(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20230301BHJP
C01B 33/40 20060101ALI20230301BHJP
H01G 4/08 20060101ALI20230301BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20230301BHJP
【FI】
H01G4/33 101
C01B33/40
H01G4/08 Z
H01G11/56
(21)【出願番号】P 2019022129
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000104814
【氏名又は名称】クニミネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】篠木 進
(72)【発明者】
【氏名】土屋 温知
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智博
(72)【発明者】
【氏名】立花 和宏
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-130844(JP,A)
【文献】特開2018-041670(JP,A)
【文献】特開平10-269844(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096910(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/138382(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0254062(US,A1)
【文献】特開2007-098707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
C01B 33/40
H01G 4/08
H01G 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を2極有し、この電極間に、含水率5~15質量%の板状結晶構造スメクタイト系粘土膜を
誘電体として有する蓄電デバイス。
(ただし、アルミニウム電池を除く。)
【請求項2】
電気伝導性を有する集電体の両方あるいは片方の粘土膜に接続する面に金属酸化被膜を形成することを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
板状結晶構造スメクタイト系粘土膜がベントナイトまたはスメクタイトの層間イオンがナトリウムイオン、リチウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオンから選ばれたことを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
上下電極間にセパレータを有する請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記板状結晶構造スメクタイト系粘土膜が、サポナイト及びヘクトライトの少なくともいずれか一方を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土鉱物を誘電体として使用した蓄電デバイスに関し、さらに詳しくは電極間に粘土鉱物からなる薄膜等を誘電体として介在させた蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスの具体例の一つにデジタル機器用コンデンサがある。デジタル機器用コンデンサは用途・目的によって要求特性は異なるが、近年では周波数特性に優れ、耐久性も高い積層セラミックコンデンサが主流となっている。この種の積層セラミックコンデンサを構成する誘電体は、微細化・高耐久化による技術進化によって価値が高められている。しかし、こうした微細化技術は加工技術がコスト的にも高くなる。そのため、安価にナノ領域での加工を実現できる新素材の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在広く使用されている蓄電体の誘電体は、高容量化を目指してナノ単位での微細加工がなされている。しかし、高い誘電率を有するが安価であるという誘電体およびその製造方法を提供するという観点から従来のナノメーター単位での微細加工コンデンサ等はまだ満足できるものとはいえない。
本発明は高容量で、廉価な微細加工誘電体を用いた蓄電デバイス及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明らは種々検討を重ねた結果、スメクタイト系粘土に見られる特有の厚さ1nm程度繰り返し単位が積層した超微細積層構造を誘電体とすると、比誘電率が高い値を示し。そのため従来の誘電体の微細加工による積層枚数(密度)が数百倍となり、既存の誘電体に比べて小型大容量を可能とする電子デバイスとなり得ることを見い出し、この知見に基づき、研究を重ね、本発明をなすにいたった。
本発明の上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>
電極を2極有し、この電極間に板状結晶構造スメクタイト系粘土膜を有する蓄電デバイス。
<2>
電気伝導性を有する集電体の両方あるいは片方の粘土膜に接続する面に金属酸化被膜を形成することを特徴とする<1>記載の蓄電デバイス。
<3>
板状結晶構造スメクタイト系粘土膜がベントナイトまたはスメクタイトの層間イオンがナトリウムイオン、リチウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオンから選ばれたことを特徴とする<1>および<2>記載の蓄電デバイス。
<4>
上下電極間にセパレータを有する<1>~<3>のいずれか1に記載の蓄電デバイス。
本発明の蓄電デバイスの電極はリードとオーミックコンタクト可能な電気伝導性を有する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の蓄電デバイスは、スメクタイト系粘土に見られる特有の厚さ1nm程度、通常は最小1nm~最大で形成される膜厚に至るまでの繰り返し単位が積層した超微細積層構造を誘電体とする。従来の誘電体の微細加工による積層枚数(密度)が数百倍となり、既存の誘電体に比べて小型大容量を可能とする電子デバイスを製造できる。さらに、用いるベントナイトは天然に産出するスメクタイト又はその合成品若しくは層間イオン置換体を部材として用いるものであり、安全性に優れ、誘電体、さらに蓄電デバイスの調製の観点から容易に比較的廉価に加工、提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る蓄電デバイスの好ましい一実施形態の概略を示した断面図である。
【
図2】簡易蓄電デバイスによる比誘電率計測の一例を模式的に示した構成図である。
【
図3】セパレータを使用した簡易蓄電デバイスの概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に本発明の好ましい一実施形態を、
図1~3を参照して説明する。
図1に示すように、蓄電デバイス1は、上部電極2と下部電極4とその間の粘土誘電体3とを有している。粘土誘電体3は板状結晶構造をなしている上述のケイ酸塩化合物またはスメクタイト系粘土鉱物をいう。スメクタイト系粘土鉱物には、モンモリロナイト、ヘクトライト、スチブンサイト、サポナイトが含まれる。薄膜もしくは粉末の粘土鉱物を挟み込んだ上部電極2および下部電極4には金属集電体が用いられる。上部電極2と下部電極4とは粘土誘電体3と接触していれば良い。
誘電体の厚さは0.01~1mmが好ましいが、これに制限されるものではない。
この蓄電デバイスは、粘土の微細構造により蓄電する。
【0008】
上記の蓄電デバイス1は、粘土誘電体3の含水率を制御するために、防水性、ガスバリア材料で密閉することが好ましい。例えば、金属ケースを用いて密閉する方法や、ラミネーション法を用いて、フィルムの外装により水分の蒸発を防ぐ方法を用いてもよい。このとき用いられるフィルムは、耐水性、水蒸気バリア性、ガスバリア性に優れていることが好ましい。粘土誘電体3の含水率は、好ましくは1~20質量%、より好ましくは5~15%である。
【0009】
上記の粘土鉱物は、天然もしくは合成の粘土から選ばれた少なくとも1種類の粘土が用いられる。このような粘土としては、未変性のものでも変性したものでもよいが、ベントナイトおよびヘクトライト等スメクタイト系粘土から選ばれた少なくとも1種が好ましい。このうち、ベントナイトは天然に産出する無機系の粘土であるため安全性に優れている。また土中の微生物によって分解されることがなく長期的に安定であり、さらに低価格である。このため、特に好ましい粘土鉱物である。上記の粘土鉱物は、ベントナイトおよびスメクタイトから選ばれた1種の粘土を単独で用いることも、または2種の粘土を用いることもできる。ベントナイトおよびスメクタイトの層間イオンは特に限定はない。
本発明において板状結晶構造スメクタイトとは、例えば厚さ1nm程度で幅/厚さのアスペクト比が好ましくは、20~2000、より好ましくは約30~300の平板状の粘土結晶をいう。代表的なスメクタイト系製品(クニミネ工業製)のアスペクト比を<表1>に示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
【0011】
上記粘土鉱物を配するには、上部電極2及び下部電極4の表面に分散液として塗布し自然乾燥させ(通常含水率10質量%)、再び同様の粘土分散液を塗布した上部電極2または下部電極4に再び分散液を塗布し張り合わせて自然乾燥させることが望ましい。
【0012】
粘土鉱物を上部電極2または下部電極4に塗布する際には水などの溶媒に粘土鉱物を分散してから塗工することが望ましい。分散媒は、粘土の特性によって溶解・分散可能なものを使用することができる。粉末状態で上部電極2と下部電極4との間に粘土鉱物の層を形成することも可能であるが、飛散対策や塗工厚の制御、欠損部が発生しないように留意する必要がある。短絡防止のために、バインダーを使用し粘土鉱物を電極間に固定させてもよい。バインダーにはスチレン-ブタジエンゴム系、アクリルポリマー系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリテトラフルオロエチレン系などが挙げられる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、粘土誘電体に種々の添加成分を任意成分として配合することができる。
【0013】
上部電極2または下部電極4は例えば、Pt、Au、Ti、Ag、Cu、Pb、Fe、Cd、Al、Zn、Mg、Liなどの金属および、ステンレス鋼、真鍮(Cu-Zn)、鋳鉄、鋼、アルミニウム合金などの合金、または、グラファイト、導電性高分子などの集電体で構成するのが好ましい。
【0014】
電極2、4、7は、いずれかに表面処理を施し、機能化した電極としてもよい。表面処理法としては、金属薄膜によるコーティングによるめっき、無電解めっきや、気相めっき(CVD法)、アノード処理によるエッチング法やアノード酸化化成、電解研磨、化学修飾や電鋳、炭素コーティング、カーバイド処理などがある。特にアルミニウムのアノード酸化被膜は耐食性、耐摩耗性にも優れており好ましい電極である。
【0015】
短絡防止のために、上下電極間にセパレータを使用することができる。セパレータ11を使用した蓄電デバイス6を
図3に示した。
セパレータ11は、上部電極8と下部電極9間で誘電体10、12を隔離し、上下電極の接触と電流の短絡を防止しつつ、金属イオンや電子を通過させるものである。このセパレータ11の種類は特に制限がなく。例えば、オレフィン系樹脂、PDF系樹脂、PAN系樹脂、PMMA系樹脂などからなるものがある。具体的には、ポリアクリロニトリル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂及びウレタン系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンなどよりなる合成樹脂性の多孔質膜、またはセラミック製の多孔質膜により構成されているものや、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構成でもよい。
【0016】
セパレータ11には誘電体となる粘土の分散液が含浸され自然乾燥されていることが好ましい。
【実施例】
【0017】
次に、本発明を下記の実施例に基づいて更に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0018】
実施例1~4
図1に示したように、上部電極2厚さ0.1mm×面積S(mm
2)および下部電極IV厚さ0.1mm×面積S+2(mm
2)の上に、下記粘土の水分散液を塗工して自然乾燥させた(塗布粘土の含水率10質量%)。この上部電極2と下部電極4とへさらに上記と同様の粘土水分散液をバインダーとして塗布し空隙なく挟みこんだものを同様に自然乾燥させ粘土誘電体3(厚さd=0.07mm)とし、蓄電デバイス1を形成した。電極2、4からなる集電体5としてSUS430を使用した。電極2、4の厚さはそれぞれ0.1mmである。
粘土水分散液は、粘土鉱物のクニピアF(商品名、クニミネ工業社製)(実施例1)、スメクトンST(商品名、クニミネ工業社製)(実施例2)、スメクトンSA(商品名、クニミネ工業社製)(実施例3)、スメクトンSWN(商品名、クニミネ工業社製)(実施例4)を用いた。
クニピアFはモンモリロナイトを主成分とする天然物であるベントナイトを精製した粘土鉱物である(層間にNaイオンをインターカレート)。スメクトンSTは、スチブンサイトを主成分とした合成粘土である(層間にNaイオンをインターカレート)。スメクトンSAはサポナイトを主成分とした合成粘土である(層間にNaイオンをインターカレート)。スメクトンSWNはヘクトライトを主成分とした合成粘土である(層間にNaイオンをインターカレート)。各々の実施例で使用した粘土の陽イオン交換容量CEC[meq/100g]を表2に示す。
【0019】
【0020】
<蓄電デバイス1を用いた比誘電率の計測>
図2に示したように、蓄電デバイスのインピーダンスZ[Ω]及び位相角θをLCRメータ:HIOKI-3522-50 LCR Hi TESTER(日置電機株式会社製)を用いてlevel 100mVで測定し、比誘電率を計測した。
【0021】
実施例1は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=450mm2、SUS430を電極5として使用し、クニピアFを誘電体として使用した。
実施例2は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=450mm2、SUS430を電極5として使用し、スメクトンSTを誘電体として使用した。
実施例3は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=450mm2、SUS430を電極5として使用し、スメクトンSAを集電体として使用した。
実施例4は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=450mm2、SUS430を電極5として使用し、スメクトンSWNを集電体として使用した。
【0022】
実施例1~4の100Hzおよび10kHzにおける比誘電率を計測した結果を表1に示した。
【0023】
【0024】
表3に示したように、実施例1~4は、スメクトン系粘土鉱物を誘電体として用いた蓄電デバイスにおいて高い比誘電率を得ることが分かった。これは廉価で高誘電率の蓄電デバイスを作製することができることを示す。スメクトンSWNを用いた蓄電デバイスで最も高い比誘電率を得ることができ、蓄電デバイスとして最も好ましい。
【0025】
実施例5~8
<集電体を変えた蓄電デバイスの比誘電率の計測>
実施例5~8は、上記蓄電デバイスの作製において、集電体金属をアルミニウムまたは真鍮に変え、クニピアFまたはスメクトンSTを誘電体として使用した。
実施例5は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=95mm2、d=0.01mmとし、粘土誘電体3にクニピアF、電極に真鍮を電極5として使用した。
実施例6は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=95mm2、d=0.01mmとし、粘土誘電体3にスメクトンST、真鍮を電極5として使用した。
実施例7は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=95mm2、d=0.01mmとし、粘土誘電体3にクニピアF、電極にアルミニウムを電極5として使用した。
実施例8は、上記蓄電デバイスの作製方法において、S=95mm2、d=0.01mmとし、粘土誘電体3にスメクトンST、電極にアルミニウムを電極5として使用した。
【0026】
実施例5~8の100Hz、10kHzにおける比誘電率を計測した。実施例7~10の比誘電率の計測結果を表4に示した。
【0027】
【0028】
表4から明らかなように、実施例1で使用の電極以外の真鍮およびアルミニウムを集電体として用いた蓄電デバイスでも機能することが示され、高い比誘電率となった。
【0029】
参考例
上記蓄電デバイスの作製方法において、S=95mm2、d=0.3mmとし、誘電体3の代わりに、既存の誘電体として最も高い性能を示すと言われているチタン酸バリウム粉末(平均粒径100nm純度99.9%)を用い、電極に真鍮にした以外は実施例1と同様にして蓄電デバイスを作製した。
【0030】
実施例1と同様にして100Hz、10kHzにおける比誘電率を計測し、その結果(比誘電率)を表5に示した。
【0031】
【0032】
表3、4の結果と表5の結果の対比より、スメクタイト系粘土を誘電体として用いた実施例1~8の蓄電デバイスが、チタン酸バリウム粉末を凌駕する数百~数千倍の比誘電率を示しており、性能の優れた蓄電デバイスであることが分かる。
【0033】
実施例9は、上記蓄電デバイスの作製方法において、SUSを電極5として使用し、クニピアRC-G(クニミネ工業製)を誘電体として使用した。クニピアRC-GはクニピアFの層間イオンがナトリウムイオンからリチウムイオンに置き換えられたスメクタイト系粘土である(CEC40[meq/100g])。
実施例10は、上記簡易蓄電デバイスの作製方法において、SUSを集電体として使用し、クニビス110(クニミネ工業製)を誘電体として使用した。クニビス110は、クニピアFの層間イオンをナトリウムイオンからトリメチルステアリルアンモニウムイオン置き換えられた有機修飾スメクタイト系粘土である。
【0034】
実施例9、10の100Hz、10kHzにおける比誘電率を計測した結果を表6に示した。
【0035】
【0036】
表6から明らかなように、スメクタイト系粘土の層間イオンをイオン交換した誘電体3を用いた蓄電デバイスにおいても高い比誘電率を得た。しかし、層間イオンとしてナトリウムイオンを主に有した方が高い比誘電率を得られる。
【0037】
<蓄電デバイス6を用いた比誘電率の計測>
実施例11、実施例12
図3に示したように、上部電極8および下部電極9の上に、粘土分散液を塗工して上部誘電体10および下部誘電体12とした。上部誘電体10と下部誘電体12の間に粘土分散液を含侵させた粘土含侵セパレータ11を挟みこみ、蓄電デバイス6を形成した。
実施例11は、上記蓄電デバイス6の作製方法において、誘電体としてクニピアF、電極にSUS430を電極7として使用した。
実施例12は、上記蓄電デバイス6の作製方法において、誘電体としてスメクトンST、電極にSUS430を電極5として使用した。
【0038】
実施例11、実施例12の100Hz、10kHzにおける比誘電率を計測した。実施例11~12の比誘電率の計測結果を表7に示した。
【0039】
【0040】
表7から明らかなように、セパレータを用いた蓄電デバイスでも機能し、高い比誘電率が得られた。
【0041】
実施例13、14
<電極表面に化成処理を施した蓄電デバイスの比誘電率の計測>
実施例13は、上記蓄電デバイス2の作製方法において、S=95mm2 d=0.01mmとし、誘電体としてクニピアF、上部誘電体10および下部誘電体12に接触する電極7の面をアノード酸化化成した(Al-Al2O3)を電極7として使用した。アノード酸化化成によって得られたAl2O3酸化被膜は約40nmである。
実施例14は、上記蓄電デバイス2の作製方法において、S=95mm2 d=0.01mmとし、誘電体としてスメクトンST、上部誘電体10および下部誘電体12に接触する電極7の面をアノード酸化化成した(Al-Al2O3)を電極7として使用した。アノード酸化化成によって得られたAl2O3酸化被膜は約40nmである。
【0042】
実施例13および実施例14の100Hz、10kHzにおける比誘電率を計測した。実施例13、実施例14の比誘電率の計測結果を表8に示した。
【0043】
【0044】
表8から明らかなように、スメクタイト系粘土を用いた誘電体が酸化被膜に接した蓄電デバイスにおいても高い比誘電率を得ることができ、優れた性能の蓄電デバイスである。
【符号の説明】
【0045】
1 蓄電デバイス
2 上部電極
3 粘土誘電体
4 下部電極
5 集電体
6 蓄電デバイス
7 電極
8 上部電極
9 下部電極
10上部誘電体
11粘土含侵セパレータ
12下部誘電体