(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】センサ装置付きゴルフシューズ
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20230301BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20230301BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20230301BHJP
A43B 5/00 20220101ALI20230301BHJP
【FI】
A63B69/36 532Z
A63B69/00 C
A63B71/06 J
A43B5/00 303
(21)【出願番号】P 2018151857
(22)【出願日】2018-08-10
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】大貫 正秀
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0358770(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0243942(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338644(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0161461(US,A1)
【文献】特開2018-8068(JP,A)
【文献】特開2017-205213(JP,A)
【文献】特開2017-200589(JP,A)
【文献】特開2017-74382(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0119624(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1736489(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1672481(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 69/00
A63B 71/06
A43B 5/00
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルファーが履く左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、
前記ゴルフシューズに取り付けられたセンサ装置と
を備え、
前記センサ装置は、前記ゴルファーによるショット時の前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールを含み、
前記1又は複数のセンサモジュールは、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた超音波センサ、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられたレーダセンサ、及び
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた地磁気センサ、
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含み、
前記超音波センサ及び前記レーダセンサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの距離を計測し、
前記地磁気センサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの開き角度を計測する、
センサ装置付きゴルフシューズ。
【請求項2】
前記1又は複数のセンサモジュールは、前記第1シューの姿勢及び前記第2シューの姿勢の少なくとも一方を計測するためのセンサとして、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた加速度センサ、及び
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた傾斜センサ
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含む、
請求項1に記載のセンサ装置付きゴルフシューズ。
【請求項3】
前記1又は複数のセンサモジュールは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係を計測するためのセンサとして、
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた気圧センサ
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた加速度センサ
及び
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた傾斜センサ
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサをさらに含む、
請求項1又は2に記載のセンサ装置付きゴルフシューズ。
【請求項4】
前記センサ装置は、
外部装置に無線又は有線接続される通信部と、
前記1又は複数のセンサモジュール及び前記通信部の動作を制御し、前記通信部を介して、前記センサデータ及びこれを加工した加工データの少なくとも一方を含む計測データを前記外部装置に送信する制御部と
をさらに含む、
請求項1から3のいずれかに記載のセンサ装置付きゴルフシューズ。
【請求項5】
ゴルファーが履く左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズに取り付けられるセンサ装置であって、
前記ゴルファーによるショット時の前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールと、
外部装置に無線又は有線接続される通信部と、
前記1又は複数のセンサモジュール及び前記通信部の動作を制御し、前記通信部を介して、前記センサデータ及びこれを加工した加工データの少なくとも一方を含む計測データを前記外部装置に送信する制御部と
を備え、
前記1又は複数のセンサモジュールは、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられる超音波センサ、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられるレーダセンサ、及び
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられる地磁気センサ、
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含み、
前記超音波センサ及び前記レーダセンサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの距離を計測し、
前記地磁気センサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの開き角度を計測する、
センサ装置。
【請求項6】
請求項4に記載のセンサ装置付きゴルフシューズと、
前記ゴルファーによるショットの分析を行う分析装置と
を備え、
前記制御部は、前記通信部を介して、前記計測データを前記分析装置に送信し、
前記分析装置は、
前記計測データに基づいて、前記ゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析する分析部と、
前記足の姿勢の分析の結果を表示する表示部と
を含む、ゴルフ計測システム。
【請求項7】
前記1又は複数のセンサモジュールは、前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に複数取り付けられる前記超音波センサまたは前記レーダセンサと、前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた地磁気センサと
を含み、
前記分析部は、前記第1シュー及び前記第2シューの一方に取り付けられた前記地磁気センサの前記計測データ、及び前記複数の超音波センサまたは前記複数のレーダセンサの前記計測データに基づいて、前記第1シュー及び前記第2シューを結ぶ軸と、特定の方位とのなす角度を導出する、
請求項6に記載のゴルフ計測システム。
【請求項8】
前記ゴルファーが使用するゴルフクラブと、前記ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットとを有するセンサユニット付きゴルフクラブ
をさらに備え、
前記センサユニットは、前記ゴルファーによるショット時の前記ゴルフクラブの状態を示す第2センサデータを計測する1又は複数の第2センサモジュールと、
前記分析装置に無線又は有線接続される第2通信部と、
前記1又は複数の第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御し、前記第2通信部を介して、前記第2センサデータ及びこれを加工した第2加工データの少なくとも一方を含む第2計測データを前記分析装置に送信する第2制御部と
を含む、
請求項6に記載のゴルフ計測システム。
【請求項9】
左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、前記ゴルフシューズに取り付けられており、前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールとを備えるセンサモジュール付きシューズを装着して、ゴルファーがショットを行うことと、
コンピュータが、前記1又は複数のセンサモジュールから前記センサデータを取得することと、
前記コンピュータが、前記センサデータに基づいて、前記ゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析することと
を含み、
前記1又は複数のセンサモジュールは、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられる超音波センサ、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられるレーダセンサ、及び
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられる地磁気センサ、
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含み、
前記超音波センサ及び前記レーダセンサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの距離を計測し、
前記地磁気センサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの開き角度を計測する、
ゴルフ計測方法。
【請求項10】
左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、
前記ゴルフシューズに取り付けられており、前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールと
を備えるセンサモジュール付きシューズに接続されるコンピュータに、
前記1又は複数のセンサモジュールから前記センサデータを取得することと、
前記センサデータに基づいて、前記
ゴルフシューズを履いたゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析することと
を実行させ、
前記1又は複数のセンサモジュールは、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられる超音波センサ、
前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられるレーダセンサ、及び
前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられる地磁気センサ、
を含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含み、
前記超音波センサ及び前記レーダセンサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの距離を計測し、
前記地磁気センサは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係に関するセンサデータとして、前記第1シューと前記第2シューとの開き角度を計測する、
ゴルフ計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置付きゴルフシューズ、これに含まれるセンサ装置、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴルフコースのラウンド中にゴルファーのショットを記録するシステムが知られている。例えば、特許文献1では、ラウンド中にゴルファーが持ち歩く携帯端末を介して、ショットに関する様々なデータを収集し、これらのデータに基づいてホール当たりの打数や、ショット毎の飛距離、ショット毎に使用されたゴルフクラブの種別、試合のスコア等の情報が管理され、分析される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゴルフの難しさは、練習場では安定して正確なショットを打つことができても、ゴルフ場では同じようにはできない点にある。それは、練習場の打席とゴルフコースでショットする場所の状態の違いに依るところが大きい。すなわち、練習場では、水平なマット(地面)の上でショットが行われ、さらには、マットの枠や打席の向きを見れば、打撃方向を理解し易い。しかしながら、ゴルフ場では、水平な地面の上でショットすることは少なく、ティーグランドでさえも傾斜していることがある。
【0005】
ライと呼ばれる地面の傾斜は、大きく分けると、アドレス時のゴルファーの身体の前後方向の傾斜(つま先上がり、つま先下がり等と呼ばれる)と、左右方向の傾斜(左足上がり、左足下がり等と呼ばれる)とがあり、これらが組み合わされることもある。例えば、つま先上がりの状態では、地面が水平なときと同様にアドレスすると、ゴルフクラブのフェースのロフト角のせいで、フェースの法線の方向が少し左を向く。従って、そのまま打てば、ボールは左方向に飛び出し、やや左方向に曲がりながら飛んでいく。つまり、ゴルファーは、ライを考慮しながらショットを行う必要がある。ゴルフスクールでは、ライに応じて打ち方を変えることが指導されることもある。
【0006】
また、アドレス時に、打撃方向に対してどのように立つかも重要である。練習場には打撃方向を教えるサインがあるが、ゴルフコースにはない。ゴルフコースでは、周囲の景色やライの状態等がゴルファーの感覚に影響し、所望の方向に向かって正確に構えることが難しくなる。このような状況の中で、アドレス時の左右の足の位置(スタンスと呼ばれる)を間違えれば、ボールは所望の方向に飛ばない。
【0007】
以上のことから、単にラウンド時のショット毎の飛距離やスコア等のデータが得られたとしても、ショット時のライやスタンス等を示す足の姿勢がどうであったかが分からないと、上達のための効果的なフィードバックが行えない。逆に、ショット時の足の姿勢が分かれば、例えば、つま先上がりのショットが苦手である、池が目に入ると無意識にスタンスが池と反対の方向に向いている等を理解することができる。つまり、ゴルファーの癖や課題等、上達に必要な情報を明らかにすることができる。
【0008】
本発明の目的は、ショット時のゴルファーの足の姿勢を分析するためのセンサデータを収集することができるセンサ装置付きゴルフシューズ、これに含まれるセンサ装置、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズは、ゴルファーが履く左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、前記ゴルフシューズに取り付けられたセンサ装置とを備える。前記センサ装置は、前記ゴルファーによるショット時の前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係の少なくとも1つに関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールを含む。
【0010】
第2観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズは、第1観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズであって、前記1又は複数のセンサモジュールは、前記第1シューの姿勢及び前記第2シューの姿勢の少なくとも一方を計測するためのセンサとして、以下のセンサを含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含む。
(1)前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた加速度センサ
(2)前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた地磁気センサ
(3)前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた傾斜センサ
【0011】
第3観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズは、第1観点又は第2観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズであって、前記1又は複数のセンサモジュールは、前記第1シューと前記第2シューとの位置関係を計測するためのセンサとして、以下のセンサを含む群から選択される少なくとも1つのセンサを含む。
(1)前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられた超音波センサ
(2)前記第1シュー及び前記第2シューの少なくとも一方に取り付けられたレーダセンサ
(3)前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた地磁気センサ
(4)前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた気圧センサ
(5)前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた加速度センサ
(6)前記第1シュー及び前記第2シューの両方に取り付けられた傾斜センサ
【0012】
第4観点に係るセンサ装置付きゴルフシューズは、第1観点から第3観点のいずれかに係るセンサ装置付きゴルフシューズであって、前記センサ装置は、外部装置に無線又は有線接続される通信部と、前記1又は複数のセンサモジュール及び前記通信部の動作を制御し、前記通信部を介して、前記センサデータ及びこれを加工した加工データの少なくとも一方を含む計測データを前記外部装置に送信する制御部とをさらに含む。
【0013】
第5観点に係るセンサ装置は、ゴルファーが履く左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズに取り付けられるセンサ装置であって、前記ゴルファーによるショット時の前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係の少なくとも1つに関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールと、外部装置に無線又は有線接続される通信部と、前記1又は複数のセンサモジュール及び前記通信部の動作を制御し、前記通信部を介して、前記センサデータ及びこれを加工した加工データの少なくとも一方を含む計測データを前記外部装置に送信する制御部とを備える。
【0014】
第6観点に係るゴルフ計測システムは、第4観点に記載のセンサ装置付きゴルフシューズと、前記ゴルファーによるショットの分析を行う分析装置とを備える。前記制御部は、前記通信部を介して、前記計測データを前記分析装置に送信する。前記分析装置は、前記計測データに基づいて、前記ゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析する分析部と、前記足の姿勢の分析の結果を表示する表示部とを含む。
【0015】
第7観点に係るゴルフ計測システムは、第6観点に係るゴルフ計測システムであって、前記ゴルファーが使用するゴルフクラブと、前記ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットとを有するセンサユニット付きゴルフクラブをさらに備える。前記センサユニットは、1又は複数の第2センサモジュールと、第2通信部と、第2制御部とを含む。前記1又は複数の第2センサモジュールは、前記ゴルファーによるショット時の前記ゴルフクラブの状態を示す第2センサデータを計測する。前記第2通信部は、前記分析装置に無線又は有線接続される。前記第2制御部は、前記1又は複数の第2センサモジュール及び前記第2通信部の動作を制御し、前記第2通信部を介して、前記第2センサデータ及びこれを加工した第2加工データの少なくとも一方を含む第2計測データを前記分析装置に送信する。
【0016】
第8観点に係るゴルフ計測方法は、以下のことを含む。なお、以下のセンサモジュール付きシューズは、左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、前記ゴルフシューズに取り付けられており、前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係の少なくとも1つに関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールとを備える。
(1)センサモジュール付きシューズを装着して、ゴルファーがショットを行うこと
(2)前記1又は複数のセンサモジュールから前記センサデータを取得すること
(3)前記センサデータに基づいて、前記ゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析すること
【0017】
第9観点に係るゴルフ計測プログラムは、以下のことをコンピュータに実行させる。なお、前記コンピュータは、センサモジュール付きシューズに接続される。前記センサモジュール付きシューズは、左右一対の第1シュー及び第2シューを有するゴルフシューズと、前記ゴルフシューズに取り付けられており、前記第1シューの姿勢、前記第2シューの姿勢、及び前記第1シューと前記第2シューとの位置関係の少なくとも1つに関するセンサデータを計測する1又は複数のセンサモジュールとを備える。
(1)前記1又は複数のセンサモジュールから前記センサデータを取得すること
(2)前記センサデータに基づいて、前記ゴルファーによるショット時の足の姿勢を分析すること
【発明の効果】
【0018】
以上の観点によれば、ショット時のゴルファーの足の姿勢を分析するためのセンサデータを収集することができる。ショット時の足の姿勢の情報からは、ショット時のライやスタンス等を把握することができ、ゴルファーの上達に資する情報を得ることができる。あるいは、ショット時の足の姿勢の情報は、ゴルフクラブ等のゴルフ関連用品の開発にも役立て得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセンサ装置付きゴルフシューズを含むゴルフ計測システムの全体構成を示す図。
【
図2】ゴルフシューズに取り付けられたセンサ装置の電気的構成を示す図。
【
図3】ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットの電気的構成を示す図。
【
図6】ゴルフクラブに取り付けられたセンサユニットの処理の流れを示す図。
【
図7】ゴルフシューズに取り付けられたセンサ装置の処理の流れを示す図。
【
図9B】ショットの分析結果画面の別の例を示す図。
【
図11】足の姿勢を示す別のパラメータを説明する図。
【
図12】足の姿勢を示すさらに別のパラメータを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサ装置付きゴルフシューズ、これに含まれるセンサ装置、これを含むゴルフ計測システム、並びにゴルフ計測方法及びプログラムについて説明する。
【0021】
<1.ゴルフ計測システムの全体構成>
図1に、本実施形態に係るゴルフ計測システム100の全体構成図を示す。ゴルフ計測システム100は、ゴルファーが行うショットに関するデータ(後述するセンサデータ及びクラブデータを含む。以下、ショットデータという。)を収集し、これを分析するシステムである。ショットデータは、これに限られないが、典型的には、ゴルフコースでのラウンド中に収集される。ゴルフ計測システム100は、センサ装置1付きゴルフシューズ2と、センサユニット3付きゴルフクラブ4と、携帯端末7と含む。センサ装置1付きゴルフシューズ2及びセンサユニット3付きゴルフクラブ4は、ゴルファーによりゴルフコースに携帯され、ラウンド中に持ち運ばれ、使用される。携帯端末7も、同じくゴルファーによりゴルフコースに携帯され、ラウンド中に持ち運ばれ、使用される。
【0022】
ゴルフシューズ2に取り付けられたセンサ装置1は、ショット時のゴルファーの足の姿勢を分析可能な各種センサデータを計測し、これをワイヤレスに外部装置に送信する。ここでいう外部装置には、携帯端末7が含まれる。センサ装置1により収集されたセンサデータからは、足の姿勢の情報として、ショット時のライ及びスタンスを特定することができる。ゴルフクラブ4に取り付けられたセンサユニット3は、ショット時のゴルフクラブ4の状態を示す各種センサデータを計測し、これをワイヤレスに外部装置に送信する。ここでいう外部装置にも、携帯端末7が含まれる。
【0023】
以上のとおりに収集された各種センサデータは、携帯端末7によるショットの分析に使用される。この分析結果は、適宜、携帯端末7を介してゴルファーに提供される。ゴルファーは、この分析結果を現在のラウンド中のプレー、又は今後のプレー(ゴルフコースでのラウンド中のプレーだけでなく、練習場やゴルフスクール等での練習中のプレーも含む)に活かすことができる。
【0024】
携帯端末7は、インターネット等の通信網8を介してサーバー9に接続される。携帯端末7は、センサ装置1及びセンサユニット3から取得したセンサデータ、並びにその分析結果を示すデータ(以下、分析データという)を、サーバー9に送信する。サーバー9は、センサデータ及び分析データを蓄積するデータベース9a(
図5参照)を有し、適宜、携帯端末7又はゴルファーが操作する任意のコンピュータからの要求に応じて、これらのデータを提供する。
【0025】
以下、センサ装置1付きゴルフシューズ2、センサユニット3付きゴルフクラブ4、携帯端末7及びサーバー9の構成について説明した後、ゴルフ計測システム100を用いて実施されるゴルフ計測方法について説明する。
【0026】
<2.各部の構成>
<2-1.センサ装置付きゴルフシューズ>
図1に示すとおり、ゴルフシューズ2は、ラウンド中のゴルファーが履く左右一対のシュー20L及びシュー20Rを有する。シュー20Lは、ゴルファーの左足に装着され、シュー20Rは、ゴルファーの右足に装着される。センサ装置1は、ゴルファーのプレーを阻害することがないよう、小型且つ軽量に構成されており、本実施形態では、ゴルフシューズ2に対して着脱不能であるが、着脱自在に構成することもできる。センサ装置1は、左右一対のセンサユニット1L及び1Rを有し、センサユニット1Lが左足用のシュー20Lに、センサユニット1Rが右足用のシュー20Rに取り付けられている。これに限定されないが、本実施形態では、センサユニット1L及び1Rは、それぞれシュー20L及びシュー20Rの靴底の踵の部分に埋め込まれている。
【0027】
図2は、センサ装置1の電気的構成を示す図である。同図に示すように、センサユニット1Lには、1又は複数のセンサモジュール10Lが搭載されている。本実施形態では、センサユニット1Lは、複数のセンサモジュール10Lとして、加速度センサ11L、地磁気センサ12L、気圧センサ13L及び荷重センサ14Lを含む。同様に、センサユニット1Rには、1又は複数のセンサモジュール10Rが搭載されている。本実施形態では、センサユニット1Rは、複数のセンサモジュール10Rとして、加速度センサ11R、地磁気センサ12R、気圧センサ13R、荷重センサ14R、並びに2つの受発信機15R及び15Rを含む。加速度センサ11L及び地磁気センサ12Lは、左足のシュー20Lの姿勢に関するセンサデータを計測することができ、加速度センサ11R及び地磁気センサ12Rは、右足のシュー20Rの姿勢に関するセンサデータを計測することができる。また、加速度センサ11L、地磁気センサ12L、気圧センサ13L、加速度センサ11R、地磁気センサ12R、気圧センサ13R、並びに2つの受発信機15R及び15Rは、左右のシュー20L及び20Rの位置関係に関するセンサデータを計測することができる。
【0028】
加速度センサ11L及び11Rは、三軸加速度センサであり、地磁気センサ12L及び12Rは、三軸地磁気センサである。2つの受発信機15R及び15Rは協働して、超音波センサ又はレーダセンサとして機能する。なお、センサモジュール10L及び10Rには、適宜、座標軸が設定される。例えば、三軸加速度センサ11L及び11R並びに三軸地磁気センサ12L及び12Rの場合は、好ましい例として、(1)水平面上にゴルフシューズが配置されたときに鉛直方向(重力方向)と一致する方向、(2)水平面上にゴルフシューズが配置されたときに水平面内で踵からつま先に向かう方向、及び(3)(1)と(2)の方向に直交する方向を、三軸に設定することができる。ただし、センサモジュール10L及び10Rの座標軸は、シュー20L及び20Rとの相対的な位置関係が予め特定されている限り、任意に設定することができる。
【0029】
センサユニット1Lには、複数のセンサモジュール10Lの他、通信部18L、制御部19L、記憶部16L及びバッテリー17Lが搭載されている。同様に、センサユニット1Rには、複数のセンサモジュール10Rの他、通信部18R、制御部19R、記憶部16R及びバッテリー17Rが搭載されている。通信部18L及び18Rは、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)のような無線通信の規格に対応しており、同規格に同じく対応する外部装置とのワイヤレス通信を可能にする。通信部18L及び18Rは、それぞれ、バッテリー17L及び17Rによる給電を受けて動作し、センサモジュール10L及び10Rから出力されたセンサデータを携帯端末7等の外部装置にワイヤレスに送信する。
【0030】
制御部19L及び19Rは、それぞれ、CPU、ROM及びRAM等から構成されている。制御部19L及び19Rは、それぞれ、バッテリー17L及び17Rによる給電を受けて動作し、センサモジュール10L及び10R、通信部18L及び18R、記憶部16L及び16R、並びにバッテリー17L及び17Rの動作を制御する。記憶部16L及び16Rは、それぞれ、不揮発性で書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置から構成されており、バッテリー17L及び17Rからの給電を受けてデータを記憶及び消去する。記憶部16L及び16R内には、それぞれ、プログラム16La及び16Raが格納されており、制御部19L及び19RのCPUがこれを読み出して実行することにより、後述する動作を実行する。なお、プログラム16La及び16Raは、それぞれ、記憶部16L及び16R内ではなく、制御部19L及び19RのROM内に格納されていてもよいし、両者に分散して格納されていてもよい。
【0031】
バッテリー17L及び17Rは、それぞれ、センサモジュール10L及び10R、通信部18L及び18R、制御部19L及び19R、並びに記憶部16L及び16Rに給電を行う電源であり、制御部19L及び19Rによりオン/オフが制御される。また、センサユニット1L及び1Rは、それぞれ、ゴルフシューズ2の外部からアクセス可能な図視されないスイッチを有しており、これらのスイッチをゴルファーが操作することによっても、バッテリー17L及び17Rのオン/オフが切り替えられる。バッテリー17L及び17Rは、一次電池であっても、二次電池であてもよい。以上のセンサモジュール10L、通信部18L、制御部19L、記憶部16L及びバッテリー17Lは、1つ又は複数の基板上に搭載されている。同様に、以上のセンサモジュール10R、通信部18R、制御部19R、記憶部16R及びバッテリー17Rも、1つ又は複数の基板上に搭載されている。
【0032】
<2-2.センサユニット付きゴルフクラブ>
図1に示すとおり、ゴルフクラブ4は、一般的なゴルフクラブであり、シャフト40と、シャフト40の一端に設けられたヘッド41と、シャフト40の他端に設けられたグリップ42とを有する。ヘッド41は、ゴルフボールを打撃するフェース面41aを有する。センサユニット3は、ゴルファーのプレーを阻害することがないよう、小型且つ軽量に構成されており、本実施形態では、ゴルフクラブ4に対して着脱不能に構成されているが、着脱自在に構成することもできる。センサユニット3が着脱自在の場合には、同じ1つのセンサユニット3を、これからショットに使用するゴルフクラブ4に付け替えながら使用することができる。本実施形態では、センサユニット3は、グリップ42におけるヘッド41とは反対側の端部(グリップエンドともいう)に取り付けられている。
【0033】
図3は、センサユニット3の電気的構成を示す図である。同図に示すように、センサユニット3には、1又は複数のセンサモジュール30が搭載されている。本実施形態では、センサユニット3は、複数のセンサモジュール30として、加速度センサ31、角速度センサ32及び地磁気センサ33を含む。これらのセンサ31~33は、慣性センサユニットを構成する。加速度センサ31は、三軸加速度センサであり、角速度センサ32は、三軸角速度センサであり、地磁気センサ33は、三軸地磁気センサである。
【0034】
センサユニット3には、複数のセンサモジュール30の他、通信部38、制御部35、記憶部36及びバッテリー37が搭載されている。通信部38は、上記のような無線通信の規格に対応しており、同規格に同じく対応する外部装置とのワイヤレス通信を可能にする。通信部38は、バッテリー37による給電を受けて動作し、センサモジュール30から出力されたセンサデータを携帯端末7等の外部装置にワイヤレスに送信する。
【0035】
制御部35は、CPU、ROM及びRAM等から構成されている。制御部35は、バッテリー37による給電を受けて動作し、センサモジュール30、通信部38、記憶部36及びバッテリー37の動作を制御する。記憶部36は、不揮発性で書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置から構成されており、バッテリー37からの給電を受けてデータを記憶及び消去する。記憶部36内には、プログラム36aが格納されており、制御部35のCPUがこれを読み出して実行することにより、後述する動作を実行する。なお、プログラム36aは、記憶部36内ではなく、制御部35のROM内に格納されていてもよいし、両者に分散して格納されていてもよい。
【0036】
バッテリー37は、センサモジュール30、通信部38、制御部35及び記憶部36に給電を行う電源であり、制御部35によりオン/オフが制御される。また、センサユニット3は、ゴルフクラブ4の外部からアクセス可能な図視されないスイッチを有しており、このスイッチをゴルファーが操作することによっても、バッテリー37のオン/オフが切り替えられる。バッテリー37は、一次電池であっても、二次電池であてもよい。以上のセンサモジュール30、通信部38、制御部35、記憶部36及びバッテリー37は、1つ又は複数の基板上に搭載されている。
【0037】
<2-3.携帯端末>
図4に、携帯端末7の構成を示す。携帯端末7は、ゴルファーに携帯され、ゴルフコースだけでなく、自宅やゴルフの練習場、ゴルフスクール等、様々な場所に持ち運ばれる。携帯端末7は、ハードウェアとしてはスマートフォンや、タブレットコンピュータ、スマートウォッチのようなウェアラブル端末、ラップトップコンピュータ、スマートグラスのようなAR(拡張現実)端末等のコンピュータであり、このようなコンピュータに所定のアプリケーションプログラム73aをインストールすることにより構成される。典型的には、プログラム73aは、インターネット等の通信網8や上記のような無線通信等のネットワークを介して、外部装置から携帯端末7に配信される。
【0038】
図4に示すように、携帯端末7は、表示部71、入力部72、記憶部73、制御部74及び通信部75を備える。これらの部71~75は、互いにバス線76を介して接続されており、相互に通信可能である。本実施形態では、表示部71は、液晶ディスプレイ等で構成されており、後述する分析結果画面W1を含む各種画面をゴルファーに対し表示する。また、入力部72は、タッチパネルや操作ボタン、マウス、キーボード等で構成されており、携帯端末7に対するゴルファーからの操作を受け付ける。
【0039】
記憶部73は、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、プログラム73aが格納されている。制御部74は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されている。制御部74は、記憶部73内のプログラム73aを読み出して実行することにより、データ取得部74A、位置計測部74B、分析部74C及び画面作成部74Dとして動作する。位置計測部74Bは、GPS(Global Positioning System)やみちびき、GLONASSのような、衛星測位システムと通信し、同システムから取得される信号に基づいて携帯端末7の位置情報を計測する。これらの部74A~74Dの動作の詳細は後述する。
【0040】
通信部75は、携帯端末7をインターネット等の通信網8に接続する通信インターフェースとして機能する。また、通信部75は、上記のような無線通信の規格にも対応しており、同規格に同じく対応する外部装置(センサ装置1及びセンサユニット3を含む)とのワイヤレス通信を可能にする。
【0041】
<2-4.サーバー>
図5に、サーバー9の構成を示す。サーバー9は、ハードウェアとしてはクラウドコンピューティングサーバーのようなサーバーコンピュータであり、このようなコンピュータにプログラム93aをインストールすることにより構成される。プログラム93aは、サーバー9に後述する処理を実行させるプログラムである。
【0042】
図5に示すように、サーバー9は、記憶部93、制御部94及び通信部95を備える。これらの部93~95は、互いにバス線96を介して接続されており、相互に通信可能である。
【0043】
記憶部93は、ハードディスク等の不揮発性の記憶装置から構成されており、上記のデータベース9a及びプログラム93aが格納されている。制御部94は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されている。制御部94は、記憶部93内のプログラム93aを読み出して実行することにより、後述する処理を実行する。通信部95は、サーバー9をインターネット等の通信網8に接続する通信インターフェースとして機能する。
【0044】
<3.ゴルフ計測システムによる処理の流れ>
以下、ゴルファーがゴルフコースでラウンドを行う場面を例に、以上のゴルフ計測システム100を用いて実施されるゴルフ計測方法について説明する。まず、ゴルファーは、ラウンドの開始時に、ゴルフシューズ2及びゴルフクラブ4に取り付けられたセンサユニット1L、1R及び3のスイッチを操作し、これらの電源(バッテリー17L、17R及び37)をオンにする。また、このとき、ゴルファーは、携帯端末7の入力部72も操作し、携帯端末7上でアプリケーションプログラム73aを起動する。
【0045】
以上の準備が整うと、ゴルフシューズ2を装着したゴルファーは、ゴルフコースをまわりながら、ゴルフクラブ4を用いてショットを行う。ショットは、ラウンド中、何度も実施される。
【0046】
バッテリー37がオンにされたことを受けて、センサユニット3は、
図6に示す処理を開始させる。また、センサ装置1も、バッテリー17L及び17Rがオンにされたことを受けて、
図7に示す処理を開始させる。また、携帯端末7も、アプリケーションプログラム73aが起動されたことを受けて、
図8に示す処理を開始させる。
【0047】
図6に示すとおり、ゴルフクラブ4に取り付けられたセンサユニット3の制御部35は、まず、センサモジュール30を駆動する(ステップS1)。これを受けて、センサモジュール30は、所定の時間間隔でのセンサデータの計測を開始する。センサモジュール30により逐次取得されるセンサデータは、記憶部36内に格納される。なお、記憶部36内のセンサデータが容量を超えると、より古いセンサデータが削除され、新しいセンサデータが保存される。
【0048】
次に、制御部35は、記憶部36内のセンサデータに基づいて、ゴルファーのショットを検出する(ステップS2)。本実施形態では、センサデータとして、加速度、角速度及び地磁気のデータが取得される。これらのセンサデータは、センサユニット3が取り付けられたゴルフクラブ4がスイングされ、ゴルフボールと衝突するショット時には、値が激しく変動する。よって、これらのセンサデータから、このような激しい変動を検出することにより、ショットのタイミングを検出する。なお、以上のとおり、記憶部36内にはセンサデータが逐次格納されてゆくが、制御部35は、記憶部36内の未処理のセンサデータに基づいて、ゴルファーによりショットが行われたかを判断する。そして、ショットが行われたと判断されると、ステップS3に進む。
【0049】
ステップS3では、制御部35は、ショットが行われたことの通知(以下、ショット通知という)を、通信部38を介して携帯端末7に送信する。ショット通知には、ショットが行われた時刻(以下、ショット時刻という)を示す情報が含まれる。このとき、制御部35は、記憶部36内に格納されているセンサデータの中から、ショット時刻の前後のセンサデータを抽出し、ショット通知とともに抽出したセンサデータを、通信部38を介して携帯端末7に送信する。また、このとき、制御部35は、ショット通知とともに、さらにクラブデータも通信部38を介して携帯端末7に送信する。クラブデータは、記憶部36又はROMに格納されており、ゴルフクラブ4の種類を特定する情報であり、例えば、型番及び/又は番手を示す情報である。その後、処理は、ステップS2に戻り、バッテリー37がオフになるまで、ステップS2~S3が繰り返し実行される。バッテリー37がオフになると、センサモジュール30によるセンサデータの計測も停止する。
【0050】
一方、
図6の処理と並行して、ゴルフシューズ2のセンサ装置1は、
図7の処理を実行する。以下では、センサ装置1に含まれるセンサユニット1L及び1Rのうち、左足側に配置されるセンサユニット1Lの処理について詳述する。ただし、本実施形態では、センサユニット1L及び1Rは同様の処理を行うため、ここでの説明は、「L」と「R」、さらには「左」と「右」を読み替えることにより、センサユニット1Rにも適用される。
【0051】
まず、センサユニット1Lの制御部19Lは、センサモジュール10Lを駆動する(ステップS21)。これを受けて、センサモジュール10Lは、所定の時間間隔でのセンサデータの計測を開始する。センサモジュール10Lにより逐次取得されるセンサデータは、記憶部16L内に格納される。なお、記憶部16L内のセンサデータが容量を超えると、より古いセンサデータが削除され、新しいセンサデータが保存される。
【0052】
次に、制御部19Lは、通信部18Lを介して、携帯端末7からショット通知が送信されてくるのを待つ(ステップS22)。なお、ショット通知は、上記のとおり、まず、ゴルフクラブ4のセンサユニット3から携帯端末7に送信される(ステップS3)。そして、その後、後述するとおり、携帯端末7からセンサ装置1に転送される(ステップS33)。ただし、他の実施形態では、このショット通知は、ローカル無線ネットワークを介して、携帯端末7を介さずに直接センサユニット3からセンサ装置1に送信されるように構成することもできる。
【0053】
制御部19Lは、ショット通知を受信すると、記憶部16L内に格納されているセンサデータの中から、ショット時刻の前後のセンサデータを抽出し、抽出したセンサデータを通信部18Lを介して携帯端末7に送信する(ステップS23)。この意味で、携帯端末7からセンサ装置1へのショット通知は、ショット時のセンサデータの要求である。その後、処理は、ステップS22に戻り、バッテリー17がオフになるまで、ステップS22~S23が繰り返し実行される。バッテリー17がオフになると、センサモジュール10Lによるセンサデータの計測も停止する。
【0054】
また、
図6及び
図7の処理と並行して、携帯端末7は、
図8の処理を実行する。まず、データ取得部74Aは、ゴルフクラブ4からショット通知が送信されてきたかを判断する(ステップS31)。データ取得部74Aは、通信部75を介して上述したステップS3に対応するショット通知が受信された場合には、ステップS32に進み、ショット通知が受信されない場合には、ステップS38に進む。
【0055】
ステップS32では、データ取得部74Aは、上述したステップS3に対応してショット通知とともに送信されてくるショット時刻の前後のセンサデータ及びクラブデータを、通信部75を介してゴルフクラブ4のセンサユニット3から受信する。センサユニット3からのセンサデータ及びクラブデータは、記憶部73内に格納される。
【0056】
続くステップS33では、データ取得部74Aは、ステップS31の携帯端末7からのショット通知を、通信部75を介してゴルフシューズ2のセンサ装置1に送信する。その後、データ取得部74Aは、上述したステップS23に対応して送信されてくるショット時刻の前後のセンサデータを、通信部75を介してセンサ装置1から受信する(ステップS34)。センサ装置1からのセンサデータは、記憶部73内に格納される。
【0057】
続くステップS35では、位置計測部74Bが、携帯端末7の位置情報を計測する。本実施形態では、位置情報は、緯度及び経度情報として取得される。なお、ステップS35が実行されるのは、ゴルフクラブ4のセンサユニット3からショット通知を受信した直後である。従って、この位置情報は、ショットがされた位置(以下、ショット位置という)を示す位置情報として取得される。あるいは、アプリケーションプログラム73aの起動後、携帯端末7が位置情報を逐次計測してこれを記憶部73内に記憶しておき、ショット時刻に基づいて、ショット位置を示す位置情報を特定してもよい。このショット位置の位置情報は、ステップS31で取得されたショット通知、ステップS32で取得されたセンサデータ及びクラブデータ、並びにステップS34で取得されたセンサデータに関連付けて、記憶部73内に格納される。
【0058】
続くステップS36では、分析部74Cが、直前のステップS32、S34及びS35で取得され、記憶部73内に格納されているショットに関するショットデータに基づいて、直前のショットを分析する。ここでは、ゴルファーによるショット時の足の姿勢が分析される。本実施形態では、分析部74Cが、足の姿勢を示す情報として、様々なパラメータL、θ
1~θ
3、θ
R及びθ
Lの値を導出する。これらの値の導出の方法は、後述するが、Lは、左右の足間の距離、θ
1は、スタンスの向き(方位)、θ
2は、左右の足の高低差、θ
3は、左右の足の前後方向の傾斜角度、θ
L及びθ
Rは、左右の足の開き角度を示す(
図10~
図12参照)。また、分析部74Cは、足の姿勢を示す情報として、パラメータL、θ
1~θ
3、θ
R及びθ
Lの値から特定されるショット時のライ及びスタンスを導出する。ライの情報は、例えば、「水平」「つま先上がり」「つま先下がり」「右足上がり」「左足上がり」「水平、右足上がり」「水平、左足上がり」「つま先上がり、右足上がり」「つま先上がり、左足上がり」「つま先下がり、右足上がり」「つま先下がり、左足上がり」のように特定される。スタンスの情報は、スタンスの向き(方位)として特定される。
【0059】
また、分析部74Cは、以上のような足の姿勢の情報の他、以下の情報も導出する。具体的には、分析部74Cは、ゴルフシューズ2の荷重センサ14L及び14Rから取得されたセンサデータに基づいて、ショット時にゴルファーの左右の足の裏に作用した荷重を導出する。この荷重は、左右の足の裏に作用した圧力分布として導出されてもよい。分析部74Cは、この荷重の情報に基づいて、アドレス時及びスイング中にゴルファーが体重を両足にどのように配分しているのかや、体重をつま先にかけているのか又は踵にかけているのか等の情報を導出する。
【0060】
また、分析部74Cは、ゴルフクラブ4の加速度、角速度及び地磁気センサ31~33から取得されたセンサデータに基づいて、ゴルフクラブ4の軌道(インサイドアウト、ストレート、アウトサイドイン等)、インパクト時のヘッド41の向き(フェース面41aの角度を含む)及び速度、フェース面41a上におけるゴルフボールの打点、並びにスイングのテンポを導出する。
【0061】
以上のショットの分析データ(足の姿勢の情報を含む)は、記憶部73内に保存される。足の姿勢の情報以外の、分析部74Cにより導出される以上の分析データは、ライ及びスタンスを含む足の姿勢の情報と関連付けることで、ゴルフの練習に有効に活用できる情報となる。
【0062】
続くステップS37では、分析部74Cは、以上の分析データを、通信部75を介してサーバー9に送信する。サーバー9側では、制御部94が、この分析の結果を示す情報を通信部95を介して受信し、データベース9a内に格納する。このとき、データベース9a内では、ゴルファーを識別する情報(以下、ゴルファーIDという)が、分析データに関連付けて蓄積される。ゴルファーIDは、分析データとともに、携帯端末7からサーバー9に送信される。
【0063】
ステップS37が終了すると、ステップS31に戻る。ゴルファーが次のショットを行うと、再度、ステップS32~S37が実行される。
【0064】
次に、ステップS38について説明する。ステップS38は、上記のとおり、ステップS31において、ショット通知が受信されなかった場合に実行されるステップである。ステップS38では、画面作成部74Dが、ゴルファーから分析結果画面W1の表示の指示を受け付ける。ゴルファーは、アプリケーションプログラム73aを起動した後、この指示を入力部72を介して任意のタイミングで入力することができる。分析結果画面W1は、ステップS36での分析部74Cによる分析結果を表示する画面である。よって、一度もショットがされていないときに表示される同画面W1には、ショットの分析結果は表示されない。しかしながら、ショットが行われた後に表示される同画面W1には、これまでの全てのショットの分析結果が表示される。
【0065】
画面作成部74Dは、分析結果画面W1の表示を指示する入力を検知すると、分析結果画面W1を作成し、これを表示部71上に表示させる(ステップS39)。分析結果画面W1は、記憶部73内に格納されている分析部74Cによる分析データに基づいて作成される。
図9Aは、分析結果画面W1の一例である。同図に示すとおり、分析結果画面W1上には、ショット毎に、足の姿勢の情報として、ライ及びスタンスの情報が表示される。
【0066】
また、分析結果画面W1上には、ショット毎に、使用クラブ及び飛距離の情報が表示される。使用クラブは、記憶部73内のクラブデータに基づいて特定される。飛距離は、記憶部73内の注目しているショット時及びその次のショット時の位置情報に基づいて特定される。また、
図9Aには詳細には示されないが、分析結果画面W1上には、記憶部73内の分析部74Cによるその他の分析結果も表示される。例えば、ゴルフクラブ4の軌道(インサイドアウト、ストレート、アウトサイドイン等)、インパクト時のヘッド41の向き、インパクト時のヘッド41の速度、打点、スイングのテンポ、体重配分(右足荷重何%、つま先荷重何%等)の情報が分析結果として表示されることが好ましい。
【0067】
なお、分析結果画面W1は、以上の情報を、ホール毎にまとめて表示する。データ取得部74Aは、インターネット等の通信網8を介して所定のサーバーにアクセスし、位置計測部74Bにより計測される現在の位置情報に基づき、ゴルファーが現在いるゴルフコースの情報(全ホールのマップ情報を含む)をダウンロードすることができる。そして、このホールのマップ情報と、各ショット時の位置情報とを照合して、各ショットがどのホールのどこで行われたかを特定することができる。画面作成部74Dは、ホールのマップM1上に、ショット位置を示すオブジェクトO1を重ねた画像を作成し、これを分析結果画面W1上に表示させることもできる。ショット位置を示すオブジェクトO1は、当該ショット位置でのスタンスの向きを表す形態としてもよいし、オブジェクトO1の近傍に、当該ショット位置でのスタンスの向きを表す形態のオブジェクトを配置してもよい。
図9Bの例では、オブジェクトO1とオブジェクトO1とを結ぶ飛球線L1も表示されている。また、
図9Bの例では、グリーン上でのオブジェクトO1及び線L1が省略されているが、勿論、表示してもよい。
【0068】
また、分析結果画面W1は、ホール毎のスコアの情報、及びラウンドのスコアの情報を表示する。これらの情報は、ゴルファーの入力により特定されてもよいし、ゴルフコースの情報(パーの情報を含む)と、ショットデータとに基づいて特定されてもよい。
【0069】
ゴルファーは、以上の分析結果画面W1を見て、ラウンド中の自身のプレーを理解することができる。分析結果画面W1は、ゴルファーが分析結果画面W1の表示を指示したタイミングによって、ラウンド中に提供されることもあるし、ラウンド後に提供されることもある。ステップS39が終了すると、ステップS31に戻る。
【0070】
ゴルフのラウンドが終了すると、ゴルファーは、センサユニット1L、1R及び3のスイッチを操作し、これらの電源(バッテリー17L、17R及び37)をオフにするとともに、入力部72を操作し、アプリケーションプログラム73aを終了させる。
図8の処理は、ゴルファーがアプリケーションプログラム73aを終了させる操作を行ったときに、終了する。
【0071】
以下、足の姿勢の情報を示すパラメータについて、具体的に説明する。
<3-1.L:左右の足間の距離>
左右の足間の距離Lは、受発信機15Rを含む超音波センサ又はレーダセンサにより計測される。より具体的には、受発信機15Rから超音波又はレーダのパルスを発信し、対象物、すなわち、左のシュー20Lで反射した反射波が返ってくるまでの時間を計測することにより、距離Lが導出される。なお、ここでは、右足を基準にした計測方法を示したが、基準は、左右どちらでもよい。距離Lに限らず、その他のパラメータを導出する場合についても、同様である。
【0072】
また、超音波センサ又はレーダセンサは、後述するθ1及びθ2の導出にも使用され得る。よって、距離Lの計測と、θ1及びθ2の計測とが互いに干渉しないようにすることが望ましい。例えば、計測の時間をずらしてもよいし、パルスの周波数を異なるようにしてもよい。また、距離Lの計測の精度を向上させるべく、対象物、すなわち、左のシュー20Lのセンサユニット1Lにも受発信機を取り付けてもよい。この場合、追加の受発信機が、受発信機15Rからパルスを受信したときに、異なる周波数のパルスを返信するように構成する。この場合、受発信機15R側において、追加の受発信機からの反射波を、反射位置の不明な反射波と区別することができ、追加の受発信機からの反射波に基づいて距離Lを精度よく導出することができる。
【0073】
<3-2.θ
1:スタンスの向き(方位)>
図10に示すように、スタンスの向き(方位)θ
1は、鉛直方向から視て、左右のシュー20L及び20Rの踵を結ぶ軸(右足のセンサユニット1Rから左足のセンサユニット1Lに向かう軸。
図10のy軸)と、北(
図10のN軸)との成す角度である。本実施形態では、θ
1=θ
1b-90°-θ
1aの式に従って計算される。
【0074】
θ1bは、鉛直方向から視て、右足のシュー20Rの踵からつま先に向かうxR軸と、北(N軸)との成す角度あり、地磁気センサ12Rにより計測される。θ1aは、鉛直方向から視たときの、右足のセンサユニット1Rに対する左足のセンサユニット1Lの向きである。θ1aの計測方法は様々あるが、例えば、複数の受発信機15R及び15Rからなる超音波センサ又はレーダセンサにより計測される。すなわち、所定の間隔をあけた受発信機15R及び15Rから超音波又はレーダのパルスを送信し、対象物、すなわち、左のシュー20Lで反射した反射波が各受発信機15Rまで返ってくるまでの時間を計測する。これにより、各受発信機15Rから左のシュー20Lまでの距離を計測することができ、三角測量の原理で、右足のセンサユニット1Rに対する左足のセンサユニット1Lの位置及び方位を計測することができる。
【0075】
ただし、以上の方法では、超音波又はレーダの反射位置が正確に特定できないこともあり得る。そのため、θ1aの計測のために、位相比較モノパルス法を利用することもできる。この場合、左足のセンサユニット1Lに発信機を設ける。また、この場合、右足の受発信機15R及び15Rは単なる受信機でもよい。そして、左足の発信機から発信される超音波又はレーダのパルスを、所定の間隔をあけた右足の受信機15R及び15Rで受信し、これらの受信機15R及び15Rで受信された信号の位相差に基づいて、θ1aを導出する。この場合、精度の観点からは、発信機は、センサユニット1Lから真っ直ぐ右側に向かう基準線に向きを合わせて埋め込むのが望ましい。また、受信機15R及び15Rは、センサユニット1Rから左側に向かう基準線に向きを合わせ、かつ、当該基準線から等距離に離れた位置に埋め込むのが望ましい。
【0076】
θ1の他の計測方法としては、特開1987-38301号公報に記載されるような、磁気を利用して対象物の3次元位置を計測する手法も利用することができる。この方法によれば、3次元位置が導出されるため、θ1だけでなく、θ2、θ3、θL及びL等も同時に測定することができる。
【0077】
また、グリップ42やヘッド41等に取り付けた慣性センサでフェースの向き(方位)を測定して、これをθ1とすることもできる。ただし、スタンスの向きとフェースの向きは、必ずしも一致するとは限らない。例えば、意図的にフェースを開いて構えた場合には、両者にずれが生じる。また、初級者は、スタンスとフェースの向きが意図せずにずれてしまうことがある。よって、以上のとおり、θ1は、ゴルフシューズ2に取り付けられているセンサ装置1により計測することが好ましい。しかしながら、フェースの向きに基づくθ1であっても、ゴルフコースに対してどのような向きに向かって打撃しようとしているのかは理解することができるため、例えば、コースマネージについてのフィードバック情報として使用することができる。
【0078】
<3-3.θ
L及びθ
R:左右の足の開き角度>
図10に示すように、θ
Lは、鉛直方向から視て、左足のシュー20Lの踵からつま先に向かうx
L軸の向きであり、左の地磁気センサ12Lにより計測される。同様に、θ
Rは、鉛直方向から視て、右足のシュー20Rの踵からつま先に向かうx
R軸の向きであり、右の地磁気センサ12Rにより計測される。θ
L及びθ
Rは、既出のy軸に垂直であり、水平面内に含まれるx軸を基準として導出される。
【0079】
<3-4.θ
2:左右の足の高低差>
図11に示すように、θ
2は、水平方向から視て、左右のシュー20L及び20Rの踵を結ぶ軸(右足のセンサユニット1Rから左足のセンサユニット1Lに向かう軸。
図11のy軸)と、水平線HLとの成す角度である。これは、左右の足の高低差を評価するパラメータとなる。本実施形態では、θ
2=θ
2b-90°+θ
2aの式に従って計算される。
【0080】
θ2bは、水平方向から視て、zR軸と、水平線HLとの成す角度あり、加速度センサ11Rにより計測される。zR軸は、踵から延びる軸であり、右足のシュー20Rが水平面上に配置されていた場合に鉛直(重力方向)上方に延びる軸である。θ2aは、水平方向から視たときの、右足のセンサユニット1Rに対する左足のセンサユニット1Lの向きである。θ2aの計測方法は様々あるが、θ1aを計測した場合と同様の超音波センサ又はレーダセンサにより計測することができる。なお、方位θ1aと仰俯角θ2aを計測するには、2組の超音波センサ又はレーダセンサが必要である。
【0081】
θ2の他の計測方法としては、θ2を左右の気圧(絶対圧力)センサ13L及び13Rの出力値から導出する方法もある。例えば、気圧センサ13L及び13Rとして、高低差(標高差)が数10cm、分解能が数cm以下の気圧センサを使用することにより、左右のセンサユニット1L及び1R間の高低差(距離)を計測することができる。そして、距離L、あるいは一般的な又はゴルファーが入力したスタンスの幅と、この高低差(距離)とから、幾何学的にθ2を導出することができる。
【0082】
<3-5.θ
3:前後方向の傾斜角度>
図12に示すように、θ
3Rは、水平方向から視て、右足のシュー20Rの踵からつま先に向かうソールに平行な軸(センサユニット1Rからつま先に向かう軸)と、水平線HLとの成す角度である。同様に、θ
3Lは、水平方向から視て、左足のシュー20Lの踵からつま先に向かうソールに平行な軸(センサユニット1Lからつま先に向かう軸)と、水平線HLとの成す角度である。θ
3Rは、加速度センサ11Rにより計測することができ、θ
3Lは、加速度センサ11Lにより計測することができる。前後方向の足の傾斜角度を示すθ
3は、θ
3L又はθ
3Rと一致するものとしてもよいし、この平均(単純平均及び重みづけ平均を含む)としてもよい。
【0083】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0084】
<4-1>
ゴルフ計測システム100は、ゴルフ場でのプレーだけでなく、練習場でのプレーを計測するのにも使用することができる。
【0085】
<4-2>
上記実施形態では、センサ装置1、センサユニット3及び携帯端末7間の通信は、無線接続により行われたが、これらの少なくとも一部の通信を有線接続にしてもよい。この場合、例えば、センサ装置1の記憶部16L及び16R内に、ラウンド中に計測されたセンサデータを保存しておき、後の分析時にこれらのセンサデータを有線接続により携帯端末7に受け渡すようにしてもよい。センサユニット3と携帯端末7との間の通信についても同様である。
【0086】
<4-3>
上記実施形態では、ゴルフシューズ2のセンサ装置1は、携帯端末7からの要求に応じてセンサデータを携帯端末7に送信したが、携帯端末7からの要求を待たずに、常時計測しているセンサデータを定期的に携帯端末7に送信するようにしてもよい。また、携帯端末7からセンサ装置1に対するセンサデータの要求も、ゴルフクラブ4の状態に関するセンサデータに基づき特定されるショット時刻に応じて行われるのではなく、ゴルファーがショット時刻の前後に携帯端末7に入力する指示に基づいて行われてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、シューズ2のセンサ装置1は、ショット通知に含まれるショット時刻に基づいて、ショット時刻の前後のセンサデータを抽出した。しかしながら、センサ装置1は、ゴルフクラブ4のセンサユニット3から携帯端末7を経由して又は経由せずにショット時にリアルタイムに送信されてくるショット通知の受信時刻から所定の時間遡ることにより、ショット前後のセンサデータを抽出してもよい。
【0088】
<4-4>
加速度センサ11L及び11Rに代えて、傾斜センサを取り付けることができる。このような傾斜センサも、左右のシュー20L及び20Rの前後方向の傾きを計測することができる。
【0089】
<4-5>
上記実施形態では、センサ装置1の制御部19L及び19Rは、センサモジュール10L及び10Rにより計測されたセンサデータをそのまま、携帯端末7に送信した。しかしながら、制御部19L及び19Rにおいて生のセンサデータを加工してから、この加工データを携帯端末7等の外部装置に出力するようにしてもよい。例えば、制御部19L及び19Rが、センサデータに基づいて足の姿勢を分析し、この分析の結果として、上述したパラメータL、θ1~θ3、θR及びθLの値、並びにショット時のライ及びスタンスの情報を導出し、これを出力してもよい。
【0090】
<4-6>
上記実施形態では、携帯端末7により様々なショットの分析が行われ、センサデータとともにその分析データがサーバー9に送信され、蓄積された。しかしながら、分析部74Cによる様々な分析の処理が、携帯端末7からのセンサデータに基づいて、サーバー9の制御部94において実行されてもよい。そして、ゴルファーは、自身が操作する携帯端末7又は任意のコンピュータを介してサーバー9にアクセスし、サーバー9から分析結果画面W1を含む分析データをダウンロードして、これを確認するようにしてもよい。
【0091】
<4-7>
上記実施形態では、左右のシュー20L及び20Rの両方にそれぞれセンサユニット1L及び1Rが取り付けられたが、片足のシューにのみセンサユニットを取り付けてもよい。このような場合であっても、上記したようなセンサモジュールにより、簡易的に両足の姿勢や、両足の位置関係を特定することができる。
【0092】
<4-8>
上記実施形態では、スタンスの情報として、スタンスの方位が導出された。しかしながら、スタンスの情報として、「スクエアスタンス」「オープンスタンス」「クローズスタンス」のように、ゴルファーが意図した打球方向に対するスタンスの向きが導出されてもよい。ゴルファーが意図した打球方向は、携帯端末7を介してゴルファー自身が入力することもできるし、アドレス時のフェース面41aの向きやショット時のゴルフクラブ4の軌道から特定することもできる。また、スタンスの情報として、上述した距離Lに基づいて、「ワイドスタンス」「ナロースタンス」のような情報を導出することもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 センサ装置
1L、1R センサユニット
10L、10R センサモジュール
11L、11R 加速度センサ
12L、12R 地磁気センサ
13L、13R 気圧センサ
15R、15R 受発信機(超音波センサ、レーダセンサ)
18L、18R 通信部
19L、19R 制御部
2 ゴルフシューズ
20L、20R 左右一対のシューズ
3 センサユニット
4 ゴルフクラブ
7 携帯端末(分析装置)
71 表示部
74 制御部
74A データ取得部
74B 位置計測部
74C 分析部
74D 画面作成部
9 サーバー(分析装置)