(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/202 20210101AFI20230301BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230301BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230301BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H01M50/202 401D
H01M50/204 401D
H01M50/202 501S
H01M50/209
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2018171799
(22)【出願日】2018-09-13
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000149332
【氏名又は名称】株式会社大泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】田中 豪
(72)【発明者】
【氏名】赤木 淳一
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0224542(US,A1)
【文献】特開2009-043637(JP,A)
【文献】特開2009-176601(JP,A)
【文献】特開2006-140054(JP,A)
【文献】特開2013-251125(JP,A)
【文献】特開2013-251124(JP,A)
【文献】特開2014-089912(JP,A)
【文献】特開2018-110093(JP,A)
【文献】特開2017-102048(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108112274(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記本体部は、前記温度検出素子が設けられるとともに前記弾性体の連結される基部(84)と、前記基部から延び、前記横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
前記第1回転腕部と前記第2回転腕部それぞれに前記凹部が形成され、
前記凹部は前記一面に沿う方向において前記横方向に直交する縦方向に開口し、
前記側壁面には、前記縦方向における前記凹部の開口する方向に突起した返し部(92a)が形成され、
前記縦方向における前記支持腕部と前記返し部との最短離間距離は、前記凹部の開口を区画する開口端面(87b,87g)のうちの前記基部側に位置する基準面(87b)と前記温度検出素子における前記一面との接触面(80e)との前記並び方向における最長離間距離よりも長くなっている電池モジュール。
【請求項2】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通する貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記本体部は、前記温度検出素子が設けられるとともに前記弾性体の連結される基部(84)と、前記基部から延び、前記横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
前記本体部における前記第1回転腕部と前記第2回転腕部それぞれには局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部は前記一面に沿う方向において前記横方向に直交する縦方向に開口し、
前記側壁面には、前記縦方向における前記凹部の開口する方向に突起した返し部(92a)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓み、
前記縦方向における前記支持腕部と前記返し部との最短離間距離は、前記凹部の開口を区画する開口端面(87b,87g)のうちの前記基部側に位置する基準面(87b)と前記温度検出素子における前記一面との接触面(80e)との前記並び方向における最長離間距離よりも長くなっている電池モジュール。
【請求項3】
前記支持腕部の前記支持面の裏側の規定面(91d)は、前記並び方向で、前記凹部を区画する区画面(87a)における上内面(87f)と対向している請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記規定面と前記上内面それぞれは前記並び方向に面している請求項
3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記支持腕部の前記支持面は、前記並び方向で、前記凹部を区画する区画面(87a)における下内面(87d)と対向している請求項1~
4いずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記支持面と前記下内面それぞれは前記並び方向に面している請求項
5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記支持腕部は前記横方向に延びるとともに、前記一面に沿う方向において前記横方向に直交する縦方向にも延びた板形状を成しており、
前記支持面は前記並び方向に面している請求項1~
6いずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記支持腕部は、前記第1回転腕部の前記凹部に一部の位置する第2支持腕部(91b)と、前記第2回転腕部の前記凹部に一部の位置する第1支持腕部(91a)と、を有し、
前記第1支持腕部と前記第2支持腕部は前記横方向で離間して対向している請求項
1または2に記載の電池モジュール。
【請求項9】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記支持腕部の前記支持面の裏側の規定面(91d)は、前記並び方向で、前記凹部を区画する区画面(87a)における上内面(87f)と対向している電池モジュール。
【請求項10】
前記規定面と前記上内面それぞれは前記並び方向に面している請求項
9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記支持腕部の前記支持面は、前記並び方向で、前記凹部を区画する区画面(87a)における下内面(87d)と対向している請求項
9または10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記支持腕部の前記支持面は、前記並び方向で、前記凹部を区画する区画面(87a)における下内面(87d)と対向している電池モジュール。
【請求項13】
前記支持面と前記下内面それぞれは前記並び方向に面している請求項
11または12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記支持腕部は前記横方向に延びるとともに、前記一面に沿う方向において前記横方向に直交する縦方向にも延びた板形状を成しており、
前記支持面は前記並び方向に面している請求項
9~
13いずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項15】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記支持腕部は前記横方向に延びるとともに、前記一面に沿う方向において前記横方向に直交する縦方向にも延びた板形状を成しており、
前記支持面は前記並び方向に面している電池モジュール。
【請求項16】
前記本体部は、前記温度検出素子が設けられるとともに前記弾性体の連結される基部(84)と、前記基部から延び、前記横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
前記第1回転腕部と前記第2回転腕部それぞれに前記凹部が形成されている請求項
9~15のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項17】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記本体部は、前記温度検出素子が設けられるとともに前記弾性体の連結される基部(84)と、前記基部から延び、前記横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
前記第1回転腕部と前記第2回転腕部それぞれに前記凹部が形成され、
前記支持腕部は、前記第1回転腕部の前記凹部に一部の位置する第2支持腕部(91b)と、前記第2回転腕部の前記凹部に一部の位置する第1支持腕部(91a)と、を有し、
前記第1支持腕部と前記第2支持腕部は前記横方向で離間して対向している電池モジュール。
【請求項18】
前記一面に電極端子(10g,10h)が形成されている請求項1~
17いずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項19】
少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
前記電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、前記温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、前記本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
前記電池セルを収納するとともに、前記温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
前記ケースにおける前記電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、前記対向壁の前記一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの前記電池セルに1つの前記温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、前記貫通孔を区画する側壁面(90c)から前記一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
前記対向壁における前記貫通孔の形成範囲が、1つの前記電池セルの前記一面内に収められ、
前記本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
前記凹部に前記支持腕部が位置する態様で前記温度センサが前記貫通孔に設けられ、
前記温度検出素子が前記一面に接触し、前記弾性体が前記支持腕部における前記一面側の支持面(91c)に接触し、前記弾性体が前記支持面と前記一面の並ぶ並び方向で撓
み、
前記一面に電極端子(10g,10h)が形成されている電池モジュール。
【請求項20】
前記本体部は、前記温度検出素子が設けられるとともに前記弾性体の連結される基部(84)と、前記基部から延び、前記横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
前記第1回転腕部と前記第2回転腕部それぞれに前記凹部が形成されている請求項
19に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電池セルと温度センサを備える電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、配列された複数のバッテリーセルに装着されるモジュール部品が知られている。モジュール部品は、複数のバッテリーセルに装着される板状のモジュール本体と、複数のバッテリーセルを直列接続するバスバーと、モジュール本体に係止される温度センサと、を有する。モジュール本体には、温度センサを係止するための貫通孔が形成されている。
【0003】
温度センサは、測温素子を合成樹脂で覆った本体部を有する。本体部の両側縁部の突端側には、突端側からその反対側に向かって先端部の延びる係止片が一組(一対)形成されている。この一組の係止片の先端部の間隔は、貫通孔の幅よりも広くなっている。一組の係止片は、互いの先端部の間隔が狭まったり広がったりする向きに弾性変形可能になっている。
【0004】
温度センサが貫通孔に挿通される過程で、一組の係止片は、貫通孔の縁部との摺接によって両先端部の間隔が狭まるように弾性変形して貫通孔の開口を通過する。貫通孔の開口を通過した一組の係止片はモジュール本体とバッテリーセルとの間に設けられるとともに、元の形に復元する。
【0005】
モジュール部品が複数のバッテリーセルに装着されたとき、温度センサの本体部の突端の測定面が所定のバッテリーセルに接触する。これにより一組の係止片がモジュール本体に押圧される。一組の係止片は互いの先端部の間隔が広がるように弾性変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したように特許文献1に示される温度センサの一組の係止片は、本体部とバッテリーセルとの接触によって、互いの先端部の間隔が広がるように弾性変形する。このような一組の係止片の変形を実現するためには、一組の係止片の押圧されるモジュール本体における先端部の間隔の広がる方向のスペースを貫通孔に確保しなくてはならない。これにより貫通孔の体格の増大、という問題が生じる。
【0008】
そこで本明細書に記載の開示は、貫通孔の体格の増大が抑制された電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
本体部は、温度検出素子が設けられるとともに弾性体の連結される基部(84)と、基部から延び、横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
第1回転腕部と第2回転腕部それぞれに凹部が形成され、
凹部は一面に沿う方向において横方向に直交する縦方向に開口し、
側壁面には、縦方向における凹部の開口する方向に突起した返し部(92a)が形成され、
縦方向における支持腕部と返し部との最短離間距離は、凹部の開口を区画する開口端面(87b,87g)のうちの基部側に位置する基準面(87b)と温度検出素子における一面との接触面(80e)との並び方向における最長離間距離よりも長くなっている。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通する貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
本体部は、温度検出素子が設けられるとともに弾性体の連結される基部(84)と、基部から延び、横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
本体部における第1回転腕部と第2回転腕部それぞれには局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部は一面に沿う方向において横方向に直交する縦方向に開口し、
側壁面には、縦方向における凹部の開口する方向に突起した返し部(92a)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
縦方向における支持腕部と返し部との最短離間距離は、凹部の開口を区画する開口端面(87b,87g)のうちの基部側に位置する基準面(87b)と温度検出素子における一面との接触面(80e)との並び方向における最長離間距離よりも長くなっている。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
支持腕部の支持面の裏側の規定面(91d)は、並び方向で、凹部を区画する区画面(87a)における上内面(87f)と対向している。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
支持腕部の支持面は、並び方向で、凹部を区画する区画面(87a)における下内面(87d)と対向している。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
支持腕部は横方向に延びるとともに、一面に沿う方向において横方向に直交する縦方向にも延びた板形状を成しており、
支持面は並び方向に面している。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
本体部は、温度検出素子が設けられるとともに弾性体の連結される基部(84)と、基部から延び、横方向で離間して対向する第1回転腕部(85a)と第2回転腕部(85b)を有し、
第1回転腕部と第2回転腕部それぞれに凹部が形成され、
支持腕部は、第1回転腕部の凹部に一部の位置する第2支持腕部(91b)と、第2回転腕部の凹部に一部の位置する第1支持腕部(91a)と、を有し、
第1支持腕部と第2支持腕部は横方向で離間して対向している。
また別の開示の1つは、少なくとも1つの電池セル(11~15)と、
電池セルの温度を検出する温度検出素子(80)、温度検出素子の設けられた本体部(83)、および、本体部に連結された弾性体(81)を備える温度センサ(42,42a,42b)と、
電池セルを収納するとともに、温度センサの設けられるケース(60)と、を有し、
ケースにおける電池セルの一面(10e)と対向する対向壁(66)には、対向壁の一面と対向する内面(62a)とその裏側の外面(62b)とを貫通し、1つの電池セルに1つの温度センサを配置するための貫通孔(90a,90b)、および、貫通孔を区画する側壁面(90c)から一面に沿う横方向に延びた支持腕部(91,91a,91b)が形成され、
対向壁における貫通孔の形成範囲が、1つの電池セルの一面内に収められ、
本体部には局所的に凹んだ凹部(87)が形成され、
凹部に支持腕部が位置する態様で温度センサが貫通孔に設けられ、
温度検出素子が一面に接触し、弾性体が支持腕部における一面側の支持面(91c)に接触し、弾性体が支持面と一面の並ぶ並び方向で撓み、
一面に電極端子(10g,10h)が形成されている。
【0010】
このように本開示では、温度検出素子(80)が一面(10e)に接触し、弾性体(81)が支持腕部(91)における一面(10e)側の支持面(91c)に接触する態様で、弾性体(81)が並び方向に撓んでいる。したがって、弾性体(81)を並び方向に直交する方向(一面に沿う方向)に撓ませるための空間を貫通孔(90a,90b)に形成してなくともよくなる。これにより対向壁(66)における貫通孔(90a,90b)の一面に沿う方向の体格の増大が抑制される。
【0011】
また本体部(83)に形成された凹部(87)に支持腕部(91)が位置している。これにより凹部の形成されていない本体部に支持腕部が一面に沿う方向で接触する構成と比べて、貫通孔(90a,90b)の一面に沿う方向の体格の増大が抑制される。
【0012】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】電源システムを説明するための回路図である。
【
図4】電池ケースの構成を説明するための図表である。
【
図5】電池ケースの構成を説明するための図表である。
【
図6】配線ケースの構成を説明するための図表である。
【
図7】配線ケースの構成を説明するための図表である。
【
図8】温度センサと配線ケースを説明するための拡大斜視図である。
【
図9】温度センサが配線ケースに組み付けられた状態を示す拡大斜視図である。
【
図10】温度センサと配線ケースの部分断面図である。
【
図11】温度センサの構成を説明するための図表である。
【
図12】温度センサの構成を説明するための図表である。
【
図13】温度センサの長さを説明するための側面図である。
【
図15】貫通孔の長さを説明するための断面図である。
【
図16】温度センサの貫通孔への挿入過程を示す図表である。
【
図17】温度センサの貫通孔への挿入過程を示す図表である。
【
図18】スナップフィット部の変形例を示す部分断面図である。
【
図19】スナップフィット部の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1~
図17に基づいて本実施形態に係る電池パック100、および、それを含む電源システム200を説明する。
【0016】
<電源システムの概要>
電源システム200は車両に搭載される。電源システム200は車両に搭載された複数の車載機器と電池パック100とによって構成されている。車載機器の1つとして鉛蓄電池110がある。電池パック100は組電池10を有している。電源システム200はこれら鉛蓄電池110と組電池10とによって2電源システムを構築している。
【0017】
他の車載機器としてエンジン140がある。電源システム200を搭載する車両は、所定の停止条件が満たされるとエンジン140を停止し、所定の始動条件が満たされるとエンジン140を再始動するアイドルストップ機能を有する。
【0018】
図1に示すように電源システム200は、上記した鉛蓄電池110とエンジン140の他に、スタータモータ120、回転電機130、電気負荷150、上位ECU160、および、MGECU170を有する。鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれは、第1ワイヤハーネス210を介して電池パック100と電気的に接続されている。回転電機130は第2ワイヤハーネス220を介して電池パック100と電気的に接続されている。
【0019】
上位ECU160とMGECU170は図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。同様にして、車両に搭載された他の各種ECUも図示しない配線を介して鉛蓄電池110と電池パック100それぞれと電気的に接続されている。
【0020】
以上に示したように電源システム200は、鉛蓄電池110と電池パック100(組電池10)の2つを電源とする2電源システムを構築している。
【0021】
<電源システムの構成要素>
鉛蓄電池110は化学反応によって起電圧を生成する。鉛蓄電池110は組電池10よりも蓄電容量が多い。
【0022】
スタータモータ120はエンジン140を始動する。スタータモータ120はエンジン140の始動時にエンジン140と機械的に連結される。スタータモータ120の回転によってエンジン140のクランクシャフトが回転される。クランクシャフトの回転数が所定回転数を超えると、燃料噴射弁から燃焼室に霧状の燃料が噴射される。この際に点火プラグで火花が生成される。これにより燃料が爆発し、エンジン140が自律回転し始める。このエンジン140の動力によって車両の推進力が得られる。エンジン140が自律回転し始めると、スタータモータ120とエンジン140との機械的な連結が解除される。
【0023】
回転電機130は力行と発電を行う。回転電機130には図示しない電力変換器が接続されている。この電力変換器が第2ワイヤハーネス220に電気的に接続されている。
【0024】
電力変換器は鉛蓄電池110および電池パック100の組電池10のうちの少なくとも一方から供給された直流電圧を交流電圧に変換する。この交流電圧が回転電機130に供給される。これにより回転電機130は力行する。
【0025】
回転電機130はエンジン140と連結されている。回転電機130とエンジン140とは、ベルトなどを介して相互に回転エネルギーを伝達可能になっている。回転電機130の力行によって生じた回転エネルギーはエンジン140に伝達される。これによりエンジン140の回転が促進される。この結果、車両走行がアシストされる。上記したように電源システム200を搭載する車両はアイドルストップ機能を有する。回転電機130は車両走行のアシストだけではなく、エンジン140の再始動時にクランクシャフトを回転させる機能も果たす。
【0026】
回転電機130はエンジン140の回転エネルギー、および、車両の車輪の回転エネルギーの少なくとも一方によって発電する機能も有する。回転電機130は発電によって交流電圧を生成する。この交流電圧が電力変換器によって直流電圧に変換される。この直流電圧が、電池パック100、鉛蓄電池110、および、電気負荷150それぞれに供給される。
【0027】
エンジン140は燃料を燃焼駆動することで車両の推進力を生成する。上記したようにエンジン140の始動時においては、スタータモータ120によってクランクシャフトが回転される。しかしながらアイドルストップによってエンジン140が一度停止した後に再び始動する際、上記の所定の始動条件が満たされる場合、回転電機130によってクランクシャフトが回転される。
【0028】
電気負荷150は一般負荷151と保護負荷152を有する。一般負荷151には、シートヒータ、送風ファン、電動コンプレッサ、ルームライト、および、ヘッドライトなどの供給電力が一定でなくともよい車載機器が含まれる。保護負荷152には、電動シフトポジション、電動パワーステアリング(EPS)、ブレーキ(ABS)、ドアロック、ナビゲーションシステム、および、オーディオなどの供給電力が一定であることが求められる車載機器が含まれる。ここに例示した保護負荷152は供給電圧がリセット閾値を下回るとオン状態からオフ状態へと切り換わる性質を有する。保護負荷152には一般負荷151よりも車両走行に関連性の高い車載機器が含まれる。
【0029】
なお、上記した各種車載機器が一般負荷151と保護負荷152に含まれる構成は一例に過ぎない。車載システムの変更などに応じて、各種車載機器を一般負荷151と保護負荷152に適宜振り分けることができる。例えば一般負荷151にEPSやABSが含まれる構成を採用することができる。
【0030】
上位ECU160とMGECU170は車両に搭載された各種ECUのうちの1つである。これら各種ECUはバス配線161を介して互いに電気的に接続され、車載ネットワークを構築している。各種ECUが協調制御することで、エンジン140の燃焼および回転電機130の力行や発電などが制御される。上位ECU160は電池パック100を制御する。MGECU170は回転電機130を制御する。
【0031】
また図示しないが、電源システム200は、上記した各車載機器の他に、各種電圧や電流などの物理量、および、アクセルペダルの踏み込み量やスロットルバルブ開度などの車両情報を測定するためのセンサを有している。これら各種センサの検出した検出信号は、各種ECUに入力される。
【0032】
なお、ECUはelectronic control unitの略である。ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、を有する。ECUはコンピュータで読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体はコンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。
【0033】
<電池パックの概要>
図1に示すように電池パック100は、組電池10、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバー50を有する。また
図2および
図3に示すように電池パック100は、モジュールケース60と連結バスバー70を有する。
【0034】
組電池10は鉛蓄電池110よりも体格が小さく、重量も軽くなっている。組電池10は鉛蓄電池110よりもエネルギー密度が高い性質を有する。
【0035】
回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21にはスイッチ30の一部とBMU22が搭載されている。そして回路基板20にスイッチ30の残りと組電池10とが給電バスバー50を介して電気的に接続されている。これにより電池パック100の電気回路が構成されている。この電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。
【0036】
電池パック100の電気回路は
図1において二重丸で示す外部接続端子と電気的に接続されている。この外部接続端子としては、第1外部接続端子100a、第2外部接続端子100b、第3外部接続端子100c、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eがある。
【0037】
第1外部接続端子100a、第4外部接続端子100d、および、第5外部接続端子100eは第1ワイヤハーネス210を介して鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、電気負荷150それぞれと電気的に接続されている。第2外部接続端子100bは第2ワイヤハーネス220を介して回転電機130と電気的に接続されている。第3外部接続端子100cはボルト、若しくは、ワイヤハーネスを介して車両のボディと接続されている。これにより電池パック100はボディアースされている。
【0038】
なお
図1に示すように第1ワイヤハーネス210は、鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続するものと、保護負荷152を接続するものとに分けられている。この鉛蓄電池110、スタータモータ120、および、一般負荷151を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は二又に分かれている。二又に分かれた端部のうちの一方が第1外部接続端子100aに接続され、他方が第5外部接続端子100eに接続される。保護負荷152を接続する第1ワイヤハーネス210の端部は第4外部接続端子100dに接続される。
【0039】
図2および
図3に示すようにモジュールケース60は電池ケース61と配線ケース62を有する。電池ケース61に組電池10が収納される。配線ケース62にセンサ部40が設けられる。電池ケース61に配線ケース62が連結される。これにより電池ケース61と配線ケース62の中に組電池10が収納される。組電池10を構成する複数の電池セルの電極端子が
図3に示す連結バスバー70を介して電気的に直列接続される。これにより電池モジュール1が構成されている。モジュールケース60がケースに相当する。
【0040】
図示しないが、電池パック100はパックケースを有する。パックケースは筐体とカバーを有する。この筐体とカバーとによって収納空間が構成されている。この収納空間に、組電池10、モジュールケース60、連結バスバー70、回路基板20、スイッチ30、センサ部40、および、給電バスバー50それぞれが収納されている。またこの収納空間に、図示しない抑制板が収納されている。
【0041】
<電池パックの構成要素>
次に、電池パック100の構成要素を個別に説明する。
【0042】
組電池10は複数の電池セルを有する。この電池セルは具体的にはリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。起電圧の生成により電池セルに電流が流れる。これにより電池セルは発熱してガスを発生する。そのために電池セルは膨張する。なお電池セルとしては上記例に限定されない。例えば電池セルとしては、ニッケル水素二次電池、有機ラジカル電池などの二次電池を採用することができる。
【0043】
上記したように回路基板20は配線基板21とBMU22を有する。配線基板21は絶縁基板に導電材料からなる配線パターンの形成されたプリント基板である。絶縁基板の表面および内部の少なくとも一方に、配線パターンとして第1給電線23、第2給電線24、および、第3給電線25が形成されている。
【0044】
配線基板21には図示しない導電プレートが固定されている。この導電プレートにボルト孔が形成されている。この導電プレートのボルト孔にボルトが通される。このボルトが筐体に固定される。これにより配線基板21は筐体と機械的および電気的に接続されている。
【0045】
後述するように筐体はグランド電位に接続される。そのために配線基板21の導電プレートはグランド電位に接続される。配線基板21に搭載されたBMU22はこの導電プレートの電位を基準電位としている。
【0046】
配線基板21には配線パターンと電気的に接続される端子が形成されている。この端子としては、第1内部端子26a、第2内部端子26b、第3内部端子26c、および、第4内部端子26dがある。また配線基板21には上記の第5外部接続端子100eが設けられている。第5外部接続端子100eはコネクタである。この第5外部接続端子100eも配線パターンと電気的に接続されている。これら配線パターンと内部端子および第5外部接続端子100eそれぞれの電気的な接続の説明は、後の電池パック100の回路構成の説明の際に行う。
【0047】
スイッチ30は、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第3スイッチ33、第4スイッチ34、および、第5スイッチ35を有する。第1スイッチ31と第2スイッチ32は筐体に搭載される。第3スイッチ33と第4スイッチ34、および、第5スイッチ35それぞれは配線基板21に搭載される。
【0048】
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは半導体スイッチを有する。この半導体スイッチは具体的にはNチャネル型MOSFETである。したがって第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはハイレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれはローレベルの制御信号の入力によって開状態になる。
【0049】
この第1スイッチ31~第4スイッチ34の有する半導体スイッチとしてはIGBTなどを採用することもできる。この場合、IGBTにはダイオードが並列接続される。
【0050】
第5スイッチ35はメカニカルリレーである。詳しく言えば第5スイッチ35はノーマリクローズ式の電磁リレーである。したがって第5スイッチ35はハイレベルの制御信号の入力によって開状態になる。第5スイッチ35はローレベルの制御信号の入力によって閉状態になる。換言すれば、第5スイッチ35はハイレベルの制御信号の入力が途絶えると閉状態になる。
【0051】
第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは、2つのMOSFETが直列接続されてなる開閉部を少なくとも1つ有する。これら2つのMOSFETはソース電極同士が連結されている。2つのMOSFETのゲート電極は電気的に独立している。MOSFETは寄生ダイオードを有する。2つのMOSFETの寄生ダイオードは互いにアノード電極同士が連結されている。上記のゲート電極は回路基板20と電気的に接続される。
【0052】
第1スイッチ31と第2スイッチ32は複数の開閉部を有する。複数の開閉部は並列接続されている。
【0053】
第3スイッチ33は1つの開閉部を有する。第4スイッチ34は複数の開閉部を有する。第4スイッチ34の有する複数の開閉部は直列接続されている。なお、第3スイッチ33と第4スイッチ34のうちの少なくとも一方が複数の開閉部を有し、これら複数の開閉部が並列接続された構成を採用することもできる。
【0054】
図1では第1スイッチ31と第2スイッチ32それぞれの並列接続された開閉部を2つ示している。第4スイッチ34の有する直列接続された開閉部を2つ示している。これら開閉部の数や接続形態は電流量や冗長性などに応じて適宜定めることができる。
【0055】
上記したように電気回路にセンサ部40が電気的に接続されている。このセンサ部40は、組電池10とスイッチ30それぞれの状態を検出するセンサ素子を有する。センサ部40はセンサ素子として、温度センサ、電流センサ、および、電圧センサを有する。
【0056】
センサ部40は組電池10の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれを組電池10の状態信号としてBMU22に出力する。またセンサ部40はスイッチ30の温度、電流、および、電圧を検出する。センサ部40はそれをスイッチ30の状態信号としてBMU22に出力する。
【0057】
図1では、これら複数のセンサの代表として、組電池10の電圧を検出する電圧センサ41と、組電池10の温度を検出する温度センサ42を明示している。
【0058】
またセンサ部40は上記の各種センサの他に水没センサ43を有する。水没センサ43は水などによって抵抗値が変化する。水没センサ43はこの抵抗値の変化をBMU22が検出する。BMU22は抵抗の変化が所定時間継続されるか否かに基づいて、電池パック100の水没を検出する。
【0059】
BMU22はセンサ部40の状態信号、および、上位ECU160からの指令信号の少なくとも一方に基づいてスイッチ30を制御する。BMUはbattery management unitの略である。
【0060】
上記したように第1スイッチ31~第4スイッチ34それぞれは複数の半導体スイッチを有する。BMU22は例えば第1スイッチ31の開閉を制御する場合、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチを同時に閉状態、若しくは、同時に開状態に制御する。すなわちBMU22は、第1スイッチ31の有する全ての半導体スイッチのゲート電極にハイレベルの制御信号、若しくは、ローレベルの制御信号を同時に出力する。
【0061】
なおBMU22は、半導体スイッチを閉状態にする期間において、ハイレベルの制御信号を間断的に出力することで半導体スイッチの閉時間を調整してもよい。簡単に言えば、BMU22は半導体スイッチをパルス幅制御してもよい。
【0062】
BMU22はセンサ部40の状態信号に基づいて組電池10の充電状態(SOC)やスイッチ30の異常を判定する。SOCはstate of chargeの略である。BMU22はこれらSOCや異常を判定した信号(判定情報)を上位ECU160に出力する。
【0063】
上位ECU160はBMU22から入力された判定情報、および、他の各種ECUから入力された車両情報に基づいてスイッチ30の制御を決定する。そして上位ECU160はその決定したスイッチ30の制御を含む指令信号をBMU22に出力する。
【0064】
BMU22は上位ECU160からの指令信号に基づいてスイッチ30を制御する。ただしBMU22は、水没センサ43の状態信号により電池パック100が水没したと判断した場合、スイッチ30への制御信号の出力の停止を独断で実行する。これにより組電池10の電気的な接続が遮断される。
【0065】
またBMU22は動作保障温度程度までスイッチ30の温度が上昇したと判断すると、スイッチ30の駆動を制限する。例えばスイッチ30の半導体スイッチをパルス幅制御していた場合、BMU22はそのオンデューティ比を低める。これにより半導体スイッチの通電時間が短くなる。この結果、半導体スイッチの発熱が抑制される。
【0066】
給電バスバー50はアルミニウムや銅などの導電材料から成る。給電バスバー50は例えば以下に列挙する方法で製造することができる。給電バスバー50は1枚の平板を屈曲加工することで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板が一体的に連結されることで製造することができる。給電バスバー50は複数の平板を溶接することで製造することができる。給電バスバー50は鋳型に溶融状態の導電材料を流し込むことで製造することができる。以上に列挙した製造方法とは異なる製造方法によっても給電バスバー50を製造することができる。給電バスバー50の製造方法としては特に限定されない。さらに言えば、給電バスバー50としては、例えば絶縁電線を採用することもできる。
【0067】
電池パック100は給電バスバー50として、第1給電バスバー51、第2給電バスバー52、第3給電バスバー53、および、第4給電バスバー54を有する。これら複数の給電バスバーによって回路基板20と組電池10、および、回路基板20と外部接続端子とが電気的に接続されている。
図1ではこれら給電バスバーそれぞれを配線基板21の給電線よりも太くして図示している。なお、これら給電バスバーは図示しない絶縁性の樹脂台に設けられている。
【0068】
上記したようにモジュールケース60は電池ケース61と配線ケース62を有する。これら電池ケース61と配線ケース62それぞれは絶縁性の樹脂材料からなる。電池ケース61と配線ケース62それぞれの比熱は空気よりも高くなっている。この電池ケース61と配線ケース62とによって構成される空間に組電池10が収納される。
【0069】
連結バスバー70は給電バスバー50と同等の製造方法によって形成される。連結バスバー70は配線ケース62に設けられる。連結バスバー70は組電池10の有する複数の電池セルを電気的および機械的に連結する。
【0070】
上記したように電池パック100はパックケースを有する。パックケースの有する筐体はアルミダイカストで製造することができる。また筐体は鉄やステンレスをプレス加工することによっても製造することができる。
【0071】
筐体は、底壁と、底壁の底面から環状に起立した側壁と、を有する。環状の側壁によって開口部が構成されている。この開口部がカバーによって覆われる。これにより収納空間が構成される。カバーは樹脂製若しくは金属製である。
【0072】
なお底壁には第3外部接続端子100cに相当する孔が形成されている。この孔に挿入されるボルトを介して底壁は車両のボディと機械的および電気的に接続されている。これにより筐体はグランド電位になっている。
【0073】
本実施形態のパックケース(電池パック100)は車両の座席下方に設けられる。しかしながら電池パック100の配置としてはこれに限定されない。電池パック100は、例えば後部座席とトランクルームとの間の空間、および、運転席と助手席の間の空間などに配置することもできる。
【0074】
<電池パックの回路構成>
次に、電池パック100の回路構成を説明する。なおこの回路には、
図1に示すプリチャージ抵抗55も接続される。プリチャージ抵抗55は配線基板21に搭載されている。
【0075】
以下に示す各給電バスバーと各スイッチとの接続はTIG溶接によって行われる。各給電バスバーと外部接続端子との接続はボルト締めによって行われる。そして各給電バスバーと回路基板20との接続はろう接によって行われる。なお、各給電バスバーと各スイッチとはレーザ溶接によって接続してもよい。
【0076】
図1に示すように第1外部接続端子100aと第1スイッチ31の一端とが第1給電バスバー51を介して電気的に接続されている。第1給電バスバー51から一部が分岐している。この第1給電バスバー51の分岐部位51aが配線基板21の第1内部端子26aと電気的に接続されている。
【0077】
第1スイッチ31の他端と第2外部接続端子100bとが第2給電バスバー52を介して電気的に接続されている。第2給電バスバー52から一部が分岐している。この第2給電バスバー52の分岐部位52aが第2スイッチ32の一端と電気的に接続されている。また分岐部位52bが第4内部端子26dに接続されている。
【0078】
第2スイッチ32の他端と組電池10の正極とが第3給電バスバー53を介して電気的に接続されている。第3給電バスバー53から一部が分岐している。この第3給電バスバー53の分岐部位53aが配線基板21の第2内部端子26bと電気的に接続されている。なお組電池10の負極は第3外部接続端子100cと電気的に接続されている。
【0079】
配線基板21の第1内部端子26aと第2内部端子26bとが第1給電線23を介して電気的に接続されている。この第1給電線23に、第1内部端子26aから第2内部端子26bに向かって順に第3スイッチ33と第4スイッチ34が直列接続されている。
【0080】
配線基板21の第3内部端子26cと第5外部接続端子100eとが第2給電線24を介して電気的に接続されている。そして第3内部端子26cは第4給電バスバー54を介して第4外部接続端子100dと電気的に接続されている。
【0081】
第2給電線24に第5スイッチ35が設けられている。そして第2給電線24における第3内部端子26cと第5スイッチ35との間の中点が、第1給電線23における第3スイッチ33と第4スイッチ34との間の中点と連結されている。
【0082】
また第1給電線23における第1内部端子26aと第3スイッチ33との間の中点と第4内部端子26dとが第3給電線25を介して電気的に接続されている。この第3給電線25にプリチャージ抵抗55が設けられている。
【0083】
以上により、第1スイッチ31、第2スイッチ32、第4スイッチ34、および、第3スイッチ33が順に環状に接続されている。第1スイッチ31と第2スイッチ32の中点が第2外部接続端子100bに接続されている。第2スイッチ32と第4スイッチ34の中点が組電池10に接続されている。第4スイッチ34と第3スイッチ33の中点が第4外部接続端子100dに接続されている。第3スイッチ33と第1スイッチ31の中点が第1外部接続端子100aに接続されている。
【0084】
また、第4外部接続端子100dと第5外部接続端子100eとが第5スイッチ35を介して接続されている。第3スイッチ33と第4スイッチ34との間の中点が第5スイッチ35を介して第5外部接続端子100eに接続されている。
【0085】
以上の電気的な接続構成により、第1スイッチ31を開閉制御することで第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第1スイッチ31を開閉制御することで鉛蓄電池110と回転電機130との電気的な接続が制御される。
【0086】
第2スイッチ32を開閉制御することで第2外部接続端子100bと組電池10との電気的な接続が制御される。換言すれば、第2スイッチ32を開閉制御することで回転電機130と組電池10との電気的な接続が制御される。
【0087】
第4スイッチ34を開閉制御することで第2内部端子26bと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第4スイッチ34を開閉制御することで組電池10と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
【0088】
第3スイッチ33を開閉制御することで第1内部端子26aと第3内部端子26cとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第3スイッチ33を開閉制御することで鉛蓄電池110と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
【0089】
第5スイッチ35を開閉制御することで第3内部端子26cと第5外部接続端子100eとの電気的な接続が制御される。換言すれば、第5スイッチ35を開閉制御することで鉛蓄電池110と保護負荷152との電気的な接続が制御される。
【0090】
なお、第1外部接続端子100aと第2外部接続端子100bはプリチャージ抵抗55を介して電気的に接続されている。上記したように第2外部接続端子100bに第2ワイヤハーネス220が接続されている。そしてこの第2ワイヤハーネスに図示しない電力変換器が接続されている。
【0091】
電力変換器は大容量の平滑コンデンサを備えている。平滑コンデンサは電荷が充電された状態で使用される。この平滑コンデンサの電荷の充電は、鉛蓄電池110からの電力供給によって行われる。第1ワイヤハーネス210と第2ワイヤハーネス220が電池パック100に接続される。これによりプリチャージ抵抗55を介して鉛蓄電池110から平滑コンデンサに電荷が供給される。このようにプリチャージ抵抗55を介することで、鉛蓄電池110から平滑コンデンサに流れる電流量が急激に増大することが抑制されている。
【0092】
<電池モジュールの構成>
以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、および、z方向と示す。x方向は車両の左右方向に沿っている。z方向は車両の天地方向に沿っている。車両が水平面に停車している場合、z方向は鉛直方向に沿う。x方向とy方向は水平方向に沿う。
【0093】
<組電池>
上記したように組電池10は複数の電池セルを有する。この電池セルは直方体形状を成している。そのために電池セルは6面を有する。
図3に示すように電池セルはz方向に面する第1主面10aと第2主面10bを有する。電池セルはx方向に面する第1側面10cと第2側面10dを有する。電池セルはy方向に面する上端面10eを有する。また図示しないが電池セルはy方向に面する下端面を有する。これら6面のうち第1主面10aと第2主面10bは他の4面よりも面積が大きくなっている。そして電池セルは第1主面10aと第2主面10bとの間の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。
【0094】
電池セルの上端面10eに電極端子としての正極端子10gと負極端子10hが形成されている。正極端子10gと負極端子10hは直方体形状を成している。正極端子10gと負極端子10hは電池セルから離れるように上端面10eからy方向に沿って突起している。上端面10eが一面に相当する。
【0095】
正極端子10gと負極端子10hはx方向に離間して並んでいる。正極端子10gは第1側面10c側に位置する。負極端子10hは第2側面10d側に位置する。
【0096】
図3に示すように上端面10eにおける正極端子10gと負極端子10hとの間には、局所的に剛性の低い安全弁10iが形成されている。上記したように電池セルはガスの生成によって膨張する。ガスの生成によって電池セルの内圧が上昇すると、安全弁10iに亀裂が生じる。これにより電池セルのガスが安全弁10iを介して外に排出される。
【0097】
上端面10eにおける正極端子10g、負極端子10h、および、安全弁10iそれぞれの非形成領域にパッキン10jが設けられる。パッキン10jはゴムなどの弾性材料から成る。パッキン10jはy方向に開口する環状を成す。パッキン10jは正極端子10gおよび負極端子10hそれぞれよりもy方向の長さが長くなっている。パッキン10jは電池ケース61と配線ケース62との連結によって、電池セルと配線ケース62との間で挟持される。
【0098】
本実施形態の組電池10は第1電池セル11、第2電池セル12、第3電池セル13、第4電池セル14、および、第5電池セル15を有する。これら複数の電池セルが並ぶことで電池スタックが構成されている。これら複数の電池セルが電気的に直列接続される。第1電池セル11が最低電位の電池セルになる。第5電池セル15が最高電位の電池セルになる。
【0099】
本実施形態では上記の電池スタックとして第1電池スタック10lと第2電池スタック10mが構成されている。第1電池スタック10lに5つの電池セルのうちの第1電池セル11、第4電池セル14、および、第5電池セル15が分配されている。第2電池スタック10mには残りの第2電池セル12と第3電池セル13が分配されている。
【0100】
第1電池スタック10lでは第1電池セル11、第4電池セル14、および、第5電池セル15がz方向で順に並んでいる。第2電池スタック10mでは第2電池セル12と第3電池セル13がz方向で並んでいる。これら電池スタックが電池ケース61に収納される。
【0101】
<電池ケース>
次に
図4および
図5に基づいて電池ケース61を説明する。
図4の(a)欄は電池ケースの斜視図を示している。
図4の(b)欄は電池ケースの正面図を示している。
図5の(a)欄は電池ケースの背面図を示している。
図5の(b)欄は電池ケースの上面図を示している。
【0102】
図4および
図5に示すように電池ケース61はy方向に開口する箱形状を成している。電池ケース61はy方向に面する底壁63、底壁63の内面61aからy方向に環状に起立した周壁64を有する。底壁63には内面61aとその裏側の外面61bとをy方向に貫通する開口窓63aが形成されている。
【0103】
周壁64はz方向に並ぶ上壁64aと下壁64b、および、x方向に並ぶ左壁64cと右壁64dを有する。y方向まわりの周方向で、上壁64a、右壁64d、下壁64b、および、左壁64cが順に連結されて環状を成している。
【0104】
また電池ケース61は環状の周壁64によって囲まれた領域をx方向で2つに分ける第1区画壁64eを有する。この第1区画壁64eによって、電池ケース61の周壁64によって囲まれた領域は、第1電池スタック10lを収納する第1スタック収納空間64fと、第2電池スタック10mを収納する第2スタック収納空間64gと、に分けられている。
【0105】
さらに電池ケース61は、スタック収納空間を各電池セルに応じた個別の収納空間に分けるための第2区画壁64hを有する。第1スタック収納空間64fには2つの第2区画壁64hが設けられている。これら2つの第2区画壁64hは、第1スタック収納空間64f内においてz方向で離間して並んでいる。そしてこれら2つの第2区画壁64hは第1区画壁64eと右壁64dとを連結している。これにより第1スタック収納空間64fはz方向において下壁64bから上壁64a側に向かって順に並ぶ第1収納空間64i、第4収納空間64l、および、第5収納空間64mに区画されている。
【0106】
第2スタック収納空間64gには1つの第2区画壁64hが設けられている。この1つの第2区画壁64hは、第2スタック収納空間64g内において上壁64aと下壁64bとの間に位置している。そしてこの1つの第2区画壁64hは左壁64cと第1区画壁64eとを連結している。これにより第2スタック収納空間64gはz方向において下壁64bから上壁64a側に向かって順に並ぶ第2収納空間64jと第3収納空間64kに区画されている。
【0107】
以上に示したように第1スタック収納空間64fは3つの収納空間を有する。これに対して第2スタック収納空間64gは2つの収納空間を有する。そのために第1スタック収納空間64fは第2スタック収納空間64gよりもz方向の長さが長くなっている。
【0108】
図4の(b)欄に示すように、2つのスタック収納空間それぞれの一部を区画する下壁64bはx方向に延びた形状を成している。そのために下壁64bにおける第1スタック収納空間64fを区画する部位のz方向の位置と、第2スタック収納空間64gを区画する部位のz方向の位置とが等しくなっている。
【0109】
これに対して、上壁64aにおける第1スタック収納空間64fの一部を区画する部位は、第2スタック収納空間64gの一部を区画する部位よりも、z方向において下壁64bから離間している。そして上壁64aにおける第1スタック収納空間64fの一部を区画する部位と、第2スタック収納空間64gの一部を区画する部位との間の部位は、z方向に沿って延びている。これにより上壁64aはz方向とx方向とによって規定される平面においてクランク形状を成している。
【0110】
以上に示した下壁64bと上壁64aの形状のために、第5収納空間64mのx方向における第3収納空間64k側に、1つの収納空間分の空き空間が構成されている。なお第1収納空間64iと第2収納空間64jはx方向で並んでいる。第4収納空間64lと第3収納空間64kはx方向で並んでいる。
【0111】
図示しないが、この空き空間に回路基板20の少なくとも一部が設けられる。回路基板20の有する配線基板21はz方向の厚さの薄い平板形状を成している。この配線基板21のy方向に沿う側部が第5収納空間64mとx方向で並んでいる。
【0112】
上記した5つの個別の収納空間はそれぞれy方向に開口している。これら収納空間の開口からその中側へと電池セルが挿入される。各電池セルは、対応する収納空間に対して、電池セルの下端面が電池ケース61の底壁63の内面61aと接触するまで挿入される。この挿入状態で、各電池セルの正極端子10gと負極端子10hが収納空間の外に飛び出している。また電池セルの第1主面10a、第2主面10b、第1側面10c、および、第2側面10dそれぞれの上端面10e側も電池ケース61の外に飛び出している。
【0113】
第1スタック収納空間64fでは、第1電池セル11と第4電池セル14それぞれの第2主面10bがz方向で対向している。第4電池セル14と第5電池セル15それぞれの第1主面10aがz方向で互いに対向している。これにより正極端子10gと負極端子10hがz方向で交互に並んでいる。
【0114】
第2スタック収納空間64gでは、第2電池セル12と第3電池セル13それぞれの第2主面10bがz方向で互いに対向している。これにより正極端子10gと負極端子10hがz方向で交互に並んでいる。
【0115】
そして第1電池セル11の正極端子10gと第2電池セル12の負極端子10hがx方向で並んでいる。第4電池セル14の負極端子10hと第3電池セル13の正極端子10gがx方向で並んでいる。
【0116】
電池ケース61は上記した底壁63と周壁64の他に、周壁64の先端からx方向とz方向とによって規定される平面に沿って電池ケース61の中心から外に離れる方向に延びる第1フランジ部65を有する。第1フランジ部65は周壁64の上壁64a、右壁64d、下壁64b、および、左壁64cそれぞれに形成されて環状を成している。
【0117】
第1フランジ部65における右壁64dと左壁64cそれぞれに形成された部位には、y方向に沿う複数の第1ねじ孔61cが形成されている。第1区画壁64eにも第1ねじ孔61cが形成されている。また第1フランジ部65における上壁64aに形成された部位にも第1ねじ孔61cが形成されている。この第1フランジ部65に形成された第1ねじ孔61cは第1区画壁64eに形成された第1ねじ孔61cとz方向で並んでいる。これら複数の第1ねじ孔61cそれぞれは電池ケース61の内面61aに開口している。
【0118】
<配線ケース>
次に
図6および
図7に基づいて配線ケース62を説明する。
図6の(a)欄は配線ケースの斜視図を示している。
図6の(b)欄は配線ケースの正面図を示している。
図7の(a)欄は配線ケースの背面図を示している。
図7の(b)欄は配線ケースの上面図を示している。
【0119】
図6および
図7に示すように配線ケース62はx方向に延びた形状を成している。配線ケース62の電池セルとの対向部位はy方向において電池ケース61から離れる方向に凹んでいる。これにより配線ケース62はy方向に開口する箱形状を成している。
【0120】
具体的には、配線ケース62はy方向に面する蓋壁66、および、蓋壁66から環状に起立した環状壁67を有する。蓋壁66はy方向において電池セルと対向配置される。環状壁67は蓋壁66における電池ケース61側の面(内面62a)の縁部から電池セル側に起立している。蓋壁66が対向壁に相当する。
【0121】
環状壁67はz方向に並ぶ上壁67aと下壁67b、および、x方向に並ぶ左壁67cと右壁67dを有する。y方向まわりの周方向で、上壁67a、右壁67d、下壁67b、および、左壁67cが順に連結されて環状を成している。x方向とz方向によって規定される平面において、環状壁67は電池ケース61の周壁64と類似の形状を成している。
【0122】
そのために環状壁67の上壁67aは、周壁64の上壁64aと同様にして、第1スタック収納空間64f側の部位が第2スタック収納空間64g側の部位よりも、z方向において下壁64bから離間している。そして上壁67aにおける第1スタック収納空間64fと第2スタック収納空間64gとの間の部位は、z方向に沿って延びている。これにより上壁67aはz方向とx方向とによって規定される平面においてクランク形状を成している。
【0123】
図6および
図7に示すように配線ケース62は、これら蓋壁66と環状壁67の他に、環状壁67の先端からx方向とz方向によって規定される平面に沿って配線ケース62の中心から離れる方向に延びる第2フランジ部68を有する。第2フランジ部68は環状壁67の上壁67a、右壁67d、下壁67b、および、左壁67cそれぞれに形成されて環状を成している。
【0124】
第2フランジ部68における右壁67dと左壁67cそれぞれに形成された部位には、y方向に沿う複数の第2ねじ孔62cが形成されている。蓋壁66における第1区画壁64eとの対向部位に第2ねじ孔62cが形成されている。また第2フランジ部68における上壁67aに形成された部位にも第2ねじ孔62cが形成されている。この第2フランジ部68に形成された第2ねじ孔62cは蓋壁66における第1区画壁64eとの対向部位に形成された第2ねじ孔62cとz方向で並んでいる。これら複数の第2ねじ孔62cそれぞれは配線ケース62の内面62aとその裏側の外面62bそれぞれに開口している。
【0125】
配線ケース62は、電池ケース61の収納空間の開口部を閉塞するとともに、電池セルにおける電池ケース61の開口から外に飛び出した部位を覆うように、電池ケース61に設けられる。この配線ケース62の電池ケース61への配置により、電池ケース61の第1ねじ孔61cの開口する内面61aと、配線ケース62の第2ねじ孔62cの開口する内面62aとがy方向で対向する。
【0126】
これらねじ孔の開口する電池ケース61の内面61aと配線ケース62の内面62aとの間には図示しないカラーが設けられる。カラーはy方向の長さ(厚さ)の薄い扁平形状を成している。カラーはギャップを有する環状を成している。カラーの環状を成す部位はy方向に開口している。このカラーの開口が、第1ねじ孔61cの内面61a側の開口と第2ねじ孔62cの内面62a側の開口との間に位置する。
【0127】
これら第2ねじ孔62c、カラー、および、第1ねじ孔61cがy方向に並ぶことで構成される複数の合成ねじ孔それぞれに、
図2および
図3に示すねじ部材60bが締結される。これにより電池ケース61と配線ケース62とが互いにy方向に近づく態様で機械的に接続(連結)される。この連結状態において、電池ケース61は配線ケース62のy方向への投影面内に収められている。
【0128】
なお第1ねじ孔61cと第2ねじ孔62cの少なくとも一方にねじ溝が形成されていればよい。そして第1ねじ孔61cが電池ケース61の外面61b側で開口し、ねじ部材60bのねじ軸の先端がそこから外に突出している場合、そのねじ軸の先端にナットが締結される。
【0129】
上記の電池ケース61と配線ケース62の連結により、電池セルの上端面10eに設けられたパッキン10jは、電池セルと配線ケース62との間でy方向に圧縮される。これによりy方向に沿ってパッキン10jから離れる方向に向かう復元力がパッキン10jに発生する。この復元力により電池セルがy方向に押圧される。電池セルはパッキン10jと電池ケース61の底壁63との間で挟持される。これにより第1電池セル11~第5電池セル15のモジュールケース60内での相対位置の変動が抑制される。また第1電池セル11~第5電池セル15のy方向の変位と膨張が抑制される。
【0130】
上記したように電池セルはz方向に面する第1主面10aと第2主面10bを有する。これら第1主面10aと第2主面10bは他の4面よりも面積が大きくなっている。そのために電池セルはそれぞれz方向に膨張しやすくなっている。図示しないが、この電池セルのz方向の膨張を抑制するための抑え板が、電池ケース61の上壁64aとカバーとの間に設けられる。この抑え板はボルトなどによって筐体の底壁に連結される。これにより組電池10を収納するモジュールケース60は抑え板と底壁との間に設けられる。この抑え板と底壁とによって、モジュールケース60に組電池10が収納された電池モジュール1のz方向の膨張が抑制されている。
【0131】
図6および
図7に示すように、配線ケース62の蓋壁66には第1電池セル11~第5電池セル15と連結バスバー70とを電気的に接続するための複数の開口部が形成されている。これら複数の開口部は、y方向に沿って蓋壁66を貫通している。開口部は蓋壁66の内面62aと外面62bとに開口している。
【0132】
蓋壁66には開口部として、第1開口部66a、第2開口部66b、第3開口部66c、第4開口部66d、第5開口部66e、および、第6開口部66fが形成されている。第1開口部66aと第6開口部66fは、組電池10の出力としての機能を果たす正極端子10gと負極端子10hに対応して蓋壁66に形成されている。第2開口部66b~第5開口部66eは、複数の電池セルの電気的な直列接続に関連する正極端子10gと負極端子10hに対応して蓋壁66に形成されている。
【0133】
電池ケース61に配線ケース62が連結された状態において、第1開口部66aは、蓋壁66における第1電池セル11の負極端子10hとy方向で対向する部位に形成されている。第2開口部66bは、蓋壁66における第1電池セル11の正極端子10gとy方向で対向する部位、および、第2電池セル12の負極端子10hとy方向で対向する部位それぞれに形成されている。
【0134】
第3開口部66cは、蓋壁66における第2電池セル12の正極端子10gとy方向で対向する部位、および、第3電池セル13の負極端子10hとy方向で対向する部位それぞれに形成されている。第4開口部66dは、蓋壁66における第3電池セル13の正極端子10gとy方向で対向する部位、および、第4電池セル14の負極端子10hとy方向で対向する部位それぞれに形成されている。
【0135】
第5開口部66eは、蓋壁66における第4電池セル14の正極端子10gとy方向で対向する部位、および、第5電池セル15の負極端子10hとy方向で対向する部位それぞれに形成されている。第6開口部66fは、蓋壁66における第5電池セル15の正極端子10gとy方向で対向する部位に形成されている。
【0136】
以上により、配線ケース62における第1スタック収納空間64f側では、第1開口部66aと第5開口部66eとがz方向で並んでいる。そしてこれらとx方向で離間して、第2開口部66b、第4開口部66d、および、第6開口部66fがz方向で並んでいる。これにより配線ケース62における第1スタック収納空間64f側では、第1開口部66aおよび第5開口部66eと、第2開口部66b、第4開口部66d、および、第6開口部66fとの間にスペースが構成されている。このスペースは後述の第1スペースに相当する。
【0137】
また配線ケース62における第2スタック収納空間64g側では、第2開口部66bと第4開口部66dとがz方向で並んでいる。そしてこれらとx方向で離間して、第3開口部66cが位置している。これにより配線ケース62における第2スタック収納空間64g側では、第2開口部66bおよび第4開口部66dと、第3開口部66cとの間にスペースが構成されている。このスペースは後述の第2スペースに相当する。
【0138】
<連結バスバー>
連結バスバー70は、第1連結バスバー71、第2連結バスバー72、第3連結バスバー73、第4連結バスバー74、第5連結バスバー75、および、第6連結バスバー76を有する。これら第1連結バスバー71~第6連結バスバー76は、
図3および
図4に示すように蓋壁66の外面62bに設けられる。そしてその一部が対応する開口部に設けられる。
【0139】
なお、蓋壁66には連結バスバー70に対応して電池ケース61側に局所的に凹んだ複数のバスバー凹部66gが形成されている。バスバー凹部66gはy方向において蓋壁66の外面62bから内面62aに向かって局所的に凹んで形成されている。複数のバスバー凹部66gそれぞれの底部に、第1開口部66a~第6開口部66fが形成されている。
【0140】
バスバー凹部66gの底部のy方向の長さは、正極端子10gと負極端子10hそれぞれのy方向の長さよりも短くなっている。そのために各開口部のy方向の長さも正極端子10gと負極端子10hそれぞれのy方向の長さよりも短くなっている。各開口部を介して正極端子10gと負極端子10hそれぞれがモジュールケース60の外に突出している。
【0141】
第1連結バスバー71は第1開口部66aを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。この第1連結バスバー71における第1開口部66aに設けられた部位が第1電池セル11の負極端子10hとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。
【0142】
第1連結バスバー71には第1電池セル11から離れる態様でy方向に延びるマイナス接続端子71aが形成されている。このマイナス接続端子71aが組電池10のマイナスの出力端子としての機能を果たす。またこのマイナス接続端子71aは図示しないヒューズを介して筐体に電気的に接続される。これにより第1連結バスバー71はグランド電位になっている。
【0143】
第2連結バスバー72は第2開口部66bを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。第2連結バスバー72はx方向に延びた形状を成している。この第2連結バスバー72における第2開口部66bに設けられた部位が第1電池セル11の正極端子10gおよび第2電池セル12の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第1電池セル11と第2電池セル12とが第2連結バスバー72を介して直列接続される。
【0144】
第3連結バスバー73は第3開口部66cを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。第3連結バスバー73はz方向に延びた形状を成している。この第3連結バスバー73における第3開口部66cに設けられた部位が第2電池セル12の正極端子10gおよび第3電池セル13の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第2電池セル12と第3電池セル13とが第3連結バスバー73を介して直列接続される。
【0145】
第4連結バスバー74は第4開口部66dを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。第4連結バスバー74はx方向に延びた形状を成している。この第4連結バスバー74における第4開口部66dに設けられた部位が第3電池セル13の正極端子10gおよび第4電池セル14の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第3電池セル13と第4電池セル14とが第4連結バスバー74を介して直列接続される。
【0146】
第5連結バスバー75は第5開口部66eを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。第5連結バスバー75はz方向に延びた形状を成している。この第5連結バスバー75における第5開口部66eに設けられた部位が第4電池セル14の正極端子10gおよび第5電池セル15の負極端子10hそれぞれとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。これにより第4電池セル14と第5電池セル15とが第5連結バスバー75を介して直列接続される。
【0147】
第6連結バスバー76は第6開口部66fを閉塞する態様でバスバー凹部66gの外面62b側に設けられる。この第6連結バスバー76における第6開口部66fに設けられた部位が第5電池セル15の正極端子10gとレーザ溶接などによって機械的および電気的に接続される。
【0148】
第6連結バスバー76には第5電池セル15から離れる態様でy方向に延びるプラス接続端子76aが形成されている。このプラス接続端子76aが組電池10のプラスの出力端子としての機能を果たす。
【0149】
以上により、
図3および
図4に示すように第1連結バスバー71および第5連結バスバー75は蓋壁66の右壁67d側に位置している。第2連結バスバー72、第4連結バスバー74、および、第6連結バスバー76はx方向における蓋壁66の中央側に位置している。これにより蓋壁66の右壁67d側と中央側との間にスペースが形成されている。以下においてはこのスペースを第1スペースと示す。
【0150】
また、第3連結バスバー73および第4連結バスバー74は蓋壁66の左壁67c側に位置している。これにより蓋壁66における左壁67c側と中央側との間にスペースが形成されている。以下においてはこのスペースを第2スペースと示す。
【0151】
さらに以下においては、説明の都合上、上記した上壁67aにおける第1スタック収納空間64f側の部位を第1上壁77と示す。上壁67aにおける第2スタック収納空間64g側の部位を第2上壁78と示す。そして上壁67aにおける第1スタック収納空間64fと第2スタック収納空間64gとの間の部位を第3上壁79と示す。
【0152】
上記したように第1上壁77は第2上壁78よりもz方向において下壁64bから離間している。そのために第1上壁77は第2上壁78を連結する第3上壁79はz方向に沿って延びている。
【0153】
<センサ部>
次に、センサ部40を説明する。
【0154】
上記したように連結バスバー70としては第1連結バスバー71~第6連結バスバー76がある。電圧センサ41はこれら第1連結バスバー71~第6連結バスバー76それぞれに独立して一端が電気的に接続される6つの電圧配線41aを有する。6つの電圧配線41aそれぞれの他端はBMU22に接続される。これにより6つの電圧配線41aで検出された電圧がBMU22に入力される。電圧配線41aは絶縁電線である。
【0155】
第1連結バスバー71、第4連結バスバー74、第5連結バスバー75、および、第6連結バスバー76それぞれに連結される4つの電圧配線41aの一端は蓋壁66の第1スペースに設けられる。そしてこれら4つの電圧配線41aの一端は、対応する連結バスバーの第1スペース側の部位にボルト止めされている。これら4つの電圧配線41aは、対応する連結バスバーから第1上壁77に向かって延びている。
【0156】
第2連結バスバー72と第3連結バスバー73それぞれに連結される2つの電圧配線41aは蓋壁66の第2スペースに設けられる。そしてこれら2つの電圧配線41aの一端は、対応する連結バスバーの第2スペース側の部位にボルト止めされている。これら2つの電圧配線41aは、対応する連結バスバーから第2上壁78に向かって延びた後、第3上壁79を介して第1上壁77に延びている。これら2つの電圧配線41aは、第1上壁77において、第1スペースから第1上壁77に向かって延びた4つの電圧配線41aと合流している。
【0157】
温度センサ42は第1温度センサ42aと第2温度センサ42bを有する。また温度センサ42は第1温度センサ42aと第2温度センサ42bに一端の接続された2つの温度配線42cを有する。これら2つの温度配線42cそれぞれの他端はBMU22に接続される。これにより第1温度センサ42aと第2温度センサ42bで検出された温度がBMU22に入力される。なお温度配線42cは絶縁電線である。温度配線42cは電気的に独立した2つの電線が絶縁被膜によって覆われて成る。
【0158】
上記したように第1電池スタック10lでは3つの電池セルがz方向に並んでいる。第2電池スタック10mでは2つの電池セルがz方向に並んでいる。並ぶ電池セルの数が多いほどに、電池スタックの発熱量が高まる。逆に、並ぶ電池セルの数が少ないほどに、電池スタックの発熱量が低まる。そのために第1電池スタック10lは第2電池スタック10mよりも高温になりやすくなっている。
【0159】
第1電池スタック10lにおいて第4電池セル14は第1電池セル11と第5電池セル15の間に位置している。そのために第4電池セル14は第1電池セル11と第5電池セル15よりも放熱しがたく、温度が上昇しやすくなっている。
【0160】
第2電池スタック10mにおいて第2電池セル12は第3電池セル13とz方向で並んでいる。そして第2電池セル12はx方向で第1電池セル11と並んでいる。第3電池セル13はx方向で第4電池セル14と並んでいる。そのために第3電池セル13には第4電池セル14の熱が伝達されやすくなっている。第2電池セル12には第4電池セル14の熱が伝達されがたくなっている。これにより第2電池セル12は第3電池セル13よりも温度が上昇しがたくなっている。
【0161】
以上に示した構成により、第4電池セル14は他の4つの電池セルよりも温度が上昇しやすくなっている。第2電池セル12は他の4つの電池セルよりも温度が上昇しがたくなっている。
【0162】
したがって第4電池セル14の温度を検出することで、組電池10を構成する複数の電池セルのうちの最も温度の高い電池セルの温度(最高温度)を検出できることが期待される。第2電池セル12の温度を検出することで、組電池10を構成する複数の電池セルのうちの最も温度の低い電池セルの温度(最低温度)を検出できることが期待される。
【0163】
以上に示したように、複数の電池セルの配置によって、各電池セルの温度にバラツキが生じる。電池パックが特異な放熱機能を有さない場合、最高温度を検出するためには並んで配置された複数の電池セルのうちの内側に位置する電池セルの温度を検出する。最低温度を検出するためには並んで配置された複数の電池セルのうちの端側に位置する電池セルの温度を検出する。
【0164】
図3、
図6および
図7に示すように、蓋壁66の第1スペースには、第4電池セル14に第1温度センサ42aを設けるための第1貫通孔90aが形成されている。蓋壁66の第2スペースには、第2電池セル12に第2温度センサ42bを設けるための第2貫通孔90bが形成されている。これら第1貫通孔90aと第2貫通孔90bそれぞれは、y方向に沿って蓋壁66を貫通している。第1貫通孔90aと第2貫通孔90bそれぞれは蓋壁66の内面62a側と外面62b側に開口している。
【0165】
電池ケース61に配線ケース62が連結された状態で、第1貫通孔90aの内面62a側の開口は、蓋壁66における第4電池セル14の上端面10eの負極端子10hと安全弁10i(パッキン10j)との間の部位とy方向で対向している。第2貫通孔90bの内面62a側の開口は、蓋壁66における第2電池セル12の上端面10eの負極端子10hと安全弁10i(パッキン10j)との間の部位とy方向で対向している。
【0166】
以下においては表記を簡明とするために、第4電池セル14の上端面10eにおける負極端子10hと安全弁10iとの間の部位を第1検出面16aと示す。第2電池セル12の上端面10eにおける負極端子10hと安全弁10iとの間の部位を第2検出面16bと示す。
【0167】
第1温度センサ42aは第1貫通孔90aに外面62b側から回転挿入される。第1温度センサ42aは第1検出面16aに接触する。これにより第1温度センサ42aによって最高温度を検出できることが期待される。BMU22は第1温度センサ42aで検出された温度を、組電池10の出力を制限するための指標の1つとして活用する。
【0168】
第2温度センサ42bは第2貫通孔90bに外面62b側から回転挿入される。第2温度センサ42bは第2検出面16bに接触する。これにより第2温度センサ42bによって最低温度を検出できることが期待される。BMU22は第2温度センサ42bで検出された温度を、組電池10の出力(抵抗)を示す指標の1つとして活用する。
【0169】
なお、第2電池セル12と第4電池セル14以外の電池セルの温度は、第1温度センサ42aと第2温度センサ42bによって検出される最高温度と最低温度の間であることが期待される。そのためにBMU22は最高温度と最低温度とに基づいて他の電池セルの温度を推定することができる。
【0170】
第1温度センサ42aに一端の連結された温度配線42cは第1スペースに設けられる。この温度配線42cは第1温度センサ42aから第1上壁77に向かって延びている。第2温度センサ42bに一端の連結された温度配線42cは第2スペースに設けられる。この温度配線42cは第2温度センサ42bから第2上壁78に向かって延びた後、第3上壁79を介して第1上壁77に延びている。2つの温度配線42cは第1上壁77において6つの電圧配線41aと合流している。
【0171】
水没センサ43は第1対向電極43aと第2対向電極43bを有する。そして水没センサ43は第1対向電極43aと第2対向電極43bに一端の連結された2つの水没配線43cを有する。これら2つの水没配線43cそれぞれの他端はBMU22に接続される。水没配線43cは絶縁電線である。
【0172】
第1対向電極43aと第2対向電極43bは第1スペースに設けられる。第1対向電極43aと第2対向電極43bは第1スペースにおいてx方向で離間して対向している。第1対向電極43aと第2対向電極43bとの間に不純物を含む水などの液体があると、両者が導通する。それによって第1対向電極43aと第2対向電極43bとの間の抵抗値が変化する。この抵抗値の変化が2つの水没配線43cを介してBMU22に入力される。
【0173】
図示しないが、配線ケース62の外面62b側には、上記の連結バスバー70などを覆うための絶縁ケースが設けられる。第1対向電極43aと第2対向電極43bそれぞれの一端は絶縁ケースによって覆われる。しかしながら第1対向電極43aと第2対向電極43bそれぞれの他端は絶縁ケースの外に露出される。第1対向電極43aと第2対向電極43bそれぞれの他端は配線ケース62から離れるように屈曲している。
【0174】
2つの水没配線43cは第1スペースに設けられる。2つ水没配線43cは第1対向電極43aと第2対向電極43bの一端から第1上壁77に向かって延びている。2つの水没配線43cは第1上壁77において6つの電圧配線41aおよび2つの温度配線42cと合流している。以上により、第1上壁77において10本の配線が合流している。以下においてはこれら合流した配線をセンサ配線と示す。
【0175】
これら第1上壁77で合流した10本のセンサ配線はテープ66hによって1つに束ねられる。またこれら10本のセンサ配線は結束バンド66iによって第1上壁77の上面77aに固定される。10本のセンサ配線は、
図2および
図3に示すように結束バンド66iによって固定された部位からx方向に沿って右壁67d側に延びた後、折り返して、左壁67c側に近づくように延びている。そのために10本のセンサ配線は上面77a上においてU字形状を成している。これら10本のセンサ配線の他端が第1コネクタ44によってまとめられている。
【0176】
図示しないが、配線基板21には第1コネクタ44と連結される第2コネクタが設けられている。配線基板21のz方向に面する一面はモジュールケース60とz方向で離間して対向している。第2コネクタはこの一面の裏側の裏面に搭載されている。配線基板21が筐体に固定された状態において、裏面と上面77aはx方向で並んでいる。第1コネクタ44と第2コネクタはx方向で対向配置している。
【0177】
第1コネクタ44を第2コネクタに対して近づくようにx方向に移動させる。これにより、第2コネクタに第1コネクタ44が挿入される。センサ部40で検出された信号(状態信号)がBMU22に入力可能となる。
【0178】
<温度センサの構成>
次に、
図8~
図13に基づいて第1温度センサ42aと第2温度センサ42bを説明する。ただし、第1温度センサ42aと第2温度センサ42bは同一の構成となっている。そのために以下においては第2温度センサ42bを代表として説明する。第1温度センサ42aの説明を省略する。
【0179】
なお、第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに挿入される際の方向と、第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに設けられた状態の方向は、x方向まわりの周方向で90°異なる。これら2つの状態ではy方向とz方向とが反転の関係にある。以下においては表記が煩雑となることを避けるため、第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに設けられた状態の方向を基準として、第2温度センサ42bの形状を説明する。x方向が横方向に相当する。y方向が並び方向に相当する。z方向が縦方向に相当する。
【0180】
図11の(a)欄は第2温度センサの上面図である。
図11の(b)欄は第2温度センサの左側面図である。
図11の(c)欄は第2温度センサの右側面図である。
図12の(a)欄は
図11の(a)欄と同一図面である。
図12の(b)欄は第2温度センサの下面図である。
図12の(c)欄は第2温度センサの背面図である。
【0181】
第2温度センサ42bは、センサ基板80、バネ81、連結剤82、および、センサケース83を有する。センサケース83にバネ81が組み付け固定されている。連結剤82によってセンサ基板80がセンサケース83に固定されている。センサ基板80が温度検出素子に相当する。バネ81が弾性体に相当する。センサケース83が本体部に相当する。
【0182】
上記したように第2温度センサ42bは第2貫通孔90bに挿入固定される。
図8と
図9に第2温度センサ42bと第2貫通孔90bを拡大して示す。
【0183】
図10に示すように第2貫通孔90bには支持腕部91が形成されている。後で詳説するが、第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの挿入過程において、バネ81とセンサケース83それぞれが支持腕部91に対して摺動する。それとともにバネ81が弾性変形する。第2温度センサ42bは支持腕部91との接触点を回転中心として第2貫通孔90b内で回転する。なお
図10では第2貫通孔90bの断面形状を示している。そして
図10では
図9に示す白抜き矢印Aの方向から視た場合の第2温度センサ42bの側面形状を示している。
【0184】
第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに設けられた状態で、センサ基板80の接触面80eが第2電池セル12の第2検出面16bに接触する。またこの際にバネ81は第2電池セル12と支持腕部91との間でy方向に圧縮される。これによりバネ81に、y方向において自身の中心から離間する向きの復元力が生じる。この復元力によって接触面80eと第2検出面16bとの接触状態が保たれる。この復元力によってセンサケース83の第2貫通孔90b内での固定状態が保たれる。以下、第2温度センサ42bの構成要素を詳説する。
【0185】
センサ基板80は、
図11と
図12の(a)欄に一部破線で示すように、伝熱板80a、絶縁層80b、導電パターン80c、および、サーミスタ80dを有する。伝熱板80aは例えばアルミニウムなどの金属材料によって形成される。伝熱板80aはy方向の厚さの薄い扁平形状を成している。伝熱板80aはy方向に面する2面を有する。伝熱板80aのy方向に面する2つの面のうちの一方が第2検出面16bとの接触面80eになっている。y方向に面する2つの面のうちの他方が絶縁層80bの形成面になっている。
【0186】
絶縁層80bは伝熱板80aの形成面の全面に形成されている。そのために絶縁層80bの平面形状は形成面と同等になっている。この絶縁層80bの表面および表層に導電パターン80cが形成されている。
【0187】
導電パターン80cは絶縁層80bに2本形成されている。これら2本の導電パターン80cの一端に、1本の温度配線42cの保有する2つの電線それぞれの一端が個別に連結される。これら2本の導電パターンの他端にサーミスタ80dが接続される。サーミスタ80dは2本の導電パターンの他端を架橋する態様でセンサ基板80に接続される。温度配線42cとサーミスタ80dそれぞれのセンサ基板80への接続は例えばはんだ付けによってなされる。
【0188】
バネ81は板バネを屈曲して成る。バネ81の形成材料としては例えばSUSや黄銅などの金属材料を採用することができる。バネ81は第1バネ81aと第2バネ81bを有する。これら第1バネ81aと第2バネ81bは形状が同一になっている。
【0189】
第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれは、センサケース83に固定される固定部81cと、固定部81cから延びた撓み部81dを有する。第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれは、固定部81cと撓み部81dとの連結部位で屈曲している。
【0190】
固定部81cはz方向に延びている。この固定部81cの有するz方向の2つの端部のうちの一方に撓み部81dが一体的に連結している。
【0191】
撓み部81dは固定部81cから離間する態様でy方向とz方向に対して傾斜した方向に延びた後、一部が湾曲して、その先端が固定部81c側に向かって延びている。撓み部81dと固定部81cはy方向で離間して対向している。
【0192】
このために撓み部81dにおける固定部81cとの対向面の裏側のバネ上面81eは、y方向において固定部81cから離れる態様の凸形状を成している。この態様のためにバネ上面81eはy方向において固定部81cから最も離れた頂点部位81fを有する。このバネ上面81eおよび頂点部位81fが支持腕部91と接触する。
【0193】
支持腕部91との接触によって、バネ上面81eに撓み部81dから固定部81cに向かう力が作用すると、第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれは、上記の連結部位を中心として、撓み部81dと固定部81cとが互いに近づく態様で弾性変形する。これにより第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれに、撓み部81dと固定部81cとが互いに離れる方向の復元力が発生する。
【0194】
連結剤82はセンサ基板80とセンサケース83を連結するとともに、センサ基板80を被覆保護する機能を果たす。連結剤82はセンサ基板80の絶縁層80b側に塗布される。これにより絶縁層80bに形成された導電パターン80c、この導電パターン80cに接続されるサーミスタ80d、および、温度配線42cの一端それぞれが連結剤82によって被覆保護される。
【0195】
センサケース83は絶縁性の樹脂材料からなる。センサケース83は互いに一体的に連結された基部84、回転腕部85、および、スナップフィット部86を有する。
【0196】
基部84はy方向の厚さの薄い扁平形状を成している。基部84はy方向に面する2面を有する。基部84のy方向に面する2つの面のうちの一方がバネ81の搭載される搭載面84aになっている。y方向に面する2つの面のうちの他方が電池セルの上端面10eと離間して対向する対向面84bになっている。
【0197】
基部84には、搭載面84aと対向面84bとを貫通し、なおかつ、基部84の有する4つの縁部のうちの1つまでくり抜く切欠き部が形成されている。これにより基部84の平面形状は略C字形状となっている。
【0198】
構成要素を細分して表現すると、基部84はx方向に離間して並ぶ第1基部84cと第2基部84dとが連結基部84eを介して連結された形状を成している。第1基部84cと第2基部84dはz方向を長手方向とする矩形を成している。連結基部84eは第1基部84cと第2基部84dそれぞれの一端を連結している。
【0199】
なお、上記の切欠き部を区画する端面は略C字形状を成している。そして基部84における切欠き部によって形成された対向面84b側の略C字形状の縁部には、その縁部の形状に沿って、対向面84bから搭載面84aに向かって局所的に厚さの薄くなる段差部が形成されている。これにより端面のy方向の長さが短くなっている。
【0200】
段差部は対向面84bと搭載面84aとの間に位置する当接面、および、当接面と対向面84bとを連結する連結面を有する。当接面は端面を介して搭載面84aと連結されている。
【0201】
上記の段差部の当接面にセンサ基板80の絶縁層80bの縁部が当接される。これによりセンサケース83にセンサ基板80が組み付けられる。この組み付け状態で、切欠き部の区画する略C字形状の空間がセンサ基板80によって占有される。
【0202】
基部84にセンサ基板80が組み付けられた状態で、サーミスタ80d、温度配線42cの一端、および、連結剤82それぞれの一部が端面によって囲まれる領域の外に位置している。絶縁層80bが連結面によってその周りを囲まれている。伝熱板80aの接触面80e側が連結面によって囲まれる領域の外に位置している。以上により、センサ基板80が基部84に組み付けられた状態で、サーミスタ80d、温度配線42cの一端、および、連結剤82それぞれの一部が搭載面84aからy方向に飛び出している。センサ基板80の伝熱板80aの接触面80e側が対向面84bからy方向に飛び出している。
【0203】
回転腕部85は第1回転腕部85aと第2回転腕部85b、および、連結部85cを有する。第1回転腕部85aは第1基部84cの搭載面84aからy方向とz方向に延びている。第2回転腕部85bは第2基部84dの搭載面84aからy方向とz方向に延びている。連結部85cは連結基部84eからy方向とx方向に延びている。
【0204】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bはx方向で離間して並んでいる。連結部85cは第1回転腕部85aと第2回転腕部85bの間に位置して両者を連結している。
【0205】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれはx方向の厚さの薄い扁平形状を成している。第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれは、x方向に面する内面85dと外面85e、および、これら内面85dと外面85eを連結する側端面85fを有する。
【0206】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの内面85dがx方向で対向している。上記の切欠き部はx方向において第1回転腕部85aと第2回転腕部85bの間に位置している。内面85dは上記の切欠き部によって形成される端面とy方向で連続的に連なっている。
【0207】
基部84にセンサ基板80が組み付けられた状態で、第1回転腕部85aと第2回転腕部85bの間に、搭載面84aからy方向に飛び出したサーミスタ80dと温度配線42cの一端側が位置する。上記の連結剤82はこの第1回転腕部85aと第2回転腕部85bとの間に塗布される。連結剤82によって、基部84、第1回転腕部85a、第2回転腕部85b、連結部85c、センサ基板80、および、温度配線42cそれぞれが一体的に連結される。
【0208】
以上に示したように第1回転腕部85aと第2回転腕部85bがx方向に離間しているのは、その間にサーミスタ80dと温度配線42cの一端側を配置するとともに、これらを被覆して連結するための連結剤82をセンサケース83に塗布するためである。そしてx方向に離間する第1回転腕部85aと第2回転腕部85bが連結部85cによって連結されているのは、これら回転腕部の剛性を高めるとともに、連結剤82のセンサケース83からの零れ落ちを抑制するためである。
【0209】
上記の第1バネ81aと第2バネ81bはx方向で離間する態様で搭載面84aに連結される。第1バネ81aの固定部81cが第1基部84cの搭載面84aに連結される。第2バネ81bの固定部81cが第2基部84dの搭載面84aに連結される。
【0210】
そのために第1バネ81aの撓み部81dと第2バネ81bの撓み部81dとの間に第1回転腕部85aと第2回転腕部85bが位置している。第1回転腕部85aの外面85eが第1バネ81aの撓み部81dとx方向で離間して対向している。第2回転腕部85bの外面85eが第2バネ81bの撓み部81dとx方向で離間して対向している。
【0211】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの外面85eにはx方向に突起する第1突起部83aが形成されている。第1回転腕部85aから突起した第1突起部83aと第1基部84cはy方向で離れている。第2回転腕部85bから突起した第1突起部83aと第2基部84dはy方向で離れている。この第1突起部83aと基部84のy方向の離間距離は、固定部81cのy方向の厚さよりも若干長くなっている。
【0212】
また第1基部84cと第2基部84dそれぞれの搭載面84aにはy方向に突起する第2突起部83bが形成されている。z方向において第2突起部83bは第1突起部83aよりも連結基部84eから離れている。また第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれの固定部81cには、この第2突起部83bの挿入可能な、y方向に開口する孔が形成されている。
【0213】
第1バネ81aの固定部81cにおける撓み部81dとの非連結端が、連結基部84e側から、第1回転腕部85aの第1突起部83aと第1基部84cとの間の隙間に挿入される。そして第1バネ81aの固定部81cに形成された孔に第1基部84cの第2突起部83bが挿入される。同様にして第2バネ81bの固定部81cにおける撓み部81dとの非連結端が、連結基部84e側から、第2回転腕部85bの第1突起部83aと第2基部84dとの間の隙間に挿入される。そして第2バネ81bの固定部81cに形成された孔に第2基部84dの第2突起部83bが挿入される。
【0214】
以上により固定部81cがセンサケース83に組み付け固定されている。第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれのy方向の変位が、固定部81cと第1突起部83aおよび基部84それぞれとの接触によって規制されている。第1バネ81aと第2バネ81bそれぞれのy方向に直交する方向の変位が、固定部81cに形成された孔を区画する壁と第2突起部83bとの接触によって規制されている。
【0215】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれには、内面85dと外面85eを貫通し、なおかつ、縁までも切り抜く凹部87が形成されている。これにより第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの平面形状は略C字形状となっている。凹部87を区画する切抜き面87aも略C字形状を成している。
【0216】
第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの側端面85fは凹部87の切抜き面87aと連結されている。側端面85fは前側端面85g、上側端面85h、および、後側端面85iを有する。前側端面85gは搭載面84aからy方向とz方向に離れる態様で延びて切抜き面87aと連結されている。上側端面85hは搭載面84aとy方向で離間しており、z方向に延びて切抜き面87aと連結されている。後側端面85iは連結部85cの背面85jからy方向とz方向に離れる態様で延びて上側端面85hと連結されている。なお背面85jは搭載面84aからy方向とz方向に離れる態様で延びている。
【0217】
上記したように切抜き面87aは略C字形状を成している。換言すれば、切抜き面87aはギャップを有する環状を成している。細分すると、切抜き面87aは前側端面85gから上側端面85hに向かって順に連結された、始面87b、左面87c、下面87d、右面87e、上面87f、および、終面87gを有する。切抜き面87aが区画面に相当する。
【0218】
凹部87の中空は左面87c、下面87d、右面87e、および、上面87fによって区画されている。左面87cと右面87eとがz方向で離間して対向している。下面87dと上面87fとがy方向で離間して対向している。これに対して始面87bと終面87gはこの中空の外に位置している。始面87bと終面87gそれぞれは中空の開口端面となっている。始面87bが基準面に相当する。上面87fが上内面に相当する。下面87dが下内面に相当する。
【0219】
始面87b、下面87d、および、上面87fそれぞれはz方向に延びている。左面87c、右面87e、および、終面87gそれぞれはy方向に延びている。始面87b、下面87d、および、上面87fそれぞれはy方向に面している。左面87cと右面87eそれぞれはz方向に面している。これに対して終面87gはz方向において前側端面85g側に凸となる湾曲形状を成している。終面87gはx方向に面する平面において半円形状を成している。
【0220】
左面87cは右面87eよりもy方向の長さが短くなっている。そのために右面87eの一部が左面87cとz方向で対向している。また下面87dは上面87fよりもz方向の長さが長くなっている。そのために下面87dの一部が上面87fとy方向で対向している。
【0221】
そして始面87bと上面87fとがy方向で離間している。左面87cと終面87gとがz方向で離間している。以上により、凹部87はy方向とz方向に開口している。
【0222】
また、始面87bと連結される前側端面85gは、z方向において終面87gよりも右面87eから離れて出っ張っている。後述するように、このz方向において出っ張った第2温度センサ42bの前側端面85g側が第2貫通孔90bへの回転挿入時の先頭になる。
【0223】
図13に示すように第1バネ81aおよび第2バネ81bそれぞれの撓み部81dの頂点部位81fのy方向の位置は、非弾性変形状態において凹部87の中空に位置している。より具体的に言えば、頂点部位81fはy方向において始面87bと上面87fとの間に位置している。
【0224】
なお第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれには、上側端面85hから搭載面84aに向かって局所的に凹んだ溝部88が形成されている。第1回転腕部85aと第2回転腕部85bの有する2つの溝部88のうちの一方に温度配線42cが設けられる。溝部88は温度配線42cの位置を規定する機能を果たす。
【0225】
スナップフィット部86は、連結基部84eから延びた棒形状を成している。スナップフィット部86は連結基部84eに片持ち支持され、その先端が自由端となっている。このスナップフィット部86の延長方向は、y方向とz方向に傾斜している。スナップフィット部86は連結部85cの背面85jおよび第1回転腕部85aと第2回転腕部85bの間の空間とz方向で離間している。スナップフィット部86の先端側は、背面85jおよび上記の空間に対してz方向に遠近する態様で弾性変形可能となっている。
【0226】
スナップフィット部86の先端のy方向の位置は、非弾性変形状態で凹部87の中空に位置している。より具体的に言えば、先端はy方向において下面87dと始面87bとの間に位置している。スナップフィット部86の先端はy方向において連結部85cよりも連結基部84eから離れている。
【0227】
<第2温度センサの長さ>
図13に第2温度センサ42bの形状を説明するための各種長さを示す。以下においては、始面87bと接触面80eとの間のy方向の離間距離をa1と示す。第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに回転挿入される過程において、後述の挿入口に対して第2温度センサ42bの回転半径が最も大きくなる際の右面87eと非弾性変形状態のスナップフィット部86との最長離間距離をa2と示す。同様にして挿入口に対して第2温度センサ42bの回転半径が最も大きくなる際の終面87gと非弾性変形状態のスナップフィット部86との最長離間距離をa3と示す。右面87eと後側端面85iとの間のz方向の離間距離をa4と示す。これら長さa1~a4は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入に関わる値である。始面87bが基準面に相当する。長さa1が基準面と接触面との最長離間距離に相当する。
【0228】
前側端面85gと後側端面85iとの間のz方向の離間距離をa5と示す。長さa5は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの配置に関わる値である。
【0229】
前側端面85gと非弾性変形状態のスナップフィット部86との間のz方向の最長離間距離をa6と示す。始面87bのz方向の長さをa7と示す。これら長さa6,a7は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bからの抜け防止に関わる値である。
【0230】
始面87bと上面87fとの間のy方向の離間距離をa8と示す。長さa8は第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの凹部87の中空への支持腕部91の入り込み条件に関わる値である。
【0231】
<貫通孔の構成>
次に、
図8~
図10、および、
図14と
図15に基づいて第1貫通孔90aと第2貫通孔90bを説明する。本実施形態では、第1貫通孔90aと第2貫通孔90bはy方向まわりの周方向で180°回転した形状となっている。以下においては煩雑となることを避けるために、第2貫通孔90bを代表として説明する。第1貫通孔90aの説明を省略する。
【0232】
図14の(a)欄は配線ケースの第2貫通孔の正面図である。
図14の(b)欄は配線ケースの第2貫通孔の背面図である。
図14の(c)欄は
図14の(a)欄に示すXIVc-XIVc線に沿う断面図である。
【0233】
第2貫通孔90bは、蓋壁66の内面62aと外面62bそれぞれに対してy方向に開口する筒状の筒面90cによって区画されている。筒面90cは互いに環状に連結された4面を有する。すなわち筒面90cは、x方向で離間して対向する左筒面90dと右筒面90e、および、z方向で離間して対向する上筒面90fと下筒面90gを有する。これら4面は、y方向まわりの周方向で、左筒面90d、上筒面90f、右筒面90e、および、下筒面90gの順に連結されている。筒面90cが側壁面に相当する。
【0234】
筒面90cには支持腕部91と返し部92が形成されている。支持腕部91は左筒面90dに形成された第1支持腕部91aと右筒面90eに形成された第2支持腕部91bを有する。返し部92は上筒面90fに形成された第1返し部92aと下筒面90gに形成された第2返し部92bを有する。第1返し部92aが返し部に相当する。
【0235】
第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれはx方向を長手方向とする板形状となっている。
図14に示すように第1支持腕部91aは左筒面90dから第2貫通孔90bの中空の中心側に向かってx方向に沿って延びている。第1支持腕部91aは左筒面90dに片持ち支持されている。同様にして、第2支持腕部91bは右筒面90eから第2貫通孔90bの中空の中心側に向かってx方向に沿って延びている。第2支持腕部91bは右筒面90eに片持ち支持されている。
【0236】
第1支持腕部91aと第2支持腕部91bはx方向で対向する態様で並んでいる。第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの先端はx方向で離間している。第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの先端のx方向の離間距離は、第1回転腕部85aと第2回転腕部85bのx方向の離間距離に応じて決定される。換言すれば、第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの先端のx方向の離間距離は、センサ基板80のx方向の長さに応じて決定される。なお、第1支持腕部91aと第2支持腕部91bとが連結されることで、1本の支持腕部91が第2貫通孔90bに形成された構成を採用することもできる。
【0237】
第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれはy方向の厚さの薄い扁平形状を成している。そして第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれはy方向に最も面積の広い支持面91cと規定面91dを有する。支持面91cは規定面91dよりも内面62a側に位置している。規定面91dは支持面91cよりも外面62b側に位置している。支持面91cと規定面91dはそれぞれx方向とz方向に延びている。支持面91cと規定面91dはそれぞれy方向に面している。
【0238】
支持面91cと規定面91dは、z方向に並ぶ摺動面91eと端面91f、および、x方向に面する先端面91gを介して連結されている。第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの先端面91gがx方向で離間している。摺動面91eはz方向で上筒面90fと離間して対向している。端面91fはz方向で下筒面90gと離間して対向している。
【0239】
第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれはz方向において上筒面90fよりも下筒面90g側に位置している。そのためにz方向における第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの摺動面91eと上筒面90fとの離間距離は、端面91fと下筒面90gとの離間距離よりも長くなっている。
【0240】
後で詳説するように第2温度センサ42bは第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの摺動面91eと規定面91dで摺動する。そのために摺動面91eと規定面91dは滑らかな形状となっている。摺動面91eは上筒面90f側に凸となる湾曲形状を成している。摺動面91eはx方向に面する平面において半円形状を成している。
【0241】
図14に示すように第1返し部92aは上筒面90fから第2貫通孔90bの中空の中心側に向かって延びている。同様にして、第2返し部92bは下筒面90gから第2貫通孔90bの中空の中心側に向かって延びている。第1返し部92aと第2返し部92bのz方向の形成位置が異なっている。しかしながら第1返し部92aと第2返し部92bは互いの一部がz方向で離間して対向している。
【0242】
第1返し部92aと第2返し部92bそれぞれはx方向に延びている。そして第1返し部92aと第2返し部92bそれぞれはy方向に面する返し面92cと、返し面92cと筒面90cとを連結する傾斜面92dと、を有する。傾斜面92dは返し面92cよりも外面62b側に位置している。傾斜面92dは、返し面92cとのy方向の離間距離が徐々に短くなるように、筒面90cから第2貫通孔90bの中心側に向かって延びている。傾斜面92dと返し面92cとが連結されることで、x方向に延びる縁部92eが形成されている。
【0243】
第1返し部92aの縁部92eはz方向で第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの摺動面91eと離間して対向している。そのために第1返し部92aの縁部92eと第1支持腕部91aおよび第2支持腕部91bそれぞれの摺動面91eとの間に空隙が構成されている。この空隙が第2温度センサ42bを第2貫通孔90bに挿入するための挿入口としての機能を果たしている。
【0244】
第2返し部92bの縁部92eはy方向において第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれよりも外面62b側に位置している。そして第2返し部92bの縁部92eはz方向において第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの端面91fと離間している。
【0245】
<第2貫通孔の長さ>
図15に第2貫通孔90bの形状を説明するための各種長さを示す。以下においては、摺動面91eと第1返し部92aの縁部92eとの間のz方向の最短長さをb1と示す。第1返し部92aの縁部92eと第2返し部92bの縁部92eとの間のz方向の長さをb2と示す。これら長さb1,b2は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入に関わる値である。
【0246】
長さb1は
図13に示す長さa1,a2,a4それぞれよりも長くなっている。長さb2は長さa3よりも長くなっている。この長さ関係が、第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入条件となっている。長さb1が支持腕部と返し部との最短離間距離に相当する。
【0247】
上筒面90fと下筒面90gとの間のz方向の最短離間距離をb4と示す。長さb4は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの配置に関わる値である。長さb4は長さa6よりも長くなっている。この長さ関係が、第2温度センサ42bの第2貫通孔90bでの配置条件となっている。
【0248】
第1返し部92aの縁部92eと下筒面90gとの間のz方向の最短長さをb3と示す。端面91fと第2返し部92bの縁部92eとの間のz方向の長さをb5と示す。端面91fと下筒面90gとの間のz方向の最短長さをb6と示す。これら長さb3,b5,b6は第2温度センサ42bの第2貫通孔90bからの抜け防止に関わる値である。
【0249】
長さb3は長さa5よりも長く、長さa6よりも短くなっている。長さa7は長さb5よりも長く、長さb6よりも短くなっている。この長さ関係が、第2温度センサ42bの第2貫通孔90bからの抜け防止条件となっている。
【0250】
支持腕部91のy方向の長さをb7と示す。すなわち支持面91cと規定面91dとの間のy方向の長さをb7と示す。長さb7は第1回転腕部85aと第2回転腕部85bそれぞれの凹部87の中空への支持腕部91の入り込み条件に関わる値である。
【0251】
長さb7は長さa8よりも短くなっている。この長さ関係が、支持腕部91の凹部87の中空への入り込み条件となっている。
【0252】
<回転挿入>
次に、主として
図16および
図17に基づいて第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入を説明する。なお
図16および
図17においては表記が煩雑となることを避けるために、符号の一部を省略している。
【0253】
第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入は、配線ケース62が電池ケース61にねじ部材60bによって締結される前に実施される。この第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入を
図16の(a)欄~(c)欄、および、
図17の(a)欄と(b)欄に示す。
【0254】
図16の(a)欄は第2温度センサの第2貫通孔への挿入状態を示している。
図16の(b)欄と(c)欄は第2温度センサの第2貫通孔内での回転途中の状態を示している。
図16の(b)欄は、スナップフィット部が第1返し部の縁部と対向している状態を示している。
図16の(c)欄は、スナップフィット部の先端が第1返し部の縁部を通過した状態を示している。
【0255】
図17の(a)欄は
図16の(c)欄と同一の図面である。
図17の(b)欄は第2温度センサが第2貫通孔に回転挿入され終わった状態を示している。そして
図17の(c)欄は、電池モジュールが製品として組み上がった状態における第2温度センサの第2貫通孔内での状態を示している。
図17の(c)欄は、
図10と同一の図面である。
【0256】
図16の(a)欄に示すように、先ず、第2温度センサ42bの前側端面85g側が第2貫通孔90bにおける支持腕部91の摺動面91eと第1返し部92aの縁部92eとの間に挿入される。以下においては説明を簡便とするために摺動面91eと第1返し部92aの縁部92eとの間を挿入口と示す。そして第2温度センサ42bの前側端面85g側を先端側と示す。
【0257】
挿入口のz方向の長さはb1になっている。そして第2温度センサ42bの先端側のz方向の長さは始面87bと接触面80eとの間の長さa1になっている。上記したように長さb1は長さa1よりも長くなっている。そのために第2温度センサ42bの先端側が挿入口内に挿入可能となっている。
【0258】
第2温度センサ42bはy方向に沿って挿入口内に挿入される。この第2温度センサ42bのy方向への挿入は、
図16の(a)欄に示すように終面87gが支持腕部91の規定面91dに接触するまで行われる。この際、始面87bが摺動面91eを通過し、下面87dが摺動面91eとz方向で離間して対応する。バネ81の撓み部81dのバネ上面81eが摺動面91eに接触する。そして接触面80eが第1返し部92aの縁部92eとz方向で離間して対向する。
【0259】
この次に、
図16の(b)欄に示すように第2温度センサ42bは支持腕部91との接触点を回転中心として第2貫通孔90b内で回転する。これにより第2温度センサ42bのセンサ基板80側が挿入口を通過する。
【0260】
この第2温度センサ42bのセンサ基板80側の挿入口の通過過程において、第2温度センサ42bの終面87gは支持腕部91の規定面91dで摺動する。終面87gは規定面91dにおいて摺動面91e側から端面91f側に向かってz方向に滑る。終面87gの規定面91dでのz方向の滑りは、終面87gが規定面91dから離れて、終面87gが第2返し部92bの縁部92eと端面91fとの間に位置するまで行われる。この際、
図16の(b)欄に示すように終面87gが第2返し部92bの縁部92eと接触してもしなくともよい。
【0261】
この終面87gの規定面91dでの端面91f側への滑り過程において、支持腕部91に接触しているバネ81の撓み部81dに、撓み部81dから固定部81cに向かう力が作用する。これによりバネ81は、撓み部81dと固定部81cの連結部位を中心として、撓み部81dと固定部81cとが互いに近づく態様で弾性変形する。
【0262】
このバネ81の撓みによって支持腕部91の摺動面91e側が回転腕部85の凹部87の中空に侵入する。この際、支持腕部91の摺動面91eは撓み部81dのバネ上面81eで摺動する。摺動面91eは凹部87の下面87dと右面87eの連結部位に向かってバネ上面81eを滑る。摺動面91eのバネ上面81eでの滑りは、摺動面91eが右面87eに接触するまで行われる。
図16の(b)欄に示すように、摺動面91eがバネ上面81eと右面87eそれぞれと接触している状態において、第2温度センサ42bのセンサ基板80側の挿入口の通過が終了している。
【0263】
以上に示したように第2温度センサ42bの第2貫通孔90b内への回転挿入過程において、支持腕部91は第2温度センサ42bの回転軸としての機能を果たす。そしてこの際、支持腕部91は回転腕部85とバネ81それぞれと摺動しつつ凹部87の中空に侵入する。この支持腕部91の凹部87の中空への侵入にともなって、支持腕部91とバネ81との接触点(回転中心)も中空の内側へと移動する。これにより第2温度センサ42bの回転半径の増大が抑制されている。
【0264】
上記した第2温度センサ42bの第2貫通孔90b内での回転で、挿入口に対して第2温度センサ42bの回転半径が最大となるのは、
図16の(b)欄に示すように摺動面91eがバネ上面81eと右面87eそれぞれと接触している状態である。この際、挿入口に右面87eとスナップフィット部86それぞれが位置している。この際の挿入口に位置する右面87eとスナップフィット部86とのz方向の離間距離はa2となっている。上記したように長さb1は長さa2よりも長くなっている。そのために第2温度センサ42bにおける最も回転半径の大きい部位が挿入口を通過可能となっている。
【0265】
この次に、
図16の(c)欄(
図17の(a)欄)に示すように第2温度センサ42bは支持腕部91との接触点を回転中心として第2貫通孔90b内でさらに回転する。これにより第2温度センサ42bのスナップフィット部86が挿入口を通過する。
【0266】
このスナップフィット部86の挿入口の通過過程で、支持腕部91の摺動面91eは第2温度センサ42bの右面87eで摺動する。摺動面91eは右面87eにおいて下面87d側から上面87f側に向かって滑る。
【0267】
この摺動面91eの右面87eにおける上面87f側への滑り過程で、支持腕部91からバネ81の撓み部81dに作用している力が弱まる。そして撓み部81dのバネ上面81e(頂点部位81f)が支持腕部91の支持面91cに接触する。頂点部位81fは支持面91c上において摺動面91e側から端面91f側に向かってz方向に滑る。
【0268】
また、上記の摺動面91eの右面87eでの滑り過程において、スナップフィット部86は第1返し部92aの縁部92eと接触する。この接触によってスナップフィット部86は、連結基部84eとの連結端を中心として、その先端側が背面85jおよび2つの回転腕部の間の空隙に近づく態様で弾性変形する。そしてスナップフィット部86の先端が挿入口を通過すると、スナップフィット部86の弾性変形が解かれる。この結果、
図16の(c)欄に示すようにスナップフィット部86の先端が第1返し部92aの返し面92cと対向する態様となる。
【0269】
以上に示した第2温度センサ42bの第2貫通孔90b内への回転によって、
図16の(c)欄に示すように挿入口に右面87eと後側端面85iそれぞれが位置する。この右面87eと後側端面85iとの離間距離はa4となっている。上記したように長さb1は長さa4よりも長くなっている。そのために第2温度センサ42bの回転腕部85における右面87eと後側端面85iとの間の部位が挿入口を通過可能となっている。
【0270】
さらに回転すると、
図17の(b)欄に示すように第2温度センサ42bの上面87fから接触面80e側の部位の全てが挿入口を通過する。以下においては第2温度センサ42bの上面87fから接触面80e側の部位を下側と示す。
【0271】
このように第2温度センサ42bの下側の全てが挿入口を通過すると、支持腕部91がセンサケース83の凹部87を区画する壁とバネ81との間に位置する。支持腕部91の規定面91dと凹部87の上面87fとがy方向で対向する。支持腕部91の支持面91cとバネ81のバネ上面81eとがy方向で対向する。規定面91dと上面87f、および、支持面91cとバネ上面81eの頂点部位81fのうちの少なくとも一方が互いに接触している。この際、バネ81は撓んでいてもいなくともよい。
【0272】
またこの際、z方向において前側端面85gと下筒面90gとが対向している。z方向において後側端面85iと第1返し部92aの縁部92eとが離間して対向している。これは、上記したように長さb3が長さa5よりも長いためである。
【0273】
z方向においてスナップフィット部86の先端と上筒面90fとが離間して対向している。これは、上記したように長さb4が長さa6よりも長いためである。
【0274】
そして、y方向においてスナップフィット部86の先端が第1返し部92aの返し面92cと離間して対向している。これは、上記したように長さb3は長さa5よりも長く、長さa6よりも短いためである。
【0275】
また、y方向において始面87bの一部と第2返し部92bの返し面92cとが離間して対向している。そしてy方向において始面87bは支持面91cと非対向となっている。これは、便宜上
図17の(c)欄に長さを示すように、長さa7が長さb5よりも長く、長さb6よりも短いためである。
【0276】
以上により、例えば外力によって第2温度センサ42bが第2貫通孔90bの外面62b側の開口へと向かって変位した際、スナップフィット部86の先端が第1返し部92aの返し面92cと接触する。始面87bが第1返し部92aの返し面92cと接触する。また第2温度センサ42bが第2貫通孔90b内で回転した際、スナップフィット部86の先端が上筒面90fと接触する。始面87bが第1返し部92aの返し面92cと接触する。以上に示した第1返し部92aおよび第2返し部92bそれぞれと第2温度センサ42bとの接触によって、第2温度センサ42bの第2貫通孔90bからの抜けと、第2貫通孔90b内での回転が抑制されている。
【0277】
以上に示した回転挿入工程を経て第2温度センサ42bの設けられた配線ケース62が電池ケース61にねじ部材60bによって締結される。この締結によって、第2温度センサ42bの接触面80eが第2電池セル12の第2検出面16bに接触する。ねじ部材60bによって配線ケース62と電池ケース61が互いに近づく態様で連結されると、支持腕部91と第2電池セル12のy方向の離間距離が縮まる。
【0278】
このため、
図17の(c)欄に示すように頂点部位81fが支持面91cに押し付けられ、バネ81は第2電池セル12と支持腕部91との間でy方向に縮まる。上面87fと規定面91dとがy方向で離間する。下面87dと支持面91cとがy方向で近づく。スナップフィット部86の先端と第1返し部92aとがy方向で近づく。始面87bと第2返し部92bとがy方向で近づく。上記したように長さa7は長さb6よりも短い。そのために左面87cが端面91fと対向可能に、第2温度センサ42bは第2貫通孔90bの外面62b側の開口に近づく。
【0279】
<作用効果>
次に、電池モジュール1の作用効果を説明する。以下においては第2温度センサ42bと第2貫通孔90bについての作用効果を説明する。第1温度センサ42aと第1貫通孔90aは同等の作用効果を奏するので、その説明を省略する。
【0280】
上記したように電池モジュール1では、第2温度センサ42bの接触面80eが第2電池セル12の第2検出面16bに接触している。バネ81が支持腕部91の支持面91cに接触している。バネ81がy方向に撓んでいる。これによれば、バネがy方向に直交する方向に撓む構成とは異なり、バネをy方向に直交する方向に撓ませるための空間を第2貫通孔90bに形成しなくともよくなる。これにより第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大が抑制される。
【0281】
また回転腕部85に形成された凹部87に支持腕部91が位置している。これにより凹部の形成されていない回転腕部に支持腕部がy方向に直交する方向で接触する構成と比べて、第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大が抑制される。言い換えれば、回転腕部85の側端面85fに支持腕部91がy方向に直交する方向で接触する構成と比べて、第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大が抑制される。
【0282】
上記したように配線ケース62には、第2温度センサ42b(温度センサ42)だけではなく、電圧センサ41、連結バスバー70、および、水没センサ43などが設けられる。これに対して、上記したように配線ケース62における第2温度センサ42bの設けられる第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大が抑制される。これにより第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大によって、配線ケース62における電圧センサ41、連結バスバー70、および、水没センサ43などの配置に制限が生じることが抑制される。
【0283】
ところで、上記したように組電池10を構成する複数の電池セルのうちの最も温度の低い電池セルは、複数の電池セルのうちの並びの端に位置する電池セルに相当する。このような端に位置する電池セルの場合、複数の電池セルの並ぶ方向において、端に位置する電池セルの両隣のうちの一方のみに電池セルが位置し、他方に電池セルは位置しない。そのため、この端に位置する電池セルの両隣のうちの他方側に配線ケース62の一部を余分に設けなくともよい。仮に、端に位置する電池セルの両隣のうちの他方側に配線ケース62の一部を出っ張らせた場合、電池モジュール1の体格の増大、という課題が生じる。
【0284】
例えば特許第5360951号公報(先行文献)に示される温度センサの一組の係止片は、バッテリーセルとの接触によって、互いの先端部の間隔が広がるように弾性変形する。このような一組の係止片の変形を実現するためには、一組の係止片の押圧されるモジュール本体における先端部の間隔の広がる方向の体格を確保しなくてはならない。
【0285】
この先行文献に示されるモジュール本体には、複数のバッテリーセルを直列接続するバスバーが設けられる。このバスバーと係止片との接触を避けるため、一組の係止片の先端部の間隔の広がる方向を、複数のバッテリーセルの並ぶ方向にしている。
【0286】
そして先行文献では、温度の検出対象となるバッテリーセルを、複数のバッテリーセルのうちの端に位置するバッテリーセルとしている。この場合、このバッテリーセルに温度センサを接触させて、一組の係止片の先端部の間隔を広がらせるためには、複数のバッテリーセルの両端の外側に、モジュール本体の一部を出っ張らせる必要がある。これによりモジュール部品の体格が増大する虞がある。
【0287】
これに対して上記したように本実施形態の電池モジュール1では、第2貫通孔90bのy方向に直交する方向の体格の増大が抑制されている。そのため、例えば
図8~
図10に明示するように、複数の電池セルのうちの端に位置する第2電池セル12に第2温度センサ42bを配置するための第2貫通孔90bの配線ケース62での形成範囲が、第2電池セル12の第2検出面16b内に収められる。このように本実施形態に係る電池モジュール1の場合、端に位置する電池セルの温度を検出するために配線ケース62の一部を出っ張らせなくともよい。これにより配線ケース62の体格の増大が抑制されている。その結果、電池モジュール1の体格の増大が抑制されている。
【0288】
支持腕部91の規定面91dはy方向で凹部87の上面87fと対向している。これによれば、第2温度センサ42bのy方向の変位が規定面91dと上面87fとの接触によって規制される。
【0289】
規定面91dと上面87fそれぞれはy方向に面している。これによれば、第2温度センサ42bのy方向への変位によって、規定面91dに上面87fが接触した際、第2温度センサ42bの第2貫通孔90b内での回転が抑制される。
【0290】
支持腕部91の支持面91cはy方向で凹部87の下面87dと対向している。これによれば、第2温度センサ42bのy方向の変位が支持面91cと下面87dとの接触によって規制される。それとともに第2温度センサ42bの第2貫通孔90bからの抜けが抑制される。
【0291】
支持面91cと下面87dそれぞれはy方向に面している。これによれば、第2温度センサ42bのy方向への変位によって、支持面91cに下面87dが接触した際に、第2温度センサ42bが第2貫通孔90b内で回転することが抑制される。
【0292】
以上に示した温度センサ42の第2貫通孔90b内での回転の抑制により、第2温度センサ42bの第2電池セル12に対する配置ズレが生じることが抑制される。すなわち、第2温度センサ42bの接触面80eと第2電池セル12の第2検出面16bとの接触状態に変化が生じることが抑制される。この結果、第2温度センサ42bの温度検出精度の低下が抑制される。最低温度の検出精度の低下が抑制される。
【0293】
支持腕部91はx方向とz方向に延びた板形状を成し、支持面91cはy方向に面している。これによれば、例えば振動によって第2温度センサ42bが第2貫通孔90b内でz方向に変位した際に、バネ81における支持面91cとの接触位置のz方向の変位によって、バネ81のy方向の撓み状態が変動することが抑制される。これによりバネ81の復元力の変動が抑制される。接触面80eと第2検出面16bとの接触状態の変動が抑制される。温度センサ42の温度検出精度の低下が抑制される。
【0294】
第1支持腕部91aと第2支持腕部91bそれぞれの先端が離間している。そのために第2温度センサ42bの第2貫通孔90bへの回転挿入過程において、支持腕部91がセンサ基板80に設けられた連結剤82と接触することが抑制される。これにより連結剤82によって被覆されたサーミスタ80dや温度配線42cの一端への応力の作用が抑制される。
【0295】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0296】
(第1の変形例)
例えば
図10に示すように本実施形態では第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに設けられた状態において、スナップフィット部86の先端が上筒面90fと離間している例を示した。しかしながら例えば
図18に示すように第2温度センサ42bが第2貫通孔90bに設けられた状態において、スナップフィット部86の先端が上筒面90fと接触していてもよい。また前側端面85gが下筒面90gと接触していてもよい。これによれば第2温度センサ42bのz方向の変位が抑制される。
【0297】
(第2の変形例)
例えば
図10に示すようにスナップフィット部86は、連結基部84eからz方向とy方向に離間する態様で円弧状に屈曲した後、直線状に延びる例を示した。しかしながら例えば
図19に示すようにスナップフィット部86は、連結基部84eからz方向とy方向に離間する態様で直線状に延びた後に円弧状に屈曲した形状を採用することもできる。
【0298】
本実施形態では組電池10が5つの電池セルを有する例を示した。しかしながら組電池10は2つ以上の電池セルを有すればよく、上記例に限定されない。
【0299】
本実施形態では組電池10が2つの電池スタックを有する例を示した。しかしながら電池スタックの数としても、2つではなく1つ若しくは3つ以上を採用することもできる。
【0300】
本実施形態では電池スタックの有する電池セルがz方向に並ぶ例を示した。しかしながら電池セルの並ぶ方向としては特に限定されず、y方向やx方向に並んでもよい。
【0301】
例えば5つの電池セルがx方向に並び、電池セルの上端面10eがz方向に面する構成を採用することができる。このような変形例の場合、第1温度センサ42aは並びの中央に位置する第3電池セル13の上端面10eに接触される。第2温度センサ42bは並びの端に位置する第1電池セル11若しくは第5電池セル15の上端面10eに接触される。第1貫通孔90aと第2貫通孔90bは内面62aと外面62bとをz方向に貫通する態様で蓋壁66に形成される。
【0302】
本実施形態では電源システム200を搭載する車両がアイドルストップ機能を有する例を示した。しかしながら電源システム200を搭載する車両としては上記例に限定されない。例えばハイブリッド自動車や電気自動車を採用することができる。この場合、本実施形態で示したスタータモータ120や回転電機130は、モータジェネレータに代わる。
【符号の説明】
【0303】
1…電池モジュール、10…組電池、10e…上端面、10g…正極端子、10h…負極端子、11…第1電池セル、12…第2電池セル、13…第3電池セル、14…第4電池セル、15…第5電池セル、42…温度センサ、42a…第1温度センサ、42b…第2温度センサ、60…モジュールケース、61…電池ケース、62…配線ケース、62a…内面、62b…外面、66…蓋壁、80…センサ基板、80e…接触面、81…バネ、83…センサケース、84…基部、85a…第1回転腕部、85b…第2回転腕部、87…凹部、87a…切抜き面、87b…始面、87d…下面、87f…上面、87g…終面、90a…第1貫通孔、90b…第2貫通孔、90c…筒面、91…支持腕部、91a…第1支持腕部、91b…第2支持腕部、91c…支持面、91d…規定面、100…電池パック