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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230301BHJP
   B60Q 1/50 20060101ALI20230301BHJP
   G09F 21/04 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60Q1/50 Z
G09F21/04 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019223013
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092440
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】竹村 憲治
【審査官】稲垣 彰彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138243(JP,A)
【文献】特開2016-65938(JP,A)
【文献】特開2014-174493(JP,A)
【文献】特開2003-223130(JP,A)
【文献】国際公開第2013/057811(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0259058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00- 1/56
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09F 19/00-27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
提供用車両を用い、移動しつつ前記提供用車両の外部に向けて情報の提供を行う情報提供装置であって、
前記提供用車両に設けられて前記提供用車両の側面に位置し、発光することにより、予め設定された視野範囲に前記情報を表示可能な表示部と、
前記提供用車両から前記視野範囲よりも広い検出領域を設定し、前記検出領域内に位置する車両である周辺車両を検出する検出部と、
前記周辺車両が前記視野範囲内に進入する可能性である進入可能性を演算するとともに、前記進入可能性が予め設定された閾値を超えるか否かを判断する第1判断部と、
前記周辺車両が前記視野範囲内に存在しているか否かを判断する第2判断部と、
前記表示部の作動制御を行う制御部とを備え、
前記表示部は、主表示態様と、前記主表示態様よりも前記周辺車両の走行に与える影響が小さい副表示態様とによって、前記情報を表示可能であり、
前記制御部は、前記主表示態様による前記情報の表示が行われている間において、前記進入可能性が前記閾値を超えると前記第1判断部が判断した場合、又は、前記視野範囲内に前記周辺車両が存在していると前記第2判断部が判断した場合には、前記主表示態様から前記副表示態様への切替え又は前記表示部の作動の停止を行うことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記副表示態様は、前記提供用車両が走行する走行エリアに適用される規制を満たすように、前記主表示態様よりも光度を弱くした第1要件及び前記主表示態様とは発光する色を異ならせた第2要件の少なくとも一方を満たしている請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記提供用車両が走行する走行エリアが記録されるとともに、前記走行エリアおける前記主表示態様による前記情報の表示を許可する許可領域と、前記主表示態様及び前記副表示態様による前記情報の表示を禁止する禁止領域とが記録された地図データを記憶する記憶部と、
前記走行エリアにおける前記提供用車両の現在位置を抽出する抽出部と、
前記地図データと前記現在位置とに基づき、前記提供用車両が前記禁止領域内に位置しているか否かを判断する第3判断部とを備え、
前記制御部は、前記禁止領域内に前記提供用車両が位置していると前記第3判断部が判断した場合には、前記表示部の作動の停止を行う請求項1又は2記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の情報提供装置が開示されている。この情報提供装置は、情報表示物と、検出部と、表示部と、制御部とを備えている。情報表示物は、例えば看板等によって構成されており、車両が走行する車道等に設置されている。情報表示物には、所定の情報が表示されている。検出部は、情報表示物の周辺に位置する車両を検出する。表示部は、具体的には液晶ディスプレイであり、車両の車室内に設けられている。制御部は、表示部の作動制御を行う。
【0003】
この情報提供装置では、検出部が検出した車両が情報表示物の近傍を通過することにより、制御部が表示部の作動制御を行う。具体的には、制御部は、表示部に対して情報表示物に表示された情報に関連する関連情報を表示させる。こうして、この情報提供装置では、情報表示物を通じて車両の乗員に情報を提供することに加えて、表示部を通じて車両の乗員に関連情報を提供することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-36048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年では、車両を提供用車両として用い、この提供用車両に設けられた表示部によって、移動しつつ提供用車両の外部に向けて情報の提供を行うことも行われている。ここで、表示部が発光によって情報を提供用車両の外部に表示する構成である場合、交通の安全を確保する等の目的から、表示部における情報の表示については、提供用車両から所定の範囲内を走行する周辺車両に与える影響を可及的に小さくすることが必要となる。しかし、周辺車両の走行に与える影響を小さくした表示では、情報が目立ち難くなったり、情報の内容が把握し難くなったりするなど、表示部に効果的に情報を表示し得えないことから、情報の提供を十分に行ない難い。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、周辺車両の走行に与える影響を小さくしつつ、情報の提供を十分に行なうことが可能な情報提供装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報提供装置は、提供用車両を用い、移動しつつ前記提供用車両の外部に向けて情報の提供を行う情報提供装置であって、
前記提供用車両に設けられて前記提供用車両の側面に位置し、発光することにより、予め設定された視野範囲に前記情報を表示可能な表示部と、
前記提供用車両から前記視野範囲よりも広い検出領域を設定し、前記検出領域内に位置する車両である周辺車両を検出する検出部と、
前記周辺車両が前記視野範囲内に進入する可能性である進入可能性を演算するとともに、前記進入可能性が予め設定された閾値を超えるか否かを判断する第1判断部と、
前記周辺車両が前記視野範囲内に存在しているか否かを判断する第2判断部と、
前記表示部の作動制御を行う制御部とを備え、
前記表示部は、主表示態様と、前記主表示態様よりも前記周辺車両の走行に与える影響が小さい副表示態様とによって、前記情報を表示可能であり、
前記制御部は、前記主表示態様による前記情報の表示が行われている間において、前記進入可能性が前記閾値を超えると前記第1判断部が判断した場合、又は、前記視野範囲内に前記周辺車両が存在していると前記第2判断部が判断した場合には、前記主表示態様から前記副表示態様への切替え又は前記表示部の作動の停止を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の情報提供装置では、表示部が主表示態様と副表示態様とによって、情報を表示可能である。ここで、副表示態様は、主表示態様よりも周辺車両の走行に与える影響が小さい。そして、この情報提供装置では、主表示態様による情報の表示が行われている間において、周辺車両が視野範囲内に進入する進入可能性が閾値を超えている場合、又は、表示部の視野範囲内に現に周辺車両が存在している場合には、制御部が主表示態様から副表示態様への切替えを行う。これにより、この情報提供装置では、発光によって情報を表示部に表示させつつも、周辺車両の走行に与える影響を小さくできる。
【0009】
また、この情報提供装置では、主表示態様による情報の表示が行われている間において、表示部の視野範囲内に周辺車両が存在している場合、又は、周辺車両が視野範囲内に進入する可能性が高い場合に、制御部が表示部の作動の停止を行うこともできる。このため、この場合には、表示部が発光しなくなり、表示部は情報を表示しなくなる。
【0010】
これらに対し、この情報提供装置では、表示部の視野範囲内に周辺車両が存在せず、又、進入可能性も閾値未満である場合には、主表示態様による情報の表示が行われる。このため、この情報提供装置では、表示部に情報を効果的に表示することができる。
【0011】
したがって、本発明の情報提供装置によれば、周辺車両の走行に与える影響を小さくしつつ、情報の提供を十分に行なうことができる。
【0012】
特に、この情報提供装置では、主表示態様から副表示態様への切替えや、作動の停止といった表示部の作動制御を制御部が行う。このため、この情報提供装置では、提供用車両を運転する運転者等が表示部の操作を行う必要がないため、利便性にも優れている。また、この情報提供装置では、表示部の操作を行う人間が不要となるため、運転手の運転に依らずに自立制御によって自動走行する提供用車両を用いる場合に、より優れた効果を発揮できる。
【0013】
副表示態様は、提供用車両が走行する走行エリアに適用される規制を満たすように、主表示態様よりも光度を弱くした第1要件及び主表示態様とは発光する色を異ならせた第2要件の少なくとも一方を満たしていることが好ましい。この場合には、周辺車両を走行させるに当たって、周辺車両の運転手等は、表示部に表示された情報を提供用車両の尾灯等と誤認し難くなるため、周辺車両の走行に与える影響を好適に小さくすることができる。また、交通の安全のために課される保安基準等に副表示態様を適合させ易くなる。
【0014】
また、本発明の情報提供装置は、提供用車両が走行する走行エリアが記録されるとともに、走行エリアおける主表示態様による情報の表示を許可する許可領域と、主表示態様及び副表示態様による情報の表示を禁止する禁止領域とが記録された地図データを記憶する記憶部と、提供用車両が走行する走行エリアが記録された地図データを記憶する記憶部と、地図データと現在位置とに基づき、提供用車両が禁止領域内に位置しているか否かを判断する第3判断部とを備え得る。そして、制御部は、禁止領域内に提供用車両が位置していると第3判断部が判断した場合には、表示部の作動の停止を行うことが好ましい。
【0015】
景観保護や住民の安寧等の観点から、提供用車両が走行する走行エリアの一部に対し、主表示態様及び副表示態様のいずれにおいても情報の表示を禁止する禁止領域が設定され得る。また、提供用車両や周辺車両を含む車両の走行の安全を確保する観点から、例えば高速道路等についても規制や規則によって禁止領域に設定され得る。これらのような場合であっても、この情報提供装置では、提供用車両が禁止領域内に位置している際に、表示部の作動を停止させて情報の表示を停止することができる。一方、走行エリアにおける許可領域では、主表示態様による情報の表示が行われるため、この情報提供装置では、表示部が情報を効果的に表示することができる。
【0016】
また、このような許可領域及び禁止領域に基づいた表示部の作動の停止や主表示態様による情報の表示についても制御部が行う。このため、この情報提供装置では、利便性をより高くすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の情報提供装置によれば、周辺車両の走行に与える影響を小さくしつつ、情報の提供を十分に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例の情報提供装置が設けられた提供用車両を示す側面図である。
図2図2は、実施例の情報提供装置が設けられた提供用車両を示す上面図である。
図3図3は、実施例の情報提供装置を示すブロック図である。
図4図4は、実施例の情報提供装置に係り、主表示態様による情報の表示と、副表示態様による情報の表示とを示す模式図である。図4の(A)は、主表示態様による情報の表示を示している。図4の(B)は、第1副表示態様による情報の表示を示している。図4の(C)は、第2副表示態様による情報の表示を示している。
図5図5は、実施例の情報提供装置に係り、走行エリア及び走行エリアの地図データを示す模式図である。
図6図6は、実施例の情報提供装置における制御フローを示すフロー図である。
図7図7は、実施例の情報提供装置における制御フローを示すフロー図である。
図8図8は、実施例の情報提供装置に係り、図5の第1経由地点における提供用車両等を示す拡大模式図である。
図9図9は、実施例の情報提供装置に係り、図5の第2経由地点における提供用車両等を示す拡大模式図である。
図10図10は、実施例の情報提供装置に係り、図5の第3経由地点における提供用車両等を示す拡大模式図である。
図11図11は、実施例の情報提供装置に係り、図5の第3経由地点における提供用車両等を示す拡大模式図である。
図12図12は、実施例の情報提供装置に係り、図5の第4経由地点における提供用車両等を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1図3に示すように、実施例の情報提供装置は、ディスプレイ1と、第1、2スピーカ3a、3bと、第1~第10カメラ装置5a~5jと、装置本体7とを備えている。ディスプレイ1は、本発明における「表示部」の一例である。また、第1~第10カメラ装置5a~5jは、本発明における「検出部」の一例である。
【0021】
実施例の情報提供装置、すなわち、ディスプレイ1、第1、2スピーカ3a、3b、第1~第10カメラ装置5a~5j及び装置本体7は、図1及び図2に示す提供用車両10に設けられている。ここで提供用車両10とは、実施例の情報提供装置を用いて情報100(図4参照)の提供を行うための車両である。具体的には、提供用車両10としてトラックが採用されている。また、情報提供装置によって提供される情報100には、宣伝広告の他、交通案内や中継映像等が含まれる。
【0022】
本実施例では、図1及び図2に示す実線矢印によって、提供用車両10の前後方向及び左右方向を規定している。また、図5では、実線矢印によって、走行エリア11における東西南北の各方向を規定している。そして、図8以降では、図5に対応して、東西南北の各方向を規定している。なお、これらの各方向は説明の便宜上のための一例である。
【0023】
図1及び図2に示すように、提供用車両10は、前方側に位置するキャブ10aと、キャブ10aの後方に位置する荷物室10bとを有している。キャブ10a内には、車両制御装置9が設けられている。車両制御装置9は、提供用車両10の進行方向や移動速度等の走行データを管理しつつ、図5及び図8図11に示す走行エリア11内で提供用車両10を自律制御によって走行させる。これにより、提供用車両10には、運転手の他、ディスプレイ1等の操作を行う操作者が存在していない。なお、走行エリア11については後述する。
【0024】
ディスプレイ1は、具体的には液晶ディスプレイであり、略矩形状に形成されている。ディスプレイ1は、荷物室10bに設けられている。ここで、ディスプレイ1は、荷物室10bの左側面、すなわち、提供用車両10の左側面のみに設けられている。ディスプレイ1は、発光することにより、動画や静止画を通じて、情報100を表示可能となっている。ここで、ディスプレイ1は、図4の(A)に示す主表示態様V1と、図4の(B)及び(C)に示す副表示態様V2とによって、情報100を表示可能となっている。また、副表示態様V2は、図4の(B)に示す第1副表示態様V21と、図4の(C)に示す第2副表示態様V22とを有している。つまり、ディスプレイ1は、主表示態様V1、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22の3つの表示態様によって、情報100を表示可能となっている。また、図2に示すように、ディスプレイ1には、視野範囲E1が予め設定されている。視野範囲E1は、ディスプレイ1から外部に向かって、所定角度で略扇型に広がっている。つまり、ディスプレイ1は、視野範囲E1において、主表示態様V1、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22により情報100を表示することが可能となっている。
【0025】
図4の(A)に示す主表示態様V1は、ディスプレイ1が情報100を表示する際の基本形態となる表示態様である。このため、主表示態様V1では、ディスプレイ1において最も効果的に情報100を表示できるように、光度や発光する色が設定されている。図4の(B)に示す第1副表示態様V21は、主表示態様V1と表示される情報100の内容及び発光する色は同一であるものの、主表示態様V1に比べて、発光する際の光度が弱く設定されている。
【0026】
図4の(C)に示す第2副表示態様V22は、主表示態様V1と表示される情報100の内容は同一であるものの、主表示態様V1に比べて、発光する際の光度が弱く設定されているとともに、発光する色が異なっている。ここで、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22における光度や発光する色は、交通の安全のために課される保安基準や、走行エリア11に適用される条例等の規制を満たすように設定されている。これにより、第1副表示態様V21は本発明における第1要件を満たしており、第2副表示態様V22は、本発明における第1要件及び第2要件の両方を満たしている。なお、第2副表示態様V22について、本発明における第2要件のみを満たすように設定しても良い。
【0027】
図1及び図2に示す第1スピーカ3a及び第2スピーカ3bは公用品である。第1、2スピーカ3a、3bは、それぞれ荷物室10bの左側面のみに設けられている。具体的には、第1スピーカ3aは、荷物室10bの左側面においてディスプレイ1の前方側に配置されている。そして、第2スピーカ3bは、荷物室10bの左側面においてディスプレイ1の後方側に配置されている。第1、2スピーカ3a、3bは、情報100の音声を再生する。なお、第1スピーカ3a及び第2スピーカ3bを省略しても良い。
【0028】
第1~第10カメラ装置5a~5jは、いずれも同一の構成であり、動画を撮影可能となっている。図2に示すように、第1~第10カメラ装置5a~5jのうち、第1カメラ装置5a及び第2カメラ装置5bは、提供用車両10のキャブ10aに設けられている。そして、第3~第10カメラ装置5c~5jは、提供用車両10の荷物室10bに設けられている。より具体的には、第1カメラ装置5aは、キャブ10aの左上方に設けられており、提供用車両10の左前方の一定範囲を撮影可能となっている。第2カメラ装置5bは、キャブ10aの右上方に設けられており、提供用車両10の右前方の一定範囲を撮影可能となっている。第3~第5カメラ装置5c~5eは、荷物室10bの左側面に設けられており、提供用車両10の左側面の一定範囲を撮影可能となっている。第6~第8カメラ装置5f~5hは、荷物室10bの右側面に設けられており、提供用車両10の右側面の一定範囲を撮影可能となっている。第9カメラ装置5iは、荷物室10bの左後方に設けられており、提供用車両10の左後方の一定範囲を撮影可能となっている。そして、第10カメラ装置5jは、荷物室10bの右後方に設けられており、提供用車両10の右後方の一定範囲を撮影可能となっている。
【0029】
第1~第10カメラ装置5a~5jは、それぞれ図示しない画像処理部を有している。画像処理部は、第1~第10カメラ装置5a~5jが撮影する範囲を組み合わせることにより、提供用車両10から所定範囲に検出領域α1を設定する。ここで、この所定範囲は、ディスプレイ1の視野範囲E1よりも広い範囲となっている。つまり、検出領域α1は視野範囲E1よりも広い範囲で設定されている。そして、画像処理部は、第1~第10カメラ装置5a~5jが撮影した画像と、検出領域α1とを参照することにより、提供用車両10から所定範囲内、すなわち検出領域α1内に位置する提供用車両10以外の車両を周辺車両20(図8等参照)として検出する。なお、図8等で示す周辺車両20の形状や構成は一例であり、周辺車両20には、二輪車等の車両も含まれる。また、視野範囲E1よりも広ければ、検出領域α1の大きさは適宜設定可能である。また、第1~第10カメラ装置5a~5jの個数についても適宜変更可能である。さらに、第1~第10カメラ装置5a~5jは、一定期間に繰り返し撮影して得られた静止画を基に、検出領域α1内に位置する周辺車両20を検出しても良い。
【0030】
図5及び図8図12に示す走行エリア11には、提供用車両10や周辺車両20が走行する車道11aと、歩行者(図示略)が通行する歩道11bと、複数の建物11cとが存在している。車道11aには、交差点C1や中央分離帯C2が含まれている。建物11cには、ビル等の施設の他、住宅等が含まれている。また、走行エリア11には、許可領域110と、禁止領域111とが設定されている。本実施例では、禁止領域111は、図5において一点鎖線によって囲われた箇所であり、他の個所は全て許可領域110とされている。
【0031】
許可領域110では、主表示態様V1による情報100の表示が許可されているとともに、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生が許可されている。一方、禁止領域111では、主表示態様V1及び副表示態様V2による情報100の表示が禁止されている。つまり、禁止領域111では、主表示態様V1、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22のいずれによっても、情報100を表示することが禁止されている。また、禁止領域111では、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生、すなわち、音声による情報100の提供も禁止されている。ここで、走行エリア11における許可領域110及び禁止領域111の位置や範囲は常に一定である場合に限られず、例えば提供用車両10が走行エリア11を走行する時間帯や曜日等の条件によって変化し得る。
【0032】
図1及び図2に示すように、装置本体7は、荷物室10b内に配置されている。図4に示すように、装置本体7は、ディスプレイ1、第1~第10カメラ装置5a~5j及び車両制御装置9と接続されている。装置本体7は、通信装置71と、ROM73と、RAM75と、GPS装置77と、CPU79とを有している。RAM75は、本発明における「記憶部」の一例である。また、GPS装置77は、本発明における「抽出部」の一例である。
【0033】
通信装置71は、ディスプレイ1、第1~第10カメラ装置5a~5j及び車両制御装置9と、装置本体7とを通信可能に接続している他、装置本体7と外部サーバ(図示略)とを通信可能に接続している。これにより、外部サーバを通じて操作者が装置本体7、ひいては情報提供装置を遠隔操作することが可能となっている。ROM73には、装置本体7を制御するための制御プログラム、すなわち、情報提供装置によって情報100の提供を行うための制御プログラムが記憶されている。
【0034】
RAM75には、ディスプレイ1に表示させる情報100が記憶されている。つまり、RAM75には、主表示態様V1と、第1副表示態様V21と、第2副表示態様V22との3種類の表示態様が記憶されている。また、RAM75には、第1、2スピーカ3a、3bが再生する音声が記憶されている。
【0035】
さらに、RAM75には、図5に示す地図データ50が記憶されている。ここで、RAM75に記憶されたこれらの情報100や地図データ50の内容は、装置本体7と通信する外部サーバを通じて適宜変更可能となっている。また、RAM75に記憶された地図データ50は、車両制御装置9が提供用車両10を自律走行させる際にも用いられる。
【0036】
地図データ50には、提供用車両10が走行する走行エリア11が記録されている。つまり、地図データ50には、走行エリア11に存在する車道11a、歩道11b及び各建物11cが記録されているとともに、走行エリア11に設定された許可領域110及び禁止領域111が記録されている。ここで、上記のように、走行エリア11における許可領域110及び禁止領域111の位置や範囲は変化し得るため、地図データ50に記録された許可領域110及び禁止領域111位置や範囲についても、走行エリア11における許可領域110及び禁止領域111に応じて変化するようになっている。
【0037】
図4に示すGPS装置77は公用品である。GPS装置77は、走行エリア11における提供用車両10の現在位置を座標データとして抽出する。
【0038】
CPU79は、ディスプレイ1における視野範囲E1に基づき、第1~第10カメラ装置5a~5jが検出した周辺車両20、つまり、検出領域α1内に存在する周辺車両20が視野範囲E1内に現に存在しているか否かを判断する。また、CPU79は、第1~第10カメラ装置5a~5jが検出した周辺車両20が視野範囲E1内に存在していないものの、将来、その周辺車両20が視野範囲E1内に進入する可能性である進入可能性を演算する。進入可能性の演算するに当たっては、例えばCPU79は、提供用車両10と周辺車両20との位置関係や距離を把握しつつ、車両制御装置9が管理する提供用車両10の走行データ、すなわち、提供用車両10の進行方向や移動速度等と、第1~第10カメラ装置5a~5jが撮影した動画から得られる周辺車両20の進行方向や移動速度等とを比較して行うことが挙げられる。
【0039】
さらに、CPU79は、演算によって得られた進入可能性が予め設定された閾値を超えるか否かを判断する。ここで、CPU79は、進入可能性が閾値を超える場合には、視野範囲E1外の周辺車両20が視野範囲E1内に進入してくる状態にあると判断する。一方、CPU79は、進入可能性が閾値未満である場合には、周辺車両20が視野範囲E1内に進入してこない状態にあると判断する。
【0040】
また、CPU79は、RAM75に記憶された地図データ50と、GPS装置77が抽出した提供用車両10の現在位置とに基づき、提供用車両10が走行エリア11において、禁止領域111内に位置しているか否かを判断する。
【0041】
また、CPU79は、ディスプレイ1の作動制御を行う。これにより、CPU79は、ディスプレイ1を作動、すなわちディスプレイ1を発光させて、主表示態様V1、第1副表示態様V21又は第2副表示態様V22によって、ディスプレイ1に情報100を表示させる場合と、ディスプレイ1の作動を停止させて発光を停止することにより、ディスプレイ1に情報100を表示させない場合とを切替える。こうして、CPU79は、本発明における「第1判断部」、「第2判断部」、「第3判断部」及び「制御部」として機能する。さらに、CPU79は、第1、2スピーカ3a、3bの作動制御を行う。これにより、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生を行う場合と、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生を停止する場合とを切替える。
【0042】
以上のように構成された情報提供装置では、走行エリア11を走行する提供用車両10に伴って走行エリア11を移動しつつ、ディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bを通じて、提供用車両10の外部に向けて情報100の提供を行う。ここで、提供用車両10の外部とは、主に走行エリア11内の歩道11bを通行する通行人を指す。以下、図5に示す出発地点X1から目的地点X2まで提供用車両10が走行する場合を例に挙げつつ、情報提供装置の作用を具体的に説明する。
【0043】
まず始めに、提供用車両10を自律走行させたり、運搬車両によって提供用車両10を運搬したりすることにより、提供用車両10を出発地点X1に位置させる。そして、RAM75に記憶された地図データ50の読込みを行う(図6のステップS1)。この際、必要に応じて、外部サーバに記録されている地図データ50の新たな取得も行う。
【0044】
また、第1~第10カメラ装置5a~5jの作動を開始するとともに、GPS装置77の作動を開始する(ステップS2)。これにより、第1~第10カメラ装置5a~5jは、検出領域α1を設定しつつ、周辺車両20の検出を開始する。また、GPS装置77は、提供用車両10の現在位置を抽出する。そして、車両制御装置9は、図5に示す出発地点X1から目的地点X2まで提供用車両10を走行させる道順を決定する。本実施例では、出発地点X1から、第1~第4経由地点P1~P4を経て交差点C1を左折し、目的地点X2に向かう道順が決定された。そして、この道順に沿って、車両制御装置9は提供用車両10の走行を開始させる(図6のステップS3)。これにより、提供用車両10は、出発地点X1から第1経由地点P1に向かって自律走行し始める。
【0045】
また、提供用車両10の走行開始に合わせて、CPU79は、ディスプレイ1の作動制御を行い、ディスプレイ1を作動させる(ステップS4)。さらに、CPU79は、現在、提供用車両10が禁止領域111内に位置していないかどうか、すなわち、提供用車両10が許可領域110内に位置しているか否かを判断する(ステップS5)。ここで、図5及び図8に示すように、出発地点X1や第1経由地点P1は、許可領域110内に存在している。このため、提供用車両10が第1経由地点P1を含め、第1経由地点P1の近辺を走行している間は、CPU79は、提供用車両10が禁止領域111内に位置しておらず、許可領域110内に位置していると判断する(図6のステップS5:YES)。これにより、CPU79は、図4の(A)に示す主表示態様V1によって、ディスプレイ1に情報100を表示させる(ステップS6)。また、CPU79は、第1、2スピーカ3a、3bを作動させて音声を再生する。
【0046】
これにより、ディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bを通じて、提供用車両10の左側面から情報100が提供される。そして、この状態で、車両制御装置9は、提供用車両10を第1経由地点P1から第2経由地点P2に向けて走行させる。ここで、図8に示すように、歩道11bを通行する歩行者に情報100を好適に提供するため、車両制御装置9は、車道11aの走行車線のうちの最も歩道11bに近い側、つまり、走行車線の最も左側を走行するように提供用車両10を制御する。
【0047】
また、このように情報100を提供しつつ提供用車両10を走行させている間に、第1~第10カメラ装置5a~5jが検出領域α1(図2参照)内に存在する周辺車両20を検出すれば、装置本体7のCPU79は、検出された周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性を演算する。ここで、図8に示されるように、例えば、提供用車両10よりも前方を走行する周辺車両20の速度が提供用車両10よりも速い場合の他、提供用車両10の右前方のように、ディスプレイ1が存在しない側を周辺車両20が走行している場合には、CPU79は、周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性が閾値未満であると判断する(図7のステップS7:YES)。つまり、CPU79は、図8に示す位置を走行している周辺車両20は、提供用車両10がこのまま走行していても、視野範囲E1内に進入してこない状態にあると判断する。このため、CPU79は、引き続き主表示態様V1による情報100をディスプレイ1に表示させる。なお、図示を省略するものの、中央分離帯C2よりも右側を走行する周辺車両20が存在していても、CPU79は、このような周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性は閾値未満であると判断する。
【0048】
また、CPU79は、GPS装置77が抽出した提供用車両10の現在位置に基づき、目的地点X2に到着したか否かを判断する(ステップS8)。ここで、図8に示すように、提供用車両10が第1経由地点P1から第2経由地点P2に向けて走行している状態では、CPU79は、目的地点X2に到着していないと判断する(図7のステップS8:NO)。これにより、CPU79が目的地点X2に到着したと判断するまで、図6のステップS5以降の処理が繰り返し行われる。
【0049】
こうして、情報100の提供を行いつつ、引き続き提供用車両10を走行させることにより、図9に示すように、提供用車両10が第2経由地点P2に到達する。ここで、第2経由地点P2は、禁止領域111内に存在している。このため、CPU79は、提供用車両10が禁止領域111内に位置している、すなわち、提供用車両10が許可領域110内に位置していないと判断する(図6のステップS5:NO)。このため、CPU79は、ディスプレイ1の作動を停止させるとともに、第1、2スピーカ3a、3bの作動を停止させる(ステップS9)。これにより、ディスプレイ1の発光が停止することでディスプレイ1には情報100が表示されなくなる。また、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生も停止する。
【0050】
また、ステップS9において、ディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bの作動を停止させた後、CPU79は、地図データ50と、提供用車両10の現在位置とに基づき、提供用車両10が禁止領域111内を脱したか否かを判断する(ステップS10)。ここで、提供用車両10が禁止領域111内を脱していないと判断した場合(ステップS10:NO)には、CPU79は、引き続きディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bの作動を停止させる。こうして、第2経由地点P2を含め、提供用車両10が禁止領域111内を走行している間は、情報100の提供が行われなくなる。なお、禁止領域111において、音声による情報100の提供が許可されている場合には、CPU79は、第1、2スピーカ3a、3bを引き続き作動させる。これにより、提供用車両10が禁止領域111内を走行している間は、第1、2スピーカ3a、3bを通じた音声による情報100の提供のみが行われる。
【0051】
一方、提供用車両10が禁止領域111内を脱したと判断した場合(ステップS10:YES)には、CPU79は、ディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bの作動を開始する(ステップS11)。そして、CPU79は、主表示態様V1によって、ディスプレイ1に情報100を表示させる(ステップS6)。こうして、ディスプレイ1及び第1、2スピーカ3a、3bによる情報100の提供が再開されつつ、提供用車両10は、第3経由地点P3に向かって走行する。
【0052】
図10に示すように、提供用車両10が第3経由地点P3に到達することにより、車両制御装置9は、交差点C1での左折に備えて、提供用車両10の進路を走行車線の右側に変更する。ここで、同図に示すように、提供用車両10の左後方に周辺車両20が位置しており、この周辺車両20が提供用車両10よりも速い速度で走行している場合には、CPU79は、周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性が閾値を超えていると判断する(図7のステップS7:NO)。
【0053】
このため、図10に示すように、CPU79は、ディスプレイ1の制御を行い、主表示態様V1から副表示態様V2に切替えて情報100の表示を行う(図7のステップS12)。ここで、副表示態様V2によって情報100の表示を行うに当たり、図4の(B)に示す第1副表示態様V21と、図4の(C)に示す第2副表示態様V22のいずれを選択するかについては、例えば、提供用車両10が走行する時間帯や天候等の条件によって決定され得る他、提供用車両10が走行する車道の混雑具合等の条件によって決定され得る。
【0054】
また、副表示態様V2による情報100の表示が行われた後、CPU79は、周辺車両20が現に視野範囲E1内に存在しているか否かを判断する(図7のステップS13)。ここで、例えば、副表示態様V2による情報100の表示が行われている間に周辺車両20が提供用車両10に実際に追い付いた場合や、周辺車両20が提供用車両10を追い越している最中にある場合には、CPU79は、周辺車両20が視野範囲E1内に現に存在していると判断する(ステップS13:YES)。
【0055】
これにより、CPU79は、ディスプレイ1の作動を停止させる(ステップ14)。このため、図11に示すように、周辺車両20が視野範囲E1内に存在している間は、ディスプレイ1には情報100が表示されなくなる。この結果、周辺車両20が視野範囲E1内に存在している間は、第1、2スピーカ3a、3bを通じた音声による情報100の提供のみが行われることになる。
【0056】
そして、CPU79は、このようにディスプレイ1の作動を停止させた後にも、周辺車両20が視野範囲E1内から脱したか否かを判断する(図7のステップS15)。ここで、例えば周辺車両20が提供用車両10を完全に追い越している場合には、周辺車両20が視野範囲E1内に存在しない状態となる。このため、このような場合には、CPU79は、周辺車両20が視野範囲E1内から脱したと判断する(ステップS15:YES)。このため、CPU79は、ディスプレイ1再び作動させる(ステップS16)。そして、CPU79は、主表示態様V1によって、ディスプレイ1に情報100を表示させる(ステップS17)。こうして、このような状態で、提供用車両10は、第4経由地点P4に向かって走行する。
【0057】
一方、周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性が閾値を超えているとCPU79が判断し、副表示態様V2による情報100の表示が行われても、その後に周辺車両20が減速したり停止したりすれば、周辺車両20が視野範囲E1、ひいては提供用車両10から遠ざかることになる。このような場合には、CPU79は、周辺車両20が視野範囲E1内に存在していないと判断する(ステップS13:NO)。これにより、CPU79は、ディスプレイ1の作動の停止は行わず、副表示態様V2から主表示態様V1に切替えて情報100の表示を行う(ステップS17)。
【0058】
図12に示すように、第4経由地点P4に到達した提供用車両10は、交差点C1の信号が赤信号であるため停車する。この際、提供用車両10の左側に周辺車両20が既に停車している場合、その周辺車両20に対して、提供用車両10は相対的に近づくことになる。このため、このような場合にも、CPU79は、周辺車両20における視野範囲E1内への進入可能性が閾値を超えると判断する(図7のステップS7:NO)。このため、ディスプレイ1では、副表示態様V2による情報100の表示が行われる(ステップS12)。
【0059】
そして、提供用車両10と周辺車両20とが並列の状態で共に赤信号によって停止する場合にも、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1内に現に存在する状態となる。このため、CPU79は、周辺車両20が視野範囲E1内に存在していると判断する(ステップS13:NO)。これにより、この場合にも、CPU79は、ディスプレイ1の作動を停止させることになる(ステップS14)。ここで、交差点C1の近辺や交差点C1内では、交差点C1内に進入した周辺車両20の他、交差点C1に接続する他の車道11aを走行する周辺車両20によっても、上記のようなディスプレイ1における主表示態様V1から副表示態様V2への切替えやディスプレイ1の作動の停止が行われ得ることになる。
【0060】
そして、赤信号から青信号に切り替わり、提供用車両10と周辺車両20とがそれぞれ走行を再開することで、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1から脱した(ステップS15:YES)、CPU79は、ディスプレイ1を再び作動させ(ステップS16)、主表示態様V1による情報100の表示を行う(ステップS17)。こうして、提供用車両10が図5に示す目的地点X2に到着すれば(図7のステップS8:YES)、情報提供装置による情報100の提供が終了する。
【0061】
このように、実施例の情報提供装置では、ディスプレイ1が主表示態様V1と副表示態様V2とによって、情報100を表示可能となっている。また、副表示態様V2は、第1副表示態様V21と第2副表示態様V22とを有している。そして、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22では、交通の安全のために課される保安基準等の規制を満たすように光度や発光する色が設定されている。このため、第1副表示態様V21及び第2副表示態様V22、すなわち副表示態様V2は、主表示態様V1よりも周辺車両20の走行に与える影響が小さくなっている。これにより、周辺車両20を走行させるに当たって、周辺車両20の運転手等は、ディスプレイ1に表示された情報100を提供用車両10の尾灯等と誤認し難くなっている。また、第2副表示態様V22は、主表示態様V1に比べて光度が弱く設定されていることに加えて、主表示態様V1とは発光する色を異ならせている。このため、第2副表示態様V22は、第1副表示態様V21よりも更に周辺車両20の走行に与える影響が小さくなっている。
【0062】
そして、この情報提供装置では、主表示態様V1による情報100の表示が行われている間において、周辺車両20におけるディスプレイ1の視野範囲E1内への進入可能性が閾値を超えている場合には、CPU79が主表示態様V1から副表示態様V2への切替えを行う。これにより、この情報提供装置では、ディスプレイ1が発光によって情報100を表示しつつも、周辺車両20の走行に与える影響を小さくすることが可能となっている。
【0063】
さらに、この情報提供装置では、視野範囲E1内に周辺車両20が現に存在している場合には、CPU79がディスプレイ1の作動の停止を行う。このため、この場合には、ディスプレイ1が発光しなくなり、ディスプレイ1は情報100を表示しなくなる。これにより、この情報提供装置では、第1、2スピーカ3a、3bを通じた音声による情報100の提供のみが行われるため、周辺車両20の走行に与える影響をより小さくすることができる。
【0064】
また、この情報提供装置では、提供用車両10が許可領域110内を走行している状態において、視野範囲E1内に現に周辺車両20が存在しておらず、周辺車両20におけるディスプレイ1の視野範囲E1内への進入可能性も閾値未満である場合には、主表示態様V1による情報100の表示が行われる。このため、この情報提供装置では、ディスプレイ1に情報100を効果的に表示することができる。また、この場合には、第1、2スピーカ3a、3bを通じた音声による情報100の提供も行われる。
【0065】
したがって、実施例の情報提供装置によれば、周辺車両20の走行に与える影響を小さくしつつ、情報100の提供を十分に行なうことができる。
【0066】
また、この情報提供装置では、走行エリア11内に禁止領域111が設定されていれば、提供用車両10が禁止領域111内に位置している際に、ディスプレイ1の作動を停止させて情報100の表示を停止することができるとともに、第1、2スピーカ3a、3bによる音声の再生も停止することができる。このため、この情報提供装置では、景観保護や住民の安寧等を妨げ難くなっている他、走行の安全のための規則や規制を遵守することが可能となっている。
【0067】
そして、この情報提供装置では、主表示態様V1から副表示態様V2への切替えや、作動の停止といったディスプレイ1の作動制御をCPU79、ひいては装置本体7が行う。また、第1、2スピーカ3a、3bの作動制御についてもCPU79が行う。このため、この情報提供装置では、提供用車両10内にディスプレイ1や第1、2スピーカ3a、3bの操作を行う操作者を配置せず、さらに、提供用車両10が自律走行させることで提供用車両10の運転手も不要とした状態で、情報100の提供を好適に行なうことが可能となっている。これにより、この情報提供装置は、利便性にも優れている。
【0068】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0069】
例えば、実施例の情報提供装置では、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1内に存在している場合に、CPU79がディスプレイ1の作動を停止させている。しかし、これに限らず、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1内に存在している場合についても、CPU79が副表示態様V2によってディスプレイ1に情報100を表示させる構成としても良い。
【0070】
また、実施例の情報提供装置において、主表示態様V1による情報100の表示が行われている間に、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1内に進入する進入可能性が閾値を超えているとCPU79が判断した場合、主表示態様V1から副表示態様V2への切替えを行わずに、ディスプレイ1の作動を停止させる構成としても良い。また、この場合、ディスプレイ1の作動を停止させた後、提供用車両10及び周辺車両20が共に停車しているなど、周辺車両20がディスプレイ1の視野範囲E1内に存在している状態であっても、周辺車両20の走行を妨げ難い場合には、副表示態様V2による情報100の表示を行うように構成しても良い。
【0071】
さらに、実施例の情報提供装置では、副表示態様V2が第1副表示態様V21と第2副表示態様V22とを有しているが、これに限らず、副表示態様V2は、第1副表示態様V21又は第2副表示態様V22のいずれかのみを有していても良い。また、副表示態様V2は、第3副表示態様等を有していても良い。
【0072】
また、実施例の情報提供装置において、照射したレーザの反射によって周辺車両20の検出が可能なレーザ照射装置を提供用車両10に設け、このレーザ照射装置を本発明における「検出部」として用いても良い。
【0073】
さらに、実施例の情報提供装置では、CPU79が本発明における「第1判断部」、「第2判断部」、「第3判断部」及び「制御部」として機能している。しかし、これに限らず、「第1判断部」、「第2判断部」、「第3判断部」及び「制御部」として個別に機能する部材を設けても良い。
【0074】
また、実施例の情報提供装置では、提供用車両10の荷物室10bの左側面のみにディスプレイ1を設けているが、これに限らず、提供用車両10が車道11a走行する際の走行車線に応じて、ディスプレイ1を荷物室10bの右側面に設ける構成としても良い。
【0075】
さらに、荷物室10bの左側面と右側面とに、それぞれディスプレイ1を設ける構成としても良い。この場合、CPU79は、荷物室10bの左側面に設けられたディスプレイ1と、荷物室10bの右側面に設けられたディスプレイ1とを別々に作動制御しても良い。
【0076】
また、実施例の情報提供装置では、荷物室10bを有するトラックを提供用車両10としているが、これに限らず、提供用車両10として一般的な乗用自動車を採用し、側面パネルにディスプレイ1等の表示部を設けても良い。
【0077】
さらに、提供用車両10は、運転手が操作する構成であっても良い。この場合であっても、実施例の情報提供装置では、運転手がディスプレイ1や第1、2スピーカ3a、3bの操作を行う必要がないため、運転手は提供用車両10の操作により集中することができる。
【0078】
また、ディスプレイ1に換えて、有機ELディスプレイやLEDディスプレイ等を本発明における「表示部」としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、車両を用いた広告装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…ディスプレイ(表示部)
5a~5j…第1~第10カメラ装置(検出部)
10…提供用車両
11…走行エリア
20…周辺車両
50…地図データ
75…RAM(記憶部)
77…GPS装置(抽出部)
79…CPU(第1判断部、第2判断部、第3判断部、制御部)
100…情報
110…許可領域
111…禁止領域
V1…主表示態様
V2…副表示態様
α1…検出領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12