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特許7235283行動変容支援システム、行動変容支援装置、行動変容支援方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】行動変容支援システム、行動変容支援装置、行動変容支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20230301BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230301BHJP
【FI】
G06Q50/20
G06Q50/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018222674
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2019133638
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2018017610
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】石井 美穂
(72)【発明者】
【氏名】日室 聡仁
(72)【発明者】
【氏名】秋冨 穣
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109936(JP,A)
【文献】特開2010-102643(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090697(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/063605(WO,A1)
【文献】特開2012-128798(JP,A)
【文献】櫻田 孔司,”行動変容型生活習慣改善システム”,OKIテクニカルレビュー,沖電気工業株式会社,2016年12月20日,第83巻第2号,p.26-29,ISSN:1346-5961
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変容対象の行動に対応する対応者によるユーザ入力を受けるユーザ入力部と、
対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する対応方法特定部と、
前記対応方法特定部が特定した対応方法を前記対応者に提示する対応方法提示部と、
を備える行動変容支援システム。
【請求項2】
前記対応方法特定部は、前記基礎情報登録シナリオ、前記きっかけ特定シナリオ、および、前記結果特定シナリオを用いて擬似的なチャットを実行することで、前記変容対象の行動と、前記変容対象の行動のきっかけと、前記変容対象の行動の結果とを特定する、
請求項1に記載の行動変容支援システム。
【請求項3】
前記対応方法特定部は、前記変容対象の行動のきっかけとして、前記変容対象の行動を行う行動者が前記変容対象の行動を行う心理的要因、および、前記心理的要因を生じさせる先行刺激を特定する、
請求項1または請求項2に記載の行動変容支援システム。
【請求項4】
前記対応方法特定部は、前記変容対象の行動の結果として、前記変容対象の行動を行う行動者以外の者が前記変容対象の行動に対して行った対応を特定する、
請求項1から3の何れか一項に記載の行動変容支援システム。
【請求項5】
行動に対して当該行動を変容させることの難易度を評価する難易度評価部と、
前記対応方法の実施結果の成否を示す情報を取得する成否情報取得部と、
前記対応方法の実施結果が不成功であった場合、前記対応方法の実施対象となった行動よりも難易度の低い行動を新たな変容対象の行動として前記対応者に提案する変容対象行動提案部と、
を備える、請求項1から4の何れか一項に記載の行動変容支援システム。
【請求項6】
前記難易度評価部は、難易度評価対象の行動を構成する細分化された行動の数が多いほど、難易度が高いと評価する、
請求項5に記載の行動変容支援システム。
【請求項7】
前記変容対象の行動のきっかけを推定するきっかけ推定部と、
前記変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示する選択肢提示部と、
前記選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢が選択された場合、推定されたきっかけに応じた後続刺激を選択し、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、前記変容対象の行動のきっかけのうち推定されたきっかけ以外のきっかけに応じた後続刺激を選択する後続刺激選択部と、
を備える、請求項1から6の何れか一項に記載の行動変容支援システム。
【請求項8】
前記選択肢提示部は、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、前記変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけ以外の複数のきっかけの各々に応じた対応の選択肢を提示し、
前記後続刺激選択部は、選択された選択肢が示す対応に応じたきっかけに応じた後続刺激を選択する、
請求項7に記載の行動変容支援システム。
【請求項9】
前記変容対象の行動に対する代替行動案を、その代替行動に対する前記対応者の許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値とに基づいて評価する代替行動評価部
を備える、請求項1から8の何れか一項に記載の行動変容支援システム。
【請求項10】
前記ユーザ入力部は、前記代替行動案と、その代替行動案に対する前記対応者の許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値との入力を受け、
前記代替行動評価部は、許容度および頻度の組み合わせと評価値とが対応付けられた評価判定情報を参照して、入力された許容度および頻度に対応付けられた評価値を取得する、
請求項9に記載の行動変容支援システム。
【請求項11】
許容度および頻度の組み合わせが、評価値に加えてさらに評価コメントに対応付けられた前記評価判定情報を記憶する評価判定情報記憶部を備え、
前記代替行動評価部は、入力された許容度および頻度に対応付けられた評価値および評価コメントを取得し、取得した評価値および評価コメントを、前記対応者に提示する、
請求項10に記載の行動変容支援システム。
【請求項12】
部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを推定するきっかけ推定部と、
前記変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示する選択肢提示部と、
前記選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢が選択された場合、推定されたきっかけに応じた後続刺激を選択し、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、前記変容対象の行動のきっかけのうち推定されたきっかけ以外のきっかけに応じた後続刺激を選択する後続刺激選択部と、
を備える、行動変容支援システム。
【請求項13】
変容対象の行動に対する代替行動の許容度、および、その代替行動が行われる頻度の組み合わせと、その代替行動に対する評価値とが対応付けられた評価変換情報を参照して、その変容行動に対応する対応者の、その代替行動に対する許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値とに対応付けられている評価値を読み出すことで、その代替行動案を評価する代替行動評価部
を備える、行動変容支援システム。
【請求項14】
対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する対応方法特定部と、
前記対応方法特定部が特定した対応方法を示す情報を出力する対応方法出力部と、
を備える行動変容支援装置。
【請求項15】
対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定する工程と、
行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する工程と、
特定された対応方法を示す情報を出力する工程と、
を含む行動変容支援方法。
【請求項16】
コンピュータに、
対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定する工程と、
行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する工程と、
特定された対応方法を示す情報を出力する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動変容支援システム、行動変容支援装置、行動変容支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータが自動的にユーザと情報のやり取りを行うための技術が提案されている。 例えば、特許文献1には、ユーザが自ら自動対話プログラムを作成する必要無しに、個性のある人工無能(Chatbot)を動作させられるようにするためのネットワーク擬似会話システムが記載されている。特許文献1に記載のネットワーク擬似会話システムでは、サーバ装置が端末からの登録要求に応じて辞書データベースを記憶しておく。辞書データベースでは、キャラクタの画像データと、単語と応答文章との対応と、一意の識別情報とが対応付けられている。サーバ装置は、識別情報を指定した会話要求を端末から受信すると、識別情報に基づいて辞書データベースを特定する。さらに、サーバ装置は、会話文を端末から受信すると、会話文に含まれている単語に辞書データベースで対応付けられている応答文章と、辞書データベースに含まれる画像データとを会話要求元の端末へ送信する。
【0003】
また、特許文献2には、ユーザにとって有益な情報を提供するためのQ&Aシステムが記載されている。特許文献2に記載のQ&Aシステムでは、サーバ装置が、質問と回答とを分離して蓄積しておく。サーバ装置は、質問および回答を検索するための検索情報をクライアントシステムから受信すると、検索情報に基づいて質問、回答のそれぞれを検索し、得られた質問および解答をクライアントシステムへ送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-178299号公報
【文献】特許第5885689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンピュータによる情報提供が有益と思われる事柄として行動変容の支援が挙げられる。例えば、育児において子どもの不適切な行動を変容させることができれば、養育者の負担を軽減させることができる。
子ども等の行動を変容させる方法を提案する際、より適切な方法、すなわち、行動を変容させられる可能性がより高い方法を提案できることが好ましい。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決することのできる行動変容支援システム、行動変容支援装置、行動変容支援方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、行動変容支援システムは、変容対象の行動に対応する対応者によるユーザ入力を受けるユーザ入力部と、対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する対応方法特定部と、前記対応方法特定部が特定した対応方法を前記対応者に提示する対応方法提示部と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、行動変容支援装置は、対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する対応方法特定部と、前記対応方法特定部が特定した対応方法を示す情報を出力する対応方法出力部と、を備える。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、行動変容支援方法は、対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定する工程と、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する工程と、特定された対応方法を示す情報を出力する工程と、を含む。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、対話形式で変容対象の行動のユーザ入力を促す基礎情報登録シナリオを実行して、前記変容対象の行動に対応する対応者による前記変容対象の行動の入力を受け付け、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動のきっかけが対応付けられているきっかけ特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動のきっかけを特定し、部分シナリオが木構造に組み合わせられリーフの部分シナリオに変容対象の行動の結果が対応付けられている結果特定シナリオを実行し、前記部分シナリオによる対話形式でのユーザ入力に応じて前記結果特定シナリオをリーフまで辿ることで前記変容対象の行動の結果を特定する工程と、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、前記変容対象の行動と前記変容対象の行動のきっかけと前記変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する工程と、特定された対応方法を示す情報を出力する工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、行動変容の支援において、行動を変容させられる可能性が比較的高い方法を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る行動変容支援システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図2】行動が同じであってもその行動を変容させるための対応方法が異なる例を示す図である。
図3】同実施形態に係る基礎情報登録シナリオの例を示す図である。
図4】同実施形態に係る基礎情報登録シナリオの実行例を示す図である。
図5】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの構造の例を示す図である。
図6】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの部分シナリオの第1例を示す図である。
図7】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの部分シナリオの第2例を示す図である。
図8】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの部分シナリオの第3例を示す図である。
図9】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの部分シナリオの第4例を示す図である。
図10】同実施形態に係るきっかけ特定シナリオの実行例を示す図である。
図11】同実施形態に係る結果特定シナリオの部分シナリオの第1例を示す図である。
図12】同実施形態に係る結果特定シナリオの部分シナリオの第2例を示す図である。
図13】同実施形態に係る結果特定シナリオの部分シナリオの第3例を示す図である。
図14】同実施形態に係る行動変容支援装置が変容対象の行動に対する対応案を特定する処理手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第2実施形態に係る行動変容支援システムの機能構成を示す概略ブロック図である。
図16】同実施形態に係る行動の鎖の例を示す図である。
図17】同実施形態に係る行動変容支援装置が変容対象の行動を新たに設定する際に行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図18】本発明の第3実施形態に係る行動変容支援システムの装置構成を示す概略ブロック図である。
図19】同実施形態に係る行動変容支援装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図20】同実施形態に係る対応リストと後続刺激の選択との関係の例を示す図である。
図21】同実施形態に係る行動変容支援装置が、変容対象の行動が行われたきっかけの推定結果に基づいて後続刺激を選択する処理の手順の例を示すフローチャートである。
図22】本発明の第4実施形態に係る行動変容支援システムの装置構成を示す概略ブロック図である。
図23】同実施形態に係る行動変容支援装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図24】同実施形態に係る端末装置の表示部が表示する、代替行動案の入力画面の例を示す図である。
図25】同実施形態に係る端末装置の表示部が表示する、採点入力画面の例を示す図である。
図26】同実施形態に係る評価判定情報記憶部が記憶する評価変換情報の例を示す図である。
図27】同実施形態に係る評価判定情報記憶部が記憶する評価コメント情報の例を示す図である。
図28】同実施形態に係る行動変容支援システムが、変容対象の行動の代替行動案を評価する処理手順の例を示す図である。
図29】本発明に係る行動変容支援システムの最小構成の例を示す図である。
図30】本発明に係る行動変容支援装置の最小構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る行動変容支援システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、行動変容支援システム1は、行動変容支援装置100と、端末装置200とを備える。行動変容支援装置100は、サーバ側通信部110と、サーバ側記憶部180と、サーバ側制御部190とを備える。サーバ側記憶部180は、シナリオ記憶部181と、ユーザ入力情報記憶部182とを備える。サーバ側制御部190は、対応方法特定部191を備える。端末装置200は、端末側通信部210と、表示部220と、ユーザ入力部230と、端末側記憶部280と、端末側制御部290とを備える。
また、行動変容支援装置100と端末装置200とは、通信ネットワーク900を介して通信を行う。
【0015】
行動変容支援システム1は、行動を変容させるための対応方法を、当該行動に対応する対応者との擬似的なチャットにて提案する。
以下では、変容対象の行動を行う行動者が子どもであり、変容対象の行動に対応する対応者が当該子どもの養育者である場合を例に説明する。この場合、行動変容支援システム1は、子どもの行動を変容させるための対応方法を、当該子どもの養育者に対して提案する。
但し、行動変容支援装置100のサービスを受ける者は、変容対象の行動を行う行動者の養育者に限定されない。例えば、行動変容支援装置100が、教師に対して生徒の行動を変容させるための対応方法を提案するようにしてもよい。
【0016】
行動変容支援装置100は、行動変容支援システム1のサーバ装置として機能して、行動を変容させるための対応方法を、当該行動に対応する対応者との擬似的なチャットにて提案するサービスを提供する。以下では、擬似的なチャットを擬似チャットと称する。 行動変容支援装置100は、例えばワークステーション(Workstation)またはパソコン(Personal Computer;PC)等のコンピュータを用いて構成される。
【0017】
サーバ側通信部110は、他の装置と通信を行う。特に、サーバ側通信部110は、通信ネットワーク900を介して端末側通信部210と通信を行う。サーバ側通信部110は、対応方法出力部の例に該当し、変容対象の行動に対する対応方法を示す情報を端末側通信部210へ送信する。
サーバ側記憶部180は、各種情報を記憶する。サーバ側記憶部180は、行動変容支援装置100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
【0018】
シナリオ記憶部181は、行動変容支援装置100が擬似チャットを実行するためのシナリオを記憶する。シナリオ記憶部181が記憶するシナリオは、ユーザ入力に応じて分岐する構造として構成されている。ここでいうユーザ入力は、ユーザによる情報の入力である。ここでいうユーザは、行動変容支援装置100が提供するサービスを利用する者であり、変容対象の行動に対する対応を行う対応者がユーザとなる。ユーザは、端末装置200を用いてユーザ入力を行う。
【0019】
シナリオ記憶部181が記憶するシナリオを実行することで、変容対象の行動と、変容対象の行動のきっかけ(変容対象の行動が行われたきっかけ)と、変容対象の行動の結果とを特定し、変容対象の行動に対する対応方法を提案することができる。従って、シナリオ記憶部181が記憶するシナリオは、対応方法情報の例に該当する。ここでいう対応方法情報は、行動と、当該行動のきっかけと、当該行動の結果との組み合わせ毎に、当該行動に対する対応方法を示す情報である。
【0020】
ここで、同じ行動であっても行動のきっかけまたは行動の結果が異なれば、その行動を変容させるための対応方法が異なる場合がある。
図2は、行動が同じであってもその行動を変容させるための対応方法が異なる例を示す図である。図2では、Aくんの場合とBくんの場合との2つのケースが示されている。Aくん、Bくんの何れの行動もおもちゃを横取りすることであるが、そのきっかけおよび結果は異なっている。
【0021】
Aくんの場合、Aくんが退屈したことをきっかけにおもちゃを横取りしている。横取りの結果、Aくんはおもちゃを手に入れて、そのおもちゃで遊んでいる。この場合、Aくんがおもちゃを横取りした理由として、おもちゃが欲しかったことが考えられる。そこで、おもちゃの横取りに対する対応方法として、おもちゃを手に入れる他の方法をAくんに学ばせることが考えられる。Aくんが、他の方法でおもちゃを手に入れられるようになれば、おもちゃを横取りしなくなると期待される。
【0022】
一方、Bくんの場合、Bくんのお母さんが忙しいことをきっかけにおもちゃを横取りしている。横取りの結果、Bくんはおもちゃを手に入れており、また、Bくんのお母さんが注意しに来ている。この場合、Bくんがおもちゃを横取りした理由として、お母さんに見て欲しかったことが考えられる。そこで、おもちゃの横取りに対する対応方法として、Bくんがおとなしく遊んでいるときにお母さんがBくんに注目し、Bくんが騒ぎ出したらお母さんがBくんを無視することが考えられる。Bくんが、おもちゃを横取りしてもお母さんは来ないと知ることで、おもちゃを横取りしなくなると期待される。
【0023】
シナリオ記憶部181が記憶するシナリオを用いれば、変容対象の行動に加えて、変容対象の行動のきっかけ、および、変容対象の行動の結果に応じて、行動を変容させるための対応方法を特定することができる。シナリオ記憶部181が記憶するシナリオを用いれば、この点で、行動を変容させるために有効な対応方法を特定できる可能性が高い。
【0024】
シナリオ記憶部181は、基礎情報登録シナリオと、きっかけ特定シナリオと、結果特定シナリオとを記憶している。
図3は、基礎情報登録シナリオの例を示す図である。図3に示すシナリオでは、基礎情報として、(1)子どものニックネーム、(2)子どもの性別、(3)子どもの年齢、(4)子どもにとってのユーザとの関係、(5)相談したい子どもの行動、および、(6)ユーザの名前をユーザに入力させる。
【0025】
これらの基礎情報は、きっかけ特定シナリオ、および、結果特定シナリオを実行する際に、ユーザに応じてシナリオをカスタマイズするために用いられる。また、(5)により、変容対象の行動をユーザに入力させる。
図4は、基礎情報登録シナリオの実行例を示す図である。当該シナリオの実行により端末装置200が基礎情報の入力画面を表示してユーザ入力を促す。
【0026】
図5は、きっかけ特定シナリオの構造の例を示す図である。図5に示す四角の各々は、きっかけ特定シナリオの部分シナリオを示す。きっかけ特定シナリオは、図5の例のように部分シナリオを木構造に組み合わせた構成となっている。ルートおよび中間ノードの部分シナリオでは、ユーザ入力に応じて他の部分シナリオへ遷移する。また、リーフの部分シナリオには変容対象の行動のきっかけが対応付けられており、きっかけ特定シナリオをリーフまで辿ることで変容対象の行動のきっかけを特定できる。
【0027】
図6は、きっかけ特定シナリオの部分シナリオの第1例を示す図である。図6は、きっかけ特定シナリオのルートの部分シナリオの例を示している。
きっかけ特定シナリオは擬似チャットのシナリオとなっており、部分シナリオの左側の「Th.」は、その右側のメッセージがチャットボット(Chatbot)としての行動変容支援装置100のメッセージであることを示す。メッセージ中の「<(1)>」等は、基礎情報のうちの該当項目の挿入個所を示す。例えば「<(1)>」は、ユーザ入力された子どものニックネームの挿入個所を示している。
「Cl.」は、ユーザである養育者にユーザ入力を促すタイミングを示している。図6の部分シナリオの実行時には、Cl.にて、その直前の質問に対する回答をユーザに促し、回答に応じて他の部分シナリオへ遷移する。
【0028】
図7は、きっかけ特定シナリオの部分シナリオの第2例を示す図である。図7は、図6の部分シナリオでユーザが「a」と回答した場合の遷移先の部分シナリオの例を示している。
図7の部分シナリオの実行時には、Cl.にて、その直前の質問に対する回答をユーザに促し、回答に応じて他の部分シナリオへ遷移する。
【0029】
図8は、きっかけ特定シナリオの部分シナリオの第3例を示す図である。図8は、図7の部分シナリオでユーザが「はい」と回答した場合の遷移先の部分シナリオの例を示している。
図8の部分シナリオの実行時には、Cl.にて、その直前の質問に対する回答をユーザに促し、回答に応じて他の部分シナリオへ遷移する。
【0030】
図9は、きっかけ特定シナリオの部分シナリオの第4例を示す図である。図9は、図8の部分シナリオでユーザが「同じ」と回答した場合の遷移先の部分シナリオの例を示している。
図9の部分シナリオはきっかけ特定シナリオのリーフの部分シナリオであり、変容対象の行動のきっかけとして先行刺激「指示」、および、仮説「回避」が示されている。ここでいう仮説は、変容対象の行動に対して想定される行動者の心理的要因を示す。先行刺激は、その心理的要因を引き起こした刺激を示す。図9の「先行刺激:指示、仮説:回避」は、行動者が、変容対象の行動のきっかけとして、行動者が指示を回避したいと思ったと想定されることを示している。
【0031】
図10は、きっかけ特定シナリオの実行例を示す図である。図10は、きっかけ特定シナリオの実行時の端末装置200の表示の例を示している。図10に示すように、行動変容支援システム1は、きっかけ特定シナリオの実行により擬似チャットを実行する。これにより、ユーザは、ユーザ入力を行うタイミングおよび入力すべき項目を比較的容易に把握することができる。
【0032】
図11は、結果特定シナリオの部分シナリオの第1例を示す図である。シナリオ記憶部181は、きっかけ特定シナリオで特定されるシナリオ毎に結果特定シナリオを記憶している。
結果特定シナリオの各々は、きっかけ特定シナリオと同様に、部分シナリオを木構造に組み合わせた構成となっている。ルートおよび中間ノードの部分シナリオでは、ユーザ入力に応じて他の部分シナリオへ遷移する。また、リーフの部分シナリオには変容対象の行動に対する対応方法が対応付けられており、結果特定シナリオをリーフまで辿ることで変容対象の行動に対する対応方法を特定できる。
【0033】
図11は、結果特定シナリオのルートの部分シナリオを示している。きっかけ特定シナリオの場合と同様、部分シナリオの左側の「Th.」は、その右側のメッセージがチャットボットとしての行動変容支援装置100のメッセージであることを示す。メッセージ中の「<(1)>」等は、基礎情報のうちの該当項目の挿入個所を示す。
「Cl.」は、ユーザである養育者にユーザ入力を促すタイミングを示している。図11の部分シナリオの実行時には、Cl.にて、その直前の質問に対する回答をユーザに促し、回答に応じて他の部分シナリオへ遷移する。
【0034】
図12は、結果特定シナリオの部分シナリオの第2例を示す図である。図12は、図11の部分シナリオでユーザが「g」と回答した場合の遷移先の部分シナリオの例を示している。
図12の部分シナリオの実行時には、Cl.にて、その直前の質問に対する回答をユーザに促し、回答に応じて他の部分シナリオへ遷移する。
【0035】
図13は、結果特定シナリオの部分シナリオの第3例を示す図である。図13は、図12の部分シナリオでユーザが「している」と回答した場合の遷移先の部分シナリオの例を示している。
図13の部分シナリオは結果特定シナリオのリーフの部分シナリオであり、変容対象の行動を行うと指示が取り下げられて嫌な(面倒な)ことをしなくて済むという結果が特定されている。また、図13には、変容対象の行動に対する対応方法を提案する動画が設けられている。
【0036】
このように、基礎情報登録シナリオの実行にて変容対象の行動が特定され、きっかけ特定シナリオの実行にて変容対象の行動のきっかけが特定される。さらに、結果特定シナリオの実行にて変容対象の行動の結果が特定され、これら変容対象の行動、変容対象の行動のきっかけ、および、変容対象の行動の結果に応じた、変容対象に対する対応方法を特定できる。
【0037】
ユーザ入力情報記憶部182は、ユーザ入力情報を記憶する。ここでいうユーザ入力情報はユーザが入力した情報である。特に、基礎情報がユーザ入力情報の例に該当し、ユーザ入力情報記憶部182は基礎情報を記憶する。
【0038】
サーバ側制御部190は、行動変容支援装置100の各部を制御して各種処理を実行する。サーバ側制御部190は、行動変容支援装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)がサーバ側記憶部180からプログラムを読み出して実行することで構成される。
対応方法特定部191は、行動変容支援装置100によるサービス提供を受けるユーザが端末装置200から行うユーザ入力に基づいて、変容対象の行動と、変容対象の行動のきっかけと、変容対象の行動の結果とを特定する。そして、対応方法特定部191は、行動と、当該行動のきっかけと、当該行動の結果との組み合わせ毎に、当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、変容対象の行動と、変容対象の行動のきっかけと、変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する。
【0039】
具体的には、対応方法特定部191は、シナリオ記憶部181が記憶する基礎情報登録シナリオ、きっかけ特定シナリオ、および、結果特定シナリオを実行することで、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果とを特定し、変容対象の行動に対する対応方法を特定する。
【0040】
対応方法特定部191は、変容対象の行動のきっかけとして、変容対象の行動を行う行動者が変容対象の行動を行う心理的要因、および、心理的要因を生じさせる先行刺激を特定する。図9を参照して説明した「回避」が心理的要因の例に該当し、「指示」が先行刺激の例に該当する。
また、対応方法特定部191は、変容対象の行動の結果として、変容対象の行動を行う行動者以外の者が変容対象の行動に対して行った対応を特定する。例えば、対応方法特定部191は、図11に示す部分シナリオを実行することで、変容対象の行動に対するユーザまたはその場にいる人の対応をユーザに問い合わせる。この問い合わせによる対応の特定は、変容対象の行動の結果の特定としての、行動者以外の者の変容対象の行動に対する対応の特定の例に該当する。
【0041】
端末装置200は、行動変容支援システム1におけるクライアント装置として機能する。端末装置200は、行動変容支援装置100が提供するサービスを受けようとするユーザである養育者が所持する装置であり、当該養育者がサービスを受けるためのユーザインタフェースとなる。
端末装置200は、例えばパソコン、タブレット(Tablet)端末装置またはスマートフォン(Smartphone)等のコンピュータを用いて構成される。
行動変容支援装置100と通信を行う端末装置200の数は1つ以上であればよい。複数の端末装置200が同時に行動変容支援装置100に通信接続し、時分割方式にてそれぞれ行動変容支援装置100によるサービスを受けるようにしてもよい。
【0042】
端末側通信部210は、他の装置と通信を行う。特に、端末側通信部210は、通信ネットワーク900を介してサーバ側通信部110と通信を行う。サーバ側通信部110との通信にて端末側通信部210は、擬似チャットにおけるチャットボットとしての行動変容支援装置100のメッセージを受信する。また、サーバ側通信部110との通信にて端末側通信部210は、擬似チャットにおけるユーザのメッセージとしてユーザ入力情報をサーバ側通信部110へ送信する。
【0043】
表示部220は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を有し、各種画像を表示する。表示部220は、対応方法提示部の例に該当し、端末側通信部210がサーバ側通信部110から受信した対応方法を示す情報を表示する。
ただし、端末装置200が、情報を養育者に提示する方法は、表示部220が表示する方法に限定されない。例えば、端末装置200がスピーカを備え、表示部220による表示に加えて、あるいは代えて、スピーカからの音声出力にて情報を養育者に提示するようにしてもよい。
【0044】
ユーザ入力部230は、例えばキーボードおよびマウス、または、表示部220の表示画面に設けられてタッチパネルを構成するタッチセンサ、あるいはこれらの組合せ等の入力デバイスを有し、ユーザ入力を受ける。
上記のように、ここでのユーザは、変容対象の行動に対応する対応者である。従って、ユーザ入力部230は、変容対象の行動に対応する対応者によるユーザ入力を受ける。
【0045】
端末側記憶部280は、各種情報を記憶する。端末側記憶部280は、端末装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。
端末側制御部290は、端末装置200の各部を制御して各種処理を実行する。端末側制御部290は、端末装置200が備えるCPUが端末側記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0046】
通信ネットワーク900は、行動変容支援装置100と端末装置200との通信を仲介する。通信ネットワーク900は、特定の形態の通信ネットワークに限定されない。例えば、通信ネットワーク900はインターネット(Internet)であってもよい。あるいは、通信ネットワーク900は、行動変容支援システム1専用の通信ネットワークであってもよい。
【0047】
次に、図14を参照して行動変容支援装置100の動作について説明する。
図14は、行動変容支援装置100が変容対象の行動に対する対応案を特定する処理手順を示すフローチャートである。
図14の例で、対応方法特定部191は、基礎情報登録シナリオを実行して基礎情報を取得する(ステップS11)。対応方法特定部191は得られた基礎情報をユーザ入力情報記憶部182に記憶させる。
【0048】
次に、対応方法特定部191は、きっかけ特定シナリオを実行して変容対象の行動のきっかけを特定する(ステップS12)。
次に、対応方法特定部191は、結果特定シナリオを実行して変容対象の行動の結果を特定する(ステップS13)。対応方法特定部191は、結果特定シナリオの実行により、変容対象の行動のきっかけに加えて変容対象の行動に対する対応方法を特定する。
そして、サーバ側通信部110は、対応方法特定部191が特定した対応方法を示す情報を端末装置200へ送信する(ステップS14)。端末装置200は、図13の例のように対応方法を示す情報を擬似チャットにて表示する。
ステップS14の後、図14の処理を終了する。
【0049】
以上のように、ユーザ入力部230は、変容対象の行動に対応する対応者によるユーザ入力を受ける。対応方法特定部191は、ユーザ入力に基づいて、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果とを特定する。そして、対応方法特定部191は、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する。表示部220は、対応方法特定部191が特定した対応方法を表示する。
ここで、図2を参照して説明したように、同じ行動であっても当該行動を変容させるための対応方法が異なる場合がある。行動変容支援システム1によれば、変容対象の行動だけでなく、変容対象の行動のきっかけおよび変容対象の行動の結果に基づいて対応方法を選択する点で、行動を変容させられる可能性が比較的高い方法を提案することができる。
【0050】
また、対応方法特定部191は、ユーザ入力に応じて分岐するシナリオを用いて擬似的なチャットを実行することで、変容対象の行動と、変容対象の行動のきっかけと、変容対象の行動の結果とを特定する。
行動変容支援システム1が擬似的なチャットを行うことで、ユーザは、ユーザ入力を行うタイミングおよび入力すべき項目を比較的容易に把握することができる。
【0051】
また、対応方法特定部191は、変容対象の行動のきっかけとして、変容対象の行動を行う行動者が変容対象の行動を行う心理的要因、および、心理的要因を生じさせる先行刺激を特定する。
これら心理的要因および先行刺激は、変容対象の行動との因果関係が比較的強いと考えられる。行動変容支援システム1によれば、この点で、行動を変容させられる可能性が比較的高い方法を提案することができる。
【0052】
また、対応方法特定部191は、変容対象の行動の結果として、変容対象の行動を行う行動者以外の者が変容対象の行動に対して行った対応を特定する。
特定対象が人の行動という目に見えるものである点で、ユーザは、特定のための質問に比較的正確に答えることができる。この点で、対応方法特定部191は、変容対象の行動の結果を比較的正確に特定して、行動を変容させられる可能性が比較的高い対応方法を提案することができる。
【0053】
<第2実施形態>
図15は、本発明の第2実施形態に係る行動変容支援システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図15に示すように、行動変容支援システム2は、行動変容支援装置300と、端末装置200とを備える。行動変容支援装置300は、サーバ側通信部110と、サーバ側記憶部180と、サーバ側制御部390とを備える。サーバ側記憶部180は、シナリオ記憶部181と、ユーザ入力情報記憶部182とを備える。サーバ側制御部390は、対応方法特定部191と、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394とを備える。端末装置200は、端末側通信部210と、表示部220と、ユーザ入力部230と、端末側記憶部280と、端末側制御部290とを備える。
行動変容支援装置300と端末装置200とは、通信ネットワーク900を介して通信を行う。
【0054】
図15の各部のうち、図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、180、181、182、191、200、210、220、230、280、290、900)を付して説明を省略する。
行動変容支援システム2は、行動変容支援装置300のサーバ側制御部390が、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394とを備える点で行動変容支援システム1と異なる。それ以外の点では、行動変容支援システム2は、行動変容支援システム1と同様である。
【0055】
行動変容支援システム2は、行動変容支援システム1と同様、行動を変容させるための対応方法を、当該行動に対応する対応者との擬似的なチャットにて提案する。さらに、行動変容支援システム2は、提案した対応方法で成果を得られなかった場合、より変容が容易と期待される行動を新たな変容対象の行動として提案する。
【0056】
行動変容支援装置300は、行動変容支援システム2のサーバ装置として機能する。行動変容支援装置300は、行動を変容させるための対応方法を、当該行動に対応する対応者との擬似的なチャットにて提案するサービスを提供する。また、行動変容支援装置300は、提案した対応方法で成果を得られなかった場合、より変容が容易と期待される行動を新たな変容対象の行動として提案するサービスを提供する。
行動変容支援装置300は、例えばワークステーションまたはパソコン等のコンピュータを用いて構成される。
【0057】
サーバ側制御部390は、行動変容支援装置300の各部を制御して各種処理を実行する。サーバ側制御部390は、行動変容支援装置300が備えるCPUがサーバ側記憶部180からプログラムを読み出して実行することで構成される。
難易度評価部392は、行動に対して当該行動を変容させることの難易度を評価する。具体的には、難易度評価部392は、難易度評価対象の行動を構成する細分化された行動の数が多いほど、難易度が高いと評価する。
以下では、難易度評価対象の行動を細分化した結果を行動の鎖と称する。細分化によって得られた行動の数を鎖の長さと称する。
【0058】
図16は、行動の鎖の例を示す図である。図16は、「弟をおもちゃで叩く」行動の細分化の例を示している。図16に示すように、「弟をおもちゃで叩く」行動は、「おもちゃを探す」、「おもちゃを持つ」、「弟を探す」、「弟に向かって走る」、「弟をつかむ」、「おもちゃを振り上げる」および「おもちゃを弟にあてる」の7つの行動に細分化することができる。この場合、「弟をおもちゃで叩く」の鎖の長さは7つである。
【0059】
難易度評価対象の行動の細分化をユーザが行い、難易度評価部392が、ユーザによる細分化で得られた鎖の長さを用いて難易度の評価を行うようにしてもよい。
例えば、シナリオ記憶部181が難易度評価用のシナリオを記憶しておく。難易度評価部392は、このシナリオを実行することで、擬似チャットにて行動の細分化の方法をユーザに説明し、難易度評価対象の細分化で得られた鎖の長さの入力を促す。そして、難易度評価部392は、入力された数を用いて難易度評価対象の行動の難易度を評価する。
【0060】
成否情報取得部393は、変容対象の行動に対する対応方法の実施結果の成否を示す情報を取得する。例えば、成否情報取得部393が、擬似チャットにて成否をユーザに問い合わせるようにしてもよい。そのためのシナリオをシナリオ記憶部181が記憶しておくようにしてもよい。
変容対象行動提案部394は、変容対象の行動に対する対応方法の実施結果が不成功であった場合、対応方法の実施対象となった行動よりも難易度の低い行動を新たな変容対象の行動として、対応者であるユーザに提案する。
【0061】
例えば、サーバ側記憶部180が、行動の名称と当該行動の鎖の長さとを対応付けて予め記憶しておく。そして、変容対象行動提案部394が、難易度評価対象の行動(変容対象の行動)の鎖の数よりも鎖の長さが短い行動の名称をサーバ側記憶部180から読み出してユーザに提示するようにしてもよい。ユーザが、提示された行動の名称の何れかを選択すると、変容対象行動提案部394が、選択された行動を新たな変容対象の行動として設定するようにしてもよい。
あるいは、ユーザが、変容対象の行動として新たに設定したい行動の名称をユーザ入力するようにしてもよい。
【0062】
次に、図17を参照して行動変容支援装置300の動作について説明する。
図17は、行動変容支援装置300が変容対象の行動を新たに設定する際に行う処理の手順の例を示すフローチャートである。
図17の処理で、成否情報取得部393は、行動変容支援装置300が以前に提案した、変容対象の行動に対する対応方法の実施の成否を示す情報を取得する(ステップS21)例えば、成否情報取得部393は、ユーザに成否を問い合わせ、ユーザが入力する成否を示す情報を取得する。
【0063】
次に、サーバ側制御部390は、ステップS21で得られた情報を用いて、対応方法実施の成果の有無を判定する(ステップS22)。
成果があったと判定した場合(ステップS22:YES)、サーバ側制御部390が、当該対応方法を擬似チャットにて振り返る(ステップS23)。
ステップS23の後、図17の処理を終了する。この場合、行動変容支援装置100は、新たな変容対象の行動の提案および設定は行わない。
【0064】
一方、ステップS22で成果が無かったと判定した場合(ステップS22:NO)、変容対象行動提案部394は、行動の鎖の長さについてユーザに説明する(ステップS24)。そして、変容対象行動提案部394は、変容対象の行動の鎖の長さを入力するようユーザに促し、ユーザが入力する鎖の長さを示す情報を取得する(ステップS25)。
そして、変容対象行動提案部394は、変容対象の行動よりも鎖の長さが短い行動の例をユーザに提示し(ステップS26)、ユーザが指定する行動を新たな変容対象の行動に決定する(ステップS27)。
【0065】
例えば、サーバ側記憶部180が、行動の名称と当該行動の鎖の長さとを対応付けて予め記憶しておく。そして、変容対象行動提案部394が、変容対象の行動の鎖の数よりも鎖の長さが短い行動の名称をサーバ側記憶部180から読み出してユーザに提示する。ユーザが、提示された行動の名称の何れかを選択すると、変容対象行動提案部394が、選択された行動を新たな変容対象の行動として設定する。
ステップS27の後、図17の処理を終了する。
【0066】
以上のように、難易度評価部392は、行動に対して当該行動を変容させることの難易度を評価する。成否情報取得部393は、変容対象の行動に対する対応方法の実施結果の成否を示す情報を取得する。変容対象行動提案部394は、変容対象の行動に対する対応方法の実施結果が不成功であった場合、対応方法の実施対象となった行動よりも難易度の低い行動を新たな変容対象の行動として対応者であるユーザに提案する。
これにより、ユーザは、行動の変容が比較的容易な対象で行動変容の経験を積むことができる。ユーザが経験を積むことで、行動変容の難易度がより高い対象にも対応できるようになると期待される。
【0067】
また、難易度評価部392は、難易度評価対象の行動を構成する細分化された行動の数が多いほど、難易度が高いと評価する。
難易度評価部392が、数値化可能な評価基準を用いて評価を行う点で、比較的正確に難易度の評価を行うことができる。
【0068】
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る行動変容支援システムの装置構成を示す概略ブロック図である。図18に示すように、行動変容支援システム3は、行動変容支援装置400と、端末装置200とを備える。行動変容支援装置400と端末装置200とは、通信ネットワーク900を介して通信を行う。
図18の端末装置200と、通信ネットワーク900とは、図15の場合と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0069】
図19は、行動変容支援装置400の機能構成を示す概略ブロック図である。図19に示すように、行動変容支援装置400は、サーバ側通信部110と、サーバ側記憶部180と、サーバ側制御部490とを備える。サーバ側記憶部180は、シナリオ記憶部181と、ユーザ入力情報記憶部182とを備える。サーバ側制御部490は、対応方法特定部491と、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394とを備える。対応方法特定部491は、きっかけ推定部495と、選択肢提示部496と、後続刺激選択部497とを備える。
【0070】
図19の各部のうち、図15の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、180、181、182、392、393、394)を付して説明を省略する。
行動変容支援システム3は、行動変容支援装置400のサーバ側制御部490の対応方法特定部491が、きっかけ推定部495と、選択肢提示部496と、後続刺激選択部497とを備える点で行動変容支援システム2と異なる。それ以外の点では、行動変容支援システム3は、行動変容支援システム2と同様である。
なお、図18および図19では、第2実施形態に基づいて第3実施形態を実施する場合の構成例を示しているが、第1実施形態に基づいて第3実施形態を実施するようにしてもよい。従って、行動変容支援装置400にとって、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394とは必須ではない。
【0071】
きっかけ推定部495は、変容対象の行動のきっかけを推定する。
選択肢提示部496は、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示する。選択肢提示部は、端末装置200の表示部220に選択肢を表示させることで、選択肢の提示を行う。
【0072】
変容対象の行動が行われたきっかけと、変容対象の行動に対する対応の組合せとに基づいて、変容対象の行動の理由を推定することができる。これに対し、行動の理由が推定できない場合、あるいは、変容対象の行動が行われたきっかけと変容対象の行動に対する対応の不合理な組合せが生じた場合、きっかけ、または、対応の何れかが誤っていると考えられる。
例えば、欲しい物が手に入っていない状態がきっかけとなり、泣き叫んだことによって、大人が欲しい物を与えているという対応をとっているとの回答の場合、行動の理由は欲しい物を手に入れたいからと考えられる。一方、親からの注目を得られていない状態がきっかけとなり、泣き叫んだことによって、親が引き続き注目を与えていないという対応をとっているとの回答の場合、行動の理由が推定できない不合理な組合せであるため、きっかけもしくは対応の回答が誤っていると考えられる。
【0073】
そこで、選択肢提示部496は、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示する。これらの選択肢のうち選択された選択肢に基づいて、推定されたきっかけが正しいか否かを判定することができる。推定されたきっかけに応じた対応が選択された場合、推定されたきっかけが正しいと判定することができる。一方、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、推定されたきっかけは誤りであり、実際のきっかけに応じた対応が行われたために、選択肢提示部496が提示した対応以外の対応が行われたと考えらえる。
【0074】
そこで、選択肢提示部496は、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけ以外の複数のきっかけの各々に応じた対応の選択肢を提示する。
これらの選択肢のうち何れが選択されるかに応じて、変容対象の行動が行われたきっかけを推定し直すことができる。
【0075】
後続刺激選択部497は、選択肢提示部496が提示する選択肢のうち選択された選択肢に応じて、後続刺激(変容対象の行動に後続する刺激)を選択する。推定されたきっかけに応じた対応の選択肢が選択された場合、後続刺激選択部497は、推定されたきっかけに応じた後続刺激を選択する。一方、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、後続刺激選択部497は、変容対象の行動のきっかけのうち、推定されたきっかけ以外のきっかけに応じた後続刺激を選択する。
【0076】
上記のように、変容対象の行動が行われたきっかけと、変容対象の行動に対する対応の組合せとに基づいて、変容対象の行動の理由を推定することができる。これに対し、行動の理由が推定できない場合、あるいは、変容対象の行動が行われたきっかけと変容対象の行動に対する対応の不合理な組合せが生じた場合、きっかけ、または、対応の何れかが誤っていると考えられる。
後続刺激選択部497が、選択肢提示部496が提示する選択肢からの選択に応じて後続刺激を選択することで、上記のように、正しいと判定されたきっかけに応じた後続刺激を選択することができ、この点で、後続刺激を高精度に選択することができる。
【0077】
また、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択され、選択肢提示部496が、推定されたきっかけ以外のきっかけに応じた対応の選択肢を提示した場合、後続刺激選択部497は、選択された選択肢に応じた後続刺激を選択する。この選択は、選択された選択肢が示す対応に応じたきっかけに応じた後続刺激を選択することといえる。
これにより、後続刺激選択部497は、上記のように、推定されたきっかけが正しくないと判定された場合に、推定し直されたきっかけに応じた後続刺激を選択することができ、この点で、後続刺激を高精度に選択することができる。
【0078】
図20は、対応リストと後続刺激の選択との関係の例を示す図である。
「先行刺激 推定されたきっかけ」の欄には、きっかけ推定部495が推定する、変容対象の行動のきっかけの選択肢が示されている。図20の例では、変容対象の行動のきっかけの選択肢として、「1:指示あり」と、「2、3:要求物なし」と、「4:注目なし」とが示されている。
【0079】
「1:指示あり」は、変容対象の行動を行った子どもへの指示がきっかけとなって、変容対象の行動が行われたことを示す。
「2、3:要求物なし」は、変容対象の行動を行った子どもにとって、欲しいものが手に入らなかったこと、または、やりたいことをやれなかったことがきっかけとなって、変容対象の行動が行われたことを示す。
「4:注目なし」は、変容対象の行動を行った子どもが、誰にも相手にされていなかったこと、または、お母さんなど特定の人に注目されていなかったことがきっかけとなって、変容対象の行動が行われたことを示す。
【0080】
「提示 対応リスト1」の欄には、変容対象の行動に対する対応のうち、「先行刺激 推定されたきっかけ」の欄に示されるきっかけに応じた対応のリストが示されている。このリストを、対応リスト1と称する。
きっかけ推定部495が、変容対象の行動が行われたきっかけが、「先行刺激 推定されたきっかけ」の欄に示されるきっかけであると推定した場合、選択肢提示部496は、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢として対応リスト1を提示する。
【0081】
図20の例では、きっかけ推定部495がきっかけを「1:指示あり」と推定した場合、選択肢提示部496は、「1:指示を取り下げた」、「2:好きなことをやらせた」、・・・、「5:クールダウンさせる」と、「15:当てはまるものがない」との選択肢を含む対応リスト1を提示する。
きっかけ推定部495がきっかけを「2、3:要求物なし」と推定した場合、選択肢提示部496は、「6:指示を取り下げた」、「7:好きなことをやらせた」、「8:要求物を渡す」と、「15:当てはまるものがない」との選択肢を含む対応リスト1を提示する。
【0082】
きっかけ推定部495がきっかけを「4:注目なし」と推定した場合、選択肢提示部496は、「9:指示を取り下げた」、「10:好きなことをやらせた」、・・・、「14:注意した(叱った)」と、「15:当てはまるものがない」との選択肢を含む対応リスト1を提示する。
選択肢提示部496が対応リスト1を提示することは、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示することの例に該当する。
【0083】
「提示 対応リスト2」の欄には、対応リスト1の提示に対して「15:当てはまるものがない」が選択された場合の、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のリストが示されている。このリストを、対応リスト2と称する。
上記のように、対応リスト1の提示に対して「15:当てはまるものがない」が選択された場合、変容対象の行動が行われたきっかけの推定が正しくなかったと考えられる。そこで、対応リスト2には、「先行刺激 推定されたきっかけ」の欄に示される、他のきっかけに応じた対応が含まれる。
例えば、図20の例で「1:指示あり」に対応する対応リスト2(「1:指示あり」の行の対応リスト2)には、「2、3:要求物なし」に応じた対応「1:要求物を渡す」と、「4:注目なし」に応じた対応「2:注意した(叱った)」とが示されている。
【0084】
図20の例では、きっかけ推定部495がきっかけを「1:指示あり」と推定し、対応リスト1で「15:当てはまるものがない」との選択肢が選択された場合、選択肢提示部496は、「1:要求物を渡す」、「2:注意した(叱った)」との選択肢を含む対応リスト2を提示する。
【0085】
「1:要求物を渡す」の選択肢は、変容対象の行動が行われたきっかけが「2、3:要求物なし」である場合に行われる対応の選択肢に該当する。従って、「1:要求物を渡す」の選択肢が選択された場合、変容対象の行動が行われたきっかけが「1:指示あり」ではなく、正しくは「2、3:要求物なし」であったことが考えられる。
【0086】
「2:注意した(叱った)」の選択肢は、変容対象の行動が行われたきっかけが「4:注目なし」である場合に行われる対応の選択肢に該当する。従って、「2:注意した(叱った)」の選択肢が選択された場合、変容対象の行動が行われたきっかけが「1:指示あり」ではなく、正しくは「4:注目なし」であったことが考えられる。
【0087】
きっかけ推定部495がきっかけを「2、3:要求物なし」と推定し、対応リスト1で「15:当てはまるものがない」との選択肢が選択された場合、選択肢提示部496は、「3:注意した(叱った)」、「4:放っておく」、「5:その場から離す」、および、「6:クールダウンさせる」との選択肢を含む対応リスト2を提示する。
【0088】
「3:注意した(叱った)」の選択肢は、変容対象の行動が行われたきっかけが「4:注目なし」である場合に行われる対応の選択肢に該当する。従って、「3:注意した(叱った)」の選択肢が選択された場合、変容対象の行動が行われたきっかけが「2、3:要求物なし」ではなく、正しくは「4:注目なし」であったことが考えられる。
【0089】
「4:放っておく」、5:その場から離す」、および、「6:クールダウンさせる」の選択肢は、いずれも、変容対象の行動が行われたきっかけが「1:指示あり」である場合の、対応の選択肢に該当する。従って、「4:放っておく」、「5:その場から離す」、および、「6:クールダウンさせる」の選択肢のうち何れかが選択された場合、変容対象の行動が行われたきっかけが「2、3:要求物なし」ではなく、正しくは「1:指示あり」であったことが考えられる。
【0090】
きっかけ推定部495がきっかけを「4:注目なし」と推定し、対応リスト1で「15:当てはまるものがない」との選択肢が選択された場合、対応リスト2における選択肢は「7:放っておく」のみとなっている。対応リスト2における選択肢が1つのみである場合、選択肢提示部496によるその選択肢の提示を省略し、その選択肢が自動的に選択されるようにしてもよい。
【0091】
「後続刺激」の欄には、対応リスト1の提示に対する選択肢の選択に応じて、さらには、対応リスト2の提示に対する選択肢の選択に応じて、後続刺激選択部が選択する後続刺激の例が示されている。
図20の例では、きっかけ推定部495が、きっかけを「1:指示あり」と推定し、対応リスト1の選択のうち、「1:指示を取り下げた」~「5:クールダウンさせる」のいずれかが選択された場合、きっかけ推定部495は、変容対象の行動が行われたきっかけとして、推定したきっかけである「1:指示あり」を維持する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(1)指示回避」を選択する。
【0092】
きっかけ推定部495が、きっかけを「1:指示あり」と推定し、対応リスト1の選択肢のうち、「15:当てはまるものがない」が選択され、対応リスト2の選択肢のうち、「1:要求物を渡す」が選択された場合、きっかけ推定部495は、変容対象の行動が行われたきっかけを、「2、3:要求物なし」に変更する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(2)要求物獲得」を選択する。
【0093】
きっかけ推定部495が、きっかけを「1:指示あり」と推定し、対応リスト1の選択肢のうち、「15:当てはまるものがない」が選択され、対応リスト2の選択肢のうち、「2:注意した(叱った)」が選択された場合、きっかけ推定部495は、変容対象の行動が行われたきっかけを、「4:注目物なし」に変更する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(3)注目獲得」を選択する。
【0094】
きっかけ推定部495が、きっかけを「2、3:要求物なし」と推定し、対応リスト1の選択のうち、「6:指示を取り下げた」~「8:要求物を渡す」のいずれかが選択された場合、きっかけ推定部495は、変容対象の行動が行われたきっかけとして、推定したきっかけである「2、3:要求物なし」を維持する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(2)要求物獲得」を選択する。
【0095】
きっかけ推定部495が、きっかけを「2、3:要求物なし」と推定し、対応リスト1の選択肢のうち、「15:当てはまるものがない」が選択され、対応リスト2の選択肢のうち、「3:注意した(叱った)」が選択された場合、きっかけ推定部は、変容対象の行動が行われたきっかけを、「4:注目なし」に変更する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(3)注目獲得」を選択する。
【0096】
きっかけ推定部495が、きっかけを「2、3:要求物なし」と推定し、対応リスト1の選択肢のうち、「15:当てはまるものがない」が選択され、対応リスト2の選択肢のうち、「4:放っておく」~「6:クールダウンさせる」のうち何れかが選択された場合、きっかけ推定部は、変容対象の行動が行われたきっかけを、「1:指示あり」に変更する。この場合、後続刺激選択部497は、後続刺激として「(1)指示回避」を選択する。
【0097】
次に、図21を参照して行動変容支援装置400の動作について説明する。
図21は、行動変容支援装置400が、変容対象の行動が行われたきっかけの推定結果に基づいて後続刺激を選択する処理の手順の例を示すフローチャートである。
図21の処理で、きっかけ推定部495は、変容対象の行動のきっかけを推定する(ステップS111)。
【0098】
次に、選択肢提示部496は、きっかけ推定部495が推定したきっかけに応じた対応リスト1を提示する(ステップS112)。具体的には、選択肢提示部496は、端末装置200の表示部220に、対応リスト1を表示させる。
そして、対応方法特定部191は、対応リスト1に提示された選択肢の何れかの選択を受け付ける(ステップS113)。具体的には、対応方法特定部191は、端末装置200のユーザ入力部230が受けるユーザ操作に基づいて、選択された選択肢を検出する。
【0099】
そして、サーバ側制御部490は、選択された選択肢に応じて処理を分岐させる(ステップS114)。
対応リスト1に提示された選択肢のうち「1:指示を取り下げた」~「14:注意した(叱った)」の何れかが選択された場合(ステップS114:1~14)、きっかけ推定部495は、ステップS111で推定したきっかけを維持し、後続刺激選択部497は、そのきっかけに応じた後続刺激を選択し、提示する(ステップS121)。
ステップS121の後、行動変容支援装置400は、図21の処理を終了する。
【0100】
一方、対応リスト1に提示された選択肢のうち「15:当てはまるものがない」が選択された場合(ステップS114:15)、サーバ側制御部490は、ステップS111で推定されたきっかけに応じて処理を分岐させる(ステップS131)。
推定されたきっかけが「1:指示あり」である場合(ステップS131:1)、選択肢提示部496は、「1:指示あり」の場合の対応リスト2を提示する(ステップS141)。そして、対応方法特定部191は、対応リスト2に提示された選択肢の何れかの選択を受け付ける(ステップS142)。
【0101】
そして、サーバ側制御部490は、選択された選択肢に応じて処理を分岐させる(ステップS143)。
対応リスト2に提示された選択肢のうち「1:要求物を渡す」が選択された場合(ステップS143:1)、きっかけ推定部495は、きっかけを「2、3:要求物なし」に変更し、後続刺激選択部497は、「2、3:要求物なし」とのきっかけに応じた後続刺激を選択し、提示する(ステップS161)。
ステップS161の後、行動変容支援装置400は、図21の処理を終了する。
【0102】
一方、対応リスト2に提示された選択肢のうち「2:注意した(叱った)」が選択された場合(ステップS143:2)、きっかけ推定部495は、きっかけを「4:注目なし」に変更し、後続刺激選択部497は、「4:注目なし」とのきっかけに応じた後続刺激を選択し、提示する(ステップS162)。
ステップS162の後、行動変容支援装置400は、図21の処理を終了する。
【0103】
一方、推定されたきっかけが「2、3:要求物なし」である場合(ステップS131:2、3)、選択肢提示部496は、「2、3:要求物なし」の場合の対応リスト2を提示する(ステップS151)。そして、対応方法特定部191は、対応リスト2に提示された選択肢の何れかの選択を受け付ける(ステップS152)。
そして、サーバ側制御部490は、選択された選択肢に応じて処理を分岐させる(ステップS153)。
対応リスト2に提示された選択肢のうち「3:注意した(叱った)」が選択された場合(ステップS153:3)、処理がステップS162へ進む。
【0104】
一方、対応リスト2に提示された選択肢のうち「4:放っておく」~「6:クールダウンさせる」の何れかが選択された場合(ステップS153:4~6)、きっかけ推定部495は、きっかけを「1:指示あり」に変更し、後続刺激選択部497は、「1:指示あり」とのきっかけに応じた後続刺激を選択し、提示する(ステップS163)。
ステップS163の後、行動変容支援装置400は、図21の処理を終了する。
一方、推定されたきっかけが「4:注目なし」である場合(ステップS131:4)、処理がステップS163へ進む。
【0105】
行動変容支援装置400が、図14のステップS13での結果の特定のために、図21の処理を行うようにしてもよい。この場合、図21のステップS111でのきっかけの推定は、図14のステップS12でのきっかけの特定の例に該当する。また、図21(ステップS121、S161、S162、および、S163)における後続刺激の選択は、図14のステップS13での結果の特定の例に該当する。図21の処理における後続刺激が、図14の処理における結果の例に該当する。
【0106】
以上のように、きっかけ推定部495は、変容対象の行動のきっかけを推定する。
選択肢提示部496は、変容対象の行動に対して行われた対応の選択肢のうち、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢と、行われた対応が提示されていない旨の選択肢とを提示する。
後続刺激選択部497は、推定されたきっかけに応じた対応の選択肢が選択された場合、推定されたきっかけに応じた後続刺激を選択する。また、後続刺激選択部497は、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、変容対象の行動のきっかけのうち推定されたきっかけ以外のきっかけに応じた後続刺激を選択する。
これにより、行動変容支援装置400では、変容対象の行動のきっかけの推定結果が正確でない場合に、きっかけを推定し直して、対応する後続刺激を選択することができ、この点で、より正確な後続刺激を選択できる。
【0107】
また、選択肢提示部496は、対応リスト1の選択肢のうち、行われた対応が提示されていない旨の選択肢が選択された場合、変容対象の行動のきっかけのうち、推定されたきっかけ以外の複数のきっかけの各々に応じた対応の選択肢を提示する。後続刺激選択部497は、選択された選択肢が示す対応に応じたきっかけに応じた後続刺激を選択する。
これにより、行動変容支援装置400では、推定されたきっかけ以外のきっかけが複数ある場合でも、該当するきっかけを推定し直して対応する後続刺激を選択することができ、この点で、より正確な後続刺激を選択できる。
【0108】
<第4実施形態>
図22は、本発明の第4実施形態に係る行動変容支援システムの装置構成を示す概略ブロック図である。図22に示すように、行動変容支援システム4は、行動変容支援装置500と、端末装置200とを備える。行動変容支援装置500と端末装置200とは、通信ネットワーク900を介して通信を行う。
図22の端末装置200と、通信ネットワーク900とは、図18の場合と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
図23は、行動変容支援装置500の機能構成を示す概略ブロック図である。図23に示すように、行動変容支援装置500は、サーバ側通信部110と、サーバ側記憶部580と、サーバ側制御部590とを備える。サーバ側記憶部580は、シナリオ記憶部181と、ユーザ入力情報記憶部182と、評価判定情報記憶部583とを備える。サーバ側制御部590は、対応方法特定部491と、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394と、代替行動評価部598とを備える。対応方法特定部491は、きっかけ推定部495と、選択肢提示部496と、後続刺激選択部497とを備える。
【0110】
図23の各部のうち、図19の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、181、182、392、393、394、491、495、496、497)を付して説明を省略する。
行動変容支援システム4は、行動変容支援装置500のサーバ側記憶部580が、評価判定情報記憶部583を備え、サーバ側制御部590が、代替行動評価部598を備える点で行動変容支援システム3と異なる。それ以外の点では、行動変容支援システム4は、行動変容支援システム3と同様である。
【0111】
なお、図22および図23では、第3実施形態に基づいて第4実施形態を実施する場合の構成例を示しているが、第1実施形態および第2実施形態のうち何れかに基づいて第4実施形態を実施するようにしてもよい。従って、行動変容支援装置500にとって、難易度評価部392と、成否情報取得部393と、変容対象行動提案部394とは必須ではない。また、行動変容支援装置500にとって、きっかけ推定部495と、選択肢提示部496と、後続刺激選択部497とは必須ではない。
【0112】
評価判定情報記憶部583は、評価判定情報を記憶する。評価判定情報は、変容対象行動の代替行動案を評価するための情報である。評価判定情報では、提案された代替行動の許容度および頻度の組み合わせが、評価値および評価コメントに対応付けられている。
ここでいう許容度は、変容対象の行動に対する対応を行う対応者にとっての、提案された代替行動の許容度である。ここでいう頻度は、変容対象の行動を行う子どもが、提案された代替行動を行う頻度の予測値である。
【0113】
代替行動案と、その代替行動案に対する対応者の許容度とその代替行動が行われる頻度の予測値とは、端末装置200のユーザ入力部230が、ユーザ操作による入力を受け付けることで取得する。行動変容支援装置500では、サーバ側通信部110が、端末装置200が送信するこれらの情報を受信することで、これらの情報を取得する。
【0114】
図24は、端末装置200の表示部220が表示する、代替行動案の入力画面の例を示す図である。
図24の例で、変容対象の行動を行う子どもの普段の行動をあげるよう促すメッセージと共に、行動の入力領域A111~A113と、追加ボタン(領域A121)と、完了ボタン(領域A122)とを表示している。
【0115】
行動の入力領域A111~A113は、変容対象の行動を行う子どもの普段の行動の入力を受け付ける領域である。領域A121に表示される追加ボタンは、行動の入力領域の追加を指示するユーザ操作を受け付ける。ユーザ(対応者)が追加ボタンの押下操作(例えば、マウスクリック)を行うと、表示部220は、行動の入力領域A111~A113に加えてさらに、行動の入力領域を表示する。
【0116】
行動の入力領域A111~A113、または、追加された行動の入力領域に入力された行動は、変容対象の行動の代替行動案として用いられる。
領域A122に表示される完了ボタンは、行動の入力領域への行動の入力が完了したことを示すユーザ操作を受け付ける。ユーザ(対応者)が完了ボタンの押下操作(例えばマウスクリック)を行うと、端末装置200は、行動の入力領域に入力されている動作を、変容対象の行動の代替行動案として検出する。
【0117】
図25は、端末装置200の表示部220が表示する、採点入力画面の例を示す図である。採点入力画面は、変容対象の行動の代替行動案として提案された行動の許容度および頻度の入力画面である。
図25の例で、表示部220は、代替行動案(図25の例では、「○○○○」)と共に、その代替行動の頻度の入力領域A211、および、その代替行動の許容度の入力領域A212と、完了ボタン(領域A221)とを表示している。
【0118】
代替行動の頻度の入力領域A211は、表示されている代替行動案を、変容対象の行動を行う子どもが行うと予測される頻度の入力を受ける。頻度の予測として、例えば、現在、その子供がその行動を行う頻度が入力される。
頻度は、例えば1~6の6段階の採点で入力される。「1」は、滅多にしないことを示す。「2」は、ほとんどしないことを示す。「3」は、あまりしないことを示す。「4」は、たまにすることを示す。「5」は、よくすることを示す。「6」は、かなりよくすることを示す。
但し、頻度の入力方法は、これに限定されない。
【0119】
代替行動の許容度の入力領域A211は、変容対象の行動に対応する対応者が、提案された代替行動を許容できる許容度の入力を受ける。
許容度は、例えば1~6の6段階の採点で入力される。「1」は、絶対許せないことを示す。「2」は、許せないことを示す。「3」は、あまり許せないことを示す。「4」は、まあまあ許せることを示す。「5」は、許せることを示す。「6」は、かなり許せることを示す。
但し、許容度の入力方法は、これに限定されない。
【0120】
図26は、評価判定情報記憶部583が記憶する評価変換情報の例を示す図である。評価変換情報は、許容度および頻度の組み合わせを、代替行動案に対する評価に変換するための情報である。
図26の例では、許容度と頻度との組み合わせと、代替行動案の評価値との対応関係が、グラフ形式または表形式で示されている。横軸に示される頻度の何れかと、縦軸に示される許容度の何れかとを選択することで、選択された頻度(表の列)と選択された許容度(表の行)とが重なる領域に、代替行動案の評価値が、A~Fの6段階の値で、「◎」、「○」、「△」、「×」の記号と共に示されている。「A」が最も評価が高く、「F」が最も評価が低い。
但し、評価変換情報の表現形式は、特定の形式に限定されない。例えば、評価判定情報記憶部583が評価変換情報を、許容度および頻度の入力を受けて評価値を出力する関数として記憶していてもよい。
【0121】
図27は、評価判定情報記憶部583が記憶する評価コメント情報の例を示す図である。評価コメント情報は、代替行動案に対する評価に応じたコメントを示す情報である。
図27の例では、評価コメント情報として、A~Fの6段階の評価値および「◎」、「○」、「△」、「×」の記号と、6段階の評価それぞれの場合に表示部220が表示するメッセージとが示されている。
【0122】
評価変換情報と、評価コメント情報との組み合わせは、評価判定情報の例に該当する。評価変換情報が、提案された代替行動の許容度および頻度の組み合わせと代替行動案の評価値との対応関係を示し、評価コメント情報が、代替行動案の評価値とコメントとの対応関係を示している。これによって、提案された代替行動の許容度および頻度の組み合わせが、評価値および評価コメントに対応付けられている。
【0123】
代替行動評価部598は、変容対象の行動に対する代替行動案を、その代替行動に対する対応者の許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値とに基づいて評価する。具体的には、代替行動評価部598は、評価変換情報を参照して、許容度と頻度との組み合わせに対応付けられる評価値を読み出す。
代替行動評価部598は、許容度および頻度の組み合わせと評価値とが対応付けられた評価判定情報を参照して、入力された許容度および頻度に対応付けられた評価値を取得する、さらに、代替行動評価部598は、評価コメント情報を参照して、代替行動案の評価値に対応する評価コメントを取得する。
代替行動評価部598は、許容度および頻度に対応付けられた評価値および評価コメントを取得し、取得した評価値および評価コメントを、対応者に提示する。具体的には、代替行動評価部598は、評価値および評価コメントを、端末装置200の表示部220に表示させる。
【0124】
次に、図28を参照して、行動変容支援システム4の動作について説明する。
図28は、行動変容支援システム4が、変容対象の行動の代替行動案を評価する処理手順の例を示す図である。
図28の処理で、端末装置200の表示部220が、代替行動案の入力画面を表示する(シーケンスS211)。そして、ユーザ入力部230が、代替行動案の入力操作を受け付ける(シーケンスS212)。
次に、表示部220は、採点入力画面を表示する(シーケンスS213)。上記のように、採点入力画面は、代替行動案として提案された代替行動の許容度および頻度の入力画面である。ユーザ入力部230が、許容度および頻度の入力操作を受け付ける(シーケンスS214)。
【0125】
そして、端末側通信部210は、入力された代替行動案、および、その代替行動案の許容度および頻度を示す情報を、行動変容支援装置500へ送信する(シーケンスS215)。入力された代替行動案が複数ある場合、端末側通信部210は、それら複数の代替行動案と、代替行動案毎の許容度および頻度を示す情報を送信する。行動変容支援装置500では、サーバ側通信部110が、代替行動案、および、その代替行動案の許容度および頻度を示す情報を受信する。
【0126】
次に、代替行動評価部598が、代替行動案を評価する(シーケンスS216)。具体的には、代替行動評価部598は、評価判定情報記憶部583が記憶する評価変換情報を参照して、許容度と頻度との組み合わせに応じた評価値を読み出す。代替行動案が複数ある場合、代替行動評価部598は、代替行動案毎に評価値を読み出す。
そして、代替行動評価部598は、評価判定情報記憶部583が記憶する評価コメント情報を参照して、シーケンスS216で読み出した評価値に対応するコメントを読み出す(シーケンスS217)。代替行動案が複数ある場合、代替行動評価部598は、代替行動案毎にコメントを読み出す。
【0127】
そして、サーバ側通信部110は、代替行動案の評価結果を端末装置200へ送信する(シーケンスS218)。具体的には、サーバ側通信部110は、代替行動案の評価値と、その評価値に応じたコメントを送信する。代替行動案が複数ある場合、サーバ側通信部110は、代替行動案毎に評価値とコメントとを送信する。端末装置200では、端末側通信部210が、代替行動案の評価値、および、その評価値に応じたコメントを受信する。
【0128】
次に、端末装置200の表示部220は、代替行動案の評価結果を表示する(シーケンスS219)。具体的には、表示部220は、代替行動案と、その評価値と、その評価値に応じたコメントを表示する。代替行動案が複数ある場合、表示部220は、代替行動案毎に、代替行動案、評価値およびコメントを表示する。
【0129】
そして、ユーザ入力部230が、代替行動案の選択を受け付ける(シーケンスS220)。代替行動案が複数ある場合、上記のように表示部220がそれら複数の代替行動案の各々について、代替行動案、代替行動案毎の評価値、および、評価値に応じたコメントを表示する。そして、ユーザ入力部230がそれら複数の代替行動案の何れかの選択操作を受け付けるようにしてもよい。
【0130】
あるいは、表示部220が、ユーザ入力された代替行動案に加えて、端末側記憶部280が予め記憶している代替行動案を表示するようにしてもよい。そして、ユーザ入力部230が、ユーザ入力された代替行動案、および、端末側記憶部280が予め記憶している代替行動案のうち何れかの選択操作を受け付けるようにしてもよい。
例えば、ユーザ入力された代替行動案の評価がいずれも低い場合(例えば、「E」評価または「F」評価のみである場合)、表示部220が、ユーザ入力された代替行動案に加えて、端末側記憶部280が、一般的に有用な代替行動案として予め記憶している代替行動案を表示するようにしてもよい。そして、ユーザ入力部230が、これらの代替行動案のうち何れかを選択するユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
【0131】
あるいは、代替行動案が1つのみである場合(すなわち、シーケンス219で表示部220が表示する代替行動案が1つのみである場合)、シーケンスS220の処理を省略し、1つのみの代替行動案が選択されたものとして、以下の処理を行うようにしてもよい。
この場合、対応方法特定部491が、1つのみの代替行動案に示される代替行動を採用して、対応方法を立案するようにしてもよい。あるいは、この代替方法の評価が低い場合(例えば、評価がEまたはFの場合)、対応方法特定部491が、他の代替行動案を取得するようにしてもよい。例えば、対応方法特定部491が代替行動案の発掘用に予め用意されたシナリオを実行して、端末装置200を介して対応者に、対話形式で新たな代替行動案の入力を促すようにしてもよい。
【0132】
シーケンスS220の後(端末装置100がシーケンスS220の処理を省略する場合はシーケンスS219の後)、端末側通信部210が、選択された代替行動案を示す情報を、行動変容支援装置500へ送信する(シーケンスS221)。行動変容支援装置500では、サーバ側通信部110が、選択された代替行動案を示す情報を受信する。
行動変容支援装置500が、図14のステップS14で送信する対応方法の一部として、図28の処理で示される代替行動を送信するようにしてもよい。
【0133】
以上のように、代替行動評価部598は、変容対象の行動に対する代替行動案を、その代替行動に対する前記対応者の許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値とに基づいて評価する。
このように、代替行動評価部598が、代替行動案の許容度および頻度に基づいて評価することで、許容度が高く、かつ、頻度が高い代替行動案をユーザ(対応者)に推奨できる。許容度が高い代替行動案は、対応者に適した代替行動案と言える。頻度が高い代替行動案は、実際に行われることが期待される代替行動案と言える。代替行動評価部598は、この点で、対応者にとって適切な代替行動案に高い評価を与えて対応者に勧めることができる。
【0134】
また、ユーザ入力部230は、代替行動案と、その代替行動案に対する対応者の許容度と、その代替行動が行われる頻度の予測値との入力を受け付ける。
代替行動評価部598は、許容度および頻度の組み合わせと評価値とが対応付けられた評価判定情報を参照して、入力された許容度および頻度に対応付けられた評価値を取得する。
これにより、行動変容支援装置500では、評価判定情報を参照するという比較的簡単な処理で、変容対象の行動の代替行動案の評価値(おすすめ度)をユーザ(対応者)に提示することができる。
【0135】
また、評価判定情報記憶部583は、許容度および頻度の組み合わせが、評価値に加えてさらに評価コメントに対応付けられた評価判定情報を記憶する。代替行動評価部598は、入力された許容度および頻度に対応付けられた評価値および評価コメントを取得し、取得した評価値および評価コメントを、対応者に提示する。
代替行動評価部598が、代替行動案の評価値に加えて評価コメントを対応者に提示することで、代替行動案のおすすめ度を対応者に分かりやすく提示することができる。
【0136】
次に、図29および図30を参照して本発明の最小構成について説明する。
図29は、本発明に係る行動変容支援システムの最小構成の例を示す図である。図29に示す行動変容支援システム10は、ユーザ入力部11と、対応方法特定部12と、対応方法提示部13とを備える。
かかる構成にて、ユーザ入力部11は、変容対象の行動に対応する対応者によるユーザ入力を受ける。対応方法特定部12は、ユーザ入力に基づいて、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果とを特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する。対応方法提示部13は、対応方法特定部12が特定した対応方法を対応者に提示する。
行動変容支援システム10によれば、変容対象の行動だけでなく、変容対象の行動のきっかけおよび変容対象の行動の結果に基づいて対応方法を選択する点で、行動を変容させられる可能性が比較的高い方法を提案することができる。
【0137】
図30は、本発明に係る行動変容支援装置の最小構成の例を示す図である。図30に示す行動変容支援装置20は、対応方法特定部21と、対応方法出力部22とを備える。
かかる構成にて、対応方法特定部21は、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果とを特定し、行動と当該行動のきっかけと当該行動の結果との組み合わせ毎に当該行動に対する対応方法を示す対応方法情報から、変容対象の行動と変容対象の行動のきっかけと変容対象の行動の結果との組み合わせに適合する対応方法を特定する。対応方法出力部22は、対応方法特定部21が特定した対応方法を示す情報を出力する。
行動変容支援装置20によれば、変容対象の行動だけでなく、変容対象の行動のきっかけおよび変容対象の行動の結果に基づいて対応方法を選択する点で、行動を変容させられる可能性が比較的高い方法を提案することができる。
【0138】
なお、サーバ側制御部190、390、490および590の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0139】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0140】
1、2、3、4、10 行動変容支援システム
11、230 ユーザ入力部
13 対応方法提示部
12、21、191、491 対応方法特定部
20、100、300、400、500 行動変容支援装置
22 対応方法出力部
110 サーバ側通信部
180、580 サーバ側記憶部
181 シナリオ記憶部
182 ユーザ入力情報記憶部
190、390、490、590 サーバ側制御部
200 端末装置
210 端末側通信部
220 表示部
280 端末側記憶部
290 端末側制御部
392 難易度評価部
393 成否情報取得部
394 変容対象行動提案部
495 きっかけ推定部
496 選択肢提示部
497 後続刺激選択部
583 評価判定情報記憶部
598 代替行動評価部
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