(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-28
(45)【発行日】2023-03-08
(54)【発明の名称】流れの不安定性を検出する渦流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/32 20220101AFI20230301BHJP
【FI】
G01F1/32 T
(21)【出願番号】P 2020568744
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(86)【国際出願番号】 US2019028256
(87)【国際公開番号】W WO2019245645
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(72)【発明者】
【氏名】フォスター、ジェフリー デュアン
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012112800(DE,A1)
【文献】特開2011-232201(JP,A)
【文献】特開2006-029966(JP,A)
【文献】特開2001-227998(JP,A)
【文献】特表2006-526855(JP,A)
【文献】特開2008-070292(JP,A)
【文献】特表2004-521331(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016984(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0041016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体の流量を測定するための渦流量計であって、
前記プロセス流体の流れの中に渦を発生させるために配置された渦発生器と、
前記プロセス流体の前記流れの中の前記渦を検知し、それに応答して、前記プロセス流体の前記流量に関連するセンサ出力を提供するために配置された渦センサと、
前記センサ出力を受信し、前記渦の振幅及び周波数を示すデジタル出力を提供するように構成された測定回路と、
前記デジタル出力に基づいて、サンプル毎の前記渦の振幅及び周波数を測定値として記憶するように構成されたメモリと、
前記メモリに記憶された前記測定値に基づいて、定常状態動作中の前記プロセス流体の前記流れの不安定性を検出するために配置された、前記メモリに結合された診断回路
と、
を備え、
前記診断回路が、前記プロセス流体の前記流れに検出された不安定性に起因する測定流量の誤差を補正する、
渦流量計。
【請求項2】
前記診断回路が、前記測定値と閾値とを比較することによって不安定性を検出する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項3】
前記閾値が動的閾値を含む、請求項2に記載の渦流量計。
【請求項4】
前記メモリに記憶される前記測定値が、渦放出サイクルの周波数毎の渦放出サイクルの数を含む、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項5】
前記診断回路が、前記メモリに記憶される前記測定値のプロファイルに基づいて不安定性を検出する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項6】
前記診断回路が、前記測定値の統計パラメータを計算する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項7】
前記統計パラメータが標準偏差を含む、請求項6に記載の渦流量計。
【請求項8】
前記診断回路が、測定値と前記統計パラメータとを比較することによって前記プロセス流体の前記流れの不安定性を検出する、請求項6に記載の渦流量計。
【請求項9】
プロセス制御ループに結合された出力回路を含む、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項10】
前記渦流量計が、前記プロセス制御ループから受け取られる電力で電力を供給される、請求項9に記載の渦流量計。
【請求項11】
前記診断回路が、前記メモリに記憶された前記測定値のモダリティを判定する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項12】
前記メモリに記憶された前記測定値が多峰性である場合に、前記診断回路が、前記プロセス流体の前記流れの不安定性を検出する、
請求項11に記載の渦流量計。
【請求項13】
前記診断回路が、前記メモリに記憶された前記周波数のピーク数に基づいて前記プロセス流体の前記流れの不安定性を検出する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項14】
前記診断回路が、前記プロセス流体の前記流れの不安定性の、可能性のある原因を特定する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項15】
前記特定された、可能性のある原因を示す出力をオペレータに提供する出力を含む、
請求項14に記載の渦流量計。
【請求項16】
前記診断回路が、コマンドに応答して動作する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項17】
前記診断回路が、前記測定値の異常ピークに応答して動作する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項18】
前記診断回路が、前記メモリに記憶された前記測定値の検出された特徴に応答して動作する、請求項1に記載の渦流量計。
【請求項19】
前記センサ出力に関連する情報を遠隔地に出力するように構成された出力を含み、前記診断回路が、前記遠隔地に配置されている、請求項1に記載の渦流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流れに応答する渦放出計(vortex shedding meter)又は渦計などの流量計に関する。より具体的には、本発明は、このような渦流量計による流れの不安定性の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
渦流量計は、導管内の液体又は気体の流れを検知し、この流れを示す信号を生成する。流れ導管内に放出バー(shedding bar)、鈍頭物体、又は渦発生器としても知られる障害物が存在すると、この流れの中に周期的な渦が発生する。これらの渦の周波数は、この渦流量計における流速に正比例する。放出渦(shedding vortices)は、この鈍頭物体において、交互する差圧を発生させる。この差圧は、圧電結晶又は他の差圧装置によって電気信号に変換される。この差圧又は電気信号の大きさは、ρV2に比例し、ただし、ρは流体密度であり、Vは流体速度である。この渦流量計は、流量に比例する周波数を有するパルスを生成する。
【0003】
この渦流量計は、消費電力が課題であるプロセス制御産業の設備の分野で通常取り付けられる測定送信機である。この渦流量計は、電流の大きさが電流ループで4~20mAの間で変化する、上記流量を表す電流出力を提供し得る。また、追加の電源を使用する必要がないように、この電流ループからこの渦流量計に完全に電力を供給することが望ましい。
【0004】
マイクロプロセッサを渦流量計に組み込むことが知られている。このマイクロプロセッサは、渦センサから出力信号のデジタル表現を受信し、このデジタル表現のパラメータに基づいて所望の出力量を計算する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
渦流量計を通るプロセス流体の流れの特定の状態は、この渦流量計による流量測定値に誤差を発生させ得る。このような状態を検出し、及び/又はこのような状態によって発生する誤差を補正することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プロセス流体の流量を測定するための渦流量計は、前記プロセス流体の流れの中に渦を発生させるために配置された渦発生器を含む。渦センサは、前記プロセス流体の前記流れの中の前記渦を検知し、それに応答して、前記プロセス流体の流量に関連するセンサ出力を提供するために配置される。測定回路は、前記センサ出力を受信し、デジタル出力を提供する。メモリは、前記デジタル出力に基づいて測定値を記憶するように構成される。前記メモリに結合された診断回路は、前記メモリに記憶された前記測定値に基づいて、前記プロセス流体の前記流れの不安定性を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一構成による渦流量計のブロック図である。
【
図2】時間に対する渦センサの出力のグラフである。
【
図3】
図2に示されている信号の周波数スペクトルのグラフである。
【
図5】
図4に示されているような定常状態渦流信号の振幅対周波数のグラフである。
【
図7】
図2に示されているような信号を使用して、放出サイクルの数対各放出サイクルの周波数を示すヒストグラフである。
【
図8】渦流量計において流れの不安定性を特定する工程を示す簡略化されたブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、不安定なプロセス流体の流れを検出する渦計診断に関する。特に、十分に不安定な流れは、検出され得る誤った測定値をもたらす。ほとんどの流れ技術は、安定した又はゆっくりと変化する流量を必要とする。各放出サイクルの期間の変化を測定することによって、装置は、流量が周期的に急激に変化して正確な流量測定値を取得できない場合に、オペレータにアラートを出し得る。
【0009】
図1は、本発明の渦流量計10の実施形態を示している。一般に、渦流量計10は、導管(プロセス配管16)を通って流れる流体14の放出渦15を検知する渦センサ11を含む。渦センサ11は、流れを示す4~20mAの電流を電流ループ17に発生させる電子回路と、流体の流れに比例する周波数を有する所望により存在する方形波出力F
out(図示せず)とに動作可能に結合される。
【0010】
渦流量計10は、渦計ハウジング22を含み、渦計ハウジング22は、その中に配置された鈍頭物体24を有する。流体14が鈍頭物体24を通過して流れるとき、流量を示す周波数を有する放出渦15が発生する。好ましくは鈍頭物体24に配置される渦センサ(センサ26)は、放出渦15に関連する圧力差を検知する。渦センサ(センサ26)は、例えば圧電センサを含み得る。センサ26は、電位源Es及び直列コンデンサCsによって近似される特性を有する。圧電センサ(センサ26)からの出力信号の大きさは、差圧に比例し、この差圧は、ρは流体密度であり、Vは流体14の速度であるρV2に比例し、Dは渦計ハウジング22の内径であり、Fは放出渦15の放出周波数であるρD2F2にも比例する。
【0011】
圧電センサ(センサ26)の出力は、コンデンサCF及び抵抗RFを含む増幅器28に結合される。増幅器28は、ライン30にアナログ出力信号を提供する。ライン30の信号は、アンチエイリアシングフィルタ62及び64で示されているアナログデジタル(シグマデルタ)変換器を含む入力回路60に提供される。アンチエイリアシングフィルタ62は、不要な高周波ノイズを除去するためにライン30からの信号をフィルタリングし、アンチエイリアシングフィルタリングを実行する。
【0012】
アナログデジタル変換器64は、アンチエイリアシングフィルタ62からの信号をサンプリングし、放出渦15の振幅及び周波数を示す単一ビットデータストリームを出力する。ビット密度と呼ばれることもある1及び0の相対数は、放出渦15の振幅を表す。デジタルデータストリームは、接地されている又は接地への漏れ電流を有するセンサに必要な電気的アイソレーションバリア66を介して送信される。
【0013】
デジタルフィルタ68は、所望により存在する構成要素であり、アナログデジタル変換器64からのデジタルデータストリームをデジタル的に前処理するために使用され得る。マイクロプロセッサ70は、背景技術のセクションで述べた方程式を使用して、流体の流れに関連する出力信号を計算するために使用され得る。マイクロプロセッサ70は、メモリ81に記憶された命令に従って動作する。マイクロプロセッサ70は、デジタル値をプロセス流体の流れの4~20mAの電流表現に変換するために、所望の出力値をデジタルアナログ変換器83に提供する。この電流レベルは、2線式プロセス制御ループ(電流ループ17)に適用される。さらにデジタル通信回路85が、既知のフォーマットを使用して、流れに関連するプロセス制御ループ(電流ループ17)の情報を送信するために用いられ得る。デジタル通信回路85は、データの送信及び受信の両方に使用され得る。ディスプレイ73は、渦流量計10のユーザインターフェースを提供する。電源90は、電流ループ17に接続され、渦流量計10に電力を供給するために使用され得る。
【0014】
背景技術のセクションで述べたように、プロセス配管16を通るプロセス流体の特定の状態及び流れが、流量測定値に誤差を発生させ得る。このような状態の1つに、プロセス流体の不安定性が挙げられる。例えば、始動動作中に、一部の渦流量計は、プロセス流体の不安定な流れのために誤った読み取り値を生成し得る。このタイプの不安定性は、渦流量計からの出力を観察すれば容易に認められ得る。しかしながら、定常状態動作中、特定の状況において、渦流量計は、流れ自体が不安定になっていても、安定した出力を誤って生成する場合がある。例えば、定常状態の動作中に流れが大きく変化する場合に、流れの変化が特定の周波数範囲内にあると、渦流量計は、このような不安定性を検出しない場合がある。例えば、4Hzでは不安定性が検出されない場合がある。このような不安定性は、渦流量計に、実際の流量よりも大幅に少ない流量測定値を報告させ得る。このタイプの誤差は、圧電センサ、差圧センサ、光学又は音響ベースのセンサなどの、渦放出を測定するために使用される技術とは無関係に発生する。
【0015】
図2は、渦センサの出力のグラフであり、信号振幅対時間のグラフである。
図2は、約0.3秒の時間期間で周期的に発生する振幅変調の有意な周波数を示している。
【0016】
図3は、時間領域に変換された
図2の信号の図であり、振幅対周波数のグラフであり、ほぼ同じ振幅を有する多数のピークを示している。多数のピークが検出されたこのような周波数領域におけるシグネチャは、流れの不安定性の発生を示す出力を提供するためにマイクロプロセッサ70によって使用され得る。(
図5に示さているように、周波数領域の出力信号は単一のピークを有すべきである。)。
【0017】
図2とは対照的に、
図4は、渦センサによって検知されたプロセス流体の安定した定常状態の流れの振幅対時間のグラフである。
図5は、
図4からの信号の周波数スペクトルを示しており、振幅対周波数のグラフである。
図5に示されているように、流れ信号は、約50Hzに容易に認められる。
【0018】
図6は、
図2に示されているデータサンプルを使用してパルスごとに計算された流量を示している。
図6に示されているように、計算された流量は、サンプル間で大きく変化している。このデータを使用して、30秒にわたって収集された放出サイクルのヒストグラムが、
図7に示されているように作成された。
図7は、各放出サイクルの周波数における二峰性分布を明確に示している。したがって、流体14が常に過渡状態にあることが認められる。一方、1~2秒の測定スパンにわたって平均がほぼ変わらないため、マイクロプロセッサ70によって決定される出力は安定している。これにより、測定された流量に誤差が発生する。
【0019】
このような変化は誤った測定値をもたらし得るため、渦センサがこのような誤った読み取り値を提供している可能性があることについてオペレータにアラートを出すことが望ましい。一構成では、流量の周期的変化に関するアラートを出すために、放出サイクル期間が測定され、そのような測定値の数が、
図1に示されているようなメモリ81に記憶される。次に、これらの記憶された期間は、任意の数の統計的な及び/又は信号処理の技術を使用して調査され得、流れの不安定性を示すフラグが設定され得る。例えば、閾値に達した場合、渦流量計10は、アラートを出すためにデジタル通信回路85を使用し得る。このようなアラートは、例えばHART(登録商標)、Fieldbus、Modbus、又は他の通信技術を介して出され得る。同様に、安全計装機能(SIF(Safety Instrumented Function))用途では、渦流量計10が安全精度範囲外で動作していることを示すためにアラートを出し得る。
【0020】
1つの特定の構成では、マイクロプロセッサ70は、渦放出期間情報をメモリ81に記憶する。この記憶された情報を使用して、マイクロプロセッサ70は、収集サンプルを使用して期間の標準偏差を計算する。典型的な定常状態の動作中、渦放出期間の標準偏差は、特定の渦流量計本体の設計及び流れの状況に応じて約4~7パーセントの間で変化するはずである。他の渦流量計構成の標準偏差は、8~10パーセントの範囲内にあり得る。
【0021】
マイクロプロセッサ70は、計算された標準偏差と許容可能な閾値とを比較し得る。標準偏差がこのような閾値を超えている場合、警告が出され得る。別の例示的な構成では、サンプルの標準偏差がサンプルの平均のパーセンテージよりも大きい場合、例えば12パーセントである場合、流れの不安定性を示す診断フラグが設定され得る。
【0022】
別の例示的な構成では、収集された期間データは、それが単峰性であるかどうかを判定するためにテストされる。データセットが単峰性であるかどうかを検出するための様々なテストは、当技術分野で知られており、
図7に示されているヒストグラムの使用を含む。しかしながら、単峰性の任意の適切なテストが用いられてもよい。テストで単峰性が検出されなかった場合、プロセス流体が不安定であることを示す警告が出され得る。
【0023】
別の例示的な構成では、収集されたデータは、例えば、マイクロプロセッサ78によって実行される高速フーリエ変換を使用して、周波数領域で分析される。このような構成では、渦センサからのデジタルサンプルは、メモリ81に記憶され、高速フーリエ変換を実行するために使用される。周波数領域データを使用して、閾値レベルを超える周波数に関して、時間の経過に伴う放出周波数の変化が観察され得る。例えば、最高ピークの25%の閾値が、測定可能な周波数範囲内で用いられてもよい。この構成により、構造的な共振によって誤警報が出される可能性がなくなる。閾値よりも速い変化(例えば、信号の標準偏差の3倍)は、流れの不安定性の診断警告をトリガするために使用され得る。
【0024】
図8は、上記の技術を使用して流れの不安定性を検出するために、例えばメモリ81に記憶された命令に従ってマイクロプロセッサ70によって実施される工程を示す簡略化されたブロック
図100である。ブロック
図100は、ブロック102から始まり、ブロック104では、渦放出期間データが取得される。ブロック106では、取得された期間データがメモリ81に記憶される。ブロック104~106は、破線の矢印によって示されているように別々に機能し得、これにより、期間データは連続して収集される。ブロック108では、メモリ81に記憶された期間データが、時間及び/又は周波数領域を使用して実施される両方の技術を含む統計的な又は他の分析技術を使用して分析される。次に、分析されたデータは、ブロック110でベースラインと比較される。ベースライン比較は、単純な閾値、動的閾値、又は特定のシグネチャ、データピーク構成、若しくはグラフィカル分析などを含むより複合的なベースラインによって行われ得る。ブロック112では、比較に基づいて、出力警告がブロック114で出されるか、又は制御がさらなる分析のためにブロック108に渡される。この構成は、データがバックグラウンドで収集され、記憶されたデータに対してローリング分析(rolling analysis)が実行されることを可能にする。データの記憶及び分析は、継続的に機能してもよいし、又は何らかのイベントに基づいて、例えば、渦センサからのデータの異常なピーク若しくは他のシグネチャの観察、プロセス制御ループからのコマンドの受信、又は手順を開始するための何らかの他のメカニズムに応答して周期的にトリガされてもよい。
【0025】
一構成では、診断は、渦流量計10内のマイクロプロセッサ70及び所望によりデジタルフィルタ68によって実行されるが、別の例示的な構成では、計算は、遠隔地、例えば制御室で実行される。このような構成では、渦流量計は、生データを出力するように構成され得る。これにより、より高度な診断を実行することが可能になり得る。これは、遠隔地が渦流量計10などのフィールド装置に見られる電力制限の影響を受けないためである。別の例示的な構成では、診断は周期的に又は所望に応じてのみ実行される。これにより、フィールド装置(渦流量計10)は、このような診断を実行するために高電力モードに入ることが可能になる。このような構成では、電源90は、診断計算中に追加の電力を供給するために使用されるコンデンサ又はバッテリなどの何らかのタイプの電力貯蔵ユニットを含み得る。
【0026】
十分な量の渦放出情報が収集された場合、それは既知のシグネチャと比較され得る。この比較は、流れの不安定性の、可能性のある原因を特定するために使用され得る。例えば、特大のレギュレータは、特定のタイプの流れの不安定性の原因になり得る。このような構成では、渦流量計10によって提供される診断出力は、流れの不安定性の、可能性のある原因に関連する情報も含み得、これにより、オペレータがプロセス構成を変更することが可能になる。例えば、ランダムに分散した信号は、「ノイズの多い」制御方式のバルブを示している可能性がある。
【0027】
本発明は好ましい実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更が行われ得ることを認める。本明細書で述べられているように、渦流量計は、流れの非定常状態を検出することによってアラートを出すために配置される。個々の放出期間が測定され、記憶される。記憶された期間は、閾値と比較される、サンプルの標準偏差を計算するために使用され得る。別の構成では、渦センサからの出力が、メモリ81に記憶され、高速フーリエ変換が、記憶されたデータに対して実行される。ピーク発見アルゴリズムは、複数の周波数が存在するかどうかを判定するために使用され、不安定な流れの状態を示すために使用され得る。別の例では、測定された放出サイクル期間は、ヒストグラムを形成するために使用され、二峰性分布又はその他の不安定なシステムを探すために既知の分布モデルと比較される。別の例示的な構成では、マイクロプロセッサのメモリ81に記憶された渦センサからの出力は、不安定性の駆動モードを判定し、デジタルアラートによって不安定性のあり得る原因に関して顧客に案内を提供するためにカーブフィットを実施する。別の例示的な構成では、マイクロプロセッサは、渦の不安定性に起因する測定された流量の誤差を補正する。これは、例えば、カーブフィッティング、不安定性のプロファイル若しくは振幅に基づく重み関数、又は他の技術によるものであり得る。マイクロプロセッサ70は、プロセス流体の流れの不安定性を検出するために使用される診断回路の一例を提供する。一構成では、
図1に示されている入力回路60の要素は、ライン30に提供されるアナログ信号に関連する出力を遠隔地に提供する出力回路として構成される。このような構成では、マイクロプロセッサ(診断回路)70は、任意の通信プロトコル又は規格に従って遠隔地に配置され得る。例としては、プロセス制御ループ、無線プロセス通信技術、又は何らかの他の手段が挙げられる。
【符号の説明】
【0028】
10 渦流量計
11 渦センサ
14 流体
15 放出渦
16 プロセス配管
17 電流ループ
22 渦計ハウジング
24 鈍頭物体
26 センサ
28 増幅器
30 ライン
60 入力回路
62 アンチエイリアシングフィルタ
64 アナログデジタル変換器
66 電気的アイソレーションバリア
68 デジタルフィルタ
70 マイクロプロセッサ
73 ディスプレイ
78 マイクロプロセッサ
81 メモリ
83 デジタルアナログ変換器
85 デジタル通信回路
90 電源