(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】波長変換装置及び波長変換方法
(51)【国際特許分類】
H04J 14/06 20060101AFI20230301BHJP
H04B 10/291 20130101ALI20230301BHJP
G02F 1/365 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H04J14/06
H04B10/291
G02F1/365
(21)【出願番号】P 2019103788
(22)【出願日】2019-06-03
【審査請求日】2022-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智行
(72)【発明者】
【氏名】中川 剛二
(72)【発明者】
【氏名】星田 剛司
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-337357(JP,A)
【文献】特開2000-075330(JP,A)
【文献】特開2010-066428(JP,A)
【文献】特開2018-169487(JP,A)
【文献】特開2018-191074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/06
H04B 10/291
G02F 1/365
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の偏波の信号光と励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第1の偏波の信号光に波長変換すると共に、前記第1の偏波と直交する第2の偏波の信号光と前記励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第2の偏波の信号光に波長変換する波長変換部と、
波長変換前の前記第1の偏波の信号光を変調して変調後の前記第1の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力する第1の変調部と、
波長変換前の前記第2の偏波の信号光を変調して変調後の前記第2の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力する第2の変調部と、
前記第1の変調部から出力された前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光と、前記第2の変調部から出力された前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光とを合波して偏波多重信号を出力する合波部と
を有することを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記第1の変調部は、
波長変換前の前記第1の偏波の信号光を変調して変調後の前記第1の偏波の信号光を前記波長変換部に出力すると共に、前記波長変換部から折り返された波長変換後の前記第1の偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力すると共に、
前記第2の変調部は、
波長変換前の前記第2の偏波の信号光を変調して変調後の前記第2の偏波の信号光を前記波長変換部に出力すると共に、前記波長変換部から折り返された波長変換後の前記第2の偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記第1の変調部は、
波長変換前の前記第1の偏波の信号光を変調して変調後の前記第1の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の前記第2の偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力すると共に、
前記第2の変調部は、
波長変換前の前記第2の偏波の信号光を変調して変調後の前記第2の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の前記第1の偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記第1の変調部及び前記第2の変調部の内、一方の変調部は、
波長変換前の前記励起光を変調して変調後の前記励起光を出力すると共に、波長変換後の前記励起光内の変調成分を最小にして出力すると共に、
前記波長変換装置は、
前記一方の変調部から出力された前記波長変換後の前記励起光の変調成分を検出する検出部を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記検出部にて検出された前記波長変換後の前記励起光内の変調成分に基づき、前記波長変換後の前記信号光内の変調成分を最小にするように、前記一方の変調部を制御する制御部を有することを特徴とする請求項4に記載の波長変換装置。
【請求項6】
前記第1の変調部及び前記第2の変調部は、
波長変換前の前記励起光を変調して変調後の前記励起光を出力すると共に、波長変換後の前記励起光内の変調成分を最小にして出力すると共に、
前記波長変換装置は、
前記第1の変調部から出力された前記波長変換後の前記励起光の変調成分を検出すると共に、前記第2の変調部から出力された前記波長変換後の前記励起光の変調成分を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、前記第1の変調部を制御すると共に、前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、前記第2の変調部を制御する制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項7】
前記第1の変調部は、
波長変換前に偏波状態が45度回転された前記励起光を変調して変調後の前記励起光を前記波長変換部に出力し、
前記波長変換部は、
前記変調後の45度回転後の前記励起光と前記変調後の前記第1の偏波の信号光とを合波して前記45度回転後の前記励起光に応じて異なる波長の前記第1の偏波の信号光及び前記励起光に波長変換し、
前記第1の変調部は、
前記波長変換部から折り返された前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光内及び前記励起光内の変調成分を最小にし、
前記第2の変調部は、
波長変換前に偏波状態が45度回転された前記励起光を変調して変調後の前記励起光を前記波長変換部に出力し、
前記波長変換部は、
前記変調後の45度回転後の前記励起光と前記変調後の前記第2の偏波の信号光とを合波して前記45度回転後の前記励起光に応じて異なる波長の前記第2の偏波の信号光及び前記励起光に波長変換し、
前記第2の変調部は、
前記波長変換部から折り返された前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光内及び前記励起光内の変調成分を最小にすると共に、
前記波長変換装置は、
前記第1の変調部から出力された前記波長変換後の励起光内の変調成分及び前記第2の変調部から出力された前記波長変換後の前記励起光内の変調成分を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記第1の偏波の信号光内又は前記第2の偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、前記第1の変調部及び前記第2の変調部を制御する制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項8】
前記第1の変調部から出力された前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光内の変調成分を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、前記第1の変調部を制御する制御部と
を有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項9】
前記第1の変調部の前記波長変換部側のポートから前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長を、変調後の前記第1の偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とすると共に、
前記第2の変調部の前記波長変換部側のポートから前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長を、変調後の前記第2の偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とすることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項10】
前記第1の変調部で変調後の前記第1の偏波の信号光の波長に応じた遅延量で前記第1の光路長を調整する第1の光路調整部と、
前記第2の変調部で変調後の前記第2の偏波の信号光の波長に応じた遅延量で前記第2の光路長を調整する第2の光路調整部と
を有することを特徴とする請求項9に記載の波長変換装置。
【請求項11】
前記第1の変調部で変調後の前記第1の偏波の信号光の波長に応じた前記第1の変調部の変調周波数で前記第1の光路長を調整する第1の周波数調整部と、
前記第2の変調部で変調後の前記第2の偏波の信号光の波長に応じた前記第2の変調部の変調周波数で前記第2の光路長を調整する第2の周波数調整部と
を有することを特徴とする請求項9に記載の波長変換装置。
【請求項12】
第1の偏波の信号光と励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第1の偏波の信号光に波長変換すると共に、前記第1の偏波と直交する第2の偏波の信号光と前記励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第2の偏波の信号光に波長変換し、
波長変換前の前記第1の偏波の信号光を変調して変調後の前記第1の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力し、
波長変換前の前記第2の偏波の信号光を変調して変調後の前記第2の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力し、
出力された前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光と、出力された前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光とを合波して偏波多重信号を出力する
ことを特徴とする波長変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換装置及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信需要の拡大に伴って、例えば、光ファイバ芯数を増やしたり、1波長あたりの光信号容量を増やしたり、波長分割多重(WDM:Wavelength Divisional Multiplex)チャネル数を増やすことで、伝送容量の拡大が図られている。
【0003】
しかしながら、光ファイバの敷設コスト等が高いため、光ファイバ芯数を増やさずに伝送容量を拡大することが求められる。伝送装置としては、光信号容量とWDMチャネル数を増やすことで伝送容量を拡大することが求められるが、従来の通信帯域、例えば、C(Conventional)帯のみでの伝送容量の拡大には限界がある。そこで、更なる伝送容量の拡大のためには、C帯のみでなく、長波長領域のL(Long)帯や短波長領域のS(Short)帯を利用する必要がある。
【0004】
しかしながら、例えば、S帯及びL帯用の光送受信器、波長合分波器や光増幅器等の光部品は、それぞれ個別に開発する必要があり、C帯の光部品のみを用いた伝送装置に比べて、L帯やS帯の光部品を用いた伝送装置は高コストとなる。従って、波長変換装置を用いることでC帯の光部品を使用した伝送装置で大容量伝送が可能となる。
【0005】
しかしながら、波長変換装置では、波長変換効率を高めることが重要となるが、波長変換効率を高めるためには、励起光のパワーを強くする必要がある。しかし、光ファイバに高強度の単色の励起光を入力すると、入力された光は後方に散乱されて伝搬しなくなる誘導ブリルアン散乱(SBS:Stimulated Brillouin Scattering)が発生する。特に、高非線形ファイバと呼ばれるコア径の小さなファイバを用いる場合にはSBSが発生し易くなる。
【0006】
そこで、従来技術では、単色の励起光に数100MHz~数GHz程度の変調をかけて励起光のスペクトル幅を拡張することで、SBSを抑制する。その結果、高パワーの励起光が光ファイバに入力できるようになるため、高い波長変換効率を確保できる。
【0007】
そこで、波長変換装置では、波長変換前の信号光及び励起光を変調し、変調後の信号光の変調成分と変調後の励起光の変調成分とが相殺されることで波長変換後の信号光には変調成分が消え、波長変換後の信号特性の劣化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-73729号公報
【文献】特開平6-13988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
波長変換装置では、単一偏波の信号光及び励起光を変調し、変調後の信号光の変調成分と変調後の変調成分とが相殺されることで波長変換後の信号光の変調成分が消える。しかしながら、波長変換装置では、X偏波の信号光及びY偏波の信号光を多重化した偏波多重信号光には対応しておらず、波長変換後の偏波多重信号光の信号特性の劣化を抑制できない。
【0010】
一つの側面では、安定した偏波多重信号光を取得できる波長変換装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一つの態様の波長変換装置は、波長変換部と、第1の変調部と、第2の変調部と、合波部とを有する。波長変換部は、第1の偏波の信号光と励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第1の偏波の信号光に波長変換すると共に、前記第1の偏波と直交する第2の偏波の信号光と前記励起光とを合波して前記励起光に応じて異なる波長の第2の偏波の信号光に波長変換する。第1の変調部は、波長変換前の前記第1の偏波の信号光を変調して変調後の前記第1の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力する。第2の変調部は、波長変換前の前記第2の偏波の信号光を変調して変調後の前記第2の偏波の信号光を出力すると共に、波長変換後の信号光内の変調成分を最小にして出力する。合波部は、前記第1の変調部から出力された前記波長変換後の前記第1の偏波の信号光と、前記第2の変調部から出力された前記波長変換後の前記第2の偏波の信号光とを合波して偏波多重信号を出力する。
【発明の効果】
【0012】
一つの態様では、安定した偏波多重信号光を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施例のWDMシステムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施例1の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、波長変換前の変調後の信号光及び変調後の励起光の関係の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、波長変換前の変調後の信号光、変調後の励起光及び波長変換後の変調後の信号光の一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施例2の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、検出部内の光フィルタの処理の一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施例3の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第1の変調制御部の一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第1のキャンセル処理に関わる波長変換装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施例4の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、第2の変調制御部の一例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、第2のキャンセル処理に関わる波長変換装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施例5の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、第3のキャンセル処理に関わる波長変換装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施例6の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図20】
図20は、実施例7の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22は、実施例8の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【
図23】
図23は、第4のキャンセル処理に関わる波長変換装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、実施例9の波長変換装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本願の開示する波長変換装置等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1のWDMシステム1の一例を示す説明図である。
図1に示すWDM(Wavelength Division Multiplexing)システム1は、第1の伝送装置2Aと、第2の伝送装置2Bと、第1の伝送装置2Aと第2の伝送装置2Bとの間を接続する光ファイバ等の伝送路3とを有する。WDMシステム1は、異なる波長帯域、例えば、C帯、L帯及びS帯の多重光を伝送するマルチバンドシステムである。
【0016】
第1の伝送装置2Aは、第1の送信群10Aと、第2の送信群10Bと、第3の送信群10Cと、第1の波長変換装置20A(20)と、第2の波長変換装置20B(20)と、波長合波器30とを有する。第1の送信群10Aは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。尚、光増幅器13は、例えば、EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)とする。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、光増幅後のC帯の第1の多重光を第1の波長変換装置20Aに出力する。
【0017】
第2の送信群10Bは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、増幅後のC帯の第1の多重光を波長合波器30に出力する。
【0018】
第3の送信群10Cは、複数のC帯の送信器11と、光合波器12と、光増幅器13とを有する。送信器11は、異なるC帯波長の信号光を光合波器12に出力する。光合波器12は、各送信器11からの信号光を合波してC帯の第1の多重光を光増幅器13に出力する。光増幅器13は、第1の多重光を光増幅し、増幅後のC帯の第1の多重光を第2の波長変換装置20Bに出力する。尚、第1の送信群10A、第2の送信群10B及び第3の送信群10Cは、光増幅器13を内蔵したが、光合波器12からの第1の多重光が十分なパワーが得られる場合にはなくても良く、適宜設定変更可能である。
【0019】
第1の波長変換装置20Aは、第1の送信群10AからのC帯の第1の多重光を励起光を用いてL帯の第2の多重光に波長変換する縮退型四光波混合方式の波長変換器である。第1の波長変換装置20Aは、波長変換後のL帯の第2の多重光を波長合波器30に出力する。
【0020】
第2の波長変換装置20Bは、第3の送信群10CからのC帯の第1の多重光を励起光を用いてS帯の第3の多重光に波長変換する縮退型四光波混合方式の波長変換器である。第2の波長変換装置20Bは、波長変換後のS帯の第3の多重光を波長合波器30に出力する。
【0021】
波長合波器30は、第2の送信群10BからのC帯の第1の多重光と、第1の波長変換装置20AからのL帯の第2の多重光と、第2の波長変換装置20BからのS帯の第3の多重光とを合波し、第1~第3の多重光を伝送路3に出力する。
【0022】
第2の伝送装置2Bは、波長分波器40と、第3の波長変換装置20C(20)と、第4の波長変換装置20D(20)と、第1の受信群50Aと、第2の受信群50Bと、第3の受信群50Cとを有する。波長分波器40は、伝送路3から受信した多重光からC帯の第1の多重光、L帯の第2の多重光及びS帯の第3の多重光に分波する。波長分波器40は、第1の多重光を第2の受信群50Bに出力すると共に、第2の多重光を第3の波長変換装置20Cに出力すると共に、第3の多重光を第4の波長変換装置20Dに出力する。
【0023】
第2の受信群50Bは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、波長分波器40からのC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。尚、光増幅器51は、例えば、EDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)とする。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。
【0024】
第3の波長変換装置20Cは、励起光を用いて、波長分波器40からのL帯の第2の多重光をC帯の第1の多重光に波長変換し、波長変換後のC帯の第1の多重光を第1の受信群50Aに出力する。第1の受信群50Aは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、第3の波長変換装置20Cからの波長変換後のC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。尚、第1の送信群10A内の送信器11は、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第1の受信群50A内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。例えば、第1の送信群10A内のTx-11の送信器11と第1の受信群50A内のRx-12の受信器53とが同一波長C1の信号光を使用し、Tx-11の送信器11は、Rx-12の受信器53と同一波長C1の信号光で送信する。同様に、第2の送信群10B内の送信器11も、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第2の受信群50B内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。つまり、送信器11と受信器53とが同一波長を使用した通信ペアの関係となる。
【0025】
第4の波長変換装置20Dは、励起光を用いて、波長分波器40からのS帯の第3の多重光をC帯の第1の多重光に波長変換し、波長変換後のC帯の第1の多重光を第3の受信群50Cに出力する。第3の受信群50Cは、光増幅器51と、光分波器52と、複数の受信器53とを有する。光増幅器51は、第4の波長変換装置20Dからの波長変換後のC帯の第1の多重光を光増幅し、光増幅後の第1の多重光を光分波器52に出力する。光分波器52は、第1の多重光を波長単位のC帯の信号光に分波して各受信器53に出力する。第3の送信群10C内の送信器11も、送信器11毎に任意のC帯の波長を使用して第3の受信群50C内の複数の受信器53の内、送信器11に対応した受信器53と通信する。例えば、第3の送信群10C内のTx-32の送信器11と第3の受信群50C内のRx-31の受信器53とが同一波長C2の信号光を使用し、Tx-31の送信器11は、Rx-32の受信器53と同一波長C2の信号光で送信する。つまり、送信器11と受信器53とが同一波長を使用した通信ペアの関係となる。
【0026】
図2は、実施例1の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、
図2に示す波長変換装置20は、例えば、第1の波長変換装置20Aを例示して説明する。
図2に示す第1の波長変換装置20Aは、信号光入力部31と、励起光源32と、第1のWDMカプラ33と、第1のPBS(Polarizing Beam Splitter)34と、第1の変調部35と、第2の変調部36と、第2のPBS37とを有する。第1の波長変換装置20Aは、45度回転部38と、第3のPBS39と、90度回転部40Aと、波長変換部41と、第2のWDMカプラ42と、信号光出力部43と、第1の変調制御部44と、第2の変調制御部45とを有する。
【0027】
信号光入力部31は、X偏波及びY偏波の信号光を入力する。励起光源32は、単一偏波、例えば、X偏波の励起光を発光する光源である。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31からのX偏波及びY偏波の信号光と、励起光源32からのX偏波の励起光とを合波する。第1のPBS34は、一方の方向からの入力光をX偏波及びY偏波に分離すると共に、他方の方向からのX偏波の入力光とY偏波の入力光とを合波する。第1の変調部35は、一方の方向からのX偏波の入力光を周波数変調すると共に、他方の方向(波長変換部41側のポート)からのX偏波の入力光を周波数変調する双方向の位相変調器である。尚、第1の変調部35は、他方の方向からのX偏波の入力光に対して、一方の方向からのX偏波の入力光に変調した変調成分が最小になるように周波数変調する。第2の変調部36は、一方の方向からのY偏波の入力光を周波数変調すると共に、他方の方向(波長変換部41側のポート)からのY偏波の入力光を周波数変調する。尚、第2の変調部36は、他方の方向からのY偏波の入力光に対して、一方の方向からのY偏波の入力光に変調した変調成分が最小になるように周波数変調する。
【0028】
第2のPBS37は、一方の方向からのX偏波の入力光とY偏波の入力光とを合波すると共に、他方の方向からの入力光をX偏波及びY偏波に分離する。45度回転部38は、一方の方向からの入力光を45度回転すると共に、他方の方向からの入力光を45度回転する。第3のPBS39は、一方の方向からの入力光をX偏波及びY偏波に分離すると共に、他方の方向からのX偏波の入力光とY偏波の入力光とを合波する。第3のPBS39は、他方の方向にXポート41A及びYポート41Bを備え、X偏波の入力光をXポート41Aに入力すると共に、Y偏波の入力光をYポート41Bに入力する。90度回転部40Aは、一方の方向からの入力光を90度回転すると共に、他方の方向からの入力光を90度回転する。波長変換部41は、一方の方向(Xポート41A)からの入力光内の信号光と励起光とが伝播し、励起光に応じて異なる波長の信号光に波長変換する。波長変換部41は、他方の方向(Yポート41B)からの入力光内の信号光と励起光とが伝播し、励起光に応じて異なる波長の信号光に波長変換する。波長変換部41は、例えば、双方向に光が伝搬する高非線形ファイバ(HNLF(Highly Nonlinear Fiber))等で構成する。第2のWDMカプラ42は、入力光から波長変換後の信号光を信号光出力部43に出力する。第1の変調制御部44は、第1の変調部35を制御する。第2の変調制御部45は、第2の変調部36を制御する。
【0029】
第1の変調部35内にある波長変換部41側のポートから波長変換後のX偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とする。また、第2の変調部36内にある波長変換部41側のポートから波長変換後のY偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長は、変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とする。
【0030】
図3は、波長変換前の変調後の信号光及び変調後の励起光の関係の一例を示す説明図である。第1の変調部35は、X偏波の信号光(入力信号光)及び励起光を周波数変調し、周波数変調に応じてX偏波の信号光及び励起光の波長が揺れる。その結果、第1の変調部35は、X偏波の信号光及び励起光のSBSを抑圧できる。また、第2の変調部36も、Y偏波の信号光(入力信号光)及び励起光を周波数変調し、周波数変調に応じてY偏波の信号光及び励起光の波長が揺れる。その結果、第2の変調部36は、Y偏波の信号光及び励起光のSBSを抑圧できる。
【0031】
図4は、波長変換前の変調後の信号光、変調後の励起光及び波長変換後の変調後の信号光の一例を示す説明図である。波長変換部41は、第1の変調部35で周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光を合波し、周波数変調後の励起光に応じて周波数変調後のX偏波の信号光を異なる波長のX偏波の信号光(出力信号光)に波長変換する。周波数変調に応じて出力信号光の波長も揺れる。尚、第1の変調部35は、波長変換後のX偏波の信号光に波長変換前の周波数変調と逆相の周波数変調を実行することで、波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去できる。また、波長変換部41は、第2の変調部36で周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光を合波し、周波数変調後の励起光に応じて周波数変調後のY偏波の信号光を異なる波長のY偏波の信号光(出力信号光)に波長変換する。周波数変調に応じて出力信号光の波長も揺れる。尚、第2の変調部36は、波長変換後のY偏波の信号光に波長変換前の周波数変調と逆相の周波数変調を実行することで、波長変換後のY偏波の信号光から変調成分を除去できる。
【0032】
次に実施例1の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31からのX偏波及びY偏波の信号光と、励起光源32からのX偏波の励起光とを合波し、合波後の信号光及び励起光を第1のPBS34に出力する。第1のPBS34は、第1のWDMカプラ33からの信号光及び励起光を、X偏波の信号光及び励起光と、Y偏波の信号光とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光及び励起光を第1の変調部35に出力すると共に、Y偏波の信号光を第2の変調部36に出力する。
【0033】
第1の変調部35は、X偏波の信号光及び励起光を周波数変調する。その結果、周波数変調によって波長変換後のX偏波の信号光のSBS成分が抑圧される。第1の変調部35は、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光を第2のPBS37に出力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光を周波数変調する。その結果、周波数変調によって波長変換後のY偏波の信号光のSBS成分が抑圧される。第2の変調部36は、周波数変調後のY偏波の信号光を第2のPBS37に出力する。第2のPBS37は、第1の変調部35からの変調後のX偏波の信号光及び励起光と、第2の変調部36からの変調後のY偏波の信号光とを合波し、合波後の信号光及び励起光を45度回転部38に出力する。
【0034】
45度回転部38は、第2のPBS37からの合波後の変調後のX偏波及びY偏波の信号光と変調後のX偏波の励起光とを45度回転する。45度回転部38は、45度回転後の信号光及び励起光を第3のPBS39に出力する。励起光の偏波を45度回転することにより後述の第3のPBS39のXポート41A及びYポート41Bの両方から励起光成分が出力されるため、波長変換部を伝播する信号光のX偏波成分及びY偏波成分の両方の波長を変換できる。
【0035】
第3のPBS39は、45度回転後の信号光及び励起光から、45度回転後のX偏波の信号光のX偏波成分、45度回転後のY偏波の信号光のX偏波成分及び45度回転後のX偏波の励起光のX偏波成分を含むX偏波成分の信号光及び励起光を抽出する。第3のPBS39は、X偏波成分の信号光及び励起光をXポート41Aから出力する。
【0036】
波長変換部41は、Xポート41Aから入力された、45度回転後のX偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のY偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のX偏波の励起光のX偏波成分とを合波する。波長変換部41は、励起光のX偏波成分に応じて第1の波長の信号光のX偏波成分を第2の波長の信号光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分を90度回転部40Aに入力する。90度回転部40Aは、第2の波長の信号光のX偏波成分を90度回転することで第2の波長の信号光のY偏波成分を第3のPBS39内のYポート41Bに入力する。
【0037】
また、第3のPBS39は、45度回転部38からの45度回転後の信号光及び励起光から、45度回転後のX偏波の信号光のY偏波成分、45度回転後のY偏波の信号光のY偏波成分及び45度回転後のX偏波の励起光のY偏波成分を抽出する。第3のPBS39は、Y偏波成分の信号光及び励起光、すなわち45度回転後のX偏波の信号光のY偏波成分と、45度回転後のY偏波の信号光のY偏波成分と、45度回転後のX偏波の励起光のY偏波成分とを合成する。そして、第3のPBS39は、合成した第1の波長の信号光のY偏波成分と励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0038】
90度回転部40Aは、第3のPBS39内のYポート41Bからの第1の波長の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を90度回転することで、第1の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を波長変換部41に入力する。波長変換部41は、90度回転部40Aから入力された、第1の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分を第3のPBS39内のXポート41Aに入力する。
【0039】
第3のPBS39は、Yポート41Bからの波長変換後の第2の波長の信号光のY偏波成分と、Xポート41Aからの波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分とを合波する。第3のPBS39は、合波後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を45度回転部38に入力する。45度回転部38は、第3のPBS39から合波後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を45度回転する。45度回転部38は、45度回転後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を第2のPBS37に入力する。
【0040】
第2のPBS37は、45度回転後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分から第2の波長のX偏波の信号光及び第2の波長のY偏波の信号光に分離する。そして、第2のPBS37は、第2の波長のX偏波の信号光を第1の変調部35に入力すると共に、第2の波長のY偏波の信号光を第2の変調部36に入力する。
【0041】
第1の変調部35は、第2のPBS37から折り返された第2の波長のX偏波の信号光内の変調成分が最小になるように周波数変調する。尚、第1の変調部35は、波長変換前の第1の波長のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分を波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光から除去する。つまり、第1の変調部35は、波長変換前のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分と同量の逆相の変調成分で波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去する。第1の変調部35は、変調成分除去後の第2の波長のX偏波の信号光を第1のPBS34に入力する。
【0042】
第2の変調部36は、第2のPBS37から折り返された第2の波長のY偏波の信号光内の変調成分が最小になるように周波数変調する。尚、第2の変調部36は、波長変換前の第1の波長のY偏波の信号光に周波数変調した変調成分を波長変換後の第2の波長のY偏波の信号光から除去する。つまり、第2の変調部36は、波長変換前のY偏波の信号光に周波数変調した変調成分と同量の逆相の変調成分で波長変換後のY偏波の信号光から変調成分を除去する。第2の変調部36は、変調成分除去後の第2の波長のY偏波の信号光を第1のPBS34に入力する。
【0043】
第1のPBS34は、第1の変調部35からの変調成分除去後の第2の波長のX偏波の信号光及び励起光と、第2の変調部36からの変調成分除去後の第2の波長のY偏波の信号光とを合波する。第1のPBS34は、合波光を第2のWDMカプラ42に入力する。第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34の合波光から第2の波長のX偏波の信号光及び第2の波長のY偏波の信号光を含む偏波多重信号光を信号光出力部43に出力する。
【0044】
実施例1の第1の変調部35は、波長変換前のX偏波の信号光を変調して変調後のX偏波の信号光を波長変換部41に出力すると共に、波長変換部41から折り返された波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力する。第2の変調部36は、波長変換前のY偏波の信号光を変調して変調後のY偏波の信号光を波長変換部41に出力すると共に、波長変換部41から折り返された波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力する。第1のPBS34は、第1の変調部35から出力された波長変換後のX偏波の信号光と、第2の変調部36から出力された波長変換後のY偏波の信号光とを合波して偏波多重信号を出力する。つまり、X偏波及びY偏波の信号光(偏波多重信号光)からSBS成分を抑圧すると共に、X偏波及びY偏波の信号光(偏波多重信号光)から変調成分を除去する。その結果、波長変換後の偏波多重信号光の信号特性の劣化を抑制できる。しかも、従来に比較して変調部及びドライバの数を減らすことで構成を簡易化しながら、ドライバの消費電力を低減できる。
【0045】
尚、上記実施例1の波長変換装置20では、第1の変調部35がX偏波の信号光を周波数変調し、変調後のX偏波の信号光を波長変換部41に出力し、波長変換部41で波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去した。また、同様に、第2の変調部36も、Y偏波の信号光を周波数変調し、変調後のY偏波の信号光を波長変換部41に出力し、波長変換部41で波長変換後のY偏波の信号光から変調成分を除去した。そこで、第1の変調部35及び第2の変調部36で変調成分が除去されているか否かを監視する検出部を波長変換装置20に備えても良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0046】
図5は、実施例2の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明ついても省略する。
【0047】
図5に示す波長変換装置20が
図2に示す波長変換装置20と異なるところは、波長変換後の励起光の変調成分を検出する検出部47を有する点にある。励起光源32は、X偏波の励起光及びY偏波の励起光を第1のWDMカプラ33に入力する。第1のWDMカプラ33と第2のWDMカプラ42との間に、第1のPBS34から入力した波長変換後の励起光を分離する第3のWDMカプラ46を配置した。検出部47は、第3のWDMカプラ46で分離した波長変換後の励起光の残留変調成分を検出する。
【0048】
図6は、検出部47の一例を示す説明図である。
図6に示す検出部47は、光フィルタ471と、低速PD(Photo Diode)472とを有する。光フィルタ471は、第3のWDMカプラ46で光分岐された波長変換後の励起光から変調成分を抽出する、波長依存性損失を有する光フィルタである。光フィルタ471は、励起光の変調成分を透過して低速PB472に出力する。低速PB472は、変調成分を電気変換する光電変換部である。低速PB472は、電気変換後の変調成分を出力する。
【0049】
図7は、検出部47内の光フィルタ471の処理の一例を示す説明図である。光フィルタ471は、例えば、特定の波長のみ損失が小さい特性を有する波長フィルタや、周期的な損失特性を有するフィルタ等で構成する。光フィルタ471は、励起光の変調成分を強度変調成分に変換し、当該強度変調成分を変調成分として低速PB472に出力する。つまり、検出部47は、励起光の変調成分を検出できる。
【0050】
次に実施例2の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31からのX偏波の信号光及びY偏波の信号光と、励起光源32からのX偏波の励起光及びY偏波の励起光とを合波し、合波後の信号光及び励起光を第1のPBS34に入力する。第1のPBS34は、合波後の信号光及び励起光から、X偏波の信号光及びX偏波の励起光と、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光及びX偏波の励起光を第1の変調部35に入力すると共に、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光を第2の変調部36に入力する。
【0051】
第1の変調部35は、X偏波の信号光及びX偏波の励起光を周波数変調し、周波数変調後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光を第2のPBS37に入力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光を周波数変調し、周波数変調後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光を第2のPBS37に入力する。第2のPBS37は、周波数変調後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光と、周波数変調後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光とを合波して合波光を45度回転部38に入力する。
【0052】
また、第2のPBS37は、波長変換後の信号光及び励起光から、X偏波の信号光及びX偏波の励起光と、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光とに分離する。そして、第2のPBS37は、波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光を第1の変調部35に入力すると共に、波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光を第2の変調部36に入力する。
【0053】
第1の変調部35は、第2のPBS37から折り返された波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光に逆相で周波数変調することで、残留する変調成分を除去する。第2の変調部36も、第2のPBS37から折り返された波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光に逆相で周波数変調することで、残留する変調成分を除去する。
【0054】
第1のPBS34は、第1の変調部35から入力した波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光と、第2の変調部36から入力した波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光とを合波する。第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34で合波した波長変換後の信号光及び励起光から波長変換後の信号光と波長変換後の励起光とに分離する。そして、第2のWDMカプラ42は、波長変換後の信号光を信号光出力部43に出力すると共に、波長変換後の励起光を第3のWDMカプラ46に出力する。第3のWDMカプラ46は、波長変換後の励起光を検出部47に出力する。
【0055】
検出部47は、第3のWDMカプラ46から入力した波長変換後の励起光の変調成分を検出する。第1の変調制御部44は、波長変換後の励起光の変調成分で第1の変調部35のX偏波の信号光の変調成分の残留状況を把握する。また、第2の変調制御部45は、波長変換後の励起光の変調成分で第2の変調部36のY偏波の信号光の変調成分の残留状況を把握する。
【0056】
実施例2の検出部47は、第1の変調部35から出力された波長変換後の励起光の変調成分を検出する。第1の変調制御部44は、波長変換後の励起光の変調成分で第1の変調部35のX偏波の信号光の変調成分の残留状況を把握する。つまり、信号光にかかる変調成分が除去されているとき、波長変換後に第1の変調部35を伝播した励起光も変調成分が除去されることに着目し、信号光をモニタしなくても、励起光で変調成分が除去されているか否かをモニタできる。
【0057】
尚、実施例2の波長変換装置20では、検出部47が励起光の変調成分を検出する場合を例示したが、検出部47の検出結果に基づき、第1の変調部35を制御しても良く、その実施の形態につき実施例3として以下に説明する。
【実施例3】
【0058】
図8は、実施例3の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明ついては省略する。
【0059】
図8に示す波長変換装置20が
図2に示す波長変換装置20と異なるところは、波長変換後のX偏波の励起光の残留変調成分に基づき、第1の変調部35を制御する点にある。励起光源32は、例えば、X偏波の励起光を発光する。第1のWDMカプラ33と第2のWDMカプラ42との間に、第1のPBS34から入力した波長変換後のX偏波の励起光を分離する第3のWDMカプラ46を配置した。
【0060】
第1の変調制御部44は、検出部47の検出結果、すなわち、波長変換後のX偏波の励起光の残留変調成分に基づき、第1の変調部35の往路の残留変調成分を除去する逆相の周波数変調をすべく、第1の変調部35を制御する。
【0061】
第2の変調制御部45は、第2の変調部36の往路で変調した変調成分を記憶しておき、記憶された変調成分に基づき、第2の変調部36の往路の残留変調成分を除去する逆相の周波数変調をすべく、第2の変調部36を制御する。
【0062】
図9は、第1の変調制御部44の一例を示す説明図である。
図9に示す第1の変調制御部44Aは、発振部61Aと、駆動電圧算出部62Aと、ドライバ63Aとを有する。発振部61Aは、変調周波数(sin波)を発振する。駆動電圧算出部62Aは、検出部47からの励起光の残留変調成分に対応する駆動電圧を算出する。尚、駆動電圧算出部62Aは、残留変調成分に対応する駆動電圧量を管理するテーブルを参照し、残留変調成分に対応する駆動電圧量を取得しても良い。ドライバ63Aは、発振部61からの変調周波数(sin波)に駆動電圧を印加することで、第1の変調部35を制御する駆動信号を出力する。第1の変調部35は、駆動信号に応じてX偏波の信号光及びX偏波の励起光を周波数変調する。第1の変調制御部44は、第1の変調部35の往路でX偏波の信号光及びX偏波の励起光に周波数変調すべく、第1の変調部35を制御する。第1の変調制御部44は、第1の変調部35の復路でX偏波の信号光及びX偏波の励起光内の残留変調成分を除去する逆相の周波数変調をすべく、第1の変調部35を制御する。
【0063】
次に実施例3の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31から入力したX偏波の信号光及びY偏波の信号光と、励起光源32から入力したX偏波の励起光とを合波する。第1のPBS34は、第1のWDMカプラ33で合波した信号光及び励起光から、X偏波の信号光及びX偏波の励起光と、Y偏波の信号光とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光及びX偏波の励起光を第1の変調部35に入力すると共に、Y偏波の信号光を第2の変調部36に入力する。
【0064】
第1の変調部35は、X偏波の信号光及びX偏波の励起光を周波数変調し、周波数変調後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光を第2のPBS37に入力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光を周波数変調し、周波数変調後のY偏波の信号光を第2のPBS37に入力する。第2のPBS37は、周波数変調後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光と、周波数変調後のY偏波の信号光とを合波する。45度回転部38は、第2のPBS37から入力した周波数変調後の信号光及び周波数変調後の励起光を45度回転する。第3のPBS39は、45度回転部38から入力した45度回転後の信号光及び励起光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。第3のPBS39は、45度回転後の信号光及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力すると共に、45度回転後の信号光及び励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0065】
波長変換部41は、Xポート41Aから入力した信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を90度回転部40Aに入力する。90度回転部40Aは、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のY偏波成分を90度回転、すなわち、波長変換後の第2の波長の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を第3のPBS39内のYポート41Bに入力する。
【0066】
また、90度回転部40Aは、第3のPBS39内のYポート41Bから入力した45度回転後の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を90度回転、すなわち信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を波長変換部41に出力する。波長変換部41は、90度回転部40Aから入力した90度回転後の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分に波長変換する。そして、波長変換部41は、波長変換後のX偏波成分及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力する。
【0067】
第3のPBS39は、Xポート41Aからの信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分と、Yポート41Bからの信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分とを合波する。45度回転部38は、第3のPBS39から入力した波長変換後の信号光のX偏波成分、信号光のY偏波成分、励起光のX偏波成分及び励起光のY偏波成分を45度回転、すなわち、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光及びX偏波の励起光を出力する。第2のPBS37は、波長変換後の信号光及び励起光から、X偏波の信号光及びX偏波の励起光と、Y偏波の信号光とに分離する。第2のPBS37は、X偏波の信号光及びX偏波の励起光を第1の変調部35に出力すると共に、Y偏波の信号光を第2の変調部36に出力する。
【0068】
第1の変調部35は、第1の変調制御部44Aの制御に応じて、折り返された波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光の残留変調成分を除去する逆相の周波数変調を実行する。第2の変調部36は、第2の変調制御部45の制御に応じて、折り返された波長変換後のY偏波の信号光の残留変調成分を除去する逆相の周波数変調を実行する。第1のPBS34は、第1の変調部35から入力した波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光と、第2の変調部36から入力した波長変換後のY偏波の信号光とを合波する。
【0069】
第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34から入力した波長変換後の信号光及び励起光から波長変換後の信号光と波長変換後の励起光とに分離する。第2のWDMカプラ42は、波長変換後の信号光を信号光出力部43に出力すると共に、波長変換後の励起光を第3のWDMカプラ46に出力する。第3のWDMカプラ46は、波長変換後の励起光を検出部47に出力する。検出部47は、波長変換後のX偏波の励起光内の残留変調成分を検出する。
【0070】
第1の変調制御部44Aは、検出部47の検出結果、すなわち励起光の残留変調成分に基づき、波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光の残留変調成分が最小になるように逆相の周波数変調を実行する。その結果、第1の変調部35は、復路、すなわち波長変換後のX偏波の信号光及びX偏波の励起光から残留変調成分を除去できる。尚、第2の変調制御部45は、第2の変調部36の往路の周波数変調成分を記憶しておき、往路の周波数変調成分に基づき、第2の変調部36の復路で残留変調成分を除去する。
【0071】
図10は、第1のキャンセル処理に関わる波長変換装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図10において波長変換装置20内の検出部47は、X偏波の励起光の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS11)。波長変換装置20内の第1の変調制御部44Aは、X偏波の励起光の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS12)。第1の変調制御部44Aは、X偏波の残留変調成分を検出した場合(ステップS12、Yes)、X偏波の信号光及び励起光の残留変調成分が最小になるように第1の変調部35を制御する(ステップS13)。
【0072】
第1の変調制御部44Aは、第1の変調部35を制御した後、X偏波の励起光の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS11に移行する。また、第1の変調制御部44Aは、X偏波の励起光の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS12、No)、
図10に示す処理動作を終了する。
【0073】
実施例3の検出部47は、第1の変調部35から出力された波長変換後の励起光の変調成分を検出する。第1の変調制御部44Aは、検出部47にて検出された波長変換後の励起光内の変調成分に基づき、波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分を最小にするように、第1の変調部35を制御する。その結果、信号光をモニタしなくても、X偏波の信号光の変調成分を除去できる。
【0074】
尚、実施例3の波長変換装置20では、波長変換後のX偏波の励起光の残留変調成分を検出し、検出結果に基づき、波長変換後の信号光の残留変調成分を除去するように第1の変調部35を制御する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例4】
【0075】
図11は、実施例4の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明ついては省略する。
【0076】
図11に示す波長変換装置20が
図2に示す波長変換装置20と異なるところは、波長変換後のY偏波の励起光の残留変調成分に基づき、第2の変調部36を制御する点にある。励起光源32は、例えば、X偏波の励起光を発光する。励起光源32と第1のWDMカプラ33との間に、励起光源32から入力したX偏波の励起光を90度回転してY偏波の励起光に変換する90度回転部65を配置した。第1のWDMカプラ33と第2のWDMカプラ42との間に、第1のPBS34から入力した波長変換後のY偏波の励起光を分離する第3のWDMカプラ46を配置した。
【0077】
第2の変調制御部45Aは、検出部47の検出結果、すなわち、波長変換後のY偏波の励起光の残留変調成分に基づき、第2の変調部36の復路で残留変調成分を除去する逆相の周波数変調を実行すべく、第2の変調部36を制御する。
【0078】
第1の変調制御部44は、第1の変調部35の往路で変調した変調成分を記憶しておき、記憶された変調成分に基づき、第1の変調部35の復路で残留変調成分を除去する逆相の周波数変調を実行すべく、第1の変調部35を制御する。
【0079】
図12は、第2の変調制御部45Aの一例を示す説明図である。
図12に示す第2の変調制御部45Aは、発振部61Bと、駆動電圧算出部62Bと、ドライバ63Bとを有する。発振部61Bは、変調周波数(sin波)を発振する。駆動電圧算出部62Bは、検出部47からの励起光の残留変調成分に対応する駆動電圧を算出する。尚、駆動電圧算出部62Bは、残留変調成分に対応する駆動電圧量を管理するテーブルを参照し、残留変調成分に対応する駆動電圧量を取得しても良い。ドライバ63Bは、発振部61Bからの変調周波数(sin波)に駆動電圧を印加することで、第2の変調部36を制御する駆動信号を出力する。第2の変調部36は、駆動信号に応じてY偏波の信号光及びY偏波の励起光を周波数変調する。第2の変調制御部45Aは、第2の変調部36の往路でY偏波の信号光及びY偏波の励起光に周波数変調すべく、第2の変調部36を制御する。第2の変調制御部45Aは、第2の変調部36の復路でY偏波の信号光及びY偏波の励起光内の残留変調成分を除去する周波数変調すべく、第2の変調部36を制御する。
【0080】
次に実施例4の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31から入力したX偏波の信号光及びY偏波の信号光と、90度回転部65から入力したY偏波の励起光とを合波する。第1のPBS34は、第1のWDMカプラ33で合波した信号光及び励起光から、X偏波の信号光と、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光を第1の変調部35に入力すると共に、Y偏波の励起光及びY偏波の信号光を第2の変調部36に入力する。
【0081】
第1の変調部35は、X偏波の信号光の励起光を周波数変調し、周波数変調後のX偏波の信号光を第2のPBS37に入力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光を周波数変調し、周波数変調後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光を第2のPBS37に入力する。第2のPBS37は、周波数変調後のX偏波の信号光と、周波数変調後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光とを合波する。45度回転部38は、第2のPBS37から入力した周波数変調後の信号光及び周波数変調後の励起光を45度回転する。第3のPBS39は、45度回転後の信号光及び励起光をX偏波成分及びY偏波成分に分離する。第3のPBS39は、45度回転後の信号光及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力すると共に、45度回転後の信号光及び励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0082】
波長変換部41は、Xポート41Aから入力した信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を90度回転部40Aに入力する。90度回転部40Aは、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を90度回転、すなわち、波長変換後の第2の波長の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を第3のPBS39内のYポート41Bに入力する。
【0083】
また、90度回転部40Aは、第3のPBS39内のYポート41Bから入力した45度回転後の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を90度回転、すなわち信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を波長変換部41に出力する。波長変換部41は、90度回転部40Aから入力した90度回転後の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分に波長変換する。そして、波長変換部41は、波長変換後のX偏波成分及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力する。
【0084】
第3のPBS39は、Xポート41Aからの信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分と、Yポート41Bからの信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分とを合波する。45度回転部38は、第3のPBS39から入力した波長変換後の信号光のX偏波成分、信号光のY偏波成分、励起光のX偏波成分及び励起光のY偏波成分を45度回転、すなわち、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光及びY偏波の励起光を出力する。第2のPBS37は、波長変換後の信号光及び励起光から、X偏波の信号光と、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光とに分離する。第2のPBS37は、X偏波の信号光を第1の変調部35に出力すると共に、Y偏波の信号光及びY偏波の励起光を第2の変調部36に出力する。
【0085】
第2の変調部36は、第2の変調制御部45Aの制御に応じて、折り返された波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光の残留変調成分を除去する。第1の変調部35は、第1の変調制御部44の制御に応じて、折り返された波長変換後のX偏波の信号光の残留変調成分を除去する。第1のPBS34は、第1の変調部35から入力した波長変換後のX偏波の信号光と、第2の変調部36から入力した波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光とを合波する。
【0086】
第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34から入力した波長変換後の信号光及び励起光から波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光と波長変換後のY偏波の励起光とに分離する。第2のWDMカプラ42は、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光を信号光出力部43に出力すると共に、波長変換後の励起光を第3のWDMカプラ46に出力する。第3のWDMカプラ46は、波長変換後のY偏波の励起光を検出部47に出力する。検出部47は、波長変換後のY偏波の励起光内の残留変調成分を検出する。
【0087】
第2の変調制御部45Aは、検出部47の検出結果、すなわちY偏波の励起光の残留変調成分に基づき、波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光の残留変調成分が最小になるように周波数変調する。その結果、第2の変調部36は、復路、すなわち波長変換後のY偏波の信号光及びY偏波の励起光から残留変調成分を除去できる。尚、第1の変調制御部44は、第1の変調部35の往路の周波数変調成分を記憶しておき、往路の周波数変調成分に基づき、第1の変調部35の復路で残留変調成分を除去する。
【0088】
図13は、第2のキャンセル処理に関わる波長変換装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図13において波長変換装置20内の検出部47は、Y偏波の励起光の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS21)。波長変換装置20内の第2の変調制御部45Aは、Y偏波の励起光の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS22)。第2の変調制御部45Aは、Y偏波の残留変調成分を検出した場合(ステップS22、Yes)、Y偏波の信号光及び励起光の残留変調成分が最小になるように第2の変調部36の周波数変調を制御する(ステップS23)。
【0089】
第2の変調制御部45Aは、第2の変調部36の周波数変調を制御した後、Y偏波の励起光の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS21に移行する。また、第2の変調制御部45Aは、Y偏波の励起光の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS22、No)、
図13に示す処理動作を終了する。
【0090】
実施例4の検出部47は、第2の変調部36から出力された波長変換後の励起光の変調成分を検出する。第2の変調制御部45Aは、検出部47にて検出された波長変換後の励起光内の変調成分に基づき、波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分を最小にするように、第2の変調部36を制御する。その結果、信号光をモニタしなくても、Y偏波の信号光の変調成分を除去できる。
【0091】
実施例3及び4の波長変換装置20は、波長変換後の単一偏波の励起光の残留変調成分を検出し、検出結果に基づき、波長変換後の励起光と同じ偏波状態の信号光の残留変調成分を除去するように第1の変調部35又は第2の変調部36を制御する場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、その実施の形態につき、実施例5として以下に説明する。
【実施例5】
【0092】
図14は、実施例5の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明ついては省略する。
図14に示す波長変換装置20が
図2に示す波長変換装置20と異なるところは、波長変換後の励起光の残留変調成分に基づき、単一の変調制御部70で第1の変調部35及び第2の変調部36を制御する点にある。励起光源32は、例えば、X偏波の励起光を発光する。励起光源32と第1のWDMカプラ33との間に、励起光源32から入力したX偏波の励起光を45度回転して励起光のX偏波成分及びY偏波成分に変換する45度回転部62を配置した。第1のWDMカプラ33と第2のWDMカプラ42との間に、第1のPBS34から入力した波長変換後の励起光を分離する第3のWDMカプラ46を配置した。検出部47は、第3のWDMカプラ46から分離した励起光の変調成分を検出する。
【0093】
変調制御部70は、検出部47の検出結果、すなわち、波長変換後の励起光のX偏波成分の残留変調成分に基づき、第1の変調部35の復路で残留変調成分を除去する逆相の周波数変調を実行すべく、第1の変調部35を制御する。変調制御部70は、検出部47の検出結果、すなわち、波長変換後の励起光のY偏波成分の残留変調成分に基づき、第2の変調部36の復路で残留変調成分を除去すべく、第2の変調部36を制御する。
【0094】
図15は、変調制御部70の一例を示す説明図である。
図15に示す変調制御部70は、第1の発振部71Aと、第1の駆動電圧算出部72Aと、第1のドライバ73Aと、第2の発振部71Bと、第2の駆動電圧算出部72Bと、第2のドライバ73Bと、制御スイッチ74とを有する。
【0095】
第1の発振部71Aは、周波数(sin波)を発振する。第1の駆動電圧算出部72Aは、検出部47からの励起光の残留変調成分に対応する駆動電圧を算出する。尚、第1の駆動電圧算出部72Aは、残留変調成分に対応する駆動電圧量を管理するテーブルを参照し、残留変調成分に対応する駆動電圧量を取得しても良い。第1のドライバ73Aは、第1の発振部71Aからの変調周波数(sin波)に駆動電圧を印加することで、第1の変調部35を制御する駆動信号を出力する。変調制御部70は、制御スイッチ74を第1の駆動電圧算出部72A側に切替えることで、第1の変調部35の往路でX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分に周波数変調を実行すべく、第1の変調部35を制御する。変調制御部70は、第1の変調部35の復路でX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分内の残留変調成分を除去する周波数変調を実行すべく、第1の変調部35を制御する。
【0096】
第2の発振部71Bは、周波数(sin波)を発振する。第2の駆動電圧算出部72Bは、検出部47からの励起光の残留変調成分に対応する駆動電圧を算出する。尚、第2の駆動電圧算出部72Bは、残留変調成分に対応する駆動電圧量を管理するテーブルを参照し、残留変調成分に対応する駆動電圧量を取得しても良い。第2のドライバ73Bは、第2の発振部71Bからの変調周波数(sin波)に駆動電圧を印加することで、第2の変調部36を制御する駆動信号を出力する。変調制御部70は、制御スイッチ74を第2の駆動電圧算出部72B側に切替えることで、第2の変調部36の往路でY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分に周波数変調を実行すべく、第2の変調部36を制御する。変調制御部70は、第2の変調部36の復路でY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分内の残留変調成分を除去する周波数変調を実行すべく、第2の変調部36を制御する。
【0097】
制御スイッチ74は、第1の駆動電圧算出部72Aと第2の駆動電圧算出部72Bの入力である検出部47の出力、すなわち励起光の残留変調成分を所定タイミングで切替える。
【0098】
次に実施例5の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31から入力したX偏波の信号光及びY偏波の信号光と、45度回転部62から入力した励起光のX偏波成分及びY偏波成分とを合波する。第1のPBS34は、第1のWDMカプラ33で合波した信号光及び励起光から、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第1の変調部35に入力すると共に、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2の変調部36に入力する。
【0099】
第1の変調部35は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を周波数変調し、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第2のPBS37に入力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を周波数変調し、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2のPBS37に入力する。第2のPBS37は、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。第3のPBS39は、第2のPBS37から入力した周波数変調後の信号光及び励起光から、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とに分離する。第3のPBS39は、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力すると共に、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0100】
波長変換部41は、Xポート41Aから入力した信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を波長変換する。更に、波長変換部41は、波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を90度回転部40Aに入力する。90度回転部40Aは、波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を90度回転、すなわち、波長変換後の第2の波長のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0101】
また、波長変換部41内の90度回転部40Aは、Yポート41Bから入力したY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を90度回転、すなわち信号光のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を波長変換部41に入力する。波長変換部41は、90度回転部40Aから入力したX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じてX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力する。
【0102】
第3のPBS39は、Xポート41AからのX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Yポート41BからのY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。第2のPBS37は、第3のPBS39から入力した信号光及び励起光から、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを分離する。第2のPBS37は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第1の変調部35に出力すると共に、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2の変調部36に出力する。
【0103】
第1の変調部35は、変調制御部70の制御に応じて、折り返された波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分の残留変調成分を除去する。第2の変調部36は、変調制御部70の制御に応じて、折り返された波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分の残留変調成分を除去する。第1のPBS34は、第1の変調部35から入力した波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、第2の変調部36から入力した波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。
【0104】
第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34から入力した波長変換後の信号光及び励起光から、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光と波長変換後の励起光のX偏波成分及びY偏波成分とに分離する。第2のWDMカプラ42は、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光を信号光出力部43に出力すると共に、波長変換後の励起光のX偏波成分及びY偏波成分を第3のWDMカプラ46に出力する。第3のWDMカプラ46は、波長変換後の励起光のX偏波成分及びY偏波成分を検出部47に出力する。検出部47は、波長変換後の励起光内の残留変調成分を検出する。
【0105】
変調制御部70は、検出部47の検出結果、すなわち励起光のX偏波成分の残留変調成分に基づき、波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分の残留変調成分が最小になるように周波数変調を実行すべく、第1の変調部35を制御する。その結果、第1の変調部35は、復路、すなわち波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分から残留変調成分を除去できる。
【0106】
変調制御部70は、検出部47の検出結果、すなわち励起光のY偏波成分の残留変調成分に基づき、波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分の残留変調成分が最小になるように周波数変調を実行すべく、第2の変調部36を制御する。その結果、第2の変調部36は、復路、すなわち波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分から残留変調成分を除去できる。
【0107】
図16は、第3のキャンセル処理に関わる波長変換装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図16において波長変換装置20内の検出部47は、励起光のX偏波成分の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS31)。波長変換装置20内の変調制御部70は、励起光のX偏波成分の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS32)。変調制御部70は、励起光のX偏波成分の残留変調成分を検出した場合(ステップS32、Yes)、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分の残留変調成分が最小になるように第1の変調部35を制御する(ステップS33)。
【0108】
検出部47は、ステップS33にて第1の変調部35を制御した後、励起光のX偏波成分の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS31に移行する。検出部47は、励起光のX偏波成分の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS32、No)、励起光のY偏波成分の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS34)。変調制御部70は、励起光のY偏波成分の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS35)。変調制御部70は、励起光のY偏波成分の残留変調成分を検出した場合(ステップS35、Yes)、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分の残留変調成分が最小になるように第2の変調部36を制御する(ステップS36)。そして、変調制御部70は、第2の変調部36を制御した後、励起光のY偏波成分の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS34に移行する。変調制御部70は、励起光のY偏波成分の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS35、No)、
図16に示す処理動作を終了する。
【0109】
実施例5の検出部47は、第1の変調部35から出力された波長変換後の励起光の変調成分を検出すると共に、第2の変調部36から出力された波長変換後の励起光の変調成分を検出する。変調制御部70は、検出部47の検出結果に基づき、波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、第1の変調部35を制御すると共に、波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、第2の変調部36を制御する。その結果、信号光をモニタしなくても、X偏波及びY偏波の信号光の変調成分を除去できる。
【実施例6】
【0110】
図17は、実施例6の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例6の波長変換装置20が実施例5の波長変換装置20と異なるところは、第1の光遅延部81と、第2の光遅延部82と、光遅延制御部83とを有する点にある。
【0111】
第1の光遅延部81は、第1の変調部35と第2のPBS37との間に配置される。第1の光遅延部81は、第1の変調部35の波長変換部41側のポートから波長変換後のX偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長を、第1の変調部35で変調後のX偏波の信号光の波長に応じて抵抗等の遅延素子の遅延量で調整する。尚、第1の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とする。
【0112】
第2の光遅延部82は、第2の変調部36と第2のPBS37との間に配置される。第2の光遅延部82は、第2の変調部36の波長変換部41側のポートから波長変換後のY偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長を、第2の変調部36で変調後のY偏波の信号光の波長に応じて抵抗等の遅延素子の遅延量で調整する。尚、第2の光路長は、変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とする。光遅延制御部83は、第1の光遅延部81及び第2の光遅延部82を制御する。
【0113】
図18は、変調制御部70の一例を示す説明図である。
図18に示す変調制御部70は、第1の発振部71Aと、第1の駆動電圧算出部72Aと、第1のドライバ73Aと、第2の発振部71Bと、第2の駆動電圧算出部72Bと、第2のドライバ73Bと、制御スイッチ74とを有する。
【0114】
図19は、光遅延制御部83の一例を示す説明図である。
図19に示す光遅延制御部83は、第1の光路調整部91と、第2の光路調整部92と、制御スイッチ93とを有する。第1の光路調整部91は、第1の光遅延部81内の遅延素子を使用して第1の光路長を調整する。第2の光路調整部92は、第2の光遅延部82内の遅延素子を使用して第2の光路長を調整する。制御スイッチ93は、第1の光路調整部91及び第2の光路調整部92を切替える。
【0115】
第1の光路調整部91は、第1の光路長が変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるように、(数式1)を使用して第1の光路長を調整する。第2の光路調整部92も、第2の光路長が変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるように、(数式1)を使用して第2の光路長を調整する。尚、変調周波数の周期+半周期だけずれている場合、往復で逆相の周波数変調を実行できる。
【0116】
【0117】
第1の光路調整部91は、(数式1)で第1の光路長Lの調整量ΔLを算出する。第1の光路調整部91は、調整量ΔLに対応する第1の光遅延部81の遅延量を管理するテーブルを参照し、調整量ΔLに対応する遅延量を第1の光遅延部81に設定する。その結果、第1の変調部35の波長変換部41側のポートから波長変換後のX偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長を、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となる。従って、第1の変調部35は、波長変換後のX偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【0118】
第2の光路調整部92は、(数式1)で第2の光路長Lの調整量ΔLを算出する。第2の光路調整部92は、調整量ΔLに対応する第2の光遅延部82の遅延量を管理するテーブルを参照し、調整量ΔLに対応する遅延量を第2の光遅延部82に設定する。その結果、第2の変調部36の波長変換部41側のポートから波長変換後のY偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長を、変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となる。従って、第2の変調部36は、波長変換後のY偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【0119】
実施例6の第1の光路調整部91は、第1の変調部35で変調後のX偏波の信号光の波長に応じた遅延量で第1の光路長を調整する。第2の光路調整部92は、第2の変調部36で変調後のY偏波の信号光の波長に応じた遅延量で第2の光路長を調整する。その結果、第1の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるため、第1の変調部35は、波長変換後のX偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。更に、第2の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるため、第2の変調部36は、波長変換後のY偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【実施例7】
【0120】
図20は、実施例7の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例1の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例7の波長変換装置20が実施例5の波長変換装置20と異なるところは、第1の変調部35及び第2の変調部36を制御する変調制御部70Aを有する点にある。
【0121】
図21は、変調制御部70Aの一例を示す説明図である。
図21に示す変調制御部70Aは、第1の発振部71Aと、第1の駆動電圧算出部72Aと、第1のドライバ73Aと、第1の周波数調整部75Aとを有する。変調制御部70は、第2の発振部71Bと、第2の駆動電圧算出部72Bと、第2のドライバ73Bと、第2の周波数調整部75Bと、制御スイッチ74Aとを有する。
【0122】
第1の周波数調整部75Aは第1の変調部35の波長変換部41側のポートから波長変換後のX偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長を、第1の変調部35で変調後のX偏波の信号光の波長に応じて第1の変調部35の変調周波数で調整する。尚、第1の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離である。第2の周波数調整部75Bは、第2の変調部36の波長変換部41側のポートから波長変換後のY偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長を、第2の変調部36で変調後のY偏波の信号光の波長に応じて第2の変調部36の変調周波数で調整する。尚、第2の光路長は、変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離である。制御スイッチ74Aは、第1の駆動電圧算出部72A及び第1の周波数調整部75Aと、第2の駆動電圧算出部72B及び第2の周波数調整部75Bとを切替える。
【0123】
第1の周波数調整部75Aは、第1の光路長が変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるように、(数式2)を使用して第1の光路長側の第1の変調部35の変調周波数を調整する。第2の周波数調整部75Bも、第2の光路長が変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるように、(数式2)を使用して第2の光路長側の第2の変調部36の変調周波数を調整する。尚、変調周波数の周期+半周期だけずれている場合、往復で逆相の周波数変調を実行できる。
【0124】
【0125】
第1の周波数調整部75Aは、(数式2)で第1の光路長L側の変調周波数fの調整量Δfを算出する。第1の周波数調整部75Aは、調整量Δfを第1の発振部71Aに設定する。その結果、第1の変調部35の波長変換部41側のポートから波長変換後のX偏波の信号光が戻って来るまでの第1の光路長が変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となる。従って、第1の変調部35は、波長変換後のX偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【0126】
第2の周波数調整部75Bは、(数式2)で第2の光路長L側の変調周波数fの調整量Δfを算出する。第2の周波数調整部75Bは、調整量Δを第2の発振部71Bに設定する。その結果、第2の変調部36の波長変換部41側のポートから波長変換後のY偏波の信号光が戻って来るまでの第2の光路長が変調後のY偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となる。従って、第2の変調部36は、波長変換後のY偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【0127】
実施例7の第1の周波数調整部75Aは、第1の変調部35で変調後のX偏波の信号光の波長に応じた第1の変調部35の変調周波数で第1の光路長を調整する。第2の周波数調整部75Bは、第2の変調部36で変調後のY偏波の信号光の波長に応じた第2の変調部36の変調周波数で第2の光路長を調整する。その結果、第1の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるため、第1の変調部35は、波長変換後のX偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。更に、第2の光路長は、変調後のX偏波の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となるため、第2の変調部36は、波長変換後のY偏波の信号光の折り返しタイミングで波長変換前の変調成分を除去できる。
【0128】
尚、実施例5の波長変換装置20では、波長変換後の励起光のX偏波成分及びY偏波成分の残留変調成分を使用して、第1の変調部35及び第2の変調部36を制御する場合を例示した。しかしながら、波長変換後の励起光ではなく、波長変換後の信号光の残留変調成分を使用しても良く、適宜変更可能である。
【実施例8】
【0129】
図22は、実施例8の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、実施例5の波長変換装置20と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明ついては省略する。実施例8の波長変換装置20と実施例5の波長変換装置20と異なるところは、波長変換後の励起光の残留変調成分の代わりに、波長変換後の信号光の残留変調成分を使用して、第1の変調部35及び第2の変調部36を制御する点にある。
【0130】
第2のWDMカプラ42と信号光出力部43との間に、第2のWDMカプラ42で分離した信号光の一部を光分岐する第4のWDMカプラ48を配置した。検出部47Aは、第4のWDMカプラ48で分離した信号光の一部から残留変調成分を検出する。
【0131】
変調制御部70Bは、検出部47Aの検出結果、すなわち、波長変換後のX偏波の信号光の残留変調成分に基づき、第1の変調部35の復路で残留変調成分を除去すべく、第1の変調部35を制御する。変調制御部70Bは、検出部47Aの検出結果、すなわち、波長変換後のY偏波の信号光の残留変調成分に基づき、第2の変調部36の復路で残留変調成分を除去すべく、第2の変調部36を制御する。
【0132】
次に実施例8の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31から入力したX偏波の信号光及びY偏波の信号光と、45度回転部62から入力した励起光のX偏波成分及びY偏波成分とを合波する。第1のPBS34は、第1のWDMカプラ33で合波した信号光及び励起光から、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とに分離する。第1のPBS34は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第1の変調部35に入力すると共に、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2の変調部36に入力する。
【0133】
第1の変調部35は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を周波数変調し、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第2のPBS37に入力する。第2の変調部36は、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を周波数変調し、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2のPBS37に入力する。第2のPBS37は、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。第3のPBS39は、第2のPBS37から入力した周波数変調後の信号光及び励起光から、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とに分離する。第3のPBS39は、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分をXポート41Aから出力すると共に、周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分をYポート41Bから出力する。
【0134】
波長変換部41は、Xポート41Aからの信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を波長変換する。更に、波長変換部41は、波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を90度回転部40Aに入力する。90度回転部40Aは、波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を90度回転、すなわち、波長変換後の第2の波長のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第3のPBS39内のYポート41Bに入力する。
【0135】
また、波長変換部41内の90度回転部40Aは、Yポート41BからのY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を90度回転、すなわち信号光のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を波長変換部41に入力する。波長変換部41は、90度回転部40Aから入力したX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じてX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第3のPBS39内のXポート41Aに入力する。
【0136】
第3のPBS39は、Xポート41AからのX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Yポート41BからのY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。第2のPBS37は、第3のPBS39から入力した信号光及び励起光から、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを分離する。第3のPBS39は、X偏波の信号光及び励起光のX偏波成分を第1の変調部35に出力すると共に、Y偏波の信号光及び励起光のY偏波成分を第2の変調部36に出力する。
【0137】
第1の変調部35は、変調制御部70Bの制御に応じて、折り返された波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分の残留変調成分を除去する。第2の変調部36は、変調制御部70Bの制御に応じて、折り返された波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分の残留変調成分を除去する。第1のPBS34は、第1の変調部35から入力した波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分と、第2の変調部36から入力した波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分とを合波する。
【0138】
第2のWDMカプラ42は、第1のPBS34から入力した波長変換後の信号光及び励起光から、波長変換後のX偏波及びY偏波の信号光と波長変換後の励起光のX偏波成分及びY偏波成分とに分離する。第4のWDMカプラ48は、波長変換後のX偏波の信号光及びY偏波の信号光を検出部47A及び信号光出力部43に出力する。検出部47Aは、波長変換後のX偏波の信号光内の残留変調成分を検出すると共に、波長変換後のY偏波の信号光内の残留変調成分を検出する。
【0139】
変調制御部70Bは、検出部47Aの検出結果、すなわちX偏波の信号光の残留変調成分に基づき、波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分の残留変調成分が最小になるように周波数変調する。その結果、第1の変調部35は、復路、すなわち波長変換後のX偏波の信号光及び励起光のX偏波成分から残留変調成分を除去できる。
【0140】
変調制御部70Bは、検出部47Aの検出結果、すなわちY偏波の信号光の残留変調成分に基づき、波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分の残留変調成分が最小になるように周波数変調する。その結果、第2の変調部36は、復路、すなわち波長変換後のY偏波の信号光及び励起光のY偏波成分から残留変調成分を除去できる。
【0141】
図23は、第4のキャンセル処理に関わる波長変換装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図23は、第4のキャンセル処理に関わる波長変換装置20の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図16において波長変換装置20内の検出部47Aは、X偏波の信号光の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS41)。波長変換装置20内の変調制御部70Bは、X偏波の信号光の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS42)。変調制御部70Bは、X偏波の信号光の残留変調成分を検出した場合(ステップS42、Yes)、X偏波の信号光の残留変調成分が最小になるように第1の変調部35を制御する(ステップS43)。
【0142】
検出部47Aは、ステップS43にて第1の変調部35を制御した後、X偏波の信号光の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS41に移行する。検出部47Aは、X偏波の信号光の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS42、No)、Y偏波の信号光の残留変調成分の検出動作を実行する(ステップS44)。変調制御部70Bは、Y偏波の信号光の残留変調成分を検出したか否かを判定する(ステップS45)。変調制御部70Bは、Y偏波の信号光の残留変調成分を検出した場合(ステップS45、Yes)、Y偏波の信号光の残留変調成分が最小になるように第2の変調部36を制御する(ステップS46)。そして、変調制御部70Bは、第2の変調部36を制御した後、Y偏波の信号光の残留変調成分の検出動作を実行すべく、ステップS44に移行する。変調制御部70Bは、励起光のY偏波成分の残留変調成分を検出しなかった場合(ステップS45、No)、
図23に示す処理動作を終了する。
【0143】
実施例8の検出部47Aは、第1の変調部35から出力された波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分を検出する。変調制御部70Bは、検出部47の検出結果に基づき、波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、第1の変調部35を制御する。検出部47Aは、第2の変調部36から出力された波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分を検出する。変調制御部70Bは、検出部47の検出結果に基づき、波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分が最小になるように、第2の変調部36を制御する。その結果、励起光をモニタしなくても、X偏波及びY偏波の信号光の変調成分を除去できる。
【0144】
本実施例の波長変換装置20では、検出部47の検出結果に基づき、波長変換部41で波長変換後の第2の信号光から変調成分を除去する場合を例示した。しかしながら、第1の波長変換装置20A、第2の波長変換装置20B、第3の波長変換装置20C及び第4の波長変換装置20Dでも適用可能である。例えば、第1の波長変換装置20Aでは、検出部47の検出結果に基づき、波長変換部41で波長変換後の第2の多重光から変調成分を除去する。第2の波長変換装置20Bは、検出部47の検出結果に基づき、波長変換部41で波長変換後の第3の多重光から変調成分を除去する。また、第3の波長変換装置20C及び第4の波長変換装置20Dは、検出部47の検出結果に基づき、波長変換部41で波長変換後の第1の多重光から変調成分を除去する。
【0145】
また、本実施例では、例えば、C帯の多重光をL帯の多重光に波長変換する波長変換装置20を例示した。しかしながら、多重光に限定されるものではなく、C帯の信号光をL帯の信号光に波長変換する波長変換装置に適用しても良く、適宜変更可能である。尚、説明の便宜上、C帯を基準にしたが、S帯からL帯へ、L帯からS帯へのS帯とL帯との相互間で波長変換する場合の伝送システムに適用しても良く、適宜変更可能である。
【0146】
上記実施例のWDMシステム1では、波長変換装置20に使用する励起光を光増幅器等の光部品に使用しても良く、適宜変更可能である。
【0147】
波長変換装置20は、多重光と励起光とを非線形ファイバに伝搬させることで多重光任意の波長帯域に変換するが、FM変調(又はPM変調)の励起光を用いても良い。
【0148】
上記実施例では、C帯の光部品を使用し、C帯の多重光をS帯やL帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムを例示した。しかしながら、S帯の光部品を使用し、S帯の多重光をC帯やL帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムや、L帯の光部品を使用し、L帯の多重光をC帯やS帯に波長変換して伝送路3に伝送するシステムにも適用可能である。
【0149】
上記実施例では、C帯、L帯及びS帯を使用する場合を例示したが、C帯、L帯及びS帯に限定されるものではなく、例えば、O帯、E帯やU帯に適用しても良く、適宜変更可能である。
【0150】
波長変換装置20では、単一波長の励起光を用いて波長変換する場合を例示したが、単一波長の励起光に限定されるものではなく、2波長の励起光を用いて波長変換しても良い。
【0151】
波長変換装置20では、縮退型四光波混合方式を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0152】
第1の変調部35及び第2の変調部36は、信号光を周波数変調する場合を例示したが、位相変調でも良く、適宜変更可能である。
【0153】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【実施例9】
【0154】
図24は、実施例9の波長変換装置20の一例を示す説明図である。尚、説明の便宜上、
図24に示す波長変換装置20は、例えば、第1の波長変換装置20Aを例示して説明する。
図24に示す第1の波長変換装置20Aは、信号光入力部31と、励起光源32と、第1のWDMカプラ33とを有する。第1の波長変換装置20Aは、45度回転部38と、第3のPBS39と、90度回転部40Aと、第1の変調部35Bと、第2の変調部36Bと、波長変換部41と、第2のWDMカプラ42と、信号光出力部43と、第1の変調制御部44Bと、第2の変調制御部45Bとを有する。
【0155】
信号光入力部31は、X偏波及びY偏波の信号光を入力する。励起光源32は、単一偏波、例えば、X偏波の励起光を発光する光源である。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31からのX偏波及びY偏波の信号光と、励起光源32からのX偏波の励起光とを合波する。
【0156】
45度回転部38は、一方の方向からの入力光を45度回転すると共に、他方の方向からの入力光を45度回転する。第3のPBS39は、一方の方向からの入力光をX偏波及びY偏波に分離すると共に、他方の方向からのX偏波の入力光とY偏波の入力光とを合波する。第3のPBS39は、他方の方向にXポート41A及びYポート41Bを備え、X偏波の入力光をXポート41Aに入力すると共に、Y偏波の入力光をYポート41Bに入力する。90度回転部40Aは、一方の方向からの入力光を90度回転すると共に、他方の方向からの入力光を90度回転する。第1の変調部35Bは、一方の方向(PBS39側のポート)からの入力光を周波数変調すると共に、他方の方向からの入力光を周波数変調する双方向の位相変調器である。第2の変調部36Bは、一方の方向(PBS39側のポート)からの入力光を周波数変調すると共に、他方の方向からの入力光を周波数変調する。尚、第1の変調部35Bは、他方の方向からの入力光に対して、第2の変調部36Bで一方の方向からの入力光に変調した変調成分が最小になるように周波数変調する。尚、第2の変調部36Bは、他方の方向からの入力光に対して、第1の変調部35Bで一方の方向からの入力光に変調した変調成分が最小になるように周波数変調する。波長変換部41は、一方の方向(Xポート41A)からの入力光内の信号光と励起光とが伝播し、励起光に応じて異なる波長の信号光に波長変換する。波長変換部41は、他方の方向(Yポート41B)からの入力光内の信号光と励起光とが伝播し、励起光に応じて異なる波長の信号光に波長変換する。波長変換部41は、例えば、双方向に光が伝搬する高非線形ファイバ(HNLF(Highly Nonlinear Fiber))等で構成する。第2のWDMカプラ42は、入力光から波長変換後の信号光を信号光出力部43に出力する。第1の変調制御部44Bは、第1の変調部35Bを制御する。第2の変調制御部45Bは、第2の変調部36Bを制御する。
【0157】
第1の変調部35B内にある、PBS39と逆側のポートから出力され、波長変換後の信号光が第2の変調部36B内にある、PBS39と逆側のポートに入力するまでの光路長は、変調後の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離とする。このとき、第2の変調部36B内にある、PBS39と逆側のポートから出力され、波長変換後の信号光が第1の変調部35B内にある、PBS39と逆側のポートに入力するまでの光路長も、変調後の信号光の波長の整数倍から半波長ずれた波長相当の距離となる。
【0158】
図4は、波長変換前の変調後の信号光、変調後の励起光及び波長変換後の変調後の信号光の一例を示す説明図である。波長変換部41は、第1の変調部35Bで周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光が伝播し、周波数変調後の励起光に応じて周波数変調後のX偏波の信号光を異なる波長のX偏波の信号光(出力信号光)に波長変換する。周波数変調に応じて出力信号光の波長も揺れる。また、波長変換部41は、第2の変調部36Bで周波数変調後のY偏波の信号光及び励起光が伝播し、周波数変調後の励起光に応じて周波数変調後のY偏波の信号光を異なる波長のY偏波の信号光(出力信号光)に波長変換する。周波数変調に応じて出力信号光の波長も揺れる。尚、波長変換前に第1の変調部35Bを通ったX偏波の信号光が、波長変換部(高非線形ファイバ)で波長が変換された後、今度は第2の変調部36Bを伝播する。一方、波長変換前に第2の変調部36Bを通ったY偏波の信号光が、波長変換部(高非線形ファイバ)で波長が変換された後、今度は第1の変調部35Bを伝播する。そのため、第1の変調部35Bは、波長変換後のY偏波の信号光に波長変換前の周波数変調と逆相の周波数変調を実行することで、波長変換後のY偏波の信号光から変調成分を除去できる。尚、第2の変調部36Bは、波長変換後のX偏波の信号光に波長変換前の周波数変調と逆相の周波数変調を実行することで、波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去できる。
【0159】
次に実施例9の波長変換装置20の動作について説明する。第1のWDMカプラ33は、信号光入力部31からのX偏波及びY偏波の信号光と、励起光源32からのX偏波の励起光とを合波し、合波後の信号光及び励起光を45度回転部38に出力する。
【0160】
45度回転部38は、合波後のX偏波及びY偏波の信号光とX偏波の励起光とを45度回転する。45度回転部38は、45度回転後の信号光及び励起光を第3のPBS39に出力する。
【0161】
第3のPBS39は、45度回転部38からの45度回転後の信号光及び励起光から、45度回転後のX偏波の信号光のX偏波成分、45度回転後のY偏波の信号光のX偏波成分及び45度回転後のX偏波の励起光のX偏波成分を抽出する。第3のPBS39は、Y偏波成分の信号光及び励起光、すなわち45度回転後のX偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のY偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のX偏波の励起光のX偏波成分とを合成する。そして、第3のPBS39は、合成した第1の波長の信号光のX偏波成分と励起光のX偏波成分をXポート41Aから第1の変調部35Bに出力する。
【0162】
第1の変調部35Bは、X偏波の信号光及び励起光を周波数変調する。その結果、周波数変調によって波長変換後のX偏波の信号光のSBS成分が抑圧される。第1の変調部35Bは、周波数変調後のX偏波の信号光及び励起光を波長変換部41に出力する。
【0163】
波長変換部41は、第1の変調部35Bから入力された、45度回転後のX偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のY偏波の信号光のX偏波成分と、45度回転後のX偏波の励起光のX偏波成分とが同一の向きに伝播する。波長変換部41は、励起光のX偏波成分に応じて第1の波長の信号光のX偏波成分を第2の波長の信号光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分を第2の変調部36Bに入力する。
【0164】
第2の変調部36Bは、波長変換部41から出力された第2の波長のX偏波の信号光内の変調成分が最小になるように周波数変調する。尚、第2の変調部36Bは、波長変換前の第1の波長のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分を波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光から除去する。つまり、第2の変調部36Bは、波長変換前のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分と同量の逆相の変調成分で波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去する。第2の変調部36Bは、変調成分除去後の第2の波長のX偏波の信号光を90度回転部40Aに入力する。
【0165】
90度回転部40Aは、第2の波長の信号光のX偏波成分を90度回転することで第2の波長の信号光のY偏波成分を第3のPBS39内のYポート41Bに入力する。
【0166】
また、第3のPBS39は、45度回転部38からの45度回転後の信号光及び励起光から、45度回転後のX偏波の信号光のY偏波成分、45度回転後のY偏波の信号光のY偏波成分及び45度回転後のX偏波の励起光のY偏波成分を抽出する。第3のPBS39は、Y偏波成分の信号光及び励起光、すなわち45度回転後のX偏波の信号光のY偏波成分と、45度回転後のY偏波の信号光のY偏波成分と、45度回転後のX偏波の励起光のY偏波成分とを合成する。そして、第3のPBS39は、合成した第1の波長の信号光のY偏波成分と励起光のY偏波成分をYポート41Bから90度回転部40Aに出力する。
【0167】
90度回転部40Aは、第3のPBS39内のYポート41Bからの第1の波長の信号光のY偏波成分及び励起光のY偏波成分を90度回転することで、第1の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を第2の変調部36Bに入力する。
【0168】
第2の変調部36Bは、X偏波の信号光を周波数変調する。その結果、周波数変調によって波長変換後のX偏波の信号光のSBS成分が抑圧される。第2の変調部36Bは、周波数変調後のX偏波の信号光を波長変換部41に出力する。
【0169】
波長変換部41は、第2の変調部36Bから入力された、第1の波長の信号光のX偏波成分及び励起光のX偏波成分を合波して励起光のX偏波成分に応じて第2の波長の信号光のX偏波成分に波長変換する。波長変換部41は、波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分を第1の変調部35Bに入力する。
【0170】
第1の変調部35Bは、波長変換部41から出力された第2の波長のX偏波の信号光内の変調成分が最小になるように周波数変調する。尚、第1の変調部35Bは、波長変換前の第1の波長のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分を波長変換後の第2の波長のX偏波の信号光から除去する。つまり、第1の変調部35Bは、波長変換前のX偏波の信号光に周波数変調した変調成分と同量の逆相の変調成分で波長変換後のX偏波の信号光から変調成分を除去する。第1の変調部35Bは、変調成分除去後の第2の波長のX偏波の信号光を第3のPBS39内のXポート41Aに入力する。
【0171】
第3のPBS39は、Yポート41Bからの波長変換後の第2の波長の信号光のY偏波成分と、Xポート41Aからの波長変換後の第2の波長の信号光のX偏波成分とを合波する。第3のPBS39は、合波後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を45度回転部38に入力する。45度回転部38は、第3のPBS39から合波後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を45度回転する。45度回転部38は、45度回転後の第2の波長の信号光のX偏波成分及びY偏波成分を第2のWDMカプラ42に入力する。第2のWDMカプラ42は、45度回転後の第2の波長のX偏波の信号光及び第2の波長のY偏波の信号光を含む偏波多重信号光を信号光出力部43に出力する。
【0172】
実施例9の第1の変調部35Bは、波長変換前のX偏波の信号光を変調して変調後のX偏波の信号光を波長変換部41に出力すると共に、第2の変調部36Bで変調された波長変換後のY偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力する。第2の変調部36Bは、波長変換前のY偏波の信号光を変調して変調後のY偏波の信号光を波長変換部41に出力すると共に、第1の変調部35Bで変調された波長変換後のX偏波の信号光内の変調成分を最小にして出力する。つまり、X偏波及びY偏波の信号光(偏波多重信号光)からSBS成分を抑圧すると共に、X偏波及びY偏波の信号光(偏波多重信号光)から変調成分を除去する。その結果、波長変換後の偏波多重信号光の信号特性の劣化を抑制できる。しかも、従来に比較して変調部及びドライバの数を減らすことで構成を簡易化しながら、ドライバの消費電力を低減できることは実施例1と同様であるとともに、少数のPBSで構成できるため実施例1よりも構成を簡易化できる。
【符号の説明】
【0173】
20 波長変換装置
31 信号光入力部
32 励起光源
34 第1のPBS
35,35B 第1の変調部
36,36B 第2の変調部
41 波長変換部
43 信号光出力部
44,44A、44B 第1の変調制御部
45,45A、45B 第2の変調制御部
47 検出部
70,70A 変調制御部
75A 第1の周波数調整部
75B 第2の周波数調整部
91 第1の光路調整部
92 第2の光路調整部