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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/06 20060101AFI20230301BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F24C15/06 B
F24C3/00 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018208012
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020076510
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 ▲琢▼磨
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-052839(JP,A)
【文献】特開2009-250591(JP,A)
【文献】実開平07-038711(JP,U)
【文献】特開2009-002571(JP,A)
【文献】特開2006-073563(JP,A)
【文献】特開2001-173614(JP,A)
【文献】特開平11-182513(JP,A)
【文献】特開2014-035123(JP,A)
【文献】特開平10-299729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00-3/14
9/00-15/14
F16B 5/00-5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部材と、
前記フロント部材の前側に装着される化粧パネルと、
を備えるコンロであって、
前記化粧パネルは、
当該化粧パネルの後面側に形成され、当該化粧パネルが前記フロント部材に装着された装着状態のときに前記フロント部材に接触して前記フロント部材から離れる所定方向への移動が規制される被規制部と、
前記被規制部よりも当該化粧パネルの中央側に設けられ、当該化粧パネルの後面部において前後方向に沿って突出する中央側突出部と、
を有し、
前記フロント部材は、
前記装着状態のときに前記被規制部と接触して前記被規制部の移動を規制する規制部と、
前記中央側突出部が挿入され、前記前後方向と直交する平面方向における当該フロント部材に対する前記中央側突出部の相対位置を定める孔部と、
を有し、
前記中央側突出部は、前記孔部への挿入が開始される第1位置から前記孔部への挿入量が所定量となる第2位置までに、前記孔部に対する前記平面方向の相対変位が許容される構成であり、
前記被規制部は、前記中央側突出部が前記第1位置から前記第2位置に変位することに伴い、前記規制部によって規制される位置に向けて案内され、
前記中央側突出部は、柱状に突出する柱状部と、前記柱状部の外周面から突出し、前記柱状部の突出方向に沿って延びる凸部と、を有し、
前記柱状部は角筒状に構成され、
前記柱状部の4つの側面のいずれにも前記凸部が設けられ、
各々の前記凸部は、前記柱状部の先端に近づくにつれて突出高さが小さくなっており、
前記第2位置では、4つの前記凸部がいずれも前記孔部の内壁面に接触し、
前記孔部の内壁部には、前記中央側突出部が前記第2位置まで挿入された挿入状態において前記凸部と対向する位置に、自身の周囲に配置された内壁面よりも突出した対向凸部が形成されている
コンロ。
【請求項2】
前記化粧パネルは、板状に構成されるとともに前面が露出面とされる板状部を有し、
前記中央側突出部は、前記板状部の後面から柱状に突出した構成をなし、
前記被規制部は、前記化粧パネルの後面側において後方に延びる構成をなす第2突出部を具備し、
前記規制部は、前記フロント部材の前面側において開口した構成をなし、前記装着状態のときに前記第2突出部が挿入される開口部を具備し、
前記第2突出部よりも前記中央側突出部のほうが、突出量が大きい
請求項1に記載のコンロ。
【請求項3】
ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部材と、
前記フロント部材の前側に装着される化粧パネルと、
を備えるコンロであって、
前記化粧パネルは、
当該化粧パネルの後面側に形成され、当該化粧パネルが前記フロント部材に装着された装着状態のときに前記フロント部材に接触して前記フロント部材から離れる所定方向への移動が規制される被規制部と、
前記被規制部よりも当該化粧パネルの中央側に設けられ、当該化粧パネルの後面部において前後方向に沿って突出する中央側突出部と、
を有し、
前記フロント部材は、
前記装着状態のときに前記被規制部と接触して前記被規制部の移動を規制する規制部と、
前記中央側突出部が挿入され、前記前後方向と直交する平面方向における当該フロント部材に対する前記中央側突出部の相対位置を定める孔部と、
を有し、
前記中央側突出部は、前記孔部への挿入が開始される第1位置から前記孔部への挿入量が所定量となる第2位置までに、前記孔部に対する前記平面方向の相対変位が許容される構成であり、
前記被規制部は、前記中央側突出部が前記第1位置から前記第2位置に変位することに伴い、前記規制部によって規制される位置に向けて案内され、
前記中央側突出部は、
柱状に突出する柱状部と、
前記柱状部の外周面から突出し、前記柱状部の突出方向に沿って延びる凸部を有し、
前記凸部は、前記柱状部の先端に近づくにつれて突出高さが小さくなっており、
前記孔部の内壁部には、前記中央側突出部が前記第2位置まで挿入された挿入状態において前記凸部と対向する位置に、自身の周囲に配置された内壁面よりも突出した対向凸部が形成されている
コンロ。
【請求項4】
前記被規制部は、前記化粧パネルの後面側において後方に延びる構成をなす第2突出部を具備し、
前記規制部は、
前記フロント部材の前面側において開口した構成をなし、前記装着状態のときに前記第2突出部が挿入される開口部と、
前記装着状態のときに前記第2突出部と接触する段差部と、
を具備し、
前記第2突出部の先端側には、前記段差部に引っ掛かる折れ曲がり部が形成されている
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体に固定されたフロントパネルに化粧パネルが装着されたコンロが実用に供されている。例えば、特許文献1に開示されるコンロは、意匠パネル7を構成する第1パネル30が装置ユニット10に対して装着されている。
【0003】
特許文献1に開示されるコンロでは、次のようにして第1パネル30を装置ユニット10に対して組み付ける構成となっている。まず、第1パネル30の右側を奥側に、左側を手前側に傾斜させた状態とし、第1パネル30の裏面に設けられた位置決めリブ36を、装置ユニット10の右側前方の角部に対して右側から当てつつ、係止穴25に係止爪36Aを係止させる。そして、装置ユニット10の右側前方の角部に当てた位置決めリブ36を回転中心として、第1パネル30の左端側を、装置ユニット10の前面に向けて回動させる。すると、装置ユニット10に設けられた一対の係止穴14A,14Bに対して、第1パネル30の裏面に設けられた一対の係止爪38A,38Bが位置決めされて係止される。これにより、第1パネル30が装置ユニット10に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-52839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンロがキャビネット等に組み込まれた状態で上述のような組み付け作業をする場合、第1パネル30の装着位置によっては第1パネル30がキャビネット等の周囲の部材と干渉して、第1パネル30の前面に傷がつく虞がある。また、特許文献1に開示のような構成では、第1パネル30の組み付け作業時に、第1パネル30の後側において各部が正規の組み付け位置にあるか否かを手に伝わる感触だけで判断する必要があり、第1パネル30の組み付け性が悪い。
【0006】
本発明は上述した課題の少なくとも一つを解決するためになされたものであり、化粧パネルの組み付け性に優れ、組み付け作業時に化粧パネルの前面に傷がつき難いコンロを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のコンロは、
ガスバーナを収容する筐体部と、
前記筐体部の前部に固定されるフロント部材と、
前記フロント部材の前側に装着される化粧パネルと、
を備えるコンロであって、
前記化粧パネルは、
当該化粧パネルの後面側に形成され、当該化粧パネルが前記フロント部材に装着された装着状態のときに前記フロント部材に接触して前記フロント部材から離れる所定方向への移動が規制される被規制部と、
前記被規制部よりも当該化粧パネルの中央側に設けられ、当該化粧パネルの後面部において前後方向に沿って突出する中央側突出部と、
を有し、
前記フロント部材は、
前記装着状態のときに前記被規制部と接触して前記被規制部の移動を規制する規制部と、
前記中央側突出部が挿入され、前記前後方向と直交する平面方向における当該フロント部材に対する前記中央側突出部の相対位置を定める孔部と、
を有し、
前記中央側突出部は、前記孔部への挿入が開始される第1位置から前記孔部への挿入量が所定量となる第2位置までに、前記孔部に対する前記平面方向の相対変位が許容される構成であり、
前記被規制部は、前記中央側突出部が前記第1位置から前記第2位置に変位することに伴い、前記規制部によって規制される位置に向けて案内される。
【発明の効果】
【0008】
上記一態様のコンロのように、中央側突出部が第1位置から第2位置に変位することに伴い、被規制部が規制部によって規制される位置に向けて案内される構成であれば、化粧パネルの組み付け性に優れるとともに、組み付け作業時に化粧パネルの前面部に傷がつきにくい。
例えば、化粧パネルの後面側において、手探りで被規制部を規制部によって規制される位置に移動する構成では、被規制部の位置の調整が難しく、化粧パネルをフロント部材に組み付ける作業をしにくい。また、例えば、化粧パネルをフロント部材に対してその周縁部を軸として回動させて組み付ける構成では、化粧パネルの前面部が周囲の部材と干渉する虞があり、組み付け作業時に化粧パネルの前面部に傷がつくことが懸念される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例1のガスコンロを概略的に示す正面図である。
図2図2は、実施例1のガスコンロを概略的に示す分解斜視図である。
図3図3は、前面パネルを斜め前側から見た斜視図である。
図4図4は、前面パネルの左側面図である。
図5図5は、化粧パネルを斜め後側から見た斜視図である。
図6図6は、ガスコンロを図1のA-A位置で切断した断面において、中央側突出部及び孔部を示す断面図である。
図7図7は、ガスコンロを図1のB-B位置で切断した断面において、中央側突出部及び孔部、並びに被規制部及び規制部を示す断面図である。
図8図8(A)は、第1位置における中央側突出部及び孔部、並びに被規制部及び規制部を示す断面図である。図8(B)は、第2位置における中央側突出部及び孔部、並びに被規制部及び規制部を示す断面図である。
図9図9(A)は、図8(A)のC-C位置で切断した断面において、中央側突出部及び孔部を示す断面図である。図9(B)は、図8(B)のD-D位置で切断した断面において、中央側突出部及び孔部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本発明の望ましい一例を示す。
化粧パネルは、板状に構成されるとともに前面が露出面とされる板状部を有し、中央側突出部は、板状部の後面から柱状に突出した構成をなし、被規制部は、化粧パネルの後面側において後方に延びる構成をなす第2突出部を具備していてもよい。規制部は、フロント部材の前面側において開口した構成をなし、装着状態のときに第2突出部が挿入される開口部を具備していてもよい。第2突出部よりも中央側突出部のほうが、突出量が大きい構成であってもよい。この構成によれば、中央側突出部が孔部へ挿入される過程で第2突出部を開口部に挿入することができ、化粧パネルの組み付け性に優れる。
【0011】
中央側突出部は、柱状に突出する柱状部と、柱状部の外周面から突出し、柱状部の突出方向に沿って延びる凸部を有し、凸部は、柱状部の先端に近づくにつれて突出高さが小さくなっていてもよい。凸部の突出高さが先端に向かうにつれて小さくなることにより、中央側突出部の先端の径を孔部の径に比して小さくすることができ、中央側突出部を孔部に差し込みやすくなる。そして、中央側突出部が第2位置まで挿入された状態では、凸部を孔部の内壁面に接触させることにより、被規制部を規制部によって規制される位置に向けて案内することができる。
【0012】
孔部の内壁部には、中央側突出部が第2位置まで挿入された挿入状態において凸部と対向する位置に、自身の周囲に配置された内壁面よりも突出した対向凸部が形成されていてもよい。この構成によれば、対向凸部の突出高さの分だけ対向凸部の周囲に配置された内壁面と柱状部との間の隙間を確保することができる。このため、中央側突出部を孔部に挿入する際に、柱状部の先端が内壁面に干渉しにくく、中央側突出部を孔部にスムーズに挿入することができる。
【0013】
被規制部は、化粧パネルの後面側において後方に延びる構成をなし、先端側に折れ曲がり部が形成されてなる第2突出部を具備していてもよい。規制部は、フロント部材の前面側において開口した構成をなし、装着状態のときに第2突出部が挿入される開口部と、装着状態のときに第2突出部と接触する段差部と、を具備していてもよい。第2突出部の先端側には、段差部に引っ掛かる折れ曲がり部が形成されていてもよい。この構成によれば、中央側突出部が孔部に挿入されるのに伴い、第2突出部を開口部に挿入するとともに折れ曲がり部を段差部に引っ掛かる位置まで変位させることができ、化粧パネルの組み付け性に優れる。
【0014】
<実施例1>
以下、実施例1について、図面を参照して説明する。
図1図2のように、ガスコンロ1(コンロ)は、ガスバーナ4,5,6、ガスバーナ4,5,6を収容するコンロ本体部1Aなどを有しており、図示しないキャビネットに組み込まれるビルトインコンロとして構成されている。
【0015】
以下の説明では、ガスコンロ1において、板状に構成された天板3の板面方向のうち、短手方向を前後方向とし、前後方向と直交する方向である天板3の長手方向を左右方向とする。更に、前後方向及び左右方向と直交する方向である天板3の板厚方向を上下方向として説明する。図1では、左右方向がガスコンロ1の左右方向であり、上下方向がガスコンロ1の上下方向である。また、図2において、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、それぞれ、ガスコンロ1の前方、後方、右方、左方とする。
【0016】
ガスコンロ1は、システムキッチンのカウンタトップに設けられた開口に落とし込まれて設置されている。図2のように、ガスコンロ1はコンロ本体部1Aによって外殻(ケース体)が構成されており、このコンロ本体部1Aの内部にガスバーナなどの各種部品が収容された構成をなす。コンロ本体部1Aは、箱状の筐体部2と、筐体部2の上端部に固定される天板3と、筐体部2の前部に固定される前面パネル20と、前面パネル20の前側に装着される化粧パネル70と、を備える。前面パネル20は、フロント部材の一例に相当する。
【0017】
筐体部2は、公知の金属材料を主体として上方側が開放した箱状に構成されている。左右に一対の側壁部(図2では、一方の側壁部2Cのみを図示)を備えるとともに、これら側壁部の後端部に連結される形で後壁部(図示略)が設けられる。また、筐体部2の前面部(図示略)はフレーム状又は壁状に構成されており、これら前面部、側壁部、後壁部によって筐体部2の内部空間の前後左右を囲む構成をなし、これら前面部、側壁部、後壁部の下部には底壁部(図示略)が連結されている。筐体部2は、これらの壁部によって上部が開口した箱状形態をなしており、筐体部2の上端部には、天板3(トッププレート)が取り付けられている。
【0018】
図1図2のように、天板3は、板状に構成されると共にガスバーナを露出させるための開口部(貫通孔)が複数個形成された構成をなす。天板3は、カウンタトップの上側に配置される。前面パネル20は、コンロ本体部1Aの前面部を構成する板状の壁部であり、例えば、金属材料又は樹脂材料を主体として構成されている。本構成では、前面パネル20は、筐体部2とは別部材として構成され、筐体部2の前端部を覆うように筐体部2に対して固定されているが、前面パネル20と筐体部2とが一体的に構成されていてもよい。
【0019】
図2のように、天板3において右手前(右端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(右バーナ)4、左手前(左端寄りかつ前端寄りの位置)にはガスバーナ(左バーナ)5、中央奥側にはガスバーナ(奥バーナ)6が夫々設けられている。各ガスバーナ4~6のそれぞれには、点火する為のイグナイタ(図示略)が設けられている。
【0020】
筐体部2の中央付近には、グリル部8が設けられている。グリル部8は、箱状に構成されたグリル庫、グリル庫を開閉するグリル扉8B、ガスバーナとして構成されるとともにグリル庫内に配置されるグリルバーナ(図示略)、グリル扉8Bの後方側においてグリル扉8Bと一体的に設けられる受け皿、受け皿の上に載置される焼き網などを備える。天板3において後端寄りの位置には、グリル庫と連通するグリル排気口9が設けられている。
【0021】
図1のように、筐体部2の前面の右寄りには2つの点火ボタン11、14が、左寄りにはもう2つの点火ボタン12、13が設けられている。点火ボタン11は、ガスバーナ4の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンであり、点火ボタン12は、ガスバーナ5の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンであり、点火ボタン13は、ガスバーナ6の点火及び消火を操作するために対応付けられた操作ボタンである。点火ボタン14は、グリル部8のガスバーナ(グリルバーナ)の点火及び消火を操作するための操作ボタンである。各点火ボタン11~14は、前面パネル20の前面よりも前方へ突出して設けられ、筐体部2の内部に設けられた図示しない制御回路と接続されており、使用者が押し込み操作すると、制御回路による制御により、その操作されたボタンに対応するガスバーナの点火又は消火が行われるようになっている。
【0022】
レバー16A,16B,16C,16Dはそれぞれ、対応するガスバーナ4~6又はグリル部8のグリルバーナにおける火力を調整するための火力調整レバーである。点火ボタン12,13の下側には、ガスコンロ1に電力を供給するための電池を収容する電池ボックス18が設けられている。点火ボタン11,14の下側には、各コンロによる調理の加熱温度、加熱時間等を設定するための操作パネルを前後方向に出退可能に保持する操作ユニット19が設けられている。
【0023】
次に、化粧パネル70を前面パネル20に対して装着するための構成について説明する。図3及び図5に示すように、化粧パネル70は被規制部73と中央側突出部75(第1突出部)とを有し、前面パネル20は規制部23と孔部25とを有している。そして、化粧パネル70は、中央側突出部75及び孔部25によって前面パネル20に対する上下左右(前後方向と直交する平面方向)の位置が定められ、被規制部73及び規制部23によって前面パネル20に対して保持される構成となっている。また、化粧パネル70は前面パネル20の左右の面51,55と接触するリブ81,85と凸部82~84,86~88とを有し、前面パネル20は凸部82~84,86~88が嵌り込む切り欠き部52~54,56~58を有している。さらに、化粧パネル70には、前面パネル20に係止されるロック部材30が取り付けられている。そして、各部が組み付けられることにより、化粧パネル70が前面パネル20に装着された装着状態(以下、化粧パネル70の装着状態とも称する)となる。
【0024】
次に、化粧パネル70の各部の構成について説明する。図5及び図7に示すように、化粧パネル70は、板状に構成されるとともに前面71Aが露出面とされる板状部71を有している。板状部71は、前面71Aがガスコンロ1の外観を構成する。板状部71は、正面視にて略矩形状の外形をなし、上部に火力調整レバー16A,16D等を挿入するためのレバー用開口を有するとともに、下部に点火ボタン11,14を露出するための点火ボタン用開口72を有している。本実施例1では、化粧パネル70には、4つの被規制部73が形成されており、2つの被規制部73が板状部71の下縁部(周縁部)に配され、2つの規制部23が点火ボタン用開口72の上側に配されている。また、本実施例1では、被規制部73は、左右方向において中央側突出部75の両側に配されている。各被規制部73は同様の構成とされており、以下、化粧パネル70の下縁部右側に配された被規制部73を例にとって説明する。
【0025】
図7に示すように、被規制部73は、化粧パネル70の後面側に形成され、化粧パネル70の装着状態のときに前面パネル20に接触して前面パネル20から離れる所定方向への移動が規制される。「前面パネル20から離れる所定方向」は、前面パネル20から少なくとも前方に向かう方向とされる。被規制部73が規制部23により移動が規制される作用については後に説明する。
【0026】
図5及び図7に示すように、被規制部73は、化粧パネル70の後面側において後方に延びる構成をなす第2突出部73Aを具備する。第2突出部73Aには、先端側に折れ曲がり部73Bが形成されてなり、被規制部73全体として係止爪として構成されている。具体的には、被規制部73は、板状部71の後面71Bから後方に向けて平板状に突出するとともに、先端部が板厚方向に屈曲する形で折れ曲がり部73Bが設けられている。折れ曲がり部73Bは、後述する被規制部73の段差部23Bに引っ掛かる構成となっている。
【0027】
図5に示すように、中央側突出部75は、被規制部73よりも化粧パネル70の中央側に設けられ、化粧パネル70の後面部70Bにおいて前後方向に沿って突出する。具体的には、中央側突出部75は、化粧パネル70の左右方向中央部であって、レバー用開口と点火ボタン用開口72の間に設けられている。このような構成により、化粧パネル70の前面部70Aを押圧して中央側突出部75を孔部25に挿入する際に、中央側突出部75が孔部25の貫通方向に対して傾きにくく、スムーズな挿入が実現されている。
【0028】
中央側突出部75は、板状部71の後面71Bから柱状に突出した構成をなす。中央側突出部75は、軸方向が突出方向であり、ガスコンロ1の前後方向が突出方向となっている。この中央側突出部75は、第2突出部73Aよりも突出量が大きいものとなっている。なお、中央側突出部75及び第2突出部73Aの突出量は、板状部71の後面71Bを基準として後方に突出した量とする。本実施例1では、中央側突出部75は、柱状に突出する柱状部76と、柱状部76の外周面76Aから突出し、柱状部76の突出方向に沿って延びる凸部77を有している。柱状部76は角筒状をなし、4つの側面の各々に凸部77が設けられている。柱状部76は先端が先細り形状となっており、凸部77は先端を除く柱状部76の略全長に亘って延びる形をなす。凸部77は、柱状部76の先端に近づくにつれて突出高さが小さくなっている。凸部77は、柱状部76の基端側では、断面視略半円状をなし、孔部25の内壁面26A(後述する対向凸部27)に対して線状に当接する構成となっている。
【0029】
図5に示すように、右側リブ81は、板状部71の後面71Bから後方に向けて突出するとともに、前面パネル20の右側面51に沿って上下方向に沿って延びる形で設けられている。右側リブ81は、左側(左右方向内側)の板面が前面パネル20の右側面51に接触するような構成となっている。右側リブ81には、左面側から左方に突出する構成をなす第1凸部82,第2凸部83,第3凸部84が設けられている。第1凸部82及び第2凸部83は、右側リブ81の後端部に設けられた突起状をなす。第3凸部84は、右側リブ81の基端部から先端部に向かって延びる突条をなす。なお、化粧パネル70は、右側リブ81より右側に張り出した部位が、筐体部2の右側の空間を前方から覆う目隠し部としての機能を有する。
【0030】
左側リブ85は、板状部71の後面71Bから後方に向けて突出するとともに、前面パネル20の後述する左側面55に沿って上下方向に沿って延びる形で設けられている。左側リブ85は、右側(左右方向外側)の板面が前面パネル20の左側面55に接触するような構成となっている。左側リブ85には、右面側から右方に突出する構成をなす第1凸部86,第2凸部87,第3凸部88が設けられている。第1凸部86、第2凸部87、第3凸部88の構成は、右側リブ81の第1凸部82、第2凸部83、第3凸部84の構成と同様であり、その説明を省略する。
【0031】
上述した中央側突出部75の突出量は、右側リブ81と左側リブ85の突出量よりも大きいものとなっている(図6参照)。また、右側リブ81の第3凸部84と左側リブ85の第3凸部88は、中央側突出部75の左右両側にそれぞれ配されている。そして、第1凸部82,86と、第2凸部83,87とが、それぞれ第3凸部84,88の上下両側にそれぞれ配されている。
【0032】
図5に示すように、ロック部材30は、上壁部79に設けられた貫通孔(図示略)を貫通する形で化粧パネル70に取り付けられている。ロック部材30は、上壁部79の上部に露出してスライド操作される操作部31と、操作部31の下面からそれぞれ上壁部79の下方に突出するブロック状のロック部32,32と、を備えている。ロック部材30は、化粧パネル70に対して左右にスライドされることにより、前面パネル20にロックされる第1位置と、前面パネル20とのロックが解除される第2位置とに変位する構成となっている。
【0033】
次に、前面パネル20の各部の構成について説明する。前面パネル20は、化粧パネル70の装着状態で、前面部20Aが化粧パネル70の板状部71に覆われるものとされる。図3に示すように、前面パネル20には、化粧パネル70の4つの被規制部73の各々と対応する位置に4つの規制部23が設けられるとともに、中央側突出部75と対応する位置に孔部25が設けられている。各規制部23は同様の構成とされており、以下、前面パネル20の右下側に配された規制部23を例にとって説明する。
【0034】
図7に示すように、規制部23は、化粧パネル70の装着状態のときに被規制部73と接触して被規制部73の移動を規制する。規制部23は、前面パネル20の前面部20A側において開口した構成をなし、装着状態のときに第2突出部73Aが挿入される開口部23Aと、装着状態のときに第2突出部73A(折れ曲がり部73B)と接触する段差部23Bと、を具備する。開口部23Aは、平面視矩形状をなし、前面パネル20を前後に貫通するようにして設けられている。段差部23Bは、開口部23Aの内壁面から下方に延び、後方を向く段差面を有して構成されている。このような段差面は、開口部23Aの内壁面を構成する壁部を一部切り欠くようにして形成されている。なお、点火ボタン用開口72の上側に配された規制部23では、段差面は開口部23Aの内壁面を構成する壁部の後端面によって形成されている。
【0035】
図8に示すように、孔部25は、中央側突出部75が挿入され、前後方向と直交する平面方向における前面パネル20に対する中央側突出部75の相対位置を定める。本実施例1において「前後方向と直交する平面方向」は、ガスコンロ1の上下方向及び左右方向に広がる面の方向とされる。つまり、この平面方向は、おおむね前面パネル20の前面部20Aの面方向と一致している。孔部25は、中央側突出部75が当該孔部25に挿入される過程で、内壁面26Aが中央側突出部75の外周面に接触することにより、化粧パネル70を正規の位置に案内する構成となっている。
【0036】
図7及び図9に示すように、孔部25は、前面パネル20の前面側において開口した構成をなし、中央側突出部75が挿入される孔部側開口部25Aと、孔部側開口部25Aの後方(奥方)において内壁面26Aを構成する内壁部26を有する。具体的には、孔部側開口部25Aは、前面パネル20の前面部20Aを構成する部位を前後方向に貫通するようにして設けられている。孔部側開口部25Aは、平面視にて柱状部76の先端より一回り大きい方形状をなす。内壁部26は、中央側突出部75が後述する第2位置まで挿入された挿入状態(以下、中央側突出部75の挿入状態とも称する)で、中央側突出部75を囲むようにして前面部20Aを構成する部位から後方に突出する壁部を具備した構成となっている。
【0037】
内壁部26には、中央側突出部75の挿入状態において凸部77と対向する位置に、自身の周囲に配置された内壁面26Aよりも突出した対向凸部27が形成されている。つまり、内壁部26は、中央側突出部75の挿入状態において、中央側突出部75を囲む壁部の内面から対向凸部27がリブ状に突出する構成となっている。そして、孔部25は、内壁部26における対向凸部27が形成されていない部位と、柱状部76との間に隙間を有している。この内壁部26には、対向凸部27が形成されていない部位に、点火ボタン11,14に設けられた左右一対の揺動軸15のうち、一方の揺動軸15を支持する軸支孔29が形成されている(図8(B)参照)。
【0038】
図3に示すように、右側面51には、第1凸部82,第2凸部83,第3凸部84がそれぞれ係止される第1切り欠き部52、第2切り欠き部53、第3切り欠き部54が設けられている。第1切り欠き部52及び第2切り欠き部53は、右側面51を後側が開いたU字状に切り欠くような形で設けられている。第3切り欠き部54は、右側面51と前面20Aの右端部を正面視にして右側が開いたU字状に切り欠くような形で設けられている。
【0039】
左側面55は、左側を向く面であって、前面パネル20の前面20Aにおける左端部付近が後方に後退した段差構造によって形成されている(図6参照)。左側面55には、第1凸部86,第2凸部87,第3凸部88がそれぞれ係止される第1切り欠き部56、第2切り欠き部57、第3切り欠き部58が設けられている。第1切り欠き部56、第2切り欠き部57、第3切り欠き部58は、右側面51の第1切り欠き部52、第2切り欠き部53、第3切り欠き部54と概ね左右対称に構成されており、その説明を省略する。
【0040】
前面パネル20の上部には、ロック部材30が係止される被係止部40が設けられている。被係止部40は、第1位置におけるロック部32,32の前面と対向する前壁部41,41と、前壁部41,41の後方においてロック部32,32を収容する収容空間42,42とを有して構成されている。収容空間42,42は、第1位置と第2位置との変位を許容しつつロック部32,32を収容し得る大きさとなっている。前壁部41,41は、第2位置におけるロック部32,32の前面と対向する位置には設けられていない。このため、ロック部材30の第2位置において、ロック部32,32を前方から収容空間42,42に嵌め込み、また、ロック部32,32を収容空間42,42から前方に取り外すことができるようになっている。
【0041】
次に、化粧パネル70の前面パネル20への装着に係る構成について説明する。中央側突出部75は、図8(A)及び図9(A)に示す孔部25への挿入が開始される第1位置から、図8(B)及び図9(B)に示す孔部25への挿入量が所定量となる第2位置までに、孔部25に対する平面方向(具体的には前後方向と直交する平面方向)の相対変位が許容される構成である。第1位置は、前面パネル20に対する中央側突出部75の相対位置のうち、図8(A)のように、中央側突出部75の一部が孔部25の内部領域に入り込み始めたときの位置であり、中央側突出部75が上記平面方向に相対変位することが許容される位置である。具体的には、中央側突出部75は、第1位置にあるときに孔部25内で上下方向にも左右方向にも若干の相対変位が許容されるようになっている。第2位置は、前面パネル20に対する中央側突出部75の相対位置のうち、図8(B)のように、中央側突出部75が第1位置のときより孔部25内に深く挿入された位置であり、中央側突出部75が上記平面方向に相対変位することが許容されなくなった位置である。本実施例1では、図8(B)のように中央側突出部75が孔部25内へ入り込んで折れ曲がり部73Bが段差部23Bに引っ掛かる位置(具体的には、中央側突出部75が孔部25内にそれ以上挿入されることが規制される位置)を中央側突出部75の第2位置としており、中央側突出部75は、第2位置にあるときに孔部25内で上下方向及び左右方向の相対変位が許容されずに上記平面方向の移動が規制されるようになっている。なお、第2位置は、中央側突出部75が上記平面方向に相対変位することが許容されない位置であれば孔部25内の最も深い位置(それ以上挿入されることが規制される位置)まで挿入されたときの位置でなくてもよく、その手前の深さまで挿入されたときの位置であってもよい。
【0042】
中央側突出部75の第1位置において、柱状部76の先端と孔部側開口部25Aとの間には隙間が存在し、柱状部76を孔部側開口部25Aに差し込みやすくなっている。中央側突出部75は、第1位置からさらに孔部25に挿入されると、凸部77が孔部25の内壁面26Aに接触して、中央側突出部75が平面方向において正規の位置に向けて変位する。本実施例1では、中央側突出部75は、第1位置から第2位置に至る手前の位置であり、上下左右に位置する4つの凸部77がそれぞれ内壁面26Aと接触を開始する位置まで挿入されると、中央側突出部75の平面方向の相対変位が完了し、平面方向において正規の位置に至る。
【0043】
被規制部73は、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い、規制部23によって規制される位置に向けて案内される。具体的には、中央側突出部75の第1位置では、平面方向において、4つの被規制部73の各々が4つ規制部23からズレた状態であることが許容される。中央側突出部75が第1位置からさらに挿入され、中央側突出部75が平面方向において正規の位置まで変位すると、4つの被規制部73の各々は平面方向において4つ規制部23の位置と整合する位置まで案内される。本実施例1では、第2突出部73Aが開口部23Aへ挿入される前に、第2突出部73Aは平面方向において開口部23Aと整合する位置まで案内される。この状態から、さらに中央側突出部75が孔部25に挿入されると、第2突出部73Aは弾性変形を伴って開口部23Aに挿入される。そして、中央側突出部75が第2位置に至ると、折れ曲がり部73Bが段差部23Bの後方まで移動して、第2突出部73Aが弾性復帰する。中央側突出部75の第2位置においては、折れ曲がり部73Bの前面が段差部23Bの段差面と接触して、化粧パネル70は前面パネル20から前方へ移動することが規制される。折れ曲がり部73Bの前面と段差部23Bの段差面との接触は、化粧パネル70が前面パネル20に対して上方に変位することにより解除され得るが、中央側突出部75の上面が孔部25の内壁面26Aに接触してそのような変位が規制される。さらに、本実施例1では、第2突出部73Aの下面が開口部23Aの内面に接触して、化粧パネル70は前面パネル20から下方へ移動することが規制される。このようにして、規制部23は被規制部73の所定方向への移動を規制する。
【0044】
上述の被規制部73の第2突出部73Aを撓みやすくして段差部23Bとの掛かり代を十分に確保するために、第2突出部73Aの突出量を大きくして、折れ曲がり部73Bが開口部23Aの奥方において段差部23Bに引っ掛かる構成とすることが考えられる。しかし、第2突出部73Aは、突出量が大きい程折れやすくなり、化粧パネル70を前面パネル20に組み付ける際に前面パネル20の前面20Aに当たると折れることが懸念される。このため、被規制部73が第2突出部73Aを具備する構成においては、第2突出部73Aを開口部23Aの位置に精度よく案内することが望まれる。その点、本実施例1では、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い第2突出部73Aが開口部23Aの位置まで案内されるから、第2突出部73Aの突出量を十分に確保した場合であっても、第2突出部73Aが前面パネル20の前面20Aに当たりにくくなっており、化粧パネル70の組み付け性に優れる。
【0045】
化粧パネル70は、経年変化等によりの中央部付近が膨出しやすく、そのような膨出を抑えるために中央部に被規制部73を設けることが望ましい。本実施例1では、4つの被規制部73のうち上方に位置する2つの被規制部73は、化粧パネル70における中央部(点火ボタン11,14近傍)に設けられている(図5参照)。被規制部73を化粧パネル70の中央部に設ける構成では、これと係合する規制部23を前面パネル20の前面20Aの中央部に設ける必要があるが、前面20Aの中央部は規制部23を設けるためのスペースの確保が難しく、規制部23の開口部23Aを小さくせざるを得ないという事情がある。このため、被規制部73を化粧パネル70の中央部に設ける構成では、上述したような第2突出部73Aの折れを回避するべく、第2突出部73Aを開口部23Aの位置により一層精度よく案内することが求められる。本実施例1では、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い第2突出部73Aが開口部23Aの位置まで案内されるから、開口部23Aが小さい場合であっても、第2突出部73Aが前面パネル20の前面20Aに当たりにくくなっており、化粧パネル70の組み付け性に優れる。さらに、本実施例1では、第2突出部73Aより中央側突出部75の突出量が大きく、化粧パネル70の中央部に設けられた第2突出部73Aが開口部23Aへ挿入される前に、当該第2突出部73Aが開口部23Aの位置まで案内されるから、特に好ましい。
【0046】
また、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い、右側リブ81及び左側リブ85が前面パネル20の左右方向外側に嵌り込んで、前面パネル20に対する化粧パネル70の左右方向の位置ずれを抑制する。そのうえで、第1凸部82,86及び第2凸部83,87は、化粧パネル70の外縁付近において前面パネル20に対する化粧パネル70の前後方向の移動を規制する。詳細には、第1凸部82,86及び第2凸部83,87は、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い、第1切り欠き部52,56及び第2切り欠き部53,57に引っ掛かる位置に向けて案内される。中央側突出部75の第2位置においては、第1凸部82,86及び第2凸部83,87がそれぞれ第1切り欠き部52,56及び第2切り欠き部53,57の後方に位置して、自身の前面が前面パネル20の後面に引っ掛かり、化粧パネル70の前方への移動を規制する。つまり、第1凸部82,86及び第2凸部83,87は被規制部に相当する部位であり、第1切り欠き部52,56及び第2切り欠き部53,57は規制部に相当する部位である。また、中央側突出部75の第2位置においては、第3凸部84,88の外周面が第3切り欠き部54,58の内壁面と対向して、化粧パネル70の上下方向への移動を規制する。
【0047】
以上のようにして、化粧パネル70は、前面パネル20に対して上下左右への位置が規定されるとともに前方への変位が規制され、前面パネル20に対して仮固定された状態となる。
【0048】
続いて、化粧パネル70が前面パネル20に対して仮固定された状態で、ロック部材30を第1位置から第2位置に変位させ、ロック部32,32の前側に前壁部41,41が位置する状態とする。この状態では、化粧パネル70は、前面パネル20に対する前方への変位が確実に規制され、化粧パネル70が前面パネル20に対して本固定された状態となる。以上により、化粧パネル70の前面パネル20に対する装着が完了する。
【0049】
次に、本構成の効果を例示する。
ガスコンロ1のように、中央側突出部75が第1位置から第2位置に変位することに伴い、被規制部73が規制部23によって規制される位置に向けて案内される構成であれば、化粧パネル70の組み付け性に優れるとともに、組み付け作業時に化粧パネル70の前面部70Aに傷がつきにくい。
例えば、化粧パネル70の後面側において、手探りで被規制部73を規制部23によって規制される位置に移動する構成では、被規制部73の位置の調整が難しく、化粧パネル70を前面パネル20に組み付ける作業をしにくい。また、例えば、化粧パネル70を前面パネル20に対してその周縁部を軸として回動させて組み付ける構成では、化粧パネル70の前面部70Aが周囲の部材と干渉する虞があり、組み付け作業時に化粧パネル70の前面部70Aに傷がつくことが懸念される。
【0050】
本実施例1において、第2突出部73Aよりも中央側突出部75のほうが、突出量が大きい。この構成によれば、中央側突出部75が孔部25へ挿入される過程で第2突出部73Aを開口部23Aに挿入することができ、化粧パネル70の組み付け性に優れる。
【0051】
本実施例1において、凸部77は、柱状部76の先端に近づくにつれて突出高さが小さくなっている。凸部77の突出高さが先端に向かうにつれて小さくなることにより、中央側突出部75の先端の径を孔部の径に比して小さくすることができ、中央側突出部75を孔部25に差し込みやすくなる。そして、中央側突出部75が第2位置まで挿入された状態では、凸部77を孔部25の内壁面26Aに接触させることにより、被規制部73を規制部23によって規制される位置に向けて案内することができる。
【0052】
孔部25の内壁部26には、中央側突出部75が第2位置まで挿入された挿入状態において凸部77と対向する位置に、自身の周囲に配置された内壁面26Aよりも突出した対向凸部27が形成されている。この構成によれば、対向凸部27の突出高さの分だけ対向凸部27の周囲に配置された内壁面26Aと柱状部76との間の隙間を確保することができる。このため、中央側突出部75を孔部25に挿入する際に、柱状部76の先端が内壁面26Aに干渉しにくく、中央側突出部75を孔部25にスムーズに挿入することができる。
【0053】
本実施例1において、第2突出部73Aの先端側には、段差部23Bに引っ掛かる折れ曲がり部73Bが形成されている。この構成によれば、中央側突出部75が孔部25に挿入されるのに伴い、第2突出部73Aを開口部23Aに挿入するとともに折れ曲がり部73Bを段差部23Bに引っ掛かる位置まで変位させることができ、化粧パネル70の組み付け性に優れる。
【0054】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0055】
上述した実施例以外にも、被規制部73及び規制部23の形状は適宜変更可能である。上述した実施例では、被規制部73が第2突出部73Aと折れ曲がり部73Bを有し、規制部23が開口部23Aと段差部23Bを有する構成を例示したが、被規制部及び規制部の構成はこれに限られない。規制部は、化粧パネルの装着状態のときに被規制部と接触して被規制部の移動を規制する構成であればよく、例えば、被規制部が段差部を有して構成され、規制部が段差部に引っ掛かる爪部等を有して構成されていてもよい。
【0056】
上述した実施例以外にも、被規制部73及び規制部23の数及び配置は適宜変更可能である。例えば、上述した実施例では、被規制部73及び規制部23は、それぞれ単数であってもよく、また、2つや3つ、5つ以上であってもよい。また、その配置も適宜設定可能である。
【0057】
上述した実施例以外にも、中央側突出部75及び孔部25の形状、配置等は適宜変更可能である。例えば、中央側突出部が凸部を有しない角柱状に構成され、孔部が角柱状の中央側突出部より一回り大きい内径を有する孔として構成されていてもよい。また、上述した実施例では、孔部25の内壁部26が、前面パネル20の前面20Aを構成する部位と当該部位から後方に突出する壁部によって構成されるものを例示したが、内壁部は前面パネル20の前面20Aを構成する部位のみによって構成されていてもよい。
【0058】
上述した実施例のガスコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロ等であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…ガスコンロ(コンロ)
2…筐体部
4,5,6…ガスバーナ
20…前面パネル(フロント部材)
20A…前面部
23…規制部
23A…開口部
23B…段差部
25…孔部
26…内壁部
26A…内壁面
27…対向凸部
70…化粧パネル
70B…後面部
71…板状部
71A…前面
71B…後面
73…被規制部
73A…第2突出部
73B…折れ曲がり部
75…中央側突出部
76…柱状部
76A…外周面
77…凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9