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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
B60C13/00 C
B60C13/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018231887
(22)【出願日】2018-12-11
(65)【公開番号】P2020093629
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】中島 幸一
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-340208(JP,A)
【文献】特開2006-224704(JP,A)
【文献】特開2017-001437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部に、1以上の標章を有する標章表示部が形成されたタイヤであって、
前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面に設けられる基準面と、この基準面に突設される前記標章とを具え、
前記1以上の標章は、文字の標章を含み、
前記文字の標章は、平面視において複数の構成部位に区画され、
少なくとも2つの前記構成部位の表面は、それぞれ、前記表面を横切る稜線により、前記稜線の一方側に配される第1面部と、前記稜線の他方側に配される第2面部とに区分され、
前記少なくとも2つの構成部位は、平面視において、直線状又は曲線状の4つの辺で囲まれた略四辺形状をなし、かつ、前記稜線は、前記略四辺形状を対角線状にのび、
前記第1面部及び第2面部は、それぞれ前記稜線から離れるにつれて前記基準面からの高さが減少する向きに傾斜し、
前記稜線は、それぞれ、タイヤ周方向に対して同じに傾斜している、
タイヤ。
【請求項2】
各前記構成部位において、それぞれ、前記稜線は、前記基準面からの高さが一定である、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記文字の標章内において、各前記構成部位の前記稜線は、前記基準面からの高さが互いに等しい、請求項2記載のタイヤ。
【請求項4】
各前記構成部位において、それぞれ、前記第1面部の前記基準面からの最小高さは、前記第2面部の前記基準面からの最小高さと等しい、請求項1~3の何れかに記載のタイヤ。
【請求項5】
前記文字の標章内において、各前記構成部位の前記第1面部の最小高さと、前記第2面部の最小高さとは互いに等しい、請求項4記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1面部及び第2面部は、平面、或いは凹状または凸状の曲面である、請求項1~5の何れかに記載のタイヤ。
【請求項7】
前記稜線は、直線または円弧状の曲線である、請求項1~6の何れかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドウォール部に設けた標章の視認性を向上させたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのサイドウォール部の表面には、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ等を表す文字、記号などである標章が形成されている。これら標章の視認性を高めるために、下記の特許文献1には、図11に示すように、標章aの表面bを、例えばタイヤ半径方向の一端側から中央にかけて順次直線的に傾く斜面b1と、他端側から中央にかけて順次直線的に傾く斜面b2とからなる山形状に形成したタイヤが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-86615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案のタイヤでは、斜面b1、b2の傾斜方向が逆向きとなるため、コントラストに差を付けることができ、標章の視認性を高めうる。
【0005】
しかし、一つの標章に対して斜面の数が2枚であるため、コントラストの変化が単調であり、視認性に対してさらなる改善の余地が残される。
【0006】
本発明は、標章の表面のコントラストに複雑な変化を与えることができ、視認性をより高めうるタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サイドウォール部に、1以上の標章を有する標章表示部が形成されたタイヤであって、
前記標章表示部は、前記サイドウォール部の表面に設けられる基準面と、この基準面に突設される前記標章とを具え、
前記標章は、平面視において複数の構成部位に区画され、
少なくとの2つの前記構成部位の表面は、それぞれ、前記表面を横切る稜線により、前記稜線の一方側に配される第1面部と、前記稜線の他方側に配される第2面部とに区分されるとともに、
前記第1面部及び第2面部は、それぞれ前記稜線から離れるにつれて前記基準面からの高さが減少する向きに傾斜している。
【0008】
本発明に係るタイヤでは、各前記構成部位において、それぞれ、前記稜線は、前記基準面からの高さが一定であるのが好ましい。
【0009】
本発明に係るタイヤでは、一つの前記標章内において、各前記構成部位の前記稜線は、前記基準面からの高さが互いに等しいのが好ましい。
【0010】
本発明に係るタイヤでは、各前記構成部位において、それぞれ、前記第1面部の前記基準面からの最小高さは、前記第2面部の前記基準面からの最小高さと等しいのが好ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤでは、一つの前記標章内において、各前記構成部位の前記第1面部の最小高さと、前記第2面部の最小高さとは互いに等しいのが好ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤでは、前記構成部位は、平面視において、直線状又は曲線状の4つの辺で囲まれた略四辺形状をなし、前記稜線は、前記略四辺形状の対角線状にのびるのが好ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤでは、前記第1面部及び第2面部は、平面、或いは凹状または凸状の曲面であるのが好ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤでは、前記稜線は、直線または円弧状の曲線であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、標章を、平面視において複数の構成部位に区画し、かつそのうちの少なくとも2つの構成部位の表面を、稜線を境として互いに逆向きに傾斜する第1面部と第2面部とで形成している。
【0016】
即ち、標章の表面は、傾斜方向が異なる4つ以上の斜面を含む。そのため、標章の表面のコントラストに複雑な変化を与えることができ、視認性をより高めることが可能となる。
【0017】
しかも、もし一つの標章の表面を2つの斜面で形成した場合、基準面対する斜面の傾斜角度を充分確保することができず、コントラスト自体小となる。しかし本発明のように、複数に区画された構成部位の表面を2つの斜面で形成する場合、斜面の傾斜角度を大きくとることができる。そのため、標章に立体感を持たせることができ、コントラストの増大と相俟って、視認性をより高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態のタイヤのサイドウォール部の一部を示す側面図である。
図2】(a)は標章が「A」である場合の平面図、(b)は標章の各構成部位を分解して示す平面図である。
図3図2(b)Y-Y線断面図である。
図4】(a)は標章が「A」である場合の斜視図、(b)は標章の各構成部位を分解して示す斜視図である。
図5】(a)~(c)は標章が「L」、「K」、「E」である場合の、各標章の構成部位を分解して示す平面図である。
図6】(a)は標章が「L」である場合の斜視図、(b)は標章の各構成部位を分解して示す斜視図である。
図7】(a)は標章が「K」である場合の斜視図、(b)は標章の各構成部位を分解して示す斜視図である。
図8】(a)は標章が「E」である場合の斜視図、(b)は標章の各構成部位を分解して示す斜視図である。
図9】(a)、(b)は、標章の他の実施例を示す平面図及び斜視図である。
図10】(a)は小突起部が円錐台状突起である場合の配列状態を示す部分平面図、(a)は円錐台状突起の断面図である。
図11】標章の従来技術を示す平面図、及びそのA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、少なくとも一方のサイドウォール部2に、1以上の標章表示部3が配される。標章表示部3は、サイドウォール部2の表面2sに設けられる基準面Xと、この基準面Xに突設される1以上の標章4とを具える。本例では、標章表示部3は、サイドウォール部2の表面2sから一定の高さで段差状に突出する台座部7を具え、この台座部7の表面が前記基準面Xを形成する。なお台座部7は無くても良く、この場合、サイドウォール部2の表面2sが基準面Xをなす。
【0020】
標章4は、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ等を表すための最小単位の文字、記号、図形などを意味する。本例では、標章表示部3に、例えば「A」、「L」、「K」、「E」である4つの標章4からなる「ALKE」の文字列(例えばブランド名)が形成される場合が示される。なお標章4は、基準面Xから小高さで隆起している。
【0021】
図2(a)、(b)に、「A」の標章4が代表して示される。同図に示すように、標章4は、平面視において複数、本例では3つの構成部位5A1、5A2、5A3に区画されている。構成部位5A1、5A2、5A3を総称するとき、構成部位5と呼ぶ。各構成部位5は、本例では、それぞれ、平面視において、4つの辺6で囲まれた略四辺形状をなす。各辺6は、直線状、或いは滑らかな曲線状をなす。
【0022】
そして図2(b)に示すように、全ての構成部位5のうちの少なくとも2つの構成部位5の表面S、本例では、全ての構成部位5の表面Sは、それぞれ、表面Sを横切る稜線8により、稜線8の一方側に配される第1面部S1と、稜線8の他方側に配される第2面部S2とに区分される。
【0023】
本例では、構成部位5A1の表面SA1が、稜線8により、第1面部S1と第2面部S2とに区分される。構成部位5A2の表面SA2が、稜線8により、第1面部S1と第2面部S2とに区分される。又構成部位5A3の表面SA3が、稜線8により、第1面部S1と第2面部S2とに区分される。
【0024】
ここで、各稜線8は、略四辺形状をなす構成部位5における対角線状にのびるのが好ましい。特には、対角を結ぶ2つの対角線のうちで長い方の対角線の方向にのびるのが、コントラストを複雑化させる上で好ましい。
【0025】
図3に、図2(b)における構成部位5A1のY-Y線断面が、稜線8と直交する向きの構成部位5の断面の一例として示される。同図に示されるように、第1面部S1及び第2面部S2は、それぞれ、稜線8から離れるにつれて基準面Xからの高さが減少する向きに傾斜している。即ち、第1面部S1と第2面部S2とは互いに逆向きに傾斜する。これにより、第1面部S1と第2面部S2との間にコントラストを付けることができる。
【0026】
図4(a)に「A」の標章4の斜視図が示され、(b)に「A」の標章4を構成部位5A1、5A2、5A3に分解した分解斜視図が示される。
【0027】
図4(b)に示されるように、本例では、構成部位5A1において、その稜線8の基準面Xからの高さH8A1は一定である。同様に、構成部位5A2において、その稜線8の基準面Xからの高さH8A2は一定であり、又構成部位5A3において、その稜線8の基準面Xからの高さH8A3は一定である。しかも本例では、稜線8の各高さH8A1、H8A2、H8A3は互いに等しく設定される。
【0028】
即ち、本例では、各構成部位5において、それぞれ、稜線8は、基準面Xからの高さH8が一定である。しかも、一つの標章4内において、各構成部位5の稜線8は、基準面Xからの高さH8が、互いに等しく設定されている。
【0029】
又本例では、構成部位5A1において、第1面部S1の基準面Xからの最小高さh1A1は、第2面部S2の基準面Xからの最小高さh2A1と等しい。同様に、構成部位5A2において、第1面部S1の基準面Xからの最小高さh1A2は、第2面部S2の基準面Xからの最小高さh2A2と等しい。又構成部位5A3において、第1面部S1の基準面Xからの最小高さh1A3は、第2面部S2の基準面Xからの最小高さh2A3と等しい。しかも、本例では、前記最小高さh1A1、h1A2、h1A3、h2A1、h2A2、h2A3は、互いに等しい。
【0030】
即ち、本例では、各構成部位5において、それぞれ、第1面部S1の基準面Xからの最小高さh1は、第2面部S2の基準面Xからの最小高さh2と等しい。しかも、一つの標章4内において、各構成部位5の第1面部S1の最小高さh1と、第2面部S2の最小高さh2とは互いに等しく設定されている。
【0031】
このような標章4は、構成部位5間に一体感を持たせながら、コントラストを複雑化させることができ、視認性の向上をより高めることができる。なお構成部位5毎に高さH8が相違したり、或いは最小高さh1、h2が相違する場合、構成部位5間のまとまりに欠け、一つの標章4としての認識性に不利を招く。
【0032】
本例では、稜線8が、平面視において直線で形成される場合が示される。しかし稜線8を、円弧状の曲線で形成することもできる。
【0033】
又本例では、第1面部S1及び第2面部S2が、平面で形成される場合が示される。しかし第1面部S1及び第2面部S2を、凹状または凸状の曲面として形成することもできる。曲面には捻れ面も含まれる。
【0034】
他の標章4(「L」、「K」、「E」)についても同様であり、図5(a)~(c)に示されるように、各標章4は、平面視において複数の構成部位5に区分されている。
【0035】
「L」の標章4は、図5(a)に示すように、2つの構成部位5L1、5L2に区分される。各構成部位5L1、5L2の表面SL1、SL2は、それぞれ稜線8により、第1面部S1と、第2面部S2とに区分される。本例では、各構成部位5L1、5L2は、それぞれ4つの辺6で囲まれた略四辺形状をなし、各稜線8は対角線状にのびる。
【0036】
図6(a)、(b)に示すように、各構成部位5L1、5L2において、第1面部S1と第2面部S2とは、稜線8から互いに逆向きに傾斜する。
【0037】
構成部位5L1における稜線8の基準面Xからの高さH8L1、及び構成部位5L2における稜線8の基準面Xからの高さH8L2は、それぞれ一定である。又高さH8L1と、高さH8L2とは互いに等しく設定されている。
【0038】
構成部位5L1において、第1面部S1の最小高さh1L1と、第2面部S2の最小高さh2L1とは互いに等しい。構成部位5L2において、第1面部S1の最小高さh1L2と、第2面部S2の最小高さh2L2とは互いに等しい。又最小高さh1L1、h1L2、h2L1、h2L2は互いに等しい。
【0039】
「K」の標章4は、図5(b)に示すように、2つの構成部位5K1、5K2、5K3に区分される。各構成部位5K1~5K3の表面SK1~SK3は、それぞれ稜線8により、第1面部S1と、第2面部S2とに区分される。本例では、各構成部位5K1~5K3は、それぞれ4つの辺6で囲まれた略四辺形状をなし、各稜線8は対角線状にのびる。
【0040】
図7(a)、(b)に示すように、各構成部位5K1~5K3において、第1面部S1と第2面部S2は、稜線8から互いに逆向きに傾斜する。
【0041】
構成部位5K1における稜線8の基準面Xからの高さH8K1、構成部位5K2における稜線8の基準面Xからの高さH8K2、構成部位5K3における稜線8の基準面Xからの高さH8K3は、それぞれ一定である。又高さH8K1と、高さH8K2と、高さH8K3とは互いに等しく設定されている。
【0042】
又構成部位5K1において、第1面部S1の最小高さh1K1と、第2面部S2の最小高さh2K1とは互いに等しい。構成部位5K2において、第1面部S1の最小高さh1K2と、第2面部S2の最小高さh2K2とは互いに等しい。構成部位5K3において、第1面部S1の最小高さh1K3と、第2面部S2の最小高さh2K3とは互いに等しい。最小高さh1K1、h1K2、h1K3、h2K1、h2K2、h2K3は互いに等しい。
【0043】
「E」の標章4は、図5(c)に示すように、4つの構成部位5E1、5E2、5E3、5E4に区分される。各構成部位5E1~5E4の表面SE1~SE4は、それぞれ稜線8により、第1面部S1と、第2面部S2とに区分される。本例では、各構成部位5E1~5E4は、それぞれ4つの辺6で囲まれた略四辺形状をなし、各稜線8は対角線状にのびる。
【0044】
図8(a)、(b)に示すように、各構成部位5E1~5E4において、第1面部S1と第2面部S2は、稜線8から互いに逆向きに傾斜する。
【0045】
構成部位5E1における稜線8の基準面Xからの高さH8E1、構成部位5E2における稜線8の基準面Xからの高さH8E2、構成部位5E3における稜線8の基準面Xからの高さH8E3、構成部位5E4における稜線8の基準面Xからの高さH8E4は、それぞれ一定である。又高さH8E1と、高さH8E2と、高さH8E3と、高さH8E4とは互いに等しく設定されている。
【0046】
又構成部位5E1において、第1面部S1の最小高さh1E1と、第2面部S2の最小高さh2E1とは互いに等しい。構成部位5E2において、第1面部S1の最小高さh1E2と、第2面部S2の最小高さh2E2とは互いに等しい。構成部位5E3において、第1面部S1の最小高さh1E3と、第2面部S2の最小高さh2E3とは互いに等しい。構成部位5E4において、第1面部S1の最小高さh1E4と、第2面部S2の最小高さh2E4とは互いに等しい。最小高さh1E1、h1E2、h1E3、h1E4、h2E1、h2E2、h2E3、h2E4は、互いに等しい。
【0047】
図9(a)、(b)に、標章4の他の実施例が、「E」の場合を代表して示される。標章4は、平面視において4つの構成部位5E1、5E2、5E3、5E4に区分される。各構成部位5E1~5E4は、それぞれ4つの辺6で囲まれた略四辺形状をなす。又各構成部位5E1~5E4の表面SE1~SE4は、それぞれ稜線8により、第1面部S1と、第2面部S2とに区分される。
【0048】
各構成部位5E1~5E4において、稜線8は、各表面SE1~SE4を、例えば長さ方向に横切ってのびる。これにより、各表面SE1~SE4は、それぞれ略四辺形状の第1面部S1及び第2面部S2に区分される。この場合、稜線8は、4つの辺6のうちの何れかの辺6と平行に配されるのが好ましい。
【0049】
なお標章4においては、第1面部S1又は第2面部S2の何れか一方の面Jに、図10(a)、(b)に示すように、面Jから突出する複数の小突起部15を具えることができる。本例では、小突起部15が、上端側が小径をなす円錐台状突起16である場合が示される。この円錐台状突起16では、最大太さD1が50~1000μm、前記面Jからの突出高さH1が50~1000μm、かつ隣り合う小突起部15、15間の中心間距離L1が200~1000μmであるのが好ましい。
【0050】
このような円錐台状突起16は、光を乱反射させ、前記面Jを黒く見せることができる。その結果、標章4の輪郭形状を明確化でき、標章4の視認性を高めることができる。本発明者の研究の結果、円錐台状突起16の最大太さD1、突出高さH1、及び中心間距離L1が前記範囲を外れると、面Jが光の反射によって白っぽく見え、コントラスト差が減じる傾向を招く。なお、小突起部15が円錐台状とすることで、円柱状に比して強度を高めつつ光の反射をさらに抑えることができる。
【0051】
本例では円錐台状突起16が、碁盤目状に配列する場合が示されるが、千鳥状の配列でも良く、又中心間距離L1が前記範囲を満たすならばランダムに配列することもできる。
【0052】
標章4としては、アルファベット、数字などに限定されることなく種々な文字、記号、図形等が適用されうる。
【0053】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例
【0054】
サイドウォール部の表面に、4つの標章からなる「ALKE」の文字列(標章表示部)を形成したタイヤを表1の仕様で試作し、標章の視認性を比較した。各タイヤとも、標章の表面の最大高さ及び最小高さは同じである。
【0055】
比較例1では、図11に示すように、各標章aの表面bが、タイヤ周方向にのびる稜線により、タイヤ半径方向外側の斜面b1と、内側の斜面b2とに区分されている。実施例1では、各標章4が図4(b)、図6(b)、図7(b)、図8(b)に示すように、略四辺形状の複数の構成部位5に区画されるとともに、各構成部位5の表面Sが、対角線状にのびる稜線8により、略三角形状の第1面部及び第2面部に区分されている。一つの標章4内において、それぞれ稜線8の高さH8は互いに等しい。又一つの標章4内において、それぞれ第1面部S1の最小高さh1と、第2面部S2の最小高さh2とは互いに等しい。
【0056】
実施例2では、図9(a)、(b)に示すように、稜線8が、何れかの辺6と平行に配され、これにより各表面Sが、それぞれ略四辺形状の第1面部S1及び第2面部S2に区分されている。一つの標章4内において、それぞれ稜線8の高さH8は互いに等しい。又一つの標章4内において、それぞれ第1面部S1の最小高さh1と、第2面部S2の最小高さh2とは互いに等しい。
【0057】
比較例1では、図11に示すように、各標章aの表面bが、タイヤ周方向にのびる稜線により、タイヤ半径方向外側の斜面b1と、内側の斜面b2とに区分されている。稜線の高さは、実施例1、2の稜線8の高さH8と同一である。又斜面b1、b2の最小高さは、実施例1、2の最小高さh1、h2と同一である。
【0058】
視認性は、目視による官能評価により比較例1を100とする指数で評価した。数値が大なほど優れている。
【0059】
【表1】
【0060】
表1の如く実施例は、標章の視認性に優れているのが確認できる。
【符号の説明】
【0061】
1 タイヤ
2s 表面
2 サイドウォール部
3 標章表示部
4 標章
5 構成部位
6 辺
8 稜線
H8 稜線の基準面からの高さ
h1 第1面部の基準面からの最小高さ
h2 第2面部の基準面からの最小高さ
S 構成部位の表面
S1 第1面部
S2 第2面部
X 基準面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11