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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A63B37/00 212
A63B37/00 664
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018195343
(22)【出願日】2018-10-16
(65)【公開番号】P2020062169
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】田中 真実
(72)【発明者】
【氏名】多羅尾 俊之
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-251135(JP,A)
【文献】特開2016-093386(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、
前記塗膜は、基材樹脂100質量部に対して、樹脂微粒子を10質量部未満含有し、
前記塗膜の基材樹脂は、ポリウレタンであり、
前記樹脂微粒子は、シクロデキストリンと前記シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、-O-C-O-基を介して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサン成分を含有することを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
前記樹脂微粒子のメジアン粒子径(d50)は、1μm~50μmである請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記樹脂微粒子は、架橋樹脂微粒子である請求項1または2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記架橋樹脂微粒子は、ポリロタキサン成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるものである請求項に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記ポリロタキサンは、直鎖状分子がポリエチレングリコールであり、前記封鎖基がアダマンチル基である請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記塗膜の厚みは、5μm以上、20μm以下である請求項1~5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記塗膜を構成する基材樹脂が、ポリオールと、2種以上のポリイソシアネートとを反応させてなるポリウレタンである請求項1~6のいずれか一項に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記ポリオールとポリイソシアネートとの反応において、ポリオールが有する水酸基(OH基)と、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH)は、0.5以上、1.6以下である請求項7に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体と、イソホロンジイソシアネートの誘導体とを含有するものである請求項7または8に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールの塗膜性能の改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボール本体表面には、塗膜が設けられている。塗膜を改良することにより、ゴルフボールの特性を改良することが提案されている。
【0003】
特許文献1には、コアと、このコアの外側に位置するカバーと、このカバーの外側に位置するペイント層を備えており、上記カバーのショアD硬度が61以下であり、上記ペイント層のマルテンス硬度が2.0mgf/μm以下であるゴルフボールが開示されている。特許文献1のゴルフボールは、スピン性能、スピン速度の安定性及びペイント層の耐久性に優れる。
【0004】
特許文献2には、ゴルフボール本体とゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、マルテンス硬度が2.0mgf/μm以下であり、10%モジュラスに対する50%モジュラスの比(50%モジュラス/10%モジュラス)が1.6以上であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。特許文献2のゴルフボールは、ウエット条件、および、ラフ条件でのアプローチショットのスピン量が高い。
【0005】
特許文献3,4には、ゴルフボールの打出し角を大きくして、止まりやすいゴルフボールが提案されている。特許文献3には、ゴルフボール本体と、ゴルフボール本体表面を被覆するペイント層とを有するゴルフボールであって、前記ペイント層を構成する樹脂成分は、ポリアミド系硬化剤で硬化されたものであり、該ゴルフボールの静止摩擦係数が0.22以下であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。特許文献4には、ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体を被覆する塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜が金属粒子を含むことを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【0006】
特許文献5には、耐久性、耐ささくれ性が改善されたゴルフボールが提案され、コアとカバー、さらに該カバー上に形成される1層以上のペイントを有し、前記カバーのショアD硬度が50~65、曲げ弾性率が1000~2000kgf/cmであり、前記ペイントの少なくとも最外層の10%モジュラスが5~50kgf/cmであることを特徴とする耐久性に優れたゴルフボールが開示されている。
【0007】
特許文献6には、塗膜の要求特性を犠牲にすることなくスピン保持率を改良したゴルフボールが提案されている。特許文献6には、コアと該コアを被覆する少なくとも1層のカバーと、該カバーの外表面に塗膜を形成したゴルフボールにおいて、前記塗膜厚さが25μm以上125μm以下の範囲で、塗膜の50%モジュラスが5MPa以上50MPa以下の範囲で、最外層カバーの厚さをCL(mm)、前記塗膜の厚さをPL(μm)としたときに次の式(1)で表わされるRが、0.01以上0.5以下の範囲であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
R=PL/CL/1000 …(1)
【0008】
特許文献7には、ゴルフボール本体と前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、シクロデキストリンと前記シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、-O-C-O-基を介して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサンを含有する主剤と、ポリイソシアネートを含有する硬化剤とからなる硬化型塗料組成物から形成されたものであることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【0009】
特許文献8には、複数のディンプルが形成された外側表面を有するゴルフボール本体と、該ゴルフボール本体の前記外側表面に塗布されたコーティングとを備えるゴルフボールであって、前記コーティングが、樹脂および複数の粒子を含み、該粒子が400nm~40ミクロンの平均サイズを有するゴルフボールが開示されている。
【0010】
特許文献9には、少なくともいずれか一方が3官能以上である、ポリイソシアネート化合物とポリエチレンオキサイド基を有さない活性水素を有する化合物とからなる3次元架橋したポリウレタンゲル微粒子の表面が、ポリウレアコロイド非水溶媒溶液から析出したポリウレアコロイド粒子によって被覆された複合粒子を分散させた塗膜を表面部に有するゴルフボールが開示されている。
【0011】
特許文献10には、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体を被覆する塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、水性塗料から得られる塗膜であって、破断伸度が80%以上であり、最大応力が170kgf/cm(16.7MPa)以上であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2011-67595号公報
【文献】特開2011-217820号公報
【文献】特開2006-75209号公報
【文献】特開2006-75210号公報
【文献】特開2000―288125号公報
【文献】特開2003-265650号公報
【文献】特開2016-093386号公報
【文献】特開2011―251135号公報
【文献】特開2007-125178号公報
【文献】特開2006-556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
例えば、特許文献10には、塗膜の機械的物性を調製することにより塗膜の耐衝撃性と耐摩耗性を改良することが開示されている。しかしながら、塗膜の機械的物性を調節することにより、塗膜の耐衝撃性および耐摩耗性を向上させる従来の方法には、以下のような問題がある。例えば、塗膜を柔らかくすると、ドライバーショットのスピン量が増加して、ドライバーショットの飛距離が小さくなるという問題がある。一方、塗膜を硬くすると、アプローチショットのスピン量が減少し、アプローチショットのコントロール性が低下するという問題がある。このような状況のもと、スピン性能を実質的に低下させることなく、塗膜の耐摩耗性を向上させる技術が求められている。
【0014】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、スピン性能を実質的に低下させることなく、耐摩耗性を向上させた塗膜を有するゴルフボールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、基材樹脂100質量部に対して、樹脂微粒子を10質量部未満含有し、前記塗膜の基材樹脂は、ポリウレタンであり、前記樹脂微粒子は、シクロデキストリンと前記シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、-O-C-O-基を介して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサン成分を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スピン性能を実質的に低下させることなく、塗膜の耐摩耗性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明で使用するポリロタキサンの一例の分子構造を示す説明図。
図2】本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
図3】エアーガンを用いた塗装形態の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜は、基材樹脂100質量部に対して、樹脂微粒子を10質量部未満含有し、前記塗膜の基材樹脂は、ポリウレタンであり、前記樹脂微粒子は、シクロデキストリンと前記シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、-O-C-O-基を介して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサン成分を含有することを特徴とする。
【0019】
まず、本発明で使用するポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子(以下、「ポリロタキサン微粒子」と称する場合がある)について説明する。本発明のゴルフボールの塗膜は、ポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子を含有する。前記ポリロタキサン成分は、シクロデキストリンと、このシクロデキストリンの環状構造を串刺し状にする直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有する。ポリロタキサンは、直鎖状分子に串刺し状に貫通されているシクロデキストリン分子が直鎖状分子に沿って移動可能(滑車効果)なために粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができる。
【0020】
前記シクロデキストリンは、環状構造を有するオリゴ糖の総称である。シクロデキストリンは、例えば、6~8個のD-グルコピラノース残基がα―1,4-グルコシド結合により環状に結合したものである。シクロデキストリンとしては、α-シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β-シクロデキストリン(グルコース数:7個)、γ―シクロデキストリン(グルコース数:8個)などが挙げられ、α-シクロデキストリンが好ましい。前記シクロデキストリンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記直鎖状分子としては、シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に、回動可能に貫通する直鎖状の分子が好ましい。前記直鎖状分子としては、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリルなどが挙げられ、これらのなかでもポリエーテルが好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。ポリエチレングリコールは、立体障害が小さく、シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に貫通することができる。
【0022】
前記直鎖状分子の重量平均分子量は、5,000以上が好ましく、6,000以上がより好ましく、100,000以下が好ましく、80,000以下がより好ましい。
【0023】
前記直鎖状分子は、その両末端に官能基を有するものが好ましい。官能基を有することで、前記封鎖基と容易に反応させることができる。前記官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基などが挙げられる。
【0024】
前記封鎖基は、直鎖状分子の両末端に配置され、シクロデキストリンが直鎖状分子から脱離することを防止できるものであれば特に限定されない。脱離を防止する方法としては、嵩高い封鎖基を用いて物理的に脱離を防止する方法、イオン性の封鎖基を用いて静電気的に脱離を防止する方法が挙げられる。前記嵩高い封鎖基としては、シクロデキストリン、アダマンチル基などが挙げられる。直鎖上分子に貫通されるシクロデキストリンの個数は、その最大数を1とすると、0.06~0.61が好ましく、0.11~0.48がより好ましく、0.24~0.41がさらに好ましい。0.06未満では滑車効果が発現しないことがあり、0.61を超えると、シクロデキストリンが密に配置されすぎてシクロデキストリンの可動性が低下することがある。
【0025】
前記ポリロタキサンとしては、シクロデキストリンが有する水酸基の少なくとも一部が、カプロラクトン鎖によって変性されているものが好ましい。カプロラクトン変性することにより、塗膜を構成する基材樹脂成分であるポリウレタンとの相溶性が向上する。また、カプロラクトン変性によりポリロタキサンの柔軟性が向上し、アプローチショットのスピン性能が向上する。
【0026】
前記変性としては、例えば、シクロデキストリンの水酸基をプロピレンオキシドで処理して、ヒドロキシプロピル化する。続いて、ε-カプロラクトンを加えて開環重合を行う。この変性により、シクロデキストリンの環状構造の外側に、カプロラクトン鎖-(CO(CHO)nH(nは、1~100の自然数)が、-O-C-O-基を介して、結合する。nは、重合度を表し、1~100の自然数であることが好ましく、2~70の自然数であることがより好ましく、3~40の自然数であることがさらに好ましい。カプロラクトン鎖の他方の末端には、開環重合により水酸基が形成される。
【0027】
変性前のシクロデキストリンが有する全水酸基(100モル%)に対して、カプロラクトン鎖で変性される水酸基の割合は、2モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、100モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。カプロラクトン鎖で変性される水酸基の割合が、前記範囲であれば、ポリロタキサンの柔軟性が高くなり、スピン性能がより向上する。
【0028】
図1は、本発明で使用するポリロタキサンの分子構造の一例を示す説明図である。ポリロタキサン200は、シクロデキストリン212と、このシクロデキストリン212の環状構造を串刺し状にする直鎖状分子214と、この直鎖状分子214の両末端に配置され、前記環状分子の脱離を防止する封鎖基216とを有する。シクロデキストリンの環状構造の外側には、カプロラクトン鎖218が、-O-C-O-基(図示せず)を介して結合している。
【0029】
前記ポリロタキサンの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、400mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは300mgKOH/g以下、さらに好ましくは220mgKOH/g以下、特に好ましくは180mgKOH/g以下である。ポリロタキサンの水酸基価が上記範囲内であれば、ポリイソシアネートとの反応性が高くなるからである。水酸基価は、JIS K 1557-1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
【0030】
前記ポリロタキサンの全体分子量は、重量平均分子量で、30,000以上が好ましく、より好ましくは40,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、3,000,000以下が好ましく、より好ましくは2,500,000以下、さらに好ましくは2,000,000以下である。重量平均分子量が30,000未満であれば、耐摩耗性向上効果が小さくなり、3,000,000超であれば、ポリイソシアネートとの反応性が低下するからである。なお、重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラム(例えば、昭和電工社製「Shodex(登録商標) KFシリーズ」など)を用いて測定すればよい。
【0031】
前記樹脂微粒子は、架橋樹脂微粒子であることが好ましく、ポリロタキサン成分をポリイソシアネート成分で硬化させてなるものであることが好ましい。ポリロタキサン成分をポリイソシアネート成分で硬化させることにより、架橋構造を有する微粒子が容易に得られるからである。
【0032】
前記樹脂微粒子を構成し得るポリイソシアネート成分としては、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート;およびこれらのポリイソシアネートの誘導体が挙げられる。
【0033】
本発明のゴルフボールの塗膜は、基材樹脂100質量部(固形分)に対して、前記樹脂微粒子を10質量部未満含有することが好ましく、8質量部以下含有することがより好ましく、5質量部以下含有することがさらに好ましく、1質量部以上含有することが好ましく、1.5質量部以上含有することがより好ましく、2質量部以上含有することがさらに好ましい。樹脂微粒子を前記範囲含有することにより、塗膜の耐摩耗性が向上する。
【0034】
本発明で使用するポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子のメジアン粒子径(d50、体積累積分布における50%径)は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。ポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子のメジアン粒子径が、前記範囲内であれば、塗料中での分散性がよくなるからである。
【0035】
前記樹脂微粒子の形状は、球状であることが好ましい。
【0036】
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体とゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有する。前記塗膜を構成する基材樹脂は、ポリウレタンである。以下、塗膜の基材樹脂成分であるポリウレタンについて説明する。前記ポリウレタンは、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させてなるポリウレタンであることが好ましく、ポリオールと、2種以上のポリイソシアネートとを反応させてなるポリウレタンであることがより好ましい。
【0037】
まず、ポリイソシアネートについて説明する。前記ポリイソシアネートとしては、例えば、イソシアネート基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができる。
【0038】
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート;およびこれらのポリイソシアネートの誘導体が挙げられる。本発明では、前記ポリイソシアネートとして、2種以上のポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0039】
前記ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、ジイソシアネートのイソシアヌレート体;ジイソシアネートとトリメチロールプロパンあるいはグリセリンなどの低分子量トリオールとを反応させて得られるアダクト体;アロハネート変性体;ビュレット変性体などを挙げることができ、遊離ジイソシアネートが除去されているものがより好ましい。前記アロハネート変性体とは、例えば、ジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させて形成されるウレタン結合にさらにジイソシアネートが反応して得られる3官能ポリイソシアネートである。前記ビュレット変性体とは、例えば、下記式(1)で表わされるビュレット結合を有する3官能ポリイソシアネートである。ジイソシアネートのイソシアヌレート体とは、例えば、下記式(2)で表わされる3官能ポリイソシアネートである。
なお、式(1)、(2)中、Rは、ジイソシアネートからイソシアネート基を除いた残基を表わす。
【0040】
【化1】
【0041】
本発明では、ポリイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体と、イソホロンジイソシアネートの誘導体とを使用することが好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体として、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体とイソシアヌレート変性体とを使用することが好ましい。イソホロンジイソシアネートの誘導体としては、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体を使用することが好ましい。
【0042】
ヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体と、イソホロンジイソシアネートの誘導体との混合比率(HDI誘導体/IPDI誘導体)は、質量比で、80/20~50/50が好ましく、65/35~55/45がより好ましい。ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体とイソシアヌレート変性体との混合比率(ビュレット変性体/イソシアヌレート変性体)は、質量比で、20/40~40/20が好ましく、25/35~35/25がより好ましい。
【0043】
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。なお、ポリイソシアネートのイソシアネート基量(NCO%)は、100×[ポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル数×42(NCOの分子量)]/ポリイソシアネートの総質量(g)で表わすことができる。
【0044】
前記ポリイソシアネートの具体例としては、DIC社製バーノック(登録商標)D-800、バーノックDN-950、バーノックDN-955、住化バイエルウレタン社製デスモジュール(登録商標)N75MPA/X、デスモジュールN3300、デスモジュールL75(C)、スミジュールE21-1、日本ポリウレタン工業社製コロネート(登録商標)HX、コロネートHK、旭化成ケミカルズ社製デュラネート(登録商標)24A-100、デュラネート21S-75E、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デグサ社製VESTANAT(登録商標) T1890などを挙げることができる。
【0045】
次に、塗膜の基材樹脂であるポリウレタンを構成するポリオールについて説明する。前記ポリオールとしては、分子量が500未満の低分子量ポリオールや平均分子量が500以上の高分子量ポリオールを挙げることができる。前記低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオールが挙げられる。前記高分子量のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;ウレタンポリオール;ポリロタキサン;および、アクリルポリオールなどが挙げられる。前記ポリオール成分は、単独で、あるいは、2種以上を混合して使用しても良い。
【0046】
前記ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、400mgKOH/g以下が好ましく、好ましくは300mgKOH/g以下、より好ましくは200mgKOH/g以下、さらに好ましくは170mgKOH/g以下であり、特に好ましくは160mgKOH/g以下である。ポリオール成分の水酸基価が上記範囲内であれば、ゴルフボール本体への塗膜の密着性が向上するからである。なお、本発明において、水酸基価は、JIS K 1557-1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
【0047】
前記ポリオールの重量平均分子量は、500以上が好ましく、より好ましくは550以上、さらに好ましくは600以上であり、150,000以下が好ましく、より好ましくは140,000以下、さらに好ましくは130,000以下である。ポリオール成分の重量平均分子量が上記範囲内であれば、塗膜の耐水性、耐衝撃性を向上させることができる。なお、ポリオール成分の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとして有機溶媒系GPC用カラム(例えば、昭和電工社製「Shodex(登録商標) KFシリーズ」など)を用いて測定すればよい。
【0048】
本発明では、ポリオール成分として、ウレタンポリオールを使用することが好ましい。前記ウレタンポリオールとは、分子内にウレタン結合を複数有し、一分子中に水酸基を2以上有する化合物である。ウレタンポリオールとしては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを、ポリオールの水酸基がポリイソシアネートのイソシアネート基に対して過剰になるような条件で反応させて得られるウレタンプレポリマーを挙げることができる。
【0049】
前記ウレタンポリオールを構成し得るポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらのポリイソシアネートは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
ウレタンポリオールを構成し得るポリオール成分としては、前記ポリオールとして例示したものを用いることができる。本発明では、ウレタンポリオールを構成するポリオール成分として、トリオール成分とジオール成分とを含有するものが好ましい。前記トリオール成分としては、トリメチロールプロパンが好ましい。前記ジオール成分としては、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。前記トリオール成分とジオール成分の混合比率(トリオール成分/ジオール成分)は、質量比で、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、6.0以下が好ましく、5.0以下がより好ましい。
【0051】
前記ポリオール成分の具体例としては、例えば、和薬ペイント社製121B、日本ポリウレタン工業社製ニッポラン(登録商標)800、ニッポラン1100、DIC社製バーノック(登録商標)D6-627、バーノックD8-436、バーノックD8-973、バーノック11-408、住化バイエルウレタン社製デモスフェン650MPA、デモスフェン670、デモスフェン1150、デモスフェンA160X、ハリマ化成社製ハリアクロン2000、ハリアクロン8500H,神東塗料社製ポリン(登録商標)#950などを挙げることができる。
【0052】
塗膜の基材樹脂であるポリウレタンを形成するポリオールとポリイソシアネートとの反応において、ポリオールが有する水酸基(OH基)とポリイソシアネートが有するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO基/OH基)は、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましい。前記モル比(NCO基/OH基)が、0.5未満では、硬化反応が不十分となる。また、前記モル比(NCO基/OH基)が大きくなりすぎると、イソシアネート基量が過剰となり、得られる塗膜が硬く脆くなる上に、外観も悪くなる。そのため、前記モル比(NCO基/OH基)は、1.6以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.4以下がさらに好ましい。なお、塗料中のイソシアネート基量が過剰になると得られる塗膜の外観が悪くなる理由は、イソシアネート基量が過剰になると、空気中の水分とイソシアネート基との反応が多くなり、炭酸ガスが多量に発生するためと考えられる。
【0053】
本発明のゴルフボールの塗膜は、ポリオールとポリイソシアネートとを含有する硬化型塗料から形成されることが好ましい。前記硬化型塗料としては、ポリオールを主剤とし、2種以上のポリイソシアネートを硬化剤とするものが好ましい。前記塗料としては、水を主たる分散媒とする水系塗料、有機溶剤を分散媒とする溶剤系塗料のいずれであってもよい。溶剤系塗料の場合、好ましい溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコール、キシレン、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソブチルアルコール、酢酸エチルなどを挙げることができる。
【0054】
前記塗料は、さらに必要に応じて、フィラー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、スリップ剤、粘度調整剤などの、一般にゴルフボール用塗料に含有され得る添加剤を含有してもよい。
【0055】
本発明のゴルフボールの塗膜の最大伸び率(破壊時のひずみ量)は、120%以上が好ましく、より好ましくは130%以上、さらに好ましくは140%以上である。前記塗膜の最大伸び率が、120%以上であれば、伸度が大きくなり、耐摩耗性が向上する。前記最大伸び率の上限は、特に限定されないが、400%程度が好ましく、350%程度がより好ましい。
【0056】
本発明では、塗膜にポリロタキサン微粒子を配合することにより、もともとの塗膜の硬度を実質的に変えることなく、塗膜の耐摩耗性を向上することができる。ポリロタキサン微粒子が配合されないもともとの塗膜の硬度に対するポリロタキサン微粒子が配合された塗膜の硬度の変化率は、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。硬度の変化率が大きすぎると、ドライバースピン量あるいはアプローチスピン量への影響が大きくなるからである。
【0057】
次に、本発明の硬化型塗料の塗布方法について説明する。硬化型塗料の塗布方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗装、静電塗装などを挙げることができる。
【0058】
エアーガンを用いたスプレー塗装の場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とをそれぞれのポンプで供給して、エアーガン直前に配置されたラインミキサーで連続的に混合し、得られた混合物をスプレー塗装してもよいし、混合比制御機構を備えたエアースプレーシステムを用いて、ポリオールとポリイソシアネートとを別々にスプレー塗装してもよい。塗装は、1回でスプレー塗布しても良いし、複数回重ね塗りをしても良い。
【0059】
ゴルフボール本体に塗布された硬化型塗料は、例えば、30℃~70℃の温度で1時間~24時間乾燥することにより塗膜を形成することができる。
【0060】
乾燥後の塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましく、15μm以上が特に好ましい。膜厚が5μm未満では、継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなる傾向がある。また、膜厚を厚くすることによりアプローチショットのスピン量が増大するからである。また、塗膜の膜厚は、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましく、20μm以下が特に好ましい。膜厚が50μm超であるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するおそれがある。塗膜の膜厚は、例えば、ゴルフボールの断面をマイクロスコープ(キーエンス社製、「VHX-1000」)を用いて測定することができる。なお、塗料を複数回重ね塗りした場合は、形成された塗膜全体の厚みが上記範囲であることが好ましい。
【0061】
本発明のゴルフボールは、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであれば、特に限定されない。ゴルフボール本体の構造は、特に限定されず、例えば、ワンピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆する一層のカバーとを有するツーピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆する中間層と、前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール;フォーピースゴルフボール;ファイブピースゴルフボール以上のマルチピースゴルフボール、あるいは、糸巻きゴルフボールであってもよい。いずれの場合であっても、本発明を好適に適用できるからである。
【0062】
図2は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール2が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール2は、球状コア104と、球状コア104を被覆する中間層106と、前記中間層106を被覆するカバー112とを有する。このカバー112の表面には、多数のディンプル114が形成されている。このゴルフボールの表面のうち、ディンプル114以外の部分は、ランド116である。このゴルフボールは、カバーの外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
【0063】
好ましい態様において、本発明のゴルフボールが有するカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。本発明のゴルフボールのカバーを構成するカバー材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂若しくは二液硬化型ウレタン樹脂などのウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などの各種樹脂、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「テファブロック(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーまたは商品名「プリマロイ」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマーなどを挙げることができる。前記カバー材料は、単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0064】
前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
【0065】
カバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する態様、あるいは、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する態様(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)を挙げることができる。カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、マークを形成することもできる。
【0066】
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、所望のゴルフボールの性能に応じて適宜設定することが好ましい。例えば、飛距離を重視するディスタンス系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、55以上がより好ましく、60以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、68以下がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度を50以上にすることにより、ドライバーショットおよびアイアンショットにおいて、高打出角で低スピンのゴルフボールが得られ、飛距離が向上する。また、カバー用組成物のスラブ硬度を80以下とすることにより、耐久性に優れたゴルフボールが得られる。また、コントロール性を重視するスピン系のゴルフボールの場合、カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50未満が好ましく、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上がさらに好ましい。カバー用組成物のスラブ硬度が、ショアD硬度で50未満であれば、アプローチショットのスピン量が高くなり、グリーン上で止まりやすいゴルフボールが得られる。また、スラブ硬度を20以上とすることにより、耐擦過傷性が向上する。複数のカバー層の場合は、各層を構成するカバー用組成物のスラブ硬度は、同一あるいは異なっても良い。
【0067】
カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0068】
ゴルフボールの直径は、40mm~45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は、42.67mm以上が好ましい。空気抵抗の観点から、直径は44mm以下が好ましく、42.80mm以下がより好ましい。ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上が好ましく、45.00g以上がより好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が好ましい。
【0069】
本発明のゴルフボールは、直径40mm~45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、1.7mm以上、より好ましくは1.8mm以上、さらに好ましくは1.9mm以上であり、4.5mm以下、より好ましくは4.4mm以下、さらに好ましくは4.3mmである。前記圧縮変形量が1.7mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.5mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
【0070】
次に、糸巻きゴルフボール、ツーピースゴルフボールおよびマルチピースゴルフボールに用いられるコア、ならびに、ワンピースゴルフボール本体について説明する。
【0071】
前記コアおよびワンピースゴルフボール本体には、公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を用いることができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
【0072】
前記基材ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。前記共架橋剤としては、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸またはその金属塩が好ましく、アクリル酸の金属塩またはメタクリル酸の金属塩がより好ましい。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部以下が好ましい。架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、有機硫黄化合物を含有してもよい。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類、チオフェノール類、チオナフトール類を好適に使用することができる。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記コア用ゴム組成物は、さらにカルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。カルボン酸および/またはその塩としては、炭素数が1~30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。カルボン酸および/またはその塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下である。
【0073】
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、有機硫黄化合物に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウムなどの重量調整剤、老化防止剤、色粉などを適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃~200℃で10分間~60分間加熱するか、あるいは130℃~150℃で20分間~40分間加熱した後、160℃~180℃で5分間~15分間と2段階加熱することが好ましい。
【0074】
本発明のゴルフボールが、スリーピース、フォーピースゴルフボール以上のマルチピースゴルフボールである場合には、コアと最外層カバーとの間に設ける中間層に使用する材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂;スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどの熱可塑性エラストマー;ゴム組成物の硬化物などが挙げられる。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの重量調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。なお、中間層は、ゴルフボールの構成に応じて、内側カバー層や、外層コアと称される場合がある。
【実施例
【0075】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
[評価方法]
(1)圧縮変形量
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
【0077】
(2)スラブ硬度(ショアD硬度)
樹脂組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
【0078】
(3)塗膜の引張試験
塗膜の引張特性は、JIS K7161(2014)に準じて測定した。具体的には、主剤および硬化剤を配合した塗料を40℃で4時間乾燥及び硬化をさせて塗膜(厚さ0.05mm)を作製した。この塗膜を、JIS K7127(1999)で規定された試験片タイプ2(平行部の幅10mm、標線間距離50mm)に打ち抜いて試験片を作製した。この試験片について、精密万能試験機(島津製作所製、オートグラフ(登録商標))を用いて引張試験を行った。試験条件は、つかみ具間距離100mm、引張速度50mm/min、試験温度23℃とした。
【0079】
(4)ドライバーショットのスピン量(rpm)
ツルーテンパー社製のスイングロボットM/Cに、チタンヘッドを備えたドライバー(ダンロップスポーツ社製スリクソンZ745、ロフト8.5°)を取り付け、ヘッドスピード50m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃直後のゴルフボールのスピン速度を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。なお、打撃直後のゴルフボールのスピン速度は、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって測定した。
【0080】
(5)塗膜の耐摩耗性
容量が7リットルであるボールミルに2500gの研磨石(チップトン社の「AT3」)と2500mlの水とを充填した。このボールミルに40個のゴルフボールを投入した。このボールミルを回転速度が50rpmである条件で1時間運転し、ボールミル後のゴルフボールの外観を目視で確認し、以下のように評価した。
◎:塗膜に、ディンプル1個以上の面積の剥離箇所があるボールの個数が5個未満
〇:塗膜に、ディンプル1個以上の面積の剥離箇所があるボールの個数が5個以上、10個未満
△:塗膜に、ディンプル1個以上の面積の剥離箇所があるボールの個数が10個以上、20個未満
×:塗膜にディンプル1個以上の面積の剥離箇所があるボールの個数が20個以上
【0081】
(6)メジアン粒子径測定
試料をレーザー回折粒子径測定装置(株式会社セイシン企業製、LMS-2000e型)の乾式ユニット中にセットし、試料屈折率を1.52として粒子径を測定した。得られた体積基準頻度分布グラフからメジアン径(d50)を求めた。
【0082】
[ゴルフボール本体の作製]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR-730」)、31質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.8質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が39.8mmである球状コアを得た。ゴルフボールの質量が適正となるように、硫酸バリウムの量を調整した。
【0083】
47質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、46質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1557」)、7質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「テファブロックT3221C」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF-90」)を二軸混練押出機で混練し、カバー用組成物を得た。それぞれが半球状キャビティを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に、コアを投入した。このファイナル金型は、キャビティ面に多数のピンプルを有する。射出成形法にて溶融したカバー用組成物を球状コアの周りに充填し、カバーを成形した。カバー成型後、金型からゴルフボール本体を取り出した。このカバーの厚みは、1.45mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。ゴルフボール本体の性状を表1にまとめた。
【0084】
【表1】
【0085】
ポリブタジエン:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
ZNDA-90S:日本蒸溜工業社製、アクリル酸亜鉛(10質量%ステアリン酸亜鉛コーティング品)
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
ハイミラン1555:三井デュポンポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン1557:三井デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
テファブロンクT3221C:三菱化学社製、熱可塑性ポリスチレンエラストマー
【0086】
(4)硬化型ポリウレタン塗料の調製
硬化型ポリウレタン塗料として、以下のポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを調製した。
【0087】
ポリオール組成物(ウレタンポリオール)
ポリオール成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG、数平均分子量650)、トリメチロールプロパン(TMP)を溶剤(トルエン、メチルエチルケトン)に溶解した。なお、モル比(PTMG:TMP)は1.8:1.0とした。ここに、触媒としてジブチル錫ジラウレートを主剤全体に対して0.1質量%となるように添加した。このポリオール溶液を80℃に保持しながらポリイソシアネート成分としてのイソホロンジイソシアネート(IPDI)を滴下混合した。なお、ポリイソシアネート成分のNCO基とポリオール成分のOH基のモル比(NCO/OH)は0.6とした。滴下後は、イソシアネートがなくなるまで攪拌を続け、その後常温で冷却し、ウレタンポリオール(固形分:30質量%)を調製した。得られたポリオール組成物のPTMG含有率は67質量%、固形分の水酸基価は67.4mgKOH/g、ウレタンポリオールの重量平均分子量は4867であった。
【0088】
ポリイソシアネート組成物
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート(登録商標)TKA-100(NCO含有率:21.7質量%))30質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット変性体(旭化成ケミカルズ社製、デュラネート21S-75E(NCO含有率:15.5質量%))30質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(BAYER社製、デスモジュール(登録商標) Z 4470(NCO含有率:11.9質量%))40質量部を混合した。ここに、溶媒として、メチルエチルケトン、酢酸n-ブチル、トルエンの混合溶媒を追加し、ポリイソシアネート成分の濃度が60質量%になるように調整した。
【0089】
表2で示した配合になるように、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物と、ポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子とを配合して、硬化型ポリウレタン塗料を調製した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、スプレーガンで硬化型ポリウレタン塗料を塗布し、40℃のオーブンで24時間塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.6gのゴルフボールを得た。塗膜の厚さは、10μmとした。塗装は、図3に示した回転体にゴルフボール本体を載置し、回転体を300rpmで回転させ、ゴルフボール本体からエアーガンを吹き付け距離(7cm)だけ離間させて上下方向に移動させながら行った。重ね塗りの各回のインターバルを1.0秒とした。エアーガンの吹付条件は、吹付エアー圧;0.15MPa、圧送タンクエアー圧;0.10MPa、1回の塗布時間;1秒、雰囲気温度;20℃~27℃、雰囲気湿度;65%以下の条件で塗装とした。得られたゴルフボールについて評価した結果を併せて表2に示した。
【0090】
【表2】
アドバンスト・ソフトマテリアル社製ポリロタキサン微粒子SH2400B-0501:ポリロタキサンをポリイソシアネートで硬化させてなる架橋樹脂微粒子、メジアン粒子径(d50)7.4μm、分解開始温度306℃
アドバンスト・ソフトマテリアル社製ポリロタキサン微粒子SH2400B-2001:ポリロタキサンをポリイソシアネートで硬化させてなる架橋樹脂微粒子、メジアン粒子径(d50)20μm、分解開始温度306℃
【0091】
表2の結果より、ゴルフボール本体と、前記ゴルフボール本体表面に設けられた塗膜とを有するゴルフボールであって、前記塗膜の基材樹脂は、ポリウレタンを含有し、基材樹脂100質量部に対して、シクロデキストリンと前記シクロデキストリンの環状構造を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され、前記シクロデキストリンの脱離を防止する封鎖基とを有するポリロタキサンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の少なくとも一部が、-O-C-O-基を介して、カプロラクトン鎖によって変性されたポリロタキサン成分を含有する樹脂微粒子を10質量部未満含有するゴルフボールは、スピン性能を実質的に低下させることなく、耐摩耗性が向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、塗装ゴルフボールに好適に適用できる。
【符号の説明】
【0093】
20:ゴルフボール本体、21:回転体、23a~23c:プロング、25:エアーガン、100:ゴルフボール、104:球状コア、106:中間層、112:カバー、114:ディンプル、116:ランド、200:ポリロタキサン、212:シクロデキストリン、214:直鎖状分子、216:封鎖基、218:カプロラクトン鎖
図1
図2
図3