IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産シンポ株式会社の特許一覧

特許7235227ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置
<>
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図1
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図2
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図3
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図4
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図5
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図6
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図7
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図8
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図9
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図10
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図11
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図12
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図13
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図14
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図15
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図16
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図17
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図18
  • 特許-ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/102 20060101AFI20230301BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20230301BHJP
   H02K 21/24 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H02K7/102
H02K16/02
H02K21/24 M
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2019025852
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020137211
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】岡村 暉久夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-288445(JP,A)
【文献】中国実用新案第208174448(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109716630(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0020227(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0287457(US,A1)
【文献】特開2014-36519(JP,A)
【文献】特開昭60-28747(JP,A)
【文献】特開2015-39276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/102
H02K 21/24
H02K 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる筒部と、前記筒部の軸方向の一方側を閉塞する第1蓋部と、前記筒部の軸方向の他方側を閉塞する第2蓋部とを有するケーシングと、
外周面が前記ケーシングの前記筒部の径方向内方に固定され、軸心部に軸方向に貫通する貫通孔を有する円環状のステータと、
前記ケーシングの前記筒部の径方向内方に配置され、前記ステータに対して相対回転可能に設けられるロータと、
を備え、
前記ロータは、
軸方向に延びるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入される回転シャフトと、
前記ステータを間に挟んで前記ステータの軸方向の両側に設けられ、前記回転シャフトに対して相対回転不能かつ軸方向にスライド可能に結合される、一対の円板と、
前記円板の軸方向の両端面のうち前記ステータと対向する端面に固定されるマグネットと、
前記回転シャフトの径方向外方に配置されるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入され、一対の前記円板を、互いに離れる方向に押圧する押圧部材と、
を有し、
前記ステータの軸方向の一方側に配置された前記円板と前記第1蓋部との間、および、前記ステータの軸方向の他方側に配置された前記円板と前記第2蓋部との間に位置する、一対の摩擦板
をさらに備える、ブレーキ付きモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ付きモータであって、
前記押圧部材の径方向外方、かつ前記マグネットの径方向内方に配置され、軸方向において一対の前記円板に挟まれ、軸心部に貫通孔を有するスペーサ
を備える、ブレーキ付きモータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のブレーキ付きモータであって、
前記摩擦板は、前記円板の軸方向の両端面のうち前記ステータと対向しない端面に固定される、ブレーキ付きモータ。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のブレーキ付きモータであって、
前記摩擦板は、前記第1蓋部の内側面、および前記第2蓋部の内側面に固定される、ブレーキ付きモータ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記ステータの外周面が、前記筒部の内周面に固定される、ブレーキ付きモータ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記ケーシングの内周面と、前記回転シャフトの外周面と、の間に配置される第1軸受を備える、ブレーキ付きモータ。
【請求項7】
請求項6に記載のブレーキ付きモータであって、
軸方向において、前記第1軸受と、前記蓋部の内側面との間に、隙間調整部材が備えられる、ブレーキ付きモータ。
【請求項8】
請求項2に記載のブレーキ付きモータであって、
前記ステータの前記貫通孔の内周面と、前記スペーサの外周面と、の間に配置される第2軸受を備える、ブレーキ付きモータ。
【請求項9】
請求項2に記載のブレーキ付きモータであって、
前記円板は、
軸心部を貫通する貫通孔と、
前記円板の前記貫通孔の内縁部から対をなす前記円板に向かって軸方向に延びるボス部と
を有し、
前記スペーサの前記貫通孔の内周面と、前記円板の前記ボス部の外周面との間に、前記スペーサと前記ボス部とが互いに摺動可能な隙間が介在する、ブレーキ付きモータ。
【請求項10】
請求項9に記載のブレーキ付きモータであって、
前記回転シャフトに取り付けられ、前記円板の、対をなす前記円板へ近づく方向への移動を規制する一対の止め輪
を有する、ブレーキ付きモータ。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記回転シャフトは、前記第1蓋部および前記第2蓋部を軸方向に貫通し、
前記回転シャフトは、軸心部を軸方向に貫通する中空部を有する、ブレーキ付きモータ。
【請求項12】
請求項2、請求項8、請求項9、および請求項10のいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記スペーサは樹脂材料からなる、ブレーキ付きモータ。
【請求項13】
請求項2、請求項8、請求項9、請求項10、および請求項12のいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記スペーサは、
前記ステータの前記貫通孔の内部に配置される小径部と、
前記小径部を間に挟んで前記小径部の軸方向の両側に設けられる大径部と、
を有し、
前記ステータへの通電時に、前記大径部と前記円板とが、接触する、ブレーキ付きモータ。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載のブレーキ付きモータであって、
前記第1蓋部を軸方向の一方側から被覆するとともに、電子機器を搭載するための内部空間を有する、カバー部材
を備え、
前記回転シャフトは、前記第1蓋部を軸方向に貫通し、
前記内部空間には、エンコーダ、センサ、およびドライバーの少なくともいずれかが搭載される、ブレーキ付きモータ。
【請求項15】
軸方向に延びる筒部と、前記筒部の軸方向の一方側を閉塞する蓋部とを有するケーシングと、
前記ケーシングの前記筒部の径方向内方の空間を、軸方向の一方側の第1空間と、軸方向の他方側の第2空間とに仕切る、仕切り部と、
前記第1空間に配置される電動機と、
前記第2空間に配置される遊星減速機構と、
を備え、
前記遊星減速機構は、
前記ケーシングの内周面に相対回転不能に固定され、内周部に内当接部を有する円環状の剛性リングと、
前記剛性リングの径方向内方に配置され、前記内当接部と接触する外当接部を有し、出力部材を取付け可能な取付部を有する、転動体と、
前記転動体の径方向内方に配置され、回転することによって、前記内当接部と前記外当接部との当接位置を周方向に変化させる入力部材と、
を有し、
前記電動機は、
外周面が前記ケーシングの前記筒部の径方向内方に固定され、軸心部に軸方向に貫通する貫通孔を有する円環状のステータと、
前記ステータに対して相対回転可能に設けられるロータと、
を備え、
前記ロータは、
軸方向に延びるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入される回転シャフトと、
前記ステータを間に挟んで前記ステータの軸方向の両側に設けられ、前記回転シャフトに対して相対回転不能かつ軸方向にスライド可能に結合される、一対の円板と、
前記円板の軸方向の両端面のうち前記ステータと対向する端面に固定されるマグネットと、
前記回転シャフトの径方向外方に配置されるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入され、一対の前記円板を、互いに離れる方向に押圧する押圧部材と、
を有し、
前記電動機は、
前記ステータの軸方向の一方側に配置された前記円板と前記蓋部との間、および、前記ステータの軸方向の他方側に配置された前記円板と前記仕切り部との間に位置する、一対の摩擦板
をさらに備え、
前記入力部材と前記回転シャフトとが相対回転不能に結合される、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項16】
請求項15に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記ロータは、
前記押圧部材の径方向外方、かつ前記マグネットの径方向内方に配置され、軸方向において一対の前記円板に挟まれ、軸心部に貫通孔を有するスペーサ
を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記摩擦板は、前記円板の軸方向の両端面のうち前記ステータと対向しない端面に固定される、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項18】
請求項15または請求項16に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記摩擦板は、前記蓋部の内側面、および、前記仕切り部の前記第1空間に露出している端面に、固定される、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項19】
請求項15から請求項18までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記ステータの外周面が、前記筒部の内周面に固定される、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項20】
請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記内当接部が内歯を有し、
前記外当接部が外歯を有し、
前記内歯と前記外歯とが噛み合う、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項21】
請求項20に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記剛性リングが内歯車であり、
前記転動体が遊星歯車であり、
前記入力部材が太陽歯車である、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項22】
請求項20に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記剛性リングが剛性内歯歯車であり、
前記転動体が可撓性外歯歯車であり、
前記入力部材が波動発生器である、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項23】
請求項20に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記剛性リングが剛性内歯歯車であり、
前記転動体が外歯歯車であり、
前記入力部材が入力部および偏心部である、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項24】
請求項15から請求項19までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記内当接部が摩擦面を有し、
前記外当接部が摩擦面を有し、
前記内当接部の前記摩擦面と、前記外当接部の前記摩擦面とが、面接触する、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項25】
請求項24に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記剛性リングがインタナルリングであり、
前記転動体が遊星ローラであり、
前記入力部材が太陽ローラである、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項26】
請求項16に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記ステータの前記貫通孔の内周面と、前記スペーサの外周面と、の間に配置される第2軸受を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項27】
請求項22に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記可撓性外歯歯車の径方向内方に、前記回転シャフトを回転可能に支持する第3軸受を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項28】
請求項15から請求項27までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記蓋部の内周面と、前記回転シャフトの外周面と、の間に配置される第1軸受を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項29】
請求項22または請求項27に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記取付部に取り付けられる円板状の被取付部と、
前記被取付部から軸方向の一方側へ向けて延びる軸部と、
を有する出力部材と、
前記ケーシングの前記筒部の内周面と、前記被取付部の外周面と、の間に配置される第4軸受と、
を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項30】
請求項29に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記入力部材の内周面と、前記出力部材の前記軸部の外周面と、の間に第5軸受が備えられる、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項31】
請求項15から請求項30までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記仕切り部の前記第2空間に露出する端面と、前記入力部材の軸方向の一方側の端面または前記入力部材の外周面と、の間にシール部材が備えられる、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項32】
請求項28に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
軸方向において、前記蓋部の内側面と、前記第1軸受と、の間に配置される隙間調整部材を備える、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項33】
請求項29に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記回転シャフトは、軸心部を軸方向に貫通する第1中空部を有し、前記仕切り部を軸方向に貫通し、
前記出力部材の前記軸部は、前記第1中空部に挿入され、
前記出力部材は、前記被取付部および前記軸部の軸心部を軸方向に貫通する第2中空部を有し、
前記軸部の軸方向の一方側の端部は、前記蓋部を軸方向に貫通している、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項34】
請求項16または請求項26に記載のブレーキ付き駆動装置であって、
前記スペーサは樹脂材料からなる、ブレーキ付き駆動装置。
【請求項35】
請求項15から請求項34までのいずれか1項に記載のブレーキ付き駆動装置を備える、ブレーキ付き車輪駆動装置であって、
前記出力部材の軸方向の他方側の端面に取付け可能な円環状のフランジ部と、
前記フランジ部の外縁から軸方向の一方側に向かって円筒状に延び、前記ケーシングの一部または全体を覆い、径方向外側に車輪を取付け可能な車輪取付部と、
を有するホイールをさらに備える、ブレーキ付き車輪駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキ機構を有するモータが知られている。この種のモータについては、例えば特開2015-39276号公報に開示されている。この特開2015-39276号公報に開示されたモータにおいて、ロータ(10)は、収容部材(13)とベース面(10a)の一部とが当接する位置と、摩擦部材(30)とディスク面(10b)とが接触する位置と、の間で軸支される。コイル(25)に通電していない状態では、付勢部材(16)がロータ(10)のベース面(10a)を上方に付勢して、ディスク面(10b)が摩擦部材(30)と接触する。これにより、コイル(25)への無通電時には、ロータ(10)は付勢部材(16)によって摩擦部材(30)に押し付けられてブレーキがかかった状態となる。
【0003】
一方、特開2015-39276号公報に開示されたモータにおいて、コイル(25)へ通電することでステータ(20)に発生する磁気吸引力によって、ロータ(10)はステータ(20)に引き寄せられて、ディスク面(10b)が摩擦部材(30)との接触から開放される。
【0004】
特開2015-39276号公報に開示されたモータによれば、モータの回転・停止と、ブレーキの切・入とを同時に実現することができる。
【文献】特開2015-39276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開2015-39276号公報に開示されたモータでは、ディスク面(10b)と摩擦部材(30)との接触面積が必ずしも十分ではなく、制動力が不足する場合があった。また、特開2015-39276号公報に開示されたモータでは、付勢部材(16)の反力が絶えず軸受部に作用するため、軸受部の回転抵抗がモータ効率の低下を招いてしまう点で、改善が望まれていた。さらに言えば、ロータ(10)をよりパワフルに回転させることができるモータが望まれていた。
【0006】
本発明は、小型でありながらパワフルに回転を出力可能であり、しかも優れた制動力を発揮することが可能な、ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、ケーシングと、ステータと、ロータと、一対の摩擦板とを備えるブレーキ付きモータが提供される。前記ケーシングは、軸方向に延びる筒部と、前記筒部の軸方向の一方側を閉塞する第1蓋部と、前記筒部の軸方向の他方側を閉塞する第2蓋部とを有する。前記ステータは、円環状であり、外周面が前記ケーシングの前記筒部の径方向内方に固定され、軸心部に軸方向に貫通する貫通孔を有する。前記ロータは、前記ケーシングの前記筒部の径方向内方に配置され、前記ステータに対して相対回転可能に設けられる。また、前記ロータは、回転シャフトと、一対の円板と、マグネットと、押圧部材とを有する。前記回転シャフトは、軸方向に延びるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入される。前記一対の円板は、前記ステータを間に挟んで前記ステータの軸方向の両側に設けられ、前記回転シャフトに対して相対回転不能かつ軸方向にスライド可能に結合される。前記マグネットは、前記円板の軸方向の両端面のうち前記ステータと対向する端面に固定される。前記押圧部材は、前記回転シャフトの径方向外方に配置されるとともに、前記ステータの前記貫通孔に挿入され、一対の前記円板を、互いに離れる方向に押圧する。そして、前記一対の摩擦板は、前記ステータの軸方向の一方側に配置された前記円板と前記第1蓋部との間、および、前記ステータの軸方向の他方側に配置された前記円板と前記第2蓋部との間に位置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の観点によれば、小型でありながらパワフルに回転を出力可能であり、しかも優れた制動力を発揮することが可能な、ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、通電時における第1実施形態に係るブレーキ付きモータの縦断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る回転シャフトと円板とを軸方向にみたときの模式図である。
図3図3は、通電遮断時における第1実施形態に係るブレーキ付きモータの縦断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係るブレーキ付きモータの縦断面図である。
図5図5は、第3実施形態に係るブレーキ付きモータの縦断面図である。
図6図6は、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置の縦断面図である。
図7図7は、第4実施形態に係る回転シャフトと円板と軸部とを軸方向にみたときの模式図である。
図8図8は、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置に備えられる遊星減速機構を、軸方向にみたときの模式図である。
図9図9は、第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置の縦断面図である。
図10図10は、第6実施形態に係るブレーキ付き駆動装置の縦断面図である。
図11図11は、第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置の縦断面図である。
図12図12は、第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置に備えられる遊星減速機構を、軸方向にみたときの模式図である。
図13図13は、第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置の縦断面図である。
図14図14は、第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置に備えられる遊星減速機構を、軸方向にみたときの模式図である。
図15図15は、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置の縦断面図である。
図16図16は、第9実施形態に係る回転シャフトと円板と入力部材とを軸方向にみたときの模式図である。
図17図17は、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置に備えられる遊星減速機構を、軸方向にみたときの模式図である。
図18図18は、第10実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置の縦断面図である。
図19図10は、第10実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置に備えられる遊星減速機構を、軸方向にみたときの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、ブレーキ付きモータの中心軸と平行な方向を「軸方向」、ブレーキ付きモータの中心軸に直交する方向を「径方向」、ブレーキ付きモータの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0012】
<1.第1実施形態>
<1-1.ブレーキ付きモータの全体構成>
以下では、図1から図3までを参照して、第1実施形態に係るブレーキ付きモータ100の全体的な構成について説明する。図1は、通電時におけるブレーキ付きモータ100の縦断面図である。図2は、第1実施形態に係るブレーキ付きモータ100の一部を軸方向にみたときの模式図である。図3は、通電遮断時におけるブレーキ付きモータ100の縦断面図である。
【0013】
本実施形態に係るブレーキ付きモータ100は、固定子と回転子の間における磁束の作用により、回転子を固定子に対して回転させて、この回転を出力するユニットである。また、後述するように、ブレーキ付きモータ100は、回転子の固定子に対する回転を停止させるブレーキ機構を備えている。ブレーキ付きモータ100は、ケーシング10と、固定子としてのステータ20と、回転子としてのロータ30と、スペーサ40と、一対の摩擦板50とを備える。
【0014】
<1-2.ケーシングの構成>
ケーシング10は、ブレーキ付きモータ100を構成するその他の部材を内部に収容する筐体である。ケーシング10は、筒部11と、第1蓋部13と、第2蓋部14とを有する。
【0015】
筒部11は、軸方向に延びる円筒状の部位である。本実施形態の筒部11は、軸方向の一方側と、軸方向の他方側とで、2つの部位に分割されている。この2つの部位は、ボルト等の締結部材12によって互いに固定される。
【0016】
第1蓋部13は、筒部11の軸方向の一方側の端部から径方向内方に広がる円板状の部位である。第1蓋部13は、ケーシング10内に収容される部材を、軸方向の一方側から覆う。すなわち、第1蓋部13は、筒部11の軸方向の一方側を閉塞する。
【0017】
第2蓋部14は、筒部11の軸方向の他方側の端部から径方向内方に広がる概ね円板状の部位である。第2蓋部14は、筒部11の軸方向の他方側を閉塞する。ただし、第2蓋部14は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔16を有する。貫通孔16には、後述する回転シャフト31が挿入される。
【0018】
<1-3.ステータの構成>
ステータ20は、積層鋼板部21と、ベース部22とを有する。積層鋼板部21は、中心軸Cを中心とする円環状の磁性体が、複数積層された積層構造体であり、軸心部が中空となっている。ベース部22は、概ね円環状の部位である。ベース部22の外周面は、積層鋼板部21の内周面に固定されている。図1には示していないが、ステータ20は複数のコイルを有する。各コイルは、その磁芯が中心軸Cと平行となる向きで、ステータ20に設けられる。ステータ20のベース部22は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔23を有する。貫通孔23の内周面は、軸方向にみて円形状である。
【0019】
ステータ20は、ケーシング10の筒部11の径方向内方に固定される。より具体的には、本実施形態では、積層鋼板部21の外周面が、筒部11の内周面に、例えば接着剤で固定される。ただし、ステータ20の筒部11に対する固定方法は、これに限定されない。例えば上記に代えてまたはこれに加えて、筒部11の内周面に積層鋼板部21の外周部が圧入されていてもよい。その場合、筒部11内周面に設けられた溝部15の溝底と、積層鋼板部21の外周面とは、必ずしも接触していなくてもよい。
【0020】
<1-4.ロータの構成>
ロータ30は、ステータ20と同軸上に配置され、ステータ20に対して相対回転可能に設けられる。ロータ30は、筒部11の径方向内方に配置される。詳細には、ロータ30は、回転シャフト31と、一対の円板32,32と、一対のマグネット33,33と、押圧部材34とを有する。
【0021】
回転シャフト31は、軸方向に延びる略円柱状の部材である。回転シャフト31は、ステータ20のベース部22の貫通孔23と、第2蓋部14の貫通孔16とに挿入される。図1および図2に示すように、回転シャフト31は、軸方向の一部分の外周面に、スプライン31sを有する。スプライン31sは、周方向に配列された複数の凹部および凸部を有する。複数の凹部および凸部は、それぞれ、軸方向に延びる。
【0022】
図1に示すように、一対の円板32,32は、ステータ20を間に挟んで、ステータ20の軸方向の両側に設けられる。図2に示すように、各円板32は、軸方向にみたときに略円環状である。各円板32は、回転シャフト31に対して相対回転不能、かつ、軸方向にスライド可能に結合される。具体的には、各円板32は、内周部にスプライン32sを有する。スプライン32sは、周方向に配列された複数の凹部および凸部を有する。複数の凹部および凸部は、それぞれ、軸方向に延びる。そして、各円板32のスプライン32sが、回転シャフト31のスプライン31sに係合される。図1に示すように、一対の円板32は、ステータ20を間に挟んで、ステータ20の径方向に延びる仮想直線を中心にして線対称な形状を有する。
【0023】
マグネット33は、各円板32の軸方向の両端面のうち、ステータ20と対向する端面に固定される。詳細には、マグネット33は、円板32の、対をなす円板32と対向する側の端面において、回転シャフト31よりも径方向外方に配置される。マグネット33は、周方向に沿って全周に固定される。マグネット33を軸方向にみたときの円環状の面は、周方向に沿ってN極とS極とが交互に配列された磁極面となっている。
【0024】
押圧部材34は、弾性部材である。具体的には、本実施形態の押圧部材34は、金属線を螺旋状に巻いたコイルスプリングである。図1に示すように、押圧部材34は、回転シャフト31の径方向外方に配置される。また、押圧部材34は、ステータ20のベース部22の貫通孔23内に挿入される。押圧部材34は、自然長よりも軸方向に圧縮された状態で、一対の円板32,32の間に配置された圧縮バネである。したがって、押圧部材34は、一対の円板32,32を、互いに離れる方向に押圧(加圧)する。
【0025】
<1-5.摩擦板の構成>
一対の摩擦板50,50は、樹脂材料からなる。摩擦板50は、軸方向に厚みを有する円環状の部材である。一方の摩擦板50は、軸方向において、ステータ20の軸方向の一方側に配置された円板32と、第1蓋部13との間に位置する。他方の摩擦板50は、軸方向において、ステータ20の軸方向の他方側に配置された円板32と、第2蓋部14との間に位置する。図1に示すように、一対の摩擦板50,50は、ステータ20を間に挟んで、ステータ20の径方向に延びる仮想直線を中心にして線対称に配置される。より具体的には、本実施形態の摩擦板50は、各円板32の軸方向の両端面のうちステータ20と対向しない端面に固定される。摩擦板50は、回転シャフト31と同軸上に配置される。
【0026】
<1-6.スペーサの構成>
スペーサ40は、小径部41と、一対の大径部42とを有する概ね円環状の部材である。スペーサ40は、押圧部材34の径方向外方、かつ、マグネット33の径方向内方に配置される。小径部41は、円筒状の部位であり、ステータ20のベース部22の貫通孔23内に配置される。詳細には、押圧部材34の径方向外方に小径部41が配置され、小径部41のさらに径方向外方に第2軸受39が配置され、第2軸受39のさらに径方向外方にベース部22が配置される。一対の大径部42は、間に小径部41を挟んで、小径部41の軸方向の両側に配置される。大径部42は、円環状の部位である。大径部42と小径部41とは同軸上に位置し、相対回転不能に結合される。各大径部42の、軸方向においてベース部22に対向する側とは反対側の各端面は、中心軸Cに対して垂直で、互いに平行な平面状となっている。この平面状の端面に、円板32の端面が面接触可能である。
【0027】
スペーサ40は、軸方向において一対の円板32,32に挟まれる。スペーサ40は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔を有する。この貫通孔内に、間に押圧部材34を介在させて、回転シャフト31が挿入される。
【0028】
以上に示したように、第1実施形態に係るブレーキ付きモータ100は、ケーシング10と、固定子としてのステータ20と、回転子としてのロータ30と、一対の摩擦板50とを備える。また、ロータ30は、回転シャフト31と、一対の円板32,32と、一対のマグネット33と、押圧部材34とを有する。このような構成のブレーキ付きモータ100において、上記コイルに通電すると、ステータ20が磁束を帯び、マグネット33をステータ20の側へ引き寄せる吸引力が発生する。吸引力が押圧部材34の押圧力よりも強くなることで、図1に示すようにマグネット33がステータ20の側へ移動する。そして、ステータ20の磁束変化に従いロータ30が周方向に回転する。
【0029】
一方、ブレーキ付きモータ100への通電を遮断すると、ステータ20とマグネット33との間の吸引力が無くなる。このため、図3のように、押圧部材34の押圧力に従って円板32,32が互いに離れる方向へ移動して、ケーシング10の内側面に接触する。その結果、摩擦板50,50とケーシング10の内側面との間に発生する制動力で、ロータ30の回転が規制される。このように、少ない部品点数で、モータの回転・停止と、ブレーキのオンオフとを同時に実現することができ、ひいてはブレーキ付きモータ100の小型化・軽量化や製造コスト低減に寄与することができる。
【0030】
しかも、本実施形態のブレーキ付きモータ100では、ステータ20の片側だけではなく、ステータ20の軸方向の両側に一対の円板32(マグネット33)が配置されるので、パワフルに回転を出力可能である。さらに、ケーシング10の片側の内側面だけではなく、両側の内側面に一対の摩擦板50が備えられるので、優れた制動力を発揮することが可能である。
【0031】
さらに、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100は、スペーサ40を備える。これにより、ステータ20の磁束変化に従いロータ30が周方向に回転するときの、マグネット33とステータ20との間の軸方向における距離を安定的に保つことができる。よって、ロータ30を効率よく回転させることができる。
【0032】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、摩擦板50は、円板32の軸方向の両端面のうちステータ20と対向しない端面に固定される。これにより、マグネット33と摩擦板50とを、いずれも、円板32の径方向外側の端面に配置することができる。したがって、マグネット33の磁極面の面積を広くとることができるとともに、摩擦板50の径も大きくしてロータ30のイナーシャ(慣性)を大きくすることができる。その結果、よりパワフルな回転を出力でき、かつ、周方向への回転の安定性を向上することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、ステータ20の外周面が、筒部11の内周面に固定される。これにより、ステータ20の軸方向の両側に、円板32を配置するためのスペースを確保し易くなる。その結果、ケーシング10内に各部材を合理的にレイアウトできる。
【0034】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、ケーシング10の内周面と、回転シャフト31の外周面と、の間に第1軸受61が配置される。詳細には、第1軸受61は、転がり玉軸受であり、内輪が回転シャフト31の外周面に固定され、外輪が第1蓋部13および第2蓋部14の各ケーシング10の内周面に固定される。一対の第1軸受61のうち、軸方向の一方側の第1軸受61の軸方向の他方側の端面は、ケーシング10の内側面よりも、軸方向の一方側に入り込んだ位置に配置される。また、一対の第1軸受61のうち、軸方向の他方側の第1軸受61の軸方向の一方側の端面は、ケーシング10の内側面よりも、軸方向の他方側に入り込んだ位置に配置される。これにより、円板部32と第1軸受61とは常に非接触状態にあるため、押圧部材34の押圧力は、第1軸受61には少なくとも常には作用しない。よって、第1軸受61の回転抵抗がモータ効率の低下を招く、といった事態が生じない。
【0035】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、ステータ20のベース部22の貫通孔23の内周面と、スペーサ40の小径部41の外周面と、の間に第2軸受39が備えられる。第2軸受39は、転がり玉軸受であり、内輪がスペーサ40の小径部41の外周面に固定され、外輪がステータ20のベース部22の貫通孔23の内周面に固定される。これにより、第2軸受39によって、ステータ20とスペーサ40との軸方向および径方向における位置関係が保たれる。別の言い方をすれば、ステータ20に対してスペーサ40が位置決めされる。
【0036】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、スペーサ40は樹脂材料からなる。よって、モータの起動時や停止時に、ロータ30の軸方向への移動に伴い発生する衝撃音を低減することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ100においては、スペーサ40は、小径部41と、大径部42とを有する。ステータ20への通電時に、大径部42の平面状の端面と、円板32の端面とが面接触する。このように、大径部42の端面と、円板32の端面とが接触することにより、ロータ30の姿勢、すなわちロータ30の軸心に対する直角度を、適切な状態に保ち易くなる。
【0038】
<2.第2実施形態>
以下では、図4を参照して、第2実施形態に係るブレーキ付きモータ200の構成について説明する。図4は、第2実施形態に係るブレーキ付きモータ200の縦断面図である。なお、以下では、第1実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第2実施形態に係るブレーキ付きモータ200が第1実施形態に係るブレーキ付きモータ100と異なる点は、主として、(1)摩擦板50に代えて摩擦板150を備える点、(2)円板32に代えて円板132を備える点、(3)第2軸受39を備えていない点、および(4)止め輪138を備えている点である。
【0039】
本実施形態に係るブレーキ付きモータ200は、一対の摩擦板150,150を備える。摩擦板150は、第1蓋部13の内側面、および第2蓋部14の内側面に固定される。摩擦板150は、円環状であり、軸方向に一定の厚みを有する。摩擦板150は、樹脂材料からなる。摩擦板150は、回転シャフト31と同軸上に配置される。このように、本実施形態に係るブレーキ付きモータ200は、ケーシング10に固定された摩擦板150を備えている。これにより、ロータ30のイナーシャ(慣性)が小さくなり、ブレーキ付きモータ200のブレーキのオンオフによる起動・停止の応答性を向上することができる。
【0040】
一対の円板132,132は、ステータ20を間に挟んで、ステータ20の軸方向の両側に設けられる。各円板132は、軸方向にみたときに略円環状である。円板132は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔133を有する。また、円板132は、スプライン31sの径方向外方において対をなす円板132に向かって軸方向に延びるボス部134を有する。図4には表れていないが、スペーサ40の貫通孔の内周面と、円板132のボス部134の外周面との間には、スペーサ40とボス部134とが互いに摺動可能な隙間が介在する。また、ステータ20のベース部22の内周面と、スペーサ40の小径部41の外周面と、の間には、ステータ20に対してスペーサ40が周方向に回転可能な隙間が介在する。斯かる構成により、本実施形態に係るブレーキ付きモータ200においては、第2軸受39を用いずにスペーサ40をステータ20に対して回転可能にすることができている。
【0041】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ200は、回転シャフト31に取り付けられる一対の止め輪138,138を有する。一対の止め輪138,138は、軸方向に間隔をおいて回転シャフト31に取り付けられる。止め輪138は、円板132の、対をなす円板132へ近づく方向への移動を規制する。本実施形態に係るブレーキ付きモータ200は、斯かる構成により、ステータ20に対するロータ30(円板132)の軸方向における位置決めを行う。
【0042】
また、本実施形態に係るブレーキ付きモータ200では、軸方向において、第1軸受61と、第1蓋部13の内側面との間に、隙間調整部材162が備えられる。これにより、組立後にステータ20に対するロータ30の軸方向の位置を調整できるので、ブレーキ付きモータ200の各部材間の組付け精度を向上させることができる。
【0043】
<2-1.第2実施形態の変形例>
図4に示した例では、回転シャフト31は、第1蓋部13を貫通していなかった。しかしながら、これに代えて、回転シャフトが第1蓋部および第2蓋部を軸方向に貫通していてもよい。その場合、回転シャフトは、軸心部を軸方向に貫通する中空部を有していてもよい。斯かる構成とした場合、外部の電源と、ステータ20に巻かれたコイルと、を接続する配線や、その他の配線を、上記中空部に挿入することができる。よって、種々の配線の配策が容易となる。
【0044】
<3.第3実施形態>
以下では、図5を参照して、第3実施形態に係るブレーキ付きモータ300の構成について説明する。図5は、第3実施形態に係るブレーキ付きモータ300の縦断面図である。なお、以下では、第1~第2実施形態に示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第2実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第3実施形態に係るブレーキ付きモータ300が第1~第2実施形態に係るブレーキ付きモータ100,200と異なる点は、主として、(1)カバー部材310を備える点、および(2)カバー部材310の内部空間に電子機器が搭載される点である。
【0045】
カバー部材310は、軸方向に延びる円筒状の胴部311と、胴部311の軸方向の一方側の端部から径方向内方に広がる円板状の閉塞部312とを備えている。胴部311の軸方向の他方側の端部は、第1蓋部13の外周面に接続される。これにより、カバー部材310は、第1蓋部13を軸方向の一方側から被覆する。カバー部材310は、内部に、電子機器を収容するための内部空間S0を有する。
【0046】
回転シャフト31は、第1蓋部13を軸方向に貫通する。回転シャフト31の軸方向の一方側の端部には、エンコーダ320が取り付けられる。エンコーダ320は、内部空間S0に収容される。なお、図5には示していないが、歪みセンサ等のセンサや、ドライバー等も、内部空間S0に収容されていてもよい。
【0047】
以上に示したように、第3実施形態に係るブレーキ付きモータ300は、カバー部材310を備える。また、カバー部材310の内部空間S0には、エンコーダ320等が搭載される。これにより、回転シャフト31の端部のうち、トルクが作用する側とは反対側の、荷重が作用しにくい端部に、エンコーダ320等の電子機器が搭載される。そのため、機械的強度が不足する虞が少ない。また、エンコーダ320等の電子機器に関わる配線をカバー部材310近傍にまとめることができる。その結果、配策が煩雑になってしまうことを回避でき、さらなる軽量化や製造コスト低減が期待できる。
【0048】
<4.第4実施形態>
以下では、図6を参照して、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400の構成について説明する。図6は、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400の縦断面図である。図7は、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400の一部を軸方向にみたときの模式図である。図8は、第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400に備えられる遊星減速機構を軸方向にみたときの断面図である。
【0049】
なお、以下では、第1~第3実施形態に示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第3実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0050】
本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400は、電動機401と遊星減速機構459とを備える。電動機401は、固定子と回転子の間における磁束の作用により、回転子を固定子に対して回転させて、その回転を遊星減速機構459へ入力する。遊星減速機構459は、入力された回転を減速して出力する。また、ブレーキ付き駆動装置400は、回転子の固定子に対する回転を停止させるブレーキ機構を備えている。ブレーキ付き駆動装置400は、ケーシング410と、仕切り部419とを備える。
【0051】
<4-1.ケーシングおよび仕切り部の構成>
ケーシング410は、ブレーキ付き駆動装置400を構成するその他の部材を内部に収容する筐体である。ケーシング410は、第1筒部(筒部)411と第2筒部(筒部)412と、鍔部414と、蓋部413とを有する。
【0052】
第1筒部411は、軸方向に延びる円筒状の部位である。第2筒部412は、軸方向に延びる円筒状の部位である。第2筒部412の径方向の寸法は、第1筒部411の径方向の寸法よりも小さい。蓋部413は、第1筒部411の軸方向の一方側を閉塞する。蓋部413は、軸方向にみたときに略円板状である。蓋部413は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔を有する。この貫通孔に、後述する軸部492の軸方向の一方側の端部が挿入される。
【0053】
第2筒部412の軸方向の一方側の端部からは、径方向外方に向かって、鍔部414が広がっている。鍔部414は、軸方向にみたときに正方形状である。鍔部414の軸方向の一方側の端面と、第1筒部411の軸方向の他方側の端面とが、重ね合わされて、ボルト等の締結部材415で互いに固定される。鍔部414の軸方向の一方側の端面には、略円板状の仕切り部419の外周部が固定される。仕切り部419は、軸方向にみたときに円板状である。仕切り部419は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔を有する。
【0054】
仕切り部419は、ケーシング410の第1筒部411、第2筒部412の径方向内方の空間を、軸方向の一方側の第1空間S1と、軸方向の他方側の第2空間S2とに仕切る。第1空間S1には、ブレーキ付き駆動装置400の電動機401およびブレーキ機構が配置される。第2空間S2には、ブレーキ付き駆動装置400の遊星減速機構459が配置される。
【0055】
<4-2.遊星減速機構の構成>
ブレーキ付き駆動装置400の遊星減速機構459は、波動歯車式の減速機構である。具体的には、この遊星減速機構459は、剛性内歯歯車(剛性リング)460と、可撓性外歯歯車(転動体)470と、波動発生器(入力部材)480と、出力部材490とを備える。
【0056】
剛性内歯歯車460は、円環状であり、ケーシング410の第2筒部412の内周面に相対回転不能に固定される。剛性内歯歯車460の内周部は、内歯(内当接部)461を有する。内歯は、周方向に一定のピッチで複数配列される。
【0057】
本実施形態の可撓性外歯歯車470は、可撓性歯部471と、取付部472とを有するカップ状である。可撓性外歯歯車470は、剛性内歯歯車460の径方向内方に配置される。
【0058】
可撓性歯部471は、非真円(楕円)状に撓み変形可能な部位である。可撓性歯部471の剛性は、剛性内歯歯車460の剛性と比べて、はるかに小さい。すなわち、剛性内歯歯車460は実質的に剛体とみなすことができる。図8に示すように、可撓性歯部471は、円筒状であり、外周部に外歯(外当接部)473を有する。外歯473は、周方向に一定のピッチで複数配列される。外歯473は、内歯461と噛合い(接触)可能である。外歯473の歯数は、内歯461の歯数とは僅かに異なる。
【0059】
可撓性外歯歯車470の筒状の部分の、軸方向において可撓性歯部471とは反対側(他方側)の端部からは、径方向内方に向かってダイヤフラム部が広がる。図6に示すように、ダイヤフラム部のさらに径方向内方には、軸方向に厚みを有する円環状の取付部472が配置される。取付部472の剛性は、可撓性歯部471の剛性よりもはるかに大きい。取付部472に、後述する出力部材490を取付け可能である。
【0060】
波動発生器480は、可撓性外歯歯車470の可撓性歯部471の径方向内方に配置される。具体的には、波動発生器480は、楕円カム481および可撓性転がり玉軸受482等により構成される。
【0061】
出力部材490は、被取付部491と、軸部492とを有する。被取付部491は、概ね円板状の部位である。被取付部491の軸方向の一方側の端面が、取付部472に対して固定されることにより、被取付部491が取付部472に取り付けられる。軸部492は、軸方向に延びる円筒状の部位である。軸部492は、被取付部491と同軸上に設けられる。軸部492は、被取付部491の軸方向の一方側の端面から、軸方向の一方側へ向けて延びる。本実施形態では、被取付部491と軸部492とは単一の部材である。軸部492は、後述する回転シャフト431の径方向内方に配置される。
【0062】
以上のような構成の遊星減速機構459において、回転シャフト431が中心軸Cの周りを回転すると、波動発生器480の楕円カム481も、これと同一の回転数で回転する。これにより、楕円カム481の楕円の長軸の位置が、周方向に変位する。これに伴い、可撓性転がり玉軸受482を介して、可撓性外歯歯車470の可撓性歯部471が、楕円状に撓み変形する。すると、前記楕円の長軸の位置において、外歯473と内歯461とが部分的に噛み合う。回転シャフト431の回転に伴って、可撓性外歯歯車470と剛性内歯歯車460との噛合い位置(当接位置)は、中心軸Cを中心に、周方向に変化する。ここで、外歯473と内歯461とは歯数が異なるため、噛合い位置が1周するごとに、剛性内歯歯車460に対して可撓性外歯歯車470が、歯数差の分だけ相対回転する。可撓性外歯歯車470が相対回転すると、当該可撓性外歯歯車470の取付部472に取り付けられた出力部材490も、可撓性外歯歯車470と同じ回転数で回転する。こうして、減速後の回転が出力される。
【0063】
<4-3.電動機およびブレーキ機構の構成>
ブレーキ付き駆動装置400の電動機401は、ステータ20と、ロータ30と、一対の摩擦板150,150と、スペーサ40と、隙間調整部材162と、カバー部材310と、エンコーダ320とを備える。ロータ30は、回転シャフト431と、一対の円板32,32と、マグネット33,33と、押圧部材34とを有する。
【0064】
回転シャフト431は、軸方向に延びる略円筒状の部位である。回転シャフト431は、ブレーキ付き駆動装置400の中心軸Cと同軸上に配置される。図7に示すように、回転シャフト431は、軸方向の一部分の外周面に、スプライン431sを有する。
【0065】
図6に示すように、波動発生器480の楕円カム481と、回転シャフト431とは、同軸上で、相対回転不能に結合される。本実施形態では、楕円カム481と回転シャフト431とは単一の部材である。
【0066】
このような構成のブレーキ付き駆動装置400において、電動機401のコイルに通電すると、ステータ20が磁束を帯び、マグネット33をステータ20の側へ引き寄せる吸引力が発生する。吸引力が押圧部材34の押圧力よりも強くなることで、マグネット33がステータ20の側へ移動する。そして、ステータ20の周方向への磁束変化に従いロータ30が回転する。このときの様子を、図6の紙面において中心軸Cよりも上側に示している。ロータ30の回転は、波動発生器480の楕円カム481へと入力される。そして、ロータ30の回転は、遊星減速機構459で減速されて、出力部材490の回転として出力される。
【0067】
一方、電動機401の上記コイルへの通電を遮断すると、ステータ20とマグネット33との間の吸引力が無くなる。このため、押圧部材34の押圧力に従って円板32が互いに離れる方向へ移動して、ケーシング410の蓋部413の内側面、および、仕切り部419の端面のそれぞれに固定された摩擦板150に接触する。このときの様子を、図6の紙面において中心軸Cよりも下側に示している。その結果、摩擦板150と円板32との間に発生する制動力で、ロータ30の回転が規制される。これに伴い、波動発生器480の回転が速やかに停止し、出力部材490の回転が規制される。このように、少ない部品点数で、電動機401の回転・停止と、ブレーキのオンオフとを同時に実現することができ、ひいてはブレーキ付き駆動装置400の小型化・軽量化や製造コスト低減に寄与することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400は、スペーサ40を備える。これにより、ステータ20の磁束変化に従いロータ30が周方向に回転するときの、マグネット33同士の間の軸方向における距離を安定的に保つことができる。よって、ロータ30を効率よく回転させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、摩擦板150は、蓋部413の内側面、および、仕切り部419の第1空間S1に露出している端面に、固定される。これにより、ロータ30のイナーシャを小さくして、ブレーキ付き駆動装置400のブレーキのオンオフによる起動・停止の応答性を向上することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、ステータ20の外周面が、第1筒部411の内周面に固定される。これにより、ステータ20の軸方向の両側に、円板32を配置するためのスペースを確保し易くなる。その結果、ケーシング410内に各部材を合理的にレイアウトできる。
【0071】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、内当接部としての内歯461と、外当接部としての外歯473とが噛み合う。これにより、歯車式の遊星減速機構で、精度よく、回転シャフト431の回転を減速することができる。
【0072】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、剛性リングが剛性内歯歯車460であり、転動体が可撓性外歯歯車470であり、入力部材が波動発生器480である。これにより、減速比が大きい割に、部品点数が少なくすることができ、小型化・軽量化が可能になる。
【0073】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、ステータ20のベース部22の貫通孔23の内周面と、スペーサ40の小径部41の外周面と、の間に配置される第2軸受39を備える。これにより、第2軸受39によって、ステータ20とスペーサ40との軸方向および径方向における位置関係が保たれる。
【0074】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、可撓性外歯歯車470の径方向内方に、回転シャフト431を回転可能に支持する第3軸受375が備えられる。これにより、回転シャフト431を回転可能に支持する第3軸受375を、可撓性外歯歯車470の径方向内方に配置することで、スペースを有効活用して、ブレーキ付き駆動装置400をより小型化することが可能となる。また、押圧部材34の押圧力は、第3軸受375には作用しない。よって、第3軸受375の回転抵抗がモータ効率の低下を招く、といった事態が生じない。
【0075】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400は、蓋部413の内周面と、回転シャフト431の外周面と、の間に配置される第1軸受61を備える。これにより、押圧部材34の押圧力は、第1軸受61には少なくとも常には作用しない。よって、第1軸受61の回転抵抗がモータの効率の低下を招く、といった事態が生じない。
【0076】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400は、出力部材490と、第4軸受494とを備える。第4軸受494は、ケーシング410の第2筒部412の内周面と、出力部材490の被取付部491の外周面と、の間に配置される。これにより、出力部材490を、ケーシング410の径方向内方に嵌め込んだ状態に取り付けることができ、ブレーキ付き駆動装置400をより薄型化することが可能となる。第4軸受494には、例えばクロスローラベアリングが用いられる。
【0077】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400は、波動発生器480の楕円カム481の内周面と、出力部材490の外周面と、の間に第5軸受375を備える。よって、波動発生器480を、第1軸受61だけではなく、第5軸受375によっても支持することで、回転シャフト431の回転をより安定化させることができる。その結果、効率よくロータ30を回転させることができる。なお、本実施形態では、第3軸受375が第5軸受375を兼ねている。
【0078】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、仕切り部419の第2空間S2に露出する面と、楕円カム481の軸方向の一方側の端面と、の間にシール部材417が備えられる。これにより、遊星減速機構459を潤滑するために第2空間S2内に供給された潤滑油が、第1空間S1にまで至ってしまうことを、防止することができる。
【0079】
さらに、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、軸方向において、蓋部413の内側面と、第1軸受61と、の間に隙間調整部材162が備えられる。これにより、ブレーキ付き駆動装置400の各部材間の組付け精度を向上させることができる。
【0080】
さらに、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、回転シャフト431は、軸心部を軸方向に貫通する第1中空部431aを有する。回転シャフト431は、仕切り部419を軸方向に貫通する。出力部材490の軸部492は、上記第1中空部431aに挿入される。また、出力部材490は、被取付部491および軸部492の軸心部を軸方向に貫通する第2中空部490aを有する。軸部492の軸方向の一方側の端部は、蓋部413を軸方向に貫通する。これにより、外部の電源と、ステータ20に巻かれたコイルと、を接続する配線や、その他の配線を、第2中空部490aに挿入することができる。よって、種々の配線の配策が容易となる。
【0081】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400においては、スペーサ40は樹脂材料からなる。これにより、電動機401の起動時や停止時に、ロータ30の軸方向の移動に伴い発生する衝撃音を低減することができる。
【0082】
<5.第5実施形態>
以下では、図9を参照して、第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置500の構成について説明する。図9は、第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置500の縦断面図である。なお、以下では、第1~第4実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第4実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置500が第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400と異なる点は、主として、(1)カバー部材310を備えている点、および(2)エンコーダ320等の電子機器をカバー部材310内に備えている点である。
【0083】
第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置500においても、ステータ20の軸方向の両側に一対の円板32,32が配置されるので、パワフルに回転を出力可能である。さらに、1つだけではなく一対の摩擦板150が備えられるので、優れた制動力を発揮することが可能である。
【0084】
<6.第6実施形態>
以下では、図10を参照して、第6実施形態に係るブレーキ付き駆動装置600の構成について説明する。図10は、第6実施形態に係るブレーキ付き駆動装置600の縦断面図である。なお、以下では、第1~第5実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第5実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第6実施形態に係るブレーキ付き駆動装置600が第5実施形態に係るブレーキ付き駆動装置500と異なる点は、主として、第4軸受494が転がり玉軸受である点と、第6軸受499が備えられる点と、である。
【0085】
本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置600において、出力部材490の軸部492の軸方向の一方側の端部は、回転シャフト431の軸方向の一方側の端部よりも、軸方向の一方側に延びている。そして、第1軸受61よりも軸方向の一方側の位置において、出力部材490の軸部492と、蓋部413の内周面との間に、第6軸受499が設けられる。詳細には、第6軸受499は、転がり玉軸受であり、内輪が軸部492の外周面に固定され、外輪が蓋部413の内周面に固定される。
【0086】
本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置600においては、軸方向に間隔をおいて配置される第4軸受494と第6軸受499とにより、出力部材490が安定的に支持される。
【0087】
<7.第7実施形態>
以下では、図11および図12を参照して、第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置700の構成について説明する。図11は、第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置700の縦断面図である。図12は、第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置700に備えられる遊星減速機構を軸方向にみたときの断面図である。
【0088】
なお、以下では、第1~第6実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第6実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第7実施形態に係るブレーキ付き駆動装置700が第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400と異なる点は、主として、遊星減速機構459に代えて遊星減速機構759を備えている点である。
【0089】
遊星減速機構759は、偏心揺動式の減速機構である。具体的には、この遊星減速機構759は、剛性内歯歯車(剛性リング)760と、外歯歯車(転動体)770と、入力部780と、出力部材490とを備える。
【0090】
入力部780は、ブレーキ付き駆動装置700の中心軸Cを中心として軸方向に延びる、略円筒状の部位である。入力部780は、回転シャフト431と同軸上に、回転シャフト431に対して相対回転不能に結合される偏心部781を備える。本実施形態では、回転シャフト431と偏心部781とは単一の部材である。
【0091】
偏心部781は、回転シャフト431と同一回転数で、回転シャフト431とともに回転する部位である。偏心部781は、入力部780の軸方向の他方側に設けられる。偏心部781は、中心軸Cから外れた位置で中心軸Cと平行に延びる偏心軸Dを中心とする、円筒状の外周面を有する。入力部780が中心軸Cを中心として回転すると、偏心軸Dの位置が、中心軸Cを中心として周方向に移動する。このとき、偏心部781が、中心軸Cを中心として回転する。
【0092】
なお、本実施形態では、2つの偏心部781が軸方向に並んで設けられている。2つの偏心部781の偏心軸Dの位置は、中心軸Cに対して互いに回転対称に配置される。これにより、偏心部781の回転による重心の揺らぎを抑制できる。
【0093】
本実施形態の剛性内歯歯車760は、第2筒部412の一部である。剛性内歯歯車760は、円環状である。剛性内歯歯車760の内周部は、内歯(内当接部)761を有する。内歯761は、周方向に一定のピッチで複数配列される。
【0094】
外歯歯車770は、軸方向に一定の厚みを有する円環状である。外歯歯車770は、剛性内歯歯車760の径方向内方、かつ、入力部780および偏心部781の径方向外方に配置される。偏心部781と外歯歯車770の間には、軸受775が介在する。外歯歯車770は、軸受775によって、偏心軸Dを中心として回転可能に支持される。外歯歯車770の外周部は、外歯(外当接部)771を有する。外歯771は、周方向に一定のピッチで複数配列される。外歯771の歯数は、内歯761の歯数とは僅かに異なる。
【0095】
外歯歯車770は、複数の貫通孔(取付部)772を有する。各貫通孔772は、外歯歯車770を軸方向に貫通する。複数の貫通孔772は、偏心軸Dを中心として、周方向に等間隔に並んでいる。
【0096】
入力部780が中心軸Cを中心として回転すると、外歯歯車770は、偏心軸Dとともに中心軸C周りを公転する。この際、外歯歯車770は、外歯771と内歯761との噛合い位置を、周方向に変化させながら公転する。この際、外歯歯車770の1公転ごとに、剛性内歯歯車760の同じ位置の内歯761に噛み合う外歯771の位置が、歯数差の分だけずれる。これに伴い、外歯歯車770の貫通孔772の位置が、減速された回転数で回転する。
【0097】
複数のキャリアピン773の軸方向の他方側の端部は、被取付部491に固定される。詳細には、複数のキャリアピン773は、被取付部491の中心軸Cを中心として周方向に等間隔に固定される。これにより、出力部材490が構成されている。複数のキャリアピン773はそれぞれ、外歯歯車770の貫通孔772に、間隙を有する状態で挿入される。これにより、外歯歯車770が、減速後の回転数で自転すると、キャリアピン773が貫通孔772の内周面に押されることによって、被取付部491も、中心軸Cを中心として、減速後の回転数で回転する。そのため、出力部材490も減速後の回転数で回転する。
【0098】
このような構成のブレーキ付き駆動装置700においても、摩擦板150と円板32との間に発生する制動力で、ロータ30の回転が規制されるとともに、入力部780の回転が速やかに停止し、出力部材490の回転が規制される。このように、少ない部品点数で、電動機701の回転・停止と、ブレーキのオンオフとを同時に実現することができ、ひいてはブレーキ付き駆動装置700の小型化・軽量化や製造コスト低減に寄与することができる。
【0099】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置700においては、剛性リングが剛性内歯歯車760であり、転動体が外歯歯車770であり、入力部材が入力部780および偏心部781である。斯かる構成によれば、減速比が大きく、しかも剛性が高いので、減速機構の小型化が可能になる。
【0100】
<8.第8実施形態>
以下では、図13および図14を参照して、第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800の構成について説明する。図13は、第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800の縦断面図である。図14は、第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800に備えられる遊星減速機構を軸方向にみたときの断面図である。
【0101】
なお、以下では、第1~第7実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第7実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。第8実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800が第4実施形態に係るブレーキ付き駆動装置400と異なる点は、主として、遊星減速機構459に代えて遊星減速機構859を備えている点である。
【0102】
遊星減速機構859は、遊星摩擦式の減速機構である。具体的には、この遊星減速機構859は、インタナルリング(剛性リング)860と、複数の遊星ローラ(転動体)870と、太陽ローラ(入力部材)880と、出力部材490とを備える。
【0103】
太陽ローラ880は、回転シャフト431と同軸上に配置された、略円筒状の部位である。本実施形態では、太陽ローラ880と回転シャフト431とは単一の部材である。
【0104】
複数の遊星ローラ870は、太陽ローラ880の径方向外方において、太陽ローラ880の周囲に配置される。本実施形態では、太陽ローラ880の周囲に、5個の遊星ローラ870が等間隔に配置されている。ただし遊星減速機構459が有する遊星ローラ870の数は、2~4個であってもよく、6個以上であってもよい。
【0105】
遊星ローラ870は、円板部871と、肩部872とを有する。円板部871は、軸方向に対して垂直に広がる円板状である。肩部872は、円板部871の軸方向の両側に設けられる。肩部872は、円板部871に近づくにつれて径方向の寸法が拡大するテーパ状の外周面を有する。肩部872の径方向の寸法は、円板部871の径方向の寸法よりも小さい。肩部872は、円板部871と同軸上に配置される。遊星ローラ870の円板部871の外周面は、太陽ローラ880の外周面と接触する。
【0106】
インタナルリング860は、軸方向において、2つの肩部872に対応する位置に一対に設けられる。軸方向の一方側のインタナルリング860の内周面は、軸方向の一方側に向かうにつれて収束するテーパ状である。軸方向の他方側のインタナルリング860の内周面は、軸方向の他方側に向かうにつれて収束するテーパ状である。インタナルリング860の内周面は、遊星ローラ870の肩部872の外周面と接触する。
【0107】
このように、複数の遊星ローラ870は、それぞれ、太陽ローラ880およびインタナルリング860の双方と、常に接触する。このため、太陽ローラ880が回転すると、複数の遊星ローラ870は、太陽ローラ880からの動力を受け、太陽ローラ880との間の摩擦によって回転する。また、複数の遊星ローラ870は、インタナルリング860との摩擦により、インタナルリング860に沿って、太陽ローラ880の周囲を公転する。このとき、遊星ローラ870の公転の回転数は、太陽ローラ880の自転の回転数よりも小さくなる。
【0108】
複数のキャリアピン874の軸方向の他方側の端部は、被取付部491に固定される。詳細には、複数のキャリアピン874は、被取付部491の中心軸Cを中心として周方向に等間隔に固定される。これにより、出力部材490が構成されている。遊星ローラ870は、軸心部に、軸方向に貫通する貫通孔873を有する。貫通孔873には、軸方向に延びる円柱状のキャリアピン874が挿入される。遊星ローラ870が、減速後の回転数で公転すると、被取付部491も減速後の回転数で回転する。そのため、出力部材490も減速後の回転数で回転する。
【0109】
このような構成のブレーキ付き駆動装置800においても、摩擦板150と円板32との間に発生する制動力で、ロータ30の回転が規制されるとともに、太陽ローラ880の回転が速やかに停止し、出力部材490の回転が規制される。このように、少ない部品点数で、電動機801の回転・停止と、ブレーキのオンオフとを同時に実現することができ、ひいてはブレーキ付き駆動装置800の小型化・軽量化や製造コスト低減に寄与することができる。
【0110】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800においては、インタナルリング860が内当接部としての摩擦面860aを有し、遊星ローラ870が外当接部としての摩擦面870aを有する。そして、内当接部としての摩擦面860aと、外当接部としての摩擦面870aとが、面接触する。これにより、歯車が噛み合うときのような騒音のない、静粛なブレーキ付き駆動装置800を実現できる。
【0111】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800においては、剛性リングがインタナルリング860であり、転動体が遊星ローラ870であり、入力部材が太陽ローラ880である。これにより、汎用の工作機械を用いてブレーキ付き駆動装置800の遊星減速機構859を構成することができるので、加工コストを抑えて納期短縮を実現することが可能となる。
【0112】
また、本実施形態に係るブレーキ付き駆動装置800においては、仕切り部419の第2空間S2に露出する端面と、太陽ローラ(入力部材)880の外周面と、の間に、シール部材417が備えられる。これにより、遊星減速機構859を潤滑するために第2空間S2内に供給された潤滑油が、第1空間S1にまで至ってしまうことを、防止することができる。
【0113】
<9.第9実施形態>
以下では、図15から図17までを参照して、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900の構成について説明する。図15は、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900の縦断面図である。図16は、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900の一部を軸方向にみたときの模式図である。図17は、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900に備えられる遊星減速機構959を軸方向にみた図である。
【0114】
なお、以下では、第1~第8実施形態に示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第8実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0115】
本実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900は、電動機901と遊星減速機構959とを備える。さらに、本実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900は、ホイール905を備える。電動機901では、固定子と回転子の間における磁束の作用により、回転子を固定子に対して回転させて、その回転を遊星減速機構959へ入力する。遊星減速機構959は、入力された回転を減速して、ホイール905へ入力する。また、ブレーキ付き車輪駆動装置900は、回転子の固定子に対する回転を停止させるブレーキ機構を備えている。
【0116】
<9-1.遊星減速機構の構成>
ブレーキ付き車輪駆動装置900の遊星減速機構959は、遊星摩擦式の減速機である。具体的には、この遊星減速機構959は、インタナルリング(剛性リング)860と、3つの遊星ローラ(転動体)870と、太陽ローラ(入力部材)880と、出力部材990とを備える。
【0117】
出力部材990は、軸方向に延びる概ね円環状の部材である。出力部材990の外周面には、第4軸受494の内輪が固定される。ケーシング410の内周面には、第4軸受494の外輪が固定される。これにより、出力部材990がケーシング410に対して相対回転可能となっている。出力部材990には、複数のキャリアピン874の軸方向の他方側の端部が結合される。これにより、キャリアピン874の公転と同一の回転数で、出力部材990が中心軸Cを中心として回転する。
【0118】
<9-2.電動機およびブレーキ機構の構成>
ブレーキ付き車輪駆動装置900の電動機901は、ステータ20とロータ30と、一対の摩擦板150と、スペーサ40とを備える。ロータ30は、回転シャフト931と、一対の円板32,32と、マグネット33,33と、押圧部材34とを有する。
【0119】
回転シャフト931は、軸方向に延びる概ねカップ状の部位である。回転シャフト931の軸方向の一方側の端部は、開放されている。回転シャフト931の軸方向の他方側の端部は、閉塞されている。回転シャフト931は、中心軸Cに沿う略円柱状の内部空間S3を有する。また、図15および図16に示すように、回転シャフト931は、軸方向の一部分の外周面に、スプライン931sを有する。
【0120】
図15に示すように、太陽ローラ880と、回転シャフト931とは、同軸上で、相対回転不能に固定される。
【0121】
<9-3.ホイールの構成>
ホイール905は、フランジ部906と、車輪取付部907とを有する。フランジ部906は、軸方向に厚みを有する円環状の部位である。フランジ部906は、出力部材990の軸方向の他方側の端面に、同軸上に取り付け可能である。車輪取付部907は、フランジ部906の外縁から軸方向の一方側に向かって円筒状に延びる部位である。車輪取付部907は、遊星減速機構959の径方向外方に位置する。車輪取付部907の径方向外側には、タイヤ(車輪)908を取付け可能である。
【0122】
以上に示したように、本実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900は、電動機901と、遊星減速機構959と、ホイール905とを備える。これにより、コンパクトかつパワフルなブレーキ付き車輪駆動装置900を実現することができる。
【0123】
<10.第10実施形態>
以下では、図18および図19を参照して、第10実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置1000の構成について説明する。図18は、第10実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置1000の縦断面図である。図19は、第10実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置1000に備えられる遊星減速機構959の構成を示す図である。
【0124】
なお、以下では、第1~第9実施形態で示したのと同様の機能・構成の部材には、第1~第9実施形態と同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【0125】
本実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置1000は、主として、(1)回転シャフト931に代えて回転シャフト1031を備える点、(2)蓋部413がシャフト部413aを備える点、(3)第7軸受1007を備える点、および(4)遊星減速機構959が5つの遊星ローラ870を備える点において、第9実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置900とは異なる。
【0126】
回転シャフト1031は、軸方向に延びる円筒状である。回転シャフト1031は、押圧部材34の径方向内方に配置される。回転シャフト1031は、外周面にスプラインを有する。回転シャフト1031の軸方向の他方側の端部は、太陽ローラ880の軸方向の一方側の端部に結合される。本実施形態では、回転シャフト1031と太陽ローラ880とは単一の部材である。
【0127】
蓋部413の内縁部からは、軸方向の他方側に向かって、シャフト部413aが円筒状に延びている。シャフト部413aは、回転シャフト1031の径方向内方に、同軸上に配置される。
【0128】
シャフト部413aの軸方向の他方側の端部の外周面と、出力部材990の内周面と、の間には、第7軸受1007が備えられる。第7軸受1007は、転がり玉軸受である。
【0129】
本実施形態の車輪取付部907の軸方向の一方側の端部は、軸方向において、蓋部413が配置される位置の付近まで延びている。別の言い方をすれば、ブレーキ付き車輪駆動装置1000の遊星減速機構959および電動機901の略全てが、車輪取付部907の径方向内方の空間に収まっている。
【0130】
以上に示したように、本実施形態に係るブレーキ付き車輪駆動装置1000は、電動機901と、遊星減速機構959と、ホイール905とを備える。また、ブレーキ付き車輪駆動装置1000の略全体は、ホイール905の車輪取付部907の径方向内方の空間に収容される。よって、車両の外観を損ねることなく、コンパクトかつパワフルなブレーキ付き車輪駆動装置1000を車両に搭載することができる。
【0131】
<11.変形例>
上記の実施形態では、軸受61,39,375,499,1007は、転がり玉軸受であるとしたが、これに限定されない。上記に代えて、軸受を例えばすべり軸受としてもよい。
【0132】
上記の第4~第10実施形態では、摩擦板150は、蓋部413の内側面、および、仕切り部419の軸方向の端面のうち第1空間S1に露出している側の端面に、固定されているものとした。しかしながら、必ずしもこれに限定されない。上記に代えて、摩擦板が、円板32の軸方向の両端面のうちステータ20と対向しない端面に固定されていてもよい。
【0133】
上記の第4~第10実施形態において、遊星減速機構を、内歯車と遊星歯車と太陽歯車とを有する単純遊星歯車機構としてもよい。
【0134】
また、ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置の細部の形状については、本願の各図に示された形状と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本願は、ブレーキ付きモータ、ブレーキ付き駆動装置、およびブレーキ付き車輪駆動装置に利用できる。
【符号の説明】
【0136】
10 ケーシング
11 筒部
13 第1蓋部
14 第2蓋部
20 ステータ
30 ロータ
31 回転シャフト
32 円板
33 マグネット
34 押圧部材
50 摩擦板
100 ブレーキ付きモータ
C 中心軸

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19