルキルアルコールエーテルは、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノn-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテルが挙げられる。これらの中では、アルキルアルコールエーテルが好ましく、特にグリコールモノエーテルが好ましい。
【0014】
アルコール系溶剤の含有量は、溶剤(A)100質量%中、0.01~50質量%であり、0.01~35質量%が好ましく、0.01~20質量%がより好ましい。アルコール系溶剤を適量含むと、分散剤(D)との相乗効果により分散性がより向上し、良好な相溶性が得られる。
【0015】
本明細書で溶剤(A)は、さらにアセテート系溶剤を含むことが好ましい。アセテート系溶剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
【0016】
アセテート系溶剤の含有量は、溶剤(A)100質量%中に、75~99.99質量%が好ましく、80~99.99質量%がより好ましい。
【0017】
溶剤(A)は、アルコール系溶剤、およびアセテート系溶剤とともにその他溶剤を含むことができる。
溶剤(A)は、例えば、1,2,3-トリクロロプロパン、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4-ジオキサン、2-ヘプタノン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3-メトキシブチルアセテート、4-ヘプタノン、m-キシレン、m-ジエチルベンゼン、m-ジクロロベンゼン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブチルアルコール、n-ブチルベンゼン、n-プロピルアセテート、N-メチルピロリドン、o-キシレン、o-クロロトルエン、o-ジエチルベンゼン、o-ジクロロベンゼン、p-クロロトルエン、p-ジエチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、又は二塩基酸エステル等が挙げられる。
【0018】
溶剤(A)の含有量は、着色組成物100質量%中に、50.0~95質量%が好ましく、70~90質量%がより好ましい。溶剤(A)を適量含むと着色剤の分散安定性と、着色組成物の塗工性を高い水準で両立しやすい。
【0019】
<緑色顔料成分(B)>
緑色顔料成分(B)は、アルミニウムフタロシアニンを必須とする。アルミニウムフタロシアニンは、下記一般式(1)で示す化合物である。
【0020】
一般式(1)
【化1】
【0021】
[一般式(1)中、Xは、水素原子またはハロゲン原子を表し、nは、0~16の整数を表す。但し、Xで表されるハロゲン原子の置換数の平均値が1~15であり、ハロゲン分布幅が2以上である。
Yは、-OP(=O)R、-OC(=O)R、又は-OS(=O)を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基、又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。
は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表す。
は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよい複素環基を表す。
【0022】
一般式(1)中、「ハロゲン」は、例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。これらの中でも、臭素、塩素が好ましい。また、使用するハロゲン原子の種類は、上記の置換数の平均値及び分布幅の範囲内であれば2種以上併用してもよい。
【0023】
一般式(1)中、Xで表されるハロゲン原子の置換数の平均値は1~15であり、色相、堅牢性の観点から好ましくは2~12であり、より好ましくは1~6未満であり、特に好ましくは1~4である。またハロゲン分布幅は、2以上であり、4以上10以下が好ましい。ハロゲン分布幅が4以上10以下であると、フタロシアニン分子同士の会合が著しく抑制されやすくなり、分子同士の会合に起因する粒径の増大及びコントラストの低下の抑制に大きく寄与し、透過率が向上する。
【0024】
ここで「ハロゲン分布幅」とは、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンに置換しているハロゲン数の分布である。ハロゲン分布幅は質量分析して得られたマススペクトラムにおいて、各成分に相当する分子イオンピークの信号強度(各ピーク値)と、各ピーク値を積算した値(全ピーク値)とを算出し、全ピーク値に対する各ピーク値の割合が1%以上のピークの数をカウントし、ハロゲン分布幅とした。
【0025】
一般式(1)中、R及びRにおけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。
置換基を有するアルキル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、べンジル基、4-メチルべンジル基、4-tert-ブチルべンジル基、4-メトキシべンジル基、4-ニトロべンジル基、2,4-ジクロロべンジル基等が挙げられる。
【0026】
一般式(1)中、R及びRにおけるアリール基としては、フェニル基、p-トリル基等の単環芳香族炭化水素基や、ナフチル基、アンスリル基等の縮合芳香族炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、単環芳香族炭化水素基が好ましい。また、炭素数6~12のアリール基がより好ましい。
置換基を有するアリール基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアリール基としては、例えば、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-ジメチルアミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基等が挙げられる。
【0027】
一般式(1)中、R及びRにおけるアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペンチルオキシ基、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1~6のアルコキシル基が好ましい。
置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中、R及びRにおけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-メチルフェノキシ基等の単環芳香族炭化水素基からなるアリールオキシ基や、ナフタルオキシ基、アンスリルオキシ基等の縮合芳香族炭化水素基からなるアリールオキシ基が挙げられる。これらの中でも、単環芳香族炭化水素基からなるアリールオキシ基が好ましい。また、炭素数6~12のアリールオキシ基がより好ましい。
置換基を有するアリールオキシ基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアリールオキシ基としては、例えば、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)中、Rにおけるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、4-tert-プチルシクロヘキシル基等の単環脂肪族炭化水素基や、ボルニル基やアダマンチル基等の縮合脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、炭素数5~12のシクロアルキル基が好ましい。
置換基を有するシクロアルキル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、2,5-ジクロロシクロペンチル基、4-ヒドロキシシクロヘキシル基等がある。
一般式(1)中、Rにおける複素環基としては、ピリジル基、ピラジル基、ピペリジノ基、ピラニル基、モルホリノ基、アクリジニル基等の脂肪族複素環基や芳香族複素環基が挙げられる。また、炭素数4~12の複素環基が好ましく、環員数5~13の複素環基が好ましい。
置換基を有する複素環基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有する複素環基としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)中、Rにおけるアルキル基、アリール基、複素環基としては、一般式(1)のR及びRにおけるアルキル基、アリール基、及び一般式(1)のRにおける複素環基と同義である。
【0031】
一般式(1)で示す化合物は、分散性や色特性の観点から、R及びRのうちの少なくとも1つが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基であることが好ましく、R及びRがいずれもアリール基、又はアリールオキシ基であることがより好ましく、R及びRがいずれもフェニル基又はフェノキシ基であることがさらに好ましい。また、R及びRが、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよい複素環基であることが好ましい。
【0032】
本明細書における一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を[AlPc(Y)]Xn(4≦n≦16)(ただし、Pcはフタロシアニン環を、Xはハロゲン原子を、nは4~16の整数を、それぞれ表す)で示した場合、一般式(1)の代表的な例は、[AlPc(Y)]Brn(4≦n≦16)、[AlPc(Y)]Cln(4≦n≦16)、[AlPc(Y)]In(4≦n≦16)、[AlPc(Y)]Fn(4≦n≦16)等が挙げられる。また例示化合物の環化異性体も本明細書の好ましい例として含まれる。
【0033】
一般式(1)におけるYの代表的な例として、下記に示す構造が挙げられるが(*は、一般式(1)中のAlとの置換基の結合位置を表す)、本明細書は、これらに限定されるものではない。また例示化合物の環化異性体も本明細書の好ましい例として含まれる。
【0034】
【化2】
【0035】
緑色顔料成分(B)は、課題が解決できる範囲であれば、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンに加え、例えば、臭素化銅フタロシアニン、臭素化亜鉛フタロシアニン、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58等を併用することができる。
【0036】
<黄色顔料成分(C)>
本明細書で黄色顔料成分(C)は、キノフタロン(以下、キノフタロン化合物ということがある)を含むことが好ましい。キノフタロンは、一般式(2)で示す化合物である。
【0037】
一般式(2)
【化3】
【0038】
[一般式(2)中、X1~X13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、-SOH基、-COOH基、-SOH基もしくは-COOH基の金属塩、-SOH基もしくは-COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。X1~X4、および/または、X10~X13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。
【0039】
ハロゲン原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0040】
置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、プチル基、イソプチル基、tert-プチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、n-オクチル基、ステアリル基、2-エチルへキシル基等の直鎖又は分岐アルキル基;トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、ペンジル基、4-メチルペンジル基、4-tert-プチルベンジル基、4-メトキシペンジル基、4-ニトロベンジル基、2,4-ジクロロベンジル基等の置換基を有するアルキル基が挙げられる。
【0041】
置換基を有してもよいアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソプチルオキシ基、tert-プチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2,3-ジメチル-3-ペントキシ、n-へキシルオキシ基、n-オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、2-エチルへキシルオキシ基等の直鎖又は分岐アルコキシル基;トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルオキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等の置換基を有するアルコキシル基が挙げられる。
【0042】
置換基を有してもよいアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基等のアリール基の他、p-メチルフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-アミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-ヒドロキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基、2-アミノアントラキノニル基等の置換基を有するアリール基が挙げられる。
【0043】
酸性基は、-SO3H、-COOHが挙げられる。これらの中でも、これら酸性基の1価~3価の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、アルミニウム塩等が挙げられる。また、酸性基のアルキルアンモニウム塩としては、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン等の長鎖モノアルキルアミンのアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム、ジラウリルジメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム塩等の4級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0044】
置換基を有してもよいフタルイミドメチル基(C(CO)N-CH-)、および置換基を有してもよいスルファモイル基(HNSO-)における「置換基」としては、上記のハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有してもよいアリール基等が挙げられる。
【0045】
一般式(2)のX1~X4、および/または、X10~X13の隣接した基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。ここでいう芳香環とは、炭化水素芳香環および複素芳香環が挙げられる。これらの中でも、炭化水素芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等が、また、複素芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピロール環、キノリン環、キノキサリン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、インドール環、カルバゾール環などが挙げられる。
【0046】
一般式(2)で示す化合物は、下記一般式(2A)~(2C)のいずれかであることが好ましい。
【0047】
一般式(2A)
【化4】

【0048】
一般式(2B)
【化5】
【0049】
一般式(2C)
【化6】

【0050】
[一般式(2A)~(2C)中、X14~X28、X29~X43、X44~X60は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基、置換基を有しても良いアリール基、-SOH基、-COOH基、-SOHH基もしくは-COOH基の金属塩、-SOH基もしくは-COOH基のアルキルアンモニウム塩、置換基を有しても良いフタルイミドメチル基、または置換基を有しても良いスルファモイル基を示す。
【0051】
さらに、一般式(2A)~(2C)のX14~X28、X29~X43、X44~X60が、水素原子またはハロゲン原子あることがより好ましい。
【0052】
一般式(2)で示す化合物の具体例として、下記に示すキノフタロン化合物(a)~(p)等が挙げられる。
【0053】
【化7】
【0054】
【化8】

【0055】
【化9】
【0056】
黄色顔料成分(C)は、キノフタロン以外にその他黄色顔料を併用できる。
キノフタロン顔料およびその他黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等が挙げられる。これらの中でもC.I.ピグメントイエロー 139、150を併用すると色度領域を拡大できる。
【0057】
緑色顔料成分(B)と黄色顔料成分(C)との質量比は、(B)/(C)=40/60~90/10が好ましい。前記範囲を満たすと明度、および色再現性がより向上する。
【0058】
本明細書の着色剤は、必要に応じて、緑色顔料成分(B)および黄色顔料成分(C)以外の着色剤を併用できる。
【0059】
本明細書で着色剤の含有量は、着色組成物中の不揮発分100質量%中、20~60質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましく、35~45質量%がさらに好ましい。着色剤を35~45質量%含むことでカラーフィルタの色再現性がより向上し、薄膜化が容易になる。
【0060】
<顔料の微細化>
着色組成物に使用する顔料は、微細化して使用することが好ましい。微細化は、例えば、ソルトミリング処理等が挙げられる。
【0061】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する方法である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の1次粒子径が異なる。
【0062】
加熱により結晶成長を促進するには、加熱温度が40~150℃であることが好ましい。加熱温度が40℃未満の場合は、結晶成長が十分に起こらず、顔料粒子の形状が無定形に近くなるため好ましくない。一方、加熱温度が150℃を越える場合は、結晶成長が進みすぎ、顔料の1次粒子径が大きくなる恐れがある。又、ソルトミリング処理の混練時間は、ソルトミリング処理顔料の一次粒子の粒度分布とソルトミリング処理に要する費用のバランスの点から2~24時間であることが好ましい。
【0063】
顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、1次粒子径が非常に微細であり、また分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ、顔料を得ることができる。
【0064】
顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる1次粒子径は、20~100nmの範囲であることが好ましい。20nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になってしまう。又、100nmよりも大きくなると、十分なコントラスト比を得ることができなくなってしまう。特に好ましい範囲は25~85nmの範囲である。
【0065】
ソルトミリング処理に用いる水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも価格の点から塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。
【0066】
水溶性無機塩に使用量は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対して、50~2000質量部が好ましく、300~1000質量部がより好ましい。
【0067】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。但し、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は、例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、又は液状のポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0068】
水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対して、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0069】
ソルトミリング処理は、必要に応じて樹脂を添加してもよい。樹脂の種類は、例えば、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が挙げられる。樹脂は、室温(25℃)で固体、かつ水不溶性であることが好ましい。さらに上記有機溶剤に一部可溶であることが好ましい。
【0070】
樹脂の使用量は、顔料100質量部に対して、5~200質量部が好ましい。
【0071】
<分散剤(D)>
着色組成物は、着色剤を分散するために分散剤(D)を含む。分散剤(D)は、例えば、樹脂型分散剤、色素誘導体等が挙げられる。分散剤(D)を含むことで粘度の経時安定性が向上し、カラーフィルタの明度がより向上する。
【0072】
分散剤(D)の含有量は、着色剤100質量部に対して、0.5~200質量部が好ましい。
【0073】
[樹脂型分散剤]
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位、および着色剤以外の材料と相溶性良好な部位を有する高分子分散剤である。樹脂型分散剤は、塩基性樹脂型分散剤、酸性樹脂型分散剤、その他樹脂型分散剤に分類できる。なお、樹脂型分散剤は、塩基性樹脂型分散剤が好ましい。
【0074】
(塩基性樹脂型分散剤)
塩基性樹脂型分散剤は、塩基性基を有し、例えば、窒素原子含有グラフト共重合体、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤が挙げられる。
【0075】
塩基性樹脂型分散剤の市販品は、例えば、ビックケミ-・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等、日本ル-ブリゾ-ル社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ-PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0076】
(酸性樹脂型分散剤)
酸性樹脂型分散剤は、カルボキシル基を有する樹脂型分散剤であり、例えば、下記酸性樹脂型分散剤(S1)、酸性樹脂型分散剤(S2)が挙げられる。
酸性樹脂型分散剤(S1)は、水酸基を有する重合体の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤。
酸性樹脂型分散剤(S2)は、水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤。
【0077】
<酸性樹脂型分散剤(S1)>
樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報等に記載された方法で合成できる。水酸基を有する重合体(p)は、末端に水酸基を有する重合体であることが好ましい。例えば、水酸基を有する化合物(q)の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体が挙げられる。水酸基を有する化合物(q)は、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物が好ましい。末端の水酸基は複数有することが好ましいため、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)が好ましい。
【0078】
酸性樹脂型分散剤(S1)の合成法の1例を説明すると、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体を重合して片末端に2つの水酸基を有する重合体(p1)を合成する。水酸基を有する重合体(p)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボキシル基が生成する。
【0079】
<酸性樹脂型分散剤(S2)>
樹脂型分散剤(S2)は、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等に記載された方法で合成できる。例えば、水酸基を有する化合物(q)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合することで合成できる。特に、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(q1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、単量体(r1)を含むエチレン性不飽和単量体を重合した重合体が好ましい。
【0080】
酸性樹脂型分散剤(S1)と酸性樹脂型分散剤(S2)は、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができる。
【0081】
その他樹脂型分散剤の中で酸性官能基を有する分散剤は、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステル(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。
【0082】
樹脂型分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、5~200質量部程度が好ましく、10~100質量部程度がより好ましい。樹脂型分散剤を適量使用すると分散安定性がより向上する。
【0083】
[色素誘導体]
色素誘導体は、例えば、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられる。色素誘導体は、顔料と親和性が高く、顔料に吸着して、分散剤(D)の分散効果を補助する。色素誘導体は、例えば、特開昭63-305173号公報、特公昭57-15620号公報、特公昭59-40172号公報、特公昭63-17102号公報、特公平5-9469号公報、特開2001-335717号公報、特開2003-128669号公報、特開2004-091497号公報、特開2007-156395号公報、特開2008-094873号公報、特開2008-094986号公報、特開2008-095007号公報、特開2008-195916号公報、特許第4585781号公報等に記載された化合物を使用できる。
【0084】
色素誘導体の含有量は、分散性向上の観点から、着色剤100質量部に対し、0.5~40質量部が好ましく、1~35質量部がより好ましく、3~35質量部がさらに好ましい。適量使用すると耐熱性、耐光性がより向上する。
【0085】
着色組成物は、さらに、バインダ樹脂(E)、重合性化合物(F)、および光重合開始剤(G)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
【0086】
<バインダ樹脂(E)>
着色組成物は、バインダ樹脂(E)を含むことができる。
バインダ樹脂(E)は、被膜形成に作用するポリマーである。着色組成物をアルカリ現像型着色レジスト材として使用する場合、酸性基を有するアルカリ可溶性ビニル系樹脂が好ましい。また、アルカリ現像型着色レジスト材の光感度を向上させるために、エチレン性不飽和基を有することも好ましい。なお、酸性基は、カルボキシル基、スルホン基等である。
【0087】
アルカリ現像型着色レジスト材は、エチレン性不飽和基を有するバインダ樹脂(E)を含むと、光照射時の架橋でバインダ樹脂(E)が3次元架橋するため被膜中で着色剤が流動し難く、耐熱性がより向上する。また、着色剤の熱による退色(分光特性の悪化)も抑制できる。また、現像工程で着色剤が凝集、または析出し難い。
【0088】
バインダ樹脂(E)は、可視光領域の透過性が良好であることが好ましい。可視光領域の透過性は、400~700nmの全波長領域において分光透過率80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0089】
バインダ樹脂(E)の重量平均分子量(Mw)は、10,000~100,000が好ましく、10,000~80,000がより好ましい。適度なMwを有すると着色剤の分散性がより向上する。また数平均分子量(Mn)は、5,000~50,000が好ましい。分子量分散度(Mw/Mn)は、10以下が好ましい。
【0090】
バインダ樹脂(E)は、酸価20~300mgKOH/gが好ましい。適度な酸価を有すると現像液に対する溶解性が向上し、微細なパターンを形成し易い。
【0091】
バインダ樹脂(E)の含有量は、着色剤の100質量部に対し、20~1000質量部が好ましい。適量使用すると良好な被膜を形成し易く、良好な色特性も得やすい。
【0092】
バインダ樹脂(E)は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの中でもアクリル樹脂が好ましい。
【0093】
酸性基を有するアルカリ可溶性ビニル系樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましく、耐熱性、透明性の面で酸性基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
【0094】
バインダ樹脂(E)に対するエチレン性不飽和基の導入方法は、例えば、以下の方法(i)、(ii)、(iii)が挙げられる。
【0095】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、エポキシ基を有する単量体と、その他単量体とを共重合して共重合体を合成する。前記共重合体のエポキシ基に、カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基を付加反応させる。なお、前記付加反応で生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させて、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを導入することもできる。また、他の方法として、例えば、カルボキシル基含有単量体と、他単量体とを共重合して共重合体を合成する。前記共重合体のカルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する単量体を付加反応させて、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを導入することもできる。
【0096】
エポキシ基を有する単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0097】
カルボキシル基含有単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられる。
【0098】
多塩基酸無水物は、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられる。なお、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物等を使用して、残った無水物基を加水分解すること等もできる。
【0099】
[方法(ii)]
方法(ii)は、例えば、水酸基を有する単量体と、カルボキシル基含有単量体、他の単量体とを共重合して共重合体を合成する。前記共重合体の水酸基に、イソシアネート基を有する単量体のイソシアネート基を反応させる。
【0100】
水酸基を有する単量体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、水酸基を有する単量体は、アルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシド等)を有しても良い。また、また、水酸基を有する単量体は、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0101】
イソシアネート基を有する単量体は、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0102】
[方法(iii)]
方法(iii)は、例えば、環状エーテル含有単量体と他の単量体とを共重合することでエチレン性不飽和基を導入できる。
環状エーテル含有単量体は、例えば、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格、またはラクトン骨格を含有する不飽和化合物である。
テトラヒドロフラン骨格は、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-メタクリロイルオキシ-プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン-3-イルエステル等が挙げられる。
フラン骨格は、例えば、2-メチル-5-(3-フリル)-1-ペンテン-3-オン、フルフリル(メタ)アクリレート、1-フラン-2-ブチル-3-エン-2-オン、1-フラン-2-ブチル-3-メトキシ-3-エン-2-オン、6-(2-フリル)-2-メチル-1-ヘキセン-3-オン、6-フラン-2-イル-ヘキシ-1-エン-3-オン、アクリル酸2-フラン-2-イル-1-メチル-エチルエステル、6-(2-フリル)-6-メチル-1-ヘプテン-3-オン等が挙げられる。
テトラヒドロピラン骨格は、例えば、(テトラヒドロピラン-2-イル)メチルメタクリレート、2,6-ジメチル-8-(テトラヒドロピラン-2-イルオキシ)-オクト-1-エン-3-オン、2-メタクリル酸テトラヒドロピラン-2-イルエステル、1-(テトラヒドロピラン-2-オキシ)-ブチル-3-エン-2-オンが挙げられる。
ピラン骨格は、例えば、4-(1,4-ジオキサ-5-オキソ-6-ヘプテニル)-6-メチル-2-ピロン、4-(1,5-ジオキサ-6-オキソ-7-オクテニル)-6-メチル-2-ピロン等が挙げられる。
ラクトン骨格は、例えば、2-プロペン酸2-メチル-テトラヒドロ-2-オキソ-3-フラニルエステル、2-プロペン酸2-メチル-7-オキソ-6-オクサビシクロ[3.2.1]オクト-2-イルエステル、2-プロペン酸2-メチル-ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-7-イルエステル、2-プロペン酸2-メチル-テトラヒドロ-2-オキソ-2H-ピラン-3-イルエステル、2-プロペン酸(テトラヒドロ-5-オキソ-2-フラニル)メチルエステル、2-プロペン酸ヘキサヒドロ-2-オキソ-2,6-メタノフロ[3,2-b]-6-イルエステル、2-プロペン酸2-メチル-2-(テトラヒドロ-5-オキソ-3-フラニル)エチルエステル、2-プロペン酸2-メチル-デカヒドロ-8-オキソ-5,9-メタノ-2H-フロ[3,4-g]-1-ベンゾピラン-2-イルエステル、2-プロペン酸2-メチル-2-[(ヘキサヒドロ-2-オキソ-3,5-メタノ-2H-シクロペンタ[b]フラン-6-イル)オキシ]エチルエステル、2-プロペン酸3-オキソ-3-[(テトラヒドロ-2-オキソ-3-フラニル)オキシ]プロピルエステル、2-プロペン酸2-メチル-2-オキシ-1-オクサスピロ[4.5]デク-8-イルエステルなどが挙げられる。これらの中でもテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートは、着色、顔料分散性、入手性の点から好ましい。
【0103】
バインダ樹脂(E)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0104】
<重合性化合物(F)>
着色組成物は、重合性化合物(F)を含むことができる。重合性化合物(F)は、紫外線や熱などにより硬化して樹脂を生成するモノマーまたはオリゴマーでる。
【0105】
重合性化合物(F)は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0106】
重合性化合物(F)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0107】
重合性化合物(F)の含有量は、着色剤の全量100質量部に対して、5~400質量部が好ましく、10~300質量部がより好ましい。適量を使用すると光硬化性および現像性がより向上する。
【0108】
<光重合開始剤(G)>
着色組成物は、光重合開始剤(G)を含むことができる。光重合開始剤(G)は、重合性化合物(F)の光硬化を促進する。着色組成物をフォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の態様で使用することが好ましい。
【0109】
光重合開始剤(G)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、または2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、または2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、または2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、またはO-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4’-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0110】
光重合開始剤(G)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0111】
光重合開始剤(G)の含有量は、着色剤の全量100質量部に対して、5~200質量部が好ましく、10~150質量部がより好ましい。適量使用すると光硬化性、現像性がより向上する。
【0112】
<レベリング剤>
着色組成物は、レベリング剤を含有できる。これにより塗布性、被膜の表面平滑性がより向上する。レべリング剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0113】
シリコーン系界面活性剤は、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、例えばビックケミー社製BYK-300、BYK-306、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-345/346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-370、BYK-377、BYK-378、BYK-3455、BYK-UV3510、BYK-3570、東レ・ダウコーニング株式会社製、FZ-7001、FZ-7002、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2123],FZ-2191、FZ-5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004等が挙げられる。
【0114】
フッ素系界面活性剤は、フルオロカーボン鎖を有する化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、例えば、AGCセイミケミカル社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、ネオス社製フタージェント602A等が挙げられる。
【0115】
ノニオン系界面活性剤は、例えば、花王社製エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン350、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S-70、エマルゲン1135S-70、エマルゲン1150S-60、エマルゲン2020G-HA、エマルゲン2025G、エマルゲンLS-106、エマルゲンLS-110、エマルゲンLS-114、エマルゲンMS-110、エマルゲンA-60、エマルゲンA-90、エマルゲンB-66、エマルゲンPP-290、ラテムルPD-420、ラテムルPD-430、ラテムルPD-430S、ラテムルPD450、レオドールSP-L10、レオドールSP-P10、レオドールSP-S10V、レオドールSP-S20、レオドールSP-S30V、レオドールSP-O10V、レオドールSP-O30V、レオドールスーパーSP-L1、レオドールAS-10V、レオドールAO-10V、レオドールAO-15V、レオドールTW-L120、レオドールTW-L106、レオドールTW-P120、レオドールTW-S120V、レオドールTW-L106V、レオドールTW-S320V、レオドールTW-O120V、レオドールTW-O106V、レオドールTW-IS399C、レオドールスーパーTW-L120、レオドール430V、レオドール440V、レオドール460V、レオドールMS-50、レオドールMS-60、レオドールMO-60、レオドールMS-165V、エマノーン1112、エマノーン3199V、エマノーン3299V、エマノーン3299RV、エマノーン4110、エマノーンCH-25、エマノーンCH-40、エマノーンCH-60(K)、アミート102、アミート105、アミート105A、アミート302、アミート320、アミノーンPK-02S、アミノーンL-02、ホモゲノールL-95、ADEKA社製アデカプルロニックL-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、アデカプルロニックTR-701、702、704、913R等が挙げられる。
【0116】
カチオン系界面活性剤は、アルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。市販品は、花王社製アセタミン24、26、コータミン24P、86Pコンク、信越化学工業社製KP341、共栄社化学社製(メタ)アクリル酸系重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0117】
アニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。市販品は、ネオス社製フタージェント100、150、ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0118】
界面活性剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0119】
界面活性剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2質量%が好ましく、0.005~1質量%がより好ましい。適量使用すると、塗布性、密着性および光透過率がバランスよく向上する。
【0120】
<その他成分>
着色組成物は、その他添加剤を含有できる。その他添加剤は、例えば、増感剤、多官能チオール、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤が挙げられる。
(増感剤)
着色組成物は、光重合開始剤(G)と共に増感剤を使用できる。
増感剤は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0121】
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0122】
増感剤の含有量は、光重合開始剤(G)の全量100質量部に対して、3~60重量%が好ましく、5~50重量%がより好ましい。適量使用すると光硬化性、現像性がより向上する。
【0123】
(多官能チオール)
多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。なお、多官能チオールは、チオール基を4個以上有することがより好ましい。
多官能チオールは、光重合開始剤(G)と併用し、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として機能する。これにより酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる着色組成物の光感度が向上する。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
【0124】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンが挙げられる。
【0125】
多官能チオールは、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0126】
多官能チオールの含有量は、着色剤100質量部に対して0.05~100質量部が好ましく、1.0~50質量部がより好ましい。多官能チオールを適量使用すると現像性がより向上するため、非硬化部分の残渣を抑制できる。
【0127】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、重合性化合物(F)や光重合開始剤(G)を使用する場合、加熱処理による被膜の黄変を抑制し易く、光透過率が良好な被膜が形成できる。
【0128】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、及びトリアジン系の化合物が挙げられる。これらの中でも、被膜の光透過率および光感度の面でヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましく、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤がより好ましい。
【0129】
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0130】
酸化防止剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5質量%が好ましい。適量使用すると、光感度および被膜の明度がより向上する。
【0131】
着色組成物は、紫外線吸収剤、重合禁止剤を含有できる。紫外線吸収剤や重合禁止剤を含有することで現像後のパターンの形状と解像性を制御しやすい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、例えば、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(ドデシル及びトリデシル)オキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p-tert-ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(トリアセトン-アミン-N-オキシル)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-セバケート、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラブチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)イミノ]等のヒンダード
アミン系等が挙げられる。
【0132】
紫外線吸収剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0133】
(重合禁止剤)
重合禁止剤は、例えばメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4-ベンゾキノン、4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、t-ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体及びフェノール化合物、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅及びマンガン塩化合物、4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物及びそのアンモニウム塩又はアルミニウム塩等が挙げられる。
【0134】
重合禁止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0135】
紫外線吸収剤及び重合禁止剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、それぞれ0.01~20質量部、0.05~10質量部がより好ましい。
紫外線吸収剤又は重合禁止剤を0.01質量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
【0136】
着色組成物は、溶剤(A)、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニンを含む緑色顔料成分(B)、キノフタロン顔料を含む黄色顔料成分(C)、分散剤(D)を含む混合物を、撹拌、混合することで作製する。作製後、ろ過を行い粗大粒子を除去することが好ましい。なお、顔料は、既に説明した通り、予め微細化処理を行った上で配合することが好ましい。
【0137】
<カラーフィルタ>
本明細書のカラーフィルタは、基材、および着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備えることが好ましい。
カラーフィルタは、着色組成物を使用して印刷法またはフォトリソグラフィー法で製造することが好ましい。
【0138】
基材は、例えば、ガラス、プラスチックフィルム、シリコン等の透明な素材が好ましい。基材の厚みは、10μm~3mm程度である。
【0139】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、着色組成物を印刷および乾燥を繰り返しによりパターン化ができるため、低コストで量産性が優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0140】
フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメントの形成は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコート、スピンコート、スリットコート、またはロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0141】
現像には、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用される。また、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを使用できる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、着色組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0142】
本明細書でカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0143】
本明細書のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを備える。緑色フィルタセグメントは、本明細書の着色組成物を用いて形成できる。
【0144】
赤色フィルタセグメントは、公知の赤色着色組成物を用いて形成できる。赤色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド 7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、168、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料が挙げられる。
【0145】
赤色着色組成物には、C.I.ピグメントオレンジ 43、71、73等の橙色顔料および/またはC.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用できる。
【0146】
青色フィルタセグメントは、公知の青色着色組成物を用いて形成できる。青色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料が挙げられる。
【0147】
青色着色組成物には、C.I.ピグメントバイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用できる。
【0148】
<液晶表示装置>
本明細書の液晶表示装置は、カラーフィルタを備える。液晶表示装置は、さらに光源を備えることが好ましい。光源は、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられる。これらの中でも本明細書では、赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDが好ましい。図1を使用して液晶表示装置の実施態様の1例を説明する。なお、図1の1上側を上、下側を下という。液晶表示装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および透明基板21を備える。これらの間には、液晶LCが封入されている。
【0149】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。透明基板11の上側には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されている。その上には透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上側には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の下側には、偏光板15が形成されている。透明電極層13は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)を蒸着して形成できる。
【0150】
透明基板21の下側には、カラーフィルタ22を形成する。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離する。
【0151】
カラーフィルタ22の上側には透明基板21を設置する。また、カラーフィルタ22の下側に透明電極層23を形成し、さらにその下側に配向層24を設置する。
【0152】
また、透明基板21の上側には、偏光板25を設置する。また、偏光板15の下側にはバックライトユニット30が設けられている。
バックライトユニット30は、白色LED光源31を使用することが好ましい。
【0153】
白色LED光源は、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがある。例えば、発光が波長430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)が好ましい。また、発光が波長430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)も好ましい。
【0154】
LED1は市販品でいうと、例えば、NSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0155】
LED2は市販品でいうと、例えば、NSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる
【実施例
【0156】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「質量部」を意味する。表中の配合量は、質量部である。
また、実施例での略号等は以下に記載する通りである。
【0157】
<溶剤>
分散剤(D)、バインダ樹脂(E),および着色組成物に添加して含有させる溶剤は以下の通り。
(A-1)アルコール系溶剤
A-1-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
A-1-2:3-メトキシブタノール(3-MB)
A-1-3:エチレングリコールモノブチルエーテル(BG)
(A-2)アセテート系溶剤
A-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)
(A-3):その他溶剤
A-3:シクロヘキサノン
【0158】
<分散剤(D)の調製>
(塩基性樹脂型分散剤(D-1)溶液)
市販の塩基性樹脂型分散剤(DISPERBYK-2001:不揮発分46%、PGMAC/BG/PGME=2/2/1)液を使用した。
【0159】
(酸性樹脂型分散剤(D-2)溶液)
ガス導入管、温度、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸10部、メチルメタクリレート100部、i-ブチルメタクリレート70部、ベンジルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール12部を添加した。90℃に昇温し、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。不揮発分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸無水物19部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部、シクロヘキサノン50部、触媒として1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、不揮発分測定で不揮発分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価70mgKOH/g、重量平均分子量8500の樹脂型分散剤(D-2)を得た。
【0160】
(酸性樹脂型分散剤(D-3)溶液)
溶剤を全てシクロヘキサノンとした以外は全て樹脂型分散剤(D-2)同様に酸性樹脂型分散剤(D-3)溶液を得た。
【0161】
<バインダ樹脂(E)の製造>
(バインダ樹脂(E-1))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、樹脂溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、不揮発分が20%になるようにPGMACを添加してバインダ樹脂(E-1)液を調製した。なお、重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0162】
(バインダ樹脂(E-2))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、樹脂溶液を得た。得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダ樹脂(E-2)を調製した。なお、重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0163】
(バインダ樹脂(E-3))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン184部、PGME23部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合体樹脂溶液を得た。次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しながら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダ樹脂(E-3)を調製した。なお、重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0164】
(バインダ樹脂(E-4))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させた混合物を添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け不揮発分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、不揮発分が20重量%になるようにPGMACを添加してバインダ樹脂(E-4)液を調製した。なお、重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0165】
(バインダ樹脂(E-5))
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にPGMAC395部を仕込み、窒素置換した後、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。別途、滴下管にジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート40部、メタクリル酸40部、メタクリル酸メチル120部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日本油脂製「パーブチルO」)4部、PGMAC40部、n-ドデカンチオール8部、PGMAC32部をよく攪拌混合したものを準備した。反応槽の温度が90℃に安定してから、滴下槽から135分かけて均一滴下をした。滴下は、温度を90℃に保ちながら行った。滴下終了60分後に昇温を開始して反応容器を110℃にした。3時間110℃を維持した後、反応容器にガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(体積比)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル70部、2,2’-メチレンビス(4-メチルー6-t-ブチルフェノール)0.4部、トリエチルアミン0.8部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMAC150部を加えて室温まで冷却し、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、不揮発分が20重量%になるようにPGMACを添加してバインダ樹脂(E-5)液を得た。なお、樹脂の重量平均分子量は18000、酸価は2mgKOH/gであった。
【0166】
(バインダ樹脂(E-6))
溶剤を全てシクロヘキサノンとした以外は全てバインダ樹脂(E-1)液と同様にバインダ樹脂(E-6)液を得た。
【0167】
<微細化顔料の製造>
<緑色顔料(B-1)>
濃硫酸1200部に下記アルミニウムフタロシアニン(Q-1)100部を室温にて徐々に加えた。40℃、3時間撹拌して、3℃の冷水24000部に硫酸溶液を注入した。青色の析出物をろ過、水洗、乾燥して、92部のヒドロキシアルミニウムフタロシアニン(下記フタロシアニン(Q-2))を得た。次いで、反応容器に、N,N-ジメチルホルムアミド2000部、フタロシアニン化合物(Q-2)100部、リン酸ジフェニル52部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8000部中にこの溶液を注入した。その後反応生成物をろ過し、水16000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、アルミニウムフタロシアニン(緑色顔料:B-1)を得た。
【0168】
【化10】
【0169】
<緑色顔料(B-2)>
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、アルミニウムフタロシアニン(Q-1)50部、1,2-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)129.3部を加え撹拌し、20℃、6時間、反応させた。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を得た。次に、3口フラスコに、N-メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を50部及びリン酸ジフェニル13.9部を加え、90℃に加熱し8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、下記ハロゲン化(臭素化)されたアルミニウムフタロシアニン(緑色顔料:B-2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は30nmであった。
【0170】
ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン(緑色顔料:B-2)
【化11】
【0171】
<黄色顔料(C-1)>
特開2008-81566号公報に記載の合成方法に従い、化合物(1)を得た。
【0172】
化合物(1)
【化12】

【0173】
安息香酸メチル300部に、化合物(1)100部、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物108部、及び安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。飛行時間型質量分析計(TOF-MS)により、下記のキノフタロン化合物(C-1)の生成、及び原料の化合物(1)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3510部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、及び乾燥を行い、120部のキノフタロン化合物(C-1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は31.1nmであった。
【0174】
キノフタロン化合物(C-1)
【化13】
【0175】
<黄色顔料(C-2)>
キノフタロン系黄色顔料C.I.Pigment Yellow138(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化顔料(黄色顔料:C-2)を得た。
【0176】
<着色組成物(ペースト)の調製>
[実施例1]
<着色組成物(X-1)>
下記の組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過しカラーフィルタ用着色組成物(X-1)を作製した。
・緑色顔料(B:B-2) 9.0部
・黄色顔料(C:C-1) 1.0部
・分散剤(D-1)溶液 3.26部
・バインダ樹脂(E-1)溶液 20.0部
・PGMAC 66.74部
【0177】
[実施例2~13、比較例1、2]
溶剤以外は、表1-1に示す材料とその質量部に変更した以外は実施例1と同様に行うことで、それぞれ着色組成物(X-2~15)を得た。実施例2~13および比較例1、2の配合で使用した溶剤は、表1-2の配合量に記載された量を配合した。
【0178】
表1-2は、ペーストの溶剤含有量・含有%を示している。1は、分散剤溶液が含有する溶剤量、2は、バインダ樹脂溶液が含有する溶剤量、合計量は、各溶剤の合計含有量、含有%は、各溶剤の合計含有%、全体に占める(A-1)は、全溶剤に占めるアルコール系溶剤の含有%を示す。
【0179】
【表1-1】
【0180】
【表1-2】
【0181】
<着色組成物(X-2~15)の評価>
得られた着色組成物(X-2~15)について、下記試験を行った。試験の結果を表2に示す。
【0182】
〔保存安定性〕
〈粘度の測定〉
感光性着色組成物の粘度は、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて回転数20rpmにおける粘度(mPa・s)を測定した。粘度は、作製日(初期)、および作製から一か月後測定した。評価基準は下記の通りである
〇:粘度 2.0以上7.0未満 :良好
△:粘度 7.0以上15.0未満 :実用域
×:粘度 15.0以上 :実用不可
【0183】
(分散粒子径の測定)
顔料の分散粒子径は、動的光散乱法(FFTパワースペクトル法)を採用した日機装社のマイクロトラックUPA-EX150を用いて測定した。測定条件は、粒子透過性を吸収モード、粒子形状を非球形とし、D50平均粒子径を求めた。測定用の希釈溶剤はPGMACを用い、分散粒子径は、作製日(初期)、および作製から一か月後測定した。なお、測定は、直前に超音波で処理した上で行った。
【0184】
〔塗工性〕
(塗膜表面観察)
得られた感光性着色組成物を乾燥膜厚が2μmになるようにスピンコート法により10cm×10cmのガラス基板に塗工した後、温度230℃に設定したクリーンオーブン中で20分加熱して溶剤を除去し塗膜を得た。得られた塗膜付きガラス基板の塗膜の表面を目視観察した。評価基準は下記の通りである。
〇:塗膜が透明:良好
×:塗膜が白濁:使用不可
【0185】
【表2】
【0186】
<感光性着色組成物の調製>
<感光性着色組成物(Y-1)>
[実施例13]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、着色組成物(Y-1)を得た。
・着色組成物(ペースト:X-1)溶液 50.0部
・バインダ樹脂(E-4)溶液 15.0部
・光重合性単量体(M-1)(東亞合成社製「アロニックス M-402」) 3.0部
・光重合開始剤(O-1)(BASF社製「イルガキュア907」) 2.0部
・PGMAC 30.0部
【0187】
[実施例14~34、比較例3、4]
<感光性着色組成物(Y-2~24)>
溶剤以外は、表3-1に示す材料とその質量部に変更した以外は実施例13と同様に行うことで、それぞれ感光性着色組成物(Y-2~24)を得た。実施例14~34および比較例3、4の配合で使用した溶剤は、表3-2の配合量に記載された量を配合した。なお、本明細書で実施例1、4、13および16は参考例である。
【0188】
表3-2は、感光性着色組成物の溶剤含有量・含有%を示している。1は、ペーストが含有する溶剤量、2は、今回配合したバインダ樹脂溶液が含有する溶剤量、合計量は、各溶剤の合計含有量、含有%は、各溶剤の合計含有%、全体に占める(A-1)は、全溶剤に占めるアルコール系溶剤の含有%を示す。
【0189】
【表3-1】
【0190】
【表3-2】
【0191】
・光重合開始剤(O-1):2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(BASF社製「イルガキュア907」)
・光重合開始剤(O-2):2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(BASF社製「イルガキュア379」)
・光重合開始剤(O-3):エタン-1-オン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル],1-(O-アセチルオキシム)(BASF社製「イルガキュアOXE02」)
・光重合性単量体(M-1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックス M-402」)
・光重合性単量体(M-2):カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製「KAYARAD DPCA-30」)
【0192】
・光重合性単量体(M-3):ペンタエリスリトールトリアクリレートとジペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物の無水コハク酸付加体(東亞合成社製「アロニックス M-520」酸価:30mgKOH/g)
【0193】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物(Y-1~24)について、保存安定性、分散粒子径および塗工性を上記同様に評価した以外、明度測定、コントラスト測定も行った。結果を表4に記載した。
【0194】
(明度測定)
得られた感光性着色組成物をスピンコーターにより、回転数を変えて乾燥膜厚がCIE表色系のおける色度yがそれぞれ0.62、0.6、0.58付近となるような膜厚(2μm前後)に塗工し3点の塗布基板を作製した。塗工後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥したのち、色度を測定した。それら3点の測定データからyが0.6における明度を一次相関法で求めた。なお色度の測定は顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて行った。
評価基準を下記に示す。×は実用不可レベルである。
○:明度(Y)が45.0pt以上、50.0pt未満
△:明度(Y)が40.0pt以上、45.0pt未満
×:明度(Y)が40.0pt未満
【0195】
(コントラスト測定)
明度測定に用いた塗布基板を用いて塗膜のコントラスト比の測定を行った。以下、コントラストの測定法について、下記図2を用いて説明する。バックライトユニット7から出た光は、偏光板6を通過して偏光し、ガラス基板5上に着色組成物から形成したカラーフィルタ4を通過し、偏光板3に到達する。偏光板6と偏光板3の偏光面が平行であれば、光は偏光板3を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板3により遮断される。しかし、偏光板6によって偏光された光がカラーフィルタ4を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板3を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板3を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比)を算出した。
【0196】
(コントラスト比)=(2枚の偏光板が平行の場合の輝度)/(同じく直行の場合の輝度)
従って、カラーフィルタ4中の顔料により光散乱が起こると、平行のときの輝度が低下し、かつ直行のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
なお、輝度計(1)としては色彩輝度計(トプコン社製「BM-5A」)、偏光板としては偏光板(日東電工社製「NPF-G1220DUN」)を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスク(2)を当てた。
【0197】
得られた3点のコントラスト比と色度yの測定データからyが0.6におけるコントラスト比を一次相関法により求めた。評価基準を下記に示す。×は実用不可レベルである。(BK=50000)
◎:コントラスト比が20000以上
△:コントラスト比が10000以上20000未満
×:コントラスト比が10000未満
【0198】
【表4】
【符号の説明】
【0199】
1 :輝度計
2 :マスク
3 :偏光板
4 :カラーフィルタ
5 :ガラス基板
6 :偏光板
7 :バックライトユニット
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶

図1
図2