(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】水槽清掃具
(51)【国際特許分類】
A01K 63/10 20170101AFI20230301BHJP
B08B 9/087 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A01K63/10
B08B9/087
(21)【出願番号】P 2019203853
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】393022746
【氏名又は名称】ジェックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水谷 綾
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-98842(JP,U)
【文献】登録実用新案第3197467(JP,U)
【文献】登録実用新案第3004858(JP,U)
【文献】特開2007-68482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0090278(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0192062(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/189034(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0024739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/10
B08B 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽壁面の外側に配置される外側ユニットと、水槽壁面の内側に配置される内側ユニットと、を有し、磁力により外側ユニットの動きに内側ユニットを追従させることで、水槽壁面の内側を清掃する水槽清掃具であって、
前記内側ユニットは、
柔軟性を有し、永久磁石を収容する収容部が形成された本体部と、
柔軟性を有し、前記本体部の表面および裏面に設けられるカバー部材と、
前記カバー部材と前記永久磁石の間に配置され、前記永久磁石を防水するための防水手段と、を備えたことを特徴とする水槽清掃具。
【請求項2】
前記防水手段は、永久磁石の表面に配置される防水シートであることを特徴とする請求項1に記載の水槽清掃具。
【請求項3】
前記防水手段は、前記永久磁石の表面に形成される防水コーティングであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水槽清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽壁面の外側に配置される外側ユニットと、水槽壁面の内側に配置される内側ユニットと、を有し、磁力により外側ユニットの動きに内側ユニットを追従させることで、水槽壁面に内側を清掃する水槽清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる水槽清掃具として、下記特許文献1に開示される装置が公知である。この装置は、内側構成要素(内側ユニット)と外側構成要素(外側ユニット)を備えている。外側構成要素を水槽窓に沿って動かすと、内側構成要素が磁力の影響のもとでその動きに追従する。
【0003】
上記の内側構成要素は2つのセグメントから構成され、セグメントの中に磁石が配置される。セグメントを補強するために当て板がセグメント内に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の内側構成要素は、セグメントが硬質素材で形成されており、水槽壁面が平面である場合は問題なく動かすことができるが、金魚鉢のように曲面(2次元あるいは3次元曲面)を有する場合には、適切な壁面清掃を行うことができない。
【0006】
そこで、永久磁石を収容するセグメント(本体部)を柔軟性を有する素材で形成することが考えられる。しかしながら、柔軟性を有する素材でセグメントを形成した場合に、清掃時におけるセグメントの変形に起因して隙間から水が侵入して永久磁石の性能劣化や錆を生じさせる可能性がある。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、柔軟性を備えた場合であっても永久磁石の劣化等を抑制可能な水槽清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係る水槽清掃具は、
水槽壁面の外側に配置される外側ユニットと、水槽壁面の内側に配置される内側ユニットと、を有し、磁力により外側ユニットの動きに内側ユニットを追従させることで、水槽壁面の内側を清掃する水槽清掃具であって、
前記内側ユニットは、
柔軟性を有し、永久磁石を収容する収容部が形成された本体部と、
柔軟性を有し、前記本体部の表面および裏面に設けられるカバー部材と、
前記カバー部材と前記永久磁石の間に配置され、前記永久磁石を防水するための防水手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
かかる構成によるの作用・効果を説明する。この構成によると、内側ユニットを構成する本体部は柔軟性を有し、その内部に永久磁石が収容される。本体部の表裏両面にはカバー部材が配置されて、これにより、内部に永久磁石が封止される。さらに、カバー部材と永久磁石の間には防水手段が設けられる。これにより、永久磁石が収容される収容部に水が浸入することを抑制することができる。従って、柔軟性を備えた場合であっても永久磁石の劣化等を抑制可能な水槽清掃具を提供するができる。
【0010】
本発明に係る防水手段は、永久磁石の表面に配置される防水シートであることが好ましい。これにより、防水シートにより収容部を封鎖して水の侵入を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る防水手段は、前記永久磁石の表面に形成される防水コーティングであることが好ましい。これにより、永久磁石の表面に水が付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】水槽清掃具を使用するときの様子を示す斜視図
【
図3】水槽清掃具を構成する内側ユニットの分解斜視図
【
図4】水槽清掃具を構成する外側ユニットの分解斜視図
【
図6】第2実施形態に係る水槽清掃具の内側ユニットの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る水槽清掃具の好適な実施形態を説明する。
図1は、水槽清掃具を使用するときの様子を示す斜視図である。
図2は、水槽清掃具の構成を示す外観斜視図である。
図3は、水槽清掃具を構成する内側ユニットの分解斜視図である。
図4は、水槽清掃具を構成する外側ユニットの分解斜視図である。
図5は、水槽清掃具を構成する内側ユニットの断面図である。本発明に係る水槽清掃具は、曲面で形成された内壁を有する水槽(金魚鉢など)において好適に使用されるものである。
【0014】
図1、
図2に示すように、水槽清掃具は、内側ユニット1と外側ユニット2により構成される。内側ユニット1は、水槽壁面の内側で使用され、外側ユニット2は水槽壁面の外側で使用(操作)されるものである。それぞれのユニットには永久磁石が組み込まれており、外側ユニット2を操作すると、磁力により内側ユニット1が追従して移動する。これにより、内側ユニット1に形成されたフェルトで壁面の清掃を行う。
【0015】
図3に示すように、内側ユニット1は、本体部10、永久磁石11、防水シート12(防水手段に相当)、カバー部材13により構成される。本体部10の平面視の形状は正方形であるが、形状はこれに限定されるものではなく、長方形やその他の形状を採用してもよい。
【0016】
本体部10には、円筒形の穴10a(収容部に相当)が形成されており、永久磁石11が収容される。本体部10の素材は柔軟性を有するものが使用され、例えば、EVA発泡体、ポリエチレン発泡体、ゴム系スポンジ、ウレタンフォーム等のスポンジが使用される。
【0017】
永久磁石11は、円筒形を呈しており、穴10aに収容される形状を有する。磁石材料としては、例えば、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等があげられる。
【0018】
防水シート12は、永久磁石11の両面に配置されて、永久磁石11が水に触れることを抑制する。これにより、永久磁石11の性能劣化や錆の発生を抑制する。防水シート12は、接着剤等により本体部10の表面に固定される。接着剤を用いる場合は、エポキシ樹脂系接着剤もしくはアクリル系接着剤を使用することができる。防水シート12は、厚みの薄いものが使用され、柔軟性を有する。
【0019】
カバー部材13は、柔軟性を有し、本体部10の表裏両面に貼り付けされる。カバー部材13は、ナイロンやポリエステル等の素材が使用され、水槽の内壁に付着したコケ等の付着物をそぎ落とす機能を有する。カバー部材13は、両面テープ等を用いて、本体部10に貼り付けられる。
【0020】
図4に示すように、外側ユニット2は、本体ケース20、永久磁石21、カバー部材22を備えている。本体ケース20は、操作部20a、本体部20b、凹部20cを備えている。本体ケース20は、樹脂により形成され硬質素材で形成される。操作部20aは平面視で正方形である。本体部20bも平面視で正方形であり、その大きさは、本体部10と同じである。操作部20aは、本体部20よりも少し大きめの正方形であり、操作性を考慮している。
【0021】
凹部20cは、永久磁石21が収容される収容部として機能する。カバー部材22は、両面テープ等により本体部20bに貼り付けられる。カバー部材22の素材は、内側ユニット1のカバー部材13と同じ素材とすることができる。
【0022】
図5に示す断面図からも分かるように、防水シート12により収容部10aが閉鎖されており、収容部10aへの水の侵入を抑制することができる。これにより、永久磁石11が水に触れることを抑制し、永久磁石11の性能劣化等の問題をなくすことができる。
【0023】
図6は、第2実施形態に係る水槽清掃具を示す内側ユニット1の分解斜視図である。
図7は、同じく内側ユニット1の断面図である。
図2、
図3に示す実施形態と異なる点は、永久磁石11の表面に防水コーティング11a(防水手段に相当)が施されている点である。コーティング11aの厚みとしては、0.1mm以上有することが好ましい。コーティング樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。あるいは、永久磁石11との一体成型によりPP、ABS、PS等の樹脂をコーティングしてもよい。
【0024】
<別実施形態>
本実施形態では、外側ユニット2に永久磁石を使用しているが、永久磁石ではなく磁性体を用いてもよい。
【0025】
水槽として金魚鉢を例に挙げているが、これに限定されるものではなく、その他の曲面形状を有する水槽であってもよい。また、曲面を有しない直方体の水槽に本発明に係る水槽清掃具を用いてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 内側ユニット
10 本体部
10a 穴
11 永久磁石
11a 防水コーティング
12 防水シート
13 カバー部材
2 外側ユニット
20 本体ケース