(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】シート回転により操作されるモーター駆動式の椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/04 20130101AFI20230301BHJP
A61G 5/10 20060101ALI20230301BHJP
A61G 5/12 20060101ALI20230301BHJP
A61G 5/08 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61G5/04 701
A61G5/10 712
A61G5/12 705
A61G5/08 703
(21)【出願番号】P 2019544038
(86)(22)【出願日】2018-03-01
(86)【国際出願番号】 IL2018050232
(87)【国際公開番号】W WO2018158772
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-25
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519294125
【氏名又は名称】トラベルシス4ユー エルティーディー.
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】オマー,ガーリン
(72)【発明者】
【氏名】ドレブ,エイアル
(72)【発明者】
【氏名】ナグラー,エフド
(72)【発明者】
【氏名】シュルシュテイン,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ニア,アミット
(72)【発明者】
【氏名】アヴィタル,シュロミ
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,シェイ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-103328(JP,A)
【文献】特開平05-170102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162905(US,A1)
【文献】特開平10-014981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/04
A61G 5/10
A61G 5/12
A61G 5/08
B62D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子であって、
(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素
、
(b)前記シート要素を支持するために前記シート要素から下方へ伸長するシートポー
ルであって、垂直軸を画定する、シートポール、
(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで
回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上の前記シート要素の真下に位置し、
前記シートに面する方向と位置合わせされる前記前進運動の方向を維持するように前記シ
ートポールに機械連結され、それにより、前記垂直軸のまわりでの前記シート要素の回転
は、前記前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪、
(d)回転の前記水平軸のまわりで回転するように前記駆動輪を駆動させ、それにより
シートに面する方向に椅子を推進させるよう、前記駆動輪と駆動連結しているモーター、
(e)前記シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向
で前記シートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライ
ザ車輪を含み、前記支持構造物に対して前記垂直軸のまわりでの前記シートポールの回転
を可能にする、スタビライザアセンブリ、及び
(f)前記シートポール、前記駆動輪、及び前記スタビライザアセンブリに関連付けら
れるサスペンション配設部であって、
前記サスペンション配設部は、前記シートポールと前記駆動輪との間で負荷を伝えるように配置された第1のサスペンションばね、及び、前記シートポールと前記支持構造物との間で負荷を伝えるように配置された第2のサスペンションばねを含み、
前記駆動輪により支持される負荷と前記スタビライザ車輪により支持される負荷との間の比率の予め定めた範囲を維持するように前記シート要素上に安定して座るユーザーの負荷を分配するように構成される、サスペンション配設部を含む、
モーター駆動式の椅子。
【請求項2】
前記サスペンション配設部は、実質的に一定の比率のユーザーの体重が前記駆動輪によ
って支持され、且つ残りのユーザーの体重が50kg~100kgの体重のユーザーに対
して前記スタビライザ車輪によって支持されるように、前記シート要素上に安定して座る
ユーザーの負荷を分配するように構成され、前記実質的に一定の比率はユーザーの体重の
30%~90%である、請求項1に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項3】
前記サスペンション配設部は、前記シートポールと前記駆動輪との間で負荷を伝えるよ
うに配置された、少なくとも1つのピストンを含む第1の油圧配設部、及び、前記シート
ポールと前記支持構造物との間で負荷を伝えるように配置された、少なくとも1つのピス
トンを含む第2の油圧配設部を含み、前記第1及び第2の油圧配設部は、圧力均等化ライ
ンによって相互に接続する、請求項1に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項4】
前記1セットのスタビライザ車輪は、椅子の回転を収容するために旋回するように取り
付けられた少なくとも1つの固定軸従動輪及び少なくとも1つのキャスター車輪を含む、
請求項1に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項5】
前記1セットのスタビライザ車輪は、椅子の回転を収容するために旋回するように取り
付けられた少なくとも2つの固定軸従動輪及び少なくとも2つのキャスター車輪を含む、
請求項4に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項6】
前記支持構造物は、前記シートポールに機械連結された中心部分、第1のヒンジ軸にて
前記中心部分にヒンジ接続され且つ前記1セットのスタビライザ車輪の2つの前輪を支持
する前部分、及び、第2のヒンジ軸にて前記中心部分にヒンジ接続され且つ前記1セット
のスタビライザ車輪の2つの後輪を支持する後部分を含み、ここで、前記第1及び第2の
ヒンジ軸は平行軸である、請求項1に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項7】
前記前輪は、前記第1のヒンジ軸に平行でない第2のヒンジ軸に沿って折り畳み可能な
折畳翼を介して前記前部分に取り付けられたキャスター車輪であり、前記支持構造物は、
前記前部分が前記第1のヒンジ
軸のまわりで回転すると、展開位置から折り畳み位置へと前記折畳翼を折り畳むように配置される連結部を更に含む、請求項6に記載のモーター駆動式の椅子。
【請求項8】
下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子であって、
(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素
、
(b)前記シート要素を支持するために前記シート要素から下方へ伸長するシートポー
ルであって、垂直軸を画定する、シートポール、
(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで
回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上の前記シート要素の真下に位置し、
前記シートに面する方向と位置合わせされる前記前進運動の方向を維持するように前記シ
ートポールに機械連結され、それにより、前記垂直軸のまわりでの前記シート要素の回転
は、前記前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪、
(d)回転の前記水平軸のまわりで回転するように前記駆動輪を駆動させ、それにより
シートに面する方向に椅子を推進させるよう、前記駆動輪と駆動連結しているモーター、
(e)前記シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向
で前記シートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライ
ザ車輪を含み、前記支持構造物に対して前記垂直軸のまわりでの前記シートポールの回転
を可能にする、スタビライザアセンブリを含み、
ここで、前記1セットのスタビライザ車輪は、椅子の回転を収容するために旋回するよ
うに取り付けられた少なくとも2つの固定軸従動輪及び少なくとも2つのキャスター車輪
を含む、モーター駆動式の椅子。
【請求項9】
下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子であって、
(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素
、
(b)前記シート要素を支持するために前記シート要素から下方へ伸長するシートポー
ルであって、垂直軸を画定する、シートポール、
(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで
回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上の前記シート要素の真下に位置し、
前記シートに面する方向と位置合わせされる前記前進運動の方向を維持するように前記シ
ートポールに機械連結され、それにより、前記垂直軸のまわりでの前記シート要素の回転
は、前記前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪、
(d)回転の前記水平軸のまわりで回転するように前記駆動輪を駆動させ、それにより
シートに面する方向に椅子を推進させるよう、前記駆動輪と駆動連結しているモーター、
(e)前記シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向
で前記シートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライ
ザ車輪を含み、前記支持構造物に対して前記垂直軸のまわりでの前記シートポールの回転
を可能にする、スタビライザアセンブリを含み、
ここで、前記支持構造物は、前記シートポールに機械連結された中心部分、第1のヒン
ジ軸にて前記中心部分にヒンジ接続され且つ前記1セットのスタビライザ車輪の2つの前
輪を支持する前部分、及び、第2のヒンジ軸にて前記中心部分にヒンジ接続され且つ前記
1セットのスタビライザ車輪の2つの後輪を支持する後部分を含み、ここで、前記第1及
び第2のヒンジ軸は平行軸であり、
前記支持構造物は、下地表面の上でユーザーを推進させるために前記モーター駆動式の
椅子が前記駆動輪および前記スタビライザアセンブリにより支持される展開構成を呈し、
前記支持構造物は、コンパクトな折り畳み保管状態を呈するように前記第1及び第2のヒ
ンジ軸のまわりで折り畳み可能であり、
前記前輪は、前記第1のヒンジ軸に平行でない第2のヒンジ軸に沿って折り畳み可能な折畳翼を介し、前記前部分に取り付けられたキャスター車輪であり、前記支持構造物は、前記前部分が前記第1のヒンジ
軸のまわりで回転すると、展開位置から折り畳み位置へと前記折畳翼を折り畳むように配置される連結部を更に含む、
モーター駆動式の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動性の補助、具体的には、シートの回転によって操作されるモーター駆動式の椅子に関連する。
【0002】
様々な水準の制限がある人々のために広範囲の可動性の補助を提供することが知られている。特に、本発明は、米国特許第5,183,133号により例証されるように、本明細書ではシートにより操作される電動椅子と称される、可動性の補助のカテゴリーに関連する。そのような装置において、シートの真下に位置する中央駆動輪は、シートの対面方向と位置合わせするように連結される。ユーザーは、自身が移動したい方向に向くように、周囲の安定化シャーシに対して自身のシートを回転させることによって、動作の方向を回転させる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、シートの回転によって操作されるモーター駆動式の椅子である。本発明の実施形態の教示に従い、下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子が提供され、該モーター駆動式の椅子は、(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素;(b)シート要素を支持するためにシート要素から下方へ伸長するシートポールであって、垂直軸を画定する、シートポール;(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上のシート要素の真下に位置し、前記シートに面する方向と位置合わせされる前進運動の方向を維持するようにシートポールに機械連結され、それにより、垂直軸のまわりでのシート要素の回転は、前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪;(d)回転の水平軸のまわりで回転するように駆動輪を駆動させ、それによりシートに面する方向に椅子を推進させるよう、駆動輪と駆動連結しているモーター;(e)シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向でシートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライザ車輪を含み、前記支持構造物に対して垂直軸のまわりでのシートポールの回転を可能にする、スタビライザアセンブリ;及び(f)シートポール、駆動輪、及びスタビライザアセンブリに関連付けられるサスペンション配設部であって、駆動輪により支持される負荷とスタビライザ車輪により支持される負荷との間の比率の予め定めた範囲を維持するようにシート要素上に安定して座るユーザーの負荷を分配するように構成される、サスペンション配設部を含む。
【0004】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、サスペンション配設部は、実質的に一定の比率のユーザーの体重が駆動輪によって支持され、且つ残りのユーザーの体重が50kg~100kgの体重のユーザーに対してスタビライザ車輪によって支持されるように、シート要素上に安定して座るユーザーの負荷を分配するように構成され、前記実質的に一定の比率はユーザーの体重の30%~90%である。
【0005】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、サスペンション配設部は、シートポールと駆動輪との間で負荷を伝えるように配置された第1のサスペンションばね、及び、シートポールと支持構造物との間で負荷を伝えるように配置された第2のサスペンションばねを含む。
【0006】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、サスペンション配設部は、シートポールと駆動輪との間で負荷を伝えるように配置された、少なくとも1つのピストンを含む第1の油圧配設部、及び、シートポールと支持構造物との間で負荷を伝えるように配置された、少なくとも1つのピストンを含む第2の油圧配設部を含み、第1及び第2の油圧配設部は、圧力均等化ラインによって相互に接続する。
【0007】
また、本発明の実施形態の教示に従い、下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子が提供され、該モーター駆動式の椅子は、(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素;(b)シート要素を支持するためにシート要素から下方へ伸長するシートポールであって、垂直軸を画定する、シートポール;(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上のシート要素の真下に位置し、前記シートに面する方向と位置合わせされる前進運動の方向を維持するようにシートポールに機械連結され、それにより、垂直軸のまわりでのシート要素の回転は、前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪;(d)回転の水平軸のまわりで回転するように駆動輪を駆動させ、それによりシートに面する方向に椅子を推進させるよう、駆動輪と駆動連結しているモーター;(e)シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向でシートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライザ車輪を含み、前記支持構造物に対して垂直軸のまわりでのシートポールの回転を可能にする、スタビライザアセンブリを含み、ここで、1セットのスタビライザ車輪は、椅子の回転を収容するために旋回するように取り付けられた少なくとも1つの固定軸従動輪及び少なくとも1つのキャスター車輪を含む。
【0008】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、1セットのスタビライザ車輪は、椅子の回転を収容するために旋回するように取り付けた少なくとも2つの固定軸従動輪及び少なくとも2つのキャスター車輪を含む。
【0009】
また、本発明の実施形態の教示に従い、下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子が提供され、該モーター駆動式の椅子は、(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素;(b)シート要素を支持するためにシート要素から下方へ伸長するシートポールであって、垂直軸を画定する、シートポール;(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上のシート要素の真下に位置し、前記シートに面する方向と位置合わせされる前進運動の方向を維持するようにシートポールに機械連結され、それにより、垂直軸のまわりでのシート要素の回転は、前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪;(d)回転の水平軸のまわりで回転するように駆動輪を駆動させ、それによりシートに面する方向に椅子を推進させるよう、駆動輪と駆動連結しているモーター;(e)シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向でシートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライザ車輪を含み、前記支持構造物に対して垂直軸のまわりでのシートポールの回転を可能にする、スタビライザアセンブリを含み、ここで、支持構造物は、シートポールに機械連結された中心部分、第1のヒンジ軸にて中心部分にヒンジ接続され且つ1セットのスタビライザ車輪の2つの前輪を支持する前部分、及び、第2のヒンジ軸にて中心部分にヒンジ接続され且つ1セットのスタビライザ車輪の2つの後輪を支持する後部分を含み、ここで、第1及び第2のヒンジ軸は平行軸である。
【0010】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、前輪は、第1のヒンジ軸に平行でない第2のヒンジ軸に沿って折り畳み可能な折畳翼を介して前部分に取り付けられたキャスター車輪であり、支持構造物は、前部分が第1のヒンジのまわりで回転すると、展開位置から折り畳み位置へと折畳翼を折り畳むように配置される連結部を更に含む。
【0011】
また、本発明の実施形態の教示に従い、下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子が提供され、該モーター駆動式の椅子は、(a)シートに面する方向に座るユーザーを支持するための支持面を有するシート要素;(b)シート要素を支持するためにシート要素から下方へ伸長するシートポールであって、垂直軸を画定する、シートポール;(c)回転の水平軸に垂直な前進運動の方向を画定するように回転の水平軸のまわりで回転可能な駆動輪であって、該駆動輪はほぼ垂直軸上のシート要素の真下に位置し、前記シートに面する方向と位置合わせされる前進運動の方向を維持するようにシートポールに機械連結され、それにより、垂直軸のまわりでのシート要素の回転は、前進運動の方向の対応する回転を引き起こす、駆動輪;(d)回転の水平軸のまわりで回転するように駆動輪を駆動させ、それによりシートに面する方向に椅子を推進させるよう、駆動輪と駆動連結しているモーター;(e)シートポールに機械連結されるスタビライザアセンブリであって、垂直配向でシートポールを支持するための支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライザ車輪を含み、前記支持構造物に対して垂直軸のまわりでのシートポールの回転を可能に組み立てする、スタビライザアセンブリ;及び(f)シートポールに統合され、且つ、乗るための下降位置と駆動のための上昇位置との間で下地表面より高くシート要素の高さを調整するために配置される、高さ調節機構を含む。
【0012】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、シート要素の下降位置において下地表面と接触させられ、且つシート要素の上昇位置において下地表面から離れて持ち上げられるように、シート要素により垂直に移動するよう高さ調節機構に機械連結されたフットレストも設けられ、シート要素はフットレストから独立して垂直軸のまわりで回転可能である。
【0013】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、スタビライザアセンブリは、椅子を支持するための展開状態から、コンパクトな保管及び輸送のための折り畳み状態へと折り畳み可能なスタビライザアセンブリであり、フットレストは、フットレストが上昇位置にあるときに、展開状態から折り畳み状態へのスタビライザアセンブリの折り畳みを妨げるように、スタビライザアセンブリに機械連結される。
【0014】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、フットレストは、前記シート要素に近接する後部分、及びシート要素から離れて突出する前部分を含む、足支持面を有しており、前部分と後部分は、前記足支持面の前部分の内側への折り畳みを可能にように、ヒンジ接続部にて接続される。
【0015】
本発明の実施形態の更なる特徴に従い、スタビライザアセンブリは、椅子を支持するための展開状態から、コンパクトな保管及び輸送のための折り畳み状態へと折り畳み可能なスタビライザアセンブリであり、モーター駆動式の椅子はスタビライザアセンブリの折り畳みを補助するための折り畳み補助機構を更に含み、折り畳み補助機構は、ばねで負荷されたアクチュエータを含み、該アクチュエータは、高さ調節機構に関連付けられ、且つ、上昇位置から下降位置へのシート要素の下降がアクチュエータをスタビライザアセンブリの一部と係合させ、及びアクチュエータの内部ばねに負荷を加えるように配置され、負荷はスタビライザアセンブリの折り畳み動作の少なくとも一部の間に放たれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明は、ほんの一例ではあるが添付図面の参照と共に記載される。
【
図1A】本発明の一実施形態に従い構築され且つ動作可能な、モーター駆動式の椅子の等角図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に従い構築され且つ動作可能な、モーター駆動式の椅子の等角図である。
【
図2A】
図1Aのモーター駆動式の椅子の中央平面に沿って得られる垂直断面図である。
【
図3A】
図1Aのモーター駆動式の椅子を折り畳むための一連の動作を示す、一連の等角図である。
【
図3B】
図1Aのモーター駆動式の椅子を折り畳むための一連の動作を示す、一連の等角図である。
【
図3C】
図1Aのモーター駆動式の椅子を折り畳むための一連の動作を示す、一連の等角図である。
【
図3D】
図1Aのモーター駆動式の椅子を折り畳むための一連の動作を示す、一連の等角図である。
【
図4A】円によってマークされた
図3Cの領域の拡大図である。
【
図4B】円によってマークされた
図3Dの領域の拡大図である。
【
図5】回転中の
図1Aのモーター駆動式の椅子の一連の位置を示す、概略的な平面図である。
【
図6】本発明の異なる実施形態に係るモーター駆動式の椅子のサスペンション配設部の切断等角図である。
【
図7A】
図2Bに示されたモーター駆動式の椅子の図面からのサスペンション配設部の図面である。
【
図7B】楕円によってマークされた
図7Aの領域の拡大図である。
【
図8A】連動構成を持つスタビライザアセンブリの異なる実装を示す
図2Bと同様の図面であり、スタビライザアセンブリは展開状態で示されている。
【
図8B】破線の楕円によって指定された
図8Aの領域の拡大図である。
【
図9A】折り畳み状態のスタビライザアセンブリを示す、
図8Aと同様の図面である。
【
図9B】折り畳み状態のスタビライザアセンブリを示す、
図8Bと同様の図面である。
【
図10】油圧サスペンション配設部を利用する、本発明の更なる実施形態のモーター駆動式の椅子の概略的な等角図である。
【
図11A】垂直の中央平面に沿って切断される、
図10のモーター駆動式の椅子の切断等角図である。
【
図12】サスペンション配設部の代替的な実装を示す、本発明のモーター駆動式の椅子の異なる実装の部分的等角切断図である。
【
図13】サスペンション配設部の付加的な実装を示す、本発明のモーター駆動式の椅子の更に異なる実装の概略的等角図である。
【
図14A】開放状態で示される、本発明の実施形態に従い構築され且つ動作可能な、モーター駆動式の椅子の更なる実施形態の背面等角図である。
【
図14B】折り畳み状態で示される、本発明の実施形態に従い構築され且つ動作可能な、モーター駆動式の椅子の更なる実施形態の背面等角図である。
【
図17A】中央の対称面に沿って切り取られた、シート上昇状態で示される
図14Aの椅子の等角図である。
【
図17B】シート上昇状態で示される、
図14Aの椅子の中央の対称面に沿って得られた断面図である。
【
図17C】シート下降状態で示される、
図14Aの椅子の中央の対称面に沿って得られた断面図である。
【
図18B】シートの下降及びスタビライザアセンブリの折り畳みの後に示される、破線Bで指定された
図18Aの領域の図面である。
【
図19A】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【
図19B】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【
図19C】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【
図19D】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【
図19E】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【
図19F】完全に開いたシート下降状態から完全な折り畳み状態への椅子の一連の折り畳みを示す、
図14Aの椅子の一連の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、シートの回転によって操作されるモーター駆動式の椅子である。本発明に係るモーター駆動式の椅子の原理及び動作は、図面及び付随の記載を参照することでより良く理解され得る。
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1A-13は、下地表面の上でユーザーを推進させるためのモーター駆動式の椅子の様々な態様及び変形を例示し、椅子は通常(10)として指定される。一般条項において、椅子(10)には、「シートに面する方向」に座るユーザーを支持するための支持面(14)(16)を有するシート要素(12)がある。シートポール(18)は、シート要素を支持するためにシート要素(12)から下方へ伸長する。シートポール(18)は垂直軸(20)を画定される場合がある。駆動輪(22)は、回転軸線に垂直な前進運動Fの方向を画定するように回転の水平軸のまわりで回転可能であり、ほぼ垂直軸(20)上のシート要素(12)の真下に位置する。駆動輪(22)は、シート要素(12)のシートに面する方向と位置合わせされる前進運動Fの方向を維持するためにシートポール(18)に機械連結され、これにより垂直軸(20)のまわりのシート要素の回転が前進運動Fの方向の対応する回転を引き起こす。
【0019】
モーターは、駆動輪(22)内にハブモーターとして典型的に実装され、本明細書では詳しく示されないが、その回転の水平軸のまわりで回転するように駆動輪を駆動させ、それによりシートに面する方向に椅子を推進させるように、駆動輪(22)と駆動連結状態にある。椅子(10)の安定性を維持するために、スタビライザアセンブリ(24)は、シートポール(18)に機械連結される。スタビライザアセンブリ(24)は、垂直配向でシートポール(18)を支持するように、前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)と関連付けられる中間部分(30)から形成される、支持構造物に取り付けられた1セットのスタビライザ車輪(26)(28)を含む。スタビライザアセンブリ(24)は支持構造物に対して垂直軸(20)のまわりのシートポール(18)の回転を可能にするように構成される。
【0020】
この文脈において、本発明の様々な態様は、椅子(10)の実装に関連する多数の特定の都合の良い特徴を提供する。具体的に、本発明の特に好ましい実施形態の第1の非限定的なセットに従って、椅子(10)には、シートポール(18)、駆動輪(20)、及びスタビライザアセンブリ(24)に関連付けられるサスペンション配設部が設けられ、これは、望ましい比率に従い駆動輪(20)及びスタビライザアセンブリ(24)によって支持された負荷を分配するように、シート要素(12)に安定して座るユーザーの負荷を分配するように構成される。具体的には、サスペンション配設部の実装は好ましくは、スタビライザアセンブリ及び駆動輪両方に対する負荷がシート要素(12)によって支持された重量に相関して変動するようなものである。
【0021】
この特徴の重要性は、US5183133などの、中央駆動輪、シート操作型の特定の先行技術の装置に比べると最もよく理解することができ、そこでは、ばねが固定力でアウトリガーフレームを下方へと付勢する一方で、残りの全ての負荷が駆動輪に堅く加えられる。そのような構造は、駆動輪に加えられた負荷に対する極度の変形をもたらし、その結果、小さな負荷に対する牽引力の損失、及び高負荷での装置の不安定がもたらされ得る。
【0022】
これに対して、本発明の特定の特に好ましい実装の第1の態様に従い、関連付けられたサスペンション配設部は、シート要素(12)の上に安定して座るユーザーの負荷を分配し、且つシートポール(18)を通って下方へ負荷を伝え、それにより望ましい比率に従い駆動輪(20)とスタビライザアセンブリ(24)との間で負荷を分配されるように構成される。具体的に、固定されたスタビライザアセンブリ(24)(又は代替的に、駆動輪(20))に対する負荷の代わりに、各々に対する負荷は好ましくは、負荷の増大に応じて、好ましくはデバイスが応じるよう意図される標準体重の範囲全体、例えば少なくとも50kg~100kg、場合によっては少なくとも30kg~150kgの範囲にわたり、単調に増大する。
【0023】
実施形態の第1の特に好ましいセットに従い、前記サスペンション配設部は、シートポール(18)から駆動輪(20)に負荷を伝えるための第1のばね配設部、及び、シートポール(18)からスタビライザアセンブリ(24)に負荷を伝えるための第2のばね配設部を使用して実装される。
図2Bに最もよく見られる第1の実施例において、第1のばね配設部は第1の圧縮コイルばね(36)として実装され、第2のばね配設部は第2の圧縮コイルばね(38)として実装される。本明細書に例示される場合において、圧縮ばね(36)は内部チャネルに配置され、一方で圧縮ばね(38)は内部チャネルを取り囲む環状チャネルに配置される。同様に標識される、他の機能的に同等なサスペンション配設部が
図6に例示され、そこではコンポーネントが視覚的により鮮明となる。(この配設部は、スタビライザアセンブリ(24)が異なる様式で実装されるという点を除いて
図2Bのものと同等であり、中央部分(42)のまわりの放射状に突出する折り畳みアーム(40)はシリンダとして実装され、各折り畳みアーム(40)はキャスター車輪(26)を支持する)
【0024】
上述の実施例において、駆動輪とスタビライザアセンブリとの間のシートに対する負荷の細別が、2つのばね配設部の相対的なばね定数に基づいて生じ、それらの開始位置での負荷(即ち、不均等な事前負荷)のそれぞれの状態間での最初のオフセットに従い調整される。オフセットがない場合、駆動輪及びスタビライザアセンブリに伝えられる負荷の比率は、負荷が変動したときにほぼ一定のままである。オフセットが設けられる場合、比率は変動するが、各々の場合に、駆動輪及びスタビライザアセンブリ両方に対する負荷は、負荷の増大に応じて単調に増大し、これにより、広範囲のユーザー体重での使用中に、床との確実な駆動係合及び構造の安定性を確保する、予め定めた限界内で重量配分を維持する。最も特に好ましい実装において、シートに対する負荷の分配は、駆動輪上でユーザーの体重の30%~90%の範囲内で維持され、残りの重量はスタビライザアセンブリを介して伝えられる。
【0025】
ここで
図10-11Bを参照すると、これらは本発明の態様に係る代替的な実施形態を例示し、そこでは、サスペンション配設部は、シートポール(18)と駆動輪(22)との間で負荷を伝えるように配置された、少なくとも1つのピストン(44)を含む第1の油圧配設部、及び、シートポール(18)とスタビライザアセンブリ(24)との間で負荷を伝えるように配置された、少なくとも1つのピストン(46)を含む第2の油圧配設部を含む。第1及び第2の油圧配設部は、圧力均等化ライン(48)によって相互に接続する。2つのピストンに加えられる圧力がライン(48)を介して均等化されたため、駆動輪(22)及びスタビライザアセンブリ(24)に伝えられる力(負荷)は、ピストンの表面積に比例し、それにより、上述のものなどの予め定めた望ましい比率で負荷を細分する。
【0026】
本明細書に例示される特にコンパクトな実装において、ピストン(46)は、シートポール(18)の中央シャフトのまわりに摺動自在に係合された環状ピストンとして実装され、一方で圧力均等化ライン(48)は中央シャフトを貫通する。明確に、代替的な実装は、全てが油圧システムの当業者に明白であるように、水平(side-by-side)シリンダ/ピストンなどの、より多くの従来の油圧アクチュエータ構造を利用して構築されてもよく、随意に、多数の小さなシリンダが中央のより大きなシリンダのまわりに配置される。
【0027】
更に、本明細書で概略的に例示される、別個の構造的な実施形態の文脈において例示されるが、油圧サスペンション配設部のオプションは、
図1-5の実施形態と他の全ての点で構造的に同様の装置にも容易に実装可能であり、故に、この特徴を、その実施形態に関して本明細書に記載されるような本発明の広範な他の特徴と組み合わせることに、留意されたい。
【0028】
用語「油圧」は、液体又は気体の何れかにかかわらず、液圧により作動するシステム又はコンポーネントを指すように、本明細書と請求項において使用される(後者は「空気圧」と称される)。故に、本明細書に記載される油圧の実装オプションは、水又は油などの圧縮不可能な作動液、或いは空気又は他の気体又は混合気体などの圧縮性流体の何れかを用いて実装され得る。気体充填システムの場合、油圧システム内に予め加圧された起動圧力を提供することが、都合がよい場合もある。
【0029】
ここで
図12及び13を参照すると、記載されたサスペンション配設部の実装はこれまでに、スタビライザアセンブリ(24)へと中心的に負荷を分配している一方、特定の場合に、各スタビライザ車輪、又は安定化車輪のサブセットに対し個々に重要な(responsible)サスペンションユニットを提供することが好ましい場合がある。そのようなオプションは、
図12及び13において概略的に例示される。
【0030】
具体的に、
図12は、スタビライザアセンブリ(24)の要素が、スタビライザアセンブリ(24)の要素に垂直負荷を厳密に伝える間にシートポール(18)に対して回転可能となるように相互接続される、
図6とほぼ同様の実装を例示する。各スタビライザ車輪(26)に統合された個々のばね懸架要素(50)は、駆動輪(22)とスタビライザ車輪(26)との間に加えられた負荷を分配するためにばね(36)と平行に作動する。
【0031】
図13は、駆動輪(22)に負荷を伝える中央油圧シリンダ/ピストン配設部(44)と並行して、別個の油圧シリンダ(52)が、スタビライザアセンブリ(24)の要素からスタビライザ車輪(26)へと負荷を伝えるように配置される、概念的に同様の油圧実装を例示する。配管(54)として本明細書で概略的に示される1セットの圧力均等化コネクタは、油圧シリンダ(52)と中央油圧シリンダ(44)との間の圧力の均等化を確保する。これまで通り、ホイール間の負荷の分配は、様々なピストンの表面積に比例し、これにより、予め定めた比率で様々なホイール間の負荷を細分する。
【0032】
サスペンション配設部の実装に関する上記議論の全てにおいて、記載された負荷の細別は、シート要素(12)に対して垂直に下方へ加えられ且つシートポール(18)に沿って軸方向に下方へ流れる負荷の分配に関連する。これは典型的に、シート要素(12)に安定して座るユーザーの場合であり、ここでユーザーの重心は典型的に、シートの領域内、典型的には垂直軸(20)から約30cm以内にあり、故に主として下方へ作用する。明確に、椅子(10)に乗る及びそこから降りる間に、或いは、外部からの作用力の条件下で、負荷の正常な分配は瞬間的に乱れる場合がある。乗り降り中の装置の安定性に関連する追加の好ましい特徴は、
図14A-19Fの実施形態を参照しつつ後述される。
【0033】
ここで本発明の特定の特に好ましい実装の更なる態様を参照すると、本発明は、シートの回転によって操作されるモーター駆動式の椅子を提供し、それにより、駆動輪(22)の前進方向Fは常に、シート要素(12)の全身方向と位置合わせされ、及び、ユーザーは自身が移動したい方向に向くようにシートを回転させることにより方向を変える。この種のデバイスは従来、全方向性の「アウトリガー」又はスタビライザ構造により設計されており、このことは、ユーザーが任意方向に向かって回転して、その方向で真っ直ぐに移動し始めることができ、スタビライザ構造のまわりの1セットのキャスター車輪が直ちに新しい方向と位置合わせすることを意味する。
【0034】
非常に高い可動性を提供するが、全方向性のスタビライザ構造の使用は特定の問題を提示することがわかっている。具体的に、シート、及び従って駆動輪(22)の方向を変えるために、ユーザーは、駆動輪(22)と下地表面との間の摩擦を克服するために垂直軸(20)のまわりに相当な回転モーメントを適用しなければならない。この回転モーメントは好ましくは、ユーザーがスタビライザ構造に対して自身の足で横力を加えることによって達成される。しかし、そのような横力は時折、駆動輪を回転させるのではなく駆動輪のまわりの安定化構造を回転させる、望ましくない作用を備え得ることがわかっている。
【0035】
この問題に取り組むために、
図1A-5に例証されるものなど、本発明の特定の特に好ましい実装は、椅子の回転を収容するために回転するように取り付けられる、少なくとも1つの固定軸従動輪(28)及び少なくとも1つのキャスター車輪(26)の組み合わせを利用する。本明細書に示された特に好ましい実装において、椅子(10)は、後部フレーム(34)により支えられる少なくとも2つの固定軸従動輪(28)、及び前部フレーム(32)により支えられる少なくとも2つのキャスター車輪(26)を有する。固定軸従動輪(24)は本質的にシートポール(18)に対して接線方向に位置合わせすることができず、故に、駆動輪のまわりの安定化構造の回転を妨げることに大いに有効である。その結果、安定化構造に対してユーザーの足によって適用された回しモーメントは、シート及び駆動輪を回転させる望ましい結果を確実に達成する。
【0036】
この構成から結果として生じる動きは
図5で概略的に例示され、ここで実線Pは回転中の重心軸(20)の経路を示す。位置Aでは、電動椅子は、示されるように左から右へと直線移動を行うために位置合わせされたシートを有する。位置Bでは、ユーザーは、シートを回転させるように前部フレーム(32)へと自身の足で左方力を加えること、及びそれ故、駆動輪の前方方向を右に回転させることによって、自身を右側へと回転させることを選択する。ここで固定軸輪(28)はシートと同じ方向に面しておらず、駆動輪の新たな前方方向に前進することができないため、固定軸輪(28)は、横方向に進む駆動輪を追跡するように環状経路を追跡する。その結果、動きが継続するにつれ、後部フレーム(34)上の固定軸従動輪(28)は、駆動輪及び固定軸輪の回転軸方向の交差を画定した回転Oの中心のまわりの環状経路を辿る。キャスター車輪(26)はまた、それ自体を対応する環状経路と位置合わせし、環状経路の各々は中心Oからの距離に従う。ユーザーがシートの側方回転状態を維持する限り、この円運動は継続する(例えば位置Cを介する)。ユーザーが前部フレーム及び後部フレームに対して対称的な位置にシートを戻すことを選択するどの時点でも、固定軸輪はシートの後ろに一列に並び、且つ示されるような位置Dから直線の経路を再開する。位置B及びDに現われるシート方向の急な変化として本明細書で概略的に示されるが、操作の調節は、大抵の場合は滑らかに実装され、結果としてより滑らかな方向変化をもたらす。しかし、動作の原理は同じままである。
【0037】
ここで、本発明の更なる態様に移ると、電動椅子(10)が都合のよい輸送及び保管のために折り畳み可能となるように実装されることが、本発明の特定の実施形態の好ましい特徴である。具体的に、本発明のシート回転操作構造は、本質的に単一カラム構造であるものに通じ、そこでは、シートに対する負荷が単一のシートポール(18)を介して伝えられ、支持構造物のコアを比較的コンパクトにする。しかし、使用の標準条件下で椅子(10)を安定させるために、様々なスタビライザ車輪(24)(26)間に相当な広がりをもたらす必要がある。本発明の特定の好ましい実施形態は、装置の折り畳み及び開放を容易にする単純で有効な折り畳み機構を提供し、且つ容易な輸送及び保管のためにコンパクトな形態を提供する。
【0038】
本発明の1つの好ましい実装に従う折り畳み機構の様々な態様は、
図3A-3Dの折り畳み順序及び
図4A-4Bの拡大図に例示される。第1に、シート要素(12)は先ず好ましくは、支持面(14)に対して後部支持面(16)、及び存在する場合にアームレスト(56)を折り曲げ(
図3A)、次いで好ましくは、シートポール(18)に密接して侵入するようにシート要素(12)全体を枢動させること(
図3B)などによって、折り畳み可能である。
【0039】
支持構造物(スタビライザアセンブリ(24))の折り畳みはここで、シートポール(18)に機械連結された中心部分(30)、第1のヒンジ軸(58)にて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ2つの前部スタビライザ車輪(26)を支持する前部分(フレーム(32))、及び第2のヒンジ軸(60)にて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ2つの後部スタビライザ車輪(28)を支持する後部分(フレーム(34))を設けることによって達成される。第1のヒンジ軸(58)及び第2のヒンジ軸(60)は好ましくは平行軸であり、これにより、前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の密接した折り畳みを容易にする。
【0040】
本明細書に例示される更に好ましい特徴に従い、キャスター車輪(26)は、最も好ましくはヒンジ軸(58)に対して非平行であり、且つこの場合にはヒンジ軸(58)にほぼ垂直である第2のヒンジ軸(64)に沿って折り畳み可能な折畳翼(62)を介して前部フレーム(32)に取り付けられる。翼(62)の展開及び折り畳みを単純化するために、スタビライザアセンブリ(24)は好ましくは、前部フレーム(32)がヒンジ(58)のまわりで回転すると展開位置から折り畳み位置へと翼(62)を折り畳むように配置されたリンク機構を含む。本明細書に例示される非限定的な例において、各翼(62)のリンク機構は、ヒンジ(58)からのオフセットにおいて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ前部フレーム(32)のサイドレールに沿って摺動するスライダ(68)に連結された、バー(66)を利用する。連結ロッド(70)はスライダ(68)及び翼(62)の枢動的な接続を介して連結される。この構造の結果、完全に上昇した操作位置から折り畳まれた位置への前部フレーム(32)の角度回転は、ヒンジ(58)の方向に前部フレーム(32)のサイドレールに沿ってスライダ(68)をバー(66)に引き寄せさせ、これにより、連結ロッド(70)を引っ張り、そうして
図4Bの折り畳み位置へと翼(62)を内側に折り畳む。反対に、展開状態への前部フレーム(32)の開口時に、動きは逆にされ、翼(62)は、使用の準備のために展開状態へと外側に押される。この機構は故に、スタビライザアセンブリ(24)のために強化された側方ホイールベースを設ける一方、非常にコンパクトな折り畳み状態を達成する。
【0041】
本明細書に例示される実施例において、折畳翼特徴は前部フレーム(32)においてのみ利用されるが、後部フレーム(34)は固定形状を有する。以下に例示される異なる実装(
図14A-19Fを参照)は、前部フレーム及び後部フレームの両方の上で折畳翼(62)を利用する。
【0042】
図8A-9Bは、機械的リンク機構が前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の折り畳みを調整することに係る更なるオプションを例示する。本明細書に例示される実施例において、各フレームは部分ギヤホイール構成(72)及び(74)と共に設けられ、これらは、それぞれの軸(58)及び(60)上で集中され、相互に係合することにより展開状態(
図8A及び8B)と完全な折り畳み状態(
図9A及び9B)との間の2つのフレームの等しい及び反対の回転を確実にする。示されるようなギヤホイール構成はまた、フレームの完全に上昇した展開位置の限界を定める当接面(76)を含む。係合の部分ギヤホイール形態は、前部フレーム及び後部フレームの折り畳みを調整するために使用され得る機械的リンク機構の多数の異なる形態の1つであり、追加のオプションの範囲は当業者の能力の範囲内にある。
【0043】
ここで電動椅子(10)の残りの特徴に移ると、装置は更に、典型的に1つ以上の再充電可能な電気バッテリーの形態である移動電源を含み、これは、シート支持面(14)の下の容積に、又は代替的にスタビライザアセンブリ(24)の中央部分(30)内に都合よく収容され得る。前進/逆進速度制御入力部(図示せず)がユーザーに提供され、典型的には、アームレスト(56)と共に又は別個の携帯型制御装置として統合され、ケーブルを介してシートの側面に接続され得る。バッテリーと制御装置と駆動モーターとの間の配線は典型的に、シートポール(18)を通るケーブルチャネルに沿って流れる。特定用途に対して、モーターへの電流の単純な電気制御が、実際的応用に十分である。随意に、様々な付加的な機能を有する電子制御装置が使用されてもよく、例えば、バッテリーチャージ状態及びバッテリー健康のモニタリング、動きの速度及び/又はモーターに対する負荷のモニタリング及び制限を提供する。全てのそのようなオプションの実装は、当業者にとって慣例的な作業であり、簡明のために、これらの詳細は本明細書で更に説明されない。
【0044】
最も好ましくは、ブレーキ構成が、装置が止められている間、及び具体的には乗り降り中に安定性及び安全性を提供するために装置のホイールの1つ以上に対して設けられる。
図2B及び7Aに最も良く見られるように、本明細書に例示された実装は、駆動輪(22)に作用する機械ブレーキ構成(78)、典型的に摩擦ブレーキを提供する。ブレーキは好ましくは、シートの側面にてハンドル(図示せず)へと上方に流れるアクチュエータケーブル(図示せず)を介して手動で作動される。代替的に、足で作動されたブレーキが、駆動輪又はスタビライザ車輪の1つ以上に設けられてもよい。
【0045】
本発明の特に好ましい実装(全ての実施形態)において、椅子は、持ち運び可能とするのに適切な折り畳みサイズ及び重量を有するように構成される。特定の特に好ましい実装において、椅子の全重量は約15kg以下であり、最も好ましくは約12kg以下であり、これにより椅子は容易に持ち運び可能とされる。折り畳み形態は好ましくは、1メートル以下、及び好ましくは約80cm以下の最大寸法を有しており、更に好ましくは約50cm未満の少なくとも1つの寸法を有している。
【0046】
ここで
図14A-19Fに移ると、本発明の教示に従い構築され且つ動作可能な、椅子(100)の更なる特に好ましい実装が示される。一般条項において、椅子(100)は、構造及び機能の両方において
図1A-5のものと同様であり、類似の特徴が同様に標識されている。故に、ここで同様に(here too)、椅子(100)は、「シートに面する方向」に座るユーザーを支持するための支持面(14)(16)を備えたシート要素(12)、及び、シート要素を支持し且つ垂直軸(20)を画定するためのシート要素(12)から下方に伸びるシートポール(18)を有している。回転軸に垂直な前進運動Fの方向を画定する駆動輪(22)は、ほぼ垂直軸(20)上のシート要素(12)の真下に位置する。駆動輪(22)はシートポール(18)に機械連結され、それにより垂直軸(20)のまわりのシート要素の回転は、前進運動Fの方向の対応する回転を引き起こす。
【0047】
「ほぼ軸の上(Substantially on the axis)」は、この文脈において、ユーザーがシートを回転させることを困難にしてしまうのに十分な摩擦抵抗なしに、軸のまわりの回転によるホイール方向の操作を容易にするよう十分に「軸の上」にあるホイールの位置を指す。これは、示されるような単一の中心ホイール又は軸付近の1対のホイールを用いて達成され得る。2つのホイール間のより大きな空間が調整されてもよく、そこでは、駆動輪が差動ギアを介して、又は、動力供給されない時に回転に対する耐性が比較的低い2つの独立して駆動された駆動輪を用いることによって、駆動される。しかし、これらの後者のオプションは、特に好ましい実装に対して不必要にかさばり且つ複雑であると考慮される。
【0048】
図14A-19Fの実装はまた、
図1A-5のものと同様のサスペンション配設部を含む。
図17A-17C及び18Aで最も良く見られるように、サスペンション配設部は、シートポール(18)から駆動輪(20)に負荷を伝えるための第1のばね配設部(例えば、第1の圧縮コイルばね(36))、及びシートポール(18)からスタビライザアセンブリ(24)に負荷を伝えるための第2のばね配設部(例えば、第2の圧縮コイルばね(38))を用いて実装される。サスペンション配設部は本明細書で詳しく例示されないが、上述の
図1A-5のサスペンション配設部を参照することで完全に理解され、上述の様々な他のばねベースの又は油圧のオプションを用いて実装することができる。
【0049】
本明細書中のスタビライザアセンブリ(24)は好ましくは、キャスター車輪(26)及び固定軸輪(28)の組み合わせを利用し、展開構成及び機能は上述のものに類似している。スタビライザアセンブリ(24)の折り畳みはここで、シートポール(18)に機械連結された中心部分(30)、第1のヒンジ軸(58)にて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ2つの前部スタビライザ車輪(26)を支持する前部分(フレーム(32))、及び第2のヒンジ軸(60)にて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ2つの後部スタビライザ車輪(28)を支持する後部分(フレーム(34))を設けることによっても達成される。第1のヒンジ軸(58)及び第2のヒンジ軸(60)は好ましくは平行軸であり、これにより、前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の密接した折り畳みを容易にする。
【0050】
キャスター車輪(26)は、最も好ましくはヒンジ軸(58)に対して非平行であり、且つこの場合にはヒンジ軸(58)にほぼ垂直である第2のヒンジ軸(64)に沿って折り畳み可能な折畳翼(62)を介して前部フレーム(32)に取り付けられる。同様に、固定軸輪(28)はここで、最も好ましくはヒンジ軸(60)に対して非平行であり、且つこの場合にはヒンジ軸(60)にほぼ垂直である第2のヒンジ軸(64)に沿って折り畳み可能な折畳翼(62)を介して後部フレーム(34)に取り付けられる。翼(62)の展開及び折り畳みを単純化するために、スタビライザアセンブリ(24)は好ましくは、前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)がそれらの各ヒンジ(58)のまわりで回転すると展開位置から折り畳み位置へと翼(62)を折り畳むように配置されたリンク機構を含む。本明細書に例示される非限定的な例において、各翼(62)のリンク機構は、各ヒンジ(58)又は(60)からのオフセットにおいて中心部分(30)にヒンジ接続され且つ前部フレーム(32)又は後部フレーム(34)それぞれのサイドレールに沿って摺動するスライダ(68)に連結された、バー(66)を利用する。連結ロッド(70)はスライダ(68)及び翼(62)の枢動的な接続を介して連結される。この構造の結果、完全に隆起した操作位置から折り畳まれた位置への前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の角度回転は、ヒンジの方向にフレームのサイドレールに沿ってスライダ(68)をバー(66)に引き寄せさせ、これにより、連結ロッド(70)を引っ張り、そうして
図19Eの折り畳み位置へと翼(62)を内側に折り畳む。反対に、展開状態への前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の開口時に、動きは逆にされ、翼(62)は、使用の準備のために展開状態へと外側に押される。この機構は故に、スタビライザアセンブリ(24)のために強化された側方ホイールベースを設ける一方、非常にコンパクトな折り畳み状態を達成する。
【0051】
この実装はまた、部分ギヤホイール構成(72)及び(74)を用いる非限定的な例に従って再び実装され、各軸(58)及び(60)に集中され、展開状態と完全に折り畳まれた状態との間の2つのフレームの同時の逆回転を確実にするために相互係合する、前部フレーム(32)及び後部フレーム(34)の折り畳みを調整する機械的リンク機構を特徴とする(
図19B-19E)。ここで同様に、ギヤホイール構成は、フレームの完全に上昇した展開位置の範囲を定める当接表面を含み得る。
【0052】
本明細書に例示されるような椅子(100)は、多数の方法で上述の椅子(10)に対して追加の利点を設けると考えられる、多数の示差的特徴を含む。第1に、ユーザーが椅子(100)に乗ることを容易にする高さ調節機構を設けることが重要であることが分かっている。特に、椅子(100)の1つの特に好ましい特徴に従い、フットレスト(102)は、下地表面と接触するよう選択的に下げられるように、高さ調節機構に機械連結される(
図14A及び15B)。フットレスト(102)と下地表面との接触は、椅子が安定し、その一方でユーザーが椅子にのる間にフットレスト上に自身の体重をのせることを確実にする。その後、フットレストは、ユーザーが移動し始める前に床からの必要な間隔(clearance)を提供するために高さ調節機構によって下地表面から離れて持ち上げられる(
図15A)。降りる前に、フットレストは再び地面へと下げられ、これにより降りる間にも安定性を確保する。
【0053】
椅子の他の要素とは別に前述のフットレスト調節を設けることができるが、フットレスト(102)とシート支持面(14)との間の高さの違いが、ユーザーに対し安定且つ快適な座位の構成をもたらすために一定に維持される。このような理由により、典型的には、高さ調節機構はシートポール(18)に統合され、且つ、乗るための下降位置と駆動のための上昇位置との間で下地表面より高くシート要素の高さを調整するために配置されることが、好ましいと考慮される。この場合、フットレスト(102)は好ましくは、シート要素がフットレストとは別に垂直軸のまわりで回転可能なまま維持される間にシート要素(12)と共に垂直に移動するように、高さ調節機構に機械連結される。最も好ましくは、上昇時のフットレスト(102)は、フットレストが垂直軸のまわりで確実に回転しないことを補助するように、スタビライザアセンブリの補足的な特徴に係合する。加えて、特定の特に好ましい実装に従い、上昇位置におけるフットレスト(102)の表面は、スタビライザアセンブリの前部分(32)の上部表面とほぼ同じ高さで存在し、これにより、ユーザーの足が椅子の操作中に耐えることが可能な、上部表面の組み合わせを提供する。
【0054】
高さ調節機構の非限定的な典型的な実装は、
図17A-17Cの切断図及び断面図において概略的に例示される。具体的に、この例では、シートポール(18)のコアはリニアアクチュエータのシャフトとして実装され、典型的に駆動モーター及び伝達ユニット(104)はシート支持面(14)内の空洞の内部に固定される。リニアアクチュエータは、ネジ棒アクチュエータ及び油圧アクチュエータを含むがこれらに限定されない、適切な範囲の動きにわたって適切な範囲の負荷を上昇させるために評価された(rated)任意の型のリニアアクチュエータでもよい。幅広い用途には、最大約1500Nの負荷のために評価され且つ約10cmの移動範囲を持つアクチュエータが、適切かもしれない。そのようなアクチュエータは、多数の供給源から容易に商業上利用可能であり、故に本明細書では詳細に記載されない。アクチュエータは好ましくは、非回転可能な端部リンク機構を設けるために選択され、これにより、上述のようにシート及び駆動輪の角度の位置合わせの維持を補助する。アクチュエータの下端は好ましくは、全て既に上述されるように、シート負荷が駆動輪と安定化構成との間に分配されるサスペンション配設部にのしかかる。
【0055】
ちなみに、椅子(100)のフットレストは特に都合がよいと考えられるが、先述の椅子(10)の実施形態も随意に、調整可能なフットレストが設けられない場合でさえ、シート要素(12)に対して高さ調節機構を設けることによって強化され得る。後者の場合、シートの下降位置は、ユーザーの足が床の上にある間の乗り降りを容易にするために使用され、その後ユーザーの足は、駆動の用意のために、シートの上昇前、上昇中、又は上昇後にスタビライザアセンブリへと移動させられる。
【0056】
高さ調節機構が設けられる場合、椅子は好ましくは、適切な一連の操作を確実にするために適切なハードウェア構成及び/又はソフトウェアによって構成された、ロジック回路及び/又は処理システムを含むエレクトロニクス制御システムによって、作動される。例えば、駆動輪の前方又は後方への移動は、シートが下降状態にある間は無効にされる。随意に、椅子を駆動させるためのユーザー入力は、駆動の準備において「シート上昇(raise-seat)」コマンドへと自動的に翻訳され得る。反対に、シートの下降は、椅子の移動中に都合良く無効にされ得るが、制御装置を切る前にオフコマンドの作動時に自動的に生じ得る。これまで通り、制御システムは、単一ユニット又は多数の分配コンポーネントとして、スタビライザアセンブリの中央部分のハウジング中の、或いは椅子アセンブリ内のあらゆる場所における、シート内容積内に物理的に収容されてもよい。
【0057】
制御システムへの入力は好ましくは、好ましくは1つ又は両方の椅子ハンドル(124)上に配置される、手動操作されたレバー又はロッカースイッチ(122)及び/又は様々な他のボタン或いは他の入力部を介して提供される。入力部は典型的にハンドル内を通るワイヤーを介して制御システムに接続されるが、低電力の無線入力デバイスの当技術分野で知られるように無線接続も可能である。
【0058】
ここでより詳細に、椅子(100)の特に好ましいが非限定的な典型的な実装に移ると、フットレスト(102)は、上柱ハウジング(110)から突出する支持アーム(108)にヒンジ付けされたブラケット(106)上で支持される。シート要素(12)、駆動モーター、及びリニアアクチュエータの伝達ユニット(104)は、一体として垂直に動くように上柱ハウジング(110)に連結され、その一方で上柱ハウジング(110)に対するシートアクチュエータアセンブリの回転が可能になる。
【0059】
ブラケット(106)は、スタビライザアセンブリ(24)のピンに係合されるスロット(112)と共に形成される。スロット中のピンの係合は好ましくは、シート及びフットレストの上昇位置において、前部フレーム(32)の下方の折り畳みを妨げ、これによりシート上昇時の装置の折り畳みを妨げるスロットの下部にピンが十分に接近するように、構成される。シートが下降すると、ピンは、
図16Bに見られるようにスロット(112)中よりも高く存在する(sits)。この位置において、スタビライザアセンブリの折り畳み動作が可能になり、スロット中のピンの係合は付加的に、
図16Cに示されるように更にコンパクトな内部に折り畳まれた位置への、そのヒンジのまわりのブラケット(106)の枢動を誘導する。
【0060】
フットレスト(102)の他の特に好ましいが非限定的な特徴に従い、フットレストは、シート要素に近接する後部分(112)及びシート要素(14)から離れて突出する前部分(114)を含む、足支持面を有している。前部分(114)及び後部分(112)は、足支持面の前部分(114)の内側への折り畳みを可能にするように、ヒンジ付き接続部(116)にて接続される(
図19Bを参照)。この折り畳み動作は、椅子(100)の折り畳み状態のためにフットレストをよりコンパクトにする。特定の特に好ましい場合、シートの上昇時に折り畳み状態が用いられてもよく、使用時に例えば、テーブル又は戸棚に接近することがより用意となる。
【0061】
ここで椅子(100)の更なる特に好ましいが非限定的な特徴に移ると、本明細書に例示されるような椅子は、スタビライザアセンブリ(24)の折り畳みを補助するための折り畳み補助機構(118)を含む。
図18A及び18Bの拡大図に最も良く見られるように、折り畳み補助機構(118)は、高さ調節機構に関連付けられるバネ負荷アクチュエータとして実装され、且つ、上昇位置(
図18A)から下降位置(
図18B)へのシート要素の下降が、スタビライザアセンブリの一部、この場合では後部分(34)のアームにアクチュエータを係合させ、アクチュエータの内部ばね(120)に負荷を加える。その後、この負荷は、スタビライザアセンブリの折り畳み動作の少なくとも頭部分中に放たれ、これにより装置の折り畳みを容易にする。内部ばね(120)に対する負荷が高さ調節機構の下降により誘導されるという事実は、必要な場合に負荷が選択的に生じることを確実にし、装置の使用中に長期間の負荷の下でバネを維持することを回避する。螺旋ばねによって偏向されたリニアアクチュエータとして本明細書に例示されるが、螺旋ばね、板ばね、及び空気圧縮ばねを含むがこれらに限定されない、広範囲の他のアクチュエータ構成及びばねの型が用いられてもよいことは、当業者に明白である。
【0062】
椅子(100)のハンドル(124)も好ましくは、折り畳みハンドルとして実装される。本明細書に例示される実装において、ハンドルは、椅子の側面にてシート要素(12)に枢動的に接続され、後方への枢動を介して折り畳まれる。随意に、ハンドルは、堅くハンドルを支持するために椅子の中央カラムに寄りかかる、展開状態でシートの真下を通るクロスバー(128)を介して示されるように統合される。クロスバーの形状及び枢動接続の位置は、ハンドルが後方へ折り畳み可能となるように、バーがシートの前面のまわりを通るのを可能にするために選択される。背中支持面(16)は好ましくは、
図14B、16C、及び19Fに示されるように、下へ折り畳まれたとき、椅子の折り畳み機構のまわりで曲がる可撓性要素(幅の広いストラップなど)によって設けられる。
【0063】
他の全ての点で、椅子(100)は、前述の実装のものと同様であり、同じ範囲のオプション及び変形を対象とし、その構造及び機能は、上記の参照によって完全に理解されるであろう。
【0064】
上記の記載が単に例として役立つように意図され、且つ、多くの他の実施形態が、添付の請求項において定義されるような本発明の範囲内で可能であることが理解されるであろう。