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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】粉粒体吸引装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/36 20060101AFI20230301BHJP
   B65G 65/34 20060101ALI20230301BHJP
   B65G 53/24 20060101ALI20230301BHJP
   B65G 53/40 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B65G65/36
B65G65/34 B
B65G53/24
B65G53/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019069895
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020169069
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】張 春暁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和希
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-188220(JP,A)
【文献】特開2012-086905(JP,A)
【文献】特開2015-209338(JP,A)
【文献】特開昭50-030286(JP,A)
【文献】特開平02-070624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
B65G 53/00-53/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ内の粉粒体を上側から吸引する粉粒体吸引装置であって、
前記バッグ内の粉粒体を吸引する吸引ノズルと、
前記バッグが載置される変形可能な逆錐体状または逆錐台状のバッグ載置部材と、
前記吸引ノズルの吸引によって前記バッグ内の粉粒体が減少するにしたがい、前記バッグ載置部材を上方向に向かって移動させる移動機構と、を有し、
前記バッグが載置された状態の前記バッグ載置部材が、前記移動機構によって上方向に移動されるにしたがい、前記バッグの重量によって平坦状に潰れた状態から逆錐体状または逆錐台状に戻る、粉粒体吸引装置。
【請求項2】
前記移動機構が、前記バッグ載置部材を吊り下げ支持する弾性部材である、請求項1に記載の粉粒体吸引装置。
【請求項3】
前記バッグ載置部材が、前記移動機構によって上方向に移動するリングフレームと、前記リングフレームに吊り下げられ、布材料から作製された逆円錐状または逆円錐台状の本体部とを備える、請求項1または2に記載の粉粒体吸引装置。
【請求項4】
前記バッグ載置部材における前記本体部が、その中央に前記吸引ノズルが通過可能な貫通穴を備え、
前記吸引ノズルが、上下方向に移動可能に配置されている、請求項3に記載の粉粒体吸引装置。
【請求項5】
前記バッグ載置部材が、前記バッグの開口縁を保持して前記バッグの開口を開いた状態で維持するバッグ開口維持部材を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の粉粒体吸引装置。
【請求項6】
前記バッグ載置部材が、上方向に延在し、上端部に前記バッグ開口維持部材が取り付けられているバッグ自立補助部材を備える、請求項5に記載の粉粒体吸引装置。
【請求項7】
前記吸引ノズルが、外管と、前記外管内に同心に配置された内管と、前記外管の先端と前記バッグとの間に隙間を形成して前記バッグの吸い付きによる前記外管の開口の閉塞を防止する閉塞防止部材とを備え、
前記外管の開口に対して、前記内管の開口が前記外管の奥側に位置し、
前記内管が吸引源に接続され、
前記外管と前記内管との間の空間が外気に連通されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の粉体吸引装置。
【請求項8】
複数のキャスターを備えるベースと、
前記ベースに設けられた支柱と、
前記支柱に設けられ、前記吸引ノズルを保持するアームと、をさらに有し、
前記ベースが、前記吸引ノズルの下方に位置する部分に貫通穴を備え、
前記バッグが載置された状態の前記バッグ載置部材が、前記移動機構によって前記ベースから離れてその上方に向かって移動される、請求項1から7のいずれか一項に記載の粉粒体吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ内の粉粒体を吸引する粉粒体吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フレキシブルコンテナバッグなどのバッグ内の粉粒体を吸引する粉粒体吸引装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された装置の場合、粉粒体を収容したバッグを吊り下げ状態にし、そのバッグ内に上下方向に延在する筒状のノズルをセットする。ノズルの吸引によってバッグ内の粉粒体が減少するにしたがい、アクチュエータがバッグを上昇させていく。最終的には、アクチュエータがバッグを上昇させることによってバッグの底部がノズルに接触し、ノズルに接触するバッグの部分が最低位置になるように該バッグが変形する。それにより、残り少ない粉粒体がノズル近傍に集まる。その結果、バッグ内の粉粒体全てがノズルによって吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-86905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された粉粒体吸引装置の場合、バッグの上端(例えばループ状の吊りベルト)を吊り下げ保持した吊り下げ部材が該バッグの上方で上下方向に移動する。そのため装置全体の高さ方向のサイズが大きい。
【0005】
そこで、本発明は、バッグ内の粉粒体を吸引する粉粒体供給装置において、高さ方向のサイズを小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
バッグ内の粉粒体を上側から吸引する粉粒体吸引装置であって、
前記バッグ内の粉粒体を吸引する吸引ノズルと、
前記バッグが載置される変形可能な逆錐体状または逆錐台状のバッグ載置部材と、
前記吸引ノズルの吸引によって前記バッグ内の粉粒体が減少するにしたがい、前記バッグ載置部材を上方向に向かって移動させる移動機構と、を有し、
前記バッグが載置された状態の前記バッグ載置部材が、前記移動機構によって上方向に移動されるにしたがい、前記バッグの重量によって平坦状に潰れた状態から逆錐体状または逆錐台状に戻る、粉粒体吸引装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッグ内の粉粒体を吸引する粉粒体供給装置において、高さ方向のサイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図
図2】粉粒体吸引装置の上面図
図3】粉粒体を収容したバッグがセットされた状態の粉粒体吸引装置の部分断面図
図4A】粉粒体の吸引開始直後の状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図
図4B】粉粒体の吸引途中であってバッグの底部が変形した状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図
図4C】粉粒体の吸引終了直前の状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図
図5】本発明の別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図
図6】本発明のさらに別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図
図7】本発明の異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図
図8】本発明のさらに異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図である。図2は、粉粒体吸引装置の上面図である。図3は、粉粒体を収容した袋がセットされた状態の粉粒体吸引装置の部分断面図である。なお、図に示すX-Y-Z座標系は、本発明に係る実施の形態の理解を容易にするためのものであって、発明を限定するものではない。また、X軸方向は粉粒体吸引装置の左右方向を示し、Y軸方向は前後方向を示し、Z軸方向は高さ方向を示している。
【0011】
図1図3に示すように、粉粒体吸引装置10は、ブロワなどの吸引源(図示せず)に接続され、フレキシブルコンテナバッグなどの変形可能なバッグ50に収容された粉粒体Pを吸引するように構成されている。
【0012】
本実施の形態の場合、粉粒体吸引装置10は、移動可能であって、複数のキャスター12を備えるベース14を有する。ベース14には複数(4本)の支柱16が設けられ、その支柱16にアーム18を介して吸引ノズル20が上下方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられている。吸引ノズル20は、バッグ50内に収容された粉粒体Pを吸引するためのものであって、吸引源(図示せず)に接続される。なお、理由は後述するが、吸引ノズル20の下方に位置するベース14の部分には、貫通穴14aが設けられている。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の場合、吸引ノズル20は、二重管構造であって、外管20bと、その外管20b内に同心に配置された内管20cとを備える。また、外管20bの開口20dに対して、内管20cの開口20eは外管20bの奥側に位置する。さらに、吸引ノズル20は、外管20bの先端にバッグ50が吸い付いてその開口20dが閉塞されることを防止するために、外管20bに取り付けられ、外管20bの先端とバッグ50との間に隙間を形成する閉塞防止部材20fを備える。
【0014】
吸引ノズル20の内管20cは、例えばブロワなどの吸引源(図示せず)に接続される。すなわち、内管20cの開口20eが、粉粒体Pを吸引する吸引ノズル20の吸引口として機能する。また、外管20bと内管20cとの間の空間は、外気に連通されている。
【0015】
このような吸引ノズル20によれば、吸引源(図示せず)が内管20c内を吸引すると、外管20bと内管20cとの間の空間から該内管20c内に向かう空気の流れ(一点鎖線)が生じる。粉粒体Pは、この空気の流れに同伴して搬送される。また、この空気の流れは、内管20cの開口20e(すなわち吸引ノズル20の吸引口20e)の全周にわたって生じる。それにより、吸引ノズル20の吸引口20eは、方向によって違いなく一様な吸引力でバッグ50内の粉粒体Pを吸引でき、その結果、バッグ50内の粉粒体Pを残すことなく吸引することができる。
【0016】
図3に示すように、粉粒体吸引装置10は、粉粒体Pを収容したバッグ50が載置されるバッグ載置部材22を有する。
【0017】
バッグ載置部材22は、図3に粉粒体Pを収容したバッグ50の重量によって平坦状に潰れた状態を示すように変形可能であって、図1および図2に示すようにバッグ50が載置されていない状態では逆円錐台状である。また、本実施の形態の場合、バッグ載置部材22は、金属材料から作製された円形状のリングフレーム24と、そのリングフレーム24に吊り下げられ、ビニルシートなどの布材料から作製された逆円錐台状の本体部26とを備える。例えば、リングフレーム24に、逆円錐台状の本体部26の上端が縫い付けられている。さらに、本実施の形態の場合、理由は後述するが、バッグ載置部材22の逆円錐台状の本体部26は、その中央に貫通穴26aを備える。なお、その貫通穴26aを設けたことにより、バッグ載置部材22の本体部26は逆円錐体状から逆円錐台状にされている。
【0018】
加えて、バッグ載置部材22は、図2に示すように上方視(Z軸方向視)で、ベース14の四隅に配置された複数の支柱16の真ん中に配置されている。さらに加えて、バッグ載置部材22は、上下方向(Z軸方向)に移動可能に設けられている。
【0019】
具体的には、本実施の形態の場合、粉粒体吸引装置10は、バッグ載置部材22を下側から支持し、上下方向(Z軸方向)に移動する円形状のリングであるアタッチメント部材30を有する。アタッチメント部材30の外径はバッグ載置部材22のリングフレーム24の外径に比べて小さい。なお、両者の外径は同一であってもよい。本体部26をアタッチメント部材30内に配置した状態で、バッグ載置部材22がアタッチメント部材30に載置される。また、アタッチメント部材30は、ばねやゴムなどの複数の弾性部材32を介して、ベース14の上方で上下方向(Z軸方向)に移動可能に、複数の支柱16に吊り下げ支持されている。
【0020】
このようなアタッチメント部材30上に載置されることにより、バッグ載置部材22は、上下方向(Z軸方向)に移動可能に、間接的に複数の支柱16に吊り下げ支持される。
【0021】
なお、バッグ載置部材22は、弾性部材32を介して、直接的に複数の支柱16に吊り下げ支持されてもよい。この場合、弾性部材32の一端がバッグ載置部材22のリングフレーム24に取り付けられる。
【0022】
また、本実施の形態の場合、アタッチメント部材30には、図3に示すように、バッグ50の開口縁50aを保持して該バッグ50の開口50bを開いた状態で維持しつつ、バッグ50の自立を補助するバッグ保持部材34が設けられている。バッグ保持部材34は、折り返したバッグ50の開口縁50aが引っ掛けられるバー34a(図2参照)と、アタッチメント部材30から上方向に延在してその上端部にバー34aが取り付けられているポール34bとを備える。すなわち、バッグ保持部材34のバー34aが、バッグ50の開口縁50aを保持して該バッグ50の開口50bを開いた状態で維持するバッグ開口維持部材として機能する。また、ポール34bが、バー34aを介して、バッグ50の自立を補助する、すなわちバッグ50が高さ方向(Z軸方向)に自ら潰れることを抑制する自立補助部材として機能する。
【0023】
なお、このようなバッグ保持部材34を、アタッチメント部材30を介して間接的ではなく、バッグ載置部材22のリングフレーム24に直接的に設けてもよい。
【0024】
ここまでは、本実施の形態に係る粉粒体吸引装置10の構成について説明してきた。ここからは、粉粒体吸引装置10による粉粒体の吸引について説明しつつ、粉粒体吸引装置10のさらなる詳細について説明する。
【0025】
まず、図3に示すように、粉粒体Pが収容されたバッグ50がバッグ載置部材22上に載置される。そのバッグ50の重量によって弾性部材32が伸び、バッグ載置部材22がベース14に着座する。このとき、バッグ50の重量によってバッグ載置部材22が平坦状に潰れている。吸引口を備える吸引ノズル20の先端20aがバッグB内の粉粒体P上に載置される。
【0026】
図3に示すように、バッグBが粉粒体吸引装置10にセットされると、粉粒体吸引装置10によるバッグB内の粉粒体Pの吸引が開始される。
【0027】
図4Aは、粉粒体の吸引開始直後の状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0028】
図4Aに示すように、吸引ノズル20が粉粒体Pを吸引し始めると、その先端20a近傍の粉粒体Pが吸引されつつ、吸引ノズル20が自重によって降下していく。そのために、吸引ノズル20は、アーム18に上下方向(Z軸方向)に移動可能に保持されている。吸引ノズル20の降下は、その先端20a(すなわち閉塞防止部材20f)がバッグ50の底部50cに接触するまで続く。
【0029】
図4Bは、粉粒体の吸引途中であってバッグの底部が変形した状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0030】
吸引ノズル20の先端20aがバッグ50の底部50cに接触した後、その吸引ノズル20が粉粒体Pを吸引するにしたがい、バッグ50内の粉粒体Pが減少していく。それにともにない、図4Bに示すように、弾性部材32が縮んでバッグ載置部材22を上方向に引っ張り上げ、バッグ載置部材22がベース14から離れる。その結果、バッグ載置部材22は、上方向に移動しつつ、図4Aに示す平坦状に潰れた状態から図1に示す元の形状である逆円錐台状に向かって変形していく。
【0031】
図4Bに示すように、バッグ載置部材22が逆円錐台状に向かって変形していくと、その上に載置されているバッグ50の底部50cが平坦状から逆円錐台状に向かって変形される。その変形よって生じた傾斜に沿って粉粒体Pがバッグ50の中央に向かって流動し、吸引ノズル20の先端20a近傍に集まる。そして、その集まる粉粒体Pを吸引ノズル20が吸引する。
【0032】
なお、粉粒体Pがバッグ50の中央に向かって流動しやすくするために、図1に示すように、バッグ載置部材22の逆円錐台状の本体部26の内周面26bの傾斜角度θ(水平に対する角度)は、粉粒体Pの安息角以上の角度であるのが好ましい。本実施の形態の場合、バッグ載置部材22が着脱可能であるため、傾斜角度θが異なる複数のバッグ載置部材22を用意すれば、粉粒体吸引装置10は異なる種類の粉粒体に適切に対応することができる。
【0033】
さらに吸引ノズル20が粉粒体Pを吸引し続けると、バッグ50内の粉粒体Pが減少し、それによりバッグ載置部材22が完全にベース14から離れて元の逆円錐台状に戻り、その結果として、バッグ50の底部50cが逆円錐台状に変形される。
【0034】
図4Cは、粉粒体の吸引終了直前の状態を示す粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0035】
さらに吸引ノズル20が粉粒体Pを吸引し続けると、図4Cに示すように吸引ノズル20の自重によってバッグ50が逆円錐体状に変形される。すなわち、バッグ載置部材22の逆円錐台状の本体部26の頂角に比べて小さい頂角を備える逆円錐体状に、バッグ50が変形される。バッグ50の中央部分が吸引ノズル20によって下方向に押され、またバッグ50の開口縁50aがバッグ保持部材34のバー34aに保持されていることにより、バッグ50が引っ張られてしわがなくなる。その結果、粉粒体Pが、バッグ50の中央部分に向かって滑り落ちる、すなわち吸引ノズル20の先端20a近傍に集まる。
【0036】
このとき、図4Cに示すように、吸引ノズル20の先端20aとそれに押されたバッグ50の中央部分が、バッグ載置部材22の本体部26の貫通穴26aを通過するとともに、ベース14の貫通穴14aも通過する。
【0037】
吸引ノズル20の先端20aがバッグ載置部材22の貫通穴26aを通過することにより、バッグ50の中央部分が吸引ノズル22の先端22aに押されてより鋭角な頂角を備える逆円錐体状に変形する(バッグ載置部材22の逆円錐台状の本体部26の頂角に比べて)。それにより、残り少ない粉粒体Pがバッグ50の中央部分、すなわち吸引ノズル20の先端20a近傍に集まる。
【0038】
また、吸引ノズル20の先端20aがベース14の貫通穴14aを通過することにより、粉粒体吸引装置10の高さ方向(Z軸方向)のサイズを小さくすることができる。貫通穴14aが存在しない場合、吸引ノズル20の先端20aに押されたバッグ50の中央部分がベース14に接触しないように、複数の支柱16の高さ方向のサイズを大きくする必要がある。
【0039】
まとめると、本実施の形態の場合、上述したように、吸引ノズル20が粉粒体Pを吸引すると、バッグ50内の粉粒体Pが減少し、それにより、バッグ50の重量によって潰れていたバッグ載置部材22が逆円錐台状に向かって変形する。そのバッグ載置部材22の変形により、バッグ50の底部50cが平坦状から逆円錐台状に向かって変形される。その結果、粉粒体Pは、バッグ50の中央部分、すなわち吸引ノズル20の先端20aに向かって流動し、その吸引ノズル20に吸引される。この繰り返しにより、バッグ50の底部50cが変形し続け、それにより吸引ノズル20の先端20a近傍に粉粒体Pが集まり続け、その結果として、吸引ノズル20は、粉粒体Pを、残すことなく、吸引し続けることができる。
【0040】
以上、このような本実施の形態によれば、バッグ50内の粉粒体Pを吸引する粉粒体吸引装置10において、高さ方向(Z軸方向)のサイズを小さくすることができる。
【0041】
具体的には、図3に示すように、バッグ50が載置されたバッグ載置部材22を上方向に移動させる移動機構(本実施の形態の場合には弾性部材32)は、バッグ50の上方ではなく、バッグ50の横に配置することが可能である。これと異なり、バッグの上端(例えばループ状の吊りベルト)を吊り下げ保持した部材はバッグの横に配置することはできない。その結果、バッグの上端を吊り下げ保持した部材が該バッグの上方で上下方向に移動する場合に比べて、粉粒体吸引装置の高さ方向のサイズを小さくすることができる。また、バッグ載置部材が平坦状に潰れることが可能であることによっても、粉粒体吸引装置の高さ方向のサイズが小さくされている(逆錐体状または逆錐台状のバッグ載置部材が平坦状に変形できない場合に比べて)。
【0042】
上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されない。
【0043】
例えば、上述の実施の形態の場合、図4A~4Cに示すように、バッグ載置部材22は、ばねやゴムなどの弾性部材32によって上方向に移動される。しかしながら、バッグ載置部材22を上方向に移動させる移動機構は、弾性部材32に限らない。
【0044】
図5は、本発明の別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0045】
図5に示すように、別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置110は、バッグ載置部材22を上方向に移動させる移動機構として、複数のシリンダ132を備える。複数のシリンダ132は、例えばエアシリンダまたは油圧シリンダであって、上下方向に進退するロッド132aの先端が、アタッチメント部材30に取り付けられている。
【0046】
なお、図5に示すように、バッグ載置部材22を上方向に移動させる移動機構としてシリンダ132を使用する場合、吸引ノズル20の吸引開始タイミングから、時間の経過とともに、シリンダ132は、バッグ50が載置されたバッグ載置部材22を上昇させる。
【0047】
図6は、本発明のさらに別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0048】
図6に示すように、さらに別の実施の形態に係る粉粒体吸引装置210は、バッグ載置部材22を上方向移動させる移動機構として、複数の滑車232を備える。この場合、重り236の重さを変更することにより、バッグ50内の粉粒体Pの吸引開始前の量に応じてバッグ載置部材22の上昇開始タイミングを調節することができる。
【0049】
また、上述の実施の形態の場合、図1に示すように、バッグ載置部材22は、金属材料から作製された円形状のリングフレーム24と、そのリングフレーム24に吊り下げられ、ビニルシートなどの布材料から作製された逆円錐状の本体部26とを備える。しかしながら、本発明の実施の形態の場合、バッグ載置部材は、これに限らない。例えば、バッグ載置部材の本体部が、網から作製されてもよい。バッグ載置部材は、様々な形態が可能である。
【0050】
図7は、異なるバッグ載置部材を備える、本発明の異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0051】
図7に示すように、異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置310において、バッグ載置部材322は、外径が異なる2つのリングフレーム324、325と、2つのリングフレーム324、325を連結する変形可能な複数の連結ベルト326とを備える。連結ベルト326は、ロープ、鎖、ワイヤーなどであってもよい。なお、連結ベルト326間のすきまからバッグ50の一部がはみ出ないように、バッグ載置部材322の上方に伸縮ネット338が配置されている。すなわち、バッグ50は、伸縮ネット338を挟んでバッグ載置部材322に載置される。
【0052】
さらに、上述の実施の形態の場合、図3に示すように、粉粒体Pを収容したバッグ50は、バッグ載置部材22を介して、粉粒体吸引装置10のベース14に載置される。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。例えば、複数の支柱16が床面に立てられ、その床面に、粉粒体Pを収容したバッグ50がバッグ載置部材22を介して載置されてもよい。
【0053】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、図1および図2に示すように、バッグ載置部材22は逆円錐台状であるが、例えば逆四角錐台状などの逆角錐台状であってもよい。また、中央に貫通穴がなくても吸引ノズルが粉粒体を残さず吸引できるのであれば、バッグ載置部材は貫通穴を備えなくてもよい。すなわち、バッグ載置部材は逆円錐体などの逆錐体状であってもよく、また、貫通穴がない逆円錐台状などの逆錐台状であってもよい。
【0054】
加えて、上述の実施の形態の場合、図2に示すように、バッグ50の開口50bを開いた状態で維持するバッグ開口維持部材は、バー34aである。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。
【0055】
図8は、異なるバッグ開口維持部材を備える、本発明のさらに異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置の部分断面図である。
【0056】
図8に示すように、異なる実施の形態に係る粉粒体吸引装置410には、上方(Z軸方向)視で、開口縁150aがバッグ150の外周から遠い、すなわち全体サイズに比べて小さい開口150bを備えるバッグ150がセットされている。バッグ保持部材434は、バッグ開口維持部材として、バッグ150の開口縁150aを挟んで保持するクランプ434aを備える。クランプ434aは、バッグ自立補助部材であるポール434bの上端部にワイヤー434cを介して、接続されている。なお、ワイヤーに代わって、ロープや鎖などであってもよい。
【0057】
このようなバッグ保持部材434によれば、図8に示すように、上方(Z軸方向)視で、開口縁150aがバッグ150の外周から遠い、すなわち全体サイズに比べて小さい開口150bを備えるバッグ150にも対応することができる。また、ワイヤー434cの長さを調整すれば、図3に示すように、上方視で、全体サイズと実質的に同サイズの開口50bを備えるバッグ50、すなわち寸胴型のバッグ50にも対応することができる。
【0058】
なお、粉粒体が吸引され続けている間において、バッグ開口維持部材がなくても開口が開いた状態を保ち、またバッグ自立補助部材がなくても自立状態を維持することができるバッグであれば、これらのバッグ開口維持部材およびバッグ自立補助部材を省略することができる。
【0059】
すなわち、本発明は、広義には、バッグ内の粉粒体を上側から吸引する粉粒体吸引装置であって、前記バッグ内の粉粒体を吸引する吸引ノズルと、前記バッグが載置される変形可能な逆錐体状または逆錐台状のバッグ載置部材と、前記吸引ノズルの吸引によって前記バッグ内の粉粒体が減少するにしたがい、前記バッグ載置部材を上方向に向かって移動させる移動機構と、を有し、前記バッグが載置された状態の前記バッグ載置部材が、前記移動機構によって上方向に移動されるにしたがい、前記バッグの重量によって平坦状に潰れた状態から逆錐体状または逆錐台状に戻る。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグなどのバッグ内の粉粒体を吸引する装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 粉粒体吸引装置
20 吸引ノズル
22 バッグ載置部材
32 移動機構(弾性部材)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8