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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230301BHJP
   B65B 37/12 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
B65B37/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019158827
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036958
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雄一朗
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-203502(JP,A)
【文献】特許第3472018(JP,B2)
【文献】特開2014-144207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁および排出口を有し、前記周壁の内側に薬剤を収容するとともに、前記排出口から薬剤を排出する薬剤収容部と、
前記周壁の内側に回転可能に配置され、上側に凸状に傾斜した天面および該天面と隣接する周面を有するロータと、
前記周面に設けられ、前記ロータの周方向に互いに隙間をあけて位置する複数の第1突出部と、
前記周面に設けられ、前記複数の第1突出部のうちの一部の第1突出部の上のみに1つずつ配置された少なくともつの第2突出部と、
前記排出口の上方において前記一部の第1突出部と前記少なくともつの第2突出部との間を仕切るように、前記周壁の内面から前記周面に向けて延設された仕切部とを備え、
前記複数の第1突出部の各々は、前記ロータが回転した際に、前記隙間に収容された薬剤を押圧して前記排出口に搬送可能に形成されており、
前記少なくともつの第2突出部は、前記ロータが回転した際に、前記仕切部上に位置する薬剤を押圧して前記仕切部上から移動可能に形成されており、
前記少なくともつの第2突出部は、前記周方向の一方側に、前記周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面を有しており、
前記一方側上面は、前記ロータが該ロータの周方向の一方側に向かって回転する際に、前記周面の前記複数の第1突出部より上方の部分と前記周壁の内面との間に挟まっている薬剤を押圧してすくい上げることができるように形成されている、薬剤供給装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2突出部において、前記一方側上面は、前記周面の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記少なくともつの第2突出部は、前記周方向の他方側に、前記周方向の他方に行くにしたがって下降するように傾斜している他方側上面をさらに有しており、
前記他方側上面は、前記ロータが該ロータの周方向の他方側に向かって回転する際に、前記周面の前記複数の第1突出部より上方の部分と前記周壁の内面との間に挟まっている薬剤を押圧してすくい上げることができるように形成されている、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記少なくともつの第2突出部において、前記一方側上面および前記他方側上面を含む上面は、前記周面の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している、請求項に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記周方向において、前記少なくともつの第2突出部の全長は、前記一部の第1突出部の各々の全長より短い、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記仕切部は、可撓性部材で構成されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2突出部として、少なくとも2つの第2突出部が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤供給装置の構成を開示した先行文献として、特開2014-144207号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された薬剤供給装置は、収容部と、ロータと、仕切部材とを備えている。ロータの側面部に間隔をあけてブロック部が設けられ、ブロック部同士の隙間によって薬剤収容溝が構成されている。ロータの回転に伴ってロータの一部が仕切部材の一部に当たり、仕切部材に動きを与えて仕切部材上の薬剤を移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-144207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の薬剤供給装置においては、ロータの周面におけるブロック部より上方の部分と収容部の内面との間において薬剤が詰まった場合、ロータが停止することがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、薬剤収容部内の残薬の発生を防止するとともに、薬剤収容部内において薬剤が詰まることを抑制できる、薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に基づく薬剤供給装置は、薬剤収容部と、ロータと、複数の第1突出部と、少なくとも2つの第2突出部と、仕切部とを備える。薬剤収容部は、周壁および排出口を有し、上記周壁の内側に薬剤を収容するとともに、排出口から薬剤を排出する。ロータは、上記周壁の内側に回転可能に配置され、上側に凸状に傾斜した天面およびこの天面と隣接する周面を有する。上記複数の第1突出部は、上記周面に設けられ、ロータの周方向に互いに隙間をあけて位置する。上記少なくとも2つの第2突出部は、上記周面に設けられ、上記複数の第1突出部のうちの少なくとも2つの第1突出部の各々の上方に1つずつ配置されている。仕切部は、排出口の上方において上記少なくとも2つの第1突出部と上記少なくとも2つの第2突出部との間を仕切るように、上記周壁の内面から上記周面に向けて延設されている。上記複数の第1突出部の各々は、ロータが回転した際に、上記隙間に収容された薬剤を押圧して排出口に搬送可能に形成されている。上記少なくとも2つの第2突出部の各々は、ロータが回転した際に、仕切部上に位置する薬剤を押圧して仕切部上から移動可能に形成されている。上記少なくとも2つの第2突出部の各々は、上記周方向の一方側に、上記周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面を有している。
【0007】
本発明の一形態においては、上記少なくとも2つの第2突出部の各々は、上記周方向の他方側に、上記周方向の他方に行くにしたがって下降するように傾斜している他方側上面をさらに有している。
【0008】
本発明の一形態においては、上記少なくとも2つの第2突出部の各々において、上記一方側上面および上記他方側上面を含む上面は、上記周面の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している。
【0009】
本発明の一形態においては、上記周方向において、上記少なくとも2つの第2突出部の各々の全長は、上記少なくとも2つの第1突出部の各々の全長より短い。
【0010】
本発明の一形態においては、仕切部は、可撓性部材で構成されている。
本発明の第2局面に基づく薬剤供給装置は、薬剤収容部と、ロータと、複数の第1突出部と、1つの第2突出部と、仕切部とを備える。薬剤収容部は、周壁および排出口を有し、上記周壁の内側に薬剤を収容するとともに、排出口から薬剤を排出する。ロータは、上記周壁の内側に回転可能に配置され、上側に凸状に傾斜した天面およびこの天面と隣接する周面を有する。上記複数の第1突出部は、上記周面に設けられ、ロータの周方向に互いに隙間をあけて位置する。上記1つの第2突出部は、上記周面に設けられ、上記複数の第1突出部のうちの1つの第1突出部の上方に配置されている。仕切部は、排出口の上方において上記1つの第1突出部と上記1つの第2突出部との間を仕切るように、上記周壁の内面から上記周面に向けて延設されている。上記複数の第1突出部の各々は、ロータが回転した際に、上記隙間に収容された薬剤を押圧して排出口に搬送可能に形成されている。上記1つの第2突出部は、ロータが回転した際に、仕切部上に位置する薬剤を押圧して仕切部上から移動可能に形成されている。上記1つの第2突出部は、上記周方向の一方側に、上記周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬剤収容部内の残薬の発生を防止するとともに、薬剤収容部内において薬剤が詰まることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置において蓋部が開いた状態を示す斜視図である。
図2図1の薬剤供給装置を矢印II方向から見た平面図である。
図3図1の薬剤供給装置を矢印III方向から見た底面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置における薬剤収容部の一部をカットして示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置におけるロータを透視して示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置のロータおよび仕切部の位置関係を示す側面図である。
図8】薬剤収容部内において薬剤の詰まりが発生した状態を示す平面図である。
図9】本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。
図10】本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置において蓋部が開いた状態を示す斜視図である。図2は、図1の薬剤供給装置を矢印II方向から見た平面図である。図3は、図1の薬剤供給装置を矢印III方向から見た底面図である。図4は、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置における薬剤収容部の一部をカットして示す斜視図である。図5は、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置におけるロータを透視して示す斜視図である。図4および図5においては、薬剤供給装置において蓋部を取り外した状態を図示している。図5においては、ロータを点線で示している。
【0015】
図1図3に示すように、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100は、薬剤収容部110と、ロータ120と、蓋部130と、仕切部140とを備えている。薬剤収容部110は、周壁111および排出口112を有し、周壁111の内側に薬剤を収容するとともに、排出口112から薬剤を排出する。周壁111の内面は、円筒状である。排出口112は、薬剤収容部110の底面に形成されており、周壁111の径方向内側において周壁111の内面と隣接している。
【0016】
図3に示すように、薬剤収容部110の底面において、周壁111の中心軸上の位置に円形の開口部113が設けられている。開口部113は、ロータ120を回転駆動する図示しないモータの出力軸とロータ120とを接続する接続軸部150に挿通される。
【0017】
図1に示すように、蓋部130は、薬剤収容部110を開閉するように回動可能に設けられている。
【0018】
図1図5に示すように、ロータ120は、周壁111の内側に回転可能に配置されている。ロータ120は、薬剤収容部110の底面上に配置されている。本実施形態においては、ロータ120は、図2の矢印Aで示すように、ロータ120の周方向の一方側に向かって回転する正転、および、図2の矢印Bで示すように、ロータ120の周方向の他方側に向かって回転する逆転の両方可能に構成されている。なお、ロータ120は、必ずしも正転および逆転の両方可能である必要はなく、ロータ120の周方向の少なくとも一方に回転可能であればよい。
【0019】
図6は、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。図7は、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置のロータおよび仕切部の位置関係を示す側面図である。図7においては、ロータ120に接続軸部150が取り付けられた状態を図示している。
【0020】
図2および図4図7に示すように、ロータ120は、上側に凸状に傾斜した天面126および天面126と隣接する周面121を有する。天面126には、放射状に複数の溝部127が設けられている。天面126の中央部から円柱部128が突出している。円柱部128の上端に、カバー129が着脱可能に取り付けられている。
【0021】
図4図6および図7に示すように、周面121の下部には、ロータ120の周方向に互いに隙間124をあけて位置する複数の第1突出部122が設けられている。複数の第1突出部122の各々は、ロータ120の径方向から見て、略長方形状の形状を有している。ロータ120の径方向における複数の第1突出部122の各々の先端は、周壁111の内面とわずかに間隔をあけて対向している。
【0022】
複数の第1突出部122の各々は、ロータ120が回転した際に、隙間124に収容された薬剤を押圧して排出口112に搬送可能に形成されている。具体的には、隙間124内に収容された薬剤は、ロータ120の回転に伴って、第1突出部122に押圧されながらロータ120の周方向に搬送されて排出口112に落下する。
【0023】
周面121には、少なくとも2つの第2突出部123がさらに設けられている。具体的には、複数の第1突出部122のうちの少なくとも2つの第1突出部122の各々の上方に1つずつ第2突出部123が配置されている。図2および図5に示すように、本実施形態においては、複数の第1突出部122の各々の上方に1つずつ第2突出部123が配置されている。少なくとも2つの第2突出部123の各々の先端は、周壁111の内面とわずかに間隔をあけて対向している。
【0024】
図7に示すように、上下方向に並んで位置する第1突出部122と第2突出部123との間には、ロータ120の回転時に仕切部140が通過する通路125が設けられている。上下方向における、通路125の幅の寸法は、仕切部140の厚さの寸法よりわずかに大きい。第2突出部123は、ロータ120が回転した際に、仕切部140上に位置する薬剤を押圧して仕切部140上から移動可能に形成されている。
【0025】
図2および図4図7に示すように、第2突出部123は、ロータ120の周方向の一方側に、ロータ120の周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面123bを有している。
【0026】
本実施形態においては、第2突出部123は、ロータ120の周方向の他方側に、ロータ120の周方向の他方に行くにしたがって下降するように傾斜している他方側上面123cをさらに有している。なお、第2突出部123は、必ずしも他方側上面123cを有していなくてもよい。この場合は、第2突出部123の上面全体に、一方側上面123bが延在していてもよい。
【0027】
第2突出部123の下面は、水平に位置している。本実施形態においては、第2突出部123は、ロータ120の径方向から見て、頂点が丸みを帯びた三角形状の外形を有している。
【0028】
図7に示すように、第2突出部123において、一方側上面123bおよび他方側上面123cを含む上面123aは、周面121の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している。すなわち、第2突出部123は、先細の形状を有している。
【0029】
図2および図5に示すように、ロータ120の周方向において、第2突出部123の全長は、第1突出部122の全長より短い。なお、第2突出部123の全長は、ロータ120の周方向において第2突出部123の長さが最も長い箇所における長さである。なお、本実施形態においては、ロータ120の周方向において、第1突出部122の中心位置と第2突出部123の中心位置とが一致しているが、これに限られず、第2突出部123の中心位置が第1突出部122の中心位置に対してずれていてもよい。
【0030】
図2図5および図7に示すように、仕切部140は、排出口112の上方において第1突出部122と第2突出部123との間を仕切るように、周壁111の内面から周面121に向けて延設されている。排出口112と連通している隙間124は、仕切部140によって覆われており、上方から薬剤が進入することを防止されている。
【0031】
本実施の形態においては、仕切部140は、可撓性部材で構成されている。具体的には、図5および図7に示すように、仕切部140は、円弧状の基材に対してこの円弧に沿って互いに間隔をあけて複数の可撓性部材が接合されて構成されている。上記基材は、周壁111の一部を構成している。可撓性部材は、たとえば、軟質合成樹脂からなる。本実施形態においては、仕切部140は、ブラシ状に構成されているが、ブラシ状に限られず、板状であってもよい。
【0032】
以下、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100の動作について説明する。
薬剤収容部110内に薬剤が投入された状態でロータ120が回転することにより、天面126上に位置する薬剤は、周壁111の内面とロータ120の周面121との間の空間に向かって移動する。複数の溝部127は、ロータ120の回転に伴って天面126上に位置する薬剤を攪拌することにより、上記空間に薬剤を移動させやすくする。
【0033】
上記空間に移動した薬剤のうちの一部の薬剤が、各隙間124に1つずつ収容される。隙間124内に収容された薬剤は、ロータ120の回転に伴って、第1突出部122に押圧されながらロータ120の周方向に搬送される。排出口112上に位置して排出口112と連通した隙間124に収容されている薬剤は、隙間124内から排出口112に落下して払い出される。
【0034】
このとき、排出口112と連通している隙間124は、仕切部140によって覆われており、上方から薬剤が進入することを防止されている。その結果、一度に1つの薬剤を排出口112から払い出すことができる。
【0035】
また、仕切部140上に位置する薬剤は、ロータ120の回転に伴って、第2突出部123に押圧されて仕切部140上から移動させられる。仕切部140上から移動させられた薬剤は、いずれ隙間124内に収容されて、排出口112に搬送される。
【0036】
本実施形態においては、ロータ120が正転することで、薬剤が排出口112から払い出される。ロータ120が正転している間に薬剤が排出口112から一定時間払い出されないと、ロータ120が逆転および正転を繰り返す。ロータ120の逆転と正転とが繰り返されているときに、薬剤の払い出しがあると、ロータ120が再び正転する。ロータ120の逆転と正転とが複数回繰り返されても薬剤の払い出しがないことが確認されると、薬剤収容部110内の薬剤が全て排出されて薬剤収容部110内の残薬がないと判断され、ロータ120が停止する。
【0037】
ここで、薬剤収容部110内における薬剤の詰まりについて説明する。図8は、薬剤収容部内において薬剤の詰まりが発生した状態を示す平面図である。図8に示すように、周壁111と周面121との間に挟まれた薬剤1が矢印で示すロータの回転方向に連なって薬剤1の詰まりが発生した場合、ロータが停止することがある。
【0038】
本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、図2および図4図7に示すように、第2突出部123は、ロータ120の周方向の一方側に、ロータ120の周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面123bを有している。
【0039】
そのため、仮に、周面121の第1突出部122より上方の部分と周壁111の内面との間に薬剤1が挟まった場合、ロータ120の正転に伴って、当該挟まっている薬剤1を一方側上面123bで押圧することができる。一方側上面123bに押圧された薬剤1は、第2突出部123によってすくい上げられて、周壁111と周面121との間に挟まっている状態を解除される。
【0040】
薬剤供給装置100は、第2突出部123を少なくとも2つ有しているため、ロータ120が1周回転するたびに少なくとも2つの第2突出部123によって、周壁111と周面121との間に挟まっている薬剤1を外すことができる。よって、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを抑制することができる。
【0041】
上記のように、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、薬剤収容部110内の残薬の発生を防止するとともに、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを抑制できる。
【0042】
本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、第2突出部123は、ロータ120の周方向の他方側に、ロータ120の周方向の他方に行くにしたがって下降するように傾斜している他方側上面123cをさらに有している。
【0043】
そのため、仮に、周面121の第1突出部122より上方の部分と周壁111の内面との間に薬剤1が挟まった場合、ロータ120の逆転に伴って、当該挟まっている薬剤1を他方側上面123cで押圧することができる。他方側上面123cに押圧された薬剤1は、第2突出部123によってすくい上げられて、周壁111と周面121との間に挟まっている状態を解除される。これにより、ロータ120の正転時および逆転時の両方において、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを抑制できる。
【0044】
本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、第2突出部123の一方側上面123bおよび他方側上面123cを含む上面は、周面121の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している。これにより、第2突出部123上に薬剤1が乗り上げることを抑制するとともに、周壁111と周面121との間に挟まっている薬剤1をすくい上げやすくなり、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを効果的に抑制することができる。
【0045】
本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、第2突出部123の全長は、第1突出部122の全長より短い。これにより、第2突出部123が第1突出部122と同様の形状を有している場合に比較して、薬剤収容部110内において第2突出部123が占める体積を低減して、薬剤収容部110内における薬剤1の収容数を多くすることができる。
【0046】
本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100においては、仕切部140は、可撓性部材で構成されている。これにより、第1突出部122上に位置する薬剤1が第2突出部123によって押圧されて第2突出部123と仕切部140との間に挟まれた際に受ける負荷を低減して、薬剤1が損傷することを抑制できる。
【0047】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置は、第2突出部の数が1つである点が本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0048】
図9は、本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。図9においては、カバー129を取り外した状態を示している。
【0049】
本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置のロータ220の周面121には、1つの第2突出部123が設けられている。図9に示すように、第2突出部123が配置されていない第1突出部122の形状は、第2突出部123が配置されていている第1突出部122の形状と異なっていてもよい。
【0050】
本発明の実施形態2に係る薬剤供給装置においても、薬剤収容部110内の残薬の発生を防止するとともに、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを抑制できる。また、第2突出部123の数が1つであることにより、複数の第1突出部122の各々の上方に1つずつ第2突出部123を配置した実施形態1に係る薬剤供給装置100と比較して、薬剤収容部110内における薬剤1の収容数を多くすることができる。
【0051】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置について図を参照して説明する。本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置は、第2突出部の形状が本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100と異なるため、本発明の実施形態1に係る薬剤供給装置100と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0052】
図10は、本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置のロータの外観を示す斜視図である。図10においては、カバー129を取り外した状態を示している。
【0053】
図10に示すように、本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置のロータ320の周面121には、少なくとも2つの第2突出部323が設けられている。具体的には、複数の第1突出部122のうちの少なくとも2つの第1突出部122の各々の上方に1つずつ第2突出部323が配置されている。図10に示すように、本実施形態においては、複数の第1突出部122の各々の上方に1つずつ第2突出部323が配置されている。
【0054】
上下方向に並んで位置する第1突出部122と第2突出部323との間には、ロータ320の回転時に仕切部140が通過する通路125が設けられている。上下方向における、通路125の幅の寸法は、仕切部140の厚さの寸法よりわずかに大きい。第2突出部323は、ロータ320が回転した際に、仕切部140上に位置する薬剤を押圧して仕切部140上から移動可能に形成されている。
【0055】
第2突出部323は、ロータ320の周方向の一方側に、ロータ320の周方向の一方に行くにしたがって下降するように傾斜している一方側上面323bを有している。
【0056】
本実施形態においては、第2突出部323は、ロータ320の周方向の他方側に、ロータ320の周方向の他方に行くにしたがって下降するように傾斜している他方側上面323cをさらに有している。
【0057】
第2突出部323の下面は、水平に位置している。本実施形態においては、第2突出部323は、ロータ320の径方向から見て、頂点が丸みを帯びた等脚台形状の外形を有している。
【0058】
第2突出部323において、一方側上面323bおよび他方側上面323cを含む上面323aは、周面121の径方向先端側に行くにしたがって下降するように傾斜している。すなわち、第2突出部323は、先細の形状を有している。第2突出部323の上面において一方側上面323bと他方側上面323cとの間に位置する部分は、天面126と連続している。
【0059】
ロータ320の周方向において、第2突出部323の全長は、第1突出部122の全長より短い。なお、第2突出部323の全長は、ロータ320の周方向において第2突出部323の長さが最も長い箇所における長さである。第2突出部323の全長は、実施形態1に係る第2突出部123の全長より長い。
【0060】
本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置においても、薬剤収容部110内の残薬の発生を防止するとともに、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを抑制できる。
【0061】
また、第2突出部323の全長が実施形態1に係る第2突出部123の全長より長いことにより、一方側上面323bおよび他方側上面323cの各々の傾きを緩やかにすることができる。これにより、本発明の実施形態3に係る薬剤供給装置は、実施形態1に係る薬剤供給装置100と比較して、周壁111と周面121との間に挟まっている薬剤1をすくい上げやすくなり、薬剤収容部110内において薬剤1が詰まることを効果的に抑制することができる。
【0062】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 薬剤、100 薬剤供給装置、110 薬剤収容部、111 周壁、112 排出口、113 開口部、120,220,320 ロータ、121 周面、122 第1突出部、123,323 第2突出部、123a,323a 上面、123b,323b 一方側上面、123c,323c 他方側上面、124 隙間、125 通路、126 天面、127 溝部、128 円柱部、129 カバー、130 蓋部、140 仕切部、150 接続軸部。
図1
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図10