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特許7235239スケジューリング装置、スケジューリング方法、及びスケジューリングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】スケジューリング装置、スケジューリング方法、及びスケジューリングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20230301BHJP
【FI】
G16H40/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019059009
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020160758
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度から30年度、知の拠点あいち重点研究プロジェクト「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】阪口 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 一彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】富貴原 信
(72)【発明者】
【氏名】薄木 英二
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106253(JP,A)
【文献】特開2014-194622(JP,A)
【文献】特開2015-230646(JP,A)
【文献】特開2009-116468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング装置であって、
複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定部を備え、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成するサービスの優先順位を表す優先度と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、
ことを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項2】
介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング装置であって、
複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定部を備え、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者と該ペアを構成するサービスの利用者との相性を表す相性値と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、
ことを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項3】
介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング装置であって、
複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定部を備え、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者に蓄積された疲労を表す疲労度と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、
ことを特徴とするスケジューリング装置。
【請求項4】
上記複数の提供者には、人間とロボットとが含まれており、
上記決定部は、上記ペアリングパターンとして、ロボットには提供不能なサービスとロボットとのペア、及び、人間には提供不能なサービスと人間とのペアを含まないペアリングパターンを決定する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のスケジューリング装置。
【請求項5】
上記決定部は、複数のタイムスロットの各々について、該タイムスロットにおいて提供するべき複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングパターンからなる集合を上記母集合とし、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のスケジューリング装置。
【請求項6】
上記決定部は、上記複数の提供者を入札者とし、上記複数のサービスを財とする組み合わせオークションアルゴリズムを用いて、上記ペアリングパターンを決定する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載のスケジューリング装置。
【請求項7】
コンピュータがプログラムを実行することにより、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング方法であって、
前記コンピュータが、複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定工程を含む処理を行い、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成するサービスの優先順位を表す優先度と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項8】
コンピュータがプログラムを実行することにより、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング方法であって、
前記コンピュータが、複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定工程を含む処理を行い、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者と該ペアを構成するサービスの利用者との相性を表す相性値と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項9】
コンピュータがプログラムを実行することにより、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング方法であって、
前記コンピュータが、複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定工程を含む処理を行い、
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者に蓄積された疲労を表す疲労度と、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値とを変数として含む、ことを特徴とするスケジューリング方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1~の何れか1項に記載のスケジューリング装置として動作させるためのスケジューリングプログラムであって、該コンピュータを上記スケジューリング装置が備える各部として機能させるスケジューリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護医療サービスを提供する提供者のスケジューリングを行うスケジューリング装置、スケジューリング方法、及びスケジューリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護医療サービスを提供する介護医療施設を効率的に運営するためには、サービスを提供する提供者のスケジューリングが重要になる。
【0003】
特許文献1には、介護スタッフのスケジューリングを行う介護スケジュール作成システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-230646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の介護スケジュール作成システムにおいては、スケジューリングの柔軟性に欠けるという問題があった。
【0006】
例えば、介護医療施設においては、(1)サービスを提供する提供者とサービスを利用する利用者との相性、(2)サービスを提供する提供者の負荷、(3)提供するサービスの優先順位、(4)サービスを提供する提供者に蓄積した疲労などを考慮に入れた柔軟なスケジューリングが求められる。しかしながら、特許文献1に記載の介護スケジュール作成システムでは、そのような要求に応えることができない。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、介護医療サービスに関して従来よりも柔軟なスケジューリングを行うことが可能なスケジューリング装置、スケジューリング方法、及びスケジューリングプログラムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るスケジューリング装置は、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング装置であって、複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定部を備えている。
【0009】
本発明の一態様に係るスケジューリング方法は、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング方法であって、複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定工程を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、介護医療サービスに関して従来よりも柔軟なスケジューリングを行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るスケジューリング装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るスケジューリング方法の流れを示すフローチャートである。
図3図2のスケジューリング処理を用いて、3人の利用者U1,U2,U3に提供するサービスに対して3人の提供者P1,P2,P3を割り当てた結果を例示するスケジュールチャートである。
図4図2に示すスケジューリング方法の一実施例を示すグラフである。
図5図2に示すスケジューリング方法の一実施例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(スケジューリング装置の構成)
本発明の一実施形態に係るスケジューリング装置1について、図1を参照して説明する。図1は、スケジューリング装置1の構成を示すブロック図である。
【0013】
スケジューリング装置1は、介護医療施設において介護医療サービスを提供する提供者のスケジュールを組むための装置である。なお、本明細書において、介護医療サービスとは、介護及び医療の一方又は両方を目的とするサービスのことを指す。また、介護医療施設とは、介護及び医療の一方又は両方を目的とする施設のことを指す。
【0014】
本実施形態においては、サービスを提供する提供者として、複数の提供者P,P,…,Pを想定する。ここで、Iは、提供者数を表す2以上の自然数である。これらの提供者P,P,…,Pには、介護士や看護師などの人間の他に、介護ロボットや看護ロボットなどのロボットが含まれ得る。また、本実施形態においては、サービスを利用する利用者として、複数の利用者U,U,…,Uを想定する。ここで、Jは、利用者数を表す2以上の自然数である。これらの利用者U,U,…,Uには、利用者個人の他に、利用者集団(不特定多数の利用者を単一の利用者として扱う)が含まれ得る。また、各利用者U(j=1,2,…,M)に提供するサービスとして、少なくとも1つのサービスSj1,Sj2,…,SjKjを想定する。ここで、Kjは、利用者Uに提供するサービス数を表す1以上の自然数である。個人利用者に提供するサービスとしては、例えば、食事の介護、入浴の介護、トイレの介護、診察の介護等のサービスが挙げられる。集団利用者に提供するサービスとしては、例えば、見回り、体操指導等のサービスが挙げられる。また、スケジューリング対象期間Tとして、少なくとも1つのタイムスロットT,T,…,Tを含む期間を想定する。ここで、Lは、スケジューリング対象期間Tに含まれるタイムスロット数を表す1以上の自然数である。本実施形態において、スケジューリングとは、各提供者Pに対してサービスSjkを割り当てる処理を指す。スケジューリング装置1は、例えば、介護医療施設に設置され、その介護医療施設に勤務する人間、及び、その介護医療施設が使用するロボットのスケジューリングに利用される。
【0015】
スケジューリング装置1は、図1に示すように、記憶部10と、設定部11と、決定部12と、変数管理部13と、を備えている。例えば、汎用コンピュータを利用してスケジューリング装置1を実現する場合には、その汎用コンピュータが備えているメモリを記憶部10として用い、その汎用コンピュータが備えているプロセッサを設定部11、決定部12、及び変数管理部13として用いればよい。
【0016】
記憶部10には、各利用者Ujに対応するサービステーブルSTが記憶されている。各利用者Ujに対応するサービステーブルSTには、例えば、その利用者Uに提供する各サービスSjkについて、(1)そのサービスSjkの番号、(2)そのサービスSjkの種別、(3)そのサービスSjkを提供するタイムスロット、(4)そのサービスSjkの提供に要する作業時間、(5)そのサービスSjkの優先順位を表す優先度、及び(6)そのサービスSjkを提供する際に各提供者Pに掛かる負荷を表す負荷値が格納されている。なお、各提供者Pに掛かる負荷が一律の場合、その負荷を表す単一の負荷値をサービステーブルSTに格納してもよい。また、提供者Pがロボットである場合、そのサービスSjkを提供する際にそのロボットが消費する電力を負荷としてサービステーブルSTjに格納してもよい。下記の表1に、サービステーブルSTの内容を例示する。
【0017】
【表1】
【0018】
更に、記憶部10には、提供者テーブルPTが記憶されている。提供者テーブルPTには、例えば、各提供者Pについて、その提供者Pの稼働時間が格納されている。提供者Pが人間である場合、例えば、スケジューリング対象期間Tから、休憩時間を除いた時間(期間)が稼働時間となる。一方、提供者Pがロボットである場合、例えば、スケジューリング対象期間Tから、充電時間などのメインテナンス時間を除いた時間(期間)が稼働時間となる。下記の表2に、提供者テーブルPTの内容を例示する。
【0019】
【表2】
【0020】
更に、記憶部10には、相性テーブルATが記憶されている。相性テーブルATには、例えば、各利用者Uと各提供者Pと相性を表す相性値が格納されている。下記の表3に、相性テーブルATの内容を例示する。
【0021】
【表3】
【0022】
設定部11は、各タイムスロットTlについて、複数の提供者P,P,…,Pのうち、そのタイムスロットTにおいて稼働可能な提供者の各々と、複数のサービスS11,S12,…,SMKMのうち、そのタイムスロットTにおいて提供するサービスの各々とをペアリングするペアリングパターンの集合を、そのタイムスロットTに対応する母集合Xとして設定する。
【0023】
本実施形態において、設定部11は、各タイムスロットTにおいて稼働可能な提供者を特定するために、例えば、提供者テーブルPTに格納された、各提供者Piの稼働時間を参照する。また、設定部11は、各タイムスロットTにおいて提供するサービスを特定するために、例えば、各サービステーブルSTに格納された、各サービスSjkの提供するタイムスロットを参照する。
【0024】
なお、設定部11は、各タイムスロットTに対応する母集合Xとして、(1)そのタイムスロットTにおいて稼働可能な提供者の各々と、そのタイムスロットTにおいて提供するサービスの各々とをペアリングする全てのペアリングパターンからなる集合Aを、そのタイムスロットTに対応する母集合Xとして設定してもよいし、(2)集合Aから、ロボットには提供不能なサービスとロボットとのペア、又は、人間には提供不能なサービスと人間とのペアを含むペアリングパターンを除いた集合Bを、そのタイムスロットTに対応する母集合Xとして設定してもよい。
【0025】
決定部12は、設定部11にて設定された母集合Xに属するペアリングパターンの中で、予め定められた効用関数Uを最大化する最良ペアリングパターンを決定する。本実施形態において、効用関数Uは、母集合Xに属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、以下の変数を含む。
【0026】
相性値aij:ペアリングパターンに含まれる各ペア(P,Sjk)について、そのペア(P,Sjk)を構成する提供者Pと、そのペア(P,Sjk)を構成するサービスSjkの利用者Uとの相性を表す数値である。本実施形態において、相性値aijは、提供者Pと利用者Uとの相性が良いほど高い値に、提供者Pと利用者Uとの相性が悪いほど低い値に設定される。なお、相性値aijは、0以上M以下の値を取るように規格化されている。
【0027】
本実施形態において、決定部12は、各ペア(P,Sjk)に対応する相性値aijとして、例えば、相性テーブルATに格納された、提供者Pと利用者Uとの相性値を利用する。相性値aijを効用関数Uの変数に含めることによって、利用者Uと提供者Pとの相性を考慮に入れたスケジューリングを実施することが可能になる。
【0028】
負荷値bijk:ペアリングパターンに含まれる各ペア(P,Sjk)について、そのペア((P,Sjk)を構成するサービスSjkを提供する際に、そのペア(P,Sjk)を構成する提供者Pに掛かる負荷を表す数値である。本実施形態において、負荷値bijkは、提供者Pに掛かる負荷が大きいほど高い値に、提供者Pに係る負荷が小さいほど低い値に設定される。なお、負荷値bijkは、相性値aijと同様、0以上M以下の値を取るように規格化されている。
【0029】
本実施形態において、決定部12は、各ペア(P,Sjk)に対応する負荷値bijkとして、例えば、利用者Uに対応するサービステーブルSTに格納された、サービスSjkを提供する際に提供者Pに掛かる負荷値を利用する。負荷値bijkを効用関数Uの変数に含めることによって、提供者Pに掛かる負荷を考慮に入れたスケジューリングを実施することが可能になる。
【0030】
優先度cjkl:ペアリングパターンに含まれる各ペア(P,Sjk)について、タイムスロットTにおけるそのペア(P,Sjk)を構成するサービスSjkの優先順位を表す数値である。本実施形態において、優先度cjklは、サービスSjkの優先順位が高いほど高い値に、サービスSjkの優先順位が低いほど低い値に設定される。なお、優先度cjklは、相性値aij及び負荷値bijkと同様、0以上M以下の値を取るように規格化されている。
【0031】
本実施形態において、決定部12は、各ペア(P,Sjk)に対応する優先度cjklとして、例えば、利用者Uに対応するサービステーブルSTに格納された、サービスSjkの優先度を利用する。優先度cjkを効用関数Uの変数に含めることによって、サービスSjkの優先順位を考慮に入れたスケジューリングを実施することが可能になる。
【0032】
疲労度d:ペアリングパターンに含まれる各ペア(P,Sjk)について、そのペア(P,Sjk)を構成する提供者Pに蓄積された疲労を表す数値である。本実施形態において、疲労度dは、提供者Pに蓄積された疲労が多いほど高い値に、提供者Pに蓄積された疲労が少ないほど低い値に設定される。なお、疲労度dは、相性値aij、負荷値bijk、及び優先度cjklと同様、0以上M以下の値を取るように規格化されている。
【0033】
本実施形態において、決定部12は、各ペア(P,Sjk)に対応する疲労度dとして、例えば、現タイムスロットT以前のタイムスロットT,T,…,Tl-1において提供者Pに割り当てたサービスSjkの負荷値bijkの合計を、値が0以上M以下となるように規格化したものを利用する。疲労度dを効用関数Uの変数に含めることによって、提供者Pに蓄積された疲労を考慮に入れたスケジューリングを実施することが可能になる。
【0034】
上述した4つの変数を含む線形効用関数Uは、例えば、下記の式(1)及び式(2)により与えられる。下記の式(1)において、w,w,w,wは、それぞれ、上述した4つの変数の各々に対する係数である。これらの係数w,w,w,wは、それぞれ、0以上1以下の任意の実数に設定することが可能である。
【0035】
【数1】
【0036】
【数2】
【0037】
なお、ここでは、効用関数Uに含める変数として、相性値aij、負荷値bijk、優先度cjkl、及び疲労度dを例示したが、効用関数Uに含め得る変数は任意であり、例示した変数に限定されない。例えば、提供者Piの現在位置からサービスSjkの提供場所(利用者Uの居場所)までの移動距離又は移動時間を効用関数Uの変数に含めることができる。この場合、提供者Piの移動距離又は移動時間を考慮したスケジューリング処理を実施することが可能になる。
【0038】
変数管理部13は、各タイムスロットTにおけるスケジューリング処理を実行するために、設定部11及び決定部12を繰り返し動作させるための各種変数を管理する。変数管理部13の機能については、後述する。
【0039】
(スケジューリング処理の流れ)
スケジューリング装置1が実行するスケジューリング処理S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、スケジューリング処理S1の流れを示すフローチャートである。
【0040】
スケジューリング処理S1は、図2に示すように、タイムスロット初期化処理S10、サービス提供時間更新処理S11、提供者選択処理S12と、サービス選択処理S13と、母集合設定処理S14と、ペアリングパターン決定処理S15と、追加割当要否判定処理S16と、タイムスロット更新処理S17と、終了判定処理S18と、を含んでいる。
【0041】
タイムスロット初期化処理S10は、変数管理部13が、現タイムスロットTlの番号を表す変数l(エル)の値を1に初期化する処理である。
【0042】
サービス提供時間更新処理S11は、変数管理部13が、各提供者Pの現タイムスロットTにおけるサービス提供時間を管理する変数gの値を更新する処理である。現タイムスロットTにおける1回目のサービス提供時間更新処理S11では、変数gの値が0に初期化される。現タイムスロットTにおける2回目以降のサービス提供時間更新処理S11では、直前のペアリングパターン決定処理S15にて提供者Pに割り当てられたサービスSjkの作業時間が変数gの値に加算される。
【0043】
提供者選択処理S12は、設定部11が、提供者P,P,…,Pの中から、現タイムスロットTにおいて稼働可能な提供者を選択する処理である。提供者選択処理S12は、例えば、記憶部10に格納された提供者テーブルPTにおいて、稼働時間として現タイムスロットTを含む期間が設定された提供者を抽出することによって実現される。なお、現タイムスロットTにおける2回目以降の提供者選択処理S12においては、現タイムスロットTにおいて稼働可能な提供者の中で、変数gの値が現タイムスロットTの継続時間以下である提供者Pのみが選択される。
【0044】
サービス選択処理S13は、設定部11が、サービスSj1,Sj2,…,SjKjの中から、現タイムスロットTにおいて提供するべきサービスを選択する処理である。サービス選択処理S13は、例えば、各利用者Uに対応するサービステーブルSTにおいて、提供期間として現タイムスロットTに含まれる期間が設定されたサービスを抽出することによって実現される。
【0045】
母集合設定処理S14は、設定部11が、現タイムスロットTに対応する母集合Xとして、提供者選択処理S12にて選択された提供者Pとサービス選択処理S13にて選択されたサービスSjkとをペアリングするペアリングパターンからなる集合を設定する処理である。このペアリングパターンには、提供者選択処理S12にて選択された全ての提供者Pに対して、サービス選択処理S13にて選択されたサービスSjkの何れかがペアリングされるという制約条件が課されてもよい。母集合設定処理S14は、例えば、(1)現タイムスロットTに対応する母集合Xとして、サービス選択処理にて選択されたサービスSjkと提供者選択処理にて選択された提供者Pとをペアリングする全てのペアリングパターンを含む集合Aを設定することによって、或いは、(2)現タイムスロットTに対応する母集合Xとして、集合Aから、ロボットには提供不能なサービスとロボットとのペア、又は、人間には提供不能なサービスと人間とのペアを含むペアリングパターンを除いた集合Bを設定することによって実現される。なお、サービスSjkがロボット又は人間により提供不能であるか否かは、例えば、サービステーブルSTに登録されたサービスSjkの種別に基づいて判定すれば良い。
【0046】
ペアリングパターン決定処理S15は、決定部12が、母集合設定処理S14にて設定された母集合Xに属するペアリングパターンの中で、予め定められた効用関数Uを最大化するペアリングパターンを決定する処理である。効用関数Uとしては、例えば、上述した式(1)及び式(2)により定義される線形効用関数を用いればよい。また、効用関数を最大化するペアリグンパターンを決定するアルゴリズムとしては、例えば、提供者を入札者とし、サービスを財とする組み合わせオークションアルゴリズムを用いればよい。これにより、各サービスSjkに対して、効用関数を最大化するペアリングパターンにおいてそのサービスSjkとペアになる提供者Pが割り当てられたことになる。
【0047】
なお、上述した母集合設定処理S14において、母集合Xとして上述した集合Aを設定すると共に、ペアリングパターン決定処理S15において、ロボットには提供不能なサービスとロボットとのペア、又は、人間には提供不能なサービスと人間とのペアに対して効用値0を設定することによっても、上述した母集合設定処理S14において、母集合Xとして上述した集合Bを設定するのと同様の効果が得られる。
【0048】
追加割当要否判定処理S16は、変数管理部13が、上述した提供者選択処理S12、サービス選択処理S13、母集合設定処理S14、及びペアリングパターン決定処理S15を再実行するか否かを判定する処理である。追加割当要否判定処理S16は、例えば、変数gの値が現タイムスロットTの継続時間(例えば、タイムスロットが8:00~9:00の場合は1時間)以下である提供者Pが残っているときには「再実行要」、そうでないときには「再実行不要」と判定することによって実現される。追加割当要否判定処理S16において「再実行要」と判定された場合、上述した提供者選択処理S12、サービス選択処理S13、母集合設定処理S14、及びペアリングパターン決定処理S15が再実行される。
【0049】
タイムスロット更新処理S17は、変数管理部13が、現タイムスロットTlの番号を表す変数l(エル)の値に1を加算する処理である。
【0050】
終了判定処理S18は、変数管理部13が、現タイムスロットTlの番号を表す変数l(エル)がタイムスロット数Lに一致しているか否かを判定する処理である。変数l(エル)がタイムスロット数Lに一致していない場合には、上述したサービス提供時間更新処理S11、提供者選択処理S12、サービス選択処理S13、母集合設定処理S14、ペアリングパターン決定処理S15、追加割当要否判定処理S16、及びタイムスロット更新処理S17が再実行される。変数l(エル)がタイムスロット数Lに一致している場合には、スケジューリング処理S1が終了する。
【0051】
なお、以上のスケジューリング処理S1では、各タイムスロットTlについて、更なるサービスSjkを提供可能な提供者Pがいなくなるまで、提供者選択処理S12、サービス選択処理S13、母集合設定処理S14、及びペアリングパターン決定処理S15が繰り返し実行される。このため、各サービスSjkに対して2人以上の提供者Pが割り当てられ得る。これにより、各提供者Pについて、サービスSjkが割り当てられていない空き時間を減らすことが可能になる。
【0052】
図3は、スケジューリング処理S1を用いて、3人の利用者U,U,Uに提供するサービスに対して、3人の提供者P,P,Pを割り当てた結果を例示するスケジュールチャートである。例えば、タイムスロットT(8:00~9:00)において、(1)利用者Uに提供するサービスS11(食事)には、提供者Pが割り当てられ、(2)利用者Uに提供するサービスS21(食事)には、提供者Pが割り当てられ、(3)利用者Uに提供するサービスS31(食事)及びサービスS32(トイレ)には、提供者Pが割り当てられている。
【0053】
以上のように、スケジューリング処理S1を用いれば、各利用者Uと各提供者Pとの相性、各提供者Pに掛かる負荷、各提供者Pの疲労度、及び各サービスSjkの優先度を考慮したスケジューリングを、効率的に行うことが可能になる。
【0054】
なお、ここでは、利用者U,U,…,Uに提供するべきサービスS11,S12,…,SJKJがスケジューリング処理S1を実行する前に予め定められているものとして、スケジューリング処理S1の流れを説明したが、これに限定されない。すなわち、各利用者Uからの要求(例えば、ナースコール)に応じて、その利用者Uに提供するサービスSjkが事後的に追加されてもよいし、提供者Pからの要求に応じて、その提供者Pの稼働時間が事後的に変更されてもよい。
【0055】
(実施例)
上述したスケジューリング処理S1の一実施例について説明する。
【0056】
本実施例においては、8人の提供者P~Pのスケジュールを組むスケジューリング処理S1を実施した。8人の提供者P~Pは、ロボットでなく、人間であった。8人の提供者P~Pのうち、2人の勤務形態は、「日勤」であった。また、8人の提供者P~Pのうち、他の2人の勤務形態は、早出勤であった。また、8人の提供者P~Pのうち、他の3人の勤務形態は、遅出勤であった。また、8人の提供者P~Pのうち、残りの1人の勤務形態は、夜勤であった。勤務形態ごとの業務開始時刻、業務終了時刻、休憩開始時刻、及び休憩終了時刻は、下記の表4の通りであった。上述した提供者テーブルPTは、下記の表4に従って設定した。
【0057】
【表4】
【0058】
また、本実施例において、サービスを利用する利用者は、利用者U~Uの9人であった。上述した相性テーブルATは、下記の表5に従って設定した。なお、下記の表5における利用者iは、利用者Uに対応し、下記の表5における提供者jは、提供者Pに対応する。
【0059】
【表5】
【0060】
また、本実施例において、タイムスロットは、下記の表6に従って設定した。なお、提供するべきサービスの数は、特定の時刻を過ぎると減少する傾向がある。このため、その時刻以後のタイムスロットの長さを、その時刻以前のタイムスロットの長さよりも長く設定することで、スケジューリング処理S1をより効率的に実行することが可能である。本実施例においては、18時以降のタイムスロットの長さ(3時間)を、18時以前のタイムスロットの長さ(2時間)よりも長く設定した。
【0061】
【表6】
【0062】
また、本実施例においては、利用者U~Uの各々に対して一律に下記の表7に示すNo.1からNo.15までのサービスを提供するものとした。これらのサービスについては、一人の利用者に対する一つのサービスに、一人の提供者を割り当てるものとした。また、本実施例においては、利用者集団に対して下記の表7に示すNo.16からNo.20までのサービスを提供するものとした。これらのサービスについては、一つのサービスに、一人以上の提供者を割り当てるものとした。各利用者U及び利用者集団に対応する上述したサービステーブルSTは、下記の表7に従って設定した。なお、各サービスに対応するタイムスロットは、表中の開始時刻以前に始まり、終了時刻以後に終わるタイムスロットを選択した。また、各サービスに対応する優先度は、全て同一の値(例えば、1)に設定した。
【0063】
【表7】
【0064】
以上のように設定した提供者テーブルPT、相性テーブルAT、及びサービステーブルST~STを用いて、本実施例に係るスケジューリング処理S1を実行した。また、本実施例に係るスケジューリング処理S1と比較するために、同一の条件の下でルールベースのスケジューリング処理(以下、比較例に係るスケジューリング処理と記載する)を実行した。比較例に係るスケジューリング処理においては、「負荷最大サービス優先」をルールとして採用した。ここで、「負荷最大サービス優先」とは、ある時刻において手の空いている提供者Piが次に実施するサービスを選択する際、表7に記載の作業負荷が最大のサービスを選択するというルールである。
【0065】
図4は、本実施例に係るスケジューリング処理S1により決定されたスケジュール、及び、比較例に係るスケジューリング処理により決定されたスケジュールの各々において、相性値の合計を利用者U毎に示したグラフである。ここで、利用者Ujに対する相性値の合計は、各提供者Pとその利用者Uとの相性値aijの合計、すなわち、a1j+a2j+…+a8jを表す。
【0066】
図4に示したグラフによれば、一部の例外(利用者U3の相性値の合計)を除き、本実施例に係るスケジューリング処理S1により決定されたスケジュールの方が、比較例に係るスケジューリング処理により決定されたスケジュールよりも、相性値の合計が大きくなっていることが分かる。換言すれば、本実施例に係るスケジューリング処理S1の方が、比較例に係るスケジューリング処理よりも、多くの利用者にとって満足感を抱き易いスケジュールを組めることが分かる。
【0067】
図5は、本実施例に係るスケジューリング処理S1により決定されたスケジュール、及び、比較例に係るスケジューリング処理により決定されたスケジュールの各々において、疲労度(負荷値の合計)を提供者P毎に示したグラフである。
【0068】
図5に示したグラフによれば、本実施例に係るスケジューリング処理S1により決定されたスケジュールの方が、比較例に係るスケジューリング処理により決定されたスケジュールよりも、各提供者Pの疲労度のばらつきが小さくなっていることが分かる。換言すれば、本実施例に係るスケジューリング処理S1の方が、比較例に係るスケジューリング処理よりも、各提供者Pにとって不公平感を抱き難いスケジュールを組めることが分かる。これは、比較例に係るスケジューリング処理が作業負荷のみに着目した処理であるのに対して、本実施例に係るスケジューリング処理S1は、作業負荷及び疲労度を考慮した処理であり、疲労が蓄積した提供者には負荷の低いサービスが割り当てられ、疲労が蓄積していない提供者には負荷の高いサービスが割り当てられる可能性が高くなるからである。
【0069】
(プログラムを用いた実施)
スケジューリング装置1の制御ブロック(特に、設定部11、決定部12、変数管理部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0070】
後者の場合、スケジューリング装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0071】
(まとめ)
本発明の一態様に係るスケジューリング装置は、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング装置であって、複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定部を備えている。
【0072】
上記の構成によれば、効用関数を適宜設定することによって、従来よりも柔軟なスケジューリングを行うことが可能になる。
【0073】
上記複数の提供者には、人間とロボットとが含まれており、上記決定部は、上記ペアリングパターンとして、ロボットには提供不能なサービスとロボットとのペア、及び、人間には提供不能なサービスと人間とのペアを含まないペアリングパターンを決定する、ことが好ましい。
【0074】
上記の構成によれば、サービスを提供する提供者に人間及びロボットが含まれている場合においても、適切なスケジューリングを行うことが可能になる。
【0075】
上記決定部は、複数のタイムスロットの各々について、該タイムスロットにおいて提供するべき複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングパターンからなる集合を上記母集合とし、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する、ことが好ましい。
【0076】
上記の構成によれば、サービス提供期間に複数のタイムスロットが含まれている場合においても、タイムスロット毎に適切なスケジューリングを行うことが可能になる。
【0077】
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成するサービスの優先順位を表す優先度を変数として含む、ことが好ましい。
【0078】
上記の構成によれば、提供するサービスの優先順位を考慮に入れたスケジューリングが可能になる。
【0079】
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者と該ペアを構成するサービスの利用者との相性を表す相性値を変数として含む、ことが好ましい。
【0080】
上記の構成によれば、サービスを提供する提供者とサービスを利用する利用者との相性を考慮に入れたスケジューリングが可能になる。
【0081】
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成する提供者に蓄積された疲労を表す疲労度を変数として含む、ことが好ましい。
【0082】
上記の構成によれば、サービスを提供する提供者に蓄積された疲労を考慮に入れたスケジューリングが可能になる。
【0083】
上記効用関数は、上記母集合に属する各ペアリングパターンに効用値を対応付ける線形効用関数であって、該ペアリングパターンに含まれる各ペアについて、該ペアを構成するサービスを提供する際に該ペアを構成する提供者に掛かる負荷を表す負荷値を変数として含む、ことが好ましい。
【0084】
上記の構成によれば、サービスを提供する提供者の負荷を考慮に入れたスケジューリングが可能になる。
【0085】
上記決定部は、上記複数の提供者を入札者とし、上記複数のサービスを財とする組み合わせオークションアルゴリズムを用いて、上記ペアリングパターンを決定する、ことが好ましい。
【0086】
上記の構成によれば、上記ペアリングパターンの決定を効率的に行うことが可能になる。
【0087】
本発明の一態様に係るスケジューリング方法は、介護医療サービスを提供する複数の提供者のスケジュールを組むスケジューリング方法であって、複数の利用者に対する複数のサービスの各々と上記複数の提供者の各々とをペアリングするペアリングパターンからなる集合を母集合として、該母集合に属するペアリングパターンの中で予め定められた効用関数を最大化するペアリングパターンを決定する決定工程を含んでいる、ことが好ましい。
【0088】
上記の方法によれば、効用関数を適宜設定することによって、従来よりも柔軟なスケジューリングを行うことが可能になる。
【0089】
本発明の一態様に係るスケジューリングプログラムは、コンピュータを上記スケジューリング装置として動作させるためのスケジューリングプログラムであって、該コンピュータを上記スケジューリング装置が備える各部として機能させる。
【0090】
(付記事項)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 スケジューリング装置
10 記憶部
11 設定部
12 決定部
13 変数管理部
図1
図2
図3
図4
図5