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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】医療機器のラック機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/22 20160101AFI20230301BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61B50/22
A61M5/00 520
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019077073
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020174693
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽畑 元晴
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-41676(JP,A)
【文献】特開2009-219637(JP,A)
【文献】特表2016-508045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/20 ― 50/28
A61B 90/50
A61M 5/00 ― 5/175
F16M 11/00 ― 13/08
H05K 5/00 ― 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられる箱形状の受け部を有するラック本体部と、
前記受け部に対して、前記開口部を通じて挿入されることにより接続される接続部を有し、前記ラック本体部に対して着脱可能な医療機器とを備え、
前記受け部は、
前記ラック本体部に対する前記医療機器の装着時、前記接続部の挿入方向を斜め下方向に規制する第1規制部と、
前記接続部が前記受け部に接続された状態において、前記医療機器を所定の姿勢に支持するとともに、前記接続部の挿入方向に沿った前後方向において前記接続部の位置を規制する第2規制部とを有し、
前記医療機器は、シリンジポンプまたは輸液ポンプである、医療機器のラック機構。
【請求項2】
前記受け部は、
前記接続部が前記受け部に接続された状態において、前記前後方向と直交する左右方向において前記接続部の位置を規制する第3規制部をさらに有する、請求項1に記載の医療機器のラック機構。
【請求項3】
前記受け部は、
前記ラック本体部に対する前記医療機器の装着時、斜め下方向に挿入される前記接続部の進入を停止させる第4規制部をさらに有し、
前記接続部の斜め下方向への進入が停止された位置において、前記接続部に対する前記第1規制部の規制が解除され、前記接続部は、前記医療機器の重量によって、前記第2規制部により規制される姿勢に変化する、請求項1または2に記載の医療機器のラック機構。
【請求項4】
立設されたポールをさらに備え、
前記ラック本体部は、前記ポールに締結され、
前記ラック本体部は、上下方向に間隔を設けた並ぶ複数の前記受け部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の医療機器のラック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療機器のラック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の医療機器のラック機構に関して、たとえば、国際公開第2013/161709号(特許文献1)には、医療機器が着脱可能に装着される装着部を備える医療機器のラックが開示されている。装着部は、同一軸上において対向し、医療機器が着脱可能に取り付けられる上部ポストおよび下部ポストを有する。上部ポストおよび下部ポストを通る中心軸は、医療機器を回転操作しながら装着部に取り付ける際の回転支持中心となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2013/161709号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、医療機器のラック機構が知られている。このようなラック機構には、医療従事者により輸液ポンプまたはシリンジポンプ等の医療機器が繰り返し着脱されるため、医療機器の装着時における作業性が良好であることが求められる。また、医療機器は、輸液等の治療に供するため、ラック機構においてより安定して保持されることが求められる。
【0005】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、医療機器の装着時における作業性に優れるとともに、医療機器をより安定して保持することが可能な医療機器のラック機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の1つの局面に従った医療機器のラック機構は、開口部が設けられる箱形状の受け部を有するラック本体部と、受け部に対して、開口部を通じて挿入されることにより接続される接続部を有し、ラック本体部に対して着脱可能な医療機器とを備える。受け部は、ラック本体部に対する医療機器の装着時、接続部の挿入方向を斜め下方向に規制する第1規制部と、接続部が受け部に接続された状態において、医療機器を所定の姿勢に支持するとともに、接続部の挿入方向に沿った前後方向において接続部の位置を規制する第2規制部とを有する。医療機器は、シリンジポンプまたは輸液ポンプである。
この発明の別の局面に従った医療機器のラック機構は、開口部が設けられる箱形状の受け部を有するラック本体部と、受け部に対して、開口部を通じて挿入されることにより接続される接続部を有し、ラック本体部に対して着脱可能な医療機器とを備える。受け部は、ラック本体部に対する医療機器の装着時、接続部の挿入方向を斜め下方向に規制する第1規制部と、接続部が受け部に接続された状態において、医療機器を所定の姿勢に支持するとともに、接続部の挿入方向に沿った前後方向において接続部の位置を規制する第2規制部とを有する。
【0007】
このように構成された医療機器のラック機構によれば、ラック本体部に対する医療機器の装着時、第1規制部によって接続部の挿入方向が斜め下方向に規制されるため、医療従事者は、無理な姿勢を採ることなく、接続部を受け部に挿入することができる。これにより、ラック機構に対する医療機器の装着時の作業性を良好とすることができる。また、接続部が受け部に接続された状態では、第2規制部によって、医療機器が所定の姿勢に支持されるとともに、接続部の挿入方向に沿った前後方向において接続部の位置が規制される。これにより、ラック機構において医療機器をより安定して保持することができる。
【0008】
また好ましくは、受け部は、接続部が受け部に接続された状態において、前後方向と直交する左右方向において接続部の位置を規制する第3規制部をさらに有する。
【0009】
このように構成された医療機器のラック機構によれば、ラック機構において医療機器をさらに安定して保持することができる。
【0010】
また好ましくは、受け部は、ラック本体部に対する医療機器の装着時、斜め下方向に挿入される接続部の進入を停止させる第4規制部をさらに有する。接続部の斜め下方向への進入が停止された位置において、接続部に対する第1規制部の規制が解除され、接続部は、医療機器の重量によって、第2規制部により規制される姿勢に変化する。
【0011】
このように構成された医療機器のラック機構によれば、ラック機構に対する医療機器の装着時の作業性をさらに良好とすることができる。
【0012】
また好ましくは、医療機器のラック機構は、立設されたポールをさらに備える。ラック本体部は、ポールに締結される。ラック本体部は、上下方向に間隔を設けた並ぶ複数の受け部を有する。
【0013】
このように構成された医療機器のラック機構によれば、ポールに締結されたラック本体部において、複数の医療機器を上下方向に並んで装着することができる。
【0014】
また好ましくは、医療機器は、シリンジポンプまたは輸液ポンプである。
このように構成された医療機器のラック機構によれば、シリンジポンプまたは輸液ポンプの装着時における作業性に優れるとともに、シリンジポンプまたは輸液ポンプをより安定して保持することが可能な医療機器のラック機構を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、この発明に従えば、医療機器の装着時における作業性に優れるとともに、医療機器をより安定して保持することが可能な医療機器のラック機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態における医療機器のラック機構を正面側から見た斜視図である。
図2図1中のラック機構を背面側から見た斜視図である。
図3】医療機器を背面側から見た斜視図である。
図4】ラック本体部における受け部を示す斜視図である。
図5図4中のV-V線上の矢視方向に見た受け部を示す断面図である。
図6】ラック本体部に対する医療機器の装着時における受け部および接続部を示す斜視図である。
図7】ラック本体部に対する医療機器の装着時における受け部および接続部を示す斜視図である。
図8】ラック本体部に対する医療機器の装着時における受け部および接続部を示す斜視図である。
図9】ラック本体部に対する医療機器の装着時における受け部および接続部を示す斜視図である。
図10】アンロック時におけるロック機構部を示す断面図である。
図11】ロック時におけるロック機構部を示す断面図である。
図12】非接続時における電源コネクタを示す断面図である。
図13】接続時における電源コネクタを示す断面図である。
図14】ロック機構部のアンロック時および電源コネクタの非接続時における動力伝達部を示す斜視図である。
図15】ロック機構部のロック時および電源コネクタの接続時における動力伝達部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0018】
(ラック機構の全体構造について)
図1は、この発明の実施の形態における医療機器のラック機構を正面側から見た斜視図である。図2は、図1中のラック機構を背面側から見た斜視図である。図3は、医療機器を背面側から見た斜視図である。
【0019】
図1から図3を参照して、本実施の形態における医療機器のラック機構10は、ラック本体部21と、医療機器51とを有する。
【0020】
ラック本体部21は、ICUなどの治療室または病室において、医療機器51を設置するためのラック機構10の主要部をなす。医療機器51は、輸液等の治療に供する機器であり、たとえば、シリンジポンプまたは輸液ポンプである。図中では、代表的に、シリンジポンプが示されている。
【0021】
医療機器51は、ラック本体部21に対して着脱可能である。本明細書においては、ラック本体部21(後述する受け部31)に対して医療機器51(後述する接続部61)を挿入する方向に沿った水平方向を「前後方向」といい、特に、医療機器51(後述する接続部61)の挿入方向における手前側を「前方」といい、医療機器51(後述する接続部61)の挿入方向における奥側を「後方」という。また、「前後方向」に直交する水平方向を「左右方向」といい、特に、「前方」を向いた時の右手側を「右方」といい、「前方」を向いた時の左手側を「左方」という。
【0022】
医療機器51は、筐体52と、ハンドル部53とを有する。筐体52は、医療機器51の外観をなすカバー体である。医療機器51がラック本体部21に装着された状態において、筐体52は、全体として、左右方向に長い直方体形状を有する。
【0023】
ハンドル部53は、筐体52に取り付けられている。ハンドル部53は、左右方向における筐体52の端部(右端部)に設けられている。ハンドル部53は、取っ手形状を有しており、医療機器51の着脱時に医療従事者により把持される。
【0024】
ラック本体部21は、主板部22と、横板部23とを有する。主板部22は、板材からなり、前後方向に直交する平面内に設けられている。横板部23は、板材からなり、左右方向に直交する平面内に設けられている。横板部23は、左右方向における主板部22の端部(右端部)に接続されている。横板部23は、左右方向における主板部22の端部から後方に折れ曲がった位置に設けられている。上面視において、左右方向における主板部22の長さは、前後方向における横板部23の長さよりも大きい。
【0025】
ラック本体部21(主板部22)には、複数の装着部110A,110B,110Cが設けられている。複数の装着部110A,110B,110Cは、上下方向に並んでいる。複数の装着部110A,110B,110Cの各々には、医療機器を装着することが可能である。図1および図2中では、装着部110Bにのみ医療機器51が装着されている。
【0026】
なお、複数の装着部110A,110B,110Cには、互いに同じ種類の医療機器が装着されてもよいし、互いに異なる種類の医療機器が装着されてもよい。ラック本体部21に装着可能な医療機器の数は、特に限定されない。
【0027】
ラック機構10は、ポール12と、基台14とをさらに有する。基台14は、治療室または病室等の床面に置かれている。ポール12は、基台14により支持されている。ポール12は、立設されている。ポール12は、上下方向に延びている。
【0028】
ラック本体部21は、ポール12に締結されている。ラック本体部21は、ポール12に対して着脱可能である。ラック本体部21は、基台14から上方に離れた位置に設けられている。
【0029】
ラック本体部21は、複数のポールクランプ15を有する。複数のポールクランプ15は、主板部22の背面側に設けられている。複数のポールクランプ15は、上下方向において互いに間隔を隔てて設けられている。ポールクランプ15は、上面視において、ポール12を挿入することが可能なC字形状をなしている。
【0030】
ポールクランプ15がなすC字形状の内側には、ポール12が挿入されている。ポールクランプ15に螺合された固定用ネジ17がポール12と当接することによって、ラック本体部21がポール12に締結されている。
【0031】
なお、治療室または病室等の床面上でラック本体部21を支持するための構造は、特に限定されるものではない。
【0032】
(ラック本体部に対する医療機器の接続機構について)
図1を参照して、ラック本体部21には、貫通孔26が設けられている。貫通孔26は、主板部22に設けられている。貫通孔26は、前後方向において主板部22を貫通するように設けられている。貫通孔26の開口面は、矩形形状を有する。貫通孔26は、複数の装着部110A,110B,110Cの各々に対応して設けられている。
【0033】
図1および図3を参照して、医療機器51は、接続部61をさらに有する。接続部61は、筐体52に取り付けられている。接続部61は、前後方向においてラック本体部21(主板部22)と対向する筐体52の背面側に設けられている。接続部61は、筐体52から後方に向けて突出するように設けられている。
【0034】
接続部61は、ベース部62と、一対の延出部63(63L,63R)と、突出部66とを有する。ベース部62は、板形状を有し、前後方向に直交する平面内に設けられている。ベース部62は、筐体52に接合されている。延出部63は、板形状を有し、左右方向に直交する平面内に設けられている。延出部63は、左右方向におけるベース部62の端部から後方に向けて延出している。延出部63Lおよび延出部63Rは、左右一対に設けられている。延出部63Lおよび延出部63Rは、左右方向において互いに対向して配置されている。
【0035】
突出部66は、延出部63Lおよび延出部63Rの各々に設けられている。突出部66は、延出部63から上方に向けて突出する凸形状を有する。突出部66は、ベース部62から後方に離れた位置に設けられている。突出部66は、延出部63の頂面に上下方向の段差を設けている。
【0036】
なお、医療機器51は、ラック本体部21に装着される使用形態のほか、ポール12に直接、装着される使用形態を取ることも可能である。これに対応して、延出部63Lには、固定用ボルトを螺合するためのネジ孔65が設けられている。延出部63Rには、ポール12を受け入れるための窪み部64が設けられている。
【0037】
図4は、ラック本体部における受け部を示す斜視図である。図5は、図4中のV-V線上の矢視方向に見た受け部を示す断面図である。
【0038】
図1から図5を参照して、ラック本体部21は、受け部31をさらに有する。ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、受け部31には、医療機器51の接続部61が挿入される。
【0039】
受け部31は、主板部22に取り付けられている。受け部31は、主板部22の背面側に設けられている。受け部31は、複数の装着部110A,110B,110Cの各々に対応して設けられている。複数の受け部31が、上下方向に間隔を設けて並んでいる。
【0040】
図4および図5を参照して、受け部31は、箱形状を有する。受け部31には、開口部32が設けられている。開口部32は、一方向を向いて開口している。開口部32は、前方を向いて開口している。開口部32は、受け部31の前方端において開口している。開口部32の開口面は、主板部22に設けられた貫通孔26の開口面と重なり合っている。受け部31の内側の空間は、開口部32および貫通孔26を介して、主板部22の前方の空間と連通している。
【0041】
受け部31は、上板33と、底板34と、背板36と、一対の側板35とを有する。上板33および底板34は、上下方向において互いに対向して配置されている。一対の側板35は、左右方向において互いに対向して配置されている。一対の側板35は、板形状を有し、左右方向に直交する平面内に設けられている。左右方向における上板33の両端は、一対の側板35の上方端にそれぞれ接続されている。左右方向における底板34の両端は、一対の側板35の下方端にそれぞれ接続されている。
【0042】
開口部32の開口面は、上板33の前方端、一対の側板35の前方端および底板34の前方端に取り囲まれた位置に設けられている。背板36は、前後方向において開口部32の開口面と対向して設けられている。背板36は、前後方向に直交する板形状を有する。背板36は、上板33の後方端、一対の側板35の後方端および底板34の後方端に接続されている。
【0043】
図5を参照して、上板33は、上板下段部41と、上板段差部42と、上板上段部43とを有する。上板下段部41、上板段差部42および上板上段部43は、挙げた順に、前後方向において開口部32から近い順に並んで設けられている。
【0044】
上板下段部41は、開口部32の開口縁を規定している。上板下段部41は、開口部32から上板段差部42に向かって斜め下方向に延びている。水平面に対して上板下段部41がなす角度は、たとえば、0°よりも大きく、30°以下の範囲であってもよいし、5°よりも大きく15°以下の範囲であってもよい。
【0045】
上板上段部43の後方端は、背板36に接続されている。上板上段部43の前方端は、上板下段部41の後方端よりも上方に配置されている。上板上段部43は、水平面に平行に設けられている。
【0046】
上板段差部42は、上板上段部43の前方端と、上板下段部41の後方端とを繋いでいる。上板段差部42は、垂直面に沿って設けられている。上板段差部42は、鉛直面に平行に設けられている。上板段差部42は、上板上段部43および上板下段部41の間において上下方向の段差をなしている。
【0047】
底板34は、底板下段部44と、底板段差部45と、底板上段部46とを有する。底板下段部44、底板段差部45および底板上段部46は、挙げた順に、前後方向において開口部32から近い順に並んで設けられている。
【0048】
底板下段部44は、開口部32の開口縁を規定している。底板下段部44は、開口部32から底板段差部45に向かって斜め下方向に延びている。底板下段部44は、上板下段部41と平行に設けられている。水平面に対して底板下段部44がなす角度は、たとえば、0°よりも大きく、30°以下の範囲であってもよいし、5°よりも大きく15°以下の範囲であってもよい。
【0049】
底板上段部46の後方端は、背板36に接続されている。底板上段部46の前方端は、底板下段部44の後方端よりも上方に配置されている。底板上段部46の前方端は、底板下段部44の後方端よりも後方に配置されている。底板上段部46は、水平面に平行に設けられている。
【0050】
底板段差部45は、底板上段部46の前方端と、底板下段部44の後方端とを繋いでいる。底板段差部45は、垂直面に沿って設けられている。底板段差部45は、底板下段部44から底板上段部46に向けて斜め上方向に延びている。底板段差部45は、底板上段部46および底板下段部44の間において上下方向の段差をなしている。底板段差部45がなす段差は、上板段差部42がなす段差よりも大きい。
【0051】
底板段差部45は、上板段差部42よりも後方に配置されている。上板段差部42は、上下方向において底板下段部44と対向している。底板段差部45は、上下方向において上板上段部43と対向している。前後方向における底板下段部44の長さは、前後方向における上板下段部41の長さよりも大きい。
【0052】
底板34は、底板入口部47をさらに有する。底板入口部47は、底板下段部44の前方端から前方に向けて延出している。底板入口部47は、底板34における開口部32の開口縁から前方に向けて延出している。底板入口部47は、水平面に平行に設けられている。
【0053】
図6から図9は、ラック本体部に対する医療機器の装着時における受け部および接続部を示す斜視図である。これらの図中には、箱形状を有する受け部31の内部が示されている。
【0054】
図6から図9を参照して、上板下段部41および底板下段部44は、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、接続部61の挿入方向を斜め下方向に規制する第1規制部120を構成している。
【0055】
上板段差部42、上板上段部43および底板入口部47は、接続部61が受け部31に接続された状態において、医療機器51を所定の姿勢に支持するとともに、接続部61の挿入方向に沿った前後方向において接続部61の位置を規制する第2規制部130を構成している。
【0056】
一対の側板35は、接続部61が受け部31に接続された状態において、前後方向と直交する左右方向において接続部61の位置を規制する第3規制部140を構成している。
【0057】
底板段差部45は、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、斜め下方向に挿入される接続部61の進入を停止させる第4規制部150を構成している。斜め下方向への接続部61の進入が停止された位置において、接続部61に対する第1規制部120の規制が解除され、接続部61は、医療機器51の重量によって、第2規制部130により規制される姿勢に変化する。
【0058】
以下において、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時における第1規制部120、第2規制部130、第3規制部140の機能についてより具体的に説明する。
【0059】
図6および図7を参照して、接続部61(一対の延出部63(63L,63R))を、開口部32を通じて受け部31の内部に挿入する。この際、受け部31には、開口部32から斜め下方向に延びる上板下段部41および底板下段部44が設けられている。このため、図6に示されるように、医療機器51を水平方向(後方)に移動させても、延出部63が上板下段部41と当接するため、医療機器51を受け部31の内部に進入させることができない。図7に示されるように、接続部61は、上板下段部41および底板下段部44(第1規制部120)により案内されることによって、受け部31に対して斜め下方向に挿入される。
【0060】
図8を参照して、底板下段部44が斜め下方向に延びる先には、上下方向において段差をなす底板段差部45が設けられている。このため、受け部31に対して接続部61を挿入し続けると、底板段差部45(第4規制部150)により接続部61の進入が停止される。
【0061】
斜め下方向への底板段差部45の進入が停止された位置において、突出部66が、上板下段部41よりも、接続部61の挿入方向における奥側に配置される。突出部66は、上板上段部43の下方に配置される。突出部66および上板上段部43の間には、上下方向における隙間(空間)が形成される。これにより、接続部61に対する第1規制部120の規制が解除される。
【0062】
図9を参照して、接続部61は、医療機器51の重量により、その姿勢を受け部31の内部で変化させる。接続部61は、底板34における底板入口部47および底板下段部44の境界を支点にして、突出部66が上板上段部43に近づくように底板下段部44から起き上がる。これにより、接続部61が受け部31に接続された状態が得られる。
【0063】
接続部61が受け部31に接続された状態において、接続部61は、底板入口部47に載置されている。上下方向における延出部63および底板下段部44の間の距離は、接続部61の挿入方向における手前側から奥側に向かうほど大きくなる。突出部66は、上板上段部43の直下に配置されている。底板入口部47および上板上段部43(第2規制部130)は、医療機器51をその使用に即した水平姿勢に支持している。
【0064】
また、接続部61が受け部31に接続された状態において、突出部66は、前後方向において上板段差部42と並んでいる。このため、水平姿勢に支持された医療機器51をそのままの姿勢で引き抜こうとしても、突出部66が上板段差部42と引っ掛かるため、医療機器51を引き抜くことができない。上板段差部42(第2規制部130)は、接続部61の挿入方向に沿った前後方向において接続部61の位置を規制している。
【0065】
また、接続部61が受け部31に接続された状態において、左右方向における接続部61の両側には、一対の側板35(第3規制部140)が設けられている。このため、左右方向における接続部61の位置が規制されている。
【0066】
このような構成によれば、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、第1規制部120によって接続部61の挿入方向が斜め下方向に規制される。このため、医療従事者は、中腰になったり、しゃがんだりすることなく、楽な姿勢で接続部61を受け部31に挿入することができる。特に本実施の形態におけるラック機構10においては、ラック本体部21に対して複数の医療機器51を上下方向に並べて装着することが可能である。このような構成において、医療機器51を治療室または病室等の床面から近い位置に装着する場合であっても、医療従事者の負担を効果的に軽減することができる。
【0067】
なお、水平方向に対して接続部61の挿入方向がなす角度は、医療機器51の装着時の作業性を向上させるという観点からいえば、大きい方が好ましい。その一方で、水平方向に対して接続部61の挿入方向がなす角度が大きすぎると、上下方向に隣り合う医療機器51同士の間隔を広げる必要がある。このため、水平方向に対して接続部61の挿入方向がなす角度は、ラック機構10の小型化(低背化)という観点からいえば、小さい方が好ましい。
【0068】
また、接続部61が受け部31に接続された状態では、第2規制部130によって、医療機器51が水平姿勢に支持されるとともに、前後方向において接続部61の位置が規制される。加えて、本実施の形態では、第3規制部140によって、左右方向における接続部61の位置も規制される。このため、輸液等の治療に供するシリンジポンプまたは輸液ポンプ等の医療機器51を、ラック機構10においてより安定して保持することができる。
【0069】
また、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、斜め下方向への接続部61の進入が第4規制部150によって停止される。その位置において、接続部61に対する第1規制部120の規制が解除され、接続部61は、医療機器51の重量によって、第2規制部130により規制される姿勢に変化する。これにより、受け部31内において接続部61の姿勢を起き上がらせる作業を、簡易かつ円滑に行なうことができる。
【0070】
以上においては、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時の手順を説明したが、ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時には、上記の手順を逆に行なうことで、受け部31から接続部61を引き抜けばよい。
【0071】
以上に説明した、この発明の実施の形態における医療機器のラック機構10の構造についてまとめると、本実施の形態におけるラック機構10は、開口部32が設けられる箱形状の受け部31を有するラック本体部21と、受け部31に対して、開口部32を通じて挿入されることにより接続される接続部61を有し、ラック本体部21に対して着脱可能な医療機器51とを備える。受け部31は、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、接続部61の挿入方向を斜め下方向に規制する第1規制部120と、接続部61が受け部31に接続された状態において、医療機器51を所定の姿勢に支持するとともに、接続部61の挿入方向に沿った前後方向において接続部61の位置を規制する第2規制部130とを有する。
【0072】
このように構成された、この発明の実施の形態における医療機器のラック機構10によれば、医療機器51の装着時における作業性に優れるとともに、医療機器51をより安定して保持することが可能なラック機構を実現することができる。
【0073】
(ロック機構部および電源コネクタの動作機構について)
図10は、アンロック時におけるロック機構部を示す断面図である。図11は、ロック時におけるロック機構部を示す断面図である。図11中には、図2中のXI-XI線上の矢視方向に見たロック機構部の断面が示されている。
【0074】
図1図2図10および図11を参照して、ラック機構10は、ロック機構部72(72L,72R)をさらに有する。ロック機構部72は、ラック本体部21に設けられている。ロック機構部72は、主板部22の背面側に設けられている。ロック機構部72は、受け部31の直下に設けられている。
【0075】
ロック機構部72は、左右方向に延びる中心軸201の半径方向に延出するアーム形状を有する。ロック機構部72は、中心軸201を中心に回動可能に設けられている。ロック機構部72Lおよびロック機構部72Rは、中心軸201の軸方向に離れて設けられている。ロック機構部72Lおよびロック機構部72Rは、左右一対に設けられている。
【0076】
受け部31には、スリット39が設けられている。スリット39は、底板34を貫通するように設けられている。スリット39は、ロック機構部72の厚みよりも大きい開口幅で、前後方向に沿って直線状に延びている。ロック機構部72は、スリット39を通じて、受け部31内に進退可能に設けられている。
【0077】
ロック機構部72は、医療機器51と非係合となる第1状態(図10に示される状態)と、医療機器51と係合される第2状態(図11に示される状態)との間で動作可能である。
【0078】
図10に示されるように、ロック機構部72が受け部31の内部から退出することによって(以下、「ロック機構部72のアンロック動作」ともいう)、医療機器51と非係合となる第1状態が得られる。このとき、先の項目で説明した手順とは逆の手順により、受け部31からの接続部61の引き抜きが可能となる。
【0079】
図11に示されるように、ロック機構部72が受け部31の内部に進入することによって(以下、「ロック機構部72のロック動作」ともいう)、医療機器51と係合される第2状態が得られる。このとき、ロック機構部72Lが下方から接続部61の延出部63Lに当接し、ロック機構部72Rが下方から接続部61の延出部63Rに当接する。これにより、接続部61が、上板段差部42により前後方向の位置が規制される位置において姿勢を変化させることができず、その結果、受け部31に接続部61が接続された状態が保持される。
【0080】
図12は、非接続時における電源コネクタを示す断面図である。図13は、接続時における電源コネクタを示す断面図である。
【0081】
図1図2図12および図13を参照して、ラック本体部21には、貫通孔27が設けられている。貫通孔27は、主板部22に設けられている。貫通孔27は、前後方向において主板部22を貫通するように設けられている。貫通孔27の開口面は、矩形形状を有する。貫通孔27の開口面積は、貫通孔26の開口面積よりも小さい。貫通孔27は、貫通孔26と上下方向において重なり合う高さに設けられている。貫通孔27は、複数の装着部110A,110B,110Cの各々に対応して設けられている。
【0082】
医療機器51には、コネクタ接続口56が設けられている(図3も参照のこと)。コネクタ接続口56は、筐体52に開口している。コネクタ接続口56は、前後方向においてラック本体部21(主板部22)と対向する筐体52の背面側に設けられている。コネクタ接続口56の開口面は、前後方向において貫通孔27の開口面と重なり合っている。
【0083】
ラック機構10は、電源コネクタ81をさらに有する。電源コネクタ81は、貫通孔27を通じて、前後方向にスライド動作が可能なように設けられている。電源コネクタ81は、医療機器51のコネクタ接続口56に着脱可能に接続される。
【0084】
電源コネクタ81は、医療機器51と非接続となる第3状態(図12に示される状態)と、ラック本体部21から突出し、医療機器51に接続される第4状態(図13に示される状態)との間で動作が可能である。
【0085】
図12に示されるように、電源コネクタ81がラック本体部21(主板部22)の背面側に引っ込むことによって(以下、「電源コネクタ81の引き抜き動作」ともいう)、医療機器51と非接続とされる第3状態が得られる。このとき、医療機器51のコネクタ接続口56から電源コネクタ81が引き抜かれる。
【0086】
図13に示されるように、電源コネクタ81がラック本体部21(主板部22)から前方に向かって突出することによって(以下、「電源コネクタ81の接続動作」ともいう)、医療機器51に接続される第4状態が得られる。このとき、前方に向かって突出する電源コネクタ81が、医療機器51のコネクタ接続口56に接続される。
【0087】
図14は、ロック機構部のアンロック時および電源コネクタの非接続時における動力伝達部を示す斜視図である。図15は、ロック機構部のロック時および電源コネクタの接続時における動力伝達部を示す斜視図である。
【0088】
図1図2図14および図15を参照して、ラック機構10は、操作部91をさらに有する。操作部91は、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時に、医療従事者によって第1操作が行なわれる。操作部91は、ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時に、医療従事者によって第2操作が行なわれる。
【0089】
操作部91は、ラック本体部21に設けられている。操作部91は、横板部23に取り付けられている。操作部91は、医療従事者による操作(第1操作,第2操作)に伴って入力される操作力を受けて動作する。
【0090】
操作部91は、レバー形状を有する。操作部91は、回動シャフト部92と、第1腕部93と、第2腕部94とを有する。回動シャフト部92は、左右方向に延びる中心軸202の軸上に設けられている。回動シャフト部92は、ラック本体部21(横板部23)によって、中心軸202を中心に回動可能に支持されている。第1腕部93は、回動シャフト部92から上方に向けて延びている。第2腕部94は、回動シャフト部92から下方に向けて延びている。
【0091】
第1腕部93は、第1折り返し部95を有する。第1折り返し部95は、第1腕部93の前方端が90°折り返されることによって構成されている。第2腕部94は、第2折り返し部96を有する。第2折り返し部96は、第2腕部94の前方端が90°折り返されることによって構成されている。
【0092】
第1腕部93には、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時に第1操作が行なわれる。第2腕部94には、ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時に第2操作が行なわれる。操作部91は、医療従事者による操作(第1操作,第2操作)に伴って入力される操作力を受けて、中心軸202を中心に回動動作する。
【0093】
図1に示されるように、医療機器51は、水平方向における一方の側である前方側から他方の側である後方側に向けてラック本体部21に装着される。第1操作に伴って操作部91(第1腕部93)に入力される操作力の方向と、第2操作に伴って操作部91(第2腕部94)に入力される操作力の方向とは、後方側から前方側に向けた方向である。
【0094】
医療機器51のハンドル部53は、前方側から後方側に向けた方向において、操作部91の第1腕部93および第2腕部94と対向している。ハンドル部53と、第1腕部93(第1折り返し部95)および第2腕部94(第2折り返し部96)とは、前後方向において互いに間隔を設けて並んでいる。
【0095】
より具体的には、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、医療従事者は、左手でハンドル部53を把持しながら医療機器51を抱えて、接続部61を受け部31に接続する。医療従事者は、ハンドル部53に左手の指を掛けたまま、左手の他の指で第1腕部93(第1折り返し部95)を手前側に引くことによって、ロック機構部72をロック動作させ、電源コネクタ81を接続動作させるための第1操作を行なう。
【0096】
ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時、医療従事者は、ハンドル部53に左手の指を掛けつつ、左手の他の指で第2腕部94(第2折り返し部96)を手前側に引くことによって、ロック機構部72をアンロック動作させ、電源コネクタ81を引き抜き動作させるための第2操作を行なう。
【0097】
このように本実施の形態では、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時に、第1操作に伴って操作部91に入力される操作力の方向と、ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時に、第2操作に伴って操作部91に入力される操作力の方向とは、いずれも、後方側から前方側に向けた方向である。このため、医療従事者は、医療機器51の装着時および取り外し時のいずれにおいても、ラック本体部21の前方に立ち、操作部91を手前側に引くように操作すればよいため、操作部91の操作性を良好にできる。
【0098】
また、本実施の形態では、ハンドル部53と、操作部91の第1腕部93および第2腕部94とが、前後方向において対向して設けられている。このような構成により、医療従事者は、ハンドル部53に指を掛けたまま、第1腕部93または第2腕部94を手前側に引くように操作すればよいため、操作部91の操作性をさらに良好にできる。
【0099】
加えて、ラック本体部21がポール12により支持されるラック機構10においては、操作部91に対して前後方向に沿った一方向の操作力が加わると、操作力がポール12およびラック本体部21間の締結力に勝って、ラック本体部21の傾きが変わってしまう懸念が生じる。本実施の形態では、ハンドル部53と、第1腕部93または第2腕部94とを、前後から挟み込むような操作力が加わるため、このような懸念を解消することができる。
【0100】
図14および図15を参照して、ラック機構10は、動力伝達部71をさらに有する。
動力伝達部71は、第1操作に伴って操作部91に入力された操作力をロック機構部72に向けて伝達することによって、ロック機構部72を第1状態から第2状態にロック動作させる。動力伝達部71は、第1操作に伴って操作部91に入力された操作力を電源コネクタ81に向けて伝達することによって、電源コネクタ81を第3状態から第4状態に接続動作させる。
【0101】
動力伝達部71は、第2操作に伴って操作部91に入力された操作力をロック機構部72に向けて伝達することによって、ロック機構部72を第2状態から第1状態にアンロック動作させる。動力伝達部71は、第2操作に伴って操作部91に入力された操作力を電源コネクタ81に向けて伝達することによって、電源コネクタ81を第4状態から第3状態に引き抜き動作させる。
【0102】
より具体的に説明すると、動力伝達部71は、第1リンク97と、第2リンク74と、シャフト73とを有する。第1リンク97は、操作部91に接続されている。シャフト73は、ロック機構部72(72L,72R)に接続されている。第2リンク74は、第1リンク97およびシャフト73に接続されている。第2リンク74は、操作部91からロック機構部72に向けた動力の伝達経路上において、第1リンク97およびシャフト73の間に設けられている。電源コネクタ81は、第2リンク74により支持されている。
【0103】
第1リンク97は、横板部23を挟んで操作部91の反対側に設けられている。第1リンク97は、操作部91の回動シャフト部92に接続されている。第1リンク97は、回動シャフト部92から中心軸202の半径方向に向けて延出している。第1リンク97は、回動シャフト部92から上方に向けて延出している。第1リンク97は、回動シャフト部92と一体になって、中心軸202を中心に回動する。
【0104】
シャフト73は、左右方向に延びる中心軸201の軸上に設けられている。シャフト73は、ラック本体部21(主板部22)によって、中心軸201を中心に回動可能に支持されている。シャフト73は、中心軸201の軸方向に延びる間に、ロック機構部72Lおよびロック機構部72Rを貫通している。ロック機構部72は、シャフト73と一体になって、中心軸201を中心に回動する。
【0105】
第2リンク74は、左右方向において、操作部91およびロック機構部72の間に設けられている。第2リンク74は、第1リンク97からの動力伝達を受けて、電源コネクタ81を接続動作または引き抜き動作させるとともに、シャフト73に向けてロック機構部72をロック動作またはアンロック動作させるための動力を伝達する。
【0106】
第2リンク74は、コネクタ支持部75と、第1延出部76と、第2延出部78とを有する。
【0107】
コネクタ支持部75は、第1リンク97から前方に離れた位置に設けられている。コネクタ支持部75は、電源コネクタ81を支持している。コネクタ支持部75は、左右方向において電源コネクタ81を挟んでその両側に配置される一対の板材から構成されている。電源コネクタ81は、第1ピン部材82を介して、コネクタ支持部75に連結されている。
【0108】
コネクタ支持部75には、第1ピン挿入孔79が設けられている。第1ピン挿入孔79は、中心軸201の半径方向が長手方向となる長孔形状を有する。第1ピン部材82は、電源コネクタ81から、左右方向においてコネクタ支持部75に向かって突出するピン形状を有する。第1ピン部材82が第1ピン挿入孔79に挿入されることによって、電源コネクタ81は、コネクタ支持部75に回動可能に連結されている。
【0109】
第1延出部76は、コネクタ支持部75から後方に向けて延出している。第1延出部76は、コネクタ支持部75から後方に向けて延出する先において、第1リンク97に連結されている。第1延出部76は、第2ピン部材77を介して、第1リンク97に連結されている。
【0110】
第1リンク97には、第2ピン挿入孔98が設けられている。第2ピン挿入孔98は、中心軸202の半径方向が長手方向となる長孔形状を有する。第2ピン部材77は、第1延出部76から、左右方向において第1リンク97に向かって突出するピン形状を有する。第2ピン部材77が第2ピン挿入孔98に挿入されることによって、第1延出部76は、第1リンク97に連結されている。
【0111】
第2延出部78は、コネクタ支持部75から下方に向けて延出している。第2延出部78は、左右方向において互いに間隔を設けて配置され、互いに繋ぎ合わされた一対の板材から構成されている。第2延出部78は、コネクタ支持部75から下方に向けて延出する先において、シャフト73に接続されている。
【0112】
図10図12および図14を参照して、ラック本体部21からの医療機器51の取り外し時、医療従事者は、第2腕部94(第2折り返し部96)を手前側に引く。回動シャフト部92は、中心軸202を中心にして反時計回りに回動する(回動方向は、図14中の矢印101に示す方向に見た場合を基準とする)。第1リンク97が、回動シャフト部92と一体となって、中心軸202を中心に反時計回りに回動すると、第1リンク97に連結された第2リンク74(第1延出部76,コネクタ支持部75)が後方にスライドする。コネクタ支持部75において第2リンク74に支持された電源コネクタ81は、後方にスライドする。これにより、電源コネクタ81が医療機器51と非接続となる第3状態が得られる。
【0113】
なお、ラック本体部21には、各種の薬液を含む医療機器51が装着されるため、ラック本体部21の周りに薬液が付着する可能性がある。本実施の形態では、電源コネクタ81が、第3状態において貫通孔27の内部に収容されるため、電源コネクタ81への薬液の付着を防ぐことができる。
【0114】
コネクタ支持部75の後方へのスライドに伴って、第2延出部78が、中心軸201を中心に反時計回りに回動する。ロック機構部72は、第2延出部78およびシャフト73と一体となって、中心軸201を中心に反時計回りに回動する。これにより、ロック機構部72が医療機器51と非係合となる第1状態が得られる。
【0115】
図11図13および図15を参照して、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、医療従事者は、第1腕部93(第1折り返し部95)を手前側に引く。回動シャフト部92は、中心軸202を中心にして時計回りに回動する。第1リンク97が、回動シャフト部92と一体となって、中心軸202を中心に時計回りに回動すると、第1リンク97に連結された第2リンク74(第1延出部76,コネクタ支持部75)が前方にスライドする。コネクタ支持部75において第2リンク74に支持された電源コネクタ81は、前方にスライドする。これにより、電源コネクタ81が医療機器51と接続される第4状態が得られる。
【0116】
コネクタ支持部75の前方へのスライドに伴って、第2延出部78が、中心軸201を中心に時計回りに回動する。ロック機構部72は、第2延出部78およびシャフト73と一体となって、中心軸201を中心に時計回りに回動する。これにより、ロック機構部72が医療機器51と係合される第1状態が得られる。
【0117】
このように本実施の形態では、動力伝達部71により、操作部91に入力された操作力を電源コネクタ81およびロック機構部72に伝達することによって、電源コネクタ81を接続動作または引き抜き動作させつつ、ロック機構部72をロック動作またはアンロック動作させることができる。これにより、操作部91に対する一操作によって、ロック機構部72および電源コネクタ81の双方を動作させることができるため、医療機器51の装着時および取り外し時における作業性を良好にすることができる。
【0118】
なお、図2中では、ラック機構10の背面側に設けられた動力伝達部71等の構造物が外部に露出しているが、これらの構造物を覆うようにカバー体が設けられてもよい。
【0119】
以上に説明した、この発明の実施の形態における医療機器のラック機構10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるラック機構10は、ラック本体部21と、ラック本体部21に対して着脱可能な医療機器51と、ラック本体部21に設けられ、医療機器51と非係合となる第1状態と、医療機器51と係合される第2状態との間で動作可能なロック機構部72と、医療機器51と非接続となる第3状態と、ラック本体部21から突出し、医療機器51に接続される第4状態との間で動作可能な電源コネクタ81と、ラック本体部21に対する医療機器51の装着時、第1操作が行なわれる操作部91と、第1操作に伴って操作部91に入力された操作力をロック機構部72に向けて伝達することによって、ロック機構部72を第1状態から第2状態に動作させ、第1操作に伴って操作部91に入力された操作力を電源コネクタ81に向けて伝達することによって、電源コネクタ81を第3状態から第4状態に動作させる動力伝達部71とを備える。
【0120】
このように構成された、この発明の実施の形態における医療機器のラック機構10によれば、医療機器51の装着時における作業性に優れるラック機構を実現することができる。
【0121】
なお、本実施の形態では、リンク機構と、回転シャフトとの組み合わせにより構成される動力伝達部71について説明したが、本発明は、これに限られない。本発明における動力伝達部は、歯車、カムまたはラックアンドピニオン等の動力伝達のための機械要素を含んでもよい。また、本実施の形態では、操作部91から電源コネクタ81に向かう動力伝達経路が、操作部91からロック機構部72に向かう動力伝達経路の一部となっているが、これに限られず、操作部から電源コネクタに向かう動力伝達経路と、操作部からロック機構部に向かう動力伝達経路とは、別経路であってもよい。
【0122】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0123】
この発明は、シリンジポンプまたは輸液ポンプ等の医療機器を支持するためのラック機構に適用される。
【符号の説明】
【0124】
10 ラック機構、12 ポール、14 基台、15 ポールクランプ、17 固定用ネジ、21 ラック本体部、22 主板部、23 横板部、26,27 貫通孔、31 受け部、32 開口部、33 上板、34 底板、35 側板、36 背板、39 スリット、41 上板下段部、42 上板段差部、43 上板上段部、44 底板下段部、45 底板段差部、46 底板上段部、47 底板入口部、51 医療機器、52 筐体、53 ハンドル部、56 コネクタ接続口、61 接続部、62 ベース部、63,63L,63R 延出部、64 窪み部、65 ネジ孔、66 突出部、71 動力伝達部、72,72L,72R ロック機構部、73 シャフト、74 第2リンク、75 コネクタ支持部、76 第1延出部、77 第2ピン部材、78 第2延出部、79 第1ピン挿入孔、81 電源コネクタ、91 操作部、92 回動シャフト部、93 第1腕部、94 第2腕部、95 第1折り返し部、96 第2折り返し部、97 第1リンク、98 第2ピン挿入孔、110A,110B,110C 装着部、120 第1規制部、130 第2規制部、140 第3規制部、150 第4規制部、201,202 中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15