IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ 国立大学法人 熊本大学の特許一覧

<>
  • 特許-電子装置 図1
  • 特許-電子装置 図2
  • 特許-電子装置 図3
  • 特許-電子装置 図4
  • 特許-電子装置 図5
  • 特許-電子装置 図6
  • 特許-電子装置 図7
  • 特許-電子装置 図8
  • 特許-電子装置 図9
  • 特許-電子装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230301BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20230301BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230301BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H05K5/02 Q
H05K5/00 A
H05K7/20 B
H05K5/02 F
H05K5/03 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019014670
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2019208005
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2018101716
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】篠田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】安井 龍太
(72)【発明者】
【氏名】富村 寿夫
【審査官】菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-196270(JP,A)
【文献】特開2005-019743(JP,A)
【文献】特開平07-321486(JP,A)
【文献】特開2001-345403(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041936(WO,A1)
【文献】特開2015-198551(JP,A)
【文献】特開2002-214284(JP,A)
【文献】特開2002-164483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 5/00
H05K 7/20
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
ねじでねじ締めされることで、前記第1部材と固定される第2部材と、
前記第2部材に熱を伝達する発熱部品と、を備え、
前記第1部材と前記第2部材の一方は、表面が他方側突出した湾曲形状であり、前記ねじが挿入される貫通穴であり、間隔をあけて配置された二つのねじ穴が形成され、他方は、表面が平坦面形状であり、各ねじ穴に対向する位置に雌ねじが形成されており、
前記第1部材と前記第2部材は、前記ねじ締めによって固定された状態で、前記二つのねじ穴間において、前記湾曲形状の表面と前記平坦面形状の表面の一部が接触し、前記第2部材から前記第1部材に伝熱がされ
前記第1部材は、金属を主成分として構成される電子装置。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材は、前記発熱部品を収容する筐体である請求項に記載の電子装置。
【請求項3】
前記第1部材は、前記発熱部品を収容する筐体の一部であり前記雌ねじが形成されており、
前記第2部材は、前記第1部材を被取付体に取り付けるためのブラケットであり前記ねじ穴が形成されている請求項に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記発熱部品を収容する筐体に固定されたブラケットであり前記ねじ穴が形成されており、
前記第2部材は、前記第1部材を取り付ける被取付体であり前記雌ねじが形成されている請求項に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物に対してねじ締めによって固定される被固定部材、及び被固定部材を含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、アルミニウムなどからなるカバーが、ねじによってケースに固定される電子装置がある。
【0003】
また、このケースは、実装基板の裏面に実装された発熱素子との対向部位に、内面から突出する台座部が設けられている。そして、電子装置は、台座上のゲルなどの放熱部材を介して、発熱素子からケースへ放熱できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-162624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなカバーは、ねじ締め時に印加される圧力によって、ねじに対向する部分がケースに接し、二つのねじ穴で挟まれる領域がケースから離れるように変形してしまう。よって、カバーは、ケースとの接触面積が小さくなり、接触熱抵抗が増加するという問題がある。
【0006】
また、電子装置は、カバーとケースとの接触面積が小さいため、発熱素子からの熱がケースに伝熱されるものの、ケースからカバーへは伝熱されにくい。このため、電子装置は、放熱性が低下するという問題がある。
【0007】
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、放熱性を向上できる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
また、上記目的を達成するさらなる特徴は、
第1部材と、
ねじでねじ締めされることで、第1部材と固定される第2部材と、
第2部材に熱を伝達する発熱部品と、を備え、
第1部材と第2部材の一方は、表面が他方側に突出した湾曲形状であり、ねじが挿入される貫通穴であり、間隔をあけて配置された二つのねじ穴が形成され、他方は、表面が平坦面形状であり、各ねじ穴に対向する位置に雌ねじが形成されており、
第1部材と第2部材は、ねじ締めによって固定された状態で、二つのねじ穴間において、湾曲形状の表面と平坦面形状の表面の一部が接触し、第2部材から第1部材に伝熱がされ
第1部材は、金属を主成分として構成される。
【0012】
これによって、電子装置は、発熱部品から発せられた熱が第2部材だけでなく、第2部材から第1部材にも伝熱がされる。このため、電子装置は、発熱部材から発せられた熱が第2部材と、第1部材とで放熱される。従って、電子装置は、第2部材のみから放熱される場合よりも放熱性を向上できる。
【0013】
なお、特許請求の範囲、及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態における電子装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態における電子装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図3】第1実施形態におけるベースの概略構成を示す斜視図である。
図4図1のIV‐IV線に沿う断面図である。
図5】接触熱抵抗を測定する実験に用いた構成を示す図面である。
図6】温度差、熱流束、接触熱抵抗の各実験結果を示すグラフである。
図7】うねりをかえた場合の接触熱抵抗の各実験結果を示すグラフである。
図8】第2実施形態における電子装置の概略構成を示す断面図である。
図9】第3実施形態における電子装置の概略構成を示す斜視図である。
図10】第4実施形態における電子装置の概略構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、Z方向は、厚さ方向と一致する。X方向とY方向とで規定される平面は、XY平面と言うことができ、配線基板31の表面やベース側表面S1と平行する面である。
【0016】
(第1実施形態)
図1図7を用いて、第1実施形態に関して説明する。本実施形態では、被固定部材としてカバー20を採用し、電子装置として電子装置100を採用する。電子装置100は、ベース10とカバー20とを含む筐体と、一部が筐体に収容された実装基板30と、を含んでいる。この電子装置100は、ブラケット200を介して車体300に取り付けられる。本実施形態では、対象物及び第2部材としてベース10を採用し、被固定部材及び第1部材としてカバー20を採用している。なお、図1では、ベース10とカバー20とで、実装基板30の一部を収容した状態で、ベース10とカバー20とが組み付けられた状態を示している。また、図1では、ベース10とカバー20とがねじ40でねじ締めされる前の状態を示している。
【0017】
ベース10は、アルミニウムなどの金属を主成分として形成されている。ベース10は、例えば、ダイカストなどの製法によって製造することができる。ベース10は、ベースフランジ部11、雌ねじ12、固定部13、ベースねじ穴14、凸部15などを含んでいる。図2図3などに示すように、ベース10は、実装基板30が搭載される。そして、図1に示すように、ベース10は、実装基板30が搭載された状態で、カバー20が組み付けられる。言い換えると、ベース10は、実装基板30が搭載された状態で、ねじ締めによってカバー20と固定される。
【0018】
図2に示すように、ベース10は、例えば、コネクタ33が配置される部位を除く三辺が、突出した枠部として形成されている。そして、ベース10は、コネクタ33が配置される部位と枠部とで囲まれた領域が枠部よりも凹んで設けられている。この凹んだ部位は、底部とも言える。
【0019】
図1図2図3に示すように、ベース10は、Y方向における両側にベースフランジ部11が設けられている。本実施形態では、二箇所にベースフランジ部11が設けられている。二つのベースフランジ部11は、枠部における対向する位置関係にある二つの部位に相当する。なお、図1などでは、一方のベースフランジ部11のみが図示されている。
【0020】
ベースフランジ部11は、ベース10とカバー20とがねじ40によって固定された状態で、カバー20のカバーフランジ部21が直接接触する部位である。ベースフランジ部11は、カバーフランジ部21と対向する面が平坦面である。図4のベース側表面S1は、ベースフランジ部11における平坦面を示している。また、ベース側表面S1は、XY平面に沿う平坦面である。よって、ベースフランジ部11は、少なくともカバー側表面S2と直接接触することになる。
【0021】
図2に示すように、各ベースフランジ部11には、二つの雌ねじ12が設けられている。よって、本実施形態では、四箇所に雌ねじ12が設けられていることになる。本実施形態では、各ベースフランジ部11のX方向における両端に雌ねじ12が設けられている。つまり、各ベースフランジ部11には、間隔をあけて雌ねじ12が設けられていると言える。この雌ねじ12は、カバー20のねじ穴22を貫通したねじ40の一部が螺合される。よって、各雌ねじ12は、ベース10上にカバー20が配置された状態で、カバー20の各ねじ穴22に対向する位置に設けられている。
【0022】
また、ベース10は、各ベースフランジ部11の二箇所から固定部13が突出して設けられている。固定部13は、各ベースフランジ部11からY方向に突出した部位である。つまり、ベース10は、四箇所に固定部13が設けられている。固定部13は、電子装置100を取り付け対象に固定するための部位である。各固定部13には、固定部13の厚さ方向に貫通するベースねじ穴14が設けられている。なお、ベースねじ穴14は、ベース10に設けられているため、カバー20に設けられたねじ穴22と区別するために、ベースねじ穴と言うこともできる。
【0023】
図2に示すように、ベース10は、底部に凸部15が設けられている。凸部15は、周辺よりも突出した部位である。凸部15上には、放熱部材50を介して実装基板30が配置される。つまり、電子装置100は、ベース10とカバー20とが固定された状態で、実装基板30と放熱部材50とが接し、且つ、凸部15と放熱部材50とが接している。放熱部材50は、高熱伝導性の部材であり、放熱シートや放熱ゲルなどを採用することができる。
【0024】
凸部15及び放熱部材50は、実装基板30から発せられた熱をベース10に伝熱して、ベース10を介して放熱するために設けられている。なお、実装基板30から発せられた熱は、主に、発熱素子としての回路素子32から発せられた熱である。本開示は、これに限定されず、凸部15や放熱部材50を備えていなくてもよい。
【0025】
カバー20は、ベース10と同様に、アルミニウムなどの金属を主成分として形成されている。カバー20は、例えば、ダイカストなどの製法によって製造することができる。カバー20は、カバーフランジ部21、接触凸部211、ねじ穴22、コネクタ収容部23、放熱フィン24などを含んでいる。カバー20は、ベース10に固定された状態で、実装基板30を収容することが可能な空間が設けられている。
【0026】
図1図2に示すように、カバー20は、Y方向における両側にカバーフランジ部21が設けられている。本実施形態では、二箇所にカバーフランジ部21が設けられている。なお、図1などでは、一方のカバーフランジ部21のみが図示されている。
【0027】
カバーフランジ部21は、上記のように、ベースフランジ部11と直接接触する部位である。カバーフランジ部21は、少なくとも二つのねじ穴22の間において、ねじ締めによってベース10に直接接触する部位であり、ねじ穴22のベース10側の開口端よりもベース10側に突出した一つの接触凸部211が設けられている。
【0028】
本実施形態では、一例として、一方のねじ穴22と他方のねじ穴22との間に頂点を有する曲面形状をなしている接触凸部211を採用している。詳述すると、接触凸部211は、一方のねじ穴22と他方のねじ穴22との間に一つの頂点を有する曲面形状をなしている。さらに、本実施形態では、一例として、一方のねじ穴22と他方のねじ穴22との間の中間地点に頂点が形成された曲面形状を採用している。また、接触凸部211は、ベース10とカバー20とがねじ40によって固定される前の状態で曲面形状をなしている。
【0029】
また、接触凸部211は、各ねじ穴22の開口端から頂点側へいくにつれて徐々に開口端を基準とした高さが高くなる曲面形状をなしているとも言える。よって、接触凸部211は、一方のねじ穴22の開口端から頂点側へいくにつれて徐々に開口端を基準とした高さが高くなり、且つ、頂点側から他方のねじ穴22の開口端へいくにつれて開口端を基準とした高さが低くなる曲面形状をなしているとも言える。従って、接触凸部211は、少なくとも、一方のねじ穴22の開口端から他方のねじ穴22の開口端にわたって設けられている、と言える。つまり、接触凸部211は、一方のねじ穴22の開口端と、他方のねじ穴22の開口端との間のほぼ全域が平坦で、一部分だけに設けられた突起とは異なる。
【0030】
なお、頂点とは、カバー側表面S2において、ねじ穴22に対して最も突出した部位である。また、言い換えると、頂点とは、ねじ穴22の開口端を基準とした高さが最も高い部位である。この頂点は、点であってもよいし、所定の面積を有した領域であってもよい。よって、頂点は、頂部と言い換えることもできる。また、カバー20は、ベース10側に突出したうねりΔが形成されている、とも言い換えることができる。図4に示すように、うねりΔは、カバーフランジ部21の最端部における、ベース側表面S1との間隔に相当する。最端部は、ベース側表面S1と、ベースフランジ部11の側壁とのエッジとみなすことができる。
【0031】
このように、カバーフランジ部21は、ベースフランジ部11と対向する面が、ベース10とカバー20とがねじ40によって固定される前の状態で曲面形状をなしている。図4のカバー側表面S2は、カバーフランジ部21における曲面を示している。また、カバー側表面S2は、XY平面に対して、Z方向に突出した曲面である。
【0032】
さらに、カバーフランジ部21は、接触凸部211の反対面におけるねじ穴22の周囲は、平坦面形状をなしていると好ましい。図4に示すように、カバーフランジ部21は、ねじ40がねじ穴22に挿入された状態で、ねじ40をねじ締めすることでベース10に固定される。平坦面形状をなした部位は、ねじ40のねじ頭が接触する部位である。カバーフランジ部21は、このように平坦面形状をなしている部位を有することで、ねじ40のねじ頭との接触面積が確保しやすい。よって、カバーフランジ部21は、接触凸部211を備えつつ、ねじ40による固定状態を強固にすることができる。つまり、カバーフランジ部21は、接触凸部211の反対面が曲面形状をなしている場合よりも、ねじ40による固定状態を強固にすることができる。
【0033】
カバー20は、ダイキャストのような鋳物の場合、金型の形状を変えることで、上記のような曲面形状とすることができる。よって、カバー20は、コストアップを抑制しつつ、曲面形状とすることができる。
【0034】
図2に示すように、各カバーフランジ部21には、二つのねじ穴22が設けられている。よって、本実施形態では、四箇所にねじ穴22が設けられていることになる。このねじ穴22は、ねじ40が挿入される貫通穴である。つまり、ねじ穴22は、カバーフランジ部21を厚み方向に貫通している穴と言える。ねじ穴22には、ベース10とカバー20とがねじ40で固定された状態で、ねじ40における雄ねじの一部が配置される。
【0035】
本実施形態では、各カバーフランジ部21のX方向における両端にねじ穴22が設けられている。つまり、各カバーフランジ部21には、間隔をあけてねじ穴22が設けられていると言える。
【0036】
上記のように、本実施形態では、Y方向の両端にベースフランジ部11とカバーフランジ部21とを備えた例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、Y方向の両端に加えて、X方向の少なくとも一方の端部にベースフランジ部11とカバーフランジ部21とを備えていてもよい。つまり、カバー20は、XY平面視で矩形状である場合、接触凸部211が形成されたカバーフランジ部21を三辺もしくは四辺に備えていてもよい。そして、ベース10は、組み付けられるカバー20に対応してベースフランジ部11を三辺もしくは四辺に備えていてもよい。
【0037】
なお、本実施形態では、コネクタ33が配置される部位である、ベースフランジ部11よりも突出したコネクタ収容部23が設けられたカバー20を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、コネクタ収容部23が設けられていないカバー20であっても採用できる。
【0038】
また、本実施形態では、放熱フィン24が設けられたカバー20を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、放熱フィン24が設けられていないカバー20であっても採用できる。
【0039】
図2図3に示すように、実装基板30は、配線基板31と、配線基板31の表面に実装された回路素子32とコネクタ33とを含んでいる。配線基板31は、絶縁基材に導電性の配線が形成されている。回路素子32とコネクタ33は、配線と電気的に接続された状態で配線基板31に実装されている。また、回路素子32は、配線基板31の配線を介して、コネクタ33と電気的に接続されている。実装基板30は、複数の回路素子32が実装されている。回路素子32は、動作することで熱を発する発熱素子を含んでいる。発熱素子としての回路素子32は、ベース10に熱を伝達する発熱部品に相当する。コネクタ33は、例えば、導電性の端子と、端子を囲うコネクタカバーとを含んでいる。よって、ベース10とカバー20とは、発熱部品を収容する筐体に相当する。
【0040】
実装基板30は、コネクタカバーの少なくとも一部と、端子の一部とが筐体から露出された状態で、筐体に取り付けられている。つまり、実装基板30は、配線基板31と回路素子32とが筐体で覆われており、筐体で保護されている。
【0041】
なお、実装基板30は、ベース10とカバー20とがねじ締めによって固定される際に、ベース10とカバー20とで挟み込まれて応力が印加されることで、筐体に保持される。また、実装基板30は、ねじ止めや接着剤などによってベース10に固定されてもよい。
【0042】
ねじ40は、ねじ頭と、ねじ頭が突出して設けられた雄ねじとを含んでいる。ねじ40は、ベース10とカバー20とを固定するための固定部材である。ねじ40は、雄ねじの一部がねじ穴22に挿入された状態で、雄ねじの他の部位がカバー20から突出し、雌ねじ12と螺合できるように構成されている。詳述すると、ねじ40は、カバー20におけるベース10との対向面の反対側から雄ねじが挿入されて、雄ねじの一部がねじ穴22内に配置され、且つ雄ねじの他の部位がベース10との対向面側に突出するように構成されている。そして、ねじ40は、ねじ締めされることで、ねじ頭がカバー20におけるベース10との対向面の反対側に接し、雄ねじにおける対向面側に突出した部位が雌ねじ12に螺合される。
【0043】
このように、電子装置100は、ベース10とカバー20とで形成される内部空間に実装基板30の一部を収容した状態で、ベース10とカバー20とがねじ40で固定されている。このとき、電子装置100は、実装基板30と放熱部材50とが接し、且つ、凸部15と放熱部材50とが接している。よって、電子装置100は、実装基板30から発せられた熱がベース10に伝熱される。
【0044】
また、電子装置100は、ベース10とカバー20とがねじ締めによって固定された状態で、二つのねじ穴22間の全体が直接接触している。つまり、少なくともベース側表面S1と接触凸部211におけるカバー側表面S2とは、全域が直接接触した状態となる。また、カバー20は、ねじ締めによって、ねじ40のねじ頭に対向する部位のカバー側表面S2においても、ベース側表面S1と直接接触した状態となる。以下においては、ねじ40のねじ頭に対向する部位のカバー側表面S2を単にねじ頭対向部とも称する。
【0045】
このため、ベース10とカバー20とは、ベース側表面S1と接触凸部211におけるカバー側表面S2の全体及びねじ頭対向部とが直接接触して伝熱経路の一部となっている、と言える。よって、電子装置100は、ベース側表面S1と接触凸部211におけるカバー側表面S2が部分的に接触している場合に比べて、XY平面における伝熱経路を広くすることができる。
【0046】
これによって、電子装置100は、実装基板30から発せられた熱がベース10に伝熱され、且つ、ベース10からカバー20へと伝熱される。また、電子装置100は、実装基板30から発せられた熱がベース10からカバー20へと逃げやすくなる、とも言える。そして、電子装置100は、カバー20に伝熱された熱が放熱フィン24から放熱される。つまり、電子装置100は、実装基板30から発せられた熱がベース10と、カバー20とで放熱される。
【0047】
従って、電子装置100は、ベース10のみから放熱される場合よりも放熱性を向上できる。なお、電子装置100は、放熱フィン24を備えていない場合であっても、回路素子32から発せられた熱がベース10だけでなくカバー20にも伝熱されるため、放熱性を向上できる。
【0048】
さらに、電子装置100は、接触凸部211におけるカバー側表面S2の全域やねじ頭対向部がベース側表面S1と接触している。このため、電子装置100は、ベース側表面S1と接触凸部211におけるカバー側表面S2とが部分的に接触している場合よりも、ベース10とカバー20との接触熱抵抗R[℃/W]を小さくすることができる。よって、電子装置100は、ベース側表面S1と接触凸部211におけるカバー側表面S2とが部分的に接触している場合よりも、ベース10からカバー20への伝熱が良好に行われ、放熱性を向上できる。
【0049】
また、電子装置100は、Y方向の両端に加えて、X方向の少なくとも一方の端部にベースフランジ部11とカバーフランジ部21とを備えていた場合、より一層放熱性を向上できる。
【0050】
なお、本実施形態では、ブラケット200を介して、車体300に固定される電子装置100を採用している。ブラケット200は、ベース10のベースねじ穴14に対向する位置に雌ねじが設けられている。そして、電子装置100は、ベースねじ穴14が、ブラケット200の雌ねじに対向するように配置され、ねじをベースねじ穴14に挿入しつつブラケット200の雌ねじに螺合することで、ブラケット200に固定される。また、ブラケット200と車体300とは、同様に、ねじによって固定される。
【0051】
ここで、ベース10とカバー20の固定構造に関して詳しく説明する。上記のように、ベースフランジ部11の表面であるベース側表面S1が平坦面であるのに対して、カバーフランジ部21の表面は、接触凸部211が形成された曲面形状をなしている。このため、図4に示すように、カバー20は、ベース上に配置されただけの状態では、頂点がベース側表面S1と接しているのに対して、両端がベース側表面S1と離間している。
【0052】
カバー20は、ねじ40によってねじ締めされる際に、ねじ40から圧力が印加される。詳述すると、カバーフランジ部21は、接触凸部211の頂点がベースフランジ部11に接触した状態で、ねじ40によってねじ締めが開始される。このとき、カバーフランジ部21は、曲面形状をなしているため、接触凸部211の周辺はベースフランジ部11とは接触していない。
【0053】
そして、カバーフランジ部21は、ねじ締めによって、接触凸部211の頂点がベースフランジ部11に接触した状態で、ねじ40のねじ頭から圧力が両端に印加される。つまり、カバー20は、図4における、中央付近を頂点として、両端付近に圧力(荷重f)が印加されることになる。
【0054】
カバーフランジ部21は、ねじ40のねじ頭からの圧力によって、接触凸部211の頂点がベースフランジ部11に接触した状態で、頂点から両端におけるカバー側表面S2が、ベース側表面S1に近づくように変形する。そして、カバーフランジ部21は、ねじ締めをすすめていくことで、少なくとも接触凸部211におけるカバー側表面S2の全域とねじ頭対向部とがベース側表面S1に接触する。つまり、カバーフランジ部21は、ねじ締めする前にベースフランジ部11と接触している領域に加えて、ねじ締めする前にベースフランジ部11と接触していない領域が、ねじ締めによって直接接触する。
【0055】
これに対して、カバー側表面S2が平坦面である場合、カバーフランジ部21は、上記のように、ねじ締めされると、ねじ穴22付近に圧力が印加されることになる。この場合、カバーフランジ部21は、ねじ穴22付近を起点として、頂点などがベース側表面S1から浮き上があるように変形する。このため、カバー側表面S2が平坦面であるカバーフランジ部21は、ねじ締めされた状態で、ねじ穴22間において、ベースフランジ部11と接触していない部分が生じてしまう。つまり、カバー20は、ねじ締めされていない状態でカバー側表面S2が平坦面である場合、ねじ締めした状態でカバー側表面S2とベース側表面S1との間に隙間が生じる。
【0056】
以上のように、カバー20は、ねじ締めする前の状態でカバー側表面S2が平坦面である場合、つまり、接触凸部211が設けられていない場合よりも、ベース10との接触面積を広くすることができる。また、カバー20は、ベース10とともに、発熱部品としての回路素子32を収容する筐体をなしている。よって、カバー20は、上記のように、ベース10との接触熱抵抗Rを低減することができるため放熱性を向上できる。
【0057】
この効果は、接触熱抵抗Rを測定する実験によっても確認できた。ここで、図5図7を用いて、接触熱抵抗Rを測定する実験に関して説明する。なお、図5では、ベースフランジ部11に相当する銅プレートに符号11を付与し、カバーフランジ部21に相当する試験片に符号21を付与している。
【0058】
本実験では、図5に示す銅プレート11と試験片21とを用いて行った。また、本実験では、銅プレート11が配置されるコールドプレートと、ねじ40から印加される圧力に相当する荷重fを印加する加圧部とを備えた実験装置を用いた。さらに、本実験では、接触熱抵抗Rを測定するために、複数の熱電対1a~9a、1b~9bと、複数の熱流束センサ1c~9cを用いた。各熱流束センサ1c~9cは、熱流束に応じた電気信号を出力する。熱流束センサは、熱流センサと言い換える事ができる。
【0059】
図5に示すように、銅プレート11は、ベースフランジ部11と同様に、試験片21と対向する面が平坦面である。一方、試験片21は、カバーフランジ部21と同様に、銅プレートと対向する面が曲面形状をなしている。
【0060】
試験片21には、一例として、X方向に複数の熱電対1a~9aを設けている。各熱電対1a~9aは、ほぼ等しい間隔となるように設けている。同様に、銅プレート11には、試験片21に設けられた複数の熱電対1a~9aに対応して、X方向に複数の熱電対1b~9bを設けている。つまり、銅プレート11と試験片21には、X方向において9等分され、各領域に熱電対1b~9bのそれぞれ、及び熱電対1a~9aのそれぞれを設けている。
【0061】
さらに、銅プレート11には、試験片21との対向面の反対面に、複数の熱流束センサ1c~9cが設けられている。つまり、銅プレート11には、各領域に熱流束センサ1c~9cのそれぞれが設けられている。そして、銅プレート11は、熱流束センサ1c~9cがコールドプレートと対向するように、コールドプレートに配置される。
【0062】
なお、例えば、熱電対1aと熱電対1bとは、同じ領域に設けられているため対応する熱電対と言える。また、熱流束センサ1cは、熱電対1a及び熱電対1bと同じ領域に設けられているため、熱電対1a及び熱電対1bと対応する熱流束センサと言える。他の熱電対2a~9a、熱電対2b~9b、熱流束センサ2c~9cに関しても同様である。
【0063】
試験片21は、銅プレート11上に配置された状態で、ねじ穴22が設けられた位置に、ねじ40から印加される圧力に相当する荷重fが印加される。本実験では、全荷重2fとして、200kg、400kg、600kgを個別に印加して実験を行った。
【0064】
また、本実験では、一例として、荷重fを印加する二箇所の間隔を80mmとしている。つまり、本実験では、二つのねじ穴22の間隔が80mmと想定している。なお、本実験では、カバーフランジ部21の試験片21のX方向の長さが90mmと想定して、試験片21のX方向の長さを90mmとしている。
【0065】
本実験では、うねりがΔ0μm、Δ200μm、Δ300μmのそれぞれ場合に、全荷重fを200kg、400kg、600kgとかえて接触熱抵抗Rを測定した。接触熱抵抗Rは、接触面間の温度差/通過熱流量=温度差T/Qで求めることができる。
【0066】
図6図7に、この実験結果を示す。なお、図6図7における9点の値は、図5の左端を0mmとした場合における各領域における値である。図5における領域間の境界を示す破線は、10mm間隔で引いている。
【0067】
うねりΔ0μmの場合、図6(a)は、例えば、一番左の値が熱電対1aと熱電対1bの検出値に基づいた接触面間の温度差を示す値であり、一番右の値が熱電対9aと熱電対9bの検出値に基づいた接触面間の温度差を示す値である。この図6(a)からわかるように、温度差は、荷重fを印加した二点の中間で高くなる。
【0068】
また、図6(b)は、例えば、一番左の値が熱流束センサ1cの検出値である熱流束から得られた通過熱量を示す値であり、一番右の値が熱流束センサ9cの検出値である熱流束を示す値である。この図6(b)からわかるように、通過熱量は、荷重fを印加した二点の中間で低くなっている。
【0069】
そして、図6(c)は、例えば、一番左の値が熱電対1aと熱電対1bの検出値に基づいた温度差と、熱流束センサ1cの通過熱量とから算出した接触熱抵抗Rを示す値である。また、一番右の値が熱電対9aと熱電対9bの検出値に基づいた温度差と、熱流束センサ9cの通過熱量とから算出した接触熱抵抗Rを示す値である。
【0070】
図7(a)と図7(b)からわかるように、うねりΔ0μmの場合よりも、うねりΔ200μmの方が、接触熱抵抗Rが下がっている。さらに、図7(b)と図7(c)からわかるように、うねりΔ200μmの場合よりも、うねりΔ300μmの方が、接触熱抵抗Rが下がっている。
【0071】
なお、既存の固体1と固体2との間の接触熱抵抗予測式としては、例えば、数1に示す佐野川の式がある。この佐野川の式は、橘の式の考え方を補充した式であり、δに微細粗さによる熱流の縮小と拡大の効果として、実験による補正値2.3×10-5mを追加した式となる。
【0072】
【数1】
C:接触熱コンダクタンス[W/(m・K)]
δ:接触面の最大粗さ[m]
λ:固体熱伝導率[W/(m・K)]
λ:流体熱伝導率[W/(m・K)]
Pm:平均接触圧力[MPa]
Hmin:軟らかい方のビッカース硬度[Hv]
このように、佐野川の式には、本開示における、うねりΔに関する概念が含まれていない。よって、この予測式では、正確な接触熱抵抗を予測することができない。
【0073】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本開示のその他の形態として、第2~第3実施形態に関して説明する。上記実施形態及び第2~第3実施形態は、それぞれ単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本開示は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0074】
(第2実施形態)
図8を用いて、第2実施形態におけるカバー20a、及びカバー20aを含む電子装置100に関して説明する。本実施形態では、上記実施形態と同様に、対象物及び第2部材としてベース10を採用し、被固定部材及び第1部材としてカバー20を採用している。なお、本実施形態では、便宜的に、電子装置の符号を上記実施形態と同じ100としている。本実施形態は、カバー20aの形状が上記実施形態と異なり、その他の点は上記実施形態と同様である。このため、以下においては、異なる点を中心に説明する。また、同様である点に関しては、上記実施形態を参照して採用することができる。
【0075】
電子装置100は、ベース10aとカバー20aとを含む筐体と、一部が筐体に収容された実装基板30と、を含んでいる。電子装置100は、ベース10aとカバー20aとで形成される内部空間に実装基板30の一部を収容した状態で、ベース10aとカバー20aとがねじ40で固定されている。
【0076】
ベース10aは、ベースフランジ部11aを含んでいる。ベース10aとベースフランジ部11aは、上記実施形態と符号が異なるが、上記実施形態と同様である。
【0077】
カバー20aは、カバーフランジ部21aを含んでいる。カバーフランジ部21aは、カバーフランジ部21と同様にねじ穴22aが設けられている。カバーフランジ部21aは、ねじ穴22aの開口端に連続的に設けられ、ねじ穴22aよりも開口面積が広い凹部25が設けられている。
【0078】
凹部25は、ねじ穴22aの開口の周辺に設けられており、開口周辺部に相当する。凹部25は、カバー側表面S2に対して凹んだ窪みである。そして、カバーフランジ部21aは、凹部25の底にねじ穴22aが設けられている。このように、カバーフランジ部21aは、ねじ穴22aと凹部25とが設けられているため、段差を有した貫通穴が設けられていることになる。なお、本実施形態では、一例として、円形の開口を有し、側壁と底部との角が直角である凹部25を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されない。
【0079】
さらに、カバーフランジ部21aは、一方の凹部25と他方の凹部25との間が平坦面形状の接触凸部211aが設けられている。カバーフランジ部21aは、凹部25の周辺の全域が平坦面となっている。つまり、カバー側表面S2は、平坦面である。
【0080】
このように、カバーフランジ部21aは、凹部25が設けられている点、及び接触凸部211aの形状がカバーフランジ部21と異なる。
【0081】
本実施形態の電子装置100は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、カバー20aは、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0082】
なお、本実施形態では、凹部25における側壁と底側の角部が直角である例を採用している。しかしながら、本開示は、これに限定されず、凹部25における底側の角部が曲面であってもよい。つまり、凹部25は、ねじ穴22aの開口端からカバー側表面S2に行くにつれて、徐々に開口面積が広くなる形状であってもよい。これによって、カバーフランジ部21aは、カバー側表面S2と凹部25との角部において、ベース側表面S1と非接触になることを抑制できる。
【0083】
(第3実施形態)
ここで、図9を用いて、第3実施形態における電子装置100aに関して説明する。本実施形態では、対象物及び第2部材として車体300aを採用し、被固定部材及び第1部材としてブラケット200aを採用している。
【0084】
なお、本実施形態は、カバー20bとブラケット200aが上記実施形態と異なり、その他の点は上記実施形態と同様である。このため、以下においては、異なる点を中心に説明する。また、同様である点に関しては、上記実施形態を参照して採用することができる。
【0085】
カバー20bは、天井部24aに放熱フィンが設けられていない点がカバー20と異なり、その他の点はカバー20と同様である。よって、ベース10とカバー20bとは、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。このため、電子装置100aは、実装基板30から発せられた熱がベース10に伝熱され、且つ、ベース10からカバー20bへと伝熱される。
【0086】
ブラケット200aは、押さえ部202a、第1フランジ部203a、第1ねじ穴204a、第2フランジ部205a、第2ねじ穴206aを含んでいる。ブラケット200aは、アルミニウムなどの金属を主成分として形成されている。よって、電子装置100aは、実装基板30から発せられた熱がベース10、カバー20bへと伝熱され、且つカバー20bからブラケット200aに伝熱される。
【0087】
各第1フランジ部203aは、ベース10と固定される部位である。各第1フランジ部203aは、ねじが挿入される貫通穴であり、間隔をあけて配置された二つの第1ねじ穴204aが設けられている。なお、ベース10の縁部は、第1ねじ穴204aに対向する位置に、雌ねじが設けられている。ベース10とブラケット200aは、第1ねじ穴204aに挿入されるねじによって固定されている。
【0088】
また、ブラケット200aは、各第1フランジ部203aの一方の端部に繋ぎを介して第2フランジ部205aが設けられている。つまり、ブラケット200aは、両端に第2フランジ部205aが設けられている。各第1フランジ部203aと各第2フランジ部205aは、Z方向の位置が、ベース10の厚みに相当する程度異なる。
【0089】
各第2フランジ部205aは、車体300aと固定される部位である。各第2フランジ部205aは、ねじが挿入される貫通穴であり、間隔をあけて配置された二つの第2ねじ穴206aが設けられている。なお、車体300aは、第2ねじ穴206aに対向する位置に、雌ねじが設けられている。車体300aとブラケット200aは、第2ねじ穴206aに挿入されるねじによって固定されている。
【0090】
さらに、各第2フランジ部205aは、カバーフランジ部21と同様に、車体300aと対向する側に接触凸部が設けられている。つまり、各第2フランジ部205aは、二つの第2ねじ穴206aの間に設けられており、ねじ締めによって車体300aに接触する部位であり、第2ねじ穴206aの車体側の開口端よりも車体300a側に突出した一つの接触凸部が設けられている。なお、車体300aは、第2フランジ部205aと対向する部位が平坦面となっている。
【0091】
このため、ブラケット200aは、上記実施形態のカバー20と同様な作用によって、車体300aとの接触熱抵抗Rを低減することができるため放熱性を向上できる。さらに、ブラケット200aと車体300aとは、上記実施形態のベース10とカバー20と同様な作用によって、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。本実施形態では、実装基板30から発せられた熱がベース10、カバー20b、ブラケット200aへと伝熱されて、さらに、ブラケット200aの第2フランジ部205aから車体300aへと伝熱される。このように、本実施形態では、ブラケット200aのみから放熱される場合よりも放熱性を向上できる。なお、電子装置100aは、ベース10、カバー20b、実装基板30に加えて、ブラケット200a、車体300aを含んでいるとみなすことができる。
【0092】
電子装置100aは、対象物及び第2部材としてベース10を採用し、被固定部材及び第1部材としてブラケット200aを採用してもよい。この場合、第1フランジ部203aの第1ねじ穴204aは、特許請求の範囲におけるねじ穴に相当する。さらに、第1フランジ部203aは、カバーフランジ部21と同様に、ベース10と対向する側に接触凸部が設けられている。なお、ベース10は、第1フランジ部203aに対向する部位が平坦面となっている。
【0093】
このようにすることで、電子装置100aは、上記実施形態のベース10とカバー20と同様な作用によって、ベース10とブラケット200aとの間において上記と同様の効果を奏することができる。また、ブラケット200aは、上記実施形態のカバー20と同様な作用によって、ベース10との接触熱抵抗Rを低減することができるため放熱性を向上できる。なお、ブラケット200aは、対象物とすることもできる。
【0094】
(第4実施形態)
ここで、図10を用いて、第4実施形態における電子装置に関して説明する。本実施形態は、ベース10にカバー20が固定された状態における、カバーフランジ部21の形状が第1実施形態と異なる。なお、本実施形態では、便宜的に、上記実施形態と同じ符号を用いる。
【0095】
カバーフランジ部21は、ベースフランジ部11に固定された状態で、接触凸部211が一方のねじ穴22と他方のねじ穴22との間に一つの頂点を有する曲面形状をなしている。接触凸部211の表面は、ベースフランジ部11側に突出した湾曲形状である。一方、ベースフランジ部11は、表面が平坦面形状である。
【0096】
ベース10とカバー20は、ねじ締めによって固定された状態で、二つのねじ穴22間において、カバーフランジ部21とベースフランジ部11が部分的に接触している。つまり、電子装置は、二つのねじ穴22間において、カバーフランジ部21における湾曲形状の表面とベースフランジ部11における平坦面形状の表面の一部が接触している。言い換えると、電子装置は、二つのねじ穴22間において、カバーフランジ部21とベースフランジ部11との対向面間の一部が離間している。詳述すると、カバーフランジ部21は、二つのねじ穴22間の中央部付近においてベースフランジ部11と接触し、二つのねじ穴22付近においてベースフランジ部11と離間している。
【0097】
電子装置は、カバーフランジ部21とベースフランジ部11が部分的に接触し、実装基板30から発せられた熱がベース10に伝熱され、且つ、ベース10からカバー20へと伝熱される。このような構成であっても、電子装置は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0098】
10、10a…ベース、11、11a…ベースフランジ部、12…雌ねじ、13…固定部、14…ベースねじ穴、15…凸部、20、20a、20b…カバー、21、21a…カバーフランジ部、211、211a…接触凸部、22、22a…ねじ穴、23…コネクタ収容部、24…放熱フィン、24a…天井部、25…凹部、30…実装基板、31…配線基板、32…回路素子、33…コネクタ、40…ねじ、50…放熱部材、100、100a…電子装置、200、200a…ブラケット、202a…押さえ部、203a…第1フランジ部、204a…第1ねじ穴、205a…第2フランジ部、206a…第2ねじ穴、300、300a…車体、S1…ベース側表面、S2…カバー側表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10