(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】保管システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230301BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G1/04 551A
(21)【出願番号】P 2020567420
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2019048871
(87)【国際公開番号】W WO2020153040
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2019011281
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 栄治
(72)【発明者】
【氏名】入野 功輔
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 良樹
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-331906(JP,A)
【文献】特開2017-030944(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055883(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/183376(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0140966(US,A1)
【文献】国際公開第2012/060291(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029871(WO,A1)
【文献】特開2000-124284(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1天井軌道と、上下方向に複数段の保管部を備えた棚と、前記第1天井軌道に沿って走行し、前記複数段の保管部の間で物品を受け渡しするクレーンと、を備えた天井ストッカと、
前記天井ストッカの下端よりも下方に設けられた第2天井軌道と、前記第2天井軌道に沿って走行して所定の移載先に対して物品を受け渡しする天井搬送車と、を備え、前記天井ストッカと平面視において少なくとも一部が重なるように配置された天井搬送車システムと、を備え、
前記棚は、天井に取り付けられた第1吊下部材により、前記天井の第1位置から吊り下げられて設けられ、
前記第2天井軌道は、前記天井に取り付けられた第2吊下部材により、前記天井の第2位置から吊り下げられて設けられ、
前記第1位置と前記第2位置とは、少なくとも所定距離を隔てて設定され
、
前記所定距離は、前記天井における単位面積あたりの荷重の大きさが所定値を超えないように設定された距離であり、
前記天井は、水平方向における直交方向のそれぞれに複数のマス目が並ぶグリッド天井であり、
前記単位面積は、1つの前記マス目の面積であり、
前記第1位置と前記第2位置とは、前記グリッド天井における異なる前記マス目に設定される、保管システム。
【請求項2】
前記第1天井軌道は、前記天井に取り付けられた第3吊下部材により、前記天井の第3位置から吊り下げて設けられ、
複数の前記第1位置の1つと、複数の前記第3位置の1つとは、前記グリッド天井における1つの前記マス目に設定される、
請求項1に記載の保管システム。
【請求項3】
前記第1天井軌道の一部と、前記第2天井軌道の一部とは、平面視において重なって配置される、請求項1
又は請求項2に記載の保管システム。
【請求項4】
前記棚は、平面視において、前記所定の移載先を有する処理装置の直上を含む領域に設けられる、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場等では、半導体ウエハを収容するFOUP(Front‐Opening Unified Pod)又はレチクルを収容するレチクルポッド等の物品を天井搬送車により搬送して、処理装置のロードポート等の移載先に対して物品の受け渡しを行っている。この天井搬送車で搬送される物品は、この天井搬送車との間で物品を受け渡し可能な保管システムに保管されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、物品が載置される保管部が上下方向に複数段設けられた棚を備えており、この棚が天井から吊り下げられて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の保管システムが設けられる建屋に、例えば、他の天井搬送車システムが設けられる場合がある。この場合、他の天井搬送車システムの天井軌道を天井から吊り下げる位置と、棚を吊り下げる位置とが近接すると、天井の一部に対する荷重が大きくなってしまい、天井の一部で耐荷重を超えるおそれがある。このような場合、天井の補強、又は梁等により吊り下げ位置を変更する等の大がかりな追加工事が必要となり、設置コストの増加を招くことになる。
【0005】
本発明は、天井の一部に大きな荷重がかかることを防止する保管システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る保管システムは、第1天井軌道と、上下方向に複数段の保管部を備えた棚と、第1天井軌道に沿って走行し、複数段の保管部の間で物品を受け渡しするクレーンと、を備えた天井ストッカと、天井ストッカの下端よりも下方に設けられた第2天井軌道と、第2天井軌道に沿って走行して所定の移載先に対して物品を受け渡しする天井搬送車と、を備え、天井ストッカと平面視において少なくとも一部が重なるように配置された天井搬送車システムと、を備え、棚は、天井に取り付けられた第1吊下部材により、天井の第1位置から吊り下げられて設けられ、第2天井軌道は、天井に取り付けられた第2吊下部材により、天井の第2位置から吊り下げられて設けられ、第1位置と第2位置とは、少なくとも所定距離を隔てて設定され、所定距離は、天井における単位面積あたりの荷重の大きさが所定値を超えないように設定された距離であり、天井は、水平方向における直交方向のそれぞれに複数のマス目が並ぶグリッド天井であり、単位面積は、1つのマス目の面積であり、第1位置と第2位置とは、グリッド天井における異なる前記マス目に設定される。
本発明の態様に係る保管システムは、第1天井軌道と、上下方向に複数段の保管部を備えた棚と、第1天井軌道に沿って走行し、複数段の保管部の間で物品を受け渡しするクレーンと、を備えた天井ストッカと、天井ストッカの下端よりも下方に設けられた第2天井軌道と、第2天井軌道に沿って走行して所定の移載先に対して物品を受け渡しする天井搬送車と、を備え、天井ストッカと平面視において少なくとも一部が重なるように配置された天井搬送車システムと、を備え、棚は、天井に取り付けられた第1吊下部材により、天井の第1位置から吊り下げられて設けられ、第2天井軌道は、天井に取り付けられた第2吊下部材により、天井の第2位置から吊り下げられて設けられ、第1位置と第2位置とは、少なくとも所定距離を隔てて設定される。
【0007】
また、所定距離は、天井における単位面積あたりの荷重の大きさが所定値を超えないように設定された距離であってもよい。また、天井は、水平方向における直交方向のそれぞれに複数のマス目が並ぶグリッド天井であり、単位面積は、1つのマス目の面積であってもよい。また、第1位置と第2位置とは、グリッド天井における異なるマス目に設定されてもよい。また、第1天井軌道は、天井に取り付けられた第3吊下部材により、天井の第3位置から吊り下げて設けられ、複数の第1位置の1つと、複数の第3位置の1つとは、グリッド天井における1つのマス目に設定されてもよい。また、第1天井軌道の一部と、第2天井軌道の一部とは、平面視において重なって配置されてもよい。また、棚は、平面視において、所定の移載先を有する処理装置の直上を含む領域に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0008】
上記した保管システムによれば、棚を吊り下げる第1吊下部材と第2天井軌道を吊り下げる第2吊下部材とが少なくとも所定距離を隔てて設定されるため、天井ストッカのうち重量における多くの割合を占める棚の吊り位置と、天井搬送車システムの重量における多くの割合を占める第2天井軌道の吊り位置とが近接することを回避でき、棚の吊り位置と第2天井軌道の吊り位置とを分散させることができる。その結果、天井の一部に大きな荷重がかかることを回避し、天井の補強等の大がかりな追加工事が不要となるので、設置コストの増加を抑制できる。
【0009】
また、所定距離が、天井における単位面積あたりの荷重の大きさが所定値を超えないように設定された距離である構成では、単位面積を基準とすることで、所定距離を容易に設定することができる。また、天井が、水平方向における直交方向のそれぞれに複数のマス目が並ぶグリッド天井であり、単位面積が、1つのマス目の面積である構成では、天井における単位面積をマス目によって容易に認識でき、このマス目を参照することで、所定距離を容易に設定することができる。また、第1位置と第2位置とが、グリッド天井における異なるマス目に設定される構成では、第1位置及び第2位置を容易に所定距離以上に離すことができる。また、第1天井軌道が、天井に取り付けられた第3吊下部材により、天井の第3位置から吊り下げて設けられ、複数の第1位置の1つと、複数の第3位置の1つとが、グリッド天井における1つのマス目に設定される構成では、天井ストッカのうち重量における割合が小さい第1天井軌道の吊り位置である第3位置を第1位置と同一のマス目に配置することにより、第1吊下部材及び第3吊下部材が近接し、これら吊下部材の取り付け又はメンテナンスの作業性を向上できる。また、第1天井軌道の一部と、第2天井軌道の一部とが、平面視において重なって配置される構成では、天井ストッカ及び天井搬送車システムを平面視においてコンパクトに配置できる。また、棚が、平面視において、所定の移載先を有する処理装置の直上を含む領域に設けられる構成では、第2天井軌道が配置されない処理装置の直上に棚を配置することで、棚が吊り下げられる第1位置と、第2天井軌道が吊り下げられる第2位置とを容易に離して分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る保管システムの一例をY方向から見た図である。
【
図2】保管システムを平面視で模式的に示した図である。
【
図3】天井搬送車、上側天井搬送車の一例を示す図である。
【
図4】
図2の一部を拡大してグリッド天井における吊り下げ位置の一例を示す平面図である。
【
図5】第2天井軌道における吊り金具の位置の一例を示す図である。
【
図6】棚及び第1天井軌道における吊り金具の位置を示す図である。
【
図7】梁部とグリッド天井との位置関係の一例を示す図である。
【
図8】第1位置と第2位置との距離の一例を示す図である。
【
図9】グリッド天井の1つのマス目あたりの荷重を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施形態に限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載する等、適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図においては、XYZ座標系により図中の方向を説明する。このXYZ座標系では、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。Y方向は、水平方向内における一方向であって、後述するクレーン40、天井搬送車50、上側天井搬送車60の走行方向である。X方向は、Y方向と直交する方向である。また、X、Y、Z方向の各方向について、適宜、矢印が指す向きを+方向(例えば、+X方向)と表現し、矢印が指す向きとは反対方向を-方向(例えば、-X方向)と表現する。
【0012】
図1は、実施形態に係る保管システムSYSの一例をY方向から見た図である。
図2は、保管システムSYSを平面視で模式的に示した図である。なお、
図2では、図を判別しやすくするため、物品2をハッチングで示している。
【0013】
図1及び
図2に示す保管システムSYSは、例えば、半導体デバイスの製造工場等に設けられ、半導体デバイスの製造に用いられる半導体ウエハを収容したFOUP、又はレチクルを収容したレチクルポッド等の物品2を保管する。本実施形態では、物品2がFOUPである例を説明するが、物品2は、FOUP以外であってもよい。また、保管システムSYSは、半導体製造分野以外の設備に適用可能であり、物品2は、保管システムSYSで保管可能な他の物品でもよい。
【0014】
保管システムSYSは、
図1及び
図2に示すように、天井ストッカ100と、天井搬送車システム200と、搬送装置300と、を備える。天井ストッカ100は、複数の保管部11を備える棚10と、第1天井軌道20と、クレーン40とを備える。棚10は、平面視において、クレーン40が走行する第1天井軌道20に沿って配置される。また、棚10に備える複数の保管部11は、
図1に示すように、フレーム13に設けられて、上下方向(Z方向)に3段配置されている。保管部11の段数は任意に設定できる。また、複数の保管部11は、後述するクレーン40の走行方向(Y方向)に沿って複数並んで配置される。
【0015】
複数の保管部11は、物品2を載置する棚板11aを備えている。各棚板11aは、フレーム13に保持されている。以下の説明において、保管部11に物品2を置くことは、保管部11の棚板11aに物品2を置くことを意味する。なお、保管部11の棚板11aには、それぞれ物品2を載置した際に物品2の底面に設けられた溝部に入り込む複数のピンが設けられてもよい。このピンが物品2の溝部に入り込むことにより、物品2は、保管部11(棚板11a)に対して位置決めされる。
【0016】
棚10は、第1吊下部材3により建屋のグリッド天井GCの第1位置P1から吊り下げられている。グリッド天井GCは、水平方向において相互に直交する方向のそれぞれに複数のマス目が並んだ格子状となっている。なお、グリッド天井GCの上方には、複数のマス目から建屋内にダウンフローを供給するダウンフローユニットが配置されてもよい。
【0017】
棚10の下端は、床面Fからの処理装置TLの上端の高さよりも高くなるように設定されている。処理装置TLは、例えば、物品2であるFOUPに収容されている半導体ウエハに対して成膜処理又はエッチング処理等の各種処理を行う。また、後述するクレーン40の下端の高さも処理装置TLの上端の高さよりも高くなるように設定されている。すなわち、天井ストッカ100は、処理装置TLの上端よりも上方に配置されている。なお、クレーン40の下端は、作業者等が床面Fを支障なく通行することが可能な高さに設定される。その結果、天井ストッカ100の下方の空間の一部を、作業者用通路PSとして利用可能となる。
【0018】
保管部11は、クレーン40により物品2が載置され、また、物品2が取り出される。また、保管部11のうち一部は、後述する上側天井搬送車60により物品2が載置され、また物品2が取り出される。上側天井搬送車60により物品2が受け渡される保管部11は、棚10のうち最上段の保管部11である。保管部11の上下寸法(棚板11aの上面から上方の保管部11の棚板11aの下面までの寸法)は、後述するクレーン40の移載装置42が物品2を下面側から支持して持ち上げるために必要な寸法に設定される。クレーン40の移載装置42は、例えば、物品2を下面側から支持して持ち上げる構成が採用されており、物品2の上方に大きなスペースを必要としない。例えば、保管部11の上下寸法は、物品2の上下寸法に数センチ加える程度の寸法とすることも可能である。
【0019】
第1天井軌道20は、
図1に示すように、グリッド天井GCの第3位置P3から第3吊下部材5により吊り下げられている。第1天井軌道20は、
図2に示すように、X方向に延在する2本の直線部21、22と、接続部23とを有する環状の軌道である。接続部23は、2本の直線部21、22の+X側及び-X側に設けられて直線部21と直線部22とを接続する。クレーン40及び後述する上側天井搬送車60は、直線部21、22及び接続部23に沿って一方向(例えば平面視で時計まわりの方向)に周回走行することが可能である。
【0020】
本実施形態の第1天井軌道20は、2本の直線部21、22と、接続部23とで構成される周回軌道が、Y方向に2つ並んで配置されている。2つの周回軌道は、+X側の接続部23同士を接続する接続軌道24と、-X側の接続部23同士を接続する接続軌道24とで接続されている。従って、クレーン40及び後述する上側天井搬送車60は、
図2の矢印で示すように、+X側の周回軌道から接続軌道24を介して-X側の周回軌道に移動することができ、また、-X側の周回軌道から接続軌道24を介して+X側の周回軌道に移動することができる。
【0021】
上記した棚10は、直線部21、22に対して+Y側及び-Y側に設けられる。すなわち、棚10は、平面視において、クレーン40が走行する周回軌道である第1天井軌道20の内側及び外側に配置される。これらの棚10は、処理装置TLよりも上方に配置されている。処理装置TLよりも上方の空間は、従来デッドスペースとされてきた空間であり、このような空間に棚10を配置することにより、建屋内の空間を有効に利用することができる。
【0022】
クレーン40は、
図1に示すように、物品2を保持し、第1天井軌道20を走行して移動する。クレーン40は、保管部11と他の保管部11との間で物品2を搬送する。クレーン40は、第1天井軌道20を周回走行する。なお、本実施形態では、
+Y側及び
-Y側の周回軌道において、それぞれ1台のクレーン40が配置されており、1つの第1天井軌道20に2台のクレーン40が配置されているが、クレーン40の台数は2台に限定されない。例えば、1つの第1天井軌道20に1台のクレーン40が配置されてもよいし、3台以上のクレーン40が配置されてもよい。クレーン40は、
図1に示すように、第1天井軌道20から吊り下げられている。
【0023】
クレーン40は、2台の走行部41と、移載装置42と、を備える。走行部41の下方には、取付部46を介して上部支持部47が取り付けられ、上部支持部47により2台の走行部41が連結されている。各走行部41は、不図示の走行駆動部及び複数の車輪41aを備え、第1天井軌道20に沿って走行する。走行部41が備える不図示の走行駆動部は、例えば、走行部41に備えられて車輪41aを駆動する電動モータであってもよいし、リニアモータであってもよい。なお、本実施形態のクレーン40では、2台の走行部41を備えていることにより、重量物である移載装置42及び物品2を確実に支持することができる。なお、クレーン40は、2台の走行部41を備える構成に限定されず、1台又は3台以上の走行部41を備えてもよい。
【0024】
移載装置42は、マスト43と、昇降台44と、昇降駆動部45と、伸縮部48と、載置台49とを備える。マスト43は、上部支持部47から吊り下げられて上下方向に延在する。マスト43は、走行部41の走行方向の前後にそれぞれ1本ずつ設けられている。なお、マスト43は、合計2本であることに限定されず、1本であってもよい。マスト43は、上記したように、マスト43の下端の床面Fからの高さが処理装置TLの上端の高さよりも高くなるように設けられている。例えば、マスト43の下端がクレーン40の下端である。
【0025】
伸縮部48は、走行部41の走行方向と直交する方向に伸縮可能な複数のアームにより構成されている。載置台49は、伸縮部48の先端に設けられている。載置台49は、物品2を載置可能な三角形状の板状部材である。載置台49は、その載置台49に載置された物品2を下側から支持することにより保持する。載置台49の上面には、物品2の底面に備える溝部に挿入して物品2を位置決めするピンが設けられている。なお、上記した保管部11の棚板11aには、載置台49が上下方向に通過可能な不図示の切り欠きが設けられている。
【0026】
移載装置42は、保管部11から物品2を受け取る際、伸縮部48を伸ばして載置台49を物品2の下方に位置させて昇降台44を上昇させることにより、載置台49で物品2をすくい上げる。移載装置42は、載置台49に物品2を載置したまま伸縮部48を縮めることにより、物品2を載置した載置台49を昇降台44の上方に配置させる。また、移載装置42により物品2を保管部11に渡す際は、上記の逆の動作により行う。なお、移載装置42は、上記した構成に限定されず、例えば物品2の一部(例えば、FOUPの上部に設けられたフランジ部2a)を保持して持ち上げる構成等、他の構成であってもよい。
【0027】
昇降駆動部45は、例えば、ホイストであり、マスト43に沿って昇降台44を昇降させる。昇降駆動部45は、吊り下げ部材45a及び不図示の駆動部を備える。吊り下げ部材45aは、例えば、ベルト又はワイヤ等であり、昇降台44は、この吊り下げ部材45aによって上部支持部47から吊り下げられている。昇降駆動部45が備える不図示の駆動部は、例えば上部支持部47に設けられ、吊り下げ部材45aの繰り出し、巻き取りを行う。昇降台44は、昇降駆動部45が備える不図示の駆動部が吊り下げ部材45aを繰り出すと、マスト43に案内されて下降する。また、昇降台44は、昇降駆動部45が備える不図示の駆動部が吊り下げ部材45aを巻き取ると、マスト43に案内されて上昇する。昇降駆動部45は、不図示の制御装置等により制御されて、所定の速度で昇降台44を下降又は上昇させる。また、昇降駆動部45は、不図示の制御装置等により制御されて、昇降台44を目標の高さに保持する。
【0028】
昇降駆動部45は、上部支持部47に設けられる。なお、昇降駆動部45は、上部支持部47に設けられることに代えて、例えば、昇降台44に設けられてもよい。昇降台44に昇降駆動部45が設けられる構成としては、例えば、上部支持部47から吊り下げたベルト又はワイヤ等を昇降台44に搭載したホイスト等により巻き上げ又は繰り出しを行って昇降台44を昇降させる構成であってもよい。また、昇降台44にピニオンギアを駆動する電動モータ等が搭載され、このピニオンギアが噛み合うラックがマスト43に形成され、電動モータ等によりピニオンギアを回転させることにより昇降台44を昇降させる構成であってもよい。
【0029】
天井搬送車システム200は、第2天井軌道30と、天井搬送車50とを備える。天井搬送車50は、第2天井軌道30に沿って走行し、第2天井軌道30より下方に配置された所定の移載先である処理装置TLのロードポートLPに対して物品2の受け渡しを行う。第2天井軌道30は、
図1に示すように、グリッド天井GCの第2位置P2から第2吊下部材4により吊り下げられている。
【0030】
第2天井軌道30は、
図2に示すように、平面視でインターベイルート(ベイ間軌道)R1とインターベイルートR2との間に配置されている。第2天井軌道30は、ベイ内(イントラベイ内)にそれぞれ設けられており、インターベイルートR1等は、複数の第2天井軌道30を接続するために設けられている。本実施形態において、ベイ(イントラベイ)とは、例えば、平面視において、複数の処理装置TLにおけるロードポートLPが互いに対向するように設けられ、互いに対向するように設けられたロードポートLPの間に作業者用通路PSが設けられている範囲(領域)を指す。第2天井軌道30は、インターベイルートR1に対して進入用又は退出用の2本の支線S1を介して接続され、インターベイルートR2に対して進入用又は退出用の2本の支線S2を介して接続されている。
【0031】
第2天井軌道30は、直線部31と、接続部32とを有する。天井搬送車50は、直線部31及び接続部32に沿って一方向(例えば平面視で時計まわりの方向)に周回走行する。直線部31は、ロードポートLPの直上において、複数のロードポートLPに沿ってY方向に配置される。2本の直線部31は、平面視で第1天井軌道20の接続軌道24と並行するように(平行に)配置されている。接続部32は、曲線部を含んで+Y側及び-Y側の両端に配置され、2つの直線部31同士を接続する。第2天井軌道30は、天井ストッカ100のクレーン40(マスト43)及び棚10より下方に配置される。この第2天井軌道30を走行する天井搬送車50は、天井ストッカ100より下方において走行する。
【0032】
天井搬送車50は、インターベイルートR1、R2から支線S1、S2を介して第2天井軌道30に進入し、又は第2天井軌道30から支線S1、S2を介してインターベイルートR1、R2に退出する。天井搬送車50は、第2天井軌道30に沿って走行し、直線部31において処理装置TLのロードポートLPとの間で物品2の受け渡しを行う。また、天井搬送車50は、直線部31において後述する載置部14(受け渡しポート12を含む)との間で物品2の受け渡しを行う。なお、天井搬送車50の構成の詳細については後述する。
【0033】
第2天井軌道30の直線部31は、所定の間隔(作業者用通路PS)を隔てて相対向する複数のロードポートLPの直上に沿って設けられている。本実施形態では、1台の処理装置TLにおけるロードポートLPに、複数の物品2(
図2では、ロードポートLPに6つの物品2)を載置可能である。ただし、ロードポートLPに載置可能な物品2の数は処理装置TLごとに予め定められている。第2天井軌道30は、ロードポートLPの直上に設けられており、第2天井軌道30を走行する天井搬送車50は、物品2を昇降させるだけでロードポートLPとの間で物品2の受け渡しを行い、後述する載置部14(受け渡しポート12)に対しては把持部53を横出しして(横移載により)物品2の受け渡しを行う。また、
図2に示すように、第1天井軌道20の一部と、第2天井軌道30の一部とは、平面視において重なって配置される。このため、天井ストッカ100及び天井搬送車システム200を平面視においてコンパクトに配置できる。
【0034】
図3は、天井搬送車50、及び後述する上側天井搬送車60の一例を示す図である。天井搬送車50は、
図3に示すように、走行部51と、本体部52とを有する。走行部51は、不図示の走行駆動部及び複数の車輪51aを備え、第2天井軌道30に沿って走行する。走行部51が備える不図示の走行駆動部は、例えば、走行部51に備えられて車輪51aを駆動する電動モータであってもよいし、リニアモータであってもよい。
【0035】
本体部52は、取付部52aを介して走行部51の下部に取り付けられている。本体部52は、物品2を保持する把持部53と、把持部53を吊り下げて昇降させる昇降駆動部54と、昇降駆動部54を軌道の側方に移動させる横出し機構55とを有する。把持部53は、物品2のフランジ部2aを上方からつかんで把持することにより、物品2を吊り下げて保持する。把持部53は、例えば、水平方向に進退可能な複数の爪部53aを有するチャックであり、爪部53aを物品2のフランジ部2aの下方に進入させ、把持部53を上昇させることにより物品2を吊り下げて保持する。把持部53は、ワイヤ又はベルト等の吊り下げ部材53bと接続されている。把持部53は、吊り下げ部材53bを介して昇降駆動部54から吊り下げられ、その昇降駆動部54により昇降させられる。
【0036】
昇降駆動部54は、例えばホイストであり、吊り下げ部材53bを繰り出すことにより把持部53を下降させ、吊り下げ部材53bを巻き取ることにより把持部53を上昇させる。昇降駆動部54は、不図示の制御装置等により制御され、所定の速度で把持部53を下降又は上昇させる。また、昇降駆動部54は、不図示の制御装置等により制御され、把持部53を目標の高さに保持する。
【0037】
横出し機構55は、例えば上下方向に重ねて配置された可動板を有する。可動板は、走行部51の走行方向の側方(走行方向に直交する方向、横方向)に移動可能である。可動板には、昇降駆動部54が取り付けられている。本体部52は、横出し機構55を案内する不図示のガイド、及び横出し機構55を駆動する不図示の駆動部等を有する。横出し機構55は、電動モータ等の駆動部からの駆動力によって、昇降駆動部54及び把持部53を突出位置と格納位置との間で移動させる。突出位置は、把持部53が本体部52から側方に突出する位置である。格納位置は、本体部52内に把持部53を格納する位置である。なお、昇降駆動部54又は把持部53を上下方向の軸まわりに回転させるための回転機構が設けられてもよい。
【0038】
天井搬送車50は、上記のように昇降駆動部54により把持部53(物品2)を昇降させて、ロードポートLPとの間で物品2の受け渡しを行う。また、天井搬送車50は、横出し機構55により昇降駆動部54(把持部53)を複数の載置部14(受け渡しポート12を含む)のいずれかの上方に移動させ、昇降駆動部54により把持部53(物品2)を昇降させて、その載置部14との間で物品2を受け渡すことが可能である。
【0039】
搬送装置300は、天井ストッカ100と天井搬送車システム200との間で上下方向に物品2を搬送する。本実施形態では、搬送装置300は、上側天井搬送車60である。また、保管システムSYSは、天井搬送車システム200と搬送装置300(上側天井搬送車60)との間で物品を受け渡すための受け渡しポート12を備える。受け渡しポート12は、物品2を載置可能な載置部14の一部である。受け渡しポート12を含む載置部14は、
図1に示すように、グリッド天井GCの第4位置P4から第4吊下部材6により吊り下げられている。
【0040】
載置部14は、平面視において、周回軌道である第2天井軌道30の内側に配置され、Y方向に沿って直線状に設けられる。載置部14は、物品2を2列に並べて載置可能である。載置部14の一部は、受け渡しポート12である。なお、載置部14のうち受け渡しポート12を除いた部分は、物品2を載置可能であって、天井搬送車50により物品2を受け渡し可能なバッファである。
【0041】
受け渡しポート12には、複数の物品2を載置可能である。受け渡しポート12は、上側天井搬送車60が走行する第1天井軌道20における接続軌道24の直下(
図2において+X側の列の受け渡しポート12)と、接続軌道24に対して横方向かつ下方(
図2において-X側の列の受け渡しポート12)とに配置される。また、受け渡しポート12は、第2天井軌道30に対して横方向かつ下方に配置される。従って、天井搬送車50は、
図2において+X側の列の受け渡しポート12に対して、+X側の直線部31から横移載により物品2の受け渡しが可能である。また、天井搬送車50は、
図2において-X側の列の受け渡しポート12に対して、-X側の直線部31から横移載により物品2の受け渡しが可能である。
【0042】
上側天井搬送車60は、天井ストッカ100と、受け渡しポート12(載置部14のうちの一部)との間で上下方向に物品2を搬送する。上側天井搬送車60は、
図3に示すように、第2走行部61と、第2本体部62とを有する。第2走行部61は、クレーン40の走行部41と同様の構成が適用されており、不図示の走行駆動部及び複数の車輪61aを備え、第1天井軌道20に沿って走行する。第2本体部62は、取付部62aを介して第2走行部61の下部に取り付けられている。第2本体部62は、物品2を保持する第2把持部63(爪部63a及び吊り下げ部材63bを含む)と、第2把持部63を吊り下げて昇降させる第2昇降駆動部64と、第2昇降駆動部64を軌道の側方に移動させる第2横出し機構65とを有する。
【0043】
これら第2走行部61、第2本体部62、第2把持部63、第2昇降駆動部64、及び第2横出し機構65は、
図3に示すように、上記した天井搬送車50の走行部51、本体部52、把持部53、昇降駆動部54、及び横出し機構55と同様の構成が適用される。従って、上側天井搬送車60は、天井搬送車システム200の天井搬送車50をそのまま適用可能である。また、上側天井搬送車60は、第1天井軌道20を走行するので別途軌道を設ける必要がなく、保管システムSYSの製造コストを低減できる。
【0044】
上側天井搬送車60は、第2昇降駆動部64により第2把持部63(物品2)を昇降させて、接続軌道24の直下にある受け渡しポート12との間で物品2を受け渡し可能である。また、接続軌道24に対して横方向かつ下方にある受け渡しポート12(
図2において-X側の列の受け渡しポート12)との間では、上側天井搬送車60は、第2横出し機構65により第2昇降駆動部64を受け渡しポート12の上方に移動させて、第2昇降駆動部64により第2把持部63(物品2)を昇降させることで、その受け渡しポート12との間で物品2を受け渡し可能である。
【0045】
また、上側天井搬送車60は、第2横出し機構65により第2昇降駆動部64を複数段の保管部11のうちの少なくとも1つの保管部11の上方に移動させて、第2昇降駆動部64により第2把持部63(物品2)を昇降させて、第2昇降駆動部64の下方に存在する保管部11との間で物品2を受け渡し可能である。本実施形態では、上側天井搬送車60は、棚10のうち最上段の保管部11との間で物品2を受け渡し可能である。なお、上側天井搬送車60との受け渡し対象の保管部11が最上段以外の保管部11であってもよい。また、搬送装置300は、上側天井搬送車60であることに限定されず、例えば、コンベヤ装置等、物品2を保管部11と受け渡しポート12との間で搬送可能な他の装置であってもよい。
【0046】
本実施形態では、棚10の一部と、所定の移載先である処理装置TLのロードポートLPとが、平面視において重なっている。従って、棚10をロードポートLPの上方まで水平方向に拡張することができ、多くの物品2を保管することができる。また、棚10は、天井搬送車システム200の上方に設けられている。すなわち、天井搬送車システム200の第2天井軌道30の配置にかかわらず、棚10を設けることができるので、棚10の配置の自由度が高く、物品2の収納効率がよい棚10の配置を容易に実現できる。
【0047】
また、保管システムSYSは、不図示の制御装置を有する。この不図示の制御装置は、保管システムSYSを統括して制御する。不図示の制御装置は、無線又は有線による通信によりクレーン40、天井搬送車50、及び上側天井搬送車60の動作を制御する。なお、不図示の制御装置は、クレーン40を制御する制御装置と、天井搬送車50を制御する制御装置と、上側天井搬送車60を制御する制御装置と、に分割されてもよい。
【0048】
保管システムSYSにおいて保管部11からロードポートLPに物品2を搬送する場合、不図示の制御装置は、上側天井搬送車60(搬送装置300)を制御し、最上段の保管部11から搬送対象の物品2を受け取り、指定された受け渡しポート12に物品2を渡すように指示する。搬送対象の物品2が最上段以外の保管部11にある場合、天井ストッカ100のクレーン40は、搬送対象の物品2を棚10における最上段の保管部11に移載する。
【0049】
続いて、上側天井搬送車60は、第1天井軌道20に沿って走行し、搬送対象の物品2が載置された保管部11の側方に停止して、第2横出し機構65を突出させた後に第2昇降駆動部64により第2把持部63を下降させ、第2把持部63により物品2を把持する。続いて、上側天井搬送車60は、第2昇降駆動部64により第2把持部63を上昇させた後、第2横出し機構65を収縮させて第2把持部63を格納位置に戻すことにより、物品2を第2本体部62内に収容する。
【0050】
続いて、上側天井搬送車60は、第2把持部63により物品2を保持して第1天井軌道20に沿って走行し、指定された受け渡しポート12の直上で停止する。続いて、上側天井搬送車60は、第2昇降駆動部64を駆動して第2把持部63及び物品2を下降させ、物品2を受け渡しポート12に載置させた後に第2把持部63による把持を解放することにより物品2を受け渡しポート12に渡す。
【0051】
次に、不図示の制御装置は、天井搬送車システム200の天井搬送車50を制御して、受け渡しポート12から物品2を受け取り、指定されたロードポートLPに物品2を渡すように指示する。天井搬送車50は、第2天井軌道30に沿って走行し、物品2が載置された受け渡しポート12の側方に停止して、横出し機構55を突出させた後に昇降駆動部54により把持部53を下降させ、把持部53により物品2を把持する。その後、天井搬送車50は、昇降駆動部54により把持部53を上昇させた後、横出し機構55を収縮させ把持部53を格納位置に戻すことにより、物品2を本体部52内に収容する。
【0052】
続いて、天井搬送車50は、把持部53により物品2を保持して第2天井軌道30に沿って走行し、指定されたロードポートLPの直上で停止する。続いて、天井搬送車50は、昇降駆動部54を駆動して把持部53及び物品2を下降させ、物品2をロードポートLPに載置させた後に把持部53による把持を解放することにより物品2をロードポートLPに渡す。以上の一連の動作により、物品2は、保管部11からロードポートLPに搬送される。
【0053】
また、処理装置TLのロードポートLPから天井ストッカ100の保管部11に物品2を搬送する場合は、上記した一連の動作の逆の動作を行うことにより、物品2は、受け渡しポート12を経由して処理装置TLのロードポートLPから天井ストッカ100の保管部11に搬送される。なお、物品2の移載先がロードポートLP以外であっても上記と同様であり、ロードポートLP以外から物品2を受ける場合についても上記と同様である。
【0054】
図4は、
図2の一部を拡大して示す平面図であり、グリッド天井GCにおける吊り下げ位置の一例を示す図である。
図4では、棚10を吊り下げる第1吊下部材3が配置される第1位置P1と、第2天井軌道30を吊り下げる第2吊下部材4が配置される第2位置P2と、第1天井軌道20を吊り下げる第3吊下部材5が配置される第3位置P3と、受け渡しポート12を吊り下げる第4吊下部材6が配置される第4位置P4との位置関係を示している。なお、
図1では、第1吊下部材3、第2吊下部材4、第3吊下部材5、及び第4吊下部材6を模式的に示しており、
図4に示すそれぞれの吊り下げ位置と異なっている。
【0055】
図4において、第1位置P1は、白丸で示されている。
図4に示すように、複数の第1位置P1は、平面視において棚10に重なる位置に設定される。複数の第1位置P1は、それぞれの棚10においてX方向の端部近傍に、Y方向に間隔をあけて並んで設定される。棚10は、複数の保管部11を備えており、全ての保管部11に物品2が載置されることも想定される。従って、複数の第1位置P1は、想定される棚10の最大荷重にグリッド天井GCが耐えるように分散させて設定される。本実施形態では、平面視において、棚10の-X側に載置される物品2をY方向に挟むように、複数の第1位置P1が設定されている。なお、棚10の+X側においても同様に複数の第1位置P1が設定される。
【0056】
図4において、第2位置P2は、黒丸で示されている。複数の第2位置P2は、平面視において第2天井軌道30の直線部31に沿って設定されている。複数の第2位置P2は、平面視において第2天井軌道30から走行方向の側方に外れた位置に、Y方向に間隔をあけて並んで設定されている。各第2位置P2は、直線部31に対してX方向の両側に設定される。第2天井軌道30は、天井搬送車50が走行するので、複数の天井搬送車50が並んで走行する場合等も想定される。複数の第2位置P2は、想定される第2天井軌道30の最大荷重にグリッド天井GCが耐えるように分散させて設定される。なお、第2位置P2は、Y方向に一定間隔で設定されているが、この形態に限定されず、Y方向の間隔が一部で異なっていてもよい。また、第2天井軌道30の接続部32においても同様に複数の第2位置P2が設定される。
【0057】
図4において、第3位置P3は、白三角で示されている。複数の第3位置P3は、平面視において第1天井軌道20の直線部21、22、接続部23、及び接続軌道24の各部に沿って設定される。複数の第3位置P3は、平面視において第1天井軌道20から走行方向の側方に外れた位置に、走行方向に間隔をあけて並んで設定されている。各第3位置P3は、直線部21、22、接続部23、及び接続軌道24の両側に設定される。第1天井軌道20は、クレーン40及び上側天井搬送車60が走行するので、クレーン40と上側天井搬送車60が近接する場合等が想定される。複数の第3位置P3は、想定される第1天井軌道20の最大荷重にグリッド天井GCが耐えるように分散させて設定される。
【0058】
図4において、第4位置P4は、黒三角で示されている。複数の第4位置P4は、平面視において載置部14(
図2参照)と重なる位置に設定される。なお、
図4において載置部14の記載は省略している。複数の第4位置P4は、Y方向に間隔をあけて並んで設定される。載置部14(受け渡しポート12を含む)には、複数の物品が載置されるので、最も多く物品2を載置した場合も想定される。複数の第4位置P4は、想定される載置部14の最大荷重にグリッド天井GCが耐えるように分散させて設定される。なお、第4位置P4は、Y方向に一定間隔で設定されているが、この形態に限定されず、Y方向の間隔が一部で異なっていてもよい。
【0059】
グリッド天井GCの下面側には、X方向又はY方向に延在する梁部70(
図5、
図6等参照)が固定されている。梁部70は、例えば棒状の金属部材である。梁部70の長さは、任意に設定可能である。梁部70は、平面視においてグリッド天井GCと梁部70とが重なる部分のそれぞれにおいて、例えばボルト等の固定部材等によりグリッド天井GCに固定される。又は、梁部70は、吊り下げ部材によりグリッド天井GCから吊り下げられている。この梁部70は、グリッド天井GCに対して取り外し可能であってもよいし、溶接等により固着されてもよい。梁部70により、グリッド天井GCにおけるマス目Gの内側に、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4を設定することができる。
【0060】
第1吊下部材3、第2吊下部材4、第3吊下部材5、及び第4吊下部材6のそれぞれは、梁部70から吊り下げられている。つまり、第1位置P1、第2位置P2、第3位置P3、及び第4位置P4のそれぞれは、平面視において梁部70に重なる位置に設定される。
【0061】
図5は、第2天井軌道30及び載置部14の吊り下げ位置に関する第2位置P2及び第4位置P4について示す図である。なお、
図5において載置部14の記載は省略している。
図5に示すように、梁部70は、第2天井軌道30の直線部31に沿ってY方向に延在する第2梁部72を含む。また、梁部70は、載置部14の長手方向(受け渡しポート12の長手方向)に沿ってY方向に延在する第4梁部74を含む。第2位置P2は、平面視において第2梁部72に沿って間隔をあけて設定される。第4位置P4は、平面視において第4梁部74に沿って間隔をあけて設定される。
【0062】
図6は、棚10及び第1天井軌道20の吊り下げ位置に関する第1位置P1及び第3位置P3について示す図である。
図6に示すように、梁部70は、棚10に並ぶ物品2の方向であるX方向に沿って延在する第1梁部71を含む。また、梁部70は、第1天井軌道20の接続部23及び接続軌道24に沿ってY方向に延在する第3梁部73と、直線部21、22に沿ってX方向に延在する第3梁部73とを有する。第1位置P1は、平面視において第1梁部71に沿って間隔をあけて設定される。第3位置P3は、平面視において第3梁部73に沿って間隔をあけて設定される。
【0063】
図7は、梁部70とグリッド天井GCとの位置関係の一例を示す図である。
図7において、グリッド天井GCは、直線により格子状に示されている。
図7に示すように、グリッド天井GCは、X方向及びY方向に沿って並ぶ複数のマス目Gを有する。第1梁部71、第2梁部72、第3梁部73、及び第4梁部74のそれぞれは、例えばグリッド天井GCのマス目Gに沿って、X方向又はY方向に配置される。なお、梁部70は、X方向又はY方向に配置されることに限定されず、例えば、X方向又はY方向に対して所定の角度に傾いて固定される形態であってもよい。
【0064】
図7に示すように、複数の第1位置P1の1つと、複数の第3位置P3の1つとは、1つのマス目Gに収まるように設定される形態がある。すなわち、天井ストッカ100のうち重量における割合が大きい棚10の吊り位置である第1位置P1と、天井ストッカ100のうち重量における割合が小さい第1天井軌道20の吊り位置である第3位置P3とが、1つのマス目Gに収まるように設定される。この第1位置P1と第3位置P3とを同一のマス目Gに設定することにより、第1吊下部材3及び第3吊下部材5が近接して配置されることになる。その結果、第1吊下部材3及び第3吊下部材5の取り付け又はメンテナンスにおいて同一カ所での作業が可能となり、作業性を向上できる。
【0065】
また、
図7に示すように、1つのマス目Gの一辺(X方向又はY方向)の長さの半分である所定距離Lは、第1位置P1と第2位置P2とを離して設定する際の指標となる。この所定距離Lは、グリッド天井GCにおける単位面積あたりの荷重の大きさが所定値(耐荷重)を超えないように設定される距離である。単位面積は、例えば平面視において1つのマス目Gの面積に相当する。第1位置P1と第2位置P2とは、少なくとも所定距離Lを隔てて(所定距離L以上離して)設定される。
図7に示すように、第1位置P1と第2位置P2とは、異なるマス目Gに設定される。なお、
図7において、グリッド天井GCを示す線上に吊り位置がある場合は、その直線で区切られた両側のマス目Gのいずれか一方に含まれるとしている。従って、
図7において、第2位置P2を含む1つのマス目Gの線上に第1位置P1がある場合、第1位置P1と第2位置P2とは、それぞれ異なるマス目Gに設定されている。
【0066】
例えば、第2位置P2がマス目Gの中央近傍に配置される場合では、第1位置P1を第2位置P2と異なるマス目Gとすることにより、第1位置P1と第2位置P2とを少なくとも所定距離Lを隔てて設定させることができる。その結果、グリッド天井GCの各マス目Gにおいて予め設定されている所定値(耐荷重)を超えて第1位置P1及び第2位置P2の双方が設定されるのを回避することができる。
【0067】
図8は、第1位置P1と第2位置P2との位置関係の一例を示す図である。
図8は、
図7中の領域Aにおける第1位置P1と第2位置P2との位置関係を拡大した図である。領域Aにおける第2位置P2は、マス目Gの中央近傍に設定されている(
図7参照)。
図8に示すように、4つの第1位置P1は、第2位置P2に対して、それぞれ距離L1、L2、L3、L4を隔てて設定されている。これら距離L1、L2、L3、L4は、上記した所定距離Lよりも長くなっている。つまり、重量物である棚10を吊り下げる第1吊下部材3のそれぞれと、同じく重量物である第2天井軌道30を吊り下げる第2吊下部材4とが、少なくとも所定距離Lを隔てて配置される。
【0068】
また、距離L1、L2、L3、L4は、グリッド天井GCにおける単位面積(1つのマス目G)あたりの荷重の大きさが所定値(耐荷重)を超えないように設定された距離である。単位面積を1つのマス目Gの面積とする構成では、グリッド天井GCにおける単位面積をマス目Gによって容易に認識でき、このマス目Gを参照することで、第1位置P1と第2位置P2との距離(例えば、距離L1、L2、L3、L4)を容易に設定することができる。なお、上記した単位面積は、1つのマス目Gの面積に限定されず、例えば、複数のマス目Gで設定される面積等、他の設定であってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、平面視において、棚10が処理装置TLの直上を含む領域に設けられている。このため、第2天井軌道30が配置されない処理装置TLの直上に棚10を配置することで、棚10が吊り下げられる第1位置P1と、第2天井軌道30が吊り下げられる第2位置P2とを容易に離して分散させることができる。
【0070】
図9は、グリッド天井GCの1つのマス目Gあたりの荷重を示す図である。
図9に示すデータは、例えばシミュレーション等により取得される。このシミュレーションに際して、第1位置P1にかかる荷重V1、第2位置P2にかかる荷重V2、第3位置P3にかかる荷重V3、第4位置P4にかかる荷重V4がそれぞれ実験等により予め求められている。荷重V1~V4のうち、荷重V1、V2は、その値が大きいことが確認されている。また、
図9では、グリッド天井GCのうち例えば12個のマス目G(単位面積)においてそれぞれの総荷重を求めている。
【0071】
図9に示すように、12個のマス目Gにおいて、それぞれの総荷重は、A1~A12として求められる。総荷重A1~A12は、各マス目Gにおいて、上記した荷重V1と、荷重V2と、荷重V3と、荷重V4との合計値である。例えば、総荷重A1は、1つの荷重V2と、2つの荷重V3と、2つの荷重V4との合計値である。また、総荷重A2は、2つの荷重V2の合計値である。また、総荷重A3は、2つの荷重V1と、2つの荷重V3との合計値である。総荷重A4~A12についての詳細は省略する。
図9に示すように、荷重が大きい荷重V1、V2が異なるマス目Gに設定されているので、総荷重A1~A12は、1つのマス目Gにおける耐荷重VAよりも小さくなることがシミュレーションにおいて確認される。
【0072】
このように、本実施形態に係る保管システムSYSによれば、棚10を吊り下げる第1吊下部材3と第2天井軌道30を吊り下げる第2吊下部材4とが距離L1、L2、L3、L4離して設定されるため、天井ストッカ100の重量における多くの割合を占める棚10の吊り位置である第1位置P1と、天井搬送車システム200の重量における多くの割合を占める第2天井軌道30の吊り位置である第2位置P2とが近接することを回避でき、棚10の吊り位置と第2天井軌道30の吊り位置とを分散させることができる。その結果、グリッド天井GCの一部に大きな荷重がかかることを回避し、グリッド天井GCの補強等の大がかりな追加工事が不要となるので、設置コストの増加を抑制できる。
【0073】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、上記した実施形態では、保管システムSYSにおいて、第1天井軌道20と第2天井軌道30とが接続されない構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。例えば、第1天井軌道20と第2天井軌道30とが接続軌道等を介して接続されてもよい。
【0074】
なお、上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、日本特許出願である特願2019-011281、及び、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0075】
G・・・マス目
GC・・・グリッド天井
L・・・所定距離
P1・・・第1位置
P2・・・第2位置
P3・・・第3位置
P4・・・第4位置
LP・・・ロードポート
TL・・・処理装置
SYS・・・保管システム
2・・・物品
3・・・第1吊下部材
4・・・第2吊下部材
5・・・第3吊下部材
6・・・第4吊下部材
10・・・棚
12・・・受け渡しポート
20・・・第1天井軌道
30・・・第2天井軌道
40・・・クレーン
50・・・天井搬送車
60・・・上側天井搬送車
70・・・梁部
100・・・天井ストッカ
200・・・天井搬送車システム
300・・・搬送装置