(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】仮想マシン管理装置、仮想マシン管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/10 20060101AFI20230301BHJP
G06F 9/455 20180101ALI20230301BHJP
G06F 13/12 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G06F13/10 330C
G06F9/455 150
G06F13/10 340A
G06F13/12 340F
(21)【出願番号】P 2019038001
(22)【出願日】2019-03-01
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】松薗 昌也
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-206229(JP,A)
【文献】特開2010-176413(JP,A)
【文献】特表2018-521436(JP,A)
【文献】特開2013-137650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
3/18
9/455-9/54
12/08-12/128
13/10-13/14
13/20-13/42
H04L12/00-12/28
12/44-12/66
45/00-49/9057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための装置であって、
前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、識別番号設定部と、
前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、パケットデータ振り分け部と、
前記コンピュータの物理ポートを介して、前記ストレージに接続を要求し、前記ストレージと前記コンピュータとの間で接続を確立する、接続処理部と、
を備え
、
前記接続処理部は、前記ストレージと前記コンピュータとの間での接続の確立後に、前記仮想マシンに、前記ストレージに対して、固有の前記識別番号を付与した接続要求を送信させる、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想マシン管理装置であって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の仮想マシン管理装置であって、
前記接続処理部が、前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する
、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【請求項4】
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを
前記コンピュータが管理するための方法であって、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
(c)前記コンピュータの物理ポートを介して、前記ストレージに接続を要求し、前記ストレージと前記コンピュータとの間で接続を確立する、ステップと、
(d)前記(c)のステップによる前記ストレージと前記コンピュータとの間での接続の確立後に、前記仮想マシンに、前記ストレージに対して、固有の前記識別番号を付与した接続要求を送信させる、ステップと、
を有する、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の仮想マシン管理方法であって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【請求項6】
請求項4に記載の仮想マシン管理方法であって、
(c)前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する、ステップを更に有する、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【請求項7】
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
(c)前記コンピュータの物理ポートを介して、前記ストレージに接続を要求し、前記ストレージと前記コンピュータとの間で接続を確立する、ステップと、
(d)前記(c)のステップによる前記ストレージと前記コンピュータとの間での接続の確立後に、前記仮想マシンに、前記ストレージに対して、固有の前記識別番号を付与した接続要求を送信させる、ステップと、
を実行させる、プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、前記コンピュータに、
(c)複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する、ステップを更に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想マシンが構築されたシステムにおいて、仮想マシンを管理するための、仮想マシン管理装置、及び仮想マシン管理方法に関し、更には、これらを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業等におけるIT化の発展に伴い、企業等が保有するデジタルデータは爆発的に増加している。このため、デジタルデータを効率的に管理するために、企業等では、SAN(Storage Area Network)の導入が進められている。
【0003】
SANでは、サーバ装置とストレージとは、ファイバチャネル(以下「FC(Fiber Channel)」とも表記する。)によって接続される。FCは、データ転送方式の1つであり、主として、光ファイバケーブルを用いて、高速なデータ通信を実現する。このため、SANは、一台のサーバ装置内に複数台の仮想マシンを構築する場合において、有用である。
【0004】
特許文献1は、SANを用いたシステムの一例を開示している。特許文献1に開示されたシステムでは、仮想マシンを構築するサーバ装置と、ストレージとは、FCスイッチを介して、FCによって接続されている。FCスイッチは、サーバ装置に構築された各仮想マシンに対して、仮想インターフェイス用のID(Identifier)を払い出す機能を備えている。
【0005】
このため、特許文献1に開示されたシステムでは、各仮想マシンは、払い出されたIDを付加してデータを出力できるので、ストレージは、出力されてきたデータを、仮想マシン毎に区別して格納する。また、ストレージからデータが出力されてくると、FCスイッチは、データに付加されているIDに基づいて、出力先の仮想マシンを特定し、特定した仮想マシンにデータを出力する。このように、FCスイッチを用いることで、各仮想マシンは、個別にストレージを利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、FCスイッチには、非常にコストが高いという問題がある。具体的には、FCスイッチのコストは、ストレージよりも高く、SANを用いたシステムの導入の妨げとなっている。
【0008】
一方、特許文献1に開示されたサーバ装置上には、ストレージの論理領域を認識できる仮想レイヤが構築されている。このため、仮想レイヤによって、サーバ装置とストレージとの間でやり取りされるパケットに、IDを付与するようにすれば、FCスイッチを用いることなく、仮想マシンによってストレージを使用することが可能となる。
【0009】
しかしながら、仮想レイヤにこのような処理をさせる場合は、FCスイッチを用いる場合に比べて、サーバ装置のプロセッサにおける負荷が増大するという問題が生じてしまう。
【0010】
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、ストレージがFCで接続されたシステムにおいて、コストの増加と負荷の増加とを同時に抑制し得る、仮想マシン管理装置、仮想マシン管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における仮想マシン管理装置は、ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための装置であって、
前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、識別番号設定部と、
前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、パケットデータ振り分け部と、
を備えている、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における仮想マシン管理方法は、ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための方法であって、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
【0013】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
を実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、ストレージがFCで接続されたシステムにおいて、コストの増加と負荷の増加とを同時に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の構成及びその周辺を具体的示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態において仮想マシンとストレージとの間で行われる接続処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の動作を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態における変形例の仮想マシン管理装置の構成及びその周辺を具体的示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態の変形例において仮想マシンとストレージとの間で行われる接続処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態における、仮想マシン管理装置、仮想マシン管理方法、及びプログラムについて、
図1~
図7を参照しながら説明する。
【0017】
[装置構成]
最初に、
図1を用いて、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す、本実施の形態における仮想マシン管理装置10は、FCによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための装置である。
【0019】
図1に示すように、仮想マシン管理装置10は、識別番号設定部11と、パケットデータ振り分け部12とを備えている。識別番号設定部11は、仮想マシン毎に固有の識別番号を設定する。また、識別番号設定部11は、各仮想マシンに対して、ストレージ101へのパケットデータの送信の際に、送信されるパケットデータに、対応する識別番号を付与させる。
【0020】
パケットデータ振り分け部12は、ストレージから、識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された識別番号に基づいて、送信されてきたパケットデータを、対応する仮想マシンに振り分ける。
【0021】
このように、本実施の形態では、物理マシンではなく、仮想マシン自体が固有の識別子をパケットデータに付加できるので、仮想レイヤでの処理負担が増加することはなく、更にFCスイッチが必要となることもない。本実施の形態によれば、ストレージがFCで接続されたシステムにおいて、コストの増加と負荷の増加とを同時に抑制することができる。
【0022】
続いて、
図2及び
図3を用いて、本実施の形態における仮想マシン管理装置10の構成をより具体的に説明する。
図2は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の構成及びその周辺を具体的示すブロック図である。
図3は、本発明の実施の形態において仮想マシンとストレージとの間で行われる接続処理の一例を示す図である。
【0023】
図2に示すように、コンピュータ100は、FCを実現する光ファイバケーブル102によって、ストレージ101に接続されている。また、コンピュータ100内には、複数の仮想マシン20が構築されている。更に、コンピュータ100とストレージ101とは、FCスイッチを介することなく、直接接続されている。
【0024】
また、
図2に示すように、本実施の形態では、仮想マシン管理装置10は、ストレージ
101に接続されたコンピュータ100上に、後述するプログラムによって構築されている。更に、仮想マシン管理装置10は、上述した識別番号設定部11及びパケットデータ振り分け部12に加えて、接続処理部13を備えている。
【0025】
接続処理部13は、物理マシンであるコンピュータ100の物理ポートを介して、ストレージ101に接続を要求し、ストレージ101が要求を受け入れると、コンピュータ100とストレージ101との間の接続を確立する。
【0026】
具体的には、
図3に示すように、接続処理部13は、接続要求(PLOGI:Port Login)をストレージ101に送信する。ストレージ101は、接続要求を受け入れる場合は、接続承認(Accept)を送信する。これにより、コンピュータ100が、ストレージ101を利用できる状態となる。
【0027】
その後、
図3に示すように、各仮想マシン20は、ストレージ101に対して固有の識別番号を付与した接続要求を送信する。そして、各仮想マシン20に、ストレージ101から、対応する固有の識別番号が付与された接続承認が送信されてくると、各仮想マシン20とストレージ101との間でも接続が確立する。その後、各仮想マシン20とストレージ101との間では、固有の識別番号が付与されたパケットデータを用いたデータ通信が行われる。
【0028】
[装置動作]
次に、本実施の形態における仮想マシン管理装置10の動作について
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜
図1~
図3を参照する。また、本実施の形態では、仮想マシン管理装置10を動作させることによって、仮想マシン管理方法が実施される。よって、本実施の形態における仮想マシン管理方法の説明は、以下の仮想マシン管理装置10の動作説明に代える。
【0029】
図4に示すように、最初に、識別番号設定部11は、仮想マシン20毎に、固有の識別番号を設定する(ステップA1)。
【0030】
次に、識別番号設定部11は、各仮想マシン20に対して、それぞれに設定した固有の識別番号を通知する(ステップA2)。ステップA2が実行されると、各仮想マシン20は、自身に固有の識別番号を認識し、固有の識別番号を付与したパケットデータを、ストレージ101に送信する。
【0031】
次に、パケットデータ振り分け部12は、ストレージ101から各仮想マシン20に対してパケットデータが送信されてきたかどうかを判定する(ステップA3)。
【0032】
ステップA3の判定の結果、ストレージ101から各仮想マシン20に対してパケットデータが送信されてきていない場合は、パケットデータ振り分け部12は、待機状態となる。
【0033】
一方、ステップA3の判定の結果、ストレージ101から各仮想マシン20に対してパケットデータが送信されてきている場合は、パケットデータ振り分け部12は、パケットデータに付与されている識別番号を特定する(ステップA4)。そして、パケットデータ振り分け部12は、送信されてきたパケットデータを、特定した識別番号に対応する仮想マシン20に振り分ける(ステップA5)。
【0034】
その後、ステップA3~A5は、仮想マシンが稼働している間、繰り返し実行される。
また、本実施の形態においては、ステップA2の実行後、直ぐにステップA3が実行される必要はなく、ステップA2の実行後、期間をあけてステップA3が実行されても良い。
【0035】
以上のように、本実施の形態では、コンピュータ100とストレージ101とが直接接続されている場合であっても、仮想レイヤによる処理負担を増加させることなく、仮想マシン20とストレージ101との間でやりとりされるパケットデータには固有の識別子が付与される。従って、本実施の形態によれば、ストレージ101がFCで接続されたシステムにおいて、コストの増加と負荷の増加とを同時に抑制することができる。
【0036】
[変形例]
続いて、
図5及び
図6を用いて、本実施の形態における仮想マシン管理装置の変形例について説明する。
図5は、本発明の実施の形態における変形例の仮想マシン管理装置の構成及びその周辺を具体的示すブロック図である。
図6は、本発明の実施の形態の変形例において仮想マシンとストレージとの間で行われる接続処理の一例を示す図である。
【0037】
図5に示すように、本変形例では、複数台のストレージ101がFCスイッチ103を介してファブリック接続されており、ストレージ群を構成している。コンピュータ100は、FCスイッチ103を介して、複数台のストレージ101に接続されている。
【0038】
このため、本変形例では、接続処理部13は、ファブリック接続されたストレージ群に対してログインした後に、これらのストレージ101から選択したストレージとの間でのみ接続を確立する。また、接続処理部13は、接続を確立すると、仮想マシン20に対して、選択したストレージ101との間でのみパケットデータの送受信を許可する。その後、識別番号設定部11及びパケットデータ振り分け部12は、上述した
図1~
図4の例と同様の処理を行う。
【0039】
具体的には、
図6に示すように、接続処理部13は、最初に、ストレージ群に対して接続要求(FLOGI:Fabric Login)を送信する。ストレージ群は、接続要求を受け入れる場合は、接続承認(Accept)を送信する。これにより、コンピュータ100とストレージ群との間の接続が確立する。
【0040】
次に、接続処理部13は、選択したストレージ101に対して、接続要求(PLOGI:Port Login)を送信する。選択されたストレージ101は、接続要求を受け入れる場合は、接続承認(Accept)を送信する。これにより、選択されたストレージ101のモードが、Point-to-Pointに設定され、コンピュータ100と選択されたストレージ101とが直接接続された状態となる。
【0041】
その後、
図6に示すように、各仮想マシン20は、ストレージ101に対して固有の識別番号を付与した接続要求を送信する。そして、各仮想マシン20に、ストレージ101から、対応する固有の識別番号が付与された接続承認が送信されてくると、各仮想マシン20とストレージ101との間でも接続が確立する。その後、各仮想マシン20とストレージ101との間では、固有の識別番号が付与されたパケットデータを用いたデータ通信が行われる。
【0042】
このように、本変形例によれば、複数のストレージがファブリック接続されている場合でも、仮想レイヤ及びFCスイッチ103による処理によることなく、仮想マシンによるストレージの利用が可能となる。
【0043】
[プログラム]
本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ100に、
図4に示すステップA1
~A5を実行させるプログラムであれば良い。このプログラムをコンピュータ100にインストールし、実行することによって、本実施の形態における仮想マシン管理装置10と仮想マシン管理方法とを実現することができる。この場合、コンピュータ100のプロセッサは、識別番号設定部11、パケットデータ振り分け部12、及び接続処理部13として機能し、処理を行なう。
【0044】
また、本実施の形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されても良い。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、識別番号設定部11、パケットデータ振り分け部12、及び接続処理部13のいずれかとして機能しても良い。
【0045】
ここで、本実施の形態におけるプログラムを実行することによって、仮想マシン管理装置10を実現するコンピュータ100の構成について
図7を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態における仮想マシン管理装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0046】
図7に示すように、コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ100は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていても良い。
【0047】
CPU111は、記憶装置113に格納された、本実施の形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、本実施の形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、本実施の形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであっても良い。
【0048】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0049】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0050】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0051】
なお、本実施の形態における仮想マシン管理装置10は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可
能である。更に、仮想マシン管理装置10は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0052】
上述した実施の形態の一部又は全部は、以下に記載する(付記1)~(付記9)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0053】
(付記1)
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための装置であって、
前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、識別番号設定部と、
前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、パケットデータ振り分け部と、
を備えている、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【0054】
(付記2)
付記1に記載の仮想マシン管理装置であって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【0055】
(付記3)
付記1に記載の仮想マシン管理装置であって、
前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する、接続処理部を更に備えている、
ことを特徴とする仮想マシン管理装置。
【0056】
(付記4)
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するための方法であって、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
を有する、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【0057】
(付記5)
付記4に記載の仮想マシン管理方法であって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【0058】
(付記6)
付記4に記載の仮想マシン管理方法であって、
(c)前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する、ステップを更に有する、
ことを特徴とする仮想マシン管理方法。
【0059】
(付記7)
ファイバチャネルによってストレージに接続されたコンピュータ上に構築された、仮想マシンを管理するためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
(a)前記仮想マシン毎に固有の識別番号を設定し、前記仮想マシンに対して、前記ストレージへのパケットデータの送信の際に、送信される前記パケットデータに、対応する前記識別番号を付与させる、ステップと、
(b)前記ストレージから、前記識別番号が付与されたパケットデータが送信されてきた場合に、付与された前記識別番号に基づいて、送信されてきた前記パケットデータを、対応する前記仮想マシンに振り分ける、ステップと、
を実行させる、プログラム。
【0060】
(付記8)
付記7に記載のプログラムであって、
前記コンピュータが一台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって直接接続されている、
ことを特徴とするプログラム。
【0061】
(付記9)
付記7に記載のプログラムであって、
前記コンピュータが複数台の前記ストレージに前記ファイバチャネルによって接続されている場合に、前記コンピュータに、
(c)複数台の前記ストレージから選択した前記ストレージとの間でのみ接続を確立し、前記仮想マシンに対して、選択した前記ストレージとの間でのみパケットデータの送受信を許可する、ステップを更に実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明によれば、ストレージがFCで接続されたシステムにおいて、コストの増加と負荷の増加とを同時に抑制することができる。本発明は、各種ストレージシステムにおいて有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 仮想マシン管理装置
11 識別番号設定部
12 パケットデータ振り分け部
13 接続処理部
20 仮想マシン
100 コンピュータ
101 ストレージ
102 光ファイバケーブル
103 FCスイッチ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス