(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】管理遊技機の球発射・回収ユニット
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A63F7/02 301C
A63F7/02 307B
A63F7/02 346A
A63F7/02 351A
A63F7/02 334
(21)【出願番号】P 2019004077
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠勉
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-161350(JP,A)
【文献】特開平10-201900(JP,A)
【文献】特開2012-105798(JP,A)
【文献】特開2015-066190(JP,A)
【文献】特開2001-314572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に向けて遊技球を発射させこれを回収し発射させる管理遊技機の球発射・回収ユニットであって、
発射通路を介して前記遊技盤面に向けて前記遊技球を発射させる発射部と、
前記発射部の下部の導入通路の排出端部から前記遊技球を個々に持ち上げて発射部通路を介してこれを前記発射部に装填する昇球部と、
前記遊技盤面から落下してくる前記遊技球を受容し個々に前記昇球部の下部近傍まで転動させるメイン傾斜通路と、
前記発射通路に開口するファール球回収口から前記遊技球を個々に前記発射部の下部近傍まで転動させる戻り球傾斜通路と、
前記メイン傾斜通路及び前記戻り球傾斜通路のそれぞれの出口をその周縁部で閉塞しつつ水平回転する回転円盤と、を含み、
前記回転円盤は、前記周縁部の一部に切り欠きを有し前記遊技球を前記切り欠き内に1つのみ収容可能であり、回転することで前記戻り球傾斜通路及び前記メイン傾斜通路の順にそれぞれの前記出口から前記遊技球を前記切り欠き内に受容し得て且つこれを前記導入通路の導入端部に排出し前記排出端部へ向けて転動させ得ることを特徴とする管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項2】
前記発射部は前記遊技球の貯留部を有し前記遊技球の数を検出する貯留検出部を有し、前記回転円盤は貯留された前記遊技球の数に対応して回転を制御されることを特徴とする請求項1記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項3】
前記昇球部は鉛直回転軸の周りに回転する螺旋羽根を有するスクリューを含み、前記遊技球は前記螺旋羽根によって鉛直移動をさせられ得てこの前記鉛直移動の経路に露出するように研磨シートを露出させる研磨ユニットを着脱自在に与えられることを特徴とする請求項1記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項4】
前記研磨ユニットの前記研磨シートは帯状体であって前記鉛直移動の経路と並行又は垂直方向に移動して新規面を前
記鉛直移動の経路に露出させることを特徴とする請求項
3記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項5】
前記研磨ユニットは、前記研磨シートの汚れを検出する検出部を含み、
前記検出部からの検出信号を受けて前記研磨シートを移動させることを特徴とする請求項
4記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項6】
前記研磨シートは前記研磨ユニットから着脱自在であることを特徴とする請求項
5記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項7】
前記メイン傾斜通路は、前記遊技盤面の後方に進んだ後、少なくとも前方に進行方向を変えてから、再度後方に進む蛇行経路を与えられていることを特徴とする請求項1記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項8】
前記メイン傾斜通路は、複数の前記遊技球を一列に貯留する貯留部とその先端を屈曲させ前記出口の直前に前記遊技球を1個だけ貯留可能な待機部とを含むことを特徴とする請求項1記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項9】
前記貯留部は途中に水平に屈曲する屈曲部を含むことを特徴とする請求項
8記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項10】
前記メイン傾斜通路は規定よりも径の小さい球を間隙から落下させる間隙部を有することを特徴とする請求項
7記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項11】
前記メイン傾斜通路は磁石により引力を得る球を通路外に落下させる磁力落下部を有することを特徴とする請求項
7記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項12】
前記発射部通路に接続された球抜き通路を開放する球抜きボタンと前記球抜き通路の出口とが備えられることを特徴とする請求項1記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項13】
前記球抜きボタンは、前記球抜き通路の開放に伴って前記発射通路の発射出口を遮断する遮断片を突出させて前記発射通路から発射された前記遊技球を前記ファール球回収口に落下させることを特徴とする請求項
12記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【請求項14】
前記球抜きボタンは、前記球抜き通路の開放に連動して前記発射部を動作させることを特徴とする請求項
13記載の管理遊技機の球発射・回収ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面に向けて遊技球を発射させこれを回収して発射させる管理遊技機の球発射・回収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の外部を介さずにその内部に一定数の遊技球を封入し循環させる管理遊技機が検討されている。遊技球の準備数を大幅に減じるとともに、島設備などに設けられてきた遊技機の外部で遊技球を取り扱う各種設備を不要にできる。一方で、発射装置から遊技盤面に向けて発射された全ての遊技球を回収して直接発射装置に導くとともに、入賞球数等を計数して必要な情報を遊技者へと逐次提示する新たな球操作及び検出機構が必要となる。また、封入された遊技球の汚れ等による清掃の必要情報を取得し、又、循環経路上での遊技球の球詰まりなどを検出する球管理機構も新たに必要となる。
【0003】
ここで、管理遊技機の1つの目的として、遊技機内部に封入された遊技球への外部からのアクセスを極力減らすようにすることがある。そこで、遊技球へのアクセスを必要とする処理自体を減らすように遊技機内部で球詰まりを生じさせずに確実に遊技球を循環させ、遊技球の汚れの清掃処理などのメンテナンスも自動的に遊技機内部で行い得るようにするなどの機構が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、発射装置から発射された遊技球を該発射装置へと戻す封入式遊技機の球循環装置を開示している。アウト口、入賞口、及び、ファール口からは循環樋を介して発射装置へと遊技球が循環されるが、その経路には、遊技球の表面の汚れを除去するブラシを備えた汚れ除去装置や、遊技球を発射装置へと重力落下によらず水平方向に搬送する搬送装置などが設けられている。これら装置は、外枠にヒンジ結合される前枠の正面側に組み付けられて前枠を開放させることなく、循環樋の内部における遊技球の球詰まりの対処作業や循環樋の内部の清掃作業等を行うことができ、メンテナンス性が向上されるとしている。また、重力落下によらずスクリューによる搬送装置によって遊技球を保持しつつ移動させるため、ブラシによる遊技球の清掃をしながらも、球詰まりを効果的に防止できるとしている。
【0005】
また、遊技機内部に封入された遊技球の交換についても、その循環経路に設けられた着脱自在の球交換カセットに使用中の遊技球を収容させた上で、新しい遊技球を収容した球交換カセットと交換することで、遊技球に直接アクセスすることなく交換可能とする方法も提案されている。更に、仮に、不正球が遊技球に混入されてしまうと、遊技機への遊技球の封入後には外部から検知することが難しくなるため、これを遊技機内部で検知する機構なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技盤面に向けて遊技球を発射させこれを回収して再度発射させる一連の操作を行い得る装置を一体化したユニットとすることで遊技機の設計効率を高め得る。かかるユニットは、発射装置の下部の狭い空間に組み込むことが必要となるため、よりコンパクトに構成させることが求められる。
【0008】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、遊技盤面に向けて遊技球を発射させこれを回収して再度発射させるコンパクトに一体化された管理遊技機の球発射・回収ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による管理遊技機の球発射・回収ユニットは、遊技盤面に向けて遊技球を発射させこれを回収し発射させる管理遊技機の球発射・回収ユニットであって、発射通路を介して前記遊技盤面に向けて前記遊技球を発射させる発射部と、前記発射部の下部の導入通路の排出端部から前記遊技球を個々に持ち上げて発射部通路を介してこれを前記発射部に装填する昇球部と、前記遊技盤面から落下してくる前記遊技球を受容し個々に前記昇球部の下部近傍まで転動させるメイン傾斜通路と、前記発射通路に開口するファール球回収口から前記遊技球を個々に前記発射部の下部近傍まで転動させる戻り球傾斜通路と、前記メイン傾斜通路及び前記戻り球傾斜通路のそれぞれの出口をその周縁部で閉塞しつつ水平回転する回転円盤と、を含み、前記回転円盤は、前記周縁部の一部に切り欠きを有し前記遊技球を前記切り欠き内に1つのみ収容可能であり、回転することで前記戻り球傾斜通路及び前記メイン傾斜通路の順にそれぞれの前記出口から前記遊技球を前記切り欠き内に受容し得て且つこれを前記導入通路の導入端部に排出し前記排出端部へ向けて転動させ得ることを特徴とする。
【0010】
かかる発明によれば、回転円盤によりメイン傾斜通路と戻り球傾斜通路とをコンパクトに接続し得て、球発射・回収ユニットをコンパクトにし得る。
【0011】
上記した発明において、前記発射部は前記遊技球の貯留部を有し前記遊技球の数を検出する貯留検出部を有し、前記回転円盤は貯留された前記遊技球の数に対応して回転を制御されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、発射部に装填される遊技球を計数することで通路の無駄を排してユニットをコンパクトに構成できる。
【0012】
上記した発明において、前記導入通路内の前記遊技球の数を検出する導入通路内検出部を有し、前記回転円盤は前記導入通路内に前記遊技球を1個だけとするように回転を制御されることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、通路内での球詰まりを抑制しつつ通路の無駄を排し得てユニットをコンパクトに構成できる。
【0013】
上記した発明において、前記導入通路内検出部は前記排出端部の近傍のセンサを含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、導入通路内での遊技球の計数と位置の捕捉を確実にできるから、通路の無駄を排し得てユニットをコンパクトに構成できる。
【0014】
上記した発明において、前記昇球部は鉛直回転軸の周りに回転する螺旋羽根を有するスクリューを含み、前記遊技球は前記螺旋羽根によって鉛直移動をさせられ得てこの前記鉛直移動の経路に露出するように研磨シートを露出させる研磨ユニットを着脱自在に与えられることを特徴としてもよい。また、前記研磨ユニットの前記研磨シートは帯状体であって前記鉛直移動の経路と並行又は垂直方向に移動して新規面を前記前記鉛直移動の経路に露出させることを特徴としてもよい。さらに、前記研磨ユニットは、前記研磨シートの汚れを検出する検出部を含み、この信号を受けて前記研磨シートを移動させることを特徴としてもよい。また、前記研磨シートは前記研磨ユニットから着脱自在であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、球詰まりを抑制するとともに遊技球の研磨をできるユニットをコンパクトに維持し得る。
【0015】
上記した発明において、前記メイン傾斜通路は、前記遊技盤面の後方に進んだ後、少なくとも前方に進行方向を変えてから、再度後方に進む蛇行経路を与えられていることを特徴としてもよい。また、前記メイン傾斜通路は、複数の前記遊技球を一列に貯留する貯留部とその先端を屈曲させ前記出口の直前に前記遊技球を1個だけ貯留可能な待機部とを含むことを特徴としてもよい。さらに、前記貯留部は途中に水平に屈曲する屈曲部を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ユニットをコンパクトに維持しつつ球詰まりを抑制し得る。
【0016】
上記した発明において、前記メイン傾斜通路は規定よりも径の小さい球を間隙から落下させる間隙部を有することを特徴としてもよい。また、前記メイン傾斜通路は磁石により引力を得る球を通路外に落下させる磁力落下部を有することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ユニットをコンパクトに維持しつつ、小球又は磁性体による不正球をメイン傾斜通路から排除することができる。
【0017】
上記した発明において、前記発射部通路に接続された球抜き通路を開放する球抜きボタンと前記球抜き通路の出口とが備えられることを特徴としてもよい。また、前記球抜きボタンは、前記球抜き通路の開放に伴って前記発射通路の発射出口を遮断する遮断片を突出させて前記発射通路から発射された前記遊技球を前記ファール球回収口に落下させることを特徴としてもよい。さらに、前記球抜きボタンは、前記球抜き通路の開放に連動して前記発射部を動作させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、ユニットをコンパクトに維持しつつ、ユニット内部の遊技球を簡便に排出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による1つの実施例における球発射・回収ユニット1の正面側斜視図である。
【
図2】球発射・回収ユニットの前扉を開けた状態の斜視図である。
【
図3】球発射・回収ユニットの背面側斜視図である。
【
図4】球受容部及び不正球振り分け部の一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図5】球受容部及び不正球振り分け部の一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図6】不正球振り分け部の手前側から見た断面図である。
【
図7】下層球樋の一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図8】下層球樋、球送り部及び昇球部の一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図10】昇球部及び研磨ユニットの一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図11】上層球樋の一部の部品を取り外した状態の斜視図である。
【
図12】球抜き機構の一部の部品を取り外した状態の上側からの斜視図である。
【
図13】球抜き機構の一部の部品を取り外した状態の下側からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による1つの実施例としての管理遊技機の球発射・回収ユニットについて、
図1乃至
図13を用いて説明する。なお、以下、左右、手前(前方)、奥(後方)の方向を説明に用いるが、かかる方向は球発射・回収ユニット1を遊技機に設置した上で、遊技機を使用する遊技者から見た方向とする。
【0020】
図1に示すように、球発射・回収ユニット1は、遊技盤(不図示)の奥側から裏枠本体2に取り付けられ、一部を手前側に貫通させている。遊技盤は、遊技盤面を手前にして裏枠本体2の段部2aの手前側の面及び発射出口109の奥側の面と面一になるように配置される。そして、遊技盤の奥側に導かれるアウト球及び入賞球を受け入れる受容口11が球発射・回収ユニット1の上部に開口している。ここで、球発射・回収ユニット1は、遊技球を封入して循環させる封入式遊技機(管理遊技機)に用いられる。すなわち、球発射・回収ユニット1は、遊技盤面からの遊技球を受容口11から受け入れて、発射通路を介して発射出口109から遊技盤面に遊技球を発射させ、循環させることができる。なお、封入式とすることで、遊技球としては、その総数を減らせるので単価の上昇を許容され、不正防止の目的で鉄球ではなく非磁性のステンレス球とされる。
【0021】
図2を併せて参照すると、球発射・回収ユニット1は、手前側に前扉3を備え、前扉3の内部に発射部100を備える。発射部100は、発射球装填口101から排出された遊技球Bを球止め片102で発射レール104上に貯留させて、ハンマー103で叩くことで遊技球Bを発射レール104から左上方の発射出口109までの発射通路を介して遊技盤面に向けて発射することができる。発射球装填口101には近接スイッチなどの遊技球を検知するセンサが設けられ、発射レール104上に貯留される遊技球を検出して発射部100に装填された遊技球を計数できる。なお、発射レール104に続く第2発射レール105は前扉3の裏面に取り付けられて、前扉3を閉じたときに発射レール104及び第3発射レール106と連続して発射通路の一部をなすようにされている。第3発射レール106の先には、発射されて遊技盤面に到達できなかった遊技球の戻り球(ファール球)を受け入れるファール球回収口111が設けられ上向きに開口している。ファール球回収口111は、戻り球傾斜通路112に接続され、後述する出口112aまで戻り球を導くようにされている。また、戻り球傾斜通路112には近接スイッチなどの図示しないセンサが備えられ、戻り球を計数することができる。発射出口109には発射出口遮断片122が備えられる。発射出口遮断片122については後述する。
【0022】
また、前扉3の下部右側には、下方へ延長した前扉延長部3aを備え、後述する不正球排出口29を閉塞することができる。他方、球発射・回収ユニット1は、閉塞した前扉3に隠れない位置に、球抜きボタン121及び球抜き通路出口128及び球抜き通路扉129を設け、前扉3を閉じた状態で球抜きができる。かかる球抜きの詳細については後述する。
【0023】
図3を参照すると、遊技球の径路として、受容口11の設けられる球受容部10は不正球振り分け部20に接続される。さらに、不正球振り分け部20は下層球樋30に接続されて、受容口11から続くメイン傾斜通路を形成し、回転円盤41(
図8参照)を含む球送り部40に接続される。球送り部40は遊技球を揚送する昇球部50の導入通路51(
図8参照)の排出端部51bに接続される。また、昇球部50からは発射部通路となる上層球樋90(
図8、
図11も参照)を介して発射部100に接続される。
【0024】
図4に示すように、球受容部10は、遊技盤の奥側に導かれるアウト球及び入賞球の経路に接続するように大きく拡がる受容口11を開口させ、球受容部10の下底である段付きの通路12a及び12bを備え、受容した遊技球を一列に整列させて、下流の近接スイッチからなる通過検知センサ13を通過させるようにされる。通過検知センサ13の下流は、不正球振り分け部20に接続している。不正球振り分け部20は、規定よりも径の小さい小球を振り分ける間隙部21と磁石により引力を得る球を通路外に落下させる磁力落下部22とを備えて、振り分け通路を形成している。
【0025】
図5を併せて参照すると、間隙部21は、不正球振り分け部20の内部通路の側壁20aに対して内側に突出して通路に沿って延びる突出片23を通路の両側に備える。ここで、規定の直径を有する遊技球Bであれば、その側部を突出片23に引っ掛けるようにして転動することで間隙部21の上を通過するが、規定の直径よりも小さな直径を有する小球であれば両側の突出片23の間隙を落下する。
【0026】
図6をさらに併せて参照すると、間隙部21の下方には小球通路21aが設けられ、間隙部21で落下した小球を下方へ導くようにされている。他方、振り分け通路の天井を形成する振り分け通路カバー26の内部には板状の磁石27が通路の天井に沿って延びるように備えられる。ここで、間隙部21の上を通過した遊技球Bは中央の振分メイン通路25へと向かうが、鉄球などの磁石による引力を得る不正球であれば磁力落下部22まで引き寄せられて鉄球通路22aへ落下し、振分メイン通路25には落下しない。鉄球通路22aは小球通路21aと合流し、不正球排出口29(
図2参照)へと接続される。つまり、メイン傾斜通路を通過してきた遊技球のうち、小球や鉄球による不正球は不正球排出口29に導かれる。他方、規定の径を有し、磁石に引き寄せられなかった遊技球Bは振分メイン通路25を通過し奧へ向けて流下する。
【0027】
図7に示すように、振分メイン通路25は下層球樋30に接続している。下層球樋30は、遊技球Bを流下させるように傾斜した通路を形成し、その進行方向を以下のように折り曲げている。すなわち、下層球樋30の入口31aから手前側横進路31を左に向けて進み、左側縦進路32を奥へ向けて進み、中央横進路33を右へ進む。なお、中央横進路33はその中央に手前側へ向けて進むクランク部33aを備える。中央横進路33からは、右側縦進路34を再度奧に向けて進み、奥側横進路35を左に向けて進む。なお、奥側横進路35はその中央に傾斜の大きな傾斜部35aを備える。奥側横進路35の先は、手前に向かって屈曲した後に再度左に向けて屈曲した屈曲部35bとなっており、その先端で、メイン傾斜通路の出口36を形成する。つまり、メイン傾斜通路は、球受容部10の受容口11から出口36まで続く傾斜通路であり、昇球部50の下部近傍に配置される球送り部40まで遊技球を個々に転動させる。なお、下層球樋30は、手前側横進路31及び奥側横進路35のそれぞれに遊技球の通過を検知するセンサ30a及び30bを設けており、通過する遊技球を2か所で計数することができる。また、出口36は、遊技球Bの通過を検知するセンサ37を備え、球送り部40に接続するとともに、その直前に遊技球を1個だけ貯留可能な待機部を形成する。
【0028】
下層球樋30は、球発射・回収ユニット1内を循環させる遊技球の数にもよるが、例えば、手前側横進路31まで遊技球Bを一列に連続して貯留する貯留部とするようにしてもよい。このような場合、下層球樋30を上記したように折り曲げた蛇行経路とすることで、遊技球の流下を阻害しない程度の傾斜を有しつつ長い傾斜路を形成して、コンパクトでありながら貯留可能な遊技球Bの数を多くすることができる。これによって、遊技球を滞留させたり貯留したりする役物を遊技盤面に多く備える封入式遊技機においても遊技球の発射を途切れさせないようにし得る。
【0029】
また、下層球樋30は、上記したように折り曲げることで、貯留された先端の遊技球に大きな圧力を負荷しないようにしている。例えば、クランク部33aでは、貯留される遊技球による圧力の一部を壁面に負担させ、遊技球同士の圧力を低下させ、球噛みの発生を抑制する。また、傾斜部35aによる遊技球の圧力によって確実に遊技球を球送り部40に送り込むとともに、屈曲部35bによって出口36から球送り部40に向けての遊技球による圧力を緩和して球詰まりを抑制するようにしている。なお、屈曲部35bの傾斜を略水平とするなど、上記した貯留部の途中に水平な屈曲部を設けて遊技球による圧力をさらに緩和するようにしてもよい。
【0030】
図8に示すように、球送り部40は、メイン傾斜通路及び戻り球傾斜通路112のそれぞれの出口36(
図7参照)及び出口112aに接続し、出口36及び出口112aをその周縁部で閉塞しつつ水平回転する回転円盤41を備える。回転円盤41は周縁部の一部に切り欠き42を備え、切り欠き42内に遊技球Bを1つのみ収容可能としている。これにより、遊技球Bを収容していない切り欠き42を出口36又は出口112aに相対するよう位置したときに、遊技球Bを1つ収容することができる。また、回転円盤41の周縁部は、昇球部50に遊技球Bを転動させて導く導入通路51の導入端部51aにも面している。これにより、遊技球Bを収容した切り欠き42を導入端部51aに相対させたときに遊技球Bを導入端部51aに排出することができる。
【0031】
つまり回転円盤41は、出口36又は出口112aからの遊技球を切り欠き42に収容し、導入端部51aに切り欠き42から遊技球を排出することができる。ここで、回転円盤41の回転方向としては、導入端部51aに遊技球を排出して空になった切り欠き42をまず、戻り球傾斜通路112の出口112aの前を通過させ、次いでメイン傾斜通路の出口36の前を通過させるようにする。つまり、同図において、反時計回りに導入端部51a、出口112a、出口36の順に配置し、回転円盤41を反時計回りに回転させるのである。このような配置とすることで、球送り部40は、メイン傾斜通路からの遊技球よりも戻り球傾斜通路112からの戻り球を優先的に導入通路51に導くことができる。
【0032】
なお、本実施例では、切り欠き42を2つとしているが、単数やその他の複数であってもよい。後述する昇球部50と同期をとることが好ましいので、切り欠き42を複数とする場合は回転円盤41の周囲に等間隔に配置させることが好ましい。
【0033】
図9を併せて参照すると、球送り部40から遊技球を導かれる昇球部50は、略鉛直方向に延びる回転軸Lの周りに回転する螺旋羽根を有するスクリュー52を含む。また、スクリュー52の周囲にはその側部を覆うようにケーシング53が備えられる。ケーシング53は、下方に導入通路51に接続してその排出口となる排出端部54と略鉛直方向に延びて手前側に膨らんだ溝55と、上方手前側に開口する出口56とを備える。溝55はスクリュー52との間に遊技球を水平方向に1つのみ保持可能であり、スクリュー52の回転によって排出端部54から受け入れた遊技球を保持しつつ鉛直方向に移動可能とされる。また、溝55の底部には、遊技球の外周を手前側に露出させるよう鉛直方向に延びる窓55aを備える。
【0034】
また、スクリュー52は、その軸部の上端をギア群62に接続させており、モータ61により駆動される。また、スクリュー52は、軸部の下端を図示しない他のギア群に接続させており、駆動力を回転円盤41に伝えるとともに、回転円盤41との回転の同期を得ている。これにより、昇球部50は、導入通路51の排出端部54から受け入れた遊技球を窓55aから手前側に露出させながら溝55に沿って揚送し、出口56から排出させることができる。また、球送り部40からの遊技球を受け入れるタイミングを揚送する遊技球と同期させることができる。例えば、回転円盤41は導入通路51内に遊技球を1個だけとするようにスクリュー52と同期して回転を制御されるようにすることができ、昇球部50での球噛みを防止し得る。なお、回転円盤41及びスクリュー52の回転は、発射部100の発射レール104上に貯留された遊技球の数に対応して制御されることが好ましい。
【0035】
図10に示すように、昇球部50の手前側には、窓55aの大部分を覆うように研磨シート71が配置される。研磨シート71は研磨ユニット70から奥に向けて露出する帯状体であり、露出部分を略平面としている。つまり、昇球部50により鉛直移動される遊技球の径路に露出されて、遊技球に当接される。このように、昇球部50により移動される遊技球に研磨シート71を当接させるので、球詰まりを抑制しつつ、研磨ユニット70を含めた球発射・回収ユニット1をコンパクトに構成し得る。
【0036】
また、研磨シート71は研磨ユニット70内でローラ72の回転によって長手方向に送られることで露出する部分を移動させることができる。なお、本実施例では研磨シート71は、遊技球の径路と並行に送られるが、遊技球の径路と垂直方向に送られるようにしてもよい。研磨ユニット70はカセット方式として、着脱自在とされることが好ましい。例えば、本実施例では、カセット式の研磨ユニット70を手前側から差し込んでロックレバー73で固定している(
図1参照)。研磨ユニット70は、また、研磨シート71の汚れを検出する検出部を含んでいても良い。検出部は、例えば、研磨シート71に光を投射し、その反射光や透過光によって汚れの有無を判断するようにすることができる。また、研磨ユニット70は、研磨シート71の汚れを検出したときに、その検出信号を受けてローラ72を回転させて研磨シート71の新規な面を遊技球の径路に露出させるようにしてもよい。さらに、研磨シート71を研磨ユニット70から着脱自在とすることで、研磨シート71の取り換えを容易にすることが好ましい。
【0037】
図11に示すように、昇球部50のスクリュー52によって揚送された遊技球は、上層球樋入口91から上層球樋90に導入される。つまり、上層球樋入口91は奥に向けて開口し昇球部50の出口56(
図9参照)と接続されている。上層球樋90は、上層球樋入口91から右に向かって延びる直線部92と、その先端で手前に向けて曲がる球抜きシャッタ93と、左に向けて屈曲する屈曲部94と、蛇行する蛇行部95とを備え、上層球樋出口96まで連続している。上層球樋出口96は、図示しない発射球送り装置を介して発射球装填口101に連通している。つまり、上層球樋90及び発射球送り装置を併せて発射部通路としている。また、上層球樋90は、2か所に遊技球の通過を検知するセンサを設けて、通過する遊技球を計数し、監視することが好ましい。なお、発射球送り装置は、発射球装填口101に1球ずつ遊技球を供給できる公知のものを使用し得る。例えば、ソレノイドによって遊技球の停止と通過を切り替えるシャッタ部材を駆動させるような装置である。また、球抜きシャッタ93はピン93aを奥に向けて移動させることで回動軸93bを中心に回動して開放位置となり、上層球樋90を流下する遊技球を下方の球抜き通路120に落下させることができる。
【0038】
図12に示すように、球抜きシャッタ93を駆動させる球抜き機構130は、球抜きボタン121の固定された主スライド体131と発射出口遮断片122の固定された副スライド体132とが球抜き機構ベース体133に前後(手前-奥)にスライド可能に保持されている。主スライド体131はその中央に上下に貫通する空洞131aを備え、球抜き機構ベース体133から延びるばね支持部133aを空洞131a内に下方から挿入されている。空洞131aの手前側の壁とばね支持部133aとの間には押しばね134が備えられ、球抜き機構ベース体133に対して主スライド体131を手前側に付勢している。
【0039】
図13を併せて参照すると主スライド体131及び副スライド体132の下方には主スライド体131と副スライド体132とを連動させるためのリンクアーム135が備えられる。リンクアーム135は、略中央のアーム回動軸受135aを球抜き機構ベース体133から上方に向けて延びる図示しない回動軸に回動自在に支持される。リンクアーム135の一方の端部には、アーム回動軸受135aに向いた方向を長手方向とする第1長孔135bが備えられ、主スライド体131から下方に向けて延びるピン体131eをスライド自在に挿入させている。リンクアーム135の他端には、同様にアーム回動軸受135aに向いた方向を長手方向とする第2長孔135cが備えられ、副スライド体132から下方に向けて延びるピン体132aをスライド自在に挿入させている。また、主スライド体131の右側凸部131cの下側面には左右方向を長手方向とする長孔による凹部131dが設けられ、上記した球抜きシャッタ93のピン93aをスライド自在に挿入させている。
【0040】
また、主スライド体131は、中央奥側の面に中央突起131bを備え、奥へスライドされたときに球抜き機構ベース体133に設けられたプッシュラッチ136に中央突起131bを係合させて押しばね134の付勢に対しても奥へスライドされた位置を維持することができる。また、主スライド体131は、副スライド体132の奥側の位置に突片131fを備えており、奥へスライドされたときに球抜き機構ベース体133に設けられたフォトセンサ137によって奥へスライドされた位置にあることを検知される。球発射・回収ユニット1は、フォトセンサ137のかかる検知に基づき、発射部100を駆動させて発射部通路(上層球樋90及び発射球送り装置)から導かれる遊技球を発射させるようにされる。
【0041】
つまり、球抜きボタン121は、奥側へ押下されることで主スライド体131を奥側へスライドさせ、ピン体131eの挿入された第1長孔135bと、凹部131dに挿入されたピン93aを奥に移動させる。これにより奥へ移動されたピン93aは球抜きシャッタ93を開放させ、上層球樋90を流下する遊技球を下方の球抜き通路120に落下させる。同時に、奥へ移動された第1長孔135bは、リンクアーム135を回動させて第2長孔135cを手前に移動させる。これにより、第2長孔135cに挿入されたピン体132aとともに副スライド体132を手前に移動させる。副スライド体132の手前への移動に伴い、発射出口遮断片122も手前に移動し、発射出口109を遮蔽する。同時に、主スライド体131に設けられた突片131fがフォトセンサ137に検知されて発射部100に遊技球を発射させる。つまり、球抜きボタン121の押下に連動して発射部100を動作させるのである。また、発射部100の動作に伴って、球送り部40及び昇球部50も動作する。
【0042】
これにより、上層球樋90を流下する遊技球を球抜きシャッタ93から下方の球抜き通路120に落下させる。また、同時に、球抜きシャッタ93よりも下流の遊技球を発射させて、発射出口109を遮断する発射出口遮断片122によって打ち出される遊技球Bをファール球回収口111に導く(
図2参照)。ファール球回収口111から遊技球Bは戻り球傾斜通路112を通って出口112aから球送り部40及び昇球部50を介して上層球樋90に導かれ、球抜きシャッタ93から球抜き通路120に導かれる(
図8参照)。このようにして、球発射・回収ユニット1内を循環する遊技球の全てを球抜き通路120に導き、球抜き通路扉129を開放することで排出することができる。なお、球抜きボタン121を、再度、奥へ押すと、プッシュラッチ136のロックが外れ、押しばね134の付勢により主スライド体131及び副スライド体132は元の位置に戻り、発射出口遮断片122も元の位置に戻って発射出口109を開放する。
【0043】
このように、遊技球を交換するときに球抜きボタン121を奥へ押下するだけで全ての球抜きを完了できる。特に、発射部100に既に導かれた遊技球も遊技盤面を通すことなく素早く戻り球として処理できる。交換する新しい遊技球は計数し、受容口11から投入すればよい。
【0044】
以上のように、球受容部10、不正球振り分け部20及び下層球樋30からなるメイン傾斜通路及び戻り球傾斜通路からの遊技球を、回転円盤41で導入通路51へ排出し、昇球部50及び上層球樋90及び発射球送り装置からなる発射部通路を介して発射部に導く球発射回収ユニットをコンパクトに一体化することができた。
【0045】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0046】
1 球発射・回収ユニット
10 球受容部
20 不正球振り分け部
30 下層球樋
40 球送り部
41 回転円盤
42 切り欠き
50 昇球部
100 発射部
112 戻り球傾斜通路